JP5462572B2 - 印刷用塗工紙およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は印刷用塗工紙およびその製造方法に関する。特に本発明は、優れた白色度、不透明度、表面強度を併せ持つ低密度の印刷用塗工紙であり、良好な操業性を有して、効率的に製造することができる製造方法に関するものである。
昨今、紙製品に求められる重要な品質の一つとして嵩高性があげられる。近年の環境保護気運の高まりに伴い、森林資源から製造される製紙用パルプを有効に活用するうえで、紙の厚さは維持しつつ軽量化を図る、すなわち低密度化を施した紙製品がユーザーから求められている。
低密度な塗工紙を得るための方法としては、表面処理を行わない、あるいは表面処理する場合、カレンダーのニップ圧を低くする方法が挙げられる。印刷用塗工紙では、各種塗工装置で顔料塗工した後に、カレンダーによる表面処理を行うことで光沢と平滑性を付与して製品化されている。このとき、低いニップ圧でカレンダー処理することによって、密度をある程度まで低下することができる。しかしながら、ニップ圧を低くしすぎると、十分な光沢や平滑性を塗工紙表面に付与することができず、印刷物の画像再現性が低下する。
低密度な塗工紙を得るための他の方法として、原料面からは、機械パルプの使用が検討される。一般に、化学薬品により木材繊維中の補強材料であるリグニンを抽出して得られた化学パルプと比較して、グラインダーで木材を磨り潰すグランドウッドパルプ(GP)やリファイナーで木材を精砕するリファイナーメカニカルパルプ(RMP)、またはサーモメカニカルパルプ(TMP)のような機械パルプは、比散乱係数が高く、また、繊維が剛直であるため低密度化には効果的である。しかし、一般に、広葉樹由来の機械パルプを使用すると、針葉樹由来の機械パルプを使用した場合と比較して、強度が低くなるため断紙などのトラブルが発生しやすいとされており、低坪量の印刷用塗工紙の分野においては、広葉樹機械パルプは一般に使用されていない。また、針葉樹由来の機械パルプは、リグニン含有量の高い針葉樹から製造されるため、白色度の高いパルプを製造しにくく、高白色度が要求される紙製品を製造する場合に問題がある。
低密度な紙を得るための他の方法として、薬品面からは、多価アルコールと脂肪酸エステルからなる嵩高剤を添加してパルプ繊維表面の疎水化を行い、密度の低い紙を製造する方法が提案されている(特許文献1参照)。しかし、この方法は、高価な薬品を使用する必要がありコストが増加することや、紙の強度が低下する欠点がある。
ところで、近年、印刷用塗工紙は、チラシ、カタログ、パンフレット、ダイレクトメールなどの広告・宣伝を目的とした商業印刷分野での需要が伸びている。これら商業印刷物は、印刷物自体の商品価値は高くないが、宣伝媒体として目的が達成されることが重要であるので、低コストであるが印刷仕上がりの良い塗工紙が求められる。
このような中、低コストで効率的に塗工紙を製造するために、抄紙機と塗工機が一体化したオンマシンコーターが幅広く用いられており、オンマシンコーターの塗工方式には、主としてフィルム転写方式とブレード塗工方式がある。フィルム転写方式は、アプリケーター上に塗工液のフィルムを計量し、それを原紙に転写して塗工層を設ける塗工方式であり、ブレード塗工方式と比較して塗工時に原紙にかかる負荷が小さいため、操業時の断紙トラブル等が少ないという利点がある。
しかしながら、フィルム転写方式に関しては、特に高速操業時においてボイリングと呼ばれる操業上の問題が発生するという問題がある。フィルム転写塗工方式であるトランスファーロールコーターは、アプリケーターロールの外側に配置されているインナーロールと更に外側のアウターロール間のニップ上に塗工液が供給されるコーターであるが、インナーロールとアウターロールは共に常時回転しているため、塗工液粘度が高い場合塗工液が跳ね上がることがあり、操業上大きなトラブルとなる。これがボイリングである。
ボイリングを抑制するための方法としては、塗工液の固形分濃度を下げることにより粘度を下げる方法が一般的である。しかしながら、単純に固形分濃度を下げるだけでは、塗工液の原紙への浸透性が高くなってしまい、塗工紙表面における接着剤の量が低下し、それにより塗工紙の表面強度が低下するという問題がある。特に上記メカニカルパルプのようなパルプを用いた原紙では、密度が低いために、同等濾水度において化学パルプに対し浸透の度合いが大きい。塗工液の浸透により表面強度が低下すると、オフセット印刷時において、ブランケット上に紙ムケが発生し、走行性が著しく低下する。
ボイリングを抑制するための別の方法としては、塗工液中のバインダーの含有率を下げることにより粘度を下げる方法がある。しかしながら、バインダーの含有率を下げると、塗工紙の表面強度が低下する。特に上記メカニカルパルプのようなパルプを用いた原紙では、浸透の度合いが大きい分、バインダー成分の浸透も著しく、表面強度の低下も顕著である。
塗工紙の強度不足を補う方法として、顔料を主成分とする塗工層を設ける前に、デンプンなどを主成分とするクリアー塗工液を塗工する方法がある。顔料塗工の前にクリアー塗工液を原紙に塗工することをサイズプレスと称するが、この際に使用する塗工装置としては、ロッドメタリングサイズプレスコータ、ブレードメタリングサイズプレスコータ、ゲートロールコータ、2ロールサイズプレスなどのロールコーターなどが主に挙げられる。しかしながら、ロールコーターは2本のアプリケーターロールによってニップされた間隙に原紙を挟みこんで塗工する方式のため、特に1000m/分以上の高速で製造する場合には、断紙やミスト発生による欠点増など、操業面で大きな問題となる。特に低坪量の製品において、原紙から塗工、カレンダーまでを連続して行うオンマシンコーターでは弊害の影響が大きく、著しく製造効率が低下する結果を招く。また品質面でも、クリア塗工により原紙表面が硬化するため、顔料塗工後の表面処理工程において微小な凹凸が潰れにくくなり、表面処理による平滑の発現性が悪くなる。そこで、クリア塗工の代わりに、原紙に顔料塗工する方法もあるが、サイズプレスと同様に、操業性や平滑性の悪化を招く。
