JP2013103472A - インサート成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】インサート成形体を構成する樹脂部材に脆弱部が形成されている場合であっても、インサート成形体が温度変化のある環境に曝されることによって生じる、樹脂部材の割れの問題を解消する技術を提供する。
【解決手段】機械的強度が局所的に弱い脆弱部を有する樹脂部材とインサート部材とを備えるインサート成形体において、上記脆弱部の近傍に応力集中部を形成する。形成される応力集中部の好ましい一例としては薄肉部が挙げられる。また、脆弱部の具体例としては、ウエルド部や溶着部が挙げられる。
【選択図】図1

Description

本発明は、インサート成形体に関する。
インサート成形法は、樹脂の特性と金属、無機固体等(以下、金属、無機固体等をインサート部材という場合がある。)の素材の特性を生かすために、樹脂部材とインサート部材とを複合化する成形法である。この成形法で得られるインサート成形体は、自動車部品や電気・電子部品、OA機器部品等として使用されている。
しかしながら、インサート成形体は、成形直後の樹脂部材の割れ、使用中の温度変化による樹脂部材の割れが問題になる場合がある。これらの問題は、樹脂の膨張率や収縮率と、インサート部材の膨張率や収縮率とが異なることに起因する。
上記の樹脂部材の割れの問題を解消するための方法として、特定の樹脂組成物から構成される樹脂部材をインサート部材上に形成する方法がある。例えば、上記のような割れの問題を生じにくくさせる樹脂組成物として、ポリブチレンテレフタレート樹脂に特定の耐衝撃性付与剤、無機充填剤及び芳香族エステル化物を配合した樹脂組成物が開示されている(特許文献1参照)。
ところで、上記のような樹脂部材が割れる問題は、樹脂部材に脆弱部が形成されている場合に生じやすい。ここで、脆弱部とはウエルド部等の強度が弱い部分を指す。脆弱部が形成されないようにインサート成形体を製造できればよいが、ウエルド部等の脆弱部が樹脂部材に形成されることを回避できない場合も多い。
特開2008−6829号公報
特許文献1に記載の方法によれば、インサート成形体における樹脂部材の割れの問題が起こり難くなる。しかし、樹脂部材に脆弱部が形成されている場合に、特許文献1に記載の樹脂組成物を使用しても、樹脂部材の割れの問題が生じる可能性もあると考えられる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、インサート成形体を構成する樹脂部材に脆弱部が形成されている場合であっても、インサート成形体が温度変化のある環境に曝されることによって生じる、樹脂部材の割れの問題を解消する技術を提供することにある。
本発明者らは、以上の課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、機械的強度が局所的に弱い脆弱部を有する樹脂部材とインサート部材とを備えるインサート成形体において、上記脆弱部の近傍に応力集中部を形成することで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 樹脂部材と、インサート部材と、を備え、前記樹脂部材は、局所的に機械的強度が弱い脆弱部と、前記脆弱部の近傍に形成される応力集中部とを有するインサート成形体。
(2) 前記応力集中部は、薄肉部である(1)に記載のインサート成形体。
(3) 前記応力集中部は、前記脆弱部を囲むように複数形成される(1)又は(2)に記載のインサート成形体。
(4) 前記脆弱部は、前記樹脂部材の表面から所定の深さ位置に存在し、前記応力集中部は、前記表面に形成される凹部であり、前記凹部の底は、前記脆弱部が存在する前記深さ位置よりも深い位置に存在する(1)から(3)のいずれかに記載のインサート成形体。
(5) 前記脆弱部は、ウエルド部又は溶着部である(1)から(4)のいずれかに記載のインサート成形体。
