JP2012520064A - ポリペプチドの収量を改良する方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、ポリペプチドの収量を改良する方法に関する。特に、本発明は、ポリペプチドの主鎖を修飾するステップによりポリペプチドの収量を改良する方法に関する。
ゲノムおよびメタゲノムシークエンシングにおける最近の急速な進歩は、潜在的に非常に興味深い多様な蛋白質を表す多くの遺伝子をもたらしている。これらの遺伝子をかなりの水準で発現させる問題は、これらの遺伝子によりコードされる蛋白質の機能性の調査を妨げ、結果として、経済的な実現可能な方法での、このような蛋白質の利用の可能性を阻む。多くの場合、発見された遺伝子は大規模生産にあまり適していないか、または現在の遺伝子工学ツールにかなり利用し難しい生物に由来するため、遺伝子導入系および十分に開発された遺伝子工学ツールが利用可能な、十分に確立された産生宿主を使用することが極めて望ましい。特に糸状菌および酵母等の真核生物は、蛋白質の産生における、特に細胞外蛋白質の産生における、細胞工場として広く使用される。長期にわたり伝統的に使用されているため、これらの種の幾つかは一般に安全である(GRAS)と見なされ、ヒト用製品の製造に非常に興味深いものとなっている。しかし、かなりの改良にもかかわらず、異種遺伝子で得られる産生レベルは大抵、相同遺伝子でみられるものよりはるかに低い。多くの場合、蛋白質の発現は皆無である。
配列番号1:cDNAコドン対最適化(CPO)前胃エステラーゼ(PGE);プロセシングした、すなわちシグナル配列コード化部分がない
配列番号2:蛋白質子ウシ前胃エステラーゼ(PGE)、シグナル配列を含む
配列番号3:DNA PGE蛋白質特性最適化(PFO)変異体KL8、グリコシル化部位1つ追加
配列番号4:蛋白質PGE PFO変異体KL8、グリコシル化部位1つ追加
配列番号5:DNA PGE PFO変異体KL9、グリコシル化部位5つ追加
配列番号6:蛋白質PGE PFO変異体KL9、グリコシル化部位5つ追加
配列番号7:DNA PGE PFO変異体KL11、6.96から7.74へのplシフト
配列番号8:蛋白質 PGE PFO変異体KL11、6.96から7.74へのplシフト
配列番号9:DNA PGE PFO変異体KL12、6.96から6.7へのplシフト
配列番号10:蛋白質PGE PFO変異体KL12、6.96から6.7へのplシフト
配列番号11:DNA PGE、天然のシグナル配列がα−MAT因子シグナルプレ(プロ−)配列に融合したPGE変異体
配列番号12:DNA PGE AN3、Kex部位(KR)とのCPO遺伝子tAG融合物
配列番号13:DNA PGE変異体AN12、6.96から4.6へのplシフト
配列番号14:蛋白質PGE変異体AN12、6.96から4.6へのplシフト
配列番号15:DNA PGE変異体AN13、6.96から4.88へのplシフト
配列番号16:蛋白質PGE変異体AN13、6.96から4.88へのplシフト
配列番号17:DNAキチナーゼ(ZDU)野生型
配列番号18:蛋白質キチナーゼ(ZDU)野生型
配列番号19:DNAキチナーゼ変異体ZDU−6
配列番号20:蛋白質キチナーゼ変異体ZDU−6
配列番号21:DNAキチナーゼ変異体ZDU−7
配列番号22:蛋白質キチナーゼ変異体ZDU−7
配列番号23:DNA β−グルコシダーゼ野生型ZTB−WT
配列番号24:蛋白質β−グルコシダーゼ野生型ZTB−WT
配列番号25:DNA β−グルコシダーゼ変異体ZTB−4
配列番号26:蛋白質β−グルコシダーゼ変異体ZTB−4
配列番号27:DNAエンドグルカナーゼ野生型ZTC−WT
配列番号28:蛋白質エンドグルカナーゼ野生型ZTC−WT
配列番号29:DNAエンドグルカナーゼ変異体ZTC−5
配列番号30:蛋白質エンドグルカナーゼ変異体ZTC−5
本発明は、真核生物宿主における1つまたは複数の蛋白質特性について最適範囲内に入るか、または最適値により近づくように、ポリペプチドのアミノ酸主鎖における一組の関連する蛋白質特性値を修飾するステップにより、真核生物宿主細胞によって対象ポリペプチドの分泌を改良する方法に関する。
RI=(DREF−DPFO)/DREF,
ここで、D=|FPOI−F0PT|、FPOIは、対象蛋白質特性値であって、
リファレンスまたはPFOのいずれかであり,FOPTは最適特性値である。
RINは、どの特性が実質的に重要であるかを理解するために、正規化偏差(DN)の観点で定義される。DNは、特性値の上界(UB)および下界(LB)を考慮に入れる(表1参照)。
RIN=DN,REF−DN,PFO,
ここで、FPOI>FOPTであれば、DN=(FPOI−FOPT)/(UB−FOPT)
FPOI<FOPTであれば、DN=(FPOI−FOPT)/(LB−FOPT)
(i)真核生物宿主における、1つまたは複数の蛋白質特性の最適範囲および最適値を決定するステップ、および
(ii)真核生物宿主における、一組の関連した蛋白質特性を決定するステップ(これらの関連した特性の1つまたは複数が、ポリペプチドのアミノ酸主鎖において修飾されるのであれば、その特性は、真核生物宿主によるポリペプチドの分泌を改良するであろう)、および
(iii)(i)で決定されたように、最適範囲内に入るかまたは最適値により近づくように、関連した蛋白質特性値を修飾するステップ(ここで、(i)および(ii)は任意の順序で実施し得る)、
を含む。
(i)特定の真核生物宿主における適量の蛋白質の分泌レベルならびにこれらの蛋白質のアミノ酸配列およびDNA配列を含む、データセットSの収集または作成。データセットSは、分泌蛋白質(S+)を含んでもよい。好ましくは、データセットSはまた、非分泌蛋白質(S−)も含む。たとえば、全ての予測される分泌蛋白質をアスペルギルス・ニガー(A.niger)で、発現させることができる(Tsang et al.,2009,Fungal Genetics and Biology,46:S153−160)。分泌される蛋白質は、セットS+に属するが、分泌されない蛋白質は、セットS−に属する。任意の方法を使用して、分泌レベルを測定し得る。あるいは、セットS−は、真核生物宿主における文献で周知の非分泌蛋白質を含んでもよい。Sにおける蛋白質は、真核生物宿主と相同であっても異種であってもよい。
