JP2012093303A - 核種変換方法 - Google Patents

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Yasuhiro Iwamura
康弘 岩村
Takehiko Ito
岳彦 伊藤
Noriko Yamazaki
紀子 山▲崎▼
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Abstract

【課題】より最適に核種変換が施される元素を構造体への添加するための手段を備えた核種変換方法を提供することを目的とする。
【解決手段】パラジウム又はパラジウム合金、或いは、パラジウム以外の水素吸蔵金属又はパラジウム合金以外の水素吸蔵合金と、これらに対して相対的に仕事関数が低い物質とを有する構造体1の一方の面側に存在する核種変換が施される元素に対して、構造体1の一方の面側から他方表面側へ向けて重水素を流す核種変換方法であって、該核種変換方法は、核種変換が施される元素に適したイオンフラックス量を特定する工程と、該特定したフラックスで核種変換が施される元素を構造体1の一方の面にイオン注入する工程と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、核種変換方法に関し、特に放射性廃棄物処理技術、自然界に豊富に存在する元素から希少な元素を生成する技術などに係る核種変換方法に関する。
加速器や原子炉等の大規模な装置に比べて、相対的に小規模な装置で核種変換を行うことが可能な核種変換装置及び核種変換方法が、特許文献1乃至特許文献3に開示されている。
上記文献に開示される核種変換装置は、パラジウム(Pd)やパラジウム合金などの水素吸蔵金属または水素吸蔵合金と、これらより相対的に仕事関数が低い物質とを含む構造体と、内部が気密保持可能とされた吸蔵室と、構造体を挟んで気密保持可能に設けられた放出室と、吸蔵室に重水素ガスを供給する重水素供給手段と、放出室を真空状態にする排気手段とを備える。構造体の一方の表面には核種変換が施される物質が添加される。
上記構成の核種変換装置では、まず、吸蔵室及び放出室を真空排気した後、構造体を例えば70℃に加熱する。その後、吸蔵室の真空排気を停止して、吸蔵室に重水素ガスを導入する。吸蔵室から放出室に向かって、圧力差により重水素ガスが構造体を透過するが、このとき、構造体の表面に核種変換を施される物質が添加されているために、核種変換が発生する。
特許第4347262号公報(段落[0029]〜[0033]、及び[0036]) 特許第4347261号公報(段落[0029]〜[0033]、及び[0036]) 特許第4346838号公報(段落[0027]〜[0031]、及び[0035])
特許文献1乃至特許文献3では、核種変換が施される元素はCsとされ、Csを電気分解によって構造体表面へと添加している。しかしながら、核種変換が施される元素を電気分解によって構造体表面へと添加する場合、元素の種類によって、構造体表面に上手く添加されない場合がある。当該技術分野は発展途上の段階にあり、核種変換が施される元素を構造体への添加するための方法や条件などには、改善の余地がある。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであって、より最適に核種変換が施される元素を構造体への添加するための手段を備えた核種変換方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、パラジウム又はパラジウム合金、或いは、パラジウム以外の水素吸蔵金属又はパラジウム合金以外の水素吸蔵合金と、これらに対して相対的に仕事関数が低い物質とを有する構造体の一方の面側に存在する核種変換が施される元素に対して、前記構造体の前記一方の面側から他方表面側へ向けて重水素を流す核種変換方法であって、前記核種変換が施される元素に適したイオンフラックス量を特定する工程と、該特定したフラックスで前記核種変換が施される元素を前記構造体の一方の面にイオン注入する工程と、を備える核種変換方法を提供する。
