JP2012223137A - デンプン顆粒結合型デンプン合成酵素をコードする核酸、プライマー対、抑制剤およびモチ性ソバ属植物 - Google Patents

デンプン顆粒結合型デンプン合成酵素をコードする核酸、プライマー対、抑制剤およびモチ性ソバ属植物 Download PDF

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Abstract

【課題】ソバ属植物において、モチ形質を発現させ、モチ形質を発現し、もちもちした食感を与える食材や高アミロペクチン含有量のデンプンなどの素材を得ることなどを可能にする、核酸、プライマー対、抑制剤およびモチ性ソバ属植物を提供する。
【解決手段】特定の塩基配列、またはそのバリアントのアミノ酸配列に対応する塩基配列、あるいは異なった特定の塩基配列からなる核酸、該核酸に基づき作製されたプライマー対、抑制剤およびモチ性ソバ属植物。
【選択図】なし

Description

本発明は、デンプン顆粒結合型デンプン合成酵素をコードする核酸、プライマー対、抑制剤およびモチ性ソバ属植物に関する。さらに詳しくは、ソバ属植物の品種改良、新たな食感を与えるソバ麺などの開発、素材の開発や供給などに有用な、デンプン顆粒結合型デンプン合成酵素をコードする核酸、プライマー対、抑制剤およびモチ性ソバ属植物に関する。
普通ソバなどのソバ属植物は、イネ科植物にと比べて、荒地であってもよく生育し、しかも、気象や土壌などの環境に対する適応性が高い。また、ソバ属植物の生育期間は、約70〜90日間と比較的短い。また、ソバ属植物の種子には、デンプン、ポリフェノールの1種であるルチン、タンパク質、ミネラルなどの栄養成分が豊富に含まれている。したがって、ソバ属植物は、栄養成分の供給源として有用である。また、ソバ属植物は、イネ、麦などのイネ科植物などが不作である場合に備えるための救荒植物の1つとして有用である。
前記ソバ属植物の種子は、例えば、ソバ粉などの原料として用いられる。また、このソバ粉は、ソバ麺などの加工食品に用いられている。ソバ麺は、一般的に、つるつるした滑らかさ、腰の強い歯応えのある食感を与える。しかしながら、近年の食嗜好の多様化に伴い、様々な食感のソバ麺が求められている。
かかるソバ麺の食感を調整する方法として、乳化剤、多糖類、グルテンなどの添加物を用いる方法、タンパク質含有量および平均粒径が所定の値であるソバ粉を、通常のソバ粉に配合する方法などが提案されている(例えば、特許文献1などを参照)。
しかしながら、ソバ属植物は、一般的に、ウルチ形質を有するため、ソバ粉は、アミロース含有量が高く、もちもちした食感を与えにくい傾向にある。そのため、ソバ粉のみでは、もちもちした食感を与えるソバ麺を開発することは困難であると考えられる。そこで、交配により、モチ形質を有するソバ属植物を作製し、もちもちした食感を与えるソバ粉を製造することが考えられる。
特開2009−112253号公報
しかしながら、ソバ属植物は、イネ科植物などと異なり、自家不和合性の完全他殖性植物である。そのため、ソバ属植物では、1個体に、機能を欠損した突然変異対立遺伝子が出現したとしても、次世代において、前記突然変異対立遺伝子がホモ接合となる可能性はきわめて低くなる。加えて、ソバ属植物においては、たとえ変異型対立遺伝子をホモに持つ個体が出現したとしても、その花粉親が正常対立遺伝子を持っていれば胚乳は、優性遺伝子の形質を示す。また、ウルチ形質に関連する遺伝子は、一般的に、モチ形質に関連する遺伝子に対して、優性である。そのため、ソバ属植物において、モチ形質を示す品種の確認は困難である。さらに、本発明者らは、現時点では、ソバ属植物において、モチ形質の発現に関与する因子を具体的に記載した文献を発見していない。
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、ソバ属植物において、モチ形質を発現させ、もちもちした食感を与える食材や高アミロペクチン含有量のデンプンなどの素材を得ることなどを可能にする、核酸、プライマー対、抑制剤およびモチ性ソバ属植物を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の要旨は、
〔1〕 デンプン顆粒結合型デンプン合成酵素をコードする単離された核酸であって、
(A)配列番号:3に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする塩基配列、
(B)配列番号:2に示される塩基配列からなる核酸の相補鎖とストリンジェントな条件下にハイブリダイズする核酸の配列であり、コードされたポリペプチドがデンプン顆粒結合型デンプン合成酵素の活性を示す塩基配列、および
(C)配列番号:3のアミノ酸番号76〜602からなる第1配列に対応する領域における前記第1配列に対する配列同一性が少なくとも76%であるアミノ酸配列をコードし、かつコードされるポリペプチドがデンプン顆粒結合型デンプン合成酵素の活性を示す塩基配列
からなる群より選ばれた塩基配列を含有してなる核酸、
〔2〕 ソバ属植物のデンプン顆粒結合型デンプン合成酵素をコードする核酸を同定または増幅するのに用いられるプライマー対であって、
前記〔1〕に記載の核酸の連続した一部を含有し、かつ少なくとも15ヌクレオチド長の第1のオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、
前記〔1〕に記載の核酸に対応する相補鎖の連続した一部を含有し、かつ少なくとも15ヌクレオチド長の第2のオリゴヌクレオチドからなるプライマーと
を含有するプライマー対、
〔3〕 (A)配列番号:3に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする塩基配列、
(B)配列番号:2に示される塩基配列からなる核酸の相補鎖とストリンジェントな条件下にハイブリダイズする核酸の配列であり、コードされたポリペプチドがデンプン顆粒結合型デンプン合成酵素の活性を示す塩基配列、および
(C)配列番号:3のアミノ酸番号76〜602からなる第1配列に対応する領域における前記第1配列に対する配列同一性が少なくとも76%であるアミノ酸配列をコードし、かつコードされるポリペプチドがデンプン顆粒結合型デンプン合成酵素の活性を示す塩基配列
からなる群より選ばれた塩基配列からなる遺伝子がノックアウトまたはノックダウンされてなるモチ性ソバ属植物、ならびに
〔4〕 ソバ属植物における前記〔1〕に記載の核酸の機能を抑制する抑制剤であって、
(I)前記〔1〕に記載の核酸の相補鎖もしくはその一部からなるアンチセンス核酸、
(II)前記〔1〕に記載の核酸の塩基配列に基づき設計された21〜23塩基対の二本鎖RNAからなり、前記〔1〕に記載の核酸の発現をRNAi効果により抑制するsiRNA、または
(III)前記〔1〕に記載の核酸に含まれる遺伝子に対する変異型対立遺伝子の核酸
を含有していることを特徴とする抑制剤
に関する。
本発明の核酸、プライマー対、抑制剤およびモチ性ソバ属植物によれば、ソバ属植物において、モチ形質を発現させ、もちもちした食感を与える食材や高アミロペクチン含有量のデンプンなどの素材を得ることなどが可能になる。
