JP2012527473A - インフルエンザの治療および診断のための組成物および方法 - Google Patents

インフルエンザの治療および診断のための組成物および方法 Download PDF

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ゴードン キング,
トーマス シー. コックス,
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ジェニファー ミッチャム,
マシュー モイル,
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Abstract

本発明は、新規ヒト抗インフルエンザ抗体ならびに関連する組成物および方法を提供する。これらの抗体は、インフルエンザ感染症の診断および治療に使用する。本発明は、M2eに対して特異的である完全ヒトモノクローナル抗体を提供する。任意選択で、抗体は、ヒトドナーのB細胞から単離される。例示的なモノクローナル抗体には、本明細書中に記載の8i10、21B15 23K12、3241_G23、3244_I10、3243_J07、3259_J21、3245_O19、3244_H04、3136_G05、3252_C13、3255_J06、3420_I23、3139_P23、3248_P18、3253_P10、3260_D19、3362_B11、および3242_P05が含まれる。

Description

(関連出願)
この出願は、2009年5月20日に出願された仮出願USSN61/180,027号および2009年8月14日に出願された同USSN61/234,145号(これらの内容は、それらの全体が参考として本明細書に各々援用される)の利益を主張する。
(発明の分野)
本発明は、一般に、インフルエンザ感染症の治療、診断および監視に関する。より詳細には、本発明は、インフルエンザマトリックス2タンパク質に特異的な抗体の同定方法ならびにその製造および使用に関する。そのような抗体は、インフルエンザを予防および治療するため、ならびにインフルエンザ感染症を診断および監視するための薬剤組成物において有用である。
(発明の背景)
インフルエンザウイルスは米国において集団の5〜20%に感染し、毎年30,000〜50,000件の死亡をもたらす。インフルエンザワクチンが主な感染予防方法であるが、4つの抗ウイルス薬、すなわち、アマンタジン、リマンタジン、オセルタミビルおよびザナミビルも米国において利用可能である。ウイルスのM2タンパク質中のアミノ酸置換の結果、アマンタジンおよびリマンタジン(rimantidine)に対するウイルスの耐性が増加しているため、2005年12月時点では、オセルタミビル(TAMIFLU(商標))のみがインフルエンザAの治療に推奨されている。
インフルエンザAウイルス感染症によって引き起こされる疾患は、その周期性の性質を特徴とする。抗原ドリフトおよびシフトにより、異なるA株が毎年出現することが可能となる。それに加えて、病原性の高い株が一般集団内に入ってしまう脅威により、インフルエンザ感染症の新規治療の必要性が重視されている。中和抗体の主要なものは、赤血球凝集素およびノイラミニダーゼタンパク質の多型領域に対するものである。したがって、そのような中和MAbは、1つまたは数種の株しか標的としないと推定される。近年、比較的不変のマトリックス2(M2)タンパク質が注目されている。潜在的には、M2に対する中和MAbがすべてのインフルエンザA株に対する適当な治療薬となるであろう。
M2タンパク質は、イオンチャネルを形成するホモ四量体の形で存在し、細胞内に入る際に、ウイルスの脱外被に寄与すると考えられている。感染後、M2は細胞表面で大量に見つけることができる。続いて、M2はビリオン外被内に取り込まれるが、ここではM2は全コートタンパク質の約2%しか構成しない。M2細胞外ドメイン(M2e)は短く、アミノ末端の2〜24個のアミノ酸が細胞外に表示される。現在までの抗M2 MAbは、この直鎖状配列に対するものである。したがって、抗M2 MAbは、ネイティブM2上のコンホメーション決定基を含めた、細胞によって発現されたM2に対する所望の結合特性を示さない場合がある。
したがって、当技術分野では長年にわたり、細胞によって発現されたM2に結合し、ネイティブM2上のコンホメーション決定基に結合する新しい抗体が必要性されている。
(発明の要旨)
本発明は、M2eに対して特異的である完全ヒトモノクローナル抗体を提供する。任意選択で、抗体は、ヒトドナーのB細胞から単離される。例示的なモノクローナル抗体には、本明細書中に記載の8i10、21B15 23K12、3241_G23、3244_I10、3243_J07、3259_J21、3245_O19、3244_H04、3136_G05、3252_C13、3255_J06、3420_I23、3139_P23、3248_P18、3253_P10、3260_D19、3362_B11、および3242_P05が含まれる。あるいは、モノクローナル抗体は、8i10、21B15 23K12、3241_G23、3244_I10、3243_J07、3259_J21、3245_O19、3244_H04、3136_G05、3252_C13、3255_J06、3420_I23、3139_P23、3248_P18、3253_P10、3260_D19、3362_B11、または3242_P05と同じエピトープに結合する抗体である。この抗体は、本明細書中でそれぞれhuM2e抗体と呼ぶ。huM2e抗体は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を有する:a)インフルエンザウイルスのマトリックス2外部ドメイン(M2e)ポリペプチドの細胞外ドメイン中のエピトープに結合する;b)インフルエンザA感染細胞に結合する;またはc)インフルエンザAウイルスに結合する。
huM2e抗体が結合するエピトープは、M2ポリペプチドの非直鎖状エピトープである。好ましくは、エピトープは、M2eポリペプチドのアミノ末端領域を含む。より好ましくは、エピトープは、アミノ酸配列SLLTEV(配列番号42)を完全にまたは部分的に含む。最も好ましくは、エピトープは、配列番号1に従う番号付けにより、M2eポリペプチドの2位、5位および6位のアミノ酸を含む。2位のアミノ酸はセリンであり、5位のアミノ酸はスレオニンであり、6位のアミノ酸はグルタミン酸である。
huM2e抗体は、配列番号44または50のアミノ酸配列を有する重鎖可変および配列番号46または52のアミノ酸配列を有する軽鎖可変を含む。好ましくは、3つの重鎖CDRは、NYYWS(配列番号72)、FIYYGGNTKYNPSLKS(配列番号74)、ASCSGGYCILD(配列番号76)、SNYMS(配列番号103)、VIYSGGSTYYADSVK(配列番号105)、CLSRMRGYGLDV(配列番号107)(Kabat方法によって決定)またはASCSGGYCILD(配列番号76)、CLSRMRGYGLDV(配列番号107)、GSSISN(配列番号109)、FIYYGGNTK(配列番号110)、GSSISN(配列番号111)、GFTVSSN(配列番号112)、VIYSGGSTY(配列番号113)(Chothia方法によって決定)のアミノ酸配列と少なくとも90%、92%、95%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一であるアミノ酸配列を含み、軽鎖は、RASQNIYKYLN(配列番号59)、AASGLQS(配列番号61)、QQSYSPPLT(配列番号63)、RTSQSISSYLN(配列番号92)、AASSLQSGVPSRF(配列番号94)、QQSYSMPA(配列番号96)(Kabat方法によって決定)またはRASQNIYKYLN(配列番号59)、AASGLQS(配列番号61)、QQSYSPPLT(配列番号63)、RTSQSISSYLN(配列番号92)、AASSLQSGVPSRF(配列番号94)、QQSYSMPA(配列番号96)(Chothia方法によって決定)のアミノ酸配列と少なくとも90%、92%、95%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一であるアミノ酸配列を含む3つのCDRを有する。抗体はM2eに結合する。
重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含む、単離された抗マトリックス2外部ドメイン(M2e)抗体、またはその抗原結合断片であって、VHドメインおよびVLドメインがそれぞれ3つの相補性決定領域1から3(CDR1〜3)を含み、各CDRが次のアミノ酸配列:VH CDR1:配列番号179、187、196、204、212、224、230、235、242、248、または254;VH CDR2:配列番号180、188、195、197、205、213、218、225、231、236、243、249、246、または256;VH CDR3配列番号181、189、198、206、214、219、226、232、237、244、または250;VL CDR1:配列番号184、192、199、215、220、233、または238;VL CDR2:配列番号61、185、193、200、207、211、216、227、239、または241;およびVL CDR3:配列番号63、186、194、201、208、221、228、234、240、245、または251を含む、抗マトリックス2外部ドメイン(M2e)抗体、またはその抗原結合断片。
代替としてまたは追加的に、重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含む、単離された抗マトリックス2外部ドメイン(M2e)抗体、またはその抗原結合断片であって、VHドメインおよびVLドメインがそれぞれ3つの相補性決定領域1から3(CDR1〜3)を含み、各CDRが次のアミノ酸配列:VH CDR1:配列番号182、190、202、209、222、229、247、252、257、258、または260;VH CDR2:配列番号183、191、203、210、217、223、230、246、253、259、または261;VH CDR3配列番号181、189、195、198、206、214、219、226、232、237、244、または250;VL CDR1:配列番号184、192、199、215、220、233、または238;VL CDR2:配列番号61、185、193、200、207、211、216、227、239、または241;およびVL CDR3:配列番号63、186、194、201、208、221、228、234、240、245、または251を含む、抗マトリックス2外部ドメイン(M2e)抗体、またはその抗原結合断片。
M2e抗体の重鎖は、例えばIgHV4またはIgHV3生殖系列遺伝子などの生殖系列V(可変)遺伝子に由来する。
本発明のM2e抗体は、ヒトIgHV4またはIgHV3生殖系列遺伝子配列によってコードされる可変重鎖(V)領域を含む。IgHV4生殖系列遺伝子配列は、例えば、受託番号L10088、M29812、M95114、X56360およびM95117として示される。IgHV3生殖系列遺伝子配列は、例えば、受託番号X92218、X70208、Z27504、M99679およびAB019437として示される。本発明のM2e抗体は、IgHV4またはIgHV3生殖系列遺伝子配列と少なくとも80%相同である核酸配列によってコードされるV領域を含む。好ましくは、核酸配列は、IgHV4またはIgHV3生殖系列遺伝子配列と少なくとも90%、95%、96%、97%相同であり、より好ましくは、IgHV4またはIgHV3生殖系列遺伝子配列と少なくとも98%、99%相同である。M2e抗体のV領域は、IgHV4またはIgHV3 V生殖系列遺伝子配列によってコードされるV領域のアミノ酸配列と少なくとも80%相同である。好ましくは、M2e抗体のV領域のアミノ酸配列は、IgHV4またはIgHV3生殖系列遺伝子配列によってコードされるアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、96%、97%相同であり、より好ましくは、IgHV4またはIgHV3生殖系列遺伝子配列によってコードされる配列と少なくとも98%、99%相同である。
また、本発明のM2e抗体は、ヒトIgKV1生殖系列遺伝子配列によってコードされる可変軽鎖(V)領域も含む。ヒトIgKV1 V生殖系列遺伝子配列は、例えば、受託番号X59315、X59312、X59318、J00248、およびY14865に示されている。あるいは、M2e抗体は、IgKV1生殖系列遺伝子配列と少なくとも80%相同である核酸配列によってコードされるV領域を含む。好ましくは、核酸配列は、IgKV1生殖系列遺伝子配列と少なくとも90%、95%、96%、97%相同であり、より好ましくは、IgKV1生殖系列遺伝子配列と少なくとも98%、99%相同である。M2e抗体のV領域は、IgKV1生殖系列遺伝子配列によってコードされるV領域のアミノ酸配列と少なくとも80%相同である。好ましくは、M2e抗体のV領域のアミノ酸配列は、IgKV1生殖系列遺伝子配列によってコードされるアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、96%、97%相同であり、より好ましくは、IgKV1生殖系列遺伝子配列によってコードされる配列と少なくとも98%、99%相同である。
別の態様では、本発明は、本発明によるhuM2e抗体を含む組成物を提供する。組成物は、場合によって、本明細書に記載のM2e抗体のいずれか1つと、薬学的担体とを含む医薬組成物である。様々な態様では、この組成物は、抗ウイルス薬、ウイルス侵入阻害剤(viral entry inhibitor)またはウイルス付着阻害剤(viral attachment inhibitor)をさらに含む。抗ウイルス薬は、例えば、ノイラミニダーゼ阻害剤、HA阻害剤、シアル酸阻害剤またはM2イオンチャネル阻害剤である。M2イオンチャネル阻害剤は、例えば、アマンタジンまたはリマンタジンである。ノイラミニダーゼ阻害剤は、例えば、ザナミビル、またはリン酸オセルタミビルである。さらなる態様では、この組成物は、第2の抗インフルエンザA抗体をさらに含む。
さらなる態様では、本発明によるhuM2e抗体は、治療剤または検出可能な標識と作動可能に連結している。
さらに、本発明は、huM2e抗体を被験体に投与することによって、免疫応答を刺激し、インフルエンザウイルス感染症の症状を治療し、予防し、または緩和する方法を提供する。
任意選択で、被験体に、それだけには限定されないが、インフルエンザウイルス抗体、抗ウイルス薬(ノイラミニダーゼ阻害剤、HA阻害剤、シアル酸阻害剤もしくはM2イオンチャネル阻害剤など)、ウイルス侵入阻害剤またはウイルス付着阻害剤等の第2の薬剤をさらに投与する。M2イオンチャネル阻害剤は、例えば、アマンタジンまたはリマンタジンである。ノイラミニダーゼ阻害剤は、例えば、ザナミビル、またはリン酸オセルタミビルである。被験体は、例えば自己免疫疾患または炎症性障害など、インフルエンザウイルス感染症を患っているか、またはそれを発症する素因がある。
別の態様では、本発明は、インフルエンザウイルスに曝される前および/またはその後に、被験体に本発明のhuM2e抗体を投与する方法を提供する。例えば、本発明のhuM2e抗体を用いて、拒絶インフルエンザ感染症を治療または予防する。huM2e抗体は、ウイルス排除を促進する、またはインフルエンザA感染細胞を排除するために十分な用量で投与する。
また、本発明は、患者から得た生物学的試料をhumM2e抗体と接触させること;前記生物学的試料に結合する前記抗体の量を検出すること;前記生物学的試料に結合する抗体の量を対照値と比較することによる、患者中におけるインフルエンザウイルス感染の存在を決定する方法も含む。
本発明はさらに、huM2e抗体を含む診断キットを提供する。
本発明の他の特長および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかであり、それに包含される。
図1は、遊離のM2ペプチドの有無における、M2発現構築体または対照ベクターをトランスフェクトした293−HEK細胞に対する本発明の3種の抗体、および対照hu14C2抗体の結合を示す写真である。 図2Aは、インフルエンザA/Puerto Rico/8/32に結合するヒトモノクローナル抗体を示すグラフである。 図2Bは、インフルエンザA/Puerto Rico/8/32に結合するヒトモノクローナル抗体を示すグラフである。 図3Aは、M2変異体の細胞外ドメインのアミノ酸配列を示す表である。 図3Bは、図3Aに示されるM2変異体に結合するヒトモノクローナル抗インフルエンザ抗体の結合を示す棒グラフである。 図3Bは、図3Aに示されるM2変異体に結合するヒトモノクローナル抗インフルエンザ抗体の結合を示す棒グラフである。 図3Cは、図3Aに示されるM2変異体に結合するヒトモノクローナル抗インフルエンザ抗体の結合を示す棒グラフである。 図3Cは、図3Aに示されるM2変異体に結合するヒトモノクローナル抗インフルエンザ抗体の結合を示す棒グラフである。 図4Aは、アラニンスキャニング変異誘発に供されたM2ペプチドに結合するヒトモノクローナル抗インフルエンザ抗体の結合を示す棒グラフである。 図4AおよびBは、アラニンスキャニング変異誘発に供されたM2ペプチドに結合するヒトモノクローナル抗インフルエンザ抗体の結合を示す棒グラフである。 図5は、CHO細胞株であるDG44において安定に発現されたインフルエンザ株A/HK/483/1997配列を表すM2タンパクへのMAb 8i10および23K12の結合を示す一連の棒グラフである。 図6Aは、変異M2ペプチドへの抗M2抗体の交差反応結合を示す表である。 図6Bは、切断されたM2ペプチドへのM2抗体の結合活性を示す表である。 図7は、ヒト抗インフルエンザモノクローナル抗体で処理されたインフルエンザ感染マウスの生存を示すグラフである。 図8は、抗M2抗体がM2eのN末端の高度に保存された領域に結合することを示す説明図である。 図9は、粗製上清からの抗M2rHMAbクローンがELISA上でインフルエンザに結合し、一方、対照の抗M2e mAb 14C2は容易にウイルスに結合しなかったことを示すグラフである。 図10は、抗M2rHMAbがインフルエンザ感染細胞に結合したことを示す一連の写真である。MDCK細胞は、インフルエンザA/PR/8/32に感染させたかまたは感染させなかった。24時間後に粗製上清からのAb結合を試験した。データはFMATプレートスキャナーから収集した。 図11は、粗製上清からの抗M2rHMAbクローンがインフルエンザのサブタイプであるH3N2、HK483、およびVN1203 M2タンパク質をトランスフェクトした細胞に結合したことを示すグラフである。インフルエンザ株であるH3N2、HK483、およびVN1203に対応する完全長M2 cDNAをコードするプラスミド、ならびに空の(モック(mock))プラスミド対照を293細胞に一過性にトランスフェクトした。14C2、8i10、23K12、および21B15 mABはトランスフェクタントへの結合について試験され、AF647を結合体化した抗ヒトIgG二次抗体を用いて検出された。FACS分析後の特異的なmAB結合の平均蛍光強度を示す。
(詳細な説明)
本発明は、マトリックス2(M2)ポリペプチドの細胞外ドメインに対して特異的な完全ヒトモノクローナル抗体を提供する。この抗体は、本明細書中でそれぞれhuM2e抗体と呼ぶ。
M2とは、インフルエンザウイルスおよびウイルス感染した細胞の表面上にホモ四量体として存在する、96個のアミノ酸の膜貫通タンパク質である。M2は、インフルエンザA株全体にわたって高度に保存されている23個のアミノ酸の外部ドメイン(M2e)を含む。1918年に流行した株以降はわずかなアミノ酸変化しか起こっておらず、したがって、M2eはインフルエンザ治療の魅力的な標的である。以前の研究では、M2eの直鎖状配列に対応するペプチドを用いて免疫化して、M2外部ドメイン(M2e)に特異的なモノクローナル抗体を誘導していた。対照的に、本発明は、完全長M2を細胞系内で発現させ、これにより、この細胞によって発現されたM2eに結合したヒト抗体の同定が可能となる新規プロセスを提供する。huM2e抗体は、M2をトランスフェクトした細胞上のコンホメーション決定基、ならびにインフルエンザ感染細胞上またはウイルス自体上のネイティブM2に結合することが示されている。huM2e抗体は、直鎖状M2eペプチドには結合しなかったが、やはり細胞系内へのcDNAのトランスフェクトによって発現される、いくつかの天然のM2変異体には結合する。したがって、本発明は、非常に幅広い範囲のインフルエンザAウイルス株に対して新規の特異性を示す、ヒトモノクローナル抗体の同定および産生を可能にする。これらの抗体は、インフルエンザA感染症を同定するために診断的に、かつインフルエンザA感染症を治療するために治療的に使用し得る。
本発明のhuM2e抗体は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を有する:huM2e抗体は、a)インフルエンザウイルスのマトリックス2(M2)ポリペプチドの細胞外ドメイン中のエピトープに結合する;b)インフルエンザA感染細胞に結合する;および/またはc)インフルエンザAウイルス(すなわちバイロン(viron))に結合する。本発明のhuM2e抗体は、ADCCなどの免疫エフェクター機構によってインフルエンザ感染細胞を排除し、インフルエンザバイロンに結合することによって直接のウイルス排除を促進する。本発明のhuM2e抗体は、M2eポリペプチドのアミノ末端領域に結合する。好ましくは、本発明のhuM2e抗体は、N末端のメチオニン残基が存在しないM2eポリペプチドのアミノ末端領域に結合する。例示的なM2e配列には、以下の表Iに記載の配列が含まれる。
一実施形態では、本発明のhuM2e抗体、配列番号1に従う番号付けにより、M2eの2位〜7位のアミノ酸残基を完全にまたは部分的に含むM2eに結合する。例えば、本発明のhuM2e抗体は、アミノ酸配列SLLTEVET(配列番号41)に完全にまたは部分的に結合し、最も好ましくは、本発明のhuM2e抗体は、アミノ酸配列SLLTEV(配列番号42)に完全にまたは部分的に結合し、好ましくは、本発明のhuM2e抗体は、M2eタンパク質の非直鎖状エピトープに結合する。例えば、huM2e抗体は、配列番号1に従う番号付けにより、M2eポリペプチドの2位、5位および6位を含むエピトープに結合し、a)2位のアミノ酸はセリンであり;b)5位のアミノ酸はスレオニンであり;c)6位のアミノ酸はグルタミン酸である。このエピトープに結合する例示的なhuM2eモノクローナル抗体は、本明細書中に記載の8I10、21B15または23K12抗体である。
8I10抗体は、以下の配列番号43に示す核酸配列によってコードされる重鎖可変領域(配列番号44)、および配列番号45に示す核酸配列によってコードされる軽鎖可変領域(配列番号46)を含む。
以下の配列中で、Chothia, C.ら(1989年、Nature、342巻:877〜883頁)によって定義されるCDRを包含するアミノ酸に下線を引き、Kabat E.A.ら(1991年、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、NIH Publication、91〜3242号、U.S. Department of Heath and Human Services.)によって定義されるCDRを太字で強調する。
8I10抗体の重鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:NYYWS(配列番号72)、FIYYGGNTKYNPSLKS(配列番号74)およびASCSGGYCILD(配列番号76)。8I10抗体の軽鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:RASQNIYKYLN(配列番号59)、AASGLQS(配列番号61)およびQQSYSPPLT(配列番号63)。
8I10抗体の重鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:GSSISN(配列番号109)、FIYYGGNTK(配列番号110)およびASCSGGYCILD(配列番号76)。8I10抗体の軽鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:RASQNIYKYLN(配列番号59)、AASGLQS(配列番号61)およびQQSYSPPLT(配列番号63)。
>8I10 VHヌクレオチド配列:(配列番号43)
>8I10 VHアミノ酸配列:(配列番号44)
Kabatは太字、Chothiaは下線
>8I10 VLヌクレオチド配列:(配列番号45)
>8I10 VLアミノ酸配列:(配列番号46)
Kabatは太字、Chothiaは下線
21B15抗体は、以下の配列番号47に示す核酸配列によってコードされる重鎖可変領域(配列番号44)、および配列番号48に示す核酸配列によってコードされる軽鎖可変領域(配列番号46)を含む抗体を含む。
以下の配列中で、Chothiaら、1989年によって定義されるCDRを包含するアミノ酸に下線を引き、Kabatら、1991年によって定義されるCDRを太字で強調する。
21B15抗体の重鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:NYYWS(配列番号72)、FIYYGGNTKYNPSLKS(配列番号74)およびASCSGGYCILD(配列番号76)。21B15抗体の軽鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:RASQNIYKYLN(配列番号59)、AASGLQS(配列番号61)およびQQSYSPPLT(配列番号63)。
21B15抗体の重鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:GSSISN(配列番号111)、FIYYGGNTK(配列番号110)およびASCSGGYCILD(配列番号76)。21B15抗体の軽鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:RASQNIYKYLN(配列番号59)、AASGLQS(配列番号61)およびQQSYSPPLT(配列番号63)。
>21B15 VHヌクレオチド配列:(配列番号47)
>21B15 VHアミノ酸配列:(配列番号44)
Kabatは太字、Chothiaは下線
>21B15 VLヌクレオチド配列:(配列番号48)
>21B15 VLアミノ酸配列:(配列番号46)
Kabatは太字、Chothiaは下線
23K12抗体は、以下の配列番号49に示す核酸配列によってコードされる重鎖可変領域(配列番号50)、および配列番号51に示す核酸配列によってコードされる軽鎖可変領域(配列番号52)を含む抗体を含む。
以下の配列中で、Chothiaら、1989年によって定義されるCDRを包含するアミノ酸に下線を引き、Kabatら、1991年によって定義されるCDRを太字で強調する。
23K12抗体の重鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:SNYMS(配列番号103)、VIYSGGSTYYADSVK(配列番号105)およびCLSRMRGYGLDV(配列番号107)。23K12抗体の軽鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:RTSQSISSYLN(配列番号92)、AASSLQSGVPSRF(配列番号94)およびQQSYSMPA(配列番号96)。
23K12抗体の重鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:GFTVSSN(配列番号112)、VIYSGGSTY(配列番号113)およびCLSRMRGYGLDV(配列番号107)。23K12抗体の軽鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:RTSQSISSYLN(配列番号92)、AASSLQSGVPSRF(配列番号94)およびQQSYSMPA(配列番号96)。
>23K12 VHヌクレオチド配列:(配列番号49)
>23K12 VHアミノ酸配列:(配列番号50)
Kabatは太字、Chothiaは下線
>23K12 VLヌクレオチド配列:(配列番号51)
>23K12 VLアミノ酸配列:(配列番号52)
Kabatは太字、Chothiaは下線
3241_G23抗体(本明細書でG23とも呼ばれる)は、以下の配列番号115に示される核酸配列によってコードされる重鎖可変領域(配列番号116)、および配列番号117に示される核酸配列によってコードされる軽鎖可変領域(配列番号118)を含む抗体を含む。
以下の配列中、Chothiaら、1989年によって定義されるCDRを包含するアミノ酸に下線を引き、Kabatら、1991年によって定義されるCDRを太字で強調する。
G23抗体の重鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:GGGYSWN(配列番号179)、FMFHSGSPRYNPTLKS(配列番号180)およびVGQMDKYYAMDV(配列番号181)。G23抗体の軽鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:RASQSIGAYVN(配列番号184)、GASNLQS(配列番号185)およびQQTYSTPIT(配列番号186)。
G23抗体の重鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:GGPVSGGG(配列番号182)、FMFHSGSPR(配列番号183)およびVGQMDKYYAMDV(配列番号181)。G23抗体の軽鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:RASQSIGAYVN(配列番号184)、GASNLQS(配列番号185)およびQQTYSTPIT(配列番号186)。
>3241_G23VHヌクレオチド配列(配列番号115)
>3241_G23VHアミノ酸配列(配列番号116)
Kabatは太字、Chothiaは下線
>3241_G23VLヌクレオチド配列(配列番号117)
>3241_G23VLアミノ酸配列(配列番号118)
3244_I10抗体(本明細書でI10とも呼ばれる)は、以下の配列番号119に示される核酸配列によってコードされる重鎖可変領域(配列番号120)、および配列番号121に示される核酸配列によってコードされる軽鎖可変領域(配列番号122)を含む抗体を含む。
以下の配列中、Chothiaら、1989年によって定義されるCDRを包含するアミノ酸に下線を引き、Kabatら、1991年によって定義されるCDRを太字で強調する。
I10抗体の重鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:SDYWS(配列番号187)、FFYNGGSTKYNPSLKS(配列番号188)およびHDAKFSGSYYVAS(配列番号189)。I10抗体の軽鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:RASQSISTYLN(配列番号192)、GATNLQS(配列番号193)およびQQSYNTPLI(配列番号194)。
I10抗体の重鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:GGSITS(配列番号190)、FFYNGGSTK(配列番号191)およびHDAKFSGSYYVAS(配列番号189)。I10抗体の軽鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:RASQSISTYLN(配列番号192)、GATNLQS(配列番号193)およびQQSYNTPLI(配列番号194)。
>3244_I10VHヌクレオチド配列(配列番号119)
>3244_I10VHアミノ酸配列(配列番号120)
Kabatは太字、Chothiaは下線
>3244_I10VLヌクレオチド配列(配列番号121)
>3244_I10VLアミノ酸配列(配列番号122)
Kabatは太字、Chothiaは下線
3243_J07抗体(本明細書でJ07とも呼ばれる)は、以下の配列番号123に示される核酸配列によってコードされる重鎖可変領域(配列番号124)、および配列番号125に示される核酸配列によってコードされる軽鎖可変領域(配列番号126)を含む抗体を含む。
以下の配列中、Chothiaら、1989年によって定義されるCDRを包含するアミノ酸に下線を引き、Kabatら、1991年によって定義されるCDRを太字で強調する。
J07抗体の重鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:SDYWS(配列番号187)、FFYNGGSTKYNPSLKS(配列番号188)およびHDVKFSGSYYVAS(配列番号195)。J07抗体の軽鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:RASQSISTYLN(配列番号192)、GATNLQS(配列番号193)およびQQSYNTPLI(配列番号194)。
J07抗体の重鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:GGSITS(配列番号190)、FFYNGGSTK(配列番号191)およびHDVKFSGSYYVAS(配列番号195)。J07抗体の軽鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:RASQSISTYLN(配列番号192)、GATNLQS(配列番号193)およびQQSYNTPLI(配列番号194)。
>3243_J07VHヌクレオチド配列(配列番号123)
>3243_J07VHアミノ酸配列(配列番号124)
Kabatは太字、Chothiaは下線
>3243_J07VLヌクレオチド配列(配列番号125)
>3243_J07VLアミノ酸配列:(配列番号126)
Kabatは太字、Chothiaは下線
3259_J21抗体(本明細書でJ21とも呼ばれる)は、以下の配列番号127に示される核酸配列によってコードされる重鎖可変領域(配列番号128)、および配列番号129に示される核酸配列によってコードされる軽鎖可変領域(配列番号130)を含む抗体を含む。
以下の配列中、Chothiaら、1989年によって定義されるCDRを包含するアミノ酸に下線を引き、Kabatら、1991年によって定義されるCDRを太字で強調する。
J21抗体の重鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:SYNWI(配列番号196)、HIYDYGRTFYNSSLQS(配列番号197)およびPLGILHYYAMDL(配列番号198)。J21抗体の軽鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:RASQSIDKFLN(配列番号199)、GASNLHS(配列番号200)およびQQSFSVPA(配列番号201)。
J21抗体の重鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:GGSISS(配列番号202)、HIYDYGRTF(配列番号203)およびPLGILHYYAMDL(配列番号198)。J21抗体の軽鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:RASQSIDKFLN(配列番号199)、GASNLHS(配列番号200)およびQQSFSVPA(配列番号201)。
>3259_J21VHヌクレオチド配列(配列番号127)
>3259_J21VHアミノ酸配列(配列番号128)
Kabatは太字、Chothiaは下線
>3259_J21VLヌクレオチド配列(配列番号129)
>3259_J21VLアミノ酸配列(配列番号130)
Kabatは太字、Chothiaは下線
3245_O19抗体(本明細書でO19とも呼ばれる)は、以下の配列番号131に示される核酸配列によってコードされる重鎖可変領域(配列番号132)、および配列番号133に示される核酸配列によってコードされる軽鎖可変領域(配列番号134)を含む。
以下の配列中、Chothiaら、1989年によって定義されるCDRを包含するアミノ酸に下線を引き、Kabatら、1991年によって定義されるCDRを太字で強調する。
O19抗体の重鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:STYMN(配列番号204)、VFYSETRTYYADSVKG(配列番号205)およびVQRLSYGMDV(配列番号206)。O19抗体の軽鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:RASQSISTYLN(配列番号192)、GASTLQS(配列番号207)およびQQTYSIPL(配列番号208)。
O19抗体の重鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:GLSVSS(配列番号209)、VFYSETRTY(配列番号210)およびVQRLSYGMDV(配列番号206)。O19抗体の軽鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:RASQSISTYLN(配列番号192)、GASTLQS(配列番号207)およびQQTYSIPL(配列番号208)。
>3245_O19VHヌクレオチド配列(配列番号131)
>3245_O19VHアミノ酸配列(配列番号132)
Kabatは太字、Chothiaは下線
>3245_O19VLヌクレオチド配列(配列番号133)
>3245_O19VLアミノ酸配列(配列番号134)
Kabatは太字、Chothiaは下線
3244_H04抗体(本明細書でH04とも呼ばれる)は、以下の配列番号135に示される核酸配列によってコードされる重鎖可変領域(配列番号136)、および配列番号137に示される核酸配列によってコードされる軽鎖可変領域(配列番号138)を含む抗体を含む。
以下の配列中、Chothiaら、1989年によって定義されるCDRを包含するアミノ酸に下線を引き、Kabatら、1991年によって定義されるCDRを太字で強調する。