核種変換が施される元素をイオン注入によって構造体の一方の面に添加することで、電気分解で添加しにくい元素でも、構造体の一方の面側に添加することができる。イオンフラックス量は、添加される元素の種類に応じて、それぞれ適した範囲が存在する。いずれの元素においても、イオンフラックス量が少なすぎると、核種変換反応の進行を確認することが困難となる。また、イオンフラックス量が多すぎると、構造体表層に占める核種変換が施される元素の割合が高くなりすぎて核種変換反応が進みにくくなる。そのため、イオン注入前に核種変換が施される元素に適したイオンフラックス量を特定することによって、元素の核種変換反応を効率良く進行させることができる。
上記発明の一態様において、前記核種変換が施される元素がタングステンである場合、前記イオンフラックス量を1.0×1013個/cm以上1.0×1016個/cm以下とすると良い。
上記発明の一態様において、前記核種変換が施される元素がコバルトの場合、前記イオンフラックス量を1.0×1015個/cm以上1.0×1016個/cm以下とすると良い。
イオンフラックス量をそれぞれ上記範囲としてイオン注入することで、効率良く核種変換反応を進行させることができる。上記一態様によれば、タングステンは白金及びオスミウムへ、コバルトは銅へと変換され得る。
上記発明の一態様において、前記核種変換が施される元素が、前記構造体の一方の面から所定の深さで最大濃度となるようイオン注入のエネルギーを特定する工程を備えることが好ましい。
所定の深さに、核種変換が施される元素が多く存在するようにすることで、より効率良く核種変換反応を進行させることができる。
本発明によれば、核種変換が施される元素を、予め特定したイオンフラックス量でイオン注入することで、核種変換反応を効率良く進行させることができる。
第1実施形態に係る核種変換装置の概略図である。 第1実施形態に係る構造体の一例を示す断面図である。 第2実施形態に係る核種変換装置の概略図である。 第2実施形態に係る構造体の一例を示す断面図である。 第3実施形態に係る核種変換装置の概略図である。
以下に、本発明に係る核種変換方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
本実施形態に係る核種変換方法を実現する核種変換装置の一例を図1に示す。核種変換装置100は、構造体1、重水素高圧部2、重水素低圧部3、高圧化手段4、低圧化手段5、及び加熱手段17を備えている。
構造体1は、パラジウム(Pd)またはパラジウム合金、あるいは、パラジウム以外の水素吸蔵金属またはパラジウム合金以外の水素吸蔵金属と、これらに対して相対的に仕事関数が低い物質とを有する。相対的に仕事関数が低い物質とは、例えば、仕事関数が3eV未満の物質であり、具体的には、CaOなどとされる。
図2に、構造体1の一例を示す。図2に示す構造体1は、バルクのPd基板6(例えば、25mm×25mm×0.1mm)上に、CaO層7(厚さ:2nm)とPd層8(厚さ:20nm)とが交互に10層積層された構成とされる。CaO層7及びPd層8は、アルゴンイオンビームスパッタ法によって、エッチング処理後のPd基板6上に、交互に製膜される。
構造体1を挟んで、一方の面側には重水素高圧部2、他方の面側(Pd基板6側)には重水素低圧部3が内部を気密保持可能に形成されている。
重水素高圧部2は、高圧化手段4及びパージ手段9を備え、重水素低圧部3よりも重水素の圧力が高い状態に維持される。高圧化手段4は、重水素ガスボンベなどの重水素供給手段とされ、バルブ10を介して重水素高圧部2に接続されている。重水素供給手段と重水素高圧部2との間には、重水素高圧部2内の圧力を検出するための圧力計11が配置されている。パージ手段9は、窒素ボンベなどとされ、バルブ12を介して重水素高圧部2に接続されている。
重水素低圧部3は、低圧化手段5を備えている。低圧化手段5は、ターボ分子ポンプ13及びドライポンプ14などとされ、真空引きすることで重水素低圧部3内を重水素圧力が低い状態に維持する。本実施形態において、ターボ分子ポンプ13は、真空バルブ(VAT)15を介して重水素高圧部2にも接続されている。また、低圧化手段5は、重水素低圧部2内の真空度を検出する真空計及び質量分析器16が備えられている。本実施形態において、真空計はベアード・アルパード真空計(B−Aゲージ)とされる。質量分析器は、例えば構造体1から生成されるガス状の反応生成物を検出すると共に重水素低圧部3内の重水素量を計測することにより構造体1を透過する重水素の透過量を評価することができる。
