JP2013018911A - 合成樹脂部材の難燃化コーティング剤及びこれを用いた合成樹脂部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】合成樹脂部材の難燃化に優れたコーティング剤及びこれを用いた難燃性の合成樹脂部材を提供する。
【解決手段】本発明の難燃性合成樹脂部材は、厚さ3mmの合成樹脂部材としての板状アクリル樹脂の表面全体に本発明のコーティング剤層が乾燥質量50g/m2で積層されており、該コーティング剤層の表面には、保護層としての厚さ100μmのアクリル樹脂層が形成されている。前記コーティング剤は合成樹脂部材の表面に塗装して皮膜を形成するものであって、該コーティング剤が化学式:K2O/nSiO2(n=1.9〜3.7)で示される珪酸カリウムの水溶液を含有し、該水溶液のpHが10.0〜13.8であることが必要である。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の難燃性合成樹脂部材は、厚さ3mmの合成樹脂部材としての板状アクリル樹脂の表面全体に本発明のコーティング剤層が乾燥質量50g/m2で積層されており、該コーティング剤層の表面には、保護層としての厚さ100μmのアクリル樹脂層が形成されている。前記コーティング剤は合成樹脂部材の表面に塗装して皮膜を形成するものであって、該コーティング剤が化学式:K2O/nSiO2(n=1.9〜3.7)で示される珪酸カリウムの水溶液を含有し、該水溶液のpHが10.0〜13.8であることが必要である。
【選択図】なし
Description
本発明は、合成樹脂部材の難燃化に用いるコーティング剤及びそのコーティング剤を用いた難燃性合成樹脂部材に関する。
従来、合成樹脂部材を難燃化に効果があるコーティング剤としては、以下のようなものがある。
例えば、特許文献1には、(a)アミンシリケートをSiO2換算で3〜15重量部、(b)合成樹脂0.5〜8重量部、(c)銀、銅および微粒子状酸化チタンの群から選ばれた少なくとも1種を、銀もしくは銅原子換算で0.002〜2重量部または酸化チタン換算で3〜25重量部、(d)平均粒径または平均長さが0.01〜50μmである非水溶性の無機充填材15〜75重量部、ならびに(e)水および/または親水性有機溶剤15〜75重量部〔ただし、(a)+(b)+(c)+(d)+(e)=100重量部〕を主成分としたものが示されている。
例えば、特許文献1には、(a)アミンシリケートをSiO2換算で3〜15重量部、(b)合成樹脂0.5〜8重量部、(c)銀、銅および微粒子状酸化チタンの群から選ばれた少なくとも1種を、銀もしくは銅原子換算で0.002〜2重量部または酸化チタン換算で3〜25重量部、(d)平均粒径または平均長さが0.01〜50μmである非水溶性の無機充填材15〜75重量部、ならびに(e)水および/または親水性有機溶剤15〜75重量部〔ただし、(a)+(b)+(c)+(d)+(e)=100重量部〕を主成分としたものが示されている。
もう一例として、特許文献2には、合成樹脂100重量部に対して、層状珪酸塩1〜40重量部及びヒンダードアミン系化合物0.1〜10重量部を配合したものが示されている。
ところが、これらのコーティング剤は合成樹脂部材の表面に被覆した場合に、合成樹脂部材に難燃性を付与する効果が十分でなかった。
また、特許文献3には、有機質発泡プラスチック成型体において、プラスチックビーズまたはプラスチック発泡体を製造した後、アルカリ土類金属化合物またはアルカリ土類金属化合物を含む物質、または、酸の中で選ばれた1種以上のものとケイ酸塩とを改質して、前記プラスチックビーズまたはプラスチック発泡体にコーティングした後、熱と圧力を加え融着・結合させて成型し、乾燥させて製造したものが示されている。
ところが、この方法では、不燃性の合成樹脂部材を得るために、熱と圧力を加えるといった複雑な工程が必要であった。
上記したように、従来のコーティング剤では、合成樹脂部材に難燃性を付与する効果が十分でなかったり、不燃性の合成樹脂部材を得るために複雑な工程が必要であったりといった問題があった。
