JP2013089690A - 量子ドット増感型太陽電池の製造方法 - Google Patents

量子ドット増感型太陽電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】I‐III‐VI化合物からなる量子ドットを形成することができる量子ドット増感太陽電池の製造方法を提供する。
【解決手段】透明電極層20を有する基板11に形成された酸化物半導体層21と、該酸化物半導体層21上に形成されたI‐III‐VI族半導体からなる量子ドット22とを有する光電極を備えた量子ドット増感型太陽電池の製造方法において、透明電極層20が形成された基板11に、酸化物半導体層21を形成する工程と、酸化物半導体層21が形成された基板11を、I族元素及びIII族元素を含有する金属イオン溶液と、VI族元素含有溶液とに交互に接触させて、酸化物半導体層21上にI‐VI族化合物を主成分とする微粒子を形成する工程と、I‐VI族化合物に、少なくともIII族元素をドープする工程とを有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、量子ドット増感型太陽電池の製造方法に関する。
太陽電池としては、結晶系シリコンやアモルファスシリコンを用いたシリコン系の太陽電池や、GaAs系、CdTe系、CuIn(1−x)GaSeで表される化合物を用いた化合物系太陽電池が既に知られている。最近では、色素を増感剤として用いた色素増感型太陽電池や、無機半導体微粒子を光電変換材として用いた量子ドット増感型太陽電池が研究されている。これらの色素増感型太陽電池や量子ドット増感型太陽電池は、理論上の変換効率が高く、製造コストも低減できる点で有利であり、次世代の太陽電池として有望視されている。
色素増感型太陽電池は、透明電極層上に成膜された酸化物半導体に増感剤として色素を吸着させた電極を備えるが、増感剤に有機色素を用いるため、紫外線や高温に対する耐久性が低いという課題がある。
これに対し、量子ドット増感型太陽電池は、TiO等の酸化物半導体に増感剤として無機半導体微粒子を形成した電極を有する構造であり、紫外線や高温に対して高い耐久性を有するという利点がある。しかし量子ドット増感型太陽電池は、現状では研究開発段階であり、量子ドットの材料等については未だ改良の余地がある。例えば、量子ドットとしてCdSやPbSを採用した場合に良好な性能を示すことが開示されているが(特許文献1参照)、毒性を有するCdやPbを工業的に用いることは好ましくない。従って、CdやPbを含有する化合物に替えて、CuInS等のI‐III‐VI族半導体、いわゆるカルコパイライト系化合物半導体を量子ドットの材料として用いることが発明者らにより提案されている。
特開2008−16369号公報
一方、CdSやPbS等の量子ドットを酸化物半導体に吸着させる方法として、直接吸着法、化学溶液堆積法、金属イオン溶液に交互に浸漬させるイオン層吸着反応法等が用いられている。
このうち直接吸着法は、分散媒に量子ドットの材料からなる分散剤を分散させ、その分散剤を酸化物半導体に吸着させる方法であるが、分散剤の疎水部と、酸化物半導体との相性が悪いために量子ドットの吸着率が低い。化学溶液堆積法は、室温以下の温度で量子ドットの前駆体となる溶液に酸化物半導体を浸漬し、金属酸化物表面での化学反応により量子ドットを吸着させる方法であるが、形成される量子ドットの粒径の均一性が良好でなく、堆積時間も長いという問題がある。このうち、イオン層吸着反応法は、量子ドットの粒径の均一性が比較的良好であり、作製時間も短いといった利点がある。
しかし、CdSやPbS等といった二元系の量子ドットを生成するためのイオン層吸着反応法を、金属イオン溶液の材料を変えて転用したのみでは、例えばI‐VI族化合物に近い組成の量子ドットが形成される等の問題が生じ、I−III‐VI族半導体からなる量子ドットを生成することが困難であった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、I‐III‐VI族半導体からなる量子ドットを形成することができる量子ドット増感太陽電池の製造方法を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、導電層を有する基板に形成された酸化物半導体層と、該酸化物半導体層上に形成されたI‐III‐VI族半導体からなる量子ドットとを有する光電極を備えた量子ドット増感型太陽電池の製造方法において、前記基板に、前記酸化物半導体層を形成する工程と、前記酸化物半導体層が形成された基板を、I族元素及びIII族元素を含有する金属イオン溶液と、VI族元素含有溶液とに交互に接触させて、前記酸化物半導体膜上にI‐VI族化合物を主成分とする微粒子を形成する工程と、前記I‐VI族化合物に、少なくともIII族元素をドープする工程とを有することを要旨とする。
