JP2013132138A - ロータ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁石が埋設されるコア及び磁石の抜止めを行うコアを構成する各コアシートを、同一の金型を用いて容易に形成可能なロータ及びその製造方法を提供することを目的としている。
【解決手段】ロータコア11に設けられた複数の磁石孔12に磁石2が埋設され、異なる極性の磁極Pがその回転方向に交互に配置されたロータ10において、ロータコア11は、軸方向に貫通する複数の磁石孔12を有する円筒状の第1コア11aと、第1コア11aの一端面又は他端面あるいは両端面に積層され、軸方向に貫通する複数の空孔13を有するとともに、内径及び外径の寸法が第1コア11aと同一である円筒状の第2コア11bとを備える。空孔13の数及びその孔幅を磁石孔12の数及びその孔幅と同一とし、空孔13の周縁近傍における第2コア11bの一部により、磁石孔12に埋設された磁石2の一部を覆う。
【選択図】図1

Description

本発明は、ラジアルギャップ型回転電機に用いられるロータ及びその製造方法に関するものである。
ラジアルギャップ型回転電機は、回転軸を中心として回転可能に配設されたロータと、このロータの径方向にギャップを隔てて配設されたステータとを備える回転電機である。かかる回転電機の一つとして、埋込磁石型(IPM:Interior Permanent Magnet)と呼ばれる回転電機が知られている。埋込磁石型回転電機は、電磁鋼板を所定形状に形成した多数枚のコアシートを回転軸の軸方向に積層して成るロータコアに設けられた複数の磁石孔に永久磁石等の磁石が埋設され、異なる極性の磁極がその回転方向に交互に配置されたロータを備えている。
従来、埋込磁石型回転電機のロータにおいては、磁束漏れの抑制及び磁極の短絡防止のために、ロータコアの軸方向における両端に非磁性体の端板を設けて磁石の抜止めを行っていた。ところが、端板の材料となる非磁性体は磁性体に比べて高価であるため、材料コストが高くなる。また、ロータの製造工程において、ロータコアに対する端板の取付け工程が別途必要となり、工数が増加すると同時に生産コストが高くなる。このため、非磁性体の端板を磁石の抜止め手段として用いることが、製品コストを増大させる一つの要因となっていた。
そこで、磁石孔に磁石が埋設されたコア(コアa)の軸方向における端部に、磁石孔よりも孔幅が小さい磁束短絡防止用の空孔を有するコア(コアb)を配設して成るロータコアを備えたロータが下記特許文献1に開示されている。かかるロータによれば、コアaに設けられた磁石孔に埋設された磁石をコアbで覆うことで、当該コアbが端板の役割を果たす。このため、非磁性体の端板を用いることなく磁石の抜止めを行うことが可能となり、製品コストの低減を図ることができる。
しかしながら、上述したコアa及びコアbにおいては、磁石孔と空孔それぞれの孔幅が互いに異なっているため、たとえコアa及びコアbを構成する各コアシートを同じ電磁鋼板から形成する場合であっても、これらの孔を打ち抜くための専用金型が別途必要となる。したがって、専用金型の準備に要する設備コストが高くなると同時に、各コアシートの打抜き形成時における金型の切替え工数も増加し、金型の制御が煩雑になる。
特開2001−086674号公報
本発明は、かかる事情に鑑みて為されたものであり、ロータコアにおいて、磁石が埋設されるコア及び磁石の抜止めを行うコアを構成する各コアシートを、同一の金型を用いて容易に形成可能なロータ及びその製造方法を提供することを目的としている。
本発明のロータは、以下のような特徴を有する。即ち、本発明は、電磁鋼板を所定形状に形成した複数のコアシートを回転軸の軸方向に積層して成るロータコアと、該ロータコアに設けられた複数の磁石孔に埋設された複数の磁石とを備え、異なる極性の磁極がその回転方向に交互に配置されたロータであって、前記ロータコアが、軸方向に貫通する複数の前記磁石孔を有する円筒状の第1コアと、前記第1コアの一端面又は他端面あるいは両端面に積層され、軸方向に貫通する複数の空孔を有するとともに、内径及び外径の寸法が前記第1コアと同一である円筒状の第2コアと、を備え、前記空孔の数及びその孔幅が、前記磁石孔の数及びその孔幅と同一であり、前記空孔の周縁近傍における前記第2コアの一部により、前記磁石孔に埋設された前記磁石の一部が覆われている。
前記第1コア及び前記第2コアが、同一形状の前記コアシートで構成されており、前記空孔が、前記磁石孔に対して前記コアシートの面方向に相対的にずれた位置に配置されている。
前記ロータコアが、一端面から他端面にわたって軸方向に貫通し、前記第1コアと前記第2コアを固定する固定部材に設けられた所定長さの軸部が挿通される複数の軸孔を備え、前記軸孔は、前記コアシートの所定位置に形成された複数の軸孔部が、第1コア及び第2コアにわたって軸方向に連通配置されて成り、前記軸孔部が、前記第1コアにおいては、前記磁極の極中心又は周方向に隣り合う前記磁極の極間から回転方向に所定角度ずれた位置に配置されており、前記第2コアにおいては、前記磁極の極中心又は周方向に隣り合う前記磁極の極間から回転方向とは逆方向に所定角度ずれた位置に配置されている。
前記第2コアが、前記第1コアに対してn磁極ピッチ(nは整数)から所定角度だけ回転方向又はその逆方向にずれて積層されている。
前記コアシートが、前記ロータコアの一端面から他端面にわたって軸方向に貫通し、前記第1コアと前記第2コアを固定する固定部材に設けられた所定長さの軸部が挿通される複数の軸孔を構成する複数の軸孔部、又は、軸方向に隣接する各コアシートをかしめる複数の突起部を備え、前記軸孔部又は前記突起部は、前記コアシートの所定位置に設けられた第1軸孔部又は第1突起部と、前記第1軸孔部又は前記第1突起部に対してn磁極ピッチ(nは整数)から所定角度だけ回転方向又はその逆方向にずれた位置に設けられた第2軸孔部又は第2突起部と、を含んで構成され、前記第2コアにおける前記第1軸孔部又は前記第1突起部が、前記第1コアにおける前記第2軸孔部又は前記第2突起部に対応して積層されている。
前記コアシートが、前記磁石孔及び前記空孔を構成し、磁極によって周縁形状が異なる磁石孔部を備え、前記第2コアが、前記第1コアに対してn磁極ピッチ(nは整数)回転方向又はその逆方向にずれている。
前記コアシートが、前記磁石孔及び前記空孔を構成し、その周縁形状が同一であるとともに、前記磁極の極中心と前記回転軸の軸心とを通る直線に対して非対称である磁石孔部を備え、前記第1コアにおける前記磁石孔と前記第2コアにおける前記空孔が、前記直線に対して線対称に配置されている。
前記第1コア及び前記第2コアが、異なる形状の前記コアシートで構成されており、前記第1コア及び前記第2コアの平面形状は、前記磁石孔及び前記空孔の平面形状のみが互いに異なっている。
前記第2コアの前記空孔よりも径方向の外側に位置する部分が、前記第1コアの内周側に位置する前記磁石孔の周縁よりも径方向の外側に配置されている。
前記コアシートが、0.5mm以上の板厚を有する電磁鋼板から成る。
前記ロータコアの一端面又は他端面に配設された非磁性体から成る端板を備える。
前記ロータコアが、その外周面に対して径方向に所定間隔のギャップを隔てて配設されたステータと対向する対向部と、該対向部よりも軸方向の一端側又は他端側に配置され、前記ステータに対して軸方向に突出して配置された非対向部と、を有し、前記端板が、前記対向部の前記非対向部とは反対側における軸方向の端部に配設されている。
前記空孔が、前記磁石孔に対して回転方向の逆方向にずれて配置されており、前記第2コアが、前記ロータコアの外周面に対して径方向に所定間隔のギャップを隔てて配設されたステータと対向している。
また、本発明のロータの製造方法は、以下のような特徴を有する。即ち、本発明は、電磁鋼板を所定形状に形成した複数のコアシートを回転軸の軸方向に積層して成るロータコアに設けられた複数の磁石孔に磁石が埋設され、異なる極性の磁極がその回転方向に交互に配置されたロータの製造方法であって、前記電磁鋼板を準備する第1工程と、前記電磁鋼板を所定の金型で打ち抜いて、前記コアシートの周縁部を形成するとともに、軸方向に貫通する所定形状の磁石孔部を所定位置に形成する第2工程と、複数の前記コアシートを前記磁石孔部が軸方向に連通するように積層し、軸方向に貫通する複数の前記磁石孔を有する円筒状の第1コアを準備する第3工程と、複数の前記コアシートを前記磁石孔部が軸方向に連通するように積層し、又は、一の前記コアシートを準備することにより、軸方向に貫通する複数の空孔を有するとともに、内径及び外径の寸法が前記第1コアと同一である円筒状の第2コアを準備する第4工程と、前記第1コアの前記各磁石孔に前記磁石を埋設し、前記第2コアを、前記第1コアの一端面又は他端面あるいは両端面に対して所定の位置関係に配置して積層することにより、前記空孔の周縁近傍における前記第2コアの一部で、前記磁石孔に埋設された前記磁石の一部を覆う第5工程と、を備える。
前記第2工程において形成される前記コアシートはすべて同一形状であり、前記第5工程において、前記空孔を、前記磁石孔に対して前記コアシートの面方向に相対的にずれた位置に配置する。
前記第2工程が、前記ロータコアの一端面から他端面にわたって軸方向に貫通し、前記第1コアと前記第2コアを固定する固定部材に設けられた所定長さの軸部が挿通される複数の軸孔を構成する複数の軸孔部を前記コアシートの所定位置に形成する軸孔部形成工程を含み、前記軸孔部形成工程において、前記軸孔部を、前記コアシートにおける前記磁極の極中心又は周方向に隣り合う前記磁極の極間から回転方向又はその逆方向に所定角度ずれた位置に形成し、前記第5工程において、前記第2コアを、前記第1コアに対して裏返しに積層する。
前記第5工程において、前記第2コアを、前記第1コアに対してn磁極ピッチ(nは整数)から所定角度ずれた角度だけ回転方向又はその逆方向に回転させて積層する。
前記第2工程において、磁極によって周縁形状が異なる複数の前記磁石孔部を前記コアシートの所定位置に形成し、前記第5工程において、前記第2コアを、前記第1コアに対してn磁極ピッチ(nは整数)だけ回転方向又はその逆方向に回転させて積層する。
前記第2工程において、その周縁形状が同一であるとともに、前記磁極の極中心と前記回転軸の軸心とを通る直線に対して非対称である複数の前記磁石孔部を前記コアシートの所定位置に形成し、前記第5工程において、前記第2コアを前記第1コアに対して裏返しに積層する。
前記第2工程において形成される前記コアシートは、前記第1コアを構成するコアシートと、前記第2コアを構成するコアシートとで互いに異なる形状であり、前記磁石孔部のみを異なる形状に形成する。
前記第2工程において、前記金型として、前記電磁鋼板に対する打抜き位置が固定された固定金型と、前記電磁鋼板に対する打抜き位置を相対的に変え得る可動金型とが用いられ、前記固定金型により前記各コアシートの周縁部を形成するとともに、前記可動金型により前記各コアシートの磁石孔部を形成し、前記第2コアを構成するコアシートを形成するときに、前記可動金型を回転方向又はその逆方向に所定角度だけ回転させて前記磁石孔部を形成する。
前記第2工程において、前記第2コアを構成するコアシートを形成するときに、前記可動金型を前記磁石孔部の長手方向に交わる方向に沿って所定距離だけ平行移動させて前記磁石孔部を形成する。
本発明に係るロータ及びその製造方法によれば、磁石孔に磁石が埋設される第1コア及び磁石の抜止めを行う第2コアから成るロータコアにおいて、第1コアが備える磁石孔の数及びその孔幅と第2コアが備える空孔の数及びその孔幅を同一に構成したことにより、第1コア及び第2コアを構成する各コアシートを、同一の金型を用いて形成することが可能となる。これにより、専用金型の準備に要する設備コスト及び製品コストを削減することができる。また、コアシートの打抜き工程における金型の切替え工数を低減できると同時に、金型の制御が極めて容易であるため、製品の生産効率を大幅に向上させることが可能となる。
本発明において、前記第1コア及び前記第2コアを同一形状のコアシートで構成すれば、コアシートの打抜き工程を単能的に実施できるため、生産効率をさらに向上させることができる。また、同一形状のコアシートから成る第2コアにより磁石の抜止めを行う際、空孔を磁石孔に対してコアシートの面方向に相対的にずれた位置に配置すれば、磁石から第2コアへの磁束漏れが抑制される。これにより、ロータの磁気特性の劣化が効果的に低減され、回転電機の性能向上を図ることができる。
第1コア及び第2コアを構成するコアシートにおいて、各軸孔部を、第1コアにおいては、磁極の極中心又は周方向に隣り合う磁極の極間から回転方向に所定角度ずれた位置に配置し、第2コアにおいては、磁極の極中心又は周方向に隣り合う磁極の極間から回転方向とは逆方向に所定角度ずれた位置に配置すれば、第1コアに対する第2コアの相対的な位置決めを極めて容易且つ正確に行うことが可能となる。具体的には、第1コアと第2コアの対向面におけるコアシートの一面と他面の表裏関係を一致させて積層することで、固定部材の軸部を挿通するための各軸孔の位置決めを利用して、磁石孔に対する空孔の位置決めを行うことができる。これにより、磁石孔に対する空孔の位置決めを実質的に省略しながら、極めて正確な位置決めを確実に行うことができる。
第2コアを、第1コアに対してn磁極ピッチ(nは整数)から所定角度だけ回転方向又はその逆方向にずらして積層するように構成しても同様の効果を得ることができる。この場合、第1コアに対する第2コアの正確な位置決めが要求されるが、例えば、上述した軸孔を形成する軸孔部やカシメ用突起等をコアシートの所定位置に配設することにより、当該位置決めを容易且つ正確に行うことができる。
前記コアシートに周縁形状が異なる磁石孔部を形成し、第2コアを、第1コアに対してn磁極ピッチ(nは整数)回転方向又はその逆方向にずらして積層するように構成しても同様の効果を得ることができる。この場合、各コアシートに設ける磁石孔の周縁形状及び配置を異ならせることにより、上述した位置決め手段を特に設けることなく、第1コアに対する第2コアの正確な位置決めを行うことが可能となる。また、位置決め手段を特に設ける必要がないため、第2工程におけるコアシートの打抜き工程を大幅に簡略化することができる。
また、前記第1コア及び前記第2コアを異なる形状のコアシートで構成すれば、第1コアの一端面又は他端面あるいは両端面に第2コアを積層して磁石の抜止めを行う工程を簡略化することができる。具体的には、第1コア及び第2コアの平面形状を、磁石孔及び空孔の平面形状のみが互いに異なる形状にすることで、第1コアに対する第2コアの位置決めを省略することができる。
