JP2013086204A - 酸化セリウム系研磨材スラリーの再生方法及び再生酸化セリウム系研磨材スラリー - Google Patents

酸化セリウム系研磨材スラリーの再生方法及び再生酸化セリウム系研磨材スラリー Download PDF

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Abstract

【課題】使用済み研磨材スラリーについて、簡易な再生処理により研磨材としての性能を再生させることを目的とする。
【解決手段】
ガラス材研磨用の酸化セリウム系研磨材スラリーの再生方法であって、次の工程を含む酸化セリウム系研磨材スラリーの再生方法。
第一工程:ガラス材研磨を行った後の使用済み研磨材スラリーから、研磨材よりも大粒子径の研磨屑を除去する工程
第二工程:ガラス材研磨を行った後の使用済み研磨材スラリーから、研磨材よりも小粒子径の研磨屑を除去する工程
第三工程:第一工程及び第二工程で研磨屑を除去して得られた回収研磨材スラリーに、金属フッ化物を添加して再生酸化セリウム系研磨材スラリーを得る工程
【選択図】図1

Description

本発明は、ガラス材等の研磨に使用した酸化セリウム系研磨材スラリーを再生する方法に関する。より詳しくは、酸化セリウム系研磨材スラリーを用いたガラス材等の研磨工程において排出される、使用済み研磨材スラリーを再生する方法に関するものである。
近年、光学レンズ等の光学用途向けガラス材だけでなく、液晶用ガラス基板、磁気ディスク、光ディスク等の記録媒体用ガラス基板、LSIフォトマスク用ガラス基板などの電子回路製造用といった様々な分野にガラス材が使用され、いずれも、基本的に高精度に表面研磨することが要求されている。
更に、最近、いわゆるディジタル家電製品等の生産が急速に伸びていることを受けて、その基幹デバイスである例えば液晶ディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ(FPD)では、表示画面がますます大型化し、一方、携帯端末やデジタルカメラに搭載される小型のパネルもカラーの画像イメージ等を鮮明に表示する必要があり、更に高細精のものが要求されてきた。また、光学機器に使用されるレンズにおいても、ますます高精度な表面研磨を要求されてきている。この為、表面研磨に使用する研磨材の研磨能力も、より一層高品質のものが求められている。
従前からこれらのガラス基板の表面研磨に用いられている研磨材としては、希土類酸化物、特に酸化セリウムを主成分とするセリウム系研磨材が用いられている。酸化セリウムは、酸化ジルコニウムや二酸化ケイ素に比べてガラスの研磨効率が数倍優れているという利点からである。
かかる酸化セリウム系研磨材は、通常、その粉末を水等の分散媒に分散させた研磨材スラリーとして使用される。そして、研磨材スラリーを各種ガラス材の被研磨材と研磨パッドとの間に流動させることにより被研磨材の研磨が行われる。
ところで、酸化セリウム系研磨材は、使用に伴い研磨材の粒子径が小さくなり、研磨パッドに目詰まりを生じさせると共に研磨能力が低下する。また、発生する研磨屑は傷の発生原因にもなりうる。従って、実際の研磨工程では、使用済み研磨材スラリーを回収除去しつつ、フレッシュな研磨材スラリーの供給を断続的に行い、研磨効率の維持を図っている。そして、研磨力の低下した使用済みの研磨材スラリーは、廃液として産業廃棄物と同等の扱いで処理されているのが現状である。
しかしながら、セリウム系研磨材の主成分である酸化セリウムは、我国では自給が困難なレアアースであり、外国からの供給に依存している材料であることから、その回収、再生技術の確立が強く望まれている。
使用済み研磨材スラリーの有効利用のための技術検討は、既にいくつか行われている。 例えば、特許文献1においては、使用済み研磨材スラリーにアルカリ成分を添加することにより酸化セリウムを分離、回収処理する方法が提示されているが、再生研磨材としての利用までには至っていない。
