JP2013108195A - 塗工紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】不透明度が高く、かつ嵩高である場合も柔軟性及び印刷適性に優れる塗工紙を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、基紙及びこの基紙の両面に積層される塗工層を有し、上記塗工層が顔料及び接着剤を主成分として含有する塗工紙であって、上記基紙がシリカ複合重質炭酸カルシウム粒子及び嵩高剤を含有し、層間強度が500kPa以上であり、単位面積あたりの内部結合強さが102J/m以下であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、塗工紙に関する。
塗工紙の不透明度を高める手段として、各種粒子を塗工紙に内添させる方法が一般的に用いられている。上記粒子としては、カオリン、タルク、二酸化チタン、水和ケイ酸(ホワイトカーボン)、尿素−ホルマリンポリマー微粒子等が用いられ、各粒子の高機能化を図るべく、粒子の複合化が試みられている。この複合化された粒子を用いた塗工紙としては、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物を用いた塗工紙が提案されている(特開2007−270407号公報参照)。しかし、上記塗工紙においても、近年の塗工紙に対する高不透明性の要求に対して十分に満足されるものとは言えず、より高い不透明度を有する塗工紙が求められている。
また、塗工紙には、軽量化が進む中、嵩高の場合も印刷適性に優れ、かつ優れた柔軟性を有することが求められる場合がある。通常、紙厚が厚くなるに従って柔軟性が低下するため、このように嵩高さと柔軟性とを両立させることは困難である。そこで、嵩高でありながら柔軟性に優れる紙として、坪量、密度、抄紙方向のヤング率及び抄紙方向の裂断長の4者の積を所定範囲に限定した印刷用塗被紙が提案されている(特開2002−138389号公報参照)。しかしながら、上記4者の積を所定範囲に限定しても、例えば、一つの値が極端に多くなった場合、嵩高さと柔軟性とのいずれかが低下する。従って、上記印刷用塗被紙においても、両者が十分に両立された紙とは言いがたい。
特開2007−270407号公報 特開2002−138389号公報
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、不透明度が高く、かつ嵩高である場合も柔軟性及び印刷適性に優れる塗工紙を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、
基紙及びこの基紙の両面に積層される塗工層を有し、
上記塗工層が顔料及び接着剤を主成分として含有する塗工紙であって、
上記基紙がシリカ複合重質炭酸カルシウム粒子及び嵩高剤を含有し、
層間強度が500kPa以上であり、単位面積あたりの内部結合強さが102J/m以下であることを特徴とする。
当該塗工紙は、シリカ複合重質炭酸カルシウム粒子を内添しているため、高い不透明度を有する。このような粒子を用いることで不透明度が高まる理由は定かではないが、不均一な粒径及び形状からなる重質炭酸カルシウムをシリカで凝集させることで、この凝集体(シリカ複合重質炭酸カルシウム粒子)内部の散乱性が向上し、不透明度が高まることが考えられる。
また、当該塗工紙は、層間強度を500kPa以上とし、単位面積あたりの内部結合強さを102J/m以下としているため、嵩高である場合も、柔軟性及び印刷適性に優れる。この理由は明確ではないが、以下の仮定が推測される。内部結合強さは、紙の厚み方向に剪断力を加えた際、紙が剪断変形し、かつ、この剪断変形した紙が厚み方向で引き裂かれるのに必要なエネルギーである。また、層間強度は、厚み方向に紙が引き裂かれるのに必要な単位面積あたりの力である。従って、単位面積あたりの内部結合強さを小さくし、かつ、層間強度を大きくすることで、紙が厚み方向に剪断変形するのに必要な力が小さくなり、柔軟性が高まると考えられる。また、当該塗工紙によれば、所定の層間強度を有するため、十分な印刷適性を発揮することができる。
上記接着剤がラテックス系接着剤を含み、このラテックス系接着剤が、アクリロニトリルを含むモノマーから得られた重合体を含有し、上記モノマーに占めるアクリロニトリルの割合が21質量%以上であるであるとよい。このような接着剤を塗工層に用いることで、塗工層の強度をより柔らかくすることができるので、当該塗工紙の柔軟性及び印刷適性をより高めることができる。
当該塗工紙を離解して得られるパルプ繊維の平均断面積が200μm以上500μm以下であることが好ましい。パルプ繊維の平均断面積を上記範囲とすることで、当該塗工紙の柔軟性及び印刷適性を更に高めることができる。
当該塗工紙の密度としては、0.65g/cm以上0.85g/cm以下、紙厚としては、66.7μm以上200μm以下が好ましい。当該塗工紙の密度及び紙厚を上記範囲とすることで、嵩高さと柔軟性とをより高いレベルで両立させることができる。
当該塗工紙における下記式(1)で表される柔軟度(S)が60×10/m以上110×10/m以下であることが好ましい。
S(1/m
=層間強度(Pa)/{単位面積あたりの内部結合強さ(J/m)×紙厚(m)}
・・・(1)
上述のように、内部結合強さは、紙の厚み方向に剪断力を加えた際、紙が剪断変形し、かつ、この剪断変形した紙が厚み方向で引き裂かれるのに必要なエネルギーである。また、層間強度は、厚み方向に紙が引き裂かれるのに必要な単位面積あたりの力である。従って、単位面積あたりの内部結合強さを層間強度で除した値が、紙が厚み方向に剪断変形するのに必要な力を表す値となると考えられる。さらに、この値が同じでも紙厚が厚いと柔軟性が低下するため、上記値に紙厚を乗じた値が剪断変形に対する剛性に関する指標となる。そこで、この指標(単位面積あたりの内部結合強さ×紙厚/層間強度)の逆数をとり、これを柔軟度(S:単位1/m)とすることで、この柔軟度が塗工紙の単位面積あたりの柔軟性を表す指標(この値が大きいほど柔軟性が高まることを示す)となると考えられる。なお、また、この値が大きすぎると、柔軟性自体は高まるものの、紙の強度が低下することから、印刷適性やめくりやすさが低下すると考えられる。
ここで、単位面積あたりの内部結合強さとは、JAPAN TAPPI 18−2:2000「インターナルボンドテスタ法」に準拠して測定される流れ方向の値である。層間強度とは、TAPPI T 541 pm−83「板紙の内部結合強度(Z方向引張り強さ)」に準拠して測定される値である。パルプ繊維の平均断面積とは、塗工紙をJIS P 8220:1998「パルプ−離解方法」で離解して得られたパルプ繊維について、FiberLab.(Kajaani社)を用いて測定した値である。密度及び紙厚とは、JIS−P8118(1998)「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定される値である。
以上説明したように、当該塗工紙によれば、不透明度が高く、かつ嵩高である場合も柔軟性及び印刷適性に優れる。
以下、本発明の塗工紙の実施の形態について詳説する。
本発明の塗工紙は、基紙及びこの基紙の両面に積層される塗工層を有する。
(基紙)
上記基紙は、通常、主成分としてパルプを含むパルプスラリーを抄紙して得られる。また、上記基紙は、シリカ複合重質炭酸カルシウム粒子及び嵩高剤を含有している。
上記パルプとしては、公知のものを用いることができ、バージンパルプ、古紙パルプ、又はこれらの組み合わせたものを適宜用いることができる。
