JP2013020120A - ハードコートフィルム及びタッチパネル - Google Patents
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Abstract
【課題】ガラス基板等が破損した場合でもその破片等が飛散するのを効果的に防止することができるハードコートフィルム及びこれを用いたタッチパネルの提供を目的とする。
【解決手段】本発明のハードコートフィルムは、透明な基材層と、この基材層の一方の面側に積層されるハードコート層と、この基材層の他方の面側に積層される粘着層とを有し、面内リタデーション値(Ro)が100nm以下、かつ厚さ方向リタデーション値(Rth)が200nm以下である。当該ハードコートフィルムは、上記基材層がポリカーボネート系樹脂、シクロオレフィンコポリマー又はアクリル系樹脂を主成分とするとよい。当該ハードコートフィルムは、上記基材層の平均厚さが10μm以上500μm以下であるとよい。当該ハードコートフィルムは、ヘイズ値が2%以下であるとよい。
【選択図】図1
【解決手段】本発明のハードコートフィルムは、透明な基材層と、この基材層の一方の面側に積層されるハードコート層と、この基材層の他方の面側に積層される粘着層とを有し、面内リタデーション値(Ro)が100nm以下、かつ厚さ方向リタデーション値(Rth)が200nm以下である。当該ハードコートフィルムは、上記基材層がポリカーボネート系樹脂、シクロオレフィンコポリマー又はアクリル系樹脂を主成分とするとよい。当該ハードコートフィルムは、上記基材層の平均厚さが10μm以上500μm以下であるとよい。当該ハードコートフィルムは、ヘイズ値が2%以下であるとよい。
【選択図】図1
Description
本発明は、液晶表示装置に好適に使用されるハードコートフィルム及びタッチパネルに関する。
液晶表示モジュール(LCD)は、薄型、軽量、低消費電力等の特徴を活かしてフラットパネルディスプレイとして多用されており、その用途は携帯電話、携帯情報端末(PDA)、パーソナルコンピュータ、テレビなどの情報用表示デバイスとして年々拡大している。近年、液晶表示モジュールに要求される特性としては、用途により様々であるが、明るい(高輝度化)、見やすい(広視野角化)、省エネルギー化、薄型軽量化、大画面化等が挙げられる。
このような液晶表示モジュールとしては、視認者の操作容易性、迅速性等を向上させるべくタッチパネルが搭載されているものもある。そして、このようなタッチパネルが搭載された液晶表示モジュールは、一般的には、タッチパネル、液晶表示素子、各種光学シート及びバックライトが表面側から裏面側にこの順で重畳された構造を有している。
このようなタッチパネルとしては、静電容量方式、抵抗膜方式、電磁誘導方式等が存在している。このような静電容量方式としては、互いに交差する方向に電極を延在させて、指などが接触した際に電極間の静電容量が変化することを検知して入力位置を検出するものや(特開2011−76386号公報参照)、透光性導電膜の両端に同相、同電位の交流を印加し、指が接触又は近接してキャパシタが形成される際に流れる微弱電流を検知して入力位置を検出するもの等が存在している。
しかしながら、かかるタッチパネルは、視認者がガラス基板を強く押下した際や落下した際に、このガラス基板等が破損してこれら破片が飛散するおそれがある。そして、このようなタッチパネルは、ガラス基板等が飛散すると、これらの破片が視認者の手指等に刺さって視認者が負傷する危険があり、またこれらの破片がタッチパネルの裏面側に重畳される液晶表示素子等を破損させる原因となるおそれもあるという問題を抱えている。このような問題は、抵抗膜方式、電磁誘導方式等、他の方式のタッチパネルにおいても同様に存在している。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ガラス基板等が破損した場合でもその破片等が飛散するのを効果的に防止することができるハードコートフィルム及びこれを用いたタッチパネルの提供を目的とするものである。
上記課題を解決するためになされた発明は、
透明な基材層と、
この基材層の一方の面側に積層されるハードコート層と、
この基材層の他方の面側に積層される粘着層と
を有し、
面内リタデーション値(Ro)が100nm以下、かつ厚さ方向リタデーション値(Rth)が200nm以下であるハードコートフィルムである。
透明な基材層と、
この基材層の一方の面側に積層されるハードコート層と、
この基材層の他方の面側に積層される粘着層と
を有し、
面内リタデーション値(Ro)が100nm以下、かつ厚さ方向リタデーション値(Rth)が200nm以下であるハードコートフィルムである。
当該ハードコートフィルムは、基材層、ハードコート層及び粘着層を備えているため、この粘着層により、例えばタッチパネルのガラス基板等に貼着することで、このガラス基板等が破損した場合でも、これらの破片が飛散するのを効果的に防止することができる。また、当該ハードコートフィルムは、基材層の一方の面にハードコート層が積層されているので、タッチパネル等の製造時や運搬時等の傷つけ防止機能を高めることができるとともに、取扱容易性を向上させることができる。当該ハードコートフィルムは、内面リタデーション値(Ro)及び厚さ方向リタデーション値(Rth)が所定の範囲とされているので、他の光学部材の光学的機能を阻害するおそれを防止することができる。当該ハードコートフィルムは、三次元表示装置に用いられてもよい。当該ハードコートフィルムは、立体映像表示装置に用いられた場合、偏光サングラスをかけて見た場合の虹模様を抑えることができる。
当該ハードコートフィルムは、上記基材層がポリカーボネート系樹脂、シクロオレフィンコポリマー又はアクリル系樹脂を主成分とするとよい。これにより、内面リタデーション値(Ro)及び厚さ方向リタデーション値(Rth)を容易に小さくすることができる。また、当該ハードコートフィルムは、上記基材層がポリカーボネート系樹脂を主成分とすることで耐衝撃性を向上させることができる。当該ハードコートフィルムは、上記基材層がシクロオレフィンコポリマーを主成分とすることで、直射日光やディスプレイの発熱等の外力によって生じる位相差の変化を抑えることができ、光学的均一性に優れ、精細な映像表示を行うことができる。
