JP2013079430A - 金属複合超微粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属複合超微粒子の製造において、得られた金属複合超微粒子の凝集力を高め、高効率にて金属複合超微粒子を回収することのできる金属複合超微粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】無機金属塩と高級アルコールとを加熱して反応させることにより、金属複合超微粒子を製造する方法において、上記加熱反応の後、反応混合物を炭素数1〜3のアルコールと混合することにより金属複合超微粒子を析出させることを特徴とする金属複合超微粒子の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属複合超微粒子の製造方法に関するものであり、更に詳しくは効率良く粒径分布の小さい金属複合超微粒子を得るための製造方法に関するものである。
半導体装置等の電子部品の小形化に伴い、例えば、平均粒子径が100nm以下の金属複合超微粒子の電子部品への応用可能性が注目を集めている。上記金属複合超微粒子は、例えば、配線回路の形成材料や、導電性ペースト材料として、半導体装置等の電子部品に応用展開が検討されている。
一般的に金属複合超微粒子は、その粒径が小さくなるにしたがって、その塊となる金属材料とは異なる性質を呈することが知られており、これは、金属複合超微粒子の場合、1個の超微粒子に含まれる原子のうち表面に露出しているものの割合が、塊となる金属材料の場合に比べて遙かに大きくなるためであると考えられる。この金属複合超微粒子の代表的な性質の一つとして、焼結が生起する温度が、通常、工業的に用いられる粉末よりも著しく低い温度で焼結を開始できるといった低温焼結性があげられる。
このような金属複合超微粒子の製造方法としては、種々検討されており、例えば、無機金属塩と高級アルコール等の有機化合物とを、用いる有機化合物により異なるが100〜230℃の温度で加熱することによって、金属化合物が被覆した金属複合超微粒子を生成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法によると、例えば、平均粒子径7〜10nm程度の金属(銀)成分からなる金属核の周囲を、厚み1.5nm程度の有機物で被覆した金属複合超微粒子が製造されている。また、無機金属塩と高級アルコールとを70〜140℃の低温域で一定時間保持することにより、上記無機金属塩が分解して金属成分からなる中心部を生成し、無機金属塩の金属成分と有機物が反応して有機金属化合物を生成することなく、上記中心部の周囲を有機物が被覆された金属複合超微粒子の製造方法が提案されている(特許文献2参照)。
国際公開第01/70435号 特開2007−46167号公報
しかしながら、上記特許文献の方法により作製された金属複合超微粒子は、その凝集力が小さいことから金属複合超微粒子そのものの回収効率が低く、効率良く金属複合超微粒子を回収することが困難であるという問題を有しているものであった。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、金属複合超微粒子の製造において、得られた金属複合超微粒子の凝集力を高め、高効率にて金属複合超微粒子を回収することのできる金属複合超微粒子の製造方法の提供をその目的とするものである。
そこで、本発明者は、無機金属塩と高級アルコールとの反応により製造された金属複合超微粒子の凝集力を高め、生成した金属複合超微粒子を効率良く回収することのできる手段について種々検討した結果、無機金属塩と高級アルコールとの反応終了後に、反応混合物を炭素数1〜3のアルコールと混合すると、生成した金属複合超微粒子の凝集が促進され、効率良く金属複合超微粒子を回収することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、無機金属塩と高級アルコールとを加熱して反応させることにより、金属複合超微粒子を製造する方法において、上記加熱反応の後、反応混合物を炭素数1〜3のアルコールと混合することにより金属複合超微粒子を析出させる金属複合超微粒子の製造方法を要旨とするものである。
