図1〜図8は本発明の第1の実施例で、図1は本発明の撮像素子を有した光学装置であるデジタルカメラの構成図、図2は撮像素子の一部平面図、図3は本発明の撮像素子の一部断面図、図4は本発明の撮像素子の製造プロセス説明図である。また、図5は本発明の撮像素子に配設される焦点検出用画素の受光分布説明図、図6は図5の受光分布の射影説明図、図7は本発明のカメラの電気回路ブロック図、図8は本発明のカメラ動作のフローチャートである。
図1において、本発明のデジタルカメラ(カメラシステム)はカメラ本体100に対してカメラ側マウント111とレンズ側マウント201を介して、撮影レンズ(交換レンズ)200が着脱可能な一眼レフタイプのデジタルカメラを示している。
撮影レンズ200は複数のレンズ群(例えばレンズ203)と絞り204とから構成されており、撮影レンズ200を透過した被写体光は、カメラ100の跳ね上げミラー101で反射してピント板102近傍に収斂する。さらにピント板102で拡散透過した被写体光は、ペンタダハプリズム103及び接眼レンズ104を介して、不図示の撮影者の目に導かれる。
跳ね上げミラー101はハーフミラーで、跳ね上げミラー101を透過した一部の被写体光はサブミラー105で反射して焦点検出装置106に導かれる。焦点検出装置106は、撮影レンズ200の異なる瞳領域を透過する光により生成される像より撮影レンズ200の焦点状態を検出する公知の構成となっている。
また、撮影レンズ200の予定結像面には撮像素子(イメージセンサ、CMOS型撮像素子)108が配設されている。
本発明のカメラは動画を撮影することが可能で、動画撮影時には跳ね上げミラー101及びサブミラー105が撮影光路から退避し、シャッター107が開口状態に設定される。この時、撮像素子108で撮影された画像は、液晶表示素子109で視認できるようになっている。
次に、撮像素子108の構成について説明する。
図2は撮像素子108の一部平面図、図3は撮像素子108の一部断面図である。
図3は、図2の撮像素子108の一部平面図に示したA−A’面の断面図である。
撮像素子108は、シリコン基板310の内部に光電変換部312が形成されている。光電変換部312で発生した信号電荷は、光電変換部312を一部覆うように形成された転送電極(電極部)330により不図示のフローティングディフュージョン部へ転送される。転送電極330は通常ポリシリコンで構成されている。また、図中左側の画素の光電変換部312上には入射する光を制限するための遮光部360_1、360_2(以下、これら一対の遮光部をまとめて遮光部360ともいう。)が形成されている。遮光部360_1、360_2はタングステンで構成され、遮光部360_2は転送電極330とは重ならないよう形成されている。また、遮光部360_0は迷光防止用に各画素の周辺部に形成されている。
フローティングディフュージョン部へ転送された信号電荷は電極331及び電極332を介して外部に出力される。光電変換部312と電極331との間には層間絶縁膜321が形成されるが、遮光部360_2は転送電極330とは重ならないよう形成され、かつ遮光部360と転送電極330は略同じ厚さで形成されているため、層間絶縁膜321の膜厚は増加しない。その結果、撮像素子108の受光効率、特に入射角特性の低下を防止している。
そして、電極331と電極332との間には層間絶縁膜322が形成されている。さらに、電極332と電極333との間には層間絶縁膜323が形成されている。
また、電極333の光入射側には層間絶縁膜324が形成され、さらにパッシべーション膜340、平坦化層350が形成されている。平坦化層350の光入射側には、カラーフィルタ層351_1、351_2(以下、これらをまとめてカラーフィルタ層351ともいう。)、平坦化層352及びマイクロレンズ353が形成されている。ここで、マイクロレンズ353のパワーは、撮影レンズ200の瞳と光電変換部312が略共役になるように設定されている。
本実施例では、撮像素子108の中央に位置する画素の断面図を示しており、マイクロレンズ353は画素の略中心に配設されている。
撮影レンズ200を透過した被写体光は、カメラ100の予定結像面に配設された撮像素子108近傍に集光する。さらに撮像素子108の各画素に到達した光は、マイクロレンズ353で屈折され光電変換部312に集光する。撮像素子108の光軸方向に積層された各電極331、332、333は、入射する光をできるだけ遮光しないように配設されている。
図中右側の画素は通常の撮影時に使用される撮影用画素(第1の画素)で、撮影レンズ200の全瞳領域を受光可能なように構成されている。
一方、図中左側の画素は撮影レンズ200の焦点状態を検出する際に使用される焦点検出用画素(第2の画素)である。この焦点検出用画素は、撮影レンズ200の射出瞳の一部の領域を通る光を受光する。図中左側の画素の光電変換部312上には遮光部360_1、360_2が形成されているため、撮影レンズ200の瞳の一部を透過する光束を受光可能となっている。また焦点検出用画素では受光効率を向上させるため、カラーフィルタ351_1は光吸収のない無色のものが形成されている。
次に、撮像素子108の画素配置を図2の平面図で説明する。
撮像素子108を構成する各画素の周辺部には、迷光防止用の遮光部360_0が配設されている。また、各画素中に書かれた「R」「G」「B」の文字は各画素のカラーフィルタの色相を表している。「R」の文字の書かれた画素は赤の成分の光を透過し、「G」の文字の書かれた画素は緑の成分の光を透過し、「B」の文字の書かれた画素は青の成分の光を透過する。
カラーフィルタの配列がベイヤ配列の場合、1絵素は「R」「B」の画素と2つの「G」の画素から構成されるが、本発明の撮像素子108は「G」に相当する画素の一部に、撮影レンズ200の焦点検出が可能な焦点検出用画素が割り当てられている。
図中、Pα1、Pβ1、Pα2、Pβ2、Pα3、Pβ3は撮影レンズ200の焦点状態を検出するための画素の遮光部360の開口を示している。また本実施例では、遮光部360の開口の長手方向(図中y方向)と直交する方向(いわゆる相関演算方向または瞳分割方向)に偏位した位置に転送電極330_o、330_e(以下、これらをまとめて転送電極330ともいう。)が配設されている。本発明に係る転送電極330は、光電変換部312の少なくとも一部の領域を覆うように光電変換部312の端部に設けられている。また、本発明に係る遮光部360は、転送電極330を避けるように、転送電極330が覆う光電変換部312の少なくとも一部の領域とは異なる領域を覆っている。換言すれば、遮光部360は、光電変換部312上に転送電極330と光軸直交方向に並んで配置され、光軸方向において転送電極330と重ならないようにされている。また撮像素子108は、遮光部360の開口の位置に対応して転送電極330_o、330_eの配置が異なるように構成されている。これは、遮光部360と転送電極330_o、330_eとの隙間及び転送電極330から光電変換部312に漏れる光によって生じる焦点検出用画像の非対称性を小さくして焦点検出精度の低下を小さくするためである。
