JP2013018044A - 摩擦撹拌接合工具の移動方法 - Google Patents

摩擦撹拌接合工具の移動方法 Download PDF

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Abstract

【課題】摩擦撹拌接合においてスタート時のバリの発生を効果的に抑制する。
【解決手段】摩擦撹拌接合工具10を回転しつつピン12を接合開始点P1に挿入していくと、回転ロッド11の周囲の環状の領域Rに多量のバリβが発生する。そこで、回転しているピン12を接合開始点P1に挿入した後、摩擦撹拌接合工具10を回転しつつ、前進点P4に進めてから、環状経路rに沿い移動させる動作を採用することにより、ピン12を接合開始点P1に挿入したときに大量に発生したバリβを消失させることができ、全体としてバリβの発生を抑制することができる。
【選択図】図2E

Description

本発明は摩擦撹拌接合工具の移動方法に関し、バリの発生を抑制することができるように工夫したものである。
摩擦撹拌接合(FSW:Friction Stir Welding)は、回転ロッドの先端面にピンを備えた摩擦撹拌接合工具を回転させながら、ピンを被接合材に押し込み、回転している摩擦撹拌接合工具を接合線に沿って移動させていくことにより、摩擦熱によって軟化した材料を撹拌(塑性流動化)して接合する接合方法である。
ここで、図5を参照して、摩擦撹拌接合による突合せ接合の手法を概説する。
図5(a)に示すように、円柱状の回転ロッド11の先端面(ショルダ面)の中心にピン12を備えた摩擦撹拌接合工具10を回転させ、図5(b)に示すように、摩擦撹拌接合工具10を回転させつつピン12を被接合材1に挿入し、図5(c)に示すように、ピン12を被接合材(金属板)1に挿入した状態で摩擦撹拌接合工具10を回転させつつ接合線に沿い移動し、最後に図5(c)に示すように、ピン12を被接合材1から引き抜く。
なお、図5において、αは接合領域、βはバリ、ehはエンドホールである。
この摩擦撹拌接合は、通常の溶融溶接とは異なり、固相での接合が行われるため、金属組織が微細化し機械的特性に優れているという利点を有している。
かかる摩擦撹拌接合は、アルミニウムなどの軽金属材料の接合に利用されているが、近年では、ステンレス鋼などの鋼材のような、高強度材の接合にも適用されてきている。
また摩擦撹拌接合は、上述したような、大気中における突合せ接合(継手)や重ね合わせ接合(継手)等に適用できる他、液体ナトリウムなどのような液体金属中に存在する金属板に発生した亀裂などを補修する場合にも適用されている。
つまり、液体ナトリウムなどのような液体金属中に存在する金属板に亀裂が発生した場合には、亀裂位置から離れた所からFSW接合を開始し、亀裂部分を通過するように摩擦撹拌接合工具を移動させていき、亀裂部分を通過したら摩擦撹拌接合工具を引き抜く。このようにすれば、亀裂部分が接合領域となって接合されることにより補修ができる。
FSW施工をした場合には、条件によってはバリ(図5参照)が発生する。バリは、ピンの差し込み量が大きい場合や、入熱量が大きい場合に、材料の撹拌状況等によって発生する。
発生したバリは、美観を損なうと共に、疲労強度が低下する等の理由から、通常では、グラインダ等で除去される。接合される材料がアルミニウムなどの軽金属の場合には、グラインダ等でバリは、比較的容易に除去することができる。
なお、液体ナトリウムなどのような液体金属中に存在する金属板を、FSWにより補修したことによりバリが発生した場合、このバリが外れて液体ナトリウム中に浮遊してしまうと、機器障害の原因となる可能性がある。このため、液体ナトリウムなどのような液体金属中に存在する金属板をFSWにより補修する場合には、なるべくバリが発生しないようにすることが要望されていた。