当該ハードコートフィルムは、上記基材層の平均厚さが10μm以上500μm以下であるとよい。当該ハードコートフィルムは、基材層の平均厚さを上記範囲とすることで、液晶表示装置の輝度の低下を抑制しつつ、フィルムの強度、撓み防止性等の特性を向上させ、かつタッチパネルのガラス基板破損時等に発生する破片の飛散防止機能を効果的に奏することができる。
当該ハードコートフィルムは、ヘイズ値が2%以下であるとよい。このように、ヘイズ値を上記範囲とすることで、映像の視認性の低下を抑制し、表示される映像の鮮明度を保つことができる。
当該ハードコートフィルムは、可視光線透過率が87%以上であるとよい。このように、可視光線透過率を上記範囲とすることで、可視光線を十分に透過させ、視認性を向上させることができる。
当該ハードコートフィルムは、上記粘着層によりタッチパネルのガラス基板の表面及び/又は裏面に貼着されるとよい。これにより、ガラス基板破損時等に発生する破片の飛散防止機能を効果的に高めることができる。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、
ガラス基板と、このガラス基板の表面及び/又は裏面に粘着層により貼着される当該ハードコートフィルムとを備えるタッチパネルである。
ガラス基板と、このガラス基板の表面及び/又は裏面に粘着層により貼着される当該ハードコートフィルムとを備えるタッチパネルである。
当該タッチパネルは、ハードコートフィルムが、基材層、ハードコート層及び粘着層を備えているため、この粘着層をガラス基板の裏面に貼着することで、このガラス基板等が破損した場合でも、これらの破片が飛散するのを効果的に防止することができる。また、当該タッチパネルは、ハードコートフィルムの基材層の一方の面にハードコート層が積層されているので、製造時や運搬時等の傷つけ防止機能を高めることができるとともに、取扱容易性を向上させることができる。当該タッチパネルは、ハードコートフィルムの内面リタデーション値(Ro)及び厚さ方向リタデーション値(Rth)が所定の範囲とされているので、他の光学部材の光学的機能を阻害するおそれを防止することができる。
なお、本発明において、「面内リタデーション値(Ro)」は、Ro=(Ny−Nx)×dで求められる値であり、「厚さ方向リタデーション値(Rth)」は、Rth=((Nx+Ny)/2−Nz)×dで求められる値である。ここで、Nxは、フィルムの進相軸(面方向と平行な軸)の屈折率であり、Nyはフィルムの遅相軸(面方向と平行でかつ進相軸と垂直な軸)の屈折率であり、Nzは厚み方向(面方向と垂直な方向)でのフィルムの屈折率であり、dはフィルムの厚みである。
また、「ヘイズ値」は、JIS K7136に準じた値である。「可視光線透過率」は、JIS K7361−1に準じた値である。
以上説明したように、本発明のハードコートフィルム及びこれを用いたタッチパネルは、ガラス基板等が破損した場合でもその破片等が飛散するのを効果的に防止することができる。
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
図1のハードコートフィルム1は、基材層2と、ハードコート層3と、粘着層4とを有している。ハードコートフィルム1は、タッチパネルを搭載した液晶表示装置において、粘着層4をタッチパネルのガラス基板の表面及び/又は裏面に貼着させてこのガラス基板に積層される。
基材層2は、光線を透過させる必要があるため透明、特に無色透明に形成されている。基材層2を構成する主成分は、特に限定されないが、典型的には、ポリカーボネート系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びポリエチレンテレフタレート系樹脂からなる群から選択される。これらの合成樹脂は、優れた光学的透明性を有しており、光線を良好に透過させることができる。なかでも、基材層2を構成する主成分としては、ポリカーボネート系樹脂、シクロオレフィンコポリマー又はアクリル系樹脂が好ましい。基材層2を構成する主成分として、ポリカーボネート系樹脂、シクロオレフィンコポリマー又はアクリル系樹脂を用いることにより、当該ハードコートフィルム1の内面リタデーション値(Ro)及び厚さ方向リタデーション値(Rth)を容易に小さくすることができる。また、ポリカーボネート系樹脂は優れた耐衝撃性を有している。その結果、当該ハードコートフィルム1は、ポリカーボネート系樹脂を主成分とすることで耐衝撃性を向上させることができ、ひいてはガラス基板等の破片の飛散防止性をさらに高めることができる。シクロオレフィンコポリマーは光弾性係数が小さい。その結果、当該ハードコートフィルム1は、シクロオレフィンコポリマーを主成分とすることで、リタデーション値を小さくするとともに直射日光やディスプレイの発熱等の外力によって生じる位相差の変化を抑えることができ、光学的均一性に優れ、精細な映像表示を行うことができる。
基材層2は、透明性及び所望の強度を損なわない限りは他の任意成分を含んでよいが、上記合成樹脂からなる主成分を好ましくは90質量%以上含み、さらに好ましくは98質量%以上含む。ここでの任意成分の例としては、紫外線吸収剤、安定剤、滑剤、加工助剤、可塑剤、耐衝撃助剤、位相差低減剤、艶消し剤、抗菌剤、防かび等が挙げられる。
基材層2を形成するポリカーボネート系樹脂としては、特に限定されず、直鎖ポリカーボネート系樹脂又は分岐ポリカーボネート系樹脂のいずれかのみであってもよいが、直鎖ポリカーボネート系樹脂と分岐ポリカーボネート系樹脂とからなるポリカーボネート系樹脂とするとよい。
