JP2013021926A - 酸味・酸臭抑制剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】異味・異臭を付与することなく、効果的に酸味・酸臭を抑制できる酸味および/または酸臭抑制剤を提供する。
【解決手段】4,7−トリデカジエナールおよび/または2,4,7−トリデカトリエナールからなる酸味および/または酸臭抑制剤を、酸味および/または酸臭を有する飲食品に含有させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、酸味・酸臭に特有な刺激感や不快感等を抑制する効果を有する酸味・酸臭抑制剤およびこれを含有する飲食品に関し、さらに詳しくは、4,7−トリデカジエナールおよび/または2,4,7−トリデカトリエナールからなる不飽和アルデヒド類を成分とする酸味・酸臭抑制剤およびこれを含有する酸味・酸臭抑制剤組成物と飲食品、ならびに当該酸味・酸臭抑制剤を、酸味や酸臭を有する飲食品に添加することによる酸味・酸臭抑制方法に関する。
酸味は、飲食品において、甘味、塩味、苦味、旨味とともに五原味の1つであり、呈味全体を構成するために極めて重要な要素である。一方、酸味を有する食品は、リンゴやオレンジなどの果実や果汁などのように、さわやかな呈味を有する場合もあるが、レモン、ライム、ヨーグルトなど、酸による刺激の強い食品もある。また、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等が含有される果汁や果汁配合飲料は、強烈な酸味を有することもあり、好ましい酸味へと緩和することが望まれる。さらに、食酢、ドレッシング、マヨネーズ、黒酢ドリンクなどの酢酸を含有する飲食品は、その酸味および香りが特徴となるが、酢酸に起因する独特の刺激的な酸味や酸臭を有することも多く、必ずしも万人に好まれるものではなく、その刺激を嫌う人も少なくない。さらにまた、酸味料の添加により酸味を有する飲食品も多い。酸味料は、飲食品に酸味を付与する目的や、酸の強さ(酸度)を調整する目的で用いる食品添加物である。その他の目的として飲食品の保存、酸化防止、pH調整剤としての役割で使用される。この際の酸味は、全く不要なものである。
このように、酸味および酸臭は飲食品には必要なものではあるが、必ずしも望まれる呈味および香気に調整されているわけではない。したがって、その刺激的酸味や酸臭がマイルドになれば、より嗜好性が増し、高級感に富んだ商品になるものと考えられる。
そこで、酸味や酸臭の刺激を緩和する従来技術として、例えば、食酢に脂肪酸エチルエステルを含有させて刺激臭及び酸味を低減し、香味の良好な食酢を提供する食酢の製造法(特許文献1)、食酢に、穀物または乳タンパク等の食品原料を発酵させた物質を混合させて酸味を低減させた食品用加工酢(特許文献2)、酸味を呈する製品に、高甘味度甘味剤を甘味の閾値以下の量で用いる酸味のマスキング方法(特許文献3)、酸味を呈する製品に、スクラロースを添加することを特徴とする酸味のマスキング方法(特許文献4)、食用有機酸及び3−ヒドロキシ−4,5−ジメチル−2(5H)−フラノンを含有する、まろやかな酸味を有する酸含有調味料(特許文献5)、柑橘果汁と醤油とを含有する酸性調味料に、昆布のだし汁あるいはエキスを添加して、酸性調味料の不快臭と酸味を抑制し、香味をマイルド化する方法(特許文献6)、酢酸、酢酸ナトリウム、アジピン酸の群から選ばれる1種又は2種以上を混合した有機酸類に、マルチトール及び/又はエリスリトールを組み合わせた粉末状の食品保存改良剤(特許文献7)、食品に5’−ウリジル酸ナトリウムおよび/または5’−シチジル酸ナトリウムを添加することによる、食品の酸味をマスキングする方法(特許文献8)、清涼飲料、野菜飲料、乳飲料にイヌリンを添加することにより、塩味、臭味、苦味、渋味、酸味などに由来する嫌味を軽減する方法(特許文献9)鰹節から抽出して得られる鰹節抽出物を有効成分として含有する酸味抑制剤(特許文献10)などが提案されている。
しかしながら、特許文献2、6、8、10に記載の技術において使用される旨味成分や、特許文献3、4、7に記載の技術において使用される甘味成分はそれ自体の呈味を増加させるため、これらの成分からなる酸味・酸臭抑制剤が添加された飲食品本来の呈味にも変化が生ずるという欠点がある。また、特許文献1、5に記載の技術において、酸味抑制剤として使用されている香気物質は特許文献1、5に記載されている濃度では飲食品本来のにおいを変えてしまう可能性がある。また、特許文献9に記載のような多糖類を飲食品に添加した場合、飲食品の粘度が増加し、飲食品の喉ごしやテクスチャーが変化してしまうおそれがある。
そこで、飲食品本来の呈味、におい、喉ごしやテクスチャーを変えることなく、酸味や酸臭を抑制する酸味および/または酸臭抑制剤、および、酸味および/または酸臭抑制剤を添加することにより酸味および/または酸臭が抑制された飲食品の開発が望まれていた。
一方、2,4,7−トリデカトリエナールは、調理したチキンのフレーバーから見いだされ(非特許文献1)、また、アラキドン酸の熱分解物(非特許文献2)やリン脂質の熱分解物(非特許文献3)などから見出される天然にも存在する、香気を有する揮発性化合物である。香料用途としては、鶏を想起させるフレーバーを付与する方法(特許文献11)、4−シスデセナールと2,4,7−トリデカトリエナールを併用することによる、鶏を想起させるフレーバーを付与する方法(特許文献12)、魚節香味改善剤としての香料用途(特許文献13)などが提案されている。