(ii)データセットSにおける全ての蛋白質についての、蛋白質特性(F)の計算。Fは、これらの蛋白質のDNA配列およびアミノ酸配列の両者から誘導することが可能である;
(iii)適切に規定された分類子性能基準に従って、S+とS−とを区別するために、統計分類子の最高の成果を与える、ii)で計算した蛋白質特性のサブセット(Fs)を選択するための統計的分類方法の使用。Fsは、DNA配列(Fs_DNA)およびアミノ酸配列(Fs_AA)の両者から誘導され得る;
i)特定の真核生物宿主における適量の蛋白質の分泌レベルならびにこれらの蛋白質のアミノ酸配列およびDNA配列を含む、データセットSの収集または作成。データセットSは、分泌蛋白質(S+)を含んでもよい。好ましくは、データセットSはまた、非分泌蛋白質(S−)も含む。たとえば、全ての予測される分泌白質をアスペルギルス・ニガー(A.niger)で、発現させることができる(Tsang et al.,2009,Fungal Genetics and Biology,46:S153−160)。分泌される蛋白質は、セットS+に属するが、分泌されない蛋白質は、セットS−に属する。任意の方法を使用して、分泌レベルを測定し得る。あるいは、セットS−は、真核生物宿主における文献で周知の非分泌蛋白質を含んでもよい。Sにおける蛋白質は、真核生物宿主と相同であっても異種であってもよい。
ii)データセットSにおける全ての蛋白質についての、蛋白質特性(F)の計算。Fは、これらの蛋白質のDNA配列およびアミノ酸配列から誘導され得る;
iii)対応する真核生物宿主の各特性についての最適値(F_opt)の決定:最適値は、S+から算出される各蛋白質特性の中心値を算出することによって得てもよい。任意の中心値、たとえば、幾何平均、調和平均、算術平均、トリム平均、最頻値および中央値を使用し得る。算出される中心値は、対応する真核生物宿主に関する特性の最適値である。あるいは、特性値の分布が、選択される確率分布によって十分に説明されるように、S+から算出される各蛋白質特性に確率分布を合わせる。任意の確率分布を使用し得、たとえば正規分布、指数分布、または対数正規分布を使用し得る。確率分布の平均が、対応する真核生物宿主の特性の最適値である。
iv)対応する真核生物宿主について各特性の最適範囲の決定:分泌される蛋白質のみを含むS+セットを考慮すると、蛋白質特性の最適範囲の下界は、S+から算出される蛋白質特性の、0.3−、0.2−、0.15または好ましくは0.10−および0.05−変位値に相当する値と定義される。ここで、値0.3、0.2、0.15、等々は、累積確率を指す。特定の累積確率に相当する変位値は、任意の統計的方法で、たとえば、Statistical Toolbox,Matlab R2007a(The Mathworks Inc)の分位関数を使用して、算出し得る。蛋白質特性の最適範囲の上界は、S+から算出される蛋白質特性の、0.7−、0.8−、0.85または好ましくは0.90−および0.95−変位値に相当する値と定義される。あるいは、分泌蛋白質および非分泌蛋白質の両方を含む全データセットSを考慮すると、蛋白質特性の最適範囲の下界は、それより下の値ではSにおける蛋白質の70%、80%、85%、好ましくは90%または95%が分泌されない低い蛋白質特性の値として定義してもよい;蛋白質特性の最適範囲の上界は、それより上の値ではSにおける蛋白質の70%、80%、85%、好ましくは90%または95%が分泌されない蛋白質特性値として定義される。
ここで、aはバリン側鎖の相対体積であり(a=2.9)、bはロイシンおよびイソロイシン側鎖の相対体積である(b=3.9)。f_Ala、f_Val、f_Ileおよびf_Leuは、それぞれ、ポリペプチド中の、アラニン、バリン、イソロイシンおよびロイシンの頻度である。Ikai,A.J.1980球状蛋白質の熱安定性および脂肪族指数(Thermostability and aliphatic index of globular proteins.J.Biochem.,88:1895−1898。)
酸性:D,E
脂肪族:A,I,L,V
芳香族:F,W,Y
塩基性:H,K,R
帯電:D,E,H,K,R
非極性:A,C,F,G,I,L,M,P,V,W,Y
極性:D,E,H,K,N,Q,R,S,T
小:A,C,D,G,N,P,S,T,V
微小:A,C,T,S,G
[1]Connolly M:分析的分子表面計算(Analytical molecular surface calculation.)。Journal of Applied Crystallography 1983,16(5):548−558.
[2]Chothia C:蛋白質における接触可能表面および埋没表面の性質(The nature of the accessible and buried surfaces in proteins.)。J Mol Biol 1976,105(1):1−12.
[3]Ahmad S,Gromiha MM,Sarai A:アミノ酸配列からの溶媒接触可能性の実数値予測(Real value prediction of solvent accessibility from amino acid sequence.)。Proteins 2003,50(4):629−635.
[4]Bent Petersen et al:溶媒接触性予測に適用される信頼性スコアの包括的割り当て方法(A generic method for assignment of reliability scores applied to solvent accessibility predictions.)。BMC Structural Biology 2009,9:51.
[5]Dor O,Zhou Y:Real−SPINE:蛋白質構造特性の実数値予測のための神経回路網の集積システム(an integrated system of neural networks for real−value prediction of protein structural properties.)。Proteins 2007,68(1):76−81.