図4は、撮像素子108の製造プロセスの一部の説明図で、図2に示した撮像素子108の平面図の1行1列目にある焦点検出用画素を例に説明する。
図4(a)において、n型シリコン基板310にp型のウエル領域311が形成され、さらにこのウエル領域311の表面にn型の光電変換部312が形成される。次に、シリコン基板310を熱酸化することによりシリコン基板310表面上にシリコン酸化膜361が形成される。さらに、転送電極330_oであるポリシリコンが形成される。
図4(b)において、撮像素子108の全面に第1の透明絶縁膜であるシリコン窒化膜362が形成される。ここで、第1の透明絶縁膜であるシリコン窒化膜362の屈折率は約1.8で、厚みは約11nmである。
図4(c)において、シリコン窒化膜362上にタングステンである遮光部360が形成される。遮光部360の膜厚は転送電極330_oであるポリシリコンと略同等の膜厚で、転送電極330_oと光軸方向において重ならないように形成される。ここで、遮光部360_2と転送電極330_oとは第1の透明絶縁膜であるシリコン窒化膜362で絶縁されているため、遮光部360_2と転送電極330_oとの隙間を小さくすることが可能となる。
図4(d)において、遮光部360を覆うように撮像素子108の全面に第2の透明絶縁膜であるシリコン窒化膜363が形成される。ここで、第2の透明絶縁膜であるシリコン窒化膜363の屈折率は約2.0で、厚みは約50nmである。
図4(e)において、シリコン酸化膜による層間絶縁膜321が形成される。
図4(e)の後は、不図示の電極331、層間絶縁膜322、電極332、層間絶縁膜323、電極333、層間絶縁膜324、パッシべーション膜340、平坦化層350、カラーフィルタ層351、平坦化層352、マイクロレンズ353が形成される。
ここで、遮光部360の膜厚は転送電極330_oであるポリシリコンと略同等の膜厚でかつ転送電極330_oと重ならないように形成されているため、層間絶縁膜321の厚みも最小にすることが可能となっている。
本実施例では、タングステンで構成された遮光部360上に形成された第2の透明絶縁膜であるシリコン窒化膜363は、遮光部360に対して反射防止膜として機能するようになっている。同様に、ポリシリコンで構成された転送電極330_o上に形成された第1の透明絶縁膜であるシリコン窒化膜362と第2の透明絶縁膜であるシリコン窒化膜363とは、転送電極330_oに対して反射防止膜として機能するようになっている。また、光電変換部312上に形成された第1の透明絶縁膜であるシリコン窒化膜362と第2の透明絶縁膜であるシリコン窒化膜363とは、光電変換部312に対して反射防止膜として機能するようになっている。
図2の本実施例の撮像素子108の平面図において、撮像素子108の一部に配設される対となる焦点検出用画素は、撮影レンズのF値に対応するために、遮光部360による開口の相対間隔が異なる3種類が設定されている。
また本実施例では、図中1行1列目の焦点検出用画素において遮光部360_1、360_2による開口Pα1が画素の中心に対して左側(−x方向)に配設されているときは、転送電極330_oは画素の中心に対して右側(+x方向)に配設されている。一方、図中2行2列目の焦点検出用画素において遮光部360_3、360_4による開口Pβ1が画素の中心に対して右側(+x方向)に配設されているときは、転送電極330_eは画素の中心に対して左側(−x方向)に配設されている。また本実施例では、焦点検出用画素を配設していない行においても転送電極330_o、330_eは、奇数行では画素の中心に対して右側(+x方向)に、偶数行では画素の中心に対して左側(−x方向)に配設されている。
以下、図5の撮像素子108に配設される焦点検出用画素の受光分布説明図、図6の受光分布の射影説明図を用いて、焦点検出用画素の受光特性を説明する。ここで図5の受光分布説明図は、撮影レンズ200での口径蝕がない場合の例を示している。また、図6に示す受光分布の射影は、図5に示した焦点検出用画素の撮影レンズ200の瞳上の受光分布を図中y方向へ射影をとったもので、焦点検出用画素群により生成される線像分布関数(いわゆる線像)Lを示している。
図2の撮像素子108の平面図において、1行1列目に配置された焦点検出が可能な画素の遮光部360_1、360_2による開口Pα1は、画素中心に対して−x方向に第1の偏位量で偏位している。
図5(a)は、撮像素子108の1行1列目に配設された焦点検出用画素の受光分布説明図である。図5の受光分布説明図は、撮像素子108の製造誤差が無い場合に、撮影レンズ200の瞳上で受光可能な光量分布を示している。図中、白黒の濃淡が受光可能な光量を示しており、白い領域が受光光量が高くなっている。
撮像素子108の1行1列目に配設された画素の遮光部の開口Pα1は、撮影レンズ200の瞳上の領域Sα1を受光可能になっている。図中、撮影レンズ200の光軸(図中x−y軸の交点)から−x方向の位置の受光光量が高くなっている領域Sγは、遮光部360_2と転送電極330_oとの隙間からの漏れ光及び転送電極330_oの一部透過光によるものである。
また、図2の撮像素子108の平面図において、1行1列目に配置された焦点検出が可能な画素に対して対となる焦点検出可能な画素が、斜め方向の隣接する位置(図中2行2列目)に配置されている。対となる焦点検出可能な画素には遮光部360_3、360_4が形成され、遮光部360_3、360_4による開口Pβ1の中心は、画素中心に対して+x方向に第1の偏位量で偏位している。
図5(b)は、撮像素子108の2行2列目に配設された画素の受光分布説明図である。図中、白黒の濃淡が受光可能な光量を示しており、白い領域が受光光量が高くなっている。
撮像素子108の2行2列目に配設された画素の遮光部360_3、360_4による開口Pβ1は、撮影レンズ200の瞳上の領域Sβ1を受光可能になっている。図中、撮影レンズ200の光軸(図中x−y軸の交点)から+x方向の位置の受光光量が高くなっている領域Sγは、遮光部360_3と転送電極330_eとの隙間からの漏れ光及び転送電極330_eの一部透過光によるものである。
