以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、相手側電気コネクタと電気的に接続され、且つ、当該相手側電気コネクタにロックされる、ロック機構付き電気コネクタとして、種々の用途に広く適用することができる。
図1は、本発明の一実施の形態に係るロック機構付き電気コネクタを含む電気的接続装置1の概略構成を示す側面図である。図2は、図1のII−II線に沿う一部断面図である。図1及び図2に示すように、電気的接続装置1は、回路基板2と、被覆電線3の電線3aと、を電気的に接続するために設けられている。電線3aは、例えば、電源又は電気機器に接続されており、これにより、当該電源又は電気機器と、回路基板2とが電気的に接続されている。回路基板2は、単層又は多層の回路基板である。回路基板2の実装面2aには、導体パターン2b,2c(図示せず)が形成されている。
電気的接続装置1は、ロック機構付き電気コネクタ30と、当該ロック機構付き電気コネクタ30に結合される相手側電気コネクタ10と、を備えている。尚、以下では、ロック機構付き電気コネクタ30のことを、単に「コネクタ30」ともいう。また、以下では、相手側電気コネクタ10のことを、単に「相手側コネクタ10」ともいう。
コネクタ30及び相手側コネクタ10は、それぞれ、所定の幅方向X1に細長く、且つ、幅方向X1と直交する厚み方向Y1に薄い偏平な形状に形成されている。また、相手側コネクタ10が回路基板2に実装された状態において、コネクタ30及び相手側コネクタ10は、それぞれ、高さ方向Z1に対向している。高さ方向Z1は、幅方向X1及び厚み方向Y1の双方と直交している。高さ方向Z1は、コネクタ30と相手側コネクタ10とが互いに対向する対向方向でもある。
相手側コネクタ10は、回路基板2の実装面2a上に実装された表面実装タイプの電気コネクタである。相手側コネクタ10は、相手側ハウジング11と、相手側コンタクト27,28と、を有している。
相手側ハウジング11は、相手側コンタクト27,28を保持するために設けられている。相手側ハウジング11は、合成樹脂等の絶縁材料を用いて形成されている。相手側ハウジング11の材料として、LCP(液晶ポリマー、Liquid Crystal Polymer)、又はPA(ポリアミド、polyamide)等の樹脂材料を例示することができる。相手側ハウジング11は、射出成形によって形成された一体成形品である。尚、相手側ハウジング11は、複数の部材を固定することにより形成されていてもよい。
相手側ハウジング11は、幅方向X1に細長く且つ一端が開放された箱形形状に形成されている。具体的には、相手側ハウジング11は、周壁14と、端壁15と、柱部16と、を含んでいる。
周壁14は、回路基板2上に起立した姿勢に配置されている。周壁14は、厚み方向Y1に向かい合う第1側壁18及び第2側壁19を含んでいる。第1側壁18の外側面18aには、保護片20,21と、保護片20,21間に配置された係合部22と、が形成されている。
保護片20,21は、幅方向X1における第1側壁18の両端部に配置されている。係合部22は、幅方向X1に延びる突起状の部分であり、コネクタ30の後述する係合片77と係合することにより、相手側コネクタ10に対するコネクタ30の抜けを抑制する。
係合部22は、傾斜部23と、平坦部24と、受け部25と、を含んでいる。傾斜部23は、相手側ハウジング11のうち、コネクタ30と接触する一端面11aから、高さ方向Z1に沿って他端面11b側に進むに従い、外側面18aからの高さが高くなる傾斜状に形成されている。平坦部24は、傾斜部23から高さ方向Z1の一方Z11側に延びており、高さ方向Z1と平行である。受け部25は、コネクタ30の係合片77が引っ掛けられることにより、当該係合片77を受ける部分として設けられている。受け部25は、平坦部24のうち、高さ方向Z1の一方Z11側の端部から外側面18aへ延びている。
相手側ハウジング11の端壁15は、周壁14のうち、相手側ハウジング11の他端面11b側の端部に配置されている。柱部16は、周壁14で囲まれた空間内に配置されている。端壁15には、柱部16を避けた位置に、多数の嵌合孔26が形成されている。嵌合孔26は、厚み方向Y1において、第1側壁18と、柱部16との間に2つ形成されている。また、嵌合孔26は、厚み方向Y1において、柱部16と、第2側壁19との間に2つ形成されている。更に、嵌合孔26は、幅方向X1に沿って複数、等間隔に配置されている。これらの嵌合孔26に、コンタクト27,28が挿通されている。
コンタクト27,28は、それぞれ、金属材料で構成された板状の部材が加工されることで形成されており、例えば、銅合金を素材として構成されている。そして、各コンタクト27,28の表面には、例えば、すずめっき又は金めっき、等のめっき処理が施されている。コンタクト27,28は、それぞれ、複数(本実施形態において、15個)設けられている。即ち、コンタクト27,28は、合計30個設けられている。相手側コネクタ10及びコネクタ30の極数は、30である。各コンタクト27に関する構成は同様であるので、以下では、主に1つのコンタクト27について説明する。また、各コンタクト28に関する構成は同様であるので、以下では、主に1つのコンタクト28について説明する。