H04抗体の重鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:STYMN(配列番号204)、VFYSETRTYYADSVKG(配列番号205)およびVQRLSYGMDV(配列番号206)。H04抗体の軽鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:RASQSISTYLN(配列番号192)、GASSLQS(配列番号211)およびQQTYSIPL(配列番号208)。
H04抗体の重鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:GLSVSS(配列番号209)、VFYSETRTY(配列番号210)およびVQRLSYGMDV(配列番号206)。H04抗体の軽鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:RASQSISTYLN(配列番号192)、GASSLQS(配列番号211)およびQQTYSIPL(配列番号208)。
>3244_H04VHヌクレオチド配列(配列番号135)
>3244_H04VHアミノ酸配列(配列番号136)
Kabatは太字、Chothiaは下線
>3244_H04VLヌクレオチド配列(配列番号137)
>3244_H04VLアミノ酸配列(配列番号138)
Kabatは太字、Chothiaは下線
3136_G05抗体(本明細書でG05とも呼ばれる)は、以下の配列番号139に示される核酸配列によってコードされる重鎖可変領域(配列番号140)、および配列番号141に示される核酸配列によってコードされる軽鎖可変領域(配列番号142)を含む抗体を含む。
以下の配列中、Chothiaら、1989年によって定義されるCDRを包含するアミノ酸に下線を引き、Kabatら、1991年によって定義されるCDRを太字で強調する。
G05抗体の重鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:SDFWS(配列番号212)、YVYNRGSTKYSPSLKS(配列番号213)およびNGRSSTSWGIDV(配列番号214)。G05抗体の軽鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:RASQSISTYLH(配列番号215)、AASSLQS(配列番号216)およびQQSYSPPLT(配列番号63)。
G05抗体の重鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:GGSISS(配列番号202)、YVYNRGSTK(配列番号217)およびNGRSSTSWGIDV(配列番号214)。G05抗体の軽鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:RASQSISTYLH(配列番号215)、AASSLQS(配列番号216)およびQQSYSPPLT(配列番号63)。
>3136_G05VHヌクレオチド配列(配列番号139)
>3136_G05VHアミノ酸配列(配列番号140)
Kabatは太字、Chothiaは下線
>3136_G05VLヌクレオチド配列(配列番号141)
>3136_G05VLアミノ酸配列(配列番号142)
Kabatは太字、Chothiaは下線
3252_C13抗体(本明細書でC13とも呼ばれる)は、以下の配列番号143に示される核酸配列によってコードされる重鎖可変領域(配列番号144)、および配列番号145に示される核酸配列によってコードされる軽鎖可変領域(配列番号146)を含む抗体を含む。
以下の配列中、Chothiaら、1989年によって定義されるCDRを包含するアミノ酸に下線を引き、Kabatら、1991年によって定義されるCDRを太字で強調する。
C13抗体の重鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:SDYWS(配列番号187)、YIYNRGSTKYTPSLKS(配列番号218)およびHVGGHTYGIDY(配列番号219)。C13抗体の軽鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:RASQSISNYLN(配列番号220)、AASSLQS(配列番号216)およびQQSYNTPIT(配列番号221)。
C13抗体の重鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:GASISS(配列番号222)、YIYNRGSTK(配列番号223)およびHVGGHTYGIDY(配列番号219)。C13抗体の軽鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:RASQSISNYLN(配列番号220)、AASSLQS(配列番号216)およびQQSYNTPIT(配列番号221)。
>3252_C13VHヌクレオチド配列(配列番号143)
>3252_C13VHアミノ酸配列(配列番号144)
Kabatは太字、Chothiaは下線
>3252_C13VLヌクレオチド配列(配列番号145)
>3252_C13VLアミノ酸配列(配列番号146)
Kabatは太字、Chothiaは下線
3259_J06抗体(本明細書でJ06とも呼ばれる)は、以下の配列番号147に示される核酸配列によってコードされる重鎖可変領域(配列番号148)、および配列番号149に示される核酸配列によってコードされる軽鎖可変領域(配列番号150)を含む抗体を含む。
以下の配列中、Chothiaら、1989年によって定義されるCDRを包含するアミノ酸に下線を引き、Kabatら、1991年によって定義されるCDRを太字で強調する。
J06抗体の重鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:SDYWS(配列番号187)、YIYNRGSTKYTPSLKS(配列番号218)およびHVGGHTYGIDY(配列番号219)。J06抗体の軽鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:RASQSISNYLN(配列番号220)、AASSLQS(配列番号216)およびQQSYNTPIT(配列番号221)。
J06抗体の重鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:GASISS(配列番号222)、YIYNRGSTK(配列番号223)およびHVGGHTYGIDY(配列番号219)。J06抗体の軽鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:RASQSISNYLN(配列番号220)、AASSLQS(配列番号216)およびQQSYNTPIT(配列番号221)。
>3255_J06VHヌクレオチド配列(配列番号147)
>3255_J06VHアミノ酸配列(配列番号148)
Kabatは太字、Chothiaは下線
>3255_J06VLヌクレオチド配列(配列番号149)
>3255_J06VLアミノ酸配列(配列番号150)
Kabatは太字、Chothiaは下線
3410_I23抗体(本明細書でI23とも呼ばれる)は、以下の配列番号151に示される核酸配列によってコードされる重鎖可変領域(配列番号152)、および配列番号153に示される核酸配列によってコードされる軽鎖可変領域(配列番号154)を含む抗体を含む。
以下の配列中、Chothiaら、1989年によって定義されるCDRを包含するアミノ酸に下線を引き、Kabatら、1991年によって定義されるCDRを太字で強調する。
I23抗体の重鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:SYSWS(配列番号224)、YLYYSGSTKYNPSLKS(配列番号225)およびTGSESTTGYGMDV(配列番号226)。I23抗体の軽鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:RASQSISTYLN(配列番号192)、AASSLHS(配列番号227)およびQQSYSPPIT(配列番号228)。
I23抗体の重鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:GDSISS(配列番号229)、YLYYSGSTKS(配列番号230)およびTGSESTTGYGMDV(配列番号226)。I23抗体の軽鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:RASQSISTYLN(配列番号192)、AASSLHS(配列番号227)およびQQSYSPPIT(配列番号228)。
>3420_I23VHヌクレオチド配列(配列番号151)
>3420_I23VHアミノ酸配列(配列番号152)
Kabatは太字、Chothiaは下線
>3420_I23VLヌクレオチド配列(配列番号153)
>3420_I23VLアミノ酸配列(配列番号154)
Kabatは太字、Chothiaは下線
3139_P23抗体(本明細書でP23とも呼ばれる)は、以下の配列番号155に示される核酸配列によってコードされる重鎖可変領域(配列番号156)、および配列番号157に示される核酸配列によってコードされる軽鎖可変領域(配列番号158)を含む抗体を含む。
以下の配列中、Chothiaら、1989年によって定義されるCDRを包含するアミノ酸に下線を引き、Kabatら、1991年によって定義されるCDRを太字で強調する。
P23抗体の重鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:NSFWG(配列番号230)、YVYNSGNTKYNPSLKS(配列番号231)およびHDDASHGYSIS(配列番号232)。P23抗体の軽鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:RASQTISTYLN(配列番号233)、AASGLQS(配列番号61)およびQQSYNTPLT(配列番号234)。
P23抗体の重鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:GGSISN(配列番号258)、YVYNSGNTK(配列番号259)およびHDDASHGYSIS(配列番号232)。P23抗体の軽鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:RASQTISTYLN(配列番号233)、AASGLQS(配列番号61)およびQQSYNTPLT(配列番号234)。
>3139_P23VHヌクレオチド配列(配列番号155)
>3139_P23VHアミノ酸配列(配列番号156)
Kabatは太字、Chothiaは下線
>3139_P23VLヌクレオチド配列(配列番号157)
>3139_P23VLアミノ酸配列(配列番号158)
Kabatは太字、Chothiaは下線
3248_P18抗体(本明細書でP18とも呼ばれる)は、以下の配列番号159に示される核酸配列によってコードされる重鎖可変領域(配列番号160)、および配列番号161に示される核酸配列によってコードされる軽鎖可変領域(配列番号162)を含む抗体を含む。
以下の配列中、Chothiaら、1989年によって定義されるCDRを包含するアミノ酸に下線を引き、Kabatら、1991年によって定義されるCDRを太字で強調する。
P18抗体の重鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:AYHWS(配列番号235)、HIFDSGSTYYNPSLKS(配列番号236)およびPLGSRYYYGMDV(配列番号237)。P18抗体の軽鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:RASQSISRYLN(配列番号238)、GASTLQN(配列番号239)およびQQSYSVPA(配列番号240)。
P18抗体の重鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:GGSISA(配列番号260)、HIFDSGSTY(配列番号261)およびPLGSRYYYGMDV(配列番号237)。P18抗体の軽鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:RASQSISRYLN(配列番号238)、GASTLQN(配列番号239)およびQQSYSVPA(配列番号240)。
>3248_P18VHヌクレオチド配列(配列番号159)
>3248_P18VHアミノ酸配列(配列番号160)
Kabatは太字、Chothiaは下線
>3248_P18VLヌクレオチド配列(配列番号161)
>3248_P18VLアミノ酸配列(配列番号162)
Kabatは太字、Chothiaは下線
3253_P10抗体(本明細書でP10とも呼ばれる)は、以下の配列番号163に示される核酸配列によってコードされる重鎖可変領域(配列番号164)、および配列番号165に示される核酸配列によってコードされる軽鎖可変領域(配列番号166)を含む抗体を含む。
以下の配列中、Chothiaら、1989年によって定義されるCDRを包含するアミノ酸に下線を引き、Kabatら、1991年によって定義されるCDRを太字で強調する。
P10抗体の重鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:SDYWS(配列番号187)、FFYNGGSTKYNPSLKS(配列番号188)およびHDAKFSGSYYVAS(配列番号189)。P10抗体の軽鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:RASQSISTYLN(配列番号192)、GATDLQS(配列番号241)およびQQSYNTPLI(配列番号194)。
P10抗体の重鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:GGSITS(配列番号190)、FFYNGGSTK(配列番号191)およびHDAKFSGSYYVAS(配列番号189)。P10抗体の軽鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:RASQSISTYLN(配列番号192)、GATDLQS(配列番号241)およびQQSYNTPLI(配列番号194)。
>3253_P10VHヌクレオチド配列:(配列番号163)
>3253_P10VHアミノ酸配列:(配列番号164)
Kabatは太字、Chothiaは下線
>3253_P10VLヌクレオチド配列:(配列番号165)
>3253_P10VLアミノ酸配列:(配列番号166)
Kabatは太字、Chothiaは下線
3260_D19抗体(本明細書でD19とも呼ばれる)は、以下の配列番号167に示される核酸配列によってコードされる重鎖可変領域(配列番号168)、および配列番号169に示される核酸配列によってコードされる軽鎖可変領域(配列番号170)を含む抗体を含む。
以下の配列中、Chothiaら、1989年によって定義されるCDRを包含するアミノ酸に下線を引き、Kabatら、1991年によって定義されるCDRを太字で強調する。
D19抗体の重鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:DNYIN(配列番号242)、VFYSADRTSYADSVKG(配列番号243)およびVQKSYYGMDV(配列番号244)。D19抗体の軽鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:RASQSISRYLN(配列番号238)、GASSLQS(配列番号211)およびQQTFSIPL(配列番号245)。
D19抗体の重鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:GFSVSD(配列番号247)、VFYSADRTS(配列番号246)およびVQKSYYGMDV(配列番号244)。D19抗体の軽鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:RASQSISRYLN(配列番号238)、GASSLQS(配列番号211)およびQQTFSIPL(配列番号245)。
>3260_D19VHヌクレオチド配列(配列番号167)
>3260_D19VHアミノ酸配列(配列番号168)
Kabatは太字、Chothiaは下線
>3260_D19VLヌクレオチド配列(配列番号169)
>3260_D19VLアミノ酸配列(配列番号170)
Kabatは太字、Chothiaは下線
3362_B11抗体(本明細書でB11とも呼ばれる)は、以下の配列番号171に示される核酸配列によってコードされる重鎖可変領域(配列番号172)、および配列番号173に示される核酸配列によってコードされる軽鎖可変領域(配列番号174)を含む抗体を含む。
以下の配列中、Chothiaら、1989年によって定義されるCDRを包含するアミノ酸に下線を引き、Kabatら、1991年によって定義されるCDRを太字で強調する。
B11抗体の重鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:SGAYYWT(配列番号248)、YIYYSGNTYYNPSLKS(配列番号249)およびAASTSVLGYGMDV(配列番号250)。B11抗体の軽鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:RASQSISRYLN(配列番号238)、AASSLQS(配列番号216)およびQQSYSTPLT(配列番号251)。
B11抗体の重鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:GDSITSGA(配列番号252)、YIYYSGNTY(配列番号253)およびAASTSVLGYGMDV(配列番号250)。B11抗体の軽鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:RASQSISRYLN(配列番号238)、AASSLQS(配列番号216)およびQQSYSTPLT(配列番号251)。
>3362_B11VHヌクレオチド配列(配列番号171)
>3362_B11VHアミノ酸配列(配列番号172)
Kabatは太字、Chothiaは下線
>3362_B11VLヌクレオチド配列(配列番号174)
>3362_B11VHアミノ酸配列(配列番号175)
Kabatは太字、Chothiaは下線
3242_P05抗体(本明細書でP05とも呼ばれる)は、以下の配列番号175に示される核酸配列によってコードされる重鎖可変領域(配列番号176)、および配列番号177に示される核酸配列によってコードされる軽鎖可変領域(配列番号178)を含む抗体を含む。
以下の配列中、Chothiaら、1989年によって定義されるCDRを包含するアミノ酸に下線を引き、Kabatら、1991年によって定義されるCDRを太字で強調する。
P05抗体の重鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:VSDNYIN(配列番号254)、VFYSADRTSYAD(配列番号256)およびVQKSYYGMDV(配列番号244)。P05抗体の軽鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:RASQSISRYLN(配列番号238)、GASSLQS(配列番号211)およびQQTFSIPL(配列番号245)。
P05抗体の重鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:SGFSV(配列番号257)、VFYSADRTS(配列番号246)およびVQKSYYGMDV(配列番号244)。P05抗体の軽鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:P05抗体の軽鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:RASQSISRYLN(配列番号238)、GASSLQS(配列番号211)およびQQTFSIPL(配列番号245)。
>3242_P05VHヌクレオチド配列(配列番号175)
>3242_P05VHアミノ酸配列(配列番号176)
Kabatは太字、Chothiaは下線
>3242_P05VLヌクレオチド配列(配列番号177)
>3242_P05VLアミノ酸配列(配列番号178)
Kabatは太字、Chothiaは下線
また、本発明のhuM2e抗体には、配列番号44または49のアミノ酸配列と少なくとも90%、92%、95%、97%、98%、99%もしくはそれを超えて同一である重鎖可変アミノ酸配列、および/または配列番号46または52のアミノ酸配列と少なくとも90%、92%、95%、97%、98%、99%もしくはそれを超えて同一である軽鎖可変アミノ酸を含む抗体も含まれる。
あるいは、モノクローナル抗体は、8I10、21B15、23K12、3241_G23、3244_I10、3243_J07、3259_J21、3245_O19、3244_H04、3136_G05、3252_C13、3255_J06、3420_I23、3139_P23、3248_P18、3253_P10、3260_D19、3362_B11、または3242_P05と同じエピトープに結合する抗体である。
M2e抗体の重鎖は、例えばIgHV4またはIgHV3生殖系列遺伝子などの生殖系列V(可変)遺伝子に由来する。
本発明のM2e抗体は、ヒトIgHV4またはIgHV3生殖系列遺伝子配列によってコードされる可変重鎖(V)領域を含む。IgHV4生殖系列遺伝子配列は、例えば、受託番号L10088、M29812、M95114、X56360およびM95117に示されている。IgHV3生殖系列遺伝子配列は、例えば、受託番号X92218、X70208、Z27504、M99679およびAB019437に示されている。本発明のM2e抗体は、IgHV4またはIgHV3生殖系列遺伝子配列と少なくとも80%相同である核酸配列によってコードされるV領域を含む。好ましくは、核酸配列は、IgHV4またはIgHV3生殖系列遺伝子配列と少なくとも90%、95%、96%、97%相同であり、より好ましくは、IgHV4またはIgHV3生殖系列遺伝子配列と少なくとも98%、99%相同である。M2e抗体のV領域は、IgHV4またはIgHV3 V生殖系列遺伝子配列によってコードされるV領域のアミノ酸配列と少なくとも80%相同である。好ましくは、M2e抗体のV領域のアミノ酸配列は、IgHV4またはIgHV3生殖系列遺伝子配列によってコードされるアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、96%、97%相同であり、より好ましくは、IgHV4またはIgHV3生殖系列遺伝子配列によってコードされる配列と少なくとも98%、99%相同である。
また、本発明のM2e抗体は、ヒトIgKV1生殖系列遺伝子配列によってコードされる可変軽鎖(V)領域も含む。ヒトIgKV1 V生殖系列遺伝子配列は、例えば、受託番号X59315、X59312、X59318、J00248、およびY14865に示されている。あるいは、M2e抗体は、IgKV1生殖系列遺伝子配列と少なくとも80%相同である核酸配列によってコードされるV領域を含む。好ましくは、核酸配列は、IgKV1生殖系列遺伝子配列と少なくとも90%、95%、96%、97%相同であり、より好ましくは、IgKV1生殖系列遺伝子配列と少なくとも98%、99%相同である。M2e抗体のV領域は、IgKV1生殖系列遺伝子配列によってコードされるV領域のアミノ酸配列と少なくとも80%相同である。好ましくは、M2e抗体のV領域のアミノ酸配列は、IgKV1生殖系列遺伝子配列によってコードされるアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、96%、97%相同であり、より好ましくは、IgKV1生殖系列遺伝子配列によってコードされる配列と少なくとも98%、99%相同である。
別段に定義しない限りは、本発明に関連して使用する科学用語および技術用語は、当業者によって一般的に理解されている意味を持つ。さらに、コンテキストによって別段に必要とされない限りは、単数形の用語には複数形も含まれ、複数形の用語には単数形も含まれる。一般に、本明細書中に記載の細胞や組織培養、分子生物学、およびタンパク質やオリゴ−またはポリヌクレオチド化学ならびにハイブリダイゼーションに関連して、またその技術に関連して利用する用語は、当技術分野で周知かつ一般的に使用されているものである。組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、ならびに組織培養および形質転換(例えば、電気穿孔、リポフェクション)には標準の技術を用いる。酵素反応および精製技術は、製造者の仕様書に従って、または当技術分野で一般的に行うようにもしくは本明細書中に記載のように行う。本発明の実施では、そうでないと具体的に指定しない限りは、当技術分野の技術範囲内にあるウイルス学、免疫学、微生物学、分子生物学および組換えDNA技術の慣用方法を用い、その多くは、例示目的のために以下に記載されている。そのような技術は文献中に完全に記載されている。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、1989年);Maniatisら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(1982年);DNA Cloning:A Practical Approach、第IおよびII巻(D. Glover編);Oligonucleotide Synthesis(N. Gait編、1984年);Nucleic Acid Hybridization(B. Hames & S. Higgins編、1985年);Transcription and Translation(B. Hames & S. Higgins編、1984年);Animal Cell Culture(R. Freshney編、1986年);Perbal、A Practical Guide to Molecular Cloning(1984年)を参照されたい。
本明細書中に記載の分析化学、合成有機化学、ならびに医薬および製薬化学に関連して、またその実験室手順および技術に関連して利用する用語は、当技術分野で周知かつ一般的に使用されているものである。化学合成、化学分析、製薬の調製、調合、および送達、ならびに患者の治療には標準の技術を用いる。
本発明の理解には以下の定義が有用である。
本明細書中で使用する用語「抗体」(Ab)は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、および所望の生物活性を示す限り抗体断片を含む。用語「免疫グロブリン」(Ig)とは、本明細書中で「抗体」と互換性があるように使用する。
「単離された抗体」は、その天然の環境の構成成分から分離および/または回収したものである。その天然の環境の夾雑物の構成成分は、抗体の診断的または治療的な使用を妨害する物質であり、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性または非タンパク質性の溶質が含まれ得る。好ましい実施形態では、抗体は、(1)ローリー法によって決定して抗体の95重量%より高くまで、最も好ましくは99重量%より高くまで;(2)スピンカップ配列決定装置を使用することによってN末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15個の残基を得るために十分な度合まで;または(3)クマシーブルー、もしくは、好ましくは銀染色を用いた還元もしくは非還元条件下で、SDS−PAGEによって均一になるまで、精製する。単離された抗体には組換え細胞内におけるin situの抗体が含まれる。なぜなら、当該抗体の天然環境の少なくとも1つの構成成分が存在しないためである。しかし、通常は、単離された抗体は、少なくとも1つの精製ステップによって調製する。
基本的な4本鎖の抗体単位は、2本の同一の軽(L)鎖および2本の同一の重(H)鎖からなるヘテロ四量体糖タンパク質である。IgM抗体は、5個の基本的なヘテロ四量体単位およびJ鎖と呼ばれる追加のポリペプチドからなり、したがって10個の抗原結合部位を含み、一方で、分泌型のIgA抗体は、重合して、2〜5個の基本的な4本鎖の単位およびJ鎖を含む多価の集合体を形成することができる。IgGの場合、4本鎖の単位は、一般に約150,000ダルトンである。それぞれのL鎖は1つの共有ジスルフィド結合によってH鎖と連結している一方で、2本のH鎖は、H鎖のアイソタイプに応じて1つまたは複数のジスルフィド結合によって互いに連結している。また、それぞれのHおよびL鎖は、一定間隔の鎖内ジスルフィド架橋も有する。それぞれのH鎖は、N末端に可変ドメイン(V)を有し、次いで、αおよびγ鎖のそれぞれについて3つの定常ドメイン(C)、μおよびεアイソタイプには4つのCドメインを有する。それぞれのL鎖は、N末端に可変ドメイン(V)、次いでその他方の末端に定常ドメイン(C)を有する。VはVとアラインメントされており、Cは重鎖の第1定常ドメイン(C1)とアラインメントされている。特定のアミノ酸残基が軽鎖および重鎖可変ドメインの間の界面を形成すると考えられている。VおよびVが一緒になって対合することで、単一の抗原結合部位が形成される。様々な抗体クラスの構造および特性については、例えば、Basic and Clinical Immunology、第8版、Daniel P. Stites、Abba I. Terr and Tristram G. Parslow編、Appleton & Lange、Norwalk, Conn.、1994年、71頁、および第6章を参照されたい。
任意の脊椎動物種由来のL鎖は、その定常ドメイン(C)のアミノ酸配列に応じて、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる2つの明確に異なる型のうちの一方に割り当てることができる。その重鎖定常ドメイン(C)のアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンを様々なクラスまたはアイソタイプに割り当てることができる。5つの免疫グロブリンのクラス、すなわち、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMが存在し、それぞれアルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)およびミュー(μ)と呼ばれる重鎖を有する。γおよびαクラスは、C配列および機能の比較的軽微な差異に基づいてサブクラスへとさらに分割され、例えば、ヒトは、以下のサブクラスを発現する:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2。
用語「可変」は、Vドメインの特定のセグメントが抗体間で配列が大規模に異なることを指す。Vドメインは抗原結合を媒介し、特定の抗体の、その特定の抗原に対する特異性を定義する。しかし、可変性は、可変ドメインの110個のアミノ酸の範囲全体にわたって均等に分布しているわけではない。そうではなく、V領域は、それぞれ9〜12個のアミノ酸の長さの「超可変領域」と呼ばれる可変性が非常に高いより短い領域によって隔てられている15〜30個のアミノ酸のフレームワーク領域(FR)と呼ばれる比較的不変のストレッチ(複数)からなる。ネイティブの重鎖および軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、大体はβ−シートの立体配置をとっている4つのFRを含み、これらは、β−シート構造を連結し、場合によってはその一部を形成するループを形成する、3つの超可変領域によって連結されている。それぞれの鎖中の超可変領域は、FRによって非常に近接して形を保ち、他の鎖からの超可変領域とともに、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda, Md.(1991年)参照)。定常ドメインは抗体の抗原への結合に直接関与していないが、抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)における抗体の関与など、様々なエフェクター機能を示す。
本明細書中で使用する用語「超可変領域」は、抗原結合を担っている抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、一般に、「相補性決定領域」すなわち「CDR」からのアミノ酸残基(例えば、Kabat付番システムに従って番号付けした場合に、V中の約残基24〜34(L1)、50〜56(L2)および89〜97(L3)付近、V中の約31〜35(H1)、50〜65(H2)および95〜102(H3)付近;Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda, Md.(1991年));ならびに/または「超可変ループ」からの残基(例えば、Chothia付番システムに従って番号付けした場合に、V中の残基24〜34(L1)、50〜56(L2)および89〜97(L3)、V中の26〜32(H1)、52〜56(H2)および95〜101(H3);Chothia and Lesk、J. Mol. Biol.、196巻:901〜917頁(1987年));ならびに/または「超可変ループ」/CDRからの残基(例えば、IMGT付番システムに従って番号付けした場合に、V中の残基27〜38(L1)、56〜65(L2)および105〜120(L3)、V中の27〜38(H1)、56〜65(H2)および105〜120(H3);Lefranc, M. P.ら、Nucl. Acids Res.、27巻:209〜212頁(1999年)、Ruiz, M.ら、Nucl. Acids Res.、28巻:219〜221頁(2000年))を含む。任意選択で、抗体は、以下の点の1つまたは複数で対称的な挿入物を有する:AHoに従って番号付けした場合に、V中の28、36(L1)、63、74〜75(L2)および123(L3)、ならびにV中の28、36(H1)、63、74〜75(H2)および123(H3);Honneger, A. and Plunkthun, A. J. Mol. Biol.、309巻:657〜670頁(2001年))。
「生殖系列核酸残基」は、定常または可変領域をコードしている生殖系列遺伝子中で天然に存在する核酸残基を意味する。「生殖系列遺伝子」は、生殖細胞(すなわち、卵子となる運命の細胞または***)中に見つかるDNAである。「生殖系列突然変異」は、生殖細胞または単細胞段階の接合体に起こった特定のDNAの遺伝性変化を指し、子孫に伝わる際、そのような突然変異は体内の全細胞に取り込まれる。生殖系列突然変異は、単一の体細胞が獲得する体細胞突然変異とは対照的である。一部の例では、可変領域をコードしている生殖系列DNA配列中のヌクレオチドが突然変異しており(すなわち体細胞突然変異)、異なるヌクレオチドで置き換えられている。
本明細書中で使用する用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体の集団から得た抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は少量存在し得る天然の突然変異の可能性以外は同一である。モノクローナル抗体は、単一の抗原部位に対するものであり、特異性が高い。さらに、様々な決定基(エピトープ)に対するものである様々な抗体が含まれるポリクローナル抗体調製物とは対照的に、それぞれのモノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。その特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の抗体によって汚染されていない状態で合成し得るという点で有利である。修飾語「モノクローナル」は、抗体を任意の特定の方法によって産生することを要すると解釈されるべきでない。例えば、本発明で有用なモノクローナル抗体は、Kohlerら、Nature、256巻:495頁(1975年)によって最初に記載されたハイブリドーマ方法によって調製するか、または細菌、真核動物もしくは植物細胞中で組換えDNA方法を用いて作製し得る(例えば米国特許第4,816,567号参照)。また、「モノクローナル抗体」は、例えば、Clacksonら、Nature、352巻:624〜628頁(1991年)およびMarksら、J. Mol. Biol、222巻:581〜597頁(1991年)に記載の技術を用いて、ファージ抗体ライブラリから単離してもよい。
本明細書中のモノクローナル抗体には、重鎖および/または軽鎖の一部分が、特定の種に由来するまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一または相同である一方で、鎖(複数可)の残りの部分が、別の種に由来するまたは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一または相同である「キメラ」抗体、ならびに所望の生物活性を示す限りはそのような抗体の断片が含まれる(米国特許第4,816,567号;およびMorrisonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、81巻:6851〜6855頁(1984年)参照)。本発明は、ヒト抗体に由来する可変ドメイン抗原結合配列を提供する。したがって、本明細書において主に対象とするキメラ抗体には、1つまたは複数のヒト抗原結合配列(例えばCDR)を有し、非ヒト抗体に由来する1つまたは複数の配列、例えば、FRまたはC領域配列を含む抗体が含まれる。さらに、本明細書において主に対象とするキメラ抗体には、1つの抗体クラスまたはサブクラスのヒト可変ドメイン抗原結合配列と、別の抗体クラスまたはサブクラスに由来する別の配列、例えば、FRまたはC領域配列とを含むものが含まれる。また、本発明の対象とするキメラ抗体には、本明細書中に記載したものに関連する、または非ヒト霊長類(例えば、旧世界ザル、類人猿など)等の異なる種に由来する可変ドメイン抗原結合配列を含むものも含まれる。また、キメラ抗体には、霊長類化およびヒト化した抗体も含まれる。