撮像素子108の製造誤差が無い場合には、撮影レンズ200の瞳上で受光光量が高くなっている領域の光軸からの距離xα1と距離xβ1は等しい。
図2の撮像素子108の平面図において、1行1列目から−y方向に4画素隣接した行(図中5行目)には、遮光部360_5、360_6が形成された焦点検出可能な画素が配設されている。5行1列目に配置された焦点検出が可能な画素において、遮光部360_5、360_6による開口Pα2の中心は、画素中心に対して−x方向に第1の偏位量とは異なる第2の偏位量で偏位している。
図5(c)は、撮像素子108の5行1列目に配設された画素の受光分布説明図である。図中、白黒の濃淡が受光可能な光量を示しており、白い領域が受光光量が高くなっている。
撮像素子108の5行1列目に配設された画素の遮光部360_5、360_6による開口Pα2は、撮影レンズ200の瞳上の領域Sα2を受光可能になっている。図中、撮影レンズ200の光軸(図中x−y軸の交点)から−x方向の位置の受光光量が高くなっている領域Sγは、遮光部360_6と転送電極330_oとの隙間及び転送電極330_oからの漏れ光及び転送電極330_oの一部透過光によるものである。
また、図2の撮像素子108の平面図において、5行1列目に配置された焦点検出が可能な画素に対して対となる焦点検出可能な画素が、斜め方向の隣接する位置(図中6行2列目)に配置されている。対となる焦点検出可能な画素には、同様に遮光部360_7、360_8が形成され、遮光部360_7、360_8による開口Pβ2の中心は、画素中心に対して+x方向に第2の偏位量で偏位している。
図5(d)は、撮像素子108の6行2列目に配設された画素の受光分布説明図である。図中、白黒の濃淡が受光可能な光量を示しており、白い領域が受光光量が高くなっている。
撮像素子108の6行2列目に配設された画素の遮光部360_7、360_8による開口Pβ2は、撮影レンズ200の瞳上の領域Sβ2を受光可能になっている。図中、撮影レンズ200の光軸(図中x−y軸の交点)から+x方向の位置の受光光量が高くなっている領域Sγは、遮光部360_7と転送電極330_eとの隙間からの漏れ光及び転送電極330_eの一部透過光によるものである。
撮像素子108の製造誤差が無い場合には、撮影レンズ200の瞳上で受光光量が高くなっている領域の光軸からの距離xα2と距離xβ2は等しい。
図2の撮像素子108の平面図において、5行1列目からさらに−y方向に4画素隣接した行(図中9行目)には、遮光部360_9、360_10が形成された焦点検出可能な画素が配設されている。9行1列目に配置された焦点検出が可能な画素において、遮光部360_9、360_10による開口Pα3の中心は、画素中心に対して−x方向に第1及び第2の偏位量とは異なる第3の偏位量で偏位している。
図5(e)は、撮像素子108の9行1列目に配設された画素の受光分布説明図である。図中、白黒の濃淡が受光可能な光量を示しており、白い領域が受光光量が高くなっている。
撮像素子108の9行1列目に配設された画素の遮光部360_9、360_10による開口Pα3は、撮影レンズ200の瞳上の領域Sα3を受光可能になっている。図中、撮影レンズ200の光軸(図中x−y軸の交点)から−x方向の位置の受光光量が高くなっている領域Sγは、遮光部360_10と転送電極330_oとの隙間からの漏れ光及び転送電極330_o の一部透過光によるものである。
また、図2の撮像素子108の平面図において、9行1列目に配置された焦点検出が可能な画素に対して対となる焦点検出可能な画素が、斜め方向の隣接する位置(図中10行2列目)に配置されている。対となる焦点検出可能な画素には、同様に遮光部360_11、360_12が形成され、遮光部360_11、360_12による開口Pβ3の中心は、画素中心に対して+x方向に第3の偏位量で偏位している。
図5(f)は、撮像素子108の10行2列目に配設された画素の受光分布説明図である。図中、白黒の濃淡が受光可能な光量を示しており、白い領域が受光光量が高くなっている。
撮像素子108の10行2列目に配設された画素の遮光部360_11、360_12による開口Pβ3は、撮影レンズ200の瞳上の領域Sβ3を受光可能になっている。図中、撮影レンズ200の光軸(図中x−y軸の交点)から+x方向の位置の受光光量が高くなっている領域Sγは、遮光部360_11と転送電極330_eとの隙間からの漏れ光及び転送電極330_eの一部透過光によるものである。
撮像素子108の製造誤差が無い場合には、撮影レンズ200の瞳上で受光光量が高くなっている領域の光軸からの距離xα3と距離xβ3は等しい。
また、遮光部による開口Pα1を有する焦点検出可能な画素(図2の1行1列目の画素)の+x方向に4画素周期で隣接した位置に同様の開口Pα1を有する焦点検出可能な画素が配設されている。
同様、遮光部よる開口Pβ1を有する焦点検出可能な画素(図中2行2列目の画素)の+x方向に4画素周期で隣接した位置に同様の開口Pβ1を有する焦点検出可能な画素が配設されている。
撮影レンズ200の焦点状態を検出する場合は、開口Pα1を有する焦点検出画素群の及び開口Pβ1を有する焦点検出画素群の信号を出力する。
また、遮光部よる開口Pα2を有する焦点検出可能な画素(図2の5行1列目の画素)の+x方向に4画素周期で隣接した位置に同様の開口Pα2を有する焦点検出可能な画素が配設されている。
同様、遮光部よる開口Pβ2を有する焦点検出可能な画素(図中6行2列目の画素)の+x方向に4画素周期で隣接した位置に同様の開口Pβ2を有する焦点検出可能な画素が配設されている。
図6は、図5に示した焦点検出用画素の撮影レンズ200の瞳上の受光分布を図中y方向へ射影をとったもので、焦点検出用画素群により生成される線像Lを示している。
図6(a)は、図2の撮像素子108の平面図において5行目に配置された開口Pα2を有する焦点検出用画素群により生成される線像Lαを示している。線像Lαにおいて、最も強度の大きい位置から図中−x方向の離れた位置に小さな強度の像が発生している。この像は、遮光部360_6と転送電極330_oとの隙間からの漏れ光及び転送電極330_oの一部透過光により生じる像である。
ところで、転送電極330はポリシリコンにより構成されているため、波長の短い光は吸収するが波長の長い光は透過する。そのため、撮影レンズ200の瞳上の受光分布は光の波長によって変化する。図6(a)に示した線像Lαは、図6(c)に示す緑の光に対する線像Lαgと略等価である。