第一実施形態に係るロータを示す(a)平面図、及び(b)I−I線に沿った断面図である。 第一実施形態に係るコアシートの(a)一面を示す平面図、及び(b)他面を示す平面図である。 第二実施形態に係るロータを示す平面図である。 第二実施形態に係るコアシートを示す平面図である。 第三実施形態に係るロータを示す平面図である。 第三実施形態に係るコアシートを示す平面図である。 第三実施形態に係るロータの変形例を示す平面図、及びIIa−IIa線に沿った断面図である。 第三実施形態に係るコアシートの変形例を示す平面図、及びIIb−IIb線に沿った断面図である。 第四実施形態に係るロータを示す平面図である。 第四実施形態に係るコアシートを示す平面図である。 第四実施形態に係るロータの第一変形例を示す平面図である。 第四実施形態に係るコアシートの第一変形例を示す平面図である。 第四実施形態に係るロータの第二変形例を示す平面図である。 第四実施形態に係るコアシートの第二変形例を示す平面図である。 第四実施形態に係るロータの第三変形例を示す(a)平面図、及び(b)III−III線に沿った断面図である。 第四実施形態に係るコアシートの第三変形例を示す平面図である。 第四実施形態に係るロータの第四変形例を示す平面図である。 第四実施形態に係るコアシートの第四変形例を示す平面図である。 第四実施形態に係るロータの第五変形例を示す平面図である。 第四実施形態に係るコアシートの第五変形例を示す平面図である。 第四実施形態に係るロータの第六変形例を示す平面図である。 第四実施形態に係るコアシートの第六変形例を示す平面図である。 第五実施形態に係るロータを示す平面図である。 第五実施形態に係るコアシートを示す平面図である。 第五実施形態に係るロータの変形例を示す平面図である。 第五実施形態に係るコアシートの変形例を示す平面図である。 第六実施形態に係るロータを示す平面図である。 第六実施形態に係る第1コアを構成するコアシートを形成するための金型、及び当該コアシート示す平面図である。 第六実施形態に係る第2コアを構成するコアシートを形成するための金型、及び当該コアシート示す平面図である。 第六実施形態に係るロータの第一変形例を示す平面図である。 第六実施形態の第一変形例に係る第1コアを構成するコアシートを形成するための金型、及び当該コアシート示す平面図である。 第六実施形態の第一変形例に係る第2コアを構成するコアシートを形成するための金型、及び当該コアシート示す平面図である。 第六実施形態に係るロータの第二変形例を示す平面図である。 第六実施形態の第二変形例に係る第1コアを構成するコアシートを形成するための金型、及び当該コアシート示す平面図である。 第六実施形態の第二変形例に係る第2コアを構成するコアシートを形成するための金型、及び当該コアシート示す平面図である。
以下、本発明に係るロータの実施形態について図面を用いて説明する。以下の説明において、「軸方向」とは、回転軸1の軸心Oに平行な方向を指すものとし、「回転方向」とは、回転軸1の軸心Oを中心とする時計回り方向又は反時計回り方向のうち、いずれか一方を指すものとする。
図1に示すように、第一実施形態に係るロータ10は、円筒状のロータコア11と、このロータコア11に設けられた複数の磁石孔12に埋設された複数の磁石2とを備えた一体型のインナロータである。ロータ10は、ロータコア11の中心に設けられた円形孔に回転軸1が連結固定されており、回転軸1の軸心Oを中心として所定の回転方向に回転する。また、ロータ10は、ロータコア11の外周面に異なる極性の磁極Pが回転方向に交互に4極配置されており、当該外周面を回転電機のステータ(図示省略)と所定のギャップを隔てて対向させて配設されている。ロータ10において、磁極Pの数は偶数である限り特に限定されず、例えば、ステータのスロット数や磁石2の磁力、回転電機の用途などに応じて適宜設計変更が可能である。
ロータコア11は、表面を絶縁処理された、厚さ0.3〜0.5mm程度の軟磁性体の電磁鋼板を所定形状に形成した多数枚のコアシートSを回転軸1の軸方向に積層して成る。本実施形態に係るロータコア11は、軸方向に貫通する複数の磁石孔12を有する円筒状の第1コア11aと、軸方向に貫通する複数の空孔13を有するとともに、内径及び外径の寸法が第1コア11aと同一である円筒状(環状)の第2コア11bと、を備えている。
第1コア11aは、ロータコア11の軸方向における中間部に配置されている。第1コア11aにおいては、各磁石孔12よりも径方向の外側に位置する部分が磁石2により磁化され、磁極Pが形成される。本実施形態では、磁石2からの磁束漏れ抑制のために、両端部にフラックスバリアが設けられた平面視略凹状の磁石孔12が、周方向に等ピッチで4個設けられている。各磁石孔12に形成されたフラックスバリアは、第1コア11aの外周面に向けて延出している。また、回転軸1の軸心Oから各磁石孔12までの径方向における最短距離はすべて等しい。
第1コア11aの内径及び外径の寸法は、回転軸1の径寸法、ステータの内周側(ティース先端側)に形成されるスペースの大きさ、ステータとの間に形成されるギャップの寸法等に応じて適宜設計される。また、第1コア11aの積厚(軸方向の高さ)は、積層されるコアシートSの枚数を磁石孔12に埋設される磁石2の寸法に応じて調整することにより、適宜設計変更が可能である。
第2コア11bは、ロータコア11の軸方向における両端部に配置されており、第1コア11aをサンドイッチしている。第2コア11bに設けられた空孔13は、軸方向における孔の深さ寸法を除き、磁石孔12と同一の構成を有する。即ち、第2コア11bに設けられた空孔13の数及びその孔幅は、第1コア11aに設けられた磁石孔12の数及びその孔幅と同一である。さらに本実施形態では、空孔13の平面形状及び第2コア11bにおける空孔13の配置が、磁石孔12の平面形状及び第1コア11aにおける磁石孔12の配置と同一である。
第2コア11bは、空孔13を、磁石孔12に対してコアシートSの面方向に相対的にずれた位置に配置して、第1コア11aの両端面に積層されている。ここでいう「面方向」とは、コアシートSの一面及び他面に平行な平面に沿った任意の方向を意味する。本実施形態では、空孔13が、磁石孔12に対して回転軸1の軸心Oを中心として反時計回りの方向に角度θ1だけ相対的に回転した位置に配置されている。このとき、空孔13の周縁近傍における第2コア11bの一部により、磁石孔12に埋設された磁石2の一部が覆われる。こうして、第2コア11bにより磁石孔12に埋設された磁石2の抜止めが行われる。換言すれば、第2コア11bは端板としての機能を備えている。
また、本実施形態では、第2コア11bの空孔13よりも径方向の外側に位置する部分が、第1コア11aの内周側に位置する磁石孔12の周縁よりも径方向の外側に配置されている。第1コア11aに対して第2コア11bをこのような位置関係で積層することにより、磁極Pの短絡が回避され、磁石2からの磁束漏れを効果的に抑制することができる。かかる位置関係は、各磁石孔12に対する各空孔13の位置決めの条件の一つとなる。つまり、本実施形態においては、当該位置関係を満たすように、磁石孔12に対する空孔13の相対的な回転角度θ1が決定される。
第2コア11bの積厚(軸方向の高さ)については、端板としての機能が確保される限り必要最小限の積厚でよい。具体的には、第2コア11bが、磁石2に働く力による変形を回避可能な機械的強度を保持できる積厚であればよい。したがって、第2コア11bは、一枚のコアシートSのみで構成されていてもよく、あるいは2〜3枚又はそれ以上の複数枚のコアシートSで構成されていてもよい。第2コア11bを一枚のコアシートSのみで構成する場合、強度確保のために当該コアシートSの板厚が少なくとも0.5mm以上にする場合がある。また、第2コア11bにおけるコアシートSの構成枚数を増やすことで、第2コア11bの機械的強度をより高めることができる。
また、本実施形態のロータコア11は、第1コア11aと第2コア11bとが、所定長さの軸部sを備えた固定部材Fにより互いに固定されている。具体的には、ロータコア11の一端面から他端面にわたって軸方向に貫通する複数の軸孔14が設けられており、この軸孔14に固定部材Fの軸部sを挿通し、当該軸部sの両端部に設けられた所定の固定手段により第1コア11a及び第2コア11bを軸方向に固定する。よって、第1コア11aにおける各軸孔14の位置と、第2コア11bにおける各軸孔12の位置とは、軸方向に一致している。固定部材Fとしては、例えば、カシメピン、ボルトとナット等が挙げられる。
さらに、本実施形態のロータコア11は、第1コア11a、第2コア11bともに同一平面形状のコアシートSで構成されている。具体的には、図2に示すように、軸方向に貫通する複数(本実施形態では4個)の磁石孔部HM及び軸孔部HAが内周と外周の所定位置にそれぞれ設けられた環状のコアシートS1が用いられている。
コアシートS1において、各磁石孔部HMは、両端部にフラックスバリアが設けられた平面視略凹状に形成されており、それぞれが周方向に等ピッチで設けられている。また、コアシートS1の中心点(回転軸1の軸心Oに相当)から各磁石孔部HMまでの径方向における最短距離はすべて等しい。コアシートS1に設けられた各磁石孔部HMが軸方向に連通配置されることにより、第1コア11aにおける磁石孔12、及び、第2コア11bにおける空孔13がそれぞれ形成される。
一方、コアシートS1において、各軸孔部HAは、径寸法が固定部材Fの軸部sの径寸法と同等である平面視円状に形成されており、各磁石孔部HMと同様に、それぞれが周方向に等ピッチで設けられている。また、コアシートS1の中心点から各軸孔部HAの中心点までの距離はすべて等しい。即ち、各軸孔部HAの中心点は、コアシートS1の内周及び外周の同心円周上に配置されている。コアシートS1に設けられた各軸孔部HAが軸方向に連通配置されることにより、第1コア11a及び第2コア11bにおける軸孔14がそれぞれ形成される。
本実施形態のコアシートS1は、各軸孔部HAが、周方向に隣り合う磁極Pの極間から回転方向又はその逆方向に所定角度ずれた位置に配設されている点に特徴がある。ここでいう「極間」とは、コアシートS1の外周における周方向に隣り合う磁極Pの極中心PCの中点Mと、コアシートS1の中心点とを結ぶ線分L上の位置をいう。また、ここでいう「各軸孔部HAの位置」とは、各軸孔部HAのコアシートS1における周方向の位置を意味するものであり、各軸孔部HAの中心点の位置が基準となる。
つまり、ロータ10の回転方向が、回転軸1の軸心Oを中心とする時計回り方向であると仮定すると、コアシートS1の一面においては、図2(a)に示すように、各軸孔部HAが、周方向に隣り合う磁極Pの極間から回転方向に所定角度θ1/2ずれた位置に配設されているといえる。一方、コアシートS1の他面においては、図2(b)に示すように、各軸孔部HAが、周方向に隣り合う磁極Pの極間から回転方向とは逆方向に所定角度θ1/2ずれた位置に配置されることになる。なお、ロータ10の回転方向が、回転軸1の軸心Oを中心とする反時計回り方向であると仮定したとしても、これと同様のことがいえる。この場合、コアシートS1の一面と他面の表裏関係が逆になる。
ここで、本実施形態のロータコア11において、第1コア11a、第2コア11bは、ともに同一平面形状のコアシートS1で構成されている。第1コア11a及び第2コア11bは、一のコアシートS1の一面と他のコアシートS1の他面が互いに対向するように積層されている。よって、第1コア11a及び第2コア11bそれぞれの両端面のうち一方にはコアシートS1の一面が、他方にはコアシートS1の他面がそれぞれ配置されている。本実施形態では、第1コア11a及び第2コア11bの互いに対向する対向面同士の表裏関係が同一になるように(つまり、第1コア11a及び第2コア11bそれぞれの端面におけるコアシートS1の一面同士及び他面同士が互いに対向するように)、第2コア11bを第1コア11aの両端面に積層することにより、ロータコア11が形成されている。
また、上述のとおり、第1コア11aと第2コア11bを固定部材Fで固定するためには、第1コア11a及び第2コア11bそれぞれに設けられた各軸孔14が、ロータコア11の一端面から他端面にわたって軸方向に貫通している必要がある。本実施形態では、第1コア11a及び第2コア11bの互いに対向する対向面が同一の表裏関係となっているため、各軸孔14が所定位置に配置された時点で、同時に、磁石孔12に対する空孔13の位置決めも必然的に完了する。即ち、第1コア11a及び第2コア11bそれぞれに設けられた各軸孔14が軸方向に連通するように配置されると、空孔13は必ず、磁石孔12に対して回転軸1の軸心Oを中心とする回転方向又はその逆方向に角度θ1だけ相対的に回転した位置に配置されることになる。
ここで、本実施形態のロータ10のように、ロータコア11を構成する第1コア11a及び第2コア11bそれぞれの外周面が、いずれも回転電機のステータ(図示省略)と所定のギャップを隔てて対向している場合、空孔13は、磁石孔12に対してロータ10の回転方向の逆方向にずれて配置されるのが望ましい。これにより、第2コア11bにおけるリラクタンストルクの利用効率を高めることができる。その理由は以下の通りである。
空孔13を上述のように配置した場合、第2コア11bのq軸の位相が回転方向とは逆方向にずれるため、第2コア11bは電流位相がこのずれの分だけ進んだコアになり、第1コア11aのマグネットトルクよりも進んだ位相でリラクタンストルクが増大する。本実施形態では、ロータ10の磁極Pの数が4極であるため、磁石2が埋設される第1コア11aは電流位相が第1コア11aのq軸から0°〜45°の間でマグネットトルクが最大となる。これに対して、第2コア11bのq軸の位相が第1コア11aのq軸の位相と同一であるとすると、第2コア11bのリラクタンストルクは、電流位相がq軸から45°で最大となる。このため、第2コア11bを回転方向の逆方向にずらして配置することで、第1コア11aで電流位相を最大とした場合に、第2コア11bでもリラクタンストルクが最大となる電流位相に近づくからである。
なお、本実施形態において、各軸孔部HAは、各磁極Pの極中心PCから回転方向又はその逆方向に所定角度ずれた位置に配設されていてもよい。ここでいう「極中心」とは、コアシートS1の外周における磁極Pの極中心PCと、コアシートS1の中心点とを結ぶ線分(図示省略)上の位置をいう。かかる場合であっても、第1コア11aに対する第2コア11b積層時に奏する作用・機能は同一である。
次に、本発明に係るロータの製造方法の実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、上述した第一実施形態に係るロータ10(図1及び図2参照)の製造方法を一例に挙げて説明する。本実施形態に係るロータ10の製造方法は、少なくとも、以下に示す第1工程から第5工程を備えている。
初めに、第1工程として、被加工材料となる電磁鋼板を準備する。第1工程において準備される電磁鋼板の板厚は、例えば、0.3〜0.5mmである。電磁鋼板の板厚は、主に、第2コア11bにおけるコアシートS1の構成枚数、第2コア11bに要求される機械的強度等を考慮して適宜選択される。また、電磁鋼板の板幅は、歩留まり(例えば、使用する金型の形状に応じたコア取り等)を考慮して適宜選択される。また、第2工程以降を順送金型で行う場合は、フープ状に連続した電磁鋼板を用いるのが望ましい。