バージンパルプとしては、例えば、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ等の化学パルプ;ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(TGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ;ケナフ、麻、葦等の非木材繊維から化学的又は機械的に製造されたパルプ等の公知の種々のパルプを使用することができる。
古紙パルプとしては、例えば、茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙等から製造される離解古紙パルプ、離解・脱墨古紙パルプ(DIP)又は離解・脱墨・漂白古紙パルプ等が挙げられる。
これらの各パルプの中でも、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)とを組み合わせて用いることが好ましい。これらの2種のパルプを用いることで、柔軟度の調整等を容易に行うことができる。この場合、LBKPの含有量としては、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、75質量%以上90質量%以下がより好ましい。LBKPは、繊維長が短く、得られる基紙の繊維間空隙が少なくなる。従って、このようにLBKPの含有量を高めることで、塗工層を形成する接着剤が基紙のパルプ繊維間に入り込んで、接着剤とパルプ繊維とが密に接着する。その結果、塗工層のアンカー効果が高くなり塗工層の割れを抑え、印刷の際のモットリングの発生を低減することができる。また、このようなパルプ比とすることで、柔軟度を好適な範囲とすることができ、柔軟性を高めることができる。
当該塗工紙を離解して得られるパルプ繊維の平均断面積としては、200μm以上500μm以下が好ましく、250μm以上450μm以下がより好ましい。パルプ繊維の平均断面積を上記範囲とすることで、当該塗工紙の柔軟性及び印刷適性を更に高めることができる。この平均断面積が上記上限を超えると、繊維が太いことからモットリングが発生しやすくなる。また、繊維間結合が少ないため、内部結合強さや層間強度が低下しやすく、柔軟性の調整が困難となる場合がある。一方、この平均断面積が上記下限未満の場合は、繊維が細いことから密度が高くなり、その結果、柔軟性が低下するおそれがある。
パルプ繊維の平均断面積を調整する手段としては、用いるパルプの種類を設定すること等で行うことができる。針葉樹では、モミ、エゾマツ、ヒノキは平均断面積が小さく、トドマツ、クロマツ、ヒメコマツ、ラジアータマツ、ツガ、スギ、ヒバは中程度であり、カラマツ、アカマツは大きい。広葉樹では、アカガシ、ケヤキ、ハリギリは平均断面積が小さく、ドロノキ、ブナ、ミズナラ、ユーカリ、シイノキ、カツラ、シナノキ、ヤチダモは中程度であり、マカンバ、キリは大きい。すなわち、NBKP及びLBKPとして上述の中程度の平均断面積を有するパルプ種類を選定することが好ましく、たとえば針葉樹としてラジアータマツ等、広葉樹としてユーカリ等を用いると、平均断面積を本発明の範囲内とすることができ、柔軟度を好適な範囲に調整しやすいため好ましい。
さらに、パルプ種におけるLBKPとNBKPとの比を上記範囲とし、パルプ繊維の平均断面積を上記範囲とすることで、基紙における繊維間空隙、繊維間結合、密度等をバランスよく好適な状態とすることができ、柔軟性と印刷適性とを共に高めることができる。
(シリカ複合重質炭酸カルシウム粒子)
上記基紙には、填料として上述のとおり、重質炭酸カルシウムをシリカで複合したシリカ複合重質炭酸カルシウム粒子が含有されており、より不透明度が高い塗工紙が得られるため好ましい。上記シリカ複合重質炭酸カルシウム粒子は、重質炭酸カルシウムをシリカで複合したもの(以下、複合粒子ともいう)である。換言すると、重質炭酸カルシウム粒子の表面の少なくとも一部がシリカで被覆されてなる複合粒子である。上記シリカ複合重質炭酸カルシウム粒子は、通常、シリカで被覆された重質炭酸カルシウム粒子の凝集粒子と、シリカで被覆されているのみで凝集が生じていない重質炭酸カルシウム粒子とが混在して存在する粒子の集合体である。
重質炭酸カルシウムと軽質炭酸カルシウムとは共に屈折率が1.56であり、不透明度向上効果は同程度である。このため、シリカ複合重質炭酸カルシウム粒子とシリカ複合軽質炭酸カルシウムとの不透明度向上効果は同程度であると考えられたが、発明者らが鋭意検討した結果、シリカ複合重質炭酸カルシウムは、シリカ複合軽質炭酸カルシウムよりも高い不透明度向上効果を有していることが判った。これは次の要因によるものと考える。
シリカ複合した炭酸カルシウムは、炭酸カルシウム粒子数個がシリカで接着されており、複合粒子の不透明度向上効果は炭酸カルシウム粒子の粒子径分布により大きく異なる。すなわち、狭い粒子径分布(均一に近い粒子径)を有する軽質炭酸カルシウムをシリカで複合した場合は複合粒子内部の散乱性が低くなるのに対して、広い粒子径分布(不均一な粒子径)を有する重質炭酸カルシウムをシリカで複合させた場合は複合粒子内部の散乱性が向上しやすくなり、より不透明性が向上しやすい。
また、重質炭酸カルシウムは軽質炭酸カルシウムに比べて粒子が硬く丈夫であるため、衝撃によって炭酸カルシウム粒子が壊れて複合が解けることはなく、不透明性向上効果を維持できる。ブレード塗工で基紙上に塗工層を設ける場合、近年では塗工速度の向上により塗工量が増加しやすく、余分な塗料を掻き落とすためブレード押圧が高くなっており、ブレード押圧により複合粒子に負荷が掛りやすい傾向にある。特に塗工速度1,300m/分以上の高速塗工になると、従来は問題にならなかったブレード押圧による複合粒子の分解が発生する可能性がある。そして、分解により複合が解けると十分な散乱性が得られにくくなり、不透明度向上効果が低下しやすくなる。すなわち本発明のごとく、シリカ複合重質炭酸カルシウムを填料として用いた場合、シリカ複合軽質炭酸カルシウムに比べて、特に高速ブレード塗工を行った場合に不透明度向上効果が高いため、より不透明性に優れた塗工紙を得ることができる。
一方で、シリカ複合重質炭酸カルシウムは、シリカ複合軽質炭酸カルシウムに比べて密度が大きくなる傾向があり、シリカ複合軽質炭酸カルシウムと同程度の不透明性向上効果を得るためには添加量を多くする必要があり、嵩が出にくいとされている。このため、本発明においてはさらに嵩高剤を併用し嵩高性を向上させることで、不透明度向上効果に優れた重質炭酸カルシウムの利点を得ることができ、嵩高である場合も不透明度に優れた塗工紙を得ることができる。
また、当該塗工紙によれば、シリカ複合重質炭酸カルシウム粒子を内添させることで、層間強度の低下を比較的抑えつつ、内部結合強さを弱めることができる。この理由は定かではないが、重質炭酸カルシウムは磨砕により製造されているため、角は鋭いが全体の形状は球状に近く、シリカ複合重質炭酸カルシウム粒子が比較的球状に近い状態になる結果、填料の存在が基紙の厚み方向への剪断変形に対して抵抗になりにくく、内部結合強さが低下することが考えられる。一方、軽質炭酸カルシウムは紡錘状、柱状、立方状等であり球状には程遠く、シリカで複合させたとしても球状に近い状態にならず、比較的複雑な形状になると考えられ、シリカ複合軽質炭酸カルシウム粒子においては、填料の存在が基紙の厚み方向への剪断変形の抵抗となる結果、内部結合強さを高め、柔軟性を低下させていると考えられる。