図6(c)は、図2の撮像素子108の平面図において5行目に配置された開口Pα2を有する焦点検出用画素群により生成される青の光、緑の光及び赤の光に対する線像Lαを示している。青の光に対する線像Lαbは実線で示している。また、緑の光に対する線像Lαgは点線で示している。線像Lαgにおいて最も強度の大きい位置から図中−x方向の離れた位置に漏れ光による像が発生する。この漏れ光による像は、転送電極330_oであるポリシリコンで透過する成分を含むため、青の光の漏れ光による像より緑の光の漏れ光による像の方が大きい。また、赤の光に対する線像Lαrは破線で示している。線像Lαrにおいて最も強度の大きい位置から図中−x方向の離れた位置に漏れ光による像が発生する。この漏れ光による像は、転送電極330_oであるポリシリコンで透過する成分を含むため、緑の光の漏れ光による像より赤の光の漏れ光による像の方が大きい。また線像Lαb、Lαg、Lαrにおいて、撮像素子108の開口Pα2による最も強度の大きい像の位置と半値幅は、撮像素子を構成するマイクロレンズの色収差や回折の影響を受けて波長によって異なっている。
図6(b)は、図2の撮像素子108の平面図において6行目に配置された開口Pβ2を有する焦点検出用画素群により生成される線像Lβを示している。線像Lβにおいて、最も強度の大きい位置から図中+x方向の離れた位置に小さな強度の像が発生している。この像は、遮光部360_7と転送電極330_eとの隙間からの漏れ光及び転送電極330_eの一部透過光により生じる像である。ここで線像Lβは、図6(d)に示す緑の光に対する線像Lβgと略等価である。
図6(d)は、図2の撮像素子108の平面図において6行目に配置された開口Pβ2を有する焦点検出用画素群により生成される青の光、緑の光及び赤の光に対する線像Lβを示している。青の光に対する線像Lβbは実線で示している。また、緑の光に対する線像は、Lβgは点線で示している。線像Lβgにおいて最も強度の大きい位置から図中+x方向の離れた位置に漏れ光による像が発生する。この漏れ光による像は、転送電極330_eであるポリシリコンで透過する成分を含むため、青の光の漏れ光による像より緑の光の漏れ光の像の方が大きい。また、赤の光に対する線像Lβrは破線で示している。線像Lβrにおいて最も強度の大きい位置から図中+x方向の離れた位置に漏れ光による像が発生する。この漏れ光による像は、転送電極330_eであるポリシリコンで透過する成分を含むため、緑の光の漏れ光による像より赤の光の漏れ光の方が大きい。また線像Lβb、Lβg、Lβrにおいて、撮像素子108の開口Pβ2による最も強度の大きい像の位置と半値幅は、撮像素子を構成するマイクロレンズの色収差や回折の影響を受けて波長によって異なっている。
撮影レンズ200の焦点状態を検出する場合は、開口Pα2を有する焦点検出画素群及び開口Pβ2を有する焦点検出画素群の信号を出力する。
また、光電変換部Pα3を有する焦点検出可能な画素(図2の9行1列目)の+x方向に4画素周期で隣接した位置に同様の光電変換部Pα3を有する焦点検出可能な画素が配設されている。
同様、光電変換部Pβ3を有する焦点検出可能な画素(図中10行2列目)の+x方向に4画素周期で隣接した位置に同様の光電変換部Pβ3を有する焦点検出可能な画素が配設されている。
撮影レンズ200の焦点状態を検出する場合は、開口Pα3を有する焦点検出画素群及び開口Pβ3を有する焦点検出画素群の信号を出力する。
ここで図6の受光分布の射影説明図で示すように、開口Pα2を有する焦点検出画素群と開口Pβ2を有する焦点検出画素群の線像は非対称であるため、撮像素子108から出力される焦点検出用画像信号も非対称となる。非対称な焦点検出用画像信号を用いて公知の相関演算を行うと算出誤差を生じてしまうため、焦点検出用画像信号の非対称性をなくす補正が必要となる。焦点検出用画像信号の非対称性をなくす補正方法については後述する。
以下、図7のカメラの電気回路ブロック図と図8のフローチャートを用いて、本発明の撮像素子を有する光学装置であるカメラの撮影動作を説明する。
図8(a)のフローチャートにおいて、カメラ100の不図示の電源がONされると(s100)、カメラ100を制御するカメラCPU150は動画撮影を指示する第1の操作スイッチ151の状態を確認する(s101)。第1の操作スイッチ151がONされ動画撮影が指示されていたら(s101)、カメラCPU150は跳ね上げミラー101及びサブミラー105が撮影光路から退避させるとともに、シャッター駆動回路156を介してシャッター107を開口状態にする。
撮影を行うための準備が整うと、カメラCPU150は撮像素子駆動回路153を介して撮像素子108で被写体の撮影を行う(s102)。撮像素子108で撮影された画像は画像処理回路154で表示用の画像に処理され、液晶表示素子駆動回路155を介して液晶表示素子109に表示される(s103)。さらに、画像処理回路154にて記録用の画像に画像処理された画像は、メモリー回路157に記録される(s104)。ここで、画像を記録するものは、記録メディアでも構わない。
さらにカメラCPU150及び画像処理回路154は焦点検出手段を兼ねており、撮像素子108で撮影された画像に基づいて撮影レンズ200の焦点状態が検出される(s200)。本発明の撮像素子108を用いた焦点検出方法は後述する。
撮影レンズ200が合焦状態でなければ(s106)、カメラCPU150は画像処理回路154で検出された撮影レンズ200のデフォーカス量をレンズCPU250に送信する。レンズCPU250は、撮影レンズ200のデフォーカス量をフォーカスレンズのステップ駆動量に変換したのち、フォーカスレンズ駆動回路251に信号を送信してフォーカスレンズを駆動する(s107)。
引き続きカメラCPU150は動画撮影を指示する第1の操作スイッチ151の状態を確認し、第1の操作スイッチ151がON状態であれば(s101)、動画撮影を継続する(s102)。
一方、動画撮影を指示する第1の操作スイッチ151がOFF状態であれば(s101)、カメラCPU150は静止画撮影を指示する第2の操作スイッチ152の状態を確認する(s108)。第2の操作スイッチ152にて静止画撮影の前段操作(SW−1)が実行されていなければ、カメラCPU150は待機する。
一方、第2の操作スイッチ152にて静止画撮影のため前段操作(SW−1)が実行されると、カメラCPU150は焦点検出装置106の出力より撮影レンズ200の焦点状態を検出する(s109)。静止画撮影時の焦点検出方法は公知の技術である。