本発明によれば、インサート成形体を構成する樹脂部材に脆弱部が形成されている場合であっても、インサート成形体が温度変化のある環境に曝されることによって生じる、樹脂部材の割れの問題を抑制することができる。
図1は、第一実施形態のインサート成形体を模式的に示す斜視図である。 図2は、第一実施形態のインサート成形体を模式的に示す正面図である。 図3(a)は図1のMM断面の模式図である。図3(b)は応力集中部102が形成されていない場合のMM断面の模式図である。 図4は、第一実施形態のインサート成形体を模式的に示す図である。 図5は、実施例1のインサート成形体を模式的に示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)はOO断面図である。 図6は、実施例2のインサート成形体を模式的に示す斜視図である。 図7は、実施例2の、6種類の金属部材を用いたインサート成形体のそれぞれの平面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
<第一実施形態>
本発明のインサート成形体について、図1を用いて説明する。インサート成形体1は、樹脂部材10とインサート部材11とを備える。インサート成形体1は、樹脂部材10とインサート部材11とが一体化したものを指し、インサート部材11上に、どのように樹脂部材10が形成されていてもよい。インサート部材11上に樹脂部材10が形成されていれば、樹脂部材10とインサート部材11とが所定の密着力で接合されていることになる。このように樹脂部材10とインサート部材11とが接合されていれば、インサート成形体1が温度変化のある環境に曝された場合に、インサート部材の膨張収縮挙動と樹脂部材の膨張収縮挙動とが相違することによる、樹脂部材1の割れが生じる可能性がある。上記の通り、樹脂部材10とインサート部材11とが接合していれば、上記割れの問題が生じ、本発明の適用対象となる。なお、図1に示す通り、本実施形態では、円柱状のインサート部材11の周囲を樹脂部材10が覆うように一体化されたインサート成形体1を例に説明する。
樹脂部材10は、熱可塑性樹脂組成物から構成される。熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を必須成分として含む樹脂組成物である。使用可能な熱可塑性樹脂の種類は特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。例えば、ポリアセタール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアリーレンサルファイド系樹脂、液晶性樹脂、オレフィン系樹脂等を挙げることができる。また、複数の熱可塑性樹脂を用いてもよい。特に熱可塑性樹脂としてポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド等を使用した場合に、上記割れの問題が生じやすい。しかし、本発明によれば、このような樹脂を採用しても、上記割れの問題を抑えることができる。
また、熱可塑性樹脂組成物には、必須成分である熱可塑性樹脂以外に、無機充填剤等の強化剤、酸化防止剤、安定剤、顔料、核剤等の一般的な添加剤を含有させることができる。例えば、ガラスファイバー、炭酸カルシウム、タルク等の成分が樹脂部材10に含まれると、上記割れの問題が生じやすい。しかし、本発明によれば、これらの成分が樹脂部材10に含まれていたとしても、上記割れの問題を抑えることができる。
樹脂部材10は、上記の通り、インサート部材11と接合していればよいため、樹脂部材10の形状は、特に限定されないが、本実施形態においては筒状である。樹脂部材10は、筒状の内壁面でインサート部材11と接合している。
樹脂部材10は、機械的強度が局所的に弱い脆弱部101と、上記脆弱部の近傍に形成される応力集中部102とを有する。
脆弱部101は樹脂部材10内で機械的強度が弱い部分を指す。機械的強度が弱いとは、他の部分よりも、小さい応力で割れが生じる部分を指す。例えば、ウエルド部、溶着部、応力集中部、ゲート部等を例示することができる。これらの部分は、樹脂部材10の他の部分より材料自体の強度が劣る部分であり、このような脆弱部の存在は、流動解析、断面観察という方法で確認することができる。なお、本実施形態では、ウエルド部(図1に一点鎖線で示す)が、脆弱部101である。
