JP2013159715A - 不飽和ポリエステル樹脂材料、及び不飽和ポリエステル樹脂材料を成形して成る繊維強化プラスチック成形材料 - Google Patents

不飽和ポリエステル樹脂材料、及び不飽和ポリエステル樹脂材料を成形して成る繊維強化プラスチック成形材料 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的とするところは、イタコン酸から得られる不飽和ポリエステル樹脂を含有するにもかかわらず、成形材料として相応しい特性を備える不飽和ポリエステル樹脂材料を提供することにある。
【解決手段】本発明に係る不飽和ポリエステル樹脂材料は、ポリカルボン酸とポリオールとが反応することにより生成する不飽和ポリエステル樹脂と、スチレンとを含有する。前記ポリカルボン酸が、イタコン酸を含有する。前記ポリオールが、プロピレングリコール及びジプロピレングリコールを含有する。前記プロピレングリコールと前記ジプロピレングリコールとの総量に対する前記ジプロピレングリコールの割合が、25モル%以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、不飽和ポリエステル樹脂材料、及び不飽和ポリエステル樹脂材料を成形して成る繊維強化プラスチック成形材料に関する。
熱硬化性樹脂である不飽和ポリエステル樹脂は、シートモールドコンパウンド(SMC)などの成形材料に広く用いられている。不飽和ポリエステル樹脂の原料である不飽和ジカルボン酸としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等が使用されている(特許文献1参照)。
一方、近年、資源循環を促進する観点から、植物由来の材料を工業的に使用することが求められており、このため不飽和ポリエステル樹脂の原料としても、植物由来の材料を使用することが求められている。特にイタコン酸は、植物由来の不飽和ジカルボン酸として注目されている。
特開2012−1606等公報
しかし、本発明者らが不飽和ポリエステル樹脂の原料としてイタコン酸を使用することについて検討したところ、イタコン酸は、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等と比較すると、エステル反応性が低いものであった。このため、特にイタコン酸が高分子量のポリオールと反応する場合には、反応時間が著しく長くなったり、不飽和ポリエステル樹脂の高分子量化が困難になったりするという問題がある。一方、イタコン酸とプロピレングリコールとを反応させる場合には、反応性は大きくは低下しないが、反応により得られる生成物がゲル化し易いため、生成物の高分子量化は困難であった。
そのため、イタコン酸から得られる不飽和ポリエステル樹脂をSMCなどの成形材料に適用することは困難であった。
更に、不飽和ポリエステル樹脂が成形材料に適用される場合には、成形品が脱型、移動等に耐えるために、不飽和ポリエステル樹脂の硬化物の硬度が充分に高いことも要求される。
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、イタコン酸から得られる不飽和ポリエステル樹脂を含有するにもかかわらず、成形材料として相応しい特性を備える不飽和ポリエステル樹脂材料、及びこの不飽和ポリエステル樹脂材料を用いることで得られる繊維強化プラスチック成形材料を提供することにある。
本発明に係る不飽和ポリエステル樹脂材料は、ポリカルボン酸とポリオールとが反応することにより生成する不飽和ポリエステル樹脂と、スチレンとを含有し、
前記ポリカルボン酸が、イタコン酸を含有し、
前記ポリオールが、プロピレングリコール及びジプロピレングリコールを含有し、
前記プロピレングリコールと前記ジプロピレングリコールとの総量に対する前記ジプロピレングリコールの割合が、25モル%以下である。
本発明に係る不飽和ポリエステル樹脂材料において、前記不飽和ポリエステル樹脂と前記スチレンとから成る樹脂成分のラジカル重合反応により生成する樹脂硬化物のガラス転移温度が、150℃以上であることが、好ましい。