また、4,7−トリデカジエナールは天然物からはオリビ(Ourebia ourebi)の目の上の分泌線からの外分泌物の成分としての報告があり(非特許文献4)、香料用途としては、鶏を想起させるフレーバーを付与する方法(特許文献11)、香粧品香料としての使用(特許文献14)、魚節香味改善剤としての香料用途(特許文献13)が提案されている。
しかしながら、前記非特許文献1〜4および特許文献11〜14には、2,4,7−トリデカトリエナールまたは、4,7−トリデカジエナールを飲食品に極微量添加することにより、飲食品の酸味および/または酸臭を抑制できることについては記載も示唆もされていない。
特開平5−137561号公報 特開平7−203942号公報 特開平10−215793号公報 特開平10−243776号公報 特許第3431547号公報 特開2001−78700号公報 特開2003−144115号公報 特許第3962070号公報 特開2007−209268号公報 特開2008−278790号公報 特公昭41−7822号公報 特公昭54−12550号公報 特許第4676572号公報 特開昭61−65814号公報
Journal of American Oil Chemists’Society.51(8),356−9(1974) Frontiers of Flavour Science,[Proceedings of the Weurman Flavour Research Symposium], 9th, Freising, Germany, June 22―25,1999(2000) Journal of Agricultural and Food Chemistry(2004),52(3),581―586 Journal of Chemical Ecology(1995),21(8),1191−1215
本発明の目的は、飲食品に使用できる成分であって、飲食品に添加することによって何ら異味・異臭を生じることなく、飲食品の喉ごしやテクスチャーを保持しつつ、効果的に酸味や酸臭を抑制できる酸味および/または酸臭抑制剤を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を解決するため鋭意研究を行ってきた結果、酸の刺激的な味または酸の刺激臭を有する飲食品に極微量の2,4,7−トリデカトリエナールおよび/または4,7−トリデカジエナールを添加することにより、これらの飲食品に不必要な味質や香気を付与することなく、飲食品の喉ごしやテクスチャーを保持しつつ、酸味や酸臭を抑制できることを見いだし、本発明を完成するに至った。かくして本発明は以下のものを提供する。
(a)
下記式(1)
Figure 2013021926
[式中、・・・・は単結合または二重結合を示し、波線はシスまたはトランス配置の立体配置を示す]で表される不飽和アルデヒドからなる、飲食品の酸味および/または酸臭抑制剤。
(b)式(1)の不飽和アルデヒドが4,7−トリデカジエナールである(a)に記載の酸味および/または酸臭抑制剤。
(c)式(1)の不飽和アルデヒドが2,4,7−トリデカトリエナールである(a)に記載の酸味および/または酸臭抑制剤。
(d)(a)〜(c)のいずれかに記載の酸味および/または酸臭抑制剤を0.02ppb〜10ppm含有することを特徴とする、酸味および/または酸臭抑制剤組成物。
(e)(a)〜(c)のいずれかに記載の酸味および/または酸臭抑制剤を、酸味および/または酸臭を有する飲食品に0.02ppt〜10ppb含有させることを特徴とする、酸味および/または酸臭の抑制方法。
(f)(a)〜(c)のいずれかに記載の酸味および/または酸臭抑制剤を0.02ppt〜10ppb含有させたことを特徴とする、酸味および/または酸臭が抑制された飲食品。
本発明で使用される2,4,7−トリデカトリエナールおよび4,7−トリデカジエナールは天然物から見いだされた報告があり、また、チキン様フレーバーとしての用途が提案されているが、酸味および/または酸臭抑制作用を有することは未だ報告されたことはなく、ましてや、酸の刺激的な味および/または酸の刺激臭を有する飲食品に極微量添加することにより、酸味および/または酸臭を抑制するといった内容は全く記載も示唆もされたことがない。
本発明において、酸味抑制とは、酸味を有する飲食品を摂食した場合に、舌に感じる当該酸味が低減する(あるいは、当該酸味を低減させる)ことを意味する。
なお、前述したように、酸味は、5つの基本味(酸味、甘味、塩味、苦味、旨味)の1つであり、飲食品中に含まれる酸味物質(例えば、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸)が舌の味蕾細胞にある酸味受容体を刺激することによって感知される特有の味である。したがって、酸味を感じる場合は、あくまでも舌の味蕾細胞を介して得られる味だけが関係し、辛さや渋味、コクや香り、温度、色などさまざまな要因が影響し合って感じられる、総合的な「味覚」としての酸味とは区別される。
本発明において、酸味抑制の有無は、検査員(パネラー)が飲食品を摂食した際の味を実際に舌で吟味する官能試験によって評価されるほか、酸味をデジタル化(数値化)する味覚センサー等を使用する機器分析によっても評価することができる。
本発明において、2,4,7−トリデカトリエナールおよび4,7−トリデカジエナールが酸味を抑制する作用機序は詳しく解明されていないが、例えば、これらの物質が酸味受容体であるプロトンイオンチャネルの先端に結合することにより、酸味物質のチャネル通過を抑制すること、その他、酸味物質と反応して、舌の甘味受容体に結合し、その結果、甘味を先行して感じることにより酸味の刺激をマスキングすること、などが考えられる。
また、本発明において、酸臭抑制とは、酸臭を有する飲食品が呈する酸臭が低減する(あるいは、当該酸臭を低減させる)ことを意味する。なお、酸臭は、低級脂肪酸、有機酸、無機酸等が発する酸っぱい臭いである。