上記シリカ複合重質炭酸カルシウムの含有量としては、特に限定されないが、パルプスラリー中、パルプ(絶乾量)に対して1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。シリカ複合重質炭酸カルシウムの含有量が上記下限未満の場合は、十分に不透明度向上効果を得ることができない場合がある。逆に、シリカ複合重質炭酸カルシウムの含有量が上記上限を超える場合は、シリカ複合重質炭酸カルシウムにより繊維間の強度を弱め、内部結合強さや層間強度を低下させる場合がある。
上記複合粒子の平均粒子径は、2μm以上15μm以下が好ましく、3μm以上10μm以下がより好ましい、3.5μm以上6μm以下がさらに好ましい。複合粒子の平均粒子径をこのような範囲とすることで、填料として用いたときの不透明度等を効率的に高めることができる。上記複合粒子の平均粒径が上記下限未満の場合は、填料として用いたときに歩留まりが十分に向上しないおそれがあり、また、不透明度向上能も十分ではない。一方、この平均粒子径が上記上限を超えると填料として用いた場合、パルプ繊維間の強度を低下させる結果、紙力が低下したり、ワイヤー磨耗度が高まる場合があり、また、粒径が大きいことで、スラリー中での均一分散性が低下し、不透明度及び印刷後不透明度が低下するおそれがある。
なお、本発明において平均粒子径は50%体積平均粒子径をいい、日機装社製マイクロトラック粒度分布測定装置(型番:MT−3300)を用い、測定回数:Avg/2(2回の測定の平均)、測定時間:10秒、分布表示:体積、粒径区分:標準、計算モードMT−3300II、測定上限2000μm、測定下限0.021μmの条件下で測定することができる。
0.021μmから2,000μmの範囲を132対数分割して測定した上記複合粒子の粒度分布における最頻値を占める1分割あたりの粒子の頻度割合は、3%以上12%以下が好ましい。上記複合粒子のこの最頻値を占める粒子の頻度割合としては、4.5%以上9.5%以下が好ましく、5%以上9%以下がさらに好ましい。このようにこの頻度割合を比較的高くすることで、上述のように粒度分布が狭くなり、上記性能を効果的に奏することができる。なお、上記重質炭酸カルシウム粒子の同様な粒度分布における最頻値を占める粒子の頻度割合より大きいことが好ましい。
シリカ被覆後の最頻値が3%未満では、十分な一次粒子のシリカ被覆が行えず、特には重質炭酸カルシウム特有の多数のナイフエッジに丸みを及ぼす効果が発現できず、12%を超えるシリカ被覆では、本件発明者が知見した、粒径の小さいものはシリカの被覆と共に複数の粒子の凝集が進む一方、粒径の大きいものはシリカの被覆のみで凝集がほとんど生じない特有の効果が発現されない問題が生じうる。
なお、本発明における粒度分布は、日機装社製マイクロトラック粒度分布測定装置(型番:MT−3300)を用い、測定回数:Avg/2、測定時間:10秒、分布表示:体積、粒径区分:標準、計算モードMT−3300II、測定上限2000μm、測定下限0.021μmの条件下で測定することができる。
上記複合粒子は、このように最頻値を占める粒子の頻度割合が炭酸カルシウム粒子の一次粒子における最頻値を占める粒子の頻度割合よりシリカを被覆することで少なくとも3%以上、多くとも12%以下と大きくすることで、粒径のばらつきが大きい重質炭酸カルシウム粒子をもとに、シリカの被覆により粒径のばらつきが小さい状態としている。このような粒子の集合体である当該複合粒子によれば、粒径の小さい粒子が少ないため、さらに好ましくはシリカ含有率を2質量%以上30質量%以下に調整することで粒径の小さい粒子が選択的にシリカにより柔軟に凝集化され、抄紙の際に繊維間に留まりやすく、歩留まりが向上すると共に、柔軟な性状により嵩高性にも寄与する。また、上記複合粒子によれば元々粒径が大きく角張っていた粒子の表面はシリカで被覆されているためワイヤー磨耗度を下げることができる。また、当該複合粒子によれば、一次粒子径の粒度分布が広い、すなわち様々な粒子径の炭酸カルシウム粒子の集合体からなることで光の散乱性が高く、不透明度を高めることができる。さらに上記複合粒子は、シリカの表面への析出による被覆により多孔質形状となっており、吸油度が高く、印刷後不透明度を高めることができる。
最頻値が12%より高い一次粒子を用いてシリカ被覆を行った場合は、シリカ被覆による凝集により、一次粒子の最頻値より、低い最頻値の複合粒子が生じる問題が発現し、歩留まりや不透明度が低下する問題を引き起こす。
シリカ被覆による炭酸カルシウムの一次粒子と複合後の複合粒子とにおける最頻値を占める頻度割合の上昇差異(複合粒子における最頻値を占める頻度割合から炭酸カルシウムの一次粒子における最頻値を占める頻度割合を減じた値(%))が、少なくとも2%以上、より好ましくは2.5%以上であることが、歩留り及び不透明度が高く、かつ、ワイヤー磨耗度が低い複合粒子を得ることができ好ましい。
<重質炭酸カルシウム粒子>
重質炭酸カルシウム粒子を用いて複合粒子を得ることで、粒度分布が狭く、歩留まりが高い複合粒子を得ることができる。この理由としては、重質炭酸カルシウム粒子が不定型でありかつ広い粒度分布を有するためであると考えられる。このような重質炭酸カルシウム粒子にシリカを析出させると、粒径の小さいものはシリカの被覆と共に複数の粒子の凝集が進む一方、粒径の大きいものはシリカの被覆のみで凝集がほとんど生じていない状態となり、粒度分布の広い重質炭酸カルシウム粒子から粒度分布幅の狭い複合粒子を得ることができる。また、このように複合粒子を形成する重質炭酸カルシウム粒子の粒度分布が広いことから、得られる複合粒子は個々の粒子において光の散乱性が異なり、全体として高い不透明度を発揮できると考えられる。なお、粒度分布幅の狭く、形状の均一性が高い軽質炭酸カルシウム粒子を用いた場合は、各軽質炭酸カルシウム粒子に対して、シリカ被覆がほぼ均等に行われるため、得られる複合粒子の粒度分布は通常狭くなりにくく、重質炭酸カルシウム粒子を用いた上述の効果を発揮することはできにくい。
上記重質炭酸カルシウム粒子の平均粒子径(一次粒子径)が0.5μm以上3μm以下のものが好ましく、0.8μm以上2.5μm以下が更に好ましい。重質炭酸カルシウム粒子の平均粒子径をこのような範囲とすることで、後述するシリカによる凝集と相まって、上記複合粒子を製紙における填料として用いた際の歩留まり及び不透明度等を高めることができる。
また、この重質炭酸カルシウム粒子としては、上述の粒度分布における最頻値を占める一次粒子の頻度割合が、得られる複合粒子の上述の粒度分布における頻度割合より小さい値であるものが好適に用いられる。この頻度割合が低い重質炭酸カルシウム粒子を用いることで、粒径の小さいものはシリカの被覆と共に複数の粒子の凝集が進む一方、粒径の大きいものはシリカの被覆のみで凝集がほとんど生じていない状態となり、粒度分布の広い重質炭酸カルシウム粒子を粒度分布幅の狭い複合粒子とすることができ、結果として複合粒子の歩留向上、吸油度や不透明度を高めることができる。
なお、重質炭酸カルシウム粒子を用いることで、上述のような広い粒度分布を有する炭酸カルシウム粒子を容易に得ることができる。この重質炭酸カルシウムは、天然の石灰石を粉砕・分級する方法で調製することができるし、粉粒体として入手できる市販の重質炭酸カルシウムを必要に応じて粉砕・分級して用いることもできる。ここでいう粉砕には、例えば、ロールミル、ジェットミル、乾式ボールミル、衝撃式粉砕機等の乾式粉砕機による粉砕、湿式ボールミル、振動ミル、撹拌槽型ミル、流通管型ミル、コボールミル等の湿式粉砕機による粉砕が挙げられ、これらの粉砕機を適宜組み合わせて使用することもできる。
