JP2013142301A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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栄二 村瀬
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崇博 塚越
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Abstract

【課題】この発明は、始動時にアルコール濃度の推定誤差が存在したとしても、燃焼性を良好に保持することを目的とする。
【解決手段】ECU50は、機関始動時に吸気通路噴射と筒内噴射とを併用する場合において、吸気通路噴射弁26から噴射しようとする燃料のうち輸送遅れが許容限度を超える燃料を、輸送遅れ増量として筒内噴射弁28から噴射する。これにより、燃料中のアルコール濃度を推定するときに推定誤差が生じた場合でも、始動性が向上する筒内噴射量を増加させることができる。従って、吸気通路噴射量や輸送遅れ増量に対する推定誤差の影響を抑制し、始動時の燃焼性を良好に保持することができる。また、吸気通路噴射の輸送遅れにより生じる空燃比の変動や排気エミッションの悪化を抑制し、始動性及び排気特性を向上させることができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、例えばFFV(Flexible-Fuel Vehicle)等の車両に搭載され、アルコール燃料を使用する内燃機関の制御装置に関する。
従来技術として、例えば特許文献1(特開2006−214415号公報)に開示されているように、アルコール燃料を使用する内燃機関に適用され、吸気通路噴射弁から吸気通路(吸気ポート)に燃料を噴射する吸気通路噴射と、筒内噴射弁から燃焼室内(筒内)に燃料を噴射する筒内噴射とを実行する内燃機関の制御装置が知られている。従来技術では、始動時に筒内噴射を実行し、始動後には、運転状態に応じて吸気通路噴射と筒内噴射とを使い分ける噴き分け制御を実行する。筒内噴射によれば、吸気通路噴射と比較して始動を早く行うことができる。
一方、他の従来技術として、特許文献2(特開2009−191806号公報)には、吸気通路噴射を行う場合に、噴射された燃料が筒内に達するまでの輸送遅れを考慮して、噴射燃料を増量する制御(輸送遅れ増量)が開示されている。この制御では、燃料中のアルコール濃度に応じて噴射燃料の増量値を設定する。
特開2006−214415号公報 特開2009−191806号公報 特開2011−1848号公報
上述した従来技術では、機関始動時(始動時)に燃料中のアルコール濃度が高い場合、即ち、多量の燃料噴射が要求される場合に、筒内噴射のみでは燃料を噴射し切れないことがある。この状態を回避するためには、例えば始動当初の段階で筒内噴射を実行し、その後に吸気通路噴射を併用する方法が考えられる。しかし、始動時には、水温が低くてアルコール燃料が気化し難いことが多い。このため、吸気通路噴射を行う場合には、特許文献2に記載されているように、吸気通路噴射の輸送遅れを考慮して、燃料中のアルコール濃度に応じて吸気通路噴射量を増量させる制御(輸送遅れ増量)を実行する必要がある。
一方、始動時には、給油等により燃料中のアルコール濃度が変化していると、制御装置側で認識しているアルコール濃度の推定値(検出値)と、実際のアルコール濃度との間にずれが生じる場合がある。この場合には、誤差を含んだアルコール濃度に基いて吸気通路噴射量や輸送遅れ増量が設定されることになり、燃焼性が悪化するという問題がある。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、始動時にアルコール濃度の推定誤差が存在したとしても、燃焼性を良好に保持することが可能な内燃機関の制御装置を提供することにある。
第1の発明は、ガソリン及びアルコール燃料を使用する内燃機関に搭載され、吸気通路に燃料を噴射する吸気通路噴射弁と、
内燃機関に搭載され、筒内に燃料を噴射する筒内噴射弁と、