直鎖ポリカーボネート系樹脂としては、公知のホスゲン法または溶融法によって製造された直鎖の芳香族ポリカーボネート系樹脂であり、カーボネート成分とジフェノール成分とからなる。カーボネート成分を導入するための前駆物質としては、例えば、ホスゲン、ジフェニルカーボネート等が挙げられる。また、ジフェノールとしては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−チオジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3−ジクロロジフェニルエーテル等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組合わせて使用することができる。このような直鎖ポリカーボネート系樹脂は、例えば、米国特許第3989672号に記載されている方法等で製造され、その屈折率は1.57以上1.59以下のものが好ましい。
分岐ポリカーボネート系樹脂としては、分岐剤を用いて製造したポリカーボネート系樹脂であり、分岐剤としては、例えば、フロログルシン、トリメリット酸、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,1−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、4,4’−ジヒドロキシ−2,5−ジヒドロキシジフェニルエーテル等が挙げられる。
このような分岐ポリカーボネート系樹脂は、例えば、特開平03−182524号公報に挙げられているように、芳香族ジフェノール類、上記分岐剤およびホスゲンから誘導されるポリカーボネートオリゴマー、芳香族ジフェノール類および末端停止剤を、これらを含む反応混合液が乱流となるように撹拌しながら反応させ、反応混合液の粘度が上昇した時点で、アルカリ水溶液を加えると共に反応混合液を層流として反応させる方法により製造することができる。本発明の樹脂組成物の分岐ポリカーボネート系樹脂は、ポリカーボネート系樹脂中に5重量%以上80重量%以下の範囲で含有され、好ましくは10重量%以上60重量%以下の範囲である。これは、分岐ポリカーボネート系樹脂が10重量%未満では、伸長粘度が低下し押出成形での成形が困難となるためであり、80重量%を超えると樹脂の剪断粘度が高くなり成形加工性が低下するためである。
基材層2を形成するシクロオレフィンコポリマーとは、環状オレフィンとエチレン等のオレフィンとの共重合体である非結晶性の環状オレフィン系樹脂のことをいう。環状オレフィンとしては、多環式の環状オレフィンと単環式の環状オレフィンとが存在している。かかる多環式の環状オレフィンとしては、ノルボルネン、メチルノルボルネン、ジメチルノルボルネン、エチルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ブチルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジメチルジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、メチルテトラシクロドデセン、ジメチルシクロテトラドデセン、トリシクロペンタジエン、テトラシクロペンタジエン等を挙げることができる。また、単環式の環状オレフィンとしては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、シクロドデカトリエン等を挙げることができる。
シクロオレフィンコポリマーの光弾性係数としては、特に限定されないが、例えば10×10−12/Pa以下、好ましくは9×10−12/Pa以下、特に好ましくは8×10−12/Pa以下とされる。シクロオレフィンコポリマーの光弾性係数が上記範囲を超えると、高温高湿下にさらされた場合の位相差の変化が大きくなり、視認性が低下するおそれがある。一方、光学フィルム1の光弾性係数が上記範囲以内であると、高温高湿下にさらされた場合の位相差の変化を低減することができ、ひいては画面の視認性の低下を抑制し、精細な画像表示を行うことができる。
なお、「光弾性係数」は、外力による屈折率の変化の生じやすさを表す係数で、CR[/Pa]=Δn/σRで求められる値である。ここで、σRは伸張応力[Pa]、Δnは応力付加時の屈折率であり、Δnは次式により定義される。
Δn=n1−n2
(式中、n1は伸張応力と平行な方向の屈折率であり、n2は伸張方向と垂直な方向の屈折率である。)
Δn=n1−n2
(式中、n1は伸張応力と平行な方向の屈折率であり、n2は伸張方向と垂直な方向の屈折率である。)
基材層2を形成するアクリル系樹脂は、アクリル酸又はメタクリル酸に由来する骨格を有する樹脂である。アクリル系樹脂の例としては、特に限定されないが、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体、脂環族炭化水素基を有する重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体)などが挙げられる。これらのアクリル系樹脂のなかでも、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキルが好ましく、メタクリル酸メチル系樹脂がより好ましい。
基材層2を形成するポリプロピレン系樹脂は、プロピレンに由来する骨格を有する樹脂である。ポリプロピレン系樹脂の例としては、特に限定されないが、プロピレンの単独重合体、または、プロピレンと、エチレンおよび炭素数4−12のα−オレフィンからなる群から選択される1種以上のモノマーとの共重合体などが挙げられる。
基材層2を形成するポリエチレンテレフタレート系樹脂は、テレフタル酸とエチレングリコールの反応により得られるポリマーである。ポリエチレンテレフタレート系樹脂は他のコモノマーを含むものであってもよいが、ポリエチレンテレフタレートの繰返し単位が80モル%以上であるものが好ましい。ポリエチレンテレフタレートは、例えば、ジメチルテレフタレート及びエチレングリコールを反応器に仕込み、内温を徐々に上げながらエステル交換反応を行った後、反応生成物を重合反応器に移して、高温真空下にて重合反応を行うことによって生成することができる。