[6]Faraggi E,Xue B,Zhou Y:二層神経回路網を介した指導学習による蛋白質の残基溶媒接触可能性および実数値主鎖ねじれ角の予測確度を改良すること(Improving the prediction accuracy of residue solvent accessibility and real−value backbone torsion angles of proteins by guided−learning through a two−layer neural network.)。Proteins 2009,74(4):847−856.
i)ポリペプチドの蛋白質特性を計算するステップ、
ii)ポリペプチドの1つまたは複数の蛋白質特性が、最適範囲外であるか、または真核生物宿主の最適値から実質的に逸脱しているかどうかを決定するステップ(ここで、実質的逸脱は、最適値から20%、30%、40%または50%超の差と定義される)、
iii)ポリペプチドの1つまたは複数のFs_AAの値が、最適範囲内に入るか、または適量だけ、最適値に向けて移行するように、好ましくはポリペプチドの蛋白質特性と、蛋白質特性の最適値との差が、10%、15%、20%、または30%超、減少するように、ポリペプチドのアミノ酸配列を合理的に変えるステップ。
(i)相同配列を検索するステップ;
(ii)相同配列を、対象配列と配列比較するステップ;
(iii)蛋白質機能的特性に重要なアミノ酸類を同定するステップ;
(iv)機能的特性を保持しながら、所望のアミノ酸配列特性を導入する;
(vi)所与の宿主に最適なコドンを使用して、最終的な修飾された配列を遺伝子に翻訳するステップ;
(vii)宿主における、再設計されたポリペプチドのクローニングおよび発現
によって達成するステップが可能である。
Kuhlman B,Dantas G,Ireton GC,Varani G,Stoddard BL,Baker D(2003)。原子レベルの確度を有する新規な球状蛋白質折り畳みの設計(Design of a novel globular protein fold with atomic−level accuracy)Science 302,1364−8。
Baker D(2006)。巨大分子構造および相互作用の予測および設計(Prediction and design of macromolecular structures and interactions.)。Philos.Trans.R.Soc.Lond.,B,Biol.Sci.361,459−63デノボ蛋白質設計:完全自動化配列選択に向けて(De Novo protein design:towards fully automated sequence selection’) Journal of Molecular Biology,273巻4号,1997年11月7日,789−796ページ Bassil I.Dahiyat,Catherine A.Sarisky,Stephen L.Mayo
ここでμs−およびμs+は、それぞれS−およびS+のセットから計算される局所的特性値の平均値を表し、σ2 s−およびσ2 s+は、それぞれS−およびS+のセットから計算される局所的特性値の分散を表す。
・非極性アミノ酸類を、より極性のアミノ酸類に代えること
・より低極性のアミノ酸類を、より極性のアミノ酸類に代えること
・極性アミノ酸類を帯電アミノ酸類に代えること
によって行うことができる。
・適切な分泌および回収を妨げかねない、潜在的な粘着性のパッチを生じさせる溶媒から、非極性残基が接触される領域をスポットすること。
・機能的役割を果たす領域、たとえば活性部位全般を、そしてより具体的には基質、共基質およびコファクター用の結合ポケットを除外すること。
・非極性残基を、帯電残基も含む、より極性の残基で置換すること。
・極性残基を、より極性の残基または帯電残基で置換すること。
・高い負電荷を有する領域または高い正電荷を有する領域を回避するために、帯電残基を再分布させること。
・疎水性表面パッチを置換する代わりに、非極性領域の近くにグリコシル化を導入することにより、このような領域を遮蔽することも可能である。
一実施形態では、改良された分泌のために修飾すべき特性は、表面電荷(再)分布、表面極性−非極性分布、配列モチーフ、たとえばグリコシル化、またはこれらの組合せである。1つの特性、たとえばアミノ酸の修飾は、多くの場合、別の特性の修飾、たとえばC、H、N、O、S原子に関して原子組成の修飾を、もたらすことを当業者は理解するであろう。
[菌株]
アスペルギルス・ニガー(A.niger)菌株:WT 1:このアスペルギルス・ニガー(A.niger)菌株を、野生型菌株として使用した。この菌株は、寄託番号CBS 513.88.で、CBS研究所(CBS Institute)に寄託される。
WT 2:このアスペルギルス・ニガー(A.niger)菌株は、グルコアミラーゼをコード化する遺伝子(glaA)の欠失を含むWT 1菌株である。WT 2は、欧州特許出願公開第0 635 574 B1号明細書に記載の「MARKER−GENE FREE」アプローチを使用して構築した。この特許では、CBS 513.88のゲノム中のglaA特異的DNA配列の削除方法が詳細に説明されている。この手順は、最終的に外来DNA配列を全く持たない、MARKER−GENE FREE ΔglaA組換えアスペルギルス・ニガー(A.niger)CBS513.88菌株をもたらした。
WT 3:WT 2における主要な細胞外アスパラギン酸プロテアーゼPepAをコード化しているpepA遺伝子を中断するために、van den Homberghらにより記述されている通り、WT 2のゲノム中のpepA特異的DNA配列を削除した(van den Hombergh JP,Sollewijn Gelpke MD,van de Vondervoort PJ,Buxton FP,Visser J.(1997)−アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)における3つの酸プロテアーゼの破壊−プロテアーゼスペクトル、細胞内蛋白質分解、および標的蛋白質の分解に及ぼす影響−Eur J Biochem.247(2):605−13)。この手順は、WT 2菌株バックグラウンドに不活性化されたpepA遺伝子を有する、MARKER−GENE FREE WT 3菌株をもたらした。
WT 4:WT 3中のhdfA遺伝子を削除するために、先に、国際公開第05/095624号パンフレットに詳細に記載されている方法を使用して、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)WT 4(ΔglaA,ΔpepA,ΔhdfA)を作成した。
