JP2013066642A - ボタン型体外固定具及びそれを備えた瘻孔カテーテル - Google Patents
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Abstract
【課題】体外固定具と体表との間に湿潤環境を形成せず、また瘻孔周辺の拭き取り作業性の向上を図りつつ、自己抜去の抑制をも図るようにしたボタン型体外固定具を提供する。
【解決手段】体外固定具Aは、先端側に頂部12を有する略半球形状に構成された本体部10と、本体部10の頂部12よりも先端側に突出するように本体部10に取り付けられた少なくとも3本の支持部20と、を備え、瘻孔カテーテルを瘻孔に取り付けたとき、支持部20によって本体部10と体表との間に空間を形成する。
【選択図】図1
【解決手段】体外固定具Aは、先端側に頂部12を有する略半球形状に構成された本体部10と、本体部10の頂部12よりも先端側に突出するように本体部10に取り付けられた少なくとも3本の支持部20と、を備え、瘻孔カテーテルを瘻孔に取り付けたとき、支持部20によって本体部10と体表との間に空間を形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、患者の消化管内に流動食や栄養剤等の流体物を供給するための瘻孔カテーテルに使用されるボタン型体外固定具及びそれを備えた瘻孔カテーテルに関する。
従来、高齢や疾病により自力で口から食べ物を摂取する機能が低下した人(以下、患者と記す。)に対して、瘻孔カテーテルを用いて流動食や栄養剤等を供給する経腸栄養投与が行われている。たとえば、経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG;Percutaneous Endoscopic Gastrostomy)を用いる場合においては、患者の腹壁と内臓壁(胃壁)とを貫通する貫通孔(たとえば胃瘻などの瘻孔)を造設し、この貫通孔に瘻孔カテーテルを装着し、瘻孔カテーテルを通じて患者に流動食等を供給する。
このような経腸栄養投与に用いられる瘻孔カテーテルは、一般的に、患者の腹部に設けられた摂取用の瘻孔における消化管壁の内部側に設置される体内固定具と、先端部が体内固定具に連結され、基端部が瘻孔を通って患者の体外に延びるカテーテル部と、カテーテル部の基端側に連結され、消化管壁及び腹壁を体内固定具との間に保持する体外固定具と、を備えている。体外固定具は、いわゆるチューブ型とボタン型に大別される。たとえば、ボタン型では、体表側にほとんど露出しない長さに形成されたカテーテル部の基端に、体外固定具が取り付けられる。また、チューブ型では、体表側に所定長さが突出するように形成されたカテーテル部の体表近傍に位置する部分に脱着可能に取り付けられる。
瘻孔カテーテルの問題点として、瘻孔から漏れ出た消化液や栄養剤によって瘻孔周辺の皮膚にびらん等のスキントラブルが生じるということがある。びらんは、体外固定具の下面と患者の皮膚との間が湿潤環境になったままであると難治性に発展してしまう可能性がある。つまり、瘻孔カテーテルには、体外固定具と皮膚との間に湿潤環境を形成しないということ、瘻孔から漏れた消化液や栄養剤を拭き取りやすいということが望まれる。また、患者によっては体外固定具を持って瘻孔カテーテルを自己抜去してしまうという問題点もある。この問題点は、患者が掴みやすい形状に体外固定具が構成されているということに起因している。このような問題点を解決するための体外固定具に関する技術が種々提案されている。
そのようなものとして、カテーテルの出口部位に極力小さな圧力を与えながら、カテーテルを適所に確実に保持することを目的とした体外固定具が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この体外固定具は、カテーテルが出口部位の周囲で動くことに応じて揺動し、カテーテルの運動により皮膚に加えられる圧力を緩和するようにしている。そして、カテーテルに加えられる横方向の圧力が解放されると、体外固定具は元の位置へ復帰する。
また、外皮への換気不足による炎症の発生を低減することを目的とした体外固定具が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。この体外固定具は、先端がカールしたフィンガーを備え、このフィンガーにより体外固定具の下面に凹部を形成し、患者への外皮への空気循環を促進するようにしている。
