JP2013180670A - 制動力制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の設計条件に関わらず所望の姿勢制御性能を実現するとともに、車両の走行状態に基づいて積極的に車両姿勢を制御することができる制動力制御装置を提供すること。
【解決手段】制動力制御装置140は、運転者のブレーキ操作量やハンドル操作量などの運転操作情報に基づいて、各車輪に作用させる制動力配分を、車両100の姿勢を所定の状態に制御するように決定する。制動力配分とは、車両の前輪に作用させる制動力と後輪に作用させる制動力との比率や、回生ブレーキに基づく制動力とメカブレーキに基づく制動力の比率である。
【選択図】図1
【解決手段】制動力制御装置140は、運転者のブレーキ操作量やハンドル操作量などの運転操作情報に基づいて、各車輪に作用させる制動力配分を、車両100の姿勢を所定の状態に制御するように決定する。制動力配分とは、車両の前輪に作用させる制動力と後輪に作用させる制動力との比率や、回生ブレーキに基づく制動力とメカブレーキに基づく制動力の比率である。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両の各車輪に作用させる制動力を制御する制動力制御装置に関する。
従来、車両に搭載されたサスペンション機構には、アンチダイブ、アンチリフト、アンチスクワットなどの姿勢制御性能を実現するようなジオメトリが組み込まれており、主に制駆動時における車両姿勢をコントロールしている。たとえば、下記特許文献1では、必要制動力を車両の前輪および後輪の制動手段へ配分する際、前輪制動力配分と後輪制動力配分とを変更可能に制御する前後輪制動力配分制御手段と、車両の前輪および後輪を車体に懸架するサスペンションの動特性を調整可能なサスペンション制御手段と、を備え、サスペンション制御手段において、前後輪制動力配分制御手段による配分変化により発生する車両のピッチ挙動を抑えるようにサスペンションの動特性を調整する車両姿勢制御装置が開示されている。
しかしながら、上述した従来技術にかかるサスペンション機構では、アライメントの制約条件などから各種ジオメトリの設定に制約が生じる場合があり、所望の姿勢制御性能が実現できない場合があるという問題点がある。また、従来技術にかかるサスペンション機構は、車両に制駆動力が働いた結果によって受動的にその効果が発揮されるものであり、積極的な姿勢制御ができない場合があるという問題点がある。
本発明は、上述した従来技術の問題点を鑑みてなされたものであり、車両の設計条件に関わらず所望の姿勢制御性能を実現するとともに、車両の走行状態に基づいて積極的に車両姿勢を制御することができる制動力制御装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる制動力制御装置は、車両の各車輪に作用させる制動力を制御する制動力制御装置であって、前記車両の運転者による運転操作情報を取得する運転操作情報取得手段と、前記運転操作情報取得手段によって取得された運転操作情報に基づいて、前記各車輪に作用させる制動力配分を、前記車両の姿勢を所定の状態に制御するように決定する決定手段と、前記決定手段によって決定された前記制動力配分に基づいて、前記各車輪に前記制動力を作用させる制御手段と、を備えることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、制動時において車両の姿勢にそれぞれ異なった影響を与える各車輪への制動力配分を、車両の姿勢を所定の状態に制御するように決定するので、サスペンション機構のように設定上の制約条件の影響を受けることなく、効果的に車両の姿勢を制御することができる。これにより、制動時における車両姿勢が安定し、搭乗者の安心感を高めることができる。また、車両の制動力配分を用いて車両姿勢を制御することによって、サスペンション機構による車両姿勢の制御量を軽減することができ、サスペンション機構の設計の自由度を向上させることができる。
請求項2の発明によれば、前輪および後輪に対する制動力配分を変更する。前輪および後輪における制動力は車両姿勢に及ぼす影響がそれぞれ異なるので、これらの配分を変更することにより、車両の姿勢を積極的に制御することができる。
請求項3の発明によれば、要求制動力が小さい場合は後輪に作用させる制動力の比率を高めてブレーキの効果を高め、要求制動力が大きい場合は前輪に作用させる制動力の比率を高めて車両姿勢の安定を優先させることができる。