請求項1に記載の発明によれば、酸化物半導体層が形成された基板を、上記金属イオン溶液及びVI族元素含有溶液に交互に接触させるので、酸化物半導体に対し親和性の高いIII族元素が吸着した後、VI族元素を吸着させ、さらにそのVI族元素に対し親和性の高いI族元素を吸着させることができる。さらに、I‐VI族化合物の微粒子に、III族元素をドープするので、増感効果を有するI‐III‐VI族半導体からなる量子ドットを形成することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の量子ドット増感型太陽電池の製造方法において、III族元素をドープする工程は、160℃以上に保持されたIII族元素含有溶液に、前記I族‐VI族化合物が形成された前記基板を浸漬することを要旨とする。
請求項2に記載の発明によれば、III族元素含有溶液を上記温度に調整するので、I‐VI族化合物を、溶液内に完全に溶解させることなく、I−III−VI族半導体の結晶化を促進させることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の量子ドット増感型太陽電池の製造方法において、前記量子ドットは、CuInSであって、前記VI族元素含有溶液は、硫黄を含有し、前記III族元素含有溶液は、III族元素であるインジウムと、硫黄とを含有するとともに、インジウムに対する硫黄の比は、2以上5以下であることを要旨とする。
請求項3に記載の発明によれば、III族元素含有溶液に含まれる硫黄の比(モル比)は、インジウムに対して2以上5以下であるので、I−VI族化合物に、不足分の硫黄をドープすることができる。このため、増感効果を有するI−III−VI族半導体を形成することができる。
本発明の製造方法により作製された量子ドット増感太陽電池の断面を示す模式図。 同電池の光電極の要部を示す模式図。 本発明の製造工程を示すフローチャート。 イオン層吸着反応のフローチャート。 イオン層吸着反応の概念図であって、(a)は金属イオン溶液への浸漬、(b)はVI族元素含有溶液への浸漬、(c)及び(d)は交互吸着を数サイクル繰り返した状態を示す。 実施例のラマン散乱分光スペクトル。 図6中、295cm−1程度の波数域を拡大したスペクトル。 比較例の量子ドットのCu,In,Sの元素組成比率を示すグラフ。 比較例のCuSからなる量子ドットのIPCEスペクトル。
以下、本発明の量子ドット増感型太陽電池の製造方法を具体化した一実施形態を図1〜図5に従って説明する。
図1に示すように、量子ドット増感型太陽電池は、ガラス等からなる基板11上に形成された光電極12と、枠状に設けられたシール材14を介して光電極12に対向した対向電極13とを備えている。光電極12及び対向電極13との間に形成された空間には、電解液15が充満している。
図2に示すように、光電極12は、基板11上に形成され、透光性を有する導電層としての透明電極層20を備える。透明電極層20は、インジウムドープ酸化スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)等を用いることができる。透明電極層20の膜厚は、通常10nm以上10μmの範囲であるが、100nm以上1μm以下が好ましい。また透明電極層20の抵抗率は低い程好ましいが、5Ω/□以上5000Ω/□以下の抵抗率であればよく、5Ω/□以上50Ω/□以下が好ましい。
また、光電極12は、透明電極層20の上に形成された、金属酸化物からなる酸化物半導体層21と、酸化物半導体層21の表面に吸着した量子ドット22を備える。酸化物半導体層21は、金属酸化物の微結晶からなる。金属酸化物としては、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブ等を用いることができ、特にTiOが好ましい。
TiOの粒径は、量子ドット22の吸着量を増加させるために、10nm以上1μm以下が好ましく、10nm以上500nm以下がより好ましい。また、酸化物半導体層21の厚さは、100nm以上100μmであればよく、5μm以上20μm以下が好ましい。