ボイリングを抑制するための他の方法としては、インナーロールとアウターロールの回転速度に差をつける方法が知られている。例えば、フィルム転写方式のトランスファーロールに対するインナー及びアウターロールの周速比が50〜80%の範囲内で塗被することにより、ボイリング現象を改善する方法が提案されている(特許文献2参照)。また、アウターロールの周速を塗工速度の45%以下20%以上、かつインナーロールの周速を塗工速度の85%以下60%以上の範囲で調整することによりボイリング現象を改善する方法が提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、これら周速を変更する方法では、トランスファーロール上に形成される液膜の厚さが低くなるために、原紙に転写される塗料の量、すなわち塗工量が低くなるという根本的な問題がある。塗工量が一定以上でないと、印刷用塗工紙として求められる光学適正や、平滑性をはじめとする印刷適正を満たすことができない。
特開平11−350380号公報 特開平11−050392号公報 特開2002−105893号公報
以上のような状況に鑑み、本発明の課題は、低密度でありながら、高い白色度、不透明度を有し、かつ表面強度に優れ、良好な操業性を有する印刷用塗工紙の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題について鋭意研究を行った結果、原紙中のパルプとして広葉樹由来の特定のケミサーモメカニカルパルプを10〜80重量%、好ましくは40〜80重量%使用し、塗工液における接着剤の含有量を顔料100重量部に対し10〜40重量%、好ましくは20〜40重量部である塗工液をフィルム転写方式により塗工することによって、低密度で高い白色度、不透明度を有し、かつ表面強度に優れ、印刷時に紙ムケの発生しない印刷用塗工紙を、操業性を低下させることなく製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
1つの様態において、本発明は印刷用塗工紙およびその製造方法である。本発明は、原紙中のパルプの10〜80重量%、好ましくは40〜80重量%が広葉樹由来の機械パルプである原紙を抄紙し、塗工液中の接着剤の含有量が顔料100重量部に対し10〜40重量%、好ましくは20〜40重量部であることを特徴とする塗工液をフィルム転写方式により塗工する印刷用塗工紙の製造方法である。 本発明の好ましい様態において、広葉樹由来の機械パルプとして、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)であって、JIS P8207に準拠して測定されるとき、繊維の95重量%以上がスクリーンの24メッシュを通過し、繊維の10重量%以上、好ましくは20重量%以上がスクリーンの42メッシュを通過しないCTMPを使用する。このような広葉樹機械パルプを使用することにより、平滑性の悪化やラフニング(繊維の盛り上がり)を抑制することができ、優れた印刷適性を有する印刷用塗工紙を効率よく製造することができる。
また、本発明の好ましい様態において、広葉樹由来の機械パルプとして、ユーカリ属由来の機械パルプであって、容積重が450kg/cm3以上である機械パルプを使用する。このような広葉樹機械パルプを使用することにより、原紙の嵩高構造を維持することができ、不透明性に優れた印刷用塗工紙を製造することができる。
さらに、好ましい様態において、本発明の製造方法は、好ましくは1100m/分以上、より好ましくは1200m/分以上という高速で操業することができる。本発明によれば、断紙やボイリングなどのトラブルを抑制して安定した操業が可能になるため、本発明は、操業性の問題が重要となる高速操業に適する。
他の好ましい様態において、本発明は印刷用塗工紙であり、原紙中のパルプの10〜80重量%、好ましくは40〜80重量%が広葉樹由来の機械パルプであり、かつ塗工層における接着剤の含有量が顔料100重量部に対し10〜40重量%、好ましくは20〜40重量部である印刷用塗工紙である。本発明の印刷用塗工紙は、本発明の製造方法によって製造することができる。
また、以下に限定されるものではないが、本発明は以下の発明を包含する。
(1) JIS P8207に準拠して測定されるとき、24メッシュのスクリーンを95重量%以上が通過し、42メッシュのスクリーンを10重量%以上が通過しない広葉樹ケミサーモメカニカルパルプを全パルプに対して10〜80重量%で含んでなる紙料を抄紙して得られた原紙に、顔料100重量部に対し接着剤を10〜40重量部含む塗工液をフィルム転写方式で塗工する、印刷用塗工紙の製造方法。
(2) 前記広葉樹由来の機械パルプの材種がユーカリ属由来であり、容積重が450kg/m以上である、(1)に記載の印刷用塗工紙の製造方法。