本発明は、合成樹脂部材の表面に被覆することにより、容易に、合成樹脂部材を難燃化するコーティング剤を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、合成樹脂部材の表面にコーティング層を形成するために用いるコーティング剤であって、化学式:K2O/nSiO2(n=1.9〜3.7)で示される珪酸カリウムの水溶液を含有し、コーティング層100質量部に占める珪酸カリウムの含有量が50質量部以上であることを特徴とする合成樹脂部材の難燃化コーティング剤である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、難燃化コーティング剤のpHが10.0〜13.8であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、合成樹脂部材の表面の一部又は全面が、請求項1又は2に記載のコーティング剤によって形成されたコーティング層によって被覆されていることを特徴とする難燃性合成樹脂部材である。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、コーティング層によって被覆された部分の表面積1m2あたりのコーティング層の質量が5〜150gであることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、合成樹脂部材の表面に被覆することにより、容易に合成樹脂部材を難燃化することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、難燃化コーティング剤に非結晶質シリカの沈殿が生じ難くなる。
請求項3に記載の発明によれば、難燃化された合成樹脂部材が得られる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項3の発明の効果に加え、合成樹脂部材が特に難燃性に優れる。
本発明の難燃化コーティング剤は、合成樹脂部材の表面に塗装して乾燥硬化させることによってコーティング層を形成し、合成樹脂部材を難燃化するために用いる。
この難燃化コーティング剤によってコーティング層を形成することによって、合成樹脂部材の難燃性を大きく向上させることができる。また、塗装後に常温環境下で静置しておいてもコーティング層を形成できるため、特に複雑な工程を必要としない。
前記合成樹脂部材とは、合成樹脂製の成形体をいい、その素材は、任意に設定することができる。合成樹脂部材を構成する合成樹脂としては、例えば、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。これらは単独で用いても良く、2種類以上を混合又は共重合して用いても良い。また、これらをビーズ発泡又は連続発泡等の方法で発泡させた発泡樹脂として用いても良い。
また、合成樹脂以外の素材との複合素材であっても前記難燃化コーティング剤を適用する部分が合成樹脂で構成されているものは、合成樹脂部材とする。例えば、無機材料や金属製の基材の表面を合成樹脂層で覆ったものや、金属繊維やガラス繊維を用いた繊維強化プラスチック(FRP)なども、難燃化コーティング剤を塗装する部分が合成樹脂であれば合成樹脂部材とする。
前記合成樹脂部材の形状は任意に設定することができる。例えば、板状、棒状、球状、円錐状、角錐状、ばね状、フィルム状、円筒状等が挙げられる。また、その厚さも任意に設定することができる。
前記難燃化コーティング剤は、合成樹脂部材の表面全面に塗装するだけでなく、合成樹脂部材の表面の一部分にだけ塗装しても良い。例えば、直接火にさらされるたり、熱の影響を大きく受けたりする部分にだけ難燃化コーティング剤を塗装して、熱の影響が小さい部分には、難燃化コーティング剤を塗装しないこともある。
前記難燃化コーティング剤は、化学式:K2O/nSiO2(n=1.9〜3.7)で示される珪酸カリウムの水溶液を含有する。珪酸カリウムを用いることにより、難燃化コーティング剤によって形成されるコーティング層は遮炎性に優れ、また、合成樹脂部材の表面に被覆した場合の皮膜形成に優れる。なお、コーティング層が遮炎性を有することによって、合成樹脂部材に難燃性を付与する効果が得られる。
前記の化学式:K2O/nSiO2におけるnの値は、好ましくは、n=1.9〜3.7であり、より好ましくはn=2.2〜3.0、最も好ましくはn=2.5〜2.8である。この範囲にあるときコーティング層が遮炎性に優れ、合成樹脂部材を難燃化しやすい。n=1.9未満の場合には遮炎性が十分でない。逆にn=3.7を超える場合には合成樹脂表面に被覆した場合の皮膜形成が十分でないため、コーティング層に欠損が生じやすく、その欠損によって十分な遮炎性が得られない恐れがある。
