JP2013121280A - モータ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】角度検出器を用いないモータ制御装置において、低速度域でも回転速度を精度よく制御できるとともに、演算負荷が極端に大きくなる、あるいは、ハードウェア構成が複雑化するのを防ぐことができるモータ制御装置を提供する。
【解決手段】モータMの電機子電流に基づいて推定される推定回転速度と、目標回転速度との偏差が小さくなるように前記モータの回転速度を制御する第1速度制御部41と、前記モータ<の回転速度をフィードフォワード制御する第2速度制御部42と、前記第1速度制御部41及び前記第2速度制御部42のいずれによって前記モータMの回転速度を制御するかを前記モータMの推定回転速度に応じて切り替える制御モード切替部5と、を備えた。
【選択図】図2
【解決手段】モータMの電機子電流に基づいて推定される推定回転速度と、目標回転速度との偏差が小さくなるように前記モータの回転速度を制御する第1速度制御部41と、前記モータ<の回転速度をフィードフォワード制御する第2速度制御部42と、前記第1速度制御部41及び前記第2速度制御部42のいずれによって前記モータMの回転速度を制御するかを前記モータMの推定回転速度に応じて切り替える制御モード切替部5と、を備えた。
【選択図】図2
Description
この発明は、エンコーダやホール素子を用いずにモータの電機子電流に基づいて回転速度を推定して回転速度を制御する、いわゆる、センサレス制御を用いたモータ制御装置に関するものである。
例えば、エアコンやファン等に用いられる永久磁石同期モータはロータの位置に応じて、印加される電流や電圧を適宜制御していく必要がある。従来、エンコーダやホールセンサ等の角度検出器によりロータの回転角を検出し、回転速度の制御が行われていたが、製造コストの低減や、モータのさらなる小型化等を目的として角度検出器を用いずにモータの回転速度を制御するようになっている。
特に家電製品等の分野においては、角度検出器を用いないセンサレスベクトル制御が用いられることが多くなっている。このセンサレスベクトル制御は、モータの電機子電流を検出し、モータ電圧方程式等に基づいて現在の回転速度や回転角を推定し、推定された推定回転速度と目標回転速度の偏差が小さくなるように制御するものである。
ところで、モータの電機子電流による回転速度の推定を行うと、モータの回転速度が高速である場合にはノイズに対して電機子電流の値が非常に大きいため精度のよい推定回転速度を得ることができるが、モータの回転速度が低速になると、測定される電流値に対するノイズの割合が大きくなるため、実際の回転速度に対する推定回転速度の誤差は大きくなってしまう。従って、センサレスベクトル制御は、モータが高速域で回転している場合にはうまく機能するが、低速域においては推定回転速度に大きな誤差が含まれているため不安定になりやすい。特に、モータが逆回転している状態から正回転する状態まで変化させる場合は上述した低速域での問題がより顕著になる。すなわち、0速度を通過するような速度変化をセンサレスベクトル制御によって精度よく実現するのは難しい。
上述したような低速域におけるセンサレスベクトル制御の問題を解決するために、特許文献1では、低速域におけるモータの電機子電流の検出精度を向上させる方法が示されている。このものは、ゼロに近い低速回転速度において、目標d軸電流値をある値まで回転数に応じて増加させることにより、電流検出精度を向上させ、ひいては低速域における推定回転速度の精度を向上させ、センサレスベクトル制御を低速域でも使えるようにすることを試みている。
また、低速域での電機子電流の検出精度を向上させるために印加される電流に高周波を重畳させることもある。
さらに、特許文献2のモータ制御装置では、第1の磁束演算器においてある演算時刻と次の演算時刻の間に仮想の中間演算時刻を設けて、その中間演算時刻における磁束演算を行い、第2磁束演算部において、第1磁束演算部において算出された磁束に基づいてより厳密に磁束変化を算出できるようにして、精度を向上させようとしている。