(3) 原紙上に、顔料と接着剤を含有する塗工層を設ける印刷用塗工紙において、JIS P8207に準拠して測定されるとき、24メッシュのスクリーンを95重量%以上が通過し、42メッシュのスクリーンを10重量%以上が通過しない広葉樹ケミサーモメカニカルパルプを全パルプに対して10〜80重量%で含んでいる原紙であり、塗工層中の接着剤が顔料100重量部に対し接着剤を10〜40重量部含有する印刷用塗工紙。
本発明により、低密度でありながら高い白色度、不透明度を有し、かつ表面強度に優れるた印刷用塗工紙を効率的に製造することができる。特に、本発明によれば、原紙の抄造、塗工、表面処理をオンマシンで連続して行うことができ、さらに、1000m/分以上、好ましくは1100m/分以上の高速でも安定した操業が可能である。
本発明は、印刷用塗工紙およびその製造方法に関する。本発明の塗工紙において坪量は特に制限されないが、不透明度が高い特徴を有するために比較的低坪量の領域において特に優位性が高く好適である
。具体的には、本発明の印刷用塗工紙は、好ましくは30〜55g/mの坪量を有し、より好ましくは30〜50g/m、更に好ましくは35〜47g/mいう坪量を有する。また、本発明の印刷用塗工紙の密度は、好ましくは0.60〜0.75g/m、より好ましくは0.60〜0.70g/mである。
また、本発明の印刷用塗工紙は、種々の印刷方式に対応することができ、オフセット印刷用塗工紙、凸版印刷用塗工紙、グラビア印刷用塗工紙などに好適に使用することができる。本発明の印刷用塗工紙は、表面強度および耐ブリスター性が向上するため、オフセット印刷用途に特に好適に使用することができる。
本発明の印刷用塗工紙の製造方法においては、原紙中のパルプの10〜80重量%、好ましくは40〜80重量%が広葉樹由来の機械パルプを含む紙料を抄紙して原紙を抄造することと、顔料と接着剤を含有する塗工液をフィルム転写方式のオンマシンコータで塗工して塗工層を設けることとを含んでなり、これらをオンマシンで連続して行うことも可能である。特に、本発明の製造方法は操業性が高いため、抄紙、塗工、必要に応じて表面処理をオンマシンで連続して行う場合に本発明を適用すると、生産効率が高く、極めて有利である。オンマシンでの高速操業においては、断紙トラブルにより操業性が著しく低下してしまうところ、本発明の製造方法は断紙トラブルが生じにくいため、オンマシンでの高速操業に有利である。
本発明の製造方法において操業速度は特に制限されないが、本発明は1000m/分以上の操業において優位性が高く、好適である。特に、1100m/分以上の高速で操業することが好ましく、1200m/分以上がより好ましい。。
抄紙
本発明の印刷用塗工紙の製造方法は、パルプの10〜80重量%、好ましくは40〜80重量%が広葉樹由来の機械パルプを含む紙料を抄紙して原紙を得るものである。また、本発明の印刷用塗工紙は、原紙を構成するパルプの10〜80重量%、好ましくは40〜80重量%が広葉樹由来の機械パルプである。
本発明の塗工原紙に使用する広葉樹機械パルプとしては、広葉樹を原料とする機械パルプであれば特に制限されず、グランドウッドパルプ(GP)、リファイナーグランドウッドパルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、アルカリ過酸化水素メカニカルパルプ(APMP)、アルカリ過酸化水素サーモメカニカルパルプ(APTMP)等が挙げられる。特に、嵩高性、高不透明度、高白色度が得られる点から、本発明においてはTMPを使用することが好ましく、中でも、CTMP、APMP、APTMP、特にCTMPを使用することが好ましい。
本発明において広葉樹機械パルプの樹種は、広葉樹であれば特に制限されないが、例えば、ユーカリ属を好適に使用することができ、ユーカリグロビュラス、ユーカリユーログランディス、ユーカリナイテンス、ユーカリレグナンス、ユーカリファスティガタ等を好ましい例として挙げることができる。特に本発明においては、ユーカリ属由来の機械パルプは繊維の嵩高性が維持されやすく、紙の不透明度を向上できるため好ましいが、中でも入手性と品質を勘案すると、ユーカリユーログランディス、ユーカリグロビュラスが特に好ましい。
また、本発明において使用する広葉樹機械パルプは、容積重450kg/m以上の広葉樹材由来であることが好ましい。このようなパルプは、繊維内腔(ルーメン)がつぶれにくく剛直であるため、嵩高構造を維持することができる。本発明で用いる広葉樹から製造する機械パルプは、当該パルプから作製した手抄きシートの密度が0.45g/cm以下となるものが好ましく、0.35g/cm以下となるものがより好ましい。
本発明において使用する広葉樹機械パルプの繊維長は特に制限されないが、製品の平滑性や強度、ラフニングなどの観点から、JIS P8207に準拠して測定される24メッシュのスクリーンを通過する繊維の割合が95重量%以上であることが好ましく、97重量%以上とすることがより好ましい。一般に、機械パルプを使用すると、剛直で大きな繊維による平滑性の悪化と、顔料塗工時と印刷時に起こるラフニング(繊維の盛り上がり)が生じやすくなるが、上述のように24メッシュのスクリーンを通過する繊維の割合が高い広葉樹機械パルプを使用することによって、平滑性と不透明性に優れ、ラフニングなどの印刷適性、特に優れた画像再現性と裏抜け性を合わせ持つ印刷用塗工紙を得ることができる。
なお、一般に機械パルプのうちサーモメカニカルパルプ(TMP)は比較的繊維長が大きいことが特徴であり、典型的なサーモメカニカルパルプは、JIS P8207に準拠して測定すると、24メッシュを通過する繊維が80重量%以下である。そのため、典型的なサーモメカニカルパルプを印刷用塗工紙に用いても、製造したシートは平滑性が低く、印刷時の画像再現性が低くなる傾向にある。また、顔料を塗工する場合、またはヒートセット型オフセット輪転機にて印刷する場合に、繊維が塗工紙表面に浮き上がるラフニングが発生しやすい。