WT 5:このアスペルギルス・ニガー(A.niger)菌株は、シュウ酸欠損アスペルギルス・ニガー(A.niger)菌株をもたらす欠失を含むWT 4菌株である。WT 5は、欧州特許出願公開第1157100号明細書および米国特許第6,936,438号明細書に記載の方法を使用することによって構築され、その中では、オキサロ酢酸加水分解酵素をコード化するoahA遺伝子の欠失によってシュウ酸欠損菌株が得られ、菌株WT 5は、WT 4菌株バックグラウンドに不活性化されたoahA遺伝子を有する代表的な菌株として選択された。
WT 6:このアスペルギルス・ニガー(A.niger)菌株は、後続する3ステップで、アルファ−アミラーゼ類をコード化する3遺伝子(amyB、amyBIおよびamyBII)の欠失を含む、WT 5菌株である。欠失ベクターの構築およびこれらの3遺伝子のゲノム欠失は、国際公開第2005095624号パンフレットに詳述されている。国際公開第2005095624号パンフレットに記載のベクターpDEL−AMYA、pDEL−AMYBIおよびpDEL−AMYBIIは、欧州特許出願公開第0 635 574 B1号明細書に記載の「MARKER−GENE FREE」アプローチに従って使用された。上述の手順は、最終的に外来DNA配列を全く持たない、シュウ酸欠損、MARKER−GENE FREE ΔglaA、ΔpepA、ΔhdfA、ΔamyA、ΔamyBIおよびΔamyBIIアミラーゼ−陰性組換えアスペルギルス・ニガー(A.niger)CBS 513.88菌株である、WT 6をもたらした。このように、菌株WT 6は低いアミラーゼバックグラウンドを有し、WT 1と比較して、より効率的な配列のターゲティングに関して高いHR/NHR比を有し、また細胞外蛋白質発現および検出用に最適化されている。
反応混合物は、キチン−アズール(Sigma)3mg、0.1M Na−クエン酸−リン酸バッファー0.5ml、pH5.0の分析試料(培養液)0.1mlを含んでいた。この反応混合物を振盪しながら37℃で24時間、インキュベートし、12000rpmで10分間遠心分離してOD590を測定した。
50mM酢酸ナトリウムバッファー pH=4.5中、3mM pNP−β−グルコピラノシド(Sigma N7006)原液を調製した。アッセイ:基質原液(3mM)250μl+希釈酵素試料250μLを、40℃でインキュベートした。t=0、10、20および30分に、培養標本100μlと1M炭酸ナトリウム100μlとを混合することによって反応を停止させた。吸光度は、MTP読み取り装置を使用して405nmで測定した。活性は、放出されたpNP μmol/ml/分で表す。
50mM酢酸ナトリウムバッファー pH=4.5中、最終濃度10mMのセロビオース(SigmaC7252)原液を調製した。アッセイ用に、基質原液(10mM)2000μl+希釈酵素試料100μLを混合し、40℃でインキュベートした。t=0、10、20および30分に、培養標本100μl+50mM水酸化ナトリウム100μlを混合することによって反応を停止させた。試料を限外濾過に付し、ED40パルスアンペロメトリー検出器を具備するDionex DX−500で実施されるパルスアンペロメトリー検出器を用いた高性能陰イオン交換クロマトグラフィ(HPAEC−PAD)を使用して分析した。活性は、放出されたグルコースμmol/ml/分で表す。
本アッセイは、Megazyme手順書S−ACMC 04/07(Megazyme International Ireland Ltd,http://secure.megazyme.com/downloads/en/data/S−ACMC.pdf)に従って実施する。活性は、100mM酢酸ナトリウムバッファー pH4.6中、2%AZO−CM−Celluloseを用いて40℃で測定した。アッセイ用に、基質原液(2%)250μL+希釈酵素溶液250μLを混合した。30分後、沈殿剤溶液1250μLを加えた。沈殿剤溶液(エタノール76%中、300mM酢酸ナトリウムバッファー pH=5と20mM Zn−酢酸)を加えることによって反応を停止させた。1000xgで10分間遠心分離した後、分光光度計を使用して、上澄の590nmにおける吸光度を測定した。活性は、放出された色素μmol/ml/分で表す。
トリブチリン(C4)を基質として、ローダミンBリパーゼプレートスクリーニングアッセイを行った。ローダミンBプレートアッセイは、試料中の、リパーゼ活性存在のスクリーニングによく使用され、文献(G.Kouker,K.E.Jaeger,Appl.and Environ.Microbiol,1987,211−213)に記載のアッセイから改変された。使用した全ての化学薬品は、分析グレードであった。アラビアゴムエマルジョンは、NaCl 17.9gおよびKH2PO4 0.41gをH2O 400mlに溶解し、最後にグリセロール(87%)540mlを加えることによって作った。アラビアゴム6(6.0)gを徐々に加え、溶解した後、H2Oを加えることにより全量1000mlとした。
ローダミンB溶液は、ローダミンBを20mg/mlの濃度でエタノールに溶解することによって調製した。4%アガロース溶液は、加熱により、アガロース4gをバッファー液(0.1M酢酸塩 pH=5.5)100mlに溶解することによって調製した。リパーゼ活性のスクリーニングに使用した基質は、トリブチリンであった。
プレートアッセイ手順:基質1mlおよびアラビアゴムエマルジョン1.5mlを、バッファー液5mlと混合し、振幅20μmで2×60秒間Soniprepを使用して、または任意選択的に、緑色に設定したUltraturaxで2分間、超音波処理した。この溶液に、熱いアガロース溶液7.5mlをローダミンB 150μlと一緒に加えた。最終溶液をペトリ皿プレートに注入した。プレートは、使用するまで冷蔵庫内に保存した。使用直前に、レプリケーターを使用して、直径3mmの穴を作った。リパーゼ活性を確認する溶液10μlを穴にピペッティングし、その後、プレートを37℃で18〜24時間インキュベートした。穴の周囲の蛍光ハロは、リパーゼ活性を示す。
前胃エステラーゼ(PGE)活性は、内部酵素標準に対して、最終濃度1mMのパラ−ニトロフェニルブチレートを基質として使用し、37℃で測定した。基質溶液は、アセトニトリル中50mMパラ−ニトロフェニルブチレート原液を作り、それを、0.2%BSAおよび2%Triton X−100を含有する0.1Mリン酸ナトリウムバッファー pH6.7で5倍希釈することによって調製した。0.2%BSAを含有する0.1Mリン酸ナトリウムバッファーpH6.7 120μl、基質溶液15μlを加えた。37℃に予熱した後、適切な希釈度の試料(0.2%BSAを含有する0.1Mリン酸ナトリウムバッファーpH6.7で希釈)15μlを加え、その後、37℃で5分間のインキュベーションの間ずっと、405nmにおける吸光度の上昇を分光光度法で測定した。