しかしながら、上述したような方法を用いてもセンサレスベクトル制御による低速域の制御を精度良く行うことは難しく、また、十分な精度が得られたとしても特許文献2のモータ制御装置のように演算部を複数設ける必要がある等演算負荷の大きいものとなり、実装しにくくなってしまう。
そこで、本発明は上述したような問題を鑑みてなされたものであり、角度検出器を用いないモータ制御装置において、低速度域でも回転速度を精度よく制御できるとともに、演算負荷が極端に大きくなる、あるいは、ハードウェア構成が複雑化するのを防ぐことができるモータ制御装置を提供することを目的とする。
すなわち、本発明のモータ制御装置は、モータの電機子電流に基づいて推定される推定回転速度と、目標回転速度との偏差が小さくなるように前記モータの回転速度を制御する第1速度制御部と、前記モータの回転速度をフィードフォワード制御する第2速度制御部と、前記第1速度制御部及び前記第2速度制御部のいずれによって前記モータの回転速度を制御するかを前記モータの推定回転速度に応じて切り替える制御モード切替部と、を備え、前記制御モード切替部が、前記モータの推定回転速度の絶対値が所定値以上である場合は前記第1速度制御部に前記モータの回転速度を制御させ、前記モータの推定回転速度の絶対値が所定値よりも小さい場合には前記第2速度制御部に前記モータの回転速度を制御させることを特徴とする。
このようなものであれば、高速域においてはセンサレスベクトル制御により精度よく回転速度を目標回転速度に追従させることができるとともに、低速域においてもフィードフォワード制御で制御することにより、誤差を含む推定回転速度を用いていることがないので、精度よく回転速度を制御することができるようになる。
また、所定の回転速度となった時点で、第1速度制御部と第2速度制御部を切り替えるだけであるので、簡単な制御機構で追従精度を高めることができる。つまり、演算負荷が極端に大きくなることがなく、モータ制御装置の製造コストが上昇するのを防ぐことができる。
第1速度制御部から第2速度制御部への切り替え時、すなわち、高速回転域から低速回転域に移行する際に特別な処理を行うことなく、制御モードの切り替えを行うことができるようにするには、前記第1速度制御部が、前記推定回転速度と前記目標回転速度の偏差が小さくなるように、目標d軸電流値及び目標q軸電流値を生成するように構成されており、前記第2速度制御部が、目標d軸電流値をゼロとして生成するとともに、前記推定回転速度を用いずに目標q軸電流値を生成するように構成されていればよい。
低速回転域においては、モータにかかる負荷に応じた出力だけが出力され、高速回転域までスムーズに回転速度が制御できるようにするには、電機子電流により推定される推定回転速度がフィードバックされないように構成されており、予め定められている加速時間や、風等の概略に対向して加速するのに必要な最低限のトルクが発生するように目標d軸電流値はゼロとしつつ、目標q軸電流値を生成すればよい。なお、目標q軸電流値は、所定の値を保つように設定してもよいし、加速時間や目標回転速度と推定回転速度の偏差にPID演算等を行って定めてもよい。
前記第1速度制御部から第2速度制御部への切り替え時に異音が生じたり、回転速度が大きく変動したりするのを防ぐには、記目標q軸電流値が、前記モータの回転速度の絶対値が前記所定値となる切替回転速度となったときに必要とされるトルクに基づいて生成されるものであればよい。
さらに、周囲環境の変化によりモータ特性が変わったとしても制御モードの切り替え時における変動を低減できるようにするには、前記トルクが、周囲温度又は前記切替回転速度に基づいて補正されるものであればよい。
低速域から高速域に突入し、制御モードが切り換えられる際の変動を可及的に低減するには、前記制御モード切替部が、前記第2速度制御部による回転速度の制御から前記第1速度制御部による回転速度の制御へと切り替える場合のみ、前記モータの回転速度の絶対値が所定値となった時点から所定時間の間に切替のための移行期間が設定されていればよい。