撮影レンズ200が合焦状態であれば(s110)、カメラCPU150は静止画撮影を指示する第2の操作スイッチ152の状態を確認する(s112)。一方、撮影レンズ200が合焦状態でなければ(s110)、カメラCPU150は検出された撮影レンズ200のデフォーカス量をレンズCPU250に送信する。レンズCPU250は、撮影レンズ200のデフォーカス量をフォーカスレンズのステップ駆動量に変換したのち、フォーカスレンズ駆動回路251に信号を送信してフォーカスレンズを駆動する(s111)。
さらに、カメラCPU150は静止画撮影を指示する第2の操作スイッチ152の状態を確認する(s112)。第2の操作スイッチ152にて静止画撮影の後段操作(SW−2)が実行されていなければ、カメラCPU150は待機する。
一方、第2の操作スイッチ152にて静止画撮影のため後段操作(SW−2)が実行されると(s112)、カメラCPU150は跳ね上げミラー101及びサブミラー105を撮影光路から退避させる。また、シャッター駆動回路156を介してシャッター107を開口状態にするとともに、絞り駆動回路252を介して絞り204の開口状態を調節する。静止画撮影を行うための準備が整うと、カメラCPU150は撮像素子駆動回路153を介して撮像素子108で被写体の撮影を行う(s113)。撮像素子108で撮影された画像は画像処理回路154で表示用の画像に処理され、液晶表示素子駆動回路155を介して液晶表示素子109に表示される(s114)。さらに、画像処理回路154にて記録用の画像に画像処理された画像は、メモリー回路157に記録される(s115)。ここで、画像を記録するものは、記録メディアでも構わない。
画像の記録が終了すると(s115)、一連のカメラ撮影動作を終了する(s116)。
次に、図8(b)のフローチャートを用いて本発明の撮像素子108を有するカメラの焦点検出フローの詳細を説明する。
まずカメラCPU150(取得手段)は、撮影レンズ200での光束のケラレ状態を知るためにレンズCPU250を介してレンズ情報を取得する又はメモリー回路157から読み出す(s201)。次に、使用者が設定した焦点検出領域を確認する(s202)。さらに、確認された焦点検出領域おける被写体色を画像処理回路154(判定手段)にて判定する(s203)。
次に、CPU150はメモリー回路157(記憶手段)に記憶された撮像素子108の焦点検出用画素の受光分布を読み出す。焦点検出用画素の受光分布は、撮像素子108の光電変換部312を遮光する遮光部360の開口及び波長の違いに対応する複数種類の受光分布が記憶されている。
さらに、CPU150は撮影レンズ200のレンズ情報から設定されている焦点検出領域における口径蝕を計算する。そして画像処理回路154にて、設定されている焦点検出領域における被写体色情報と設定されている焦点検出領域における被写体色に対応した受光分布と撮影レンズ200の口径蝕とから線像分布関数Lを算出する(s204)。
本発明の撮像装置であるカメラ100は、以下に示すように被写体色に対応する撮像素子108の受光特性に基づいて撮影レンズ200の焦点状態を検出するため、被写体の色によらず高精度な焦点検出が可能となっている。
例えば、図2の撮像素子108の平面図の5行目に配設された遮光部360の開口Pα2を有する焦点検出用画素群の線像分布関数をLα、6行目に配設された遮光部360の開口Pβ2を有する焦点検出用画素群の線像分布関数をLβとする。ここで線像分布関数Lは、図6(c)及び図6(d)の射影説明図に示したように、被写体色によって異なる特性となる。
撮影レンズ200の異なる瞳領域を透過する光束より生成される2像を用いて撮影レンズ200の焦点状態を検出する場合、瞳領域を透過する光束の重心位置により焦点検出精度が決まってくる。撮影レンズ200の異なる瞳領域を通過する光束の重心間隔を基線長と呼び、基線長は画像処理回路154にて撮影レンズ200の異なる瞳領域を透過する焦点検出用画素の受光分布の射影である線像分布関数の重心の間隔から算出される。
遮光部360の開口Pα2を有する焦点検出用画素群線の線像分布関数Lαの重心は、
と求められる。同様に、遮光部360の開口Pβ2を有する焦点検出用画素群の線像分布関数Lβの重心は、
と求められ。これらの計算結果から基線長Gは、
と求められる(s205)。
本実施例の撮像素子108は、遮光部360と転送電極330との隙間を最小にしているため、遮光部360と転送電極330との隙間からの漏れ光により生じる像の強度は小さい。その結果、遮光部360と転送電極330との隙間からの漏れ光による基線長の変化の影響を最小にしている。
次に、画像処理回路154にて先に求めた線像分布関数Lα、Lβに基づいて撮像素子108の出力像の均一性を修正する修正データを算出し、焦点検出用画像の出力の偏りを補正(いわゆるシェーディング補正)する(s206)。
さらに画像処理回路154にて、シェーディング補正後の焦点検出用画像を用いて公知の相関演算方法により像ズレ量を求め、式(1)〜(3)で算出した基線長を用いて、暫定的なデフォーカス量を求める(s207)。
算出された暫定デフォーカス量が所定の範囲内であるかどうかをCPU150によって判定する(s208)。暫定デフォーカス量が所定の範囲内であると判定された場合には(s208)、さらに精度良くデフォーカス量を算出するために焦点検出用画像の像修正処理を行う。一方、暫定デフォーカス量が所定の範囲外であると判定された場合には(s208)、メインルーチンに復帰する(s213)。
暫定デフォーカス量が所定の範囲外である場合に像修正処理を行わないのは、デフォーカス量が大きすぎると像修正処理により焦点検出用画像がさらにボケることから、相関演算が困難になるからである。一方、デフォーカス量が小さいときには、2像の非対称性があまり崩れていないので像修正をしなくてもよいからである。以上2点の理由により、像修正は所定のデフォーカス範囲内でのみ行う方が効果的である。
暫定デフォーカス量が所定の範囲内であると判定され(s208)、焦点検出用画像の像修正処理を行うためにCPU150はまず撮像素子108の出力像を修正するためのフィルタ形状を算出し、フィルタLα′、Lβ′を作成する(s209)。像修正フィルタLα′、Lβ′は、既に求められた線像分布関数Lα、Lβと算出された暫定デフォーカス量に基づいて求められる。
像修正フィルタLα′、Lβ′が作成されると(s209)、撮像素子108で出力された焦点検出用画像Iα、Iβの非対称性をなくすためのフィルタ処理が画像処理回路154にて行われる(s210)。修正後の焦点検出用画像をIα′、Iβ′とすると、