また、良好な平滑性発現を損なわず、機械パルプ使用による操業性の悪化を最小限に抑制できることから、本発明の広葉樹機械パルプは、JIS P8207に準拠して測定される42メッシュのスクリーンを通過しない繊維の割合が10重量%以上であり、好ましくは15重量%以上であることが好ましく、20重量%以上であることがより好ましく、25%重量以上とすることが更に好ましい。このような広葉樹機械パルプを用いることにより、強度低下が最小限に抑え断紙トラブルを抑制することができ、オンマシンコーターや高速時での操業性に優れるものである。
ここで、典型的なグランドウッドパルプ(GP)は、JIS P8207に準拠して測定すると、24メッシュを通過する繊維が90%以上であり、良好な平滑性を得ることができるものの、42メッシュを通過しない繊維が少ない。すなわち、典型的なGPは短繊維が比較的多いため、製造したシートは強度が低く、断紙などによって操業性の低下を招きやすい傾向にある。
本発明の広葉樹機械パルプの使用量は、全パルプ中の10〜80重量%、好ましくは40〜80重量%であり、より好ましくは50〜70重量%である。使用量が10重量%未満であると発明の効果が小さくなり、また、使用量が80重量%を超えると強度低下により操業性が悪化し、またラフニングなどが生じ易くなって表面性も低下する。
広葉樹CTMP
上述したように本発明においては、広葉樹機械パルプとしてCTMPを使用するが、その製法は特に制限されず、常法で得られた広葉樹CTMPを使用することができる。ここで、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)とは、TMPの一種であり、木材チップを薬品に浸してから製造されるパルプである。
例えば、本発明の好ましい態様において、CTMPとして、亜硫酸ナトリウム等によるチップの予備処理工程、一次リファイニングによる解繊工程、二次リファイニングによる叩解工程を含む製造工程よって得られるパルプを使用することができる。このような製造工程を経て製造された機械パルプは、紙を高不透明度化し、紙の強度が高いため好適である。例えば、亜硫酸ナトリウムによるチップの予備処理として、亜硫酸ナトリウム水溶液による含浸処理を行うことができ、この場合、チップを圧縮し、圧縮した状態、あるいは圧縮した後に亜硫酸ナトリウム水溶液にチップを浸漬させ、圧を解放しチップを膨張させながら亜硫酸ナトリウムを含浸させることができる。この工程では、亜硫酸ナトリウム水溶液をチップ中に十分含浸させることが好ましく、圧縮比は4:1〜16:1にすることが好ましい。圧縮比が4:1より低い場合にはチップの復元力が弱く、チップ中への亜硫酸ナトリウム水溶液の浸透が不充分となり、一方、圧縮比が16:1を超えることは装置的に非現実的である。ここで、圧縮比とは、圧縮前容積:圧縮後容積と定義する。なお、亜硫酸ナトリウム水溶液の含浸を完全にするため、プレックススクリューまたはインプレッサーの後にサージビンを設けることもできる。
好ましい態様において亜硫酸ナトリウムの添加率は、絶乾チップに対して0.5〜2.0重量%である。亜硫酸ナトリウム水溶液のpHによって、一次リファイニング後の平均繊維長が若干異なる。含浸させる亜硫酸ナトリウム水溶液の初期pHは4.5〜9.5であり、好ましくは7.0〜9.5である。このpH調整には硫酸または水酸化ナトリウムが使用される。この範囲ではpHが高いほど長繊維含量が多くなり、平均繊維長が大きくなる。pH=9.5を超えるとレベルオフするので、薬品効率が悪くなる。pH=4.5未満では機器の金属腐食の恐れがあるので好ましくない。
亜硫酸ナトリウム水溶液を含浸させたチップは、解繊を良好とする目的で一次リファイニングに先立って予熱処理(プレヒーティング)することが好ましい。この場合の温度は100〜135℃が好ましい。
予備処理工程の後、チップは一次リファイニングによる解繊工程に供される。この工程では、加圧リファイニング装置を用いることができ、リファイナープレート(リファイナセグメント)を除き、他の条件は公知の方法でパルプ繊維に解繊される。リファイニング装置は、シングルディスクリファイナー、コニカルディスクリファイナー、ダブルディスクリファイナー、ツインディスクリファイナー等を用いることができるが、解繊時の濃度が高いほどパルプ繊維のフィブリル化が進行し高品質のパルプを得られることから、好適にはシングルディスクリファイナーが用いられる。リファイニング工程中のチップの濃度は約20〜60固形分重量%で実施するのが好ましく、処理温度は100〜180℃が好ましい。更に好ましくは120〜135℃である。
次いで、解繊パルプは常圧下で二次リファイナーに送られ、目標濾水度まで叩解される。二次リファイニングによる叩解工程では、公知のリファイニング装置を公知の条件で使用して精砕することができ、所望のパルプ濾水度まで低下させる。この工程は常圧下で行い、リファイニング装置は一般の常圧型装置を用いるのが好ましく、濃度は約4〜60%で実施することができる。二次リファイナーは1段でも良いし、複数段であっても良い。
二次リファイニング後、必要に応じて漂白処理を施してもよい。漂白剤としては、BCTMPの製造に使用されている公知の漂白剤を使用でき、特に限定はない。好ましくは、過酸化水素などの過酸化物を使用する。この場合、金属イオンによる過酸化物の分解を防止する目的で、エチレンジアミンテトラアセテート(EDTA)などのキレート剤を併用することもできる。これらの処理は公知の条件で実施することができる。また、本発明の広葉樹機械パルプは、カナダ標準型濾水度が50〜350mlであることが好ましい。