量子ドット22は、いわゆるカルコパイライト型結晶構造を有するI‐III‐VI族半導体からなる。I族元素としては、Cu、Agが好ましく、III族元素としては、In、Ga、Alが好ましく、VI族元素としては、S、Se、Teが好ましい。I‐III‐VI族半導体は、上記したI族元素のうち少なくとも1つの元素と、上記したIII族元素のうち少なくとも1つの元素と、上記したVI族元素のうち少なくとも1つの元素とが組み合わされた組成式で表される。例えばCuInS、CuInSe、CuInTe、CuGaS、CuGaSe、CuGaTe、CuAlS、CuAlSe、CuAlTe、AgInS、AgInSe、AgInTe、AgGaS、AgGaSe、AgGaTe、AgAlS、AgAlSe、AgAlTe等が挙げられる。また、CuIn(1−x)Ga、CuIn(1−x)GaSe、CuIn(1−x)GaTe、CuIn(1−x)Al、CuIn(1−x)AlSe、CuIn(1−x)AlTe、CuGa(1−x)Al、CuGa(1−x)AlSe、CuGa(1−x)AlTe等や、これらの化合物のCuをAgに替えた化合物等、III族元素を複数用いた化合物でもよい(0<x<1)。さらに、Cu(1−x)AgInS、Cu(1−x)AgInSe、Cu(1−x)AgInTe、Cu(1−x)AgGaS、Cu(1−x)AgGaSe、Cu(1−x)AgGaTe、Cu(1−x)AgAlS、Cu(1−x)AgAlSe、Cu(1−x)AgAlTe等、I族元素を複数用いた化合物でもよい(0<x<1)。
対向電極13は、特に限定されないが、ガラス等の基板上に形成された透明電極層と、透明電極層に形成された白金やカーボンからなる薄膜を備えている。
電解液15は、特に限定されないが、硫黄を含有する溶液が好ましい。
この量子ドット増感型太陽電池セルに光が入射すると、量子ドット内で励起された電子が、酸化物半導体層21に注入され、透明電極層20に移動する。また量子ドット22は電子を酸化物半導体層21に注入すると同時に電解液内のイオンを酸化することで再生する。
次に、光電極12の製造方法について図3〜図5に従って説明する。まず図3に示すように、透明電極層20が形成された基板11に、酸化物半導体層21を形成する(ステップS1)。透明電極層20を形成する方法は特に限定されないが、例えばTiOペーストを、スキージ法等によって塗布し、焼成する方法を採用することができる。焼成温度は、不純物や水分を除去できる温度であればよい。具体的には、100℃以上700℃以下であればよく、400℃以上600℃以下が好ましい。加熱時間は、30分間以上3時間程度である。その結果、多孔質の酸化物半導体層21が形成される。
次いで、酸化物半導体層21が形成された基板11に対し、金属イオン溶液及びVI族元素含有溶液に交互に浸漬する連続イオン層吸着反応法により、I‐V I族化合物を形成する(ステップS2)。I‐VI族化合物としては、CuS、CuS、CuSe、CuSe、CuTe、CuTe、AgS、AgSe、AgTe等がある。
図4に示すように、連続イオン層吸着反応法では、まずI族化合物及びIII族化合物を溶解させた、I族元素及びVI族元素を含有する金属イオン溶液に浸漬する(ステップS2−1)。I族元素の化合物としては、CuやAg等の塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、過塩素酸塩、有機酸塩等が好適に用いられる。また、VI族化合物としては、硫化ナトリウム(NaS)、セレン化ナトリウム(NaSe)、テルロジナトリウム(NaTe)が好適に用いられる。各溶質の濃度は、0.01M以上10M以下が好ましく、特に0.1M程度が好ましい。
また、浸漬時間は、数分間であればよく、温度も室温程度でよい。具体的には、酸化物半導体層21が形成された基板11を金属イオン溶液に数分間浸漬させた後、エタノール等の洗浄液によって洗浄し(ステップS2−2)、室温で乾燥させる(ステップS2−3)。
その後、上記基板11を、VI族元素含有溶液に数分間浸漬させ(ステップS2−4)、洗浄(ステップS2−5)及び乾燥させる(ステップS2−6)。このステップS2−1〜ステップS2−6、即ち金属イオン溶液への浸漬、洗浄及び乾燥、VI族元素含有溶液への浸漬、洗浄及び乾燥といったフローは、1回だけ行われてもよいが、2回以上20回以下の回数で繰り返すことが好ましい。繰り返すことによって、酸化物半導体粒子へのI‐VI族化合物の吸着量を増加させることができる。また、20回を超えて繰り返しても吸着量がさほど変化しない。