また、特許文献2では、有機凝集材を添加することにより、使用済み研磨材スラリーから研磨材原料となるレアアース(主として酸化セリウム)を回収する方法が開示されている。しかし、上記回収方法は、再生したスラリー中の研磨屑成分が十分に除去出来ていないために傷の発生を考えると、そのまま再生研磨材として利用することは難しいと思われる。
また、特許文献3では、使用済み研磨スラリー廃液から研磨工程で発生・混入した小径及び大径の研磨屑をサイクロンで除去している。これを再生研磨材として使用することで研磨傷の低減、研磨パッドの目詰まり防止効果はある程度期待することができるが、新品研磨材並みの研磨速度を得ることは難しいと考えられる。
再生したスラリー中の研磨材をそのまま再生研磨材スラリーとして用いる方法に関し、特許文献4には、使用済み研磨材スラリーから被研磨材であるガラス材等の微粒子や、研磨材の凝集体、研磨機の摩耗等で発生する粗大粒子などの研磨屑を除去する酸化セリウム系研磨材スラリーのリサイクル方法が記載されている。
同文献では、使用済み研磨材スラリーから被研磨材を除去した再生酸化セリウム系スラリーは、研磨力が回復し、そのままの状態で再度研磨工程に供することができることが記載されている。
しかしながら、研磨屑を除去した再生酸化セリウム系スラリーにおいても、新品の酸化セリウム系スラリーと比較すると研磨速度が低くなる傾向がある。さらには被研磨材に傷が発生しやすいなどの不具合があるのが実状であり、この問題は再生酸化セリウム系研磨材スラリーに特有な課題であった。
また、特許文献4で開示された方法は、複雑な工程を含むため、簡易な酸化セリウム系スラリー再生方法の開発が望まれていた。
特開2002−28662号公報 特開平10−280060号公報 国際公開第2008/020507号パンフレット 特開2005−14187号公報
かかる状況下、本発明は、ガラス材研磨を行った後の使用済み研磨材スラリーについて、被研磨材であるガラス材に対する十分な研磨速度を有し、かつ、研磨後のガラス材表面の傷の発生を抑制することが可能な再生酸化セリウム系研磨材スラリーを得ることができる酸化セリウム系研磨材スラリーの再生方法を提供することを目的とする。
かかる現状において、本発明者等は、ガラス材研磨用の酸化セリウム系研磨材の再生方法について検討し、下記の方法により酸化セリウム系研磨材の研磨速度の向上のみならず、被研磨材であるガラス材の研磨傷も大幅に低減できる再生酸化セリウム系研磨材スラリーを得ることができることを見出し、本発明に到った。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> ガラス材研磨用の酸化セリウム系研磨材スラリーの再生方法であって、次の工程を含む酸化セリウム系研磨材スラリーの再生方法。
第一工程:ガラス材研磨を行った後の使用済み研磨材スラリーから、研磨材よりも大粒子径の研磨屑を除去する工程
第二工程:ガラス材研磨を行った後の使用済み研磨材スラリーから、研磨材よりも小粒子径の研磨屑を除去する工程
第三工程:第一工程及び第二工程で研磨屑を除去して得られた回収研磨材スラリーに、金属フッ化物を添加して再生酸化セリウム系研磨材スラリーを得る工程
<2> 前記金属フッ化物の添加量が、前記回収研磨材スラリーの固形分100重量部に対して、0.1〜30.0重量部である前記<1>に記載の酸化セリウム系研磨材スラリーの再生方法。
<3> 前記金属フッ化物の添加量が、前記回収研磨材スラリーの固形分100重量部に対して、0.2〜15.0重量部である前記<1>又は<2>に記載の酸化セリウム系研磨材スラリーの再生方法。
<4> 前記金属フッ化物が、アルカリ金属フッ化物、アルカリ土類金属フッ化物、希土類金属フッ化物、12族又は13族金属フッ化物及びそれらの混合物から選択された金属フッ化物である前記<1>から<3>のいずれかに記載の酸化セリウム系研磨材スラリーの再生方法。