ここで、バリ発生を低減したり、発生したバリを除去したりする従来手法を説明する。
特許文献1(特開2000−334578)に示す技術では、回転ロッド(円柱状の工具本体)の外周部に、バリ取りカッタを一体的に備えている。
このため、摩擦撹拌接合工具が回転して発生したバリは、回転するバリ取りカッタにより切削されチップとして除去される。
特許文献2(特開2002−224859)や特許文献3(特許第3283439号)に示す技術では、回転ロッドの先端面(ショルダ面)に、ピンに対して同心状となっている円環状の溝(メタル溜り部)を形成している。しかも、円環状の溝(メタル溜り部)は、回転ロッドの先端面(ショルダ面)の外周縁とピンの外周面との間の位置に形成されている。
このため、摩擦撹拌接合工具が回転・移動することにより生じた塑性流動化したメタルはメタル溜り部に入り、バリの発生を抑制することができる。
特許文献4(特開2005−231576)に示す技術では、被接合材のうちバリが発生する部分に予め(接合前に)円弧を有する突起を形成しておく。そして摩擦撹拌接合をすると突起にバリが形成される。
このため、接合後にバリを突起と共に切除すると、バリが切除されるとともに突起の一部が切除される一方で、突起の円弧部分が残る。このように円弧部分が残るため、切除部分がなめらかとなる。
なお特許文献5(特開2005―95951)に示す技術では、FSW重ね合わせ継手接合において、疲労強度を向上するために、FSW開始部と接合起点との位置を異ならせたり、FSW終端部と接合終点との位置を異ならせたりしている。
特開2000−334578 特開2002−224859 特許第3283439号 特開2005−231576 特開2005―95951
しかし、被接合材が鋼等の高強度材である場合には、接合で生じたバリが強固であるため、バリを除去することは難しい。
また、スタート部では、接合工具を被接合材に挿入していくことにより特に多くのバリが発生するが、このスタート部で発生したバリを除去することは、従来方法では困難であった。
また、液体金属(ナトリウム)中、水中等の特殊環境で摩擦撹拌接合をする場合には、狭隘環境等で視認性が悪いことが多く、バリの除去、切削したバリの回収等が非常に困難である。
更に、亀裂補修のように発生位置が特定できない場合には、通常の接合継手のように、継手形状による対策(特許文献4に示すような対策)は難しい。
本発明は、上記従来技術に鑑み、バリの発生を効果的に抑制することができる、摩擦撹拌接合工具の移動方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の構成は、
回転ロッドの先端面にピンを備えた摩擦撹拌接合工具を回転させながら被接合材の接合開始点に前記ピンを挿入してから、前記ピンを前記被接合材に挿入した状態で前記摩擦撹拌接合工具を回転しつつ接合線に沿い移動させ、前記ピンが接合終了点に達したら前記ピンを前記被接合材から引き抜く摩擦撹拌接合工具の移動方法において、
前記ピンを前記接合開始点に挿入したら、前記接合開始点から前記接合終了点に向かうのとは反対方向にある後退点にまで、前記摩擦撹拌接合工具を移動させ、その後、前記後退点から前記接合開始点に戻ってから前記接合線に沿い前記接合終了点に向かって前記摩擦撹拌接合工具を移動させ、
しかも、前記接合開始点から前記後退点までの距離は、前記回転ロッドの直径の1/2から1/1になっていることを特徴とする。
また本発明の構成は、
回転ロッドの先端面にピンを備えた摩擦撹拌接合工具を回転させながら被接合材の接合開始点に前記ピンを挿入してから、前記ピンを前記被接合材に挿入した状態で前記摩擦撹拌接合工具を回転しつつ接合線に沿い移動させ、前記ピンが接合終了点に達したら前記ピンを前記被接合材から引き抜く摩擦撹拌接合工具の移動方法において、