(A)は、実施例3において、形質転換後の普通ソバの花序における導入核酸の発現分布を調べた結果を示す図面代用写真である。(B)は、実施例3において、形質転換後の普通ソバの葯における導入核酸の発現分布を調べた結果を示す図面代用写真である。(C)は、実施例3において、形質転換後の普通ソバの花粉における導入核酸の発現分布を調べた結果を示す図面代用写真である。
1.デンプン顆粒結合型デンプン合成酵素をコードする核酸
本発明の核酸は、デンプン顆粒結合型デンプン合成酵素をコードする単離された核酸であって、
(A)配列番号:3に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする塩基配列、
(B)配列番号:2に示される塩基配列からなる核酸の相補鎖とストリンジェントな条件下にハイブリダイズする核酸の配列であり、コードされたポリペプチドがデンプン顆粒結合型デンプン合成酵素の活性を示す塩基配列、および
(C)配列番号:3のアミノ酸番号76〜602からなる第1配列に対応する領域における前記第1配列に対する配列同一性が少なくとも76%であるアミノ酸配列をコードし、かつコードされるポリペプチドがデンプン顆粒結合型デンプン合成酵素の活性を示す塩基配列
からなる群より選ばれた塩基配列を含有している核酸である。本発明の核酸は、単離された核酸である。
本発明の核酸は、前記塩基配列を有しているため、ソバ属植物において、デンプン顆粒結合型デンプン合成酵素の活性を発現することができる。したがって、かかる核酸を標的として制御することにより、ソバ属植物におけるウルチ形質およびモチ形質の発現を制御することが可能になる。
前記(A)の塩基配列からなる核酸は、例えば、普通ソバの種子の胚乳などから単離することができる。
また、本発明の核酸は、デンプン顆粒結合型デンプン合成酵素の活性を示すのであれば、前記(A)の塩基配列からなる核酸のバリアントも包含する。かかるバリアントとしては、例えば、前記(B)の塩基配列からなる核酸、前記(C)の塩基配列からなる核酸などが挙げられる。
前記(B)において、「ストリンジェントな条件」とは、例えば、前記相補鎖と、前記相補鎖に対応するハイブリダイゼーション対象の核酸とを、ハイブリダイゼーション用溶液〔組成:6×SSC(組成:0.9M塩化ナトリウム、0.09Mクエン酸ナトリウム、pH7.0に調整)、0.5質量%ドデシル硫酸ナトリウム、5×デンハルト溶液、100μg/ml変性サケ***DNA、50体積%ホルムアミド〕中で、室温、よりストリンジェントな条件として42℃以上、さらにストリンジェントな条件として60℃以上の温度で10時間インキュベーションし、つぎに、例えば、2×SSC、よりストリンジェントな条件として0.1×SSCのイオン強度条件下で、かつ室温、よりストリンジェントな条件として42℃以上、さらにストリンジェントな条件として60℃以上の温度で洗浄を行なう条件などが挙げられる。前記ストリンジェントな条件は、デンプン顆粒結合型デンプン合成酵素の活性を十分に発現させる観点から、ストリンジェンシーが高いほど好ましい。また、「相補鎖」とは、前記配列番号:3に示されるアミノ酸配列をコードする核酸に対して完全に相補的な核酸をいう。
配列番号:3のアミノ酸番号76〜602からなる第1配列は、配列番号:3に示されるアミノ酸配列から、変異しやすいと考えられる領域(配列番号:3のアミノ酸番号:1〜75)を除いた配列である。本明細書において、「第1配列に対応する領域における前記第1配列に対する配列同一性」とは、前記第1配列のアミノ酸配列(参照配列)に対して、評価対象の配列中の前記第1配列に対応する領域の配列(クエリー配列)を、Expect threshold:10、word size:3、Gap Costs(Existence 11、Extension 1)およびMatrix: BLSUM62の条件でBLASTアルゴリズムに基づくPROTEIN BLASTを用いてアライメントして算出された値をいう。
前記(C)において、前記配列同一性は、十分なデンプン顆粒結合型デンプン合成酵素活性を確保する観点から、76%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは100%である。
これらのバリアントは、具体的には、配列番号:3に示されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、付加または挿入を有する配列からなるポリペプチドをコードする核酸などが挙げられる。前記「1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、付加または挿入」は、本発明の目的を阻害しない範囲で、配列番号:3に示されるアミノ酸配列の内部、C末端およびN末端の少なくともいずれかに存在してもよい。なかでも、前述したように、配列番号:3のアミノ酸番号:1〜75からなる配列は変異しやすいと考えられる配列であるため、かかる配列において、1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、付加または挿入を有していてもよい。
ここで、「1または数個」とは、前記デンプン顆粒結合型デンプン合成酵素の活性を示すポリペプチドを構成する程度の範囲の個数をいい、1〜30個、好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜3個をいう。なお、前記置換は、配列番号:3に示されるアミノ酸配列の内部に存在するものである場合、デンプン顆粒結合型デンプン合成酵素の活性を十分に発現させる観点から、好ましくは保存的置換である。かかる保存的置換としては、例えば、特定のアミノ酸残基と、疎水性、電荷、pK、立体構造上における特徴などに類似した機能を発揮するアミノ酸残基(以下、本明細書においては、類似アミノ酸残基ともいう)との置換などが挙げられる。
前記保存的置換としては、より具体的には、例えば、グリシン残基およびアラニン残基の相互間での置換、バリン残基、イソロイシン残基およびロイシン残基の相互間での置換、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、アスパラギン残基およびグルタミン残基の相互間での置換、セリン残基およびスレオニン残基の相互間での置換、リジン残基およびアルギニン残基の相互間での置換、フェニルアラニン残基およびチロシン残基の相互間での置換などが挙げられる。
デンプン顆粒結合型デンプン合成酵素の活性は、例えば、5質量%ヨウ化カリウム溶液に植物体を浸漬させたときに、ヨウ素デンプン反応によって生じる青色色素を定量することにより、測定することができる。
また、本発明の核酸を保持するソバ属植物におけるデンプン顆粒結合型デンプン合成酵素の活性の発現の有無は、ソバ属植物の種子の胚乳のデンプンにおけるアミロースの有無により調べることができる。ここで、例えば、胚乳のデンプン中にアミロースが含まれている場合、ソバ属植物におけるデンプン顆粒結合型デンプン合成酵素の活性が発現していることを示す。一方、胚乳のデンプン中にアミロースが含まれていない場合、ソバ属植物におけるデンプン顆粒結合型デンプン合成酵素の活性が発現していないことを示す。