次に、第2工程として、電磁鋼板を所定の金型で打ち抜いて、コアシートS1の周縁部を形成するとともに、軸方向に貫通する所定形状の磁石孔部HMを所定位置に形成する。本実施形態では、コアシートS1の周縁部を所定寸法の内周と外周を有する環状に形成するとともに、磁石孔部HMを平面視略凹状に4個形成する。各磁石孔部HMは、コアシートS1の周縁部を構成する内周と外周の間に形成され、それぞれが周方向に等ピッチで、且つ、コアシートS1の中心点から各磁石孔部HMまでの径方向における最短距離がすべて等しい位置に形成される。
また、本実施形態では、複数の軸孔部HAをコアシートS1の所定位置に形成する軸孔部形成工程が第2工程に含まれている。本実施形態の軸孔部形成工程では、軸孔部HAを平面視円状に4個形成する。各軸孔部HAは、コアシートS1の周縁部を構成する内周と外周の間に形成され、それぞれが周方向に等ピッチで、且つ、コアシートS1の中心点から各軸孔部HAの中心点までの距離がすべて等しい位置(即ち、コアシートS1の内周及び外周の同心円周上)に形成される。さらに、各軸孔部HAは、周方向に隣り合う磁極Pの極間から回転方向又はその逆方向に所定角度θ1/2ずれた位置に形成される。なお、各軸孔部HAは、各磁極Pの極中心PCから回転方向又はその逆方向に所定角度θ1/2ずれた位置に形成してもよい。
第2工程において形成される多数枚のコアシートS1は、すべて同一平面形状である。したがって、本実施形態では、すべてのコアシートS1を同一(又は同一の打抜き形状)の金型で打抜き形成することができる。第2工程において使用する金型としては、例えば、電磁鋼板に対する一回の打抜きでコアシートS1の各構成要素(環状の周縁部、各磁石孔部HM、各軸孔部HA)をすべて同時に打抜き形成可能な一体金型が用いられる。あるいは、コアシートS1の各構成要素に部分的に対応する複数の金型を用いて、コアシートS1の各構成要素が段階的に打抜き形成されるように構成されていてもよい。
続いて、第3工程として、軸方向に貫通する複数の磁石孔12を有する円筒状の第1コア11aを準備する。第1コア11aは、第2工程において形成された複数のコアシートS1を磁石孔部HM及び軸孔部HAがそれぞれ軸方向に連通するように積層することにより形成される。第1コア11aを形成するために必要なコアシートS1の枚数は、各磁石孔12に埋設される磁石12の寸法に応じて適宜調整される。第3工程において準備される第1コア11aは、例えば、溶融させた絶縁被膜を利用した接着、軸方向に隣接する各コアシートS1の積層間に対する溶接、ワニス含浸などの方法により、積層された各コアシートS1を一体化することができる。
これと同様に、第4工程として、軸方向に貫通する複数の空孔13を有するとともに、内径及び外径の寸法が第1コア11aと同一である円筒状の第2コア11bを準備する。第2コア11bは、第2工程において形成された複数(例えば、2〜3枚程度、あるいはそれ以上の枚数)のコアシートS1を磁石孔部HM及び軸孔部HAがそれぞれ軸方向に連通するように積層することにより形成される。第2コア11bを形成するために必要なコアシートS1の枚数は、第2コア11bとして要求される機械的強度に応じて適宜調整される。第4工程において準備される第2コア11bは、第1コア11aと同様の方法により、積層された各コアシートS1が一体化されていてもよい。また、第2コア11bとして要求される機械的強度を一枚のコアシートS1のみで十分に満たすことが可能である場合は、一枚のコアシートS1を準備することにより、第2コア11bの準備は完了する。
本実施形態では、上述のとおり、第3工程及び第4工程において同一のコアシートS1が使用されている。したがって、第3工程及び第4工程で準備される第1コア11a及び第2コア11bについては、磁石孔12の数及びその孔幅と、空孔13の数及びその孔幅とが、それぞれ同一となる。さらには、磁石孔12の平面形状及び第1コア11aにおける磁石孔12の配置と、空孔13の平面形状及び第2コア11bにおける空孔13の配置についても、それぞれ同一となる。
そして、第5工程として、第3工程において準備された第1コア11aに設けられた各磁石孔12に磁石2を埋設し、第4工程において準備された第2コア11bを、第1コア11aの両端面に対して所定の位置関係に配置して積層することにより、空孔13の周縁近傍における第2コア11bの一部で、磁石孔12に埋設された磁石2の一部を覆う。詳しくは、空孔13を、磁石孔12に対してコアシートS1の面方向に相対的にずれた位置に配置する。本実施形態において、磁石孔12に対する空孔13の位置決めは、以下のような手順で行われる。
本実施形態では、第5工程において、第2コア11bを、第1コア11aに対して裏返しに積層する。上述のとおり、第1コア11a及び第2コア11bは、各両端面のうち一方にはコアシートS1の一面が、他方にはコアシートS1の他面がそれぞれ配置されている。このため、第2コア11bを、第1コア11aに対して裏返しに積層すれば、それぞれの対向面ではコアシートS1の一面同士及び他面同士が互いに対向することとなり、各対向面同士の表裏関係が同一となる。
なお、第2コア11bを第1コア11aに対して裏返しにするタイミングは特に制限されるものではない。例えば、第2コア11bが複数のコアシートS1で構成されている場合、第2工程において打抜き形成された各コアシートS1を予め裏返しにしたものを順次積層して第2コア11bを形成してもよく、又は、第4工程において既に準備が完了した第2コア11bを裏返して第1コア11aの端面に積層するようにしてもよい。
あるいは、第2工程において、コアシートS1の各構成要素に部分的に対応する複数の金型を用いる場合、磁石孔部HM又は軸孔部HAに対応する金型のいずれかを、電磁鋼板に対する打抜き位置を相対的に変え得る可動金型で構成し、第1コア11aを構成するコアシートS1形成時と第2コア11bを構成するコアシートS1形成時とで打抜き位置を相対的に異ならせてもよい。かかる場合においても、同一平面形状のコアシートS1の一面と他面の位置関係が表裏逆転した状態となる点で、コアシートS1を裏返すことと実質的には同一である。
さらに、本実施形態では、第1コア11aと第2コア11bの各対向面の表裏関係が同一の状態で、第1コア11a及び第2コア11bそれぞれに設けられた各軸孔14が軸方向に連通するように配置する。このようにして第1コア11aに対する第2コア11bの位置決めを行えば、空孔13を必ず、所望の位置、即ち、磁石孔12に対して回転軸1の軸心Oを中心とする回転方向又はその逆方向に角度θ1だけ相対的に回転した位置に配置することができる。
そして、上述のように配置された第1コア11a及び第2コア11bの各軸孔14に固定部材Fの軸部sを挿通し、当該軸部sの両端部に設けられた所定の固定手段により第1コア11a及び第2コア11bを軸方向に固定する。さらに、固定部材Fにより第1コア11aと第2コア11bとを互いに固定して一体化したロータコア11を回転軸1に連結する。こうして、第一実施形態に係るロータ10が製造されるのである。
本実施形態のロータ10及びその製造方法によれば、磁石孔12に磁石2が埋設される第1コア11a及び磁石2の抜止めを行う第2コア11bから成るロータコア11において、第1コア11aが備える磁石孔12の数及びその孔幅と第2コア11bが備える空孔13の数及びその孔幅を同一に構成したことにより、第1コア11a及び第2コア11bを構成する各コアシートS1を、同一の金型を用いて形成することが可能となる。これにより、専用金型の準備に要する設備コスト及び製品コストを削減することができる。さらに、コアシートS1の打抜き工程における金型の切替え工数を低減できると同時に、金型の制御が極めて容易であるため、製品の生産効率を大幅に向上させることが可能となる。
また、第1コア11a及び第2コア11bを同一平面形状のコアシートS1で構成することにより、コアシートS1の打抜き工程を単能的に実施できるため、生産効率をさらに向上させることができる。しかも、同一平面形状のコアシートS1から成る第2コア11bにより磁石2の抜止めを行う際、空孔13が磁石孔12に対してコアシートS1の面方向に相対的にずれた位置に配置されるため、磁石2から第2コア11bへの磁束漏れが抑制される。これにより、ロータ10の磁気特性の劣化が効果的に低減され、回転電機の性能向上を図ることができる。
さらに、第1コア11a及び第2コア11bを構成するコアシートS1において、各軸孔部HAを上述のような位置関係で配設することにより、第1コア11aに対する第2コア11bの相対的な位置決めを極めて容易且つ正確に行うことが可能となる。即ち、第1コア11aと第2コア11bの対向面におけるコアシートS1の一面と他面の表裏関係を一致させて積層することで、固定部材Fの軸部sを挿通するための各軸孔14の位置決めを利用して、磁石孔12に対する空孔13の位置決めを行うことができる。これにより、本発明において最も重要である磁石孔12に対する空孔13の位置決めを実質的に省略しながら、極めて正確な位置決めを確実に行うことができる。
以上、本発明の第一実施形態に係るロータ10及びその製造方法の実施形態について説明したが、本発明に係るロータ及びその製造方法は、その他の形態で実施することができる。なお、以下の説明においては、上述したロータ10と共通の構成に関する詳細な説明は適宜省略し、各実施形態の技術的特徴について詳細に説明するものとする。
例えば、図3に示すロータ20のような実施形態であってもよい。第二実施形態に係るロータ20は、上述した第一実施形態に係るロータ10の変形例であり、軸孔24の位置決めを利用して磁石孔22に対する空孔23の位置決めを行うことが可能な点が上述のロータ10と共通している。本実施形態のロータ20は、第1コア21a及び第2コア21bで構成されるロータコア21において、第2コア21bが、第1コア21aに対してn磁極ピッチθP(nは整数)から所定角度θ2だけ(即ち、nθP±θ2に相当する角度だけ)回転方向又はその逆方向にずれて積層されている。
ここで、「磁極ピッチθP」とは、ロータコア21の全周360°を磁極Pの極数で除した角度である。本実施形態では、磁極Pの数は磁石孔22の数と同じ6個であるため、磁極ピッチθPに相当する角度は60°となる。また、「n磁極ピッチθP」とは、磁極ピッチθPの整数倍(本実施形態では、60°×n)に相当する角度を示す。
第1コア21a及び第2コア21bは、両端部にフラックスバリアが設けられた平面視略V字状の磁石孔22及び空孔23と、径寸法が固定部材Fの軸部sの径寸法と同等である平面視円状の軸孔24とを、それぞれ6個ずつ備えている。第1コア21aにおける各磁石孔22と各軸孔24、及び、第2コア21bにおける各空孔23と各軸孔24は、それぞれ同一の位置関係で配設されている。換言すれば、本実施形態の第1コア21aと第2コア21bとは、それぞれの積厚を除き、同一の構成を有する。
第1コア21a及び第2コア21bは、上述と同様に、いずれも同一平面形状のコアシートSで構成されている。具体的には、図4に示すように、軸方向に貫通する複数(本実施形態では6個)の磁石孔部HM及び軸孔部HAが内周と外周の所定位置にそれぞれ設けられた環状のコアシートS2が用いられている。
コアシートS2において、各磁石孔部HMは、両端部にフラックスバリアが設けられた平面視略V字状に形成されており、それぞれが周方向に等ピッチ(即ち、磁極ピッチθP)で設けられている。また、コアシートS2の中心点(回転軸1の軸心Oに相当)から各磁石孔部HMまでの径方向における最短距離はすべて等しい。コアシートS2に設けられた各磁石孔部HMが軸方向に連通配置されることにより、第1コア21aにおける磁石孔22、及び、第2コア21bにおける空孔23がそれぞれ形成される。
一方、コアシートS2において、軸孔部HAは、周方向に隣り合う磁極Pの極間から回転方向又はその逆方向に所定角度θ2/2ずれた位置に設けられた第1軸孔部H1Aと、この第1軸孔部H1Aに対して磁極ピッチθPの奇数倍に相当する角度から所定角度θ2/2だけ回転方向又はその逆方向にずれた位置に設けられた第2軸孔部H2Aと、を含んで構成されており、これらは周方向に交互に配置されている。また、第1軸孔部H1A、第2軸孔部H2Aそれぞれの中心点は、コアシートS2の内周及び外周の同心円周上に配置されている。コアシートS2に設けられた各軸孔部HAが軸方向に連通配置されることにより、第1コア21a及び第2コア21bにおける各軸孔24(第1軸孔24a、第2軸孔24b)がそれぞれ形成される。
さらに詳細に説明すれば、ロータ20の回転方向が、回転軸1の軸心Oを中心とする時計回り方向であると仮定すると、コアシートS2において、第1軸孔部H1Aは、周方向に隣り合う磁極Pの極間から回転方向に所定角度θ2/2ずれた位置に設けられている。これに対し、第2軸孔部H2Aは、周方向に隣り合う磁極Pの極間から回転方向とは逆方向に所定角度θ2/2ずれた位置に設けられている。本実施形態では、第1軸孔部H1Aと第2軸孔部H2Aが周方向に交互に配置されているため、一の第1軸孔部H1Aに対して回転方向側で隣接する第2軸孔部H2Aは、当該第1軸孔部H1Aに対して磁極ピッチθP−θ2に相当する角度だけ回転方向にずれた位置に配置される。一方、この第1軸孔部H1Aに対して回転方向の逆側で隣接する第2軸孔部H2Aは、当該第1軸孔部H1Aに対して磁極ピッチθP+θ2に相当する角度だけ回転方向とは逆方向にずれた位置に配置される。
本実施形態では、第2コア21bにおける各第1軸孔部H1A(第1軸孔24a)が、第1コア21aにおける各第2軸孔部H2A(第2軸孔24b)に対応して積層されている。かかる対応関係は、この逆であってもよい。このとき、第1コア21a及び第2コア21bにおいて、互いに対応関係にある軸孔24同士は、それぞれの外周が完全に重なって軸方向に円状に貫通する。かかる軸孔24を介して固定部材Fが取り付けられる。一方、対応関係にない軸孔24同士は、軸方向に貫通する部分が部分的に形成されるが、固定部材Fの軸部sを挿通することはできない。本実施形態では、対応関係にある軸孔24と対応関係にない軸孔24とが、それぞれ3箇所ずつ周方向に交互に配置される。
ここで、本実施形態において、第1コア21aに対して第2コア21bを積層する際、各第1軸孔部H1Aに対して回転方向側で隣接する第2軸孔部H2Aに対応させた場合には、第2コア21bが第1コア21aに対してθP−θ2に相当する角度だけ回転方向に相対的にずれて積層される。一方、各第1軸孔部H1Aに対して回転方向の逆側で隣接する第2軸孔部H2Aに対応させた場合には、第2コア21bが第1コア21aに対してθP+θ2に相当する角度だけ回転方向に相対的にずれて積層される。コアシートS2における第1軸孔部H1A、第2軸孔部H2Aの配置、及び、いずれの対応関係を選択するかについては、磁石孔22に対する空孔23の位置決めの条件を満たすように適宜設計・選択される。当該条件については、上述と同様である。本実施形態においては、4極以上であれば、2以上の固定部材Fが設けられるので、固定可能である。さらに、6極以上であれば、3以上の固定部材Fが設けられ、より安定して固定可能である。
