JP2013178225A - 核種変換方法及び核種変換装置 - Google Patents

核種変換方法及び核種変換装置 Download PDF

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Abstract

【課題】加速器や原子炉等の大規模な装置に比べて、相対的に小規模な装置で核種変換を行うことが可能な核種変換装置及び核種変換方法において、核種変換量を増大させる。
【解決手段】構造体1と、構造体1を両側から挟み込むようにして配置された重水素高濃度部2及び重水素低濃度部3と、を備えた核種変換装置において、重水素高濃度部2に重水を含む電解溶液16を供給し、電解溶液16を電気分解して重水素を発生させて構造体1の重水素高濃度部2側の表面近傍で重水素の濃度が高い状態とするとともに、重水素低濃度部3を重水素高濃度部2に対して重水素の濃度が低い状態として、重水素を重水素高濃度部2から重水素低濃度部3に向かって構造体1を透過させ、構造体1において核種変換を施される物質を重水素により核種変換させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、放射性廃棄物処理技術、自然界に豊富に存在する元素から稀少な元素を生成する技術、凝集系核反応によるエネルギー発生技術などに係る核種変換方法及び核種変換装置に関するものである。
加速器や原子炉等の大規模な装置に比べて、相対的に小規模な装置で核種変換を行うことが可能な核種変換装置及び核種変換方法が、特許文献1に開示されている。
特許文献1に開示される核種変換装置は、パラジウム(Pd)やパラジウム合金などの水素吸蔵金属または水素吸蔵合金、及び、これらに対して相対的に仕事関数が低い物質(酸化カルシウム:CaO)を積層させた構造体と、内部が気密保持可能とされた吸蔵室と、構造体を介して気密保持可能に設けられた放出室と、吸蔵室に重水素ガスを供給する重水素供給手段と、放出室を真空状態にする排気手段とを備える。
特許文献1に開示される核種変換装置では、変換したい核種(核種変換を施される物質)を蒸着等の手法を用いて構造体の一方の表面に添加し、核種変換を施される物質を添加した面から重水素(D)ガスを透過させて核反応を誘発し、核種変換を施される物質を別核種に変換する。
上記構成の核種変換装置では、CaOなどのナノスケールの薄膜をPdなどと組み合わせた構造体の表面に核種変換を施される物質を添加することで、安定的な核反応の進行、変換量の増大を促進することができる。
特許第4346838号明細書(段落[0009]〜[0014])
特許文献1に記載の核種変換装置における核種変換量は、数〜数十ng/cmレベルであり、実用化を進めていくためには、核種変換量の更なる増大が望ましい。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、加速器や原子炉等の大規模な装置に比べて、相対的に小規模な装置で核種変換を行うことが可能な核種変換装置及び核種変換方法において、核種変換量を増大させることができる核種変換方法及び核種変換装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の核種変換方法及び核種変換装置は以下の手段を採用する。
本願発明は、パラジウムまたはパラジウム合金、あるいは、パラジウム以外の水素吸蔵金属またはパラジウム合金以外の水素吸蔵合金を含む構造体により密封可能な閉空間をなす重水素高濃度部に重水を含む電解溶液を供給する電解溶液供給工程と、前記供給された電解溶液を電気分解して重水素を発生させ、前記構造体の前記重水素高濃度部側の表面近傍で重水素の濃度が高い状態とする高濃度化工程と、前記構造体により密封可能な閉空間をなし、前記構造体を介して前記重水素高濃度部と反対側に設けられる重水素低濃度部を、前記重水素高濃度部に対して重水素の濃度が低い状態とする低濃度化工程と、前記重水素高濃度部からガスを排出するガス排出工程と、前記重水素が前記重水素高濃度部から前記重水素低濃度部に向かって前記構造体を透過する際に、前記構造体において核種変換を施される物質が前記重水素により核種変換される核種変換工程とを備える核種変換方法を提供する。
高濃度化工程では、重水素高濃度部において、構造体を電極の1つとして重水を含む電解溶液を電気分解させて重水素を発生させ、構造体表面近傍で重水素の濃度が高い状態とする。
高濃度化工程と低濃度化工程とを設けることによって、構造体を挟んで重水素高濃度部と重水素低濃度部との間に重水素の濃度勾配を発生させることができる。重水素の濃度勾配によって、構造体の内部で重水素高濃度部側から重水素低濃度部側へと向かう重水素の流束が形成される。電気分解により発生した重水素は、構造体に吸蔵され、重水素低濃度部側へと透過していく。重水素が構造体を透過する間に、重水素と核種変換を施される物質との間で核種変換反応が発生し、核種変換を施される物質が核種変換される。
従来、水素吸蔵金属(構造体)への水素や重水素の添加は、ガス圧を用いて実施されている。ガス圧を用いる場合、ファンデルワールス力(分子間力)により水素が構造体の表面に物理的に吸着し、原子解離(解離吸着、化学吸着)し、侵入型固溶化や、水素化合物生成により金属格子内に水素原子を拡散させる。一方、電気分解を用いて水素吸蔵金属(構造体)へ重水素を添加する場合、電解による等価水素圧(電極内部への充填水素圧力。また、水素過電圧、電解電圧に対応する)が、ガス圧を用いた場合と比較して大幅に高くなるため、重水素の充填密度を高くすることができる。
上記発明によれば、構造体における重水素の充填密度を高めることで、核種変換を施す物質の核種変換反応量を増大させることが可能となる。
電解溶液供給工程にて重水素高濃度部側に重水素を含む電解溶液を供給することにより、重水素高濃度部における重水素濃度を所望の範囲に維持することが可能となる。従って、重水素高濃度部側を水素分圧の高い状態で長時間維持することができる。また、構造体を透過しないガスは、ガス排出工程にて外部へと排気されるため、重水素高濃度部内を所定の圧力範囲に維持することができる。
上記発明の一態様において、前記電解溶液供給工程の前に、前記核種変換を施される物質が前記構造体に添加される添加工程を更に備える。
あるいは、上記発明の一態様において、前記電解溶液中に前記核種変換を施される物質を含む電解質が添加され、前記電解質濃度供給工程において前記核種変換を施される物質のイオンを含む前記電解溶液が前記重水素高濃度部に供給されて、前記核種変換を施される物質のイオンが前記構造体に添加される。
上記構成とすることにより、構造体に核種変換を施される物質を高濃度で接触させることができる。電解溶液に核種変換を施される物質を含む電解質を添加する場合は、核種変換を施される物質を連続的に構造体に添加することができるため、核種変換工程を長期間継続させることができる。