特許文献1に記載されているような体外固定具は、いわゆるチューブ型として構成されているものである。しかしながら、このようなチューブ型の体外固定具は、カテーテル部が体外固定具を挿通しているものであり、カテーテル部を持って自己抜去することができてしまい、自己抜去に対する問題点を解決するためには更なる工夫を施す必要がある。また、このような体外固定具は、揺動することはできるものの、基本的には瘻孔の周縁部が体外固定具と常時接触しているため、体外固定具と皮膚との間に湿潤環境が形成されやすいものになっている。
さらに、このような体外固定具は、瘻孔から漏れ出た消化液や栄養剤を拭き取るためには、カテーテル管理者(術者や患者自身)の指の厚み及び拭き取り材(たとえば、布巾やティッシュペーパー等)の厚み分、カテーテル部を屈曲させなければならず、瘻孔周辺に過剰な力が加わってしまう。したがって、体外固定具により患者の皮膚に対して不要な刺激を与えることになり、スキントラブルの発生を助長することになってしまう。すなわち、特許文献1に記載されているような体外固定具は、患者による自己抜去の問題点、体外固定具と皮膚との間に湿潤環境が形成されるという問題点を解決することができないだけでなく、瘻孔から漏れ出た消化液や栄養剤の拭き取り作業によってスキントラブルの発生を助長してしまうものであった。
特許文献2に記載されているような体外固定具は、体外固定具の下面に凹部を形成し、患者への外皮への空気循環を促進するようにしているものである。しかしながら、このような体外固定具は、体外固定具と皮膚との間に湿潤環境を形成しないことはできるものの、瘻孔から漏れ出た消化液や栄養剤を拭きにくい。つまり、フィンガーを上方に持ち上げ、それから瘻孔周辺を拭かなければならず、拭き取り作業が煩わしいものとなっていた。また、このような体外固定具は、膨張用管腔に連通するポートがフィンガーの一部に形成されているため、このフィンガーを持って患者が自己抜去してしまう可能性を排除することができない。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、体外固定具と体表との間に湿潤環境を形成せず、また瘻孔周辺の拭き取り作業性の向上を図りつつ、自己抜去の抑制をも図るようにしたボタン型体外固定具及びそれを備えた瘻孔カテーテルを提供するものである。
本発明に係るボタン型体外固定具は、消化管壁及び腹壁を体内固定部との間に保持する瘻孔カテーテルのボタン型体外固定部において、先端側に頂部を有する略半球形状に構成された本体部と、本体部の頂部よりも先端側に突出するように本体部に取り付けられた少なくとも3本の支持部と、を備え、瘻孔カテーテルを瘻孔に取り付けたとき、支持部によって本体部と体表との間に空間を形成するものである。
本発明に係るボタン型体外固定具によれば、本体部を患者の掴みにくい略半球形状に構成しているので、自己抜去の発生を大きく低減できる。また、本発明に係るボタン型体外固定具によれば、支持部によって本体部を支持しているので、本体部と体表との間を湿潤環境にしてしまう可能性を低くでき、湿潤環境によるスキントラブルの発生又は助長を大きく低減することが可能になる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る体外固定具Aの概略構成を示す側面図である。図2は、図1に示す体外固定具Aをカテーテル部Bを軸として45度回転させた状態の側面図である。図3は、図1に示す体外固定具Aを斜め上から見た状態を示す斜視図である。図4は、図1に示す体外固定具Aの支持部20の1本が曲げられた状態を示す側面図である。図1〜図4に基づいて、体外固定具Aの構成について説明する。なお、各図においては、各部材の大小関係が実際の物とは異なる場合がある。また、図1〜図4には、体外固定具Aに接続されているカテーテル部Bの一部を併せて図示している。さらに、瘻孔カテーテル及び体内固定具については、図5で説明するものとする。
図1は、本発明の実施の形態に係る体外固定具Aの概略構成を示す側面図である。図2は、図1に示す体外固定具Aをカテーテル部Bを軸として45度回転させた状態の側面図である。図3は、図1に示す体外固定具Aを斜め上から見た状態を示す斜視図である。図4は、図1に示す体外固定具Aの支持部20の1本が曲げられた状態を示す側面図である。図1〜図4に基づいて、体外固定具Aの構成について説明する。なお、各図においては、各部材の大小関係が実際の物とは異なる場合がある。また、図1〜図4には、体外固定具Aに接続されているカテーテル部Bの一部を併せて図示している。さらに、瘻孔カテーテル及び体内固定具については、図5で説明するものとする。