この連続イオン層吸着反応法で想定されるメカニズムについて、TiOからなる酸化物半導体層21に、CuSからなるI−VI族化合物を形成する場合を例にとって説明する。酸化物半導体層21が形成された基板11を、1価のCuイオン101及び3価のInイオン(In3+)102を含む金属イオン溶液に浸漬すると、図5(a)に示すように、TiOを構成する酸素原子100に、Inイオン102が選択的に吸着すると考えられる。この現象は、いわゆるHSAB則(Hard and Soft Acids and Bases)によって説明することができる。TiOを構成する酸素原子100は、「硬い(Hard)」及び「塩基(Bases)」のグループに分類される。「硬い塩基」は、イオン半径が小さく、分極しにくい性質を有する傾向があり、「硬い」方の「酸」との親和性が高い。このため、「軟らかい(soft)」及び「酸(Acids)」に分類される1価のCuイオン101よりも、「硬い」及び「酸」のグループに分類されるInイオン102が選択的に酸素原子100に吸着する。その結果、1回目の金属イオン溶液への浸漬では、酸素原子100に、Inイオン102が多く吸着する。
さらにVI族元素含有溶液に基板11を浸漬すると、図5(b)に示すように、Inイオン102に、硫黄イオン104が吸着する。硫黄イオン104は、「軟らかい塩基」に分類されるが、VI族元素含有溶液には、他の塩基に分類されるイオンが存在しないので、硫黄イオン104が吸着する。
Inイオン102に硫黄イオン104が吸着した状態で、基板11を金属イオン溶液に再び浸漬すると、図5(c)に示すように、「硬い酸」に分類されるInイオン102に比べ硫黄イオン104に対して親和性の高い「軟らかい」及び「酸」に分類されるCuイオン101が選択的に吸着する。
そして、その基板11を、VI族元素含有溶液に再び浸漬すると、Cuイオン101に硫黄イオン104が吸着する。このように浸漬を繰り返すと、図5(d)に示すようにInを少量含有したCuSからなる微結晶が形成される。この微結晶は、量子ドット22の前駆体となる。
尚、各族の元素は、分極率の傾向が同じであるため、ほぼ同じグループに分類される。I族元素である2価のCuイオンは「軟らかい」と「硬い」との間の「中間」及び「酸」に分類され、Agイオンは、「軟らかい酸」に分類される。III族元素であるInイオン、Gaイオン、Alイオンは、「硬い酸」に分類され、VI族元素であるSeイオン及びTeイオンは、Sイオンとほぼ同じ電気陰性度を有するため、「軟らかい酸」に分類されると推定される。
このように連続イオン層吸着反応法を行って、酸化物半導体層21上にI−VI族化合物を形成すると、図3に示すように、I‐VI族化合物からなる量子ドット22の前駆体に対し、III族元素及びVI族元素をドーパントとするドープを行う(ステップS3)。ドープ工程では、高沸点の有機溶媒に、III族元素化合物とVI族元素化合物とを溶解させた混合溶液を、160℃以上に温度調整し、その混合溶液に基板11を浸漬させる。
溶質となるIII族元素化合物は、In、Ga、Alの塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、過塩素酸塩、有機酸塩等が好適に用いられる。VI族元素化合物は、VI族元素含有溶液と同じ化合物を用いる。また、ドーパントとして、III族元素だけでなくVI族元素を用いるのは、I‐III‐VI族半導体のうちVI族元素は組成比がI族元素及びIII族元素に比べて大きいためであり、量子ドット22の前駆体であるI‐VI族化合物ではVI族元素が不足していることによる。混合溶液におけるIII族元素に対するVI族元素のモル比は、2以上5以下が好ましい。比率が2未満であると、VI族元素が不足し、比率が5を超えると、混合溶液に含有されるIII族元素が不足する。混合溶液におけるIII族元素に対するVI族元素のモル比を上記範囲にすると、量子ドット22を、1:1:2〜1:5:8等の組成比を有する、カルコパイライト構造のI−III‐VI族半導体とすることができる。
混合溶液に用いられる有機溶媒は、上記した溶質を溶解可能、且つドープの最低温度以上の沸点を有する溶媒であればよく、例えばオレイルアミン(沸点350℃程度)、トリオクチルアミン(沸点184℃)、1−オクタデセン(沸点179℃)を用いることができる。
混合溶液は上述したように160℃以上に保持されることが好ましい。160℃未満である場合には、酸化物半導体層21に吸着したI‐VI族化合物が溶液内に溶解してしまうため、I−III‐VI族半導体を生成することができない。溶液が160℃以上である場合には、I−III−VI族半導体の結晶化が促進されると考えられる。