<5> 前記アルカリ金属フッ化物が、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム又はフッ化カリウム、前記アルカリ土類金属フッ化物が、フッ化バリウム、フッ化マグネシウム又はフッ化カルシウム、前記希土類金属フッ化物が、フッ化ランタン、フッ化セリウム又はフッ化プラセオジウム、前記12族又は13族金属フッ化物が、フッ化アルミニウム、フッ化亜鉛である前記<4>に記載の酸化セリウム系研磨材スラリーの再生方法。
<6> 前記アルカリ金属フッ化物が、フッ化ナトリウムである前記<1>から<5>のいずれかに記載の酸化セリウム系研磨材スラリーの再生方法。
<7> 第一工程における、ガラス研磨を行った後の使用済み研磨材スラリーから、研磨材よりも大粒子径の研磨屑を除去する方法が、公称濾過精度10μm以下の濾材を使用したフィルター濾過法である前記<1>から<6>のいずれかに記載の酸化セリウム系研磨材スラリーの再生方法。
<8> 第二工程における、研磨材よりも小粒子径の研磨屑を除去する方法が、遠心分離である前記<1>から<7>のいずれかに記載の酸化セリウム系研磨材スラリーの再生方法。
<9> 前記第二工程の遠心分離における遠心力(G)が、1,000〜3,500Gである前記<8>に記載の酸化セリウム系研磨材スラリーの再生方法。
<10> 前記<1>から<9>のいずれかに記載した再生方法により得られてなることを特徴とする再生酸化セリウム系研磨材スラリー。
本発明により、再生酸化セリウム系研磨材スラリー中の研磨材が、被研磨材であるガラス材の研磨速度と研磨後の同ガラス材表面の傷等による欠陥率の両方を満足する、簡易な酸化セリウム系研磨材スラリーの再生方法が提供される。
本発明の再生リウム系研磨材スラリーの製造フロー図である。
本発明は、ガラス材研磨用の酸化セリウム系研磨材スラリーの再生方法であって、次の工程を含む酸化セリウム系研磨材スラリーの再生方法(以下、単に「本発明の再生方法」と称す場合がある。)に関する。
第一工程:ガラス材研磨を行った後の使用済み研磨材スラリーから、研磨材よりも大粒子径の研磨屑を除去する工程
第二工程:ガラス材研磨を行った後の使用済み研磨材スラリーから、研磨材よりも小粒子径の研磨屑を除去する工程
第三工程:第一工程及び第二工程で研磨屑を除去して得られた回収研磨材スラリーに、金属フッ化物を添加して再生酸化セリウム系研磨材スラリーを得る工程
本発明の再生方法において、酸化セリウム系研磨材(以下、単に「研磨材」と称す場合がある。)は、ガラス材研磨に使用される従来公知のものであり、一般的にモザナイト、バストネサイトおよびその他からなる天然鉱物を出発原料として製造され、酸化セリウム(CeO2)を主体とする粒子状の研磨材である。その粒径は、通常、0.3〜6.0μm(D50=1.0μm)程度である。また、酸化セリウム系研磨材スラリー(以下、単に「研磨材スラリー」と称する場合がある。)とは、該酸化セリウム系研磨材を、水やアルコール等の分散媒に分散した液状物をいう。研磨材スラリー中の固形分濃度は、使用目的により適宜決定されるが、通常、5.0〜15.0重量%である。
以下、図1の概略ブロックフローに基づいて、本発明の酸化セリウム系研磨材の再生方法を工程ごとに説明する。
「第一工程」
第一工程では、ガラス材研磨を行った後の使用済み研磨材スラリーから、研磨材よりも大粒子径の研磨屑が除去される。
この工程では先ず、ガラス材研磨を行った後の使用済みの研磨材スラリー(廃液)が原料として収集される。ここで、「使用済み研磨材スラリー」とは、ガラス材の研磨に使用された結果、研磨材の能力が低下し、継続使用ができなくなったスラリーをいう。
使用したスラリーからの新品の研磨材を含有するスラリー(単に、「新品研磨材スラリー」ということがある。)あるいは再生した研磨材を含有するスラリー(単に、「再生研磨材スラリー」ということがある。)への入れ替え基準は、次の2項目の評価により通常行われる。
1)研磨加工速度の確認
研磨加工速度が、新品の研磨材スラリーの速度を100%とした場合、通常70%を切るとスラリーの入れ替えが行われる。加工速度は、生産性に直結する重要なファクターであり、生産性の低下を防止する為である。再生研磨材スラリーの加工速度は、新品研磨材スラリーと同等のレベルであることが求められる。