コンタクト27は、略u字状に形成されており、一対の片部27a,27bと、ベース部27cと、固定部27dと、を含んでいる。一対の片部27a,27bは、高さ方向Z1に細長く形成されており、大部分が周壁14内に配置されている。一対の片部27a,27bは、それぞれ、厚み方向Y1に向かい合うようにして、対応する嵌合孔26に圧入固定されている。これにより、コンタクト27は、相手側ハウジング11に保持されている。
ベース部27cは、一対の片部27a,27bの基端部同士を接続している。ベース部27cから、固定部27dが延びている。固定部27dは、回路基板2の実装面2aの導体パターン2bに、半田等によって固定されており、当該導体パターン2bと電気的且つ機械的に接続されている。
コンタクト28は、略u字状に形成されており、一対の片部28a,28bと、ベース部28cと、固定部28dと、を含んでいる。一対の片部28a,28bは、高さ方向Z1に細長く形成されており、大部分が周壁14内に配置されている。一対の片部28a,28bは、それぞれ、厚み方向Y1に向かい合うようにして、対応する嵌合孔26に圧入固定されている。これにより、コンタクト28は、相手側ハウジング11に保持されている。
ベース部28cは、一対の片部28a,28bの基端部同士を接続している。ベース部28cから、固定部28dが延びている。固定部28dは、回路基板2の実装面2aの導体パターン2cに、半田等によって固定されており、当該導体パターン2cと電気的且つ機械的に接続されている。
次に、コネクタ30について説明する。コネクタ30は、複数のコンタクト31,32と、これら複数のコンタクト31,32を保持するハウジング33と、ロック機構34と、を備えている。
コンタクト31は、被覆電線3の電線3aと、コンタクト27とを電気的に接続するために設けられている。コンタクト32は、被覆電線3の電線3aと、コンタクト28とを電気的に接続するために設けられている。コンタクト31は、コンタクト27の数と同じ数、設けられており、幅方向X1に沿って等間隔に並んでいる。また、コンタクト32は、コンタクト28の数と同じ数、設けられており、幅方向X1に沿って等間隔に並んでいる。各コンタクト31に関する構成は同様であるので、以下では、主に1つのコンタクト31について説明する。また、各コンタクト32に関する構成は同様であるので、以下では、主に1つのコンタクト32について説明する。
コンタクト31は、金属材料を曲げ加工すること等により形成された導電性の部材であり、高さ方向Z1に沿って細長く形成されている。コンタクト31は、第1固定部35と、第2固定部36と、抜け止め部37と、先端部38とを含んでいる。第1固定部35と、第2固定部36と、抜け止め部37と、先端部38とは、高さ方向Z1に沿ってこの順に並んでいる。
第1固定部35は、コンタクト31の基端部に形成されており、被覆電線3の被覆部3bに固定されている。第2固定部36は、被覆電線3のうち、被覆部3bから露出する電線3aに固定されている。これにより、コンタクト31と電線3aとは、電気的且つ機械的に接続されている。抜け止め部37は、突起状に形成されており、ハウジング33の後述する端壁42に受けられている。これにより、コンタクト31は、ハウジング33に対して高さ方向Z1の他方Z12側に抜けることが抑制されている。先端部38は、高さ方向Z1に沿って延びる細長い形状に形成されている。
コンタクト32は、コンタクト31とは、厚み方向Y1に対称な形状に形成されている。また、コンタクト32と電線3との関係は、前述したコンタクト31と電線3との関係と同様である。したがって、コンタクト32のうち、コンタクト31と同様の構成については、図に同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図2に示すように、コネクタ30が相手側コネクタ10に接続されている状態のとき、コンタクト31の先端部38は、対応するコンタクト27の一対の片部27a,27bによって、所定の挟持力で挟持されている。これにより、コンタクト31と対応するコンタクト27とが、電気的に接続されている。同様に、コンタクト32の先端部38は、対応するコンタクト28の一対の片部28a,28bによって、所定の挟持力で挟持されている。これにより、コンタクト32と対応するコンタクト28とが、電気的に接続されている。
次に、コンタクト31,32を保持し且つ収容するハウジング33について説明する。図3は、ハウジング33を高さ方向Z1から見た側面図である。図4は、図3のIV−IV線に沿う断面図である。図4においては、電線3及びコンタクト31,32を、想像線である2点鎖線で図示している。
図3及び図4に示すように、ハウジング33は、合成樹脂等の絶縁材料を用いて形成されている。ハウジング33の材料として、PBT(Poly Butylene Terephthalate)、ガラス繊維強化PBT、PBT(UL94V−0)、PBT(UL94HB)、66ナイロン、ガラス繊維強化66ナイロン、LCP(液晶ポリマー、Liquid Crystal Polymer)、又はPA(ポリアミド、polyamide)等の樹脂材料を例示することができる。ハウジング33は、射出成形によって形成された一体成形品である。尚、ハウジング33は、複数の部材を固定することにより形成されていてもよい。
ハウジング33は、幅方向X1に細長く、且つ、高さ方向Z1の一方Z11側の一端が開放された箱形形状に形成されている。具体的には、ハウジング33は、周壁41と、端壁42と、外枠部43と、を含んでいる。