以上のように、本発明は、無機金属塩と高級アルコールとの加熱反応の後、反応混合物を炭素数1〜3のアルコールと混合することにより金属複合超微粒子を析出させるものである。このため、金属複合超微粒子の凝集が促進され、高収率にて生成した金属複合超微粒子を回収することができる。
本発明において、高効率にて生成した金属複合超微粒子を回収することが可能となる理由はつぎのように推測される。すなわち、金属複合超微粒子の外殻は高級アルコール由来の構造となっており、そのため、周りに存在する高級アルコールと極性が近似することにより金属複合超微粒子の周囲を高級アルコールが取り囲むこととなる。よって、上記高級アルコールが金属複合超微粒子の凝集を阻害することになるところ、無機金属塩と高級アルコールとの反応終了後に反応混合物を炭素数1〜3のアルコールと混合すると、金属複合超微粒子の外殻構造との極性差が大きく、かつ、高級アルコールの良溶媒となることから、生成した金属複合超微粒子の凝集が促進され、短時間にて金属複合超微粒子が析出し、その結果、高収率にて金属複合超微粒子を回収することが可能になると推測される。
本発明の代表的な一例の金属複合超微粒子の製造工程を示す製造フローチャート図である。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に限定されるものではない。
以下、本発明について詳細に説明する。
また、本発明の金属複合超微粒子の製造工程の概要を、図1の製造フローチャート図に代表例として示す。
《金属複合超微粒子》
本発明は、無機金属塩と高級アルコールとを加熱反応させることにより、金属複合超微粒子を製造するものであるが、この金属複合超微粒子は、無機金属塩が反応分解して生じた金属を中心とし周囲に上記高級アルコール由来の有機残基により被覆された金属複合超微粒子である。
《無機金属塩》
本発明の原料となる無機金属塩としては、通常、銀、銅等の遷移金属や錫等の炭酸塩、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩等があげられる。具体的には、炭酸銀、塩酸銀、硝酸銀、硫酸銀炭酸銅、塩酸銅、硝酸銅、硫酸銅、炭酸錫、塩酸錫、硝酸錫、硫酸錫等があげられる。本発明においては、上記無機金属塩の中でも、非水系溶媒となじみやすいという点から、金属炭酸塩が好ましく、特には炭酸銀または炭酸銅が好ましい。
なお、上記無機金属塩は、通常、常温で固体粉状のものである。
《高級アルコール》
本発明において無機金属塩とともに用いられる高級アルコールとしては、通常、炭素数6〜22、好ましくは8〜18、更に好ましくは10〜16の脂肪族アルコールがあげられる。具体的には、ドデシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、セトステアリルアルコール等があげられる。炭素数が少なすぎると安定な被覆層が得られがたくなる傾向があり、多すぎると金属含有率が低くなる傾向がある。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これら高級アルコールの中でも、安定かつ高金属含有率になるという点から、好ましくはミリスチルアルコールが用いられる。これら高級アルコールは、通常、常温で固体状のものである。
なお、本発明において、常温とは、通常20℃をいう。
上記高級アルコールの使用割合は、上記無機金属塩100重量部に対して通常40〜500重量部、好ましくは50〜400重量部、特に好ましくは60〜300重量部である。上記高級アルコールの使用割合が少な過ぎると、無機金属塩との反応において無機金属塩が残存する傾向がみられ、金属複合超微粒子を高収率にて製造することが困難となる傾向がみられる。なお、上記高級アルコールの配合割合が多すぎると、未反応アルコールの除去が困難となる傾向がみられる。
《反応溶媒》