後述する通り、本発明の効果は、脆弱部101の近傍に応力集中部102を形成することで奏するため、脆弱部の形状、大きさ、種類等は特に限定されない。
なお、樹脂部材10が複数の脆弱部101を有してもよく、複数の脆弱部は同じ種類の脆弱部であっても、異なる種類の脆弱部であってもよい。
応力集中部102は、樹脂部材10内で、樹脂部材10の内部に発生した応力や、樹脂部材10に対して外部から加えられた応力が集中しやすい部分を指す。例えば、薄肉部、コーナー部等が挙げられる。薄肉部には、切り欠き部等のように意図的に形成した凹部のみならず、傷部等の意図せずに形成されたものも含む。切り欠きの形状についても特に限定されない。
本実施形態における応力集中部102は、脆弱部101であるウエルド部を挟むように、脆弱部101に略平行に2箇所存在する。また、インサート成形体を正面から視た場合に、応力集中部102の両端の位置と脆弱部の両端の位置とは略一致している。
後述する通り、本発明は、応力集中部102を脆弱部101の近傍に形成することで、本発明の効果を奏する。このため、脆弱部101と応力集中部102との関係が、本発明の特徴の一つである。以下、脆弱部101と応力集中部102との関係について説明する。
応力集中部102は、脆弱部101の近傍に形成される。脆弱部101と応力集中部102とが離れすぎると、本発明の効果を奏さないため、脆弱部101の近傍に応力集中部102を形成する必要がある。
「近傍」とは、脆弱部101と応力集中部102との間の距離が近いことを指す。ここで、「脆弱部101と応力集中部102との間の距離」とは、脆弱部101上の各点から、応力集中部102までのそれぞれの最小距離を指す。このように脆弱部101の各点で考える必要があるのは、樹脂部材10の割れは点を起点に生じるからである。
どの程度、脆弱部101と応力集中部102とが離れていれば「近傍」に該当するかは、熱可塑性樹脂の種類や、脆弱部の種類等によって異なる。また、インサート成形体1の用途によっても異なる。用途が異なれば、樹脂部材10に発生する応力が異なるからである。より具体的には、発生する応力が異なると、脆弱部101にかかる応力のうち許容応力(脆弱部101が割れない最大の応力)を超える分が異なるから、応力集中部を形成することで緩和する必要がある応力の量も異なるからである。このように「近傍」とは、用途や使用する熱可塑性樹脂等によって異なるが、以下のようにして、応力集中部102の位置を決めることができる。
応力集中部102を脆弱部101の近傍に形成するのは、樹脂部材10の内部に応力が発生した場合や、樹脂部材10に対して外部から応力が加えられた場合に、応力を応力集中部102に集中させて、脆弱部101にかかる応力を小さくすることで、脆弱部101の割れを防ぐためである。したがって、脆弱部101にかかる応力を小さくできる距離が、「近傍」にあたる。
「脆弱部にかかる応力を小さくできる距離」とは、例えば、以下の手順で導出することができる。先ず、応力集中部102を形成していないインサート成形体1について、脆弱部101に発生する応力を、従来公知の一般的なソフトウェア等を用いて導出する。また、脆弱部101が割れない最大の応力(本明細書において、許容応力という場合がある)も併せて従来公知のソフトウェア等を用いて導出する。ここで、脆弱部101に発生する応力、許容応力は、特定の条件(熱可塑性樹脂の種類、インサート成形体の用途等が特定のものに決まった条件)のもとで導出される。つまり、応力集中部102の好適な位置に大きな影響を与えるパラメータのほとんどが特定された状態で上記の応力を導出する。
次いで、応力集中部102を形成したインサート成形体1について、同様に、脆弱部101に発生する応力を導出する。脆弱部101に発生する応力が、許容応力以下になるまで、脆弱部101と応力集中部102とを近づける。つまり、脆弱部101に発生する応力を、許容応力以下にすることができる応力集中部の位置が、「近傍」に該当する。