試料応答は、ブランクバックグラウンド(試料の代わりに、0.2%BSAを含有する0.1Mリン酸ナトリウムバッファーpH6.7 15μlのインキュベーション)の補正をし、ブランク補正後、一般に0.05〜0.5dAbsの範囲であった。
内部標準を、pH6.0および30℃で実施される、トリブチリンを用いた滴定分析で較正した。PGE試料液(milliQ水で調製)5mlを、予熱したトリブチリン/アラビアゴムエマルジョン(それぞれ、水中93g/Lおよび57g/L)30mLに加えた。放出された遊離脂肪酸を、0.02N NaOHで滴定することによって5分間にわたり測定した。
試料前処理:試料30μlを、水35μlおよびNuPAGE(商標)LDS試料バッファー(4×)Invitrogen 25μlおよびNuPAGE(商標)試料還元剤(Sample Reducing agent)(10×)Invitrogen 10μlに加えた。試料を、サーモミキサー内、70℃で10分間加熱した。SDS−PAGEは、供給者の指示書(Invitrogen:Gel:4〜12%Bis−Trisゲル、バッファー:MES SDS泳動バッファー、実行時間:35分)に従って、二重に実施した。2つのゲルのうちの1つをブロッティングに使用し、試料液10μlおよびマーカーM12(Invitrogen)1μlをゲル上に適用した(NuPAGE(商標) Bis Tris,Invitrogen)。
ゲルは、外部バッファー室内の20倍希釈したMES−SDSバッファー600ml、および内部バッファー室内の酸化防止剤(NuPAGETM Invitrogen)0.5mlを含有する20倍希釈したMES−SDSバッファー200mlを備えたXCELL Surelockを使用して、200Vで動かした。ラン実行後、ゲルを50%メタノール/7%酢酸(50ml)で1時間固定し、脱塩水で2回すすぎ、シプロルビー(Sypro Ruby)(50ml,Invitrogen)で一晩染色した。
画像は、ゲルを脱塩水で10分間洗浄した後、Typhoon 9200(610 BP 30,Green(532nm),PMT 600V,100μm)を使用して作成した。
[PGEポリクローナル抗体]
PGEポリクローナル抗体は、迅速28日プログラムおよび抗原としての2つの合成PGEペプチドを使用して、Eurogentec(ベルギー)に注文した。PGE抗体は、市販のPiccantase C(DFS)酵素製剤と比較して確認した(データ表示せず)。
ウエスタンブロッティングは、分析S2300の方法に従って実施した。
膜:NC 0.45μm
実行時間:25Vで90分
バッファー:メタノールを含むトランスファーバッファー
膜を、スキムミルク(PBST中1%のスキムミルク;10mM PBS+0.05%TWEEN20)20ml中で2時間ブロックする。
抗体1:SY0716,ウサギ;抗体40μlを、PBST 20mlに溶解する)室温で一晩(1:500)。
膜を、PBS−Tですすぎ、次にPBSTバッファーで3×20分間洗浄する。
抗体2:ECL Plexヤギ抗ウサギIgG Cy3(GE Healthcare);ECL Plex10μlを、PBST 25mlに溶解する、暗所に保管)1時間。(1:2500)
膜を4回すすぎ、次にPBSTで2×10分間洗浄する
PBSで2×10分間洗浄する
画像は、Typhoon9200(670BP30,緑色(532nm),PMT 450V,100μm)を使用して、膜から作成した。
本明細書の実施例では、当業者に周知の分子生物学技法(see:Sambrook & Russell,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd Ed.,CSHL Press,Cold Spring Harbor,NY,2001)を使用して、幾つかの遺伝子を過剰発現させ、その他を、下記の通りに下方制御した。
発現ベクター類、具体的には遺伝子過剰発現用のpGBFIN−発現ベクター類の一般設計、形質転換、マーカー類の使用および選択培地の例は、国際公開第199846772号パンフレット、国際公開第199932617号パンフレット、国際公開第2001121779号パンフレット、国際公開第2005095624号パンフレット、欧州特許第635574B号明細書および国際公開第2005100573号パンフレットにある。
アスペルギルス・ニガー(A.niger)菌株を、国際公開第99/32617号パンフレットの実施例:「アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)振盪フラスコ発酵」セクションに記載の通りに、CSL前培養培地20ml中で前培養した(100mlフラスコ、バッフル)。34℃および170rpmで18〜24時間成長させた後、この培養10mlを、発酵培地(FM)に移す。FM中での発酵は、概ね国際公開第99/32617号パンフレットに記載の通り、発酵ブロス100mlが入ったバッフル付き500mlフラスコ内、34℃および170rpmで指示された日数、実施する。
CSL培地は(1リットル当たりの量で):コーン・スティープ・ソリッド(Corn Steep Solids)(Roquette)100g、NaH2PO4 *H20 1g、MgSO4 *7H2O 0.5g、グルコース*H2O 10gおよびバシルドン(Basildon)(消泡剤)0.25gで構成されていた。成分を脱塩水に溶解し、NaOHまたはH2SO4でpHをpH5.8に調整した;バッフル付き100mlフラスコおよびフォームボールを発酵培地20mlで満たし、120℃で20分間、滅菌した。
発酵培地(FM)は(1リットル当たりの量で)、マルトース*H2O 150g、ソイトン(Soytone)(ペプトン)60g、NaH2PO4 *H2O 1g、MgSO4 *7H2O 15g、トゥイン(Tween)80 0.08g、バシルドン(Basildon)(消泡剤)0.02g、MES 20g、L−アルギニン 1gで構成されていた。成分を脱塩水に溶解し、NaOHまたはH2SO4でpHをpH6.2に調整した;バッフル付き500mlフラスコおよびフォームボールを発酵ブロス100mlで満たし、120℃で20分間、滅菌した。