燃料中のアルコール濃度を取得するアルコール濃度取得手段と、
機関始動時に前記筒内噴射弁を駆動して筒内噴射を実行する筒内噴射制御手段と、
前記吸気通路への燃料噴射が必要と判断される場合に、前記吸気通路噴射弁を駆動して吸気通路噴射を併用する吸気通路噴射併用手段と、
機関始動時に前記吸気通路噴射弁から噴射しようとする燃料のうち、噴射されてから筒内に到達するまでの輸送遅れが許容限度を超える燃料を、輸送遅れ増量として前記筒内噴射弁から噴射する輸送遅れ増量振替手段と、
を備えることを特徴とする。
第2の発明によると、前記輸送遅れ増量は、燃料中のアルコール濃度が高いほど大きくなるように設定する構成としている。
第3の発明によると、前記輸送遅れ増量は、機関始動時のサイクル数が増加するにつれて徐々に減少させる構成としている。
第4の発明によると、前記輸送遅れ増量の減少度合いは、燃料中のアルコール濃度が高いほど大きくなるように設定する構成としている。
第5の発明によると、燃料中のアルコール濃度が所定の判定値よりも低い場合には、前記輸送遅れ増量に相当する燃料を前記吸気通路噴射弁から噴射する構成としている。
第1の発明によれば、吸気通路噴射と筒内噴射とを併用するサイクル(運転領域)において、アルコール濃度の推定誤差が生じた場合でも、始動性が向上する筒内噴射量を増加させることができる。これにより、吸気通路噴射量や輸送遅れ増量に対する推定誤差の影響を抑制し、始動時の燃焼性を良好に保持することができる。また、吸気通路噴射の輸送遅れにより生じる空燃比の変動や排気エミッションの悪化を抑制し、始動性及び排気特性を向上させることができる。
第2の発明によれば、燃料中のアルコール濃度が高いほど、輸送遅れ増量を大きな値に設定することができる。即ち、吸気通路噴射量は、アルコール濃度が高くなるほど増加する傾向があるので、これに合わせて輸送遅れ増量を増加させることにより、アルコール濃度に応じて輸送遅れ増量を適切に変化させることができる。
第3の発明によれば、機関始動時のサイクル数が増加するにつれて、輸送遅れ増量を徐々に減少させることができる。これにより、輸送遅れ増量の急変を防止することができるので、空燃比を安定した状態で連続的に変化させることができ、燃焼性や排気エミッションをより改善することができる。
第4の発明によれば、燃料中のアルコール濃度が高いほど、輸送遅れ増量の減少度合いを大きな値に設定することができる。これにより、アルコール濃度が高いほど、輸送遅れ増量をサイクル毎に大きく減少させることができる。従って、必要十分な量の輸送遅れ増量を確保しつつ、高アルコール濃度の燃料の温度上昇時に生じる空燃比のオーバーリッチを抑制することができる。
第5の発明によれば、燃料中のアルコール濃度が所定の判定値以下の場合には、輸送遅れ増量に相当する燃料を吸気通路噴射弁から噴射することができる。即ち、燃料中のアルコール濃度が前記判定値よりも低い場合には、吸気通路噴射量が少ないので、アルコール濃度の推定誤差が存在したとしても、当該推定誤差により吸気通路噴射量に生じる誤差は、アルコール濃度が高い場合と比較して小さくなる。この場合には、アルコール濃度の推定誤差を無視し、目標吸気通路噴射に対して輸送遅れ増量に相当する燃料を加算することにより、混合気の均一性を優先して向上させることができ、PM(粒子状物質)の排出を抑制することができる。
本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための全体構成図である。 アルコール濃度が零の燃料(ガソリン)を使用した場合において、各気筒の燃料噴射状態を示す説明図である。 アルコール燃料を使用した場合において、機関始動時の各気筒の燃料噴射状態を示す説明図である。 本発明の実施の形態1において、ECUにより実行される制御のフローチャートである。 本発明の実施の形態2において、機関始動時の各気筒の燃料噴射状態を示す説明図である。 本発明の実施の形態3において、機関始動時の各気筒の燃料噴射状態を示す説明図である。 本発明の実施の形態4において、機関始動時の各気筒の燃料噴射状態を示す説明図である。
実施の形態1.