難燃化コーティング剤が乾燥硬化して形成されるコーティング層100質量部に占める珪酸カリウムの含有量は、好ましくは50質量部以上であり、より好ましくは70以上質量部、最も好ましくは75質量部以上である。この範囲にあるとき、合成樹脂部材の難燃化に優れる。コーティング層100質量部に占める珪酸カリウムの含有量が少なすぎると、合成樹脂部材を十分に難燃化できない。なお、コーティング層100質量部に占める珪酸カリウムの含有量は100質量部でもかまわないが、コーティング剤として塗装しやすい粘性のものを得るためには、増粘剤などを添加する必要があるため、コーティング層100質量部に占める含有量は98質量部までに抑えておくとよい。
前記難燃化コーティング剤のpHは、好ましくは10.0〜13.8であり、より好ましくは10.5〜13.0、最も好ましくは11.0〜12.5である。この範囲にあるとき、モノマーとポリマーの珪酸イオンの安定溶液を存在させることができる。pHが10.0未満の場合には非結晶質シリカの沈殿が生じてしまう。逆に13.8を超えると皮膚刺激性が高まって取り扱いに注意が必要となるため好ましくない。
前記コーティング層の単位面積当たりの質量は、合成樹脂部材のコーティング層によって被覆された部分の表面積1m2あたりに好ましくは5〜150gであり、より好ましくは10〜100gであり、最も好ましくは30〜75gである。この範囲にあるとき合成樹脂部材の難燃化に優れる。難燃化コーティング剤の表面積1m2あたりの質量5g未満の場合には遮炎性が十分でないため、合成樹脂を難燃化する効果が十分でない。逆に、150gを超える場合には外部からの衝撃などによってコーティング層にひび割れ等の欠損が生じ易く、その欠損によって十分な遮炎性が得られない恐れがある。
前記難燃化コーティング剤には、前記の珪酸カリウム以外にも以下の成分を含有させてもよい。
例えば、増粘剤として、カルボキシメチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース、カゼイン等のタンパク質、キサンタンガム、グァーガム、タラガム等の多糖類等を用いることができる。また、特に厳しい燃焼性が要求される場合には、これらを使用しない方がより難燃性の高い合成樹脂部材を得易い。
また、難燃化コーティング剤の凍結防止、及び増粘剤のコーティング剤中への混和性の向上を目的として水溶性溶剤を含有させてもよい。例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール等のグリコール類、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類を用いることができる。
また、コーティング層に着色が必要な場合には、通常のコーティング剤に用いる着色顔料を任意に設定して添加することができる。例えば、ベンガラ、オーカー等の酸化鉄、酸化チタン等が挙げられる。なお、着色顔料は無機材料であることが好ましい。着色顔料が無機材料であることにより、合成樹脂部材の難燃性を向上させることができる。
上記成分の他にも、この発明の効果を損なわない範囲内において、従来、コーティング剤に配合される各成分を添加することができる。例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化チタン、アルミナ、シリカ、無機繊維、ロックウールなどの充填材、分散剤、湿潤剤等の界面活性剤、造膜助剤、防凍剤等の溶剤、消泡剤、着色顔料、体質顔料、金属石鹸、安定剤、粘度・粘性調整のための増粘剤、防腐剤、防黴剤等が挙げられる。
なお、珪酸カリウム以外の成分を含有させる場合において、コーティング層中の有機成分の量が多すぎると、コーティング層の遮炎性が低下して、合成樹脂部材を十分に難燃化できない恐れがあるので、コーティング層100質量部に占める有機成分の含有量は、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。最も好ましくは、有機成分の含有量が0質量部であり、難燃性が特に高い合成樹脂部材を得易い。
前記難燃化コーティング剤の塗装方法は特に限定されず、例えば、一般的な塗料の塗装方法によって塗装することができる。例えば、刷毛、ローラー、エアスプレー、エアレススプレー、フローコーター、ロールコーター等の塗装器具や塗装機を用いて塗装できる。また、塗装器具や塗装機を用いないでディッピング等によって塗装してもよい。
難燃化コーティング剤は塗装後に常温で静置しておいても、乾燥硬化してコーティング層を形成するが、加熱乾燥させてもよい。例えば、80℃程度の温度で加熱することによって、速やかにコーティング層を形成することもできる。