前記ピンを前記接合開始点に挿入することにより前記回転ロッドの周囲に沿う環状の領域に形成されたバリを除去・抑制するために、前記ピンを前記接合開始点に挿入した後に、前記環状の領域に沿い前記ピンが移動するように前記摩擦撹拌接合工具を移動させ、その後、前記接合線に沿い前記接合終了点に向かって前記摩擦撹拌接合工具を移動させることを特徴とする。
また本発明の構成は、
回転ロッドの先端面にピンを備えた摩擦撹拌接合工具を回転させながら被接合材の接合開始点に前記ピンを挿入してから、前記ピンを前記被接合材に挿入した状態で前記摩擦撹拌接合工具を回転しつつ接合線に沿い移動させ、前記ピンが接合終了点に達したら前記ピンを前記被接合材から引き抜く摩擦撹拌接合工具の移動方法において、
前記ピンを前記接合開始点に挿入することにより前記回転ロッドの周囲に沿う環状の領域に形成されたバリを除去・抑制するために、前記ピンを前記接合開始点に挿入した後に、前記環状の領域の複数箇所を直線的に通過して前記ピンが移動するように、前記接合線に平行な方向の移動と前記接合線に直交する方向の移動を組み合わせて前記摩擦撹拌接合工具を移動させ、その後、前記接合線に沿い前記接合終了点に向かって前記摩擦撹拌接合工具を移動させることを特徴とする。
また本発明の構成は、
回転ロッドの先端面にピンを備えた摩擦撹拌接合工具を回転させながら被接合材の接合開始点に前記ピンを挿入してから、前記ピンを前記被接合材に挿入した状態で前記摩擦撹拌接合工具を回転しつつ接合線に沿い移動させ、前記ピンが接合終了点に達したら前記ピンを前記被接合材から引き抜く摩擦撹拌接合工具の移動方法において、
前記摩擦撹拌接合工具を前記接合線に沿い移動させる際に、前記ピンが、前記接合線に平行な方向に前進してから、前記接合線に直交する方向に左横進行し、再び前記接合線に平行な方向に前進してから、前記接合線に直交する方向に右横進行するという一連の進行動作を繰り返し行い、
しかも、1回あたりの前記接合線に平行な方向に前進する距離は、前記回転ロッドの直径の1/2から3/4になり、
且つ、1回あたりの前記接合線に直交する方向に左進行する距離、及び、1回あたりの前記接合線に直交する方向に右進行する距離は、前記回転ロッドの直径の1/2から3/4になるように、前記摩擦撹拌接合工具を移動させることを特徴とする。
本発明の摩擦撹拌接合工具によれば、摩擦撹拌接合工具の移動経路を工夫することにより、摩擦撹拌接合に伴うバリの発生を抑制することができる。
本発明の実施例1に係る摩擦撹拌接合工具の移動方法を示す説明図。 本発明の実施例1に係る摩擦撹拌接合工具の移動方法を示す説明図。 本発明の実施例1に係る摩擦撹拌接合工具の移動方法を示す説明図。 本発明の実施例1に係る摩擦撹拌接合工具の移動方法を示す説明図。 本発明の実施例1に係る摩擦撹拌接合工具の移動方法を示す説明図。 本発明の実施例2に係る摩擦撹拌接合工具の移動方法を示す説明図。 本発明の実施例2に係る摩擦撹拌接合工具の移動方法を示す説明図。 本発明の実施例2に係る摩擦撹拌接合工具の移動方法を示す説明図。 本発明の実施例2に係る摩擦撹拌接合工具の移動方法を示す説明図。 本発明の実施例2に係る摩擦撹拌接合工具の移動方法を示す説明図。 本発明の実施例3に係る摩擦撹拌接合工具の移動方法を示す説明図。 本発明の実施例3に係る摩擦撹拌接合工具の移動方法を示す説明図。 本発明の実施例3に係る摩擦撹拌接合工具の移動方法を示す説明図。 本発明の実施例3に係る摩擦撹拌接合工具の移動方法を示す説明図。 本発明の実施例3に係る摩擦撹拌接合工具の移動方法を示す説明図。 本発明の実施例3に係る摩擦撹拌接合工具の移動方法を示す説明図。 本発明の実施例3に係る摩擦撹拌接合工具の移動方法を示す説明図。 本発明の実施例3に係る摩擦撹拌接合工具の移動方法を示す説明図。 本発明の実施例4に係る摩擦撹拌接合工具の移動方法を示す説明図。 従来技術の摩擦撹拌接合工具による接合手順を示す構成図。