と算出される。
焦点検出用画像に対してフィルタ処理を行ったため、基線長算出のための線像分布関数にもフィルタ処理を行って基線長を再計算する(s211)。
先ず線像分布関数Lαにフィルタ処理を行った修正線像Lcαは、画像処理回路154にて、
と算出される。よって、修正線像Lcαの重心をGα’とすると、
と求められる。
同様に、線像分布関数Lβにフィルタ処理を行った修正線像Lcβは、画像処理回路154にて、
と算出される。よって、修正線像Lcβの重心をGβ’とすると、
と求められる。よって、求める基線長をG’とすると、
と求められる(S211)。
さらに、式(4)(5)で求められた修正された焦点検出用画像被写体像Iα′、Iβ′を用いて、公知の相関演算方法により2つの像の像ズレ量を画像処理回路154にて算出して焦点状態を検出する。さらに、式(6)〜(10)で求めた修正基線長を用いて、デフォーカス量を求める(s212)。デフォーカス量が算出されると、メインルーチンに復帰する(s213)。
以上のような構成によれば、焦点検出用の光束のケラレ状態に応じて像の修復が可能となり、合焦精度を向上させることが可能となる。
本実施例の撮像素子108は、第1の透明絶縁膜と第2の透明絶縁膜の組成が異なり第1の透明絶縁膜の屈折率は第2の透明絶縁膜の屈折率より小さい場合を示したが、第1の透明絶縁膜と第2の透明絶縁膜の組成が同じで屈折率も同じであっても構わない。
また、光電変換部312及び転送電極330での反射防止効果を得るために第1の透明絶縁膜であるシリコン窒化膜362の膜厚は約11nmとしたが、より絶縁性を確保するために膜厚を厚くしても構わない。
また、転送電極330と遮光部360との隙間を極小にすることができれば、図9の撮像素子の平面図に示すように、遮光部360の開口部に対してより近い側(1行1列目の画素において−x方向側)に転送電極330を配置することも可能である。
図10〜図14は本発明の第2の実施例で、図10は本発明の撮像素子の一部平面図、図11は本発明の撮像素子の焦点検出画素の平面図、図12は本発明の撮像素子の製造プロセス説明図である。また、図13は本発明の撮像素子に配設される焦点検出用画素の受光分布説明図、図14は図13の受光分布の射影説明図である。本発明の撮像素子を有するカメラは第1の実施例と同様なので説明は省略する。また、第1の実施例と同一の部材には、同一の番号が付番されている。
本発明の撮像素子108の画素配置を図10の平面図で説明する。
撮像素子108を構成する各画素の周辺部には、迷光防止用の遮光部360_0が配設されている。また、各画素中に書かれた「R」「G」「B」の文字は各画素のカラーフィルタの色相を表している。「R」の文字の書かれた画素は赤の成分の光を透過し、「G」の文字の書かれた画素は緑の成分の光を透過し、「B」の文字の書かれた画素は青の成分の光を透過する。
カラーフィルタの配列がベイヤ配列の場合、1絵素は「R」「B」の画素と2つの「G」の画素から構成されるが、本発明の撮像素子108は「G」に相当する画素の一部に、撮影レンズ200の焦点検出が可能な焦点検出用画素が割り当てられている。
図中、Pα1、Pβ1、Pα2、Pβ2、Pα3、Pβ3は撮影レンズ200の焦点状態を検出するための画素の遮光部360の開口を示している。また本実施例では、遮光部360の開口の長手方向(図中y方向)と平行な方向(いわゆる相関演算方向または瞳分割方向と直交方向)に偏位した位置に転送電極330が配設されている。そのため後述するように、遮光部360と転送電極330との隙間及び転送電極330から光電変換部312に漏れる光によって生じる焦点検出用画像の非対称性は小さくなっている。
図11は、図10に示した撮像素子の平面図の1行1列目の焦点検出用画素の説明図である。図12は、本発明の撮像素子108の製造プロセスの一部の説明図で、図11に示した焦点検出用画素のE−E′断面を例に説明する。
図12(a)において、n型シリコン基板310にp型のウエル領域311が形成され、さらにこのウエル領域311の表面にn型の光電変換部312が形成される。次に、シリコン基板310を熱酸化することによりシリコン基板310表面上にシリコン酸化膜361が形成される。さらに、転送電極330であるポリシリコンが形成される。
図12(b)において、撮像素子108の全面に第1の透明絶縁膜であるシリコン窒化膜362が形成される。ここで、第1の透明絶縁膜であるシリコン窒化膜362の屈折率は約2.0で、厚みは約10nmである。
図12(c)において、シリコン窒化膜362上にタングステンである遮光部360が形成される。遮光部360の膜厚は転送電極330であるポリシリコンと略同等の膜厚で、転送電極330と光軸方向において重ならないように形成される。ここで、遮光部360_1及び遮光部360_2と転送電極330とは第1の透明絶縁膜であるシリコン窒化膜362で絶縁されているため、遮光部360_1と転送電極330との隙間及び遮光部360_2と転送電極330との隙間を小さくすることが可能となる。
図12(d)において、遮光部360を覆うように撮像素子108の全面に第2の透明絶縁膜であるシリコン窒化膜363が形成される。ここで、第2の透明絶縁膜であるシリコン窒化膜363の屈折率は約2.0で、厚みは約50nmである。
図12(e)において、シリコン酸化膜による層間絶縁膜321が形成される。
図12(e)の後は、不図示の電極331、層間絶縁膜322、電極332、層間絶縁膜323、電極333、層間絶縁膜324、パッシべーション膜340、平坦化層350、カラーフィルタ層351、平坦化層352、マイクロレンズ353が形成される。
ここで、遮光部360の膜厚は転送電極330であるポリシリコンと略同等の膜厚でかつ転送電極330と重ならないように形成されているため、層間絶縁膜321の厚みも最小にすることが可能となっている。
本実施例では、タングステンで構成された遮光部360上に形成された第2の透明絶縁膜であるシリコン窒化膜363は、遮光部360に対して反射防止膜として機能するようになっている。同様に、ポリシリコンで構成された転送電極330上に形成された第1の透明絶縁膜であるシリコン窒化膜362と第2の透明絶縁膜であるシリコン窒化膜363とは、転送電極330に対して反射防止膜として機能するようになっている。また、光電変換部312上に形成された第1の透明絶縁膜であるシリコン窒化膜362と第2の透明絶縁膜であるシリコン窒化膜363とは、光電変換部312に対して反射防止膜として機能するようになっている。