周壁41は、厚み方向Y1に向かい合い且つ互いに平行に延びる第1側壁45及び第2側壁46を含んでいる。また、周壁41は、幅方向X1に向かい合い且つ互いに平行に延びる第3側壁47及び第4側壁48を含んでいる。
第1側壁45は、幅方向X1に細長い板状に形成されている。第1側壁45は、各コンタクト31を収容している。具体的には、第1側壁45には、複数の収容孔51が形成されている。収容孔51は、コンタクト31の数と同じ数だけ設けられている。各収容孔51は、コンタクト31の位置に対応する位置に配置されており、幅方向X1に等間隔に並んでいる。尚、各収容孔51に関する構成は同様であるので、以下では、1つの収容孔51について主に説明する。
図4に示すように、収容孔51は、高さ方向Z1におけるハウジング33の一端面33aから、高さ方向Z1の一方Z11側に向けて延びており、高さ方向Z1におけるハウジング33の他端面33bの手前の位置まで形成されている。この収容孔51は、面取り部52と、幅広部53と、絞り部54と、幅狭部55と、を含んでおり、高さ方向Z1に沿って上記の順に並んでいる。
面取り部52は、収容孔51のうち、一端面33a側の開口に形成されている。面取り部52が設けられていることにより、コンタクト31を収容孔51内へ挿入し易くされている。幅広部53は、面取り部52に連続する部分として設けられている。幅広部53は、ハウジング33の一端面33a寄りに配置されている。幅広部53内の空間は、高さ方向Z1の何れの位置においても、高さ方向Z1と直交する断面での断面積が一定とされている。
絞り部54は、高さ方向Z1の一方に進むに従い、高さ方向Z1と直交する断面での断面積が小さくなる先細り形状に形成されている。幅狭部55は、第1側壁45の先端側に配置されている。幅狭部1は、高さ方向Z1と平行に真っ直ぐに延びる部分として設けられている。幅広部53には、第1側壁45を厚み方向Y1に貫通するスリット56が形成されている。
収容孔51には、コンタクト31が収容されている。具体的には、コンタクト31の第1固定部35が、幅広部53に収容され、コンタクト31の第2固定部36が、絞り部54に収容されている。また、コンタクト31の抜け止め部37が、スリット56を通して第1側壁45から突出しており、端壁42に受けられている。コンタクト31の先端部38は、幅狭部55内に配置されており、スリット56を通して周壁41の第1側壁45の外側に露呈している。
図3及び図4に示すように、周壁41の第2側壁46は、第1側壁45と同様に、幅方向X1に細長い板状に形成されている。第2側壁46は、各コンタクト32を収容している。具体的には、第2側壁46には、複数の収容孔61が形成されている。収容孔61は、コンタクト32の数と同じ数だけ設けられている。各収容孔61は、コンタクト32の位置に対応する位置に配置されており、幅方向X1に等間隔に並んでいる。尚、各収容孔61に関する構成は同様であるので、以下では、1つの収容孔61について主に説明する。
図4に示すように、収容孔61は、ハウジング33の一端面33aから、高さ方向Z1の一方Z11側に向けて延びており、ハウジング33の他端面33bの手前の位置まで形成されている。この収容孔61は、面取り部62と、幅広部63と、絞り部64と、幅狭部65と、を含んでおり、高さ方向Z1に沿って上記の順に並んでいる。
面取り部62は、収容孔61のうち、一端面33a側の開口に形成されている。面取り部62が設けられていることにより、コンタクト32を収容孔61内へ挿入し易くされている。幅広部63は、面取り部62に連続する部分として設けられている。幅広部63は、ハウジング33の一端面33a寄りに配置されている。幅広部63内の空間は、高さ方向Z1の何れの位置においても、高さ方向Z1と直交する断面での断面積が一定とされている。
絞り部64は、高さ方向Z1の一方に進むに従い、高さ方向Z1と直交する断面での断面積が小さくなる先細り形状に形成されている。幅狭部65は、第2側壁19の先端側に配置されている。幅狭部65は、高さ方向Z1と平行に真っ直ぐに延びる部分として設けられている。幅広部63には、第2側壁19を厚み方向Y1に貫通するスリット66が形成されている。
収容孔61には、コンタクト32が収容されている。具体的には、コンタクト32の第1固定部35が、幅広部63に収容され、コンタクト32の第2固定部36が、絞り部64に収容されている。また、コンタクト32の抜け止め部37が、スリット66を通して第2側壁46から突出しており、端壁42に受けられている。コンタクト32の先端部38は、幅狭部65内に配置されており、スリット66を通して周壁41の第2側壁46の外側に露呈している。
図5は、コネクタ30のハウジング33の平面図である。図3及び図5に示すように、第3側壁47は、幅方向X1における第1側壁45の一端部と、第2側壁46の一端部とを接続している。第4側壁48は、幅方向X1における第1側壁45の他端部と、第2側壁46の他端部とを接続している。第3側壁47からは、保護壁47aが突出しており、第4側壁48からは、保護壁48aが突出している。
保護壁47a及び保護壁48aは、コネクタ30が相手側コネクタ10に結合される前の状態において、ロック機構34に異物が接触することを抑制するために設けられている。幅方向X1における保護壁47a,48a間に、ロック機構34の一部が配置されている。ロック機構34についての詳細は、後述する。