本発明の核酸をソバ属植物に導入する場合には、例えば、イン・プランタ(in planta)でのアグロバクテリウム法、エレクトロポレーション法、パーティクルガン法などを用いることができる。
2.プライマー対
本発明のプライマー対は、ソバ属植物のデンプン顆粒結合型デンプン合成酵素をコードする核酸を同定または増幅するのに用いられるプライマー対であって、前記核酸〔前記(A)〜(C)のいずれかの塩基配列からなる核酸〕の連続した一部を含有し、かつ少なくとも15ヌクレオチド長の第1のオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、前記核酸に対応する相補鎖の連続した一部を含有し、かつ少なくとも15ヌクレオチド長の第2のオリゴヌクレオチドからなるプライマーとを含有することを特徴としている。
かかるプライマー対は、前記(A)〜(C)のいずれかの塩基配列からなる核酸の一部を含有するプライマーを含有する。したがって、前記プライマー対を、PCR、RT−PCRなどの核酸増幅法に用いることにより、ソバ属植物のデンプン顆粒結合型デンプン合成酵素をコードする核酸を高い精度で同定または増幅することができる。
本発明のプライマー対の各プライマーの長さは、少なくとも15ヌクレオチド長である。前記プライマーの長さは、核酸増幅法において、鋳型として用いられる核酸に対して特異的なアニーリングを行なう観点から、15ヌクレオチド長以上、好ましくは20ヌクレオチド長以上、より好ましくは25ヌクレオチド長以上、さらに好ましくは28ヌクレオチド長以上である。また、前記プライマーの長さは、核酸増幅法において、十分なアニーリング効率を確保する観点から、好ましくは30ヌクレオチド長以下である。かかる長さのプライマーを含有するプライマー対によれば、特異的なアニーリングを行なうことができ、かつ十分なアニーリング効率を確保することができるので、ソバ属植物のデンプン顆粒結合型デンプン合成酵素をコードする核酸を高い精度で増幅することができる。
本発明のプライマー対は、前記(A)〜(C)のいずれかの塩基配列を含有する核酸中において、各プライマー間の距離が適切な距離となるように設計されていることが望ましい。前記距離は、本発明のプライマー対の用途に応じて異なるので、一概には決定することができない。本発明のプライマー対を、デンプン顆粒結合型デンプン合成酵素をコードする核酸の同定に用いる場合、前記核酸の同定を効率よく、かつ迅速に行なう観点から、前記距離は、少なくとも100ヌクレオチド長、好ましくは、200〜800ヌクレオチド長、好ましくは、500〜800ヌクレオチド長、より好ましくは、700〜800ヌクレオチド長である。一方、本発明のプライマー対を、デンプン顆粒結合型デンプン合成酵素をコードする核酸の増幅に用いる場合、前記核酸の増幅を高い精度で行なう観点から、デンプン顆粒結合型デンプン合成酵素のコード領域と同程度であることが望ましい。
なお、前記「各プライマー間の距離」とは、第1のオリゴヌクレオチドに対応する塩基配列の3’末端のヌクレオチド残基と第2のオリゴヌクレオチドに対応する塩基配列の5’末端のヌクレオチド残基との間の距離をいう。
本発明のプライマー対の各プライマーのGC含量は、各プライマーと鋳型として用いられる核酸とのアニーリングを特異的にかつ効率よく行なう観点から、好ましくは40〜60%、より好ましくは45〜55%である。また、プライマーと鋳型として用いられる核酸とを安定して結合させる観点から、各プライマーの配列中における4種類のヌクレオチドの分布は、略均等であることが望ましい。さらに、プライマーの内部での二次構造の形成を抑制する観点から、本発明のプライマー対の各プライマーは、チミン残基またはシトシン残基が連続する配列(ポリピリミジン配列)やアデニン残基またはグアニン残基が連続する配列(ポリプリン配列)を含まないように設計されていることが望ましい。
本発明のプライマー対の各プライマーは、ソバ属植物のデンプン顆粒結合型デンプン合成酵素をコードする核酸の同定または増幅を高い精度で行なう観点から、前記(A)〜(C)のいずれかの塩基配列に特異的な配列からなることが望ましい。
なお、本明細書において、「前記(A)〜(C)のいずれかの塩基配列に特異的な配列」とは、前記(A)〜(C)のいずれかの塩基配列の一部からなり、かつ他の遺伝子などの配列には含まれない配列をいう。かかる配列は、例えば、Primer BLASTなどのプライマー設計プログラムを用いることにより、得ることができる。
本発明のプライマー対としては、例えば、前記核酸の同定に用いるのに適したプライマー対として、プライマーFag_GBSSI−FW2(配列番号:15)とプライマーFag_GBSSI−RV2(配列番号:16)とからなるプライマー対、プライマーFag_GBSSI−FW2(配列番号:15)とプライマーFag_GBSSI−RV3(配列番号:17)とからなるプライマー対など、前記核酸の増幅に用いるのに適したプライマー対として、プライマーGBSS Full_length FW1(配列番号:22)とプライマーGBSS Full_length RV1(配列番号:23)とからなるプライマー対などが挙げられる。
3.モチ性ソバ属植物
ソバ属植物において、本発明の核酸の機能を欠損または低減させた場合、デンプン顆粒結合型デンプン合成酵素の活性が発現しないことが期待される。そのため、種子の胚乳のデンプンは、アミロペクチンのみからなるデンプンであるか、アミロースの含有量が極めて低いデンプンとなる。したがって、本発明の核酸の機能が欠損または低減したソバ属植物は、モチ形質を示すことが期待される。
本発明のモチ性ソバ植物は、前記(A)〜(C)からなる群より選ばれた塩基配列からなる遺伝子がノックアウトまたはノックダウンされていることを特徴とする。したがって、本発明のモチ性ソバ植物によれば、アミロペクチンのみからなるデンプンであるか、アミロースの含有量が極めて低いデンプンを製造することができる。これにより、例えば、小麦粉などのつなぎ粉を用いなくても、もちもちした食感を与えるソバ粉を得ることが可能になる。
前記遺伝子のノックアウトまたはノックダウンは、例えば、下記(1−1)〜(1−3)などの手法により、行なうことができる。
(1−1) 前記(A)〜(C)からなる群より選ばれた塩基配列に基づいて設計されたアンチセンス核酸、siRNA、変異型対立遺伝子の核酸などをソバ属植物に導入して、前記(A)〜(C)からなる群より選ばれた塩基配列からなる遺伝子の機能を破壊または抑制すること;
(1−2) 重イオンビームをソバ属植物に照射して、前記(A)〜(C)からなる群より選ばれた塩基配列からなる遺伝子を欠損させるか、または前記遺伝子に機能欠失変異を導入すること;および
(1−3) 変異原物質をソバ属植物に接触させて、前記(A)〜(C)からなる群より選ばれた塩基配列からなる遺伝子を欠損させるか、または前記遺伝子に機能欠失変異を導入すること。
前記(1−1)において、ソバ属植物へのアンチセンス核酸、siRNA、変異型対立遺伝子の核酸などの導入方法としては、例えば、イン・プランタ(in planta)でのアグロバクテリウム法、エレクトロポレーション法、パーティクルガン法などが挙げられる。