応力集中部の形状、大きさについても、上記の「近傍」に該当するように、熱可塑性樹脂の種類や用途に応じて適宜設定する必要がある。つまり、応力集中部102の形成の仕方によって応力集中部102が脆弱部101に近づいたり、遠ざかったりする。このため、応力集中部102の形成の仕方は、樹脂部材10の割れに影響を与えるので、応力集中部102の形状についても、樹脂部材10が割れないようにする観点から決めることが好ましい。応力集中部102の形状の決め方を、以下に説明する。なお、以下の説明では、説明の便宜のために、円柱状のインサート成形体1の側面のみを用いて説明する。
図2は、インサート成形体1の正面図の模式図である。(a)と(b)とでは、応力集中部102の、応力集中部102が延びる方向の長さが異なる。
インサート成形体1の正面図におけるウエルド部の一端をα、他端をβとする。図2(a)に示すように、応力集中部102を形成すれば、図2(b)に示すように応力集中部102を形成する場合と比較して、脆弱部101の所定の位置から、応力集中部102までの距離の最大値が小さくなる。(a)のように、脆弱部101におけるいずれの位置も、応力集中部102の近傍になるように、応力集中部102を形成することで、本発明の効果を奏しやすくなる。
以上の通り、応力集中部の位置や形状は、脆弱部の割れを抑える観点から決められる。脆弱部が点である場合には、応力集中部の位置のみを考えればよいが、脆弱部が線や面で構成される場合には、脆弱部における各点の近傍に応力集中部を形成する必要がある。このため、脆弱部が線や面で構成される場合には、脆弱部の形状も考慮して、脆弱部の割れを防ぐように、応力集中部を形成する必要がある。具体的には、図1に示すように線状の脆弱部101の場合には、その線を挟み、且つその線に沿うように応力集中部を形成することが好ましい。脆弱部が面で構成される場合には、面の外周を囲うように、応力集中部を形成することが好ましい。このようにすれば、脆弱部の一部が応力集中部から離れてしまうことにより、樹脂部材に割れが発生することを抑えることができるからである。
続いて、脆弱部の強度と応力集中部の強度との関係について説明する。脆弱部、応力集中部のいずれもが、インサート成形体が温度変化のある環境に曝された場合に、割れやすい部分に該当する。脆弱部は材料自体の強度が低いからであり、応力集中部は他の部分よりも応力がかかりやすく壊れやすいからである。しかし、応力集中部と比較して、脆弱部の方が割れやすいことも多く、本発明は、脆弱部が応力集中部よりも割れやすい場合に有効である。「脆弱部が応力集中部よりも割れやすい場合」とは、許容応力を従来公知のソフトウェアを用いて解析することで求めることができる。
インサート部材11は、少なくとも一部の表面インサート部材11は、従来からインサート成形体に用いられる一般的なものを使用することができる。つまり、インサート部材11を構成する材料は、金属、無機材料、有機材料のいずれであってもよい。具体的には、鋼、鋳鉄、ステンレス、アルミ、銅、金、銀、真鍮等の金属、熱伝導性のセラミックや炭素材等が挙げられる。また、表面に金属の薄膜が形成された金属等もインサート部材11として使用可能である。金属の薄膜としては、例えばメッキ処理(湿式メッキ処理、乾式メッキ処理等)により形成される薄膜を例示することができる。なお、インサート部材11とは金属、無機材料等の単体のみならず複数の金属や樹脂等を有する複合体のことをいう場合もある。
インサート部材11を構成する材料は、例えば、用途、樹脂部材を構成する樹脂材料の熱膨張率等の物性を考慮して、適宜好ましい材料を選択することができる。
インサート部材11を製造するための成形方法は特に限定されないが、例えば、金属の場合には、従来公知の工作機械による切削加工等の加工、ダイキャスト、射出成形、プレス打ち抜き等の型鋳造等の方法により、所望の形状のインサート部材を製造することができる。