上記構成とすることで、構造体1を挟んで重水素高圧部2と重水素低圧部3との間に、重水素の濃度勾配を発生させることができる。
重水素高圧部2の外壁には、加熱手段17が構造体1を加熱可能に配設されている。加熱手段17は、外壁に接して配置されたヒータ17aと、該ヒータ17aに接続されたヒータターミナル17bとを含む。
さらに、核種変換装置100は、ベリリウム窓を有する高純度ゲルマニウム検出器からなるX線検出器18を備えている。
次に、本実施形態に係る核種変換方法について説明する。
本実施形態に係る核種変換方法は、核種変換が施される元素に適したイオンフラックス量を特定する工程(A)と、特定したフラックスで核種変換が施される元素を構造体1の一方の面側にイオン注入する工程(B)とを備えている。
工程(A)
まず、構造体1の一方の面側(Pd基板6と反対側)に核種変換が施される元素を添加する。添加にはイオン注入装置を用い、イオンフラックス量を変化させて各構造体を作製する。加速エネルギーは、核種変換が施される元素が構造体1の表面から所定の深さ範囲、詳細には2nm〜1000nm、好ましくは5nm〜500nm、更に好ましくは約10nmの深さに最も多く注入されるよう適宜設定する。
次に、上記で作製した各構造体を核種変換装置100に設置する。その後、重水素低圧部3内を真空排気する。次いで、バルブ10,12を閉じ、真空バルブ15を開放して重水素高圧部2内を真空排気して、重水素高圧部2内の真空度が充分安定化(例えば、1×10−5Pa以下の状態)させる。
次に、ヒータ17aを50℃〜100℃として構造体1を加熱する。加熱温度は、用いられる核種変換が施される元素に応じて設定される。この際、最適な反応温度が分かっていればそれに準じ、不明であれば、50℃〜100℃の間で適宜変化させると良い。
次に、バルブ10を開き、所定圧力で重水素高圧部2に重水素ガスを導入する。所定圧力は、例えば1.01325×10Pa(1気圧)とされる。これによって、構造体1を挟んで重水素高圧部2と重水素低圧部3との間に重水素の圧力差が生じ、重水素が重水素高圧部2側から重水素低圧部3側へと流れる。
所定時間、重水素高圧部2に重水素を導入した後、構造体1の温度を常温に戻してから重水素の導入を停止する。
上記手順により核種変換が施される元素を添加した構造体1に重水素を透過させることで、核種変換反応が生ずる。例えば、Co→Cu、W→Pt+Os、Rb→Rh、Ta→Ir+Auなどの核種変換が生じる。
重水素を透過させた構造体1を核種変換装置100から取り出し、その表面を二次イオン質量分析(SIMS)にて分析する。また、比較対照として同様の条件で核種変換が施される元素を添加した重水素を透過させない構造体1を用意して、SIMSにて分析する。SIMSの結果から、重水素の透過前には存在せず、重水素を透過させることにより生成された元素の同位体存在比が変化したときのイオンフラックス量を特定する。上記生成された元素の同位体存在比は、重水素の透過前後の構造体表面における核種変換が施される元素の同位体存在比と、強い相関関係にある。
(実施例1)
核種変換が施される元素は、質量数59のCoとした。加速エネルギーは、構造体1の(イオン注入側の)表面から10nm程度の深さでCoの濃度が最も高くなるよう30keVとした。イオンフラックス量は、2.5×1014個/cm、または2.5×1015個/cmとした。上記条件でCoをイオン注入した構造体を核種変換装置100に配置し、50℃〜100℃の範囲で加熱温度を任意に変化させながら重水素を透過させた。重水素透過前後の構造体表面をそれぞれSIMSにて分析した。
59Cが添加された構造体に重水素を透過させると、59C+2d→63Cu+(γ/phonon/e)のような反応が起きることが期待される。
天然のCuは、63Cuが69.15%、65Cuが30.85%の比率で存在する。角主変換装置100において、上記式反応が生じていれば、63Cu及び65Cuの質量比(63Cu/65Cu)が変化するはずである。天然のCuの質量比(63Cu/65Cu)は、2.24程度となる。イオンフラックス量を2.5×1014個/cmとした場合、63Cuの増加は観測されなかった。
