JP2013172594A - 交流電動機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】交流モータの各相のうちの一相に流れる電流を検出する電流センサの検出値に基づいて他の相の電流推定値を算出するシステムの電流推定値の算出精度を向上させる。
【解決手段】センサ相基準電流位相検知部18で、センサ相(W相)を基準にした固定座標系(α−β座標系)におけるα軸電流iαとβ軸電流iβを算出する。この際、センサ相の電流検出値iw.sns に基づいてα軸電流iαを算出し、このα軸電流iαとβ軸電流iβがsin波とcos波の関係にあることに着目して、α軸電流の微分値Δiαに基づいてβ軸電流iβを算出する。この後、α軸電流iαとβ軸電流iβに基づいてセンサ相基準電流位相xθ=tan-1(iβ/iα)を算出する。この後、基本波推定部19で、センサ相基準電流位相xθに応じた推定係数を算出し、この推定係数をセンサ相の電流検出値iw.sns に乗算して他の相(U相)の電流推定値iu.est を求める。
【選択図】図6

Description

本発明は、三相の交流電動機と、該交流電動機の各相のうちの一相に流れる電流を検出する一つの電流センサとを備えた交流電動機の制御装置に関する発明である。
近年、低燃費、低排気エミッションの社会的要請から車両の動力源として交流モータ(交流電動機)を搭載した電気自動車やハイブリッド車が注目されている。例えば、ハイブリッド車においては、図1に示すように、二次電池等からなる直流電源11と交流モータ13A,13Bとを、インバータ等で構成された電力変換装置6を介して接続し、直流電源11の直流電圧をインバータで交流電圧に変換して交流モータ13A,13Bを駆動するようにしたものがある。
このようなハイブリッド車や電気自動車に搭載される交流モータの制御システムは、三相の交流モータの各相のうちの二相又は三相に流れる電流をそれぞれ検出するように二つ又は三つの電流センサを設け、これらの電流センサの出力(電流検出値)に基づいて交流モータを制御するようにしたものが主流であるが、一つの交流モータに対して二つ又は三つの電流センサを設ける必要があるため、インバータの三相出力端子近傍の小型化やモータ制御系統の低コスト化に対して弊害となっている。
交流モータの制御システムにおいて、車両の燃費向上に有効な技術としては、例えば、下記特許文献1(特開2010−124544)に記載されているように、交流モータを矩形波制御(1パルススイッチング)で駆動する方法が提案されている。この矩形波制御は、d軸とq軸の電流指令を有することなく、電流センサで検出したd軸電流とq軸電流から推定トルクを算出し、この推定トルクをトルク指令に追従させるように電圧ベクトル位相を制御するトルクフィードバック制御であって、弱め界磁電流を流すことが必要とされる運転領域で採用されている。弱め界磁電流を最大限に抑え、かつ、インバータのスイッチング回数も最少化できるため、燃費向上(インバータの損失低減)に有効である。
また、電流センサの数を削減して低コスト化する技術としては、例えば、特許文献2(特開2004−159391号公報)に記載されているように、交流モータの各相のうちの一相(例えばU相)に流れる電流を検出する一つの電流センサを設け、この電流センサで検出した一相(例えばU相)の電流検出値とd軸及びq軸電流指令値と交流モータの電気角の情報とに基づいて他の二相(例えばV相とW相)の電流推定値を算出するようにしたものがある。
具体的には、交流モータのd軸電流指令値Id*とq軸電流指令値Iq*の合成ベクトルがq軸と成す角度である指令電流位相角αを、モータの回転子とステータのU相軸とが成す角度θに加算した値をU相電流位相角θ´(=θ+α)として求め、このU相電流位相角θ´と一相の電流検出値Iu を用いて下記(A)式により電流振幅Ia を算出し、この電流振幅Ia とU相電流位相角θ´を用いて下記(B),(C)式により他の二相の電流推定値Iv ,Iw を算出するようにしている。
Ia =Iu /[√(1/3)×{−sin(θ´)}] …(A)
Iv =√(1/3)×Ia ×{−sin(θ´+120°)} …(B)
Iw =√(1/3)×Ia ×{−sin(θ´+240°)} …(C)
そして、一相の電流検出値Iu と他の二相の電流推定値Iv ,Iw とに基づいてd軸及びq軸電流推定値Id ,Iq を算出し、これらのd軸及びq軸電流推定値Id ,Iq をd軸及びq軸電流指令値Id*,Iq*に一致させるように交流モータの電圧指令値を算出して交流モータに流れる電流をフィードバック制御するようにしている。
特開2010−124544号公報 特開2004−159391号公報
