JP2012248593A - 発光素子用基板および発光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板全体の反り量が低減された凹部を有するセラミックス発光素子用基板およびこれを用いた光の指向性や電気的な接続等に信頼性の高い発光装置を提供する。
【解決手段】第1の無機絶縁材料からなる主面が平坦な板状の基体と、前記基体の上側主面に接合された第2の無機絶縁材料からなる枠体とを有し、前記基体の上側主面の一部を底面とし前記枠体の内壁面を側面として形成される凹部の底面に発光素子の搭載部を有する発光素子用基板であって、前記上側主面の中心点を通る主面に直交する基体の断面を用いて測定される、前記断面における上側主面の最高部と最低部の高さの差である反り量が30μm以下であることを特徴とする発光素子用基板。
【選択図】図2

Description

本発明は、発光素子用基板およびこれを用いた発光装置に関する。
従来から、発光ダイオード素子等の発光素子を搭載するための配線基板は、絶縁基板の表面あるいは内部に配線導体層が配設された構造を有する。この配線基板の代表的な例として、アルミナセラミックスからなる絶縁基板の上部に発光素子を収容するための凹部が形成され、また絶縁基板の表面および内部に、タングステン、モリブデン等の高融点金属粉末からなる複数個の配線導体層が配設され、凹部内に収納される発光素子と電気的に接続された構成の配線基板がある。
また、このような発光素子用配線基板の絶縁基板として、低温焼成化、低誘電率化、および高電気伝導性の銅、銀配線が可能なことから、ガラス粉末とセラミックス粉末とを含むガラスセラミックス組成物の焼結体である低温同時焼成セラミックス(Low Temperature Co−fired Ceramics。以下、LTCCと示す。)により構成された基板が提案されている。
上記凹部を有するLTCC等のセラミックス配線基板は、通常、少なくとも凹部の底面を構成する平板状のグリーンシートと、凹部の壁部を構成する貫通開口部を有するグリーンシートとを積層した積層体を焼成することで製造される。配線導体層は、グリーンシートの積層の前などに各グリーンシートの表面または内部に未焼結層として形成され、グリーンシート焼成時に同時に焼成される。
このようにして製造される凹部を有するセラミックス配線基板においては、上記製造過程で焼成収縮に起因する応力の集中等により、凹部底面を構成する平板状の基体の中央部が反り上がるという問題が発生していた。このような反りのある配線基板を用いると、発光素子を搭載する際に、発光素子の搭載位置のずれやボンディングワイヤの位置ずれが発生し、断線が生じる、発光素子が傾いて搭載される結果光の指向性に影響する、などの問題があった。また、この配線基板をプリント配線基板等に半田を用いて実装する際には、配線基板の裏面中央部の反り上がりにより、外部接続用電極である裏面側の配線導体層と半田との間に隙間が生じ、断線の原因や放熱の妨げになる、などの問題があった。
上記凹部を有するセラミックス配線基板の反りの問題を解決するために、例えば、特許文献1においては、凹部底面を構成する平板状セラミックス基体や凹部の壁部を構成する貫通開口部を有するセラミックス部材について、両者の界面付近にそれ以外の部分を構成するセラミックス材料と収縮性の異なるセラミックス材料からなる層を形成させる方法をとっている。
また、特許文献2および特許文献3においては、凹部底面を構成する平板状セラミックス基体について、凹部底面に相当する部分に貫通開口部を有する層厚の薄いグリーンシートを含む複数のグリーンシートを積層して作製することにより、中央部(凹部底面)の反り上がりを抑えつつさらに凹みを形成させ、その凹み部分を充填するように上記平板状セラミックス基体の表面全面または部分的に導体層を形成させることで、凹部底面の平坦化を図っている。
さらに、配線基板の裏面に外部接続用の電極パターンの他に、プリント配線基板等に半田付けを行わないダミーの電極パターンを設けたり、あるいは配線基板の上面に形成される銀等の反射膜の形状を調整することで、平板状の基体の反りを抑える試みもなされている。しかし、これらのいずれの方法においても、凹部を有するセラミックス配線基板の反りを十分に抑えることができなかった。
特開2007−281108号公報 特開2010−186880号公報 特開2010−186881号公報
本発明は、上記凹部を有するセラミックス発光素子用基板の反りの問題を解決するためになされたものであって、基板全体の反り量が低減された凹部を有する発光素子用基板、およびこれを用いた光の指向性や電気的な接続等に信頼性の高い発光装置の提供を目的とする。なお、本明細書では、発光素子用基板を素子基板という場合もある。
本発明の素子基板は、第1の無機絶縁材料からなる主面が平坦な板状の基体と、前記基体の上側主面に接合された第2の無機絶縁材料からなる枠体とを有し、前記基体の上側主面の一部を底面とし前記枠体の内壁面を側面として形成される凹部の底面に発光素子の搭載部を有する素子基板であって、前記上側主面の中心点を通る主面に直交する基体の断面を用いて測定される、前記断面における上側主面の最高部と最低部の高さの差である反り量が30μm以下であることを特徴とする。
本発明の素子基板においては、前記反り量が25μm以下であることが好ましい。
また、本発明の素子基板において、前記基体および枠体が複数のセラミックスグリーンシートを積層した積層体の焼成体からなり、少なくとも前記基体となるグリーンシートの積層数が2以上であって、前記積層体の最下層を構成するグリーンシートの前記焼成時における面積収縮率が、前記最下層以外を構成するグリーンシートの前記焼成時における面積収縮率に比べて、小さいことが好ましい。
本発明の素子基板は、前記基体主面の面積が16〜25mm、前記凹部底面の面積が前記基体主面の面積の50〜70%、前記基体と枠体の合計の厚さが0.6〜1.2mm、かつ前記基体の厚さが前記合計の厚さの40〜60%であって、前記最下層を構成するグリーンシートの焼成後の厚さが前記合計の厚さの10〜20%であることが好ましい。
本発明の素子基板においては、サイズと最下層を構成するグリーンシートの焼成後の厚さの条件が上記の場合であって、かつ、前記面積収縮率を、主面の縦および横の長さが各40mm、厚さが1.0mmの平板状グリーンシートを焼成体とする際の主面の面積減少率とした場合に、前記積層体の最下層を構成するグリーンシートの面積収縮率が、前記最下層以外を構成するグリーンシートの面積収縮率よりも0.2〜1.0%小さいことが好ましい。
本発明の素子基板においては、前記第1の無機絶縁材料および第2の無機絶縁材料がともにガラス粉末とセラミックス粉末とを含むガラスセラミックス組成物の焼結体であることが好ましい。
本発明の発光装置は、上記本発明の素子基板と、前記素子基板の前記搭載部に搭載された発光素子とを有することを特徴とする。
本発明によれば、凹部を有するセラミックス発光素子用基板において、基板全体の反り量を低減した素子基板を提供できる。また、本発明によれば、このような素子基板に発光素子を搭載することで、光の指向性や電気的な接続等において信頼性の高い発光装置とできる。
発光素子用基板の反り量を示す図である。 本発明の発光素子用基板の実施形態の一例を示す平面図および断面図である。 図2に示す発光素子用基板を用いた本発明の発光装置の一例を示す断面図である。
以下に、図を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、下記説明に限定して解釈されるものではない。
本発明の素子基板は、第1の無機絶縁材料からなる主面が平坦な板状の基体と、前記基体の上側主面に接合された第2の無機絶縁材料からなる枠体とを有し、前記基体の上側主面の一部を底面とし前記枠体の内壁面を側面として形成される凹部の底面に発光素子の搭載部を有する素子用基板であって、前記上側主面の中心点を通る主面に直交する基体の断面を用いて測定される、前記断面における上側主面の最高部と最低部の高さの差である反り量が30μm以下であることを特徴とする。反り量は25μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。
本明細書において、主面が平坦な板状の基体とは、上側、下側の主面がともに目視レベルで平板形状と認識できるレベルの平坦面を有する基体をいい、以下、「略平板状の基体」とは、上下の主面がこのような平坦面からなる基体のことをいう。また、以下同様に、略を付けた表記は、特に断わらない限り目視レベルでそう認識できるレベルのことをいう。