本発明における不飽和ポリエステル樹脂材料において、前記不飽和ポリエステル樹脂と前記スチレンとから成る樹脂成分の重量平均分子量が、1万以上であることが、好ましい。
本発明における不飽和ポリエステル樹脂材料において、前記スチレンの割合が、前記不飽和ポリエステル樹脂と前記スチレンとの合計量に対して30質量%以上50質量%以下の範囲であることが、好ましい。
本発明に係る繊維強化プラスチック成形材料は、前記不飽和ポリエステル樹脂材料と繊維とを含む原料を、シート状に成形して成る。
本発明に係る不飽和ポリエステル樹脂材料は良好な反応性をもって合成され、且つ不飽和ポリエステル樹脂材料の高分子量化が容易であり、且つ不飽和ポリエステル樹脂材料のゲル化が抑制され、更に不飽和ポリエステル樹脂材料中の樹脂成分の硬化物のガラス転移温度が高くなるため、不飽和ポリエステル樹脂材料は、成形材料として相応しい特性を備える。
また、本発明に係る繊維強化プラチック成形材料は、前記のような不飽和ポリエステル樹脂材料を利用して得られるため、成形材料として相応しい特性を備える。
以下、発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る不飽和ポリエステル樹脂材料は、不飽和ポリエステル樹脂と、スチレンとを含有する。
不飽和ポリエステル樹脂は、ポリカルボン酸とポリオールとが反応することにより生成する。
尚、不飽和ポリエステル樹脂が合成される際には、ポリカルボン酸に代えて、或いはポリカルボン酸と共に、ポリカルボン酸のエステル形成性誘導体が使用されてもよい。ポリカルボン酸のエステル形成性誘導体とは、ポリオールと反応することによりエステルを形成し得る誘導体である。ポリカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、例えばポリカルボン酸の無水物、ポリカルボン酸のエステルであってポリオールとの間でエステル交換反応が可能な化合物などが、挙げられる。また、不飽和ポリエステル樹脂が合成される際には、ポリオールに代えて、或いはポリオールと共に、ポリオールのエステル形成性誘導体が使用されてもよい。ポリオールのエステル形成性誘導体とは、ポリカルボン酸と反応することによりエステルを形成し得る誘導体である。ポリオールのエステル形成性誘導体としては、例えばポリオールのエステルであってポリカルボン酸との間でエステル交換反応が可能な化合物などが、挙げられる。
本実施形態では、ポリカルボン酸が、イタコン酸を含む。このため、植物由来の材料の使用が促進され、このため資源循環が促進される。資源循環をより促進するためには、ポリカルボン酸全体に対するイタコン酸の割合が高いほど好ましい。ポリカルボン酸全体に対するイタコン酸の割合は、50モル%以上であることが好ましい。例えば、ポリカルボン酸全体に対するイタコン酸の割合が、50モル%以上95モル%以下の範囲であってよい。また、ポリカルボン酸がイタコン酸のみから成るのであれば、特に好ましい。
本実施形態において、ポリカルボン酸がイタコン酸以外の化合物を含む場合、例えばポリカルボン酸は、マレイン酸、フマル酸等の不飽和ポリカルボン酸、セバシン酸、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族飽和ポリカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ポリカルボン酸などを、含んでもよい。これらのような化合物のうち、1種のみが用いられても、2種以上が併用されてもよい。
また、本実施形態では、ポリオールが、プロピレングリコール及びジプロピレングリコールを含有する。このため、ポリカルボン酸成分とポリオール成分とが反応する際、良好な反応性が維持され、しかも生成物である不飽和ポリエステル樹脂のゲル化が抑制される。このため、不飽和ポリエステル樹脂の生産効率が良好となると共に、不飽和ポリエステル樹脂の高分子量化が容易となる。