電気自動車やハイブリッド車の動力源となる交流モータの制御システムにおいては、特許文献1に記載されているような矩形波制御は必要であるが、d軸とq軸の電流指令を有しないために、特許文献2に記載されているようなd軸とq軸の電流指令を用いる方法は適用することができない。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、d軸とq軸の電流指令を有しない矩形波制御において、電流センサで検出した一相の電流検出値に基づいて他の相の電流推定値を算出することで、トルクフィードバック制御を実現できる交流モータの制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、三相の交流電動機と、該交流電動機の各相のうちの一相(以下「センサ相」という)に流れる電流を検出する電流センサとを備えた交流電動機の制御装置において、センサ相軸と同方向のα軸と該センサ相軸と直交方向のβ軸とによって設定された固定座標系(α−β座標系)におけるα軸電流とβ軸電流とに基づいてセンサ相を基準にした電流位相(以下「センサ相基準電流位相」という)を算出し、該センサ相基準電流位相と電流センサで検出したセンサ相の電流検出値とに基づいてセンサ相以外の他の相の電流推定値を算出する電流推定手段を備え、この電流推定手段は、センサ相の電流検出値に基づいてα軸電流を算出すると共に、α軸電流の微分値に基づいてβ軸電流を算出するようにしたものである。
この構成では、センサ相を基準にした固定座標系(α−β座標系)におけるα軸電流とβ軸電流とに基づいてセンサ相基準電流位相を算出することで、センサ相を基準にした実際の電流位相を算出することができる。このセンサ相基準電流位相とセンサ相の電流検出値とに基づいて他の相の電流推定値を算出することで、実際の電流位相の高調波成分や通常起こり得る変動の影響を織り込んで他の相の電流推定値を精度良く算出することができ、従来よりも電流推定値の算出精度を向上させることができる。
また、本出願人は、α軸電流とβ軸電流とに基づいてセンサ相基準電流位相を算出する際に、センサ相の電流検出値に基づいてα軸電流を算出すると共に、他の相の電流指令値に基づいてβ軸電流を算出する(他の二相の電流指令値に基づいてβ軸電流を算出する又は他の一相の電流指令値とセンサ相の電流検出値とに基づいてβ軸電流を算出する)システムを研究しているが、その研究過程で次のような新たな課題が判明した。
交流電動機の通電を制御する際に電流指令値(dq軸電流指令値や三相電流指令値)を用いないシステム(例えば、先行特許文献1に記載されているような矩形波制御方式で交流電動機の通電を制御するシステム)の場合には、上述した他の相の電流指令値に基づいてβ軸電流を算出する方法を採用することが困難である。
そこで、請求項1では、α軸電流とβ軸電流の位相差が90[°](つまりα軸電流とβ軸電流がsin波とcos波の関係にある)ことに着目して、センサ相の電流検出値に基づいてα軸電流を算出すると共に、α軸電流の微分値(差分値)に基づいてβ軸電流を算出するようにしている。
このようにすれば、他の相の電流指令値を用いずにβ軸電流を算出することが可能となり、交流電動機の通電を制御する際に電流指令値を用いないシステム(例えば矩形波制御方式で交流電動機の通電を制御するシステム)に本発明を適用することが可能となる。ここで、矩形波制御の矩形とは、電気1周期(=電流1周期)で1パルスの波形を指す。勿論、交流電動機の通電を制御する際に電流指令値を用いるシステム(例えば正弦波PWM制御方式で交流電動機の通電を制御するシステム)に本発明を適用しても良い。
この場合、請求項2のように、β軸電流を算出する際に、α軸電流のサンプリング間隔(演算周期)における変化量に基づいてα軸電流の微分値を算出し、該α軸電流の微分値をサンプリング間隔の1/2の位相遅れ分に相当する補正量を用いて補正してβ軸電流を求めるようにすると良い。
本出願人の研究によると、α軸電流のサンプリング間隔における変化量に基づいてα軸電流の微分値を算出する場合、そのα軸電流の微分値には、実際のβ軸電流に対してサンプリング間隔の1/2の位相遅れがあることが判明した。従って、サンプリング間隔の1/2の位相遅れ分に相当する補正量を用いてα軸電流の微分値を補正してβ軸電流を求めることで、β軸電流を精度良く算出することができる。
尚、サンプリング間隔が十分に短く、サンプリング間隔の1/2の位相遅れ分が十分に小さい場合には、補正を行わずにα軸電流の微分値をそのままβ軸電流として採用するようにしても良い。また、α軸電流の微分値を算出する方法は、請求項2の方法に限定されず、α軸電流(sin)からβ軸電流(cos)が得られるのであれば、他の算出方法を採用しても良い。
ところで、上記特許文献2の技術では、電流振幅と電流位相角の両方を用いて他の二相の電流推定値を算出するようにしているため、電流振幅と電流位相角の両方の誤差の影響を受けて電流推定値の算出精度が低下する可能性がある。
そこで、請求項3のように、他の相の電流推定値を算出する際に、センサ相基準電流位相に応じた推定係数を算出し、該推定係数をセンサ相の電流検出値に乗算して他の相の電流推定値を求めるようにしても良い。このようにすれば、他の相の電流推定値を算出する際に、電流振幅を用いる必要がなくなり、その分、電流推定値の誤差要因を減らすことができ、電流推定値の算出精度を向上させることができる。