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき詳細に説明する。
なお、以下の各実施例では、図5に示した摩擦撹拌接合工具10を用いて摩擦撹拌接合する際における、摩擦撹拌接合工具10の移動方法について工夫したものである。
前述したように、摩擦撹拌接合工具10は、円柱状の回転ロッド11の先端面であるショルダ面に、ピン12を一体的に備えて構成されている。ピン12は、回転ロッド11と同軸となって、ショルダ面の中心から突出している。
本発明の実施例1に係る、摩擦撹拌接合工具10の移動方法を、図1A〜図1Eを参照して順に説明する。なお摩擦撹拌接合工具10は、図示しない移動装置により移動される。
実施例1では、X軸方向及びY軸方向(図1A参照)に沿い移動する移動装置により、摩擦撹拌接合工具10を移動する。
図1Aは、液体ナトリウムなどのような液体金属中に存在する被接合材である金属板101を示す平面図である。この金属板101には亀裂Kが発生している。そこで、摩擦撹拌接合により亀裂Kを接合して補修をするため、金属板101上に接合開始点P1と接合終了点P2を設定する。接合開始点P1と接合終了点P2とを結ぶラインが接合線Lであり、接合線Lが亀裂Kの発生位置を通過している。
なお、P3は後退点であり、接合開始点P1から見て、接合終了点P2に向かうのとは反対方向に設定した点である。本例では、接合開始点P1と後退点P3との距離は、摩擦撹拌接合工具10の回転ロッド11の直径の1/2であるが、回転ロッド11の直径の1/2から1/1の範囲の長さにしてもよい。
図1Bに示すように、摩擦撹拌接合工具10を回転させながらピン12を接合開始点P1に挿入する。このときには、摩擦撹拌接合工具10はXY平面内での水平移動をしておらず、回転しながら金属板101に押し込まれてピン12が金属板101に挿入されていくだけであるため、大量のバリβが発生する。つまり、回転ロッド11の周囲に沿う環状の領域Rに、大量のバリβが形成される。
なお、ピン12が金属板101に挿入された後に、ピン12を金属板101に挿入した状態のままで摩擦撹拌接合工具10を回転させつつXY平面内で水平に移動させていく際にもバリβは発生するが、その量は、水平移動なくピン12を接合開始点P1に挿入するときに発生するバリβに比べて、かなり少ない。
実施例1では、水平移動なくピン12を接合開始点P1に挿入したときに発生したバリβの量を最終的に少なく(抑制)するため、図1Cに示すように、ピン12を金属板101に挿入した状態のままで摩擦撹拌接合工具10を回転させつつ、接合開始点P1から後退点P3にまで移動させる。その後、図1Dに示すように、ピン12を金属板101に挿入した状態のままで摩擦撹拌接合工具10を回転させつつ、後退点P3から接合開始点P1にまで移動させる。なお、αは接合領域である。
ピン12を金属板101に挿入した状態のままで摩擦撹拌接合工具10を回転させつつ移動させていく際に発生するバリβは、前述したように比較的少ない。ピン12を接合開始点P1に挿入するときに大量に発生したバリβは、摩擦撹拌接合工具10が回転しつつ、接合開始点P1→後退点P3→接合開始点P1と移動することにより、摩擦撹拌接合工具10内に再び巻き込まれるため、残存するバリβが少なくなる。
図1Eに示すように、ピン12を金属板101に挿入した状態のままで摩擦撹拌接合工具10を回転させつつ、接合線Lに沿い接合開始点P1から接合終了点P2に向かって移動させていくと、亀裂Kは接合されて接合領域αとなって補修される。