前記「アンチセンス核酸」とは、前記(A)〜(C)のいずれかの塩基配列に対応する標的核酸の配列と相補的もしくは実質的に相補的な塩基配列またはその一部からなり、前記標的核酸とのハイブリッドを形成することにより、タンパク質(デンプン顆粒結合型デンプン合成酵素)の発現を抑制する核酸をいう。
前記標的核酸としては、例えば、二本鎖DNA、mRNAなどが挙げられる。かかる標的核酸中における前記アンチセンス核酸による標的領域としては、特に限定されるものではなく、5’末端非翻訳領域、翻訳開始コドン、コード領域、翻訳終止コドン、3’末端非翻訳領域などが挙げられる。
前記アンチセンス核酸は、DNA、RNAおよびDNAとRNAとのキメラ化合物のいずれであってもよい。アンチセンス核酸がDNAである場合、当該アンチセンス核酸と標的核酸としてのmRNAとにより、RNA:DNAハイブリッドが形成される。この場合、かかるRNA:DNAハイブリッドは、ソバ属植物に内在するRNase Hによって、分解されることが期待される。また、アンチセンス核酸がDNAである場合、当該アンチセンス核酸と標的核酸としての二本鎖DNAとの三重鎖が形成される。前記三重鎖が形成された場合、RNAへの転写が阻害されることが期待される。
また、前記アンチセンス核酸は、mRNAの構成塩基との水素結合を生じるのであれば、核酸誘導体であってもよい。かかる核酸誘導体としては、例えば、非ヌクレオチド骨格を有するポリマー(例えば、ペプチド核酸)、RNA、DNAなどと構成糖が異なるポリマー、修飾基を有する核酸などや、これらの組み合わせの化合物が挙げられる。前記修飾基としては、例えば、アンチセンス核酸の導入を容易にする官能基、アンチセンス核酸の安定性を向上させる官能基、標的となるmRNAとの結合安定性を向上させる官能基などが挙げられる。
前記アンチセンス核酸の長さは、タンパク質(デンプン顆粒結合型デンプン合成酵素)の発現を抑制することができるのであれば、特に限定されるものではない。通常、ソバ属植物への十分な導入効率を確保する観点から、好ましくは50〜1000ヌクレオチド長、より好ましくは200〜500ヌクレオチド長である。
前記siRNAは、例えば、下記(2−1)〜(2−5)を満たすように設計することができる。
(2−1) 前記(A)〜(C)のいずれかの塩基配列に特異的であること
(2−2) ガイド鎖の5’末端がアデニン残基またはウラシル残基であること、
(2−3) パッセンジャー鎖の5’末端がグアニン残基またはシトシン残基であること、
(2−4) アンチセンス鎖の5’領域にアデニン残基またはウラシル残基の存在量が多くなっていること、
(2−5)長いGCの連続配列がないこと。
かかるsiRNAは、siRNA設計用ソフトウェアなどを用いて設計することができる。
前記変異型対立遺伝子は、前記(A)〜(C)のいずれかの塩基配列からなる遺伝子の機能を相殺しうるものであればよい。前記変異型対立遺伝子としては、例えば、(i) 前記(A)〜(C)のいずれかの塩基配列におけるデンプン顆粒結合型デンプン合成酵素の活性部位に対応する部分を欠損した機能欠失型変異型対立遺伝子、(ii) 前記(A)〜(C)のいずれかの塩基配列に対するフレームシフト突然変異を有する機能欠失型変異型対立遺伝子、前記(A)〜(C)のいずれかの塩基配列中のオープンリーディンングフレームの途中に終止コドンを有する機能欠失型変異型対立遺伝子、(iii) スプライシング異常を生じさせてデンプン顆粒結合型デンプン合成酵素の機能を欠失させる突然変異(例えば、イントロンとエクソンとの境界での突然変異など)を有する機能欠失型変異型対立遺伝子、(iv) 構成アミノ酸残基を異なる性質(極性、水和性、pHなど)を有するアミノ酸残基に置換させてデンプン顆粒結合型デンプン合成酵素の機能を欠失させる点突然変異を前記(A)〜(C)のいずれかの塩基配列中に有する機能欠失型変異型対立遺伝子、デンプン顆粒結合型デンプン合成酵素遺伝子が座上するゲノム領域を失わせる変異型対立遺伝子などが挙げられる。
ソバ属植物へのアンチセンス核酸、siRNAまたは変異型対立遺伝子の核酸導入は、特に限定されないが、例えば、アンチセンス核酸を発現しうるDNA、siRNAを発現しうるDNAまたは変異型対立遺伝子のDNAを保持する発現プラスミドを、例えば、イン・プランタ(in planta)でのアグロバクテリウム法、エレクトロポレーション法、パーティクルガン法などにより導入することなどにより行なうことができる。
前記(1−2)において、ソバ属植物への重イオンビームの照射に際しては、前記遺伝子のノックアウトまたはノックダウンを効率よく行なう観点から、照射後のソバ属植物の致死率が5〜20%となるように、重イオンビームの照射線量および照射時間を設定することが望ましい。通常、前記照射線量は、好ましくは10〜50Gy/hであり、前記照射時間は、好ましくは10〜20時間である。
前記(1−3)において、ソバ属植物への変異原物質の接触に際しては、前記遺伝子のノックアウトまたはノックダウンを効率よく行なう観点から、ソバ属植物と変異原物質との接触後のソバ属植物の致死率が15%以上となるように、変異原物質の量を設定することが望ましい。変異原物質としては、例えば、エチルメタンスルフォネートなどが挙げられる。ソバ属植物への変異原物質の接触は、例えば、変異原物質を含有する溶液中にソバ属植物の種子を浸漬させることなどにより行なわれる。この場合、前記溶液における変異原物質の濃度は、変異原物質の種類などによって変異誘起性の強さが異なるので、変異原物質の種類などに応じて適宜設定することが好ましい。例えば、変異原物質がエチルメタンスルフォネートである場合、通常、エチルメタンスルフォネート含有溶液のエチルメタンスルフォネートの濃度は、0.5〜1.0質量%であることが望ましい。ソバ属植物と変異原物質との接触時間は、変異原物質の種類などによって変異誘起性の強さが異なるので、変異原物質の種類などに応じて適宜設定することが好ましい。例えば、変異原物質がエチルメタンスルフォネートである場合、通常、ソバ属植物(種子)と変異原物質との接触時間は、8〜16時間程度であることが望ましい。
前記遺伝子のノックアウトまたはノックダウンが行なわれたソバ属植物は、必要に応じて、生育させればよい。
前記遺伝子のノックアウトまたはノックダウンは、例えば、下記(3−1)〜(3−3)などの手法により、確認することができる。
(3−1) 対象となるソバ属植物において、デンプン顆粒結合型デンプン合成酵素の活性が検出されないか、または野生型のソバ属植物におけるデンプン顆粒結合型デンプン合成酵素の活性よりも低いことを確認すること、および
(3−2) 対象となるソバ属植物の種子の胚乳のデンプンにおいて、アミロースが含まれていないか、または野生型のソバ属植物の種子の胚乳におけるデンプンにおけるアミロース含有量よりも低いことを確認すること、
(3−3) 対象となるソバ属植物の種子の胚乳において、デンプン顆粒結合型デンプン合成酵素をコードする核酸の発現が検出されないことを確認すること。
4.抑制剤
本発明の抑制剤は、ソバ属植物における本発明の核酸の機能を抑制する抑制剤であって、
(I)本発明の核酸の相補鎖もしくはその一部からなるアンチセンス核酸、
(II)本発明の核酸の塩基配列に基づき設計された21〜23塩基対の二本鎖RNAからなり、本発明の核酸の発現をRNAi効果により抑制するsiRNA、または
