JP4290465B2 - 酸化セリウムを主成分とするセリウム系研摩材の製造方法 - Google Patents

酸化セリウムを主成分とするセリウム系研摩材の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化セリウムを主成分とするセリウム系研摩材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
セリウム系研摩材(以下、単に研摩材ともいう)は、例えば、次のようにして製造されている。まず、バストネサイト精鉱などの原料を用意して適当な大きさに粉砕(主に湿式粉砕)し、得られた粉砕品に必要に応じて鉱酸処理やフッ化処理などの化学処理を施す。その後、粉砕品または化学処理した粉砕品を、必要に応じて乾燥し、その後焙焼する。そして、得られた焙焼品を必要に応じて粉砕および/または分級するという製造方法である(特許文献1参照)。
【0003】
また、セリウム系研摩材は、ハードディスク等の磁気記録媒体用材料の研摩や液晶ディスプレイ(LCD)のガラス基板など、電気・電子機器製造の分野で広く用いられており、近年、より研摩速度が高く研摩効率が高いセリウム系研摩材が求められている。そして、製品の小型化や高密度化に伴い、より精密な仕上げ加工が可能なセリウム系研摩材が求められるようになっている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−180033号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような求めに応じるために、従来は、研摩材を製造する際、焙焼工程後の最終段階で乾式分級を行い研摩材中の粗粒子含有率を低減するようにしている。ところが、より研摩速度が高くかつ精密な仕上げが可能な研摩材が求められ、研摩材の(平均)粒径が小さくなるにしたがい、乾式分級による粗粒子の除去が難しくなってきている。
【0006】
また、粉砕条件を改善するなどして、より高い研摩速度や研摩精度を有する研摩材を製造するようにしている。例えば、粉砕工程における粉砕時間等の粉砕条件を適宜調節するような方法である。ところが、このようにして研摩材の研摩速度や研摩精度を向上させるにも限界がある。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、酸化セリウムを主成分とするセリウム系研摩材であって、研摩速度や研摩精度などの研摩特性がより優れた研摩材の製造方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するため、本発明の発明者等は、原料粉砕工程によって得られる粉砕品中の未粉砕粒子の量や、当該未粉砕粒子が最終製品である研摩材に与える影響等を検討した。そして、これらの事項について検討する中で、次のような発明をするに至った。
【0009】
本発明は、原料を粉砕する湿式粉砕工程と、湿式粉砕工程後に行われる焙焼工程と、焙焼工程後に行われる粉砕工程とを有する、酸化セリウムを主成分とするセリウム系研摩材の製造方法において、焙焼工程の前に分級工程を行うことを特徴とする。
【0010】
焙焼工程前に分級工程を設けて、湿式粉砕によって得られた粉砕品を分級すると、粉砕品(原料)に含まれる粗粒子が効率良く除去される。例えば、従来のように焙焼後に乾式分級を行って粗粒子を除去するよりも粗粒子除去効率がよい。粗粒子が効率良く除去されると研摩材の生産性が向上する。また、焙焼工程前に湿式粉砕するようにすると、被研摩面における研摩傷の発生がより確実に防止されており、より高い研摩速度の研摩材が製造されるようになる。分級方法としては、風力分級などの乾式分級方法やスラリー状の粉砕品に対して行われるろ過分級などの湿式分級方法など種々の分級方法を用いることができる。
【0011】