まず、図1を参照しながら素子基板の「反り量」について説明する。図1(a)に素子基板を上から見た平面図を示す。上記反り量は、具体的には、基体2と枠体3を有する素子基板1を例として説明すれば、基体2の上側主面の中心点Cを通る主面に直交する基体2の断面、例えば図1(b)に示される断面、を用いて測定される、基体2の上側主面の最高部と最低部の高さの差Hをいう。反り量を測定する基体2の断面は、中心点Cを通る主面に直交する断面であればいずれの断面であってもよく、例えば、基体2の上側主面が矩形である場合、主面の対角線を含む断面であってもよいが、図1(b)に示されるような中心点Cを通り長辺と平行する直線を含む断面が好ましく用いられる。
また、反り量は、例えば、素子基板を上記基体の上側主面の中心点を通る主面に直交する断面が得られるようにダイシングマシン等で切断し、得られた断面を測長顕微鏡によって計測することで算出できる。本明細書において用いる「反り量」とは、特に断りのない限り、上記方法で測定された反り量をいう。なお、反り量の測定については、必要に応じて素子基板を切断せずに非破壊で測定する方法を用いてもよい。非破壊で反り量を測定する方法としては、レーザ変位計を利用した3次元測定器による方法があり、例えば、キーエンス製の高精度形状測定システムKS1100などを用いて素子基板の凹部底面の表面形状から上記反り量を測定することが可能である。
本発明によれば、凹部を有しその底面に発光素子を搭載する無機絶縁材料からなる素子基板において、上記反り量を30μm以下、好ましくは25μm以下、より好ましくは10μm以下とすることにより、凹部底面は十分に平坦化され発光素子を搭載する際の発光素子の位置ずれや傾きが低減し、光の指向性が設計と異なるという問題や、ボンディングワイヤの位置ずれによる断線の発生を抑制できる。また、この素子基板をプリント配線基板等に半田を用いて実装する際に、基板の反りが原因で発生していた断線や放熱性の悪化等の問題も低減できる。
上記反り量を本発明の範囲とするには、例えば、本発明の素子基板において、前記基体および枠体を、全体として複数のセラミックスグリーンシートを積層した積層体の焼成体であって、少なくとも前記基体となるグリーンシートの積層数が2以上となるように構成し、前記積層体の最下層を構成するグリーンシートの前記焼成時における面積収縮率が、前記最下層以外を構成するグリーンシートの前記焼成時における面積収縮率に比べて、小さくなるように構成すればよい。具体的な方法については後述する。
ここで、本明細書において面積収縮率とは、セラミックスグリーンシートの主面における焼成前の面積Sbと焼成後の面積Saから、(Sb−Sa)/Sb×100により算出される面積の減少率をいう。面積収縮率としては、主面の縦および横の長さが各40mm、厚さが1.0mmのセラミックスグリーンシートを用いて上記セラミックスグリーンシートの積層体の焼成体を作製する際の、すなわち、素子基板を作製する際の、焼成と同様の焼成条件で焼成した際に測定され、算出される値を用いることが好ましい。なお、セラミックスグリーンシートおよび得られる焼成体の縦、横の長さを測定する手段としては特に制限されず、例えば、デジタルノギスによって測定できる。以下、このサイズで上記のように測定されたセラミックスグリーンシートの面積収縮率を、必要に応じて「D」で表す。
また、上記基体および枠体をそれぞれ構成する第1の無機絶縁材料および第2の無機絶縁材料として、具体的には、酸化アルミニウム質焼結体(アルミナセラミックス)や窒化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、ガラス粉末とセラミックス粉末とを含むガラスセラミックス組成物の焼結体(LTCC)等のセラミックスが挙げられる。これらセラミックスはそれぞれ焼成温度が異なるため、通常、基体と枠体は同種のセラミックスからなる。
本発明においては、上記第1および第2の無機絶縁材料として、製造の容易性、易加工性、経済性等の観点から、さらに上記基体および枠体を複数のセラミックスグリーンシートで構成した際にグリーンシート間に上記面積収縮率の差を付けやすいことからLTCCが好ましい。なお、第1および第2の無機絶縁材料は、同種のセラミックスからなる限りにおいては、例えば、LTCCにおいて基体に高い抗折強度が得られるガラスセラミックス組成を適用し、枠体に拡散反射性を重視したガラスセラミックス組成を適用するというように、基体および枠体の要求特性に応じてセラミックスの原料組成は異なっていてもよい。
本発明の素子基板における実施形態の一例として、第1および第2の無機絶縁材料がそれぞれLTCCからなる基体と枠体で構成された素子基板について以下に説明する。
図2は、本発明の実施形態である発光素子を1個搭載するための素子基板1の一例を示す平面図(a)、およびそのX−X線断面図(b)である。
素子基板1は、これを主として構成する略平板状のかつ上から見た形状が略正方形の基体2を有する。基体2は素子基板とした際に発光素子を搭載する上側の面を主面21として有し、本例においてはその反対側の面を裏面23とする。基体2の厚さ、大きさ等は特に制限されず、通常の発光素子用配線基板と同様とできる。
素子基板1は、さらに、基体2の主面21の中央の略円形部分を底面24とする凹部4を構成するように基体の主面21の周縁部に接合された枠体3を有する。なお、この凹部4の側面は、枠体3の内側の壁面で構成されている。素子基板1においては、凹部底面24の略中央部が発光素子の搭載される搭載部22となっている。
ここで、凹部4の側面は、その底面24に対して略垂直となるように設けられている。すなわち、枠体3は、上下で開口部が同じ形状に成形され、基体2の主面21の周縁部に接合されている。枠体3の形状はこれに限定されず、上側の開口部が大きく下側の開口部が小さい形状で側面がテーパー状になるように成形されたものであってもよい。そのような枠体3を使用した場合には、側面が底面24に対して傾斜した凹部4が形成される。
上記凹部4の側面と発光素子搭載部22の端縁との間の距離の具体的な数値は、搭載される発光素子の出力や、大きさ(サイズ)、さらに、必要に応じて、例えば、後述の封止層に含有させる等して用いる蛍光体の種類やその含有量、変換効率等にもよるが、例えば、発光素子が発光する光が最も効率的に光取り出し方向に発光される距離を指標として用いてもよい。
また、上記凹部4の側面の高さ、すなわち凹部4の底面24から枠体3の最高位までの距離(枠体3の高さ)は、搭載される発光素子からの光を光取り出し方向に十分反射できる高さであれば、特に制限されない。具体的には、発光装置の設計、例えば、搭載される発光素子の出力や、上記発光素子搭載部の端縁からの距離等にもよるが、発光装置を搭載する製品の形状や波長変換のための蛍光体を含有した封止材を効率よく充填する等の観点から、発光素子が搭載されたときの発光素子の最高部の高さより100乃至500μm高くすることが好ましい。なお、枠体3の高さは発光素子の最高部の高さに450μmを加えた高さ以下がより好ましく、400μmを加えた高さ以下がさらに好ましい。
基体2および枠体3は、ともにガラス粉末とセラミックス粉末とを含むガラスセラミックス組成物の焼結体(LTCC)で構成される。具体的には、LTCC用のガラスセラミックス組成物とバインダー樹脂、溶剤等を含有するスラリーを用いて作製されるLTCC用のグリーンシートを焼成することでガラスセラミックス組成物の焼結体が形成される。
ここで、基体2および枠体3は、基体2については2枚のLTCC用グリーンシートを積層し、枠体3については単層のLTCC用グリーンシートで構成された、全体で3層のグリーンシートを積層した積層体の焼成体で構成されている。該積層体において基体の下側の層を構成する下側グリーンシートは、その上に積層される基体の上側グリーンシートおよびその上に積層される枠体グリーンシートに比べて、上記焼成体を得る際の焼成時における面積収縮率が、小さくなるように構成されている。なお、基体上側グリーンシートと枠体グリーンシートの焼成時における面積収縮率は同等であることが好ましい。
以下、面積収縮率の比較は、基体下側グリーンシート(以下、「下側グリーンシート」という。)と基体上側グリーンシート(以下、「上側グリーンシート」という。)の間で行うが、特に断りのない限り、上側グリーンシートと枠体グリーンシートの焼成時における面積収縮率が同等であることを前提とした比較である。
なお、図2(b)においては、下側グリーンシートおよび上側グリーンシートが焼成した部分をそれぞれ基体下層部2b、基体上層部2aで示す。
上記基体2の厚さにおける、あるいは素子基板1の厚さにおける、基体下層部2bの層の厚さの割合としては、素子基板1の形状、大きさ、枠体の高さ、凹部底面の形状、大きさ等により適宜調整される。