さらに、キメラ抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体中には見つからない残基を含み得る。これらの修飾は、抗体の性能をさらに洗練するために行う。さらなる詳細には、Jonesら、Nature、321巻:522〜525頁(1986年);Riechmannら、Nature、332巻:323〜329頁(1988年);およびPresta、Curr. Op. Struct. Biol.、2巻:593〜596頁(1992年)を参照されたい。
「ヒト化抗体」は、一般に、非ヒト源から1つまたは複数のアミノ酸残基がその中に導入されたヒト抗体とみなされる。これらの非ヒトアミノ酸残基は、しばしば「輸入」残基と呼ばれ、典型的には「輸入」可変ドメインからとる。ヒト化は、従来より、Winterおよび共同研究者らの方法(Jonesら、Nature、321巻:522〜525頁(1986年);Reichmannら、Nature、332巻:323〜327頁(1988年);Verhoeyenら、Science、239巻:1534〜1536頁(1988年))に従って、輸入超可変領域配列でヒト抗体の対応する配列を置換することによって行う。したがって、そのような「ヒト化」抗体は、実質的にインタクトなヒト可変ドメイン未満の部分が非ヒト種由来の対応する配列によって置換されている、キメラ抗体である(米国特許第4,816,567号)。
「ヒト抗体」は、ヒトによって天然に産生される抗体中に存在する配列のみを含む抗体である。しかし、本明細書中で使用するヒト抗体は、本明細書中に記載の修飾および変異配列を含めた、天然に存在するヒト抗体には見つからない残基または修飾を含み得る。これらは、典型的には、抗体性能をさらに洗練または増強するために行う。
「インタクトな」抗体は、抗原結合部位と、Cならびに少なくとも重鎖定常ドメインC1、C2およびC3とを含むものである。定常ドメインは、ネイティブ配列定常ドメイン(例えばヒトネイティブ配列定常ドメイン)またはそのアミノ酸配列変異体であり得る。好ましくは、インタクトな抗体は1つまたは複数のエフェクター機能を有する。
「抗体断片」は、インタクトな抗体の一部分、好ましくはインタクトな抗体の抗原結合または可変領域を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)、およびFv断片;二重特異性抗体(diabody);直鎖状抗体(米国特許第5,641,870号;Zapataら、Protein Eng.、8巻(10号):1057〜1062頁[1995年]参照);単鎖抗体分子;ならびに抗体断片から形成した多特異性抗体が含まれる。
語句、抗体の「機能的な断片または類似体」は、完全長抗体と共通の定性的な生物活性を有する化合物である。例えば、抗IgE抗体の機能的な断片または類似体とは、IgE免疫グロブリン分子が高親和性受容体のFcεRIに結合する能力を持つことを防止または実質的に減少するような様式で、IgE免疫グロブリンに結合することができるものである。
抗体のパパイン消化により、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片、および残りの「Fc」断片が生じ、この命名は、容易に結晶化する能力を反映している。Fab断片は、L鎖の全長、ならびにH鎖の可変領域ドメイン(V)、および1つの重鎖の第1定常ドメイン(C1)からなる。それぞれのFab断片は抗原結合に関して一価である、すなわち、これは、単一の抗原結合部位を有する。抗体のペプシン処理により、2つのジスルフィド結合したFab断片に大ざっぱに対応する単一の大きなF(ab’)断片が得られ、これは、二価の抗原結合活性を有しているが、それでも抗原を架橋結合させることができる。Fab’断片は、C1ドメインのカルボキシ末端に、抗体ヒンジ領域からの1つまたは複数のシステインを含めた追加の数残基を有することによって、Fab断片とは異なる。Fab’−SHとは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を保有するFab’の、本明細書中での命名である。F(ab’)抗体断片は、その間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として最初に産生された。抗体断片の他の化学的カップリングも知られている。
「Fc」断片は、ジスルフィドによって形を保った、両方のH鎖のカルボキシ末端部分を含む。抗体のエフェクター機能はFc領域中の配列によって決定され、この領域は、特定の種類の細胞上に見つかるFc受容体(FcR)によって認識される部分でもある。
「Fv」は、完全な抗原認識部位および抗原結合部位を含む最小抗体断片である。この断片は、密に非共有会合している1つの重鎖可変領域ドメインと1つの軽鎖可変領域ドメインとの二量体からなる。これらの2個のドメインの折り畳みから、抗原結合のためのアミノ酸残基に寄与し、抗体に対する抗原結合特異性を与える6個の超可変ループ(HおよびL鎖からそれぞれ3個のループ)が生じる。しかし、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえも、結合部位全体よりも低い親和性ではあるが抗原を認識してそれに結合する能力を有する。
「単鎖Fv」は、「sFv」または「scFv」とも略記され、単一のポリペプチド鎖へと連結されたVおよびV抗体ドメインを含む抗体断片である。好ましくは、sFvポリペプチドは、VおよびVドメインの間に、sFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にするポリペプチドリンカーをさらに含む。sFvの総説には、Pluckthun、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、113巻、Rosenburg and Moore編、Springer−Verlag、New York、269〜315頁(1994年);Borrebaeck、1995年、上記を参照されたい。
用語「二重特異性抗体(diabody)」は、VおよびVドメインの間に短いリンカー(約5〜10個の残基)を有するsFv断片(前段落を参照)を構築することによって調製する、小さな抗体断片を指し、Vドメインの鎖内ではなく鎖間の対合が達成される結果、二価断片、すなわち2つの抗原結合部位を有する断片がもたらされる。二重特異性の二重特異性抗体は、2つの抗体のVおよびVドメインが異なるポリペプチド鎖上に存在する、2つの「クロスオーバー」sFv断片のヘテロ二量体である。二重特異性抗体は、例えば、EP404,097;WO93/11161;およびHollingerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90巻:6444〜6448頁(1993年)に、より完全に記載されている。
本明細書中で使用する「内部移行する」抗体は、哺乳動物細胞上の抗原(例えば、細胞表面ポリペプチドまたは受容体)に結合した際に、細胞によって取り込まれる(すなわち進入する)ものである。内部移行する抗体には、もちろん、抗体断片、ヒトまたはキメラ抗体、および抗体結合体が含まれる。特定の治療上の応用では、in vivoの内部移行が企図される。内部移行する抗体分子の数は、細胞、特に感染細胞を死滅させるまたはその成長阻害するために十分または適当となる数である。抗体または抗体結合体の効力に応じて、一部の例では、単一の抗体分子を細胞内に取り込むことが、抗体が結合する標的細胞を死滅させるために十分である。例えば、特定の毒素は死滅させることに関して非常に強力であり、抗体と結合体化した毒素の分子1個の内部移行が、感染細胞を死滅させるために十分である。
本明細書中で使用する、抗体は、検出可能なレベル、好ましくは約10−1以上、または約10−1以上、約10−1以上、約10−1以上、もしくは10−1以上の親和定数Kで抗原と反応する場合に、「免疫特異的である」、抗原「に特異的である」または「に特異的に結合する」と言われる。また、抗体のその同類抗原に対する親和性は、一般的に解離定数Kとして表され、特定の実施形態では、HuM2e抗体は、結合する場合、10−4M以下、約10−5M以下、約10−6M以下、10−7M以下、または10−8M以下のKでM2eに特異的に結合する。抗体の親和性は、慣用技術、例えば、Scatchardら(Ann. N. Y. Acad. Sci. USA、51巻:660頁(1949年))に記載のものを用いて容易に決定することができる。
抗原、細胞またはその組織に対する抗体の結合特性は、一般に、例えば、免疫組織化学(IHC)および/または蛍光活性化細胞分取(FACS)などの免疫蛍光に基づいたアッセイを含めた免疫検出方法を用いて決定および評価し得る。
指定した抗体の「生物学的特徴」を有する抗体とは、その抗体の生物学的特徴のうちの1つまたは複数を保有するものであり、これにより、それが他の抗体から区別される。例えば、特定の実施形態では、指定した抗体の生物学的特徴を有する抗体は、指定した抗体によって結合されるものと同じエピトープに結合するおよび/または指定した抗体と共通のエフェクター機能を有する。
用語「拮抗体」抗体は、最も広範な意味で使用し、それが特異的に結合するエピトープ、ポリペプチド、または細胞の生物活性を部分的または完全に遮断、阻害、または中和する抗体が含まれる。拮抗体抗体を同定する方法は、候補拮抗体抗体が特異的に結合したポリペプチドまたは細胞を候補拮抗体抗体と接触させること、およびポリペプチドまたは細胞に通常関連している1つまたは複数の生物活性の検出可能な変化を測定することを含み得る。
「感染細胞の成長を阻害する抗体」または「成長阻害」抗体は、抗体によって結合されるM2eエピトープを発現するまたは発現することができる感染細胞に結合し、その測定可能な成長阻害をもたらすものである。好ましい成長阻害抗体は、感染細胞の成長を、適切な対照と比較して20%を超えて、好ましくは約20%〜約50%、さらにより好ましくは50%を超えて(例えば約50%〜約100%)阻害し、対照は、典型的には、試験する抗体で処理していない感染細胞である。成長阻害は、細胞培養物中に約0.1〜30μg/mlまたは約0.5nM〜200nMの抗体濃度で測定することができ、成長阻害は、感染細胞を抗体に曝露した1〜10日後に決定する。in vivoの感染細胞の成長阻害は、当技術分野で知られている様々な方法で決定することができる。抗体は、抗体を体重1kgあたり約1μg〜約100mgで投与した際、抗体を最初に投与した約5日間〜3カ月以内、好ましくは約5〜30日間以内に、感染細胞のパーセントまたは感染細胞の合計数の減少がもたらされた場合に、in vivoで成長阻害性である。
「アポトーシスを誘導する」抗体は、アネキシンVの結合、DNAの断片化、細胞の収縮、小胞体の拡張、細胞の断片化、および/または膜小胞(アポトーシス体と呼ばれる)の形成によって決定されるプログラム細胞死を誘導するものである。好ましくは、細胞は感染細胞である。アポトーシスに関連する細胞事象を評価するために様々な方法が利用可能である。例えば、ホスファチジルセリン(PS)転位はアネキシン結合によって測定することができ;DNAの断片化はDNAラダリングによって評価することができ;DNA断片化を伴う核/クロマチン凝縮は、低二倍体細胞が少しでも増加することによって評価することができる。好ましくは、アポトーシスを誘導する抗体は、アネキシン結合アッセイにおいて、未処理の細胞と比較して約2〜50倍、好ましくは約5〜50倍、最も好ましくは約10〜50倍の、アネキシン結合の誘導をもたらすものである。
抗体の「エフェクター機能」は、抗体のFc領域(ネイティブ配列Fc領域またはアミノ酸配列変異体Fc領域)に起因し、抗体アイソタイプによって異なる生物活性を指す。抗体エフェクター機能の例には、C1q結合および補体依存性細胞傷害;Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC);貪食;細胞表面受容体(例えばB細胞受容体)のダウンレギュレーション;ならびにB細胞活性化が含まれる。
「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」または「ADCC」は、特定の細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)上に存在するFc受容体(FcR)に結合した、分泌されたIgが、これらの細胞傷害エフェクター細胞が抗原保有標的細胞に特異的に結合し、続いて細胞毒素を用いて標的細胞を死滅させることを可能にする、細胞傷害の形態を指す。抗体が細胞傷害性細胞を「武装」し、そのような死滅に必要とされる。ADCCを媒介するための主要な細胞であるNK細胞はFcγRIIIのみを発現する一方で、単球はFcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIを発現する。造血細胞上のFcRの発現は、Ravetch and Kinet、Annu. Rev. Immunol、9巻:457〜92頁(1991年)の464頁の表3に要約されている。対象とする分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号または米国特許第5,821,337号に記載のものなどのin vitroADCCアッセイを行い得る。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。その代わりまたはそれに加えて、対象とする分子のADCC活性は、例えば、Clynesら、PNAS (USA)、95巻:652〜656頁(1998年)に開示されているものなどの動物モデルにおいて、in vivoで評価し得る。
「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を表す。特定の実施形態では、FcRはネイティブ配列ヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)に結合するものであり、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIサブクラスの受容体が含まれ、これらの受容体の対立遺伝子変異体、および選択的スプライシングされた形態も含まれる。FCγRII受容体には、類似のアミノ酸配列を有するが主にその細胞質ドメインが異なる、FcγRIIA(「活性化受容体」)およびFcγRIIB(「阻害性受容体」)が含まれる。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメイン内に免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含む。阻害性受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメイン内に免疫受容体チロシン阻害モチーフ(ITIM)を含む(Daeron、Annu. Rev. Immunol.、15巻:203〜234頁(1997年)の総説M.を参照)。FcRは、Ravetch and Kinet、Annu. Rev. Immunol、9巻:457〜92頁(1991年);Capelら、Immunomethods、4巻:25〜34頁(1994年);およびde Haasら、J. Lab. Clin. Med.、126巻:330〜41頁(1995年)に総説されている。将来同定されるものを含めた他のFcRが、本明細書における用語「FcR」に包含される。また、この用語には、母性IgGを胎児に移行することを担っている新生児受容体FcRnも含まれる(Guyerら、J. Immunol.、117巻:587頁(1976年)およびKimら、J. Immunol.、24巻:249頁(1994年))。
「ヒトエフェクター細胞」は、1つまたは複数のFcRを発現し、エフェクター機能を実行する白血球である。好ましくは、細胞は少なくともFcγRIIIを発現してADCCエフェクター機能を実行する。ADCCを媒介するヒト白血球の例には、PBMC、NK細胞、単球、細胞傷害性T細胞および好中球が含まれ、PBMCおよびNK細胞が好ましい。エフェクター細胞は、ネイティブ源、例えば血液から単離し得る。
「補体依存性細胞傷害」または「CDC」は、補体の存在下における標的細胞の溶解を指す。古典補体経路の活性化は、補体系の第1構成成分(C1q)が、その同類抗原に結合している(適切なサブクラスの)抗体に結合することによって開始される。補体の活性化を評価するためには、例えば、Gazzano−Santoroら、J. Immunol. Methods、202巻:163頁(1996年)に記載のものなどのCDCアッセイを行い得る。
用語「インフルエンザA」および「インフルエンザウイルスA」は、ウイルスのOrthomyxoviridae科の属を指す。インフルエンザウイルスAには1種のみ、すなわちインフルエンザAウイルスしか含まれず、これは、トリ、ヒト、ブタ、およびウマにおいてインフルエンザを引き起こす。インフルエンザAウイルスのすべてのサブタイプの株が野鳥から単離されているが、疾患は一般的でない。インフルエンザAウイルスの一部の分離株は、家禽および稀であるがヒトの両方において、重篤な疾患を引き起こす。
感染症を治療することを目的とした「哺乳動物」は、ヒト、家畜(domestic and farm animal)、ならびに、イヌ、ネコ、畜牛、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウサギなどの動物園、競技、またはペットの動物を含めた、任意の哺乳動物を指す。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
「治療すること」もしくは「治療」または「緩和」は、治療処置および予防的または防御的手段をどちらも指し;その目的は、標的とした病理状態または障害を予防または減速(軽減)させることである。治療を必要とするものには、既に障害に罹患しているもの、および障害を罹患しやすいものまたは障害を予防すべきものが含まれる。被験体または哺乳動物は、治療的な量の本発明の方法による抗体を受けた後、患者が、以下のうちの1つまたは複数が観察可能かつ/もしくは測定可能に減少している、または存在しない場合に、感染症の「治療」が成功している:感染細胞の数の減少もしくは感染細胞が存在しないこと;全細胞中の感染細胞の割合が減少していること;および/または具体的な感染症に関連する症状のうちの1つもしくは複数がある程度まで緩和されていること;罹患率および死亡率が減少していること、ならびに生活の質の問題が改善されていること。治療の成功および疾患の改善を評価するための上記パラメータは、医師が精通した慣用的な手順によって容易に測定可能である。
用語「治療上有効な量」は、被験体または哺乳動物における疾患または障害を「治療する」ために有効な抗体または薬物の量を指す。前述の「治療すること」の定義を参照されたい。
「連用」投与とは、急性の様式との対照として、最初の治療効果(活性)を長期間維持するために薬剤(複数可)を連続的な様式で投与することをいう。「断続的な」投与とは、中断なしに継続的に行わず、むしろ周期的な性質である治療である。
1つまたは複数の追加の治療剤「と組み合わせた」投与には、同時(同時)および任意の順序で継続的な投与することが含まれる。
本明細書中で使用する「担体」には、製薬上許容される担体、賦形剤、または安定化剤が含まれ、これらは、使用する用量および濃度で、それに曝す細胞または哺乳動物に対して無毒性である。しばしば、生理的に許容される担体は、pH緩衝化した水溶液である。生理的に許容される担体の例には、リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸を含めた抗酸化剤;低分子量(約10個未満の残基)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンもしくはリシンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含めた単糖、二糖、および他の炭水化物;EDTAなどのキレート化剤;マンニトールもしくはソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの塩形成性対イオン;ならびに/またはTWEEN(商標)ポリエチレングリコール(PEG)およびPLURONICS(商標)などの非イオン性界面活性剤が含まれる。
本明細書中で使用する用語「細胞傷害剤」は、細胞の機能を阻害もしくは阻止するおよび/または細胞の破壊を引き起こす物質を指す。この用語には、放射性同位体(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32およびLuの放射性同位体)、化学療法剤、例えば、メトトレキサート、アドリアマイシン、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシンまたは他の挿入剤、酵素およびその断片、例えば核酸分解酵素(nucleolytic enzyme)、抗生物質、および細菌、真菌、植物もしくは動物起源の小分子毒素もしくは酵素活性毒素などの毒素(その断片および/または変異体を含む)、ならびに以下に開示する様々な抗腫瘍剤または抗癌剤が含まれることを意図する。他の細胞傷害剤を以下に記載する。
本明細書中で使用する「成長阻害性剤」は、細胞の成長を、in vitroまたはin vivoのどちらかで阻害する化合物または組成物を指す。成長阻害性剤の例には、G1停止およびM期停止を誘導する薬剤などの、細胞周期の進行を遮断する薬剤が含まれる。古典的なM期遮断剤には、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビノレルビンおよびビンブラスチン)、タキサン、ならびにトポイソメラーゼII阻害剤、例えば、ドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、およびブレオマイシンなどが含まれる。G1を停止させる薬剤は、S期停止にも波及し、例えば、DNAアルキル化剤、例えばタモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキサート、5−フルオロウラシル、およびara−Cなどがある。さらなる情報は、The Molecular Basis of Cancer、Mendelsohn and Israel編、第1章、題名「Cell cycle regulation, oncogenes, and antineoplastic drugs」、Murakamiら(W B Saunders:Philadelphia、1995年)、特に13頁中に見つけることができる。タキサン(パクリタキセルおよびドセタキセル)は、どちらもイチイに由来する抗癌薬である。ヨーロッパイチイに由来するドセタキセル(タキソテール(商標)、Rhone−Poulenc Rorer)は、パクリタキセル(タキソール(登録商標)、Bristol−Myers Squibb)の半合成類似体である。パクリタキセルおよびドセタキセルはチューブリン二量体からの微小管のアセンブリを促進し、脱重合を防止することによって微小管を安定化し、これは、細胞中の有糸***の阻害をもたらす。
本明細書中で使用する「標識」は、抗体と直接または間接的に結合体化して「標識した」抗体を生じる、検出可能な化合物または組成物を指す。標識は、それ自体で検出可能であるか(例えば、放射性同位体標識もしくは蛍光標識)、または、酵素標識の場合は、検出可能な基質化合物もしくは組成物の化学変換を触媒し得る。
本明細書中で使用する用語「エピトープでタグ付けした」は、「タグポリペプチド」と融合したポリペプチドを含むキメラポリペプチドを指す。タグポリペプチドは、それに対する抗体を作製できるエピトープを提供できる程に十分な残基を有するが、それと融合させるポリペプチドの活性を妨害しない程に十分に短い。また、タグポリペプチドは、抗体が他のエピトープと実質的に交差反応しないように、かなり独特であることが好ましい。適切なタグポリペプチドは、一般に、少なくとも6個のアミノ酸残基を有し、通常は約8〜50個のアミノ酸残基(好ましくは約10〜20個のアミノ酸残基)を有する。
「小分子」は、本明細書中で約500ダルトン未満の分子量を有すると定義される。
用語「核酸」および「ポリヌクレオチド」は、本明細書中で互換性があるように使用し、一本鎖または二本鎖のRNA、DNA、または混合ポリマーを指す。ポリヌクレオチドには、ポリペプチドを発現する、または発現するように適応させ得る、ゲノム配列、ゲノム外およびプラスミド配列、ならびにより小さな操作した遺伝子セグメントが含まれ得る。
「単離された核酸」は、他のゲノムDNA配列ならびにネイティブ配列に天然に付随するリボソームおよびポリメラーゼなどのタンパク質または複合体から実質的に分離された核酸である。この用語には、その天然に存在する環境から取り出された核酸配列が包含され、組換えまたはクローニングしたDNA単離物および化学合成した類似体または異種系によって生物学的に合成した類似体が含まれる。実質的に純粋な核酸には、単離された形の核酸が含まれる。もちろん、これは、最初に単離されたままの核酸のことをいい、単離された核酸に後に人為的に付加した遺伝子または配列を排除しない。
用語「ポリペプチド」は、その慣用の意味、すなわち、アミノ酸の配列として使用する。ポリペプチドは、生成物の具体的な長さに限定されない。ペプチド、オリゴペプチド、およびタンパク質がポリペプチドの定義内に含まれ、そのような用語は、具体的にそうでないと指定しない限りは、本明細書中で互換性があるように使用し得る。また、この用語は、ポリペプチドの発現後修飾、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化など、ならびに当技術分野で知られている他の修飾(天然に存在するものおよび天然に存在しないもの両方)を指さないかあるいは排除しない。ポリペプチドは、タンパク質全体、またはその部分配列であり得る。本発明のコンテキストにおける具体的な対象とするポリペプチドは、CDRを含み、抗原またはインフルエンザA感染細胞に結合することができるアミノ酸部分配列である。
「単離ポリペプチド」は、その天然の環境の構成成分から同定ならびに分離および/または回収したものである。好ましい実施形態では、単離ポリペプチドは、(1)ローリー法によって決定してポリペプチドの95重量%より高くまで、最も好ましくは99重量%より高くまで、(2)スピンカップ配列決定装置を使用することによってN末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15個の残基を得るために十分な度合まで、または(3)クマシーブルー、もしくは、好ましくは銀染色を用いた還元もしくは非還元条件下で、SDS−PAGEによって均一になるまで、精製する。単離ポリペプチドには組換え細胞内にin situのポリペプチドが含まれる。なぜなら、そのポリペプチドの天然環境の少なくとも1つの構成成分が存在しないためである。しかし、通常は、単離ポリペプチドは、少なくとも1つの精製ステップによって調製する。
「ネイティブ配列」のポリヌクレオチドとは、天然に由来するポリヌクレオチドと同じヌクレオチド配列を有するものである。「ネイティブ配列」のポリペプチドとは、天然に由来する(例えば任意の種由来の)ポリペプチド(例えば抗体)と同じアミノ酸配列を有するものである。そのようなネイティブ配列のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、天然から単離することができるか、または組換えもしくは合成の手段によって産生することができる。
本明細書中で使用する用語、ポリヌクレオチド「変異体」は、典型的には、1つまたは複数の置換、欠失、付加および/または挿入によって本明細書中に具体的に開示するポリヌクレオチドと異なるポリヌクレオチドである。そのような変異体は、天然に存在し得るか、または、例えば、本発明のポリヌクレオチド配列のうちの1つもしくは複数を修飾し、コードされるポリペプチドの1つもしくは複数の生物活性を、本明細書中に記載のように、および/もしくは当技術分野で周知の多くの技術のうちの任意のものを用いて評価することによって、合成によって作製し得る。
本明細書中で使用する用語、ポリペプチド「変異体」は、典型的には、1つまたは複数の置換、欠失、付加および/または挿入によって本明細書中に具体的に開示するポリペプチドと異なるポリペプチドを指す。そのような変異体は、天然に存在し得るか、または、例えば、上記本発明のポリペプチド配列のうちの1つもしくは複数を修飾し、ポリペプチドの1つもしくは複数の生物活性を、本明細書中に記載のように、および/もしくは当技術分野で周知の多くのの技術のうちの任意のものを用いて評価することによって、合成によって作製し得る。
修飾を本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの構造に行っても、依然として望ましい特徴を有する変異体または誘導体ポリペプチドをコードしている機能的分子が得られ得る。ポリペプチドのアミノ酸配列を変更して、等価、さらには改善された、本発明の変異体またはポリペプチドの一部分を作製することが所望される場合、当業者は、典型的には、コードDNA配列のコドンのうちの1つまたは複数を変化させるであろう。
例えば、タンパク質構造において、他のポリペプチド(例えば抗原)または細胞に結合するその能力を感知できるほど損失させずに、特定のアミノ酸で他のアミノ酸を置換し得る。タンパク質の結合能力および性質がタンパク質の生物学的な機能的活性を決定するため、特定のアミノ酸配列置換を、タンパク質配列、および、もちろんその根底にあるDNAコード配列にも行い、それでも同様の特性を有するタンパク質を得ることができる。したがって、その生物学的な有用性または活性を感知できるほど損失させずに、開示した組成物のペプチド配列、または前記ペプチドをコードしている対応するDNA配列に様々な変化を行い得ることが企図される。
多くの場合、ポリペプチド変異体は1つまたは複数の保存的置換を含む。「保存的置換」は、ペプチド化学分野の技術者によってポリペプチドの二次構造およびヒドロパシーの性質が実質的に変化しないことが予想されるように、1つのアミノ酸で同様の特性を有する別のアミノ酸を置換するものである。
そのような変化を行う際、アミノ酸のヒドロパシー指数を考慮し得る。タンパク質に相互作用性の生物学的機能を与えることにおけるヒドロパシーアミノ酸指数の重要性は、当技術分野で一般に理解されている(Kyte and Doolittle、1982年)。アミノ酸の相対的ヒドロパシー特性が生じるタンパク質の二次構造に寄与し、ひいてはそれがタンパク質と他の分子、例えば、酵素、基質、受容体、DNA、抗体、抗原などとの相互作用を定めることは、理解されている。それぞれのアミノ酸は、その疎水性および荷電特性に基づいてヒドロパシー指数が割り当てられている(Kyte and Doolittle、1982年)。これらの値は、イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);スレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸塩(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸塩(−3.5);アスパラギン(−3.5);リシン(−3.9);およびアルギニン(−4.5)である。
特定のアミノ酸を、類似のヒドロパシー指数またはスコアを有する他のアミノ酸によって置換してもよく、それでも類似の生物活性を有するタンパク質が得られ得る、すなわち、さらには生物学的機能として等価なタンパク質が得られることは、当技術分野で知られている。そのような変化を作製する際、ヒドロパシー指数が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、±1以内のものが特に好ましく、±0.5以内のものがさらに特に好ましい。また、当技術分野では、類似のアミノ酸の置換は、親水性に基づいて有効に行うことができることも理解されたい。米国特許4,554,101号は、その隣接アミノ酸の親水性によって支配されるタンパク質の最大局所的平均親水性は、タンパク質の生物学的特性と相関すると述べている。
米国特許4,554,101号に詳述されるように、以下の親水性値がアミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0);リシン(+3.0);アスパラギン酸塩(+3.0±1);グルタミン酸塩(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);トリプトファン(−3.4)。あるアミノ酸で類似の親水性値を有する別のものを置換し、それでも生物学的に等価な、特に免疫学的に等価なタンパク質を得ることができることを理解されたい。そのような変化では、親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、±1以内のものが特に好ましく、±0.5以内のものがさらに特に好ましい。
したがって、上記に概要を示したように、アミノ酸置換は、一般に、アミノ酸側鎖置換基の相対的類似度、例えば、その疎水性、親水性、荷電、サイズなどに基づいている。様々な前述の特徴を考慮にいれた例示的な置換は当業者に周知であり、アルギニンおよびリシン;グルタミン酸塩およびアスパラギン酸塩;セリンおよびスレオニン;グルタミンおよびアスパラギン;ならびにバリン、ロイシンおよびイソロイシンが含まれる。
アミノ酸置換は、さらに、残基の極性、荷電、溶解度、疎水性、親水性および/または両親媒性の性質の類似度に基づいて行ってもよい。例えば、負荷電アミノ酸には、アスパラギン酸およびグルタミン酸が含まれ;正荷電アミノ酸には、リシンおよびアルギニンが含まれ;類似の親水性値を有する無荷電の極性頭部基を有するアミノ酸には、ロイシン、イソロイシンおよびバリン;グリシンおよびアラニン;アスパラギンおよびグルタミン;ならびにセリン、スレオニン、フェニルアラニンおよびチロシンが含まれる。保存的変化を表し得る他のアミノ酸群には、(1)ala、pro、gly、glu、asp、gln、asn、ser、thr;(2)cys、ser、tyr、thr;(3)val、ile、leu、met、ala、phe;(4)lys、arg、his;および(5)phe、tyr、trp、hisが含まれる。変異体は、非保存的変化も、またはそれに代えて含み得る。好ましい実施形態では、変異体ポリペプチドは、5個以下のアミノ酸の置換、欠失または付加によってネイティブ配列と異なる。変異体は、例えば、ポリペプチドの免疫原性、二次構造およびヒドロパシー性質に最小限の影響しか与えないアミノ酸の欠失または付加によっても(またはそれに代えて)修飾し得る。
ポリペプチドは、同時翻訳でまたは翻訳後にタンパク質の移動を指示する、タンパク質のN末端の端にシグナル(またはリーダー)配列を含んでいてもよい。また、ポリペプチドは、ポリペプチドの合成、精製もしくは同定を容易にするため(例えばポリ−His)、またはポリペプチドと固体担体との結合を強化するために、リンカーまたは他の配列と結合体化させてもよい。例えば、ポリペプチドは、免疫グロブリンFc領域と結合体化させ得る。
ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの配列を比較する際、2つの配列中のヌクレオチドまたはアミノ酸の配列を、以下に記載するように最大一致についてアラインメントして、同じである場合に、2つの配列は「同一」であると言われる。2つの配列間の比較は、典型的には、配列を比較ウィンドウにわたって比較して、配列類似度の局所領域を同定および比較することによって行う。本明細書中で使用する「比較ウィンドウ」は、少なくとも約20個の連続的な位置、通常は30〜約75、40〜約50のセグメントを指し、配列と同じ数の連続的な位置の参照配列との比較を、2つの配列の最適なアラインメントを行った後に行い得る。
比較のための配列の最適なアラインメントは、生物情報学ソフトウェア(DNASTAR,Inc.、ウィスコンシン州Madison)のLasergeneスート中のMegalignプログラムを用いて、初期設定パラメータを使用して実施し得る。このプログラムは、以下の参考文献に記載されているいくつかのアラインメントスキームを包含している:Dayhoff, M. O.(1978年)A model of evolutionary change in proteins − Matrices for detecting distant relationships.、Dayhoff, M. O.編、Atlas of Protein Sequence and Structure、National Biomedical Research Foundation、Washington DC、5巻、補遺3、345〜358頁;Hein J.(1990)Unified Approach to Alignment and Phylogenes、626〜645頁、Methods in Enzymology、183巻、Academic Press, Inc.、San Diego, CA;Higgins, D.G. and Sharp, P.M.(1989年)CABIOS 5巻:151〜153頁;Myers, E.W. and Muller W.(1988年)CABIOS 4巻:11〜17頁;Robinson, E.D.(1971年)Comb. Theor、11巻:105頁;Santou, N. Nes, M.(1987年)Mol. Biol. Evol. 4巻:406〜425頁;Sneath, P.H.A. and Sokal, R.R.(1973年)Numerical Taxonomy − the Principles and Practice of Numerical Taxonomy、Freeman Press、San Francisco, CA;Wilbur, W.J. and Lipman, D.J.(1983年)Proc. Natl. Acad.、Sci. USA、80巻:726〜730頁。