特に、構造体に核種変換を施される物質を添加せずに電解溶液に核種変換を施される物質を含む電解質を添加する場合は、核種変換を施される物質を構造体に添加する工程を省略でき、そのための処理装置が不要であるので有利である。
上記発明の一態様において、前記重水素高濃度部に供給される前の前記核種変換を施される物質のイオンを含む前記電解溶液の温度と、前記重水素高濃度部に供給される前記電解溶液の量とが調整されて、前記重水素高濃度部内の前記電解溶液中の前記核種変換を施される物質のイオンの濃度が調整される濃度調整工程を備えることが好ましい。
重水素高濃度部内(特に構造体近傍)の電解溶液中に含まれる核種変換を施される物質のイオン濃度が高いほど、構造体表面での電気二重層が薄くなり、電気二重層における電界強度が増大する。電界強度が高いほど、核種変換を施される物質のイオンが加速されるエネルギーが増加するため、構造体への核種変換を施される物質の添加量が増大する。また、電界強度が高いほど、構造体(電極)での重水の電気分解が促進される。この結果、核種変換反応量を増大させることができる。
一方、重水の電気分解反応量は、核種変換反応量よりも多い。このため、反応が継続されると、核種変換を施される物質を含む電解質の濃度が高くなり、電解質塩が析出する。この電解質塩が電極に付着すると、上記の反応が阻害され、反応量が低下してしまう。
核種変換を施される物質を含む電解質の電解溶液への溶解量は、電解溶液の温度に依存する。すなわち、電解溶液の温度を高くすることにより、電解質の溶解量が増え、電解溶液中のイオン濃度を高くすることができる。供給される電界溶液中のイオン濃度と供給量とを制御すれば、重水素高濃度部内の電解溶液中のイオン濃度を調整することができ、核種変換反応量をコントロールすることができる。
また、核種変換を施される物質のイオンの濃度を調整することにより、電解質塩の析出を防止することができる。
上記発明の一態様において、前記低濃度化工程が、前記構造体の他方の表面側を、真空状態にする排気ステップを備えていても良い。
上記発明の一態様において、前記低濃度化工程が、前記構造体の他方の表面側に不活性ガスを供給し、不活性環境を形成する不活性環境形成ステップを備えていても良い。
上記発明の一態様によれば、低濃度化工程では、排気ステップまたは不活性環境形成ステップによって重水素低濃度部を相対的に重水素の圧力が低い状態とする。排気ステップを行った場合、重水素低濃度部は真空状態となる。不活性環境形成ステップを行った場合、重水素低濃度部は、不活性ガスにより満たされるため、実質的に水素分圧が0となる。これにより、重水素低濃度部を重水素高濃度部に対して相対的に水素濃度の低い状態とし、構造体に重水素の濃度差を形成することができる。
上記発明の一態様において、前記構造体の一方の表面側に供給された電解溶液の温度が所定温度となるように、該供給された電解溶液を冷却する冷却工程と、前記構造体の他方の表面側を所定温度に加温する加温工程と、を備え、前記構造体の厚さ方向に温度勾配を形成することが好ましい。
冷却工程及び加温工程を備えることで、重水素高濃度部側の温度が最も低く、重水素低濃度部側に向けて温度が高くなるよう構造体の厚さ方向に温度勾配を形成することができる。構造体を構成する水素吸蔵金属または水素吸蔵合金、特にパラジウムは、温度が低い方がより水素を吸蔵しやすい傾向を示す。よって、温度勾配を形成させることで、重水素が構造体の重水素高濃度部側表面に存在しやすくなる。これにより、構造体の厚さ方向に重水素の濃度勾配を生じさせることができ、核種変換反応量を増大させることが可能となる。
また、本発明は、パラジウムまたはパラジウム合金、あるいは、パラジウム以外の水素吸蔵金属またはパラジウム合金以外の水素吸蔵合金を含む構造体と、前記構造体を両側から挟み込むようにして配置され、前記構造体により密封可能な閉空間をなす重水素高濃度部及び重水素低濃度部と、前記構造体の前記重水素高濃度部側の表面近傍で重水素の濃度が高い状態とする高濃度化手段と、前記重水素低濃度部を、前記重水素高濃度部に対して前記重水素の濃度が低い状態とする低濃度化手段と、を備え、前記高濃度化手段が、電圧発生部と、前記構造体の重水素高濃度部側の面と間隔をあけて対向配置される正極と、前記重水素高濃度部に重水を含む電解溶液を供給する電解溶液供給手段と、前記重水素高濃度部からガスを排出するガス排出経路と、を有し、前記構造体を負極として、前記電圧発生部により前記構造体及び前記正極との間に電圧差を与えて前記電解溶液を電気分解して、前記重水素を発生させ、前記重水素が前記重水素高濃度部から前記重水素低濃度部に向かって前記構造体を透過する際に、前記構造体において核種変換を施される物質が前記重水素により核種変換される核種変換装置を提供する。
高濃度化手段は、構造体を負極として重水を含む電解溶液を電気分解することにより、重水素を発生させる。重水素高濃度部は、重水素低濃度部と比較して相対的に重水素の濃度が高い状態とされる。高濃度化手段及び低濃度化手段を設けることによって、構造体を挟んで重水素高濃度部と重水素低濃度部との間に重水素の濃度勾配を発生させることができる。上記構成の核種変換装置によれば、上記濃度勾配により、構造体の内部で重水素高濃度部側から重水素低濃度部側へと向かう重水素の流束が形成され、電気分解により電解溶液から分離された重水素は、構造体に吸蔵され、重水素低濃度部側へと透過していく。重水素が構造体を透過する際に、構造体において重水素と核種変換を施される物質との間で核種変換反応を発生させ、核種変換を施される物質を核種変換させることができる。
上記構成の核種変換装置によれば、ガス圧を用いた場合と比較して、構造体への重水素の充填密度を高くすることができる。構造体における重水素の充填密度を高めることで、構造体に添加された核種変換が施させる物質の核種変換反応量を増大させることが可能となる。
上記構成の核種変換装置によれば、電解溶液供給部により重水素高濃度部における重水素濃度を所望の範囲に維持することが可能となる。これによって、重水素高濃度部側を水素濃度の高い状態で長時間維持することができる。また、構造体を透過しないガスは、ガス排出経路を介して外部へと排気されるため、重水素高濃度部内を所定の圧力範囲に維持することができる。
上記発明の一態様において、前記核種変換を施される物質が予め添加された前記構造体が、前記重水素高濃度部及び前記重水素低濃度部との間に配置される。
上記発明の一態様において、前記電解溶液供給部が、前記電解溶液に前記核種変換を施される物質を含む電解質を添加する電解質供給手段を備え、前記電解質供給手段が、前記核種変換を施される物質のイオンを含む前記電解溶液を前記重水素高濃度部に供給して、前記核種変換を施される物質のイオンが前記構造体に添加される。