本実施の形態に係る体外固定具Aは、患者の胃や腸等の消化管内に流動食や栄養剤等の流体物を供給するための瘻孔カテーテルに使用されるものである。この体外固定具Aは、体表側にほとんど露出しない長さに形成されたカテーテル部Bの基端に取り付けられるボタン型の体外固定具である。なお、以降の説明において、紙面上側に示す体外固定具A側を基端側、紙面下側に示す体内固定具側を先端側と称している。
体外固定具Aは、瘻孔カテーテルを瘻孔に取り付けたときに、胃壁等の消化管壁及び腹壁を、体内固定具との間に保持する機能を有する。また、体外固定具Aは、瘻孔カテーテルを瘻孔に取り付けたときに、胃壁等の消化管壁及び腹壁を、体内固定具との間に保持するだけでなく、体内に瘻孔カテーテルが引き込まれてしまうのを抑止する機能も有する。
この体外固定具Aは、カテーテル部Bの基端側外周と当接し、カテーテル部Bの基端側を固着支持する本体部10と、本体部10から外側に向かって突出するように設置された複数本の支持部20と、本体部10の上面を開閉自在に覆うキャップ部30と、を有している。
本体部10は、瘻孔カテーテルが瘻孔に留置されたとき、患者の体内に瘻孔カテーテルが引き込まれてしまうのを抑止する機能を有している。本体部10は、先端側に頂部12を有する略半球形状に構成されている。図3に示すように、本体部10の基端面は、円形状になっている。この円形状の直径を、瘻孔よりも大きくしている。こうすることで、本体部10は、瘻孔カテーテルが瘻孔に留置されたとき、患者の体内に瘻孔カテーテルが引き込まれてしまうのを抑止している。頂部12とは、本体部10の最も先端側に位置する部分を含めたその周辺部分をいう。
本体部10を略半球形状にすることで、患者が指を引っかけるところをなくすことができる。そのため、本体部10は、患者が掴みにくい形状となり、瘻孔カテーテルの自己抜去の可能性を更に低減できる。また、本体部10を略半球形状にすることで、患者の皮膚等の体表に接触したとしても患者の体表に対しての侵襲を低減できる。本体部10は、支持部20の作用により患者の体表に接触することは少ないが、本体部10の先端側(患者の体表との接触側)を略球面にすることで、患者の体表に対しての侵襲を大きく低減することが可能になる。
また、本体部10を軟質材料たとえばシリコーン樹脂やポリウレタン樹脂等で構成すれば、更に患者の体表に対しての侵襲低減に寄与することができる。さらに、本体部10は、その中心部に貫通孔11が貫通形成され、その貫通孔11にカテーテル部Bの基端部が挿入されてカテーテル部Bの基端側を固着支持している。ただし、カテーテル部Bを体外固定具Aから着脱自在な構成としてもよい。なお、体外固定具Aは、本体部10に貫通形成されている貫通孔11に逆止弁(図示省略)が設置され、逆流を防止できるようになっている。
支持部20は、瘻孔カテーテルが瘻孔に留置されたとき、本体部10を患者の体表に接触させない機能、つまり本体部10を支持する機能を有している。そのため、支持部20は、棒状に構成され、その先端部21が本体部10の頂部12よりも先端側に向けて突出するように構成されている。また、本体部10を支持するために、少なくとも3本の支持部20が、本体部10に接続されている。図1では、4本の支持部20が本体部10に接続されている場合を例に示している。ただし、支持部40の1本はカテーテル部Bの背面に隠れている。支持部20を設けたことによって、瘻孔カテーテルが瘻孔に留置されたとき、支持部20の先端部21が体表と接触するようになっており、本体部10を体表に接触させないようにできる。よって、患者の体表との接触面積を少なくすることができ、患者の体表への刺激を低減できる。なお、先端部21を先端側に突出するような曲面(たとえば、球面)にしておくと、患者の体表への刺激を更に低減できる。
また、支持部20を設けたことによって、瘻孔カテーテルが瘻孔に留置されたとき、本体部10と体表との間に空間が形成されることになる。よって、本体部10と体表との間の通気性が確保され、本体部10と体表との間が湿潤環境になってしまうことを効率的に抑制できる。したがって、本体部10と体表との間が湿潤環境になってしまうことによって発生又は助長するスキントラブルを低減することができる。なお、支持部20は、本体部10と体表との間に高さ1cm程度の空間が形成できる程度の長さを有していればよい。