基材層2の厚み(平均厚さ)は、特に限定されないが、例えば10μm以上500μm以下が好ましく、20μm以上300μm以下がより好ましく、25μm以上125μm以下が特に好ましい。基材層2の厚みが上記範囲未満であると、フィルムの強度、撓み防止性等の特性が低下し、タッチパネルのガラス基板破損時等に発生する破片の飛散防止機能が低下するおそれがある。また、基材層2の厚みが上記範囲を超えると、液晶表示装置の輝度が低下してしまうおそれがあり、また液晶表示装置の薄型化の要求に反することにもなる。一方、当該ハードコートフィルム1は、基材層の平均厚さを上記範囲とすることで、液晶表示装置の輝度の低下を抑制しつつ、フィルムの強度、撓み防止性等の特性を向上させ、かつタッチパネルのガラス基板破損時等に発生する破片の飛散防止機能を効果的に奏することができる。
基材層2としては、通常、算術平均表面粗さ(Ra)が0.02以上0.06以下のものを用いることができる。また基材層2には、必要に応じてマット処理を行うことができる。このようなマット処理を施した基材層2の算術平均表面粗さ(Ra)は、好ましくは0.07以上2以下、さらに好ましくは0.1以上1以下とすることができる。基材層2の表面粗さをこのような範囲に制御することによって、フィルム原反製造後の処理における傷付きが防止され、取扱い性が向上する。また、一般的に、製造されたフィルム原反の巻取りを行う際には、フィルムの幅方向の両端をエンボス加工(ナーリング処理)してブロッキングを防止する必要がある。フィルムにナーリング処理を行った場合、フィルムの両端の処理箇所は使用できなくなるため、その部分は裁断・廃棄しなければならない。また、フィルムの巻取り作業においては、傷付きを防止するために保護膜によってマスキングを行う場合もある。しかし、基材層2の算術平均表面粗さを上記のような所定の範囲とすることによって、ナーリング処理を行わずにブロッキングを防止することができるので、製造工程が簡略化され、フィルム幅方向の両端部分も使用可能になるとともに、フィルムの故障を生じることなく、長尺にわたる巻取りを行うことができる。また、基材層2が適度な表面粗さを有することによって、巻取り時の傷付きが効果的に抑制され、上記のようなマスキングも不要となる。
基材層2製造方法は、特に限定されないが、例えば、合成樹脂のフレーク原料及び可塑剤等の添加剤を従来公知の混合方法にて混合し、予め熱可塑性樹脂組成物としてから、基材層2を製造することができる。この熱可塑性樹脂組成物は、例えば、オムニミキサー等の混合機でプレブレンドした後、得られた混合物を押出混練することによって得られる。この場合、押出混練に用いる混練機は、特に限定されるものではなく、例えば、単軸押出機、二軸押出機等の押出機や加圧ニーダー等の従来公知の混練機を用いることができる。
基材層2の成形の方法としては、例えば、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法など公知の方法が挙げられる。これらの中でも、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法が好ましい。この際、予め押出し混練した熱可塑性樹脂組成物を用いてもよいし、合成樹脂と、可塑剤等の他の添加剤を、別々に溶媒に溶解して均一な混合液とした後、溶液キャスト法(溶液流延法)や溶融押出法のフィルム成形工程に供してもよい。また、基材層2のリタデーション値及びハードコートフィルム1のリタデーション値を一定に抑えるために、例えば、溶融樹脂を、幅手方向に均一な温度に保たれた冷却ロールと無端ベルトで円弧状に挟み込んで冷却してもよい。
溶液キャスト法(溶液流延法)に用いられる溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタンなどの塩素系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼン、及びこれらの混合溶媒などの芳香族系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノールなどのアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、ジエチルエーテル;などが挙げられる。これら溶媒は1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。溶液キャスト法(溶液流延法)を行うための装置としては、例えば、ドラム式キャスティングマシン、バンド式キャスティングマシン、スピンコーターなどが挙げられる。
溶融押出法としては、Tダイ法、インフレーション法などが挙げられる。溶融押出の際のフィルムの成形温度は、好ましくは150℃以上350℃以下、より好ましくは200℃以上300℃以下である。Tダイ法でフィルム成形する場合は、公知の単軸押出機や2軸押出機の先端部にTダイを取り付け、フィルム状に押出したフィルムを巻取り、ロール状のフィルムを得ることができる。この際、巻取ロールの温度を適宜調整して、押出方向に延伸を加えることによって、一軸延伸工程とすることも可能である。また、押出方向と垂直な方向にフィルムを延伸する工程を加えることによって、逐次二軸延伸、同時二軸延伸などの工程を加えることも可能である。
可塑剤としては、特に限定されないが、基材層2にヘイズを発生させたり、又は基材層2からブリードアウトあるいは揮発しないように、合成樹脂と水素結合等によって相互作用可能である官能基を有していることが好ましい。このような可塑剤の例としては、特に限定されないが、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、多価アルコール系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、カルボン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤などが挙げられる。
ハードコート層3は、基材層2の一方の面側に積層され、当該ハードコートフィルム1の硬度を向上させる。ハードコート層3を形成する材料としては、特に限定されない。ハードコート層3は、樹脂のみから形成されてもよいし、その中にシリカ微粒子、重合開始剤等が含有されてもよい。
ハードコート層3を形成する樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂や、活性エネルギー線硬化樹脂等が挙げられる。
ハードコート層3は、例えば、活性エネルギー線硬化樹脂の重合性モノマーや重合性オリゴマーを含む塗布組成物を基材層2の一方の面上に塗布し、重合性モノマーや重合性オリゴマーを架橋反応及び/又は重合反応させることにより形成することができる。
かかる活性エネルギー線硬化性の重合性モノマーや重合性オリゴマーの官能基としては、紫外線、電子線又は放射線重合性のものが好ましく、紫外線重合性官能基が特に好ましい。紫外線重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等のエチレン性不飽和重合性官能基等を挙げることができる。
上記塗布組成物としては、特に限定されないが、アクリルモノマー又はウレタンアクリレートオリゴマーを主成分とするものが好ましい。ハードコート層3は、これらのモノマー又はオリゴマーを主成分とする組成物から形成されることで、硬度を高めることができる。なかでも、ハードコート層3は、ウレタンアクリレートと(メタ)アクリレートとを共に含有する組成物から形成されることが特に好ましい。
ハードコート層3を形成するウレタンアクリレート及び(メタ)アクリレートの合計含有量としては、45質量%以上99質量%以下が好ましく、50質量%以上95質量%以下がさらに好ましく、60質量%以上90質量%以下が特に好ましい。当該ハードコート層3を形成するウレタンアクリレート及び(メタ)アクリレートの合計含有量が上記上限を超えると光重合の開始が遅くなり生産性が低下するおそれがある。また、当該ハードコート層3を形成するウレタンアクリレート及び(メタ)アクリレートの合計含有量が上記下限未満であると、柔軟性、耐摩耗性、耐擦傷性等が低下するおそれがある。一方、当該ハードコート層3を形成するウレタンアクリレート及び(メタ)アクリレートの合計含有量が上記範囲内であると、生産性を高めつつ、柔軟性、耐摩耗性、耐擦傷性等を好適に保つことができる。
上記ウレタンアクリレートとしては、特に限定されるものではなく、モノマー又はオリゴマーのいずれであってもよい。また、ウレタンアクリレートの官能基数としては、特に限定されるものではなく、単官能であっても多官能であってもよいが、2官能以上6官能以下であることが好ましく、2官能以上3官能以下であることがさらに好ましい。ハードコート層3は、ウレタンアクリレートの官能基数を上記範囲内とすることで、硬度と伸び率とのバランスを好適に保つことができる。ウレタンアクリレートは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ウレタンアクリレートの伸び率としては、20%以上80%以下が好ましく、25%以上75%以下がさらに好ましい。ウレタンアクリレートの伸び率が上記上限を超えるとハードコート層3の耐久性が低下するおそれがある。また、ウレタンアクリレートの伸び率が上記下限未満であると、成型時に割れが発生するおそれがある。一方、ウレタンアクリレートの伸び率が上記範囲内であると、耐久性を向上させるとともに成型時等の割れの発生を防止することができる。
なお、ここでいう「伸び率」とは、JIS K5600に準じて測定した値のことをいう。
ウレタンアクリレートから形成される樹脂のガラス転移温度としては、特に限定されないが、40℃以上100℃以下が好ましく、40℃以上80℃以下がさらに好ましい。ウレタンアクリレートから形成される樹脂のガラス転移温度が上記範囲内であることにより、常温下でのハードコート層3の硬度及び耐久性を向上させることができる。
ハードコート層3を形成するウレタンアクリレートの含有量としては、特に限定されないが、10質量%以上90質量%以下が好ましく、15質量%以上85質量%以下がさらに好ましく、20質量%以上80質量%以下が特に好ましい。ハードコート層3を形成するウレタンアクリレートの含有量が上記上限を超えると、耐摩耗性及び塗膜硬度が低下するおそれがある。また、ハードコート層3を形成するウレタンアクリレートの含有量が上記下限未満であると、柔軟性が低下し、割れを発生するおそれが高くなる。一方、ハードコート層3を形成するウレタンアクリレートの含有量が上記範囲内であると、耐摩耗性及び塗膜硬度を好適に保ちつつ、適度な柔軟性を保持し、割れの発生を抑制することができる。
上記(メタ)アクリレートとしては、特に限定されるものではなく、モノマー又はオリゴマーのいずれであってもよい。かかる(メタ)アクリレートの官能基数としては、特に限定されるものではなく、単官能であっても多官能であってもよい。なお、ハードコート層3は、3官能以上の(メタ)アクリレートを使用することにより耐久性を向上することができる。また、かかる(メタ)アクリレートは、極性基を有する分子構造でもよいし低極性の分子構造でもよい。(メタ)アクリレートは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリレートの極性基としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基等を挙げることができる。
水酸基を含有する(メタ)アクリレートとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシル基含有エステル等が挙げられる。