また、分級方法としては、例えば、共振振動ふるい、ローヘッドスクリーン、電磁スクリーン等のふるい分け、ミクロンセパレーター、サイクロン等の乾式分級、デカンタ型遠心分離機、液体サイクロン、ドラッグ分級機等の湿式分級が挙げられ、これらの分級機を適宜組み合わせて使用することができる。
<シリカ>
重質炭酸カルシウム粒子を被覆するシリカとしては、特に限定されず公知のものを用いることができ、後述するように水溶液中でシリカを析出し被覆させることで、効率的に炭酸カルシウム粒子に被覆させることができる。
このシリカの含有率としては、2質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上25質量%以下がさらに好ましい。シリカの含有率をこのような範囲とすることで、粒径の小さい重質炭酸カルシウム粒子に対しては、複数の粒子が柔軟に凝集するほど十分な表面へのシリカ析出量となり、粒径の大きい重質炭酸カルシウム粒子に対しては、表面、特に析出しやすいナイフエッジ等の先端部分へのシリカ析出に留まり、他の粒子との凝集が生じるほどの被覆が生じない。従って、上記複合粒子によれば、粒度分布の広い重質炭酸カルシウム粒子をこのような質量比のシリカで被覆することで、粒度分布の狭い凝集体状態に制御されやすくなり、結果として複合粒子の歩留向上、吸油度や不透明度を高め、ワイヤー磨耗度の低減を図ることができる。
シリカの含有率が上記下限未満の場合は、重質炭酸カルシウム粒子を十分に凝集させることができず、得られる複合粒子の粒度分布が狭まりにくく、その結果、填料として用いた際の歩留まりが向上しないおそれがある。逆に、シリカ含有率が上記上限を超える場合は、粒径の比較的大きい重質炭酸カルシウム粒子の凝集までもが進みやすくなる。その結果、得られる複合粒子において粒径が大きい粒子が増え、同様に粒度分布が狭まりにくく、不透明度向上能が十分ではなく、また、粒径の大きい粒子が多いため、紙力が低下したり、紙粉が生じやすくなるおそれがある。
上記複合粒子の吸油度は、30ml/100g以上100ml/100g以下、より好ましくは40ml/100g以上80ml/100g以下の範囲が好ましい。このような吸油度を有する複合粒子を内添填料として使用すると、紙層中においてこの複合粒子が紙層中に含浸されるインクのビヒクル分や有機溶剤等を吸収するため用紙の印刷不透明度が低下するのを抑制し、また、インクのビヒクル分や有機溶剤等を吸収することで、インク乾燥性やニジミの防止効果を顕著に発揮することができる。一方、吸油度が30ml/100g未満の場合には上記の効果が十分でなく、複合粒子がインクの吸収・乾燥性を阻害する傾向が生じる場合が有る。また吸油度が100ml/100gを超えると、インクの吸収性が高いためインクの沈みこみ、いわゆる発色性が劣る不都合が生じる場合がある。
<製造方法>
上記複合粒子の製造方法は、特に限定されないが、例えば
(1)重質炭酸カルシウム粒子をケイ酸アルカリ水溶液中に懸濁させて懸濁液を得る懸濁工程と、
(2)この懸濁液に鉱酸を添加し、重質炭酸カルシウム粒子の表面にシリカを析出し、被覆させて炭酸カルシウム粒子を凝集させる凝集工程と
を有する製造方法で得ることができる。
このような方法で製造することで、凝集工程において、重質炭酸カルシウム粒子のうち、粒径の小さいものはシリカの被覆と共に複数の粒子の凝集が進む一方、粒径の大きいものはシリカの被覆のみで、凝集がほとんど生じていない状態となり、粒度分布の広い重質炭酸カルシウム粒子を粒度分布の狭い複合粒子とすることができる。従って、上記製造方法によれば、歩留り及び不透明度等が高く、かつ、ワイヤー磨耗度が低い複合粒子を得ることができる。
(1)懸濁工程
本工程においては、好ましくは湿式粉砕された重質炭酸カルシウムをケイ酸アルカリ水溶液中に混合する。ケイ酸アルカリ水溶液は特に限定されないが、ケイ酸ナトリウム溶液(3号水ガラス)が入手に容易である点で好ましいましい。
珪酸アルカリ溶液の濃度は水溶液中の珪酸分(SiO換算)で3〜10質量%が好適である。10質量%を超えると形成される複合粒子は生成するホワイトカーボンで被覆されてしまい、芯部の炭酸カルシウムの不定形性、光学的特性が発揮されなくなってしまう場合がある。また、3質量%未満では複合粒子中のシリカ成分が低下するため、シリカが被覆された複合粒子が形成しにくくなってしまう。
また、この懸濁液の固形分濃度としては、3〜35質量%が好ましい。この濃度を上記範囲で調整することにより、得られる複合粒子の粒径、粒度分布、シリカ含有率等を所望する範囲に制御しやすくなる。
(2)凝集工程
本工程においては、上記懸濁液に鉱酸を添加し、重質炭酸カルシウム粒子の表面にシリカを析出し被覆させ、重質炭酸カルシウム粒子の少なくとも一部を凝集させる。
上記鉱酸としては希硫酸、希塩酸、希硝酸等の鉱酸の希釈液等が挙げられるが、価格、ハンドリングの点で希硫酸が好ましい。さらに、希硫酸を使用する場合の添加時の濃度としては、0.2〜4.0モル%が好ましい。上記製造方法で好適に用いられる重質炭酸カルシウムは鉱物由来であるがうえに、所定の範囲でカルシウム、アルミニウム等の不純物を構成元素として含有しており、過度の濃度の鉱酸添加は、得られる複合粒子に変質が生じるおそれがある。
また、鉱酸添加量が多いほど短時間内にシリカが析出するので、それらの条件に合わせて添加速度を調整することが好ましい。なお、5分以内の添加は、均一な反応系の構成が不十分になる。
この凝集工程における反応温度としては、60℃以上100℃以下が好ましい。本発明者らの鋭意検討の結果から、本発明に使用する重質炭酸カルシウムとの反応温度はシリカの生成、結晶成長速度および形成された重質炭酸カルシウム−シリカ複合粒子の力学的強度に影響を及ぼす。反応温度が60℃未満ではシリカの生成・成長速度が遅く、形成された複合粒子の被覆性に劣り、被覆の剥落が生じやすく、填料内添紙の抄造時にかかる剪断力で被覆が壊れ易い。逆に100℃を超えると、水系反応であるためオートクレーブを使用しなければならないため反応工程が複雑になってしまう。なお、最適反応温度は65〜95℃である。
この凝集工程においては、上述のように鉱酸の添加によりシリカゾルを生成させ、上記懸濁液を中性〜弱アルカリ性、好ましくはpHを8〜11の範囲に調整することにより複合粒子を得ることができる。この際、上記懸濁液の温度が60℃以上100℃以下であるとともに、上記複合粒子におけるシリカ含有率が2質量%以上30質量%以下となる範囲で鉱酸を添加するとよい。このような温度及び鉱酸添加量に制御すること、より好適には、重質炭酸カルシウムに対するシリカの凝集工程の保持時間を60〜120分、より好適には70分から100分保つことにより粒径の小さいものはシリカの被覆と共に複数の粒子の凝集が進んでいる一方、粒径の大きい重質炭酸カルシウム粒子に対しては、表面、特に析出しやすいナイフエッジ等の先端部分へのシリカ析出に留まり、他の粒子との凝集が生じるほどの被覆が生じないによって、上述の粒度分布の狭い複合粒子を効率的に得ることができる。保持時間が60分を下回ると、粒径の小さな重質炭酸カルシウムの凝集が不十分になり、120分を上回ると、過度のシリカ被覆が生じ、過大な粒径の複合粒子が生じる場合がある。
(嵩高剤)
上記基紙は、嵩高剤を含有する。上記嵩高剤としては、特に限定されず公知のものを用いることができるが、脂肪酸エステル系、脂肪酸アマイド系又はポリアミン系の嵩高剤が好ましく、脂肪酸エステル系がより好ましい。このような嵩高剤を用いることで、シリカ複合重質炭酸カルシウムの添加等による内部結合強さ及び層間強度の低下等を抑えつつ、嵩を高めることができる。