上記構成とすることにより、構造体に核種変換を施される物質を高濃度で接触させることができる。
特に、電解溶液に核種変換を施される物質を含む電解質を添加して重水素高濃度部に供給される構成とすれば、核種変換を施される物質を連続的に構造体に添加することができ、核種変換反応を長期間にわたり継続させることができる。
上記発明の一態様において、前記電解溶液供給部が、前記電解溶液の温度を調整する電界溶液温度調整部と、前記電解溶液供給部から前記重水素高濃度部への前記電解溶液の供給量を調整する電界溶液供給量調整部とを備える。
電解溶液温度調整部と電解溶液供給量調整部とにより、重水素高濃度部内の電解溶液中のイオン濃度を調整し、核種変換反応量をコントロールできるとともに、電極表面等への電解質塩の析出を防止することができる。
上記発明の一態様において、前記低濃度化手段が、前記重水素低濃度部を真空状態にする排気装置を備えていても良い。
上記発明の一態様において、前記低濃度化手段が、前記重水素低濃度部に不活性ガスを供給する不活性ガス供給装置を備えていても良い。
上記発明の一態様によれば、低濃度化手段は、排気装置または不活性ガス供給装置を備えている。排気装置を用いた場合、重水素低濃度部は真空状態となる。不活性ガス供給装置を用いた場合、重水素低濃度部は、実質的に水素分圧が0となる。これにより、重水素低濃度部を重水素高濃度部に対して相対的に水素圧力の低い状態とし、構造体に重水素の圧力差を形成することができる。
上記発明の一態様において、前記電解溶液供給装置により前記重水素高濃度部に供給された電解溶液の温度が所定温度となるように、該供給された電解溶液を冷却する冷却装置と、前記構造体の前記重水素低濃度部側を所定温度に加温する加温装置と、を備えることが好ましい。
上記構成の核種変換装置によれば、冷却装置及び加温装置を設けることで、重水素高濃度部側の温度が低く、重水素低濃度部側に向けて温度が高くなるよう構造体の厚さ方向に温度勾配を形成することができる。構造体を構成する水素吸蔵金属または水素吸蔵合金、特にパラジウムは、温度が低い方がより水素を吸蔵しやすい傾向を示す。よって、温度勾配を形成させることで、重水素が構造体の重水素高濃度部側表面に存在しやすくなる。これにより、構造体の厚さ方向に重水素の濃度勾配を生じさせることができ、核種変換反応量を増大させることが可能となる。
本発明によれば、重水素高濃度部の水素濃度を相対的に高くする手法として電気分解を用いることで、核種変換量を大幅に増大させることができる。それにより、例えば核廃棄物の無害化処理など、現在は不可能とされている廃棄物処理を実現することができる。
第1実施形態に係る核種変換装置の概略図である。 構造体の断面図である。 従来の核種変換装置の概略図である。 実施例1及び比較例1のICP−MS分析の結果を示すグラフである。 第2実施形態に係る核種変換装置の概略図である。 第3実施形態に係る核種変換装置の概略図である。 第4実施形態に係る核種変換装置の概略図である。 電解質濃度と核種変換を施される物質の添加量との関係を示すグラフである。 実施例2及び比較例2のICP−MS分析の結果を示すグラフである。 第2実施形態に係る核種変換装置の概略図である。
以下に、本発明に係る核種変換方法及び核種変換装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本実施形態に係る核種変換装置の概略図である。核種変換装置は、構造体1、重水素高濃度部2、重水素低濃度部3、高濃度化手段4、及び低濃度化手段5を備えている。
構造体1は、パラジウム(Pd)またはパラジウム合金、あるいは、パラジウム以外の水素吸蔵金属またはパラジウム合金以外の水素吸蔵合金と、これらに対して相対的に仕事関数が低い物質とを有する。相対的に仕事関数が低い物質とは、例えば、仕事関数が3eV未満の物質であり、具体的には、CaOなどとされる。核種変換装置において、構造体は負極の役割も果たす。
図2に、構造体1の一例を示す。図2に示す構造体1は、バルクのPd基板6(例えば、25mm×25mm×0.1mm)上に、CaO層7(厚さ:2nm)とPd層8(厚さ:20nm)とが交互に10層積層された構成とされる。CaO層7及びPd層8は、アルゴンイオンビームスパッタ法によって、エッチング処理後のPd基板6上に、交互に製膜される。
核種変換を施される物質21は、例えば真空蒸着やスパッタ法などの製膜処理によって構造体1の一方の表面(Pd基板と反対側の面)に添加されている。核種変換を施される物質21としては、セシウム(Cs)、炭素(C)、ストロンチウム(Sr)、ナトリウム(Na)などが挙げられる。
なお、本実施形態においては、表面に核種変換を施される物質が添加されていない構造体を使用することも可能である。
構造体1を挟んで、構造体1の一方の面側には重水素高濃度部2、他方の面側(Pd基板6側)には重水素低濃度部3が内部を気密保持可能に形成されている。
重水素高濃度部2は、高濃度化手段4を備え、重水素低濃度部3よりも重水素の濃度が高い状態に維持される。
高濃度化手段4は、電圧発生装置9、正極10、電解溶液供給装置11、及びガス排出経路12から構成されている。正極10は、白金などとされる。正極10は、重水素高濃度部2内に、構造体1の重水素高濃度部側の面と間隔をあけて対向配置されている。電圧発生装置9は、重水素高濃度部2の外に位置し、正極10と負極1との間に電圧差を与え得る。
電解溶液供給装置11は、電解溶液タンク13、電解溶液供給経路14、除湿部15、及びガス源(図示せず)を備えている。電解溶液タンク13は、重水素を含む電解溶液16が収容される容器である。電解溶液タンク13は、電解溶液供給経路14を介して重水素高濃度部2に接続されている。電解溶液供給経路14の一端は、電解溶液タンク13内に収容された電解溶液16に浸漬するよう配置される。電解溶液供給経路14の他端は、重水素高濃度部2に電解溶液16を供給可能に接続されている。電解溶液供給経路14にはバルブ17が設けられている。
また、電解溶液タンク13にはガス供給経路18を介して除湿部15、ガス源が順に接続されている。ガス供給経路18には、バルブ19が設けられている。ガス供給経路18の一端は電解溶液タンク13内で、電解溶液16に接触しない位置に配置されている。除湿部15は、シリカゲル等による除湿機能付フィルターなどである。不活性ガスが充填されたボンベ、例えば、窒素(N)ボンベ、アルゴン(Ar)ボンベ、及びCE(Cold Evaporator)などとされる。
電解溶液供給装置11において、ガス源からのCE(Cold Evaporator)_Nは除湿部15で除湿された後、電解溶液タンク13に流れ込むことができる。電解溶液タンク13内にガスを供給することで、電解溶液16が押し出され、電解溶液供給経路14を介して重水素高濃度部2へと供給され得る。