例えば、素子基板1において、基体2の主面21の面積が16〜25mm、凹部4の底面24の面積が基体2の主面21の面積の50〜70%であり、基体2の厚さt2と枠体3の厚さt3の合計の厚さT(T=t2+t3)、すなわち素子基板1の厚さTが0.6〜1.2mm、かつ基体2の厚さt2が素子基板1の厚さTの40〜60%である場合、下側グリーンシートの焼成後の厚さ、すなわち、基体下層部2bの厚さt2bは素子基板1の厚さTの10〜20%であることが好ましい。
また、素子基板1のサイズおよび素子基板1の厚さTに対する基体下層部2bの厚さt2bが上記条件にある場合、下側グリーンシートと上側グリーンシートの面積収縮率の差としては、主面の縦および横の長さが各40mm、厚さが1.0mmのセラミックスグリーンシートを用いて測定される面積収縮率Dを用いた場合に、下側グリーンシートの面積収縮率をDbとして上側グリーンシートの面積収縮率DaとしたときのDa−Dbが、0.2〜1.0%の範囲であることが好ましい。
上記Da−Dbが0.2%未満では素子基板1の反り量を本発明の範囲である30μm以内となるように抑制できないことがあり、1.0%を超えると焼成中に下側グリーンシートと上側グリーンシートの界面が剥離するおそれがある。
より具体的には、素子基板1のサイズが上記範囲にあって、素子基板1の厚さTに対する基体下層部2bの厚さt2bが10%である場合、下側グリーンシートと上側グリーンシートの面積収縮率の差、Da−Dbは、反り量を30μm以内に保ちながらグリーンシート層間の剥離を十分に防止できる点から、0.4〜1.0%の範囲にあることが好ましい。この面積収縮率の差は、より好ましくは0.4〜0.8%であり、この範囲であれば反り量を10μm以下に抑制できる。
また、素子基板1のサイズが上記範囲にあって、素子基板1の厚さTに対する基体下層部2bの厚さt2bが20%である場合、下側グリーンシートと上側グリーンシートの面積収縮率の差、Da−Dbは、反り量を30μm以内に保ちながらグリーンシート層間の剥離を十分に防止できる点から、0.2〜0.5%の範囲にあることが好ましい。この面積収縮率の差は、より好ましくは0.3〜0.4%であり、この範囲であれば反り量を10μm以下に抑制できる。
焼成体となって基体2を構成する下側グリーンシートおよび上側グリーンシートにおいて面積収縮率を調整する方法としては、後述するLTCC用のガラスセラミックス組成物の組成を調整する、グリーンシートを成形するために用いるガラスセラミックス組成物とバインダー樹脂、溶剤等を含有するスラリーの組成を調整する、スラリーをグリーンシートに成形する成形条件を調整する等が挙げられる。
このような面積収縮率を調整する方法のうち、LTCC用のガラスセラミックス組成物の組成を調整する方法をとる場合、基体2を構成するLTCCは、基体下層部2bおよび基体上層部2aで異なるLTCCとなるが、スラリーの調整やグリーンシートの成形条件を調整した場合には、基体下層部2bおよび基体上層部2aは同じLTCCで構成される。
基体2を構成するLTCCについては、基体下層部2bおよび基体上層部2aを構成するいずれのLTCCも、発光素子の搭載時、その後の使用時における損傷等を抑制する観点から、例えば、抗折強度が250MPa以上であるLTCCが好ましい。枠体3を構成するLTCCは、基体2との密着性の向上および反り量の軽減を考慮すると、基体2を構成する材料と同じものが好ましい。
また、発光装置の要求特性に応じて、上記LTCCとして、拡散反射性を有するLTCCを用いてもよい。拡散反射性を有するLTCCとしては、これを基板材料として用いた発光装置において光取り出し効率の向上が見られるものであれば、特に制限されない。好ましくは、銀反射膜に相当する光取り出し効率が得られるものが用いられる。なお、拡散反射性を評価する指標として、JIS K 7105により測定されるヘイズ値が用いられるが、その値は95%以上が好ましく、98%以上がより好ましい。
なお、このような基体2、および枠体3を構成するガラス粉末とセラミックス粉末とを含むガラスセラミックス組成物の焼結体の原料組成、該ガラスセラミックス組成物とバインダー樹脂、溶剤等を含有するグリーンシート成形用のスラリーの調整やグリーンシートの成形条件、焼結条件等については、後述の通りである。
このような素子基板1においては、基体2の主面21の一部を占める凹部4の底面24上に、発光素子が有する一対の電極とそれぞれ電気的に接続される一対の素子接続端子5が、この発光素子の搭載部22を挟んで両側に対向するように設けられている。一対の素子接続端子5の一方の端部は、凹部4の底面24の周縁方向に延出され、その上を覆うように枠体3が配置されている。なお、素子接続端子5の平面形状と配設位置等は、図示に限定されない。
素子接続端子5の膜厚は、形成に通常用いられる金属ペースト中の金属粒子の粒径が数μm程度であり、かつ金属ペーストを焼結して十分な量の金属粒子を存在させる必要があることから、5〜15μmが好ましく、7〜12μmの範囲がより好ましい。
さらに、このような素子基板1において、基体2の裏面23には、発光装置としたときに外部回路と半田接合されて電気的に接続される一対の外部接続端子6が設けられている。そして、基体2の内部に、上記素子接続端子5と外部接続端子6とを電気的に接続する一対の貫通導体7が設けられている。
また、基体2の熱抵抗を低減するために、凹部4の底面24の略中央部に位置する発光素子搭載部22の直下には、基体2を貫通してサーマルビア8が設けられており、このサーマルビア8の他端部が裏面23で外部接続端子6の一方に接するようになっている。したがって、素子基板1では、一対の外部接続端子6の一方は、裏面23の略中央部に露出されたサーマルビア8の端部を覆うような大面積となり、もう一方の外部接続端子6は小面積となっている。そして、そのように電極面積の異なる一対の外部接続端子6が、裏面23の中心線に対して非対称に配置されている。なお、外部接続端子6の平面形状と配設位置等は、これに限定されないが、放熱性の観点から、これら一対の外部接続端子6の電極面積の合計は、基体2の裏面23の面積全体の70%以上が好ましい。
サーマルビア8の配設される位置や形状、大きさ、個数等は、図2に示されるものに限定されず、適宜調整できる。さらには、サーマルビア8を配設するかわりに主面21に平行する方向にサーマルビアの構成材料と同様の放熱性材料を用いて放熱層を配設してもよい。サーマルビア8を構成する材料としては、放熱性を有する材料であれば特に限定されないが、銀を含む金属材料、具体的には、銀、銀と白金、または銀とパラジウムからなる金属材料が好ましい。
素子接続端子5、外部接続端子6および貫通導体7の構成材料は、通常、素子基板に用いられる配線導体と同様の構成材料であれば特に制限なく使用できる。これら配線導体の構成材料として、具体的には、銅、銀、金等を主成分とする金属材料が挙げられる。このような金属材料のなかでも、銀、銀と白金、または銀とパラジウムからなる金属材料が好ましく用いられる。なお、素子接続端子5、外部接続端子6および貫通導体7については、以下、これらをまとめて「配線導体」ということもある。
配線導体は、このような金属材料の粉末を含む金属ペーストを焼成して形成されたものである。上記金属材料の粉末以外の金属粉末としては、導電性金属粒子の表面に金属酸化物が被着されてなる複合金属粉末の使用も可能である。複合金属粉末としては、例えば、銀粒子の表面に、リン酸化物とイットリウム酸化物とを被着させた複合銀粉末を使用できる。
なお、素子接続端子5や外部接続端子6においては、これらの金属材料からなる金属層上にこの層を酸化や硫化から保護しかつ導電性を有する導電性保護層(図示せず)が、その端縁を含む全体を覆うように形成された構成が好ましい。導電性保護層としては上記金属層を保護する機能を有する導電性材料で構成されていれば、特に制限されない。具体的には、ニッケルメッキ、クロムメッキ、銀メッキ、ニッケル/銀メッキ、金メッキ、ニッケル/金メッキ等からなる導電性保護層が挙げられる。
本発明においては、これらのうちでも、上記素子接続端子5および外部接続端子6を被覆保護する導電性保護層として、例えば、後述する発光素子の電極との接続に用いるボンディングワイヤやその他接続材料との良好な接合が得られる等の点から、少なくとも最外層に金メッキ層を有する金属メッキ層を用いることが好ましい。導電性保護層は、金メッキ層のみで形成されていてもよいが、ニッケルメッキの上に金メッキを施したニッケル/金メッキ層として形成されていることがより好ましい。この場合、導電性保護層の膜厚としては、ニッケルメッキ層が2〜20μm、金メッキ層が0.1〜1.0μmが好ましい。