(III)本発明の核酸に含まれる遺伝子に対する変異型対立遺伝子の核酸
を含有していることを特徴とする。
本発明の抑制剤は、前記アンチセンス核酸、前記siRNAまたは前記変異型対立遺伝子の核酸のみからなる剤であってもよく、前記アンチセンス核酸、前記siRNAまたは前記変異型対立遺伝子の核酸と適切な助剤とを含む剤であってもよい。
本発明の抑制剤が、前記アンチセンス核酸、前記siRNAまたは前記変異型対立遺伝子の核酸と適切な助剤とを含むものである場合、かかる抑制剤中の前記アンチセンス核酸、前記siRNAまたは前記変異型対立遺伝子の核酸の含有量は、かかる抑制剤の用途に応じて適宜設定することができる。
前記助剤としては、例えば、前記アンチセンス核酸、前記siRNAまたは前記変異型対立遺伝子の核酸を安定的に維持するのに適した緩衝液、ソバ属植物の細胞への前記アンチセンス核酸、前記siRNAまたは前記変異型対立遺伝子の核酸の導入を促進する促進剤などが挙げられる。
前記アンチセンス核酸、前記siRNAまたは前記変異型対立遺伝子の核酸は、前述のモチ性ソバ属植物の作製に用いられるアンチセンス核酸、siRNAまたは変異型対立遺伝子の核酸と同様である。また、ソバ属植物への前記アンチセンス核酸、前記siRNAまたは前記変異型対立遺伝子の核酸の導入は、前述のモチ性ソバ属植物の作製の際に行なわれるソバ属植物へのアンチセンス核酸、siRNAまたは変異型対立遺伝子の核酸の導入と同様の操作を行なうことにより実施することができる。
以上のように、本発明の核酸は、ソバ属植物のデンプン顆粒結合型デンプン合成酵素をコードする。そのため、本発明の核酸は、ソバ属植物において、従来にないモチ形質を発現させるための機能欠損または機能低減の標的として用いることができる。ソバ属植物において、モチ形質を発現させることができ、もちもちした食感を与える食材や高アミロペクチン含有量のデンプンなどの素材を得ることなどが可能になる。なお、本発明の核酸をソバ属植物において、過剰発現させた場合には、デンプン顆粒結合型デンプンを過剰生産させることが可能になる。
また、本発明のプライマー対によれば、かかる核酸の同定や増幅を高い精度で、容易に効率よく行なうことができる。さらに、本発明の抑制剤によれば、ソバ属植物のデンプン顆粒結合型デンプン合成酵素をコードする核酸の機能を欠損または低減させることができる。したがって、本発明の抑制剤によれば、ソバ属植物において、従来にないモチ形質を発現させることができ、もちもちした食感を与える食材や高アミロペクチン含有量のデンプンなどの素材を得ることなどが可能になる。
さらに、本発明のモチ性ソバ属植物によれば、モチ形質を発現する。加えて、ソバ属植物は、厳しい気象ややせた土壌などの環境下であっても生育し、しかも、その生育期間が短いという性質を有する。したがって、本発明のモチ性ソバ属植物によれば、種々の環境下において、もちもちした食感を与える食材や高アミロペクチン含有量のデンプンなどの素材を生産し、提供することなどが可能になる。これにより、例えば、食嗜好の多様化に応じた様々な食感のソバ麺などを提供することも可能になる。
以下に実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
(調製例1)
(1)高分子量DNAの調製
普通ソバの葉約10gを液体窒素で凍結させ、磨り潰して微細粉を得た。得られた微細粉を洗浄用緩衝液〔組成:0.15体積% 2−メルカプトエタノール、0.5体積%ポリオキシエチレン−p−イソオクチルフェノール(Triton X)、0.5Mスクロース、0.01Mトリス、0.08M塩化カリウム、0.01Mエチレンジアミン4酢酸(EDTA)、1mMスペルミジン、1mMスペルミン、pH9.4〕300mLに懸濁した。得られた懸濁液を氷上で10分間冷却し、つぎに、8層のチーズクロス〔白十字社製、商品名:FCガーゼ〕で濾過して大きいデブリスを除去した。その後、得られた濾過物を1800×g、4℃で10分間の遠心分離に供して細胞核を含む画分を回収した。
得られた画分を緩衝液A〔組成:0.15体積%2−メルカプトエタノール、10mM塩化ナトリウム、10mM2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(pH6.0)、5mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、0.15mMスペルミン、0.5mMスペルミジン、0.16体積%ポリオキシエチレン−p−イソオクチルフェノール(Triton X)、0.25Mスクロース〕30mLに懸濁した。得られた懸濁液を、2層のフィルター〔メルク社製、商品名:ミラクロス〕で3回濾過した。得られた濾過物を、2000×g、4℃で5分間の遠心分離に供して細胞核を含む画分を回収した。
つぎに、得られた画分を、緩衝液B〔組成:5倍濃度の前記緩衝液A6g、密度勾配遠心用担体(シグマ社製、商品名:Percoll)45g〕に懸濁した。得られた懸濁液を、3700×g、4℃で10分間の遠心分離に供して上清を回収した。回収した上清10mLを、HB緩衝液〔組成:0.01Mトリス、0.08M塩化カリウム、0.01M EDTA、1mMスペルミジン、1mMスペルミン、pH9.4〕30mLに添加し、混合液を得た。得られた混合液を、2000×g、4℃で5分間の遠心分離に供し、細胞核を得た。得られた細胞核をHB緩衝液1mLに懸濁した。
得られた懸濁液を40〜45℃に温めた。そして、前記懸濁液を1質量%低融点アガロース溶液1mLに添加した後、直ちに、得られた混合物を、プラグモールド(バイオラッド社製)に移した。そして、前記プラグモールド中の混合物を冷却して固化させ、DNAブロックを得た。つぎに、得られたDNAブロックを溶解用緩衝液〔組成:0.5M EDTA、1質量%N−ラウロイルサルコシンナトリウム、0.1mg/mLプロテイナーゼK、pH9.1〕中、50℃で24時間インキュベーションした。その後、前記DNAブロックを、0.5M EDTA(pH9.1)中、50℃で1時間洗浄し、さらに、氷上で0.05M EDTA(pH8.0)中、1時間洗浄した。つぎに、前記DNAブロックを、0.1mMフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)含有TE緩衝液〔TE緩衝液の組成:10mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)、1mM EDTA〕で洗浄し、その後、TE緩衝液で洗浄した。
(2)BACライブラリーの調製
前記(1)で得られたDNAブロックを、MboI平衡化緩衝液〔組成: 100 mM塩化ナトリウム、1mMジチオスレイトール(DTT)、50mMトリス、pH7.9〕中、4℃で一晩浸漬させた。DNAブロックを小片に分けた。得られた小片を、MboI平衡化緩衝液1mLを含む新しいチューブに移し、氷上で30分間静置した。ついで、10ユニット、20ユニットまたは40ユニットのMboI(ニュー・イングランド・バイオ・ラボ社製)を前記チューブ内のMboI平衡化緩衝液に添加した。そして、DNAブロックへの制限酵素の侵入を促進させるために時々かき回しながら、前記チューブを、氷上で30分間静置した。