本発明の反応においては、通常、過剰量の高級アルコールを用い、これを溶媒を兼ねて反応を進行させることが好ましいが、必要に応じて、不活性な溶媒の存在下で反応を行なってもよい。例えば、その際に用いる溶媒としては、反応条件に近い沸点を持ち、非極性の溶媒であればよく、例えば、1,3,5−トリメチルベンゼン(メシチレン)、1,2,4−トリメチルベンゼン(プソイドクメン)、イソプロピルベンゼン(クメン)、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート等があげられる。
《他の添加剤》
本発明の反応においては、原料となる上記無機金属塩および高級アルコール以外に、反応収率の向上を目的に発泡抑制剤を用いてもよい。例えば、無機金属塩が炭酸塩系のような場合、炭酸ガスが発生し、それにより発生する泡が反応阻害要因となることがある。そのような場合、発泡抑制剤の添加が有効である。上記炭酸塩系以外にも反応の過程で発生ガスに起因する泡が生じるような場合に効果がある。
上記発泡抑制剤としては、各種の発泡抑制作用を有するものが用いられ、例えば、イオン液体があげられる。上記イオン液体は、融点が150℃以下でカチオン部とアニオン部からなるイオン性物質であって、反応系におけるガス発生を抑制する効果を奏する。そして、本発明においては金属を含有していないものであれば特に限定するものではなく各種イオン液体が用いられる。
上記イオン液体の配合量は、無機金属塩100重量部に対して2.5〜100重量部であることが好ましく、より好ましくは5〜50重量部、特に好ましくは10〜30重量部である。
《反応》
本発明では、上述の無機金属塩と高級アルコールとを加熱反応させるが、通常、固体状である高級アルコールを加熱溶融し、これに粉状の無機金属塩を供給して反応を開始することが好ましい。
本発明における反応については、常圧状態で行っても加圧状態で行ってもどちらでもよいが、通常は常圧状態にて行われる。
本発明における反応条件としては、通常40〜200℃で20〜300分間程度の反応条件にて反応を行なってもよく、また、2段階以上の多段階にて反応を行なってもよいが、特には2段階にて反応を行なうことが好ましい。上記2段階の反応条件としては、まず、40〜70℃、特には50〜65℃で、20〜120分間、特には25〜90分間、殊には30〜60分間、加熱反応を行ない、次いで、130〜200℃、特には140〜180℃、殊には150〜170℃で、20〜300分間、特には30〜240分間、殊には30〜180分間、加熱反応を行なうことが好ましい。
本発明においては、上述のように、2段階にて反応を行なうことが好ましく、その前段反応においては、高級アルコール中に無機金属塩が分散し、上記無機金属塩が微細化され、後段反応においては、微細化された無機金属塩の微粒子と高級アルコールとの反応が高活性で進行する。この反応過程で無機金属塩の色調は、前段反応の進行により変化(銀の場合、茶褐色に変化)し、また、後段反応の進行により変化(銀の場合、青紫色に変化)する。
本発明での反応は、通常、撹拌槽タイプの反応器を使用し、撹拌下実施され、上記反応器は加熱装置(加熱ジャケット等)、特に還流凝縮器を備えたものを用いることが好ましい。また、反応器の材質としては、ガラスライニングのものや樹脂ライニングのものが適宜用いられる。
本発明においては、無機金属塩と高級アルコールの反応の際に、この反応の進行により水および炭酸等の副生成物が副生することから、これら副生成物を、上記反応の際に留去しながら、反応を進行させることが好ましい。
上記反応によって、金属を中心とし周囲に高級アルコール由来の有機残基により被覆された金属複合超微粒子を含む反応混合物が得られる。
本発明においては、上記加熱反応の後、反応混合物を炭素数1〜3のアルコールと混合することにより反応混合物中の金属複合超微粒子が凝集し、金属複合超微粒子が析出することとなる。
上記反応混合物と炭素数1〜3のアルコールを混合するに際しては、反応混合物中に該アルコールを添加したり、逆に、該アルコール中に反応混合物を添加したりするなど適宜選択されるが、通常は、反応系内の反応混合物中に該アルコールを添加することが工業的生産の観点から好ましい。