次に、本実施形態に係るロータ20の製造方法について説明する。本実施形態のロータ20は、上述したロータ10の製造方法における第5工程を以下のように変更することにより、上述したロータ10と同様の方法で製造することが可能である。
本実施形態では、第5工程として、第2コア21bを、第1コア21aに対してn磁極ピッチθP(nは整数)から所定角度θ2ずれた角度(即ち、nθP±θ2°)だけ回転方向又はその逆方向に回転させて積層する。第2コア21bは、第1コア21aに対して相対的に回転した位置に配置されていればよく、例えば、第1コア21aを所定角度だけ回転させて第2コア21bを積層してもよい。この場合にも、第1コア21aと第2コア21bの位置関係は結果として同一となる。
よって、本実施形態のロータ20及びその製造方法においても、上述したロータ10と同様の効果を得ることができる。これに加えて、本実施形態のロータ20及びその製造方法によれば、第1コア21aと第2コア21bの対向面の表裏関係を積層時に一致させる必要がない。このため、工数がさらに低減され、生産効率をより高めることができる。
なお、本発明のロータにおいて、上述のように、第2コアを、第1コアに対してn磁極ピッチθP(nは整数)から所定角度だけ回転方向又はその逆方向にずらして積層することにより、磁石2の抜止めを行うことが可能なロータコアの構成及びその製造方法については、本実施形態に限定されるものではなく、他の形態により実施可能である。
例えば、図5に示すロータ30のような実施形態であってもよい。第三実施形態に係るロータ30は、第1コア31a及び第2コア31bで構成されるロータコア31において、第1コア31a及び第2コア31bに設けられた各軸孔34の周縁形状が略楕円状に形成されている。
第1コア31a及び第2コア31bは、上述と同様に、いずれも同一平面形状のコアシートSで構成されている。具体的には、図6に示すように、軸方向に貫通する複数(本実施形態では4個)の磁石孔部HM及び軸孔部HAが内周と外周の所定位置にそれぞれ設けられた環状のコアシートS3が用いられている。
コアシートS3において、各磁石孔部HMの形態(例えば、形状、大きさ、配置等)は、上述したコアシートS1と同一である。コアシートS3に設けられた各磁石孔部HMが軸方向に連通配置されることにより、第1コア31aにおける磁石孔32、及び、第2コア31bにおける空孔33がそれぞれ形成される。
一方、コアシートS3において、軸孔部HAは、周縁形状が略楕円状に形成されている。本実施形態では、軸孔部HAの中心点(即ち、長軸と短軸の交点)が、コアシートS3の内周及び外周の同心円周上且つ周方向に隣り合う磁極Pの極間に配置されているが、この中心点は各磁極Pの極中心に配置されていてもよい。また、本実施形態において、軸孔部HAは、短軸がコアシートS3の径方向に対して平行になるように(換言すれば、長軸が軸孔部HAの中心点の位置する同心円周の接線となるように)形成される。コアシートS3に設けられた各軸孔部HAが軸方向に連通配置されることにより、第1コア31a及び第2コア31bにおける各軸孔34がそれぞれ形成される。
本実施形態では、第2コア31bを、第1コア31aに対して回転方向又はその逆方向に所定角度(本実施形態では、nθP±θ3°)だけ相対的に回転させると、図5に示すように、第1コア31aの軸孔34と第2コア31bの軸孔34とが軸方向に貫通する部分が平面視円状に形成される。したがって、当該部分に固定部材Fの軸部sを挿通することができる。このように配置された第1コア31aと第2コア31bは、固定部材Fの締結力によって互いの位置関係が固定される。このとき、第2コア31bが第1コア31aに対して実質的にずれる角度θ3は、上述と同様に、磁石孔32に対する空孔33の位置決め条件を満たす範囲の角度であることが必要となる。なお、本実施形態によれば、第2コア31bとなるべきコアシートS3を角度θ3だけずらせる限り、磁石2のないコアシートS3全てが角度θ3だけずらされることとなるため、磁石2の上下移動による音を防止することができる。
あるいは、図7に示すロータ40のような実施形態であってもよい。ロータ40は、第三実施形態に係るロータ30の変形例であり、ロータコア41を構成する第1コア41a及び第2コア41bが、いずれも同一平面形状のコアシートS4(図8参照)で構成されている。本実施形態のロータ40は、このコアシートS4が、軸方向に貫通する複数の磁石孔部HMと、軸方向に隣接する各コアシートS4をかしめる複数の突起部Bと、この突起部Bと同一平面形状を有する複数の貫通孔HBとを内周と外周の所定位置にそれぞれ設けられた環状に形成されている。図8に示すように、本実施形態では、磁石孔部HM、突起部B、及び貫通孔HBがそれぞれ4個ずつ形成されている。
コアシートS4において、各磁石孔部HMの形態(例えば、形状、大きさ、配置等)は、上述したコアシートS1と同一である。コアシートS4に設けられた各磁石孔部HMが軸方向に連通配置されることにより、第1コア41aにおける磁石孔42、及び、第2コア41bにおける空孔43がそれぞれ形成される。
一方、コアシートS4において、突起部Bは、平面視長方形状に形成されており、その中央部がコアシートS4の一面側において軸方向に所定の高さで突起している。これに対し、コアシートS4の他面側では突起部Bの中央部が窪んでいる。このため、突起部Bの軸方向断面形状はV字状になる。突起部Bの高さは、コアシートS4の板厚以下に形成される。本実施形態では、各突起部Bが、コアシートS4の内周及び外周の同心円周上に等ピッチで設けられている。第1コア41a及び第2コア41bを形成する際、各突起部Bの位置を合わせて各コアシートS4が軸方向に積層される。したがって、一のコアシートS4の一面側にある突起部Bは、他のコアシートS4の他面側の窪みに積層される。このような積層技術は、V突起カシメとよばれている。
また、コアシートS4において、貫通孔HBは、突起部Bと同様に周縁形状が平面視長方形状に形成されており、軸方向に貫通している。本実施形態において、各貫通孔HBは、各突起部Bと同一円周上に、且つ、各突起部Bに対して回転方向又はその逆方向に所定角度θ4ずれた位置に形成されている。第1コア41a及び第2コア41bが形成された際、各貫通孔HBは、それぞれの一端面から他端面にわたって連通して配置されている。
本実施形態において、第2コア41bを、第1コア41aに対して回転方向又はその逆方向に所定角度(本実施形態では、nθP±θ4°)だけ相対的に回転させると、図7に示すように、第1コア41aと第2コア41bの各対向面上において、一方のコアの端面上における各突起部Bの位相と、他方のコアの端面上における各貫通孔HBの位相が一致する。つまり、第1コア41aの一端面に第2コア41bが積層される場合、第1コア41aの一端面上における各突起部Bの位相と、第2コア41bの他端面上における各貫通孔HBの位相が一致する。一方、第1コア41aの他端面に第2コア41bが積層される場合、第1コア41aの他端面上における各貫通孔HBの位相は、第2コア41bの一端面上における各突起部Bの位相と一致する。
したがって、このような位置関係で第2コア41bを第1コア41aに積層した場合、第1コア41a及び第2コア41bのうち一方のコアの端面に設けられた各突起部Bは、他方のコアの端面に設けられた位相が一致している各貫通孔HBに収納される。これにより、互いに接する2つのロータコアシート間は、必ず90°間隔の4箇所で固定されることになる。このとき、第2コア41bが第1コア41aに対して実質的にずれる角度θ4は、上述と同様に、磁石孔42に対する空孔43の位置決め条件を満たす範囲の角度であることが必要となる。
また、上述した各実施形態に係るロータにおいて、第1コア及び第2コアを構成する各コアシートに設けられた各磁石孔部HMは、その周縁形状、大きさ、配置等の形態がすべて同一に形成されているが、本発明のロータにおいては、一のコアシートに設けられるすべての磁石孔部HMの周縁形状、大きさ、配置等の形態が必ずしも同一である必要はない。
例えば、図9に示すロータ50のような形態であってもよい。第四実施形態に係るロータ50は、第1コア51a及び第2コア51bで構成されるロータコア51において、第1コア51a及び第2コア51bを構成するコアシートSが、周縁形状が異なる磁石孔部HMを備え、第2コア51bが、第1コア51aに対してn磁極ピッチθPに相当する角度だけ回転方向又はその逆方向にずれている。
第1コア51aは、周方向に等ピッチで設けられた複数(本実施形態では4個)の磁石孔52を備えている。磁石孔52は、平面形状が互いに異なる第1磁石孔52a及び第2磁石孔52bから成る。本実施形態では、第1磁石孔52a及び第2磁石孔52bが周方向に交互に配置されている。
第1磁石孔52aは、両端部にフラックスバリアが設けられた平面視略凹状に形成されており、埋設される磁石2の位置決め手段として長方形状の第1切欠き521が、第1コア51aの内周側の所定位置に設けられている。第1磁石孔52aの最大孔幅及び第1切欠き521の長手寸法は、磁石2の厚み及び幅寸法と同等になるように適宜設計変更が可能である。
第2磁石孔52bは、以下の相違点を除き、第1磁石孔52aと共通の構成を有する。第2磁石孔52bにおける第1磁石孔52aとの相違点は以下の通りである。即ち、第2磁石孔52bは、磁極Pの極中心付近に設けられた隔壁522により長手方向に分割された分割孔である。したがって、当該分割孔それぞれに磁石2が埋設される。また、第2磁石孔52bに設けられた第2切欠き523の端部は、第1磁石孔52aに設けられた第1切欠き521の端部よりもフラックスバリア寄りに位置する。
第2コア51bは、積厚を除き、第1コア51aと同一の構成を有する。第2コア51bは、上述した第1コア51aにおける第1磁石孔52a及び第2磁石孔52bに相当する構成として、第1空孔53a及び第2空孔53bを備えている。また、第1空孔53aには第1切欠き531が、第2空孔53bには隔壁532及び第2切欠き533が、それぞれ形成されている。
第1コア51a及び第2コア51bは、いずれも同一平面形状のコアシートSで構成されている。具体的には、図10に示すように、軸方向に貫通する複数(本実施形態では4個)の磁石孔部HMが内周と外周の所定位置にそれぞれ設けられた環状のコアシートS5が用いられている。本実施形態では、磁石孔部HMとして、周縁形状が互いに異なる第1磁石孔部H1M及び第2磁石孔部H2Mが、周方向に等ピッチで交互に配置されている。また、第1磁石孔部H1Mには第1切欠き部C1が、第2磁石孔部H2Mには隔壁部D及び第2切欠き部C2が、それぞれ形成されている。
コアシートS5において、第1磁石孔部H1M及び第2磁石孔部H2Mの周縁形状(平面形状)、大きさ、配置等の形態については、上述した第1磁石孔52a及び第2磁石孔52bと共通するため、ここでは説明を省略する。コアシートS5に設けられた第1磁石孔部H1M及び第2磁石孔部H2Mが軸方向に連通配置されることにより、第1コア51aにおける第1磁石孔52a(切欠き521を含む)及び第2磁石孔52b(隔壁522及び切欠き523を含む)がそれぞれ形成される。第2コア51bにおける第1空孔53a及び第2空孔53bについても同様である。
本実施形態では、第2コア51bにおける各第1磁石孔部H1M(第1空孔53a)が、第1コア51aにおける各第2磁石孔部H2M(第2磁石孔52b)に対応して積層されている。このとき、第2コア51bにおける第1空孔53aの周縁近傍であって、第1切欠き521の両端部よりも外側(フラックスバリア寄り)に位置する部分によって、第2磁石孔52bにそれぞれ埋設された磁石2の角部付近が部分的に覆われる。
同様に、第2コア51bにおける各第2磁石孔部H2M(第2空孔53b)は、第1コア51aにおける各第1磁石孔部H1M(第1磁石孔52a)に対応して積層されている。このとき、第2空孔53bの周縁近傍であって、第2コア51bの一部を構成する隔壁522によって、第1磁石孔52aに埋設された磁石2の中央部が部分的に覆われる。
本実施形態では、第1磁石孔52a及び第2磁石孔52b(第1空孔53a及び第2空孔53b)がそれぞれ周方向に等ピッチで交互に配置されていることから、各磁石孔52及び各空孔53を上述のような対応関係で配置するためには、第2コア51bを、第1コア51aに対して磁極ピッチθPの奇数倍に相当する角度だけ回転方向又はその逆方向に相対的にずれた位置に積層すればよい。コアシート間のカシメ手段は公知の手段で実現可能であるので省略する。
なお、本実施形態において、第1磁石孔52a及び第2磁石孔52b(第1空孔53a及び第2空孔53b)は、周方向に連続して配置されていてもよい。即ち、周方向に隣り合う磁石孔52及び空孔53のうち、一方が同一の周縁形状を有するものであり、他方が異なる周縁形状を有するものであるような配置であってもよい。かかる場合、各磁石孔52及び各空孔53を上述のような対応関係で配置するためには、第2コア51bが、第1コア51aに対して磁極ピッチθPの偶数倍に相当する角度だけ回転方向又はその逆方向に相対的にずれた位置に積層されることになる。
次に、本実施形態に係るロータ50の製造方法について説明する。本実施形態のロータ50についても、上述したロータ10の製造方法における第2工程及び第5工程を以下のように変更することにより、上述したロータ10と同様の方法で製造することが可能である。
本実施形態では、第2工程として、上述したコアシートS5を打抜き形成する。本工程では、周縁形状が異なる複数の磁石孔部HM(第1磁石孔部H1M及び第2磁石孔部H2M)が、それぞれコアシートS5の所定位置に形成される。第1磁石孔部H1M及び第2磁石孔部H2Mは、それぞれの専用金型を使用して一回の打抜きで同時に形成可能である。
あるいは、第1磁石孔部H1M及び第2磁石孔部H2Mの各構成要素(即ち、フラックスバリア、第1切欠き部C1、第2切欠き部C2、隔壁部D)に部分的に対応する複数の金型を用いて、これらの各構成要素が段階的に打抜き形成されるように構成されていてもよい。この場合、隔壁部Dに対応する金型で電磁鋼板を打抜くことで隔壁部Dを有さない第1磁石孔部H1Mが形成される。一方、隔壁部Dに対応する金型で電磁鋼板を打抜かないことで、第2磁石孔部H2Mにおける隔壁部Dが形成される。
また、第5工程として、第2コア51bを、第1コア51aに対してn磁極ピッチθP(nは整数)に相当する角度(即ち、n×θP°)だけ回転方向又はその逆方向に回転させて積層する。本実施形態では、第1磁石孔部H1Mと第2磁石孔部H2Mが周方向に等ピッチで交互に配置されているため、磁極ピッチθPの奇数倍に相当する角度だけ回転方向又はその逆方向に回転させて積層する。
なお、コアシートS5において、第1磁石孔部H1Mと第2磁石孔部H2Mは、周方向に連続して配置されていてもよい。この場合、磁極ピッチθPの偶数倍に相当する角度だけ回転方向又はその逆方向に回転させて積層する。あるいは、第2コア51bを第1コア51aに対して裏返しに積層してもよい。
つまり、本実施形態の第5工程において重要な点は、第2コア51bにおける各第1磁石孔部H1M(第1空孔53a)を、第1コア51aにおける各第2磁石孔部H2M(第2磁石孔52b)に、第2コア51bにおける各第2磁石孔部H2M(第2空孔53b)を、第1コア51aにおける各第1磁石孔部H1M(第1磁石孔52a)に、それぞれ対応して積層することである。