1M塩化マグネシウム溶液10μLを塩化マグネシウムの濃度が10mMとなるように、前記チューブ内のMboI平衡化緩衝液に添加した。そして、前記チューブを氷上で30分間放置した。つぎに、前記チューブを37℃で30分間インキュベーションしてDNAを部分消化した。その後、直ちに、氷上で前記チューブを冷却し、かつ前記チューブ内の緩衝液を0.5M EDTA溶液で置換することにより、制限酵素反応を停止させた。
前記チューブ内の0.5M EDTA溶液を1/2濃度のTBE緩衝液で置換した。つぎに、DNAブロックを10ユニット、20ユニットまたは40ユニットのMboIで処理した。前記DNAブロックを、1/2濃度のTBE緩衝液中の1質量%パルスフィールド電気泳動用アガロース〔バイオラッド社製、商品名:pulse−field certified agarose〕を含むアガロースゲルに移した。
その後、パルスフィ?ルド電気泳動装置〔バイオラッド社製、商品名:CHEF mapper〕で電気泳動を行なった。電気泳動後のゲルから、80〜120kbのDNA断片を含む画分を抽出した。つぎに、前記画分をDNA回収用フィルター付遠心チューブ〔ミリポア社製、商品名:Microcon〕で濃縮した。
得られたDNA断片を、BACライブラリー作製用ベクター〔エピセントレ・バイオテクノロジーズ(EPICENTRE(登録商標) Biotechnologies)製、商品名:Copy Control pCC1BAC vector〕に連結させた。得られた産物を、エレクトロポレーター〔バイオラッド社製、商品名:Micropulser〕を用いて大腸菌〔インビトロジェン製、商品名:ElectroMAXTM DH10BTM T1 Phage Resistant Cellsに導入した。形質転換大腸菌を、5〜10体積%グリセロール含有SOC培地中、37℃で約1時間インキュベーションした。
自動コロニーピッカー〔ジェネティックス社製、商品名:QPIX2〕を用い、青/白コロニー選抜により、コロニーピッキングを行なった。得られた各コロニーを、384−ウェルマイクロタイターディッシュの各ウェル内の培地〔10μg/mLクロラムフェニコールと10体積%グリセロールとを含むLB培地〕に1つずつ播種し、37℃で一晩培養した。これにより、普通ソバのDNAのBACライブラリーを得た。
(参考例1)
ソバ属植物以外の植物におけるデンプン合成に関連する酵素をコードする核酸の塩基配列の一部を含む種々のプライマー対をデザインした。調製例1で得られたBACライブラリーと各プライマー対とを用い、PCRを行なった。
なお、PCRに用いた反応液(容量30μL)の組成は、DNA0.05μg、プライマー対(フォワードプライマーおよびリバースプライマーそれぞれの濃度0.83μM)、ヌクレオチド混合物(各ヌクレオチドあたり200μM)、PCR用緩衝液3μL(塩化マグネシウム濃度2mM)、5U/μL酵素0.3μLならびに残部精製水である。また、PCRのサーマルプロファイルは、以下のとおりである。
1) 95℃3分間のインキュベーション
2) つぎに、95℃0.5分間の熱変性と、66℃0.5分間のアニーリングと、72℃2分間の伸長とを1サイクルとする12サイクルの反応(ただし、サイクル毎にアニーリング温度を0.5℃ずつ下げる)
3) つぎに、95℃0.5分間の熱変性と、60℃0.5分間のアニーリングと、72℃2分間の伸長とを1サイクルとする12サイクルの反応
4) その後、72℃5分のインキュベーション
各プライマー対を用いたときのPCRにおける増幅産物の有無を調べた結果の一部を表1に示す。実験番号1のプライマー対は、ソバ属植物以外の植物におけるデンプン合成に関連する酵素のうち、バラ目植物またはアオイ目植物のデンプン顆粒結合型デンプン合成酵素をコードする核酸に対応している。また、実験番号2〜9の各プライマー対は、シロイヌナズナ(Arabidopsis)属植物、タバコ(Nicotiana)属植物、シレネ(Silene)属植物、ナス(Solanum)属植物およびブドウ(Vitis)属植物それぞれのフェロニア遺伝子をもとに設計された縮重プライマー群である。
表1に示された結果から、調製例1で得られたBACライブラリーと、実験番号1のプライマー対とを用いてPCRを行なった場合、デンプン顆粒結合型デンプン合成酵素をコードする核酸に対応する増幅産物が得られないことがわかる。したがって、かかる結果から、ソバ属植物には、デンプン顆粒結合型デンプン合成酵素が存在していないか、または存在していたとしても、バラ目植物またはアオイ目植物のデンプン顆粒結合型デンプン合成酵素のアミノ酸配列との配列同一性や前記デンプン顆粒結合型デンプン合成酵素をコードする核酸との配列同一性が著しく低いことが示唆される。
さらに、表1に示された結果から、調製例1で得られたBACライブラリーと、実験番号2〜9の各プライマー対とを用いてPCRを行なった場合にも、フェロニア遺伝子に対応する増幅産物が得られないことがわかる。かかる結果から、
1)ソバ属植物はフェロニア遺伝子を保持していない可能性、
2)ソバ属植物がフェロニア遺伝子を保持していたとしても、他の植物のフェロニアタンパク質のアミノ酸配列との配列同一性が極めて低い可能性、または
3)ソバ属植物がフェロニア遺伝子を保持していたとしても、他の植物のフェロニア遺伝子の塩基配列との配列同一性が極めて低い可能性(すなわち、ソバ属植物におけるコドン使用頻度は、ソバ属植物以外の植物におけるコドン使用頻度と異なっている可能性)があること
が示唆される。
以上の結果から、既知植物の遺伝子の配列情報に基づくソバ属植物における遺伝子のクローニングに適したプライマー対の設計が極めて困難であることがわかる。
(実験例1)
参考例1の結果を考慮し、プライマー設計支援ソフトCODEHOP〔ウェブページアドレスhttp://blocks.fhcrc.org/codehop.htmlにて利用可能〕を用い、ソバ属植物におけるデンプン合成に関連する酵素をコードする核酸の塩基配列を増幅するためのプライマー対をデザインした(表2参照)。調製例1で得られたBACライブラリーと各プライマー対とを用い、PCRを行なった。
なお、PCRに用いた反応液(容量30μL)の組成は、DNA0.05μg、プライマー対(フォワードプライマーおよびリバースプライマーそれぞれの濃度0.83μM)、ヌクレオチド混合物(各ヌクレオチドあたり200μM)、PCR用緩衝液3μL(塩化マグネシウム濃度2mM)、5U/μL酵素0.3μLおよび残部精製水である。また、PCRのサーマルプロファイルは、以下のとおりである。
1) 95℃3分間のインキュベーション
2) つぎに、95℃0.5分間の熱変性と、66℃0.5分間のアニーリングと、72℃2分間の伸長とを1サイクルとする12サイクルの反応(ただし、サイクル毎にアニーリング温度を0.5℃ずつ下げる)
3) つぎに、95℃0.5分間の熱変性と、60℃0.5分間のアニーリングと、72℃2分間の伸長とを1サイクルとする12サイクルの反応
4) その後、72℃5分のインキュベーション
各プライマー対を用いたときのPCRにおける増幅産物の有無を調べた結果の一部を表2に示す。