更に、プロピレングリコールとジプロピレングリコールとの総量に対するジプロピレングリコールの割合が、25モル%以下であるため、不飽和ポリエステル樹脂とスチレンとから成る樹脂成分のラジカル重合反応により生成する樹脂硬化物のガラス転移温度が、高く維持される。このため、不飽和ポリエステル樹脂材料を利用して得られる繊維強化プラスチック成形材料などの成形材料を成形して成形品を得る際に、成形品の硬度が充分に高くなる。このため、成形品の脱型、移動等にあたっての取り扱い性が良好になる。
この樹脂硬化物のガラス転移温度は、特に150℃以上であることが好ましい。この場合、成形品の硬度が特に高くなり、このため、成形品の脱型、移動等にあたっての取り扱い性が更に良好になる。このガラス転移温度の上限は特に制限されないが、ガラス転移温度が高くなりすぎると成形品が脆くなるおそれがあるため、ガラス転移温度150℃以上200℃以下の範囲であることが好ましい。
尚、樹脂硬化物の調製方法、並びにガラス転移温度の測定方法としては、例えば後掲の実施例における「樹脂成分の硬化物のガラス転移温度評価」の欄に記載の方法が採用される。
また、プロピレングリコールとジプロピレングリコールとの総量に対するジプロピレングリコールの割合の下限は、特に制限されないが、不飽和ポリエステル樹脂の重量平均分子量を特に向上するためには、ジプロピレングリコールの割合は5モル%以上であることが好ましい。また、樹脂硬化物のガラス転移温度を効果的に向上するためには、ジプロピレングリコールの割合は10モル%以下であることが好ましい。すなわち、プロピレングリコールとジプロピレングリコールとの総量に対するジプロピレングリコールの割合は、5モル%以上25モル%以下の範囲であることが好ましく、5モル%以上10モル%以下の範囲であれば更に好ましい。
ポリオール全体に対するプロピレングリコールとジプロピレングリコールとの総量の割合が高いほど、ポリカルボン酸成分とポリオール成分との反応性が良好になると共に、不飽和ポリエステル樹脂のゲル化がより抑制される。ポリオール全体に対するプロピレングリコールとジプロピレングリコールとの総量の割合は、50モル%以上であることが好ましい。例えば、ポリオール全体に対するプロピレングリコールとジプロピレングリコールとの総量の割合は、50モル%以上95モル%以下の範囲であってよい。また、ポリオールがプロピレングリコールとジプロピレングリコールのみから成れば、特に好ましい。
本実施形態において、ポリオールがプロピレングリコールとジプロピレングリコール以外の化合物を含む場合、例えばポリオールは、脂肪族ポリオール、芳香族ポリオール等を含んでもよい。脂肪族ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、トリメチレングリコール、グリセリン、水素化ビスフェノールA等が、挙げられる。芳香族ポリオールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールS等が、挙げられる。これらのような化合物のうち、1種のみが用いられても、2種以上が併用されてもよい。
ポリカルボン酸とポリオールとを反応させることで、不飽和ポリエステル樹脂が得られる。この場合、公知の手法を採用することでポリカルボン酸とポリオールとを反応させることができる。例えば、不活性雰囲気下で、ポリカルボン酸とポリオールとを含有する混合液を加熱することで、ポリカルボン酸とポリオールとを反応させることができる。不飽和ポリエステル樹脂の合成に使用されるポリカルボン酸に対するポリオールの当量比(カルボキシル基に対するヒドロキシル基のモル比)は、0.7〜1.5の範囲であることが好ましい。尚、上述の通り、ポリカルボン酸に代えて、或いはポリカルボン酸と共に、ポリカルボン酸のエステル形成性誘導体が使用されてもよく、またポリオールに代えて、或いはポリオールと共に、ポリオールのエステル形成性誘導体が使用されてもよい。
このようにして不飽和ポリエステル樹脂を合成する際、本実施形態ではイタコン酸が使用されるにもかかわらず、良好な反応性が維持される。また生成する不飽和ポリエステル樹脂がゲル化しにくくなる。