上記嵩高剤の含有量としては、特に限定されないが、パルプスラリー中、パルプ(絶乾量)に対して0.2質量%以上20質量%以下が好ましく、0.5質量%以上15質量%以下がより好ましい。嵩高剤の含有量が上記下限未満の場合は、十分に嵩を高めることができない場合がある。逆に、嵩高剤の含有量が上記上限を超える場合は、嵩高剤により繊維間の強度を弱め、内部結合強さや層間強度を低下させる場合がある。
上記基紙には、その他、例えば、澱粉類、ポリアクリルアミド、エピクロルヒドリン等の紙力増強剤、ロジン、アルキルケテンダイマー、ASA(アルケニル無水コハク酸)、中性ロジン等の内添サイズ剤、硫酸バンド、ポリエチレンイミン等の凝結剤、ポリアクリルアミドやその共重合体等の凝集剤などを含有することができる。
上記基紙の両面には、表面サイズ剤及び紙力向上剤を含む塗工液が下塗り塗工として塗工されていることが好ましい。このような下塗り塗工を行うことで、当該塗工紙の柔軟性及び印刷適性等を高めることができる。
上記表面サイズ剤としては、特に限定されず、例えば、澱粉、スチレン系サイズ剤、アクリレート系サイズ剤、アルキルケテンダイマー等を挙げることができるが、これらの中でも、澱粉、スチレン系サイズ剤及びアクリレート系サイズ剤が好ましく、澱粉が特に好ましい。
上記紙力向上剤としては、特に限定されず、例えば、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリビニルアルコール(PVA)、アクリル系樹脂、ポリアミド・ポリアミン系樹脂、尿素・ホルマリン系樹脂、メラミン・ホルマリン系樹脂、ポリエチレンイミン等を挙げることができるが、これらの中でも、PAM、アクリル系樹脂及びPVAが好ましく、PAMがさらに好ましい。
さらに、表面サイズ剤として澱粉を用い、紙力向上剤としてPAMを用いることがさらに好ましい。このような組み合わせの下塗り用塗工液を用いることで、少ない塗工量によっても、柔軟かつ基紙と塗工層(上塗り塗工層)との密着の高い被膜を形成することができ、その結果、当該塗工紙の印刷適性及び柔軟性を共により高めることができる。さらには、上述のとおり所定範囲内の平均断面積を有する基紙上に、表面サイズ剤として澱粉を用い、かつ紙力向上剤としてPAMを併用すると、特に印刷適性及び柔軟性を共に高めることができる。
なお、澱粉とPAMを組み合わせて用いる際、これらの質量比としては、9:1〜1:1が好ましく、5:1〜2:1がより好ましい。このような質量比とすることで、上記効果をより高めることができる。
上記下塗り塗工における塗工液の塗工量としては、特に限定されないが、固形分換算で、片面あたり0.1g/m以上1g/m以下が好ましく、0.3g/m以上0.7g/m以下がより好ましい。この塗工量が上記下限未満の場合は、上述した下塗り塗工による効果が十分に発揮されず、例えば印刷適性が低下する場合がある。逆に、この塗工量が上記上限を超える場合は、この塗工により表面強度が高まり、柔軟性が低下する場合などがある。
(塗工層)
上記塗工層は顔料及び接着剤を主成分として含有し、上記基紙の両面に塗工液の塗工(上塗り塗工)により積層される。すなわち、上記塗工液は、上記顔料及び接着剤を主成分として含有する。
上記顔料としては、特に限定されず、例えば、カオリン、デラミネーテッドカオリン、タルク、クレー、炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム)、サチンホワイト、亜硫酸カルシウム、石膏、硫酸バリウム、ホワイトカーボン、焼成カオリン、構造化カオリン、珪藻土、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、シリカ、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ベントナイト、セリサイト等の無機顔料やポリスチレン樹脂微粒子、尿素ホルマリン樹脂微粒子、微小中空粒子、多孔質微粒子等を挙げることができる。
これらの中でも、炭酸カルシウムを用いることが、白色度を高める点などから好ましい。また、この炭酸カルシウムの吸油量としては、吸油量40ml/100g未満が好ましく、10ml/100g以上30ml/100g以下がより好ましい。このように吸油量が低い炭酸カルシウムを用いることで、印刷インキを吸収することを抑えられ、モットリングの発生が低減される。加えて、湿し水の吸収も抑えられ、塗工層の伸びが抑えられるので、印刷適性を高めることができる。
上記顔料に対する上記炭酸カルシウムの含有量としては、45質量%以上が好ましく、50質量%以上100質量%以下がより好ましい。このように炭酸カルシウムの含有量を高めることで、当該塗工紙の白色度を高めることができる。
なお、上記顔料において炭酸カルシウムと共に用いる顔料としては、特に限定されないが、インク受理性に優れるクレーが好ましい。
上記接着剤としては、特に限定されず公知のものを用いることができ、例えば、カゼイン、大豆蛋白等の蛋白質類;スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、スチレン−メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス等の共役ジエン系ラテックス;アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルの重合体ラテックス若しくは共重合体ラテックス等のアクリル系ラテックス;エチレン−酢酸ビニル重合体ラテックス等のビニル系ラテックス;これらの各種共重合体ラテックスをカルボキシル基等の官能基含有単量体で変性したアルカリ部分溶解性又は非溶解性のラテックス等のラテックス類;オレフィン−無水マレイン酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂等の合成樹脂系接着剤;酸化澱粉、陽性化澱粉、エステル化澱粉、デキストリン等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体等を挙げることができる。
これらの中でも好ましいのはラテックス系接着剤であり、このラテックス系接着剤が、アクリロニトリルを含むモノマーから得られた重合体を含有することが好ましい。アクリロニトリルをモノマーとして含む場合、得られる重合体の対称性が高まるため、融点が高くなる。従って、このような塗工層を用いると塗工層の柔軟性が高まるため、当該塗工紙の柔軟性を高めることができる。また、アクリロニトリルをモノマーとして含む重合体を用いることで、印刷適性も高めることができる。
上記モノマーに占めるアクリロニトリルの割合は、21質量%以上であることが好ましく、22質量%以上30質量%以下が好ましい。このようにアクリロニトリルの割合を比較的高めることで、当該塗工紙の柔軟性及び印刷適性を高めることができる。さらには、上述のとおり所定範囲内の平均断面積を有する基紙上に、表面サイズ剤として澱粉を用い、かつ紙力向上剤としてPAMを併用した上で、アクリロニトリルの割合が21質量%以上であるラテックスを併用すると、特に柔軟性を高めることができる。
さらに、上記アクリロニトリルを含むモノマーから得られた重合体は、モノマーとして、スチレンを含むことが好ましい。このようにアクリロニトリルとスチレンとを含むモノマーを共重合して得られた重合体は、理由は定かではないが、炭酸カルシウムに対する接着性が高く、少ない量においても顔料を強固に固定することができる。従って、このような重合体を用いることで、接着剤の量を減らし、当該塗工紙の柔軟性を高めることができる。この場合、全モノマーに占めるスチレンの割合としては、上記機能を好適に発揮するため、20質量%以上40質量%以下が好ましい。