[実施の形態1の構成]
以下、図1乃至図5を参照して、本発明の実施の形態1について説明する。図1は、本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための全体構成図である。本実施の形態のシステムは、FFV等の車両に搭載される内燃機関として多気筒型のエンジン10を備えている。エンジン10は、例えばメタノール、エタノール等を含むアルコール燃料及びガソリンが使用可能となっている。なお、図1は、エンジン10に搭載された複数気筒のうちの1気筒を例示したものである。エンジン10の各気筒には、ピストン12により燃焼室14が形成されており、ピストン12はクランク軸16に連結されている。また、エンジン10は、各気筒に吸入空気を吸込む吸気通路18を備えており、吸気通路18には、吸入空気量を調整する電子制御式のスロットルバルブ20が設けられている。
一方、エンジン10は、各気筒の排気ガスを排出する排気通路22を備えており、排気通路22には、排気ガスを浄化する三元触媒等の触媒24が設けられている。また、エンジンの各気筒は、吸気通路18(吸気ポート)に燃料を噴射する吸気通路噴射弁26と、燃焼室14内(筒内)に燃料を噴射する筒内噴射弁28と、混合気に点火する点火プラグ30と、吸気通路18を筒内に対して開閉する吸気バルブ32と、排気通路22を筒内に対して開閉する排気バルブ34とを備えている。
また、本実施の形態のシステムは、エンジンの制御に必要な各種のセンサを含むセンサ系統と、エンジンの運転状態を制御するECU(Engine Control Unit)50とを備えている。まず、センサ系統について述べると、クランク角センサ40は、クランク軸16の回転に同期した信号を出力するもので、エアフローセンサ42は、エンジンの吸入空気量を検出する。また、水温センサ44は、機関温度の一例として、エンジン冷却水の温度(エンジン水温)を検出し、吸気温センサ46は、吸入空気の温度(外気温度)を検出する。アルコール濃度センサ48は、燃料中のアルコール濃度を検出するもので、本実施の形態のアルコール濃度取得手段を構成している。センサ系統には、この他にも各種のセンサが含まれており、これらのセンサはECU50の入力側に接続されている。また、ECU50の出力側には、スロットルバルブ20、燃料噴射弁26,28、点火プラグ30等のアクチュエータが接続されている。
そして、ECU50は、センサ系統により検出したエンジンの運転情報に基いて各アクチュエータを駆動し、運転制御を行う。具体的には、クランク角センサ40の出力に基いて、各気筒の行程(ピストン12の位置)を判別する気筒判別を実行し、また、エンジン回転数(機関回転数)とクランク角とを検出する。なお、気筒判別は始動時にのみ行われる。また、ECU50は、エアフローセンサ42により吸入空気量を検出し、エンジン回転数と吸入空気量とに基いて負荷率(機関負荷)を算出する。そして、吸入空気量、機関負荷、エンジン水温、燃料中のアルコール濃度、エンジンの加減速状態等のパラメータに基いて、公知の方法により総燃料噴射量を算出する。
ここで、総燃料噴射量は、吸気通路噴射弁26から噴射(吸気通路噴射)する燃料噴射量の目標値(目標吸気通路噴射量)と、筒内噴射弁28から噴射(筒内噴射)する燃料噴射量の目標値(目標筒内噴射量)との総和である。そして、ECU50は、エンジンの運転状態や温度状態等に応じて、吸気通路噴射と筒内噴射の何れか一方または両方を実行する。詳しく述べると、何れか一方の噴射を実行する場合には、該当する噴射弁から総燃料噴射量に対応する量の燃料を噴射する。また、両方の噴射を実行する場合には、エンジンの運転状態等に基いて噴射弁26,28による燃料噴射量の比率(噴射比率)を算出する。そして、噴射比率と総燃料噴射量とに基いて、目標吸気通路噴射量及び目標筒内噴射量を算出し、これらの目標噴射量に対応する量の燃料を噴射弁26,28からそれぞれ噴射する。また、ECU50は、エンジンの運転状態等に応じて点火時期を決定し、点火プラグ30を駆動することにより、各気筒で混合気を燃焼させる。
[実施の形態1の特徴]