電流がモータに印加されていない状態で、外力によりモータが回転している状態からスムーズに所望の目標回転速度まで到達させることを容易にするには、前記モータの起動時において、前記モータの初期回転速度を取得する初期回転速度取得部を更に備え、前記初期回転速度取得部で取得される初期回転速度が、最終目標回転速度に対して回転方向が逆向きであり、かつ、その絶対値が前記所定値よりも大きい場合には、前記制御モード切替部が、前記第1速度制御部によりモータの回転速度の制御を開始させるように構成したものであればよい。
電機子電流から推定される推定回転速度が十分な精度を持つ範囲を広げて、前記第2速度制御部による制御が行われる回転速度領域を狭くし、できるだけ広い回転速度の範囲でセンサレスベクトル制御を行えるようにしてより厳密な回転速度制御を可能とするには、前記モータの電機子電流を測定するためのシャント抵抗の抵抗値が、測定される流量値に応じて変更されるものであればよい。
このように本発明のモータ制御装置によれば、回転速度が高速域にある場合にはセンサレスベクトル制御を適用し、低速域においてはフィードフォワード制御を適用することにより、全回転速度領域において精度よく回転速度を制御する事が可能となる。しかも、モータ制御装置における演算も複雑化することがなく、演算負荷も小さいものとすることができるので、製造コストの上昇を招きにくい。
本発明の第1実施形態について図面を参照しながら説明する。
第1実施形態のモータ制御装置100は、図1に示すようにエアコンの室外機200において熱交換器に送風するために用いられるプロペラファンPの回転数の制御に用いられるものである。より具体的には、前記室外機200は、概略直方体形状のものであり、その上面に放射状桟Gと、プロペラファンPと、プロペラファンPに回転軸が接続された永久磁石同期モータM(以下モータMとする)と、前記モータMの回転数を制御するためのモータ制御装置100と、を備えたものである。この室外機200では、室外機200筐体の側面から風が導入され、上部へと出ていくように風路が形成されており、前記プロペラファンPは、回転速度が制御されている間は、常に所定の方向にのみ回転するようにして用いられる。なお、室外機200においてプロペラファンPは所定の回転速度よりも高い速度を保つことを目的に使用されるものであり、低速回転を維持することはほとんどない。
以下の説明では、前記プロペラファンPの規定の回転方向を正方向とし、規定の回転方向とは逆向きの回転方向を負方向と定義する。
前記室外機200のプロペラファンPは風等により、モータMを起動する前の状態において静止しておらず負方向に勝手に回転している場合がある。このように外力によってモータMが予め負方向に回転している場合であっても、所望の正方向の回転速度までスムーズに制御することを第1実施形態のモータ制御装置100は目的としている。
前記モータMと前記モータ制御装置100の周辺について更に詳述すると、図2及び図3に示すように、前記モータMは、AC電源S、ダイオード整流器D、インバータINVからなる駆動回路に接続されており、前記モータ制御装置100は、前記モータMの電機子電流から現在の回転速度を推定し、推定された推定回転速度ω^と目標回転速度ω_refとの偏差が小さくなるように前記インバータINV内のスイッチング素子の開閉を制御できるように構成してある。なお、前記モータMにはエンコーダやホールセンサ等は設けられておらず、直接モータMの回転角や回転速度を検出は行われないため、いわゆるセンサレス制御により回転速度は制御される。
前記モータ制御装置100は、入出力インターフェース、演算回路、メモリ等から構成されるいわゆるMPUやマイコン等であり、前記メモリに格納されているプログラムを実行することによって以下に詳述するモータ制御の機能を発揮するものである。
前記モータ制御装置100は、図2及び図3に示すように少なくとも、3相/2相変換部1、位置誤差演算部2、速度推定オブザーバ3、速度制御部4、制御モード切替部5、電流制御部6、位置算出部7、2相/3相変換部8、PWM計算部9、目標回転速度プロファイル生成部(図示しない)、起動時回転速度取得部(図示しない)としての機能を発揮するように構成してある。
各部について説明する。なお、図2は高速域におけるモータ制御装置100の状態を示すブロック図であり、図3は低速域におけるモータ制御装置100の状態を示すブロック線図である。