請求項4の発明によれば、回生力に基づく制動力とブレーキ機構の動作に基づく制動力との制動力配分を同一車軸上で変化させる。回生力に基づく制動力とブレーキ機構の動作に基づく制動力とは、車両姿勢に及ぼす影響がそれぞれ異なるので、これらの配分を変更することにより、車両の姿勢を積極的に制御することができる。
請求項5の発明によれば、要求制動力が小さい場合は回生力に基づく制動力の比率を高めて燃費を向上させ、要求制動力が大きい場合はブレーキ機構の動作に基づく制動力の比率を高めて車両姿勢の安定を優先させることができる。
請求項6の発明によれば、ハンドル操作量が小さい場合は回生力に基づく制動力の比率を高めて燃費を向上させ、ハンドル操作量が大きい場合はブレーキ機構の動作に基づく制動力の比率を高めて車両姿勢の安定を優先させることができる。
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる制動力制御装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。以下の実施の形態では、電動自動車である車両100に対して、本発明にかかる制動力制御装置を適用した場合の例について説明する。
(実施の形態)
図1は、実施の形態にかかる制動力制御装置を適用した車両100の構成を示す説明図である。図1においては、車両100に対する制動力制御装置の適用と関係しない構成については、図示を省略している。車両100は、電気自動車であり、図示しないバッテリーに蓄積された電力によってモーター102を駆動して、タイヤ101を回転させて走行する。
図1は、実施の形態にかかる制動力制御装置を適用した車両100の構成を示す説明図である。図1においては、車両100に対する制動力制御装置の適用と関係しない構成については、図示を省略している。車両100は、電気自動車であり、図示しないバッテリーに蓄積された電力によってモーター102を駆動して、タイヤ101を回転させて走行する。
運転者によるハンドル113の操作は、図示しないステアリングシャフト、ギアボックスなどを介して、タイヤ101に伝えられ、タイヤ101の向きが変更される。ハンドル113には、ハンドル回転角を検出する回転角センサ114が設けられている。回転角センサ114による検出値は後述する制動力制御装置140へと出力される。
タイヤ101の回転は、運転者によるブレーキペダル103および図示しないアクセルペダルの操作によって制動される。運転者によってブレーキペダル103が踏み込まれると、その踏み込み力によってマスターシリンダー104内のピストンが駆動され、マスターシリンダー104内に充填されたブレーキ液が押し出される。押し出されたブレーキ液は、ブレーキ配管105を伝ってブレーキキャリパー107へと伝送される。なお、ブレーキペダル103およびアクセルペダルへの踏み込み力は、図示しないペダルセンサによって計測され、後述する制動力制御装置140へと出力される。
ブレーキペダル103への踏み込み力がマスターシリンダー104に伝達される際には、ブレーキブースタ110によって踏み込み力を増幅させることによって、車両100の制動に必要な圧力を得る。ブレーキブースタ110の内部は、ブレーキペダル103側の大気室およびマスターシリンダー104側の負圧室の2つの区画に隔てられている。この2つの区画間の圧力差によって、ブレーキペダル103側からマスターシリンダー104側へと向かう力が発生し、マスターシリンダー104内のピストンを押す力を補助する。ブレーキブースタ110の負圧室内の負圧は、電動バキュームポンプ111によって発生させる。
モーター回転数センサ121は、単位時間あたりのモーター102の回転数を計測する。車輪速度センサ122は、各タイヤ101に設けられ、各タイヤ101の回転速度を計測する。
ブレーキキャリパー107には、ブレーキパッド108(図2参照)およびピストンが設けられている。ブレーキキャリパー107では、ブレーキ液に伝えられた圧力の作用よってピストンが駆動され、ブレーキパッド108をディスクローター106へと押し付ける。そして、ディスクローター106とブレーキパッド108との間の摩擦によって、タイヤ101の運動エネルギーが熱エネルギーとして空気中に放出され、タイヤ101の回転が停止し、車両100が停止する。