アルコール燃料は揮発性が低く、燃料噴射量が増加する傾向があり、この傾向は、特に始動時に顕著となる。このため、始動時には、アルコール燃料を筒内に直接噴射して燃焼性を向上させたいという要求がある。しかし、燃料中のアルコール濃度が高い場合には、筒内噴射のみで燃料を噴射し切れないことがあり、吸気通路噴射の併用が必要となる。この場合には、例えば気筒判別後の1サイクル目に筒内噴射を実行し、2サイクル目以降は吸気通路噴射を併用するのが好ましい。但し、吸気通路噴射の実行時には、燃料が噴射されてから筒内に到達するまでの間に時間差(輸送遅れ)が存在する。このため、本実施の形態では、機関始動時に吸気通路噴射弁26から噴射しようとする燃料のうち輸送遅れが許容限度を超える燃料を、輸送遅れ増量として筒内噴射弁28から噴射する。
ここで、輸送遅れが許容限度を超える燃料とは、吸気通路噴射弁26から噴射されたとしても、輸送遅れにより筒内に到達するのが遅延し、意図したサイクルで燃焼させることができない燃料として定義される。詳しく述べると、アルコール燃料を用いた始動時には、目標吸気通路噴射量が増加する傾向があり、この傾向は、燃料中のアルコール濃度が高いほど、また、始動時の機関温度が低いほど顕著となる。そして、目標吸気通路噴射量が極端に増加した場合には、燃料の噴射期間が長くなるので、例えば噴射期間の最後に噴射された燃料は、吸気行程の終了前に筒内に流入することができず、輸送遅れが許容限度を超えた状態となる。このような燃料は、意図したサイクルでの燃焼に寄与しないので、空燃比の制御性や排気エミッションを悪化させる要因となる。
そこで、本実施の形態では、機関始動時に吸気通路噴射と筒内噴射とを併用する場合に、噴射燃料の輸送遅れを考慮した制御(輸送遅れ補正制御)を実行する。輸送遅れ補正制御では、目標吸気通路噴射量のうち輸送遅れが許容限度を超える燃料を、目標吸気通路噴射量に加算せず(目標吸気通路噴射量から減算し)、この燃料を輸送遅れ増量として目標筒内噴射量に加算する。以下、図2及び図3を参照して、本実施の形態の燃料噴射制御について具体的に説明する。これらの図では、6気筒エンジンを例に挙げ、燃料噴射が実行される順番に従って各気筒に番号(#1〜#6)を付している。
(ガソリンの使用時)
図2は、アルコール濃度が零の燃料(ガソリン)を使用した場合において、各気筒の燃料噴射状態を示す説明図である。ガソリンの使用時には、機関始動時(気筒判別後)の少なくとも1サイクル目において、筒内噴射のみを実行し、燃料を筒内に直接噴射することにより始動性を向上させる。次に、2サイクル目には、吸気通路噴射と筒内噴射とを併用する。特に、燃料中のアルコール濃度が高い状態での低温始動時には、総燃料噴射量の増加が顕著となり、筒内噴射だけでは必要量の燃料を噴射し切れない場合がある。このような点を考慮して、2サイクル目では、吸気通路噴射と筒内噴射とを併用する。なお、燃料中のアルコール濃度が筒内噴射のみで対応可能となる基準値よりも低い場合には、2サイクル目以降にも、吸気通路噴射を実行せずに筒内噴射のみを実行する構成としてもよい。
また、初回の吸気通路噴射では、比較的多量の噴射燃料が吸気通路の壁面に付着するので、燃焼に寄与する燃料の量が相対的に減少する傾向がある。このため、2サイクル目においては、目標吸気通路噴射量に対して壁面付着燃料量を加算する制御(壁面付着量補正制御)を実行する。ここで、壁面付着燃料量は、吸気通路に噴射した燃料のうち壁面に付着する燃料の量に対応するもので、目標吸気通路噴射量、エンジン水温、燃料中のアルコール濃度等に基いて公知の方法により算出される。3サイクル目以降においては、例えば吸気通路の壁面に付着する燃料と壁面から気化する燃料が一定の平衡状態に達すると考えられるので、壁面付着量補正制御を停止する。
(アルコール燃料の使用時)
次に、図3は、アルコール燃料を使用した場合において、機関始動時の各気筒の燃料噴射状態を示す説明図である。アルコール燃料を使用した場合にも、ガソリンの場合と同様に、1サイクル目に筒内噴射を実行する。また、2サイクル目以降には、吸気通路噴射と筒内噴射とを併用し、2サイクル目には壁面付着量補正制御を実行する。しかし、アルコール燃料の場合には、目標吸気通路噴射量がガソリンと比較して大きくなるので、2サイクル目においては、目標吸気通路噴射量のうち吸気通路噴射弁26から噴射しても当該サイクルの燃焼に間に合わない燃料、即ち、輸送遅れが許容限度を超える燃料が生じることになる。このため、ECU50は、輸送遅れ補正制御を実行する。