2)研磨後のガラス材表面の研磨傷等からなる欠陥率の確認
ガラス材表面の研磨傷は、新品スラリーでも認められるが、この欠陥率(研磨傷の発生率)は、そのまま製品の歩留に影響するため、再生研磨材スラリーを使用した場合の欠陥率は新品同等のレベルであることが求められる。
使用済み研磨材スラリーには、研磨工程にて発生する研磨屑が含まれる。
研磨屑は、被研磨材であるガラス材表面の研磨により発生したガラスや、酸化セリウム系研磨材が破損して生じる、研磨材よりも小粒径の研磨屑(以下、「小粒径研磨屑」と称す。)と、酸化セリウム系研磨材の凝集体、研磨機の磨耗等で発生する、研磨材よりも大粒径の研磨屑(以下、「大粒径研磨屑」と称す。)に大別される。
小粒径研磨屑は、酸化セリウム系研磨材粒子より小径であり、研磨パッドに蓄積し易く、研磨パッドの目詰まりの原因となって研磨力(研磨速度)を低下させる。また、小粒径研磨屑は凝集し、製品に傷を与える原因物質にもなり得るため、小粒径研磨屑の凝集を抑制することも必要となる。
一方、大粒径研磨屑は、一般には研磨力低下の原因になるものではないが、再生後の研磨材スラリー中にそのまま残存すると、被研磨材の研磨傷の原因となる。なお、粗大粒子生成の原因としては,異常結晶成長、分散性低下による凝集、粒径調整技術の不足などがあるといわれている。
第一工程において、ガラス材研磨を行った後の使用済み研磨材スラリーから大粒径研磨屑の除去方法は特に限定されないが、フィルターろ過が好適である。即ち、上記使用済み研磨材スラリーをフィルターろ過することにより、研磨材よりも大粒子径の研磨屑のほとんどが除去される。
フィルターとしては、研磨傷の原因になりやすい10μm以上の粗大粒子を除去する為に、例えば、材質ポリオレフィンのカートリッジフィルターで、公称濾過精度が10μm以下、好ましくは6μm以下のものを使用することが望ましい。
「第二工程」
第二工程では、ガラス材研磨を行った後の使用済み研磨材スラリーから、研磨材よりも小粒子径の研磨屑を除去が除去される。
小粒子径の研磨屑の除去は、回分式又は連続式のシックナー、デカンタを用いる沈降分離や、サイクロンを用いる遠心分離等により行うことができる。
なお、沈降分離では、固体の自然沈降速度に左右されるが、遠心分離では遠心力により沈降速度を高める事が出来るため、効率の面から遠心分離が好ましい。
遠心分離方式の好ましい態様としては、上記フィルター濾過により得られた濾液を遠心分離機により遠心分離し、軽液として研磨材よりも微小な小粒径研磨屑を除去する方法が挙げられる。なお、これらの微粒子が除去された研磨材スラリーは、回収スラリー(重液)として回収される。
ここで、遠心分離における遠心力(G;重力加速度)が、1,000〜3,500Gであることが好ましい。1,000G未満の遠心力では、小粒径研磨屑の除去に時間を要し、一方3,500Gを超えると、得られる重液の後の分散性が悪くなる。遠心分離の時間は通常数分から数十分であるが工業的に最適な時間を適宜選択すればよい。
なお、第一工程、第二工程は、どちらを先に行っても良いが、スラリーの凝集性および再分散性の観点から、研磨材よりも大粒子径の大粒径研磨屑の除去を行う第一工程を先に行うことが好ましい。
次に、上記のように第一工程及び第二工程により、研磨屑を除去して回収研磨材スラリー(重液)が得られる。回収研磨材スラリー(以下、単に「回収スラリー」ということがある。)は、次の第三工程に供される前に水やアルコール等の分散媒を添加することによりスラリー中の研磨材の再分散とスラリーの濃度調整を行ってもよい。
第三工程に供される回収スラリー中の固形分濃度は、使用目的により適宜決定されるが、通常、5.0〜15.0重量%である。
「第三工程」
第三工程では、第一、第二工程を経て得られた回収研磨材スラリーに金属フッ化物を添加し、再生酸化セリウム系研磨材スラリーを得る。
本発明の再生方法の第一の特徴は、回収研磨材スラリーに対する金属フッ化物の添加にある。金属フッ化物は、回収研磨材スラリーに混和された場合、研磨材のガラス材研磨の速度を改良すると共に、小粒径研磨屑の凝集を抑制し、研磨屑によって製品ガラスに傷が入るのを抑制する効果を有する。