ピン12が接合終了点P2に達したら、回転している摩擦撹拌接合工具10を引き上げてピン12を金属板101から引き抜く。
このように、回転しているピン12を接合開始点P1に挿入した後、摩擦撹拌接合工具10を回転しつつ、接合開始点P1→後退点P3→接合開始点P1と移動させる動作を採用することにより、ピン12を接合開始点P1に挿入したときに大量に発生したバリβが大幅に減少して残存するバリβが少なくなる。
しかも、摩擦撹拌接合工具10を回転しつつ、接合開始点P1→後退点P3→接合開始点P1と移動させるようにプログラムを変更することは容易である。
本発明の実施例2に係る、摩擦撹拌接合工具10の移動方法を、図2A〜図2Eを参照して順に説明する。なお摩擦撹拌接合工具10は、図示しない移動装置により移動される。
実施例2では、金属板101の面内で、直線移動(X軸方向移動、Y軸方向移動)することができるのみならず曲線移動することもできる移動装置により、摩擦撹拌接合工具10を移動する。
図2Aは、液体ナトリウムなどのような液体金属中に存在する被接合材である金属板101を示す平面図である。この金属板101には亀裂Kが発生している。そこで、摩擦撹拌接合により亀裂Kを接合して補修をするため、金属板101上に接合開始点P1と接合終了点P2を設定する。接合開始点P1と接合終了点P2とを結ぶラインが接合線Lであり、接合線Lが亀裂Kの発生位置を通過している。
図2Bに示すように、摩擦撹拌接合工具10を回転させながらピン12を接合開始点P1に挿入する。このときには、摩擦撹拌接合工具10は水平移動をしておらず、回転しながら金属板101に押し込まれてピン12が金属板101に挿入されていくだけであるため、大量のバリβが発生する。つまり、回転ロッド11の周囲に沿う環状の領域Rに、大量のバリβが環状に形成される。
なお、ピン12が金属板101に挿入された後に、ピン12を金属板101に挿入した状態のままで摩擦撹拌接合工具10を回転させつつ平面内で水平に移動させていく際にもバリβは発生するが、その量は、水平移動なくピン12を接合開始点P1に挿入するときに発生するバリβに比べて、かなり少ない。
実施例2では、水平移動なくピン12を接合開始点P1に挿入したときに発生したバリβを消失させるため、拡大図である図2Cに示すように、ピン12を金属板101に挿入した状態のままで摩擦撹拌接合工具10を回転させつつ、接合開始点P1から前進点P4にまで移動させる。本例では、接合開始点P1から前進点P4までの距離を、摩擦撹拌接合工具10の回転ロッド11の直径の1/2〜3/4にしている。つまり、接合開始点P1から見て、環状の領域Rに形成されたバリβよりも外周側に、前進点P4を設定している。
次に、拡大図である図2Dに示すように、ピン12を金属板101に挿入した状態のままで摩擦撹拌接合工具10を回転させつつ、前進点P4から移動開始して、環状の領域Rに形成されたバリβよりも外周側に設定した環状経路rに沿い移動させて、前進点P4に再び戻す。
ピン12を金属板101に挿入した状態のままで摩擦撹拌接合工具10を回転させつつ環状経路rに沿い移動させていくと、ピン12を接合開始点P1に挿入したときに大量に発生した環状のバリβは、摩擦撹拌接合工具10内に再び巻き込まれて消失する。
図2Eに示すように、ピン12を金属板101に挿入した状態のままで摩擦撹拌接合工具10を回転させつつ、接合線Lに沿い前進点P4から接合終了点P2に向かって移動させていくと、亀裂Kは接合されて接合領域αとなって補修される。
ピン12が接合終了点P2に達したら、回転している摩擦撹拌接合工具10を引き上げてピン12を金属板101から引き抜く。