さらに、支持部20は、外力を受けることで容易に変形するようにもなっている(図4参照)。そして、支持部20は、外力を取り除くことで元の形状に容易に戻るようになっている。支持部20は、カテーテル管理者が瘻孔から漏れ出た消化液や栄養剤の拭き取り作業を実行する際に要する力と同程度の外力を受けることで変形するようになっている。たとえば、軟質材料であるシリコーン樹脂やポリウレタン樹脂等で支持部20を構成し、支持部20の太さを調整することで変形可能にしておくとよい。また、支持部20の内部に、軸方向を長手方向とする中空部を設け、変形を容易にしてもよい。支持部20を容易に変更可能にしておけば、瘻孔から漏れ出た消化液や栄養剤が拭き取りやすくなり、拭き取り作業に要する手間を軽減できる。ただし、支持部20は、本体部10の支持機能を有しているので、本体部10を支持できる程度の強度は必要である。
このように、支持部20は、本体部10と体表との間を湿潤環境にしないだけでなく、容易に変形してカテーテル管理者の拭き取り作業を容易に実行できるようにしている。したがって、支持部20は、本体部10と体表との間が湿潤環境になってしまうことによるスキントラブルの発生又は助長を低減することを可能としつつ、容易に変形することで瘻孔周辺の拭き取り作業に要する手間を軽減でき、瘻孔から漏れ出た消化液や栄養剤等によるスキントラブルの発生又は助長を更に低減することを可能としている。
加えて、複数本の支持部20は、術者や患者等の人間の指が入らない程度の間隔、たとえば1.0cm〜2.0cmの範囲の間隔で配置されている。このような間隔で複数本の支持部20を配置することで、患者の指が支持部20の間を通りにくくなり、本体部10の先端側及び支持部20を掴みにくくすることができ、瘻孔カテーテルの自己抜去の可能性を更に低減できる。
なお、支持部20の太さや長さ、形状、本数、材質を例示したものに限定するものではなく、本体部10を支持しつつ容易に変形可能になっていればよい。また、支持部20を本体部10に着脱自在にしておいてもよい。複数本の支持部20の配置間隔は、等間隔である必要はない。支持部20と本体部10とを同材質で構成してもよい。この場合、支持部20の太さで変形のしやすさを調整するとよい。
キャップ部30は、本体部10に貫通形成されている貫通孔11を開閉自在に閉塞するものである。このキャップ部30は、可撓性を有し、本体部10の半球形状の球面の一部に設けられ、折り曲げられることで本体部10の貫通孔11を閉塞できるようになっている。また、キャップ部30には、本体部10の貫通孔11に嵌め込まれる凸部31が形成されている。つまり、キャップ部30に形成されている凸部31を本体部10の貫通孔11に嵌め込むことで、キャップ部30は貫通孔11を閉塞する。なお、キャップ部30を本体部10とは別個に設けておいてもよい。
以上のように、体外固定具Aによれば、本体部10を患者の掴みにくい略半球形状に構成しているので、自己抜去の発生を大きく低減できる。また、体外固定具Aによれば、本体部10を支持部20によって支持しているので、本体部10と体表との間を湿潤環境にしてしまう可能性を低くでき、湿潤環境によるスキントラブルの発生又は助長を大きく低減することが可能になる。さらに、体外固定具Aによれば、支持部20を容易に変形可能にしているので、瘻孔周辺の拭き取り作業に要する手間を軽減でき、瘻孔から漏れ出た消化液や栄養剤等によるスキントラブルの発生又は助長を更に低減することを可能にしている。
図5は、体外固定具Aを備えた瘻孔カテーテルを構成するカテーテル部及び体内固定具の構成例の一つを示す概略斜視図である。図5に基づいて、瘻孔カテーテルを構成するカテーテル部B及び体内固定具Cについて説明する。瘻孔カテーテルは、上述した体外固定具Aの他、カテーテル部Bと、カテーテル部Bの遠位側端部に連結された体内固定具Cと、を主要な部分として備えている。なお、以下の説明において、紙面上側に示すカテーテル部B側を近位側又は基端側と、紙面下側に示す体内固定具C側を遠位側又は先端側と、それぞれ称している。また、図5では、体外固定具Aの図示を省略している。
[カテーテル部B]
カテーテル部Bは、患者の体外と体内(たとえば、胃内等)とを連通し、患者の体外から体内に流動食や栄養剤等の流体物を供給する。このカテーテル部Bは、チューブ40を備えている。チューブ40は、例えばポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂材料で構成され、内部に栄養剤等の流体物を通過させるための内腔(ルーメン)を有している。また、チューブ40は、瘻孔カテーテルを患者の腹部に形成した瘻孔に留置した際に、瘻孔が閉塞してしまうことを防止する機能を有している。