図3に示すように、ドープを行って光電極12を作製すると、その光電極12を乾燥させる(ステップS4)。このように作製された光電極12は、熱可塑性樹脂からなるシール材14を介して対向電極13と対向させた状態で封止され、セル内に電解液を注入することで太陽電池セルとなる。
(実施例1)
フッ素ドープ酸化スズ(FTO)からなる透明電極層が形成されたガラス基板に対し、アルコール洗浄及びUVオゾン処理を施した後、透明電極層上に、TiOペースト(ソラロニクス社製、T−20/SP、粒径20nm)をスキージ法で3μm以上12μm以下の厚さで塗布した。次に、TiOペーストを塗布した基板を450℃で焼成し、酸化物半導体層を形成した。
次に、溶媒がアセトニトリルからなるCuCl溶液(0.1M)と、溶媒が水からなるInCl溶液(0.1M)とのモル比が1:1となるように調整した金属イオン溶液を作製し、金属イオン溶液に上記基板を1分間浸漬した。その後、該基板をエタノールで洗浄し、乾燥した。
さらに、上記基板を、VI族元素含有溶液であるNaS水溶液(0.1M)に1分間浸漬し、エタノールで洗浄した後、乾燥した。
そして、このサイクルを、5回繰り返したところ、酸化物半導体粒子にCuSからなる微粒子が形成されたことがラマン散乱分光測定により確認された(図6参照)。尚、サイクルを、2回、3回と重ねると茶色から黒へと色の変化が見られた。また、5サイクル行った基板を、電子顕微鏡で観察したところ、TiO粒子の上に吸着した、5nm程の微粒子を確認した。
さらに、InIをオレイルアミンに溶解した溶液と、硫黄粉末をオクタデセンに溶解した溶液を、Inに対するSの比が4となるように混合した混合溶液を作製した。そして、混合溶液を250℃に保持し、CuSからなる微粒子が形成された基板11を浸漬した。
このようなサンプルを7個作製し、各サンプル毎に混合溶液への浸漬時間を1分、5分、10分、30分、60分、180分に分け、各サンプルをラマン散乱分光測定(KAISER社製)により、CuSの付着量の変化、CuInSの付着量の変化を調べた。比較のため、CuSのみ酸化物半導体層に担持しドープを行っていないサンプル(浸漬時間0分)、酸化物半導体層のみ担持したサンプルに対しても測定を行った。
図6に示すように、浸漬時間が0分から60分のサンプルでは、470cm−1付近にCuSに相当するピークが見られた。浸漬時間が1分の場合のサンプルでは、そのピークの強度が、浸漬時間が0分の場合とさほど変わらなかったが、浸漬時間が10分から180分と長くなるにつれ、そのピークの強度が小さくなり、180分では殆ど見られなくなった。
また、図7に示すように、295cm−1付近のCuInSに相当するピークは、浸漬時間が0分のサンプルでは見られなかったが、浸漬時間が1分から180分のサンプルで見られ、浸漬時間が長くなるにつれて強度が大きくなった。これらの結果から、浸漬時間が数分間であっても、ドーパントであるSとInとが、CuSからなる微粒子へドープされ、カルコパイライト結晶構造を有するCuInSが形成されたことがわかる。
次にこの光電極を用いて量子ドット増感型太陽電池セルを作製した。フッ素ドープ酸化スズ(FTO)からなる透明導電膜が形成されたガラス基板に対し、白金溶液(ソラロニクス社製、Platisol)をスピンコートによりガラス基板に塗布し、450℃で焼成して、対向電極を作製した。
さらに、対向電極と光電極とを、熱可塑性樹脂からなる枠状のハイミラン(三井・デュポン ポリケミカル株式会社製)を介して対向させ、120℃で加熱することで封止した。また、対向電極と光電極との間に形成された空間に、電解液を注入した。電解液は、水とメタノールとを混合させた溶媒に、NaS(0.6mM)、S(0.2mM)、NaCl(0.2mM)を溶解させたものを使用した。
このように作製された太陽電池セルに対し、ソーラーシミュレータ(WXS−50S−1,ワコム電創社製)を用いて、100mW/cmの擬似太陽光を該セルに入射して、光電変換効率を測定した。このときの光電変換率は、1.2%であった。
(比較例1)
比較例1では、I族及びIII族元素を含有した金属イオン溶液と、VI族元素を含有したVI族元素含有溶液を用いた連続イオン層吸着反応法のみを行って、I‐III‐VI族半導体の作製を試みた。
まず、実施例1と同様に、基板に酸化物半導体層を形成した。そして、CuCl溶液(0.1M)とInCl溶液(0.1M)とのモル比が1:1となるように調整した金属イオン溶液を作製し、金属イオン溶液に上記基板を1分間浸漬した。その後、該基板をエタノールで洗浄し、乾燥した。
次に、VI族元素含有溶液であるNaS水溶液(0.1M)に1分間浸漬し、エタノールで洗浄した後、乾燥した。そして、このサイクルを5回繰り返した。