インサート成形体1の製造方法は、特に限定されず、一般的な方法を採用することができる。例えば、インサート部材を金型内に配置して、金型内に溶融状態の熱可塑性樹脂組成物を流し込む方法を挙げることができる。
本発明の効果について、図3を用いて説明する。図3(a)は図1のMM断面の模式図である。図3(b)は応力集中部102が形成されていない場合のMM断面の模式図である。点Xは脆弱部101であり、紙面を貫く方向に延びる。
図3に示すように、白抜き矢印の指す方向に応力がかかった場合について説明する。白抜き矢印の長さは、応力の大きさを表すとする。応力集中部102が形成されていない場合、図3(b)に示す通り、脆弱部101には大きな応力がかかる。これに対して、応力集中部102が形成されている場合、脆弱部101にかかる応力の一部が、応力集中部102にかかる。その結果、脆弱部101にかかる応力が小さくなる。脆弱部101にかかる応力が小さくなると、脆弱部101での割れの発生を抑えたり、遅らせたりすることができる。
本実施形態においては、図2に示す通り、複数の応力集中部102が樹脂部材10に形成されている。応力がかかる方向に応力集中部102が存在すれば、応力集中部102が、脆弱部101にかかるその方向の応力の一部を取り除くことができる。したがって、複数の応力集中部102が形成されていれば、より多くの方向からの応力を減少させることができる。その結果、脆弱部にかかる応力をより抑えることができるため、脆弱部の割れをより抑えることができる。例えば、本実施形態においては、脆弱部101を挟むように応力集中部102を形成しているため、左右両方向からの応力を低減することができる。
本実施形態において、応力集中部102は、線状の脆弱部10を挟むように形成され、脆弱部101のいずれの点においても応力集中部102に挟まれた状態になっている。このため、脆弱部101を構成する線分のいずれの位置においても、応力集中部102の存在により、脆弱部101のいずれの位置にかかる応力も軽減される。
<第二実施形態>
本発明のインサート成形体の第二実施形態につき、図4を参照しながら説明する。図4は第二実施形態のインサート成形体1Aを模式的に示した図であり、(a)斜視図であり、(b)NN断面図であり、(c)は(b)の一部の拡大図である。なお、第二実施形態以降の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
本実施形態のインサート成形体1Aは、脆弱部101Aに応力が集中しやすい構成、脆弱部101Aが溶着部である構成において、第一実施形態と異なる。
図4に示すように、本実施形態のインサート成形体1Aは、箱状の樹脂部材10Aと、箱状の樹脂部材1Aの内部に配置されるインサート部材11Aとを有する。
本実施形態の樹脂部材10Aは蓋部とケース部とから構成されている。ケース部の上面には、開口が存在し、この開口の縁には階段状の段差部が形成されている。樹脂部材10Aはこの段差部と蓋部の裏面の外周とを溶着してなる。このように形成される溶着部が本実施形態の脆弱部101Aにあたる。また、蓋部の側面と段差部との間には、隙間103Aが形成される。ケース部の上面からの隙間103Aの深さはdである。
また、ケース部の上面には上記開口を囲むように、複数の凹部が形成されている。この複数の凹部が応力集中部102Aである。ケース部の上面からの応力集中部102Aの深さはDであり、深さDの大きさは、深さdと略一致するか、又は深さdを超える。
本実施形態のインサート成形体の製造方法は特に限定されないが、例えば、インサート部材11Aを金型内に配置し、金型内に溶融状態の熱可塑性樹脂組成物を射出して、インサート部材11Aと樹脂部材10Aのケース部分との一体化物を製造し、次いで、射出成形法等により製造した樹脂部材10Aの蓋部と上記一体化物とを、振動溶着法、超音波溶着法等の従来公知の溶着法を用いて溶着する。
第二実施形態のインサート成形体1Aによれば、上述した第一実施形態のインサート成形体1の効果を奏する他、以下効果を奏する。