以上のように合成樹脂部材の表面に形成されたコーティング層には、コーティング層を外部からの水や衝撃から保護するために、コーティング層の表面に更に保護層を設けることが好ましい。保護層は、コーティング層に降雨・高湿度を含めた水との接触する恐れや外部からの衝撃を受ける恐れが少ない場合には省略することができる。
前記保護層の組成や厚みなどは任意に設定することができる。
例えば、合成樹脂塗料などによって形成された樹脂層、或いは樹脂を主成分とする層が挙げられる。保護層に用いられる樹脂としては、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等の熱硬化性樹脂、ブチルゴム、加硫ゴム等の合成ゴム等が挙げられる。これらは単独で用いても良く、2種類以上を混合又は共重合して用いても良い。
例えば、合成樹脂塗料などによって形成された樹脂層、或いは樹脂を主成分とする層が挙げられる。保護層に用いられる樹脂としては、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等の熱硬化性樹脂、ブチルゴム、加硫ゴム等の合成ゴム等が挙げられる。これらは単独で用いても良く、2種類以上を混合又は共重合して用いても良い。
これらの樹脂の中でも、アクリル樹脂を用いるとコーティング層をより強固に保護することができる。アクリル樹脂のモノマーとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸ターシャリーブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、4−ヒドロキシブチルアクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2以上を共重合して用いても良い。
また、上記した樹脂以外のもので層を構成してもよく、例えば、ガラス板、積層ガラス板、合わせガラス板等のガラス板を保護層としてもよい。ガラス板を用いることにより、コーティンス層に対する保護効果に優れる。
なお、前記保護層はシリカやアルミナなどに代表される無機材料を合成樹脂の表面に被覆した複合樹脂であることが好ましい。前記保護層が複合樹脂であることにより、保護層の発熱量を抑えることができるため、保護層によって合成樹脂部材の難燃性が損なわれ難い。前記複合樹脂としては例えば、特開2010−168442号公報、特開平3−106948号公報等が挙げられる。
前記保護層を難燃化コーティング剤によるコーティング層の表面に積層する方法としては、塗料の形態にして塗装して用いても良いし、フィルム又は板状の形態にして接着剤等で貼り付けても良い。
前記保護層の厚みは好ましくは10〜2000μm、より好ましくは20〜1500μm、最も好ましくは50〜1000μmである。この範囲にあるときコーティング剤層の保護性能に優れる。保護層の厚みが10μm未満の場合には保護効果が十分でない。逆に、2000μmを超えると、樹脂製の保護層を形成した場合には、保護層が燃える際の熱量が大きいため、難燃化コーティング剤による難燃性が十分発揮できない。
前記難燃化コーティング剤によって表面にコーティング層が形成された合成樹脂部材は、熱の影響を受けた際には以下のようにして効果を発揮する。
熱の影響を受けた場合の一例として、合成樹脂部材が火炎に曝された際の難燃化の機構について説明する。コーティング層が形成された合成樹脂部材は、火炎に曝されるとコーティング層が発泡して多孔質な層となって、火炎から合成樹脂部材への熱伝導を妨げる。また、コーティング層は遮炎性を有しており、火炎が直接、合成樹脂部材にあたることがない。そのため合成樹脂部材が難燃化される。
また、合成樹脂部材が樹脂製の保護層を有する場合には、火炎に曝されると保護層が溶解(或いは分解・炭化)するとともに、コーティング層が発泡して多孔質な層となって、火炎から合成樹脂部材への熱伝導を妨げる。
また、ガラスなどの不燃性の保護層を有する場合には、保護層を残したままコーティング層が発泡して多孔質な層となる。このとき、保護層も遮炎性を有し、保護層とコーティング層によってより強固に遮炎されるため、合成樹脂部材は特に難燃性に優れる。
本発明の難燃性合成樹脂部材の用途としては特に限定されないが、例えば、断熱材、吸音材、緩衝材、建材、土木材料、太陽電池のフロントパネル、太陽電池のフロントシート、太陽電池のバックシート等の合成樹脂部材として用いることができる。