カルボキシル基を含有する(メタ)アクリレートとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸の他、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等が挙げられる。
アミノ基を含有する(メタ)アクリレートとしては、例えば(メタ)アクリル酸モノメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノプロピルなどの(メタ)アクリル酸モノアルキルアミノエステル等が挙げられる。
アミド基を含有する(メタ)アクリレートとしては、例えば(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどのアクリルアミド類等が挙げられる。
また、低極性の分子構造の(メタ)アクリレートとしては、例えば(メタ)アクリル酸脂環式エステル又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
また、低極性の分子構造の(メタ)アクリレートとしては、例えば(メタ)アクリル酸脂環式エステル又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
かかる(メタ)アクリル酸脂環式エステルとしては、例えばシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えばラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールアクリレートが挙げられる。
ハードコート層3を形成する(メタ)アクリレートの含有量としては、特に限定されないが、5質量%以上85質量%以下が好ましく、10質量%以上80質量%以下がさらに好ましく、15質量%以上75質量%以下が特に好ましい。ハードコート層3を形成する(メタ)アクリレートの含有量が上記上限を超えると、成型時に割れが発生するおそれが高くなる。また、ハードコート層3を形成する(メタ)アクリレートの含有量が上記下限未満であると、耐摩耗性及び塗膜硬度が低下するおそれがある。一方、ハードコート層3を形成する(メタ)アクリレートの含有量が上記範囲内であると、耐摩耗性及び塗膜硬度を好適に保ちつつ、適度な柔軟性を保持し、割れの発生を抑制することができる。
上記重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーズケトン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)チタニウム、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。なお、これらの化合物は、各単体で用いてもよく、複数混合して用いてもよい。
ハードコート層3の鉛筆硬度としては、特に限定されないが、例えばH以上が好ましく、2H以上がさらに好ましく、3H以上が特に好ましい。当該ハードコートフィルム1は、ハードコート層3の鉛筆硬度が上記下限未満であると、硬度に劣るおそれがある。これに対し、当該ハードコートフィルム1は、ハードコート層3の鉛筆硬度が上記範囲内であると、ハードコート層3を好ましい硬度に保つことができる。これにより、ハードコートフィルム1は、ハードコート層3の傷つき防止性を向上させ、ひいては当該ハードコートフィルム1の取扱い容易性を向上させることができる。なお、「鉛筆硬度」は、JIS K5400に規定する試験方法の8.4に記載の鉛筆引っかき値に基づく値をいう。
ハードコート層3厚み(平均厚さ)は、特に限定されないが、例えば、0.5μm以上50μm以下とすることができる。
ハードコート層3の製造方法は、特に限定されないが、基材層2の一方の面に活性エネルギー線硬化樹脂を塗布し、乾燥させ、活性エネルギー線照射させることにより製造することができる。活性エネルギー線硬化樹脂の塗布方法としては、基材層2の一方の面に活性エネルギー線硬化樹脂を均一に塗布することができる方法であれば特に限定されず、例えば、スピンコート法、スプレー法、スライドコート法、ディップ法、バーコート法、ロールコーター法、スクリーン印刷法等、種々の方法を挙げることができる。また、ハードコート層3の製造に当たっては、必要に応じて、前処理として、アルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下におけるプラズマ処理等の表面改質処理を行ってもよい。また、基材層2の一方の面にアンダーコート層を積層して、このアンダーコート層を介してハードコート層3を積層してもよい。
基材層2の他方の面側に積層される。粘着層4は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等の公知の粘着性樹脂を用いて形成することができる。また、粘着層4は、かかる公知の粘着性樹脂に加えて、高圧法低密度ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、合成ゴム、天然ゴム等のエラストマー、テルペン樹脂、石油樹脂等の粘着助剤等を混合することにより形成されてもよい。