ガス排出経路12は、重水素高濃度部2内のガスを外部に排出できるよう逆止弁(<1気圧)19を介して重水素高濃度部2に接続されている。
重水素低濃度部3は、低濃度化手段5を備えている。低濃度化手段5は、ターボ分子ポンプ及びドライポンプなどの排気装置とされ、真空引きすることで重水素低濃度部3内を重水素高濃度部2よりも重水素圧力が低い状態に維持する。
次に、本実施形態に係る核種変換方法について説明する。
本実施形態に係る核種変換方法は、電解溶液供給工程、高濃度化工程、低濃度化工程、核種変換工程、及びガス排出工程を備えていることを特徴とする。
まず、核種変換を施される物質21が添加された構造体1を、重水素高濃度部2及び重水素低濃度部3内をそれぞれ液密及び気密状態に封止するよう核種変換装置に設置する。この際、構造体1のPd基板6は重水素低濃度部3側に向ける。
(電解溶液供給工程)
次に、電解溶液供給装置11から重水素高濃度部2内に電解溶液16を供給する。電解溶液16は、電解質濃度が0.001mol/lから飽和濃度までの電解質塩を含む重水ベースの溶液である。電解質塩を含むことにより、重水の電気分解が促進される。電解質塩の種類は特に限定されないが、核種変換を施される物質を含む電解質塩であれば、電気分解が促進される上、電解溶液供給装置11から継続的に核種変換を施される物質が供給されるので、核種変換反応が長期間継続できるので好ましい。核種変換を施される物質を含む電解質塩としては、CsNO、CsOH、NaNO、Sr(NO、Ba(NOなどが挙げられる。このため、電解溶液60には、核種変換を施される物質のイオン(例えば、Cs、Sr2+、Na、Ba2+)が含まれる。電解溶液16は、常に正極10を浸漬させるような量を維持する。
また、電解溶液16は、高濃度化工程中でも適宜重水素高濃度部2へと供給され得る。電解溶液16の供給量や供給タイミングは、重水の液高(正極が常に液中に保持される液量)に応じて適宜設定される。
(低濃度化工程)
次に、低濃度化手段5により重水素低濃度部3内を重水素圧力の低い状態とする。詳細には、真空ポンプを用いて、重水素低濃度部3内を真空状態とし、これを維持する。重水素低濃度部3内の圧力は<0.1Paとされると良い。
(高濃度化工程)
次に、電圧発生装置9にて正極10に電力を印加し、正極10と負極(構造体)1との間に電圧差を発生させる。電圧差は、少なくとも2V以上とされる。これにより、構造体1の表面(Pd基板と反対側の面)上で重水(DO)が電気分解されて、重水素(D)が発生する。電圧差が2Vより小さいと、電気分解反応が十分に進まない。
(核種変換工程)
低濃度化工程及び高濃度化工程によって、構造体1の一方の面側(重水素高濃度部側)と他方の面側(重水素低濃度部側)との間に重水素の濃度勾配が生じる。これにより、重水素高濃度部2側の重水素が、重水素低濃度部側へと移動し、構造体1を透過する。核種変換を施される物質21が添加された構造体1に重水素を透過させると、核種変換反応が生じ、核種変換を施される物質21が別の物質へと核種変換される。例えば、133Cs→141Pr、12C→24Mg→28Si→32S、88Sr→96Mo、23Na→27Na→27Mg→27Al、138Ba→150Smなどの核種変換反応が生じる。
(ガス排出工程)
重水素高濃度部2内で電気分解が進むと、それに伴い重水素ガス及び酸素ガスが発生する。また、電解溶液16を供給する際には重水素高濃度部2内に窒素ガスが流入する。本実施形態では、重水素高濃度部2内の圧力が1気圧(1×10Pa)以上となると逆止弁20が開放され、重水素高濃度部2内からガスが排出される。
(実施例1)
バルクのPd基板(25mm×25mm×0.1mm)上に、CaO層(厚さ:2nm)とPd層(厚さ:20nm)とが交互に10層積層された構成の構造体を用い核種変換反応を実施した。
構造体のPd基板と反対側の表面はPd層とした。Pd基板の反対側の表面に、イオン注入法にて133Csを添加した。XPS(X線光電子分光法)にて、構造体における133Csの初期表面濃度が15×1016/cmであることを確認した後、構造体を第1実施形態に従って核種変換装置に設置した。なお、構造体の表面の141Prは検出限界以下で1012/cm以下である。
重水素低濃度部は、真空ポンプを用いて10−3Paの真空状態とし、これを維持した。
電解溶液としては、0.1mol/lの重水ベースの硝酸セシウム溶液用いた。電圧発生装置によって正極と負極との間に、3Vから5Vの電圧差を与え、重水を電気分解した。電気分解を120時間(5日間)持続した後、電気分解を停止した。
核種変換装置から構造体を取り出し、表面の重水分を蒸発させた後、構造体の表面組成をXPSとICP−MSにて分析した。
(比較例1)
図3に示す従来の核種変換装置を用いて、核種変換試験を実施した。核種変換装置は、高濃度化手段24として、重水素高濃度部22に重水素ボンベが接続されている。重水素ボンベから1.01325×10Paの圧力で重水素高濃度部22に重水素(D)ガスを導入した。それ以外は、実施例1と同様に核種変換試験を行い、試験後にXPS及びICP−MSにて構造体の表面組成を分析した。
XPS分析の結果、実施例1の構造体の表面組成は、133Cs濃度が9×1015/cm141Prが7×1014/cm程度であった。上記結果から、実施例1では構造体の表面における133Cs濃度が試験後に低下した一方で、試験前には存在しなかった141Prが存在することが確認された。
ICP−MS分析の結果を図4に示す。同図において、縦軸は核種変換後の141Pr生成量を示す。核種変換後の141Pr生成量は、比較例1が0.1ng/cmから10ng/cm、実施例1が0.16μg/cmであった。
上記結果から、第1実施形態に係る核種変換装置及び核種変換方法によれば、核種変換後の物質の生成量が従来法と比較して1桁近く向上することが確認された。これは、構造体上で電気分解により重水素を発生させた方が、重水素高濃度部における重水素の濃度を容易に高めることができるため、構造体へ充填される重水素密度を増加して、核種変換量も増加したためである。
電気分解を用いた場合、重水素高濃度部の電極近傍での重水素圧力を100気圧〜1000気圧程度とすることができる。重水素ガスを用いてこれと同じ環境を作ろうとすると、1000気圧程度の圧力で重水素ガスを導入しなくてはならない。10気圧を超える圧力で導入する場合には、実験の安全基準が変わるため、実験条件がより厳しくなる上、実験装置も大きくなる。一方、電気分解は常圧で行うことができるため、実験装置を大きくせずに重水素圧力を高めることができ、且つ、実験操作が容易である。
〔第2実施形態〕