イオンフラックス量を2.5×1015個/cmとした場合、重水素を透過させる前の構造体表面において質量比(63Cu/65Cu)は2.2となった。これは、天然の質量比(63Cu/65Cu)と略同等であった。一方、重水素透過を行った後の試料では、質量比(63Cu/65Cu)が2.2よりも大きく、3.0〜8.4となった。これは、核種変換装置100において、上記の核種変換反応が生じたことを示している。すなわち、59Coが63Cuに変換され、質量数63のCuが増加したため、質量比(63Cu/65Cu)の値が大きく増加したことを意味する。上記結果から、核種変換が施される元素をCoとし、加速エネルギー30keVでイオン注入する場合、イオンフラックス量は1.0×1015個/cm以上とすると良い。イオンフラックス量が1.0×1016個/cmよりも多いと、構造体におけるCoの存在比率が高くなりすぎて、重水素が透過しにくくなる。
(実施例2)
核種変換が施される元素をタングステン(W)とした。加速エネルギーは、構造体の(イオン注入側の)表面から10nm程度の深さでWの濃度が最も高くなるよう63keVとした。イオンフラックス量を2.5×1014個/cmとし、構造体にWをイオン注入した。重水素を透過した構造体と重水素を透過させなかった構造体の表面をSIMSにて分析した。表1に結果を示す。
Figure 2012093303
表1によれば、Wを添加した構造体に重水素を透過させることで、Os及びPtが生成された。上記結果から、Wを原料としてレアメタルであるOs及びPtを製造できることが示された。また、核種変換が施される元素をWとし、加速エネルギー63keVでイオン注入する場合、イオンフラックス量は1.0×1013個/cm以上とすると良い。イオンフラックス量が1.0×1016個/cmよりも多いと、重水素が透過しにくくなる。
工程(B)
工程(A)で特定したイオンフラックス量で、工程(A)と同様に、核種変換が施される元素を構造体1の一方の面(Pd基板6と反対側の面)にイオン注入する。
なお、本実施形態において、イオンフラックス量の特定にSIMSを採用したが、特定方法はこれに限定されず、重水素の透過前後で核種変換反応が生じたことが確認できる他の方法であっても良い。
〔第2実施形態〕
本実施形態に係る核種変換方法を実現する核種変換装置の一例を図3に示す。核種変換装置200は、構造体21、重水素高圧部22、重水素低圧部23、高圧化手段24、及び低圧化手段を備えている。
構造体21は、パラジウム(Pd)またはパラジウム合金、あるいは、パラジウム以外の水素吸蔵金属またはパラジウム合金以外の水素吸蔵金属と、これらに対して相対的に仕事関数が低い物質とを有する。相対的に仕事関数が低い物質とは、例えば、仕事関数が3eV未満の物質であり、具体的には、CaOなどとされる。
図4に、構造体の一例を示す。図4に示す構造体21は、表面に凸形状を有するバルクのPd基板26(例えば、25mm×25mm×1mm)上に、CaO層27(厚さ:2nm)とPd層28(厚さ:20nm、ただし最上層のみ40nm)とが交互に10層積層された構成とされる。CaO層27及びPd層28は、アルゴンイオンビームスパッタ法によって、エッチング処理後のPd基板26上に、交互に製膜される。
構造体21を挟んで、一方の面側には重水素高圧部22、他方の面側(Pd基板26側)には重水素低圧部23が内部を気密保持可能に形成されている。
重水素高圧部22は、高圧化手段24を備え、重水素低圧部23よりも重水素の圧力が高い状態に維持される。高圧化手段24は、電源29、陰極、陽極30、電解溶液31、冷却手段32、触媒33を備えている。陰極は構造体21とされる。陽極30は白金などとされ、陰極に対向して配置されている。陰極及び陽極30は、電解溶液31に浸漬され、電源29と電気的に接続される。電解溶液31は、重水溶液とされる。本実施形態において、冷却手段32は電解溶液31を冷却可能に配置された樹脂などからなる冷却管とされる。触媒33は、重水素高圧部22の上部に配置されている。触媒33としては、白金上に白金黒を電着したものが用いられる。
重水素低圧部23は、低圧化手段を備えている。低圧化手段は、ターボ分子ポンプ及びドライポンプ(不図示)などとされ、真空引きすることで重水素低圧部内を重水素圧力が低い状態に維持する。