また、本発明では、反応混合物と炭素数1〜3のアルコールを混合するにあたり、反応混合物を通常80℃以下、好ましくは60℃以下に冷却しておくことが、上記加熱反応を効率よく停止させることができる点から好ましい。上記加熱反応を停止させるために冷却する際の温度の下限は通常10℃程度、好ましくは20℃程度である。
上記炭素数1〜3のアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。中でも、凝集力、その凝集した反応生成物の沈降速度を考慮した場合、イソプロピルアルコール、エタノールを用いることが好ましく、特に好ましくはイソプロピルアルコールを用いることである。炭素数4以上のアルコールを用いた場合、凝集した反応生成物の沈降速度が著しく遅くなり、収率低下の原因となる可能性がある。
上記炭素数1〜3のアルコールの使用量は、仕込み無機金属塩100重量部に対して5〜500重量部であることが好ましく、より好ましくは10〜250重量部、特に好ましくは15〜80重量部である。言い換えると、炭素数1〜3のアルコールの配合量は、反応生成物を含む反応系全体に対して、0.05〜5重量倍程度投入することが好ましく、より好ましくは0.1〜2.5重量倍、特に好ましくは0.15〜0.8重量倍である。上記炭素数1〜3のアルコールの使用量が少な過ぎると、反応生成物を充分に凝集させ析出させることが困難となる傾向がみられ、使用量が多過ぎると、後工程への移行に時間がかかる上に、原料コストが上昇する傾向がみられる。
《洗浄》
つぎに、上記の反応によって生成した金属複合超微粒子を含む反応混合物を低級アルコールで洗浄することが好ましい。この低級アルコールとしては、通常、炭素数1〜3の脂肪族アルコールがあげられ、中でもエタノール、イソプロピルアルコールが好適である。
洗浄方法としては、通常、デカンテーション等の懸濁洗浄法が一般的である。
例えば、反応混合物に低級アルコールを添加し、撹拌混合した後、静置し、その後沈降した金属複合超微粒子を分離するデカンテーション操作を繰り返すことにより実施される。この際の低級アルコールの反応混合物への添加は、混合物温度が50℃以下、好ましくは40℃以下となった以降であれば任意の時点で添加しても差し支えない。
洗浄温度は、通常、20〜40℃であり、低級アルコールの使用量は、通常、金属複合超微粒子に対して1〜50重量倍である。また、洗浄回数は、目的とする純度の金属複合超微粒子となるまで繰り返し行なわれるが、通常、2〜10回である。
また、金属複合超微粒子の固液分離法としては、通常、濾過、遠心分離等の公知の手法にて行なうことができる。
《乾燥》
洗浄後の金属複合超微粒子は、通常、乾燥処理を行なう。乾燥温度は、通常、20〜80℃程度で行なわれる。また、乾燥後の固形物は、凝集している場合でも、摩砕等により容易に粉末状とすることができる。
《金属複合超微粒子》
得られた金属複合超微粒子は、上記無機金属塩が反応分解して生じた金属を中心とし、その周囲に上記高級アルコール由来の有機残基により被覆された構成からなる超微粒子(ナノ粒子)である。
本発明の製造方法により得られる金属複合超微粒子の平均粒子径は、通常、1〜100nm、好ましくは5〜50nm、特に好ましくは7〜30nmである。上記金属複合超微粒子の平均粒子径は、例えば、つぎのようにして測定される。すなわち、測定対象となる金属複合超微粒子の母集団から任意の測定試料を取り出し、市販の透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、一定面積あたりの粒子の粒子径を、スケールバーを参考にして測定することができる。
また、上記で得られる金属複合超微粒子は、例えば、熱重量分析(TG)測定および赤外吸収分析(IR)測定を行なうことにより同定することができる。
本発明で製造された金属複合超微粒子は、粒径分布が小さく、そのため、これを用いて焼成する場合の焼成温度が低く、しかも、均一で良好な金属面を得ることができる。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