このように、回転しているピン12を接合開始点P1に挿入した後、摩擦撹拌接合工具10を回転しつつ、前進点P4に進めてから、環状経路rに沿い移動させる動作を採用することにより、ピン12を接合開始点P1に挿入したときに大量に発生したバリβを消失させることができ、全体としてバリβの発生を抑制することができる。
本発明の実施例3に係る、摩擦撹拌接合工具10の移動方法を、図3A〜図3Hを参照して順に説明する。なお摩擦撹拌接合工具10は、図示しない移動装置により移動される。
実施例3では、X軸方向及びY軸方向(図3A参照)に沿い移動する移動装置により、摩擦撹拌接合工具10を移動する。
図3Aは、液体ナトリウムなどのような液体金属中に存在する被接合材である金属板101を示す平面図である。この金属板101には亀裂Kが発生している。そこで、摩擦撹拌接合により亀裂Kを接合して補修をするため、金属板101上に接合開始点P1と接合終了点P2を設定する。
実施例3では、接合開始点P1は、接合線Lの始端位置ではなく、接合線Lの始端位置からずれている。接合線Lの終端位置は接合終了点P2となっており、接合線Lが亀裂Kの発生位置を通過している。
また、接合線Lの方向をX軸方向、接合線Lと直行する方向をY軸方向としている。
図3Bに示すように、摩擦撹拌接合工具10を回転させながらピン12を接合開始点P1に挿入する。このときには、摩擦撹拌接合工具10は水平移動をしておらず、回転しながら金属板101に押し込まれてピン12が金属板101に挿入されていくだけであるため、大量のバリβが発生する。つまり、回転ロッド11の周囲に沿う環状の領域Rに、大量のバリβが環状に形成される。
実施例3では、水平移動なくピン12を接合開始点P1に挿入したときに発生したバリβを消失させるため、拡大図である図3C〜図3Gに示すように、ピン12を金属板101に挿入した状態のままで摩擦撹拌接合工具10を回転させつつ、接合開始位置P1から位置P11,P12,P13,P14,P15の順で移動させる。
さらに詳述すると、ピン12を金属板101に挿入した状態のままで摩擦撹拌接合工具10を回転させつつ、
(1)接合開始位置P1から位置P11まで、回転ロッド11の直径の1/2〜3/4の長さだけ+X軸方向に移動させ(図3C参照)、
(2)位置P11から位置P12まで、回転ロッド11の直径の1/2の長さだけ+Y軸方向に移動させ(図3D参照)、
(3)位置P12から位置P13まで、回転ロッド11の直径の1.5倍の長さだけ−X軸方向に移動させ(図3E参照)、
(4)位置P13から位置P14まで、回転ロッド11の直径の長さだけ−Y軸方向に移動させ(図3F参照)、
(5)位置P14から位置P15まで、回転ロッド11の直径の1.5倍の長さだけ+X軸方向に移動させる(図3G参照)。
ちなみに、位置P11と位置P12との間の距離は、回転ロッド11の直径の1/2から3/4の範囲の長さを採用することができ、位置P12と位置P13との間の距離は、回転ロッド11の直径の1.5〜2.5倍の範囲の長さを採用することができる。
ピン12を金属板101に挿入した状態のままで摩擦撹拌接合工具10を回転させつつ、接合開始点P1から位置P11,P12,P13,P14,P15の順で移動させていくと、ピン12を接合開始点P1に挿入したときに大量に発生した環状のバリβは、摩擦撹拌接合工具10内に再び巻き込まれて消失する。
図3Hに示すように、ピン12を金属板101に挿入した状態のままで摩擦撹拌接合工具10を回転させつつ、接合線Lに沿い位置P15から接合終了点P2に向かって移動させていくと、亀裂Kは接合されて接合領域αとなって補修される。
ピン12が接合終了点P2に達したら、回転している摩擦撹拌接合工具10を引き上げてピン12を金属板101から引き抜く。