クリベロミセス・ラクテス(K.lactis)振盪フラスコ発酵の場合、クリベロミセス・ラクテス(K.lactis)PGE形質転換体の単一コロニーを、1リットル当たり酵母エキス10g、バクトペプトン20g、グルコース40gおよび100mM MES pH6.7を含有する、YEP(4%)−D/MES培地100ml(フラスコ)に接種した。発酵は、280rpmの振盪インキュベーター内、30℃で実施した。上澄を2日および3日に採取し、下記の通りにさらに分析した。
[本発明の方法による、野生型酵素および酵素変異体用のクリベロミセス・ラクテス(K.lactis)発現ベクターおよびアスペルギルス・ニガー(A.niger)発現ベクターの構築]
この実施例では、本発明の酵素の変異体用に、多数の発現ベクターを構築した。クリベロミセス(Kluyveromyces)における発現のための全ての変異体を、pKLAC2発現ベクター(New England Biolabs)に酷似したpKLPGE−ベクターでクローニングした。全てのpKLPGE−ベクター類の一般設計図を図1に示す。アスペルギルス(Aspergillus)における発現用の全ての変異体は、pGBFIN−5発現ベクターまたはpGBTOP−発現ベクターでクローニングした。構築、一般設計図およびこれらのベクター類の使用は、国際公開第199932617号パンフレットに詳述されている。
ウシ前胃エステラーゼ(PGE)は、産業上興味深い酵素であり、またその全長cDNA配列は、Timmermansら(1994,Gene 147:259−262)により公開されている。クリベロミセス・ラクテス(Kluyveromyces lactis)におけるPGEの発現の場合、このcDNA配列は、最適化されたコドン対(配列番号1)であり、合成的に調製されている(たとえば、DNA2.0,USA,GeneArt、Sloning,Germany)。クリベロミセス・ラクテス(K.lactis)α−因子プレ(プロ−)シグナル配列およびKREAEA Kexプレ(プロ−)−配列プロセシング部位との融合を含む発現構築物を作成した。HindIIIおよびNotI制限部位を介して、合成遺伝子をクリベロミセス・ラクテス(K.lactis)発現ベクターでクローニングし、amdS選択マーカーも含む、pKLPGE−WT(図1)を産生した。加えて、本発明の方法に従って、改良された蛋白質特性を有する幾つかのPGE変異体を設計した。これらの突然変異体は、グリコシル化部位数および/または疎水性に関して、コドン対最適化野生型PGE酵素(配列番号2)と異なっていた。PGE突然変異体酵素コード化遺伝子も、上記の通り、やはり最適化コドン対であり、また合成的に調製されてもいる。XhoIおよびNotIクローニング部位を使用して本質的に前述の通りに、変異体を、クリベロミセス・ラクテス(K.lactis)発現ベクターにクローニングした。PGE構築物のための全ての関連ヌクレオチドおよび蛋白質の詳細を表4に示す。
アスペルギルス・ニガー(A.niger)におけるウシ前胃エステラーゼPGEの発現の場合、cDNA配列は、最適化コドン対(配列番号12)であり、合成的に調製された(たとえば、DNA2.0,USA,GeneArt,Stoning,Germany)。コドン対最適化PGEコード化遺伝子は、切断型グルコアミラーゼキャリア蛋白質(tAG)への融合物として合成的に調製された。図2のpANPGE−3に示す通り、この融合フラグメントを、pGBTOP−アスペルギルス・ニガー(A.niger)発現ベクターに挿入した。
加えて、またZDUキチナーゼの場合と同様の方法で、タラロミセス・エメルソニ(Talaromyces emersonii)β−グルコシダーゼ(ZTB,EC 3.2.1.21,Uniprot Q8X214)およびファネロカエテ・クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)エンドグルカナーゼ(ZTC,EC 3.2.1.4,Uniprot Q66NB6)は、最適化コドン対であり(国際公開第2008000632号パンフレットに詳述されている通り)、また全ての適切な制御要素をPacI−AscIフラグメントとしてpGBFIN−5にクローニングし、それぞれpGBFINZTB−WTおよびpGBFINZTC−WTを作成した。
[クリベロミセス・ラクテス(K.lactis)野生型の発現および分泌分析ならびに蛋白質特性最適化PGE]
菌株クリベロミセス・ラクテス(K.lactis)GG799WT7を、amdS選択マーカーも含むクリベロミセス・ラクテス(K.lactis)pKLPGE−構築物(表4)で形質転換した。各形質転換について、20コロニーを、アセトアミドを含有する選択培地で純化した。コロニーの一部を使用して、PCR反応用のDNA鋳型を作成し、各菌株におけるPGE構築物のコピー数を決定した。構築物当たり3つの、PCRスクリーニングで陽性の形質転換体を、酵素基質としてトリブチリンを含有するプレートアッセイでさらにスクリーニングした。野生型PGE酵素の場合、トリブチリンプレートアッセイを使用して、明白な活性ハロを検出することはできなかった。PGE産生用のSDS−PAGEを用いた上澄の分析もまた、陽性結果を示さなかった。意外なことに、最適化蛋白質特性を有するPGE突然変異体5つのうち4つでは、トリブチリンプレートアッセイを使用して、明白な活性ハロを確認することができた。
野生型および突然変異体PGEの多数の形質転換体を、振盪フラスコ内で成長させ、pNP−ブチレートを基質として使用して、ブロスおよび上澄のリパーゼ活性を試験した。PGE突然変異体の様々な活性アッセイの概要を表9に示す。
[アスペルギルス・ニガー(A.niger)における野生型および蛋白質特性最適化PGEの発現および分泌分析]
アスペルギルス・ニガー(A.niger)WT 6を、アスペルギルス・ニジュランス(A.nidulans)amdS選択マーカーおよび変異体pANPGE−プラスミドを担持するpGBAAS構築物で共形質転換した(表5)。全て、国際公開第99/32617号パンフレットに記載の通り、各形質転換について、20コロニーを、アセトアミドを含有する選択培地で純化し、続いてスポアプレートを調製した。真の共形質転換体であった、たとえば、PGEカセットおよびamdSカセットの両者を含んでいた、アスペルギルス・ニガー(A.niger)形質転換体を選択するために、PCR確認する(表示せず)。結果から、選択された形質転換体20のうち少なくとも50%が、PGE発現構築物の1つまたは複数のコピーを含んでいた。形質転換体を含むこれらのPGEを継続した。PGE contransformantsのスポアを回収し、FM培地で振盪フラスコ発酵を実施した。2日目に、上澄試料を採取し、トリブチリンプレートアッセイを使用してリパーゼ活性についてスクリーニングした。