以上、本発明の素子基板の実施形態について説明したが、例えば、上記図2に示す素子基板1を用いて、その搭載部22に発光ダイオード素子等の発光素子11を搭載することで、例えば、図3にその断面図を示す発光装置10を作製できる。
図3に示すように、発光装置10は、素子基板1が有する凹部4の底面24の略中央に位置する搭載部22にシリコーンダイボンド剤等のダイボンド剤14により発光ダイオード素子等の発光素子11が搭載され、その図示しない1対の電極がボンディングワイヤ12によって、1対の素子接続端子5のそれぞれに接続された構成である。発光装置10は、さらに、凹部4の底面24に上記のように配設された発光素子11やボンディングワイヤ12を覆いながら、凹部4を充填するように封止層13が設けられることにより構成されている。なお、封止層13を構成する材料(封止材)には、必要に応じて、発光装置の封止層に通常用いられる蛍光体が含有されていてもよい。
このような本発明の発光装置10は、凹部を有しその底面に発光素子を搭載する発光素子用基板であって、基板自体の反り量が低減された本発明の素子基板1により、発光素子の位置ずれや傾きが低減し、光の指向性が設計と異なる等の問題や、ボンディングワイヤの位置ずれによる断線の発生等の問題が抑制された発光装置である。また、この発光装置10をさらにプリント配線基板等に半田を用いて実装する際に、基板の反りが原因で発生していた断線や放熱性の悪化等の問題も低減できる。このような本発明の発光装置は、例えば携帯電話やパソコンや平面テレビの液晶ディスプレイ等のバックライト、自動車用あるいは装飾用の照明、一般照明、その他の光源として好適に使用できる。
以上、本発明の素子基板およびこれを用いた発光装置における実施形態について例を挙げて説明したが、本発明の素子基板および発光装置はこれらに限定されるものではない。本発明の趣旨に反しない限度において、また必要に応じて、その構成を適宜変更できる。
また、本発明の素子基板の製造方法について、図2に示される素子基板1を例にして以下に説明する。図2に示される素子基板1は、例えば、以下の(A)グリーンシート作製工程、(B)金属ペースト層形成工程、(C)積層工程、(D)焼成工程を含む製造方法により製造できる。なお、製造に用いる部材については、完成品の部材と同一の符号を付して説明するものである。
(A)グリーンシート作製工程
(A)工程は、ガラス粉末とセラミックス粉末とを含むガラスセラミックス組成物を用いて素子基板の基体を構成する下側グリーンシート2b、上側グリーンシート2aおよび枠体を構成する枠体グリーンシート3を作製する工程である。このグリーンシート作製工程において下側グリーンシート2bの面積収縮率が、上側グリーンシート2aおよび枠体グリーンシート3の面積収縮率より低くなるように調整する。
まず、面積収縮率が同等である上側グリーンシート2aおよび枠体グリーンシート3の作製について具体的に説明する。上側グリーンシート2aおよび枠体グリーンシート3は、以下に説明するガラス粉末とセラミックス粉末とを含むガラスセラミックス組成物にバインダー樹脂、必要に応じて可塑剤、分散剤、溶剤等を添加して調製されたスラリーを、ドクターブレード法等により、焼成後の形状・膜厚が上記所望の範囲内となるような所定の形状、膜厚のシート状に成形し、乾燥させることで作製できる。
上側グリーンシート2aについては、上記で得られたシート状成形物が、(B)金属ペースト層形成工程を経て(C)工程での積層に供される。枠体グリーンシート3については、上記で得られたシート状成形物の中央部に、この工程で、通常の方法により凹部4の底面24の形(円形)に貫通孔を形成し、得られたものが(C)工程での積層に供される。なお、枠体グリーンシート3について凹部4の側面がテーパー状となるものを加工する方法としては、例えば、枠体グリーンシート3を貫通孔の大きさの異なる複数枚のグリーンシートとして準備し、(C)工程で下から貫通孔の小さい順に階段状に積層した後、常法により角をとる方法が挙げられる。
(ガラスセラミックス組成物およびスラリーの調製)
上記ガラスセラミックス組成物に用いるガラス粉末は、必ずしも限定されないものの、ガラス転移点(Tg)は550℃以上700℃以下が好ましい。ガラス転移点(Tg)が550℃未満の場合、脱脂が困難となるおそれがあり、700℃を超える場合、収縮開始温度が高くなり、寸法精度が低下するおそれがある。
また、800℃以上930℃以下で焼成したときに結晶が析出することが好ましい。結晶が析出しない場合、十分な機械的強度を得ることができないおそれがある。さらに、DTA(示差熱分析)により測定される結晶化ピーク温度(Tc)は880℃以下が好ましい。結晶化ピーク温度(Tc)が880℃を超える場合、寸法精度が低下するおそれがある。
このようなガラス粉末としては、例えばSiOを57mol%以上65mol%以下、Bを13mol%以上18mol%以下、CaOを9mol%以上23mol%以下、Alを3mol%以上8mol%以下、KOおよびNaOから選ばれる少なくとも一方を合計で0.5mol%以上6mol%以下含有するものが好ましい。これにより、得られる基体や枠体の表面の平坦度を向上させることが容易となる。
ここで、SiOは、ガラスのネットワークフォーマとなる。SiOの含有量が57mol%未満の場合、安定なガラスを得ることが難しく、また化学的耐久性も低下するおそれがある。一方、SiOの含有量が65mol%を超える場合、ガラス溶融温度やガラス転移点(Tg)が過度に高くなるおそれある。SiOの含有量は、好ましくは58mol%以上、より好ましくは59mol%以上、特に好ましくは60mol%以上である。また、SiOの含有量は、好ましくは64mol%以下、より好ましくは63mol%以下である。
は、ガラスのネットワークフォーマとなる。Bの含有量が13mol%未満の場合、ガラス溶融温度やガラス転移点(Tg)が過度に高くなるおそれがある。一方、Bの含有量が18mol%を超える場合、安定なガラスを得ることが難しく、また化学的耐久性も低下するおそれがある。Bの含有量は、好ましくは14mol%以上、より好ましくは15mol%以上である。また、Bの含有量は、好ましくは17mol%以下、より好ましくは16mol%以下である。
Alは、ガラスの安定性、化学的耐久性、および強度を高めるために添加される。Alの含有量が3mol%未満の場合、ガラスが不安定となるおそれがある。一方、Alの含有量が8mol%を超える場合、ガラス溶融温度やガラス転移点(Tg)が過度に高くなるおそれがある。Alの含有量は、好ましくは4mol%以上、より好ましくは5mol%以上である。また、Alの含有量は、好ましくは7mol%以下、より好ましくは6mol%以下である。
CaOは、ガラスの安定性や結晶の析出性を高めると共に、ガラス溶融温度やガラス転移点(Tg)を低下させるために添加される。CaOの含有量が9mol%未満の場合、ガラス溶融温度が過度に高くなるおそれがある。一方、CaOの含有量が23mol%を超える場合、ガラスが不安定となるおそれがある。CaOの含有量は、好ましくは12mol%以上、より好ましくは13mol%以上、特に好ましくは14mol%以上である。また、CaOの含有量は、好ましくは22mol%以下、より好ましくは21mol%以下、特に好ましくは20mol%以下である。
O、NaOは、ガラス転移点(Tg)を低下させるために添加される。KOおよびNaOの合計した含有量が0.5mol%未満の場合、ガラス溶融温度やガラス転移点(Tg)が過度に高くなるおそれがある。一方、KOおよびNaOの合計した含有量が6mol%を超える場合、化学的耐久性、特に耐酸性が低下するおそれがあり、電気的絶縁性も低下するおそれがある。KOおよびNaOの合計した含有量は、0.8mol%以上5mol%以下が好ましい。
なお、ガラス粉末は、必ずしも上記成分のみからなるものに限定されず、ガラス転移点(Tg)等の諸特性を満たす範囲で他の成分を含有できる。他の成分を含有する場合、その合計した含有量は10mol%以下が好ましい。
ガラス粉末は、上記したようなガラスとなるようにガラス原料を配合し、混合し、溶融法によってガラスを製造し、得られたガラスを乾式粉砕法や湿式粉砕法によって粉砕することにより得られる。湿式粉砕法の場合、溶媒として水を用いることが好ましい。粉砕は、例えばロールミル、ボールミル、ジェットミル等の粉砕機が使用できる。