また、不飽和ポリエステル樹脂材料中のスチレンの割合は、不飽和ポリエステル樹脂とスチレンとの合計量に対して30質量%以上50質量%以下の範囲であることが好ましい。この割合が30質量%以上であると不飽和ポリエステル樹脂材料の粘度の過度の上昇が抑制される。このため不飽和ポリエステル樹脂材料の生産性が向上する。また、この割合が50質量%以下であると、不飽和ポリエステル樹脂材料の粘度の過度の低下が抑制される。このため特にSMCが生産される場合には不飽和ポリエステル樹脂材料の良好な増粘性が確保される。
上述のとおり、本実施形態では不飽和ポリエステル樹脂の高分子量化が容易であるが、特に不飽和ポリエステル樹脂材料中の、不飽和ポリエステル樹脂とスチレンとからなる樹脂成分の重量平均分子量が、1万以上であることが好ましい。この場合、特に不飽和ポリエステル樹脂材料を含む原料を用いてSMCを得る場合に、SMCが養生により増粘しやすくなる。このため、SMCのハンドリング性が向上する。また、この重量平均分子量が1万以上80万以下であれば更に好ましい。また、この重量平均分子量が1万5千以上40万以下の範囲であれば、特に好ましい。
この不飽和ポリエステル樹脂材料を利用して成形品を得るにあたっては、まず不飽和ポリエステル樹脂材料を用いて、SMCなどの繊維強化プラスチック成形材料を調製し、この繊維強化プラスチック成形材料を成形することで成形品を得ることができる。
繊維強化プラスチック成形材料を得るために使用される原料は、不飽和ポリエステル樹脂材料と、繊維とを含むことができる。繊維としては、特に制限されないが、ガラス繊維が挙げられる。
また、繊維強化プラスチック成形材料を得るための原料は、必要に応じて種々の添加材を更に含んでもよい。原料が含むことができる添加材としては、架橋剤、硬化剤、低収縮剤、増粘剤、充填剤、着色剤、重合防止剤、重合遅延剤、硬化促進剤、減粘剤、分散調整剤、離型剤等が、挙げられる。
架橋剤としては、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等が、挙げられる。これらのような化合物のうち、1種のみが用いられても、2種以上が併用されてもよい。
硬化剤としては、例えば、t−アミルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーオキシジカーボネート類、ケトンパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、アルキルパーエステル類等が挙げられる。これらのような化合物のうち、1種のみが用いられても、2種以上が併用されてもよい。
低収縮剤としては、例えば、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、セルロース・アセテート・ブチレート、ポリカプロラクタン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。これらのような化合物のうち、1種のみが用いられても、2種以上が併用されてもよい。
増粘剤としては、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等が、挙げられる。これらのような化合物のうち、1種のみが用いられても、2種以上が併用されてもよい。
充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、マイカ、ガラスビーズ等が挙げられる。これらのような化合物のうち、1種のみが用いられても、2種以上が併用されてもよい。
着色剤としては、例えば、無機系顔料、有機系顔料等が挙げられる。これらのうち、1種のみが用いられても、2種以上が併用されてもよい。
まず、原料中の繊維を除く成分が配合されることで、成形用組成物が調製される。例えば、不飽和ポリエステル樹脂材料、低収縮剤、架橋剤、充填剤、増粘剤等が配合されることで、成形用組成物が調製される。この成形用組成物が繊維に含浸され、続いて組成物及び繊維が二枚のフィルムの間に挟まれ、更に必要に応じてローラ等で押圧される。これにより、二枚のフィルムの間に、繊維とこの繊維に含浸している成形用組成物とから構成されるシート体が、形成される。このシート体が、所定の温度、例えば35℃〜50℃の温度で、一定期間放置される。これによりシート体が養生されて増粘する。これにより、SMCが得られる。
(不飽和ポリエステル樹脂材料の調製)