あるいは、比較のための配列の最適なアラインメントは、Smith and Waterman(1981年)Add. APL. Math、2巻:482頁の局所的同一性アルゴリズムによって、Needleman and Wunsch(1970)J. Mol. Biol.、48巻:443頁の同一性アラインメントアルゴリズムによって、Pearson and Lipman(1988年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA、85巻:2444頁の類似度検索方法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータによる実行によって(Wisconsin Geneticsソフトウェアパッケージ中のGAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、およびTFASTA、Genetics Computer Group(GCG)、ウィスコンシン州Madison、575 Science Dr.)、または検査によって、実施し得る。
%配列同一性および配列類似度を決定するために適したアルゴリズムの好ましい一例は、それぞれAltschulら(1977年)Nucl. Acids Res.、25巻:3389〜3402頁およびAltschulら(1990年)J. Mol. Biol.、215巻:403〜410頁に記載されている、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムである。BLASTおよびBLAST2.0を、例えば、本明細書中に記載のパラメータとともに用いて、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの%配列同一性を決定することができる。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、米国立バイオテクノロジー情報センターから公的に利用可能である。
例示的な一例では、累積スコアは、ヌクレオチド配列には、パラメータM(マッチ残基対のリワードスコア;常に>0)およびN(ミスマッチ残基のペナルティスコア;常に<0)を用いて計算することができる。それぞれの方向の単語ヒットの伸長は、累積アラインメントスコアがその最大達成値から量X低下した場合;1つもしくは複数の陰性スコアの残基アラインメントの蓄積により、累積スコアがゼロ以下になった場合;または配列のどちらかの末端に到達した場合に停止する。BLASTアルゴリズムパラメータW、TおよびXは、アラインメントの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)では、初期設定として単語長(W)が11および予測(E)が10を使用し、BLOSUM62スコアマトリックス(Henikoff and Henikoff(1989年)Proc. Natl. Acad. Sci USA、89巻:10915頁参照)アラインメントでは、(B)が50、予測(E)が10、M=5、N=−4および両方の鎖の比較を使用する。
アミノ酸配列では、スコアマトリックスを用いて累積スコアを計算することができる。それぞれの方向の単語ヒットの伸長は、累積アラインメントスコアがその最大達成値から量X低下した場合;1つもしくは複数の陰性スコアの残基アラインメントの蓄積により、累積スコアがゼロ以下になった場合;または配列のどちらかの末端に到達した場合に停止する。BLASTアルゴリズムパラメータW、TおよびXは、アラインメントの感度および速度を決定する。
一手法では、「%配列同一性」は、2つの最適にアラインメントされた配列を、少なくとも20個の位置の比較ウィンドウにわたって比較することによって決定し、比較ウィンドウ中のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の部分は、2つの配列の最適なアラインメント用の参照配列(付加または欠失を含まない)と比較して、20%以下、通常は5〜15%、または10〜12%の付加または欠失(すなわちギャップ)を含み得る。割合は、同一の核酸塩基またはアミノ酸残基がどちらの配列中にも存在する位置の数を決定し、マッチした位置の数を得て、マッチした位置の数を参照配列中の位置の合計数(すなわちウィンドウのサイズ)で除算し、結果を100で乗算することによって計算して%配列同一性を得ることで、計算する。
「相同性」は、最大%相同性をもたらすために配列のアラインメントを行い、必要な場合はギャップを導入した後に、非変異配列と同一であるポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列変異体中の残基の割合を指す。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドおよびポリペプチド変異体は、本明細書中に記載のポリヌクレオチドまたはポリペプチドと、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%のポリヌクレオチドまたはポリペプチド相同性を有する。
「ベクター」には、シャトルおよび発現ベクターが含まれる。典型的には、プラスミド構築体は、プラスミドを細菌内で複製および選択するために、それぞれ複製起点(例えばColE1複製起点)および選択マーカー(例えば、アンピシリンまたはテトラサイクリン耐性)も含む。「発現ベクター」は、本発明の抗体断片を含めた抗体を細菌または真核細胞内で発現させるために必要な制御配列または調節エレメントを含むベクターを指す。適切なベクターを以下に開示する。
本明細書および添付の特許請求の範囲中で使用する単数形「a」、「an」および「the」には、内容により明らかにそうでないと指示されない限りは、複数形が含まれる。
本発明には、本発明のポリペプチドを含むHuM2e抗体が含まれ、実施例1に記載のポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドならびに実施例1および2に記載のアミノ酸配列、ならびにその断片および変異体が含まれる。一実施形態では、抗体は、本明細書中で8i10、21B15、23K12、3241_G23、3244_I10、3243_J07、3259_J21、3245_O19、3244_H04、3136_G05、3252_C13、3255_J06、3420_I23、3139_P23、3248_P18、3253_P10、3260_D19、3362_B11、または3242_P05と命名する抗体である。これらの抗体は、同じ細胞型の未感染の対照細胞と比較して、インフルエンザA感染細胞に優先的に結合する、または特異的に結合する。
特定の実施形態では、本発明の抗体は、M2タンパク質に結合する。特定の実施形態では、本発明は、ネイティブコンホメーションでしか存在しない、すなわち、細胞中で発現されたままの、M2e内のエピトープに結合するHuM2e抗体を提供する。特定の実施形態では、これらの抗体は、単離されたM2eポリペプチド、例えば23個のアミノ酸残基のM2e断片に特異的に結合することができない。これらの抗体は、M2ペプチドの非直鎖状(すなわちコンホメーション)エピトープ(複数可)を認識することを理解されたい。
M2タンパク質内、特にM2e内のこれらの特異的コンホメーションのエピトープは、被験体におけるインフルエンザ感染症の発生を予防するためのワクチンとして使用し得る。
当業者には理解されるように、本明細書の抗体の一般的な説明ならびにそれを調製および使用する方法は、個々の抗体ポリペプチドの構成要素および抗体断片にも適用される。
本発明の抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体であり得る。しかし、好ましい実施形態では、これらはモノクローナルである。特定の実施形態では、本発明の抗体は、完全ヒト抗体である。ポリクローナルおよびモノクローナル抗体の産生方法は当技術分野で知られており、一般に、例えば米国特許第6,824,780号に記載されている。典型的には、本発明の抗体は、以下にさらに記載する当技術分野で利用可能なベクターおよび方法を用いて、組換えによって産生する。ヒト抗体はまた、in vitro活性化B細胞によっても産生し得る(米国特許第5,567,610号および第5,229,275号参照)。
ヒト抗体はまた、内在性免疫グロブリンの産生が存在しない場合に完全ヒト抗体のレパートリーを産生することができる、トランスジェニック動物(例えばマウス)中で産生させ得る。例えば、キメラおよび生殖系列突然変異体マウスにおける抗体重鎖結合領域(J)遺伝子のホモ接合性の欠失により、内在性抗体の産生の完全な阻害がもたらされることが記載されている。ヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子アレイをこのような生殖系列突然変異体マウス内に移入することで、抗原誘発の際にヒト抗体の産生がもたらされる。例えば、Jakobovitsら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90巻:2551頁(1993年);Jakobovitsら、Nature、362巻:255〜258頁(1993年);Bruggemannら、Year in Immuno.、7巻:33頁(1993年);米国特許第5,545,806号、第5,569,825号、第5,591,669号(すべてGenPharm);米国特許第5,545,807号;およびWO97/17852を参照されたい。そのような動物を遺伝子操作して、本発明のポリペプチドを含むヒト抗体を産生させ得る。
特定の実施形態では、本発明の抗体は、ヒトおよび非ヒト源に由来する配列をどちらも含むキメラ抗体である。特定の実施形態では、これらのキメラ抗体は、ヒト化または霊長類化(primatized)(商標)されている。実際には、ヒト化抗体は、典型的には、一部の超可変領域残基および場合によっては一部のFR残基がげっ歯類抗体の類似の部位からの残基によって置換されているヒト抗体である。
本発明のコンテキストでは、キメラ抗体には、ヒト超可変領域または1つもしくは複数のCDRが保持されているが、配列の1つまたは複数の他の領域が非ヒト動物からの対応する配列で置き換えられている、完全ヒト抗体も含まれる。
キメラ抗体の作製に使用する、軽および重両方の非ヒト配列の選択は、抗体をヒト治療での使用に意図する場合に、抗原性およびヒトの抗非ヒト抗体応答を減少させるために重要である。キメラ抗体が抗原に対する高い結合親和性および他の望ましい生物学的特性を保持していることがさらに重要である。この目的を達成するために、好ましい一方法によれば、キメラ抗体は、親のヒトおよび非ヒト配列の三次元モデルを用いた、親配列および様々な概念的なキメラ生成物の分析プロセスによって調製する。三次元免疫グロブリンモデルは、一般的に利用可能であり、当業者が精通している。選択した候補免疫グロブリン配列の可能性のある三次元コンホメーション構造を例示および表示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらの表示の検査により、候補免疫グロブリン配列の機能における残基の可能性のある役割の分析、すなわち、その抗原に結合する候補免疫グロブリンの能力に影響を与える残基の分析が可能となる。このように、標的抗原(複数可)に対する親和性の増加などの所望の抗体特徴が達成されるように、FR残基をレシピエントおよび輸入配列から選択して組み合わせることができる。一般に、超可変領域残基が、抗原結合の影響に直接かつ最も大きく関与している。
上述のように、抗体(または免疫グロブリン)は、重鎖の定常領域中のアミノ酸配列の差異に基づいて、5つの異なるクラスに分類することができる。所定のクラス内のすべての免疫グロブリンは、非常に類似した重鎖定常領域を有する。これらの差異は、配列研究、またはより一般的には血清学的手段によって(すなわち、これらの差異に対するものである抗体を使用することによって)、検出することができる。本発明の抗体、またはその断片は、任意のクラスであってよく、したがって、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、またはイプシロン重鎖を有し得る。ガンマ鎖はガンマ1、ガンマ2、ガンマ3、またはガンマ4であってよく;アルファ鎖はアルファ1またはアルファ2であり得る。
好ましい実施形態では、本発明の抗体またはその断片は、IgGである。IgGは、免疫グロブリン分子の機能をすべて実行することができるため、最も多用途の免疫グロブリンであるとみなされている。IgGは血清中の主要なIgであり、胎盤を横断する唯一のIgクラスである。IgGは補体の固定も行うが、IgG4サブクラスは行わない。マクロファージ、単球、PMNおよび一部のリンパ球は、IgGのFc領域に対するFc受容体を有する。すべてのサブクラスが同等に良好に結合するわけではなく、IgG2およびIgG4はFc受容体に結合しない。PMN、単球およびマクロファージ上のFc受容体に結合することの結果は、これにより細胞がより良好に抗原の内部移行を行うことができることである。IgGは、貪食を増強するオプソニンである。IgGと他の細胞種上のFc受容体との結合は、他の機能の活性化をもたらす。本発明の抗体は、任意のIgGサブクラスのものであり得る。
別の好ましい実施形態では、本発明の抗体またはその断片は、IgEである。IgEは、抗原と相互作用する前でさえも好塩基球および肥満細胞上のFc受容体に非常に密に結合するため、最も一般的でない血清Igである。好塩基球、肥満細胞に結合する結果、IgEはアレルギー反応に関与している。アレルゲンが細胞上のIgEに結合することにより、アレルギー性症状をもたらす様々な薬理学的媒介物質の放出がもたらされる。IgEはまた、寄生蠕虫疾患においても役割を果たす。好酸球はIgEのFc受容体を有しており、好酸球とIgEでコーティングされた蠕虫との結合により、寄生生物の死滅がもたらされる。IgEは補体を固定しない。
様々な実施形態では、本発明の抗体およびその断片は、カッパまたはラムダのどちらかである可変軽鎖を含む。ラムバ(lamba)鎖は、例えば、ラムダ1、ラムダ2、ラムダ3、およびラムダ4を含めたサブタイプのうちの任意のものであり得る。
上述のように、本発明は、本発明のポリペプチドを含む抗体断片をさらに提供する。特定の状況下では、抗体全体ではなく抗体断片を使用する利点が存在する。例えば、断片はサイズがより小さいため、急速なクリアランスを可能にし、また、固形腫瘍などの特定の組織への接近の改善がもたらされ得る。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)およびFv断片;二重特異性抗体;直鎖状抗体;単鎖抗体;ならびに抗体断片から形成した多特異性抗体が含まれる。
様々な技術が抗体断片を産生するために開発されている。伝統的には、これらの断片は、インタクトな抗体のタンパク質分解消化によって誘導していた(例えば、Morimotoら、Journal of Biochemical and Biophysical Methods、24巻:107〜117頁(1992年);およびBrennanら、Science、229巻:81頁(1985年)参照)。しかし、これらの断片は、現在では組換え宿主細胞によって直接産生することができる。Fab、FvおよびScFv抗体断片は、すべてE.coli中で発現させ、それから分泌させることができ、したがって、大量のこれらの断片の産生が容易となる。Fab’−SH断片をE.coliから直接回収し、化学的にカップリングさせて、F(ab’)断片を形成することができる(Carterら、Bio/Technology、10巻:163〜167頁(1992年))。別の手法によれば、F(ab’)断片を組換え宿主細胞培養物から直接単離することができる。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含む、in vivo半減期が増加したFabおよびF(ab’)断片は、米国特許第5,869,046号に記載されている。抗体断片を産生するための他の技術は、当業者に明らかであろう。
他の実施形態では、選択した抗体は単鎖Fv断片(scFv)である。WO93/16185;米国特許第5,571,894号;および第5,587,458号を参照されたい。定常領域を欠いたインタクトな結合部位を有する種は、FvおよびsFvだけである。したがって、これらは、in vivo使用中における減少した非特異的結合に適している。sFv融合タンパク質は、sFvのアミノまたはカルボキシ末端のどちらかにおけるエフェクタータンパク質の融合をもたらすために構築し得る。Antibody Engineering、Borrebaeck編、上記を参照されたい。また、抗体断片は、例えば米国特許第5,641,870号などに記載されている「直鎖状抗体」であってもよい。そのような直鎖状抗体断片は、単一特異性または二重特異性(bispecific)であり得る。
特定の実施形態では、本発明の抗体は二重特異性または多重特異性である。二重特異性抗体とは、少なくとも2つの異なるエピトープに対する結合特異性を有する抗体である。例示的な二重特異性抗体は、単一の抗原の2つの異なるエピトープに結合し得る。他のそのような抗体では、第1の抗原結合部位を、第2の抗原に対する結合部位と組み合わせ得る。あるいは、感染細胞に対する細胞防御機構を集中かつ局在化させるために、抗M2eアームを、T細胞受容体分子(例えばCD3)などの白血球上の始動分子に結合するアーム、またはFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)およびFcγRIII(CD16)などのIgGのFc受容体(FcγR)と組み合わせ得る。また、二重特異性抗体は、感染細胞に対する細胞傷害剤を局在化させるために用いてもよい。これらの抗体は、M2e結合アームおよび細胞傷害剤(例えば、サポリン、抗インターフェロン−α、ビンカアルカロイド、リシンA鎖、メトトレキサートまたは放射性同位体ハプテン)に結合するアームを保有する。二重特異性抗体は、完全長抗体または抗体断片(例えばF(ab’)二重特異性抗体)として調製することができる。WO96/16673は二重特異性抗ErbB2/抗FcγRIII抗体を記載しており、米国特許第5,837,234号は二重特異性抗ErbB2/抗FcγRI抗体を開示している。二重特異性抗ErbB2/Fcα抗体は、WO98/02463に示されている。米国特許第5,821,337は二重特異性抗ErbB2/抗CD3抗体を教示している。
二重特異性抗体を作製する方法は当技術分野で知られている。完全長の二重特異性抗体の伝統的な産生は、2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖の対の同時発現に基づいており、2本の鎖は異なる特異性を有する(Millsteinら、Nature、305巻:537〜539頁(1983年))。免疫グロブリンの重鎖および軽鎖のランダムな組合せが原因で、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は10個の異なる抗体分子の潜在的な混合物を生じ、そのうちの1つだけが正しい二重特異性構造を有する。通常はアフィニティークロマトグラフィーステップによって行う正しい分子の精製は多少厄介であり、生成物の収率は低い。類似の手順がWO93/08829およびTrauneckerら、EMBO J.、10巻:3655〜3659頁(1991年)に開示されている。
異なる手法によれば、所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗体−抗原結合部位)を免疫グロブリン定常ドメイン配列と融合させる。好ましくは、融合は、ヒンジ、C2、およびC3領域の少なくとも一部を含む、Ig重鎖定常ドメインとである。軽鎖結合に必要な部位を含む第1の重鎖定常領域(C1)が、融合物の少なくとも1つ中に存在することが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合物、および所望する場合は免疫グロブリン軽鎖をコードしているDNAを、別々の発現ベクター内に挿入し、適切な宿主細胞内に同時トランスフェクトする。これにより、構築に使用する3本のポリペプチド鎖の不等な比が最適な収率の所望の二重特異性抗体をもたらす実施形態において、3つのポリペプチド断片の相互比率を調節することに関してより高い柔軟性がもたらされる。しかし、等比の少なくとも2本のポリペプチド鎖の発現が高収率をもたらす場合、または比が所望の鎖の組合せの収率に有意な影響を与えない場合は、2本または3本すべてのポリペプチド鎖のコード配列を単一の発現ベクター内に挿入することが可能である。
この手法の好ましい実施形態では、二重特異性抗体は、一方のアーム中に第1の結合特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖、および他方のアーム中のハイブリッド免疫グロブリン重鎖−軽鎖の対(第2の結合特異性を提供する)からなる。二重特異性分子の半分にしか存在しない免疫グロブリン軽鎖が分離の容易な方法を提供するため、この非対称の構造が、所望の二重特異性化合物を所望しない免疫グロブリン鎖の組合せから分離することを容易にすることが見い出された。この手法はWO94/04690に開示されている。二重特異性抗体を作製するさらなる詳細には、例えば、Sureshら、Methods in Enzymology、121巻:210頁(1986年)を参照されたい。
米国特許第5,731,168号に記載の別の手法によれば、一対の抗体分子間の界面を操作して、組換え細胞培養物から回収されるヘテロ二量体の割合を最大限にすることができる。好ましい界面は、C3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法では、第1の抗体分子の界面からの1つまたは複数の小さなアミノ酸側鎖を、より大きな側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)で置き換える。大きなアミノ酸側鎖をより小さなもの(例えば、アラニンまたはスレオニン)で置き換えることによって、大きな側鎖(複数可)と同一または類似のサイズの代償的な「空洞」が第2の抗体分子の界面上に作製される。これにより、ヘテロ二量体の収率を、ホモ二量体などの他の所望しない最終産物を超えて増加させる機構が提供される。
二重特異性抗体には、架橋結合または「ヘテロ結合体」抗体が含まれる。例えば、ヘテロ結合体中の抗体の一方をアビジンとカップリングさせ、他方をビオチンとカップリングさせることができる。そのような抗体は、例えば、免疫系の細胞を所望しない細胞に標的化するため(米国特許第4,676,980号)、ならびにHIV感染症を治療するため(WO91/00360、WO92/200373、およびEP03089)に提案されている。ヘテロ結合体抗体は、任意の好都合な架橋結合方法を用いて作製し得る。適切な架橋結合剤が当技術分野で周知であり、いくつかの架橋結合技術とともに米国特許第4,676,980号に開示されている。
二重特異性抗体を抗体断片から作製する技術も、文献に記載されている。例えば、二重特異性抗体は、化学結合を用いて調製することができる。Brennanら、Science、229巻:81頁(1985年)は、インタクトな抗体をタンパク質分解によって切断して、F(ab’)断片を作製する手順を記載している。これらの断片は、ジチオール錯化剤、亜ヒ酸ナトリウムの存在下で還元して、隣接するジチオールを安定化し、分子間ジスルフィド形成を防止する。その後、作製されたFab’断片をチオニトロベンゾエート(TNB)誘導体に変換する。その後、Fab’−TNB誘導体のうちの1つを、メルカプトエチルアミンで還元することによってFab’−チオールへと再変換し、等モル量の他のFab’−TNB誘導体と混合して、二重特異性抗体を形成する。生じる二重特異性抗体は、酵素の選択的固定剤として使用することができる。
最近の進歩により、Fab’−SH断片をE.coliから直接回収することが容易となり、化学的にカップリングさせて二重特異性抗体を形成することができる。Shalabyら、J. Exp. Med.、175巻:217〜225頁(1992年)は、完全ヒト化二重特異性抗体F(ab’)分子の産生を記載している。それぞれのFab’断片をE.coliから別々に分泌させ、in vitroの定方向化学的カップリングに供して二重特異性抗体が形成された。そのようにして形成された二重特異性抗体は、ErbB2受容体を過剰発現する細胞および正常なヒトT細胞に結合することができ、ヒト***腫瘍標的に対するヒト細胞傷害性リンパ球の溶解活性を始動させることができた。
二重特異性抗体断片を組換え細胞培養物から直接作製および単離する様々な技術も記載されている。例えば、二重特異性抗体は、ロイシンジッパーを用いて作製されている。Kostelnyら、J. Immunol、148巻(5号):1547〜1553頁(1992年)。FosおよびJunタンパク質由来のロイシンジッパーペプチドを、2つの異なる抗体のFab’部分に、遺伝子融合によって連結させた。抗体のホモ二量体をヒンジ領域で還元して単量体を形成し、その後、再度酸化して抗体のヘテロ二量体を形成した。この方法は、抗体のホモ二量体の産生にも利用することができる。Hollingerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90巻:6444〜6448頁(1993年)によって記載されている「二重特異性抗体」技術は、二重特異性抗体断片を作製するための代替機構を提供している。断片は、同じ鎖上の2つのドメイン間の対合を可能にするには短すぎるリンカーによってVと連結したVを含む。したがって、1つの断片のVおよびVドメインは、別の断片の相補的VおよびVドメインと対合することが強いられ、したがって2つの抗原結合部位を形成する。単鎖Fv(sFv)二量体を使用することによって二重特異性抗体断片を作製する別の戦略も報告されている。Gruberら、J. Immunol、152巻:5368頁(1994年)を参照されたい。
2価より高い結合価を有する抗体が企図される。例えば、三重特異性抗体を調製することができる。Tuttら、J. Immunol.、147巻:60頁(1991年)。多価抗体は、抗体が結合する抗原を発現する細胞によって、二価抗体よりも速く内部移行(および/または異化)され得る。本発明の抗体は、抗体のポリペプチド鎖をコードしている核酸の組換え発現によって容易に産生することができる、3つ以上の抗原結合部位を有する多価抗体(例えば四価の抗体)であることができる。多価抗体は、二量体化ドメインおよび3つ以上の抗原結合部位を含むことができる。好ましい二量体化ドメインは、Fc領域もしくはヒンジ領域を含む(またはそれからなる)。このシナリオでは、抗体は、Fc領域およびFc領域に対してアミノ末端にある3つ以上の抗原結合部位を含む。本明細書における好ましい多価抗体は、3〜約8個、好ましくは4個の抗原結合部位を含む(またはそれからなる)。多価抗体は、少なくとも1本のポリペプチド鎖(好ましくは2本のポリペプチド鎖)を含み、ポリペプチド鎖(複数可)は2個以上の可変ドメインを含む。例えば、ポリペプチド鎖(複数可)は、VD1−(X1)−VD2−(X2)−Fcを含んでいてよく、VD1は第1の可変ドメインであり、VD2は第2の可変ドメインであり、FcはFc領域の1本のポリペプチド鎖であり、X1およびX2はアミノ酸またはポリペプチドを表し、nは0または1である。例えば、ポリペプチド鎖(複数可)は、VH−CH1−柔軟なリンカー−VH−CH1−Fc領域鎖;またはVH−CH1−VH−CH1−Fc領域鎖を含み得る。本明細書中の多価抗体は、好ましくは、少なくとも2個(好ましくは4個)の軽鎖可変ドメインポリペプチドをさらに含む。本明細書中の多価抗体は、例えば、約2〜約8個の軽鎖可変ドメインポリペプチドを含み得る。ここで企図する軽鎖可変ドメインポリペプチドは、軽鎖可変ドメインを含み、任意選択でCドメインをさらに含む。
本発明の抗体には、単鎖抗体がさらに含まれる。
特定の実施形態では、本発明の抗体は内部移行抗体である。
本明細書中に記載する抗体のアミノ酸配列修飾(複数可)が企図される。例えば、抗体の結合親和性および/または他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。抗体のアミノ酸配列変異体は、適切なヌクレオチド変化を、抗体もしくはその鎖をコードしているポリヌクレオチド内に導入することによって、またはペプチド合成によって調製し得る。そのような修飾には、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、および/またはそれへの挿入および/またはその置換が含まれる。欠失、挿入、および置換の任意の組合せを行って最終抗体に到達し得るが、ただし、最終の構築体は所望の特徴を保有することを前提とする。また、アミノ酸変化は、グリコシル化部位の数または位置を変化させるなど、抗体の翻訳後プロセスも変更し得る。本発明のポリペプチドについて上述した変異および修飾のうちの任意のものを、本発明の抗体に含め得る。
突然変異誘発に好ましい位置である抗体の特定の残基または領域を同定するための有用な方法は、Cunningham and Wells、Science、244巻:1081〜1085頁(1989年)によって記載されている「アラニン走査突然変異誘発」と呼ばれる。ここでは、残基または標的残基の基を同定し(例えば、arg、asp、his、lys、およびgluなどの荷電残基)、中性または負荷電アミノ酸(最も好ましくは、アラニンまたはポリアラニン)によって置き換えて、アミノ酸とPSCA抗原との相互作用に影響を与える。その後、置換に対して機能的感度を実証するアミノ酸位置を、追加または他の変異を置換部位にまたはその部位のために導入することによって洗練する。したがって、アミノ酸配列変異を導入する部位は事前に決定されているが、突然変異の性質自体は事前に決定されていない。例えば、所定の部位における突然変異の性能を分析するために、ala走査またはランダム突然変異誘発を標的コドンまたは領域で実施し、発現された抗抗体変異体を所望の活性についてスクリーニングする。
アミノ酸配列挿入には、1個の残基から百個以上の残基を含むポリペプチドまでの長さの範囲のアミノおよび/またはカルボキシル末端の融合、ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例には、N末端メチオニル残基を有する抗体または細胞傷害性ポリペプチドと融合した抗体が含まれる。他の抗体の挿入変異体には、抗体のNまたはC末端に、酵素(例えばADEPTに対するもの)または抗体の血清半減期を増加させるポリペプチドを融合したものが含まれる。
別の種類の変異体は、アミノ酸置換変異体である。これらの変異体は、抗体分子中の少なくとも1つのアミノ酸残基が異なる残基によって置き換えられている。置換突然変異誘発の最も興味深い部位には超可変領域が含まれるが、FRの変更も企図される。保存的および非保存的置換が企図される。
抗体の生物学的特性の実質的な改変は、(a)置換領域中のポリペプチド主鎖の、例えば、シートもしくはヘリックスコンホメーションとしての構造、(b)分子の標的部位での荷電もしくは疎水性、または(c)側鎖のバルクを維持することに関してその効果が顕著に異なる置換を選択することによって達成される。
また、抗体の正しいコンホメーションの維持に関与していない任意のシステイン残基は、分子の酸化安定性を改善し、異常な架橋結合を防止するために、一般にセリンで置換し得る。逆に、その安定性を改善するために(特に、抗体がFv断片などの抗体断片である場合)、システイン結合(複数可)を抗体に付加し得る。
置換変異体の一種は、親抗体の1つまたは複数の超可変領域残基を置換することを含む。一般に、さらなる開発のために選択する生じる変異体(複数可)は、それを作製した親抗体と比較して生物学的特性が改善されている。そのような置換変異体を作製する好都合な方法は、ファージディスプレイを用いた親和性成熟を含む。手短に述べると、いくつかの超可変領域部位(例えば、6〜7個の部位)を突然変異させて、それぞれの部位のすべての可能なアミノ置換を作製する。そのようにして作製された抗体変異体を、それぞれの粒子内にパッケージングされたM13の遺伝子III生産物との融合体として、一価の様式で線維状ファージ粒子からディスプレイされる。その後、本明細書中に開示したように、ファージディスプレイ変異体をその生物活性(例えば結合親和性)についてスクリーニングする。修飾の候補超可変領域部位を同定するために、アラニン走査突然変異誘発を行って、抗原結合に有意に寄与する超可変領域残基を同定することができる。あるいは、またはそれに加えて、抗体と抗原または感染細胞との間の接触点を同定するために、抗原−抗体複合体の結晶構造を分析することが有益であり得る。そのような接触残基および隣接残基は、本明細書中に詳述する技術に従った置換の候補である。そのような変異体を作製した後、変異体のパネルを本明細書中に記載のようにスクリーニングに供し、1つまたは複数の関連アッセイにおいて優れた特性を有する抗体を、さらなる開発のために選択し得る。
抗体の別の種類のアミノ酸変異体は、抗体の元のグリコシル化パターンを変更する。変更するとは、抗体中に見つかる1つもしくは複数の炭水化物部分を欠失させる、および/または抗体中に存在しない1つもしくは複数のグリコシル化部位を付加することを意味する。
抗体のグリコシル化は、典型的にはN結合またはO結合のどちらかである。N結合とは、炭水化物部分がアスパラギン残基の側鎖に結合することである。トリペプチド配列のアスパラギン−X−セリンおよびアスパラギン−X−スレオニン(式中、Xはプロリン以外の任意のアミノ酸である)が、炭水化物部分がアスパラギン側鎖に酵素結合するための認識配列である。したがって、これらのトリペプチド配列のどちらかをポリペプチド中に存在させることで、潜在的なグリコシル化部位が作製される。O結合グリコシル化とは、糖のN−アセイルガラクトサミン(N−aceylgalactosamine)、ガラクトース、またはキシロースのうちの1つが、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリンまたはスレオニンに結合することをいうが、5−ヒドロキシプロリンまたは5−ヒドロキシリシンも用い得る。
抗体へのグリコシル化部位の付加は、上述のトリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含むようにアミノ酸配列を変更することによって、好都合に達成される(N結合グリコシル化部位)。また、変更は、1つまたは複数のセリンまたはスレオニン残基を元の抗体の配列に付加する、またはそれを置換することによっても行い得る(O結合グリコシル化部位)。
本発明の抗体は、エフェクター機能に関して、例えば、抗体の抗原依存性細胞媒介性細胞傷害(antigen−dependent cell−mediated cyotoxicity)(ADCC)および/または補体依存性細胞傷害(CDC)を増強するために、改変されている。これは、抗体のFc領域中に1つまたは複数のアミノ酸置換を導入することによって達成し得る。あるいは、またはそれに加えて、システイン残基(複数可)をFc領域内の導入し、それによりこの領域中に鎖間ジスルフィド結合の形成を可能にし得る。そのようにして作製されたホモ二量体抗体は、改善した内部移行能力および/または増加した補体媒介性細胞死滅および抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)を有し得る。Caronら、J. Exp Med.、176巻:1191〜1195頁(1992年)およびShopes、B. J. Immunol.、148巻:2918〜2922頁(1992年)を参照されたい。Wolffら、Cancer Research 53巻:2560〜2565頁(1993年)に記載のヘテロ二官能性架橋結合剤を用いて、増強した感染抑制活性を有するホモ二量体抗体も調製し得る。あるいは、二重Fc領域を有し、したがって増強した補体溶解およびADCC能力を有し得る抗体を操作することができる。Stevensonら、Anti−Cancer Drug Design 3巻:219〜230頁(1989年)を参照されたい。
抗体の血清半減期を増加させるために、例えば米国特許第5,739,277号に記載のように、抗体(特に抗体断片)内にサルベージ受容体結合エピトープを取り込み得る。本明細書中で使用する用語「サルベージ受容体結合エピトープ」は、IgG分子の増加するin vivo血清半減期を担っているIgG分子(例えば、IgG、IgG、IgG、またはIgG)のFc領域のエピトープを指す。
本発明の抗体はまた、例えば精製または診断的用途で使用するためのエピトープタグまたは標識を含むように改変し得る。本発明はまた、細胞傷害剤または成長阻害性剤などの抗癌剤と結合体化した抗体を含む免疫結合体を用いた治療にも関する。そのような免疫結合体の作製に有用な化学療法剤は上述した。
抗体と、カリケアマイシン、マイタンシノイド、トリコテン(trichothene)、およびCC1065、ならびに毒素活性を有するこれらの毒素の誘導体などの1つまたは複数の小分子毒素との結合体も、本明細書中に企図される。
好ましい一実施形態では、本発明の抗体(完全長または断片)は、1つまたは複数のマイタンシノイド分子と結合体化している。マイタンシノイドは、チューブリン重合を阻害することによって作用する有糸***(mitototic)阻害剤である。マイタンシンは、東アフリカの低木Maytenus serrataから最初に単離された(米国特許第3,896,111号)。続いて、特定の微生物も、マイタンシノールおよびC−3マイタンシノールエステルなどのマイタンシノイドを産生することが発見された(米国特許第4,151,042号)。合成マイタンシノールならびにその誘導体および類似体は、例えば、米国特許第4,137,230号;第4,248,870号;第4,256,746号;第4,260,608号;第4,265,814号;第4,294,757号;第4,307,016号;第4,308,268号;第4,308,269号;第4,309,428号;第4,313,946号;第4,315,929号;第4,317,821号;第4,322,348号;第4,331,598号;第4,361,650号;第4,364,866号;第4,424,219号;第4,450,254号;第4,362,663号;および第4,371,533号に開示されている。
その治療指数を改善する試みとして、マイタンシンおよびマイタンシノイドを、腫瘍細胞抗原に特異的に結合する抗体と結合体化させた。マイタンシノイドを含む免疫結合体およびその治療上の使用は、例えば、米国特許第5,208,020号、第5,416,064号および欧州特許EP0425235B1に開示されている。Liuら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、93巻:8618〜8623頁(1996年)は、ヒト結腸直腸癌に対して誘導されるモノクローナル抗体C242と連結した、DM1と命名されたマイタンシノイドを含む免疫結合体を記載している。この結合体は、培養結腸癌細胞に対して細胞傷害性が高いことが判明し、in vivo腫瘍増殖アッセイにおいて抗腫瘍活性を示した。