ここで、ディスクローター106に対するブレーキパッド108の押圧力は、制動力制御装置140によって制御されている。制動力制御装置140は、車両100の左右前後輪それぞれのタイヤ101のブレーキキャリパー107に伝送するブレーキ液の液圧を制御することによって、それぞれのタイヤに作用する制動力を制御する。
また、本実施の形態では、制動力制御装置140によって各タイヤ101の制動力を制御することにより、制動時における車両100の姿勢を制御する。図1においては図示を省略しているが、それぞれのタイヤ101にはそれぞれサスペンション機構が設けられており、アンチダイブ、アンチリフトなどのジオメトリによって車両100の姿勢を制御している。本実施の形態では、サスペンション機構に加えて制動力制御装置140を車両100の姿勢制御に用いることによって、より積極的に車両100の姿勢を制御することができる。
制動力制御装置140は、CPU、制御プログラムなどを格納・記憶するROM、制御プログラムの作動領域としてのRAM、各種データを書き換え可能に保持するEEPROM、周辺回路等とのインターフェースをとるインターフェース部などを含んで構成される。制動力制御装置140は、車両100の各部とインターフェース部を介して接続され、それら各部との間で情報の授受をおこない、各部の制御を司る。
また、制動力制御装置140は、上記CPUが上記制御プログラムを実行することによって、走行状態取得部141、操作情報取得部142、決定部143、制御部144を実現する。
走行状態取得部141は、車両100の走行状態情報を取得する。走行状態情報とは、たとえば、車両100の走行速度、加速度、角速度などの情報である。走行状態取得部141は、たとえば、モーター回転数センサ121や車輪速度センサ122、図示しない角速度センサなどからの出力値を取得することによって、走行状態情報を取得する。
走行状態取得部141は、車両100の走行状態情報を取得する。走行状態情報とは、たとえば、車両100の走行速度、加速度、角速度などの情報である。走行状態取得部141は、たとえば、モーター回転数センサ121や車輪速度センサ122、図示しない角速度センサなどからの出力値を取得することによって、走行状態情報を取得する。
操作情報取得部142は、車両100の運転者による運転操作情報を取得する。運転操作情報とは、たとえば、運転者によるブレーキペダル103またはアクセルペダルの踏み込み量(ブレーキ操作量およびアクセル操作量)やハンドル113の回転量(ハンドル操作量)などである。操作情報取得部142は、たとえば、ブレーキペダルまたはアクセルペダルに設けられたペダルセンサや回転角センサ114などからの出力値を取得することによって、運転操作情報を取得する。
決定部143は、操作情報取得部142によって取得された運転操作情報に基づいて、各車輪(タイヤ101)に作用させる制動力配分を、車両100の姿勢を所定の状態に制御するように決定する。決定部143は、操作情報取得部142によって取得された運転操作情報を用いて、ダイブやリフトなど、車両100の姿勢が好ましくない状態になることが予測される場合には、制動力配分を変更し、車両100の姿勢を所定の状態(水平に近い状態)に保つようにする。このとき、決定部143は、走行状態取得部141によって取得された走行状態情報を用いて制動力配分を決定してもよい。
決定部143は、たとえば、車両100の前輪に作用させる制動力と、後輪に作用させる制動力との配分を決定する。決定部143は、たとえば、車両100の減速時に生じる回生力に基づく制動力、すなわち車軸制動トルク(回生ブレーキ)による制動力と、各車輪に設けられたブレーキ機構の動作に基づく制動力、すなわちメカブレーキによる制動力の配分を決定する。これは、それぞれにおけるによる制動力が車両100の姿勢に及ぼす影響が異なることによる。
図2は、車両制動時に働く力を模式的に示す説明図である。図2(a)は車軸制動トルクによって及ぼされる力を示し、図2(b)はメカブレーキによって及ぼされる力を示している。また、図2(a)および図2(b)に示した符号をそれぞれ識別するため、図2(a)に示した符号には添え字として「1」、図2(b)に示した符号には添え字として「2」を付している。