ガラス粉末の50%粒径(D50)は0.5μm以上2μm以下が好ましい。ガラス粉末の50%粒径が0.5μm未満の場合、ガラス粉末が凝集しやすく、取り扱いが困難となると共に、均一に分散させることが困難となる。一方、ガラス粉末の50%粒径が2μmを超える場合、ガラス軟化温度の上昇や焼結不足が発生するおそれがある。粒径の調整は、例えば粉砕後に必要に応じて分級することにより行う。なお、本明細書において、粒径はレーザ回折散乱法による粒子径測定装置により得られる値をいう。レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置としては、島津製作所社製、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(商品名:SALD2100)を使用した。
一方、セラミックス粉末としては、従来からLTCC基板の製造に用いられるものを特に制限なく使用でき、例えばアルミナ粉末、ジルコニア粉末、またはアルミナ粉末とジルコニア粉末との混合物を好適に用いる。また、本発明において必要に応じて用いられる、拡散反射性を有するLTCCを作製する場合には、上記セラミックス粉末として、アルミナ粉末とジルコニア粉末との混合物が好ましく用いられる。アルミナ粉末とジルコニア粉末の混合物としては、アルミナ粉末:ジルコニア粉末の混合割合が質量比で90:10〜60:40の混合物が好ましい。セラミックス粉末の50%粒径(D50)は、上記いずれの場合も、例えば0.5μm以上4μm以下が好ましい。
このようなガラス粉末とセラミックス粉末とを、例えばガラス粉末が30質量%以上50質量%以下、セラミックス粉末が50質量%以上70質量%以下となるように配合、混合することによりガラスセラミックス組成物を得る。
このガラスセラミックス組成物に、バインダー樹脂、必要に応じて可塑剤、分散剤、溶剤等を添加することによりスラリーを得る。バインダー樹脂としては、例えばポリビニルブチラール、アクリル樹脂等が好適に用いられる。また、スラリーにおけるバインダー樹脂の配合量としては、ガラスセラミックス組成物100質量部に対して5〜15質量部が好ましい。可塑剤としては、例えばフタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ブチルベンジル等を用いられる。また、溶剤としては、トルエン、キシレン、2−プロパノール、2−ブタノール等の有機溶剤が好適に用いられる。
得られたスラリーを、ドクターブレード法等により、焼成後の形状・膜厚が上記所望の範囲内となるような所定の形状、膜厚のシート状に成形し、乾燥させることで上側グリーンシート2aおよび枠体グリーンシート3が作製される。
(面積収縮率の低減方法)
次に、上側グリーンシート2aおよび枠体グリーンシート3よりも面積収縮率が小さい下側グリーンシート2bの作製について説明する。下側グリーンシート2bは、例えば、上記上側グリーンシート2aおよび枠体グリーンシート3の作製において、ガラスセラミックス組成物の組成を調整する、スラリーにおけるバインダー樹脂の配合量を調整する、シート状に成形した後にプレス加工を施す等の方法により、これらより面積収縮率が小さいグリーンシートとして作製できる。これらの面積収縮率の低減方法は、1種を単独で行ってもよく、また2種以上の方法を併用してもよい。また、これ以外の方法であっても、グリーンシートの面積収縮率を精度よく低減できる方法であれば、特に制限なく採用できる。
<ガラスセラミックス組成物の調整>
下側グリーンシート2bは、ガラスセラミックス組成物として上記上側グリーンシート2aに用いるガラスセラミックス組成物に比べてセラミックス粉末の配合量が多いものを用いることで、上記上側グリーンシート2aより面積収縮率が低いグリーンシートとすることができる。上記の好ましいガラスセラミックス組成物における組成のようにセラミックス粉末としてアルミナ粉末とジルコニア粉末の両方を用いる場合、アルミナ粉末のみの、またはジルコニア粉末のみの配合量を増加してもよいし、その両方の量を増加してもよい。ガラスセラミックス組成物におけるガラス粉末の配合量については、セラミックス粉末の配合量を増やした分を減ずればよい。
上記の通り、素子基板1において、基体2の主面21の面積が16〜25mm、凹部4の底面24の面積が基体2の主面21の面積の50〜70%であり、基体2と枠体3を合わせた素子基板1の厚さTが0.6〜1.2mm、かつ基体2の厚さt2が素子基板1の厚さTの40〜60%であり、下側グリーンシートの焼成後の厚さ、すなわち、基体下層部2bの厚さt2bが素子基板1の厚さTの10〜20%である場合、上側グリーンシート2aおよび枠体グリーンシート3の面積収縮率よりも0.2〜1.0%低い面積収縮率の下側グリーンシート2bが好ましい。
例えば、このような面積収縮率の下側グリーンシート2bを、焼結後のLTCCについても強度を十分に保持した状態で得るためには、ガラスセラミックス組成物全量に対するセラミックス粉末の配合量を、質量比で、上側グリーンシート2aに用いるセラミックス粉末の配合量の1.05〜1.16倍とすることが好ましい。
また、例えば、上記素子基板1において、基体下層部2bの厚さt2bを素子基板1の厚さTの10%とした場合、上側グリーンシート2aおよび枠体グリーンシート3の面積収縮率よりも0.4〜1.0%低い面積収縮率の下側グリーンシート2bが好ましく、この場合には、ガラスセラミックス組成物全量に対するセラミックス粉末の配合量を、質量比で、上側グリーンシート2aに用いるセラミックス粉末の配合量の1.05〜1.16倍とすることが好ましい。
ここで、ガラスセラミックス組成物におけるセラミックス粉末とガラス粉末の配合割合やセラミックス粉末におけるアルミナ粉末とジルコニア粉末の配合割合は、下側グリーンシート2bに用いるガラスセラミックス組成物においても、上側グリーンシート2aで例示した好ましい範囲内にあることが好ましい。したがって、下側グリーンシート2bの面積収縮率をガラスセラミックス組成物における組成を調整することで行う場合には、これを考慮して、上側グリーンシート2aのガラスセラミックス組成物の組成を上記範囲内でセラミックス粉末の配合量が低い側に調整しておくことが好ましい。
<スラリーの調整>
下側グリーンシート2bは、スラリーとして上記上側グリーンシート2aに用いるスラリーに比べてバインダー樹脂の配合量が少ないものを用いることで、上記上側グリーンシート2aより面積収縮率が低いグリーンシートとすることができる。
例えば、上記同様の素子基板1において、上側グリーンシート2aおよび枠体グリーンシート3の面積収縮率よりも0.2〜1.0%低い面積収縮率の下側グリーンシート2bを、グリーンシート間の密着性を十分に確保した状態で得るためには、スラリー中のガラスセラミックス組成物100質量部に対するバインダー樹脂の配合量を、質量比で、上側グリーンシート2aに用いるバインダー樹脂の配合量の0.88〜0.94倍とすることが好ましい。
また、例えば、上記素子基板1において、基体下層部2bの厚さt2bを素子基板1の厚さTの10%とした場合、上側グリーンシート2aおよび枠体グリーンシート3の面積収縮率よりも0.4〜1.0%低い面積収縮率の下側グリーンシート2bが好ましく、この場合には、スラリー中のガラスセラミックス組成物100質量部に対するバインダー樹脂の配合量を、質量比で、上側グリーンシート2aに用いるバインダー樹脂の配合量の0.88〜0.94倍とすることが好ましい。
ここで、スラリーにおけるガラスセラミックス組成物とバインダー樹脂の配合割合は、下側グリーンシート2bに用いるスラリーにおいても、上側グリーンシート2aで例示した好ましい範囲内にあることが好ましい。したがって、下側グリーンシート2bの面積収縮率をスラリーにおける組成の調整で行う場合には、これを考慮して、上側グリーンシート2aのスラリーの組成を上記範囲内でバインダー樹脂の配合量が高い側に調整しておくことが好ましい。
<プレス加工>
下側グリーンシート2bは、上記スラリーをシート状に成形した後にプレス加工を施してグリーンシートの充填密度を上げることで、上記上側グリーンシート2aより面積収縮率が低いグリーンシートとして、作製できる。
ここで、以下の(C)の積層工程において、下側グリーンシート2b、上側グリーンシート2aおよび枠体グリーンシート3を積層する場合、通常、LTCC用のグリーンシートを積層するのと同様に熱圧着する方法が採られる。この(C)積層工程の際の熱圧着の圧力条件よりも高い圧力で、上記スラリーをシート状に成形したグリーンシートをプレス加工することで、下側グリーンシート2bとすることが好ましい。
例えば、(C)積層工程における熱圧着の具体的な条件としては、基体2の主面21の面積が16〜25mm、凹部4の底面24の面積が基体2の主面21の面積の