カテーテル部Bは、患者の体外と体内(たとえば、胃内等)とを連通し、患者の体外から体内に流動食や栄養剤等の流体物を供給する。このカテーテル部Bは、チューブ40を備えている。チューブ40は、例えばポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂材料で構成され、内部に栄養剤等の流体物を通過させるための内腔(ルーメン)を有している。また、チューブ40は、瘻孔カテーテルを患者の腹部に形成した瘻孔に留置した際に、瘻孔が閉塞してしまうことを防止する機能を有している。
[体内固定具C]
体内固定具Cは、例えばポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂材料で構成され、瘻孔カテーテルが患者の瘻孔に留置されたときに胃壁等の消化管壁の内側に位置し、患者の消化管壁内面に固定され、瘻孔カテーテルが患者の体から抜けることを抑制する機能を有する。体内固定具Cは、軸方向に孔部が貫通形成され、カテーテル部Bの先端に連結された筒状の連結部44と、連結部44の遠位側端開口縁部に連接されたバンパー形成部45と、を有している。なお、ここでは、体内固定具Cがバンパー型である場合を例に示しているが、体内固定具Cをバルーン型としてもよい。
体内固定具Cは、例えばポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂材料で構成され、瘻孔カテーテルが患者の瘻孔に留置されたときに胃壁等の消化管壁の内側に位置し、患者の消化管壁内面に固定され、瘻孔カテーテルが患者の体から抜けることを抑制する機能を有する。体内固定具Cは、軸方向に孔部が貫通形成され、カテーテル部Bの先端に連結された筒状の連結部44と、連結部44の遠位側端開口縁部に連接されたバンパー形成部45と、を有している。なお、ここでは、体内固定具Cがバンパー型である場合を例に示しているが、体内固定具Cをバルーン型としてもよい。
連結部44は、カテーテル部Bのチューブ40の先端部における外周面を覆い、チューブ40の先端に固定されている。つまり、連結部44は、貫通形成されている孔部にチューブ40の先端部を挿入させ、チューブ40の先端部外周面を覆った状態でチューブ40の先端に固定されている。したがって、連結部44にチューブ40の先端部が挿入、固定された状態において、チューブ40の内腔と連結部44の孔部とが連通するようになっている。
バンパー形成部45は、連結部44の先端側における周縁部に連結され、体内固定具Cが体内に位置するときに変形して消化管壁に上面が接触する略ドーム状の体内接触部45aと、複数に分割され、体内接触部45aの一方の端部(連結部44側ではない方の端部)に連結され、先端側に向かって延びるように形成された帯状のベルト部45bと、各ベルト部45bの先端部を結合するベルト結合部45cと、で構成されている。
体内接触部45aは、チューブ40の内腔及び連結部44の孔部に連通するように、連結部44の先端側周縁部に連結されている。体内接触部45aは、連結部44とベルト部45bとを接続するベルト接続部45a1と、隣接するベルト接続部45a1の間に掛け渡された薄肉部45a2と、で構成されている。ベルト接続部45a1は、薄肉部45a2に比べて構成材料が厚肉化されている。薄肉部45a2は、より変形しやすいようにベルト接続部45a1に比べて薄肉化されている。
ベルト部45bは、体内接触部45aの円周方向に一定間隔で設けられている。つまり、ベルト部45bは、体内接触部45aのベルト接続部45a1から先端にむかって延設されて形成されている。隣接するベルト部45bの間は空隙となっており、チューブ40を介して流れてきた流体物が体内固定具Cの外部に流出可能になっている。また、ベルト部45bは、体内接触部45a(ベルト接続部45a1)の連結部分からそれぞれ遠位方向に延び、チューブ40の中心軸の延長線上に集まってベルト結合部45cを形成して固定されている。