上記塗工層(塗工液における固形分)における接着剤の含有量としては、10質量%未満が好ましく、3質量%以上8質量%以下がより好ましい。このように、接着剤の含有量を少なくすることで、柔軟な塗工層を得ることができ、当該塗工紙の柔軟性を高めることができる。なお、顔料として、上記吸油量の炭酸カルシウムを用い、接着剤として上述のアクリロニトリルとスチレンとをモノマーとして得られるものを用いることで、このように接着剤の含有量を少なくしても、顔料の固着性が高く、かつ、印刷適性も高めることができる。
上記塗工層(塗工液)には、顔料、接着剤の他にも、例えば、蛍光増白剤、蛍光増白剤の被染着物質、消泡剤、離型剤、着色剤、保水剤等の通常使用される各種助剤を含有することができる。
上記塗工層の塗工量としては、片面あたり5g/m以上18g/m以下が好ましく、7g/m以上12g/m以下がより好ましい。塗工量が上記下限未満の場合は、十分な印刷適性を発揮しにくい。逆に、塗工量が上記上限を超えると、塗工層により当該塗工紙の表面が硬化することで、柔軟性が低下しやすい。
(層間強度及び単位面積あたりの内部結合強さ)
当該塗工紙の層間強度は500kPa以上であり、単位面積あたりの内部結合強さは102J/m以下である。このように、単位面積あたりの内部結合強さを小さくし、かつ、層間強度を大きくすることで、紙が厚み方向に剪断変形するのに必要な力が小さくなり、柔軟性が高まると考えられる。また、当該塗工紙によれば、所定の層間強度を有するため、十分な印刷適性を発揮することができる。
上記層間強度としては、500kPa以上1,000kPa以下が好ましく、550kPa以上900kPa以下がより好ましい。層間強度が上記上限を超えると、剪断変形が生じやすくなることから、モットリングが発生し易くなる等、印刷適性が低下する場合がある。逆に、層間強度が上記上限未満の場合は、柔軟性や印刷適性が低下する場合がある。
上記単位面積あたりの内部結合強さとしては、40J/m以上80J/m以下が好ましく、52J/m以上68J/m以下がより好ましい。内部結合強さが上記上限を超えると、柔軟性が低下する場合がある。逆に、内部結合強さが、上記下限未満の場合は、印刷の際にブランケット通過時に紙が両方向に引っ張られることによって剥離が生じるなど、印刷適性が低下するおそれなどがある。
なお、層間強度及び内部結合強さは、例えば、叩解、坪量、塗工層を形成する際の塗工液の塗工量及びその成分、塗工方法、基紙を形成するパルプ種、柔軟剤等の内添剤の種類や量、カレンダー処理における線圧等により調整することができる。例えば、パルプの叩解において叩解濃度を下げカッティング叩解を行うと、繊維の切断が多くなる一方で外部及び内部フィブリル化が発生し難いため、剪断変形しやすくなり内部結合強さを低下させやすい。カッティング叩解を行うには、叩解時の温度を上げる、叩解刃を調整(刃幅を狭く、刃長を長く、接触角度を小さく)する等の方法がある。また、澱粉やサイズ剤などのクリア塗工液の塗工方法として、塗工液が紙の内部にまで浸透しやすい、紙をポンドに浸す2ロールサイズプレスを用いると、層間強度を向上させることができる。
これらの中でも特に、上述のように、填料としてシリカ複合重質炭酸カルシウム粒子を用いることで、層間強度及び内部結合強さのうち、内部結合強さを比較的大きく弱めることができ、その結果、得られる塗工紙の柔軟性を高めることができる。
(柔軟度(S))
当該塗工紙においては、下記式(1)で表される柔軟度(S)が60×10/m以上110×10/m以下であり、65×10/m以上90×10/m以下であることが好ましい。
S(1/m
=層間強度(Pa)/{単位面積あたりの内部結合強さ(J/m)×紙厚(m)}
・・・(1)
この柔軟度は、上述のように紙を厚み方向に剪断変形させるのに必要な力に関係する値となり、この値が大きいほど上記力が不要となる、すなわち柔軟性が高くなる。上記柔軟性パラメーターが上記下限未満の場合は、柔軟性が低下し、例えばページを繰る際にページが立ちやすくなるなど、めくりにくくなる。逆に、上記柔軟性パラメーターが上記上限を超える場合は、紙の強度が低下し、印刷適性が低下したり(例えばモットリングの発生)、めくりにくくなる等の不都合が生じる。
上記柔軟度は、紙厚の他、単位面積あたりの内部結合強さ及び層間強度を変えることにより調整することができるが、この単位面積あたりの内部結合強さ及び層間強度は、例えば、坪量、塗工層を形成する際の塗工液の塗工量及びその成分、基紙を形成するパルプ種、柔軟剤等の内添剤の種類や量、カレンダー処理における線圧等により調整することができる。
(その他の品質等)
当該塗工紙の紙厚としては、特に限定されないが、66.7μm以上200μm以下が好ましい。当該塗工紙によれば、このような嵩高な場合も、上記柔軟度が調整されていることで、柔軟性と印刷適性とを兼ね備えることができる。
当該塗工紙の密度としては、特に限定されないが、0.65g/cm以上0.85g/cm以下が好ましく、0.7g/cm以上0.8g/cm以下がより好ましい。このような密度とすることで、当該塗工紙における柔軟性と、塗工層のアンカー効果による印刷適性とをバランスよく発揮させることができる。密度が上記下限未満の場合は、塗工層のアンカー効果が弱まることなどにより、印刷適性が低下する場合などがある。逆に、密度が上記上限を超える場合は、柔軟性が低下する場合などがある。さらには、上述のとおり所定範囲内の平均断面積を有する基紙上に、表面サイズ剤として澱粉を用い、かつ紙力向上剤としてPAMを併用した上で、アクリロニトリルの割合が21質量%以上であるラテックスを併用して、密度を上述の範囲内にすると、特に柔軟性及び印刷適性の双方を高めることができる。
当該塗工紙の坪量としては、特に限定されないが、50g/m以上150g/m以下が好ましく、70g/m以上120g/m以下がより好ましい。坪量を上記範囲とすることで、上記柔軟性パラメーターを調整しやすくなるなど、当該塗工紙の柔軟性と印刷適性とをバランス良く発揮させることができる。
当該塗工紙の白色度としては、特に限定されないが、80%以上が好ましく、83%以上が好ましい。当該塗工紙によれば、例えば、好ましくは上記炭酸カルシウムの含有量を調整すること等により、このように高い白色度を備えることができる。上記白色度の上限としては、特に限定されないが、例えば95%である。なお、白色度は、JIS−P8148に記載の「紙、板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法」に準拠して測定した値をいう。
(製造方法)
当該塗工紙の製造方法としては、特に限定されず、公知の塗工紙の製造方法にて得ることができる。具体的には、例えば、原料パルプスラリーを抄紙し、プレスパート及びプレドライヤーパートに供して基紙を製造し、次いでアンダーコーターパートにて下塗り塗工をし、乾燥及び平坦化処理後、塗工液(上塗り塗工液)の塗工により塗工層を形成し、カレンダー処理を施すことで得ることができる。
塗工の際の塗工装置としては特に限定されず、例えばサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、ブレードコータ、バーコータ、ゲートロールコータ、ロッドコータ、エアナイフコータ等を用いることができる。