50〜70%であり、基体2と枠体3を合わせた素子基板1の厚さTが0.6〜1.2mm、かつ基体2の厚さt2が素子基板1の厚さTの40〜60%であり、基体下層部2bの厚さt2bが素子基板1の厚さTの10〜20%である素子基板1を用いた場合には、等方圧加圧の温間等方圧加圧(WIP:warm isostatic press)方式の水圧プレスで、50〜80℃、10〜30MPaの条件で熱圧着することが好ましい。
ここで、(C)積層工程における熱圧着を50〜80℃、10〜30MPaで行う場合、上側グリーンシート2aおよび枠体グリーンシート3の面積収縮率よりも0.2〜1.0%低い面積収縮率の下側グリーンシート2bを、グリーンシート間の密着性を十分に確保した状態で得るためには、上記スラリーをシート状に成形したグリーンシートを、上記温度と同じ温度で、かつ上記圧力の1.5〜2倍の圧力条件で温間等方圧加圧処理することが好ましい。
また、例えば、上記素子基板1において、基体下層部2bの厚さt2bを素子基板1の厚さTの10%とした場合、上側グリーンシート2aおよび枠体グリーンシート3の面積収縮率よりも0.4〜1.0%低い面積収縮率の下側グリーンシート2bが好ましく、この場合に(C)積層工程における熱圧着を50〜80℃、10〜30MPaで行う場合は、上記スラリーをシート状に成形したグリーンシートを、上記温度と同じ温度で、かつ上記圧力の1.5〜2倍の圧力条件で温間等方圧加圧処理することが好ましい。
(B)金属ペースト層形成工程
(B)工程では、上記で得られた基体2を構成するための上側グリーンシート2aおよび下側グリーンシート2bに、以下の方法で配線導体用ペースト層(素子接続端子用ペースト層5、外部接続端子用ペースト層6、および貫通導体用ペースト層7)およびサーマルビア用金属ペースト層8等の金属ペースト層を形成する。
上側グリーンシート2aおよび下側グリーンシート2bには、まず、金属ペーストを用いて貫通導体用ペースト層7およびサーマルビア用金属ペースト層8を形成する。具体的には、上側グリーンシート2aおよび下側グリーンシート2bの上記所定位置に、それぞれ一対の貫通導体7を配設するための上面から下面に貫通する一対の貫通孔とサーマルビア8を配設するための貫通孔を作製し、これらの貫通孔をそれぞれ充填するように貫通導体用ペースト層7およびサーマルビア用金属ペースト層8を形成する。
次いで、上側グリーンシート2aの上面、すなわち基体2の主面21となる面に貫通導体用ペースト層7を覆うように上記所定の形状の素子接続端子用ペースト層5を形成する。また、下側グリーンシート2bの下面、すなわち基体2の裏面23となる面に貫通導体用ペースト層7と電気的に接続する一対の外部接続端子用ペースト層6を形成する。なお、一対の外部接続端子用金属ペースト層6のうちの一方は、上記サーマルビア用金属ペースト層8の下端部に接するように形成する。こうして金属ペースト層付きの上側グリーンシート2aおよび下側グリーンシート2bが得られる。なお、図示されていないが、積層のための位置合わせの印をこれらのグリーンシートに形成してもよい。
金属ペーストとしては、例えば銅、銀、金等を主成分とする金属粉末に、エチルセルロース等のビヒクル、必要に応じて溶剤、添加剤等を添加してペースト状としたものを使用できる。なお、上記金属粉末としては、銀からなる金属粉末、銀と白金または銀とパラジウムからなる金属粉末が好ましく用いられる。また、球状の銀粒子の表面に、リン酸化物とイットリウム酸化物とを被着させた複合銀粉末も使用できる。
素子接続端子用ペースト層5、外部接続端子用ペースト層6、貫通導体用ペースト層7およびサーマルビア用金属ペースト層8の形成方法としては、上記金属ペーストをスクリーン印刷法により塗布、充填する方法が挙げられる。素子接続端子用ペースト層5および外部接続端子用ペースト層6の膜厚は、最終的に得られる素子接続端子5および外部接続端子6の膜厚が所定の膜厚となるように調整される。
(C)積層工程
上記(B)工程で得られた、各種金属ペースト層が形成された基体2を構成するための下側グリーンシート2b上に上側グリーンシート2aを重ね合わせ、さらにその上に、上記(A)工程で作製した枠体グリーンシート3を重ね合わせて、全体を熱圧着することで未焼成素子基板1を得る
熱圧着は、セラミックスグリーンシートを積層して一体化する方法として、一般的に用いられる方法である。通常は、加圧対象物を全方向から均一な圧力(等方圧力)で加圧することでグリーンシート同士を強固に接合された状態とするために、等方圧加圧が用いられる。また、上記と同様の理由から、好ましくは、温間等方圧加圧(WIP:warm isostatic press)方式が用いられる。温間等方圧加圧方式(以下、WIP方式ともいう)は、具体的には、温水等の加温した流体ないし液体を圧力媒体とし、グリーンシート積層体にこの圧力媒体を介して高圧の等方圧力を加えることにより、積層したグリーンシート同士を全方位から等しい圧力で圧着させるものである。
WIP方式の等方圧加圧によるグリーンシート積層体の熱圧着において、温度条件は、上記3種のグリーンシートが含有するバインダー樹脂のガラス転移点を超えガラス転移点より20℃高い温度以下の温度範囲が好ましい。例えば、バインダー樹脂として、ポリビニルブチラールやアクリル樹脂等を用いた場合には、好ましい温度範囲は概ね50〜80℃の間である。また、圧力条件としては、10〜30MPaの圧力範囲が好ましく、15〜25MPaがより好ましい。ただし、下側グリーンシート2bの面積収縮率の調整を、プレス加工により行った場合は、そのプレス加工の圧力の1/1.5〜1/2の圧力範囲でWIP方式による等方圧加圧を行う。等方圧加圧時間は概ね3〜20分間が好ましい。
(D)焼成工程
上記(C)工程後、得られた未焼成素子基板1について、必要に応じてバインダー樹脂等を除去するための脱脂を行い、ガラスセラミックス組成物等を焼結させるための焼成を行う。一般的に焼成温度は800〜930℃とされる。
脱脂条件は、例えば500℃以上600℃以下の温度で1時間以上10時間以下保持する。脱脂温度が500℃未満もしくは脱脂時間が1時間未満の場合、バインダー樹脂等を十分に除去できないおそれがある。一方、脱脂温度は600℃程度、脱脂時間は10時間程度とすれば、十分にバインダー樹脂等を除去でき、これを超えるとかえって生産性等が低下するおそれがある。
また、焼成は、基体2および枠体3の緻密な構造の獲得と生産性を考慮して、好ましくは800℃〜930℃の温度範囲で適宜時間を調整する。具体的には、850℃以上900℃以下の温度で20分以上60分以下保持することが好ましく、特に860℃以上880℃以下の温度で行うことが好ましい。焼成温度が800℃未満では、基体2および枠体3が緻密な構造として得られないおそれがある。一方、焼成温度は930℃を超えると基体が変形するなど生産性等が低下するおそれがある。また、上記配線導体用やサーマルビア用の金属ペーストとして、銀を主成分とする金属粉末を含有する金属ペーストを用いた場合、焼成温度が880℃を超えると、過度に軟化するために所定の形状を維持できなくなるおそれがある。
このようにして、未焼成素子基板1が焼成され素子基板1が得られるが、焼成後、必要に応じて素子接続端子5および外部接続端子6の全体を被覆するように、上に説明した、ニッケルメッキ、クロムメッキ、銀メッキ、ニッケル/銀メッキ、金メッキ、ニッケル/金メッキ等の通常、発光素子用基板において導体保護用に用いられる導電性保護層をそれぞれ配設できる。これらのうちでも、ニッケル/金メッキが好ましく用いられ、例えば、ニッケルメッキ層はスルファミン酸ニッケル浴等を使用して、金メッキ層はシアン化金カリウム浴等を使用して、それぞれ電解メッキによって形成できる。
以上、本発明の素子基板の実施形態の一例について、その製造方法を説明したが、基体2を構成するための上側グリーンシート2aおよび下側グリーンシート2b、枠体グリーンシート3等は必ずしも単一のグリーンシートからなる必要はなく、上記面積収縮率の条件を満たす限りにおいて複数枚のグリーンシートを積層したものであってもよい。また、各部の形成順序等についても、素子基板の製造が可能な限度において適宜変更できる。
なお、本発明の素子基板は、そのサイズにより、通常、素子基板のような配線基板を作製する際に用いられる、多数個取りの連結基板を作製し、これを分割する工程を得て個々の配線基板を作製する方法により作製されてもよい。その場合、分割のタイミングは、上記焼成後であれば、発光素子を搭載する前でもよいし、発光素子搭載後、プリント配線基板等に半田固定・実装される前でもよい。