本発明は、従来から用いられている原料に対して適用できるものである。そして、分級工程の前に行われる原料を粉砕する湿式粉砕工程、分級工程の後の焙焼工程や粉砕工程における粉砕や焙焼の方法としては、従来のものを用いることができる。
【0012】
原料としては、バストネサイト鉱、希土類炭酸塩、希土類酸化物など、焙焼すると酸化セリウムを主成分とする酸化希土になる従来の原料が用いられる。一般的には、原料中の「CeO(酸化セリウム)含有率/TREO(全希土酸化物含有率)」が40重量%以上の原料である。なお、バストネサイト鉱などの原料中、セリウムなどの希土類元素は必ずしも酸化物として存在しているわけではないが、TREO値などのように酸化物に換算した値を用いて希土類元素の含有率や含有量を特定することが行われている。
【0013】
原料等の湿式粉砕方法としては、ボールミルやビーズミル、アトライタなどの媒体ミルを用いる粉砕方法が好ましく、粉砕粒度としては、D50(平均粒径)が10μm以下が好ましい。なお、このような粉砕方法を用いれば、粉砕媒体を小さくすることでD50を0.1μmまたはこれ以下にできる。また、焙焼工程における焙焼条件としては、焙焼温度は800℃〜1200℃、焙焼時間は0.5時間〜24時間が好ましい。焙焼方法としては、例えば、ロータリーキルン、プッシャー炉、静置炉、電気炉等の焙焼設備を用いる方法を挙げることができる。
【0014】
焙焼工程によって得られる焙焼品は粉砕される。焙焼後の粉砕工程では、乾式粉砕、湿式粉砕のいずれの方法を用いることも可能である。粉砕方法としては、種々の方法を用いることが可能であるが、例えば、先に説明したボールミルやビーズミル、アトライタなどの媒体ミルを用いる粉砕方法が好ましい。湿式粉砕を用いる場合は、湿式粉砕後、焙焼工程前に湿式分級工程を設けた場合と同様、湿式粉砕工程後に分級工程、特に湿式分級工程を設けてもよい。そして、湿式分級工程で得られた粗粒子を再度湿式粉砕工程へ供用するなどしてより高品質の粉砕品を得るようにすることが可能である。また、焙焼工程後、粉砕工程前に、必要に応じて解砕工程を行ってもよい。解砕を行うと、より効率良くそしてより高い精度でその後の粉砕を行うことができる。
【0015】
なお、本発明に係るセリウム系研摩材の製造方法において、必要に応じて鉱酸処理やフッ化処理などの化学処理を行ってもよい。例えば、塩酸等を用いた鉱酸処理を行って原料中のアルカリ金属やアルカリ土類金属を除去したり、フッ化水素酸やフッ化アンモニウム等を用いたフッ化処理を行って原料をフッ化したりする処理を行ってもよい。これらの処理は、焙焼工程前に行われる粉砕工程や分級工程の前後、あるいはこれらの工程で湿式粉砕や湿式分級が用いられる場合は湿式粉砕工程中や湿式分級工程中に行われる。このように、処理時期は特に限定されるものではないが、原料全体に均一に処理を施すという観点では、粉砕工程後がより好ましい。
【0016】
また、湿式粉砕工程後、焙焼工程前に行う分級工程としては、湿式分級が好ましい。そして、湿式分級を用いる場合は、粗粒子として除去する粒子の大きさや分級効率などに応じて、分級対象である粉砕品のスラリー濃度を調整しておくことが好ましい。湿式粉砕工程においては固形物のスラリー濃度は70重量%程度以下であればよいが、50重量%以下が好ましいことが解ったからである。そして、例えばシックナー方式のような静置分離方式で粗粒子を除去する場合、固形物のスラリー濃度は15重量%以下がより好ましく、10重量%以下がさらに好ましい。また、フィルター方式で粗粒子を除去する場合、固形物のスラリー濃度は20重量%以下がより好ましい。さらに、遠心力による湿式サイクロン方式で粗粒子を除去する場合、固形物のスラリー濃度は30重量%〜50重量%がより好ましく、35重量%〜45重量%がさらに好ましい。なお、スラリー濃度は1.0重量%以上が好ましい。スラリー濃度を低くするほど、粗粒子として除去される粒子の大きさをより小さくできるが、スラリー濃度が1.0重量%より低いと生産性が低く、産業上のメリットが低いからである。