酸臭抑制の有無は、検査員(パネラー)が酸臭を実際に鼻で吟味する官能試験によって評価されるほか、酸臭をデジタル化(数値化)する匂いセンサーによっても評価することができる。
本発明において、2,4,7−トリデカトリエナールおよび4,7−トリデカジエナールが酸臭を抑制する作用機序は解明されていないが、例えば、これらの物質が酸臭に関与する匂いの受容体に結合して、その活性を抑制すること、その他、酸臭をマスキングすること、などが考えられる。
本発明の酸味および/または酸臭抑制剤、および当該抑制剤を含有する抑制剤組成物によれば、酸味や酸臭を有する飲食品に不必要な呈味や香気を付与することなく、飲食品の喉ごしやテクスチャーを保持しつつ、酸味や酸臭を低減することができる。なお、酸味や酸臭を有する飲食品には、本来的に酸味や酸臭を有する飲食品だけでなく、他の成分(酸味料など)を添加することにより、酸味や酸臭が付与された飲食品も含まれる。
本発明で使用される不飽和アルデヒドの1つである2,4,7−トリデカトリエナールとしては、4種類の幾何異性体((E,Z,Z)体、(E,E,Z)体、(E,Z,E)体、(E,E,E)体)が存在するが、酸味および酸臭抑制の効果の点では、前記非特許文献1〜3などにおいて天然から見いだされている(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナールが特に好ましい。
また、本発明で使用される4,7−トリデカジエナールとしては、4種類の幾何異性体((Z,Z)体、(E,Z)体、(Z,E)体、(E,E)体)が存在するが、酸味および酸臭抑制の効果の点では、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールが特に好ましい。
(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナールは、公知文献による方法で合成することができ、例えば、2−オクチン−1−オールを出発物質としてブロム化した後、(E)−2−ペンテン−4−イン−1−オールのグリニヤール誘導体と銅触媒を用いてカップリングし、リンドラー触媒を用いて部分的に水素添加した後、二酸化マンガンにより酸化して合成することができる(J.Agric.Food Chem.2001,49,2959−2965)。2,4,7−トリデカトリエナールの他の幾何異性体については、2,4,7−トリデカトリエナールの異性体混合物を物理的性質や化学的性質の差を利用して分離したり、適宜適当な触媒を用いて異性化の処理を行うなどにより得ることができ、また、本出願人が先に出願した、特願2011−042255に記載の方法にて合成することもできる。
また、本発明で使用される不飽和アルデヒドの1つである(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールも、公知文献による方法で合成することができ、例えば、非特許文献4に記載の以下の方法で合成することができる。一例としては、まず、2−オクチン−1−オールをリンドラー触媒により部分的に水素添加してブロム化しZ体の1−ブロモ−2−オクテンを得る。一方で、1−ブロモ−3−テトラヒドロピラニルオキシプロパンとアセチレン化ナトリウムをアンモニア存在下で反応させて5−テトラヒドロピラニルオキシプロパニル−1−ペンチンを得て、次いでグリニヤール誘導体とし、先に得られた1−ブロモ−2−オクテンと塩化銅存在下でカップリングして1−テトラヒドロピラニルオキシ−7−トリデセン−1−インとする。次いで、リンドラー触媒により部分的に水素添加した後、保護基であるテトラヒドロピラニル基を脱離し、生じた水酸基を酸化することで(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールを得ることができる。4,7−トリデカジエナールの他の幾何異性体については、4,7−トリデカジエナールの異性体混合物を物理的性質や化学的性質の差を利用して分離したり、適宜適当な触媒を用いて異性化の処理を行うなどにより得ることができ、また、本出願人が先に出願した、特願2011−042255に記載の方法にて合成することもできる。
本発明で使用される酸味および/または酸臭抑制剤の飲食品への添加量は、一般には、飲食品に含まれる上記抑制剤の濃度が0.02ppt〜10ppbとなる量である。より具体的には、2,4,7−トリデカトリエナールおよび4,7−トリデカジエナールの幾何異性体の種類、あるいは、飲食品の種類によっても異なるが、酸味および/または酸臭抑制剤が、(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナールおよび(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールであれば、酸味および/または酸臭を有する飲食品に対して、それらの合計量が、例えば0.02ppt〜10ppb、好ましくは0.1ppt〜500ppt、より好ましくは0.5ppt〜20pptの範囲内を例示することができる。
また、酸味および/または酸臭抑制剤が、その他の幾何異性体、すなわち(E,E,Z)−、(E,Z,E)−および(E,E,E)−2,4,7−トリデカトリエナール、ならびに、(E,Z)−、(Z,E)−および(E,E)−4,7−トリデカジエナールであれば、酸味および/または酸臭を有する飲食品に対して、それらの合計量が、例えば0.2ppt〜10ppb、好ましくは1ppt〜1ppb、より好ましくは5ppt〜100pptの範囲内を例示することができる。
以上の配合割合により、酸味および/または酸臭を有する飲食品は、酸味や酸臭の刺激感が緩和され、酸味や酸臭がマイルドに改善される。