輸送遅れ補正制御では、まず、目標吸気通路噴射量のうち、輸送遅れが許容限度を超える燃料の量を輸送遅れ増量として算出する。そして、目標吸気通路噴射量を輸送遅れ増量の分だけ減少させ、目標筒内噴射量を輸送遅れ増量の分だけ増加させる。ここで、輸送遅れ増量は、例えば吸気通路に噴射された燃料が筒内に到達するまでの挙動をモデル化した公知の計算モデル等を用いることより、エンジン回転数、負荷率、目標吸気通路噴射量、燃料中のアルコール濃度、燃料の輸送遅れに対応する時定数等のパラメータに基いて算出される。なお、図3では、例えば2,3サイクル目において輸送遅れ補正制御が実行され、筒内噴射量に対して輸送遅れ増量(白抜き部分)が加算される場合を例示している。
輸送遅れ補正制御によれば、吸気通路噴射と筒内噴射とを併用するサイクル(運転領域)において、アルコール濃度の推定誤差が生じた場合でも、始動性が向上する筒内噴射量を増加させることができる。これにより、吸気通路噴射量や輸送遅れ増量に対する推定誤差の影響を抑制し、始動時の燃焼性を良好に保持することができる。また、目標吸気通路噴射量のうち輸送遅れが許容限度を超える燃料を、輸送遅れ増量として目標筒内噴射量に加算し、この燃料を目標吸気通路噴射量から減算することができる。即ち、燃料中のアルコール濃度が高い場合でも、吸気通路噴射では輸送遅れが生じる分の燃料を、輸送遅れが生じない筒内噴射に振替えることができる。そして、吸気ポート側で気化することで空燃比荒れの要因となる燃料が筒内に流入するのを減少させることができる。従って、吸気通路噴射の輸送遅れにより生じる空燃比の変動や排気エミッションの悪化を抑制し、始動性及び排気特性を向上させることができる。
また、輸送遅れ補正制御は、例えば燃料中のアルコール濃度が所定の判定値以上の場合に実行される。この判定値は、許容限度を超える輸送遅れが発生するようなアルコール濃度の最小値等に対応して設定される。アルコール濃度が前記判定値以上の場合には、目標吸気通路噴射量が増加し、輸送遅れが許容限度を超える燃料が生じるので、輸送遅れ補正制御を実行する。一方、アルコール濃度が前記判定値よりも低い場合には、許容限度を超える輸送遅れが発生するほど目標吸気通路噴射量が増加しないので、輸送遅れ補正制御を実行せず、輸送遅れ増量に相当する燃料を吸気通路噴射弁26から噴射する。これにより、次のような作用効果を得ることができる。
燃料中のアルコール濃度が前記判定値よりも低い場合には、吸気通路噴射量が少ないので、アルコール濃度の推定誤差が存在したとしても、当該推定誤差により吸気通路噴射量に生じる誤差は、アルコール濃度が高い場合と比較して小さくなる。この場合には、アルコール濃度の推定誤差を無視し、目標吸気通路噴射に対して輸送遅れ増量に相当する燃料を加算することにより、混合気の均一性を優先して向上させることができ、PM(粒子状物質)の排出を抑制することができる。なお、図3は、燃料中のアルコール濃度が前記判定値以上の場合を例示したものである。
また、輸送遅れ増量は、燃料中のアルコール濃度が高いほど、大きくなるように設定する。目標吸気通路噴射量は、アルコール濃度が高くなるほど増加する傾向があり、これに伴って目標吸気通路噴射量のうち輸送遅れが許容限度を超える燃料の量も増加する。従って、本実施の形態によれば、燃料中のアルコール濃度に応じて輸送遅れ増量を適切に変化させることができる。なお、輸送遅れ補正制御は、燃料中のアルコール濃度、目標吸気通路噴射量の大きさ等に基いて必要と判断される場合に実行される。即ち、図3に示す輸送遅れ補正制御の実行タイミング(2,3サイクル目)は、一例を示すものに過ぎず、本発明は、この実行タイミングに限定されるものではない。また、輸送遅れ補正制御は、例えば目標吸気通路噴射量が輸送遅れ増量を必要としない量まで減少した場合に終了される。
[実施の形態1を実現するための具体的な処理]
次に、図4を参照して、上述した制御を実現するための具体的な処理について説明する。図4は、本発明の実施の形態1において、ECUにより実行される制御のフローチャートである。この図に示すルーチンでは、まず、ステップ100において、イグニッションスイッチ(IG)がONであるか否かを判定し、ONである場合には、ステップ102に移行する。そして、ステップ102,104,106では、センサ系統の出力に基いて、エンジン水温ethw、外気(環境)温度etha、燃料中のアルコール濃度ealchをそれぞれ算出する。なお、アルコール濃度ealchは、アルコール濃度センサ48を使用せずに、排気空燃比等に基いて推定する構成としてもよい。