加熱装置、還流凝縮器及び2段翼撹拌機を備えた1リットル反応器(ガラス製反応器:ビーカー)に、まず、60℃に加温し溶融したミリスチルアルコール(和光純薬工業社製)600gを供給し、つぎに、粉状炭酸銀(鶯色)(日進化学社製)300gを添加した。
上記内容物を60℃で40分間、500rpmの撹拌下、反応を行ない、次いで、内容物を加温し、15分かけて160℃に昇温し、同温度で2時間保持して反応を継続した。なお、上記反応の進行に伴い、反応後期は還流状態となった。
上記の前段反応において、混合物の色調は茶褐色に変化し、また、後段反応においては、青紫色に変化した。
その後、内温を80℃以下に冷却して反応を停止させ、これにエタノールを徐々に添加し(撹拌条件:500rpm)、最終的にエタノールを合計50ml添加した。上記エタノールを添加したことによって、混合物中に凝集物(濃灰色)が素早く生成し析出した。
さらに、冷却を継続し、内温を40℃以下とし、3リットルビーカーに移液した。1リットル反応器もエタノールで洗浄し、その洗浄液も3リットルビーカーに加えた。
洗浄処理は、エタノール1リットルを上記ビーカーに加え、ガラス棒で撹拌した後、25℃下にて静置した。6時間程静置すると、反応混合物は、黄色透明な上澄み液と濃灰色の沈降部に分離した。つぎに、デカンテーションにて上澄み液を可能な限り排出した後、新たにエタノール1リットルをビーカーに加え、ガラス棒で良く撹拌した後、静置した。3時間程静置すると、ほぼ無色透明な上澄み液と、やや青みがかった濃灰色の沈降部に分離した。つぎに、デカンテーションにて上澄み液を可能な限り排出した。
次いで、上記上澄み液を取り除いた残分である濃灰色の沈降部分(固形分)を、新たなエタノールを用いて、準備した桐山ロートに移し、吸引濾過を行なった。なお、この桐山ロートによる吸引濾過により、充分に濾過が進むと、ロート上に残った固体(青色のケーキ)に亀裂が生じた。
上記亀裂が生じた固体(青色のケーキ)が収縮し、スパチラを用いて割れるようになるまで乾燥し(約24時間)、さらに、ガラス棒にて粉砕できる程度になるまで乾燥を行なった(約48時間)後、得られたケーキを粉砕し、粉末状とした。
<同定>
上記乾燥し粉砕することにより得られた金属複合超微粒子粉末に関して、下記の装置を用いて熱重量分析(TG)測定および赤外吸収分析(IR)測定を行なった。これら測定の結果、得られた金属複合超微粒子は、上記炭酸銀が反応分解して生じた銀を中心とした周囲に上記ミリスチルアルコール由来の有機残基(主にC1429COO−とC1327COO−)により被覆された金属複合超微粒子であることが確認された。なお、未反応炭酸銀由来のピークは検出されなかった。さらに、得られた金属複合超微粒子の平均粒子径について、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定した結果、8〜15nmであり、粒径分布の小さい超微粒子が得られたことが確認された。
《熱重量分析(TG)測定》
測定機器:Perkin Elmer社製、「Thermal Analysis TG−7」
《赤外吸収分析(IR)測定》
測定機器:Nicolet社製、「Avatar360」
《平均粒子径の測定》
測定機器:日立製作所社製、「透過型電子顕微鏡 H−7100FA型」
〔実施例2〕
実施例1に準じて、ビーカーの内温を80℃以下に冷却して配合したエタノールに代えてイソプロピルアルコールを合計30ml用いた。
さらに、冷却を継続し、内温を40℃以下とし、3リットルビーカーに移液した。また、1リットル反応器もイソプロピルアルコールで洗浄し、その洗浄液も3リットルビーカーに加えた。
洗浄処理は、イソプロピルアルコール1リットルを上記ビーカーに加え、ガラス棒で撹拌した後、25℃下にて静置した。6時間程静置すると、反応混合物は、黄色透明な上澄み液と濃灰色の沈降部に分離した。つぎに、デカンテーションにて上澄み液を可能な限り排出した後、新たにイソプロピルアルコール1リットルをビーカーに加え、ガラス棒で良く撹拌した後、静置した。3時間程静置すると、ほぼ無色透明な上澄み液と、やや青みがかった濃灰色の沈降部に分離した。つぎに、デカンテーションにて上澄み液を可能な限り排出した。