図5は、本実施形態に係る核種変換装置の概略図である。核種変換装置は、低濃度化手段が異なる以外は、第1実施形態の核種変換装置と同様の構成とされる。
低濃度化手段は、不活性ガス供給装置31及び排気経路32を備えている。本実施形態において、不活性ガス供給装置31は、ガス源(図示せず)と除湿部15から構成されている。図5の不活性ガス供給装置31(ガス源及び除湿部15)は、高濃度化手段4の電解溶液供給装置11に供えられたガス源及び除湿部15と共用とされる。排気経路32は逆止弁33を介して一端が重水素低濃度部3に接続されている。
本実施形態は、低濃度化工程で、重水素低濃度部3に不活性ガスを供給して不活性環境を形成する以外は、第1実施形態と同様の工程で核種変換反応を行う。
不活性ガスは、電解溶液供給装置11のバルブ19を切り替えることにより重水素低濃度部3に供給することができる。重水素低濃度部3内は1気圧とする。これにより、重水素低濃度部3内の重水素圧力を実質的に0にして、重水素低濃度部3内を重水素高濃度部2よりも重水素圧力が低い状態に維持する。
高濃度化手段により電気分解を行うと、重水素が構造体を透過して重水素低濃度部3に導入されるが、重水素低濃度部3内の圧力が所定値(1気圧)を超えると逆止弁33が開放されて重水素高濃度部2内のガス(不活性ガス及び重水素ガス)が外部へと排気される。
本実施形態によれば、真空ポンプを用いずに、重水素低濃度部3内を重水素が実質的に存在しない領域とすることができる。重水素高濃度部2に比べて相対的に重水素圧力が低い環境を形成することができるため、核種変換反応に十分な重水素勾配を構造体に形成することができる。本実施形態では、該重水素勾配をドライビングフォースとして、構造体内に重水素を透過させ、核種変換反応を行わせることができる。また、不活性ガス供給装置31は、電解溶液供給装置11と共用でき、真空ポンプなどを用いる必要がないため、装置を簡便化や初期コストの低減が可能となる。
〔第3実施形態〕
図6は、本実施形態に係る核種変換装置の概略図である。核種変換装置は、冷却装置及び加温装置を備えることを特徴とする。特に説明がない構成については、第1実施形態の核種変換装置と同様とされる。
冷却装置41は、重水素高濃度部2に供給された電解溶液16を所定温度に冷却できるよう重水素高濃度部2に接続されている。冷却装置41は、チラーやサーモクーラーなどとされ、これらの冷却部を溶液内に投入して電解溶液16を所定温度に冷却する。冷却装置41には、該冷却装置41による電解溶液16の冷却を制御する制御装置42が接続されている。制御装置42は、重水素高濃度部2内の電解溶液16の温度を検知できる温度検知手段43を有し、該温度検知手段43により検知された温度に基づき、電解溶液16が所定温度となるよう冷却装置41を制御する。温度検知手段43は、熱電対などとされる。
加温装置44は、構造体1の重水素低濃度部3側(Pd基板側)に設けられる。加温装置44は、ニクロムヒーターなどで構造体1の重水素低濃度部3側(Pd基板側)を所定温度に加温する。加温装置44には、該加温装置44による構造体1の加温を制御する制御装置45が接続されている。制御装置45は、構造体1の温度を検知できる温度検知手段46を有し、該温度検知手段46により検知された温度に基づき、構造体1の重水素低濃度部3側(Pd基板側)が所定温度となるよう加温装置44を制御する。温度検知手段46は、熱電対などとされる。
本実施形態において、ガス排出経路12の一端は、低濃度化手段5の排気装置の後段に接続されている。
本実施形態に係る核種変換方法は、冷却工程と加温工程とを備えている。それ以外の工程は、第1実施形態と同様とする。
(冷却工程)
重水素高濃度部2に供給された電解溶液16を所定温度に冷却する。詳細には、温度検知手段43により重水素高濃度部2に供給された電解溶液16の温度を検知し、得られた温度情報が制御装置42へと送信される。制御装置42では、該温度情報に基づいて、冷却装置41による電解溶液16の冷却を制御する。電解溶液16の温度は、0℃〜30℃の範囲で維持される。
(加温工程)
冷却工程と並行して、加温装置44により構造体1の重水素低濃度部3側(Pd基板側)を所定温度に加温する。詳細には、温度検知手段46により構造体1の重水素低濃度部3側(Pd基板側)の温度を検知し、得られた温度情報が制御装置45へと送信される。制御装置45では、該温度情報に基づいて、加温装置44による構造体1の加温を制御する。構造体1の重水素低濃度部3側(Pd基板側)の温度は、50℃〜300℃の範囲で維持される。
構造体1の表面の層であるPd層8は、低温で重水素を吸蔵しやすい特性を有する。電解溶液16を冷却することにより、構造体1の重水素高濃度部2側(Pd層)に充填される重水素量が増加する。核種変換量は重水素量に依存するため、構造体1の重水素密度を上げることで、核種変換量を増大させることが可能となる。
一方、構造体1の温度は高い方が、重水素の拡散を促進させることができる。構造体1の重水素低濃度部3側を加温し、構造体の厚さ方向に温度勾配を形成させることで、重水素の透過量を増やすことができる。
〔第4実施形態〕
図7は、本実施形態に係る核種変換装置の概略図である。第4実施形態の核種変換装置は、構造体50、重水素高濃度部2、重水素低濃度部3、高濃度化手段4、低濃度化手段5、第1電解溶液供給装置(電解溶液供給部)51、及び第2電解溶液供給装置52を備える。
第4実施形態の構造体50は、パラジウム(Pd)またはパラジウム合金、あるいは、パラジウム以外の水素吸蔵金属またはパラジウム合金以外の水素吸蔵合金と、これらに対して相対的に仕事関数が低い物質(CaOなど)とを有する。構造体50は、構造体1と同様の積層構造とされても良い。
図7の構造体50は、製膜処理によって一方の表面に核種変換を施される物質が添加されていない。但し、図7において、第1乃至第3実施形態と同様に核種変換を施される物質が予め添加された構造体を用いても良い。この場合、核種変換を施される物質21は、真空蒸着やスパッタ法などによって、構造体のPd基板と反対側の表面に添加される。
本実施形態の核種変換装置において、構造体50を挟んで、構造体50の一方の面側に重水素高濃度部2、他方の面側(Pd基板側)に重水素低濃度部3が、それぞれ内部を気密保持可能に形成されている。
図7に示すように、本実施形態では重水素高濃度部2の周囲に温度調節器64が設置される。また、重水素低濃度部3側の構造体50の周囲に加温装置65が設置される。
低濃度化手段5は、第1実施形態と同様の構成とされる。なお、低濃度化手段は、第2実施形態と同様の構成として、重水素低濃度部3内に不活性ガスを供給しても良い。
高濃度化手段4は、電圧発生装置9、正極10、第1電解溶液供給装置51、及びガス排出経路12から構成されている。電圧発生装置9、正極10、及びガス排出経路12は、第1実施形態と同様の構成とされる。