また、請求項4のように、センサ相の電流検出値と他の相の電流推定値とに基づいて交流電動機の回転座標系におけるd軸及びq軸電流推定値を算出し、このd軸及びq軸電流推定値を用いて交流電動機の通電を制御するようにしても良い。本発明は、他の相の電流推定値の算出精度を向上させることができるため、センサ相の電流検出値と他の相の電流推定値とに基づいてd軸及びq軸電流推定値を算出することで、d軸及びq軸電流推定値を精度良く算出することができ、このd軸及びq軸電流推定値を用いて交流電動機の通電を制御することで、交流電動機を安定して駆動させることができる。
図1は本発明の一実施例におけるハイブリッド車の駆動システムの概略構成を示す図である。 図2は交流モータ制御システムの概略構成図である。 図3は交流モータのトルクF/B(フィードバック)制御を説明するブロック図である。 図4はセンサ相を基準にした固定座標系(α−β座標系)を説明する図である。 図5はβ軸電流iβの算出方法を説明する図である。 図6は電流推定部の構成を示すブロック図である。 図7は電流推定ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。
以下、本発明を実施するための形態を、例えば、交流モータと内燃機関(エンジン)を動力源とするハイブリッド車に適用して具体化した一実施例を説明する。
まず、図1に基づいてハイブリッド車の駆動システムの概略構成を説明する。内燃機関であるエンジン1と第1の交流モータ13Aと第2の交流モータ13Bが搭載され、主にエンジン1の出力に対して第1の交流モータ13Aを駆動させることで第2の交流モータ13Bの回転軸に伝達される駆動力と第2の交流モータ13Bの駆動力で車輪2を駆動する。エンジン1のクランク軸と第1の交流モータ13Aの回転軸と第2の交流モータ13Bの回転軸とが動力分割機構3(例えば遊星ギヤ機構)を介して連結され、第2の交流モータ13Bの回転軸が差動減速ギヤ4を介して車軸5に連結されている。交流モータ13A,13Bは、インバータ等で構成された電力変換装置6を介して二次電池等からなる直流電源11に接続され、この電力変換装置6を介して直流電源11と電力を授受するようになっている。
駆動力演算回路7は、ハイブリッド車全体を総合的に制御するコンピュータ等で構成され、アクセルセンサ(図示せず)で検出したアクセル信号、ブレーキスイッチ(図示せず)で検出したブレーキ信号、シフトスイッチ(図示せず)で検出したシフト信号等の各種のセンサやスイッチの出力信号を読み込んで車両の運転状態を検出する。この駆動力演算回路7は、エンジン1の運転を制御するエンジン制御回路(図示せず)や、交流モータ13A,13Bの運転を制御するモータ制御回路16(図2参照)との間で制御信号やデータ信号等を送受信し、車両の運転状態に応じて駆動力要求値を出力してエンジン1や交流モータ13A,13Bの駆動力を制御する。
次に、図2に基づいてハイブリッド車に搭載される交流モータ制御システムの概略構成を説明する。尚、2つの交流モータ13A,13Bの制御システムは、実質的に同一構成であるため、「交流モータ13」と表記して、1つの交流モータ13の制御システムについて説明する。
二次電池等からなる直流電源11には、電圧制御型の三相のインバータ12が接続され、このインバータ12で交流モータ13(交流電動機)が駆動される。尚、直流電源11に昇圧コンバータ等を介してインバータ12を接続した構成としても良い。
交流モータ13は、三相永久磁石式同期モータで、ロータ内に永久磁石が内蔵されたものであり、ロータの回転位置(回転角)を検出するロータ回転位置センサ14(例えばレゾルバが挙げられる)が搭載されている。また、交流モータ13の各相のうちの一相(以下「センサ相」という)に流れる電流を検出する電流センサ15が一つのみ設けられている。本実施例では、センサ相としてW相に流れる電流を電流センサ15で検出する。尚、交流モータ13は、永久磁石式同期モータに限定されず、例えば、誘導モータやその他の同期モータであっても良い。
インバータ12は、モータ制御回路16(制御手段)から出力される三相の6アーム電圧指令信号UU,UL,VU,VL,WU,WLに基づいて、直流電圧を三相の交流電圧U,V,Wに変換して交流モータ13を駆動する。
モータ制御回路16は、交流モータ13の出力トルクが目標トルク(トルク指令値)となるようにインバータ12をスイッチング制御して、交流モータ13に印加する三相の交流電圧を調整するが、その手段として、トルク指令値と、電流センサ15の出力に基づいたトルク推定値との偏差が小さくなるように、交流モータ13のセンサ相に流れる電流を検出してF/B制御する方法がある(トルクF/B制御)。ここで、「F/B」は「フィードバック」を意味する(以下、同様)。
図3に示すように、モータ制御回路16は、ロータ回転位置センサ14で検出した交流モータ13のロータ回転位置mθ(回転角)の誤差を補正した回転位置信号θi (スイッチタイミングを電流周期で決定するため、誤差補正部で電気角eθに変換する)を演算すると共に、後述する電流推定部17(電流推定手段)により、電流センサ15で検出した交流モータ13のセンサ相(W相)の電流検出値iw.sns と、ロータ回転位置mθから求めた電気角eθとに基づいて、交流モータ13のロータ回転座標として設定された回転座標系(d−q座標系)におけるd軸電流推定値id.est ,q軸電流推定値iq.est (推定電流ベクトルとして表現することも可能)を演算する。