アスペルギルス・ニガー(A.niger)pANPGE−3形質転換体から回収された試料中に、非常に僅かな活性ハロを検出することができた(データ表示せず)。pANPGE−12およびpANPGE−13形質転換体では、大きい活性ハロを検出することができた(データ表示せず)。各構築物pANPGE−3、pANPGE−12およびpANPGE−13について、トリブチリンプレートアッセイで最大のハロを示した形質転換体(1〜3)のリパーゼ活性を、基質としてpNP−ブチレートを使用して試験した。PGE突然変異体の様々な活性アッセイの概要を表10に示す。
最高分子量のバンド(約55kDa)はおそらく成熟PGE突然変異体に相当し、また、より低分子量の交差ハイブリダイズバンドは、蛋白質分解の結果であろう。
蛋白質特性最適化の法則に従って、表面に露出している酵素部分の極性(PGEモデリングに基づいて決定される)を変えることにより、我々はアスペルギルス・ニガー(A.niger)におけるPGE酵素発現を劇的に改良できるという結論に達する。さらに、高い酵素活性も、上澄中で認められた。
[アスペルギルス・ニガー(A.niger)における野生型およびPFO最適化真菌酵素の発現]
実施例1(super)で調製された、pGBFINZDU−発現構築物、pGBFINZTB−発現構築物およびpGBFINZTC−発現構築物を、下記の通り、アスペルギルス・ニガー(A.niger)を使用した形質転換により導入した。WT 6で、異なるpGBFINZDU−ベクター、pGBFINZTB−ベクターおよびpGBFINZTC−ベクター(それぞれ、表6、7および8)を導入するために、国際公開第1998/46772号パンフレットおよび国際公開第1999/32617号パンフレットに記載の通りに、形質転換および後続する形質転換体の選択を実施した。簡単に記載すると、全てのpGBFIN−構築物の線状DNAを単離して、アスペルギルス・ニガー(A.niger)WT 6の形質転換に使用した。形質転換体をアセトアミド培地で選択し、標準手順に従って、コロニーを純化した。コロニーのglaA遺伝子座における組み込みおよびコピー数を、PCRを使用して診断した。類似した推定コピー数(仮想単一コピー)を有する各pGBFINZDU−構築物、pGBFINZTB−構築物およびpGBFINZTC−構築物について、独立した3つの形質転換体を選択し、形質転換プラスミドの数を使用して、たとえば、それぞれ、ZDU−WT−1、ZDU−WT−2、ZDU−WT−3、ZDU−6−1、ZDU−6−2、ZDU−6−3等々と命名した。
上述の通り、34℃および170rpmのインキュベーターシェーカーで、500mlバッフル付き振盪フラスコを使用し、選択されたZDU−菌株、ZTB−菌株およびZTC−菌株ならびにアスペルギルス・ニガー(A.niger)WT 6を使用して、FM培地100mlで、振盪フラスコ実験を実施した。発酵の3日、4日および5日の後、試料を採取し、電気泳動およびキチナーゼ活性により細胞外蛋白質の産生量を測定した。
Claims (30)
- 真核生物宿主細胞によって対象ポリペプチドの分泌を改良するための方法であって、前記真核生物宿主における1つまたは複数の蛋白質特性について最適範囲内に入るか、または最適値により近づくように、前記ポリペプチドのアミノ酸主鎖における一組の関連する蛋白質特性の値を修飾するステップを含む方法。
- (i)前記真核生物宿主における1つまたは複数の蛋白質特性について最適範囲および最適値を決定するステップ、および
(ii)前記真核生物宿主における一組の関連する蛋白質特性を決定するステップであって、前記ポリペプチドのアミノ酸主鎖におけるこれらの関連特性の1つまたは複数が修飾されれば、前記真核生物宿主による前記ポリペプチドの前記分泌を改良するであろう特性を決定するステップ、および、
(iii)(i)で決定される通り、前記最適範囲内に入るか、または前記最適値により近づくように前記関連する蛋白質特性の値を修飾するステップ、
を含み、
(i)および(ii)は、任意の順序で実施し得る、
請求項1に記載の方法。 - 関連した一組の特性が、
a.特定の真核生物宿主における適量の蛋白質の分泌レベルおよびこれらの蛋白質の前記アミノ酸配列およびDNA配列を含む、データセットSを収集または作成するステップ;
b.前記データセットSにおける全ての蛋白質について蛋白質特性(F)を計算するステップ;
c.適切に規定された分類子性能基準に従って、前記データセットSにおける分泌蛋白質S+と非分泌蛋白質S−とを区別するために、統計分類子の最高の成果を与える蛋白質特性のサブセット(Fs)を選択するための統計的分類方法を使用するステップ;
によって決定される、請求項1または2に記載の方法。 - 前記蛋白質特性が一組の成熟蛋白質から算出される、請求項3に記載の方法。
- 真核生物宿主の蛋白質特性の最適範囲または最適値が、
a.特定の真核生物宿主における適量の蛋白質の分泌レベルおよびこれらの蛋白質の前記アミノ酸配列およびDNA配列を含む、データセットSを収集または作成するステップ;
b.前記データセットSにおける全ての蛋白質について蛋白質特性(F)を計算するステップ;
c.前記特性の値の分布が前記選択される確立分布によって十分に説明されるように、S+から算出される各蛋白質特性に確率分布を合わせるステップにより、前記真核生物宿主の各特性の最適値(F_opt)を決定するステップ;
d.前記真核生物宿主について各特性の最適範囲を決定するステップ;
によって決定される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。 - 真核生物宿主によるポリペプチドの分泌を改良する方法であって、
i)前記ポリペプチドについて、蛋白質特性を計算するステップ、
ii)前記ポリペプチドの1つまたは複数の蛋白質特性が、最適範囲外であるかまたは前記真核生物宿主の最適値から実質的に逸脱しているかどうかを決定するステップ、
iii)前記ポリペプチドの1つまたは複数のFs_AAの値が、前記最適範囲内に入るか、または、RIまたはRINにより規定される適量だけ、前記最適値に向けて移行するように、前記ポリペプチドのアミノ酸配列を合理的に変えるステップであって、ここで、RIまたはRINで規定される変化は、好ましくは10%超、15%、20%、および最も好ましくは30%超である、ステップ
を含む方法。 - 前記ポリペプチドの主鎖が、下記の特徴:アミノ酸の数、分子量、等電点、特定のpHにおける正味荷電、GRAVYスコア、脂肪族指数、不安定指数、組成的特性、C、H、N、O、S原子の原子組成、アミノ酸頻度、ジペプチド頻度、トリペプチド頻度、酸性アミノ酸頻度、脂肪族アミノ酸頻度、芳香族アミノ酸頻度、塩基性アミノ酸頻度、局所的特徴、局在化特性、グリコシル化パターンおよび帯電アミノ酸頻度;