また、カレンダー処理の際のカレンダ装置としては、例えばスーパーカレンダ、グロスカレンダ、ソフトコンパクトカレンダなどの金属またはドラムと弾性ロールの組み合わせになる各種カレンダが、オンマシン又はオフマシン仕様で適宜使用できる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、本実施例における各測定値の測定方法及び評価基準は、以下に記載のとおりである。
[平均粒子径、頻度割合A及び頻度割合Bの測定]
レーザー回折粒度分布測定装置〔マイクロトラック/日機装社〕(型番:MT−3300)を使用し、50%体積平均粒子径(μm)、頻度割合A(%)及び頻度割合B(%)を測定した。測定試料の調製は、0.1%ヘキサメタ燐酸ソーダ水溶液に粒子を添加し、超音波で1分間分散した。
[シリカ含有量]
蛍光X線分析装置(RIGAKU SYSTEM3080E2)により成分分析を行い、カルシウムの酸化物換算割合とケイ素の酸化物換算割合とから、シリカ含有量(質量%)を算出した。
[複合粒子の吸油度]
JIS−K5101記載の練り合わせ法に準じて測定した。すなわち105℃〜110℃で2時間乾燥した試料2g〜5gをガラス板に取り、精製アマニ油(酸価4以下のもの)をビュレットから少量ずつ試料の中央に滴下しその都度ヘラで練り合わせ、滴下練り合わせの操作を繰り返し、全体が初めて1本の棒状にまとまったときを終点として、精製アマニ油の滴下量を求め、下記式(1)によって吸油度を算出した。
吸油量=[アマニ油量(mL)×100]/紙料(g) ・・・(1)
[ワイヤー磨耗度(mg)]
磨耗度試験装置(日本フィルコン(株)製)を使用し、固形分濃度:5%の填料分散液をポンプ循環させながら、試験条件(加重=650g,ワイヤー=プラスチックワイヤ/SS−40…日本フィルコン社製を使用,試験時間=3時間)で摩耗度試験を行い、減量したワイヤーの重量(mg)をもってワイヤー摩耗度とした。数値が大きい程、ワイヤー摩耗性が大きいことを示す。
[坪量(単位:g/m)]
JIS−P8124(1998)「紙及び板紙−坪量測定方法」に準拠して測定した。
[紙厚(単位:μm)]
JIS−P8118(1998)「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した。
[密度(単位:g/cm)]
JIS−P8118(1998)「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した。
[単位面積あたりの内部結合強さ(単位:J/m)]
JAPAN TAPPI 18−2:2000「インターナルボンドテスタ法」に準拠して流れ方向の強さを測定した。
[層間強度(単位:kPa)]
TAPPI T 541 pm−83「板紙の内部結合強度(Z方向引張り強さ)」に準拠して測定した。
[柔軟度(単位:1/m
上記式(1)に従って算出した。
[白色度(単位:%)]
JIS−P8148に記載の「紙、板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法」に準拠して測定した。
[不透明度(%)]
JIS−P8149に記載の方法に準拠して測定した。
[モットリング]
次の条件で塗工紙に印刷を行って印刷試験体を作製した。
・印刷機:RI‐3型、株式会社明製作所製
・インク:WebRexNouverHIMARKプロセス、大日精化社製
・インク量:上段ロールに0.3ml、下段ロールに0.2ml
試験方法:上段、下段ロールでそれぞれインクを各3分間練り(2分間練った後、ロールを反転させてさらに1分間練る)、回転速度30rpmで2色同時印刷を行った。
この印刷試験体について、次のとおりモットリクングを目視評価した。
◎:モットリングはみられずない。
○:僅かにモットリングがみられる。
△:少しモットリングがみられるが、実用上問題ない。
×:強くモットリングが発生し、実使用不可能。
[パルプ繊維の平均断面積(単位:μm)]
塗工紙をJIS−P8220:1998「パルプ−離解方法」で離解して得られたパルプ繊維について、FiberLab.(Kajaani社)を用いて測定した。
[柔軟性(めくりやすさ)]
得られた塗工紙100枚をA5版サイズに裁断し、クリップで挟んで冊子のモデルを作成した。柔軟性として、ページのめくった際のめくりやすさ、及びページの立ちにくさを10人のモニターにより、下記の基準で評価した。
◎:非常に優れる(非常にめくりやすく、立ちにくい)
○:優れる(めくりやすく、立ちにくい)
△:やや問題あり(めくりにくいページや、立つページがある)
×:問題あり(めくりにくく、立ちやすい)
各実施例で用いた薬品は以下のとおりである。
(嵩高剤)
・脂肪酸エステル系:KB−210、花王社製
・脂肪酸アマイド系:ペレミンTS−218、ミヨシ油脂社製
・ポリアミン系:DKSタフロンNT−350J、第一工業製薬社製
(外添サイズ剤)
・澱粉:マーメイドM−205、敷島スターチ社製
・スチレン系:SS2710、星光PMC社製
・アクリレート系:SE2066、星光PMC社製
(紙力向上剤)
・PAM:ハリコートG51、ハリマ化成社製
・アクリル系:ポリマセット500、荒川化学工業社製
・PVA:ゴーセナールT−330、日本合成化学工業社製
(顔料)
・クレー(カオリンクレー):KCS、Huber社製
・炭酸カルシウム
軽質炭酸カルシウム:TP−121、奥多摩工業社製、吸油量42ml/100g
軽質炭酸カルシウム:アルバフィル、ファイザーMSP社製、吸油量40ml/100g
軽質炭酸カルシウム:アルゴナイト、白石工業社製、吸油量34ml/100g
重質炭酸カルシウム:NS600、日東紛化工業社製、吸油量30ml/100g
重質炭酸カルシウム:FAXE82、日成共益社製、吸油量25ml/100g
(ラテックス)
・PA8200、日本A&L社製(アクリロニトリル22質量%、スチレン25質量%)
但し実施例30,31はモノマーの割合を表2のとおり変更したものを用いた。
(シリカ複合重質炭酸カルシウム粒子の製造)
<複合粒子1の製造>
重質炭酸カルシウム(一次粒子の平均粒径1.6μm、0.021μmから2,000μmの範囲を132対数分割して測定した粒度分布において最頻値を占める粒子の頻度割合(頻度割合A)4.8%)のスラリー(濃度10%)200gに珪酸ナトリウム水溶液60gを添加して、ホモミキサーを使用して回転数3,000rpmで20分間、分散処理を行い重質炭酸カルシウムと珪酸ナトリウム水溶液の分散スラリーを調製した。次に、このスラリーを攪拌機、温度センサー、還流冷却器の付いた1Lの四口フラスコに入れ、攪拌しながら油浴にて88.5℃に昇温した。次に容器内のスラリーを88.5℃(±2℃)に保ちながら、1規定の硫酸150mLを定量ポンプを使用して、滴下速度2.5mL/分で100分かけて滴下しシリカ複合重質炭酸カルシウム粒子を得た。反応開始時の反応液のpHは11.5であった。さらに、No.2ろ紙を用いてろ過・水洗し再度ろ過することにより、シリカ複合重質炭酸カルシウム粒子のウェットケーキが得られた。
<複合粒子2〜11の製造>
表1に記載の一次粒子の平均粒子径(μm)、頻度割合A(%)を有する重質炭酸カルシウムを用い、表1に記載のシリカ含有量となるように硫酸の添加量及び反応条件を調整したこと以外は、複合粒子1の製造と同様な作業を行い、複合粒子2〜11を得た。なお反応開始pH及び反応温度は、粒子種や鉱酸添加量等によって変化した。
<粒子i及びii>
粒子iは市販の軽質炭酸カルシウム、粒子iiは市販の重質炭酸カルシウムである。
(シリカ複合軽質炭酸カルシウム粒子の製造)
<複合粒子iiiの製造>
重質炭酸カルシウムの代わりに軽質炭酸カルシウム(一次粒子の平均粒径2.2μm、頻度割合A7.5%)を用いたこと以外は、複合粒子1の製造と同様の操作をして、シリカ複合軽質炭酸カルシウム粒子を得た。