この後、d軸及びq軸電流推定値id.est ,iq.est に基づいてトルク推定値trq.estをマップ又は数式等により演算し、トルク指令値trq* とトルク推定値trq.estとの偏差Δtrqが小さくなるようにPI制御等により電圧位相指令値Ψ(電圧ベクトルの位相指令値)を演算する。この電圧位相指令値Ψと回転位置信号θi とに基づいて次回のスイッチングタイミングθ* を演算して、このスイッチングタイミングθ* と回転位置信号θi とに基づいて、矩形波制御方式で三相の6アーム電圧指令信号UU,UL,VU,VL,WU,WLを生成し、これらの三相の6アーム電圧指令信号UU,UL,VU,VL,WU,WLをインバータ12に出力する。インバータ12はこれらの三相の6アーム電圧指令信号UU,UL,VU,VL,WU,WLに基づき、直流電圧を三相の交流電圧に変換して交流モータ13に印加する。これにより、交流モータ13に三相の交流電流が流れ、トルクが発生するが、この出力トルクが目標トルク(トルク指令値)となるように、トルク指令値trq* と、電流センサ15の出力に基づいたトルク推定値trq.estとの偏差が小さくなるように、交流モータ13のセンサ相(W相)に流れる交流電流を検出してF/B制御する(トルクF/B制御)。
次に、電流推定部17による交流モータ13の電流推定方法について説明する。
一般に、交流モータ13の各相の電流iu ,iv ,iw は、それぞれ位相差120[°]で電気角eθや電流ベクトルの振幅、位相等に応じて変化するが、例えば、交流モータ13のセンサ相(W相)の電流検出値iw.sns に基づいて他の相(U相)の電流推定値iu.est を算出する場合、センサ相(W相)の電流検出値iw.sns が負から正にゼロクロスするときの0[A]でxθ=0[°]となり、iw.snsが正から負にゼロクロスするときの0[A]でxθが180[°]となる電気角xθ(センサ相を基準にした電流位相であり、センサ相と電流ベクトルの成す角度に相当)を用いると、センサ相(W相)の電流検出値iw.sns と他の相(U相)の電流推定値iu.est は、下記の(1),(2)式で表現することができる。ここで、Ia は電流振幅である。
iw.sns =Ia ×sin(xθ) …(1)
iu.est =Ia ×sin(xθ−120°) …(2)
上記(2)式は、上記(1)式の関係を用いて次のように変形することができる。
Figure 2013172594
これにより、他の相(U相)の電流推定値iu.est は、センサ相(W相)の電流検出値iw.sns とセンサ相基準電流位相xθ(センサ相を基準にした電流位相)とを用いて下記の(3)式で表現することができる。更に、センサ相基準電流位相xθに応じた推定係数fu(xθ)を用いて下記の(4)式で表現することもできる。
Figure 2013172594
また、図4に示すように、センサ相軸(W相軸)と同方向のα軸とセンサ相軸(W相軸)と直交方向のβ軸とによって固定座標系(α−β座標系)を設定し、このセンサ相(W相)を基準にした固定座標系(α−β座標系)におけるα軸電流iαとβ軸電流iβを算出すれば、センサ相基準電流位相xθ(センサ相を基準にした電流位相)は、α軸電流iαとβ軸電流iβを用いて下記(6)式により求めることができる。尚、tan-1で計算する場合、iα,iβの定義によっては、xθはセンサ相(W相)に同期した角度にはならない場合があるが、これは、軸の定義(例えば、α軸とβ軸の入れ替わりや符号反転)によるものであり、iw.sns が負から正にゼロクロスするときの0[A]でxθが0[°]になり、iw.snsが正から負にゼロクロスするときの0[A]でxθが180[°]になる(センサ相に同期した角度になる)ように、例えばiα,iβの入れ替えや符号を操作してからxθを算出したり、直交関係による位相差±90[°]を直接xθに適宜加減したりして良いものとする。
xθ=tan-1(iβ/iα) …(6)
α軸電流iαは、各相の電流iu ,iv ,iw を用いて下記(7)式で表現することができる。ここで、Kは変換係数である。
iα=K×{iw −(1/2)×iu −(1/2)×iv } …(7)
更に、上記(7)式は、iu +iv +iw =0という関係(キルヒホッフの法則)を用いて下記(8)式のように変形することができる。
iα=K×(3/2)×iw …(8)
上記(8)式のW相電流iw としてセンサ相(W相)の電流検出値iw.sns を用いることで下記(9)式を得ることができる。
iα=K×(3/2)×iw.sns …(9)
一方、β軸電流iβに関しては、α軸電流iαとβ軸電流iβの位相差が90[°](つまりα軸電流iαとβ軸電流iβがsin波とcos波の関係にある)ことに着目して、α軸電流の微分値(差分値)Δiαに基づいてβ軸電流iβを算出する。以下、β軸電流iβの算出方法について説明する。