抗体−マイタンシノイドの結合体は、抗体またはマイタンシノイド分子のどちらの生物活性を顕著に減少させずに、抗体をマイタンシノイド分子と化学的に連結することによって調製する。抗体分子1個あたり平均して3〜4個のマイタンシノイド分子が結合体化したものが、抗体の機能または溶解度に負の影響を与えずに標的細胞の細胞傷害を増強することにおいて有効性が示されているが、1個の毒素/抗体の分子でさえも、裸の抗体を使用するよりも細胞傷害を増強させると予測される。マイタンシノイドは当技術分野で周知であり、既知の技術によって合成するか、天然源から単離することができる。適切なマイタンシノイドは、例えば、米国特許第5,208,020号ならびに本明細書中で上記引用した他の特許および非特許刊行物中に開示されている。好ましいマイタンシノイドは、マイタンシノールおよびマイタンシノール分子の芳香環中または他の位置で修飾されたマイタンシノール類似体、例えば様々なマイタンシノールエステルである。
例えば、米国特許第5,208,020号または欧州特許EP0425235B1、およびChariら、Cancer Research、52巻:127〜131頁(1992年)に開示されているものを含めて、抗体結合体を作製するための多くの連結基が当技術分野で知られている。連結基には、上記同定した特許中に開示したジスルフィド基、チオエーテル基、酸に不安定な基、光に不安定な基、ペプチダーゼに不安定な基、またはエステラーゼに不安定な基が含まれ、ジスルフィドおよびチオエーテル基が好ましい。
免疫結合体は、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(ジメチルアジピミデートHCLなど)、活性エステル(スベリン酸ジスクシンイミジルなど)、アルデヒド(グルタルエルデヒド(glutaredehyde)など)、ビス−アジド化合物(ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなど)、ビス−ジアゾニウム誘導体(ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミンなど)、ジイソシアネート(トルエン2,6−ジイソシアネートなど)、およびビス−活性フッ素化合物(1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼンなど)などの、様々な二官能性タンパク質カップリング剤を用いて作製し得る。特に好ましいカップリング剤には、ジスルフィド結合を提供するN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)(Carlssonら、Biochem. J.、173巻:723〜737頁[1978年])およびN−スクシンイミジル−4−(2−ピリジルチオ)ペンタノエート(SPP)が含まれる。例えば、リシン免疫毒素を、Vitettaら、Science、238巻:1098頁(1987年)に記載のように調製することができる。炭素−14で標識した1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX−DTPA)は、放射性ヌクレオチドを抗体と結合体化させるための例示的なキレート化剤である。WO94/11026を参照されたい。リンカーは、細胞傷害薬の細胞中での放出を促進する「切断可能リンカー」であり得る。例えば、酸に不安定なリンカー、Cancer Research、52巻:127〜131頁(1992年);米国特許第5,208,020号)を使用し得る。
別の目的免疫結合体は、1つまたは複数のカリケアマイシン分子と結合体化した抗体を含む。抗生物質のカリケアマイシンファミリーは、ピコモル濃度以下で二本鎖DNAの切断を生じることができる。カリケアマイシンファミリーの結合体の調製には、米国特許第5,712,374号、第5,714,586号、第5,739,116号、第5,767,285号、第5,770,701号、第5,770,710号、第5,773,001号、第5,877,296号(すべてAmerican Cyanamid Company)を参照されたい。抗体が結合体化することができる別の薬物は、葉酸代謝拮抗剤であるQFAである。カリケアマイシンおよびQFAは、どちらも細胞内作用部位を有しており、形質膜を容易に横断しない。したがって、これらの薬剤の、抗体に媒介される内部移行による細胞取り込みは、その細胞傷害効果を大きく増強させる。
本発明の抗体と結合体化させることができる他の薬剤の例には、BCNU、ストレプトゾイシン(streptozoicin)、ビンクリスチンおよび5−フルオロウラシル、米国特許第5,053,394号、第5,770,710号に記載されているLL−E33288複合体として総合的に知られている薬剤ファミリー、ならびにエスペラミシン(米国特許第5,877,296号)が含まれる。
使用できる酵素活性毒素およびその断片には、例えば、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖(Pseudomonas aeruginosa由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファサルシン、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンチンタンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP−S)、momordica charantia阻害剤、クルシン、クロチン、sapaonaria officinalis阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシンおよびトリコテセンが含まれる。例えば、WO93/21232を参照されたい。
本発明には、さらに、抗体と核溶解活性を有する化合物(例えば、リボヌクレアーゼまたはDNAエンドヌクレアーゼ、例えばデオキシリボヌクレアーゼ;DNase)との間で形成した免疫結合体も含まれる。
感染細胞を選択的に破壊するためには、抗体は放射性の高い原子を含む。様々な放射性同位体が、放射結合体化抗PSCA抗体の生成に利用可能である。例には、At211、I131、I125、Y90、Re186、Rc188、Sm153、Bi212、P32、Pb212およびLuの放射性同位体が含まれる。結合体を診断のために使用する場合、シンチグラフィー研究のための放射性原子、例えば、Tc99mもしくはI123、または核磁気共鳴(NMR)画像法(磁気共鳴画像法、mriとしても知られる)のためのスピン標識、例えば、ヨウ素−123、ヨウ素−131、インジウム−111、フッ素−19、炭素−13、窒素−15、酸素−17、ガドリニウム、マンガンもしくは鉄を含み得る。
放射標識または他の標識は、既知の方法によって結合体内に取り込ませる。例えば、ペプチドを、例えば、水素の代わりにフッ素−19を含む適切なアミノ酸前駆体を用いて、生合成または化学アミノ酸合成し得る。Tc99mまたはI123、Re186、Re188およびIn111などの標識は、ペプチド中のシステイン残基を介して結合することができる。イットリウム−90はリシン残基を介して結合することができる。IODOGEN方法(Frakerら(1978年)Biochem. Biophys. Res. Commun.、80巻:49〜57頁を用いて、ヨウ素−123を取り込むことができる。「Monoclonal Antibodies in Immunoscintigraphy」(Chatal, CRC Press、1989年)は、他の方法を詳細に記載している。
あるいは、抗体および細胞傷害剤を含む融合タンパク質を、例えば、組換え技術またはペプチド合成によって作製する。DNAの長さは、結合体の2つの部分を、互いに隣接して、または結合体の所望の特性を破壊しないリンカーペプチドをコードしている領域によって隔てられてコードしている、それぞれの領域を含み得る。
本発明の抗体は、抗体を、プロドラッグ(例えば、ペプチジル化学療法剤、WO81/01145参照)を活性のある抗癌薬へと変換するプロドラッグ活性化酵素と結合体化させることによる、抗体依存性酵素媒介性プロドラッグ療法(ADET)でも使用する(例えば、WO88/07378および米国特許第4,975,278号参照)。
ADEPTに有用な免疫結合体の酵素構成成分には、プロドラッグを、より活性のある細胞傷害性のあるその形態へと変換する様式でプロドラッグに作用することができる、任意の酵素が含まれる。本発明の方法において有用な酵素には、それだけには限定されないが、リン酸塩含有プロドラッグを遊離薬物に変換するために有用なアルカリフォスファターゼ;硫酸塩含有プロドラッグを遊離薬物に変換するために有用なアリールスルファターゼ;無毒性5−フルオロシトシンを抗癌薬5−フルオロウラシルに変換するために有用なシトシンデアミナーゼ;ペプチド含有プロドラッグを遊離薬物に変換するために有用なプロテアーゼ、例えば、serratiaプロテアーゼ、サーモリシン、サブチリシン、カルボキシペプチダーゼならびにカテプシン(カテプシンBおよびLなど)等;D−アミノ酸置換基を含むプロドラッグを変換するために有用なD−アラニルカルボキシペプチダーゼ;グリコシル化プロドラッグを遊離薬物に変換するために有用な炭水化物切断酵素、例えば、β−ガラクトシダーゼおよびノイラミニダーゼ;β−ラクタムで誘導体化した薬物を遊離薬物に変換するために有用なβ−ラクタマーゼ;そのアミン窒素をそれぞれフェノキシアセチルまたはフェニルアセチル基で誘導体化した薬物を遊離薬物に変換するために有用な、ペニシリンVアミダーゼまたはペニシリンGアミダーゼなどのペニシリンアミダーゼが含まれる。あるいは、当技術分野で「抗体酵素」としても知られている、酵素活性を有する抗体を使用して、本発明のプロドラッグを遊離活性薬物に変換することができる(例えば、Massey、Nature、328巻:457〜458頁(1987年)参照)。抗体−抗体酵素の結合体は、抗体酵素を感染細胞集団に送達するために、本明細書中に記載のように調製することができる。
本発明の酵素は、上述のヘテロ二官能性架橋結合試薬を使用することなどの当技術分野で周知の技術によって、抗体と共有結合させることができる。あるいは、少なくとも本発明の酵素の機能的に活性のある部分に連結した少なくとも本発明の抗体の抗原結合領域を含む融合タンパク質を、当技術分野で周知の組換えDNA技術を用いて構築することができる(例えば、Neubergerら、Nature、312巻:604〜608頁(1984年)を参照されたい。
抗体の他の修飾が本明細書中で企図される。例えば、抗体を、様々な非タンパク質ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン、またはポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのコポリマーのうちの1つと連結させ得る。また、抗体は、例えば、コアセルベーション技術もしくは界面重合(例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチン−マイクロカプセルおよびポリ−(メチルメタシレート(methylmethacylate))マイクロカプセル)によって調製したマイクロカプセル中、コロイド状薬物送達系中(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)、またはマクロ乳濁液中に封入してもよい。そのような技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、Oslo, A.編、(1980年)に開示されている。
また、本明細書中に開示した抗体は、免疫リポソームとしても調合する。「リポソーム」は、薬物を哺乳動物に送達するために有用な、様々な種類の脂質、リン脂質および/または界面活性剤からなる小さな小胞である。リポソームの構成成分は、一般的に、生体膜の脂質配置に類似の二重層の形態で配置されている。抗体を含むリポソームは、Epsteinら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、82巻:3688頁(1985年);Hwangら、Proc. Natl Acad. Sci. USA、77巻:4030頁(1980年);米国特許第4,485,045号および第4,544,545号;ならびに1997年10月23日に公開のWO97/38731などに記載されているように、当技術分野で知られている方法によって調製する。循環時間が増強されたリポソームは、米国特許第5,013,556号に開示されている。
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成物を用いた逆相蒸発方法によって作製することができる。リポソームを、定義された孔径のフィルターを通して押出して、所望の直径を有するリポソームが得られる。本発明の抗体のFab’断片は、Martinら、J. Biol. Chem.、257巻:286〜288頁(1982年)に記載のように、ジスルフィド交換反応によって、リポソームと結合体化させることができる。化学療法剤を任意選択でリポソーム内に含める。Gabizonら、J. National Cancer Inst.、81巻(19号)1484頁(1989年)を参照されたい。
本発明の抗体またはその断片は、様々な生物学的または機能的特徴のうちの任意のものを保有し得る。特定の実施形態では、これらの抗体は、インフルエンザAに特異的な抗体またはM2タンパク質に特異的な抗体であり、これは、これらの抗体が、正常な対照細胞と比較して、それぞれインフルエンザAまたはそのM2タンパク質に特異的に結合する、または優先的に結合することを示す。特定の実施形態では、抗体はHuM2e抗体であり、これは、これらの抗体が、正常な対照細胞と比較して、M2eタンパク質、好ましくは、M2タンパク質が細胞中で発現されている、またはウイルス上に存在する場合にのみ存在するM2eドメインのエピトープに特異的に結合することを示す。
特定の実施形態では、本発明の抗体は、この抗体が特異的または優先的に結合するポリペプチドまたは細胞の生物活性を部分的または完全に遮断または阻害する、拮抗抗体である。他の実施形態では、本発明の抗体は、この抗体が結合する感染細胞の成長を部分的または完全に遮断または阻害する、成長阻害抗体である。別の実施形態では、本発明の抗体はアポトーシスを誘導する。さらに別の実施形態では、本発明の抗体は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害または補体依存性細胞傷害を誘導または促進する。
インフルエンザウイルスに特異的な抗体を同定および産生する方法
本発明は、実施例4に例示されるHuM2e抗体の同定のための新規方法を提供する。これらの方法は、感染性病原体によって細胞表面に発現される他のポリペプチド、またはさらに感染性病原体それ自体の表面に発現されるポリペプチドに特異的な抗体を同定するために容易に適応され得る。
全体として方法は、感染性病原体に感染したまたはそれに対するワクチン接種を受けた患者から血清試料を得ることを含む。これらの血清試料は、次いで感染性病原体に関連する特定のポリペプチド、例えば感染性病原体感染細胞の表面に特異的に発現されるが、未感染細胞ではされないポリペプチドなどに特異的な抗体を含有するものを同定するために選別される。具体的な実施形態において血清試料は、感染細胞の表面に発現されるポリペプチドを発現する発現ベクターをトランスフェクトした細胞を試料と接触させることによって選別される。
目的の感染性病原体ポリペプチドに特異的な抗体を含有する血清を有すると患者が同定されると、同じ患者から得られた単核細胞および/またはB細胞は、本明細書に記載の任意の方法または当技術分野において利用可能な任意の方法を使用して抗体を産生する細胞またはそのクローンを同定するために、使用される。抗体を産生するB細胞が同定されると、抗体の可変領域またはその断片をコードするcDNAが、標準的RT−PCRベクターおよび保存された抗体配列に特異的なプライマーを使用してクローニングされ、目的の感染性病原体ポリペプチドに特異的なモノクローナル抗体の組換え産生のために使用される発現ベクターにサブクローニングされ得る。
一実施形態において本発明は、インフルエンザA感染細胞に特異的に結合する抗体を同定するための方法であって、インフルエンザAウイルスまたはM2タンパク質を発現する細胞を、インフルエンザAに感染した患者から得た生物学的試料と接触させるステップ、細胞に結合する生物学的試料中の抗体の量を決定するステップ、および決定された量を対照値と比較するステップを含み、決定された値が対照値より少なくとも2倍を超えて大きい場合にインフルエンザA感染細胞に特異的に結合する抗体が示唆される方法を提供する。
種々の実施形態においてM2タンパク質を発現する細胞は、インフルエンザAウイルス感染細胞またはM2タンパク質を発現するポリヌクレオチドをトランスフェクトした細胞である。代替えとして細胞は、M2eドメインおよび、タンパク質が依然として細胞に会合し、かつ完全長M2タンパク質中に存在する場合と同様の様式でM2eドメインが細胞表面に存在する十分な追加的M2配列を含むM2タンパク質の一部を発現できる。M2発現ベクターを調製し、本明細書に記載のものを含む適切な細胞にトランスフェクトする方法は、M2配列が公的に入手可能であるという観点から容易に達成され得る。例えば、Influenza Sequence Database(ISD)、(Mackenら、2001年、「The value of a database in surveillance and vaccine selection」in Options for the Control of Influenza IV. A.D.M.E.、Osterhaus & Hampson(編)、Elsevier Science、Amsterdam、103〜106頁に記載のワールドワイドウェブ上のflu.lan1.gov)およびThe Institute for Genomic Research(TIGR)のMicrobial Sequencing Center(MSC)(ワールドワイドウェブ上のtigr.org/msc/infl_a_virus.shtml)を参照されたい。
M2e発現細胞または上に記載のウイルスは、インフルエンザAに感染した患者から得た生物学的試料を、M2ポリペプチドを発現する細胞に選択的に結合する抗体の存在について標準的生物学的技術を使用して選別するために使用される。例えば、特定の実施形態において抗体は、標識されることができ、例えばFMATまたはFAC分析を使用して、細胞に関連する標識の存在を検出し得る。具体的な実施形態において生物学的試料は、血液、血清、血漿、気管支洗浄物または唾液である。本発明の方法は、ハイスループットな技術を使用して実施され得る。
同定されたヒト抗体は、次いでさらに特徴付けられ得る。例えば、抗体の結合のために必要または十分であるM2eタンパク質中の特定のコンホーメーションエピトープは、例えば発現されるM2eポリペプチドの部位特異的変異誘発を使用して決定され得る。これらの方法は、細胞表面に発現される任意のタンパク質に結合するヒト抗体を同定するために容易に適用され得る。さらにこれらの方法は、組換えM2eを発現する細胞またはウイルス感染細胞ではなく、ウイルス自体への抗体の結合を決定するためにも適用され得る。
抗体、その可変領域またはその抗原結合断片をコードするポリヌクレオチド配列は、HuM2e抗体の組換え産生のための発現ベクターにサブクローニングされ得る。一実施形態においてこれは、同定されたHuM2e抗体を含有する血清からの患者由来の単核細胞を得るステップ、単核細胞からB細胞クローンを産生するステップ、B細胞を抗体産生形質細胞になるように誘導するステップ、およびHuM2e抗体を含有するかどうかを決定するために形質細胞によって産生された上清を選別するステップによって達成される。HuM2e抗体を産生するB細胞クローンが同定されると、HuM2e抗体の可変領域またはその一部をコードするDNAをクローニングするために逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)が実施される。これらの配列は、次いでヒトHuM2e抗体の組換え産生に適する発現ベクターにサブクローニングされる。結合特異性は、M2eポリペプチドを発現する細胞に結合する組換え抗体の能力を決定することによって確認され得る。
本明細書に記載する方法の具体的な実施形態において、末梢血またはリンパ節から単離されたB細胞は、例えばそれらがCD19陽性であることに基づいて選別され、かつ例えば1ウェルあたり単一の細胞特異性ほどの少なさで、例えば96、384または1536ウェルの構造(configuration)に蒔かれる。細胞は、抗体産生細胞、例えば形質細胞に分化するように誘導され、培養上清は回収され、例えばFMATまたはFACS分析を使用して感染性病原体ポリペプチドをその表面に発現する細胞への結合について検査される。次いで、陽性ウェルを全ウェルRT−PCRにかけて、クローン娘形質細胞によって発現されるIgG分子の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を増幅する。重鎖および軽鎖可変領域またはその一部をコードする得られたPCR産物は組換え発現のためのヒト抗体発現ベクターにサブクローニングされる。得られた組換え抗体は、次いでそれらの本来の結合特異性を確認するために検査され、かつ感染性病原体の種々の分離株にわたる全体の特異性についてさらに検査され得る。
したがって一実施形態においてHuM2e抗体を同定する方法は、以下の通り実施される。第1に、完全長またはほぼ完全長のM2 cDNAをM2タンパク質発現のための細胞系にトランスフェクトする。第2に、個々のヒト血漿試料または血清試料を、細胞発現M2に結合する抗体について検査する。最後に、血漿陽性または血清陽性の個体由来のMAbを同じ細胞発現M2への結合について特徴付ける。さらにMAbの精密な特異性のさらなる定義付けは、この時点で実施することができる。
これらの方法は、(a)直鎖状M2eペプチド内のエピトープ、(b)M2eの複数のバリアントにおける共通エピトープ、(c)M2ホモ四量体のコンフォーメーション決定基、および(d)M2ホモ四量体の複数のバリアントの共通コンフォーメーション決定基、に特異的な抗体を含む様々な異なるHuM2e抗体を同定するために実施され得る。最後の分類が、この特異性がインフルエンザのすべてのA株についておそらく特異的であることから特に望ましい。
本発明のHuM2e抗体またはその一部をコードするポリヌクレオチドは、ヒト抗体ポリペプチドの保存領域に特異的なプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応による増幅を含む当技術分野において利用可能な方法および本明細書に記載の方法により、HuM2e抗体を発現する細胞から単離され得る。例えば、軽鎖可変領域および重鎖可変領域は、WO92/02551、米国特許第5,627,052号、またはBabcookら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93巻:7843〜48頁(1996年)に記載の分子生物学的技術によりB細胞からクローニングされ得る。特定の実施形態において、HuM2e抗体を発現するクローン娘形質細胞によって発現されるIgG分子の重鎖可変領域および軽鎖可変領域の両方の全体または一領域をコードするポリヌクレオチドは、サブクローニングされ、かつ配列決定される。コードされるポリペプチドの配列は、ポリヌクレオチド配列から容易に決定され得る。
本発明のポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドは、本発明の抗体およびポリペプチドを組換え的に産生するために、当技術分野において公知の手順および本明細書に記載の手順を使用して発現ベクターにサブクローニングされ得る。
M2eまたは感染細胞もしくは組織への抗体(またはその断片の)結合特性は、一般に例えば、免疫蛍光に基づくアッセイ(免疫組織化学(IHC)および/または蛍光標識細胞分取(FACS)など)が挙げられる免疫検出法を使用して決定および評価され得る。免疫アッセイ法は、抗体がインフルエンザAの1つまたは複数の特定の株由来のM2eに特異的に結合し、かつ正常対照細胞を認識しない、または交差反応しないかどうかを決定するための対照および手順を含むことができる。
感染性病原体またはそのポリペプチド、例えばM2に対する抗体を産生する患者を同定するための血清の予備選別に続いて、本発明の方法は、典型的には患者または被験体からあらかじめ得た生物学的試料からのB細胞の単離または精製を含む。患者または被験体は、現在もしくは以前に特定の疾患または感染症であると診断されたもしくは疑われたもしくは有していたことがあってよく、または患者もしくは被験体は、特定の疾患または感染症を有さないと考えられてもよい。典型的には患者または被験体は、哺乳類であり、具体的な実施形態においてはヒトである。生物学的試料は、リンパ節もしくはリンパ節組織、胸水、末梢血、腹水、腫瘍組織、または脳脊髄液(CSF)をこれだけに限らないが含むB細胞を含有する任意の試料であり得る。種々の実施形態においてB細胞は、特定の疾患または感染症に罹患した生物学的試料などの様々な種類の生物学的試料から単離される。しかし、B細胞を含む任意の生物学的試料が本発明の任意の実施形態について使用され得ることは理解される。
単離されるとB細胞は、例えば、プラズマ細胞、形質芽細胞または形質細胞へのB細胞の増殖または発達を支持する条件下でB細胞を培養することによって抗体を産生するように誘導される。次いで抗体を、典型的にはハイスループットな技術を使用して、標的抗原、例えば特定の組織、細胞、感染性病原体またはポリペプチドに特異的に結合する抗体を同定するために選別される。特定の実施形態において、特異抗原、例えば抗体が結合する細胞表面ポリペプチドは、未知である一方で他の実施形態においては抗体が特異的に結合する抗原は既知である。
本発明によりB細胞は、生物学的試料、例えば腫瘍、組織、末梢血またはリンパ節試料から当技術分野において公知かつ利用可能な任意の手段によって単離され得る。B細胞は、典型的にはFACSによってそれらの表面のB細胞特異的マーカー、例えばCD19、CD138および/または表面IgGの存在に基づいて選別される。しかし当技術分野において既知の他の方法、例えばCD19磁性ビーズまたはIgG特異的磁性ビーズを使用するカラム精製に続くカラムからの溶出も使用できる。しかし、任意のマーカーを利用するB細胞の磁気分離は、特定のB細胞の損失を生じる場合がある。したがって特定の実施形態において、単離された細胞は選別されないが、しかし代わりに腫瘍から単離されたフィコール−精製単核細胞は、適切なまたは望ましい1ウェルあたりの特異性の数で直接蒔かれる。
感染性病原体特異的抗体を産生するB細胞を同定するために、B細胞は典型的には低密度(例えば1ウェルあたり単一の細胞特異性、1ウェルあたり細胞1〜10個、1ウェルあたり細胞10〜100個、1ウェルあたり細胞1〜100個、1ウェルあたり細胞10個未満、または1ウェルあたり細胞100個未満)で、マルチウェルまたはマイクロタイタープレートに、例えば96、384もしくは1536ウェルの構造に蒔かれる。B細胞が最初に1ウェルあたり細胞1個を超える密度で蒔かれる場合、次いで本発明の方法は、抗原特異的抗体を産生すると同定されたウェルにおいて、1ウェルあたり単一の細胞特異性が達成されるまで細胞を希釈する引き続きのステップを含むことができ、それにより抗原特異的抗体を産生するB細胞の同定を促進する。細胞上清またはその一部および/または細胞は、将来の検査のためおよび抗体ポリヌクレオチドの後の回収のために凍結および保存され得る。
特定の実施形態においてB細胞は、B細胞による抗体の産生に有利な条件下で培養される。例えばB細胞は、抗体産生形質芽球、プラズマ細胞または形質細胞を得るためにB細胞の増殖および分化に有利な条件下で培養され得る。具体的な実施形態においてB細胞は、リポ多糖(LPS)またはCD40リガンドなどのB細胞***促進因子の存在下で培養される。詳細な一実施形態においてB細胞は、それらをフィード細胞および/またはCD40リガンドなどの他のB細胞活性化因子とともに培養することによって抗体産生細胞に分化する。
細胞培養上清またはそれらから得た抗体は、標的抗原に結合するそれらの能力について、本明細書に記載のものを含む当技術分野において利用可能な常法を使用して検査され得る。具体的な実施形態において培養上清は、標的抗原に結合する抗体の存在についてハイスループットな方法を使用して検査される。例えばB細胞は、複数の細胞上清を同時に採取し、かつ標的抗原に結合する抗体の存在について検査するためにロボットプレートハンドラーを使用できるようにマルチウェルマイクロタイターディッシュで培養され得る。具体的な実施形態において抗原は、ビーズ、例えば常磁性またはラテックスビーズ)に抗体/抗原複合体の捕捉を促進するために結合される。他の実施形態において抗原および抗体は、(異なる標識で)蛍光標識され、FACS分析が標的抗原に結合する抗体の存在を同定するために実施される。一実施形態において抗体結合は、FMAT(商標)分析および装置(Applied Biosystems、Foster City、CA)を使用して決定される。FMAT(商標)は、生細胞またはビーズを使用する、混合および読取りの、非放射性アッセイである、ハイスループット選別のための蛍光マクロ共焦点プラットホームである。
対照試料(例えば未感染細胞または異なる感染性病原体などの生物学的試料)と比較して、特定の標的抗原(例えば感染組織もしくは細胞、または感染性病原体などの生物学的試料)への抗体の結合を比較する場合における種々の実施形態において、対照試料に結合する量と比較して少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍または少なくとも10倍多く抗体が特定の標的抗原に結合する場合に、抗体は特定の標的抗原に選択的に結合すると考えられる。
抗体鎖、その可変領域またはその断片をコードするポリヌクレオチドは、当技術分野において利用可能な任意の手段を利用して細胞から単離され得る。一実施形態においてポリヌクレオチドは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)例えば、重鎖または軽鎖をコードするポリヌクレオチド配列またはその相補物に特異的に結合するオリゴヌクレオチドプライマーを使用し、当技術分野において利用可能な常法を使用する逆転写PCR(RT−PCR)を使用して単離される。一実施形態において陽性ウェルは、クローン娘形質細胞によって発現されるIgG分子の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を増幅するためにすべてのウェルがRT−PCRにかけられる。これらのPCR産物は、配列決定され得る。
重鎖可変領域および軽鎖可変領域またはその一部をコードする得られたPCR産物は、次いでヒト抗体発現ベクターにサブクローニングされ、当技術分野における常法により組換え的に発現される(例えば米国特許第7,112,439号を参照されたい)。本明細書に記載の腫瘍特異的抗体またはその断片をコードする核酸分子は、核酸切断、連結、形質転換およびトランスフェクションのための任意の種々の周知の手順により増殖または発現され得る。それにより特定の実施形態において抗体断片の発現は、Escherichia coliなどの原核宿主細胞においてが好ましい場合がある(Pluckthunら、Methods Enzymol.178巻:497〜515頁(1989年))。特定の他の実施形態において抗体またはその抗原結合断片の発現は、酵母(例えばSaccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombeおよびPichia pastoris)、動物細胞(哺乳類細胞を含む)または植物細胞を含む真核宿主細胞においてが好ましい場合がある。適切な動物細胞の例として、これだけに限らないがミエローマ、COS、CHO、またはハイブリドーマ細胞が挙げられる。植物細胞の例として、タバコ、トウモロコシ、ダイズおよびイネの細胞が挙げられる。当業者に公知の方法により、かつ本開示に基づいて、核酸ベクターは、具体的な宿主系における外来配列の発現のために設計されることができ、次いで腫瘍特異的抗体(またはその断片)をコードするポリヌクレオチド配列は挿入され得る。調節エレメントは、具体的な宿主に応じて変化する。
可変領域および/または定常領域をコードするポリヌクレオチドを含有する1つまたは複数の複製可能な発現ベクターは、調製され、かつ抗体の産生が生じる例えばマウスNSO系などの非産生ミエローマ細胞系またはE.coliなどの細菌である適切な細胞系を形質転換するために使用され得る。有効な転写および翻訳を得るために、各ベクターにおけるポリヌクレオチド配列は、適切な調節配列、とりわけ可変ドメイン配列に機能的に連結されたプロモーターおよびリーダー配列を含むべきである。このような抗体産生のための具体的な方法は、一般に十分に周知であり、かつ日常的に使用される。例えば分子生物学的手順は、Sambrookら、(Molecular Cloning、A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、New York、1989年、Sambrookら、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory、New York、(2001年)も参照されたい)によって記載されている。必要ではないが、特定の実施形態において組換え抗体をコードするポリヌクレオチドの領域は、配列決定され得る。DNA配列決定は、Sangerら、(Proc. Natl. Acad. Sci. USA
74巻:5463頁(1977年))および、それへの改善を含むAmersham International plc sequencing handbookに記載のとおり実施され得る。
具体的な実施形態において得られた組換え抗体またはその断片は、次いでそれらの本来の特異性を確認するために検査され、例えば関連する感染性病原体での全体の特異性についてさらに検査され得る。具体的な実施形態において、本明細書に記載の方法により同定または産生された抗体は、抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)もしくはアポトーシスを介する細胞死滅、および/または巧みにその内部移行する能力について検査される。
ポリヌクレオチド
本発明は、他の態様において、ポリヌクレオチド組成物を提供する。好ましい実施形態においてこれらのポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチド、例えばインフルエンザA、M2またはM2eに結合する抗体の可変鎖の領域をコードする。本発明のポリヌクレオチドは、1本鎖(コードまたはアンチセンス)もしくは2本鎖(ゲノム、cDNAまたは合成)のDNAまたはRNA分子である。RNA分子として、これだけに限らないがイントロンを含有し、DNA分子に1対1形式で対応するHnRNA分子、およびイントロンを含まないmRNA分子が挙げられる。代替としてまたは追加的に、コード配列または非コード配列は、本発明のポリヌクレオチド中に存在する。同様に代替としてまたは追加的にポリヌクレオチドは、他の分子および/または本発明の支持物質に連結される。本発明のポリヌクレオチドは、例えば生物学的試料中のインフルエンザA抗体の存在を検出するためのハイブリダイゼーションアッセイにおいて、および本発明のポリペプチドの組換え産生において使用される。
したがって本発明の他の態様により、実施例1に記載のいくつかまたはすべてのポリヌクレオチド配列、実施例1に記載のポリヌクレオチド配列の相補物、および実施例1に記載のポリヌクレオチド配列の縮重バリアントを含むポリヌクレオチド組成物が、提供される。特定の好ましい実施形態において本明細書に記載のポリヌクレオチド配列は、実施例1または2に記載の配列を有するポリペプチドを含む、正常な対照未感染細胞と比較してインフルエンザA感染細胞に選択的に結合できるポリペプチドをコードする。さらに本発明は、本発明の任意のポリペプチドをコードするすべてのポリヌクレオチドを含む。
他の関連する実施形態において本発明は、図1に記載の配列に実質的な同一性を有する、例えば本明細書に記載の方法(例えば標準的パラメータを使用するBLAST分析)を使用して決定される場合に、本発明のポリヌクレオチド配列と比較して少なくとも70%の配列同一性、好ましくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%またはそれを超える配列同一性を備えるポリヌクレオチドバリアントを提供する。当業者は、これらの値がコドン縮重、アミノ酸類似性、読み枠位置などを考慮して2つのヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質の対応する同一性を決定するために適切に調整され得ることを認める。
典型的にはポリヌクレオチドバリアントは、1つまたは複数の置換、追加、欠損および/または挿入を、好ましくはバリアントポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの免疫原結合特性が、本明細書に明確に記載のポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドと比較して実質的に減少しないように含有する。
追加的な実施形態において本発明は、本明細書に開示の1つまたは複数の配列と同一またはそれに相補的な配列の種々の長さの近接ストレッチを含むポリヌクレオチド断片を提供する。例えば本明細書に開示の1つまたは複数の配列の少なくとも約10、15、20、30、40、50、75、100、150、200、300、400、500もしくは1000またはそれを超える近接ヌクレオチドおよびそれらの間のすべての中間の長さを含むポリヌクレオチドが本発明によって提供される。本明細書で使用する用語「中間の長さ」は、16、17、18、19など、21、22、23など、30、31、32など、50、51、52、53など、100、101、102、103など、150、151、152、153など、などの引用値の間の任意の長さを、200〜500、500〜1,000などの間のすべての整数を含んで表して意味する。