次に、ステップ108では、スタータスイッチがONであるか否かを判定し、ONである場合には、ステップ110に移行する。ステップ110では、スタータモータを駆動してクランキングを実行(開始)しつつ、クランク角センサ40の出力に基いてクランク角の検出及び気筒判別を実行する。次に、ステップ112では、前述のように、まず、総燃料噴射量(基本噴射量)を算出し、何サイクル目であるかに応じて目標吸気通路噴射量及び/又は筒内噴射量を算出する。また、ステップ112では、例えば2サイクル目である場合に、壁面付着燃料量を算出し、その算出結果を目標吸気通路噴射量に加算する。
次に、ステップ114では、燃料中のアルコール濃度等に基いて輸送遅れ増量を算出する。そして、アルコール濃度が前記判定値以上の場合には、算出した輸送遅れ増量を目標筒内噴射量に加算する。また、アルコール濃度が前記判定値よりも低い場合には、輸送遅れ増量を目標吸気通路噴射量に加算する。次に、ステプ116では、ステップ112〜114の算出結果と、何サイクル目であるかとに応じて吸気通路噴射及び/又は筒内噴射を実行する。なお、上記ルーチンによりエンジンが自立運転に移行した後には、エンジンの運転状態に応じて吸気通路噴射と筒内噴射の何れかを実行するか、または両者を併用して噴射比率を可変に設定する噴き分け制御が実行される。
前記実施の形態1では、図4中のステップ116が請求項1における筒内噴射制御手段及び吸気通路噴射併用手段の具体例を示し、ステップ114が輸送遅れ増量振替手段の具体例を示している。
実施の形態2.
次に、図5を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態では、前記実施の形態1と同様の構成及び制御に加えて、機関始動時のサイクル数が増加するにつれて輸送遅れ増量を徐々に減少させることを特徴としている。なお、本実施の形態では、実施の形態1と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
[実施の形態2の特徴]
図5は、本発明の実施の形態2において、機関始動時の各気筒の燃料噴射状態を示す説明図である。この図は、燃料中のアルコール濃度が前記判定値以上の場合(図3と同様の場合)を例示している。図5に示すように、本実施の形態では、機関始動時のサイクル数が増加する(サイクルが進行する)毎に、輸送遅れ増量を徐々に減少させる。本実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることができる。
前記実施の形態1では、目標吸気通路噴射量が輸送遅れ増量を必要としない量まで減少した場合に、輸送遅れ補正制御を終了し、輸送遅れ増量を零に設定する。しかし、輸送遅れ補正制御を急激に停止した場合には、空燃比が急変して不連続となり、エンジン回転数や排気エミッションが不安定となる虞れがある。これに対し、本実施の形態では、図5に示すように、輸送遅れ増量、即ち、筒内噴射量を徐々に減少させることができる。これにより、前記実施の形態1による作用効果に加えて、空燃比を安定した状態で連続的に変化させることができ、燃焼性や排気エミッションをより改善することができる。
実施の形態3.
次に、図6を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態では、輸送遅れ補正制御において、燃料中のアルコール濃度が前記判定値よりも低い場合に、輸送遅れ増量を吸気通路噴射量に加算する処理を例示している。なお、本実施の形態では、実施の形態1と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
[実施の形態3の特徴]
図6は、本発明の実施の形態3において、機関始動時の各気筒の燃料噴射状態を示す説明図である。輸送遅れ補正制御では、前記図3に示すように、燃料中のアルコール濃度が前記判定値以上の場合に、輸送遅れ増量を目標筒内噴射量に加算する。一方、燃料中のアルコール濃度が前記判定値よりも低い場合には、図6に示すように、輸送遅れ増量を目標吸気通路噴射量に加算する。このような処理を行う理由については前述の通りである。即ち、本実施の形態によれば、燃料中のアルコール濃度が前記判定値よりも低い場合には、アルコール濃度の推定誤差等が存在したとしてもこれを無視し、目標吸気通路噴射に対して輸送遅れ増量に相当する燃料を加算することにより、混合気の均一性を優先して向上させることができる。
実施の形態4.