第1電解溶液供給装置51は、第1電解溶液タンク53、第2電解溶液タンク54、電解溶液供給経路55,56、除湿部57,58、及びガス源(図示せず)を備える。
第1電解溶液タンク53には、重水素を含む溶液(重水)が収容される。第1電解溶液タンク53は、電解溶液供給経路55を介して第2電解溶液タンク54に接続される。電解溶液供給経路55の一端は、第1電解溶液タンク53内に収容された電解溶液59に浸漬するよう配置される。電解溶液供給経路55にはバルブ61が設けられている。
第2電解溶液タンク54には、第1電解溶液タンク53から送給された電解溶液60が収容される。図7において、第2電解溶液タンク54中に、核種変換を施される物質を含む電解質塩(電解質塩供給手段)63が配置される。電解質塩63は、第2電解溶液タンク54の底部のように、電解溶液60に一部または全部が浸漬する位置に配置される。図7の核種変換装置は、核種変換を施される物質を含む電解質塩が第2電解溶液タンク54の外部から電解溶液60中に投入される装置構成(例えば電解質塩を収容するタンク及びバルブなど)としても良い。核種変換を施される物質を含む電解質塩は、例えばCsNO、CsOH、NaNO、Sr(NO、Ba(NOとされる。第2電解溶液タンク54中の電解溶液60には、核種変換を施される物質を含む電解質塩が溶解する。従って、電解溶液60には、核種変換を施される物質のイオン(例えば、Cs、Sr2+、Na、Ba2+)が含まれる。
第2電解溶液タンク54の周囲にはヒータ66が設置される。ヒータ66は、第2電解溶液タンク54中の電解溶液60の温度を調整する。
第2電解溶液タンク54は、電解溶液供給経路56を介して重水素高濃度部2に接続されている。電解溶液供給経路56の一端は、第2電解溶液タンク54内に収容された電解溶液60に浸漬するように配置される。電解溶液供給経路56にはバルブ62が設けられている。
第1電解溶液タンク53及び第2電解溶液タンク54には、それぞれ、ガス供給経路67,68を介して除湿部57,58、及びガス源が接続されている。ガス供給経路67,68には、それぞれバルブ69、70が設置される。ガス供給経路67,68、除湿部57,58、及びガス源は、第1実施形態と同じ構成とされる。
第2電解溶液供給装置52は、第3電解溶液タンク71、電解溶液供給経路72、除湿部73、及びガス源(図示せず)を備える。
第3電解溶液タンク71には、重水素を含む溶液(重水)が収容される。第3電解溶液タンク71は、電解溶液供給経路72を介して重水素高濃度部2に接続される。電解溶液供給経路72の一端は、第3電解溶液タンク71内に収容された電解溶液75に浸漬するように配置される。電解溶液供給経路72には、バルブ74が設けられている。
第3電解溶液タンク71には、ガス供給経路76を介して除湿部73及びガス源が接続されている。ガス供給経路76には、それぞれバルブ77が設置される。ガス供給経路76、除湿部73、及びガス源は、第1実施形態と同じ構成とされる。
ガス排出経路12は、重水素高濃度部2内のガスを外部に排出できるよう逆止弁(<1気圧)20を介して重水素高濃度部2に接続されている。
重水素高濃度部2に濃度計測部80が接続される。濃度計測部80は、イオン濃度計あるいはpH計とされ、重水素高濃度部2内の電解溶液中のイオン濃度を計測する。
次に、第4実施形態に係る核種変換方法について説明する。
第1実施形態と同様に、重水素高濃度部2及び重水素低濃度部3内を液密及び気密状態に封止するように、構造体50を設置する。この際、構造体50の基板は重水素低濃度部3側に向ける。
(電解溶液供給工程)
第1電解溶液供給装置51から重水素高濃度部2内に電界溶液を供給する。
第1電解溶液タンク53にガス供給経路67及び除湿部57を介してガス源からCE_Nが供給される。第1電解溶液タンク53内の重水は、Nを伴って第1電解溶液タンク53から電解溶液供給経路55を経由して第2電解溶液タンク54に搬送される。
第2電解溶液タンク54内で、核種変換を施される物質を含む電解質塩63が電解溶液60に溶解する。第2電解溶液タンク54中の核種変換を施される物質のイオンの濃度は、第2電解溶液タンク54への重水供給量及び電解溶液60の温度により調整される。なお、系外から電解質塩を投入する場合は、電解質塩の供給量によっても、イオン濃度が調整される。
核種変換を施される物質のイオンを含む電解溶液60が、第2電解溶液タンク54から電解溶液供給経路56を経由して重水素高濃度部2に供給される。
(低濃度化工程)
第1実施形態と同様にして、低濃度化手段5により重水素低濃度部3内の重水素圧力が低い状態とされる。
(高濃度化工程)
第1実施形態と同様にして、電圧発生装置9にて正極10に電力を印加し、正極10と負極(構造体50)との間に電圧差を発生させる。これにより、構造体50の表面上で重水が電気分解され、重水素ガスと酸素ガスとが発生する。構造体50を挟んで重水素高濃度部2と重水素低濃度部3との間に重水素の濃度勾配が生じ、重水素が重水素高濃度部2から構造体50を透過して重水素低濃度部3に移動する。
この時、第3実施形態と同様に、冷却工程及び加温工程を実施しても良い。
(冷却工程)
温度検出手段(図示せず)が重水素高濃度部2に供給された電解溶液16の温度を検知する。制御装置(図示せず)が、温度調節器64を用いて、電解溶液16の温度を制御する。電解溶液16の温度は、0℃〜30℃の範囲で維持される。
(加温工程)
加温装置65が構造体50の重水素低濃度部3側を所定温度に加温する。構造体50の重水素低濃度部3側は、50℃〜300℃の範囲で維持される。
上記工程により、構造体50の重水素高濃度部2側に充填される重水素量が増加する。
(核種変換工程)
電圧発生装置9にて正極10に電力を印加すると、電解溶液中の核種変換を施される物質のイオンは、構造体50(負極)側に移動し、構造体50の内部に侵入する。
重水素が構造体50を透過する際に、構造体50において電解溶液に含まれる核種変換を施される物質(イオン)が、133Cs→141Pr、138Ba→150Sm、88Sr→96Mo、23Na→27Na→27Mg→27Alとの反応により核種変換される。構造体表面に核種変換を施される物質を添加した場合も、重水素が構造体を透過する際に核種変換反応が発生する。この時の反応式は上記と同じである。核種変換を施される物質として12Cを添加した場合は、12C→24Mg→28Si→32Sとの反応が発生する。
核種変換反応量は、構造体への重水素の透過量、及び、構造体に付着する核種変換を施される物質のイオン量に依存する。