【0017】
湿式分級条件についてさらに検討した結果、粉砕品のスラリー中に、ヘキサメタリン酸ナトリウム,ポリアクリル酸アンモニウムなどの分散剤等を添加したり、スラリーの温度を高めたりしてスラリー粘度を低下させると、生産性(分級効率)が向上することが解った。そして、分級対象である粉砕品スラリーの粘度を低くすると、良好に分級できるスラリー濃度の上限値が高くなることが解った。例えば、分級方法としてシックナー方式を用いる場合、添加剤を添加して粘度低下させることでスラリー濃度が25重量%以下(より好ましくは20重量%以下)の粉砕品スラリーを良好に分級でき、温度を40℃まで加熱することでスラリー濃度が25重量%以下(より好ましくは20重量%以下)の粉砕品スラリーを良好に分級でき、添加剤を添加し且つ40℃まで加熱することでスラリー濃度が35重量%以下(より好ましくは30重量%以下)の粉砕品スラリーを良好に分級できることが解った。
【0018】
湿式分級を行った場合、分級によって得られたスラリーは、噴霧乾燥工程を経た後、またはろ過工程および乾燥工程を経た後、焙焼工程へ供用される。その際、乾燥工程後、焙焼工程前に乾式分級工程を設けてもよい。
【0019】
また、焙焼品に含まれる粗粒子の含有量をさらに低下させたい場合は、焙焼工程前に湿式分級などの分級を行った上で、さらに焙焼工程の後に、湿式分級工程を行ってもよい。このようにして粗粒子の含有率をより低下させると、被研摩面における研摩傷の発生がさらに確実に防止され、さらに高い研摩速度が得られる。焙焼工程後に行う湿式分級方法は、特に限定されるものではないが、焙焼工程前の湿式分級同様、例えばシックナー方式のような静置分離方式で粗粒子を除去する方法、カートリッジフィルター等を用いるフィルター方式で粗粒子を除去する方法、遠心力による湿式サイクロン方式で粗粒子を除去する方法などが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るセリウム系研摩材の製造方法の好適な実施形態を説明する。
【0021】
第1実施形態
原料として、TREOが70重量%、「CeO/TREO」が60重量%である炭酸希土(セリウム系希土類炭酸塩)を用意した。なお、D50(平均粒径)は約50μmであった。そして、この原料と純水を重量比「2:1」で混合し、ボールミル(ジルコニア製粉体媒体、媒体直径1.2mm)を用いて湿式粉砕を行い、D50が1.0μmの原料スラリーを調製した。なお、D50の測定にはレーザー回折式粒度分布計SALD2000(株式会社島津製作所製)を用いた。
【0022】
調製した原料スラリーを水で希釈して固形分(原料)の濃度が40重量%のスラリーを得た。次に、固形分重量の0.5重量%に相当するヘキサメタリン酸ナトリウムを分散剤として添加した後、湿式サイクロンによる湿式分級機(パークロン TR10−3型、村田工業株式会社製)を用いて分級を行い粗粒子を除去した。そして、粗粒子が除去されたスラリーをろ過・洗浄してナトリウム成分を除去した後、乾燥し、得られた乾燥品を電気炉を用いて温度1000℃で6時間焙焼した。焙焼後、得られた焙焼品をハンマーミルを用いて解砕した。そして、得られた解砕品を空気分級機で乾式分級してセリウム系研摩材粉末を得た。
【0023】