本発明においては、原紙のパルプとして、上記の広葉樹機械パルプ以外に、化学パルプ(針葉樹の晒クラフトパルプ(NBKP)または未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹の晒クラフトパルプ(LBKP)または未晒クラフトパルプ(LUKP)等)、針葉樹機械パルプ(グラウンドウッドパルプ(GP)、リファイナーメカニカルパルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等)、脱墨パルプ(DIP)などを単独または任意の割合で混合して使用することができる。
本発明においては、原紙の填料として公知の填料を任意に使用でき、例えば、ホワイトカーボン、タルク、重質炭酸カルシム、軽質炭酸カルシウム、クレー、シリカ、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化チタン、ケイ酸ナトリウムの鉱産による中和で製造される非晶質シリカ等の無機填料や、尿素―ホルマリン樹脂、メラミン系樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂などの有機填料を単用又は併用できる。この中でも、中性抄紙やアルカリ抄紙における代表的な填料である炭酸カルシウムや軽質炭酸カルシウムーシリカ複合物が好ましく使用される。紙中填料率は特に制限されないが、10〜40固形分重量%が好ましく、12〜35固形分重量%がさらに好ましい。
本発明においては、公知の製紙用添加剤を使用することができる。例えば、硫酸バンドや各種のアニオン性、カチオン性、ノニオン性あるいは、両性の歩留まり向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤や内添サイズ剤等の抄紙用内添助剤を必要に応じて使用することができる。更に、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等も必要に応じて添加することができる。
本発明において原紙の抄紙する装置としては、長網抄紙機、ギャップフォーマ、ハイブリッドフォーマ(オントップフォーマ)など公知の抄紙機にて行うことができる。その抄紙条件は特に規定されるものではなく、抄紙時のpHは酸性、中性、アルカリ性のいずれでも良い。また、表面強度を向上させるために、原紙に、澱粉などの水溶性高分子を主成分とするクリアー塗工液を塗工(サイズプレス)して、塗工原紙とすることもできる。
本発明において塗工原紙の坪量は、次の顔料と接着剤を含有する塗工層の塗工量とのバランスを取りながら設定することができ、例えば、原紙坪量を20〜50g/m程度にすることができる。また本発明においては、原紙をオンラインソフトキャレンダ、オンラインチルドカレンダなどにより予め平滑化しておくことが、塗工後の塗工層を均一化する上で好ましい。
塗工
本発明の印刷用塗工紙の製造方法は、以上のように得られた塗工原紙上に、顔料と接着剤を含有する塗工液を塗工する方法である。したがって、本発明の印刷用塗工紙は、原紙上に顔料塗工層を有する。
本発明で使用する塗工液は顔料と接着剤とを含んで構成される。本発明で用いる顔料に、特に制限はなく、塗工紙用に従来から用いられている顔料を使用することができる。例えば、カオリン、クレー、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、ケイ酸、ケイ酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料、プラスチックピグメントなどの有機顔料、有機・無機複合顔料などを使用することができ、これらの顔料は必要に応じて単独または二種以上混合して使用することができる。
本発明の顔料塗工用の顔料として、紡錘状カルサイト結晶の軽質炭酸カルシウムを湿式粉砕することにより得られる炭酸カルシウムであって、X線透過式粒度分布測定器で測定される平均粒子径(d50)が0.1〜0.5μmであり、BET比表面積が10〜30m/gの範囲であり、X線透過式粒度分布測定器で測定される下式:
シャープ度=(d30/d70)×100
[式中、d30は積算30重量%の粒子径であり、d70は積算70重量%の粒子径であ
る]
で表される粒度分布のシャープ度が50以上である炭酸カルシウムを使用することが好ましい。このような炭酸カルシウムを顔料塗工すると、裏抜けに優れた印刷用塗工紙が得られるため好ましい。
また、本発明において上記の炭酸カルシウムを使用する場合、粉砕前の軽質炭酸カルシウムとして、紡錘状の一次粒子が凝集してロゼッタ形状の二次粒子を形成したカルサイト結晶を用いることが好ましく、粉砕前の軽質炭酸カルシウムのX線透過式粒度分布測定器で測定される平均粒子径(d50)が1.4〜3.0μmであり、BET比表面積が4〜12m/gであることがより好ましい。さらに、本発明において上記の炭酸カルシウムを使用する場合、マルチパス型粉砕機を使用して湿式粉砕を行うことが好ましい。この粉砕した炭酸カルシウムの配合量は、顔料100重量部当たり20〜60重量部が好ましく、30〜50重量部がより好ましい。