回収スラリーへの金属フッ化物の添加することにより、研磨速度の向上のみならず、小粒径研磨屑の凝集を抑制することで、使用済み研磨材スラリーに特有な問題である研磨屑に由来する研磨傷を著しく低減することができる再生研磨材スラリーを得ることができる。
該再生研磨材スラリーは、従来行われてきたように高温での再焼成のような大幅な再加工をすることなく、そのままガラス材研磨用の酸化セリウム系研磨材スラリーとして再使用することができる。
なお、金属フッ化物の添加は、上記使用済研磨材スラリーから研磨屑を除去した回収スラリーへ水を添加する前に行い、その後に水を添加し、スラリー中の研磨材の再分散と濃度調整を行っても良い。
回収スラリーに添加されるフッ化物は、金属フッ化物であり、HFやNH4Fなどの非金属フッ化物は該当しない。
金属フッ化物の中でも、アルカリ金属フッ化物、アルカリ土類金属フッ化物、希土類金属フッ化物、12族又は13族金属フッ化物及びそれらの混合物から選択される金属フッ化物が好ましく、再生した研磨材の研磨能力の点からアルカリ金属フッ化物が好適に使用される。
アルカリ金属フッ化物としては、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム又はフッ化カリウムが例示される。これらの中でも、フッ化ナトリウム又はフッ化カリウムが好ましい。なお、これらは、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
アルカリ土類金属フッ化物としては、フッ化バリウム、フッ化マグネシウム又はフッ化カルシウムが例示される。これらの中でも、フッ化バリウム又はフッ化マグネシウムが好ましく、フッ化マグネシウムが特に好ましい。なお、これらは、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
希土類金属フッ化物としては、フッ化ランタン、フッ化セリウム又はフッ化プラセオジウムが例示される。これらの中でも、フッ化セリウムが好ましく用いられる。なお、これらは、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
また、12族又は13族金属フッ化物としては、フッ化アルミニウム、フッ化亜鉛が好ましく用いられる。なお、これらは、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
金属フッ化物の添加量は、回収スラリー中の固形分100重量部に対して、金属フッ化物を0.1〜30.0重量部、好ましくは0.2〜15.0重量部、特に好ましくは0.2〜10.0重量部である。金属フッ化物の添加量が0.1重量部未満では、研磨傷の抑制や研磨速度が十分でないことがあり、一方、30.0重量部を超えても研磨速度の更なる向上は見られず、逆に研磨速度の低下傾向が見られる。
金属フッ化物添加後の回収スラリーは、必要に応じて最終的な異物除去が行われ、最終製品である再生研磨材スラリーとなる。異物除去は、10μm以上の粗大粒子を除去することが目的であり、その方法は特に限定されないが、前記第一工程で用いたフィルター濾過が好適に用いられる。
この再生研磨材スラリーは、上記各ステップにより研磨能力を回復した再生酸化セリウム系研磨材を含有し、そのまま新品の酸化セリウム系研磨材スラリーに代え、あるいは新品の酸化セリウム系研磨材スラリーに混合し、ガラス材の研磨に供される。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
(1)研磨速度の測定
スラリー濃度:7重量%
研磨機:ドクターラップML180(株式会社マルトー)
被研磨材(ガラス材):3cm角 EAGLE XG(コーニング社、LCD用ガラス基板)、面積9cm2
研磨パッド:ポリシングクロス硬質用(株式会社マルトー、白・MM414)
下定盤回転数:60rpm
スラリー供給量:6ml/min.
加工圧力:148g/cm2
研磨時間:10min.