(実施形態)
本発明の難燃化コーティング剤及びそれを用いた難燃性合成樹脂部材の具体的な製造例を以下に記す。
まず、下記の原材料を混合攪拌して以下に示す配合の難燃化コーティング剤を得た。
珪酸カリウム水溶液としてK2O/2SiO2で示される珪酸カリウム水溶液(不揮発分15質量%)、増粘剤としてキサンタンガム、添加剤としてポリエチレングリコール(水溶性溶剤)、充填材として四酸化三鉄(着色顔料)を用いた。
難燃化コーティング剤の配合:珪酸カリウム水溶液100質量部、キサンタンガム2質量部、ポリエチレングリコール8質量部、四酸化三鉄3質量部。
本発明の難燃化コーティング剤及びそれを用いた難燃性合成樹脂部材の具体的な製造例を以下に記す。
まず、下記の原材料を混合攪拌して以下に示す配合の難燃化コーティング剤を得た。
珪酸カリウム水溶液としてK2O/2SiO2で示される珪酸カリウム水溶液(不揮発分15質量%)、増粘剤としてキサンタンガム、添加剤としてポリエチレングリコール(水溶性溶剤)、充填材として四酸化三鉄(着色顔料)を用いた。
難燃化コーティング剤の配合:珪酸カリウム水溶液100質量部、キサンタンガム2質量部、ポリエチレングリコール8質量部、四酸化三鉄3質量部。
この難燃化コーティング剤を用いて、以下の難燃性合成樹脂部材を作製した。
20cm×20cm×厚さ3mmの板状アクリル樹脂を合成樹脂部材として、その表面全体に難燃化コーティング剤を塗装用ローラーを用いて塗装し、難燃化コーティング剤を乾燥硬化させてコーティン層を形成した。コーティング層の単位面積当たりの質量は50g/m2であった。
更に、コーティング層の表面にアクリル樹脂塗料を塗装して、保護層として厚さ100μmのアクリル樹脂層を形成した。
20cm×20cm×厚さ3mmの板状アクリル樹脂を合成樹脂部材として、その表面全体に難燃化コーティング剤を塗装用ローラーを用いて塗装し、難燃化コーティング剤を乾燥硬化させてコーティン層を形成した。コーティング層の単位面積当たりの質量は50g/m2であった。
更に、コーティング層の表面にアクリル樹脂塗料を塗装して、保護層として厚さ100μmのアクリル樹脂層を形成した。
まず、表1に配合を示すコーティング剤を調製した。
表1の配合は、各原材料の配合量を質量部で記したものである。原材料としては、ケイ酸カリウム水溶液以外には、増粘剤としてキサンタンガム、防凍剤としてエチレングリコール、着色顔料として酸化チタンを用いた。
なお、表1においては、ケイ酸カリウム水溶液中の不揮発分をケイ酸カリウムとして記載し、ケイ酸カリウム水溶液中の水分を水として記載している。また、ケイ酸カルシウムの欄における括弧内の数値は、ケイ酸カリウムの化学式:K2O/nSiO2におけるnの値である。
また、表1には、コーティング剤のpHも記載した。また、各コーティング剤によってコーティング層を形成した場合におけるコーティング層100質量部に占める珪酸カリウムの含有量(質量部)も記載した。
表1の配合は、各原材料の配合量を質量部で記したものである。原材料としては、ケイ酸カリウム水溶液以外には、増粘剤としてキサンタンガム、防凍剤としてエチレングリコール、着色顔料として酸化チタンを用いた。
なお、表1においては、ケイ酸カリウム水溶液中の不揮発分をケイ酸カリウムとして記載し、ケイ酸カリウム水溶液中の水分を水として記載している。また、ケイ酸カルシウムの欄における括弧内の数値は、ケイ酸カリウムの化学式:K2O/nSiO2におけるnの値である。
また、表1には、コーティング剤のpHも記載した。また、各コーティング剤によってコーティング層を形成した場合におけるコーティング層100質量部に占める珪酸カリウムの含有量(質量部)も記載した。
表1に記載したコーティング剤のうち、コーティング剤1〜4は本発明の難燃化コーティング剤に該当する。コーティング剤5はケイ酸カリウムの化学式におけるnの値が本発明の難燃化コーティング剤よりも小さく、コーティング剤6はnの値が本発明の難燃化コーティング剤よりも大きい。
表1に示すコーティング剤を表2〜5に記載の各合成樹脂部材の表面全体に塗装して、乾燥硬化させて合成樹脂部材の表面にコーティング層を形成した。また、いくつかの部材には保護層も形成した。
その詳細を表2〜6に記載する。表2〜5には、合成樹脂部材の素材と形状(括弧内に記載)、コーティング層の形成に用いたコーティング剤の種類と塗装部分における単位表面積あたりのコーティング層の質量(括弧内に記載)、保護層の素材と厚み(括弧内に記載)を記載している。なお、合成樹脂部材については、30cm×30cmの板状の部材を使用しており、括弧内にはその厚みのみを記載する。