図3及び図4に示すように、端壁42は、周壁41の一端側を塞ぐように配置されている。これにより、周壁41及び端壁42で囲まれた収容空間67が形成されている。端壁42は、収容空間67内に配置された複数の凸部68,69を含んでいる。
凸部68は、各スリット56の近傍に配置されている。各凸部68は、四角柱形状に形成されている。各凸部68に、対応するコンタクト31の抜け止め部37が接触している。これにより、前述したように、コンタクト31は、ハウジング33に対して高さ方向Z1の他方Z12側へ抜けることが規制されている。
凸部69は、各スリット66の近傍に配置されている。各凸部69は、四角柱形状に形成されている。各凸部69に、対応するコンタクト32の抜け止め部37が接触している。これにより、前述したように、コンタクト32は、ハウジング33に対して高さ方向Z1の他方Z12側へ抜けることが規制されている。
外枠部43は、高さ方向Z1から見て周壁41の外側に配置されており、高さ方向Z1から見たときに、溝形形状に形成されている。図3及び図5に示すように、外枠部43は、ハウジング33の一端面33a寄りに配置されており、周壁41の一部は、外枠部43に対して高さ方向Z1の一方Z11側に突出している。
外枠部43は、第1部分71と、第2部分72と、第3部分73と、を含んでいる。第1部分71及び第2部分72は、幅方向X1に離隔して配置されており、第3部分73は、これら第1部分71と第2部分72とを接続している。
第1部分71は、第3側壁47に隣接して配置されており、高さ方向Z1に沿って延びる板状に形成されている。第2部分72は、第4側壁48に隣接して配置されており、高さ方向Z1に沿って延びる板状に形成されている。第3部分73は、第2側壁46に隣接して配置されており、第2側壁46と平行に延びている。
外枠部43の第1部分71及び第2部分72には、それぞれ、保護壁71a,72aが設けられている。保護壁71a,72aは、ロック機構34に電線3a等の異物が侵入することを抑制するために設けられている。保護壁71a,72aの間に、ロック機構34の一部が配置されている。
図2に示すように、ロック機構34は、コネクタ30と相手側コネクタ10とが接続されている状態において、コネクタ30が相手側コネクタ10から高さ方向Z1の他方Z12側へ抜けることを抑制するために設けられている。図6は、図2のロック機構34の周辺の拡大図である。図6に示すように、本実施形態において、ロック機構34は、ハウジング33と単一の材料を用いて一体に形成されている。ロック機構34は、第1支持部75と、ロック本体76と、係合片77と、操作部78と、を備えている。
第1支持部75は、ハウジング33の周壁41の第1側壁45に一体に設けられている。第1支持部75は、ロック本体76と第1側壁45とを連結するために設けられている。第1支持部75は、第1側壁45の外側面45aから厚み方向Y1に沿って延びており、且つ、第1側壁45から離隔するように延びている。第1支持部75は、側面視において、厚み方向Y1の中央部がくびれた形状に形成されている。第1支持部75は、収容孔51の絞り部54と厚み方向Y1に並ぶ位置に配置されている。
再び図3及び図5を参照して、第1支持部75は、幅方向X1に離隔して複数設けられている。本実施形態において、第1支持部75は、幅方向X1に等間隔に4つ配置されている。幅方向X1において、各第1支持部75(75a,75b,75c,75d)は、ロック本体76の中央から離隔した位置に配置されている。
具体的には、第1支持部75aは、第3側壁47側の保護壁47aの近傍に配置されている。また、第1支持部75bは、幅方向X1において、ロック本体76の中央と、第1支持部75aとの間に配置されている。また、第1支持部75dは、第4側壁48側の保護壁48aの近傍に配置されている。また、第1支持部75cは、幅方向X1において、ロック本体76の中央と、第1支持部75dとの間に配置されている。第1支持部75a,75bと、第1支持部75d,75cとは、幅方向X1に対称に配置されている。
図7(a)は、ロック機構34の周辺の斜視図である。図7(b)は、ロック機構34の周辺の拡大図であり、ロック機構34を高さ方向Z1から見た状態を示している。図6及び図7(a)に示すように、ロック本体76は、第1支持部75に支持された、板状の部材である。ロック本体76は、矩形形状に形成されており、幅方向X1の長さが、高さ方向Z1の長さよりも長い。ロック本体76は、ハウジング33の外側において、第1側壁45に隣接して配置されている。高さ方向Z1におけるロック本体76の一端部76bは、ハウジング33の一端面33aの近傍に配置されている。また、高さ方向Z1におけるロック本体76の他端部76cは、コンタクト31の先端部38の近傍に配置されている。
ロック本体76のうち、第1側壁45側を向く内側面76dには、各第1支持部75が接続されている。これにより、ロック本体76は、第1支持部75に支持され、且つ第1支持部75を支点にして揺動することが可能とされている。ロック本体76の他端部76cに、係合片77が配置されている。
係合片77は、相手側ハウジング11の係合部22と係合するために設けられている。係合片部77は、ロック本体76の他端部76cにおいて、ロック本体76の内側面76dから第1側壁45側に突出している。係合片77は、幅方向X1に延びる細長い小片状の部分である。係合片77は、幅方向X1に複数(本実施形態において、5つ)設けられている。