本実施形態においては、脆弱部101Aに応力が集中しやすい。このような場合であっても、脆弱部101Aの近傍に応力集中部102Aを設けることで、インサート成形体の内部に応力が発生した場合に、脆弱部101Aにかかる応力を抑えることができる。
特に、応力集中部102Aの深さDが、隙間103Aの深さより深いか、又は略一致することで、脆弱部101Aにかかる応力の一部を応力集中部にかけることができる。その結果、脆弱部101Aにかかる応力が小さくなり、脆弱部101Aが割れ難くなる。
<実施例1>
樹脂部材の形成にポリフェニレンサルファイド樹脂組成物(ポリプラスチックス社製、「フォートロン(登録商標)1140A6」)を用い、インサート部材として鉄を用いる場合のインサート成形体について、以下のシミュレーションを行った。各材料の主な物性は、以下の通りであるとした。
(ポリフェニレンサルファイド樹脂)
曲げ弾性率:10,010MPa
ポアソン比:0.40
線膨張係数:3.0×10−5(1/℃)
(鉄)
曲げ弾性率:206,000MPa
ポアソン比:0.29
線膨張係数:1.17×10−5(1/℃)
実施例1のシミュレーションにおいては、図5に示すインサート成形体を想定した。図5は、実施例1で想定したインサート成形体を模式的に示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)はOO断面図である。図5に示すように、実施例1で想定したインサート成形体は、箱状の樹脂部材の内部に直方体状のインサート部材が存在する。
樹脂部材の上面には開口と、円環状のスリットが形成されている。上記開口は樹脂部材の上面を貫通している。また、開口は途中からテーパー状になっており、図5(b)に示すような方向からの断面視において、インサート成形体の内部へ向かうほど先細り形状となる。この開口を閉じるように円柱状の蓋が設けられる。この蓋も上記ポリフェニレンサルファイド樹脂から構成されているとする。蓋は図5に示すように、途中からテーパー状になっており、蓋のテーパー状の部分を構成する傾斜面と、開口のテーパー状の部分を構成する傾斜面とが超音波溶着されているとする。この超音波溶着により形成される溶着部が、実施例1のインサート成形体における脆弱部にあたる。また、蓋と樹脂部材の上面との間には、樹脂部材の上面から溶着部まで延びる、円環状の隙間が形成されている。この隙間の底は応力が集中しやすい部分でもある。即ち、実施例1のインサート成形体では、脆弱部に応力が集中しやすい。上記隙間が延びる方向における、隙間の深さは1.5mmである。
上記円環状のスリットは、上記円環状の隙間が延びる方向に、略平行に延びる。実施例1においては、スリットの深さDが1mmのインサート成形体、1.5mmのインサート成形体、2mmのインサート成形体、0mmのインサート成形体(スリットが形成されていない場合)の4通りでシミュレーションを行った。ここで、シミュレーションとは、樹脂流動解析(CAE解析)を指す。なお、シミュレーションの条件は23℃〜−40℃の範囲での昇温(昇温速度30℃/分)、降温(降温速度30℃/分)の繰り返しである。
具体的には、脆弱部である溶着部、応力集中部の任意の点(スリット無しのインサート成形体では溶着部以外の部分の任意の点)における発生応力をシミュレーションにより導出した。導出結果を表1に示した。表1に示す溶着部の発生応力は、溶着面において最も発生応力が高い点の発生応力である。
Figure 2013103472
表1に示すように、脆弱部である溶着部の近傍に、応力集中部を形成することで、脆弱部にかかる応力が小さくなることが確認された。
また、表1から、応力集中部であるスリットの深さと、脆弱部に発生する応力とが関係していることが確認された。より具体的には、スリットの深さが、脆弱部であり且つ応力が集中しやすい位置の深さよりも深くなると、脆弱部に発生する応力を大幅に低減できることが確認された。
<実施例2>
実施例2のインサート成形体における樹脂部材は、実施例1のインサート成形体における樹脂部材と同じ材料から構成され、実施例2のインサート成形体における金属部材は、実施例1のインサート成形体における金属部材と同じ材料から構成されるとしてシミュレーションを行った。