(凝集状軽質炭酸カルシウム粒子の製造)
<複合粒子ivの製造>
軽質炭酸カルシウム(粒子i)を凝集剤(ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド)で凝集させて、凝集状軽質炭酸カルシウム粒子を得た。
表1に得られた複合粒子等の平均粒子径(μm)、0.021μmから2,000μmの範囲を132対数分割して測定した粒度分布において最頻値を占める粒子の頻度割合(頻度割合B:%)及び、吸油度(mL/100g)及びワイヤー磨耗度(mg)を示す。
Figure 2013108195
[実施例1]
原料パルプとして、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP 樹種:ラジアータマツ)及び広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP 樹種:ユーカリ)を20:80の質量比で配合し、このパルプ(絶乾量)に対して、各々固形分で、填料としてのシリカ複合重質炭酸カルシウム粒子(複合粒子1)10質量%、脂肪酸エステル系の嵩高剤8.0質量%、カチオン性ポリアクリルアミド(品番:パーコール47、チバ・ジャパン社製)、アニオン性ポリアクリルアミド(品番:テリオフォームM100、チバ・ジャパン社製)、内添サイズ剤(品番:AK−720H、ハリマ化成社製)0.02質量%及びカチオン化澱粉(品番:アミロファックスT−2600、アベベジャパン社製)1.0質量%を添加してパルプスラリーを得た。
次に、ワイヤーパート、プレスパート、プレドライヤーパート、アンダーコーターパート、アフタードライヤーパート、プレカレンダーパート、トップコーターパート、スキャッフドライヤーパート、カレンダーパート、及びリールパートを備える製紙システムを用いワインダーパートにて塗工紙を得た。
具体的には、まず、上記パルプスラリーをワイヤーパートにて抄紙し、次いでプレスパート、プレドライヤーパートに供して、坪量78.0g/mの基紙を製造した。次いでアンダーコーターパートにて、外添サイズ剤としての澱粉と紙力向上剤としてのPAMを3:1の質量比で含む下塗り塗工液を、片面あたり0.5g/mとなるよう両面を下塗り塗工し、アフタードライヤーパートで乾燥した。その後、プレカレンダー(線圧20kN/m)にて平坦化処理し、トップコーターパートにて塗工液(顔料として吸油量25ml/100gの炭酸カルシウムとクレーとを50:50の質量比で含み、アクリロニトリル22質量%とスチレン25質量%とを含むモノマーを重合して得られた重合体を含むラテックス(残成分はブタジエン48%、カルボン酸5%)を含有する塗工液)を、片面あたり8.0g/mとなるよう、両面を上塗り塗工した。次に、カレンダーパートにて、線圧200kN/m、速度1,500m/分で平坦化処理を施し、ワインダーパートに供して坪量95.0g/mの塗工紙を得た。なお、ワイヤーパートではギャップフォーマーを用いて抄紙し、アンダーコーターパートではロッドメタリングサイズプレスコーターを用い、トップコーターパートではブレードコーターを用いた。またカレンダーパートでは、マルチニップカレンダーを用いた。上記パートが全て、オンマシンである抄紙システムを用いた。
[実施例2〜39及び比較例1〜9]
基紙の製造における、用いたパルプの樹種及び配合した質量比、填料の種類及び含有量、嵩高剤の種類及び含有量並びに坪量、下塗り塗工における、外添サイズ剤及び紙力向上剤の種類及び質量比、並びに塗工量、上塗り塗工における、顔料の種類及び含有量、接着剤のラテックスに含まれる重合体を構成するモノマー比、並びに塗工量を表2及び表3に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜39及び比較例1〜9の塗工紙を得た。
Figure 2013108195
Figure 2013108195
[評価]
得られた各塗工紙について、上記方法にて、坪量、紙厚、密度、単位面積あたりの内部結合強さ、層間強度、柔軟度、白色度、不透明度、モットリング、平均繊維断面積、及び柔軟性を測定又は評価した。評価結果を表4に示す。
Figure 2013108195
表4に示されるように、実施例の各塗工紙は、不透明度が高く、かつ、十分な柔軟性(めくりやすさ)及び印刷適性を有する(モットリングの発生が抑えられている)ことがわかる。
また、実施例1と比較例1〜4とを比較すると、実施例1は比較例1〜4と比べて、特に内部結合強さが小さく、その結果、柔軟度(S)が大きくなり、柔軟性が高まっている。これは、シリカ複合重質炭酸カルシウム粒子が、比較的球状に近い状態で凝集してなる結果、填料の存在が基紙の剪断方向への変形に対して抵抗になりにくく、内部結合強さが低下することが考えられる。一方、粒径の小さい複合させていない粒子(比較例1及び2)や、比較的複雑な形状に凝集していると考えられる粒子(比較例3及び4)においては、填料の存在が基紙の剪断方向への変形の抵抗となる結果、内部結合強さを高め、柔軟性を低下させていると考えられる。
さらに、実施例1は、比較例1〜4と比べて不透明度が高い。これは、シリカ複合重質炭酸カルシウム粒子の内部の高い散乱性等によるものだと考えられる。
以上説明したように、本発明の塗工紙は、嵩高である場合も柔軟性及び印刷適性に優れ、例えば、雑誌等の印刷用紙として好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. 基紙及びこの基紙の両面に積層される塗工層を有し、
    上記塗工層が顔料及び接着剤を主成分として含有する塗工紙であって、
    上記基紙がシリカ複合重質炭酸カルシウム粒子及び嵩高剤を含有し、
    層間強度が500kPa以上であり、単位面積あたりの内部結合強さが102J/m以下であることを特徴とする塗工紙。
  2. 上記接着剤がラテックス系接着剤を含み、
    このラテックス系接着剤が、アクリロニトリルを含むモノマーから得られた重合体を含有し、
    上記モノマーに占めるアクリロニトリルの割合が21質量%以上である請求項1に記載の塗工紙。
  3. 離解して得られるパルプ繊維の平均断面積が200μm以上500μm以下である請求項1又は請求項2に記載の塗工紙。
  4. 密度が0.65g/cm以上0.85g/cm以下であり、紙厚が66.7μm以上200μm以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の塗工紙。
  5. 下記式(1)で表される柔軟度(S)が60×10/m以上110×10/m以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の塗工紙。
    S(1/m
    =層間強度(Pa)/{単位面積あたりの内部結合強さ(J/m)×紙厚(m)}
    ・・・(1)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015048563A (ja) * 2013-09-04 2015-03-16 大王製紙株式会社 オフセット輪転印刷用塗工紙
JP2016003404A (ja) * 2014-06-13 2016-01-12 大王製紙株式会社 後糊圧着記録用原紙
JP2019039132A (ja) * 2018-12-03 2019-03-14 大王製紙株式会社 後糊圧着記録用原紙

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