図10の本実施例の撮像素子108の平面図において、撮像素子108の一部に配設される対となる焦点検出用画素は、遮光部360による開口の相対間隔は同じでその位置が異なる3種類が設定されている。これは、撮像素子108の製造誤差により遮光部360の開口とマイクロレンズ353の相対位置関係が所望のものにできなかった場合の対策である。
以下、図13の撮像素子108に配設される焦点検出用画素の受光分布説明図、図14の受光分布の射影説明図を用いて、焦点検出用画素の受光特性を説明する。ここで図13の受光分布説明図は、撮影レンズ200での口径蝕がない場合の例を示している。また、図14に示す受光分布の射影は、図13に示した焦点検出用画素の撮影レンズ200の瞳上の受光分布を図中y方向へ射影をとったもので、焦点検出用画素群により生成される線像分布関数(いわゆる線像)Lを示している。
図10の撮像素子108の平面図において、1行1列目に配置された焦点検出が可能な画素の遮光部360_1、360_2による開口Pα1は、画素中心に対して−x方向に第1の偏位量で偏位している。
図13(a)は、撮像素子108の1行1列目に配設された焦点検出用画素の受光分布説明図である。図13の受光分布説明図は、撮像素子108の製造誤差が無い場合に、撮影レンズ200の瞳上で受光可能な光量分布を示している。図中、白黒の濃淡が受光可能な光量を示しており、白い領域が受光光量が高くなっている。
撮像素子108の1行1列目に配設された画素の遮光部開口Pα1は、撮影レンズ200の瞳上の領域Sα1を受光可能になっている。図中、撮影レンズ200の光軸(図中x−y軸の交点)から+y方向の位置の受光光量が高くなっている領域Sγは、遮光部360_1、360_2と転送電極330との隙間からの漏れ光及び転送電極330の一部透過光によるものである。
また、図10の撮像素子108の平面図において、1行1列目に配置された焦点検出が可能な画素に対して対となる焦点検出可能な画素が、斜め方向の隣接する位置(図中2行2列目)に配置されている。対となる焦点検出可能な画素には遮光部360_3、360_4が形成され、遮光部360_3、360_4による開口Pβ1の中心は、画素中心に対して+x方向に第3の偏位量で偏位している。
図13(b)は、撮像素子108の2行2列目に配設された画素の受光分布説明図である。図中、白黒の濃淡が受光可能な光量を示しており、白い領域が受光光量が高くなっている。
撮像素子108の2行2列目に配設された画素の遮光部360_3、360_4による開口Pβ1は、撮影レンズ200の瞳上の領域Sβ1を受光可能になっている。図中、撮影レンズ200の光軸(図中x−y軸の交点)から+y方向の位置の受光光量が高くなっている領域Sγは、遮光部360_3、360_4と転送電極330との隙間からの漏れ光及び転送電極330の一部透過光によるものである。
撮像素子108の製造誤差が無い場合には、撮影レンズ200の瞳上で受光光量が高くなっている領域の光軸からの距離xα1と距離xβ1の和は所定の値になる。
図10の撮像素子108の平面図において、1行1列目から−y方向に4画素隣接した行(図中5行目)には、遮光部360_5、360_6が形成された焦点検出可能な画素が配設されている。5行1列目に配置された焦点検出が可能な画素において、遮光部360_5、360_6による開口Pα2の中心は、画素中心に対して−x方向に第1の偏位量とは異なる第2の偏位量で偏位している。
図13(c)は、撮像素子108の5行1列目に配設された画素の受光分布説明図である。図中、白黒の濃淡が受光可能な光量を示しており、白い領域が受光光量が高くなっている。
撮像素子108の5行1列目に配設された画素の遮光部360_5、360_6による開口Pα2は、撮影レンズ200の瞳上の領域Sα2を受光可能になっている。図中、撮影レンズ200の光軸(図中x−y軸の交点)から+y方向の位置の受光光量が高くなっている領域Sγは、遮光部360_5、360_6と転送電極330との隙間からの漏れ光及び転送電極330の一部透過光によるものである。
また、図10の撮像素子108の平面図において、5行1列目に配置された焦点検出が可能な画素に対して対となる焦点検出可能な画素が、斜め方向の隣接する位置(図中6行2列目)に配置されている。対となる焦点検出可能な画素には、同様に遮光部360_7、360_8が形成され、遮光部360_7、360_8による開口Pβ2の中心は、画素中心に対して+x方向に第2の偏位量で偏位している。
図13(d)は、撮像素子108の6行2列目に配設された画素の受光分布説明図である。図中、白黒の濃淡が受光可能な光量を示しており、白い領域が受光光量が高くなっている。
撮像素子108の6行2列目に配設された画素の遮光部360_7、360_8による開口Pβ2は、撮影レンズ200の瞳上の領域Sβ2を受光可能になっている。図中、撮影レンズ200の光軸(図中x−y軸の交点)から+y方向の位置の受光光量が高くなっている領域Sγは、遮光部360_7、360_8と転送電極330との隙間からの漏れ光及び転送電極330の一部透過光によるものである。
撮像素子108の製造誤差が無い場合には、撮影レンズ200の瞳上で受光光量が高くなっている領域の光軸からの距離xα2と距離xβ2の和は所定の値になり、上記距離xα1と距離xβ1の和と等しい。
図10の撮像素子108の平面図において、5行1列目からさらに−y方向に4画素隣接した行(図中9行目)には、遮光部360_9、360_10が形成された焦点検出可能な画素が配設されている。9行1列目に配置された焦点検出が可能な画素において、遮光部360_9、360_10による開口Pα3の中心は、画素中心に対して−x方向に第1及び第2の偏位量とは異なる第3の偏位量で偏位している。
図13(e)は、撮像素子108の9行1列目に配設された画素の受光分布説明図である。図中、白黒の濃淡が受光可能な光量を示しており、白い領域が受光光量が高くなっている。
撮像素子108の9行1列目に配設された画素の遮光部360_9、360_10による開口Pα3は、撮影レンズ200の瞳上の領域Sα3を受光可能になっている。図中、撮影レンズ200の光軸(図中x−y軸の交点)から+y方向の位置の受光光量が高くなっている領域Sγは、遮光部360_9、360_10と転送電極330との隙間からの漏れ光及び転送電極330の一部透過光によるものである。
また、図10の撮像素子108の平面図において、9行1列目に配置された焦点検出が可能な画素に対して対となる焦点検出可能な画素が、斜め方向の隣接する位置(図中10行2列目)に配置されている。対となる焦点検出可能な画素には、同様に遮光部360_11、360_12が形成され、遮光部360_11、360_12による開口Pβ3の中心は、画素中心に対して+x方向に第1の偏位量で偏位している。