図3に示すように、係合片77(77a,77b,77c,77d,77e)のうち、係合片77aと係合片77bとの間には、隙間部79aが形成されている。高さ方向Z1からハウジング33を見たとき、隙間部79aを通して、第1支持部75aが露呈している。また、係合片77bと係合片77cとの間には、隙間部79bが形成されている。高さ方向Z1からハウジング33を見たとき、隙間部79bを通して第1支持部75bが露呈している。また、係合片77cと係合片77dとの間には、隙間部79cが形成されている。高さ方向Z1からハウジング33を見たとき、隙間部79cを通して、第1支持部75cが露呈している。また、係合片77dと係合片77eとの間には、隙間部79dが形成されている。高さ方向Z1からハウジング33を見たとき、隙間部79dを通して第1支持部75dが露呈している。
図6及び図7(a)に示すように、第1支持部75に対して高さ方向Z1の他方Z12側に、操作部78が配置されている。操作部78は、例えば、作業者の指によって押圧操作される部分である。作業者が指で操作部78を押圧することにより、ロック本体76及び係合片77が、第1支持部75を支点にして揺動する。これにより、係合片77と、相手側コネクタ10の係合部22とが係合している状態から、当該係合を解除した状態に移行可能である。また、操作部78は、緩衝部材としても設けられており、操作部78に衝撃力が作用したときに、操作部78が弾性変形することで、当該衝撃力を吸収し、第1支持部75へ衝撃が伝わることを抑制する。
操作部78は、操作部本体81と、操作部本体81を支持するためにロック本体76に設けられた第2支持部82と、を含んでいる。
操作部本体81は、作業者の指が載せられる部分として設けられている。操作部本体81は、矩形の板状に形成されており、幅方向X1に細長く延びている。また、幅方向X1に関して、操作部本体81の中央は、ロック本体76の中央と同じ位置に配置されている。更に、操作部78は、幅方向X1に対称な形状に配置されている。このような構成により、作業者が指で操作部本体81を押圧したときに、指からの力は、幅方向X1の広い範囲に亘ってロック本体76に作用する。また、操作部本体81が細長い形状に形成されていることにより、操作部本体81の可撓性が高くされており、衝撃力が作用したときに、高い衝撃吸収効果を発揮することができる。
操作部本体81は、ロック本体76の一端部76bの近傍に配置されている。また、操作部本体81は、ロック本体76の外側面76eと向かい合っており、操作部本体81の内側面81bと、ロック本体76の外側面76eとの間に、空間83が形成されている。
図6及び図7(b)に示すように、空間83は、操作部本体81が撓むための空間として設けられている。空間83は、操作部本体81とロック本体76との間において、幅方向X1(ハウジング33の長手方向)の少なくとも一部の領域(本実施形態において、全域)に亘って形成されている。本実施形態では、操作部本体81の内側面81b(平坦面)と、ロック本体76の外側面76e(平坦面)との間には、幅方向X1及び高さ方向Z1の何れの位置においても、部材が配置されていない。これにより、操作部本体81は、ロック本体76側を向く押圧力を受けて撓んだときに、ロック本体76の外側面76e以外の部材に接触することを抑制されている。
操作部本体81を支持する第2支持部82は、操作部本体81の弾性変形を許容しつつ、操作部本体81をロック本体76に連結するために設けられている。図7(a)及び図7(b)に示すように、第2支持部82は、操作部本体81を幅方向X1に挟むように配置された垂直壁84,85と、操作部本体81に対して高さ方向Z1の他方Z12側に配置された傾斜部86と、を含んでいる。
垂直壁84,85は、それぞれ、ロック本体76の外側面76eから垂直に延びる板状の部分として設けられている。垂直壁84,85は、それぞれ、側面視において台形形状に形成されている。また、垂直壁84,85は、外側面76eから遠ざかるに従い、高さ方向Z1の一方Z11側の端部が、高さ方向Z1の他方Z12側の端部に近づく形状とされている。即ち、垂直壁84,85は、それぞれ、外側面76eから遠ざかるに従い、高さ方向Z1の長さが短くなっている。垂直壁84,85の先端部84a,85aは、操作部本体81の両端部81c,81dに接続されている。このように、操作部本体81は、垂直壁84,85によって、両端支持されている。
傾斜部86は、ロック本体76の外側面76eから延設され、当該外側面76eに対して傾斜したテーパ状の板状部分として設けられている。本実施形態において、ロック本体76の外側面76eに対する、傾斜部86の傾斜角度は、45度未満とされており、例えば、数十度程度である。
傾斜部86には、1又は複数の貫通孔87が形成されている。本実施形態において、貫通孔87は、幅方向X1に並んで2箇所に形成されている。貫通孔87は、例えば、幅方向X1に細長い矩形状に形成されている。貫通孔87,87は、幅方向X1に対称に配置されている。貫通孔87,87は、幅方向X1に関する空間83の少なくとも一部を、高さ方向Z1の一方Z11側(相手側コネクタ10側)に開放している。
傾斜部86は、貫通孔87,87間に配置された架橋部88を含んでいる。架橋部88は、空間83内に作業者の爪等が侵入することを抑制するために設けられている。架橋部88は、幅方向X1に関する傾斜部86の中央部を構成しており、操作部本体81とロック本体76とを一体に繋いでいる。