核種変換装置200を用いた核種変換方法について説明する。
本実施形態に係る核種変換方法は、第1実施形態と同様に工程(A)及び工程(B)を備えているが、重水素高圧部22を高圧化する工程が異なる。
第1実施形態と同様に、核種変換が施される元素を添加した構造体21を、Pd基板26を重水素低圧部23側に向けて、核種変換装置200内に配置し、重水素高圧部22を液密及び気密状態に封止する。次に、重水素高圧部22内に電解溶液31が供給される。重水素高圧部22内の電解溶液31に満たされていない空間は、窒素によって置換する。重水素高圧部22内の圧力を、例えば、1.5kg/cmに保持する。
次に、重水素低圧部23内を真空排気する。冷却管に冷媒を供給し、重水素高圧部22内の温度を所定の一定温度に保持する。重水素高圧部22内の温度は、50℃〜100℃の範囲とすると良い。電源から電力を供給して電解溶液31を電気分解して重水素を生成させる。このとき電流密度を、数10mA/cm以上とすると良い。
これによって、構造体21を挟んで重水素高圧部22と重水素低圧部23との間に、重水素の濃度勾配を発生させることができる。
重水素高圧部22において、電気分解によって生成された重水素のうち、構造体21に取り込まれなかった重水素は、上部に設けられた触媒33の作用により、陽極30で発生した酸素と反応して重水に戻る。
なお、核種変換装置200では、特許文献1乃至特許文献3に記載のように、電解溶液に核種変換が施される元素を含ませて、該元素を構造体21に添加しても良い。
〔第3実施形態〕
本実施形態に係る核種変換方法を実現する核種変換装置の一例を図5に示す。核種変換装置300は、内部が気密保持可能とされた重水素低圧部43と、重水素低圧部43に接続された構造体41と、構造体41を介して内部が気密保持可能とされた重水素高圧部42とを備えている。
重水素低圧部43に、重水素低圧部43内部を真空状態に保持する低圧化手段45が接続される。図5において、低圧化手段45は、ターボ分子ポンプ46及びロータリーポンプ47とされる。
重水素高圧部42には、バルブを介して重水素高圧部42内に重水素を供給する高圧化手段として、重水素ボンベ及びレギュレータバルブが接続されている(不図示)。バルブとレギュレータバルブとの間に圧力計が設置されている(不図示)。
重水素高圧部42の外部には、光源48が設けられている。光源48からの光は、重水素高圧部42にも受けられた窓(ガラス窓)49を通過して構造体41の重水素高圧部42側の表面に直接入射する。光源48からの光が構造体41の表面に対して垂直または斜めに入射するように、光源48の位置及び角度、窓49の設置位置が決定される。光源48が核種変換装置300から離れた位置に設置され、構造41体に直接光照射できない場合には、光ファイバーを用いて光源からの光を窓の付近まで導入しても良い。
本実施形態では、波長200nmから700nm、好ましくは波長500nm程度の光が、構造体41に照射される。上記波長範囲の光を照射可能な光源としては、例えばHe−Neレーザ、Nd:YAGレーザ、水素ランプ、水銀ランプ、Heランプ、Arランプなどが使用できる。レーザを用いる場合、連続光及びパルス光のいずれも適用できる。なお、Nd:YAGレーザのように基本波が上記波長範囲よりも長い場合は、レーザ光の第2高調波または第3高調波が使用される。レーザの場合、指向性があり高出力であるため、プラズモンを効率良く発生させることができる。一方、ランプはレーザと比較してプラズモンの発生効率は劣るが、装置を小さくできるとともに、装置コストを低減できるという利点を有する。
構造体41は、第1実施形態と同様の構成とされ、Pd基板を重水素低圧側に向けて配置されている。核種変換が施される元素の構造体41への添加も、第1実施形態と同様に実施される。
構造体41に照射された光は、波長の半分程度の深さまで内部に侵入する。そのため、核種変換を施される物質は、光照射面表面から光の侵入深さまでの範囲内に添加されると、核種変換反応効率を向上させることができる。
核種変換を施される物質が添加させられた構造体41に、上記光源48から波長200nmから700nmの光が照射されると、構造体41の内部で光が侵入した領域において、電子疎密波(プラズモン)が誘起される。これにより、構造体平面方向に、電子密度が高い領域と電子密度が低い領域とが発生する。すなわち、電子密度の分布が発生する。電子疎密波は、10−12秒程度の周期であり、局所的には上記周期で電子密度の変化が生じる。光照射面内で見ると、電子密度の高い領域が時間毎に変化することになる。