次いで、上記上澄み液を取り除いた残分である濃灰色の沈降部分(固形分)を、新たなイソプロピルアルコールを用いて、準備した桐山ロートに移し、吸引濾過を行なった。なお、この桐山ロートによる吸引濾過により、充分に濾過が進むと、ロート上に残った固体(青色のケーキ)に亀裂が生じた。
上記亀裂が生じた固体(青色のケーキ)が収縮し、スパチラを用いて割れるようになるまで乾燥し(約24時間)、さらに、ガラス棒にて粉砕できる程度になるまで乾燥を行なった(約48時間)後、得られたケーキを粉砕し、粉末状とした。得られたサンプルについて、実施例1と同様にして同定、平均粒子径を測定した。
同定の結果、得られた金属複合超微粒子は、上記炭酸銀が反応分解して生じた銀を中心とした周囲に上記ミリスチルアルコール由来の有機残基(主にC1429COO−とC1327COO−)により被覆された金属複合超微粒子であることが確認された。なお、未反応炭酸銀由来のピークは検出されなかった。さらに、得られた金属複合超微粒子の平均粒子径について、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定した結果、8〜15nmであり、粒径分布の小さい超微粒子が得られたことが確認された。
〔比較例1〕
実施例1において、ビーカーの内温を80℃以下に冷却した後はエタノールに代えてn−ブチルアルコールを合計60ml用いた。
さらに、冷却を継続し、内温を40℃以下とし、3リットルビーカーに移液した。また、1リットル反応器もn−ブチルアルコールで洗浄し、その洗浄液も3リットルビーカーに加えた。
洗浄処理は、n−ブチルアルコール1リットルを上記ビーカーに加え、ガラス棒で撹拌した後、25℃下にて静置した。2週間放置しても反応混合物が黄色透明な上澄み液と濃灰色の沈降部に完全に分離することはなかった。一部濁った部位を含みデカンテーションにて液を排出した後、新たにn−ブチルアルコール1リットルをビーカーに加え、ガラス棒で良く撹拌した後、静置した。1ヶ月間程静置した。やはり黄色透明な上澄み液と濃灰色の沈降部に完全に分離することはなかった。つぎに、一部濁った部位を含みデカンテーションにて液を排出した。
次いで、上記上澄み液を取り除いた残分である濃灰色の沈降部分(固形分)を、新たなn−ブチルアルコールを用いて、準備した桐山ロートに移し、吸引濾過を行なった。なお、この桐山ロートによる吸引濾過が完了するには3日間を要した。充分に濾過が進むと、ロート上に残った固体(青色のケーキ)に亀裂が生じた。
上記亀裂が生じた固体(青色のケーキ)が収縮し、スパチラを用いて割れるようになるまで乾燥し(約24時間)、さらに、ガラス棒にて粉砕できる程度になるまで乾燥を行なった(約48時間)後、得られたケーキを粉砕し、粉末状とした。得られたサンプルについて、実施例1と同様にして同定、平均粒子径を測定した。
同定の結果、得られた金属複合超微粒子は、上記炭酸銀が反応分解して生じた銀を中心とした周囲に上記ミリスチルアルコール由来の有機残基(主にC1429COO−とC1327COO−)により被覆された金属複合超微粒子であることが確認された。なお、未反応炭酸銀由来のピークは検出されなかった。さらに、得られた金属複合超微粒子の平均粒子径について、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定した結果、8〜15nmであり、粒径分布の小さい超微粒子が得られたことが確認されたが、実施例1の約半分量しか得られなかった。
〔比較例2〕
実施例1において、ビーカーの内温を80℃以下に冷却して配合したエタノールに代えてアセトンを合計80ml用いた。
さらに、冷却を継続し、内温を40℃以下とし、3リットルビーカーに移液した。また、1リットル反応器もアセトンで洗浄し、その洗浄液も3リットルビーカーに加えた。