表2に示された結果から、プライマー対として、プライマーFag_GBSSI−FW2(配列番号:15)とプライマーFag_GBSSI−RV2(配列番号:16)とからなるプライマー対を用いた場合およびプライマーFag_GBSSI−FW2(配列番号:15)とプライマーFag_GBSSI−RV3(配列番号:17)とからなるプライマー対を用いた場合にのみ、増幅産物が得られることがわかる。しかしながら、その他のプライマー対を用いた場合には、いずれも、増幅産物が得られないことがわかる。これは、ソバ属植物においては、現時点では、コドン使用頻度が明らかではないため、ソバ属植物に有効なプライマー対をデザインすることができなかったことによると考えられる。
BACライブラリーのうち、増幅産物が確認されたクローンは、8クローンであった。これらのクローンについて、塩基配列を確認した。その結果、前記8クローン全てにおいて、配列番号:1に示される塩基配列が確認された。
(実施例1)
普通ソバの種子の胚乳0.2gと、RNA抽出キット〔プロメガ社製、商品名:SV Total RNA Isolation System〕とを用い、全RNAを抽出した。抽出された全RNA4.3μgと、RT−PCR用キット〔タカラバイオ(株)社製、商品名:PrimeScript RT−PCR Kit〕とを用いて逆転写反応を行ない、cDNAを得た。得られたcDNAの1/10量のcDNAを鋳型とし、プライマーGBSSI_4F〔5'-CCGGATCAAAGATTTATGGACCTAC-3'(配列番号:18)〕とプライマーGBSSI_10R〔5'-TCGCCTTTTCAGGGTATTCTATTTC-3'(配列番号:19)〕とからなるプライマー対と、RT−PCR用キット〔タカラバイオ(株)社製、商品名:PrimeScript RT−PCR Kit〕とを用い、製造者のプロトコールにしたがってPCRを行なった。
なお、RT−PCRに用いた反応液(容量50μL)の組成は、全RNA4.3μgから得られたcDNAの量の1/10量、0.3μMプライマーFag_GBSSI−4F、0.3μMプライマーGBSSI−10R、ヌクレオチド混合物(各ヌクレオチドあたり200μM)、RT−PCR用緩衝液5μL、5U/μL酵素0.5μLおよび残部精製水である。また、PCRのサーマルプロファイルは、以下のとおりである。
1) 95℃で2分間のインキュベーション、
2) つぎに、95℃で30秒間の熱変性と、62℃で30秒間のアニーリングと、72℃で180秒間の伸長とを1サイクルとする35サイクルの反応、
3) その後、72℃で5分間のインキュベーション
その結果、胚乳の全RNAを鋳型とした場合に、増幅産物が検出できた。したがって、かかる結果から、配列番号:1に示される塩基配列からなる核酸にコードされるタンパク質は、胚乳で発現していることが示唆される。
(実施例2)
普通ソバの種子の胚乳の全RNAと、プライマーGBSS_5RACE_RV476〔5'-TCCACAAAAACGCGATCAACACCTC-3'(配列番号:20)と、5’RACE用キット〔タカラバイオ(株)製、商品名:SMARTer RACE cDNA Amplification Kit〕とを用い、5’RACEを行ない、転写開始点を決定した。また、普通ソバの種子の胚乳の全RNAと、プライマーGBSS_3RACE_F2〔5'-ATGTCCAGGAATGGAACCCAGCATCT-3'(配列番号:21)〕と、3’RACE用キット〔タカラバイオ(株)製、商品名:SMARTer RACE cDNA Amplification Kit〕とを用い、3’RACEを行ない、転写終結点を決定した。
得られた転写開始点および転写終結点の情報に基づき、完全長のcDNAを増幅するためのプライマー対をデザインした。かかるプライマー対は、プライマーGBSS_Full_length_FW1〔5'-ATGAAGGTAAATACTTGGCTCTCCCTA-3'(配列番号:22)〕と、プライマーGBSS_Full_length_RV1〔5'-ATGACTTGATAAAGCTATCATCTCAACATC-3'(配列番号:23)〕とからなるプライマー対である。
普通ソバの種子の胚乳の全RNAと、前記プライマー対と、RT−PCR用キット〔タカラバイオ(株)製、商品名:PrimeScript RT−PCR Kit〕とを用い、製造者のプロトコールにしたがってRT−PCRを行なった。
なお、RT−PCRに用いた反応液(容量30μL)の組成は、全RNA0.215μgから得られたcDNA、0.3μMプライマーGBSS_Full_length_FW1、0.3μMプライマーGBSS_Full_length_RV1、ヌクレオチド混合物(各ヌクレオチドあたり200μM)、PCR用緩衝液6μL、2.5U/μL酵素0.3μLおよび残部精製水である。また、RT−PCRのサーマルプロファイルは、以下のとおりである。
1) 98℃で2分間のインキュベーション、
2) つぎに、98℃で30秒間の熱変性と、60℃で5秒間のアニーリングと、72℃で180秒間の伸長とを1サイクルとする38サイクルの反応、
3) その後、72℃で3分間のインキュベーション
得られた完全長cDNAについて、塩基配列を解析した。その結果を配列番号:2に示す。また、得られた塩基配列から推定されるアミノ酸配列(配列番号:3)について、データベースを用い、ホモロジーサーチを行なった。ホモロジーサーチの際のアライメントには、BLASTアルゴリズムに基づくPROTEIN BLASTプログラムを用いた。
その結果、得られた完全長cDNAに含まれる遺伝子によりコードされるタンパク質(配列番号:3のアミノ酸番号1〜75のトランジエント配列を除く)は、ミヤコグサ(Lotus japonicus)のデンプン顆粒結合型デンプン合成酵素に対して高い配列同一性(75.3%)を有していた。
(実施例3)
アグロバクテリウム ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のTiプラスミドのT−DNA領域にβ-グルクロニダーゼをコードする核酸を挿入した。得られた構築物をアグロバクテリウム ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)に導入した。
前記アグロバクテリウム ツメファシエンスを普通ソバに感染させた。前記実生を22℃で3日間、暗環境下に静置した後、明環境下に移して25℃で30日間栽培した。
実施例3において、形質転換後の普通ソバの花序における導入核酸の発現分布を調べた結果を図1(A)に示す。また、実施例3において、形質転換後の普通ソバの葯における導入核酸の発現分布を調べた結果を図1(B)に示す。さらに、実施例3において、形質転換後の普通ソバの花粉における導入核酸の発現分布を調べた結果を図1(C)に示す。
図1(A)〜(C)に示された結果から、普通ソバの花序、葯および花粉において、β-グルクロニダーゼが発現していることがわかる〔図1(A)〜(C)中、矢印参照〕。したがって、導入対象の核酸を保持するアグロバクテリウムをソバ属植物に感染させることにより、導入対象の核酸をソバ属植物に導入することができることがわかる。