の1つまたは複数に関して修飾される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。 - 前記ポリペプチドの主鎖が、下記の特性:塩基性アミノ酸頻度、極性アミノ酸頻度、非極性アミノ酸頻度、微小アミノ酸頻度、小アミノ酸頻度、帯電アミノ酸頻度、pH7.2における正味電荷、等電点、Asn、Arg、Ile、Cys、His、Gln、Val、Lys、Gly、ThrおよびLeuのそれぞれの頻度、局在化特性、Garnierにより算出されるターン、EPESTFINDにより算出されるPESTモチーフ、plのLF値、GravyスコアのLF値、アロマスコアのLF値、イオウ(S)組成;
の1つまたは複数に関して修飾される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。 - 前記ポリペプチドの主鎖が:pl、正味電荷、長さ当たりの正味荷電、長さ当たりの正味正電荷、長さ当たりの正味負電荷、長さ当たりの全電荷、グレイビースコア、アロマスコア、脂肪族指数、微小アミノ酸頻度、小アミノ酸頻度、極性アミノ酸頻度、非極性アミノ酸頻度、帯電アミノ酸頻度、酸性アミノ酸頻度、塩基性アミノ酸頻度、脂肪族アミノ酸頻度、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、TyrおよびValのそれぞれの頻度、からなる群から選択される1つまたは複数の特性に関して修飾される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ポリペプチドの主鎖が、pl、正味荷電(pH7.2)、長さ当たりの正味荷電(pH7.2)、長さ当たりの正味正電荷(pH7.2)、長さ当たりの全電荷(pH7.2)、脂肪族指数、小アミノ酸頻度、極性アミノ酸頻度、非極性アミノ酸頻度、帯電アミノ酸頻度、アミノ酸頻度、Arg、Gln、Glu、Lys、PheおよびThrのそれぞれの頻度からなる群から選択される1つまたは複数の特徴に関して修飾される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ポリペプチドの主鎖が、グリコシル化部位、グレイビースコア、極性アミノ酸頻度、非極性アミノ酸頻度、帯電アミノ酸頻度、酸性アミノ酸頻度、塩基性アミノ酸頻度、Glu、LysおよびThrのそれぞれの頻度からなる群から選択される1つまたは複数の特性に関して修飾される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
- 前記アミノ酸主鎖のアミノ酸類の少なくとも5%が修飾される、より好ましくは前記アミノ酸主鎖のアミノ酸類の少なくとも10%、さらにより好ましくは少なくとも15%、さらにより好ましくは少なくとも20%が修飾される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
- 前記アミノ酸主鎖の少なくとも5つのアミノ酸類が修飾される、より好ましくは前記アミノ酸主鎖の少なくとも10のアミノ酸類、さらにより好ましくは少なくとも15のアミノ酸類、さらにより好ましくは少なくとも20のアミノ酸類、さらにより好ましくは少なくとも25のアミノ酸類、さらにより好ましくは少なくとも30のアミノ酸類が修飾される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも2、3、4、または5つの特性が修飾される、より好ましくは少なくとも10、さらにより好ましくは少なくとも15、さらにより好ましくは少なくとも20、さらにより好ましくは少なくとも25、およびさらにより好ましくは少なくとも30の特性が修飾される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
- 少なくとも2、3、4、または5つの特性が改良される、より好ましくは少なくとも10、さらにより好ましくは少なくとも15、さらにより好ましくは少なくとも20、さらにより好ましくは少なくとも25、およびさらにより好ましくは少なくとも30の特性が改良され、好ましくは10未満、さらにより好ましくは5未満、さらにより好ましくは4未満の特性が悪化する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
- 前記特性は一次特性である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ポリペプチドの主鎖が1つまたは複数の他の蛋白質特性に関して修飾される、請求項1または17に記載の方法。
- 前記成熟ポリペプチドの主鎖が修飾される、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
- 前記真核細胞が、酵母細胞または糸状菌細胞である、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ポリペプチドが哺乳類ポリペプチドまたは細菌ポリペプチドである、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
- 前記修飾されるポリペプチドの特異性が実質的に分泌の改良前と同じに保持される、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
- 前記修飾されるポリペプチドの比活性が実質的に分泌の改良前と同じに保持される、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
- 前記分泌の改良が前記活性の上昇によって測定され、また前記細胞外培地中の活性が少なくとも5%上昇する、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ポリペプチドが酵素、膜蛋白質、ホルモンまたは受容体である、請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法。
- 請求項1〜25のいずれかに記載の方法を、対象ポリペプチドに適用するステップ、および組換え技術により修飾されたポリペプチドを産生するステップを含む、対象ポリペプチドを産生する方法。
- 請求項26に記載の方法で得られるポリペプチド。
- 請求項26に記載の方法で入手できるポリペプチド。
- 請求項1〜25に記載の方法で得られる修飾されたポリペプチド。
- 請求項1〜25に記載の方法で入手できる修飾されたポリペプチド。
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