まず、α軸電流iαのサンプリング間隔Ts [rad]における変化量(α軸電流iαの今回値と前回値との差)に基づいてα軸電流の微分値Δiαを下記(10)式により算出する。ここで、サンプリング間隔Ts はサンプリング間隔に相当する電気角(例えば30[°])をラジアンに変換した値である。また、iα(n) はα軸電流の今回値、iα(n-1) はα軸電流の前回値である。尚、α軸電流iαやβ軸電流iβの定義によっては、符号が反転することも考えられるが、tan-1を計算する為に必要なsin波とcos波を得る為に、必要に応じて符号を適宜操作しても良いものとする。
Δiα=−{iα(n) −iα(n-1) }/Ts …(10)
本出願人の研究によると、α軸電流iαのサンプリング間隔Ts における変化量に基づいてα軸電流の微分値Δiαを算出する場合、例えば、理想正弦波で検討すると、図5(a)に示すように、α軸電流の微分値Δiαの波形には、実際のβ軸電流iβ0 の波形に対してTs /2(サンプリング間隔Ts の1/2)の位相遅れがあることが判明した。更に、図5(b)に示すように、Ts /2の位相遅れ分に相当する補正量H(Ts /2の位相遅れを補正するための補正量)は、α軸電流の今回値iα(n-1) と前回値iα(n-1) の平均値にTs /2を乗算した値になることが判明した。
H={iα(n) +iα(n-1) }/2×(Ts /2) …(11)
従って、α軸電流の微分値(差分値)ΔiαとTs /2の位相遅れ分に相当する補正量Hを用いて下記(12)式によりβ軸電流iβを算出する(つまりα軸電流の微分値ΔiαをTs /2の位相遅れ分に相当する補正量Hを用いて補正してβ軸電流iβを求める)ことで、β軸電流iβを精度良く算出することができる。
iβ=Δiα+H
=−{iα(n) −iα(n-1) }/Ts
+{iα(n) +iα(n-1) }/2×(Ts /2) …(12)
尚、理想正弦波において、(1) α軸電流の微分値(差分値)が実際のβ軸電流に対してTs /2の位相遅れがあること、(2) Ts /2の位相遅れを補正するための補正量がα軸電流の今回値と前回値の平均値にTs /2を乗算した値になることは、数学的に証明可能である。
また、上述したβ軸電流iβの算出方法は、一例であり、β軸電流iβを精度良く算出可能であれば、上述した算出方法に限定されず、適宜変更しても良い。
本実施例では、交流モータ13の電流を推定する場合、図6に示すように、電流推定部17では、まず、センサ相基準電流位相検知部18で、電流センサ15で検出したセンサ相(W相)の電流検出値iw.sns を用いて上記(9)式によりα軸電流iαを算出する。この後、α軸電流iαのサンプリング間隔Ts における変化量に基づいてα軸電流の微分値Δiαを上記(10)式により算出すると共に、Ts /2(サンプリング間隔Ts の1/2)の位相遅れ分に相当する補正量Hを上記(11)式により算出し、α軸電流の微分値(差分値)ΔiαとTs /2の位相遅れ分に相当する補正量Hを用いて上記(12)式によりβ軸電流iβを算出する。この後、α軸電流iαとβ軸電流iβを用いて上記(6)式によりセンサ相基準電流位相xθを算出する。
この後、基本波推定部19で、センサ相基準電流位相xθに応じた推定係数fu(xθ)を上記(5)式又はマップ等により算出し、この推定係数fu(xθ)とセンサ相(W相)の電流検出値iw.sns を用いて上記(4)式により他の相(U相)の電流推定値iu.est を算出するが、センサ相基準電流位相xθとセンサ相(W相)の電流検出値iw.sns を用いて上記(3)式により他の相(U相)の電流推定値iu.est を算出するように直接演算しても良い。
尚、一般に制御ECU(マイコン)などの演算処理装置に演算式を実装すると、連続時間ではなく離散時間で処理され、センサ検出値や各演算値も指定された分解能(LSB)に基づく離散値として扱われる。従って、(3)式においてゼロ割が発生する場合は、離散系の影響により推定値が意図しない値で算出されるのを防ぐ為、推定係数fu(xθ)、或いは推定係数fu(xθ)内の1/tan(xθ)項に制限値を設けておくことが望ましい。また、(3)式を実装する場合は、処理負荷の大きい乗算・除算を避けるため、引数xθで推定係数fu(xθ)、或いは推定係数fu(xθ)内の1/tan(xθ)項をマップ化しておくことも有効であり、その場合、マップ上で制限値を設けておくことが望ましい。このような処置を設けることにより、離散系への適用を容易にし、マイコンの処理負荷を最小減に留めることができ、わざわざ演算処理能力の高い高価なマイコンに変更する必要が無くなる。