したがって、本実施形態のロータ50及びその製造方法においても、上述したロータ10と同様の効果を得ることができる。これに加えて、本実施形態のロータ50及びその製造方法によれば、平面形状が互いに異なる2種類の磁石孔52の位置関係を利用して第1コア51aと第2コア51bの相対的な位置決めを行うことができる。
具体的には、第1コア51a及び第2コア51bを構成するコアシートS5の打抜き形成時において、上述した軸孔部HAやカシメ用の突起部Bを位置決め手段として設ける必要がない。これらを第1コア51aと第2コア51bの固定手段として設ける場合であっても、磁極Pの極中心PC又は周方向に隣り合う磁極Pの極間に対するずれを考慮する必要がないため、電磁鋼板に対する金型の打抜き位置を極めて容易に決定することができる。
また、第1コア51aに対する第2コア51bの積層時においても、磁極ピッチθPの整数倍に相当する角度で位置決めを行うことができる。このため、各工程において使用する製造装置(例えば、第2工程における金型等)の動作設定を極めて簡略化することが可能となり、誤動作の発生を効果的に防止することができる。
なお、本実施形態に係るロータ50及びその製造方法と同様の効果を得ることが可能な第1磁石孔部H1M及び第2磁石孔部H2Mは、上述の形態(周縁形状、配置等)に限定されるものではなく、他の形態でも実施可能である。
例えば、図11に示すロータ60のような形態であってもよい。ロータ60は、上述したロータ50の第一変形例であり、ロータコア61を構成する第1コア61a及び第2コア61bが同一平面形状のコアシートS6(図12参照)で構成されている。本実施形態のロータ60は、このコアシートS6が、同一の孔幅を有し、当該コアシートS6の外周からの距離が互いに異なる磁石孔部HM(第1磁石孔部H1M及び第2磁石孔部H2M)を複数(本実施形態では4個)備えている。ここでいう「コアシートS6の外周からの距離」とは、各磁極Pの極中心PCから各磁石孔部HMまでの径方向の距離をいう。
図12に示すように、コアシートS6において、第1磁石孔部H1M及び第2磁石孔部H2Mは、両端部にフラックスバリアが設けられた平面視略凹状に形成されており、埋設される磁石2の位置決め手段として長方形状の切欠き部Cが、コアシートS6の内周側の所定位置に設けられている。第1磁石孔部H1M及び第2磁石孔部H2Mそれぞれの最大孔幅及び切欠き部Cの長手寸法は同一であり、これらは磁石2の厚み及び幅寸法と同等になるように適宜設計変更が可能である。
コアシートS6において、第1磁石孔部H1M及び第2磁石孔部H2Mは、以下の相違点を有する。即ち、第1磁石孔部H1Mは、コアシートS6の外周からの距離がd1であるのに対し、第2磁石孔部H2Mは、コアシートS6の外周からの距離がd2である。このため、第1磁石孔部H1Mと第2磁石孔部H2Mとでは、両端部に設けられたフラックスバリアの長さが互いに異なっている。
図11に示すように、本実施形態では、第2コア61bにおける各第1磁石孔部H1M(第1空孔63a)が、第1コア61aにおける各第2磁石孔部H2M(第2磁石孔62b)に対応して積層されている。このとき、第2コア61bにおける第1空孔63aの周縁近傍であって、当該第1空孔63aよりも径方向の外側(外周側)に位置する部分によって、第2磁石孔62bにそれぞれ埋設された磁石2の一部(径方向外側に位置する磁極面側)が部分的に覆われる。
同様に、第2コア61bにおける各第2磁石孔部H2M(第2空孔63b)は、第1コア61aにおける各第1磁石孔部H1M(第1磁石孔62a)に対応して積層されている。このとき、第2コア61bにおける第2空孔63bの周縁近傍であって、当該第2空孔63bよりも径方向の内側(内周側)に位置する部分によって、第1磁石孔62aにそれぞれ埋設された磁石2の一部(径方向内側に位置する磁極面側)が部分的に覆われる。具体的には、d1とd2との差は、磁石2の厚み未満、望ましくは磁石2の厚みの1/2以下が望ましい。また、d1とd2との差は、磁石孔と磁石厚みの差(クリアランス)を超える必要がある。
なお、本実施形態において、第1磁石孔部H1M及び第2磁石孔部H2Mは、周縁形状が逆円弧状に形成されていてもよい。例えば、図13に示すロータ70のような形態であってもよい。ロータ70は、上述したロータ50の第二変形例であり、ロータコア71を構成する第1コア71a及び第2コア71bが同一平面形状のコアシートS7(図14参照)で構成されている。本実施形態のロータ70は、このコアシートS7が、同心逆円弧状の複数の貫通孔群から成る磁石孔部HM(第1磁石孔部H1M及び第2磁石孔部H2M)を複数(本実施形態では磁極Pを4極分)備えている。
本実施形態では、一の磁極Pにつき同心逆円弧状の貫通孔が径方向に2個並設されており、これら一組で一の磁石孔部HMを構成している。したがって、図14に示すように、コアシートS7において、第1磁石孔部H1M及び第2磁石孔部H2Mは、それぞれ所定の孔幅を有する2個一組の同心逆円弧状の貫通孔を径方向に所定間隔を隔てて配設することにより構成されている。第1磁石孔部H1M及び第2磁石孔部H2Mにおいて、各貫通孔の外周及び内周を構成する円弧の中心点は、コアシートS7の中心点Oと磁極Pの極中心PCを結ぶ直線の延長線上にあり、且つ、当該中心点Oから各円弧の中心点までの距離はすべて等しい。
コアシートS7において、第1磁石孔部H1M及び第2磁石孔部H2Mは、以下の相違点を有する。即ち、第1磁石孔部H1Mは、コアシートS7の外周から当該コアシートS7の外周側に位置する貫通孔までの距離がd3、内周側に位置する貫通孔までの距離がd5であるのに対し、第2磁石孔部H2Mは、コアシートS7の外周から当該コアシートS7の外周側に位置する貫通孔までの距離がd4、内周側に位置する貫通孔までの距離がd6である。本実施形態では、d3≠d4及びd5≠d6であり、且つ、d3>d4及びd5>d6の関係にある。d3はd4よりもわずかに長い。d5とd6についても同様である。このため、第1磁石孔部H1Mと第2磁石孔部H2Mとでは、これらを構成する各貫通孔の周長が異なっている。具体的には、d3とd4との差、及び、d5とd6との差は、磁石2の厚み未満、望ましくは磁石2の厚みの1/2以下が望ましい。また、d3とd4との差、及び、d5とd6との差は磁石孔と磁石厚みの差(クリアランス)を超える必要がある。
本実施形態では、コアシートS7の外周側に位置する各貫通孔と、内周側に位置する各貫通孔とが、互いに異なる孔幅で形成されていてもよい。つまり、第1磁石孔部H1Mと第2磁石孔部H2Mの関係において、コアシートS7の外周側に位置する貫通孔同士及び内周側に位置する貫通孔同士が、それぞれ同一の孔幅で形成されている限り、本実施形態のロータコア71における各磁石孔72(第1磁石孔72a及び第2磁石孔72b)と各空孔73(第1空孔73a及び第2空孔73b)の位置関係は、上述したロータコア61における各磁石孔62と各空孔63の位置関係と同様となる。
また、上述のように、第1コア及び第2コアを構成するコアシートSに設けられた第1磁石孔部H1M及び第2磁石孔部H2Mの周縁形状が逆円弧状である場合、これらが異なる曲率で形成されていてもよい。
例えば、図15に示すロータ80のような形態であってもよい。ロータ80は、上述したロータ50の第三変形例であり、ロータコア81を構成する第1コア81a及び第2コア81bが同一平面形状のコアシートS8(図16参照)で構成されている。本実施形態のロータ80は、このコアシートS8が、曲率の異なる逆円弧状の磁石孔部HM(第1磁石孔部H1M及び第2磁石孔部H2M)を複数(本実施形態では4個)備えている。
図16に示すように、コアシートS8において、第1磁石孔部H1M及び第2磁石孔部H2Mは、同一の孔幅を有し、それぞれの曲率を異ならせて逆円弧状に形成されている。本実施形態では、曲率の小さい方を第1磁石孔部H1Mとし、曲率の大きい方を第2磁石孔部H2Mとする。また、第1磁石孔部H1M及び第2磁石孔部H2Mは、周方向に交互に配置されているが、周方向に連続して配置されていてもよい。かかるコアシートS8を用いた場合であっても、上述したロータ60、70と同様に、第2コア81bの一部により磁石2の抜止めを行うことができる。
さらに本実施形態では、第1コア81a及び第2コア81bを、磁石2を埋設するコアと磁石2の抜止めを行うコアの両方の用途に利用している点に特徴がある。このため、本実施形態では、ロータコア81の軸方向における位置に応じて、第1コア81aの磁石孔82が空孔として構成され、第2コア81bの空孔83が磁石孔として構成される。
図15(b)に示すように、本実施形態のロータコア81は、軸方向の一端側に第1コア81aが、他端側に第2コア81bが配置されており、それぞれが磁石2の抜止めを行うコアとして機能している。よって、軸方向の一端側に配置された第1コア81aの磁石孔82(第1磁石孔82a及び第2磁石孔82b)は空孔を構成する。一方、ロータコア81の軸方向の中間部に配置された第1コア81a及び第2コア81bは、磁石2を埋設するコアとして機能している。よって、軸方向の中間部に配置された第2コア81bの空孔83(第1空孔83a及び第2空孔83b)は磁石孔を構成する。
本実施形態では、第1コア81a及び第2コア81bが軸方向に交互に配置される。これにより、一のコアに対して軸方向の一端又は両端に配置されるコアに設けられた磁石孔又は空孔と、当該一のコアに設けられた空孔又は磁石孔との対応関係が上述したロータ60、70と同様となり、第1コア81a及び第2コア81bを、磁石2を埋設するコアと磁石2の抜止めを行うコアの両方の用途に利用することが可能となる。
これに加えて、本実施形態のロータ80では、ロータコア81の外周から各磁石2までの距離が軸方向に異なる部分が同一磁極P内に形成される。これにより、段スキュー効果を得ることができるため、コギングトルクを効果的に低減できるという利点を有する。
あるいは、図17に示すロータ90のような形態であってもよい。ロータ90は、上述したロータ50の第四変形例であり、ロータコア91を構成する第1コア91a及び第2コア91bが同一平面形状のコアシートS9(図18参照)で構成されている。本実施形態のロータ90は、このコアシートS9が、同一の孔幅を有し、周方向に不等ピッチで設けられた磁石孔部HM(第1磁石孔部H1M及び第2磁石孔部H2M)を複数(本実施形態では4個)備えている。
図18に示すように、コアシートS9において、第1磁石孔部H1M及び第2磁石孔部H2Mは、両端部にフラックスバリアが設けられた平面視略凹状に形成されており、これらが周方向に交互に配置されている。第1磁石孔部H1Mと第2磁石孔部H2Mは、周縁形状及び寸法が同一に形成されている。
本実施形態では、一の磁石孔部HMと周方向に隣り合う他の磁石孔部HMとの距離が一端側と他端側で異なっている。具体的には、ロータ90の回転方向が、回転軸1の軸心Oを中心とする時計回り方向であると仮定すると、回転方向側(一端側)に設けられた第1磁石孔部H1Mのフラックスバリアから、回転方向とは逆側(他端側)に設けられた第2磁石孔部H2Mのフラックスバリアまでの距離がd7であるのに対し、回転方向とは逆側(他端側)に設けられた第1磁石孔部H1Mのフラックスバリアから、回転方向側(一端側)に設けられた第2磁石孔部H2Mのフラックスバリアまでの距離はd8である。本実施形態では、d7≠d8であり、且つ、d7>d8の関係にある。d7はd8よりもわずかに長い。
また、本実施形態では、第1磁石孔部H1Mと第2磁石孔部H2Mが菱形状に配置されている。つまり、第1磁石孔部H1Mの長手方向に平行な直線と、第2磁石孔部H2Mの長手方向に平行な直線のなす角度は、第1磁石孔部H1Mの一端側で鈍角であり、他端側で鋭角となる。換言すれば、第1磁石孔部H1M及び第2磁石孔部H2Mは、コアシートS9の中心点Oから周方向に隣り合う磁極Pの極間に向けて径方向に延びる直線に対して45°±θ9に相当する角度だけ傾斜している。
かかるコアシートS9を用いた場合であっても、第2コア91bに設けられた第1空孔93aを第1コア91aに設けられた第2磁石孔92bに、第2コア91bに設けられた第2空孔93bを第1コア91aに設けられた第1磁石孔92aにそれぞれ対応させて積層することにより、第2コア91bによって磁石2の抜止めを行うことができる。本実施形態では、各空孔93の周縁近傍であって、各空孔93よりも径方向の外側又は内側における第2コア91bの一部で、各磁石孔92に埋設された磁石2の一部が部分的に覆われる。
あるいは、図19に示すロータ100のような形態であってもよい。ロータ100は、上述したロータ50の第五変形例であり、ロータコア101を構成する第1コア101a及び第2コア101bが同一平面形状のコアシートS10(図20参照)で構成されている。本実施形態のロータ100は、このコアシートS10が、同一の孔幅を有し、磁石2の位置決め手段として設けられた長方形状の切欠き部Cの位置が長手方向において互いに異なる磁石孔部HM(第1磁石孔部H1M及び第2磁石孔部H2M)を複数(本実施形態では4個)備えている。
図20に示すように、コアシートS10において、第1磁石孔部H1M及び第2磁石孔部H2Mは、長手方向における切欠き部Cの位置を除き、同一の構成を有する。即ち、本実施形態の第1磁石孔部H1M及び第2磁石孔部H2Mは、両端部にフラックスバリアが設けられた平面視略凹状に形成されており、最大孔幅及び切欠き部Cの長手寸法がそれぞれ同一に形成されている。
第1磁石孔部H1M及び第2磁石孔部H2Mにおいて、切欠き部CはいずれもコアシートS10の内周側に設けられている。本実施形態では、切欠き部Cの端部からフラックスバリアまでの距離が各磁石孔部HMの一端側と他端側で異なっている。具体的には、ロータ100の回転方向が、回転軸1の軸心Oを中心とする時計回り方向であると仮定すると、切欠き部Cは、第1磁石孔部H1Mにおいては回転方向側に、第2磁石孔部H2Mにおいては回転方向とは逆側にずれた位置に形成されている。
本実施形態では、第1磁石孔部H1M及び第2磁石孔部H2Mが上述のとおり構成されているため、第1コア101aに設けられた各磁石孔102(第1磁石孔102a及び第2磁石孔102b)に埋設される磁石2についても、切欠き1021と同様に、回転方向側又は回転方向とは逆側にずれた位置に配置される。
かかるコアシートS10を用いた場合であっても、第2コア101bに設けられた第1空孔103aを第1コア101aに設けられた第2磁石孔102bに、第2コア101bに設けられた第2空孔103bを第1コア101aに設けられた第1磁石孔102aにそれぞれ対応させて積層することにより、第2コア101bによって磁石2の抜止めを行うことができる。本実施形態では、各空孔103の周縁近傍であって、切欠き1031の両端部よりも外側(フラックスバリア寄りの)部分のうち、フラックスバリアまでの距離が長い側に位置する第2コア101bの一部で、各磁石孔102に埋設された磁石2の角部付近が部分的に覆われる。