粘着層4を形成する粘着性樹脂としては、アルキル基の炭素数が8以上20以下のアルキルアクリレートモノマーに由来する構成単位、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート及びトリシクロデカン(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも一つの脂環式モノマーに由来する構成単位、並びに官能基含有モノマーに由来する構成単位を有するアクリル系共重合体を好適に用いることができる。上記アルキルアクリレートモノマーとしては、粘着力及び粘着対象からの発泡を抑制する点から、2−エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレートが好ましく、2−エチルヘキシルアクリレートが特に好ましい。粘着力が弱い場合は、粘着対象から発生する微量のガス成分が界面に滞留し気泡となり、粘着性や外観の低下を招来するおそれがある。上記アルキルアクリレートモノマーに由来する構成単位の含有量としては、他の構成単位の含有量を維持しつつ所定の粘着力を保持する点から、アクリル系共重合体を構成する全構成単位に対して29.9質量%以上55質量%以下が好ましく、35質量%以上50質量%以下がさらに好ましい。また、上記脂環式モノマーとしては、粘着力及び粘着対象からの発泡を抑制する点から、シクロヘキシルアクリレートを好適に用いることができる。上記脂環式モノマーに由来する構成単位の含有量としては、アクリル系共重合体を構成する全構成単位に対して50質量%以上70質量%以下が好ましく、55質量%以上65質量%以下がさらに好ましい。脂環式モノマーに由来する構成単位の含有量が上記上限を超えると、タックが不足して粘着力が低下するおそれがある。一方、脂環式モノマーに由来する構成単位の含有量が上記下限未満であると、粘着対象からの発泡を効果的に防止することができないおそれがある。上記官能基含有モノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートや各種ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート又はカルボキシル基を有する不飽和単量体、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸等が挙げられる。なかでも、粘着力や粘着対象からの発泡を抑制する点から、2−ヒドロキシエチルアクリレートが好ましい。上記官能基含有モノマーに由来する構成単位の含有量としては、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.5質量%以上5質量%以下がさらに好ましい。官能基含有モノマーに由来する構成単位の含有量が上記上限を超えると、粘着層4の極性が大きくなり、低極性表面への粘着力が低下するおそれがある。一方、官能基含有モノマーに由来する構成単位の含有量が上記下限未満であると、粘着層4の凝集力が低下して剪断方向の応力に対して形状を維持しにくくなるおそれがある。
かかるアクリル系共重合体の製造方法としては、公知のラジカル重合法等が挙げられる。例えば、トルエンやキシレンのような炭化水素系や酢酸エチルのようなエステル系の有機溶媒中に上記単量体を溶解してアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、過酸化ベンゾイル等の重合開始剤を添加して50〜90℃程度で、3〜20時間程度重合を行うことによりアクリル系共重合体の有機溶媒溶液を得ることができる。
アクリル系共重合体の重量平均分子量としては、例えば20万以上、好ましくは40万以上200万以下、さらに好ましくは50万以上150万以下である。アクリル系共重合体の重量平均分子量が上記上限を超えると、ポリマー合成時の重合が困難となるおそれがある。一方、アクリル系共重合体の重量平均分子量が上記下限未満であると、気泡を生じるおそれが高くなる。なお、重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー法で測定される標準ポリスチレン換算の値である。
アクリル系共重合体のガラス転移温度としては、粘着剤として十分な粘着力を得るため通常−10℃以下であり、好ましくは−70℃以上−20℃以下である。
粘着層4は、粘着剤溶液を基材層2の他方の面側に塗布して乾燥させることによって基材層2に積層することができる。また、粘着層4は、粘着剤溶液を予めセパレータの片面に塗布して乾燥させておいたうえ、基材層2と貼り合わせることにより基材層2に積層することもできる。
粘着層4の厚み(平均厚さ)は、特に限定されないが、例えば、10μm以上40μm以下とすることができる。
当該ハードコートフィルム1の面内リタデーション値(Ro)は、100nm以下とされており、50nm以下がより好ましく、15nm以下がさらに好ましく、5nm以下が特に好ましい。また、ハードコートフィルム1の厚さ方向リタデーション値(Rth)は、200nm以下とされており、100nm以下がより好ましく、30nm以下がさらに好ましく、10nm以下が特に好ましい。当該ハードコートフィルム1は、このように面内リタデーション値(Ro)及び厚さ方向リタデーション値(Rth)を小さくすることで、透過光線の変換作用を抑制し、他の光学部材の光学的機能を阻害するおそれを防止することができる。
当該ハードコートフィルム1のヘイズ値としては、特に限定されないが、2%以下が好ましく、1%以下がより好ましく、0.5%以下がさらに好ましい。当該ハードコートフィルム1は、ヘイズ値が上記範囲を超えると、映像の視認性が低下し、表示される映像の鮮明度が低下するおそれがある。一方、当該ハードコートフィルム1は、ヘイズ値を上記範囲とすることで、映像の視認性の低下を抑止し、表示される映像の鮮明度を保つことができる。
当該ハードコートフィルム1の可視光線透過率としては、特に限定されないが、87%以上が好ましく、90%以上がさらに好ましい。当該ハードコートフィルム1は、可視光線透過率が上記範囲未満であると、可視光線を十分に透過させることができず、視認性を低下させるおそれがある。一方、当該ハードコートフィルム1は、可視光線透過率を上記範囲とすることで、可視光線を十分に透過させ、視認性を向上させることができる。
当該ハードコートフィルム1は、粘着層4をタッチパネルのガラス基板の表面及び/又は裏面に貼着させてこのガラス基板の裏面側に積層されることにより、タッチパネル破損時における破片等の飛散防止機能を効果的に高めることができる。