攪拌機、温度計、(脱水用)冷却管、及び窒素ガスパージ配管を備える容量500mLの四ツ口セパラブルフラスコを用意した。このフラスコ内に、表1に示す分量のイタコン酸(磐田化学工業株式会社製)、プロピレングリコール(和光純薬工業株式会社製)、及びジプロピレングリコール(和光純薬工業株式会社製)を入れることで、混合液を得た。続いて、フラスコ内を窒素パージすると共に混合液を攪拌しながら、混合液をマントルヒーターで150℃まで徐々に加熱した。続いて、混合液の温度を150〜165℃の範囲に1時間以上保った。続いて、混合液を徐々に加熱してから、混合液の温度を200〜210℃の温度範囲に保った。このように混合液の温度を保ちながら、混合液内の反応生成物の酸価を適時測定した。酸価の測定は、水酸化カリウムのエタノール溶液を用いた滴定によりおこなった。酸価が約60に達したら加熱を停止して、混合液を放冷した。混合液の温度が約115℃まで低下したら、混合液内に重合防止剤(ハイドロキノン、和光純薬工業株式会社製)0.1gと、表1に示される分量のスチレン(和光純薬工業株式会社製)とを加えた。続いて、混合液を攪拌しながら60℃以下になるまで放冷した。これにより、不飽和ポリエステル樹脂材料を得た。いずれの実施例及び比較例においても、不飽和ポリエステル樹脂材料のゲル化は認められなかった。
尚、不飽和ポリエステル樹脂材料中の不飽和ポリエステル樹脂とスチレンとの合計量に対するスチレンの割合が、実施例1〜4では40質量%、実施例5では30質量%、実施例6では50質量%となるように、スチレンの使用量を調整した。
この不飽和ポリエステル樹脂材料中の樹脂成分の重量平均分子量を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。測定にあたり、GPC装置としては東ソー株式会社製の型番HLC−8220GPCを用い、カラムとして東ソー株式会社製のTSKgel Guardcolumn SuperHZ-L、TSKgel SuperHZ3000、TSKgel SuperHZ2000、及びTSKgel SuperHZ1000を用い、予備ろ過フィルターとして倉敷紡績株式会社製のクロマトディスク 13N 0.45を用いた。
この結果、後掲の表1に示される通り、実施例1〜6ではゲル化することなく高分子量の樹脂成分を含有する不飽和ポリエステル樹脂材料が得られた。特に実施例1〜3では樹脂成分の重量平均分子量が1万以上にまでなった。それに対し、比較例2では高分子量化は可能だったものの、比較例1では樹脂成分の重量平均分子量が小さかった。
尚、比較例1において、高分子量化のために酸価が50になるまで反応を進めた場合には、不飽和ポリエステル樹脂材料がゲル化してしまった。またそのため、GPCにより分子量を測定しようとしても、予備濾過時にフィルターが目詰りしてしまって、測定不能となった。
〔樹脂成分の硬化物のガラス転移温度評価〕
SUS板(1mmt)とシリコンゴムスペーサー(3mmt)を用いて、注型用金型を作製した。
不飽和ポリエステル樹脂材料100質量部、硬化促進剤(6%ナフテン酸コバルト、和光純薬工業株式会社製)0.5質量部、硬化剤(日本油脂製、品名パーメックN)1質量部、消泡剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製、品番A550)0.1質量部を順に混合することで、混合材料を得た。この混合材料を注型用金型に注型してから、室温で16時間放置した。その後恒温機を用いて70℃で1時間加熱し、続いて80℃で1時間加熱し、続いて90℃で1時間加熱し、続いて100℃で1時間加熱し、続いて110℃で1時間加熱し、続いて120℃で2時間加熱し、続いて室温まで徐冷した。これにより得られた硬化物を注型金型から脱型した。この硬化物を恒温機で120℃で2時間加熱してから、徐冷した。
続いて、硬化物のガラス転移温度を、粘弾性スペクトロメータ(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、型番DMS6100)を用いて測定した。