図2において、車両の前輪に作用する制動力をFBF、後輪に作用する制動力をFBRとすると、車両姿勢を制御する力として、前輪側にNBF、後輪側にNBRが加わる。このNBFおよびNBRは、制動力FBF,FBRが加わった際の車輪の瞬間回転中心CF,CRと制動力FBF,FBRの作用点とを結ぶ直線と、水平面との角度とをθF,θRとすると、それぞれ下記式(1)および(2)で表わされる。
NBF = FBF×tanθF ・・・(1)
NBR = FBR×tanθR ・・・(2)
NBF = FBF×tanθF ・・・(1)
NBR = FBR×tanθR ・・・(2)
図2に示すように、車軸制動トルクとメカブレーキとでは、制動力の作用点が異なるため、制動力が車両の姿勢に及ぼす力(NBF,NBR)が異なる。決定部143は、上述した走行状態情報や運転操作情報の他、このような力の関係式などを用いて、各車輪に作用させる制動力配分を決定する。なお、本実施の形態では、アンチリフトの効果がアンチダイブの効果よりも大きく(|NBF|<|NBR|)、メカブレーキの効果が回生ブレーキの効果よりも大きい(|NBF1|<|NBF2|、|NBR1|<|NBR2|)ものとしている。
図3は、前後輪の制動力配分の一例を示すグラフである。図3において、縦軸は前輪に作用させる制動力と後輪に作用させる制動力の比率(前輪制動力/後輪制動力)を示しており、前輪制動力が大きいほど値が大きく、後輪制動力が大きいほど値が小さくなっている。また、横軸は運転者のブレーキ操作量から算出する要求制動力である。図3に示すように、要求制動力が小さい時は、車両姿勢への制御効果が大きい後輪制動力の比率を高め、アンチリフト効果によって車両姿勢を保つようにする。一方、要求制動力が大きい時は、前輪側に荷重が移動するので、後輪制動力を弱め、前輪のアンチダイブ効果を活用して車両挙動の安定性を保つようにする。
図4は、車軸制動トルクとメカブレーキとの制動力配分の一例を示すグラフである。図4において、縦軸は車軸制動トルク(回生ブレーキ)による制動力とメカブレーキによる制動力との比率(回生力/メカブレーキ)を示しており、回生ブレーキによる制動力が大きいほど値が大きく、メカブレーキによる制動力が大きいほど値が小さくなっている。また、横軸は運転者のブレーキ操作量から算出する要求制動力である。図4に示すように、要求制動力が小さい時は、回生ブレーキの比率を高めて燃費(電費)を向上させる。一方、要求制動力が大きい時は、同じ制動力でも車両姿勢への制御効果が大きいメカブレーキの比率を高めて、姿勢制御を優先させる。
図5は、車軸制動トルクとメカブレーキとの制動力配分の他の例を示すグラフである。図5において、縦軸は図4と同様に車軸制動トルク(回生ブレーキ)による制動力とメカブレーキによる制動力との比率(回生力/メカブレーキ)である。また、横軸は運転者のハンドル操作量(ハンドル回転角の絶対値)である。図5に示すように、ハンドル操作量が小さい時、すなわち直線付近では、回生ブレーキの比率を高めて燃費を向上させる。一方、ハンドル操作量が大きい時、すなわち旋回中は、同じ制動力でも車両姿勢への制御効果が大きいメカブレーキの比率を高めて、姿勢制御を優先させる。
このように、決定部143は、車両の走行状態情報や運転者の運転操作情報に基づいて、各車輪に作用させる制動力配分を決定する。なお、車両姿勢の安定の他、燃費など、どのような要素を優先させるかを運転者によって設定可能としてもよい。
図1の説明に戻り、制御部144は、決定部143によって決定された制動力配分に基づいて、各タイヤ101に制動力を作用させる。制御部144は、各タイヤ101のブレーキキャリパー107に伝送するブレーキ液の液圧を制御することによって、それぞれのタイヤ101に所定の制動力を作用させる。また、制御部144は、モーター102の回転トルクを制御することによって、回生ブレーキによる制動力を制御する。
図6は、制動力制御装置140による制動力制御処理の手順を示すフローチャートである。図6のフローチャートにおいて、制動力制御装置140は、車両が走行を開始するまで待機して(ステップS601:Noのループ)、車両が走行を開始すると(ステップS601:Yes)、操作情報取得部142によって運転者のペダル操作量を示すペダルストローク情報を取得する(ステップS602)。つぎに、制動力制御装置140は、操作情報取得部142によって運転者のハンドル操作量を示すハンドル回転角情報を取得する(ステップS603)。このとき、走行状態取得部141によって車両100の走行状態情報も随時取得する。