その詳細を表2〜6に記載する。表2〜5には、合成樹脂部材の素材と形状(括弧内に記載)、コーティング層の形成に用いたコーティング剤の種類と塗装部分における単位表面積あたりのコーティング層の質量(括弧内に記載)、保護層の素材と厚み(括弧内に記載)を記載している。なお、合成樹脂部材については、30cm×30cmの板状の部材を使用しており、括弧内にはその厚みのみを記載する。
上記したコーティング剤及び合成樹脂部材について、以下の項目について試験を行なった。
(貯蔵安定性)
コーティング剤1〜6を調整した後、各コーティング剤を約500ccずつ容器に入れて密封し、温度23℃の環境下で7日間貯蔵した。その後、容器を開けてコーティング剤の状態を目視により観察した。
その結果、コーティング剤1〜5には特に異常はみられなかったが、コーティング剤6ではコーティング剤が分離して沈殿物がみられた。
コーティング剤1〜6を調整した後、各コーティング剤を約500ccずつ容器に入れて密封し、温度23℃の環境下で7日間貯蔵した。その後、容器を開けてコーティング剤の状態を目視により観察した。
その結果、コーティング剤1〜5には特に異常はみられなかったが、コーティング剤6ではコーティング剤が分離して沈殿物がみられた。
(成膜性)
合成樹脂部材にコーティング剤を塗装してコーティング層を形成した後、保護層を形成する前に、コーティング層の状態を目視によって観察した。
実施例1〜18及び比較例5の合成樹脂部材では、コーティング層に特に異常はみられなかったが、比較例6の合成樹脂部材では、コーティング層にひび割れがみられた。
合成樹脂部材にコーティング剤を塗装してコーティング層を形成した後、保護層を形成する前に、コーティング層の状態を目視によって観察した。
実施例1〜18及び比較例5の合成樹脂部材では、コーティング層に特に異常はみられなかったが、比較例6の合成樹脂部材では、コーティング層にひび割れがみられた。
(耐衝撃性)
合成樹脂部材としてアクリル樹脂板を用い、保護層を設けなかったものについては、下記の方法でコーティング層の耐衝撃性を確認した。
JIS A1408に規定された砂上全面支持法によって、水平に保持した合成樹脂部材の表面に、200gの鉄球を30cmの高さから落下させた後、コーティング層の状態を目視によって観察した。
試験の結果を表6に示す。
合成樹脂部材としてアクリル樹脂板を用い、保護層を設けなかったものについては、下記の方法でコーティング層の耐衝撃性を確認した。
JIS A1408に規定された砂上全面支持法によって、水平に保持した合成樹脂部材の表面に、200gの鉄球を30cmの高さから落下させた後、コーティング層の状態を目視によって観察した。
試験の結果を表6に示す。
(難燃性)
合成樹脂部材をガスバーナーで炙って、合成樹脂部材に着火するまでの時間を測定した。なお、合成樹脂部材の表面からガスバーナーの口までの距離は5cmとなるようにした。
各合成樹脂部材に着火するまでの時間を表6に示す。
合成樹脂部材をガスバーナーで炙って、合成樹脂部材に着火するまでの時間を測定した。なお、合成樹脂部材の表面からガスバーナーの口までの距離は5cmとなるようにした。
各合成樹脂部材に着火するまでの時間を表6に示す。
Claims (4)
- 合成樹脂部材の表面にコーティング層を形成するために用いるコーティング剤であって、化学式:K2O/nSiO2(n=1.9〜3.7)で示される珪酸カリウムの水溶液を含有し、コーティング層100質量部に占める珪酸カリウムの含有量が50質量部以上であることを特徴とする合成樹脂部材の難燃化コーティング剤。
- 前記難燃化コーティング剤のpHが10.0〜13.8であることを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂部材の難燃化コーティング剤。
- 合成樹脂部材の表面の一部又は全面が、請求項1又は2に記載のコーティング剤によって形成されたコーティング層によって被覆されていることを特徴とする難燃性合成樹脂部材。
- 前記コーティング層によって被覆された部分の表面積1m2あたりのコーティング層の質量が5〜150gであることを特徴とする請求項3に記載の難燃性合成樹脂部材。
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