次に、図7を参照して、本発明の実施の形態4について説明する。本実施の形態では、輸送遅れ補正制御において、輸送遅れ増量の減少度合いを、燃料中のアルコール濃度が高いほど大きくなるように設定したことにある。なお、本実施の形態では、実施の形態1と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
[実施の形態4の特徴]
図7は、本発明の実施の形態4において、機関始動時の各気筒の燃料噴射状態を示す説明図である。この図の下部側は、輸送遅れ補正制御により各気筒の吸気通路噴射量に輸送遅れ増量を加算する動作を示している。また、図7の上部側は、2サイクル目において各気筒の吸気通路噴射量に加算した輸送遅れ増量を徐々に減少させる動作を示している。この図に示すように、本実施の形態では、前記実施の形態2とほぼ同様に、機関始動時のサイクル数が増加する(サイクルが進行する)毎に、輸送遅れ増量を徐々に減少させる。そして、輸送遅れ増量を減少させるときの減少度合い(輸送遅れ増量の時間的な減少割合)を、燃料中のアルコール濃度が高いほど大きくなるように設定している。
本実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることができる。アルコール燃料は低温時の揮発性が低いものの、温度が沸点を超えると急激に蒸発する特性がある。このため、燃料中のアルコール濃度が高いほど、温度が沸点を超えた場合の燃料の蒸発量が急増し、空燃比がオーバーリッチとなり易い。一方、燃料中のアルコール濃度が低い場合に、輸送遅れ増量を急減させると、輸送遅れ増量の効果が十分に発揮されない虞れがある。これに対し、本実施の形態では、燃料中のアルコール濃度が高いほど、輸送遅れ増量をサイクル毎に大きく減少させることができる。従って、前記実施の形態1,2による作用効果に加えて、必要十分な量の輸送遅れ増量を確保しつつ、高アルコール濃度の燃料の温度上昇時に生じる空燃比のオーバーリッチを抑制することができる。
また、本実施の形態では、輸送遅れ増量を徐々に減少させるので、前記実施の形態2と同様に、空燃比を安定した状態で連続的に変化させることができ、燃焼性や排気エミッションをより改善することができる。なお、本実施の形態では、各気筒の目標吸気通路噴射量に加算した輸送遅れ増量を徐々に減少させる場合を例示した。しかし、本発明はこれに限らず、各気筒の目標筒内噴射量に加算した輸送遅れ増量を徐々に減少させ、その減少割合を燃料中のアルコール濃度が高いほど大きくなるように設定してもよい。
10 エンジン
12 ピストン
14 燃焼室
16 クランク軸
18 吸気通路
20 スロットルバルブ
22 排気通路
24 触媒
26,28 燃料噴射弁
30 点火プラグ
32 吸気バルブ
34 排気バルブ
40 クランク角センサ
42 エアフローセンサ
44 水温センサ
46 吸気温センサ
48 アルコール濃度センサ(アルコール濃度取得手段)
50 ECU

Claims (5)

  1. ガソリン及びアルコール燃料を使用する内燃機関に搭載され、吸気通路に燃料を噴射する吸気通路噴射弁と、
    内燃機関に搭載され、筒内に燃料を噴射する筒内噴射弁と、
    燃料中のアルコール濃度を取得するアルコール濃度取得手段と、
    機関始動時に前記筒内噴射弁を駆動して筒内噴射を実行する筒内噴射制御手段と、
    前記吸気通路への燃料噴射が必要と判断される場合に、前記吸気通路噴射弁を駆動して吸気通路噴射を併用する吸気通路噴射併用手段と、
    機関始動時に前記吸気通路噴射弁から噴射しようとする燃料のうち、噴射されてから筒内に到達するまでの輸送遅れが許容限度を超える燃料を、輸送遅れ増量として前記筒内噴射弁から噴射する輸送遅れ増量振替手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記輸送遅れ増量は、燃料中のアルコール濃度が高いほど大きくなるように設定する構成としてなる請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記輸送遅れ増量は、機関始動時のサイクル数が増加するにつれて徐々に減少させる構成としてなる請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記輸送遅れ増量の減少度合いは、燃料中のアルコール濃度が高いほど大きくなるように設定する構成としてなる請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 燃料中のアルコール濃度が所定の判定値よりも低い場合には、前記輸送遅れ増量に相当する燃料を前記吸気通路噴射弁から噴射する構成としてなる請求項1乃至4のうち何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
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