架橋部88は、操作部本体81から、高さ方向Z1の一方Z11側へ延びている。また、架橋部88は、操作部本体81から遠ざかるに従い、ロック本体76からの高さが低くなっている。幅方向X1に関して、架橋部88の長さは、貫通孔87の長さよりも短い。
また、幅方向X1に関する傾斜部86の一端部86aは、操作部本体81の一端部81c及び垂直壁84に接続されている。同様に、幅方向X1に関する傾斜部86の他端部86bは、操作部本体81の他端部81d及び垂直壁85に接続されている。
上記の構成を有する傾斜部86によって、空間83の一部が、高さ方向Z1の一方Z11側から覆われている。一方、操作部本体81に対して高さ方向Z1の他方Z12側には、空間83を遮る部材が配置されていない。これにより、本実施形態では、空間83は、幅方向X1の全域に亘って、高さ方向Z1の他方Z12側に開放されている。即ち、本実施形態では、空間83は、幅方向X1の全域に亘って、高さ方向Z1のうち相手側コネクタ10を向く側とは反対側に開放されている。
次に、ロック機構34の動作について説明する。図8(a)に示すように、コネクタ30と相手側コネクタ10とを結合させる場合、コネクタ30と、相手側コネクタ10とを、高さ方向Z1に対向させる。そして、この状態から、コネクタ30を、高さ方向Z1の一方Z11に変位させることで、図8(b)に示すように、コネクタ30のハウジング33と、相手側コネクタ10の相手側ハウジング11とを嵌合させる。そしてハウジング33を、相手側ハウジング11に挿入する途中で、図8(c)に示すように、コネクタ30の係合片77は、相手側コネクタ10の係合部22に係合し、当該相手側コネクタ10の係合部22に乗り上げる。この際、ロック本体76は、係合部22から係合片77が受ける反力によって、第1支持部75回りに揺動する。
そして、コネクタ30を更に高さ方向Z1の一方11側へ変位させると、図2に示すように、コネクタ30の係合片77は、相手側コネクタ10の係合部22を乗り越える。これにより、コネクタ30の係合片77は、相手側コネクタ10の係合部22に対して高さ方向Z1の一方Z11側に位置する。これら係合部22と係合片77との係合により、コネクタ30は、相手側コネクタ10に対して、高さ方向Z1の他方Z12側へ抜けることが抑制される。
また、このとき、コネクタ30の外枠部43は、相手側ハウジング11の一端面11aに当接しており、相手側ハウジング11に受けられている。更に、コネクタ30のコンタクト31,32の先端部38,38は、それぞれ、相手側コネクタ10の対応するコンタクト27,28の一対の片部27a,27b;28a,28bと導通可能に接触している。
一方、図2に示す状態から、コネクタ30を相手側コネクタ10から引き抜く場合には、まず、図9(a)に示すように、作業者が、指F1で、操作部本体81を押圧する。これにより、操作部本体81は、ロック本体76側に向けて撓む。そして、図9(b)に示すように、操作部本体81の撓み量が所定値を超えることにより、操作部本体81からロック本体76に伝わる力が十分に大きくなると、ロック本体76は、第1支持部75を支点にして揺動する。これにより、ロック機構34の係合片77は、相手側コネクタ10の係合部22との係合を解除される。即ち、ロック機構34によるロックが解除され、コネクタ30を相手側コネクタ10から引き抜くことが可能となる。
一方、図9(c)に示すように、例えば、コネクタ30の使用時等に、異物S1がロック機構34の操作部本体81に接触する場合がある。この場合、操作部本体81は、異物S1からの衝撃を受けて弾性的に撓み、この衝撃を吸収する。これにより、異物S1からの衝撃が、ロック機構34の第1支持部75に伝わることが抑制される。
以上説明したように、コネクタ30によると、コネクタ30を相手側コネクタ10から取り外す際、作業員は、操作部78の操作部本体81を指F1で押圧することにより、ロック本体76を揺動させる。これにより、係合部22と係合片77とのロックを解除し、コネクタ30を相手側コネクタ10から引き抜くことができる。このロック機構34に関して、操作部本体81とロック本体76との間には、ハウジング33の幅方向X1の少なくとも一部の領域に亘って、操作部本体81が撓むための空間83が形成されている。これにより、操作部本体81は、高い可撓性を有しており、衝撃を吸収する緩衝部材として機能することができる。このため、何らかの拍子に操作部本体81に衝撃が加わった場合、この衝撃は、操作部78の操作部本体81が撓むことで吸収される。したがって、第1支持部75に伝わる衝撃を少なくでき、衝撃によって第1支持部75が折れることを抑制できる。このように、操作部78に衝撃吸収機能を持たせているので、ロック機構34の第1支持部75の破損を抑制するための梱包材等を別途用意する必要が無い。このため、梱包費用等、コネクタ30に関する費用を低減できる。更に、衝撃に耐えることができるように、第1支持部75を大型化する必要がないので、第1支持部75を小型にすることができ、その結果、コネクタ30を小型にすることができる。また、例えば、作業員の指F1又は異物S1が誤って操作部78に触れた場合でも、指F1又は異物S1からの力が小さければ、この力は、操作部本体81の撓みによって吸収される。よって、例えば、コネクタ30と相手側コネクタ10とが接続され、且つ、被覆電線3に引張力が作用している状態において、誤ってロック本体76が揺動されることを抑制でき、これにより、意図せずにロック機構34と相手側コネクタ10とのロックが解除されることを抑制できる。