前記3相/2相変換部1は、3相の電機子電流をd軸、q軸電流値id、iqに変換するものである。より具体的には前記インバータINVから前記モータMのu相電源線、v相電源線、w相電源線に流される各相の電流iu、iv、iwからd軸、q軸電流値id、iqに変換している。
前記位置誤差演算部2は、前記3相/2相変換部1から出力されるd軸、q軸電流値id、iqとモータ電圧方程式に基づいてロータの推定位置と実際のロータ位置との誤差である位置誤差Δθを推定算出するものである。
前記速度推定オブザーバ3は、前記位置誤差演算部2において推定された位置誤差Δθがゼロとなるように例えばPLL演算を施してモータMの回転速度(回転数)を推定するものである。
前記速度制御部4は、後述する目標回転速度プロファイル生成部により生成される目標回転速度ω_refに応じて、目標d軸電流値、目標q軸電流値id_ref、iq_refを生成するものである。第1実施形態では、前記速度制御部4は、高速域速度制御部41と、低速域速度制御部42のそれぞれ制御方式の異なる要素から構成してあり、前記制御モード切替部5により前記モータMの推定回転速度ω^に応じて高速域速度制御部41及び低速域速度制御部42のいずれによってモータMの回転速度の制御を行うのかが選択される。
前記高速域速度制御部41は、請求項での第1速度制御部に相当するものであり、推定回転速度ω^の絶対値が所定値ω1よりも大きい場合の回転速度制御を担当するものである。そして、この高速域速度制御部41は目標回転速度ω_refと、電機子電流に基づいて推定される推定回転速度ω^の偏差が小さくなるように回転速度を制御する。より具体的には、図2に示すように前記高速域速度制御部41は、目標回転速度ω_refと推定回転速度ω^の偏差に基づいて目標d軸電流値及び目標q軸電流値生成するものである。このように高速域速度制御部41が使用されている場合には、前記モータ制御装置100はセンサレスベクトル制御部によりモータMの回転速度を制御していることになる。
前記低速域速度制御部42は、請求項での第2速度制御部に相当するものであり、推定回転速度ω^の絶対値が所定値ω1よりも小さい場合の回転速度制御を担当するものである。前記低速域速度制御部42は、目標回転速度ω_refに基づいてモータMの回転速度をフィードフォワード制御するものである。より具体的には、図3に示すように前記低速域速度制御部42は、電機子電流により推定される推定回転速度ω^がフィードバックされないように構成されており、予め定められている加速時間や、風等の概略に対向して加速するのに必要な最低限のトルクが発生するように目標d軸電流値id_refはゼロとしつつ、目標q軸電流値iq_refを生成するものである。なお、目標q軸電流値iq_refは、所定の値を保つように設定してもよいし、加速時間や目標回転速度ω_refと推定回転速度ω^の偏差ω_errにPID演算等を行って定めてもよい。
前記制御モード切替部5は、推定回転速度ω^の絶対値が所定値ω1よりも大きい場合には、前記高速域速度制御部41に切り替え、推定回転速度ω^の絶対値が所定値ω1よりも小さい場合には前記低速域速度制御部42に切り替えることにより、制御モードの切り替えを行うものである。ここで、前記所定値ω1は、推定回転速度ω^と真の回転速度とが略一致している高速域と、推定回転速度ω^と真の回転速度の誤差が許容値以上となる低速域の境界に基づいて定めてある。
前記電流制御部6は、前記速度制御部4により生成された目標d/q軸電流値id_ref、iq_refと前記3相/2相変換部1から出力される測定d/q軸電流値id、iqの偏差id_err、iq_errが小さくなるように前記モータMに印加するd/q軸印加電圧Vd、Vqを生成するものである。
前記2相/3相変換部8は、前記電流制御部6から出力されるd/q軸印加電圧Vd、Vqと、前記位置算出部7において推定回転速度ω^を積分演算して得られる推定回転角θ^に基づいて前記モータMに印加すべきu/v/w相の電圧値Vu、Vv、Vwを算出するものである。
前記PWM計算部9は、前記2相/3相変換部8から出力されたu/v/w相の電圧値Vu、Vv、Vwを前記モータMに印加できるように前記インバータINVのスイッチング素子を制御するPWM信号Spwmを生成するものである。