本発明で使用する接着剤(バインダー)について、特に制限はなく、塗工紙用に従来から用いられている接着剤を使用することができる。例えば、好ましい接着剤として、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合およびポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成系接着剤;カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類;酸化澱粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などのエーテル化澱粉、デキストリン等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等の通常の塗工紙用接着剤1種類以上を適宜選択して使用することができる。
本発明に使用する接着剤の量は、印刷適性、塗工適性の点から、顔料100重量部に対して10〜40重量部、好ましくは20〜40重量部であることが好ましく、25〜35重量部であることがより好ましい。この範囲が好ましいのは、接着剤の総量が40重量部を越える場合、塗料の粘度は高くなり、フィルム転写方式で塗工する際にボイリング等の操業トラブルが生じ易く、10重量部未満の場合は、原紙にフィルム転写方式で塗工した際に、十分な表面強度を得難いためである。
本発明の塗工液には、顔料と接着剤の他に、必要に応じて、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤等、通常の塗工紙用顔料に配合される各種助剤を適宜使用できる。
顔料塗工液の調製方法は特に限定されないが、好ましい態様において、塗工液の固形分濃度は40〜55重量%、より好ましくは45〜55重量%である。塗工液粘度は60rpmで測定したB型粘度が500〜1000mPa・sの範囲であることが好ましい。
本発明においては、ゲートロールコータ、ロッドメタリングサイズプレスコータ、ブレードメタリングサイズプレスコータなどのフィルム転写方式の塗工装置を用いて、顔料と接着剤を含有する塗料を一層もしくは二層以上原紙に片面或いは両面に塗工して、顔料塗工層を設ける。ゲートロールコータ、ロッドメタリングサイズプレスコータ、ブレードメタリングサイズプレスコータなどのフィルム転写方式の塗工装置は、計量されたアプリケーターロール上の塗工液を原紙に転写して塗工層を設ける塗工方式であり、ブレード塗工方式と比較して塗工時に原紙にかかる負荷が小さいため、操業時の断紙トラブル等が少ないという利点がある。また本発明においては、塗料の粘度を適正な範囲に調整していることにより、ゲートロールコータなどのフィルム転写方式の塗工装置による塗工で問題となるボイリングを抑制し、操業性を向上させることができる。本発明において塗工は、オンマシンあるいはオフマシンコータによって行うことができるが、本発明の製造方法は操業性、特に高速での操業性に優れるため、操業速度が1000m/分以上での実施に特に適しており、オンマシンコータで行う場合に利点が大きい。
上記塗工方法による塗工される塗工液の塗工量は、片面当たり3〜10g/mが好ましく、4〜8g/mがより好ましい。塗工量がこの範囲であると、塗工層が十分に原紙を被覆することができ、塗工紙の印刷適性が優れたものになる。
本発明において、湿潤塗工層を乾燥させる方法に制限はなく、例えば蒸気過熱シリンダ、加熱熱風エアドライヤ、ガスヒータードライヤ、電気ヒータードライヤ、赤外線ヒータードライヤ等各種の方法が単独もしくは併用して用いることができる。
表面処理
本発明においては、以上のように塗工層を設けた紙を必要に応じて表面処理する。好ましい態様において、本発明の印刷用塗工紙は、カレンダ処理なし、または、スーパーカレンダーやホットソフトニップカレンダー等をのカレンダーで表面処理を行うことができる。表面処理により、塗工紙の平滑度や光沢性を向上させることができる。
このように、本発明によれば、広葉樹由来の機械パルプを配合し、塗工液における接着剤の含有量を顔料100重量部に対し10〜40重量部、好ましくは20〜40重量部とした塗工液をフィルム転写方式により原紙に塗工することによって、低密度でありながら高い白色度、不透明度を有し、かつ表面強度に優れた印刷用塗工紙を効率的に製造することができる。特に、本発明によれば、原紙の抄紙、塗工をオンマシンコータで1100m/分以上の高速でも安定した操業が可能である。
以下、本発明の実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、特に断らない限り、本明細書において、部および%はそれぞれ重量部および重量%を示し、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
<評価方法>
(1)密度:JIS P8118に準じて測定した。
(2)白色度:JIS P 8123に準じて測定した。
(3)不透明度:JIS P 8138に準じて測定した。
(4)表面強度:RI−I型印刷機(明製作所)を用い、オフセット印刷用インキ(東洋インキ製造(株)製:TKマークV617)を使用し、インキ量0.4cc一定で片面印刷し、塗工紙表面のムケの度合いを評価した。ムケが全く発生しないものを◎、ほとんど発生しないものを○、発生するものを△、発生が著しいものを×とした。
(5)耐ブリスター性:RI−I型印刷機(明製作所)を用い、オフセット印刷用インキ(東洋インキ製造(株)製:TKマークV617)を使用し、インキ量0.8cc一定で両面印刷して一昼夜調湿(23℃、50%RH)した後、この試験片を温度140℃に設定した恒温オイルバスに浸し、ブリスターの発生状況を目視判定した。ブリスターが全く発生しないものを◎、ほとんど発生しないものを○、発生するものを△、発生が著しいものを×とした。