方法:研磨前後のガラスの重量を測定し、研磨速度(μm/min.)を算出した。
(2)研磨傷の測定
条件:ガラス基板のサイズ以外は、条件は研磨速度に準じた。
ガラス基板サイズ:45mm×45mm
方法:45mm×45mmのガラスを試験に供し、研磨後のガラスを水洗・乾燥し、目視にて傷の数をカウントし研磨傷(個/枚)とした。
「参考例1」
未使用の酸化セリウム系ガラス研磨材を脱塩水で希釈し、7重量%の新品研磨材スラリーを得た。
得られた新品研磨材スラリーを使用し、上記研磨条件でガラス材を研磨し、研磨前後の重量を計ることによって研磨速度を定量化した。また研磨面の観察を行い、研磨傷の数をカウントした。結果を表1に示す。
「実施例1」
参考例1と同様の方法で調整した新品酸化セリウム系研磨材スラリーを、研磨速度の測定に用いた研磨機を用いて上記研磨速度測定用と同様の操作で同じガラスを繰返し研磨処理することで、使用済研磨材スラリーを得た。
まず、使用済研磨材スラリーをCSW−10フィルター(公称濾過精度;10μm、材質;ポリオレフィン、チッソフィルター株式会社)で加圧濾過した後、CSW−05フィルター(公称濾過精度5μm)で同様に加圧濾過し、ガラス片や研磨パッドの研磨屑を取り除いた。その後、卓上遠心分離機を用いて3,000Gの遠心力下で、5分間遠心分離操作を行い軽液である上澄みの小粒径研磨屑を除去し、回収スラリー(重液)を得た。
次に、この回収スラリー(重液)中の固形分100重量部に対して0.75重量部のフッ化セリウムを添加した。更に、水で希釈してスラリー濃度を7重量%の再生研磨材スラリーを調整した。
この再生研磨材スラリーを用いて、上記条件でガラス材を研磨し、研磨前後の重量を計ることによって研磨速度を定量化した。また、研磨面の観察を行い、研磨傷の数をカウントした。結果を表1に示した。
「実施例2、3、11〜13」
添加するフッ化セリウムの量を表1に示すように変化させた以外は実施例1と同様の処理を行い、実施例2、実施例3、実施例11、実施例12及実施例13の再生研磨材スラリーを得た。
これらのスラリーを用いて実施例1と同様にガラス材の研磨を実施し、研磨速度及び研摩面の観察を行い、研磨傷の数をカウントした。結果を表1に示した。
「実施例4〜10」
添加する金属フッ化物の種類を表1に示すように変えた以外は実施例1と同様の処理を行い、実施例4〜10の再生研磨材スラリーを得た。これらのスラリーを用いて実施例1と同様にガラス材の研磨を実施し、研磨速度及び研摩面の観察を行い、研磨傷の数をカウントした。結果を表1に示した。
「比較例1」
金属フッ化物を添加しないこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の再生研磨材スラリーを得た。実施例1と同様に研磨試験を行い、研磨レートの算出と傷のカウントを行った。結果を表1に示した。
「比較例2」
実施例5において、使用済研磨材スラリーを、フィルター処理後、遠心分離処理を行うことなく水で希釈して比較例2の再生研磨材スラリーを得た。これを実施例1と同様に研磨試験を行い、研磨レートの算出と傷のカウントを行った。結果を表1に示した。
「比較例3〜5」
使用済研磨材スラリーを、実施例1と同様にフィルター処理、遠心分離処理を行い、上上澄みのガラス成分を除去した後、水で希釈して7重量%の研磨材スラリーを調整した。 これに非金属フッ化物(比較例3,4:HF、比較例5:NH4F)を添加し、これを実施例1と同様に研磨試験を行い、研磨レートの算出と傷のカウントを行った。結果を表1に併せて示した。
Figure 2013086204
表1からわかるように、各実施例の研磨速度は、参考例1の未使用品(新品研磨材)とほぼ同等、もしくはそれ以上の結果であり、研磨した際にできる研磨傷も、未使用品と同等であった。フッ素化合物を添加していない比較例1の研磨材は、研磨速度も研磨傷も、未使用品と比べて劣っており、再生研磨剤として使用できないことがわかった。
また、比較例3〜5に金属フッ化物ではないHF、NH4Fを使用した結果を示したが、HFでは、研磨速度の向上が認められず、NH4Fでは、研磨速度の向上は認められるが、研磨傷の発生が抑制されなかったため、再生研磨剤として使用できない結果であった。
「実施例14」
実施例1と同様の方法で得たフィルターろ過後の使用済研磨材スラリーに対し、遠心力(G)を300G、1,000G、3,000G、遠心分離操作時間を1分、3分、5分で遠心分離を行い、回収スラリー(重液)中への固形分の歩留まりについて検討した。結果を表2に示した。