つづいて、制動力制御装置140は、決定部143によって運転者の要求制動力を算出し(ステップS604)、まず前後輪の制動力配分を決定する(ステップS605)。つぎに、決定部143は、車軸制動トルクとメカブレーキとの制動力配分(回生配分)を決定する(ステップS606)。このとき、決定部143は、図4に示す要求制動力に基づく制動力配分および図5に示すハンドル操作量に基づく制動力配分の両方を算出し、値の小さい方を採用するようにしてもよい。これにより、姿勢の安定性を重視した制動力配分を採用することができ、搭乗者の安心感を高めることができる。なお、本実施の形態では要求制動力に基づく制動力配分およびハンドル操作量に基づく制動力配分のうち、値の小さい方を採用したが、固定値もしくは他の物理量を用いてそれぞれに重みをつけて重ね合わせるなどの方法を採ることができる。
そして、制動力制御装置140は、制御部144によって、前後輪の制動力制御および回生ブレーキとメカブレーキの制動力制御を実施する(ステップS607)。車両100が走行を終了するまで(ステップS608:No)、制動力制御装置140は、ステップS602に戻り、以降の処理をくり返す。そして、車両100が走行を終了すると(ステップS608:Yes)、本フローチャートによる処理を終了する。
なお、本実施の形態では、車両100のブレーキを油圧式ブレーキとして説明したが、電動キャリパーを用いた電動式ブレーキに本発明にかかる制動力制御装置を適用してもよい。電動式ブレーキは、キャリパーに搭載された電動モータ等を作動させてブレーキパッドをロータに押し付けることによって制動力を得るブレーキ方式である。電動式ブレーキにおいては、ドライバの操作をペダルストロークセンサで検出し、その操作量を元に電動モータを制御する(ブレーキバイワイヤー)。
図7は、電動式ブレーキの構成の一例を示す図である。図7に示した電動ブレーキ装置は、左前輪、右前輪、左後輪、右後輪の4輪にそれぞれ備えられ、各輪の目標制動トルクに相当したモータ駆動電流が各輪の電動モータに送られる。図に示すように、車輪と共に回転するブレーキロータ1が備えられ、ブレーキロータ1は一対のブレーキパッド2に押圧されて摩擦力により制動トルク、減速トルクを発生させる。すなわち、車体側にはキャリパー3が往復移動自在(図中左右方向)に支持され、キャリパー3には電動アクチュエータである電動モータ4が固定されている。また、キャリパー3にはピストン5が摺動自在に嵌合している。
ピストン5の内部にはナット部材6が固定され、ナット部材6には電動モータ4の駆動軸7に設けられたねじ部が螺合している。電動モータ4に電力が供給されることにより駆動軸7が正逆回転し、ナット部材6を介してピストン5が軸方向(図中左右方向)に往復駆動する。ブレーキロータ1の一方の面(図中左側の面)に対向するキャリパー3と、ブレーキロータ1の他方の面(図中右側の面)に対向するピストン5の先端部位とに、それぞれブレーキパッド2が取り付けられている。
電動モータ4の駆動軸7が、例えば、正方向に回転すると、ピストン5が図中左方向に駆動され、ピストン5に取り付けられたブレーキパッド2はブレーキロータ1を押圧すると同時に、キャリパー3が反力により図中右方向に摺動し、一対のブレーキパッド2によりブレーキロータ1が押圧される。これにより、制動トルク、減速トルクが発生する。電動モータ4の駆動軸7が、例えば、逆方向に回転すると、一対のブレーキパッド2がブレーキロータ1から離反する。これにより、制動トルク、減速トルクが解放される。
電動モータ4を制御するためのコントロールユニット(ECU)8が備えられ、ECU8にはブレーキペダルの操作情報(操作量、操作速度)が入力される。ブレーキペダルの操作情報に応じてECU8から電動モータ4に制御信号(電流値の指令信号:モータ駆動電流)が送られ、駆動軸7の回転方向と回転速度が制御される。即ち、各輪の制動トルクが制御される。
電動モータ4には、駆動軸7の回転角を検出する回転角センサー9及び駆動電流を検出する電流検出センサー10が設けられている。駆動軸7の回転角と電動モータ4の電流値が検出され、回転角と電流値がECU8に入力されてフィードバック制御される。
以上説明したように、実施の形態にかかる制動力制御装置140は、制動時において車両100の姿勢にそれぞれ異なった影響を与える各車輪への制動力配分を、車両100の姿勢を所定の状態に制御するように決定する。このため、サスペンション機構のように設定上の制約条件の影響を受けることなく、効果的に車両100の姿勢を制御することができる。また、車両100の制動力配分を用いて車両姿勢を制御することによって、サスペンション機構による車両姿勢の制御量を軽減することができ、サスペンション機構の設計の自由度を向上させることができる。