ベルト結合部45cは、各ベルト部45bの先端部同士を連結させるとともに、各ベルト部45bの長さによって中心軸がチューブ40の中心軸と略同一となるように位置決めされている。このため、バンパー形成部45は、体内接触部45aとベルト部45bとで全体の形状がほぼ決定することになる。ここでは、伸展していないバンパー形成部45を側面視した状態は、軸方向に直交する方向に長い略楕円形状となっている。一方、伸展しているバンパー形成部45を側面視した状態は、軸方向に長い略楕円形状となっている(後述の図6(a)参照)。
体内接触部45a及びベルト部45bは、可撓性を有する軟質の弾性材料で構成されているため、体内固定具Cは、図5に示すような形状を維持しているが、ベルト結合部45cを下方(遠位方向)に向けて押し込むことにより真っ直ぐな細長い状態に伸展する。したがって、体内接触部45aは、ベルト部45bから連結部44に向かって延長されたベルト接続部45a1と、その間に掛け渡された薄肉部45a2と、で構成されているので、ベルト結合部45cを下方に向けて引っ張った際に、一定の形状に変形して、より細長い形状に萎み易くなっている。なお、ここでは、薄肉部45a2を設けている場合を例に示しているが、この薄肉部45a2は必須なものではない。
また、ベルト結合部45cの中央部には穴部46が形成されている。この穴部46には、後述の図6に示す伸展具50の先端部(係合部51)が挿入され、係合されるようになっている。
なお、図5では、4つのベルト部45bを設けた状態を例に示しているが、ベルト部45bの個数を特に限定するものではない。また、図5では、バンパー形成部45が周方向に一定間隔を保って設けられている状態を例に示しているが、隣接するバンパー形成部45の間隔を特に限定するものではなく、流体物が外部に流出可能な程度に形成されていればよい。さらに、穴部46は、ベルト結合部45cを貫通していなくてもよい。
また、図5では、形状が比較的変化しにくい、弾性の大きな材料で構成しているような体内固定具Cを例に挙げて図示しているが、このようなものに限定するものではなく、カテーテル部Bを構成するチューブ40の先端側の形状を変形させて形成されるような体内固定部を採用してもよい。このような体内固定部を採用する場合、たとえばチューブ部材のような熱賦形後においても可撓性を有する材料を用い、予め体内固定部としての形状を熱賦形しておき、ほぼまっすぐに伸びた伸展状態を解除したとき、体内固定部としての形状に変形させるようにしておくとよい。
図6は、体外固定具Aを備えた瘻孔カテーテルの挿入/抜去動作を説明する図である。なお、瘻孔カテーテルの挿入/抜去動作を説明する前に、伸展具50について説明する。また、図6には、瘻孔カテーテルが挿入/抜去される患者の腹壁71、消化管壁72、及び、瘻孔73を併せて図示している。なお、図6では、伸展具50と穴部46との接続状態を分かりやすくするために瘻孔カテーテルの内部を透視した状態を示している。
[伸展具50]
伸展具50は、瘻孔カテーテルの体内固定具Cを伸展させ、この体内固定具Cを胃壁や腸壁等の消化管壁72内に挿入したり、消化管壁72内から抜去したりする際に用いるとともに、体内固定具Cの形状を修正することができる機能を有している。
伸展具50は、瘻孔カテーテルの体内固定具Cを伸展させ、この体内固定具Cを胃壁や腸壁等の消化管壁72内に挿入したり、消化管壁72内から抜去したりする際に用いるとともに、体内固定具Cの形状を修正することができる機能を有している。
伸展具50は、先端側に設けられた合成樹脂や金属等で構成された係合部51と、係合部51とは反対側の端部に設けられた合成樹脂や金属で構成された操作部52と、操作部52と係合部51との間に設けられたステンレス等で棒状に構成された軸部53と、を有している。係合部51及び軸部53は、カテーテル部Bのチューブ40の内腔に挿入可能に構成されている。なお、操作部52の形状を特に限定するものではないが、図1に示すように術者が指をかけることができるような形状とすることが好ましい。
係合部51は、穴部46に係合可能に装着されるように構成されている。係合部51の外径は、体内固定具Cに形成されている穴部46の径よりも大きく構成されている。したがって、チューブ40の内腔に伸展具50を遠位方向に向けて挿入していくと、係合部51は穴部46内に入って係合される。このため、さらに伸展具50を瘻孔カテーテル内に押し込んでいくと、体内固定具Cは、細長く伸びていくことになる。伸展具50を押し込むことで、バンパー形成部45が変形し、図6(a)に示すような伸展状態となり、瘻孔73への挿入/抜去が可能となる。
[瘻孔カテーテルの瘻孔73への挿入動作]