飲食品に対する本発明の酸味および/または酸臭抑制剤の含有量が10ppbを上回る場合、飲食品にこれらのアルデヒドの香気が付与されてしまうおそれがあるため、これらの香気が不必要な飲食品の場合、添加量を10ppb未満に抑えることが好ましい。なお、これらのアルデヒドの香気が付与されても、問題のない飲食品、あるいは、これらのアルデヒドの香気が付与されることが好ましい影響を与える飲食品では、10ppbを超えて添加しても全く差し支えない。
また飲食品に対する本発明の酸味および/または酸臭抑制剤の含有量が0.02pptを下回る場合、酸味および/または酸臭抑制効果が十分に発揮されないおそれがある。なお、本発明の酸味および/または酸臭抑制剤が、(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナールおよび(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールのいずれも含まない幾何異性体のみで構成される場合は、本発明の酸味および/または酸臭抑制剤の含有量が0.2pptを下回ると、酸味および/または酸臭抑制効果が十分に発揮されないおそれがある。
本発明の酸味および/または酸臭抑制剤である不飽和アルデヒドはそのまま飲食品に添加して使用することができるが、これらの不飽和アルデヒドは油溶性であり、そのままでは水への分散性が悪く、また、飲食品に微量添加することは計量、希釈の観点から困難であるため、これらの不飽和アルデヒドを極微量配合して酸味および/または酸臭抑制剤組成物を得て、それを飲食品に配合する方法を採用することができる。
このような組成物としては、本発明の不飽和アルデヒドを水混和性有機溶媒に溶解した溶液、乳化製剤、粉末製剤などを例示することができる。
本発明の不飽和アルデヒドを溶解するための水混和性有機溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、2−メチルエチルケトン、2−プロパノール、メチルエチルケトン、グリセリン、プロピレングリコールなどを例示することができる。これらのうち、飲食品への使用の観点から、エタノールまたはグリセリンが特に好ましい。
また、乳化製剤とするためには、本発明の不飽和アルデヒドを乳化剤と共に乳化して得ることができる。本発明の不飽和アルデヒドの乳化方法としては特に制限されるものではなく、従来から飲食品などに用いられている各種の乳化剤、例えば、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、脂肪酸トリグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、化工でん粉、ソルビタン脂肪酸エステル、キラヤ抽出物、アラビアガム、トラガントガム、グアーガム、カラヤガム、キサンタンガム、ペクチン、アルギン酸及びその塩類、カラギーナン、ゼラチン、カゼインなどを使用してホモミキサー、コロイドミル、回転円盤型ホモジナイザー、高圧ホモジナイザーなどを用いて乳化処理することにより安定性の優れた乳化液を得ることができる。これら乳化剤の使用量は厳密に制限されるものではなく、使用する乳化剤の種類などに応じて広い範囲にわたり変えることができるが、通常、本発明の不飽和アルデヒド1質量部に対し、約0.01〜約100重量部、好ましくは約0.1〜約50重量部の範囲内が適当である。また、乳化を安定させるため、かかる水溶性溶液は水の他に、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マルチトール、ショ糖、グルコース、トレハロース、糖液、還元水飴などの多価アルコール類の1種または2種以上の混合物を配合することができる。
また、かくして得られた乳化液は、所望するならば乾燥することにより粉末製剤とすることができる。粉末化に際して、さらに必要に応じて、トレハロース、デキストリン、砂糖、乳糖、ブドウ糖、水飴、還元水飴などの糖類を適宜配合することもできる。これらの使用量は粉末製剤に望まれる特性などに応じて適宜に選択することができる。
以上の製剤中への本発明の不飽和アルデヒドの配合量は、これらの製剤が一般的に飲食品に対し0.1%程度(0.01%〜1%程度)添加されること考慮すると、製剤中におおよそ0.02ppb〜10ppm程度、すなわち(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナールおよび(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールであれば、酸味および/または酸臭抑制剤組成物中に、例えば、0.02ppb〜10ppm、好ましくは0.1ppb〜500ppb、より好ましくは0.5ppb〜20ppbの範囲内を例示することができる。また、その他の幾何異性体、すなわち(E,E,Z,)−、(E,Z,E)−および(E,E,E)−2,4,7−トリデカトリエナール、ならびに、(E,Z)−、(Z,E)−および(E,E)−4,7−トリデカジエナールであれば、酸味および/または酸臭抑制剤組成物中に、例えば、0.2ppb〜10ppm、好ましくは1ppb〜1ppm、より好ましくは5ppb〜100ppbの範囲内を例示することができる。
本発明の酸味および/または酸臭抑制剤組成物の飲食品への添加量は、飲食品の種類によっても異なるが、酸味および/または酸臭を有する飲食品に対して0.01%〜1%程度を例示することができる。しかしながら、当該組成物中の本発明の不飽和アルデヒドの配合量に応じて当該組成物の添加量を調整し、飲食品中への本発明の不飽和アルデヒド類が、前述の配合量となるように調整することが好ましい。