そこで、β−グルクロニダーゼをコードする核酸を保持するTiプラスミドの代わりに、配列番号:2に基づいて作製したRNAi構築物、または配列番号:2に基づいて作製した対立遺伝子を保持するTiプラスミドを、アグロバクテリウム ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)に導入し、得られたアグロバクテリウム ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)を普通ソバに感染させる。そして、得られた形質転換体の胚乳について、デンプン顆粒結合型デンプン合成酵素の活性を、ヨウ素デンプン反応により確認する。まず、形質転換体の種子を5質量%ヨウ化カリウム溶液に浸す。その後、ヨウ素デンプン反応により生じる青色色素を定量することにより測定する。そして、前記形質転換体におけるデンプン顆粒結合型デンプン合成酵素の欠損の成否を評価する。
つぎに、デンプン顆粒結合型デンプン合成酵素の活性が検出できない形質転換体の種子を採取し、種子中に含まれるデンプンの組成を、5質量%ヨウ化カリウム溶液に浸し、ヨウ素デンプン反応により生じる青色色素を定量することにより調べる。その結果、前記形質転換体の種子中に含まれるデンプンがアミロペクチンのみからなる場合、かかる形質転換体は、モチ性を発現するモチ性ソバ属植物であることが示唆される。
(実施例4)
配列番号:2に示される塩基配列に基づいて、前記塩基配列を有する遺伝子に、欠損、置換などを有する変異植物をスクリーニングする。得られた変異植物を栽培し、種子を回収する。得られた種子について、種子中に含まれるデンプンの組成を調べる。その結果、種子中に含まれるデンプンがアミロペクチンのみからなる場合、かかる種子は、モチ性を発現するモチ性ソバ属植物の種子であることが示唆される。
(実施例5)
普通ソバの種子に、重イオンビームを照射する。その後、得られた種子を播種し、M1植物を得る。同じ親から得られたM1植物を交配し(姉妹交配)、M2種子を回収する。回収されたM2種子を栽培し、同じ親から得られた個体を交配し(姉妹交配)、M3種子を回収する。
得られた種子について、種子中に含まれるデンプンの組成を、分析キット〔日本バイオコン(株)製、商品名:アミロース/アミロペクチン測定キット〕などを用いて調べる。また、配列番号:2に示される塩基配列に基づいて、前記塩基配列を有する遺伝子に、欠損、置換などを有する変異植物をスクリーニングする。その結果、配列番号:2に示される塩基配列を有する遺伝子に、欠損、置換などを有し、種子中に含まれるデンプンがアミロペクチンのみからなる場合、かかる種子は、モチ性を発現するモチ性ソバ属植物の種子であることが示唆される。
配列番号:4は、プライマーAlice−1Fの配列である。
配列番号:5は、プライマーAlice−9Rの配列である。
配列番号:6は、プライマーFer−F1の配列である。
配列番号:7は、プライマーFer−F2の配列である。
配列番号:8は、プライマーFer−F3の配列である。
配列番号:9は、プライマーFer−F4の配列である。34番目のnは、a、c、gまたはtである。
配列番号:10は、プライマーFer−R1の配列である。36番目のnは、a、c、gまたはtである。
配列番号:11は、プライマーFer−R2の配列である。33番目のnは、a、c、gまたはtである。
配列番号:12は、プライマーFag_GBSSI−FW1の配列である。
配列番号:13は、プライマーFag_GBSSI−FW3の配列である。
配列番号:14は、プライマーFag_GBSSI−RV1の配列である。
配列番号:15は、プライマーFag_GBSSI−FW2の配列である。
配列番号:16は、プライマーFag_GBSSI−RV2の配列である。23番目のnは、a、c、gまたはtである。
配列番号:17は、プライマーFag_GBSSI−RV3の配列である。25番目のnは、a、c、gまたはtである。
配列番号:18は、プライマーGBSSI_4Fの配列である。
配列番号:19は、プライマーGBSSI_10Rの配列である。
配列番号:20は、プライマーGBSS_5RACE_RV476の配列である。
配列番号:21は、プライマーGBSS_3RACE_F2の配列である。
配列番号:22は、プライマーGBSS Full_length FW1の配列である。
配列番号:23は、プライマーGBSS Full_length RV1の配列である。

Claims (4)

  1. デンプン顆粒結合型デンプン合成酵素をコードする核酸であって、
    (A)配列番号:3に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする塩基配列、
    (B)配列番号:2に示される塩基配列からなる核酸の相補鎖とストリンジェントな条件下にハイブリダイズする核酸の配列であり、コードされたポリペプチドがデンプン顆粒結合型デンプン合成酵素の活性を示す塩基配列、および
    (C)配列番号:3のアミノ酸番号76〜602からなる第1配列に対応する領域における前記第1配列に対する配列同一性が少なくとも76%であるアミノ酸配列をコードし、かつコードされるポリペプチドがデンプン顆粒結合型デンプン合成酵素の活性を示す塩基配列
    からなる群より選ばれた塩基配列を含有してなる核酸。
  2. ソバ属植物のデンプン顆粒結合型デンプン合成酵素をコードする核酸を同定または増幅するのに用いられるプライマー対であって、
    請求項1に記載の核酸の連続した一部を含有し、かつ少なくとも15ヌクレオチド長の第1のオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、
    請求項1に記載の核酸に対応する相補鎖の連続した一部を含有し、かつ少なくとも15ヌクレオチド長の第2のオリゴヌクレオチドからなるプライマーと
    を含有するプライマー対。
  3. (A)配列番号:3に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする塩基配列、
    (B)配列番号:2に示される塩基配列からなる核酸の相補鎖とストリンジェントな条件下にハイブリダイズする核酸の配列であり、コードされたポリペプチドがデンプン顆粒結合型デンプン合成酵素の活性を示す塩基配列、および
    (C)配列番号:3のアミノ酸番号76〜602からなる第1配列に対応する領域における前記第1配列に対する配列同一性が少なくとも76%であるアミノ酸配列をコードし、かつコードされるポリペプチドがデンプン顆粒結合型デンプン合成酵素の活性を示す塩基配列
    からなる群より選ばれた塩基配列からなる遺伝子がノックアウトまたはノックダウンされてなるモチ性ソバ属植物。
  4. ソバ属植物における請求項1に記載の核酸の機能を抑制する抑制剤であって、
    (I)請求項1に記載の核酸の相補鎖もしくはその一部からなるアンチセンス核酸、
    (II)請求項1に記載の核酸の塩基配列に基づき設計された21〜23塩基対の二本鎖RNAからなり、請求項1に記載の核酸の発現をRNAi効果により抑制するsiRNA、または
    (III)請求項1に記載の核酸に含まれる遺伝子に対する変異型対立遺伝子の核酸
    を含有していることを特徴とする抑制剤。
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