正極10と構造体50との間の電圧差が一定の場合、重水素高濃度部2の電解溶液中のイオン濃度が高いほど、正極10及び構造体50(負極)表面での電気二重層の厚さが薄くなる。電気二重層での電界強度が高くなるので、核種変換を施される物質のイオンが構造体50に向かって加速されるエネルギーが高くなる。
図8は、電解溶液(重水ベース)中の電解質塩(CsNO)濃度と、構造体表面に付着したCs量の相間関係を表すグラフである。同図において、横軸はCsNO濃度、縦軸はCs付着量である。構造体は図2に示す積層体とした。正極及び負極間の電圧差を1Vとして10秒間持続させた後に、構造体表面に付着したCs量をICP−MSを用いて測定した。図8に示されるように、電解溶液中のイオン濃度が高いほど、構造体50内に付着する核種変換を施される物質の量が増大する。
電気二重層での電界強度が高いほど、正極10及び構造体50(負極)での電気分解反応が促進される。このため、発生する重水素量も増大する。
従って、電解溶液中のイオン濃度が高いほど、核種変換反応量が増大することになる。すなわち、イオン濃度を調整すれば、核種変換量を制御可能である。最も核種変換反応量が多くなるのは、核種変換を施す物質を含む電解質塩の飽和濃度である。例えば、CsNOの場合、20℃での飽和濃度は1.2mol/lである。
また、電気分解反応で消費される重水量は、核種変換反応で消費される核種変換が施されるイオン量よりも多い。このため、反応の継続により重水素高濃度部2内の電解溶液中のイオン濃度が高くなり、飽和濃度を超えて電極表面や壁面に電解質塩が析出する。電解質塩が電極表面に析出すると上記反応が抑制される。
本実施形態は、重水素高濃度部2内の電解溶液中の核種変換を施される物質のイオン濃度を調整する濃度調整工程を備える。
(濃度調整工程)
重水素高濃度部2内の電解溶液中のイオン濃度は、濃度計測部80により管理する。濃度計測部80により取得されたイオン濃度に基づいて、重水素高濃度部2内のイオン濃度が調整される。
イオン濃度を増加させる場合、第2電解溶液タンク54内の電解溶液60中のイオン濃度を高くし、第2電解溶液タンク54からの電解溶液60の供給量を増大させる。電解溶液60中のイオン濃度を高くするには、ヒータ66により電解溶液60の温度を高くする。あるいは、系外から電解質塩を第2電解溶液タンク54中に投入しても良い。系外から第2電解溶液タンク中の電解溶液60の水位を確保できるように、第1電解溶液タンク53からの電解溶液59の供給量が調整される。
イオン濃度を低下させる場合、第2電解溶液タンク54内の電解溶液60中のイオン濃度を低下させるとともに、重水素高濃度部2内の重水の割合を増大させる。電解溶液60中のイオン濃度を低下させるためには、ヒータ66により電解溶液60の温度を低くする。重水素高濃度部2内の重水の割合を増大させるには、第2電解溶液タンク54からの電解溶液60の供給量を低減する。あるいは、バルブ74を開放し、第3電解溶液タンク71から電解溶液を重水素高濃度部2に供給する。
上記のように、重水素高濃度部2への電解溶液供給量を変動させる場合は、正極10及び構造体50が電解溶液液面よりも下に位置するように、電解溶液の供給量を調整する。
(ガス排出工程)
第1実施形態と同様に、重水素高濃度部2内の圧力が1気圧以上となると、逆止弁20が開放され、重水素高濃度部2から重水素ガス、酸素ガス、窒素ガスが排出される。
(実施例2)
図7の核種変換装置を用い、実施例1と同じ構造体を用いて核種変換反応を実施した。実施例2では構造体にあらかじめ核種変換を施される物質(133Cs)を添加しなかった。
重水素低濃度部は、真空ポンプを用いて10−3Paの真空状態とし、これを維持した。
第2電解溶液タンク54から供給される電解溶液として、1mol/lのCsNOを含む重水を用いた。電圧発生装置9によって正極と負極との間に、3Vから5Vの電圧差を与え、重水を電気分解した。電気分解を120時間(5日間)持続した後、電気分解を停止した。
核種変換装置から構造体を取り出し、表面の重水分を蒸発させた後、構造体の表面のPr生成量をICP−MSにて分析した。
(比較例2)
図3に示す従来の核種変換装置を用いて、核種変換試験を実施した。構造体は、実施例2と同じ構造体に対して表面のPd層上にイオン注入法にて133Csを添加した。構造体における133Csの初期表面濃度が15×1016/cmであることを確認した。
重水素ボンベから1.01325×10Paの圧力で重水素高濃度部に重水素(D)ガスを導入し、比較例1と同様に核種変換試験を行った。試験後にICP−MSにて構造体の表面のPr生成量を分析した。
ICP−MS分析の結果を図9に示す。同図において、縦軸は核種変換後の141Pr生成量を示す。図9において、実施例2の結果は、複数回の実験を行った結果の平均値として表している。核種変換後の141Prの生成量は、比較例2が0.009μg/cm(9ng/cm)、実施例2が1.1μg/cmであった。
上記結果から、第4実施形態の核種変換装置及び核種変換方法に依れば、電解溶液中のイオン濃度を高めることによって、核種変換を施される物質の添加量が増大するとともに、重水の電気分解量が増大したため、従来法と比較して核種変換後の物質の生成量を大幅に増大させることができる。また、第4実施形態では、構造体に予め核種変換を施される物質を添加する必要が無いので、工程を簡略化することができるので有利である。
〔第5実施形態〕
図10は、本実施形態に係る核種変換装置の概略図である。本実施形態の核種変換装置は、複数の重水素高濃度部を有し、各重水素高濃度部90a〜90cが電解溶液供給経路91a,91bで連結される構成となっている。特に説明がない構成については、第4実施形態の核種変換装置と同様とされる。なお、図10では電圧発生装置が示されていないが、図1と同様に接続されている。
第5実施形態において、電解溶液供給装置92は、重水素高濃度部90aのみに接続される。図10の電解溶液供給装置92は電解質塩が電解溶液に添加される第2電解溶液タンク54のみが図示されているが、第4実施形態のように、第2電解溶液タンク54に重水を供給する第1電解溶液タンク(図示せず)が接続される。
重水素高濃度部90a中の電解溶液は、電解溶液供給経路91aを介して下流側の重水素高濃度部90bに供給される。重水素高濃度部90b中の電解溶液は、電解溶液供給経路91bを介して下流側の重水素高濃度部90cに供給される。
上述のように、重水素高濃度部90aで電気分解反応により消費される重水量は、核種変換反応で消費されるイオン量よりも多いため、重水素高濃度部90a内の電解溶液のイオン濃度は高い状態となる。同様に、重水素高濃度部90b内の電解溶液のイオン濃度も高い状態となる。従って、重水素高濃度部90a,90bは、下流側の重水素高濃度部90b、90cのイオン供給源となっている。