前記目標回転速度プロファイル生成部は、最終目標回転速度と、現時点での推定回転速度ω^とに基づいて、目標回転速度ω_refのプロファイルを生成するものである。例えば、モータMの性能や外部条件等に基づいた加速時間やトルクの制限から適宜プロファイルは生成される。
前記起動時回転速度取得部は、前記モータMの起動時における回転速度を前記速度推定オブザーバ3から出力される推定回転速度ω^に基づいて取得するものである。このものは、推定回転速度ω^の絶対値が所定値ω1よりも大きい場合には、その推定回転速度ω^を採用するとともに、推定回転速度ω^の絶対値が所定値ω1よりも小さい場合には、誤差が大きいことから前記モータMの回転速度はゼロになっていると判定するようにしてある。
このように構成されたモータ制御装置100において、起動時に風によってプロペラファンPが負方向に回転している状態から最終目標回転速度まで加速していく場合の動作について図4のグラフを参照しながら説明する。
まず、前記起動時回転速度取得部によりモータMの回転速度の取得が行われる。この場合外力によりモータMが負方向に所定値ω1よりも大きい絶対値で回転していることが検出されたので、前記制御モード切替部5は、高速域速度制御部41によるセンサレスベクトル制御により制御が開始するように切り替えを行う。また、前記目標回転速度ω_refプロファイル生成部は、前記起動時回転速度取得部で取得された負方向の起動時回転速度と、正方向の回転速度である最終目標回転速度とに基づいて、図4のグラフに示すような目標回転速度プロファイルを生成する。
次に、起動時回転速度から−ω1までの高速域の間は前記高速域速度制御部41によるセンサレスベクトル制御が継続されることになる。
前記モータMの推定回転速度ω^が、−ω1に到達すると前記制御モード切替部5は、高速域速度制御部41から前記低速域速度制御部42へと制御モードの切り替えを行う。この際、特に待機時間等は設けておらず、連続的に制御モードの切り替えが行われる。回転速度が−ω1からωまでの低速域の間、すなわち、次に前記速度推定オブザーバ3が推定回転速度ω^としてω1を出力するまでの間は、推定回転速度ω^は制御系においてフィードバックされず、前記低速域速度制御部42によるフィードフォワード制御が継続される。
前記速度推定オブザーバ3から出力される推定回転速度ω^がω1となった時点で、前記制御モード切替部5は、高速域速度制御部41、低速域速度制御部42のいずれによる制御も行わない移行期間を所定時間継続した後に、低速域速度制御部42から高速域速度制御部41への切り替えを行う。このように、低速域から高速域に突入して制御モードがフィードフォワード制御からセンサレスベクトル制御に切り替えられる場合に移行期間を設けておくことにより、制御モードの切り替えをスムーズにすることができ、大きな異音や不連続性を軽減することができる。
以降、最終目標回転速度となるまでの間は前記高速域速度制御部41によるセンサレスベクトル制御が継続されることになる。
なお、起動時において前記起動時回転速度取得部により取得される推定回転速度ω^の絶対値がω1よりも小さい場合には、ゼロ速からの通常の起動制御が行われる。この場合、低速域速度制御部42から速度制御が開始されることになる。
このように第1実施形態のモータ制御装置100によれば、モータMの回転速度が高速域にある場合にはセンサレスベクトル制御による制御を行い、モータMの回転速度が低速域にある場合にはフィードフォワード制御による制御を行うことができるので、全域に亘って回転速度の制御精度を高めることができる。より具体的には、推定回転速度ω^の信頼性が高くない低速域においてはフィードフォワード制御により推定回転速度ω^を用いないようにしているので、特に低速域における精度や安定性を高めることができる。
また、非常に簡単な制御構成であるので、高速域から低速域に突入する際に余分なシーケンスを必要とせず、特別な処理を必要としないので、ソフトウェア処理負荷の増大が無い。また、目標d軸電流値を風等の外力に応じて変化させることも可能であり、余分な電力を消費せずに、逆回転方向から正回転方向への所定の回転数まで滑らかに移行可能である。