この後、ゼロクロス時補間部20で、電流検出値iw.sns =0[A]となる場合には上記(3)式および上記(4)式により0[A]と算出されるセンサ相以外の他の相の電流推定値iu.est を補間する。ゼロクロス時補間部20では、通常時(後述するセンサ相電流のゼロクロス時以外のとき)には、基本波推定部19から入力された他の相(U相)の電流推定値iu.est をそのまま出力し、センサ相電流のゼロクロス時(センサ相の電流検出値iw.sns が0[A]になったとき又は0[A]を含む所定範囲内になったときで、所定範囲は例えば10[A]または5LSBなどと適宜設定しても良いし、数式等に基づき範囲を特定するようにしても良い)には、交流モータ13の電圧位相指令値Ψを固定すると共に、他の相(U相)の電流推定値iu.est を補間して出力し、dq変換に用いる他の相(U相)の電流推定値iu.est.fix として設定する。尚、補間方法としては、例えば他の相の電流推定値iu.est を直接前回値又はそれ以前の値に保持しても良いし、或は、d軸及びq軸電流推定値id.est ,iq.est を前回値又はそれ以前の値に保持して、この前回値又はそれ以前の値に保持したd軸及びq軸電流推定値id.est ,iq.est に基づいて他の相(U相)の電流推定値を算出する逆dq変換を実行し、この逆dq変換により得た三相の電流推定値で他の相の電流推定値iu.est を補間しても良い。また、他の相の電流推定値iu.est を本実施例に記載した以外の手段で算出して補間するようにしても良く、他の相の電流推定値iu.est を補間する方法は適宜変更しても良い。
この後のdq変換部21では、センサ相(W相)の電流検出値iw.sns とdq変換に用いる他の相(U相)の電流推定値iu.est.fix とに基づいて、dq変換によりd軸及びq軸電流推定値id.est ,iq.est を算出する。
これにより、センサ相電流のゼロクロス時に、他の相(U相)の電流推定値iu.est を正確に算出できなくなった場合でも、他の相の電流推定値iu.est を補間することで、他の相の電流推定値iu.est が急変動することを回避する。更に、他の相の電流推定値iu.est を補間しただけでは、電流推定値iu.est の誤差(補間することによる推定誤差)によって交流モータ13のトルクF/B制御が不安定になる可能性があるが、交流モータ13の電圧位相指令値Ψを固定することで、電流推定値iu.est の誤差の影響を無くす(電流推定値iu.est の誤差による電圧位相指令値Ψの変動を防止する)ようにしている。尚、電流F/Bの正弦波PWM制御方式で交流モータ13の通電を制御する場合には、センサ相電流のゼロクロス時に、d軸及びq軸電流指令値を固定して、他の相の電流推定値を補間する。
以上説明した本実施例の電流推定は、モータ制御回路16によって図7の電流推定ルーチンに従って実行される。以下、この電流推定ルーチンの処理内容を説明する。
図7に示す電流推定ルーチンは、モータ制御回路16の電源オン期間中に所定の演算周期で繰り返し実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ101で、電流センサ15で検出したセンサ相(W相)の電流検出値iw.sns を読み込むと共に、ロータ回転位置センサ14で検出した交流モータ13のロータ回転位置mθから求めた電気角eθを読み込む。
この後、ステップ102に進み、センサ相(W相)の電流検出値iw.sns を用いて次式によりα軸電流iαを算出する。
iα=K×(3/2)×iw.sns
この後、ステップ103で、β軸電流iβを次のようにして算出する。
まず、α軸電流iαのサンプリング間隔Ts における変化量に基づいてα軸電流の微分値Δiαを次式により算出する。
Δiα=−{iα(n) −iα(n-1) }/Ts
更に、サンプリング間隔Ts の1/2の位相遅れ分に相当する補正量Hを次式により算出する。
H={iα(n) +iα(n-1) }/2×(Ts /2)
そして、α軸電流の微分値(差分値)ΔiαとTs /2の位相遅れ分に相当する補正量Hを用いて次式によりβ軸電流iβを算出する(つまりTs /2の位相遅れ分に相当する補正量Hを用いてα軸電流の微分値Δiαを補正してβ軸電流iβを求める)。
iβ=Δiα+H
この後、ステップ104に進み、α軸電流iαとβ軸電流iβを用いて次式によりセンサ相基準電流位相xθを算出する。
xθ=tan-1(iβ/iα)
この後、ステップ105に進み、センサ相基準電流位相xθに応じた推定係数fu(xθ)を上記(5)式又はマップにより算出した後、ステップ106に進み、推定係数fu(xθ)とセンサ相(W相)の電流検出値iw.sns を用いて上記(4)式により他の相(U相)の電流推定値iu.est を算出する。尚、センサ相基準電流位相xθとセンサ相(W相)の電流検出値iw.sns を用いて上記(3)式により他の相(U相)の電流推定値iu.est を算出するようにしても良い。
この後、ステップ107に進み、センサ相電流のゼロクロス時であるか否かを、センサ相(W相)の電流検出値iw.sns =0[A]であるか否かによって判定する。尚、センサ相電流のゼロクロス時であるか否かを、センサ相(W相)の電流検出値iw.sns が0[A]を含む所定範囲内(例えば、センサ相の電流検出値iw.sns の絶対値が所定値以下、或は、推定係数fu(xθ)の絶対値が所定値以上)であるか否かによって判定するようにしても良いし、センサ相の電流検出値iw.sns とセンサ相基準電流位相xθは同期していることから、センサ相基準電流位相xθの値によって判定してもよい。