本発明の他の実施形態において、中程度から高度なストリンジェンシーの条件下で本明細書で提供されるポリヌクレオチド配列もしくはその断片またはその相補配列にハイブリダイズできるポリヌクレオチド組成物が提供される。ハイブリダイゼーション技術は、分子生物学の当技術分野において周知である。例示の目的のために、本発明のポリヌクレオチドと他のポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを検査するための適切な中程度にストリンジェントな条件は、5×SSC、0.5%SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)の溶液中での前洗浄、50℃〜60℃、5×SSCでの一晩のハイブリダイゼーション、続く0.1%SDSを含有する2×、0.5×および0.2×SSCでの65℃、20分間、それぞれ2回の洗浄を含む。当業者は、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、ハイブリダイゼーション溶液の塩含有量および/またはハイブリダイゼーションが実施される温度を変更することなどによって容易に操作できることを理解する。例えば他の実施形態において、適切な高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーションの温度を、例えば60〜65℃または65〜70℃に上昇させることを除き上に記載の条件を含む。
好ましい実施形態においてポリヌクレオチドバリアントまたは断片によってコードされるポリペプチドは、天然ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドと同様の結合特異性(すなわち同じエピトープまたはインフルエンザA株に特異的または選択的に結合する)を有する。特定の好ましい実施形態において、上に記載のポリヌクレオチド、例えばポリヌクレオチドバリアント、断片およびハイブリダイズする配列は、本明細書に明確に記載のポリペプチド配列でのレベルの少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約90%のレベルの結合活性を有するポリペプチドをコードする。
本発明のポリヌクレオチドまたはその断片は、それ自体のコード配列の長さにかかわらず、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、追加的制限酵素部位、マルチクローニングサイト、他のコードセグメントなどの他のDNA配列と、それら全体の長さがかなり変化できるように組み合わせられ得る。ほぼ任意の長さの核酸断片が、好ましくは調製および目的の組換えDNA手順における使用の容易さによって完全長が制限されて使用される。例えば完全長約10,000、約5000、約3000、約2,000、約1,000、約500、約200、約100、約50塩基対の長さなど(すべての中間の長さを含む)を有する例示的ポリヌクレオチドセグメントは、本発明の多数の実施に含まれる。
遺伝コードの縮重の結果として、本明細書に記載のポリペプチドをコードする複数のヌクレオチド配列があることは当業者に理解される。これらのポリヌクレオチドのいくつかは、任意の天然遺伝子のヌクレオチド配列にわずかな相同性を保有する。それにもかかわらず、本発明のポリペプチドをコードするが、コドン使用における差異によって変化するポリヌクレオチドは、本発明によって明確に意図される。さらに本明細書で提供されるポリヌクレオチド配列を含む遺伝子の対立遺伝子は、本発明の範囲内である。対立遺伝子は、ヌクレオチドの欠損、追加および/または置換などの1つまたは複数の変異の結果として変更される内在性遺伝子である。得られたmRNAおよびタンパク質は、必要ではないが、変化した構造または機能を有する。対立遺伝子は、標準的技術(ハイブリダイゼーション、増幅および/またはデータベース配列比較など)を使用して同定され得る。
本発明の特定の実施形態において、開示されたポリヌクレオチド配列の変異誘発は、コードされるポリペプチドの結合特異性または結合強度などの1つまたは複数の特性を変化させるために実施される。変異誘発のための技術は、当技術分野において周知であり、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドの両方でバリアントを作製するために広く使用される。部位特異的変異誘発などの変異誘発手法は、本明細書に記載のポリペプチドのバリアントおよび/または誘導体の調製のために使用される。この手法によって、ポリペプチド配列中の特異的な改変がそれらをコードする基となるポリヌクレオチドの変異誘発を通じて作製される。これらの技術は、例えば、1つまたは複数の前述の考慮すべき事柄を組み込んで1つまたは複数のヌクレオチド配列の変化をポリヌクレオチドに導入することによって、配列バリアントを調製および検査するためのストレートなアプローチを提供する。
部位特異的変異誘発は、十分なサイズのプライマー配列および欠損接合部を超える両側での安定な二重鎖を形成するための配列の複雑性を提供するために、ヌクレオチド配列の所望の変異および十分な数の近接ヌクレオチドを含む特定のオリゴヌクレオチド配列の使用を通じて、変異体の産生を可能にする。変異は、選択されるポリヌクレオチド配列において、ポリヌクレオチド自体の特性を改善、変更、減少、改変もしくは他に変化させるため、および/またはコードされるポリペプチドの特性、活性、組成、安定性もしくは一次配列を変更するために使用される。
本発明の他の実施形態において、本明細書で提供されるポリヌクレオチド配列は、核酸ハイブリダイゼーションのためのプローブまたはプライマーとして、例えばPCRプライマーとして使用される。目的配列に特異的にハイブリダイズするそのような核酸プローブの能力は、所与の試料における相補配列の存在の検出を可能にする。しかし、変異種プライマーまたは、他の遺伝子構築体の調製における使用のためのプライマーの調製のための配列情報の使用などの他の使用も本発明によって包含される。そのように本明細書に開示の15ヌクレオチド長の近接配列と同じ配列であるかまたは相補的である少なくとも約15ヌクレオチド長の近接配列の配列領域を含む本発明の核酸セグメントは、特に有用である。より長い近接した同一のまたは相補的な配列、例えば完全長配列およびすべての間の長さを含む約20、30、40、50、100、200、500、1000の配列(すべての中間の長さを含む)も、特定の実施形態において使用される。
本明細書に開示のポリヌクレオチド配列と同一またはそれに相補的な10〜14、15〜20、30、50もしくはさらに100〜200ヌクレオチドほどの(加えて中間の長さも含む)近接ヌクレオチドストレッチからなる配列領域を有するポリヌクレオチド分子は、例えばサザンおよびノーザンブロッティングにおける使用のためのハイブリダイゼーションプローブとして、ならびに/または例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)における使用のためのプライマーとして具体的に意図される。断片の全サイズおよび相補ストレッチ(複数可)のサイズは、最終的には目的の使用または具体的な核酸セグメントの適用に依存する。より小さな断片は、一般的に、近接相補領域の長さが約15から約100ヌクレオチドの間などで変化できるハイブリダイゼーション実施形態において使用されるが、より大きな近接相補性ストレッチは、検出しようとする長さの相補配列に応じて使用され得る。
長さ約15〜25ヌクレオチドのハイブリダイゼーションプローブの使用は、安定かつ選択的な二本鎖分子の形成を可能にする。長さ12塩基を超えるストレッチにわたる近接相補性配列を有する分子は、ハイブリッドの安定性および選択性を増大させるためには一般に好ましいが、それにより得られる特異的ハイブリッド分子の質および程度が改善される。15から25までの近接ヌクレオチドの遺伝子相補性ストレッチまたは所望によりさらに長いヌクレオチドの遺伝子相補性ストレッチを有する核酸分子は、一般的に好ましい。
ハイブリダイゼーションプローブは、本明細書に開示の任意の配列の任意の部分から選択される。必要とされるのは、プローブまたはプライマーとして利用しようとする長さ約15〜25ヌクレオチドから完全長配列までのおよび完全長配列を含む本明細書に記載の配列または配列の任意の連続部分を精査することだけである。プローブおよびプライマー配列の選択は、種々の要因によって支配される。例えば、全配列の端から端へのプライマーの使用も期待できる。
本発明のポリヌクレオチド、またはその断片もしくはバリアントは、例えば自動化オリゴヌクレオチド合成機を使用して一般に実施されているとおり化学的手段によって断片を直接合成するステップによって容易に調製される。さらに断片は、米国特許第4,683,202号のPCR(商標)技術などの核酸複製技術の応用によって、選択した配列を組換え産生のための組換えベクターに導入することによって、および分子生物学の当業者に一般に知られている他の組換えDNA技術によって得られる。
ベクター、宿主細胞および組換え方法
本発明は、本発明の核酸を含むベクターおよび宿主細胞、ならびに本発明のポリペプチドの製造のための組換え技術を提供する。本発明のベクターは、例えば、プラスミド、ファージ、コスミド、およびミニ染色体を含むいかなる種類の細胞または生物においても複製可能であるものを含む。様々な実施形態において、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターは、ポリヌクレオチドの伝播または複製に適したベクター、または本発明のポリペプチドの発現に適したベクターである。このようなベクターは当技術分野において公知であり、市販されている。
本発明のポリヌクレオチドは合成され、次いで全体または一部が組み合わされ、例えば、適切な制限部位および制限酵素を使用した線状化ベクター中へのポリヌクレオチドのサブクローニングなどを含む、慣用的な分子細胞生物学技術を使用してベクター中に挿入される。本発明のポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドのそれぞれの鎖に相補的なオリゴヌクレオチドプライマーを使用してポリメラーゼ連鎖反応により増幅される。これらのプライマーもまた、ベクター中へのサブクローニングを容易にするための制限酵素切断部位を含む。複製可能なベクター成分は一般に、これらに限定されるわけではないが、以下のうち1つまたは複数を含む:シグナル配列、複製開始点、および1つまたは複数のマーカーまたは選択遺伝子。
本発明のポリペプチドを発現させるために、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列またはその機能的同等物は、適切な発現ベクター、すなわち、挿入されたコード配列の転写および翻訳に必要なエレメントを含むベクター中に挿入される。当業者に周知の方法が、対象とするポリペプチドをコードする配列および適切な転写および翻訳制御エレメントを含む、発現ベクターを構築するために使用される。これらの方法は、in vitro組換えDNA技術、合成技術、およびin vivo遺伝子組換えを含む。このような技術は、例えば、Sambrook, J.ら、(1989年)Molecular Cloning、A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Press、Plainview, N.Y.およびAusubel, F.M.ら、(1989年)Current Protocols in Molecular Biology、John WileyおよびSons、New York、N.Yに記述されている。
様々な発現ベクター/宿主系が、ポリヌクレオチド配列を含むおよび発現させるために利用される。これらの系は、組換えバクテリオファージ、プラスミド、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換した細菌などの微生物;酵母発現ベクターで形質転換した酵母;ウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染させた昆虫細胞系;ウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)または細菌発現ベクター(例えば、TiまたはpBR322プラスミド)で形質転換した植物細胞系;または動物細胞系を含むがこれらに限定されるわけではない。一実施形態において、対象とするモノクローナル抗体を発現する遺伝子の可変領域が、ヌクレオチドプライマーを使用してハイブリドーマ細胞から増幅される。これらのプライマーは、当業者よって合成されるか、またはマウスおよびヒト可変領域増幅用のプライマーを販売している市販の供給源(例えば、Stratagene(La Jolla、California)を参照)から購入してもよい。プライマーを使用して重鎖または軽鎖の可変領域を増幅し、次いでImmunoZAP(商標)HまたはImmunoZAP(商標)L(Stratagene)などのベクター中にそれぞれ挿入する。これらのベクターを、次いでE.coli、酵母、または哺乳類ベースの発現系中に導入する。VおよびVドメインの融合物を含む多量の単鎖タンパク質が、これらの方法を使用して製造される(Birdら、Science 242巻:423〜426頁(1988年)を参照)。
発現ベクター中に存在する「制御エレメント」または「調節配列」は、宿主細胞タンパク質と相互作用して転写および翻訳を行うベクターの非翻訳領域、例えば、エンハンサー、プロモーター、5’および3’非翻訳領域である。このようなエレメントは、その強度および特異性が異なり得る。利用されるベクター系および宿主に応じて、構成的および誘導可能なプロモーターを含む任意の数の適した転写エレメントおよび翻訳エレメントが使用される。
原核生物宿主での使用に適したプロモーターの例は、phoaプロモーター、β−ラクタマーゼおよびラクトースプロモーター系、アルカリフォスファターゼプロモーター、トリプトファン(trp)プロモーター系、ならびにtacプロモーターなどのハイブリッドプロモーターを含む。しかしながら、他の既知の細菌プロモーターが適している。細菌系において使用するためのプロモーターもまた、通常、ポリペプチドをコードするDNAに作動可能に連結されたシャイン−ダルガルノ配列を含む。PBLUESCRIPTファージミド(Stratagene、La Jolla、Calif.)またはPSPORT1プラスミド(Gibco BRL、Gaithersburg、MD)のハイブリッドlacZプロモーターなどの誘導可能なプロモーターが使用される。
様々なプロモーター配列が真核生物に関して知られており、任意のものが本発明に従って使用される。事実上すべての真核生物遺伝子は、転写が開始される部位から約25〜30塩基上流に位置するATリッチ領域を有する。多くの遺伝子の転写開始点から70〜80塩基上流に見られる別の配列は、CNCAAT領域(Nは任意のヌクレオチドであってよい)である。ほとんどの真核生物遺伝子の3’末端は、コード配列の3’末端へのポリAテールの付加のためのシグナルであり得るAATAAA配列である。これらの配列はすべて、真核生物発現ベクター中に適当に挿入される。
哺乳類細胞系において、哺乳類遺伝子由来または哺乳類ウイルス由来のプロモーターが一般に好ましい。哺乳類宿主細胞中のベクターのポリペプチド発現は、例えば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス2型)、ウシ乳頭腫ウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、および最も好ましくはシミアンウイルス40(SV40)などのウイルスのゲノムから、異種哺乳類プロモーター、例えば、アクチンプロモーターまたは免疫グロブリンプロモーターから、および熱ショックプロモーターから得られたプロモーターによって、ただしこのようなプロモーターが宿主細胞系に適合可能であるという条件で、制御される。ポリペプチドをコードする配列の複数のコピーを含む細胞株を作出する必要があれば、SV40またはEBVに基づくベクターが、適切な選択マーカーとともに有利に使用され得る。適した発現ベクターの一例は、CMVプロモーターを含むpcDNA−3.1(Invitrogen、Carlsbad、CA)である。
多くのウイルスに基づく発現系が、ポリペプチドの哺乳類発現のために利用可能である。例えば、発現ベクターとしてアデノウイルスを使用する場合、対象とするポリペプチドをコードする配列は、後期プロモーターおよび三分節リーダー配列からなるアデノウイルス転写/翻訳複合体中にライゲーションすることができる。ウイルスゲノムの非必須のE1またはE3領域における挿入を使用して、感染宿主細胞においてポリペプチドを発現可能な生存ウイルスを得ることができる(Logan, J.およびShenk, T.(1984年)Proc. Natl. Acad. Sci. 81巻:3655〜3659頁)。加えて、ラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサーなどの転写エンハンサーを使用して、哺乳類宿主細胞中の発現を増加させることができる。
細菌系において、発現されるポリペプチドのための意図された使用に応じて、多くの発現ベクターのいずれかが選択される。例えば、多量が所望される場合、容易に精製される融合タンパク質の高レベルの発現を誘導するベクターが使用される。これらのベクターは、これらに限定されるわけではないが、ハイブリッドタンパク質が産生されるように、対象とするポリペプチドをコードする配列をアミノ末端Metおよびそれに続く7残基のβ−ガラクトシダーゼの配列とともにインフレームでベクター中にライゲーションすることができるBLUESCRIPT(Stratagene);pINベクター(Van Heeke, G.およびS.M. Schuster(1989年)J.Biol.Chem.264巻:5503〜5509頁)などの多機能E.coliクローニングベクターおよび発現ベクターなどを含む。pGEXベクター(Promega、Madison、WI)もまた、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現させるために使用される。一般に、このような融合タンパク質は可溶性であり、グルタチオン−アガロースビーズへの吸着に続く遊離グルタチオン存在下での溶出によって溶解細胞から容易に精製することができる。このような系において製造されたタンパク質は、クローニングされた対象とするポリペプチドがGST部分から随意に遊離できるようにヘパリン、トロンビン、または第XA因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計される。
酵母Saccharomyces cerevisiaeにおいて、アルファ因子、アルコールオキシダーゼ、およびPGHなどの構成的または誘導可能なプロモーターを含む多くのベクターが使用される。酵母宿主とともに使用するための他の適したプロモーター配列の例は、3−ホスホグリセリン酸キナーゼまたは、エノラーゼなどの他の糖分解酵素、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、およびグルコキナーゼに対するプロモーターを含む。総説については、Ausubelら(上記)およびGrantら(1987年)Methods Enzymol.153巻:516〜544頁を参照されたい。成長条件により制御される転写というさらなる利点を有する誘導可能なプロモーターである他の酵母プロモーターは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロームC、酸性ホスファターゼ、窒素代謝に関連する分解酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ならびにマルトースおよびガラクトース利用に関与する酵素に対するプロモーター領域を含む。酵母発現において使用するための適したベクターおよびプロモーターは、EP73,657にさらに記述されている。酵母エンハンサーもまた、酵母プロモーターとともに有利に使用される。
植物発現ベクターが使用される場合、ポリペプチドをコードする配列の発現は、多くのプロモーターのいずれかにより駆動される。例えば、CaMVの35Sおよび19Sプロモーターなどのウイルスプロモーターは、単独でまたはTMV由来のオメガリーダー配列と組み合わせて使用される(Takamatsu, N.(1987年)EMBO J.(6巻:307〜311頁)。別法として、RUBISCOの小サブユニットなどの植物プロモーターまたは熱ショックプロモーターが使用される(Coruzzi, G.ら(1984年)EMBO J.3巻:1671〜1680頁;Broglie, R.ら(1984年)Science 224巻:838〜843頁;およびWinter, J.ら(1991年)Results Probl. Cell Differ.77巻:85〜105頁)。これらの構築体は、直接DNA形質転換または病原体媒介トランスフェクションによって植物細胞中に導入することができる。このような技術は、多くの一般に利用可能な総説において記述されている(例えば、Hobbs, S.またはMurry, L.E.、McGraw Hill Yearbook of Science and Technology(1992年)McGraw Hill、New York、N.Y.;191〜196頁を参照されたい)。
昆虫系もまた、対象とするポリペプチドを発現させるために使用される。例えば、1つのこのような系において、Autographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV)は、Spodoptera frugiperda細胞においてまたはTrichoplusia幼虫において外来遺伝子を発現させるためにベクターとして使用される。ポリペプチドをコードする配列は、ポリヘドリン遺伝子などのウイルスの非必須領域中にクローニングされ、ポリヘドリンプロモーターの制御下に置かれる。ポリペプチドをコードする配列の挿入がうまくいくと、ポリヘドリン遺伝子が不活性になり、外被タンパク質を欠く組換えウイルスを産生する。次いで組換えウイルスを使用して、例えば、対象とするポリペプチドが発現されるS.frugiperda細胞またはTrichoplusia幼虫を感染させる(Engelhard, E.K.ら(1994年)Proc.Natl.Acad.Sci.91巻:3224〜3227頁)。
特定の開始シグナルもまた、対象とするポリペプチドをコードする配列のより効率的な翻訳を達成するために使用される。このようなシグナルは、ATG開始コドンおよび隣接配列を含む。ポリペプチド、その開始コドン、および上流配列をコードする配列が適切な発現ベクター中に挿入される場合、さらなる転写制御シグナルまたは翻訳制御シグナルは必要とされない場合がある。しかしながら、コード配列、またはその一部のみが挿入される場合、ATG開始コドンを含む外因性の翻訳制御シグナルが提供される。さらに、挿入されたポリヌクレオチドを確実に正確に翻訳するために、開始コドンは正しいリーディングフレームにある。外因性翻訳エレメントおよび開始コドンは、天然および合成の様々な起源のものである。
本発明のポリペプチドをコードするDNAの転写は、ベクター中にエンハンサー配列を挿入することによってしばしば増加される。例えば、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトプロテインおよびインスリンをコードする遺伝子において同定されたものなどを含む、多くのエンハンサー配列が知られている。しかしながら典型的には、真核生物細胞ウイルス由来のエンハンサーが使用される。例は、複製開始点の後期側のSV40エンハンサー(bp 100〜270)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製開始点の後期側のポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーを含む。また、真核生物プロモーターの活性化のためのエンハンサーエレメントに関するYaniv、Nature 297巻:17〜18頁(1982年)も参照されたい。エンハンサーは、ポリペプチドをコードする配列に対して5’または3’の位置でベクター中にスプライシングされるが、好ましくはプロモーターから5’側に位置する。
真核生物宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、または他の多細胞生物由来の有核細胞)において使用される発現ベクターもまた、典型的に、転写終結のためおよびmRNAの安定化のために必要な配列を含む。このような配列は、真核生物またはウイルスのDNAまたはcDNAの5’、および場合により3’非翻訳領域から一般に利用可能である。これらの領域は、抗PSCA抗体をコードするmRNAの非翻訳部分においてポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含む。1つの有用な転写終結成分は、ウシ成長ホルモンポリアデニル化領域である。WO94/11026およびそこに記載の発現ベクターを参照されたい。
本明細書のベクターにおいてDNAをクローニングまたは発現するために適した宿主細胞は、上述した原核生物、酵母、植物または高等真核生物の細胞である。この目的のために適した原核生物の例は、グラム陰性またはグラム陽性細菌などの真正細菌、例えば、EscherichiaなどのEnterobacteriaceae、例えば、E.coli、Enterobacter、Erwinia、Klebsiella、Proteus、Salmonella(例えばSalmonella typhimurium)、Serratia(例えば、Serratia marcescans)、およびShigella、ならびにB.subtilisおよびB.licheniformis(例えば、1989年4月12日公開のDD266,710に開示されているB.licheniformis41P)などのBacilli、P.aeruginosaなどのPseudomonas、およびStreptomycesを含む。1つの好ましいE.coliクローニング宿主は、E.coli294(ATCC31,446)であるが、E.coli B、E.coli X1776(ATCC31,537)、およびE.coli W3110(ATCC27,325)などの他の株も適する。これらの例は、限定するものではなく例示的なものである。
Saccharomyces cerevisiae、または一般的なパン酵母は、下等真核生物宿主微生物の中で最もよく使用される。しかしながら、Schizosaccharomyces pombe;例えば、K lactis、K.fragilis(ATCC12,424)、K.bulgaricus(ATCC16,045)、K wickeramii(ATCC24,178)、K.waltii(ATCC56,500)、K.drosophilarum(ATCC36,906)、K.thermotolerans、およびK.marxianusなどのKluyveromyces宿主;yarrowia(EP402,226);Pichia pastoris(EP183,070);Candida;Trichoderma reesia(EP244,234);Neurospora crassa;Schwanniomyces occidentalisなどのSchwanniomyces;ならびに、例えば、Neurospora、Penicillium、Tolypocladium、ならびにA.nidulansおよびA.nigerなどのAspergillus宿主などの糸状菌類などの多くの他の属、種、および株が一般に利用可能であり、本明細書において使用される。
特定の実施形態において、宿主細胞株は、挿入された配列の発現を調節する、または発現されたタンパク質を所望の形に処理する能力について選択される。このようなポリペプチドの修飾は、これらに限定されるわけではないが、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化、およびアシル化を含む。タンパク質の「プレプロ」形態を切断する翻訳後プロセシングもまた、正確な挿入、フォールディングおよび/または機能を容易にするために使用される。そのような翻訳後活性について特殊な細胞機構および特徴的な機構を有する、CHO、COS、HeLa、MDCK、HEK293、およびWI38などの異なる宿主細胞が、外来タンパク質の正確な修飾およびプロセシングを確実にするために選択される。
例えば、米国特許第4816567号および第6331415号に記載のものを含む、抗体またはその断片の発現に特に適合させた方法および試薬もまた当技術分野において知られており、利用可能である。様々な実施形態において、抗体重鎖および軽鎖、またはその断片は、同じまたは別個の発現ベクターから発現される。一実施形態において、両鎖は同じ細胞において発現され、それにより機能的抗体またはその断片の形成を容易にする。
治療用抗体が細胞傷害剤(例えば、毒素)に結合体化されている、および免疫結合体自体が感染細胞破壊において有効性を示す場合などの特にグリコシル化およびFcエフェクター機能が必要でない場合、完全長抗体、抗体断片、および抗体融合タンパク質が細菌において産生される。細菌における抗体断片およびポリペプチドの発現に関しては、例えば、発現および分泌を最適化するための翻訳開始領域(TIR)およびシグナル配列を記載している米国特許第5,648,237号、第5,789,199号、および第5,840,523号を参照されたい。発現後、抗体は可溶性画分中のE.coli細胞ペーストから単離され、アイソタイプに応じて、例えば、プロテインAまたはプロテインGカラムによって精製することができる。最終的な精製は、例えば、CHO細胞において発現した抗体を精製するために使用したのと同様のプロセスを使用して行うことができる。
グリコシル化ポリペプチドおよび抗体の発現に適した宿主細胞は、多細胞生物に由来する。無脊椎動物細胞の例は、植物細胞および昆虫細胞を含む。非常に多くのバキュロウイルス株および変異体ならびに、Spodoptera frugiperda(イモムシ)、Aedes aegypti(蚊)、Aedes albopicius(蚊)、Drosophila melanogaster(ショウジョウバエ)、およびBombyx moriなどの宿主由来の対応する許容昆虫宿主細胞が同定されている。トランスフェクションのための様々なウイルス株、例えば、Autographa californica NPVのL−1変異体、Bombyx mori NPVのBm−5株が公的に利用可能であり、このようなウイルスが、特にSpodoptera frugiperda細胞のトランスフェクションのために、本発明に従って本明細書中でウイルスとして使用される。綿、トウモロコシ、ジャガイモ、大豆、ペチュニア、トマト、およびタバコの植物細胞培養物もまた、宿主として利用される。
培養物(組織培養物)中の脊椎動物細胞における抗体ポリペプチドおよびその断片の伝播の方法が、本発明に包含される。本発明の方法において使用される哺乳類宿主細胞株の例は、SV40により形質転換したサル腎臓CV1株(COS−7、ATCC CRL1651);ヒト胚腎臓株(293または懸濁培養での成長のためにサブクローニングされた293細胞、Grahamら、J.Gen Virol.36巻:59頁(1977年));ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR(CHO、Urlaubら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77巻:4216頁(1980年));マウスセルトリ細胞(TM4、Mather、Biol. Reprod.23巻:243〜251頁(1980年));サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO−76、ATCC CRL−1587);ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝臓細胞(Hep G2、HB 8065);マウス***腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51);TR1細胞(Matherら、Annals N.Y. Acad.Sci.383巻:44〜68頁(1982年));MRC5細胞;FS4細胞;およびヒト肝癌株(Hep G2)である。
宿主細胞は、ポリペプチド産生のために上述の発現またはクローニングベクターで形質転換し、プロモーターの誘導、形質転換体の選択、または所望の配列をコードする遺伝子の増幅に適するように改良した慣用的な栄養培地中で培養する。
長期にわたる高収率の組換えタンパク質産生のために、安定な発現が一般に好ましい。例えば、対象とするポリヌクレオチドを安定して発現する細胞株が、同じまたは別個のベクター上にウイルスの複製開始点および/または外因性発現エレメントおよび選択マーカー遺伝子を含む発現ベクターを使用して形質転換される。ベクター導入後、細胞を富栄養培地中で1〜2日間成長させ、その後選択培地に切り替える。選択マーカーの目的は、選択に対する耐性を与え、その存在によって導入した配列を発現するのに成功する細胞の成長および回復を可能にすることである。安定に形質転換された細胞の耐性クローンを、細胞型に適切な組織培養技術を使用して増殖させる。
形質転換した細胞株を回復させるために、複数の選択系が使用される。これらの選択系は、これらに限定されるわけではないが、tkまたはaprt細胞においてそれぞれ用いられる単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler, M.ら(1977年)Cell 11巻:223〜32頁)およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy,I.ら(1990年)Cell 22巻:817〜23頁)遺伝子を含む。また、代謝拮抗物質、抗生物質または除草剤耐性も選択のための基準として使用される;例えば、メトトレキサートに対する耐性を与えるdhfr(Wigler,M.ら(1980年)Proc. Natl. Acad. Sci.77巻:3567〜70頁);アミノグリコシド、ネオマイシンおよびG−418に対する耐性を与えるnpt(Colbere−Garapin, F.ら(1981年)J. Mol. Biol.150巻:1〜14頁);およびクロルスルフロンおよびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼに対する耐性をそれぞれ与えるalsまたはpat(Murry、上記)。さらなる選択遺伝子が記述されている。例えば、trpBは細胞がトリプトファンの代わりにインドールを利用することを可能にし、hisDは細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノールを利用することを可能にする(Hartman, S.C.およびR.C. Mulligan(1988年)Proc. Natl. Acad. Sci.85巻:8047〜51頁)。可視マーカーの使用が普及しており、アントシアニン、ベータ−グルクロニダーゼおよびその基質GUS、ならびにルシフェラーゼおよびその基質ルシフェリンのようなマーカーが形質転換体を同定するためだけでなく、特定のベクター系に起因する一過性または安定なタンパク質発現の量を定量化するために広く使用されている(Rhodes, C.A.ら(1995年)Methods Mol. Biol.55巻:121〜131頁)。
マーカー遺伝子発現の存在/非存在は対象とする遺伝子もまた存在することを示唆するが、その存在および発現が確認される。例えば、ポリペプチドをコードする配列がマーカー遺伝子配列中に挿入される場合、配列を含む組換え細胞はマーカー遺伝子機能がないことによって同定される。
別法として、単一プロモーターの制御下で、マーカー遺伝子をポリペプチドをコードする配列とともにタンデムに配置する。誘導または選択に応答したマーカー遺伝子の発現は、通常タンデム遺伝子の発現もまた示す。別法として、所望のポリヌクレオチド配列を含むおよび発現する宿主細胞は、当業者に公知の様々な手順によって同定される。これらの手順は、これらに限定されるわけではないが、DNA−DNAまたはDNA−RNAハイブリダイゼーションおよびタンパク質バイオアッセイ、あるいは、例えば、核酸またはタンパク質の検出および/または定量のためのメンブレン、溶液、またはチップを用いた技術を含むイムノアッセイ技術を含む。
ポリヌクレオチドにコードされる産物の発現を検出および測定するための、産物に特異的なポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のいずれかを使用した様々なプロトコールが当技術分野において知られている。非限定的な例は、酵素結合免疫測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、および蛍光活性化細胞選別(FACS)を含む。所与のポリペプチド上の2つの非干渉エピトープに反応するモノクローナル抗体(複数)を利用した、2部位モノクローナルベースイムノアッセイがいくつかの用途に好ましいが、競合結合アッセイもまた利用することができる。これらのまたは別のアッセイが、他の場所では、Hampton, R.ら(1990年;Serological Methods、a Laboratory Manual、APS Press、St Paul.Minn.)およびMaddox, D.E.ら(1983年;J. Exp. Med.158巻:1211〜1216頁)に記載されている。
様々な標識および結合体化技術が当業者に公知であり、様々な核酸アッセイおよびアミノ酸アッセイにおいて使用される。ポリヌクレオチドに関連した配列を検出するための標識されたハイブリダイゼーションまたはPCRプローブを製造するための手段は、オリゴ標識、ニックトランスレーション、末端標識または標識したヌクレオチドを使用したPCR増幅を含む。別法として、配列、またはその任意の部分をmRNAプローブ製造のためのベクター中にクローニングする。このようなベクターは当技術分野において公知であり、市販されており、T7、T3、またはSP6などの適切なRNAポリメラーゼおよび標識したヌクレオチドの添加によってRNAプローブをin vitroで合成するために使用される。これらの手順は、様々な市販のキットを使用して行われる。使用される適したレポーター分子または標識は、これらに限定されるわけではないが、放射性核種、酵素、蛍光剤、化学発光剤、または発色剤に加えて基質、補因子、阻害剤、磁気粒子などを含む。