(6)裏抜け:オフセット輪転印刷機(4色)にて、オフ輪印刷用インキ(東洋インキ製レオエックスM)を用いて墨→藍→紅→黄の順に印刷速度500rpmで2万部印刷した後、裏抜け具合を目視評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎=非常に良好、○=良好、△=やや劣る、×=劣る
(7)高速操業性:操業性を、断紙の頻度や塗工時におけるボイリングの発生程度の点から評価した。断紙やボイリングがほとんど発生しないものを○、やや発生するものを△、著しいものを×とした。
<印刷用塗工紙の製造>
[実施例1]
広葉樹機械パルプとして、容積重580kg/mのユーカリグロビュラスチップを原料として明細書に記載の方法により亜硫酸ナトリウムを用いて、JIS P8207に準拠した測定で繊維の100%がスクリーンの24メッシュを通過し、繊維の20%がスクリーンの42メッシュを通過しないように調製した広葉樹ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP:手抄きシート密度0.37g/cm、カナダ標準フリーネス128ml)を使用した。なお、CTMPの手抄きシートは、JIS P 8222:1998に基づいて坪量60g/mで作成し、作成した手抄きシートの厚さ、坪量を実際に測定し、これを元に密度を算出した。他のパルプについても同様にJIS P 8222:1998に基づいて坪量60g/mの手抄きシートを作成し、シート密度を測定した。
この広葉樹CTMPを50部、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)を35部、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)を15部含有するパルプスラリーを調成し、填料として軽質炭酸カルシウムを12部、内添紙力剤としてカチオン性紙力増強剤を対パルプ0.5%添加して紙料を調成した。この紙料を用いて、抄紙速度が1200m/分にてオントップ形式のフォーマーで抄紙し、坪量37g/mの原紙を得た。
次に、重質炭酸カルシウム90部(FMT-90、ファイマテック社製)及びカオリン10部(Hydragloss、Imerys社製)を含有する顔料100部に対して、接着剤として酸化デンプン20部とカルボキシ変性スチレン・ブタジエン共重合ラテックスを15部配合し、さらに、分散剤としてポリアクリルソーダを0.05部添加して、固形分濃度50%の塗工液を調製し、ゲートロールコーターを用いて、原紙片面当たり5.0g/mとなるように両面に顔料塗工して乾燥し、坪量47g/mの塗工紙を得た。
引き続き、ソフトカレンダーを用いて表面処理を行い、印刷用塗工紙を得た。抄紙、塗工、表面処理を連続して行ったため、抄紙速度だけでなく、塗工速度、表面処理速度も1200m/分だった。
[実施例2]
実施例1において、原紙のパルプ配合を広葉樹ケミサーモメカニカルパルプ70部、広葉樹クラフトパルプ15部、針葉樹クラフトパルプ15部に変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[実施例3]
実施例1において、塗工液における接着剤の含有率を顔料100部に対して合計25部(酸化デンプン14部、カルボキシ変性スチレン・ブタジエン共重合ラテックス11部)に変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[実施例4]
実施例1の広葉樹ケミサーモメカニカルパルプに代えて、JIS P8207に準拠した測定で繊維の98%がスクリーンの24メッシュを通過し、繊維の33%がスクリーンの42メッシュを通過しないように調製された広葉樹ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP:手抄きシート密度0.33g/cm、カナダ標準フリーネス249ml)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[実施例5]
実施例1において、重質炭酸カルシウムに代えて、以下の粉砕した軽質炭酸カルシウムを使用した以外は、実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
本実施例においては、炭酸カルシウムとして、紡錘状の一次粒子が凝集してロゼッタ形状の二次粒子を形成したカルサイト結晶の炭酸カルシウム(奥多摩工業社製:TP221BM)を固形分濃度20%にし、ポリアクリル酸塩系分散剤を1.5重量部加えてスラリーとした後、マルチパス型粉砕機であるSCミルロング(三井鉱山社製:SCミル100型)を使用して湿式粉砕を行うことにより得られる炭酸カルシウムを顔料として使用した。
湿式粉砕後の軽質炭酸カルシウムは、X線透過式粒度分布測定器で測定される平均粒子径(d50)が0.38μmであり、BET比表面積が22.5m/gであり、X線透過式粒度分布測定器(セディグラフ5100、マイクロメリティクス社製)で測定される下式:
シャープ度=(d30/d70)×100
[式中、d30は積算30重量%の粒子径であり、d70は積算70重量%の粒子径であ
る]
で表される粒度分布のシャープ度が62以上であった。また、粉砕前の軽質炭酸カルシウムとして、紡錘状の一次粒子が凝集してロゼッタ形状の二次粒子を形成したカルサイト結晶を用い、粉砕前の軽質炭酸カルシウムのX線透過式粒度分布測定器で測定される平均粒子径(d50)は2.2μmであり、BET比表面積は5.9m/gであった。