実施例1:本実施例では、焙焼前の湿式分級における湿式サイクロン分級機の分級点を5μmに設定した。なお、湿式サイクロン分級機は、原料供給口から送入されたスラリーをサイクロン内壁に沿って高速で回転させてスラリー中の粒子を分級するものであり、サイクロンの上側のミドルノズルのさらに上側のトップノズルを経てスラリー中の微粒子が排出され、ミドルノズルを経て中間径の粒子が排出され、サイクロンの下側のボトムノズルを経て粗粒子が排出される。本実施形態ではボトムノズルから粗粒子を排出させることで分級を行った。そして、主にスラリーの流速およびボトムノズル径を調節することによって分級点を調節し設定した。なお、原料供給口におけるスラリーの供給圧は0.6MPa、スラリーの流速は11L(リットル)/min、ボトムノズル径は2mmであった。また、焙焼後の乾式分級において空気分級機の分級点を5μmに設定した。空気分級機の分級点は空気の流速と回転数で設定される。
【0024】
実施例2:本実施例では、焙焼後の分級を行わなかった。これ以外の研摩材製造条件は実施例1と同じであったので説明を省略する。
【0025】
実施例3:本実施例では、焙焼後の分級工程として湿式分級を行った。まず、焙焼後の解砕によって得られた解砕品と純水を混合・撹拌して、固形分(原料)の濃度が40重量%のスラリーを調製し、このスラリーについて湿式分級を行った。湿式分級では、焙焼前の湿式分級と同様、湿式サイクロン分級機を用い、分級点を5μmに設定した。また、分級後、分級によって得られた微粒側研摩材を含むスラリーを濾過して得た研摩材を乾燥し、解砕してセリウム系研摩材を得た。解砕方法は焙焼直後の解砕と同様ハンマーミルを用いる方法であった。これ以外の研摩材製造条件は実施例1と同じであった。
【0026】
比較例1:本比較例では、分散剤を添加しなかった。そして焙焼前に湿式分級を行わなかった。これ以外の研摩材製造条件は実施例1と同じであった。
【0027】
比較例2:本比較例では、分散剤を添加しなかった。そして焙焼前に湿式分級を行わなかった。また焙焼品を粉砕して得た粉砕品に対する分級工程において、分級点を4μmに設定した。これ以外の研摩材製造条件は実施例1と同じであった。
【0028】
比較例3:本比較例では、分散剤を添加しなかった。そして焙焼前に湿式分級を行わなかった。また焙焼品を粉砕して得た粉砕品に対する分級工程において、分級点を6μmに設定した。これ以外の研摩材製造条件は実施例1と同じであった。
【0029】
実施例および比較例で得られたセリウム系研摩材について、粗粒子濃度、研摩速度、研摩傷の発生および生産性の評価を行った。各評価項目の評価方法を以下に示し、評価結果を表1に示す。
【0030】
粗粒子濃度測定
まず、実施例および比較例で得られたセリウム系研摩材のうちの200gと、分散剤として0.1%のヘキサメタリン酸ナトリウムを含有する水溶液とを混合してスラリーを調製した。そして、スラリーを一定時間静置させた後、上澄み液を抜き取って当該上澄み液から粗粒子を回収するという作業を繰り返して、所定の粒径以上の大きさの粒子(粗粒子)を回収した。その後、回収した粒子を十分乾燥させた後秤量し、この粗大粒子重量から粗大粒子濃度を求めた。なお、第1実施形態では5μm以上の粒径の粒子を回収し、後述の第2実施形態では10μm以上の粒径の粒子を、また第3実施形態では2μm以上の粒径の粒子をそれぞれ回収した。
【0031】
研摩試験
各実施例及び比較例で得られたセリウム系研摩材について、研摩試験機(台東精機(株)社製:HSP−21型)を用いて研摩試験を行った。まず、研摩材(研摩材スラリー)と純水とを用いて研摩材の濃度が15重量%の研摩材スラリーを調製した。そして、この研摩材スラリーとポリウレタン製の研摩パッドとを用いて、平面ガラス(φ65mm)の表面を、研摩圧力5.9kPa(0.06kg/cm)、研摩機の回転数100rpm、研摩材スラリーの循環量5リットル/分で10分間研摩した。
【0032】
研摩速度の評価
研摩前後のガラス質量の減少量に基づき研摩値を求めた(研摩速度を評価した)。そして、表1では比較例1、表2では比較例4、表3では比較例5の各研摩材を用いた場合の減少量を基準(研摩値100)とした。
【0033】
傷評価