このステップ107で、センサ相電流のゼロクロス時ではないと判定された場合には、ステップ108に進み、上記ステップ106で算出した他の相(U相)の電流推定値iu.est をそのまま採用する。
これに対して、上記ステップ107で、センサ相電流のゼロクロス時であると判定された場合には、ステップ109に進み、電圧位相指令値Ψを固定する。この場合、電圧位相指令値Ψを直接固定(例えば前回値に保持)するようにしても良いし、或は、トルク偏差Δtrq(図3参照)を強制的に0[N・m]にして電圧位相指令値Ψを固定するようにしても良い。
この後、ステップ110に進み、他の相(U相)の電流推定値iu.est を補間する。この場合、他の相の電流推定値iu.est を直接前回値に保持して補間するようにしても良い。或は、d軸及びq軸電流推定値id.est ,iq.est を前回値に保持して、この前回値保持したd軸及びq軸電流推定値id.est ,iq.est に基づいて他の相(U相)の電流推定値を算出する逆dq変換を実行し、この逆dq変換により得た電流推定値で他の相の電流推定値iu.est を補間するようにしても良い。尚、他の相の電流推定値iu.est を別ロジックで算出して補間するようにしても良く、他の相の電流推定値iu.est を補間する方法は適宜変更しても良い。
上記ステップ108又は上記ステップ110で他の相(U相)の電流推定値iu.est をdq変換に用いる他の相(U相)の電流推定値iu.est.fix として設定した後、ステップ111に進み、センサ相(W相)の電流検出値iw.sns と他の相(U相)の電流推定値iu.est.fix とに基づいてd軸及びq軸電流推定値id.est ,iq.est を算出するdq変換を実行する。
以上説明した本実施例では、センサ相を基準にした固定座標系(α−β座標系)におけるα軸電流iαとβ軸電流iβとに基づいてセンサ相基準電流位相xθを算出するようにしたので、センサ相を基準にした実際の電流位相xθを算出することができ、このセンサ相基準電流位相xθとセンサ相の電流検出値iw.sns とに基づいて他の相の電流推定値iu.est を算出するようにしたので、実際の電流位相xθの高調波成分や通常起こり得る変動の影響を織り込んで他の相の電流推定値iu.est を精度良く算出することができ、電流推定値iu.est の算出精度を向上させることができる。
しかも、本実施例では、α軸電流iαとβ軸電流iβの位相差が90[°](つまりα軸電流iαとβ軸電流iβがsin波とcos波の関係にある)ことに着目して、センサ相(W相)の電流検出値iw.sns に基づいてα軸電流iαを算出すると共に、α軸電流の微分値(差分値)Δiαに基づいてβ軸電流iβを算出するようにしたので、他の相の電流指令値を用いずにβ軸電流iβを算出することが可能となり、交流モータ13の通電を制御する際に電流指令値(dq軸電流指令値や三相電流指令値)を用いないシステム(例えば矩形波制御方式で交流モータ13の通電を制御するシステム)に本発明を適用することができる。
また、本実施例では、α軸電流iαのサンプリング間隔Ts における変化量に基づいてα軸電流の微分値Δiαを算出する場合、α軸電流の微分値Δiαの波形には、実際のβ軸電流iβ0 の波形に対してTs /2の位相遅れがあることを考慮に入れて、Ts /2の位相遅れ分に相当する補正量Hを用いてα軸電流の微分値Δiαを補正してβ軸電流iβを求めるようにしたので、β軸電流iβを精度良く算出することができる。尚、β軸電流iβの算出方法は、一例であり、β軸電流iβを精度良く算出可能であれば、本実施例で説明した算出方法に限定されず、適宜変更しても良い。
更に、本実施例では、他の相の電流推定値iu.est を算出する際に、センサ相基準電流位相xθに応じた推定係数fu(xθ)を算出し、この推定係数fu(xθ)をセンサ相の電流検出値iw.sns に乗算して他の相の電流推定値iu.est を求めるようにしたので、他の相の電流推定値iu.est を算出する際に、電流振幅を用いる必要がなくなり、その分、電流推定値iu.est の誤差要因を減らすことができ、電流推定値iu.est の算出精度を向上させることができる。
また、本実施例では、センサ相の電流検出値iw.sns と他の相の電流推定値iu.est とに基づいてd軸及びq軸電流推定値id.est ,iq.est を算出することで、d軸及びq軸電流推定値id.est ,iq.est を精度良く算出することができ、このd軸及びq軸電流推定値id.est ,iq.est を用いてトルクF/B制御するようにしたので、交流モータ13を安定して駆動させることができる。
また、本実施例では、一相の電流検出値を基に他の相の電流を推定している為、複数個の電流センサを用いる従来の交流モータの制御システムで発生しうる、電流センサのゲイン誤差の影響が無くなる。これにより、ゲイン誤差が引き起こす交流モータの出力トルク変動を排することができ、例えば車両用の場合は車両振動を無くすことに繋がり、車両の商品性を下げる要素を取り除くことが出来る。