[実施例6]
実施例1の広葉樹メカニカルパルプに代えて、容積重380kg/mのアスペンを用いて、JIS P8207に準拠した測定で繊維の100%がスクリーンの24メッシュを通過し、繊維の26%がスクリーンの42メッシュを通過しないように調製した広葉樹ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP:手抄きシート密度0.41g/cm、カナダ標準フリーネス130ml)を用いた以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[比較例1]
実施例1において、原紙のパルプ配合が広葉樹ケミサーモメカニカルパルプを100部に変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[比較例2]
実施例1において、塗工液における接着剤の含有率を顔料100部に対して合計8部(酸化デンプン5部、カルボキシ変性スチレン・ブタジエン共重合ラテックス3部)に変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[比較例3]
実施例1において、塗工液における接着剤の含有率を顔料100部に対して合計51部(酸化デンプン30部、カルボキシ変性スチレン・ブタジエン共重合ラテックス21部)に変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[比較例4]
実施例1において、原紙のパルプ配合を針葉樹(ラジアータパイン)チップを用いて製造したサーモメカニカルパルプ(TMP:手抄きシート密度0.48g/cm、カナダ標準フリーネス90ml)を50部、広葉樹クラフトパルプ35部、針葉樹クラフトパルプ15部に変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[比較例5]
実施例1において、赤松より製造したグラウンドウッドパルプ(GP:手抄きシート密度0.48g/cm、カナダ標準フリーネス64ml)を50部、広葉樹クラフトパルプを35部、針葉樹クラフトパルプを15部に変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[比較例6]
実施例1において、広葉樹メカニカルパルプとして、ルンケル比4.1、容積重380kg/mのアスペンを用いて、JIS P8207に準拠した測定で繊維の100%がスクリーンの24メッシュを通過し、繊維の8%がスクリーンの42メッシュを通過しないように調製した広葉樹ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP:手抄きシート密度0.47g/cm、カナダ標準フリーネス104ml)を用いた以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
Figure 0005462572
表1に評価結果を示す。表1から明らかなように、広葉樹由来の機械パルプを原料中に10〜80重量%配合し、フィルム転写方式により顔料塗工層を設けることによって、低密度、高白色度、高不透明度を有し、さらに優れた表面強度や耐ブリスター性などの印刷品質を備えた印刷用塗工紙を、良好な操業性で製造することができた。

Claims (9)

  1. 葉樹ケミサーモメカニカルパルプを全パルプに対して10〜80重量%で含んでなる紙料を用いて抄紙した原紙に、顔料100重量部に対し接着剤を20〜40重量部含有する塗工液をフィルム転写方式で塗工することを含む、坪量が30〜55g/m である印刷用塗工紙の製造方法であって、
    該広葉樹ケミサーモメカニカルパルプが、容積重が450kg/m 以上のユーカリ属由来であり、JIS P8207に準拠して測定されるとき、24メッシュのスクリーンを95重量%以上が通過し、42メッシュのスクリーンを10重量%以上が通過しない、上記方法
  2. 塗工速度が、1000m/分以上である、請求項1に記載の方法。
  3. 塗工量が、片面あたり3〜10g/m である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 塗工液の固形分濃度が、40〜55重量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 塗工紙の密度が、0.60〜0.75g/m である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 葉樹ケミサーモメカニカルパルプを全パルプに対して10〜80重量%で含んでいる原紙に、顔料100重量部に対し接着剤を20〜40重量部含有する塗工層をフィルム転写方式で設けた、坪量が30〜55g/m である印刷用塗工紙であって、
    該広葉樹ケミサーモメカニカルパルプが、容積重が450kg/m 以上のユーカリ属由来であり、JIS P8207に準拠して測定されるとき、24メッシュのスクリーンを95重量%以上が通過し、42メッシュのスクリーンを10重量%以上が通過しない、上記印刷用塗工紙。
  7. 塗工速度が、1000m/分以上である、請求項6に記載の印刷用塗工紙。
  8. 塗工量が、片面あたり3〜10g/m である、請求項6または7に記載の印刷用塗工紙。
  9. 塗工紙の密度が、0.60〜0.75g/m である、請求項6〜8のいずれかに記載の印刷用塗工紙。
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