図13(f)は、撮像素子108の10行2列目に配設された画素の受光分布説明図である。図中、白黒の濃淡が受光可能な光量を示しており、白い領域が受光光量が高くなっている。
撮像素子108の10行2列目に配設された画素の遮光部360_11、360_12による開口Pβ3は、撮影レンズ200の瞳上の領域Sβ3を受光可能になっている。図中、撮影レンズ200の光軸(図中x−y軸の交点)から+y方向の位置の受光光量が高くなっている領域Sγは、遮光部360_11、360_12と転送電極330との隙間からの漏れ光及び転送電極330の一部透過光によるものである。
撮像素子108の製造誤差が無い場合には、撮影レンズ200の瞳上で受光光量が高くなっている領域の光軸からの距離xα3と距離xβ3の和は所定の値となり、上記距離xα1と距離xβ1の和や上記距離xα2と距離xβ2の和と等しい。
また、遮光部による開口Pα1を有する焦点検出可能な画素(図10の1行1列目の画素)の+x方向に4画素周期で隣接した位置に同様の開口Pα1を有する焦点検出可能な画素が配設されている。
同様、遮光部よる開口Pβ1を有する焦点検出可能な画素(図中2行2列目の画素)の+x方向に4画素周期で隣接した位置に同様の開口Pβ1を有する焦点検出可能な画素が配設されている。
撮影レンズ200の焦点状態を検出する場合は、開口Pα1を有する焦点検出画素群の及び開口Pβ1を有する焦点検出画素群の信号を出力する。
また、遮光部よる開口Pα2を有する焦点検出可能な画素(図10の5行1列目の画素)の+x方向に4画素周期で隣接した位置に同様の開口Pα2を有する焦点検出可能な画素が配設されている。
同様、遮光部よる開口Pβ2を有する焦点検出可能な画素(図中6行2列目の画素)の+x方向に4画素周期で隣接した位置に同様の開口Pβ2を有する焦点検出可能な画素が配設されている。
図14は、図13に示した焦点検出用画素の撮影レンズ200の瞳上の受光分布を図中y方向へ射影をとったもので、焦点検出用画素群により生成される線像Lを示している。
図14(a)は、図10の撮像素子108の平面図において5行目に配置された開口Pα2を有する焦点検出用画素群により生成される線像Lαを示している。本実施例の撮像素子108では、遮光部360の開口の長手方向と平行な方向(いわゆる相関演算方向または瞳分割方向と直交方向)に偏位した位置に転送電極330が配設されている。そのため、遮光部360と転送電極330との隙間及び転送電極330から光電変換部312に漏れる光による線像Lαの変化は小さい。
ところで、転送電極330はポリシリコンにより構成されているため、波長の短い光は吸収するが波長の長い光は透過する。そのため、撮影レンズ200の瞳上の受光分布は光の波長によって変化する。図14(a)に示した線像Lαは、図14(c)に示す緑の光に対する線像Lαgと略等価である。
図14(c)は、図10の撮像素子108の平面図において5行目に配置された開口Pα2を有する焦点検出用画素群により生成される青の光、緑の光及び赤の光に対する線像Lαを示している。青の光に対する線像Lαbは実線で示している。また、緑の光に対する線像Lαgは点線で示している。線像Lαgにおいて、最も強度の大きい位置の周辺に転送電極330であるポリシリコンで透過する成分が生じる。また、赤の光に対する線像Lαrは破線で示している。線像Lαrにおいて最も強度の大きい位置の周辺に、転送電極330であるポリシリコンで透過する成分が生じる。赤の光の透過成分は、緑の光の透過成分より大きい。
図14(b)は、図10の撮像素子108の平面図において6行目に配置された開口Pβ2を有する焦点検出用画素群により生成される線像Lβを示している。本実施例の撮像素子108では、遮光部360の開口の長手方向と平行な方向(いわゆる相関演算方向または瞳分割方向と直交方向)に偏位した位置に転送電極330が配設されている。そのため、遮光部360と転送電極330との隙間及び転送電極330から光電変換部312に漏れる光による線像Lβの変化は小さい。ここで線像Lβは、図14(d)に示す緑の光に対する線像Lβgと略等価である。
図14(d)は、図10の撮像素子108の平面図において6行目に配置された開口Pβ2を有する焦点検出用画素群により生成される青の光、緑の光及び赤の光に対する線像Lβを示している。青の光に対する線像Lβbは実線で示している。また、緑の光に対する線像は、Lβgは点線で示している。線像Lβgにおいて最も強度の大きい位置の周辺に、転送電極330であるポリシリコンで透過する成分が生じる。また、赤の光に対する線像Lβrは破線で示している。線像Lβrにおいて最も強度の大きい位置の周辺に転送電極330であるポリシリコンで透過する成分が生じる。赤の光の透過成分は、緑の光の透過成分より大きい。
焦点検出用画素の受光分布は、撮像素子の光電変換部を遮光する遮光部の開口及び波長の違いに対応する複数種類がカメラのメモリー回路に記憶されている。
撮影レンズ200の焦点状態を検出する場合は、開口Pα2を有する焦点検出画素群及び開口Pβ2を有する焦点検出画素群の信号を出力する。
また、光電変換部Pα3を有する焦点検出可能な画素(図10の9行1列目の画素)の+x方向に4画素周期で隣接した位置に同様の光電変換部Pα3を有する焦点検出可能な画素が配設されている。
同様、光電変換部Pβ3を有する焦点検出可能な画素(図中10行2列目の画素)の+x方向に4画素周期で隣接した位置に同様の光電変換部Pβ3を有する焦点検出可能な画素が配設されている。
撮影レンズ200の焦点状態を検出する場合は、開口Pα3を有する焦点検出画素群及び開口Pβ3を有する焦点検出画素群の信号を出力する。
撮像素子108より焦点検出用画像信号が出力されると、公知の相関演算法を用いて撮影レンズ200の焦点状態が検出される。
本実施例では、遮光部360の開口の長手方向(図中y方向)と平行な方向(いわゆる相関演算方向または瞳分割方向と直交方向)に偏位した位置に転送電極330が配設されている。そのため、遮光部360と転送電極330との隙間及び転送電極330から光電変換部312に漏れる光によって生じる焦点検出用画像の非対称性は小さくなっている。
また本発明の撮像装置であるカメラ100は、第1の実施例と同様に被写体色に対応する撮像素子108の受光特性に基づいて撮影レンズ200の焦点状態を検出するため、被写体の色によらず高精度な焦点検出が可能となっている。