なお、上述のように、第2コアを、第1コアに対してn磁極ピッチθPに相当する角度だけ回転方向又はその逆方向に相対的にずらして積層することで、磁石2の抜止めを行う場合、互いに対応する磁石孔と空孔が異なる平面形状であって、且つ、空孔の周縁近傍における第2コアの一部で磁石2を部分的に覆うことが可能である限り、これらの形態(例えば、平面形状や配置等)の組合せは任意である。つまり、第1コア及び第2コアを構成する各コアシートSにおいて、第1磁石孔部H1M及び第2磁石孔部H2Mの周縁形状、及びこれらの位置関係については多様な形態の組合せが存在するため、適宜選択して設計変更することが可能である。
例えば、図21に示すロータ110のような形態であってもよい。ロータ110は、上述したロータ50の第六変形例であり、ロータコア111を構成する第1コア111a及び第2コア111bが同一平面形状のコアシートS11(図22参照)で構成されている。本実施形態のロータ110は、コアシートS11において、両端部にフラックスバリアが設けられた平面視略V字状の第1磁石孔部H1Mと、両端部にフラックスバリアが設けられた平面視略凹状の第2磁石孔部H2Mと、が複数(本実施形態では2個ずつ合計4個)設けられており、これらが周方向に等ピッチで交互に配置されている。
本実施形態において、第1磁石孔112aには、幅寸法Waの磁石2aと幅寸法Wbの磁石2bがそれぞれ埋設されている。一方、第2磁石孔112bには、幅寸法Wcの磁石2cが埋設されている。このため、図22に示すように、本実施形態のコアシートS11は、各磁石2a、2b、2cの幅寸法Wa、Wb、Wcに合わせて、第1磁石孔部H1M及び第2磁石孔部H2Mそれぞれの周縁形状の寸法が設計されている。なお、本実施形態では、磁石2aの幅寸法Waと磁石2bの幅寸法Wbが同一(即ち、Wa=Wb)であるが、これらは互いに異なる寸法であってもよい。
かかるコアシートS11を用いた場合であっても、第2コア111bに設けられた第1空孔113aを第1コア111aに設けられた第2磁石孔112bに、第2コア111bに設けられた第2空孔113bを第1コア111aに設けられた第1磁石孔112aにそれぞれ対応させて積層することにより、上述したロータ60と同様に、第2コア111bによって各磁石2a、2b、2cの抜止めを行うことができる。
また、本実施形態では、磁石2aの幅寸法Waと磁石2bの幅寸法Wbの和が、磁石2cの幅寸法Wcと等しくなるように(即ち、Wa+Wb=Wcの関係が成立するように)構成するのが望ましい。このように構成すれば、第1磁石孔112aに埋設される磁石2a、2bの磁極面の総面積と、第2磁石孔112bに埋設される磁石2cの磁極面の面積とが等しくなる。これにより、異なる極性(N極とS極)の磁極P同士の起磁力が均等になり、各磁極Pにおける磁力にアンバランスが生じるのを防止することができる。
なお、上述した各実施形態に係るロータ60〜110は、ロータ50と同様の方法により製造することができる。この場合、第2工程において使用する金型を、各コアシートS6〜S11に対応する形状の金型に変更して打抜き形成が行われる。
また、本発明に係るロータにおいて、第1コア及び第2コアを構成する各コアシートに設けられた各磁石孔部HMは、その周縁形状、大きさ、配置等の形態がすべて同一であっても、一の磁石孔部HM自体が、必ずしも対称性を有する周縁形状である必要はない。
例えば、図23に示すロータ120のような形態であってもよい。第五実施形態に係るロータ120は、第1コア121a及び第2コア121bで構成されるロータコア121において、第1コア121a及び第2コア121bを構成するコアシートSが、周縁形状が同一であるとともに、磁極Pの極中心PCと回転軸1の軸心Oとを通る直線に対して非対称である複数の磁石孔部HMを備えている。第1コア121aにおける磁石孔122と第2コア121bにおける空孔123は、前記直線に対して線対称に配置されている。
第1コア121a及び第2コア121bは、いずれも同一平面形状のコアシートSで構成されている。具体的には、図24に示すように、軸方向に貫通する複数(本実施形態では4個)の磁石孔部HMが内周と外周の所定位置にそれぞれ設けられた環状のコアシートS12が用いられている。コアシートS12において、各磁石孔部HMは、両端部にフラックスバリアが設けられた平面視略凹状に形成されており、それぞれが周方向に等ピッチで設けられている。また、本実施形態では、各磁石孔部HMの長手方向に平行な直線と、フラックスバリアの延出方向に平行な直線のなす角度が、一端側と他端側で互いに異なる。
本実施形態では、各磁石孔部HMに設けられたフラックスバリアが、コアシートS12の中心点Oから周方向に隣り合う磁極Pの極間に向けて径方向に延びる直線に平行な方向に延出している。したがって、磁石孔部HMの長手方向に平行な直線と、フラックスバリアの延出方向に平行な直線のなす角度が、一端側と他端側で同一であると仮定すると、当該角度は45°になる。この場合、磁石孔部HMの周縁形状は、例えば、上述したコアシートS1に設けられた各磁石孔部HMの周縁形状と同一になる。
しかしながら、本実施形態では、上述の角度が、磁石孔部HMの長手方向の一端側と他端側で異なるため、磁石孔部HMの長手方向に平行な直線と、フラックスバリアの延出方向に平行な直線のなす角度は、一端側では45°+θ12に相当する角度に、他端側では45°−θ12に相当する角度となる。換言すれば、コアシートS12に設けられた磁石孔部HMの一部を構成する長孔部HLは、上述したコアシートS1に設けられた磁石孔部HMの当該長孔部HLに相当する部分に対して角度θ12だけ傾斜している。このため、本実施形態では、長孔部HLの一端とフラックスバリアとの接続部にエッジ部Eが形成されている。
また、本実施形態では、すべての磁石孔部HMにおいて、各磁石孔部HMの長手方向の一端側にエッジ部Eが配置されている。つまり、ロータ120の回転方向が、回転軸1の軸心Oを中心とする時計回り方向であると仮定すると、すべての磁石孔部HMにおいて、回転方向側にエッジ部Eが配置されていると換言できる。このため、本実施形態のコアシートS12において、各磁石孔部HMを構成する長孔部HLは、正方形状に配設されている。
本実施形態において、ロータコア121は、上述したロータ10と同様に、第1コア121a及び第2コア121bの互いに対向する対向面がそれぞれ同一の表裏関係となるように(換言すれば、第1コア121a及び第2コア121bそれぞれの端面におけるコアシートS12の一面同士及び他面同士が互いに対向するように)、第2コア121bを第1コア121aの両端面に積層することにより形成されている。これにより、第1コア121aにおける磁石孔122と第2コア121bにおける空孔123は、磁極Pの極中心PCと回転軸1の軸心Oとを通る直線に対して線対称の関係になる。
このとき、第2コア121bの各空孔123におけるエッジ1231は、第1コア121aの各磁石孔122におけるエッジ1221とは逆側に配置される。このため、本実施形態では、空孔123の周縁近傍であって、第2コア121bのエッジ1231近傍に位置する部分によって、磁石孔122に埋設された磁石2の一部(径方向内側に位置する磁極面側であって、磁石孔122におけるエッジ1221とは逆側の部分)が部分的に覆われる。
一方、第1コア121aの各磁石孔122におけるエッジ1221は、第2コア121bの各空孔123におけるエッジ1231とは逆側に配置される。このため、本実施形態では、第2コア121bの空孔123よりも径方向の外側であって、エッジ1231とは逆側に位置する部分によって、磁石孔122に埋設された磁石2の一部(径方向外側に位置する磁極面側であって、磁石孔122におけるエッジ1221側の部分)が部分的に覆われる。
このように、上述したコアシートS11を用いた場合であっても、第2コア121bを、第1コア121aに対して上述のような位置関係で積層することにより、第2コア121bによって各磁石孔122に埋設された磁石2の抜止めを行うことができる。
なお、本実施形態に係るロータ120は、上述したロータ10と同様の方法により製造することができる。この場合、第2工程において使用する金型を、コアシートS12に対応する形状の金型に変更して打抜き形成が行われる。
また、第5工程においては、第2コア121bを第1コア121aに対して単純に裏返して積層することで、位置決めは実質的に完了する。本実施形態では、磁石孔122と空孔123が、いかなる組合せで対応している場合であっても、磁石孔122と空孔123は、磁極Pの極中心PCと回転軸1の軸心Oとを通る直線に対して線対称に配置されるためである。したがって、本実施形態では、第1コア121aに対する第2コア121bの周方向の相対的な位置決めを実質的に省略することができる。
あるいは、図25に示すロータ130のような形態であってもよい。ロータ130は、上述したロータ120の変形例であり、ロータ120と、図19に示すロータ100とを組み合わせた実施形態の一例である。即ち、ロータ130において、第1コア131aに設けられた各磁石孔132、及び、第2コア131bに設けられた各空孔133は、上記ロータ100における第2磁石孔102b及び第2空孔103bと同一平面形状である。
具体的には、図26に示すように、コアシートS13に設けられた各磁石孔部HMは、コアシートS13の内周側に切欠き部Cが設けられており、当該切欠き部Cの端部からフラックスバリアまでの距離が磁石孔部HMの一端側と他端側で異なっている。即ち、ロータ130の回転方向が、回転軸1の軸心Oを中心とする時計回り方向であると仮定すると、切欠き部Cは、磁石孔部HMの長手方向において回転方向とは逆側にずれた位置に形成されている。したがって、コアシートS13に設けられた各磁石孔部HMは、上述したコアシートS12に設けられた各磁石孔部HMと同様に、磁極Pの極中心PCと回転軸1の軸心Oとを通る直線に対して非対称である。
また、本実施形態のロータ130において、各磁石孔132における切欠き1321及び各空孔133における切欠き1331は、上記ロータ120におけるエッジ1221及び1231と同一の位置関係に配置されている。具体的には、コアシートS13に設けられたすべての磁石孔部HMにおいて、各磁石孔部HMの長手方向の一端側にずれた位置に切欠き部Cが配置されている。即ち、ロータ130の回転方向が、回転軸1の軸心Oを中心とする時計回り方向であると仮定すると、切欠き部Cは、すべての磁石孔部HMにおいて、回転方向とは逆側にずれた位置に配置されている。
本実施形態では、磁石孔132に埋設される磁石2は、切欠き1321により位置決めされる。したがって、磁石孔132の長手方向における磁石2の埋設位置も、回転方向とは逆側にずれた位置になる。このため、空孔133の周縁近傍であって、切欠き1331の両端部よりも外側(フラックスバリア寄りの)部分のうち、フラックスバリアまでの距離が長い側に位置する第2コア131bの一部で、各磁石孔132に埋設された磁石2の角部付近が部分的に覆われる。
本実施形態に係るロータ130の製造方法についても、第2工程において使用する金型を、コアシートS13に対応する形状の金型に変更して打抜き形成が行われる点を除き、上述したロータ10、120と同様の方法により製造することができる。
上述した各実施形態にかかるロータ10〜130は、ロータコアを構成する第1コア及び第2コアが、いずれも同一平面形状のコアシートSにより構成されているが、本発明において、第1コアを構成するコアシートSと第2コアを構成するコアシートSは、磁石孔及び空孔の数及び孔幅が同一である限り、必ずしも同一平面形状である必要はない。
例えば、図27に示すロータ140のような形態であってもよい。第六実施形態に係るロータ140は、ロータコア141を構成する第1コア141a及び第2コア141bが、異なる形状のコアシートS(図28及び図29参照)で構成されており、当該第1コア141a及び第2コア141bの平面形状は、磁石孔142及び143空孔の平面形状のみが互いに異なっている。
第1コア141aは、磁石2が埋設されるV字孔142vと、このV字孔142vの両端部に設けられたフラックスバリア142fとから成る平面視略V字状の磁石孔142を複数(本実施形態では6個)備えており、これらが周方向に等ピッチで配設されている。磁石孔142の平面形状及び配置は、上述したロータ20のロータコア21の一部を構成する第1コア21aに設けられた磁石孔21と同一である。したがって、第1コア141aは、後述する軸孔144の配置を除き、上述の第1コア21aと同一平面形状である。
第2コア141bは、磁石孔142の一部を構成するV字孔142vと同一平面形状のV字孔143vと、このV字孔143vの両端部に設けられたフラックスバリア143fとから成る平面視略V字状の空孔143を複数(本実施形態では6個)備えており、これらが周方向に等ピッチで配設されている。本実施形態の空孔143と磁石孔142は、同一の孔幅を有するが、全体としての平面形状が以下の点で互いに異なっている。したがって、第2コア141bは、第1コア141aとは異なる平面形状である。
本実施形態では、空孔143におけるV字孔143vとフラックスバリア143fの位置関係と、磁石孔142におけるV字孔142vとフラックスバリア142fの位置関係とが互いに異なっている。具体的には、磁石孔142を基準として対比した場合、本実施形態の空孔143は、各V字孔143vのみがそれぞれ微小角度θ14だけ周方向にずれた位置に形成されている。つまり、ロータ140の回転方向が、回転軸1の軸心Oを中心とする時計回り方向であると仮定すると、V字孔143vは、フラックスバリア143fに対して回転方向とは逆方向に微小角度θ14だけ相対的にずれている。
本実施形態において、V字孔143vがフラックスバリア143fに対して相対的にずれる角度θ14は、磁石孔142に対する空孔143の位置決め条件を満たす範囲であって、且つ、V字孔143vとフラックスバリア143fとが互いに重なる領域が形成される範囲(即ち、V字孔143vとフラックスバリア143fとが連通する範囲)にある角度に設定される。当該角度θ14は、磁石孔142及び空孔143の孔幅等に応じて適宜設計変更可能である。
また、第1コア141a及び第2コア141bには、それぞれ複数(本実施形態では6個)の軸孔144が周方向に等ピッチで配設されている。各軸孔144は、磁石孔142及び空孔143よりも径方向の外側に位置する部分に形成されているが、各コアにおける他の位置に形成されていてもよい。本実施形態では、第1コア141a及び第2コア141bにおける各軸孔144と各フラックスバリア142f、143fの相対的な位置関係がすべて同一である。
本実施形態において、第1コア141aに対して第2コア141bを積層する際における各コアの位置関係は以下の通りとなる。即ち、磁石孔142のフラックスバリア142fと空孔143のフラックスバリア143f、及び各コアに設けられた各軸孔144それぞれの位相を互いに一致させて積層する。このとき、第2コア141bにおける空孔143のうちV字孔143vの位相のみが、第1コア141aにおける磁石孔142のV字孔142vに対して微小角度θ14だけ周方向にずれた位置に配置される。このため、空孔143の周縁近傍における第2コア141bの一部によって、磁石孔142に埋設された磁石2が部分的に覆われる。