本発明の酸味および/または酸臭抑制剤、もしくは、酸味および/または酸臭抑制剤組成物が配合される酸味および/または酸臭を有する飲食品としては、特に限定はなく、例えば、食酢、ドレッシング、ノンオイルドレッシング、マヨネーズ、ソース、ケチャップ、チリソースなどの食酢含有調味料;酢の物、たで酢などの食酢配合調理食品;蜂蜜とりんご酢が混合されたバーモントドリンク、近年市場に多く出回っている酢飲料、黒酢飲料などの食酢含有飲料;レモンジュース、オレンジジュース、グレープフルーツジュース、カボスジュース、スダチジュース、グレープジュース、トマトジュース、アップルジュースなどの果汁及び果汁配合飲料;漬け物、キムチ、ヨーグルト、乳酸菌飲料、発酵乳飲料などの発酵飲食品;チューインガム、ハードキャンディー、グミキャンディー、ソフトキャンディー、錠菓などの菓子類;スープ、カレールー、中華料理などの酸味料が添加されているレトルト食品、包装米飯、包装麺類などの酸味料が添加されているインスタント食品;などを挙げることができる。
なお、本発明で言うところの食酢は、穀物酢、麦芽酢、米酢、ぶどう酢、りんご酢、黒酢などの発酵醸造法および合成法で得られた酢酸を含有する食用酢を意味し、これら食用酢を含有する飲食品を食酢含有飲食品と称する。前記の食酢含有飲食品のうち、ドレッシング、マヨネーズ、ソース、ケチャップなどの食酢含有調味料は、通常、酢酸を0.5%〜1.5%含有している食品である。また、バーモントドリンクは、消費者の要望に応えて食酢含有量は広範囲であるが、酢酸を0.02%〜0.5%含有している飲料である。
酸味および/または酸臭を有する飲食品に用いられる、飲食品に酸味を感じさせる酸味料としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの低級脂肪酸;アジピン酸、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、コハク酸、リンゴ酸、乳酸などの有機酸;リン酸などの無機酸があり、それぞれ特徴的な酸味を有する化合物である。低級脂肪酸は他の有機酸と異なり香気を有しており、低級脂肪酸の有する、刺激感あるいは不快感を、酸味および/または酸臭抑制剤、または、酸味および/または酸臭抑制剤組成物を添加することにより低減させることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない
(実施例1)(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールによるバーモントドリンクの酸味・酸臭抑制
リンゴ酢(酢酸4.8%)10g、蜂蜜3g、砂糖混合果糖ぶどう糖液糖7g、クエン酸0.02g、クエン酸三ナトリウム0.002g、バーモントフレーバー(長谷川香料社製)0.1gを混合した後、水を加えて全量を100mLとした。これに本発明の酸味および/または酸臭抑制剤として(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールを下記表1に示す濃度で添加したバーモントドリンクを得た。
官能評価は、パネラー10名により行い、各飲料に付き、A:酸味・酸臭が強烈で、刺激を感じる(無添加と大差なし)、B:酸味・酸臭がやや強く、やや刺激を感じる(無添加と比べやや改善されている)、C:酸味・酸臭が若干気になる(無添加と比べかなり改善されている)、N:酸の刺激が緩和され、マイルドな酸味になっている、X:酸味は緩和されているが、アルデヒド的なキーンとするような臭気が気になる、のいずれに該当するかを選択した。なお、アルデヒド的なキーンとするような香気とは、アルデヒド類全般に共通する特有の臭気で、劣化した油脂、石鹸、金属、ドクダミなどをイメージさせるような刺激的な異臭を意味する。また、香味判定は、酸味および/または酸臭抑制剤の濃度間で効果の比較を行い、酸味・酸臭の質が最も良好な濃度を1点選択した。結果を表1に示す。
Figure 2013021926
表1に示した通り、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナール無添加のバーモントドリンクは酸味・酸臭が強烈で、刺激を感じるが、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールを0.02ppt〜10ppb添加したバーモントドリンクは、酸味・酸臭の抑制効果が認められ、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナール特有の臭気はそれほど強く感じられなかった。また、酸味・酸臭が比較的良好に抑制され、かつ(Z,Z)−4,7−トリデカジエナール特有の臭気がほとんど感じられない範囲は0.1ppt〜500pptであった。さらにまた、0.5ppt〜20pptの範囲内では、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナール特有の臭気は全く感じられず、ほとんどのパネラーが、酸の刺激が緩和され、マイルドな酸味になっていると評価した。
(実施例2)(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナールによるバーモントドリンクの酸味・酸臭抑制
実施例1における(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールを(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナールに置き換える他は、実施例1と全く同様に飲料の調製、官能評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2013021926