洗浄処理は、アセトン1リットルを上記ビーカーに加え、ガラス棒で撹拌した後、25℃下にて静置した。2週間放置しても反応混合物が黄色透明な上澄み液と濃灰色の沈降部に完全に分離することはなかった。一部濁った部位を含みデカンテーションにて液を排出した後、新たにアセトン1リットルをビーカーに加え、ガラス棒で良く撹拌した後、静置した。1ヶ月間程静置した。やはり黄色透明な上澄み液と濃灰色の沈降部に完全に分離することはなかった。つぎに、一部濁った部位を含みデカンテーションにて液を排出した。
次いで、上記上澄み液を取り除いた残分である濃灰色の沈降部分(固形分)を、新たなアセトンを用いて、準備した桐山ロートに移し、吸引濾過を行なった。なお、この桐山ロートによる吸引濾過が完了するには3日間を要した。充分に濾過が進むと、ロート上に残った固体(青色のケーキ)に亀裂が生じた。
上記亀裂が生じた固体(青色のケーキ)が収縮し、スパチラを用いて割れるようになるまで乾燥し(約24時間)、さらに、ガラス棒にて粉砕できる程度になるまで乾燥を行なった(約48時間)後、得られたケーキを粉砕し、粉末状とした。得られたサンプルについて、実施例1と同様にして同定、平均粒子径を測定した。
同定の結果、得られた金属複合超微粒子は、上記炭酸銀が反応分解して生じた銀を中心とした周囲に上記ミリスチルアルコール由来の有機残基(主にC1429COO−とC1327COO−)により被覆された金属複合超微粒子であることが確認された。なお、未反応炭酸銀由来のピークは検出されなかった。さらに、得られた金属複合超微粒子の平均粒子径について、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定した結果、8〜15nmであり、粒径分布の小さい超微粒子が得られたことが確認されたが、実施例1の約40%量しか得られなかった。
本発明の製造方法は、粒径分布の小さい、均一粒子を高収率で効率的に製造し、さらに効率良く回収することができる方法であり、これにより得られる金属複合超微粒子は、焼成する場合の焼成温度を低くすることができる。そして、例えば、半導体装置等の電子部品の微細配線等の形成材料や、半導体装置等の電子部品の電極間を電気的に接合する際に使用される導通材料等に有用である。

Claims (7)

  1. 無機金属塩と高級アルコールとを加熱して反応させることにより、金属複合超微粒子を製造する方法において、上記加熱反応の後、反応混合物を炭素数1〜3のアルコールと混合することにより金属複合超微粒子を析出させることを特徴とする金属複合超微粒子の製造方法。
  2. 上記加熱反応の後、80℃以下に冷却して、反応混合物を炭素数1〜3のアルコールと混合することを特徴とする請求項1記載の金属複合超微粒子の製造方法。
  3. 炭素数1〜3のアルコールの使用量が、仕込み無機金属塩100重量部に対して5〜500重量部であることを特徴とする請求項1または2記載の金属複合超微粒子の製造方法。
  4. 無機金属塩が、金属炭酸塩であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属複合超微粒子の製造方法。
  5. 高級アルコールが、炭素数6〜22のアルコールであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の金属複合超微粒子の製造方法。
  6. 高級アルコールの使用割合が、無機金属塩100重量部に対して40〜500重量部であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の金属複合超微粒子の製造方法。
  7. 生成した金属複合超微粒子が、金属を中心とし周囲に高級アルコール由来の有機残基により被覆されたものであり、平均粒子径が1〜100nmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の金属複合超微粒子の製造方法。
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