図6は、実施例2のインサート成形体を模式的に示す斜視図である。図6に示すように、実施例2のインサート成形体における金属部材は、断面が先端の尖った涙型の円柱状であり、この円柱状の金属部材の側面を囲むように樹脂部材が形成される。
樹脂部材の内部には面形状のウエルド部が形成される(図6の一点鎖線で囲まれる範囲)。実施例2のインサート成形体においては、ウエルド部が脆弱部にあたる。
実施例2では6種類の金属部材を用い、それぞれの金属部材を用いたインサート成形体について下記のシミュレーションを行った。なお、いずれの金属部材も断面が略涙型の円柱状である。6種類の金属部材を用いたインサート成形体のそれぞれの平面図について図7(a)〜(f)に示した。図7(a)〜(d)に示す金属部材は、金属部材の側面に、上記金属部材の高さ方向(上記円柱状の高さ方向)に延びる溝部が形成されている。(a)の上記溝部は、上記高さ方向の断面が半径0.5mmの円の半円であり、(b)では(a)と同様の形状の溝部が(a)の場合よりもウエルドから遠い位置に形成されており、(c)では(a)、(b)の場合と同様の形状の溝部が同様の位置に形成され、さらにこれら二つの溝部の間にもう一つ溝部が形成されている。(d)では側面を広範囲に浅く削るように形成された溝部を有する。(e)では溝部が存在しない。(f)では、金属部材の側面に、上記金属部材の高さ方向に延びる半円柱状(底面の半円の半径0.5mm)の凸部が形成されている。上記の金属部材の側面に形成される溝部や凸部は、応力集中部にあたる。
また、各インサート成形体における、金属部材の略涙型の先端(尖った部分)の半径(高さ方向の断面視における先端の半径)をRとし、高さ方向の断面視における先端から樹脂部材の側面までの最短距離をLとして、表2、3に示す条件のインサート成形体を実施例2で用いた。
表2、3に示す6種類のインサート成形体を想定して、実施例1と同様のシミュレーションを行った。シミュレーション結果を表2に示した。
Figure 2013103472
Figure 2013103472
表2の結果から、Lが短くなったり、Rが小さくなったりするとウエルド部に応力が集中しやすくなることが確認された。
表3の結果から、脆弱部であるウエルド部付近に、応力集中部である溝部や凹部を設けることで、ウエルド部にかかる応力を低減できることが確認された。
評価例1及び評価例7をもとに、下記のヒートショック試験条件で、実際にヒートショック試験を行い、平均破壊サイクル数(10個のインサート成形体を用いた)を測定した。測定結果を表4に示す。
(ヒートショック試験条件)
温度条件:−40℃〜180℃
判定方法:目視でのクラック発生観察
Figure 2013103472
表4の結果から、シミュレーション結果と同様に、実際のインサート成形体を用いたヒートサイクル試験においても、インサート成形体が温度変化のある環境に曝されることによって生じる、樹脂部材の割れの問題が解消されることが確認出来る。
1 インサート成形体
10 樹脂部材
101 脆弱部
102 応力集中部
103 隙間
11 インサート部材

Claims (5)

  1. 樹脂部材と、インサート部材と、を備え、
    前記樹脂部材は、機械的強度が局所的に弱い脆弱部と、前記脆弱部の近傍に形成される応力集中部とを有するインサート成形体。
  2. 前記応力集中部は、薄肉部である請求項1に記載のインサート成形体。
  3. 前記応力集中部は、前記脆弱部を囲むように複数形成される請求項1又は2に記載のインサート成形体。
  4. 前記脆弱部は、前記樹脂部材の表面から所定の深さ位置に存在し、
    前記応力集中部は、前記表面に形成される凹部であり、
    前記凹部の底は、前記脆弱部が存在する前記深さ位置よりも深い位置に存在する請求項1から3のいずれかに記載のインサート成形体。
  5. 前記脆弱部は、ウエルド部又は溶着部である請求項1から4のいずれかに記載のインサート成形体。
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