伸展具50により伸展された状態の瘻孔カテーテルを、腹壁71と消化管壁72とに形成された瘻孔73に挿入する。瘻孔カテーテルの径は、最大でも伸展状態の体内固定具Cの径と同じであり、瘻孔73を通過する際の抵抗が低い。このため、瘻孔73を傷つけるリスクが少ない。
伸展具50により伸展された状態の瘻孔カテーテルを、腹壁71と消化管壁72とに形成された瘻孔73に挿入する。瘻孔カテーテルの径は、最大でも伸展状態の体内固定具Cの径と同じであり、瘻孔73を通過する際の抵抗が低い。このため、瘻孔73を傷つけるリスクが少ない。
そして、適度な挿入深度となったところで、カテーテル部Bが抜けないように腹壁71側に押さえつつ、術者が伸展具50に加えている力を取り除く。伸展具50に加えている力を解除することで、係合部51と穴部46との係合状態が解除され、伸展具50がチューブ40内から引き抜かれる。伸展具50が引き抜かれて伸展状態が解除されると、瘻孔カテーテルは、体内固定具Cが形成された状態になる。伸展具50を引き抜くだけで、伸展状態の瘻孔カテーテルを体内固定具Cが形成された状態にすることができ、手技が簡便である。
瘻孔73に留置された瘻孔カテーテルのカテーテル部Bの近位端には体外固定具Aが接続された状態である。図6(b)に示すように、体内固定具Cが形成された状態となり消化管壁内に留置された瘻孔カテーテルは、体内接触部45aの上面(近位側の面)が消化管壁72に接触する。体内接触部45aは、略ドーム状に構成されるので、消化管壁72に対する当たりがやわらかく、消化管壁72に対する侵襲が少ない。なお、留置状態の瘻孔カテーテルを瘻孔73から抜去する際には、挿入時と同様の手技により瘻孔カテーテルの体内固定具Cを伸展させた状態にして引き抜けばよい。
ここでは、伸展具50が引き抜かれて伸展状態が解除されると体内固定具Cが形成された状態になる場合を例に説明したが、これに限定するものではない。すなわち、伸展具50は、弾性が小さい又は弾性がないような材料を変形させて体内固定部を形成する場合にも用いることができる。この場合、伸展具50が、係合部51と穴部46とが係合された状態で引かれていくときに体内固定部が所定の形状に形成されていくことになる。なお、係合部51と穴部46とは、螺合又は嵌合等によって係合すればよい。
以上のように、瘻孔カテーテルによれば、体外固定具Aを備えているので、自己抜去の発生を大きく低減できる。また、瘻孔カテーテルによれば、本体部10と体表との間が湿潤環境になってしまうことによるスキントラブルの発生又は助長を大きく低減することが可能になる。さらに、瘻孔カテーテルによれば、瘻孔から漏れ出た消化液や栄養剤等によるスキントラブルの発生又は助長を更に低減することを可能にしている。
10 本体部、11 貫通孔、12 頂部、20 支持部、21 先端部、30 キャップ部、31 凸部、40 チューブ、44 連結部、45 バンパー形成部、45a 体内接触部、45a1 ベルト接続部、45a2 薄肉部、45b ベルト部、45c ベルト結合部、46 穴部、50 伸展具、51 係合部、52 操作部、53 軸部、71 腹壁、72 消化管壁、73 瘻孔、A 体外固定具、B カテーテル部、C 体内固定具。
Claims (3)
- 消化管壁及び腹壁を体内固定部との間に保持する瘻孔カテーテルのボタン型体外固定具において、
先端側に頂部を有する略半球形状に構成された本体部と、
前記本体部の前記頂部よりも先端側に突出するように前記本体部に取り付けられた少なくとも3本の支持部と、
を備え、
前記瘻孔カテーテルを瘻孔に取り付けたとき、前記支持部によって前記本体部と体表との間に空間を形成する
ことを特徴とするボタン型体外固定具。 - 前記支持部は、
軟質材料によって棒状に構成され、外力により変形可能となっている
ことを特徴とする請求項1に記載のボタン型体外固定具。 - 請求項1又は2に記載のボタン型体外固定具と、
前記ボタン型体外固定具に接続されるカテーテル部と、
前記カテーテル部の先端側に設置され、消化管壁内に留置される体内固定具と、
を備えた
ことを特徴とする瘻孔カテーテル。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112043930A (zh) * | 2020-09-08 | 2020-12-08 | 四川大学华西医院 | 一种用于气管造瘘口的导管 |
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