表2に示した通り、(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナール無添加のバーモントドリンクは酸味・酸臭が強烈で、刺激を感じるが、(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナールを0.02ppt〜10ppb添加したバーモントドリンクは、酸味・酸臭の抑制効果が認められ、(E,Z,Z)−4,7−トリデカトリエナール特有の臭気はそれほど強く感じられなかった。また、酸味・酸臭が比較的良好に抑制され、かつ(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカトリエナール特有の臭気がほとんど感じられない範囲は0.1ppt〜500pptであった。さらにまた、0.5ppt〜20pptの範囲内では、(E,Z,Z)−2,4,7−トリデカジエナール特有の臭気は全く感じられず、ほとんどのパネラーが、酸の刺激が緩和され、マイルドな酸味になっていると評価した。
(実施例3)(E,Z)−4,7−トリデカジエナールによるバーモントドリンクの酸味・酸臭抑制
実施例1における(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールを(E,Z)−4,7−トリデカジナールに置き換える他は、実施例1と全く同様に飲料の調製、官能評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 2013021926
表3に示した通り、(E,Z)−4,7−トリデカジエナール無添加のバーモントドリンクは酸味・酸臭が強烈で、刺激を感じるが、(E,Z)−4,7−トリデカジエナールを0.2ppt〜10ppb添加したバーモントドリンクは、酸味・酸臭の抑制効果が認められ、(E,Z)−4,7−トリデカジエナール特有の臭気はそれほど強く感じられなかった。また、酸味・酸臭が比較的良好に抑制され、かつ(E,Z)−4,7−トリデカジエナール特有の臭気がほとんど感じられない範囲は1ppt〜1ppbであった。さらにまた、5ppt〜100pptの範囲内では、(E,Z)−4,7−トリデカジエナール特有の臭気は全く感じられず、ほとんどのパネラーが、酸の刺激が緩和され、マイルドな酸味になっていると評価した。
(実施例4)(Z,E)−4,7−トリデカジエナールによるバーモントドリンクの酸味・酸臭抑制
実施例1における(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールを(Z,E)−4,7−トリデカジナールに置き換える他は、実施例1と全く同様に飲料の調製、官能評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 2013021926
表4に示した通り、(Z,E)−4,7−トリデカジエナール無添加のバーモントドリンクは酸味・酸臭が強烈で、刺激を感じるが、(Z,E)−4,7−トリデカジエナールを0.2ppt〜10ppb添加したバーモントドリンクは、酸味・酸臭の抑制効果が認められ、(Z,E)−4,7−トリデカジエナール特有の臭気はそれほど強く感じられなかった。また、酸味・酸臭が比較的良好に抑制され、かつ(Z,E)−4,7−トリデカジエナール特有の臭気がほとんど感じられない範囲は1ppt〜10ppbであった。さらにまた、5ppt〜100pptの範囲内では、(Z,E)−4,7−トリデカジエナール特有の臭気は全く感じられず、ほとんどのパネラーが、酸の刺激が緩和され、マイルドな酸味になっていると評価した。
(実施例5)(E,E)−4,7−トリデカジエナールによるバーモントドリンクの酸味・酸臭抑制
実施例1における(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールを(E,E)−4,7−トリデカジナールに置き換える他は、実施例1と全く同様に飲料の調製、官能評価を行った。結果を表5に示す。
Figure 2013021926
表5に示した通り、(E,E)−4,7−トリデカジエナール無添加のバーモントドリンクは酸味・酸臭が強烈で、刺激を感じるが、(E,E)−4,7−トリデカジエナールを0.2ppt〜10ppb添加したバーモントドリンクは、酸味・酸臭の抑制効果が認められ、(E,E)−4,7−トリデカジエナール特有の臭気はそれほど強く感じられなかった。また、酸味・酸臭が比較的良好に抑制され、かつ(E,E)−4,7−トリデカジエナール特有の臭気がほとんど感じられない範囲は1ppt〜1ppbであった。さらにまた、5ppt〜100pptの範囲内では、(E,E)−4,7−トリデカジエナール特有の臭気は全く感じられず、ほとんどのパネラーが、酸の刺激が緩和され、マイルドな酸味になっていると評価した。
(実施例6)(E,E,Z)−2,4,7−トリデカトリエナールによるバーモントドリンクの酸味・酸臭抑制
実施例1における(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールを(E,E,Z)−2,4,7−トリデカトリエナールに置き換える他は、実施例1と全く同様に飲料の調製、官能評価を行った。結果を表6に示す。
Figure 2013021926
表6に示した通り、(E,E,Z)−2,4,7−トリデカトリエナール無添加のバーモントドリンクは酸味・酸臭が強烈で、刺激を感じるが、(E,E,Z)−2,4,7−トリデカトリエナールを0.2ppt〜10ppb添加したバーモントドリンクは、酸味・酸臭の抑制効果が認められ、(E,E,Z)−2,4,7−トリデカトリエナール特有の臭気はそれほど強く感じられなかった。また、酸味・酸臭が比較的良好に抑制され、かつ(E,E,Z)−2,4,7−トリデカトリエナール特有の臭気がほとんど感じられない範囲は1ppt〜1ppbであった。さらにまた、5ppt〜100pptの範囲内では、(E,E,Z)−2,4,7−トリデカトリエナール特有の臭気は全く感じられず、ほとんどのパネラーが、酸の刺激が緩和され、マイルドな酸味になっていると評価した。