この結果、後掲の表1に示される通り、実施例1〜6では硬化物のガラス転移温度が150℃以上であった。一方、比較例1ではガラス転移温度は高いものの、比較例2ではガラス転移温度が低かった。
〔SMCシートの作製及びハンドリング性の評価〕
不飽和ポリエステル樹脂材料80質量部、低収縮剤(昭和電工株式会社製、品番M−5590−2)15質量部、架橋剤(スチレンモノマー、和光純薬工業株式会社製)5質量部、無機充填剤(白石株式会社製、品番SL101)150質量部を混合することで、混合物を得た。また、増粘剤(協和化学株式会社製、商品名キョーマグ#40)1重量部と低収縮剤(昭和電工株式会社製、品番M−5590−2)5重量部とを混合することで、増粘材料を得た。続いて、混合物と増粘材料とを、250:6の質量比で混合することで、成形用組成物を得た。
この成形用組成物をガラス繊維(日東紡績株式会社製、品番RS280PB−549)に含浸させた。成形用組成物とガラス繊維との質量比は75:25とした。続いて成形用組成物及びガラス繊維を、ポリプロピレン製の二枚の保護フィルムの間に挟み、更にこれらをローラで押圧することで、二枚の保護フィルムの間にシート体を形成した。このシート体を40℃で24時間養生することで、SMCを得た。
このSMCから保護シートを剥がす際の剥がしやすさに基づいて、SMCシートのハンドリング性を評価した。すなわち、SMCから保護シートを剥がすことができた場合を「○」と評価した。一方、SMCに保護シートを強固に付着して剥がれない場合、並びに保護シートを剥がすとSMCが変形してしまった場合を、「×」と評価した。
その結果、後掲の表1に示される通り、実施例1〜3,5並びに比較例2では、ハンドリング性が良好であった。このため、実施例1〜3,5並びに比較例2では、SMCが養生により充分に増粘したものと評価できる。尚、実施例6でハンドリング性の評価が低いのは、不飽和ポリエステル樹脂材料中のスチレンの割合が高いにもかかわらず実施例1等と同じ評価用の配合組成でSMCを調製したことで、ベタ付きが発生したためであると、推察される。すなわち、実施例6でハンドリング性の評価が低いのは、増粘性が低いからではなく、SMCの組成が不飽和ポリエステル樹脂材料の組成に適合していなかったためである。
Figure 2013159715
これらの評価結果によると、実施例1〜4では、いずれも樹脂成分の高分子量化が可能であり、且つ樹脂成分の硬化物のガラス転移温度が高いものであった。更に、実施例1〜3ではSMCのハンドリング性が良好であった。これに対し、比較例1では樹脂成分の高分子量化が困難であり、比較例2では樹脂成分の硬化物のガラス転移温度が低くなった。

Claims (5)

  1. ポリカルボン酸とポリオールとが反応することにより生成する不飽和ポリエステル樹脂と、スチレンとを含有し、
    前記ポリカルボン酸が、イタコン酸を含有し、
    前記ポリオールが、プロピレングリコール及びジプロピレングリコールを含有し、
    前記プロピレングリコールと前記ジプロピレングリコールとの総量に対する前記ジプロピレングリコールの割合が、25モル%以下である不飽和ポリエステル樹脂材料。
  2. 前記不飽和ポリエステル樹脂と前記スチレンとから成る樹脂成分のラジカル重合反応により生成する樹脂硬化物のガラス転移温度が、150℃以上である請求項1に記載の不飽和ポリエステル樹脂材料。
  3. 前記不飽和ポリエステル樹脂と前記スチレンとから成る樹脂成分の重量平均分子量が、1万以上である請求項1又は2に記載の不飽和ポリエステル樹脂材料。
  4. 前記スチレンの割合が、前記不飽和ポリエステル樹脂と前記スチレンとの合計量に対して30〜50質量%の範囲である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の不飽和ポリエステル樹脂材料。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の不飽和ポリエステル樹脂材料と繊維とを含む原料を、シート状に成形して成る繊維強化プラスチック成形材料。
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