次に第2実施形態のモータ制御装置100について説明する。
第2実施形態では、低速域におけるフィードフォワード制御から、高速域におけるセンサレスベクトル制御に切り替えを行う際の接続をより滑らかにするための構成を更に備えたものである。
より具体的には、前記低速域速度制御部42により生成される前記目標q軸電流値iq_refが、前記モータMの回転速度の絶対値が前記所定値となる切替回転速度となったときに必要とされるトルクに基づいて生成されて最適化されている点が第1実施形態とは異なっている。
図5に示すように、前記低速域速度制御部42により設定される目標q軸電流値が最適化されていない場合、制御モードの切り替え時にモータMの回転速度が大きく変動してしまう。
そこで、第2実施形態の低速域速度制御部42は、−ω1となった時のトルクと、ω1となる時に必要とされるトルクに基づいて目標q軸電流を最適化している。より具体的には、−ω1の速度を短時間(1秒程度)維持し、その際にモータMに印加されている電流に基づいて−ω1におけるトルクが算出される。ω1におけるトルクは予め算出してあり、その値はメモリに記憶してある。
これらのトルクの算出には、以下の式が用いられる。
これらの式を用いて算出されるトルクから、切替回転速度ω1における各制御モードにより出力されるトルクが略一致するように前記目標q軸電流値を設定する。
なお、温度が変化した場合や軸同力が変化した場合には予め記憶されている軸動力を以下の式に基づいて補正する。
ここで、T:温度、L:軸動力、N:回転数である。
このようにして、最適化された目標q軸電流値を用いた場合、図6のグラフに示すように低速域のフィードフォワード制御から高速域のセンサレスベクトル制御に切り替えた際のq軸電流の変動を略ゼロとすることができ、ひいてはモータM回転速度の変動をより低減することができる。
その他の実施形態について説明する。
センサレスベクトル制御による回転速度の制御をより広い速度帯域において行えるようにするには、図7、図8に示すように前記モータMの電機子電流を測定するためのシャント抵抗の抵抗値が、測定される流量値に応じて変更されるように構成すればよい。
図7に示すようにインバータINV回路内において各相の電流検出部としてシャント抵抗11を並列に設置しておき、スイッチにより電流値が小さい場合には片側のシャント抵抗11にのみ電流が流れるようにし、電流値が大きい場合には両方のシャント抵抗に電流が流れるようにすればよい。例えば、スイッチの切り替えタイミングとしてはMAX電流の1/2となった時点でスイッチのオンオフを切り替えればよい。また電流実効値の1/2になった場合に全ての相を同じタイミングでスイッチを切り替えてもよいし、相ごとに別々に電流値が1/2となった時点でスイッチをそれぞれ切り替えてもよい。
また、図8に示すように、各相の電流値を測定するためのシャント抵抗12を2つ直列に接続しておき、それぞれの抵抗における電圧を検出できるように構成してもよい。例えば、U相における電流値の検出を例として説明すると、VU1、VU2の電圧値を同時に前記3相/2相変換部1に取り込むとともに、検出できるMAX電流の1/2以下の時にはVU1からの値を使用し、それ以外の時にはVU2の値を使用するようにすればよい。
これらのように構成することにより低電流時における検出精度が向上し、ノイズ等による誤差の影響を推定回転速度が受けにくくなる。従って、センサレスベクトル制御を適用できる範囲が広がり、より厳密に回転速度を制御できる範囲を広げることができる。また、前記各実施計形態では、エアコンの室外機に用いられるモータの制御に本発明のモータ制御装置を適用したが、その他のファンモータ等にもこのモータ制御装置を適用することができる。
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な変形や実施形態の組み合わせを行うことができる。
100・・・モータ制御装置。
41 ・・・第1速度制御部
42 ・・・第2速度制御部
5 ・・・制御モード切替部
41 ・・・第1速度制御部
42 ・・・第2速度制御部
5 ・・・制御モード切替部
Claims (7)