(実施例7)(E,Z,E)−2,4,7−トリデカトリエナールによるバーモントドリンクの酸味・酸臭抑制
実施例1における(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールを(E,Z,E)−2,4,7−トリデカトリエナールに置き換える他は、実施例1と全く同様に飲料の調製、官能評価を行った。結果を表7に示す。
Figure 2013021926
表7に示した通り、(E,Z,E)−2,4,7−トリデカトリエナール無添加のバーモントドリンクは酸味・酸臭が強烈で、刺激を感じるが、(E,Z,E)−2,4,7−トリデカトリエナールを0.2ppt〜10ppb添加したバーモントドリンクは、酸味・酸臭の抑制効果が認められ、(E,Z,E)−2,4,7−トリデカトリエナール特有の臭気はそれほど強く感じられなかった。また、酸味・酸臭が比較的良好に抑制され、かつ(E,Z,E)−2,4,7−トリデカトリエナール特有の臭気がほとんど感じられない範囲は1ppt〜1ppbであった。さらにまた、5ppt〜100pptの範囲内では、(E,Z,E)−2,4,7−トリデカトリエナール特有の臭気は全く感じられず、ほとんどのパネラーが、酸の刺激が緩和され、マイルドな酸味になっていると評価した。
(実施例8)(E,E,E)−2,4,7−トリデカトリエナールによるバーモントドリンクの酸味・酸臭抑制
実施例1における(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールを(E,E,E)−2,4,7−トリデカトリエナールに置き換える他は、実施例1と全く同様に飲料の調製、官能評価を行った。結果を表8に示す。
Figure 2013021926
表8に示した通り、(E,E,E)−2,4,7−トリデカトリエナール無添加のバーモントドリンクは酸味・酸臭が強烈で、刺激を感じるが、(E,E,E)−2,4,7−トリデカトリエナールを0.2ppt〜10ppb添加したバーモントドリンクは、酸味・酸臭の抑制効果が認められ、(E,E,E)−2,4,7−トリデカトリエナール特有の臭気はそれほど強く感じられなかった。また、酸味・酸臭が比較的良好に抑制され、かつ(E,E,E)−2,4,7−トリデカトリエナール特有の臭気がほとんど感じられない範囲は1ppt〜1ppbであった。さらにまた、5ppt〜100pptの範囲内では、(E,E,E)−2,4,7−トリデカトリエナール特有の臭気は全く感じられず、ほとんどのパネラーが、酸の刺激が緩和され、マイルドな酸味になっていると評価した。
(実施例9)(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールによるヨーグルトの酸味・酸臭抑制
市販のプレーンヨーグルト(無脂乳固形分9.5%、乳脂肪分3.0%)100質量部に酢酸(純正化学株式会社製 氷酢酸:食品添加物)を0.1質量部添加し、攪拌混合してコントロールとするヨーグルト基材とした。これに本発明の酸味および/または酸臭抑制剤として(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールを下記表9に示す濃度で添加したヨーグルトを得、実施例1と同様に官能評価を行った。結果を表9に示す。
Figure 2013021926
表9に示した通り、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナール無添加のヨーグルトは酸味・酸臭が強烈で、刺激を感じるが、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールを0.02ppt〜10ppb添加したヨーグルトは、酸味・酸臭の抑制効果が認められ、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナール特有の臭気はそれほど強く感じられなかった。また、酸味・酸臭が比較的良好に抑制され、かつ(Z,Z)−4,7−トリデカジエナール特有の臭気がほとんど感じられない範囲は0.1ppt〜500pptであった。さらにまた、0.5ppt〜20pptの範囲内では、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナール特有の臭気は全く感じられず、ほとんどのパネラーが、酸の刺激が緩和され、マイルドな酸味になっていると評価した。
(実施例10)(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールによるドレッシングの酸味・酸臭抑制
食酢20g、植物油脂35g、香辛料及びエキス類含有水溶性部45gを攪拌混合して、分離型ドレッシング基材100gを得た。これに本発明の酸味および/または酸臭抑制剤として(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールを下記表10に示す濃度で添加したドレッシングを得、実施例1と同様に官能評価を行った。結果を表10に示す。
Figure 2013021926