次に、本実施形態に係るロータ140の製造方法について説明する。本実施形態のロータ140は、主として上述したロータ10の製造方法における第2工程を以下のように変更することにより、上述したロータ10と同様の方法で製造することが可能である。
本実施形態では、第2工程において、第1コア141aを構成するコアシートS14a(図28参照)と、第2コア141bを構成するコアシートS14b(図29参照)を、所定の金型を用いて打抜き形成する。コアシートS14aとコアシートS14bは、互いに異なる形状に形成される。さらに詳細には、各コアシートSの磁石孔部HM(磁石孔部HMa及び磁石孔部HMb)のみが互いに異なる形状に形成される。
初めに、第1コア141aを構成するコアシートS14aを形成する工程について説明する。図28に示すように、本工程では、コアシートS14aの各構成要素に部分的に対応する複数の金型を用いて、コアシートS14aの各構成要素が段階的に打抜き形成される。具体的には、コアシートS14aの内周部IP及び軸孔部HAに対応する金型Mo1(図28(a))、磁石孔部HMのV字孔部Hvに対応する金型Mo2(図28(b))、磁石孔部HMのフラックスバリアHfに対応する金型Mo3(図28(c))、及びコアシートS14aの外周部OPに対応する金型Mo4(図28(d))をそれぞれ使用して、4段階に分けて電磁鋼板STに対する打抜き形成が行われる。
本実施形態において、軸孔部HAに対応する金型Mo1、及び、磁石孔部HMのV字孔部Hvに対応する金型Mo2は、すべて等ピッチで配置されている。また、磁石孔部HMのフラックスバリアHfに対応する金型Mo3は、V字孔部Hvの両端部に対応するピッチで配置されている。これらの金型は、いずれも一回の打抜きにより対応する構成要素を所望位置に同時に打抜き形成可能な一体的なもので構成されている。
また、本実施形態では、上述した各金型として、電磁鋼板STに対する打抜き位置が固定された固定金型と、電磁鋼板STに対する打抜き位置を相対的に変え得る可動金型とが用いられる。ここでいう「打抜き位置」とは、電磁鋼板STのシート面方向における相対的な位置をいう。本実施形態では、磁石孔部HMのV字孔部Hvに対応する金型Mo2のみが可動金型で構成され、これ以外は固定金型で構成されているが、少なくとも、磁石孔部HMのV字孔部Hvに対応する金型Mo2と、磁石孔部HMのフラックスバリアHfに対応する金型Mo3とが互いに異なるタイプの金型で構成されている限り、適宜選択可能である。
上述した各金型を用いて電磁鋼板STの所定位置を打ち抜くことにより、図28(d)に示すコアシートS14aが形成される。なお、コアシートS14aにおける各構成要素の打抜き順については特に限定はなく、任意に変更可能である。
次に、第2コア141bを構成するコアシートS14bを形成する工程について説明する。本工程において使用する金型は、上述したコアシートS14aを形成する金型と同じものである。したがって、本工程の説明において、コアシートS14aを形成する工程と共通する説明については適宜省略し、相違点を有する工程についてのみ説明する。
本実施形態において、磁石孔部HMのV字孔部Hvに対応する金型Mo2を構成する可動金型は、すべてのV字孔部Hvの先端部から等距離にある点を通り、電磁鋼板STのシート面に垂直な法線軸を中心として周方向に回転可能な金型が採用されている。本工程では、図29(b)に示すように、磁石孔部HMのV字孔部Hvを形成するときに、これに対応する金型Mo2を電磁鋼板STに対して前記法線軸まわりに微小角度θ14だけ相対的に回転させて、当該電磁鋼板STの所定位置を打抜く。これにより、磁石孔部HMのV字孔部Hvが、軸孔部HAに対してロータ140の回転方向又はその逆方向に微小角度θ14だけ相対的にずれた位置に形成される。
一方、磁石孔部HMのフラックスバリアHfを形成するとき、これに対応する金型Mo3の電磁鋼板STに対する打抜き位置は固定されており、コアシートS14aを形成する工程における当該打抜き位置と同じである。このため、コアシートS14bに形成される磁石孔部HMの周縁形状は、コアシートS14aに形成される磁石孔部HMの周縁形状と異なる形状になる。こうして、図29(d)に示すコアシートS14bが形成される。
そして、第2工程において形成されたコアシートS14a及びコアシートS14bを用いて、第1コア141a及び第2コア141bをそれぞれ準備し(第3工程及び第4工程)、磁石孔142に磁石2が埋設された第1コア141aの両端面に第2コア141bを積層することで(第5工程)、本実施形態に係るロータ140が製造されるのである。
このように、本実施形態のロータ140及びその製造方法によれば、第1コア141a及び第2コア141bを異なる形状のコアシートS(コアシートS14a及びコアシートS14b)で構成することで、第1コア141aの一端面又は他端面あるいは両端面に第2コア141bを積層して磁石2の抜止めを行う工程を大幅に簡略化することができる。具体的には、第1コア141a及び第2コア141bの平面形状を、磁石孔142及び空孔143の平面形状のみが互いに異なる形状にすることで、積層時における第1コア141aに対する第2コア141bの位置決めを実質的に省略することができる。
また、第1コアの磁石孔及び第2コアの空孔それぞれの平面形状は、他の形態で互いに異なるものであってもよい。例えば、図30に示すロータ150のような形態であってもよい。ロータ150は、上述したロータ140の第一変形例であり、当該ロータ140と同様に、ロータコア151を構成する第1コア151a及び第2コア151bが、異なる形状のコアシートS(図31及び図32参照)で構成されている。さらに詳しくは、第1コア151aに設けられた磁石孔152の平面形状と、第2コア151bに設けられた空孔153の平面形状とが、以下のように異なっている。
磁石孔152は、磁石2が埋設される長方形孔152rと、この長方形孔152rの両端部に設けられたフラックスバリア152fとから成り、平面視略凹状に形成されている。本実施形態では、この磁石孔152が第1コア151aに等ピッチで周方向に複数(本実施形態では4個)配設されている。各磁石孔152の平面形状は、すべて同一に形成されている。
一方、空孔153は、磁石孔152の一部を構成する長方形孔152rと同一平面形状の長方形孔153rと、この長方形孔153rの両端部に設けられたフラックスバリア153fとから成り、平面視略凹状に形成されている。本実施形態では、この空孔153が第2コア151bに等ピッチで周方向に複数(本実施形態では4個)配設されている。本実施形態において、空孔153における長方形孔153rとフラックスバリア153fの位置関係は、磁石孔152における長方形孔152rとフラックスバリア142fの位置関係と異なっている。
本実施形態では、各空孔153の平面形状が、すべて異なる形状に形成されている。具体的には、磁石孔152を基準として対比した場合、本実施形態の空孔153は、各長方形孔153rのみが磁極Pに対して45°方向にずれた位置に形成されている。ここでいう「磁極Pに対して45°方向」とは、回転軸1の軸心Oと磁極Pの極中心PCとを結ぶ直線に対して45°をなす直線に平行な方向をいう。また、本実施形態では、各長方形孔153r同士の位置関係は、磁石孔152における各長方形孔152r同士の位置関係と同一である。つまり、各長方形孔153rは、磁極Pに対して45°方向に所定距離だけ平行移動した位置に設けられていると換言できる。
本実施形態において、長方形孔153rがフラックスバリア153fに対して相対的にずれる距離は、磁石孔152に対する空孔153の位置決め条件を満たす範囲であって、且つ、長方形孔153rとフラックスバリア153fとが互いに重なる領域が形成される範囲(即ち、長方形孔153rとフラックスバリア153fとが連通する範囲)にある距離に設定される。当該距離は、例えば、磁石孔152及び空孔153の孔幅等に応じて適宜設計変更可能である。
本実施形態において、第1コア151aに対して第2コア151bを積層する際における各コアの位置関係は以下の通りとなる。即ち、磁石孔152のフラックスバリア152fと空孔153のフラックスバリア153fの位相を互いに一致させて積層する。このとき、第2コア151bにおける空孔153のうち長方形孔153rの位置のみが、上述の方向に所定距離だけずれた位置に配置される。このため、空孔153の周縁近傍における第2コア151bの一部によって、磁石孔152に埋設された磁石2が部分的に覆われる。
次に、本実施形態に係るロータ150の製造方法について説明する。本実施形態のロータ150は、主として上述したロータ140の製造方法における第2工程を以下のように変更することにより、ロータ140と同様の方法で製造することが可能である。
本実施形態では、第2工程において、第1コア151aを構成するコアシートS15a(図31参照)と、第2コア151bを構成するコアシートS15b(図32参照)を、所定の金型を用いて打抜き形成する。コアシートS15aとコアシートS15bは、互いに異なる形状に形成される。さらに詳細には、各コアシートSの磁石孔部HM(磁石孔部HMa及び磁石孔部HMb)のみが互いに異なる形状に形成される。
初めに、第1コア151aを構成するコアシートS15aを形成する工程について説明する。図31に示すように、本工程では、コアシートS15aの各構成要素に部分的に対応する複数の金型を用いて、コアシートS15aの各構成要素が段階的に打抜き形成される。具体的には、コアシートS15aの内周部IP及び軸孔部HAに対応する金型Mo1(図31(a))、磁石孔部HMのフラックスバリアHfに対応する金型Mo3(図31(b))、磁石孔部HMの長方形孔部Hrに対応する金型Mo2(図31(c))、及びコアシートS15aの外周部OPに対応する金型Mo4(図31(d))をそれぞれ使用して、4段階に分けて電磁鋼板STに対する打抜き形成が行われる。
なお、本工程において使用する金型の他の構成については、上述したロータ140の製造方法において使用される各金型と共通するため、ここでは詳細な説明を省略する。上述した各金型を用いて電磁鋼板STの所定位置を打ち抜くことにより、図31(d)に示すコアシートS15aが形成される。なお、コアシートS15aにおける各構成要素の打抜き順については特に限定はなく、任意に変更可能である。
次に、第2コア151bを構成するコアシートS15bを形成する工程について説明する。本工程において使用する金型は、上述したコアシートS15aを形成する金型と同じものである。したがって、本工程の説明において、コアシートS15aを形成する工程と共通する説明については適宜省略し、相違点を有する工程についてのみ説明する。
本工程では、図32(b)に示すように、磁石孔部HMのフラックスバリアHfを先に打抜き形成する。本工程において、各フラックスバリアHfに対応する金型Mo3の電磁鋼板STに対する打抜き位置は固定されており、上述したコアシートS15aを形成する工程における当該打抜き位置と同じである。したがって、コアシートS15a及びコアシートS15bにおいて、フラックスバリアHfの位相は一致している。
次に、磁石孔部HMの長方形孔部Hrを打抜き形成する。本実施形態において、磁石孔部HMの長方形孔部Hrに対応する金型Mo2を構成する可動金型は、電磁鋼板STのシート面に平行な任意の方向に平行移動可能な金型が採用されている。本工程では、図32(c)に示すように、磁石孔部HMの長方形孔部Hrを形成するときに、これに対応する金型Mo2を既に打抜き形成されたフラックスバリアHfの延出方向に平行な方向に所定距離だけ平行移動させて電磁鋼板STの所定位置を打抜く。これにより、磁石孔部HMの長方形孔部Hrが、磁極Pに対して45°方向に所定距離だけずれた位置に形成される。
したがって、コアシートS15bに形成される磁石孔部HMの周縁形状は、コアシートS15aに形成される磁石孔部HMの周縁形状と異なる形状になる。こうして、図32(d)に示すコアシートS15bが形成される。
なお、上述したロータ150は、磁極Pの極数が4極の場合を例示したが、磁極Pの極数が6極の場合であっても同様のことがいえる。例えば、図33に示すロータ160のような形態であってもよい。ロータ160は、上述したロータ140の第二変形例であり、ロータ150と同様に、ロータコア161を構成する第1コア161a及び第2コア161bが、異なる形状のコアシートS(図34及び図35参照)で構成されている。ロータ160は、第1コア161aに設けられた磁石孔162を基準として対比した場合、第2コア161bの各空孔163における各長方形孔163rのみが、すべての長方形孔163rの長手方向に対して非平行方向に所定距離だけずれた位置に形成されている。
本実施形態では、互いに対向する一組の長方形孔163rの長手方向に対して垂直方向にずれた位置に、各長方形孔163が形成されている。これにより、上述したロータ150と同様に、各空孔163の周縁近傍における第2コア161bの一部によって、各磁石孔163に埋設されたすべての磁石2が部分的に覆われる。
本実施形態の空孔163において、長方形孔163rが相対的にずれる方向を上述のように設定する理由は、以下の通りである。即ち、本実施形態において、長方形孔163rが当該長方形孔163rの長手方向に平行方向にずれた位置に形成された空孔163を形成したとしても、その空孔163の周縁近傍における第2コア161bの一部により、磁石孔162に埋設された磁石2を部分的に覆うことができない。このため、第2コア161bを磁石2の抜止め用コアとして機能させることができないからである。
また、ロータ160は、上述したロータ150と同様の方法により製造することができる。本実施形態では、第2工程において、第1コア161aを構成するコアシートS16a(図34参照)と、第2コア161bを構成するコアシートS16b(図35参照)を、所定の金型を用いて打抜き形成する。コアシートS16aとコアシートS16bは、互いに異なる形状に形成される。さらに詳細には、各コアシートSの磁石孔部HM(磁石孔部HMa及び磁石孔部HMb)のみが互いに異なる形状に形成される。
初めに、第1コア161aを構成するコアシートS16aを形成する工程について説明する。図34に示すように、本工程では、コアシートS16aの各構成要素に部分的に対応する複数の金型を用いて、コアシートS16aの各構成要素が段階的に打抜き形成される。具体的には、コアシートS16aの内周部IP及び軸孔部HAに対応する金型Mo1(図34(a))、磁石孔部HMの長方形孔部Hrに対応する金型Mo2(図34(b))、磁石孔部HMのフラックスバリアHfに対応する金型Mo3(図34(c))、及びコアシートS16aの外周部OPに対応する金型Mo4(図34(d))をそれぞれ使用して、4段階に分けて電磁鋼板STに対する打抜き形成が行われる。これらの金型を用いて電磁鋼板STの所定位置を打ち抜くことにより、図34(d)に示すコアシートS16aが形成される。