このように、回転しているピン12を接合開始点P1に挿入した後、摩擦撹拌接合工具10を回転しつつ、接合開始点P1から位置P11,P12,P13,P14,P15の順で移動させる動作を採用することにより、ピン12を接合開始点P1に挿入したときに大量に発生したバリβを消失させることができ、全体としてバリβの発生を抑制することができる。
なお、摩擦撹拌接合工具10の移動方向は、X軸方向及びY軸方向であるため、摩擦撹拌接合工具10を、接合開始点P1から位置P11,P12,P13,P14,P15の順で移動させるようにプログラムを変更することは容易である。
本発明の実施例4に係る、摩擦撹拌接合工具10の移動方法を、図4を参照して順に説明する。なお摩擦撹拌接合工具10は、図示しない移動装置により移動される。
実施例4では、X軸方向及びY軸方向(図4参照)に沿い移動する移動装置により、摩擦撹拌接合工具10を移動する。
図4は、液体ナトリウムなどのような液体金属中に存在する被接合材である金属板101を示す平面図である。この金属板101には亀裂Kが発生している。そこで、摩擦撹拌接合により亀裂Kを接合して補修をするため、金属板101上に接合開始点P1と接合終了点P2を設定する。
実施例4では、接合開始点P1は、接合線Lの始端位置ではなく、接合線Lの始端位置からずれている。接合線Lの終端位置は接合終了点P2となっており、接合線Lが亀裂Kの発生位置を通過している。なお、接合開始点P1は、接合線Lの始端位置からずれていない位置から開始してもよい。
また、接合線Lの方向をX軸方向、接合線Lと直行する方向をY軸方向としている
実施例4では、ピン12を金属板101に挿入した状態のままで摩擦撹拌接合工具10を回転させつつ移動させていくときに発生するバリを、なるべく抑制することができるように工夫したものである。
具体的には、図4に実線の矢印で示すように、ピン12を金属板101に挿入した状態のままで摩擦撹拌接合工具10を回転しつつ接合線Lに沿い移動させる際に、ピン12が、接合線Lに平行な+X軸方向に前進してから、接合線Lに直交する+Y軸方向に左横進行し、再び接合線Lに平行な+X軸方向に前進してから、接合線Lに直交する−Y軸方向に右横進行するという一連の進行動作を繰り返し行う。
しかも、1回あたりの接合線Lに平行な方向に前進する距離は、回転ロッド11の直径の1/2から3/4とし、且つ、1回あたりの接合線Lに直交する方向に左進行する距離、及び、1回あたりの接合線Lに直交する方向に右進行する距離は、回転ロッド11の直径の1/2から3/4になるように、摩擦撹拌接合工具10を移動させる。
このように、摩擦撹拌接合工具10をジグザグに横移動しつつ(オシレーションさせつつ)前進させることにより、摩擦撹拌接合工具10を回転しつつ接合線Lに沿い移動させる際に発生したバリを、オシレーションする摩擦撹拌接合工具10が巻き込んでいき、バリの発生を抑制することができる。
1、101 被接合材(金属板)
10 摩擦撹拌接合工具
11 回転ロッド
12 ピン
P1 接合開始点
P2 接合終了点
P3 後退点
P4 前進点
P11,P12,P13,P14,P15 位置
L 接合線
R 環状の領域
r 環状経路
α 接合領域
β バリ
eh エンドホール

Claims (4)

  1. 回転ロッドの先端面にピンを備えた摩擦撹拌接合工具を回転させながら被接合材の接合開始点に前記ピンを挿入してから、前記ピンを前記被接合材に挿入した状態で前記摩擦撹拌接合工具を回転しつつ接合線に沿い移動させ、前記ピンが接合終了点に達したら前記ピンを前記被接合材から引き抜く摩擦撹拌接合工具の移動方法において、
    前記ピンを前記接合開始点に挿入したら、前記接合開始点から前記接合終了点に向かうのとは反対方向にある後退点にまで、前記摩擦撹拌接合工具を移動させ、その後、前記後退点から前記接合開始点に戻ってから前記接合線に沿い前記接合終了点に向かって前記摩擦撹拌接合工具を移動させ、