表10に示した通り、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナール無添加のドレッシングは酸味・酸臭が強烈で、刺激を感じるが、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールを0.02ppt〜10ppb添加したドレッシングは、酸味・酸臭の抑制効果が認められ、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナール特有の臭気はそれほど強く感じられなかった。また、酸味・酸臭が比較的良好に抑制され、かつ(Z,Z)−4,7−トリデカジエナール特有の臭気がほとんど感じられない範囲は0.1ppt〜500pptであった。さらにまた、0.5ppt〜20pptの範囲内では、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナール特有の臭気は全く感じられず、ほとんどのパネラーが、酸の刺激が緩和され、マイルドな酸味になっていると評価した。
(実施例11)(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールによるマヨネーズの酸味・酸臭抑制
食酢12g、植物油脂75g、卵黄及び香辛料含有水溶性部13gを混合し、マヨネーズ基材100gを得た。これに本発明の酸味および/または酸臭抑制剤として(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールを下記表11に示す濃度で添加したマヨネーズを得、実施例1と同様に官能評価を行った。結果を表11に示す。
Figure 2013021926
表11に示した通り、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナール無添加のマヨネーズは酸味・酸臭が強烈で、刺激を感じるが、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールを0.02ppt〜10ppb添加したマヨネーズは、酸味・酸臭の抑制効果が認められ、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナール特有の臭気はそれほど強く感じられなかった。また、酸味・酸臭が比較的良好に抑制され、かつ(Z,Z)−4,7−トリデカジエナール特有の臭気がほとんど感じられない範囲は0.1ppt〜500pptであった。さらにまた、0.5ppt〜20pptの範囲内では、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナール特有の臭気は全く感じられず、ほとんどのパネラーが、酸の刺激が緩和され、マイルドな酸味になっていると評価した。
(実施例12)(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールによるオレンジジュースの酸味・酸臭抑制
市販の果汁100%のオレンジジュースに本発明の酸味および/または酸臭抑制剤として(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールを下記表12に示す濃度で添加したオレンジジュースを得、実施例1と同様に官能評価を行った。結果を表12に示す。
Figure 2013021926
表12に示した通り、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナール無添加のオレンジジュースは酸味・酸臭が強烈で、刺激を感じるが、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナールを0.02ppt〜10ppb添加したオレンジジュースは、酸味・酸臭の抑制効果が認められ、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナール特有の臭気はそれほど強く感じられなかった。また、酸味・酸臭が比較的良好に抑制され、かつ(Z,Z)−4,7−トリデカジエナール特有の臭気がほとんど感じられない範囲は0.1ppt〜500pptであった。さらにまた、0.5ppt〜20pptの範囲内では、(Z,Z)−4,7−トリデカジエナール特有の臭気は全く感じられず、ほとんどのパネラーが、酸の刺激が緩和され、マイルドな酸味になっていると評価した。

Claims (6)

  1. 下記式(1)
    Figure 2013021926
    [式中、・・・・は単結合または二重結合を示し、波線はシスまたはトランス配置の立体配置を示す]で表される不飽和アルデヒドからなる、飲食品の酸味および/または酸臭抑制剤。
  2. 式(1)の不飽和アルデヒドが4,7−トリデカジエナールである請求項1に記載の酸味および/または酸臭抑制剤。
  3. 式(1)の不飽和アルデヒドが2,4,7−トリデカトリエナールである請求項1に記載の酸味および/または酸臭抑制剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸味および/または酸臭抑制剤を0.02ppb〜10ppm含有することを特徴とする、酸味および/または酸臭抑制剤組成物。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸味および/または酸臭抑制剤を、酸味および/または酸臭を有する飲食品に0.02ppt〜10ppb含有させることを特徴とする、酸味および/または酸臭の抑制方法。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸味および/または酸臭抑制剤を0.02ppt〜10ppb含有させたことを特徴とする、酸味および/または酸臭が抑制された飲食品。
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