次に、第2コア161bを構成するコアシートS16bを形成する工程について説明する。本工程において使用する金型は、上述したコアシートS16aを形成する金型と同じものである。したがって、本工程の説明において、コアシートS16aを形成する工程と共通する説明については適宜省略し、相違点を有する工程についてのみ説明する。
本工程では、図34(b)に示すように、磁石孔部HMの長方形孔部Hrを形成するときに、これに対応する金型Mo2を、互いに対向する一組の長方形孔163rの長手方向に対して垂直方向に所定距離だけ平行移動させて電磁鋼板STの所定位置を打抜く。これにより、磁石孔部HMの長方形孔部Hrが、すべての長方形孔部Hrの長手方向に対して非平行方向に所定距離だけずれた位置に形成される。
一方、磁石孔部HMのフラックスバリアHfを形成するとき、これに対応する金型Mo3の電磁鋼板STに対する打抜き位置は固定されており、コアシートS16aを形成する工程における当該打抜き位置と同じである。このため、コアシートS16bに形成される磁石孔部HMの周縁形状は、コアシートS16aに形成される磁石孔部HMの周縁形状と異なる形状になる。こうして、図35(d)に示すコアシートS16bが形成される。なお、第2コアが磁石2を抑える幅は最大でも磁石厚み未満であることが望ましい。
このように、ロータ150及びロータ160及びこれらの製造方法においても、上述したロータ140と同様の作用・効果を得ることができる。
また、上述した各実施形態に係るロータ10〜160は、いずれも第1コアの両端面に第2コアが磁石2の抜止め用コアとして積層されているが、本発明のロータにおいて、第2コアは、かならずしも第1コアの両端面に積層されている必要はない。
例えば、図1(b)に示すロータコア11において、第1コア11aの一端面側(上方側)及び他端面側(下方側)に配置された第2コア11bのうちの一方が、ステンレス等の非磁性体から成る端板で構成されていてもよい。図示を省略するが、この端板は、外周及び内周が第1コア11a及び第2コア11bと同じである環状に形成されており、磁石孔(空孔)が設けられておらず、軸孔14のみが所定位置に設けられている。端板の厚みは、機械的強度確保の観点から、第1コア11a及び第2コア11bを構成する各コアシートS1の板厚(又は、第2コア11bの積厚)よりも大きく構成するのが望ましい。
また、本発明のロータ(以下の説明では上述したロータ10を例示)を備えた回転電機を、例えば、空気調和機に使用される冷媒用ロータリ圧縮機等に用いる場合、本発明に係るロータを以下のように構成してもよい。
即ち、ロータコア11が、その外周面に対して径方向に所定間隔のギャップを隔てて配設されたステータと対向する対向部と、当該対向部よりも軸方向の一端側又は他端側に配置され、ステータに対して軸方向に突出して配置された非対向部と、を有し、上述した端板を、対向部の非対向部とは反対側における軸方向の端部に配設してもよい。
冷媒用ロータリ圧縮機は、容積圧縮機の一種であり、シリンダと、このシリンダ内に配置されたピストンとを有する圧縮機構を備えている。圧縮機構は、ピストンを動作させることによりアキュムレータから供給される冷媒をシリンダ内に吸入し、吸入された冷媒を圧縮する。このピストン(圧縮機構が他の形態である場合は、ピストンに相当する構成)を動作させるための動力源として回転電機が使用される。
このような圧縮機において、ロータ10は、ピストンに対して押付け力を下向きに発生させるために、ロータコア11の一端側(上方側)をステータに対して軸方向に突出させて配設されるのが一般的である。このとき、各磁石孔12に埋設された磁石2にも下向きの力が働く。このような力はスラスト力とよばれている。本実施形態では、スラスト力が働く側の端部に上述の端板を設けることで、ロータ10の機械的強度を確保することができる。
尚、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、何れかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
例えば、上述したロータ20、30における第2コア21b、31bの第1コア21a、31aに対する位置決め手段として、各コアシートS2、S3の所定位置に、図7、8に示すような突起部Bや貫通孔HBを設け、回転方向又はその逆方向に微小角度だけ回転した位置で互いの位置関係を固定可能なカシメを採用してもよい。
また、上述した各実施形態のロータ10〜160等は、いずれも一体型ロータであるが、本発明は、ロータコアが周方向に分割された、いわゆる分割型ロータに採用することもできる。この場合、第1コア及び第2コアをそれぞれ円筒状に一体化した後に、第2コアを第1コアに対して積層すればよい。かかる実施形態のロータによれば、ロータコアの各磁極において磁化容易軸を径方向に一致させることができるため、ロータの磁気特性を向上させることができるという利点がある。
さらに、上述した各実施形態のロータ10〜160等は、いずれもインナロータであるが、本発明は、アウタロータに採用することもできる。この場合、磁極がロータコアの内周側に形成される。よって、ステータとの対向面もロータコアの内周面となる。
このような変形例・組合せ例に係る形態であっても、上述した各実施形態のロータ10〜160等と同様に、本発明の課題を解決することができるとともに、同様の作用・効果を奏する。
1:回転軸
2:磁石
10〜160:ロータ
11〜161:ロータコア
11a〜161a:第1コア
11b〜161b:第2コア
12〜162:磁石孔
13〜163:空孔
14〜34、144〜164:軸孔
B:突起部
1〜S16:コアシート
P:磁極
C:極中心
A:軸孔部
M:磁石孔部
F:固定部材
s:軸部
θP:磁極ピッチ
O:軸心
ST:電磁鋼板

Claims (22)

  1. 電磁鋼板を所定形状に形成した複数のコアシートを回転軸の軸方向に積層して成るロータコアと、該ロータコアに設けられた複数の磁石孔に埋設された複数の磁石とを備え、異なる極性の磁極がその回転方向に交互に配置されたロータであって、
    前記ロータコアが、
    軸方向に貫通する複数の前記磁石孔を有する円筒状の第1コアと、
    前記第1コアの一端面又は他端面あるいは両端面に積層され、軸方向に貫通する複数の空孔を有するとともに、内径及び外径の寸法が前記第1コアと同一である円筒状の第2コアと、を備え、
    前記空孔の数及びその孔幅が、前記磁石孔の数及びその孔幅と同一であり、
    前記空孔の周縁近傍における前記第2コアの一部により、前記磁石孔に埋設された前記磁石の一部が覆われていることを特徴とするロータ。
  2. 前記第1コア及び前記第2コアが、同一形状の前記コアシートで構成されており、
    前記空孔が、前記磁石孔に対して前記コアシートの面方向に相対的にずれた位置に配置されている、請求項1に記載のロータ。
  3. 前記ロータコアが、
    一端面から他端面にわたって軸方向に貫通し、前記第1コアと前記第2コアを固定する固定部材に設けられた所定長さの軸部が挿通される複数の軸孔を備え、
    前記軸孔は、前記コアシートの所定位置に形成された複数の軸孔部が、第1コア及び第2コアにわたって軸方向に連通配置されて成り、
    前記軸孔部が、
    前記第1コアにおいては、前記磁極の極中心又は周方向に隣り合う前記磁極の極間から回転方向に所定角度ずれた位置に配置されており、
    前記第2コアにおいては、前記磁極の極中心又は周方向に隣り合う前記磁極の極間から回転方向とは逆方向に所定角度ずれた位置に配置されている、請求項2に記載のロータ。
  4. 前記第2コアが、前記第1コアに対してn磁極ピッチ(nは整数)から所定角度だけ回転方向又はその逆方向にずれて積層されている、請求項2に記載のロータ。
  5. 前記コアシートが、
    前記ロータコアの一端面から他端面にわたって軸方向に貫通し、前記第1コアと前記第2コアを固定する固定部材に設けられた所定長さの軸部が挿通される複数の軸孔を構成する複数の軸孔部、又は、軸方向に隣接する各コアシートをかしめる複数の突起部を備え、
    前記軸孔部又は前記突起部は、前記コアシートの所定位置に設けられた第1軸孔部又は第1突起部と、前記第1軸孔部又は前記第1突起部に対してn磁極ピッチ(nは整数)から所定角度だけ回転方向又はその逆方向にずれた位置に設けられた第2軸孔部又は第2突起部と、を含んで構成され、
    前記第2コアにおける前記第1軸孔部又は前記第1突起部が、前記第1コアにおける前記第2軸孔部又は前記第2突起部に対応して積層されている、請求項4に記載のロータ。
  6. 前記コアシートが、
    前記磁石孔及び前記空孔を構成し、磁極によって周縁形状が異なる磁石孔部を備え、
    前記第2コアが、前記第1コアに対してn磁極ピッチ(nは整数)回転方向又はその逆方向にずれている、請求項2に記載のロータ。
  7. 前記コアシートが、
    前記磁石孔及び前記空孔を構成し、その周縁形状が同一であるとともに、前記磁極の極中心と前記回転軸の軸心とを通る直線に対して非対称である磁石孔部を備え、
    前記第1コアにおける前記磁石孔と前記第2コアにおける前記空孔が、前記直線に対して線対称に配置されている、請求項2に記載のロータ。
  8. 前記第1コア及び前記第2コアが、異なる形状の前記コアシートで構成されており、
    前記第1コア及び前記第2コアの平面形状は、前記磁石孔及び前記空孔の平面形状のみが互いに異なっている、請求項1に記載のロータ。
  9. 前記第2コアの前記空孔よりも径方向の外側に位置する部分が、前記第1コアの内周側に位置する前記磁石孔の周縁よりも径方向の外側に配置されている、請求項1から請求項8のいずれか一つに記載のロータ。
  10. 前記コアシートが、0.5mm以上の板厚を有する電磁鋼板から成る、請求項1から請求項9のいずれか一つに記載のロータ。
  11. 前記ロータコアの一端面又は他端面に配設された非磁性体から成る端板を備える、請求項1から請求項10のいずれか一つに記載のロータ。
  12. 前記ロータコアが、その外周面に対して径方向に所定間隔のギャップを隔てて配設されたステータと対向する対向部と、該対向部よりも軸方向の一端側又は他端側に配置され、前記ステータに対して軸方向に突出して配置された非対向部と、を有し、
    前記端板が、前記対向部の前記非対向部とは反対側における軸方向の端部に配設されている、請求項11に記載のロータ。
  13. 前記空孔が、前記磁石孔に対して回転方向の逆方向にずれて配置されており、
    前記第2コアが、前記ロータコアの外周面に対して径方向に所定間隔のギャップを隔てて配設されたステータと対向している、請求項3、4、5及び8のいずれか一つに記載のロータ。
  14. 電磁鋼板を所定形状に形成した複数のコアシートを回転軸の軸方向に積層して成るロータコアに設けられた複数の磁石孔に磁石が埋設され、異なる極性の磁極がその回転方向に交互に配置されたロータの製造方法であって、
    前記電磁鋼板を準備する第1工程と、
    前記電磁鋼板を所定の金型で打ち抜いて、前記コアシートの周縁部を形成するとともに、軸方向に貫通する所定形状の磁石孔部を所定位置に形成する第2工程と、
    複数の前記コアシートを前記磁石孔部が軸方向に連通するように積層し、軸方向に貫通する複数の前記磁石孔を有する円筒状の第1コアを準備する第3工程と、
    複数の前記コアシートを前記磁石孔部が軸方向に連通するように積層し、又は、一の前記コアシートを準備することにより、軸方向に貫通する複数の空孔を有するとともに、内径及び外径の寸法が前記第1コアと同一である円筒状の第2コアを準備する第4工程と、
    前記第1コアの前記各磁石孔に前記磁石を埋設し、前記第2コアを、前記第1コアの一端面又は他端面あるいは両端面に対して所定の位置関係に配置して積層することにより、前記空孔の周縁近傍における前記第2コアの一部で、前記磁石孔に埋設された前記磁石の一部を覆う第5工程と、
    を備えることを特徴とするロータの製造方法。
  15. 前記第2工程において形成される前記コアシートはすべて同一形状であり、
    前記第5工程において、前記空孔を、前記磁石孔に対して前記コアシートの面方向に相対的にずれた位置に配置する、請求項14に記載のロータの製造方法。
  16. 前記第2工程が、
    前記ロータコアの一端面から他端面にわたって軸方向に貫通し、前記第1コアと前記第2コアを固定する固定部材に設けられた所定長さの軸部が挿通される複数の軸孔を構成する複数の軸孔部を前記コアシートの所定位置に形成する軸孔部形成工程を含み、
    前記軸孔部形成工程において、前記軸孔部を、前記コアシートにおける前記磁極の極中心又は周方向に隣り合う前記磁極の極間から回転方向又はその逆方向に所定角度ずれた位置に形成し、
    前記第5工程において、前記第2コアを、前記第1コアに対して裏返しに積層する、請求項15に記載のロータの製造方法。
  17. 前記第5工程において、前記第2コアを、前記第1コアに対してn磁極ピッチ(nは整数)から所定角度ずれた角度だけ回転方向又はその逆方向に回転させて積層する、請求項15に記載のロータの製造方法。
  18. 前記第2工程において、磁極によって周縁形状が異なる複数の前記磁石孔部を前記コアシートの所定位置に形成し、
    前記第5工程において、前記第2コアを、前記第1コアに対してn磁極ピッチ(nは整数)だけ回転方向又はその逆方向に回転させて積層する、請求項15に記載のロータの製造方法。
  19. 前記第2工程において、その周縁形状が同一であるとともに、前記磁極の極中心と前記回転軸の軸心とを通る直線に対して非対称である複数の前記磁石孔部を前記コアシートの所定位置に形成し、
    前記第5工程において、前記第2コアを前記第1コアに対して裏返しに積層する、請求項15に記載のロータの製造方法。
  20. 前記第2工程において形成される前記コアシートは、前記第1コアを構成するコアシートと、前記第2コアを構成するコアシートとで互いに異なる形状であり、前記磁石孔部のみを異なる形状に形成する、請求項14に記載のロータコアの製造方法。
  21. 前記第2工程において、
    前記金型として、前記電磁鋼板に対する打抜き位置が固定された固定金型と、前記電磁鋼板に対する打抜き位置を相対的に変え得る可動金型とが用いられ、
    前記固定金型により前記各コアシートの周縁部を形成するとともに、前記可動金型により前記各コアシートの磁石孔部を形成し、
    前記第2コアを構成するコアシートを形成するときに、前記可動金型を回転方向又はその逆方向に所定角度だけ回転させて前記磁石孔部を形成する、請求項20に記載のロータの製造方法。
  22. 前記第2工程において、
    前記第2コアを構成するコアシートを形成するときに、前記可動金型を前記磁石孔部の長手方向に交わる方向に沿って所定距離だけ平行移動させて前記磁石孔部を形成する、請求項21に記載のロータコアの製造方法。
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