無機絶縁材料としてLTCCを用いた本発明の素子基板、その製造方法、および発光装置について上に説明したが、以下に無機絶縁材料としてアルミナセラミックスを用いた場合の、本発明の素子基板の実施形態について構成と製造方法を簡単に説明する。
例えば、図2に示すLTCCを用いた素子基板1と同様の素子基板を、アルミナセラミックスを用いて作製する場合、下側グリーンシート2bの面積収縮率を、上側グリーンシート2aおよび枠体グリーンシート3の面積収縮率よりも低く設計する方法としては、下側グリーンシート2bについて、スラリー中のバインダー樹脂量を低減する、積層工程の加圧条件以上の圧力でプレス加工する等の方法が挙げられる。また、このようなアルミナセラミックスを用いた素子基板は、例えば、以下のようにして製造できる。
(A’)グリーンシート作製工程
ガラス粉末とセラミックス粉末とを含むガラスセラミックス組成物(LTCC用組成物)にかえて、アルミナを主成分としたアルミナセラミックス用組成物を用いて、上記(A)グリーンシート作製工程と同様の工程を経て、基体の上側グリーンシート2aおよび枠体グリーンシート3を得る。
具体的には、アルミナを主成分とするアルミナセラミックス用組成物として、アルミナセラミックスを作製する際に通常用いるのと同様のアルミナセラミックス用組成物を準備する。このアルミナセラミックス用組成物に、LTCC用のスラリーを作製するのと同様にしてバインダー樹脂、必要に応じて可塑剤、分散剤、溶剤等を添加することによりスラリーを得、該スラリーを、ドクターブレード法等により、焼成後の形状・膜厚が上記所望の範囲内となるような所定の形状、膜厚のシート状に成形し、乾燥させることで上側グリーンシート2aおよび枠体グリーンシート3が作製される。
下側グリーンシート2bは、上記上側グリーンシート2aを作製する際のスラリー中のバインダー樹脂量を低減することで、上側グリーンシート2aに比べて面積収縮率の小さいグリーンシートとして、作製できる。上側グリーンシート2aに対する下側グリーンシート2bの面積収縮率の低減量は上記LTCCの場合と同様とでき、それを達成するためのスラリーにおけるバインダー樹脂量の低減割合も同様とできる。
また、下側グリーンシート2bを、スラリーをシート状に成形した後、プレス加工する条件についても、上記LTCCの場合と同様にして調整すればよく、これにより上側グリーンシート2aに対する面積収縮率の低減量が適度に調整された下側グリーンシート2bを作製できる。
(B’)金属ペースト層形成工程
アルミナセラミックスを用いた素子基板の場合、配線導体層やサーマルビア等の金属層を構成する金属材料としては、タングステンやモリブデン等の高融点金属を主成分とする金属材料を用いる。すなわち、LTCC素子基板の作製で用いた銀を主成分とする金属ペーストにかえて、タングステンやモリブデン等の高融点金属を主成分とした、高耐熱の金属ペーストを作製して、上記(B)金属ペースト層形成工程と同様の工程を経る。このようにして、上記(A’)工程で得られた基体2を構成するための上側グリーンシート2aおよび下側グリーンシート2bに金属ペースト層を形成する。
(C’)積層工程
上記(C)積層と同様の工程を経て、未焼成素子基板1を得る。
(D’)焼成工程
上記(C’)工程後、得られた未焼成素子基板1について、必要に応じてバインダー樹脂等を除去するための脱脂を行い、アルミナセラミックス用組成物等を焼結させるための焼成を行う。一般的に焼成温度は1400〜1700℃とされる。脱脂は、例えば、200℃以上500℃以下の温度で約1時間以上10時間以下保持する条件が好ましい。焼成は、例えば、1400℃以上1700℃以下の温度で数時間保持する条件が好ましい。ただし、加熱時、特に焼成時に導体を酸化させないために、水素雰囲気などの還元雰囲気中もしくは、不活性ガス雰囲気中もしくは、真空中となる、非酸化性雰囲気を保った加熱をしなければならない。
このようにして、未焼成素子基板1が焼成され素子基板1が得られる。得られた素子基板1の素子接続端子5および外部接続端子6に対して、必要に応じて、その全体を被覆するように、上記LTCCを用いた素子基板1と同様の導電性保護層を配設してもよい。
以下に、本発明の実施例を説明する。なお本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下に説明する方法で、図2に示すのと同様の構造の実施例および比較例の素子基板を作製した。なお、上記同様、焼成の前後で部材に用いる符号は同じものを用いた。
[ガラスセラミックス組成物の調製例]
以下の実施例および比較例のグリーンシートの作製に用いるガラス粉末を以下のようにして製造した。
SiOが60.4mol%、Bが15.6mol%、Alが6mol%、CaOが15mol%、KOが1mol%、NaOが2mol%となるようにガラス原料を配合、混合し、このガラス原料を白金ルツボに入れて1600℃で60分間溶融させた。その後、溶融状態のガラスを流し出し冷却した。得られたガラスをアルミナ製ボールミルにより40時間粉砕してD50が2.5μmのガラス粉末を製造した。なお、粉砕時の溶媒にはエチルアルコールを用いた。
セラミックス粉末として、アルミナ粉末については、昭和電工社製、商品名:AL−45Hを、ジルコニア粉末については、第一稀元素化学工業社製、商品名:HSY−3F−Jを用いた。
上記ガラス粉末が35質量%、アルミナ粉末が40質量%、ジルコニア粉末が25質量%となるように配合し、混合することにより、ガラスセラミックス組成物Aを製造した。また、ガラス粉末が32質量%、アルミナ粉末が43質量%、ジルコニア粉末が25質量%となるように配合し、混合することにより、ガラスセラミックス組成物Bを製造した。さらに、ガラス粉末が32質量%、アルミナ粉末が40質量%、ジルコニア粉末が28質量%となるように配合し、混合することにより、ガラスセラミックス組成物Cを製造した。
[実施例1]
上記調製例で得られたガラスセラミックス組成物を用いて、素子基板1の基体2および枠体3を作製するための、上側グリーンシート2a、下側グリーンシート2b、枠体グリーンシート3を作製した。
まず、ガラスセラミックス組成物Aの50gに、有機溶剤(トルエン、キシレン、2−プロパノール、2−ブタノールを質量比4:2:2:1で混合したもの)の15g、可塑剤(フタル酸ジ−2−エチルヘキシル)の2.5g、バインダー樹脂としてのポリビニルブチラール(デンカ社製、商品名:PVK#3000K)の5g、さらに分散剤(ビックケミー社製、商品名:BYK180)の0.5gを配合し、混合してスラリーAを調製した。また、ガラスセラミックス組成物Aをガラスセラミックス組成物Bにかえた以外は上記同様にしてスラリーBを調製した。
このスラリーAをPETフィルム上にドクターブレード法により塗布し、乾燥させたグリーンシートを積層して、略平板状であって焼成後の厚さが0.4mmとなる上側グリーンシート2a、枠外の形状が上側グリーンシート2aと同様であり、枠内の形状が焼成後において直径4.4mmの略円形状あって、枠高さが0.5mmである枠体グリーンシート3を作製した。
また、スラリーBをPETフィルム上にドクターブレード法により塗布し、乾燥させたグリーンシートを積層して、略平板状であって焼成後の厚さが0.1mmとなる下側グリーンシート2bを作製した。
なお、本実施例においては、素子基板1を多数個取りの連結基板として製造し、後述の焼成後に、1個ずつに分割して、5mm×5mmの外寸の略正方形の素子基板1とした。以下の記載は、多数個取り連結基板のうちの、分割後、1個の素子基板1となる一区画について説明するものである。
一方、導電性粉末(大研化学工業社製、商品名:S550)、ビヒクルとしてのエチルセルロースを質量比85:15の割合で配合し、固形分が85質量%となるように溶剤としてのαテレピネオールに分散した後、磁器乳鉢中で1時間混練を行い、さらに三本ロールにて3回分散を行って金属ペーストを製造した。
上側グリーンシート2aおよび下側グリーンシート2bについて、一対の貫通導体7に相当する部分、およびサーマルビア8に相当する部分に、孔空け機を用いて直径0.3mmの貫通孔、および縦・横のサイズが各1.0mmの貫通孔を形成し、スクリーン印刷法により上記で得られた金属ペーストを充填して貫通導体用ペースト層7およびサーマルビア用金属ペースト層8を形成した。
次いで、上側グリーンシート2aの上面、すなわち基体2の主面21となる面に貫通導体用ペースト層7を覆うように上記所定の形状の素子接続端子用ペースト層5を形成した。また、下側グリーンシート2bの下面、すなわち基体2の裏面23となる面に貫通導体用ペースト層7と電気的に接続する一対の外部接続端子用ペースト層6を形成した。なお、一対の外部接続端子用ペースト層6のうちの一方は、上記サーマルビア用金属ペースト層8の下端部に接するように形成した。こうして金属ペースト層付きの上側グリーンシート2aおよび下側グリーンシート2bを得た。