当該ハードコートフィルム1は、基材層2、ハードコート層3及び粘着層4を備えているため、粘着層4により、例えばタッチパネルのガラス基板等に貼着することで、このガラス基板等が破損した場合でも、これらの破片が飛散するのを効果的に防止することができる。また、当該ハードコートフィルム1は、基材層2の一方の面にハードコート層3が積層されているので、タッチパネル等の製造時や運搬時等の傷つけ防止機能を高めることができるとともに、取扱容易性を向上させることができる。当該ハードコートフィルム1は、内面リタデーション値(Ro)及び厚さ方向リタデーション値(Rth)が所定の範囲とされているので、他の光学部材の光学的機能を阻害するおそれを防止することができる。当該ハードコートフィルム1は、三次元表示装置に用いられてもよい。当該ハードコートフィルム1は、立体映像表示装置に用いられた場合、偏光サングラスをかけて見た場合の虹模様を抑えることができる。
図2のタッチパネル11は、ガラス基板12、14と、電極層13と、ハードコートフィルム1とを有している。ガラス基板12は、表面側の略中央領域が指先による入力が行われる入力領域として形成されている。ガラス基板12の裏面には、粘着層4が貼着されることでハードコートフィルム1が積層されている。電極層13は、透明導電膜であり、互いに交差する方向に第一電極と第二電極とが延在されている。電極層13はガラス基板14の表面側に積層されている。ガラス基板14の裏面には、粘着層4が貼着されることでハードコートフィルム1が積層されている。タッチパネル11は、ガラス基板12の入力領域に手指等が触れる前後で静電容量が変化する。タッチパネル11は、上記第一電極及び第二電極が静電容量の変化を検出し、タッチ位置を特定するように構成されている。
当該タッチパネル11は、ハードコートフィルム1が、基材層2、ハードコート層3及び粘着層4を備えているため、粘着層4をガラス基板12、14の裏面に貼着することで、ガラス基板12、14等が破損した場合でも、これらの破片が飛散するのを効果的に防止することができる。また、当該タッチパネル11は、ハードコートフィルム1の基材層2の一方の面にハードコート層3が積層されているので、製造時や運搬時等の傷つけ防止機能を高めることができるとともに、取扱容易性を向上させることができる。当該タッチパネル11は、ハードコートフィルム1の内面リタデーション値(Ro)及び厚さ方向リタデーション値(Rth)が所定の範囲とされているので、他の光学部材の光学的機能を阻害するおそれを防止することができる。
なお、本発明のハードコートフィルム及びタッチパネルは、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。例えば、当該ハードコートフィルムは、ハードコート層が2層以上の層から形成されていてもよい。また、当該ハードコートフィルムは、ハードコート層上に他の層(例えば、UV吸収層、帯電防止層及び反射防止層等)が積層されてもよい。当該ハードコートフィルムは、基材層とハードコート層、又は基材層と粘着層が、他の層を介して積層されていてもよい。当該ハードコートフィルムは、タッチパネルのガラス基板の裏面以外にも種々の光学部材に貼着させることによりこれらの部材の飛散防止性を向上させることができる。当該ハードコートフィルムは、タッチパネルのガラス基板の表面側に貼着されてもよく、またタッチパネルの表面側及び裏面側に貼着されてもよい。特に、当該ハードコートフィルムは、タッチパネルの電極層の裏面側に積層されるガラス基板の裏面に貼着されることにより、タッチパネルの製造時や運搬時等の傷つけ防止機能を効果的に高めることができ、タッチパネルの取扱容易性を好適に向上させることができる。当該ハードコートフィルムは、静電容量方式、抵抗膜方式、電磁誘導方式等、種々のタッチパネルに使用することができる。当該ハードコートフィルムは、タッチパネルの他、立体映像表示装置等、種々の液晶表示モジュールに使用することができる。
以上のように、本発明のハードコートフィルムは、ガラス基板等が破損した場合でもその破片等が飛散するのを効果的に防止することができるタッチパネルに好適に用いることができる。
1 ハードコートフィルム
2 基材層
3 ハードコート層
4 粘着層
11 タッチパネル
12 ガラス基板
13 電極層
14 ガラス基板
2 基材層
3 ハードコート層
4 粘着層
11 タッチパネル
12 ガラス基板
13 電極層
14 ガラス基板
Claims (9)
- 透明な基材層と、
この基材層の一方の面側に積層されるハードコート層と、
この基材層の他方の面側に積層される粘着層と
を有し、
面内リタデーション値(Ro)が100nm以下、かつ厚さ方向リタデーション値(Rth)が200nm以下であるハードコートフィルム。 - 上記基材層がポリカーボネート系樹脂を主成分とする請求項1に記載のハードコートフィルム。
- 上記基材層がシクロオレフィンコポリマーを主成分とする請求項1に記載のハードコートフィルム。
- 上記基材層がアクリル系樹脂を主成分とする請求項1に記載のハードコートフィルム。
- 上記基材層の平均厚さが10μm以上500μm以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のハードコートフィルム。
- ヘイズ値が2%以下である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のハードコートフィルム。
- 可視光線透過率が87%以上である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のハードコートフィルム。
- 上記粘着層によりタッチパネルのガラス基板の表面及び/又は裏面に貼着される請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のハードコートフィルム。
- ガラス基板と、このガラス基板の表面及び/又は裏面に粘着層により貼着される請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のハードコートフィルムとを備えるタッチパネル。
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