このサンプルを、電子線マイクロアナライザ(株式会社島津製作所製)によって、サイクル毎に元素分析を行った結果、図8に示すように、1サイクルでは、酸化物半導体に、ほぼInで表される化合物が吸着し、2サイクルから5サイクルにかけて、Cuの組成比が大きくなった。交互イオン層吸着反応を5サイクル行った後では、CuとSとがほぼ1:1となり、Inの比率が極めて低くなった。
尚、CuSのみを酸化物半導体に吸着させた基板では、図9に示すように、吸着を繰り返すに従い、IPCEスペクトルの強度が低下した。即ち、CuSの吸着量が増大すると、量子効率も低下し、電池性能が下がることが示唆された。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、量子ドット増感型太陽電池の光電極12を製造する際に、透明電極層20が形成された基板11に、酸化物半導体層21を形成した。また、その基板11に対し、I族元素及びIII族元素を含有する金属イオン溶液と、VI族元素含有溶液とに交互に浸漬する連続イオン層吸着反応法を行った。また、その交互浸漬を数サイクル繰り返した。即ち、酸化物半導体層21に対し親和性の高いIII族元素イオンを吸着させた後、III族元素イオンに対し親和性が高いVI族元素イオンを吸着させ、さらにそのVI族元素イオンに、I族元素イオンを吸着させて、I‐VI族化合物からなる量子ドット22の前駆体の微粒子を形成した。さらに、量子ドット22の前駆体が形成された基板11を、160℃以上に保持されたIII族元素及びVI族元素を含有する混合溶液に浸漬した。このため、量子ドット22の前駆体にIII族元素及びVI族元素をドープし、カルコパイライト結晶構造を有するI‐III‐VI族半導体からなる量子ドット22を生成することができる。従って、毒性を有する元素を用いずに、増感効果を有する量子ドット22を生成することができる。
(2)上記実施形態では、III族元素及びVI族元素をドープする工程で、160℃以上に加熱したIII族元素含有溶液にI族‐VI族化合物が形成された基板11を浸漬した。このため、I族‐VI族化合物を、上記溶液内に完全に溶解させることなく、I−VI族化合物の結晶化を促すことができる。
(3)上記実施形態では、CuInSからなる量子ドット22を形成する際、混合溶液に含まれるSの比を、同溶液に含まれるInに対して、2以上5以下とした。従って、量子ドット22を、増感効果を有するカルコパイライト結晶構造にすることができる。
尚、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、連続イオン層吸着反応法のみによって、I−III‐VI族半導体を構成する全てのVI族元素を酸化物半導体層21に吸着させることができる場合には、ドーパントとして、VI族元素を用いなくてもよい。
・上記実施形態では、量子ドット増感型太陽電池を、光電極12側から光を入射するタイプの電池に具体化したが、対向電極13を透光性材料から構成し、対向電極側から光を入射するタイプの電池に具体化してもよい。
11…基板、12…光電極、13…対向電極、14…シール材、15…電解液、21…酸化物半導体層、22…量子ドット。

Claims (3)

  1. 導電層を有する基板に形成された酸化物半導体層と、該酸化物半導体層上に形成されたI‐III‐VI族半導体からなる量子ドットとを有する光電極を備えた量子ドット増感型太陽電池の製造方法において、
    前記基板に前記酸化物半導体層を形成する工程と、
    前記酸化物半導体層が形成された基板を、I族元素及びIII族元素を含有する金属イオン溶液と、VI族元素含有溶液とに交互に接触させて、前記酸化物半導体層上にI‐VI族化合物を主成分とする微粒子を形成する工程と、
    前記I‐VI族化合物に、少なくともIII族元素をドープする工程とを有することを特徴とする量子ドット増感型太陽電池の製造方法。
  2. III族元素をドープする工程は、
    160℃以上に保持されたIII族元素含有溶液に、前記I‐VI族化合物が形成された前記基板を浸漬する請求項1に記載の量子ドット増感型太陽電池の製造方法。
  3. 前記量子ドットは、CuInSであって、
    前記VI族元素含有溶液は、硫黄を含有し、
    前記III族元素含有溶液は、III族元素であるインジウムと、硫黄とを含有するとともに、インジウムに対する硫黄の比は、2以上5以下である請求項2に記載の量子ドット増感型太陽電池の製造方法。
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