上記で得られた、各種金属ペースト層が形成された基体2を構成するための下側グリーンシート2b上に上側グリーンシート2aを重ね合わせ、さらにその上に、上記で作製した枠体グリーンシート3を重ね合わせて、全体を熱圧着することで未焼成多数個取り連結基板を得た。なお、熱圧着は、WIP方式の等方圧加圧により、温度70℃、圧力条件20MPa、加圧時間10分間の条件で行った。
上記で得られた未焼成多数個取り連結基板に、未焼成素子基板1の各区画が焼成後に5mm×5mmの外寸となるような分割用のカットラインを入れた後、550℃で5時間保持して脱脂を行い、さらに870℃で30分間保持して焼成を行って多数個取り連結基板を製造した。得られた多数個取り連結基板をカットラインに沿って分割して素子基板1を製造した。
得られた素子基板1について、素子基板1の断面が、図2(a)に示すX−X線を含むようにダイシングマシンを用いて分割し、図2(b)で示されるその破断面を観察し、測長顕微鏡によって基板本体2の上面の反り量を測定した。その結果を表1に示す。
また、スラリーAをPETフィルム上にドクターブレード法により塗布し、乾燥させたグリーンシートを積層して、主面の縦および横の長さが各40mm、厚さが1.0mmとなる上側グリーンシート2aの面積収縮率測定用のグリーンシートを作製した。これを素子基板1の焼成条件と同様の条件すなわち、550℃で5時間保持して脱脂を行い、さらに870℃で30分間保持して焼成を行った。焼成後の縦、横の長さをデジタルノギスにより測定し、面積Sa(mm)を求めた。上側グリーンシート2aの面積収縮率Daを、(1600−Sa)/1600×100として求めた。
同様にして下側グリーンシート2bの面積収縮率Dbを求め、Daとの差:Da−Dbを求めた。結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1においてガラスセラミックス組成物Aのかわりにガラスセラミックス組成物Cを用いた以外は、スラリーAを調製するのと同様にしてスラリーCを調製した。下側グリーンシート2bの作製にスラリーCを用いた以外は、上記実施例1と同様にして素子基板1を製造した。得られた素子基板1について、実施例1と同様にして反り量を測定した。また、実施例1と同様にして下側グリーンシート2bの面積収縮率Dbと上側グリーンシート2aの面積収縮率Daの差:Da−Dbを求めた。結果を表1に示す。
[実施例3]
上記調製例で得られたガラスセラミックス組成物Aの50gに、有機溶剤(トルエン、キシレン、2−プロパノール、2−ブタノールを質量比4:2:2:1で混合したもの)の15g、可塑剤(フタル酸ジ−2−エチルヘキシル)の2.5g、バインダー樹脂としてのポリビニルブチラール(デンカ社製、商品名:PVK#3000K)の4.5g、さらに分散剤(ビックケミー社製、商品名:BYK180)の0.5gを配合し、混合してスラリーDを調製した。下側グリーンシート2bの作製にスラリーDを用いた以外は、上記実施例1と同様にして素子基板1を製造した。得られた素子基板1について、実施例1と同様にして反り量を測定した。また、実施例1と同様にして下側グリーンシート2bの面積収縮率Dbと上側グリーンシート2aの面積収縮率Daの差:Da−Dbを求めた。結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1において上側グリーンシート2aおよび下側グリーンシート2bをともにスラリーAを用いて作製し、積層の前に下側グリーンシート2bについて、WIP方式の等方圧加圧により、温度70℃、圧力条件35MPa、加圧時間10分間の処理を施した以外は、上記実施例1と同様にして素子基板1を製造した。得られた素子基板1について、実施例1と同様にして反り量を測定した。また、実施例1と同様にして下側グリーンシート2bの面積収縮率Dbと上側グリーンシート2aの面積収縮率Daの差:Da−Dbを求めた。結果を表1に示す。
[比較例]
実施例1において上側グリーンシート2aおよび下側グリーンシート2bをともにスラリーAを用いて作製した以外は、上記実施例1と同様にして素子基板1を製造した。得られた素子基板1について、実施例1と同様にして反り量を測定した。また、実施例1と同様にして下側グリーンシート2bの面積収縮率Dbと上側グリーンシート2aの面積収縮率Daの差:Da−Dbを求めた。結果を表1に示す。
Figure 2012248593
本発明の発光素子用基板は、凹部を有しその底面に発光素子を搭載する発光素子用基板において、反り量が30μm以内に低減された発光素子用基板である。本発明の発光装置は、このように反り量が低減された本発明の素子基板により、発光素子の位置ずれや傾きが低減し、光の指向性が設計と異なる等の問題や、ボンディングワイヤの位置ずれによる断線の発生等の問題が抑制された発光装置である。また、この発光装置をさらにプリント配線基板等に半田を用いて実装する際に、基板の反りが原因で発生していた断線や放熱性の悪化等の問題も低減できる。このような本発明の発光装置は、例えば携帯電話やパソコンや平面テレビの液晶ディスプレイ等のバックライト、自動車用あるいは装飾用の照明、一般照明、その他の光源として好適に使用できる。
1…素子基板、2…基体、3…枠体、4…凹部、5…素子接続端子、6…外部接続端子、7…貫通導体、8…サーマルビア
10…発光装置、11…発光素子、12…ボンディングワイヤ、13…封止層、14…ダイボンド剤
21…基体の主面、22…発光素子搭載部、23…基体の裏面、24…凹部の底面

Claims (7)

  1. 第1の無機絶縁材料からなる主面が平坦な板状の基体と、前記基体の上側主面に接合された第2の無機絶縁材料からなる枠体とを有し、前記基体の上側主面の一部を底面とし前記枠体の内壁面を側面として形成される凹部の底面に発光素子の搭載部を有する発光素子用基板であって、
    前記上側主面の中心点を通る主面に直交する基体の断面を用いて測定される、前記断面における上側主面の最高部と最低部の高さの差である反り量が30μm以下であることを特徴とする発光素子用基板。
  2. 前記反り量が25μm以下である請求項1記載の発光素子用基板。
  3. 前記基体および枠体が複数のセラミックスグリーンシートを積層した積層体の焼成体からなり、少なくとも前記基体となるグリーンシートの積層数が2以上であって、前記積層体の最下層を構成するグリーンシートの前記焼成時における面積収縮率が、前記最下層以外を構成するグリーンシートの前記焼成時における面積収縮率に比べて、小さい請求項1または2記載の発光素子用基板。
  4. 前記基体主面の面積が16〜25mm、前記凹部底面の面積が前記基体主面の面積の50〜70%、前記基体と枠体の合計の厚さが0.6〜1.2mm、かつ前記基体の厚さが前記合計の厚さの40〜60%であって、前記最下層を構成するグリーンシートの焼成後の厚さが前記合計の厚さの10〜20%である請求項3に記載の発光素子用基板。
  5. 前記面積収縮率を、主面の縦および横の長さが各40mm、厚さが1.0mmの平板状グリーンシートを焼成体とする際の主面の面積減少率とした場合に、前記積層体の最下層を構成するグリーンシートの面積収縮率が、前記最下層以外を構成するグリーンシートの面積収縮率よりも0.2〜1.0%小さい請求項4記載の発光素子用基板。
  6. 前記第1の無機絶縁材料および第2の無機絶縁材料がともにガラス粉末とセラミックス粉末とを含むガラスセラミックス組成物の焼結体である請求項1〜5のいずれか1項に記載の発光素子用基板。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の発光素子用基板と、
    前記発光素子用基板に搭載される発光素子と
    を有することを特徴とする発光装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014179416A (ja) * 2013-03-14 2014-09-25 Ngk Insulators Ltd 放熱基板の製造方法、及び当該方法によって製造される放熱基板
WO2015019879A1 (ja) * 2013-08-09 2015-02-12 日本電気硝子株式会社 ウェハー保持用基板の製造方法及びウェハー保持用基板

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