したがって、コネクタ30によると、ロック機構34の破損を抑制することができ、製造コストが安価であり、小型であり、且つ、意図しないロック外れを抑制することができる。
また、コネクタ30によると、第1支持部75等を硬くすることにより第1支持部75の耐衝撃性能を向上する構成ではない。このため、操作部78を押圧してロック本体76を揺動させるのに必要な力が大きくならずに済み、操作性に優れたロック機構34を実現できる。
また、コネクタ30によると、操作部78の形状の工夫によって可撓性を確保している。このため、耐衝撃性または靱性の低い材料であっても、ハウジング33を構成する材料として用いることができる。
また、コネクタ30によると、ロック機構34の空間83は、幅方向X1の少なくとも一部の領域(本実施形態において、全域)に亘って、高さ方向Z1のうち相手側コネクタ10側を向く方向とは反対の他方Z12側に開放されている。これにより、操作部本体81の可撓性を、より高くすることができる。その結果、意図してロック本体76を揺動させる際には、操作部本体81を軽い力で弾性変形させ、例えば、ロック本体76に操作部本体81を接触させた状態で、ロック本体76を揺動操作することができる。一方、ロック本体76を揺動させる必要が無い場合において、操作部78に異物S1が接触したときには、操作部本体81が撓むことにより、異物S1からの力を吸収できる。これにより、ロック本体76が不要な揺動を生じることを抑制できる。
また、コネクタ30によると、第2支持部82の貫通孔87,87は、幅方向X1に関する空間83の少なくとも一部を、高さ方向Z1のうち相手側コネクタ10側を向く一方Z11側に開放している。これにより、操作部本体81の可撓性を、より高くすることができる。
また、コネクタ30によると、ロック機構34の架橋部88は、空間83の一部を塞ぐように配置されている。これにより、操作部本体81を操作する作業員の指F1の爪等が、空間83内に誤って入ってしまうことを抑制できる。また、架橋部88によって、操作部本体81の支持剛性を適度に高くできる。
また、コネクタ30によると、ロック本体76のうち、操作部本体81を介して作業員の指F1等から入力される外力が最も大きい傾向にある中央に対して、幅方向X1に離隔した位置に、第1支持部75が配置されている。このような配置により、ロック本体76に作用した荷重は、ロック本体76の撓みによってある程度吸収され、第1支持部75に伝わる。したがって、第1支持部75に過大な荷重が入力されることを抑制でき、第1支持部75の破損をより確実に抑制することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したけれども、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。例えば、次のように変更して実施してもよい。尚、以下では、主に、上述した実施形態と異なる点について説明し、同様の構成には図に同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
(1)前述の実施形態では、傾斜部86に架橋部88を設ける構成を説明したけれども、これに限定されない。例えば、図10(a)の斜視図及び図10(b)の側面図に示すように、架橋部88が設けられていなくてもよい。この場合、貫通孔87Aは、幅方向X1における傾斜部86の半分以上の領域に形成される。この場合、操作部本体81の可撓性を、より高くすることができる。操作部本体81の可撓性が高いことにより、第1連結部75を、幅方向X1に関してロック本体76の中央に配置することができる。
(2)また、前述の実施形態では、幅方向X1に関して、架橋部88の長さは、貫通孔87の長さよりも短い形態を例にとって説明したけれども、これに限定されない。例えば、図11(a)の斜視図及び図11(b)の側面図に示すように、幅方向X1に関して、架橋部88Bの長さを、貫通孔87Bの長さよりも長くしてもよい。この場合、架橋部88Bは、幅方向X1に関する傾斜部86Bの半分程度の領域に亘って形成されている。この場合、架橋部88は、高さ方向Z1の一方Z11側から空間83を覆う量を大きくすることができる。これにより、作業員の指等の異物が空間83内に侵入することを、より確実に抑制できる。
(3)また、前述の実施形態では、第2支持部82の垂直壁84,85が、幅方向X1に関する空間83の両端を塞ぐ形態を例にとって説明したけれども、これに限定されない。例えば、操作部78に代えて、図12(a)の斜視図、図12(b)の側面図、及び図12(c)の断面図に示す操作部78Cを設けてもよい。操作部78Cは、操作部本体81と、傾斜部86Cと、一対の側壁91,92と、を含んでいる。
傾斜部86Cは、貫通孔が形成されていない矩形の板状に形成されている。側壁91,92は、それぞれ、空間83内に電線等が侵入することを抑制するための保護壁として設けられている。側壁91,92は、それぞれ、幅方向X1から見て台形形状に形成されており、高さ方向Z1の一方Z11側の端部は、ロック本体76から遠ざかるに従い、高さ方向Z1の他方Z12側に進むように傾斜している。