- モータの電機子電流に基づいて推定される推定回転速度と、目標回転速度との偏差が小さくなるように前記モータの回転速度を制御する第1速度制御部と、
前記モータの回転速度をフィードフォワード制御する第2速度制御部と、
前記第1速度制御部及び前記第2速度制御部のいずれによって前記モータの回転速度を制御するかを前記モータの推定回転速度に応じて切り替える制御モード切替部と、を備え、
前記制御モード切替部が、前記モータの推定回転速度の絶対値が所定値以上である場合は前記第1速度制御部に前記モータの回転速度を制御させ、前記モータの推定回転速度の絶対値が所定値よりも小さい場合には前記第2速度制御部に前記モータの回転速度を制御させることを特徴とするモータ制御装置。 - 前記第1速度制御部が、前記推定回転速度と前記目標回転速度の偏差が小さくなるように、目標d軸電流値及び目標q軸電流値を生成するように構成されており、
前記第2速度制御部が、目標d軸電流値をゼロとして生成するとともに、前記推定回転速度を用いずに目標q軸電流値を生成するように構成されている請求項1記載のモータ制御装置。 - 前記目標q軸電流値が、前記モータの回転速度の絶対値が前記所定値となる切替回転速度となったときに必要とされるトルクに基づいて生成される請求項2記載のモータ制御蔵置。
- 前記トルクが、周囲温度又は前記切替回転速度に基づいて補正される請求項3記載のモータ制御装置。
- 前記制御モード切替部が、前記第2速度制御部による回転速度の制御から前記第1速度制御部による回転速度の制御へと切り替える場合のみ、前記モータの回転速度の絶対値が所定値となった時点から所定時間の間に切替のための移行期間が設定されている請求項1、2、3又は4記載のモータ制御装置。
- 前記モータの起動時において、前記モータの起動時回転速度を取得する起動時回転速度取得部を更に備え、
前記起動時回転速度取得部で取得される起動時回転速度が、最終目標回転速度に対して回転方向が逆向きであり、かつ、その絶対値が前記所定値よりも大きい場合には、前記制御モード切替部が、前記第1速度制御部によりモータの回転速度の制御を開始させるように構成した請求項1、2、3、4又は5記載のモータ制御装置。 - 前記モータの電機子電流を測定するためのシャント抵抗の抵抗値が、測定される流量値に応じて変更される請求項1、2、3、4、5又は6記載のモータ制御装置。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016059779A1 (ja) * | 2014-10-17 | 2016-04-21 | 株式会社デンソー | モータ制御装置 |
CN106533299A (zh) * | 2016-12-27 | 2017-03-22 | 山东大学 | 同时消除反电势、负载转矩扰动的伺服控制策略及其*** |
CN111342712A (zh) * | 2018-12-19 | 2020-06-26 | 正峰新能源股份有限公司 | 具有转速控制功能的电钻 |
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2011
- 2011-12-08 JP JP2011268806A patent/JP2013121280A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016059779A1 (ja) * | 2014-10-17 | 2016-04-21 | 株式会社デンソー | モータ制御装置 |
JP2016082756A (ja) * | 2014-10-17 | 2016-05-16 | 株式会社デンソー | モータ制御装置 |
CN106533299A (zh) * | 2016-12-27 | 2017-03-22 | 山东大学 | 同时消除反电势、负载转矩扰动的伺服控制策略及其*** |
CN111342712A (zh) * | 2018-12-19 | 2020-06-26 | 正峰新能源股份有限公司 | 具有转速控制功能的电钻 |
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