組換え細胞により産生されるポリペプチドは、配列および/または使用されるベクターに応じて、分泌されるか、または細胞内に含まれる。本発明のポリヌクレオチドを含む発現ベクターは、原核生物または真核生物の細胞膜からのコードされるポリペプチドの分泌を誘導するシグナル配列を含むように設計される。
特定の実施形態において、本発明のポリペプチドは、可溶性タンパク質の精製を容易にするポリペプチドドメインをさらに含む融合ポリペプチドとして産生される。このような精製を容易にするドメインは、これらに限定されるわけではないが、固定された金属上での精製を可能にするヒスチジン−トリプトファンモジュールなどの金属キレートペプチド、固定された免疫グロブリン上での精製を可能にするプロテインAドメイン、およびFLAGS伸長/親和性精製システム(Amgen、Seattle、WA)において利用されるドメインを含む。第XA因子またはエンテロキナーゼ(Invitrogen、San Diego、CA)に特異的な配列などの切断可能なリンカー配列を精製ドメインとコードされるポリペプチドの間に含めることが、精製を容易にするために使用される。例示的な発現ベクターは、対象とするポリペプチドおよびチオレドキシンまたはエンテロキナーゼ切断部位の前の6個のヒスチジン残基をコードする核酸を含む融合タンパク質の発現を提供する。ヒスチジン残基は、Porath, J.ら(1992年、Prot. Exp. Purif.3巻:263〜281頁)に記載の通りIMIAC(固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィー)上での精製を容易にし、一方エンテロキナーゼ切断部位は、融合タンパク質から所望のポリペプチドを精製するための手段を提供する。融合タンパク質を製造するために使用されるベクターの考察は、Kroll, D.J.ら(1993年;DNA Cell Biol.12巻:441〜453頁)に提供されている。
特定の実施形態において、本発明のポリペプチドは異種ポリペプチドと融合しており、これはシグナル配列または成熟タンパク質またはポリペプチドのN末端に特異的切断部位を有する他のポリペプチドであってもよい。選択される異種シグナル配列は、好ましくは宿主細胞によって認識およびプロセシングされる(すなわち、シグナルペプチダーゼにより切断される)配列である。原核生物宿主細胞に関して、シグナル配列は、例えば、アルカリフォスファターゼ、ペニシリナーゼ、lppまたは熱安定性エンテロトキシンIIリーダーの群から選択される。酵母分泌に関して、シグナル配列は、例えば、酵母インベルターゼリーダー、α因子リーダー(SaccharomycesおよびKluyveromycesα因子リーダーを含む)、または酸性ホスファターゼリーダー、C.albicansグルコアミラーゼリーダー、またはWO90/13646に記載のシグナルから選択される。哺乳類細胞発現において、哺乳類シグナル配列に加えてウイルス分泌リーダー、例えば、単純ヘルペスgDシグナルが利用可能である。
組換え技術を使用する場合、ポリペプチドまたは抗体は細胞内に、ペリプラズム空間に産生されるか、または直接培地中に分泌される。ポリペプチドまたは抗体が第1段階として細胞内に産生される場合、宿主細胞または溶解断片の微粒子破片は例えば、遠心分離または限外濾過によって除去される。Carterら、Bio/Technology 10巻:163〜167頁(1992年)は、E.coliのペリプラズム空間に分泌される抗体を単離するための手順を記述している。手短に述べると、細胞ペーストを酢酸ナトリウム(pH3.5)、EDTA、およびフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)存在下において約30分かけて融解する。細胞破片を遠心分離によって除去する。ポリペプチドまたは抗体が培地中に分泌される場合、そのような発現系の上清は一般に、まず市販のタンパク質濃縮フィルター、例えば、AmiconまたはMillipore Pellicon限外濾過ユニットを使用して濃縮する。場合により、タンパク質分解を阻害するために前のステップのいずれかにおいてPMSFなどのプロテアーゼ阻害剤が含まれ、外来汚染物質の成長を避けるために抗生物質が含まれる。
細胞から調製したポリペプチドまたは抗体組成物は、例えば、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、および親和性クロマトグラフィーを使用して精製され、親和性クロマトグラフィーが好ましい精製技術である。親和性リガンドとしてのプロテインAの適性は、ポリペプチドまたは抗体中に存在する任意の免疫グロブリンFcドメインの種およびアイソタイプに依存する。プロテインAは、ヒトγ、γまたはγ重鎖に基づく抗体またはその断片を精製するために使用される(Lindmarkら、J. Immunol. Meth.62巻:1〜13頁(1983年))。プロテインGは、すべてのマウスアイソタイプおよびヒトγ(Gussら、EMBO J.5巻:15671575(1986年))に推奨される。親和性リガンドが結合する基質(matrix)は、最も一般的にはアガロースであるが、他の基質も利用可能である。制御孔ガラスまたはポリ(スチレンジビニル)ベンゼンなどの機械的に安定な基質は、アガロースで達成できるものよりも速い流速および短い処理時間を可能にする。ポリペプチドまたは抗体がC3ドメインを含む場合、Bakerbond ABX(商標)樹脂(J.T.Baker、Phillipsburg、N.J.)が精製のために有用である。イオン交換カラム上での分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカクロマトグラフィー、ヘパリンSEPHAROSE(商標)クロマトグラフィー、アニオンまたはカチオン交換樹脂上でのクロマトグラフィー(ポリアスパラギン酸カラムなど)、クロマトフォーカシング、SDS−PAGE、および硫酸アンモニウム沈殿などのタンパク質精製のための他の技術もまた、回収されるポリペプチドまたは抗体に応じて利用可能である。
任意の予備精製段階(複数可)に続いて、対象とするポリペプチドまたは抗体および夾雑物質を含む混合物を、約pH2.5〜4.5の溶出緩衝液を使用して、好ましくは低塩濃度(例えば、約0〜0.025M塩)で行われる低pH疎水性相互作用クロマトグラフィーにかける。
医薬組成物
本発明は、所望の純度の本発明のポリペプチド、抗体、またはモジュレーター、および薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定剤(Remingion’s Pharmaceutical Sciences 第16版、Osol, A.編(1980年))を含む医薬調合物をさらに含む。特定の実施形態において、医薬調合物は、例えば、凍結乾燥調合物または水性溶液の形態における保管中のポリペプチドまたは抗体の安定性を向上させるために調製される。
許容される担体、賦形剤、または安定剤は、用いられる用量および濃度で受容者に対して非毒性であり、例えば、酢酸塩、Tris、リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸およびメチオニンを含む酸化防止剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール;ブチルアルコールまたはベンジルアルコール;メチルパラベンまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レソルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリデンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリシンなどのアミノ酸;単糖、二糖、および他の炭水化物(グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む);EDTAなどのキレート剤;トレハロースおよび塩化ナトリウムなどの等張化剤;スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトールなどの糖;ポリソルベートなどの界面活性剤;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体);および/あるいはTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含む。特定の実施形態において、治療調合物は、5〜200mg/mlの間、好ましくは10〜100mg/mlの間の濃度のポリペプチドまたは抗体を含むことが好ましい。
本明細書の調合物はまた、特定の適応、例えば、治療中の感染症の治療に、または望ましくない副作用を防止するために適した1つまたは複数のさらなる治療薬を含む。好ましくは、さらなる治療薬は、本発明のポリペプチドまたは抗体の補足的な活性を有し、両者は互いに悪影響を及ぼさない。例えば、本発明のポリペプチドまたは抗体に加えて、さらなるまたは第2の抗体、抗ウイルス薬、抗感染症薬および/または心臓保護剤が調合物に添加される。このような分子は、意図される目的のために有効な量で医薬調合物中に適当に存在する。
活性成分、例えば、本発明のポリペプチドおよび抗体および他の治療薬はまた、例えば、コアセルベーション技術によってまたは界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン−マイクロカプセルおよびポリメチルメタサイレート(polymethylmethacylate)マイクロカプセル中、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、ミクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)中またはマクロエマルジョン中にも封入される。このような技術は、Remingion’s Pharmaceutical Sciences 第16版、Osol, A.編(1980年)に記載されている。
徐放製剤が調製される。徐放製剤の適した例は、これらに限定されるわけではないが、マトリックスが成形品の形態、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルなどである、抗体を含む固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスを含む。徐放マトリックスの非限定的な例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸とγエチル−L−グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン−ビニルアセテート、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸−グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドから構成される注射用ミクロスフェア)などの分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、およびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸を含む。
in vivo投与用に使用される調合物は、好ましくは無菌である。これは、滅菌濾過膜による濾過によって容易に達成される。
診断用途
本発明の抗体およびその断片、ならびに治療用組成物は、正常な対照細胞および組織と比較して、感染した細胞または組織に特異的に結合または優先的に結合する。したがって、これらのA型インフルエンザ抗体は、本明細書中に記載のものを含む様々な診断および予後予測方法のいずれかを使用して、患者、生物学的試料、または細胞集団中の感染細胞または組織を検出するために使用される。抗M2e特異的抗体の感染細胞を検出する能力は、その結合特異性に依存し、異なる患者から、および/またはA型インフルエンザの異なる株に感染した患者から得られた感染細胞または組織に結合する能力を試験することによって容易に決定することができる。診断方法は一般に、例えば、血液、血清、唾液、尿、痰、細胞スワブ試料、または組織生検などの患者から得られた生物学的試料をA型インフルエンザ、例えば、HuM2e抗体に接触させる段階と、対照試料または所定のカットオフ値と比較して抗体が試料に優先的に結合するかどうかを決定し、それにより感染細胞の存在を示す段階とを含む。特定の実施形態において、適切な対照正常細胞または組織試料と比較して少なくとも2倍、3倍、または5倍以上のHuM2e抗体が感染細胞に結合する。所定のカットオフ値は、例えば、試験される生物学的試料の診断アッセイを行うために使用される同じ条件下でいくつかの異なる適切な対照試料に結合するHuM2e抗体の量を平均化することによって決定される。
結合抗体は、本明細書中に記載の、および当技術分野において公知の手順を使用して検出される。特定の実施形態において、本発明の診断方法は、結合抗体の検出を容易にするために、検出可能な標識、例えば、フルオロフォアに結合体化されたHuM2e抗体を使用して実践される。しかしながら、これらはまたHuM2e抗体の二次検出方法を使用しても実践される。これらは例えば、RIA、ELISA、沈殿、凝集、補体結合および免疫蛍光を含む。
特定の手順において、HuM2e抗体は標識される。標識は直接検出される。直接検出される例示的な標識は、これらに限定されるわけではないが、放射性標識および蛍光色素を含む。別法として、または加えて、標識は酵素などの部分であり、これは検出されるために反応または誘導体化されなければならない。同位体標識の非限定的な例は、99Tc、14C、131I、125I、H、32Pおよび35Sである。使用される蛍光材料は、これらに限定されるわけではないが、例えば、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、オーラミン、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシフェリン(luciferia)、2,3−ジヒドロフタラジンジオン、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、リゾチーム、およびグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを含む。
酵素標識は、現在利用されている比色技術、分光測光技術、蛍光分光測光技術、またはガス定量技術のうちのいずれかによって検出される。これらの手順において使用される多くの酵素が知られており、本発明の方法により利用される。非限定的な例は、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、β−グルクロニダーゼ、β−D−グルコシダーゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、グルコースオキシダーゼ+ペルオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ+ペルオキシダーゼ、および酸性ホスファターゼである。
抗体は、既知の方法によってこのような標識にタグ付けされる。例えば、アルデヒド、カルボジイミド、ジマレイミド、イミダート、スクシンイミド、ビス(bid)−ジアゾ化ベンザジンなどのカップリング剤が、上述の蛍光標識、化学発光標識、および酵素標識に抗体をタグ付けするために使用される。酵素は、典型的には、カルボジイミド、過ヨウ素酸塩、ジイソシアネート、グルタルアルデヒドなどの架橋分子を使用して抗体に結合される。様々な標識化技術が、Morrison、Methods in Enzymology 32b巻、103頁(1974年)、Syvanenら、J. Biol. Chem.284巻、3762頁(1973年)ならびにBoltonおよびHunter、Biochem J.133巻、529頁(1973年)に記載されている。
本発明のHuM2e抗体は、本明細書中に記載の代表的なアッセイを使用して、A型インフルエンザ感染を有する患者と有さない患者を識別すること、および患者が感染しているかどうかを決定することができる。1つの方法によると、A型インフルエンザ感染にかかっている疑いのある、またはかかっていることが分かっている患者から生物学的試料を得る。好ましい実施形態において、生物学的試料は患者の細胞を含む。試料を、例えば、HuM2e抗体を試料中に存在する感染細胞に結合させるのに十分な時間および条件で、HuM2e抗体に接触させる。例えば、10秒、30秒、1分、5分、10分、30分、1時間、6時間、12時間、24時間、3日、またはこれらの中間の任意の時点の間、試料をHuM2e抗体に接触させる。結合したHuM2e抗体の量を測定し、例えば、所定の値または正常組織試料から測定した値であってもよい対照値と比較する。対照試料と比較して患者試料に結合した抗体の増加した量は、患者試料中の感染細胞の存在を示すものである。
関連方法において、患者から得た生物学的試料を、抗体を感染細胞に結合させるのに十分な時間および条件で、HuM2e抗体に接触させる。結合抗体を次いで検出し、結合抗体の存在は試料が感染細胞を含むことを示す。本実施形態は特に、HuM2e抗体が正常細胞に検出可能なレベルで結合しない場合に有用である。異なるHuM2e抗体は、異なる結合特性および特異性特性を有する。これらの特性に応じて、特定のHuM2e抗体が、1つまたは複数のA型インフルエンザ株の存在を検出するために使用される。例えば、特定の抗体は、ただ1つのまたはいくつかのインフルエンザウイルス株に特異的に結合するが、他の抗体は異なるインフルエンザウイルスのすべてまたは大部分の株に結合する。ただ1つのA型インフルエンザ株に特異的な抗体は、感染株を同定するために使用される。
特定の実施形態において、感染細胞に結合する抗体は、好ましくは、検出される感染を有する患者の少なくとも約20%、より好ましくは患者の少なくとも約30%において感染の存在を示すシグナルを発生する。別法としてまたは加えて、抗体は、検出される感染を有さない個体の少なくとも約90%において、感染の非存在を示す陰性シグナルを発生する。抗体はそれぞれ上記の基準を満たすが、本発明の抗体は感度を高めるために組み合わせて使用される。
本発明はまた、本発明の抗体を使用して診断アッセイおよび予後予測アッセイを行うのに有用なキットも含む。本発明のキットは、標識されたまたは標識されていない形態の本発明のHuM2e抗体を含む適した容器を含む。加えて、抗体が間接的な結合アッセイに適した標識化形態で供給される場合、キットは、適切な間接アッセイを行うための試薬をさらに含む。例えば、キットは、標識の性質に応じて酵素基質または誘導化剤を含む1つまたは複数の適した容器を含む。対照試料および/または使用説明書もまた含まれる。
治療的/予防的使用
受動免疫は、ウイルス疾患の予防および治療のための有効で安全な方法であることが分かっている(それぞれ参照により本明細書中に組み込まれるKellerら、Clin.
Microbiol. Rev.13巻:602〜14頁(2000年);Casadevall、Nat. Biotechnol.20巻:114頁(2002年);Shibataら、Nat. Med.5巻:204〜10頁(1999年);およびIgarashiら、Nat. Med.5巻:211〜16頁(1999年)を参照されたい)。ヒトモノクローナル抗体を使用した受動免疫は、インフルエンザの緊急の予防および治療のための迅速な治療方法を提供する。
本発明のHuM2e抗体およびその断片、ならびに治療用組成物は、正常な対照の非感染細胞および組織と比較して、感染した細胞に特異的に結合または優先的に結合する。したがって、これらのHuM2e抗体は、患者、生物学的試料、または細胞集団中の感染細胞または組織を選択的に標的化するために使用される。これらの抗体の感染特異的結合特性を踏まえて、本発明は、感染細胞の成長を制御する(例えば、阻害する)方法、感染細胞を死滅させる方法、および感染細胞のアポトーシスを誘導する方法を提供する。これらの方法は、感染細胞を本発明のHuM2e抗体に接触させる段階を含む。これらの方法は、in vitroで、ex vivoで、およびin vivoで実践される。
様々な実施形態において、本発明の抗体はもともと治療的に活性である。別法として、または加えて、本発明の抗体は、細胞傷害剤または成長阻害剤、例えば、放射性同位体または毒素に結合体化され、この抗体に結合または接触した感染細胞を治療するのに使用される。
一実施形態において、本発明は、A型インフルエンザ感染であると診断された、発症するリスクがある、または有する疑いのある患者に本発明のHuM2e抗体を提供する段階を含む、患者において感染を治療または予防する方法を提供する。本発明の方法は、感染症の第1線治療、継続治療において、または再発性もしくは難治性感染の治療において使用される。本発明の抗体による治療は、単独治療である。別法として、本発明の抗体を用いる治療は、1つまたは複数のさらなる治療薬もまた患者を治療するために使用される併用療法レジメンの1つの構成要素または相である。
インフルエンザウイルス関連疾患または障害のリスクのある被験体は、感染した人と接触した患者、または別の何らかの方法でインフルエンザウイルスに曝露された患者を含む。予防薬の投与は、疾患または障害を予防する、またはそうでなければその進行を遅れさせるように、インフルエンザウイルス関連疾患または障害に特徴的な症状の徴候の前に行うことができる。
様々な態様において、huM2eは被験体の感染と実質的に同時に、またはその後に投与される(すなわち治療的処置)
。別の態様において、抗体は治療上の利益を提供する。様々な態様において、治療上の利益は、1つまたは複数のインフルエンザ感染の症状または合併症の進行、重症度、頻度、期間または確率、1つまたは複数のインフルエンザ株のウイルス力価、ウイルス複製あるいはウイルスタンパク質の量の低下または抑制を含む。さらに別の態様では、治療上の利益は、インフルエンザ感染からの被験体の回復の迅速化または促進を含む。
被験体におけるインフルエンザウイルス力価、ウイルス複製、ウイルス増殖またはインフルエンザウイルスタンパク質の量の増加を防止するための方法が、さらに提供される。一実施形態において、方法は、被験体における、1つまたは複数のインフルエンザ株または分離株のインフルエンザウイルス力価、ウイルス複製またはインフルエンザウイルスタンパク質の量の増加を防止するための有効量のhuM2e抗体を被験体に投与する段階を含む。
1つまたは複数のインフルエンザ株/分離株または亜型による感染から被験体を保護する、または被験体の感染に対する感受性を減少させるための方法、すなわち、予防方法がさらに提供される。一実施形態において、方法は、1つまたは複数のインフルエンザ株/分離株または亜型による感染から被験体を保護するために有効な、または、被験体の感染に対する感受性を減少させるために有効な量のインフルエンザM2に特異的に結合するhuM2e抗体を被験体に投与する段階を含む。
場合により、被験体は、これらに限定されるわけではないが、インフルエンザウイルス抗体、抗ウイルス薬(ノイラミニダーゼ阻害剤、HA阻害剤、シアル酸阻害剤またはM2イオンチャンネル阻害剤など)、ウイルス侵入阻害剤またはウイルス付着阻害剤などの第2の作用物質をさらに投与される。M2イオンチャンネル阻害剤は、例えば、アマンタジン、またはリマンタジンである。ノイラミニダーゼ阻害剤は、例えば、ザナミビルまたはリン酸オセルタミビルである。
低下または減少させることができるインフルエンザ感染の症状または合併症は、例えば、悪寒、熱、咳、咽喉炎、鼻鬱血、副鼻腔鬱血、鼻感染症、副鼻腔感染症、体の痛み、頭痛、倦怠感、肺炎、気管支炎、耳感染症、耳痛または死亡を含む。
ヒトおよび非ヒト患者のin vivo治療に関して、患者は通常、本発明のHuM2e抗体を含む医薬調合物を投与または提供される。in vivo療法において使用する場合、本発明の抗体は、治療的に有効な量(すなわち、患者のウイルス負荷量を除去するまたは減少させる量)で患者に投与される。抗体は、既知の方法に従って、例えば、ボーラスのような静脈内投与など、またはある期間にわたる持続注入によって、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、滑液包内、髄腔内、経口、局所、または吸入経路によって、ヒト患者に投与される。抗体は、可能な場合は、標的細胞部位にまたは静脈内に非経口投与されてもよい。抗体の静脈内または皮下投与が、特定の実施形態において好ましい。本発明の治療用組成物は、患者または被験体に、全身に、非経口的に、または局所的に投与される。
非経口投与では、抗体は、薬学的に許容される非経口ビヒクルを伴って単位用量の注射用形態(溶液、懸濁液、エマルジョン)に調合される。このようなビヒクルの例は、水、食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、および5%ヒト血清アルブミンである。固定油およびオレイン酸エチルなどの非水性ビヒクルもまた使用される。リポソームは担体として使用される。ビヒクルは、等張性および化学安定性を高める物質などの少量の添加剤、例えば、緩衝剤および防腐剤を含む。抗体は、典型的には上記のようなビヒクル中に約1mg/ml〜10mg/mlの濃度で調合される。
用量および投薬レジメンは、感染の性質および抗体に結合体化された特定の細胞傷害剤または成長阻害剤(使用される場合)の特性などの、医師によって容易に決定される様々な因子、例えば、その治療指数、患者および患者の既往歴などに依存する。一般に、治療的に有効な量の抗体が患者に投与される。特定の実施形態において、投与される抗体の量は、患者体重1kgあたり約0.01mg〜約100mgの範囲、またはより好ましくは患者体重1kgあたり約0.1mg〜約40mgの範囲である。感染の種類および重症度に応じて、約0.1mg/kg〜約40mg/kg体重(例えば、約0.1〜40mg/kg/用量)の抗体が、例えば、1回以上の別々の投与による、または持続注入による患者への投与の最初の候補投薬量である。代替の実施形態において、投与される抗体の量は、患者体重1kgあたり0.01mgから0.1mg、0.1mgから0.10mg、0.10mgから1mg、1mgから10mg、10mgから20mg、20mgから30mg、30mgから40mg、40mgから50mg、50mgから60mg、60mgから70mg、70mgから80mg、80mgから90mg、または90mgから100mgの範囲にある。他の態様では、投与される抗体の量は、患者体重1kgあたり0.01mgから100mg、0.1mgから60mg、10mgから40mg、20mgから30mgの範囲、またはそれらの中間の任意の範囲にある。この療法の経過は、従来の方法およびアッセイによって、医師または他の当業者に公知の基準に基づいて、容易にモニターすることができる。
1つの特定の実施形態において、細胞傷害剤に結合体化した抗体を含む免疫結合体が患者に投与される。好ましくは、免疫結合体は細胞によって内部移行されて、免疫結合体の結合する細胞を死滅させる治療的有効性の増加をもたらす。一実施形態において、細胞傷害剤は感染細胞中の核酸を標的化または妨害する。このような細胞傷害剤の例は上述されており、これらに限定されるわけではないが、マイタンシノイド、カリケアマイシン、リボヌクレアーゼおよびDNAエンドヌクレアーゼを含む。
他の治療レジメンは、本発明のHuM2e抗体の投与と併用される。併用投与は、別個の調合物または単一の医薬調合物を使用する同時投与、および好ましくは両方(またはすべて)の活性剤が生物学的活性を同時に発揮する間に一定期間が存在する、いずれかの順での逐次投与を含む。好ましくは、このような併用療法は相乗的な治療効果をもたらす。
特定の実施形態において、本発明の抗体の投与を、感染病原菌に関連する別の抗原に対する別の抗体と併用投与することが望ましい。
抗体タンパク質の患者への投与の他に、本発明は、遺伝子治療による抗体の投与方法を提供する。このような抗体をコードする核酸の投与は、「治療的有効量の抗体を投与すること」という表現に包含される。例えば、細胞内抗体を生じさせるための遺伝子治療の使用に関するPCT特許出願公開WO96/07321を参照されたい。
別の実施形態において、本発明の抗M2抗体が、結合抗体の構造、例えば、コンフォーメーションエピトープを決定するために使用され、この構造を次に用いて、例えば、化学的モデリングおよびSAR法によってこの構造を有するまたは模倣するワクチンを開発するために後に使用される。このようなワクチンはその後、A型インフルエンザ感染を予防する。
本明細書において参照したおよび/または出願データシートに列挙した、すべての上記米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願公開および非特許刊行物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
(実施例1)
組換えM2eタンパク質を発現する細胞を用いたヒト血漿に存在するM2e特異的抗体のスクリーニングおよび特徴付け
M2に特異的であり、インフルエンザA感染細胞およびインフルエンザウイルス自体に結合することができる完全ヒトモノクローナル抗体が、以下に記載されるように、患者の血清において同定された。
細胞株におけるM2の発現
インフルエンザサブタイプであるH3N2に見出される誘導されたM2配列に対応する、M2完全長cDNAを含む発現構築体を293細胞にトランスフェクトした。
M2 cDNAは、下記のポリヌクレオチド配列および配列番号53によってコードされる。
M2の細胞表面の発現が、抗M2eペプチドに特異的なMAb 14C2を用いて確認された。A/Hong Kong/483/1997(HK483)およびA/Vietnam/1203/2004(VN1203)由来の2つの他のM2変異体を次の分析のために用いた。それらの発現は、本発明のM2e特異的モノクローナル抗体を用いて測定した。それは、14C2結合が、M2eにおける様々なアミノ酸置換によって抑制される場合があるためである。
末梢血における抗体のスクリーニング
M2に結合する抗体について、120を超える個体の血漿試料を試験した。それらのうちいずれも、M2eペプチドに対して特異的な結合を示さなかった。しかしながら、10%の血漿試料は、293−M2 H3N2細胞株に特異的に結合する抗体を含んでいた。これは、抗体が、M2ホモ四量体のコンフォーメーション決定基への結合、M2ホモ四量体の多重変異体のコンフォーメーション決定基への結合として特徴付けることができ;それらは、直鎖状M2eペプチドに対して特異的ではあり得なかったことを示す。
抗M2 MAbの特徴付け
このプロセスを介して同定されたヒトMAbは、M2ホモ四量体上のコンフォーメーションエピトープに結合することが分かった。それらは、元の293−M2トランスフェクタント、ならびに2つの他の細胞発現M2変異体に結合した。14C2 MAbは、M2eペプチドに結合することに加えて、M2変異体の配列に対してより感受性があることが分かった。さらに、14C2は、インフルエンザビリオンに容易に結合しないが、コンフォーメーションに特異的な抗M2 MAbは結合した。
これらの結果は、本発明の方法が、M2の特異的な免疫付与を必要とせずに、インフルエンザに対する正常なヒト免疫応答からM2 MAbの同定を可能にすることを示す。免疫療法のために用いられる場合、これらの完全ヒトMAbは、ヒト化マウス抗体よりも患者によって良好に容認されるという潜在能力を有する。さらに、14C2およびGemini Biosciences MAbが直鎖状M2eペプチドに結合するのとは対照的に、本発明のMAbはM2のコンフォーメーションエピトープに結合し、A型インフルエンザ感染細胞に対してだけでなく、ウイルス自体に対しても特異的である。本発明のMAbの別の利点は、いずれも、すでに試験されたM2変異体のすべてに結合することであり、したがって、それらが、特定の直鎖状アミノ酸配列に限定されないことが示される。
(実施例2)
M2特異的抗体の同定
単核細胞または実施例1に記載されたヒト血清において同定されたMAbのうちの3種を発現するB細胞は、クローン集団に希釈され、抗体を産生するように誘導された。抗体を含む上清は、インフルエンザ株であるインフルエンザサブタイプのH3N2由来の完全長M2Eタンパク質を安定にトランスフェクトした293FT細胞への結合に関してスクリーニングされた。陽性染色/結合を示した上清は、インフルエンザ株であるインフルエンザサブタイプのH3N2由来の完全長M2Eタンパク質を安定にトランスフェクトした293FT細胞上、ならびに対照としてのベクターを単独でトランスフェクトした細胞上で再度、再スクリーニングされた。
次に、抗体の可変領域は、上清が陽性結合を示したB細胞のウェルからレスキュークローニングされた。一過性トランスフェクションを293FT細胞に行って、これらの抗体を再構成および産生した。再構成された抗体の上清は、レスキューされた抗M2E抗体を同定するために、上記で詳述された完全長M2Eタンパク質を安定にトランスフェクした293FT細胞への結合に関してスクリーニングされた。3つの異なる抗体:8i10、21B15、および23K12が同定された。第4の追加の抗体クローンである4C2は、レスキュースクリーニングによって単離された。しかしながら、それは唯一ではなく、それがクローン8i10とは異なるドナー由来であるとしても、クローン8i10とまったく同じ配列を有していた。
これらの抗体のカッパおよびガンマ可変領域の配列を下記に示す。
クローン8i10:
抗M2クローン8i10のカッパLC可変領域は、HindIIIからBsiW1に至る断片としてクローニングされたが(下記参照)、それは下記のポリヌクレオチド配列、配列番号54(上段)および配列番号55(下段)によってコードされる。
8i10カッパLC可変領域の翻訳は、下記の通りであり、ポリヌクレオチド配列(上記、配列番号54、上段)およびアミノ酸配列(下記、配列番号56に対応する)である。
8i10カッパLC可変領域のアミノ酸配列は、下記の通りであり、下記に同定された特定のドメイン(Kabat法に従って定義されたCDR配列)を有する。
下記は、カッパLC定常領域をすでに含む発現ベクターであるpcDNA3.1にクローニングされた8i10のカッパLC可変領域の例である(上段のポリヌクレオチド配列は配列番号65に対応し、下段のポリヌクレオチド配列は配列番号66に対応し、アミノ酸配列は上記で示された配列番号56に対応する)。黒色の塩基は、pcDNA3.1ベクター配列を表し、青色の塩基は、クローニングされた抗体配列を表す。また、本明細書に記載される抗体は、発現ベクターであるpCEP4にクローニングされた。
8i10ガンマHC可変領域は、HindIIIからXho1に至る断片としてクローニングされたが、それは下記のポリヌクレオチド配列、配列番号67(上段)および配列番号68(下段)によってコードされる。
8i10ガンマHCの翻訳は、下記の通りであり、ポリヌクレオチド配列(上述、配列番号67、上段)およびアミノ酸配列(下記、配列番号69に対応する)である。
8i10ガンマHCのアミノ酸配列は、下記の通りであり、下記に同定された特定のドメイン(Kabat法に従って定義されたCDR配列)を有する。
下記は、ガンマHC定常領域をすでに含む発現ベクターであるpcDNA3.1にクローニングした8i10のガンマHC可変領域の例である(上段のポリヌクレオチド配列は配列番号78に対応し、下段のポリヌクレオチド配列は配列番号79に対応し、アミノ酸配列は上記で示された配列番号69に対応する)。黒色の塩基はpcDNA3.1ベクター配列を表し、青色の塩基はクローニングされた抗体配列を表す。
ガンマHCのフレームワーク4(FR4)領域は、通常、2つのセリン(SS)で終了し、その結果、完全なフレームワーク4領域は、WGQGTLVTVSS(配列番号80)であるべきである。ガンマHC定常領域およびガンマHC可変領域がクローニングされているベクターに受容しているXho1部位およびそのXho1部位の下流にある1つの付加的な塩基は、フレームワーク4のこの最終のアミノ酸をコードする最後の塩基を提供する。しかしながら、元のベクターは、Xho1部位(CTCGAG、配列番号81)が作られ、機能するすべてのガンマHCクローンに存在するフレームワーク4の末端でのアミノ酸変化:セリンからアルギニン(SからR)への置換を引き起こすXho1部位の下流の「A」ヌクレオチドを含む場合になされるサイレントな突然変異に適応しなかった。このようにして、完全なフレームワーク4領域はWGQGTLVTVSR(配列番号82)と読まれる。今後の構築体が作製されつつあり、そこでは、Xho1部位の下流の塩基は「C」ヌクレオチドである。したがって、代替の実施形態におけるガンマHC可変領域配列のクローニングに使用されるXho1部位の作製は、サイレントな突然変異であり、フレームワーク4のアミノ酸配列をその適切なWGQGTLVTVSS(配列番号80)に修復する。これは、本明細書に記載されるすべてのM2ガンマHCクローンについていえる。
クローン21B15:
抗M2クローン21B15のカッパLC可変領域は、HindIIIからBsiW1に至る断片としてクローニングされたが、それは下記のポリヌクレオチド配列、配列番号83および配列番号84によってコードされる。
21B15カッパLC可変領域の翻訳は、下記の通りであり、ポリヌクレオチド配列(上述、配列番号83、上段)およびアミノ酸配列(下記、配列番号56に対応する)である。
21B15カッパLC可変領域のアミノ酸配列は、下記の通りであり、下記に同定された特定のドメイン(Kabat法に従って定義されたCDR配列)を有する。
カッパLC可変領域をクローニングするために用いられるプライマーは多様性の領域全体で伸長し、その設計ではウォッブル塩基位置を有していた。このようにして、フレームワーク4領域では、DまたはEアミノ酸が生じ得た。ある場合には、レスキューされた抗体におけるこの位置のアミノ酸は、B細胞において産生された元の親アミノ酸でなくてもよい。大部分のカッパLCでは、この位置はEである。上記のクローン(21B15)からすると、フレームワーク4(DIKRT)(配列番号84)におけるDが観察された。しかしながら、周囲のアミノ酸からすると、これは、プライマーの結果として起こった可能性があり、人為的な結果であり得る。B細胞由来の天然の抗体は、この位置にEを有していた可能性がある。