研摩終了後、純水で被研摩面を洗浄し、無塵状態で乾燥させた被研摩面について傷評価を行った。傷評価は、30万ルクスのハロゲンランプを光源として用いる反射法でガラス表面を観察し、大きな傷および微細な傷の数を点数化し、100点を満点として減点評価する方式で行った。
【0034】
生産性の評価
研摩材の生産性を、生産されるセリウム系研摩材の歩留まりに基づいて評価した。なお、ここでいう歩留まりは、研摩材原料中のTREO重量に対する最終的に得られた研摩材の重量の割合である。
【0035】
【表1】
Figure 0004290465
【0036】
実施例1と比較例1を比較すると、実施例1は、焙焼後の乾式分級前の状態において、既に粗粒子濃度が低かった。この点は、焙焼後の乾式分級条件が同じであるにも拘わらず、実施例1の研摩材の方が粗粒子濃度が著しく低いことからも解る。また、実施例1と比較例1のように原料や焙焼条件等の基本的な研摩材製造条件が同じである場合、得られる研摩材が大粒径であるほど研摩速度はより高くなると考えられるところ、実施例1は比較例1に比べて研摩速度が高いことから、実施例1の研摩材は大粒径の研摩粒子をより多く含み小粒径の研摩粒子がより少ないことが解った。以上の結果より、実施例1のように焙焼前に湿式分級を行うと、小粒径の粒子が減少して粗粒子濃度が低く抑えられることが解った。
【0037】
そして、実施例1の方が傷が発生しにくかった。粗粒子濃度が低いからであると考えられる。粗粒子濃度が低くなると、研摩圧力が同じであっても研摩材の被研摩面への接触がより均一になり、より微粒の研摩材を用いても研摩速度が向上すると考えられる。また、実施例1の方が分級歩留まりが高く生産性に優れていた。
【0038】
また、実施例1と比較例2では、得られた研摩材の粗粒子濃度に差はなかったが、実施例1は、研摩材の生産性(歩留まり)が著しく高く、研摩速度、傷防止性能ともに優れていた。この結果、焙焼工程前に湿式分級を行わなくても、焙焼後に行う分級の分級点をより小粒径の値に設定すれば、粗粒子濃度を焙焼前に湿式分級を行う場合と同程度まで下げることはできるが、研摩材の生産性が著しく低下し、研摩速度、傷防止性能ともに低下することが解った。そして、比較例3は、焙焼後に行う分級の分級点をより大粒径の値に設定したものであり、比較例2に比べると研摩速度および生産性が優れていたが、実施例1との比較では、粗粒子濃度、研摩速度、傷評価、生産性の全ての項目で劣っていた。
【0039】
実施例2は、焙焼前の湿式分級だけを行い、焙焼後の分級を行わなかった例である。この実施例2と比較例3を比較する。比較例3は焙焼後の乾式分級だけを行い、焙焼前の湿式分級を行わなかった例である。両者を比べると、粗粒子濃度は同じであるが、それ以外の研摩速度、傷評価、生産性の全ての項目において実施例2が優れていた。この結果、研摩材製造時に1回だけ分級を行うのであれば、焙焼前に行った方が極めて好ましいことが解った。また、実施例3のように、焙焼工程後の分級を湿式分級によって行うと、粗粒子濃度が極めて低く、十分に高い研摩速度が確保されており、しかも研摩傷の発生が防止され、生産性の高い極めて高品質のセリウム系研摩材が得られることが解った。
【0040】
第2実施形態
第1実施形態と同じ条件の原料と純水を重量比「2:1」で混合し、ボールミル(スチール製粉体媒体、媒体直径3.0mm)を用いて湿式粉砕を行い、D50が2.0μmの原料スラリーを調製した。調製した原料スラリーを水で希釈して固形分(原料)の濃度が40重量%のスラリーを得た。次に、固形分重量の0.5重量%に相当するヘキサメタリン酸ナトリウムを分散剤として添加した後、カートリッジフィルターによる湿式分級によって粗粒子を除去した。そして、粗粒子が除去されたスラリーをろ過・洗浄してナトリウム成分を除去した後、乾燥し、得られた乾燥品を電気炉を用いて温度1000℃で6時間焙焼した。焙焼後、得られた焙焼品をハンマーミルを用いて解砕した。そして、得られた解砕品を空気分級機で乾式分級してセリウム系研摩材粉末を得た。