また、制動力制御装置140は、車両姿勢に及ぼす影響がそれぞれ異なる前輪および後輪における制動力の制動力配分を変更するので、車両100の姿勢を積極的に制御することができる。たとえば、要求制動力が小さい場合は後輪に作用させる制動力の比率を高めて車両姿勢の安定(制御)を優先し、要求制動力が大きい場合は前輪に作用させる制動力の比率を高めて車両挙動の安定を優先させることができる。
また、制動力制御装置140は、車両姿勢に及ぼす影響がそれぞれ異なる回生力ブレーキおよびメカブレーキの制動力配分を同一車軸上で変化させるので、車両100の姿勢を積極的に制御することができる。たとえば、要求制動力が小さい場合は回生力に基づく制動力の比率を高めて燃費を向上させ、要求制動力が大きい場合はブレーキ機構の動作に基づく制動力の比率を高めて車両姿勢の安定を優先させることができる。また、たとえば、ハンドル操作量が小さい場合は回生力に基づく制動力の比率を高めて燃費を向上させ、ハンドル操作量が大きい場合はブレーキ機構の動作に基づく制動力の比率を高めて車両姿勢の安定を優先させることができる。
100……車両、101……タイヤ、102……モーター、103……ブレーキペダル、104……マスターシリンダー、105……ブレーキ配管、106……ディスクローター、107……ブレーキキャリパー、108……ブレーキパッド、110……ブレーキブースタ、111……電動バキュームポンプ、113……ハンドル、114……回転角センサ、121……モーター回転数センサ、122……車輪速度センサ、130……EV−ECU、140……制動力制御装置、141……走行状態取得部、142……操作情報取得部、143……決定部、144……制御部。
Claims (6)
- 車両の各車輪に作用させる制動力を制御する制動力制御装置であって、
前記車両の運転者による運転操作情報を取得する運転操作情報取得手段と、
前記運転操作情報取得手段によって取得された運転操作情報に基づいて、前記各車輪に作用させる制動力配分を、前記車両の姿勢を所定の状態に制御するように決定する決定手段と、
前記決定手段によって決定された前記制動力配分に基づいて、前記各車輪に前記制動力を作用させる制御手段と、
を備えることを特徴とする制動力制御装置。 - 前記決定手段は、前記車両の前輪に作用させる制動力と、前記車両の後輪に作用させる制動力と、の配分を決定し、
前記制御手段は、前記配分に基づいて前記前輪および前記後輪に前記制動力を作用させることを特徴とする請求項1に記載の制動力制御装置。 - 前記運転操作情報取得手段は、運転者によるブレーキ操作量情報を取得し、
前記決定手段は、前記ブレーキ操作量情報から前記運転者の要求制動力を算出し、前記要求制動力が小さい場合は前記後輪に作用させる制動力の比率を高め、前記要求制動力が大きい場合は前記前輪に作用させる制動力の比率を高めることを特徴とする請求項2に記載の制動力制御装置。 - 前記決定手段は、前記車両の減速時に生じる回生力に基づく制動力と、前記各車輪に設けられたブレーキ機構の動作に基づく制動力と、の配分を決定し、
前記制御手段は、前記配分に基づいて前記回生力に基づく制動力と前記ブレーキ機構の動作に基づく制動力とを作用させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の制動力制御装置。 - 前記運転操作情報取得手段は、運転者によるブレーキ操作量情報を取得し、
前記決定手段は、前記ブレーキ操作量情報から前記運転者の要求制動力を算出し、前記要求制動力が小さい場合は前記回生力に基づく制動力の比率を高め、前記要求制動力が大きい場合は前記ブレーキ機構の動作に基づく制動力の比率を高めることを特徴とする請求項4に記載の制動力制御装置。 - 前記運転操作情報取得手段は、運転者によるハンドル操作量情報を取得し、
前記決定手段は、前記ハンドル操作量が小さい場合は前記回生力に基づく制動力の比率を高め、前記ハンドル操作量が大きい場合は前記ブレーキ機構の動作に基づく制動力の比率を高めることを特徴とする請求項4または5に記載の制動力制御装置。
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