    しかも、前記接合開始点から前記後退点までの距離は、前記回転ロッドの直径の1/2から1/1になっていることを特徴とする摩擦撹拌接合工具の移動方法。
  2. 回転ロッドの先端面にピンを備えた摩擦撹拌接合工具を回転させながら被接合材の接合開始点に前記ピンを挿入してから、前記ピンを前記被接合材に挿入した状態で前記摩擦撹拌接合工具を回転しつつ接合線に沿い移動させ、前記ピンが接合終了点に達したら前記ピンを前記被接合材から引き抜く摩擦撹拌接合工具の移動方法において、
    前記ピンを前記接合開始点に挿入することにより前記回転ロッドの周囲に沿う環状の領域に形成されたバリを除去・抑制するために、前記ピンを前記接合開始点に挿入した後に、前記環状の領域に沿い前記ピンが移動するように前記摩擦撹拌接合工具を移動させ、その後、前記接合線に沿い前記接合終了点に向かって前記摩擦撹拌接合工具を移動させることを特徴とする摩擦撹拌接合工具の移動方法。
  3. 回転ロッドの先端面にピンを備えた摩擦撹拌接合工具を回転させながら被接合材の接合開始点に前記ピンを挿入してから、前記ピンを前記被接合材に挿入した状態で前記摩擦撹拌接合工具を回転しつつ接合線に沿い移動させ、前記ピンが接合終了点に達したら前記ピンを前記被接合材から引き抜く摩擦撹拌接合工具の移動方法において、
    前記ピンを前記接合開始点に挿入することにより前記回転ロッドの周囲に沿う環状の領域に形成されたバリを除去・抑制するために、前記ピンを前記接合開始点に挿入した後に、前記環状の領域の複数箇所を直線的に通過して前記ピンが移動するように、前記接合線に平行な方向の移動と前記接合線に直交する方向の移動を組み合わせて前記摩擦撹拌接合工具を移動させ、その後、前記接合線に沿い前記接合終了点に向かって前記摩擦撹拌接合工具を移動させることを特徴とする摩擦撹拌接合工具の移動方法。
  4. 回転ロッドの先端面にピンを備えた摩擦撹拌接合工具を回転させながら被接合材の接合開始点に前記ピンを挿入してから、前記ピンを前記被接合材に挿入した状態で前記摩擦撹拌接合工具を回転しつつ接合線に沿い移動させ、前記ピンが接合終了点に達したら前記ピンを前記被接合材から引き抜く摩擦撹拌接合工具の移動方法において、
    前記摩擦撹拌接合工具を前記接合線に沿い移動させる際に、前記ピンが、前記接合線に平行な方向に前進してから、前記接合線に直交する方向に左横進行し、再び前記接合線に平行な方向に前進してから、前記接合線に直交する方向に右横進行するという一連の進行動作を繰り返し行い、
    しかも、1回あたりの前記接合線に平行な方向に前進する距離は、前記回転ロッドの直径の1/2から3/4になり、
    且つ、1回あたりの前記接合線に直交する方向に左進行する距離、及び、1回あたりの前記接合線に直交する方向に右進行する距離は、前記回転ロッドの直径の1/2から3/4になるように、前記摩擦撹拌接合工具を移動させることを特徴とする摩擦撹拌接合工具の移動方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019120310A (ja) * 2017-12-28 2019-07-22 本田技研工業株式会社 動力伝達装置の部材接合構造
JP2020099913A (ja) * 2018-12-20 2020-07-02 株式会社東芝 き裂補修方法及びき裂補修装置
DE102017102664B4 (de) 2017-02-10 2023-05-04 Gunnar Retzlaff Verfahren zur Unterwasser-Reparatur einer Stahlkonstruktion

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