本実施形態においても、各重水素高濃度部90a〜90cで電解溶液のイオン濃度が飽和濃度を超えないように、ヒータ66による電解溶液の加熱温度及び第3電解溶液タンク71からの重水追加量が調整される。
また、第4実施形態と同様に、各重水素高濃度部90a〜90cでの核種変換反応量は、電解溶液中のイオン濃度に基づいて制御することができる。
1,50 構造体(負極)
2,22,90 重水素高濃度部
3,23 重水素低濃度部
4,24 高濃度化手段
5,25 低濃度化手段
6 Pd基板
7 CaO層
8 Pd層
9 電圧発生装置
10 正極
11,92 電解溶液供給装置
12 ガス排出経路
13 電解溶液タンク
14,55,56,72,91 電解溶液供給経路
15,57,58 除湿部
16,59,60,75 電解溶液
17,19,61,62,69,70,74 バルブ
18,67,68,76,77 ガス供給経路
20,33 逆止弁
21 核種変換を施される物質
31 不活性ガス供給装置
32 排気経路
41 冷却装置
42,45 制御装置
43,46 温度検知手段
44,65 加温装置
51 第1電解溶液供給装置
52 第2電解溶液供給装置
53 第1電解溶液タンク
54 第2電解溶液タンク
64 温度調節器
66 ヒータ
71 第3電解溶液タンク
80 濃度計測部

Claims (14)

  1. パラジウムまたはパラジウム合金、あるいは、パラジウム以外の水素吸蔵金属またはパラジウム合金以外の水素吸蔵合金を含む構造体により密封可能な閉空間をなす重水素高濃度部に重水を含む電解溶液を供給する電解溶液供給工程と、
    前記供給された電解溶液を電気分解して重水素を発生させ、前記構造体の前記重水素高濃度部側の表面近傍で重水素の濃度が高い状態とする高濃度化工程と、
    前記構造体により密封可能な閉空間をなし、前記構造体を介して前記重水素高濃度部と反対側に設けられる重水素低濃度部を、前記重水素高濃度部に対して重水素の濃度が低い状態とする低濃度化工程と、
    前記重水素高濃度部からガスを排出するガス排出工程と、
    前記重水素が前記重水素高濃度部から前記重水素低濃度部に向かって前記構造体を透過する際に、前記構造体において核種変換を施される物質が前記重水素により核種変換される核種変換工程と
    を備える核種変換方法。
  2. 前記電解溶液供給工程の前に、前記核種変換を施される物質が前記構造体に添加される添加工程を更に備える請求項1に記載の核種変換方法。
  3. 前記電解溶液中に前記核種変換を施される物質を含む電解質が添加され、
    前記電解質濃度供給工程において前記核種変換を施される物質のイオンを含む前記電解溶液が前記重水素高濃度部に供給されて、前記核種変換を施される物質のイオンが前記構造体に添加される請求項1に記載の核種変換方法。
  4. 前記重水素高濃度部に供給される前の前記核種変換を施される物質のイオンを含む前記電解溶液の温度と、前記重水素高濃度部に供給される前記電解溶液の量とが調整されて、前記重水素高濃度部内の前記電解溶液中の前記核種変換を施される物質のイオンの濃度が調整される濃度調整工程を備える請求項2または請求項3に記載の核種変換方法。
  5. 前記低濃度化工程が、前記構造体の他方の表面側を、真空状態にする排気ステップを備える請求項1に記載の核種変換方法。
  6. 前記低濃度化工程が、前記構造体の他方の表面側に不活性ガスを供給し、不活性環境を形成する不活性環境形成ステップを備える請求項1に記載の核種変換方法。
  7. 前記構造体の一方の表面側に供給された電解溶液の温度が所定温度となるように、該供給された電解溶液を冷却する冷却工程と、
    前記構造体の他方の表面側を所定温度に加温する加温工程と、
    を備え、前記構造体の厚さ方向に温度勾配を形成する請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の核種変換方法。
  8. パラジウムまたはパラジウム合金、あるいは、パラジウム以外の水素吸蔵金属またはパラジウム合金以外の水素吸蔵合金を含む構造体と、
    前記構造体を両側から挟み込むようにして配置され、前記構造体により密封可能な閉空間をなす重水素高濃度部及び重水素低濃度部と、
    前記構造体の前記重水素高濃度部側の表面近傍で重水素の濃度が高い状態とする高濃度化手段と、
    前記重水素低濃度部を、前記重水素高濃度部に対して前記重水素の濃度が低い状態とする低濃度化手段と、を備え、
    前記高濃度化手段が、
    電圧発生部と、
    前記構造体の重水素高濃度部側の面と間隔をあけて対向配置される正極と、
    前記重水素高濃度部に重水を含む電解溶液を供給する電解溶液供給部と、
    前記重水素高濃度部からガスを排出するガス排出経路と、を有し、
    前記構造体を負極として、前記電圧発生部により前記構造体及び前記正極との間に電圧差を与えて前記電解溶液を電気分解して、前記重水素を発生させ、
    前記重水素が前記重水素高濃度部から前記重水素低濃度部に向かって前記構造体を透過する際に、前記構造体において核種変換を施される物質が前記重水素により核種変換される核種変換装置。
  9. 前記核種変換を施される物質が予め添加された前記構造体が、前記重水素高濃度部及び前記重水素低濃度部との間に配置される請求項8に記載の核種変換装置。
  10. 前記電解溶液供給部が、前記電解溶液に前記核種変換を施される物質を含む電解質を添加する電解質供給手段を備え、
    前記電解質供給手段が、前記核種変換を施される物質のイオンを含む前記電解溶液を前記重水素高濃度部に供給して、前記核種変換を施される物質のイオンが前記構造体に添加される請求項8に記載の核種変換装置。
  11. 前記電解溶液供給部が、前記電解溶液の温度を調整する電界溶液温度調整部と、前記電解溶液供給部から前記重水素高濃度部への前記電解溶液の供給量を調整する電界溶液供給量調整部とを備える請求項9または請求項10に記載の核種変換装置。
  12. 前記低濃度化手段が、前記重水素低濃度部を真空状態にする排気装置を備える請求項8に記載の核種変換装置。
  13. 前記低濃度化手段が、前記重水素低濃度部に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部を備える請求項8に記載の核種変換装置。
  14. 前記電解溶液供給手段により前記重水素高濃度部に供給された電解溶液の温度が所定温度となるように、該供給された電解溶液を冷却する冷却部と、
    前記構造体の前記重水素低濃度部側を所定温度に加温する加温部と、
    を備える請求項8乃至請求項13のいずれかに記載の核種変換装置。
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