これに対し、核種変換反応が起こるために必要な時間は10−15秒オーダーであり、核種変換反応時間よりもプラズモンの周期は十分に長い。このため、核種変換反応にとって電子密度分布は変化せず、長時間に亘り電子密度が高い領域が維持される。核種変換反応は、核種変換を施される物質が添加させられた構造体全面で発生するが、構造体中の電子密度が高い場所において特に反応が促進される。
電子密度は、構造体を構成する金属または合金の種類、核種変換を施される物質の添加量、レーザの周波数などに依存する。パルス光レーザの場合、電子密度をより高くすることができるとともに、パルス周波数を変えることにより核種変換反応の程度を制御することができる。
1,21,41 構造体
2,22,42 重水素高圧部
3,23,43 重水素低圧部
4,24 高圧化手段
5,45 低圧化手段
6,26 Pd基板
7,27 CaO層
8,28 Pd層
9 パージ手段
10,12 バルブ
11 圧力計
13,46 ターボ分子ポンプ
14 ドライポンプ
15 真空バルブ
16 真空計及び質量分析器
17a ヒータ
17b ヒータターミナル
18 X線検出器
29 電源
30 陽極
31 電解溶液
32 冷却手段
33 触媒
47 ロータリーポンプ
48 光源
49 窓
100,200,300 核種変換装置

Claims (4)

  1. パラジウム又はパラジウム合金、或いは、パラジウム以外の水素吸蔵金属又はパラジウム合金以外の水素吸蔵合金と、これらに対して相対的に仕事関数が低い物質とを有する構造体の一方の面側に存在する核種変換が施される元素に対して、前記構造体の前記一方の面側から他方表面側へ向けて重水素を流す核種変換方法であって、
    前記核種変換が施される元素に適したイオンフラックス量を特定する工程と、
    該特定したフラックスで前記核種変換が施される元素を前記構造体の一方の面にイオン注入する工程と、
    を備える核種変換方法。
  2. 前記核種変換が施される元素がタングステンである場合、前記イオンフラックス量を1.0×1013個/cm以上1.0×1016個/cm以下とする請求項1に記載の核種変換方法。
  3. 前記核種変換が施される元素がコバルトの場合、前記イオンフラックス量を1.0×1015個/cm以上1.0×1016個/cm以下とする請求項1に記載の核種変換方法。
  4. 前記核種変換が施される元素が、前記構造体の一方の面から所定の深さで最大濃度となるようイオン注入のエネルギーを特定する工程を備える請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の核種変換方法。
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JP2020034579A (ja) * 2019-11-28 2020-03-05 日本テクノ株式会社 カルシウム、銅、マグネシウム、セシウムなどの元素をより有用な元素に変換する方法及びこの元素変換技術を応用して放射性物質を無害化する方法
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US11630055B2 (en) * 2017-04-03 2023-04-18 Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. Method for evaluating structure used for nuclide transmutation reaction, evaluation device, structure manufacturing device provided with same, and nuclide transmutation system

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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