21B15ガンマHC可変領域はHindIIIからXho1に至る断片としてクローニングされたが、それは下記のポリヌクレオチド配列、配列番号85(上段)および配列番号86(下段)によってコードされる。
21B15ガンマHCの翻訳は、下記の通りであり、ポリヌクレオチド配列(上述、配列番号87、上段)およびアミノ酸配列(下記、配列番号69に対応する)である。
21B15ガンマHCのアミノ酸配列は、下記の通りであり、下記に同定された特定のドメイン(Kabat法に従って定義されたCDR配列)を有する。
クローン23K12:
抗M2クローン23K12のカッパLC可変領域はHindIIIからBsiW1に至る断片(下記参照)としてクローニングされたが、それは下記のポリヌクレオチド配列の配列番号88(上段)および配列番号89(下段)によってコードされる。
23K12カッパLC可変領域の翻訳は、下記の通りであり、ポリヌクレオチド配列(上記、配列番号90、上段)およびアミノ酸配列(下記、配列番号91に対応する)である。
23K12カッパLC可変領域のアミノ酸配列は、下記の通りであり、下記に同定された特定のドメイン(Kabat法に従って定義されたCDR配列)を有する。
23K12ガンマHC可変領域は、HindIIIからXho1に至る断片としてクローニングされたが、それは下記のポリヌクレオチド配列、配列番号97(上段)および配列番号98(下段)によってコードされる。
23K12ガンマHC可変領域の翻訳は、下記の通りであり、ポリヌクレオチド配列(上記、配列番号99、上段)およびアミノ酸配列(下記、配列番号100に対応する)である。
23K12ガンマHC可変領域のアミノ酸配列は、下記の通りであり、下記に同定された特定のドメイン(Kabat法に従って定義されたCDR配列)を有する。
(実施例3)
保存された抗体可変領域の同定
3種の抗体カッパLCおよびガンマHC可変領域のアミノ酸配列を整列させ、下記に示されるように、保存された領域および残基を同定した。
3種のクローンのカッパLC可変領域のアミノ酸配列の整列:
3種のクローンのガンマHC可変領域のアミノ酸配列の整列:
クローン8I10および21B15は2人の異なるドナーに由来したが、まったく同じ正確なガンマHCを有し、カッパLCにおいては、フレームワーク1領域の4位にあるたった1個のアミノ酸(アミノ酸M対V、上記参照)が異なる(カッパLCのフレームワーク4におけるD対Eウォッブル位置を除く)。
抗体の可変領域の配列比較は、クローン8i10の重鎖が生殖細胞系列の配列IgHV4由来であり、軽鎖は生殖細胞系列の配列IgKV1由来であることを表した。
抗体の可変領域の配列比較は、クローン21B15の重鎖が生殖細胞系列の配列IgHV4由来であり、軽鎖は生殖細胞系列の配列IgKV1由来であることを表した。
抗体の可変領域の配列比較は、クローン23K12の重鎖が生殖細胞系列の配列IgHV3由来であり、軽鎖は生殖細胞系列の配列IgKV1由来であることを表した。
(実施例4)
M2抗体の産生および特徴付け
上述された抗体は、293PEAK細胞におけるラージスケールの一過性トランスフェクションによって、ミリグラム量で産生された。粗製な未精製の抗体上清を用いて、ELISAプレート上でインフルエンザA/Puerto Rico/8/1932(PR8)ウイルスに結合する抗体を調べ、同様にラージスケールの一過性トランスフェクションによって産生された対照抗体14C2の結合と比較した。抗M2組換えヒトモノクローナル抗体はインフルエンザに結合し、対照抗体は結合しなかった(図9)。
また、PR8ウイルス感染MDCK細胞上での結合を試験した(図10)。対照抗体14C2、ならびに3種の抗M2Eクローン:8I10、21B15および23K12はすべて、PR8感染細胞の表面上に発現したM2タンパク質への特異的な結合を示した。未感染細胞上では結合は観察されなかった。
プロテインAカラム上で上清から抗体を精製した。FACs分析は、濃度が1μg/mlである精製した抗体を用いて行い、細胞表面上にM2タンパク質を発現している一過性にトランスフェクトした293PEAK細胞への抗体の結合を調べた。モック(mock)トランスフェクトした細胞、およびインフルエンザサブタイプであるH3N2、A/Vietnam/1203/2004(VN1203)、またはA/Hong Kong/483/1997 HK483M2タンパク質を一過性にトランスフェクトした細胞への結合を調べることによって、結合を測定した。陽性対照として、抗体14C2を用いた。未染色および二次抗体だけの対照は、バックグラウンドの決定に役立った。M2タンパク質をトランスフェクトした細胞の特異的な染色は、3種すべての細胞について観察された。さらに、3種すべてのクローンは、高病原性株A/Vietnam/1203/2004およびA/Hong Kong/483/1997のM2タンパク質に非常によく結合し、一方、H3N2 M2タンパク質に十分に結合した陽性対照14C2は、A/Vietnam/1203/2004のM2タンパク質に非常により弱く結合し、A/Hong Kong/483/1997のM2タンパク質には結合しなかった。図11を参照されたい。
抗体21B15、23K12、および8I10は、M2タンパク質を安定に発現する293−HEK細胞の表面に結合したが、ベクターをトランスフェクトした細胞には結合しなかった(図1を参照されたい)。さらに、これらの抗体の結合は、5mg/mlの24マーのM2ペプチドの存在によって競合せず、一方、直鎖状M2ペプチドに対して生じた、対照のキメラマウスV−領域/ヒトIgG1カッパ14C2抗体(hu14C2)の結合は、M2ペプチドによって完全に阻害された(図1を参照)。これらのデータは、これらの抗体が、直鎖状M2eペプチドとは対照的に、細胞またはウイルス表面に発現したM2eに存在するコンフォーメーションエピトープに結合することを裏付ける。
(実施例5)
ヒト抗インフルエンザモノクローナル抗体のウイルス結合
UV不活性化したインフルエンザAウイルス(A/PR/8/34)(Applied Biotechnologies)は、PBS中1.2μg/ml、25μl/ウェルで384ウェルのMaxiSorpプレート(Nunc)に播種され、4℃で一晩インキュベートされた。次に、プレートをPBSで3回洗浄し、50μl/ウェルでPBS中の1%脱脂粉乳でブロッキングし、その後、室温で1時間インキュベートした。PBSによる2回目の洗浄後、指示された濃度のMAbを3連で添加し、プレートを室温で1時間インキュベートした。PBSを用いてさらに洗浄後、各ウェルに対して、PBS/1%ミルク中に1/5000に希釈したセイヨウワサビ・ペルオキシダーゼ(HRP)結合体化ヤギ抗ヒトIgG Fc(Pierce)の25μlを添加し、プレートを室温で1時間放置した。最終のPBS洗浄後、HRP基質である1−Step(商標)Ultra−TMB−ELISA(Pierce)を25μl/ウェルで添加し、暗所中、室温で反応を進行させた。25μl/ウェルの1N HSOでアッセイを停止させ、450nmの吸光度(A450)をSpectroMax Plusプレートリーダーで読み取った。10μg/mlでのMAb8I10結合の吸光度にデータを正規化する。結果を図2Aおよび2Bに示す。
(実施例6)
完全長M2変異体へのヒト抗インフルエンザモノクローナル抗体の結合
M2変異体(in vivoでの高い病原性表現型を有するものを含む)を分析のために選択した。配列については図3Aを参照されたい。
M2 cDNA構築体をHEK293細胞に一過性にトランスフェクトし、下記の通り分析した:FACSによる一過性トランスフェクタントを分析するために、10cm組織培養プレート上の細胞を0.5mlの細胞解離緩衝液(Invitrogen)で処理し、回収した。1%FBS、0.2%NaNを含むPBS(FACS緩衝液)中で細胞を洗浄し、100μg/mlのウサギIgGを補足した0.6mlのFACS緩衝液中に再懸濁した。各々のトランスフェクタントは、0.2mlのFACS緩衝液中、1μg/mlの指示されたMAbと混合され、細胞5×10〜10個/試料であった。FACS緩衝液で細胞を3回洗浄し、各試料は、1μg/mlのalexafluor(AF)647−抗ヒトIgG H&L(Invitrogen)を含む0.1ml中に再懸濁させた。再び細胞を洗浄し、FACSCantoデバイス(Becton−Dickenson)でフローサイトメトリーを行った。データは、M2−D20一過性トランスフェクタントの平均蛍光の割合として表される。変異体結合に関するデータは、2つの実験を代表している。アラニン突然変異体に関するデータは、標準誤差を含む3つの別々の実験からの平均の読み出しである。結果を図3Bおよび3Cに示す。
(実施例7)
M2結合を評価するためのアラニンスキャニング突然変異誘発
抗体結合部位を評価するために、アラニンは、部位特異的突然変異誘発によって指示された個々のアミノ酸位置で置換された。
M2 cDNA構築体をHEK293細胞に一過性にトランスフェクトし、実施例6において上述されるように分析した。結果を図4Aおよび4Bに示す。図8は、エピトープがM2ポリペプチドのアミノ末端の高度に保存された領域にあることを示す。図4A、4Bおよび図8に示されるように、エピトープは、M2ポリペプチドの2位のセリン、5位のスレオニン、および6位のグルタミン酸を含む。
(実施例8)
エピトープブロッキング
MAb 8I10および23K12が同じ部位に結合するかどうかを決定するために、インフルエンザ株A/HK/483/1997配列を表すM2タンパク質をCHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞株のDG44に安定に発現させた。細胞解離緩衝液(Invitrogen)で細胞を処理し、回収した。1%FBS、0.2%NaNを含むPBS(FACS緩衝液)中で細胞を洗浄し、100μg/mlのウサギIgGを補足したFACS緩衝液中、10細胞/mlで再懸濁した。細胞は、10μg/mlのMAb(または2N9対照)で1時間4℃で予め結合され、次にFACS緩衝液で洗浄した。その後、直接的に結合体化されたAF647−8I10または−23K12(AlexaFluor(登録商標)647タンパク質標識キット(Invitrogen)で標識されたを用いて、予めブロッキングされた3つの細胞試料を細胞10個/試料について1μg/mlで染色した。フローサイトメトリー分析は、FACSCantoを用いて前述の通りに進行させた。データは、標準誤差を含む3つの別々の実験からの平均の読み出しである。結果を図5に示す。
(実施例9)
M2変異体および短縮型(truncated)M2ペプチドに対するヒト抗インフルエンザモノクローナル抗体の結合
他のM2ペプチド変異体に対するmAb 8i10および23K12の交差反応性をELISAによって評価した。ペプチド配列を図6Aおよび6Bに示す。さらに、同様のELISAアッセイを用いて、M2短縮型ペプチドに対する結合活性を測定した。
要約すると、各平底384ウェルプレート(Nunc)を、一晩4℃で、2μg/mLの濃度のペプチドおよび25μL/ウェルのPBS緩衝液で被覆した。プレートを3回洗浄し、1時間室温で1%ミルク/PBSでブロッキングした。3回の洗浄後、MAbの滴定量(titer)を添加し、1時間室温でインキュベートした。希釈したHRP結合体化ヤギ抗ヒト免疫グロブリンFC特異的(Pierce)を、3回の洗浄後に各ウェルに添加した。1時間室温でプレートをインキュベートし、3回洗浄した。1−Step(商標)Ultra−TMB−ELISA(Pierce)を25μl/ウェルで添加し、暗闇中、室温で反応を進行させた。25μl/ウェルの1N HSOでアッセイを停止させ、450nmの吸光度(A450)をSpectroMax Plusプレートリーダーで読み取った。結果を図6Aおよび6Bに示す。
(実施例10)
致命的なウイルス攻撃から保護するためのヒト抗インフルエンザモノクローナル抗体の能力のin vivo評価
高病原性のトリインフルエンザ株を用いた致命的なウイルス攻撃からマウスを保護するための抗体23K12および8I10の能力を試験した。
雌性BALB/cマウスは、各群10匹からなる5群に無作為に選んだ。感染の1日前(第−1(マイナス1)日)、感染の2日後(第+2(プラス2)日に、200μgの抗体を200μlの腹腔内注射を介して投与した。第0(ゼロ)日に、A/Vietnam/1203/04インフルエンザウイルスの約LD90(致死量90)を30μlの体積で鼻腔内に投与した。生存率は、感染後の第1日から第28日を通じて観察した。結果を図7に示す。
(実施例11)
M2抗体3241_G23、3244_I10、3243_J07、3259_J21、3245_O19、3244_H04、3136_G05、3252_C13、3255_J06、3420_I23、3139_P23、3248_P18、3253_P10、3260_D19、3362_B11、および3242_P05の特徴づけ
FACS
完全長M2 cDNA(A/Hong Kong/483/97)を合成し(Blue Heron Technology)、プラスミドベクターpcDNA3.1にクローニングした。次いで、これをリポフェクタミン(Invitrogen)を使用してCHO細胞にトランスフェクトして、CHO−HK M2−発現細胞の安定したプールを作った。抗M2 Mabのパネルのために、IgG重鎖および軽鎖の組合せのそれぞれからの一過性トランスフェクションからの上清の20μl試料を用いて、CHO−HK M2の安定細胞系を染色した。結合した抗M2 mabを、Alexafluor647結合体化ヤギ抗ヒトIgG H&L抗体(Invitrogen)で生存細胞上で可視化した。フローサイトメトリーをFACSCantoおよび付随のFACSDivaソフトウェア(Becton Dickenson)の分析を用いて行った。
ELISA
β−プロピオラクトン(Advanced Biotechnologies,Inc.)によって不活性化された精製インフルエンザA(A/Puerto Rico/8/34)をビオチン化し(EZ−Link Sulfo−NHS−LC−ビオチン、Pierce)、ニュートラアビジン(Pierce)でプレコーティングされた、25μlPBS中の384ウェルプレートに4℃で16時間吸着させた。プレートをPBS中のBSAでブロックし、IgG重鎖および軽鎖の組合せのそれぞれからの一過性トランスフェクションからの上清の試料を、1:5の最終希釈で添加し、それに続いてHRP結合体化ヤギ抗ヒトFc抗体(Pierce)を添加した。TMB基質(ThermoFisher)を用いて発色させた。
この分析の結果を以下の表2に示す。
陽性対照:mAb 8I10のIgG重鎖および軽鎖の組合せによる一過性トランスフェクションからの上清
陰性対照:mAb 2N9のIgG重鎖および軽鎖の組合せによる一過性トランスフェクションからの上清
MFI=平均蛍光強度 。
他の実施形態
本発明の特定の実施形態は説明を目的に本明細書に記載されているが、本発明の精神および範囲から逸脱することなしに種々の変更がされてもよい。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲に記載される場合を除いて、限定されない。
本発明は、本発明の詳細な説明とともに記載されるが、先行する記載は、添付された特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を説明するためであって、限定することを意図していない。他の態様、利点、および変更は、下記の特許請求の範囲内にある。
本明細書に言及されている特許および科学文献は、当業者に利用可能である知識を定着させる。本明細書において引用されたすべての米国特許および公開されたまたは公開されていない米国特許出願は参照により援用される。本明細書において引用されたすべての公開された外国特許および特許出願は参照により本明細書に援用される。本明細書において引用された受入番号によって指定されるGenbankおよびNCBI寄託は参照により本明細書に援用される。本明細書に引用されたすべての他の刊行された参考文献、資料、写本および科学文献は参照により本明細書に援用される。
本発明は、その好ましい実施形態を参照して具体的に示され、記載されているが、形式および詳細における種々の変更は、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱することなしにその中でなされてもよいことは当業者によって理解されよう。
huM2e抗体は、配列番号44または50のアミノ酸配列を有する重鎖可変および配列番号46または52のアミノ酸配列を有する軽鎖可変を含む。好ましくは、3つの重鎖CDRは、NYYWS(配列番号72)、FIYYGGNTKYNPSLKS(配列番号74)、ASCSGGYCILD(配列番号76)、SNYMS(配列番号103)、VIYSGGSTYYADSVK(配列番号105)、CLSRMRGYGLDV(配列番号107)(Kabat方法によって決定)またはASCSGGYCILD(配列番号76)、CLSRMRGYGLDV(配列番号107)、GSSISN(配列番号109)、FIYYGGNTK(配列番号110)、GFTVSSN(配列番号112)、VIYSGGSTY(配列番号113)(Chothia方法によって決定)のアミノ酸配列と少なくとも90%、92%、95%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一であるアミノ酸配列を含み、軽鎖は、RASQNIYKYLN(配列番号59)、AASGLQS(配列番号61)、QQSYSPPLT(配列番号63)、RTSQSISSYLN(配列番号92)、AASSLQSGVPSRF(配列番号94)、QQSYSMPA(配列番号96)(Kabat方法によって決定)またはRASQNIYKYLN(配列番号59)、AASGLQS(配列番号61)、QQSYSPPLT(配列番号63)、RTSQSISSYLN(配列番号92)、AASSLQSGVPSRF(配列番号94)、QQSYSMPA(配列番号96)(Chothia方法によって決定)のアミノ酸配列と少なくとも90%、92%、95%、97%、98%、99%またはそれを超えて同一であるアミノ酸配列を含む3つのCDRを有する。抗体はM2eに結合する。

本発明の他の特長および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかであり、それに包含される。
したがって、本発明は、以下の項目を提供する:
(項目1)
インフルエンザウイルスのマトリックス2外部ドメイン(M2e)ポリペプチドの細胞外ドメイン中のエピトープに特異的に結合するヒトモノクローナル抗体であって、上記モノクローナル抗体は、3241_G23、3244_I10、3243_J07、3259_J21、3245_O19、3244_H04、3136_G05、3252_C13、3255_J06、3420_I23、3139_P23、3248_P18、3253_P10、3260_D19、3362_B11、または3242_P05である、モノクローナル抗体。
(項目2)
重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含む、単離された抗マトリックス2外部ドメイン(M2e)抗体、またはその抗原結合断片であって、上記VHドメインおよび上記VLドメインがそれぞれ3つの相補性決定領域1から3(CDR1〜3)を含み、各CDRが以下のアミノ酸配列:
VH CDR1:配列番号179、187、196、204、212、224、230、235、242、248、または254;
VH CDR2:配列番号180、188、195、197、205、213、218、225、231、236、243、249、246、または256;
VH CDR3 配列番号181、189、198、206、214、219、226、232、237、244、または250;
VL CDR1:配列番号184、192、199、215、220、233、または238;
VL CDR2:配列番号61、185、193、200、207、211、216、227、239、または241;および
VL CDR3:配列番号63、186、194、201、208、221、228、234、240、245、または251
を含む、抗マトリックス2外部ドメイン(M2e)抗体、またはその抗体結合性断片。
(項目3)
重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含む、単離された抗マトリックス2外部ドメイン(M2e)抗体、またはその抗原結合断片であって、上記VHドメインおよび上記VLドメインがそれぞれ3つの相補性決定領域1から3(CDR1〜3)を含み、各CDRが以下のアミノ酸配列:
VH CDR1:配列番号182、190、202、209、222、229、247、252、257、258、または260;
VH CDR2:配列番号183、191、203、210、217、223、230、246、253、259、または261;
VH CDR3配列番号181、189、195、198、206、214、219、226、232、237、244、または250;
VL CDR1:配列番号184、192、199、215、220、233、または238;
VL CDR2:配列番号61、185、193、200、207、211、216、227、239、または241;および
VL CDR3:配列番号63、186、194、201、208、221、228、234、240、245、または251
を含む、抗マトリックス2外部ドメイン(M2e)抗体、またはその抗体結合性断片。
(項目4)
項目1から3のいずれかに記載の抗体のいずれか一つ、および薬学的担体を含む医薬組成物。
(項目5)
モノクローナル抗体3241_G23、3244_I10、3243_J07、3259_J21、3245_O19、3244_H04、3136_G05、3252_C13、3255_J06、3420_I23、3139_P23、3248_P18、3253_P10、3260_D19、3362_B11、または3242_P05と同じエピトープに結合する抗体。
(項目6)
抗ウイルス薬、ウイルス侵入阻害剤またはウイルス付着阻害剤をさらに含む、項目4に記載の組成物。
(項目7)
上記抗ウイルス薬が、ノイラミニダーゼ阻害剤、HA阻害剤、シアル酸阻害剤またはM2イオンチャネル阻害剤である、項目6に記載の組成物。
(項目8)
上記M2イオンチャネル阻害剤が、アマンタジンまたはリマンタジンである、項目7に記載の組成物。
(項目9)
上記ノイラミニダーゼ阻害剤が、ザナミビルまたはリン酸オセルタミビルである、項目7に記載の組成物。
(項目10)
第2の抗インフルエンザA抗体をさらに含む、項目4に記載の組成物。
(項目11)
患者に項目4に記載の組成物を投与することを含む、被験体において免疫応答を刺激するための方法。
(項目12)
被験体に項目4に記載の組成物を投与することを含む、上記被験体においてインフルエンザウイルス感染を治療または予防するための方法。
(項目13)
抗ウイルス薬、ウイルス侵入阻害剤またはウイルス付着阻害剤を投与することをさらに含む、項目12に記載の方法。
(項目14)
上記抗ウイルス薬が、ノイラミニダーゼ阻害剤、HA阻害剤、シアル酸阻害剤またはM2イオンチャネルである、項目13に記載の方法。
(項目15)
上記M2イオンチャネル阻害剤が、アマンタジンまたはリマンタジンである、項目14に記載の方法。
(項目16)
上記ノイラミニダーゼ阻害剤が、ザナミビルまたはリン酸オセルタミビルである、項目12に記載の方法。
(項目17)
上記組成物を、インフルエンザウイルスへの曝露前またはその後に投与する、項目12に記載の方法。
(項目18)
上記組成物を、ウイルスのクリアランスを促進する、またはインフルエンザA感染細胞を排除するために十分な用量で投与する、項目12に記載の方法。
(項目19)
患者においてインフルエンザウイルス感染の存在を決定するための方法であって、
(a)上記患者から得た生物学的試料を項目1から3のいずれか一項に記載の抗体と接触させるステップ;
(b)上記生物学的試料に結合する上記抗体の量を検出するステップ;および
(c)上記生物学的試料に結合する上記抗体の上記量を対照値と比較し、それから上記患者におけるインフルエンザウイルスの存在を決定するステップ
を含む方法。
(項目20)
項目1から3のいずれか一項に記載の抗体を含む診断キット。

図1は、遊離のM2ペプチドの有無における、M2発現構築体または対照ベクターをトランスフェクトした293−HEK細胞に対する本発明の3種の抗体、および対照hu14C2抗体の結合を示す写真である。 図2Aは、インフルエンザA/Puerto Rico/8/32に結合するヒトモノクローナル抗体を示すグラフである。 図2Bは、インフルエンザA/Puerto Rico/8/32に結合するヒトモノクローナル抗体を示すグラフである。 図3Aは、M2変異体の細胞外ドメインのアミノ酸配列(現れる順で、 それぞれ配列番号1〜3、317および5〜40)を示す表である。 図3Bは、図3Aに示されるM2変異体に結合するヒトモノクローナル抗インフルエンザ抗体の結合を示す棒グラフである。 図3Bは、図3Aに示されるM2変異体に結合するヒトモノクローナル抗インフルエンザ抗体の結合を示す棒グラフである。 図3Cは、図3Aに示されるM2変異体に結合するヒトモノクローナル抗インフルエンザ抗体の結合を示す棒グラフである。 図3Cは、図3Aに示されるM2変異体に結合するヒトモノクローナル抗インフルエンザ抗体の結合を示す棒グラフである。 図4Aは、アラニンスキャニング変異誘発に供されたM2ペプチドに結合するヒトモノクローナル抗インフルエンザ抗体の結合を示す棒グラフである。 図4AおよびBは、アラニンスキャニング変異誘発に供されたM2ペプチドに結合するヒトモノクローナル抗インフルエンザ抗体の結合を示す棒グラフである。 図5は、CHO細胞株であるDG44において安定に発現されたインフルエンザ株A/HK/483/1997配列を表すM2タンパクへのMAb 8i10および23K12の結合を示す一連の棒グラフである。 図6Aは、変異M2ペプチド(現れる順で、それぞれ配列番号268〜2 92)への抗M2抗体の交差反応結合を示す表である。 図6Bは、切断されたM2ペプチド(現れる順で、それぞれ配列番号26 8、293〜312および19)へのM2抗体の結合活性を示す表である。 図7は、ヒト抗インフルエンザモノクローナル抗体で処理されたインフルエンザ感染マウスの生存を示すグラフである。 図8は、抗M2抗体がM2eのN末端の高度に保存された領域(配列番号1 9)に結合することを示す説明図である。 図9は、粗製上清からの抗M2rHMAbクローンがELISA上でインフルエンザに結合し、一方、対照の抗M2e mAb 14C2は容易にウイルスに結合しなかったことを示すグラフである。 図10は、抗M2rHMAbがインフルエンザ感染細胞に結合したことを示す一連の写真である。MDCK細胞は、インフルエンザA/PR/8/32に感染させたかまたは感染させなかった。24時間後に粗製上清からのAb結合を試験した。データはFMATプレートスキャナーから収集した。 図11は、粗製上清からの抗M2rHMAbクローンがインフルエンザのサブタイプであるH3N2、HK483、およびVN1203 M2タンパク質をトランスフェクトした細胞に結合したことを示すグラフである。インフルエンザ株であるH3N2、HK483、およびVN1203に対応する完全長M2 cDNAをコードするプラスミド、ならびに空の(モック(mock))プラスミド対照を293細胞に一過性にトランスフェクトした。14C2、8i10、23K12、および21B15 mABはトランスフェクタントへの結合について試験され、AF647を結合体化した抗ヒトIgG二次抗体を用いて検出された。FACS分析後の特異的なmAB結合の平均蛍光強度を示す。
>21B15 VLアミノ酸配列:(配列番号313
Kabatは太字、Chothiaは下線
I23抗体の重鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:GDSISS(配列番号229)、YLYYSGSTK(配列番号230)およびTGSESTTGYGMDV(配列番号226)。I23抗体の軽鎖CDRは、Chothia定義に従った以下の配列を有する:RASQSISTYLN(配列番号192)、AASSLHS(配列番号227)およびQQSYSPPIT(配列番号228)。
P23抗体の重鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:NSFWG(配列番号314)、YVYNSGNTKYNPSLKS(配列番号231)およびHDDASHGYSIS(配列番号232)。P23抗体の軽鎖CDRは、Kabat定義に従った以下の配列を有する:RASQTISTYLN(配列番号233)、AASGLQS(配列番号61)およびQQSYNTPLT(配列番号234)。

>3362_B11VLヌクレオチド配列(配列番号17

>3362_B11VHアミノ酸配列(配列番号17
Kabatは太字、Chothiaは下線
特定の実施形態において、本発明のポリペプチドは、可溶性タンパク質の精製を容易にするポリペプチドドメインをさらに含む融合ポリペプチドとして産生される。このような精製を容易にするドメインは、これらに限定されるわけではないが、固定された金属上での精製を可能にするヒスチジン−トリプトファンモジュールなどの金属キレートペプチド、固定された免疫グロブリン上での精製を可能にするプロテインAドメイン、およびFLAGS伸長/親和性精製システム(Amgen、Seattle、WA)において利用されるドメインを含む。第XA因子またはエンテロキナーゼ(Invitrogen、San Diego、CA)に特異的な配列などの切断可能なリンカー配列を精製ドメインとコードされるポリペプチドの間に含めることが、精製を容易にするために使用される。例示的な発現ベクターは、対象とするポリペプチドおよびチオレドキシンまたはエンテロキナーゼ切断部位の前の6個のヒスチジン残基(配列番号318)をコードする核酸を含む融合タンパク質の発現を提供する。ヒスチジン残基は、Porath, J.ら(1992年、Prot. Exp. Purif.3巻:263〜281頁)に記載の通りIMIAC(固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィー)上での精製を容易にし、一方エンテロキナーゼ切断部位は、融合タンパク質から所望のポリペプチドを精製するための手段を提供する。融合タンパク質を製造するために使用されるベクターの考察は、Kroll, D.J.ら(1993年;DNA Cell Biol.12巻:441〜453頁)に提供されている。

8i10カッパLC可変領域の翻訳は、下記の通りであり、ポリヌクレオチド配列(上記、配列番号54、上段)およびアミノ酸配列(下記、配列番号56の残基1〜131に対応する)である。
8i10ガンマHCの翻訳は、下記の通りであり、ポリヌクレオチド配列(上述、配列番号67、上段)およびアミノ酸配列(下記、配列番号69の残基1〜138に対応する)である。
21B15カッパLC可変領域の翻訳は、下記の通りであり、ポリヌクレオチド配列(上述、配列番号83、上段)およびアミノ酸配列(下記、配列番号315に対応する)である。
カッパLC可変領域をクローニングするために用いられるプライマーは多様性の領域全体で伸長し、その設計ではウォッブル塩基位置を有していた。このようにして、フレームワーク4領域では、DまたはEアミノ酸が生じ得た。ある場合には、レスキューされた抗体におけるこの位置のアミノ酸は、B細胞において産生された元の親アミノ酸でなくてもよい。大部分のカッパLCでは、この位置はEである。上記のクローン(21B15)からすると、フレームワーク4(DIKRT)(配列番号316)におけるDが観察された。しかしながら、周囲のアミノ酸からすると、これは、プライマーの結果として起こった可能性があり、人為的な結果であり得る。B細胞由来の天然の抗体は、この位置にEを有していた可能性がある。
21B15ガンマHCの翻訳は、下記の通りであり、ポリヌクレオチド配列(上述、配列番号87、上段)およびアミノ酸配列(下記、配列番号69の残基1〜138に対応する)である。
3種のクローンのカッパLC可変領域のアミノ酸配列(現れる順で、それぞれ配列番号262〜264)の整列:
3種のクローンのガンマHC可変領域のアミノ酸配列(現れる順で、それぞれ配列番号265〜267)の整列:

Claims (20)

  1. インフルエンザウイルスのマトリックス2外部ドメイン(M2e)ポリペプチドの細胞外ドメイン中のエピトープに特異的に結合するヒトモノクローナル抗体であって、前記モノクローナル抗体は、3241_G23、3244_I10、3243_J07、3259_J21、3245_O19、3244_H04、3136_G05、3252_C13、3255_J06、3420_I23、3139_P23、3248_P18、3253_P10、3260_D19、3362_B11、または3242_P05である、モノクローナル抗体。
  2. 重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含む、単離された抗マトリックス2外部ドメイン(M2e)抗体、またはその抗原結合断片であって、前記VHドメインおよび前記VLドメインがそれぞれ3つの相補性決定領域1から3(CDR1〜3)を含み、各CDRが以下のアミノ酸配列:
    VH CDR1:配列番号179、187、196、204、212、224、230、235、242、248、または254;
    VH CDR2:配列番号180、188、195、197、205、213、218、225、231、236、243、249、246、または256;
    VH CDR3 配列番号181、189、198、206、214、219、226、232、237、244、または250;
    VL CDR1:配列番号184、192、199、215、220、233、または238;
    VL CDR2:配列番号61、185、193、200、207、211、216、227、239、または241;および
    VL CDR3:配列番号63、186、194、201、208、221、228、234、240、245、または251
    を含む、抗マトリックス2外部ドメイン(M2e)抗体、またはその抗原結合断片。
  3. 重鎖可変(VH)ドメインおよび軽鎖可変(VL)ドメインを含む、単離された抗マトリックス2外部ドメイン(M2e)抗体、またはその抗原結合断片であって、前記VHドメインおよび前記VLドメインがそれぞれ3つの相補性決定領域1から3(CDR1〜3)を含み、各CDRが以下のアミノ酸配列:
    VH CDR1:配列番号182、190、202、209、222、229、247、252、257、258、または260;
    VH CDR2:配列番号183、191、203、210、217、223、230、246、253、259、または261;
    VH CDR3配列番号181、189、195、198、206、214、219、226、232、237、244、または250;
    VL CDR1:配列番号184、192、199、215、220、233、または238;
    VL CDR2:配列番号61、185、193、200、207、211、216、227、239、または241;および
    VL CDR3:配列番号63、186、194、201、208、221、228、234、240、245、または251
    を含む、抗マトリックス2外部ドメイン(M2e)抗体、またはその抗原結合断片。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の抗体のいずれか一つ、および薬学的担体を含む医薬組成物。
  5. モノクローナル抗体3241_G23、3244_I10、3243_J07、3259_J21、3245_O19、3244_H04、3136_G05、3252_C13、3255_J06、3420_I23、3139_P23、3248_P18、3253_P10、3260_D19、3362_B11、または3242_P05と同じエピトープに結合する抗体。
  6. 抗ウイルス薬、ウイルス侵入阻害剤またはウイルス付着阻害剤をさらに含む、請求項4に記載の組成物。
  7. 前記抗ウイルス薬が、ノイラミニダーゼ阻害剤、HA阻害剤、シアル酸阻害剤またはM2イオンチャネル阻害剤である、請求項6に記載の組成物。
  8. 前記M2イオンチャネル阻害剤が、アマンタジンまたはリマンタジンである、請求項7に記載の組成物。
  9. 前記ノイラミニダーゼ阻害剤が、ザナミビルまたはリン酸オセルタミビルである、請求項7に記載の組成物。
  10. 第2の抗インフルエンザA抗体をさらに含む、請求項4に記載の組成物。
  11. 患者に請求項4に記載の組成物を投与することを含む、被験体において免疫応答を刺激するための方法。
  12. 被験体に請求項4に記載の組成物を投与することを含む、前記被験体においてインフルエンザウイルス感染を治療または予防するための方法。
  13. 抗ウイルス薬、ウイルス侵入阻害剤またはウイルス付着阻害剤を投与することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
  14. 前記抗ウイルス薬が、ノイラミニダーゼ阻害剤、HA阻害剤、シアル酸阻害剤またはM2イオンチャネル阻害剤である、請求項13に記載の方法。
  15. 前記M2イオンチャネル阻害剤が、アマンタジンまたはリマンタジンである、請求項14に記載の方法。
  16. 前記ノイラミニダーゼ阻害剤が、ザナミビルまたはリン酸オセルタミビルである、請求項12に記載の方法。
  17. 前記組成物を、インフルエンザウイルスへの曝露前またはその後に投与する、請求項12に記載の方法。
  18. 前記組成物を、ウイルスのクリアランスを促進する、またはインフルエンザA感染細胞を排除するために十分な用量で投与する、請求項12に記載の方法。
  19. 患者においてインフルエンザウイルス感染の存在を決定するための方法であって、
    (a)前記患者から得た生物学的試料を請求項1から3のいずれか一項に記載の抗体と接触させるステップ;
    (b)前記生物学的試料に結合する前記抗体の量を検出するステップ;および
    (c)前記生物学的試料に結合する前記抗体の前記量を対照値と比較し、それから前記患者におけるインフルエンザウイルスの存在を決定するステップ
    を含む方法。
  20. 請求項1から3のいずれか一項に記載の抗体を含む診断キット。
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