ロック本体76からの各側壁91,92の高さは、ロック本体76からの操作部本体81の外側面81eの高さよりも低い。側壁91は、空間83を、幅方向X1の一方側から覆っている。側壁92は、空間83を、幅方向X1の他方側から覆っている。
この場合、傾斜部86Cによって、作業員の爪等が空間83内に侵入することを抑制しつつ、操作部本体81及び傾斜部86Cの可撓性を高くすることができる。更に、側壁91,92によって、空間83内に被覆電線3等が侵入することを抑制できるので、操作部本体81とロック本体76との間で被覆電線3等の異物が挟まって操作部本体81の弾性変形が妨げられることを抑制できる。したがって、操作部本体81の有する衝撃吸収効果を、確実に維持することができる。尚、図12に示す傾斜部86Cに、貫通孔を設けてもよい。
(4)前述の実施形態では、相手側コネクタが回路基板の実装面上に配置される、表面実装(SMT、Surface Mount Technology)タイプの電気コネクタの形態を例に説明したけれども、これに限定されない。相手側コネクタは、回路基板のスルーホールにはめ込まれるDIP(Dual Inline Package)コネクタ等の、挿入実装タイプの電気コネクタであってもよい。
(5)前述の実施形態では、操作部本体とロック本体との間の空間が、幅方向の全域に亘って、高さ方向Z1の他方Z12側に開放されている形態を例にとって説明したけれども、これに限定されない。例えば、操作部本体とロック本体との間の空間は、幅方向の一部の領域に亘って、高さ方向Z1の他方Z12側に開放されていてもよい。また、操作部本体とロック本体との間の空間は、幅方向の全域において、上記他方Z12側を塞がれていてもよい。
(6)前述の実施形態では、電気的接続装置が回路基板と電線とを電気的に接続するボード・トゥ・ワイヤタイプの接続装置である形態を例に説明したけれども、これに限定されない。本発明は、電線と電線を電気的に接続するワイヤー・トゥ・ワイヤータイプの電気的接続装置に適用することもできる。
(7)また、ロック機構付き電気コネクタのハウジング、コンタクト、及びロック機構のそれぞれの形状については、前述の実施形態で例示した形状に限らず、種々変更して実施してもよい。
図7(a)に示すコネクタ30と同じ形状のロック機構付き電気コネクタについて、コンピュータを用いたシミュレーション(模擬実験)を行い、操作部本体の変位量と、ロック機構の各部の変位量との関係を調べた。結果を図13に示す。
図13(c)は、ロック機構の係合片が、相手側電気コネクタの係合部に対して係合を解除するのに必要な最小量だけ、ハウジングに対して持ち上がる方向に変位したときの、ロック機構の各部の変位量を示す斜視図である。即ち、図13(c)は、ロック本体の係合片が最も持ち上がった状態を示している。図13(b)は、図13(c)の状態において操作部本体に作用する荷重の2/3の荷重が、操作部本体に作用しているときの、ロック機構の各部の変位量を示す斜視図である。図13(a)は、図13(c)の状態において操作部本体に作用する荷重の1/3の荷重が、操作部本体に作用しているときの、ロック機構の各部の変位量を示す斜視図である。
尚、図13(a)、図13(b)及び図13(c)のそれぞれにおいて、ロック機構の各部の変位量は、操作部本体に荷重が作用していない状態のときの変位量をゼロとし、ハウジングから遠ざかる方向への変位を正の値とし、ハウジングに近づく方向への変位を負の値としている。また、幅方向におけるロック機構の長さは、約20mmであり、高さ方向におけるロック機構の長さは、約6mmであり、厚み方向におけるロック機構の長さは、約3mmである。このロック機構は、コンタクトを厚み方向に2列、幅方向に15列配置した、30極の電気コネクタに用いられる。
図13(a)、図13(b)、及び図13(c)の順に、操作部本体に作用する荷重及び操作部本体の変位量が大きくなっており、これに伴い、係合片の変位量が大きくなっている。より具体的には、図13(a)に示すように、操作部本体のうち、幅方向の中央周辺の領域1での変位量が約−0.54mmのとき、ロック本体の一端部周辺の領域2での変位量は、約−0.19mmであり、ロック本体の他端部周辺の領域3の変位量は、約0.16mmである。
また、図13(b)に示すように、操作部本体のうち、幅方向の中央周辺の領域1での変位量が約−1.05mmのとき、ロック本体の一端部の周辺の領域2での変位量は、約−0.35mmであり、ロック本体の他端部の周辺の領域3での変位量は、約0.34mmである。
また、図13(c)に示すように、操作部本体のうち、幅方向の中央周辺の領域1での変位量が約−1.27mmのとき、ロック本体の一端部の周辺の領域2での変位量は、約−0.37mmであり、ロック本体の他端部の周辺の領域3での変位量は、約0.52mmである。
このように、領域1での変位量は、領域2での変位量の概ね3倍である。また、係合片を十分に持ち上げたときにおいて、領域3での係合片の変位量(0.52mm)の絶対値に対して、領域1での操作部本体の変位量(−1.27mm)の絶対値は、2倍以上の値である。したがって、係合片を持ち上げてロック解除を行う際の操作部本体の変位量は、十分に大きい。以上より、操作部本体の可撓性が十分に高く、操作部本体に衝撃が作用したときの操作部本体の衝撃吸収性能が高いことが実証された。また、操作部本体に、意図せず指又は異物が接触した場合でも、少々の力では、係合片は変位せず、意図しないロック解除を確実に抑制できることが実証された。