なお、使用済研磨材スラリーの固形分中のSiO2、Al23が各々6.0〜14.3重量%、0.01〜0.9重量%のものが、遠心分離後の回収スラリー中の固形分のSiO2、Al23の組成分析を行ったところ、何れもSiO2が、0.1重量%未満、Al23が0.002重量%未満であった。
Figure 2013086204
表2からわかるように、遠心力が300Gでは、5分後も歩留まりは74%と低かった。一方、遠心力が1,000G以上では、3分後には歩留まりが80%を超え、実用に供しえる値が得られた。
本発明によれば、研磨速度が大幅に低下し通常は廃棄されている酸化セリウム系研磨材スラリーの研磨速度を、未使用の新品研磨材スラリーの研磨速度に近いものまで再生し、更には研磨の際に生じる研磨傷も、未使用品と同等に近いものまで低減することができる。

Claims (10)

  1. ガラス材研磨用の酸化セリウム系研磨材スラリーの再生方法であって、次の工程を含むことを特徴とする酸化セリウム系研磨材スラリーの再生方法。
    第一工程:ガラス材研磨を行った後の使用済み研磨材スラリーから、研磨材よりも大粒子径の研磨屑を除去する工程
    第二工程:ガラス材研磨を行った後の使用済み研磨材スラリーから、研磨材よりも小粒子径の研磨屑を除去する工程
    第三工程:第一工程及び第二工程で研磨屑を除去して得られた回収研磨材スラリーに、金属フッ化物を添加して再生酸化セリウム系研磨材スラリーを得る工程
  2. 前記金属フッ化物の添加量が、前記回収研磨材スラリーの固形分100重量部に対して、0.1〜30.0重量部であることを特徴とする請求項1に記載の酸化セリウム系研磨材スラリーの再生方法。
  3. 前記金属フッ化物の添加量が、前記回収研磨材スラリーの固形分100重量部に対して、0.2〜15.0重量部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化セリウム系研磨材スラリーの再生方法。
  4. 前記金属フッ化物が、アルカリ金属フッ化物、アルカリ土類金属フッ化物、希土類金属フッ化物、12族又は13族金属フッ化物及びそれらの混合物から選択された金属フッ化物であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の酸化セリウム系研磨材スラリーの再生方法。
  5. 前記アルカリ金属フッ化物が、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム又はフッ化カリウム、前記アルカリ土類金属フッ化物が、フッ化バリウム、フッ化マグネシウム又はフッ化カルシウム、前記希土類金属フッ化物が、フッ化ランタン、フッ化セリウム又はフッ化プラセオジウム、前記12族又は13族金属フッ化物が、フッ化アルミニウム、フッ化亜鉛であることを特徴とする請求項4に記載の酸化セリウム系研磨材スラリーの再生方法。
  6. 前記アルカリ金属フッ化物が、フッ化ナトリウムであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の酸化セリウム系研磨材スラリーの再生方法。
  7. 第一工程における、ガラス研磨を行った後の使用済み研磨材スラリーから、研磨材よりも大粒子径の研磨屑を除去する方法が、公称濾過精度10μm以下の濾材を使用したフィルター濾過法であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の酸化セリウム系研磨材スラリーの再生方法。
  8. 第二工程における、研磨材よりも小粒子径の研磨屑を除去する方法が、遠心分離であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の酸化セリウム系研磨材スラリーの再生方法。
  9. 前記第二工程の遠心分離における遠心力(G)が、1,000〜3,500Gであることを特徴とする請求項8に記載の酸化セリウム系研磨材スラリーの再生方法。
  10. 請求項1から9のいずれか1項に記載した再生方法により得られてなることを特徴とする再生酸化セリウム系研磨材スラリー。
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