尚、上記実施例では、交流モータ13の通電を制御する際に電流指令値(dq軸電流指令値や三相電流指令値)を用いないシステム(例えば矩形波制御方式で交流モータ13の通電を制御するシステム)に本発明を適用したが、これに限定されず、交流モータ13の通電を制御する際に電流指令値(dq軸電流指令値や三相電流指令値)を用いるシステム(例えば正弦波PWM制御方式で交流モータ13の通電を制御するシステム)に本発明を適用しても良い。
また、上記実施例では、Ts /2の位相遅れ分に相当する補正量Hを用いてα軸電流の微分値Δiαを補正してβ軸電流iβを求めるようにしたが、これに限定されず、例えば、サンプリング間隔Ts が十分に短く、Ts /2の位相遅れ分が十分に小さい場合には、補正を行わずにα軸電流の微分値Δiαをそのままβ軸電流iβとして採用するようにしても良い。また、α軸電流の微分値を算出する方法は、上記実施例で説明した方法に限定されず、α軸電流(sin)からβ軸電流(cos)が得られるのであれば、他の算出方法を採用しても良い。
また、上記実施例では、センサ相としてW相に流れる電流を電流センサで検出する構成としたが、これに限定されず、センサ相としてU相に流れる電流を電流センサで検出する構成としたり、或は、センサ相としてV相に流れる電流を電流センサで検出する構成としても良い。更に、上記実施例では、他の相としてU相の電流推定値を算出するようにしたが、これに限定されず、他の相としてV相の電流推定値を算出するようにしたり、或は、他の相としてW相の電流推定値を算出するようにしても良い。
また、上記実施例では、インバータと交流モータを一組のみ設けたシステムに本発明を適用したが、これに限定されず、インバータと交流モータを二組以上設けたシステムに本発明を適用しても良い。或は、電車に代表されるような1台のインバータに複数台の交流モータを並列接続させたシステムに本発明を適用しても良い。
また、本発明では、電流検出値が一相のみとなる為にdq変換が成立しなくなる対策として、他の相の電流を推定してdq変換を成立させる方法を採ったが、これに限定せず、例えば一相のみの電流検出値でも成立するdq変換式を新たに創出して対策しても良い。但し、発明者の研究の結果、どちらの方法でも数学的には同じ結果となることが判明している。
また、本発明の適用範囲は、図1に示す構成のハイブリッド車に限定されず、どのような構成のハイブリッド車や電気自動車に本発明を適用しても良く、更に、本発明は、電気自動車やハイブリッド車に搭載される交流モータの制御装置に限定されず、電気自動車やハイブリッド車以外の交流モータの制御装置にも適用可能である。
11…直流電源、12…インバータ、13…交流モータ(交流電動機)、14…ロータ回転位置センサ、15…電流センサ、16…モータ制御回路(制御手段)、17…電流推定部(電流推定手段)、18…センサ相基準電流位相検知部、19…基本波推定部、20…ゼロクロス時補間部

Claims (4)

  1. 三相の交流電動機と、該交流電動機の各相のうちの一相(以下「センサ相」という)に流れる電流を検出する電流センサとを備えた交流電動機の制御装置において、
    前記センサ相軸と同方向のα軸と該センサ相軸と直交方向のβ軸とによって設定された固定座標系におけるα軸電流とβ軸電流とに基づいて前記センサ相を基準にした電流位相(以下「センサ相基準電流位相」という)を算出し、該センサ相基準電流位相と前記電流センサで検出した前記センサ相の電流検出値とに基づいて前記センサ相以外の他の相の電流推定値を算出する電流推定手段を備え、
    前記電流推定手段は、前記センサ相の電流検出値に基づいて前記α軸電流を算出すると共に、前記α軸電流の微分値に基づいて前記β軸電流を算出することを特徴とする交流電動機の制御装置。
  2. 前記電流推定手段は、前記β軸電流を算出する際に、前記α軸電流のサンプリング間隔における変化量に基づいて前記α軸電流の微分値を算出し、該α軸電流の微分値を前記サンプリング間隔の1/2の位相遅れ分に相当する補正量を用いて補正して前記β軸電流を求めることを特徴とする請求項1に記載の交流電動機の制御装置。
  3. 前記電流推定手段は、前記他の相の電流推定値を算出する際に、前記センサ相基準電流位相に応じた推定係数を算出し、該推定係数を前記センサ相の電流検出値に乗算して前記他の相の電流推定値を求めることを特徴とする請求項1又は2に記載の交流電動機の制御装置。
  4. 前記電流推定手段は、前記センサ相の電流検出値と前記他の相の電流推定値とに基づいて前記交流電動機の回転座標系におけるd軸及びq軸電流推定値を算出し、
    前記d軸及びq軸電流推定値を用いて前記交流電動機の通電を制御する制御手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の交流電動機の制御装置。
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