【0041】
実施例:焙焼前に行ったカートリッジフィルターによる湿式分級でのフィルターのメッシュ(ふるいの目開き)は10μmであった。また、焙焼品を粉砕して得た粉砕品に対する分級工程における分級点は10μmであった。
【0042】
比較例4:本比較例では、分散剤を添加しなかった。そして焙焼前に湿式分級を行わなかった。これ以外の研摩材製造条件は実施例と同じであった。
【0043】
実施例および比較例4で得られたセリウム系研摩材についての、粗粒子濃度、研摩速度、研摩傷の発生および生産性を表2に示す。
【0044】
【表2】
Figure 0004290465
【0045】
表2に示されるように、実施例と比較例4では、生産性は比較例4がやや劣る程度であったが、これ以外の項目については実施例2の方が著しく優れていた。この結果、焙焼工程前に湿式分級を行うと、生産性を確実に維持しつつ、粗粒子濃度を著しく低下でき、しかも研摩速度や傷評価をも著しく向上できることが解った。
【0046】
第3実施形態
第1実施形態と同じ条件の原料と純水を重量比「2:1」で混合し、ボールミル(ジルコニア製粉体媒体、媒体直径0.8mm)を用いて湿式粉砕を行い、D50が0.5μmの原料スラリーを調製した。調製した原料スラリーを水で希釈して固形分(原料)の濃度が40重量%のスラリーを得た。次に、固形分重量の0.5重量%に相当するヘキサメタリン酸ナトリウムを分散剤として添加した後、第1実施形態同様、湿式サイクロンによる湿式分級によって粗粒子を除去した。そして、粗粒子が除去されたスラリーをろ過・洗浄してナトリウム成分を除去した後、乾燥し、得られた乾燥品を電気炉を用いて温度1000℃で6時間焙焼した。焙焼後、得られた焙焼品をハンマーミルを用いて解砕した。そして、得られた解砕品を空気分級機で乾式分級してセリウム系研摩材粉末を得た。
【0047】
実施例:焙焼前の湿式分級において湿式サイクロン分級機の分級点を2μmに設定した。また焙焼後の乾式分級において空気分級機の分級点を2μmに設定した。
【0048】
比較例5:本比較例では、分散剤を添加せず、焙焼前に湿式分級を行わなかった。これ以外の研摩材製造条件は実施例と同じであった。
【0049】
実施例および比較例5で得られたセリウム系研摩材についての、粗粒子濃度、研摩速度、研摩傷の発生および生産性を表3に示す。
【0050】
【表3】
Figure 0004290465
【0051】
また、実施例と比較例5では、実施例3の方が粗粒子濃度が著しく低かった。この結果、焙焼工程前に湿式分級を行うと、粗粒子濃度を確実に低下できることが解った。そして、表1〜表3の結果から解るように、どのような(平均)粒径の研摩材を製造する場合であっても焙焼工程前に湿式分級を行うと粗粒子濃度を著しく低下できることが解った。
【0052】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、より粗粒子濃度が低く、研摩速度や傷評価などの研摩特性に優れる研摩材を製造することができる。

Claims (2)

  1. 原料を粉砕する湿式粉砕工程と、湿式粉砕工程後に行われる焙焼工程と、焙焼工程後に行われる粉砕工程とを有する、酸化セリウムを主成分とするセリウム系研摩材の製造方法において、
    湿式粉砕工程は、原料の平均粒径D 50 が10μm以下となるように粉砕し、
    焙焼工程の前に、粉砕した原料を含むスラリー中にヘキサメタリン酸ナトリウムまたはポリアクリル酸アンモニウムの分散剤を添加して湿式分級を行うことを特徴とするセリウム系研摩材の製造方法。
  2. 焙焼工程後に湿式分級工程を行う請求項に記載のセリウム系研摩材の製造方法。
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