JP2012221677A - 非水二次電池用電解液、およびそれを用いた二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明はかかる点に鑑みてなされたもので、その目的は、高いサイクル特性と、低温特性を備え、自己放電が少なく保存安定性に優れた非水電解液およびそれを用いた二次電池を提供することにある。
(1)周期律表第一族又は第二族に属する金属イオンもしくはその塩と、下記一般式(1)で表される部分構造を含むシロキサンオリゴマー0.005〜10質量%とを、有機溶媒中に含有することを特徴とする非水二次電池用電解液。
(2)前記シロキサンオリゴマーが、下記一般式(1−a)、一般式(1−b)、一般式(1−c)、一般式(1−d)、及び一般式(1−e)からなる群より選択される部分構造を含み、且つ、下記一般式(1−a)、一般式(1−b)、一般式(1−c)、一般式(1−d)、及び一般式(1−e)で表される部分構造のモル分率を、それぞれxa、xb、xc、xd及びxeとした時に、xc+xd+xeで表される分岐モル分率が40モル%以下であるシロキサンオリゴマーである(1)に記載の非水二次電池用電解液。
(3)前記一般式(2)が下記一般式(3)で表されることを特徴とする(1)又は(2)に記載の非水二次電池用電解液。
(4)前記置換基R1及びR2が炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基である(1)から(3)のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
(5)前記置換基Q1が炭素数1〜5のアルキレン基である(1)から(4)のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
(6)前記置換基R3及びR4が水素原子もしくは炭素数1〜4のアルキル基である(3)から(5)のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
(7)前記置換基R2が無置換のアルキル基、シアノ基で置換されたアルキル基、又はハロゲン原子で置換されたアルキル基である(1)から(6)のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
(8)前記シロキサンオリゴマーに含まれる一般式(1)で表される部分構造中、−OR2が前記一般式(2)で表される置換基であり、前記シロキサンオリゴマーに含まれる一般式(1)で表される全部分構造におけるR1と−OR2の総モル量に対する前記一般式(2)で表される置換基のモル分率が25モル%以上75モル%以下である(1)から(7)のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
(9)周期律表第一族又は第二族に属する金属イオンもしくはその塩がリチウムイオンもしくはその塩である(1)から(8)のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
(10)(1)から(9)のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液と、周期律表第一族又は第二族に属する金属イオンの挿入放出が可能な正極と、当該イオンの挿入放出又は溶解析出が可能な負極とを備える二次電池。
すなわち、この種の二次電池においては、放電及び充電を繰り返し正極及び負極で酸化還元反応が進行する際に、電解質をなす炭酸エチレン等の分解が不可避的に進行する。これに対し、特定の添加剤等の作用により電極材料の表面にSEI(Solid electrolyte Interface)と呼ばれる特有の被膜が形成され、上記分解を抑制する効果を発揮することがある。本発明においては、上記特定の置換基を有するケイ素化合物が上記SEIの形成に関与し、電解質等の分解抑制効果を奏したと考えられる。特に、本発明においては、二次電池について、上記の効果が負極のみならず正極で発揮されたと解される挙動を呈し、大きな特性の改善につながったと考えられる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定はされない。その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
(特定シロキサンオリゴマー化合物)
本発明の電解液は、下記一般式(1)で表される部分構造を含むシロキサンオリゴマー化合物を含有する。
前記一般式(1)におけるR1が炭化水素基を表す場合の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基などが挙げられる。
ここで、R1がアルキル基を表す場合の好ましいアルキル基としては、炭素数1から10のアルキル基(メチル、エチル、ヘキシル、シクロヘキシルなど)であり、炭素数1から5のアルキル基がより好ましく、炭素数1から3のアルキル基が更に好ましい。アルケニル基を表す場合の好ましいアルケニル基としては、炭素数2から10のアルケニル基(ビニル、アリル、2−シクロヘキセニルなど)であり、炭素数2から5のアルケニル基がより好ましく、炭素数2から3のアルケニル基が更に好ましい。アルキニル基を表す場合の好ましいアルキニル基としては、炭素数1から10のアルキニル基(エチニル、プロピニルなど)であり、炭素数2から3のアルキニル基がさらに好ましく、アリール基を表す場合の好ましいアリール基としては、炭素数6から20のアリール基(フェニル、ナフチルなど)であり、炭素数6から10のアリール基がさらに好ましい。なお、本明細書において「から」は「〜」と同じ意味で用い、その前後で規定される数値ないし番号を含む意味である。
置換基としてより好ましくは、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、シリルオキシ基、カルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、フッ素原子であり、更に好ましくはアリール基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルボニルオキシ基、フッ素原子である。
なかでも、R2は無置換のアルキル基、シアノ基で置換されたアルキル基、又はハロゲン原子で置換されたアルキル基であることが好ましく、無置換アルキル基であることがより好ましい。
なお、本明細書において「化合物」という語を末尾に付して呼ぶときには、当該化合物そのものに加え、その塩、錯体、そのイオンを含む意味に用いる。また、所望の効果を奏する範囲で、所定の置換基等を伴った誘導体を含む意味である。有機酸等にあっては、その酸エステル等も含む意味である。また、本明細書において置換基に関して「基」という語を末尾に付して呼ぶときには、その基に任意の置換基を有していてもよい意味である。任意の置換基としては前記置換基Tが挙げられる。
R3はアルキル基を表すが、アルキル基としては、前記一般式(1)におけるR2で示されるアルキル基と同様のものが例示され、好ましい例も同じである。
R4はそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アリール基又は水素原子を表し、アルキル基又は水素原子であることが好ましく、双方が水素原子であることがさらに好ましい。
特定シロキサンオリゴマーの分岐構造や架橋構造の有無は、Si−NMRにより確認される。
アルコシキシラン化合物とヒドロキシカルボン酸との縮合反応では、酸触媒として用いたヒドロキシカルボン酸が、アルコキシシランとのエステル交換によりエステル化されHOQ1COOR2となり、さらにオリゴマー上のアルコキシ基と交換され、オリゴマー上に導入される。この時、他のアルコール〔HO−Q2−X〕を共存させると他のアルコールは、アルコキシシラン化合物における−OR2基と交換され、オリゴマー中に導入される(スキーム1)。
他のアルコール〔HO−Q2−X〕は、最初から反応液に共存させておいても、縮合が進んだ後に添加してもよい。
原料の仕込み比:
本発明における電解液調製において、アルコシキシラン化合物の仕込みモル量をa、ヒドロキシカルボン酸の仕込みモル量をbとしたとき、仕込みモル比b/aの好ましい範囲は0.1から2であり、さらに好ましくは0.2から1の範囲である。アルコキシシラン化合物及びヒドロキシカルボン酸は、それぞれ、構造の異なるものを複数種混合して用いてもよい。
本発明においては、アルコキシシラン化合物を、ヒドロキシカルボン酸を酸触媒として用いて縮合させ、その後、未反応の原料に由来する揮発成分と生成する揮発成分を留去して得られる。その時の反応温度は、縮合に伴い生成するアルコールの沸点に依存するが、室温から200℃までの範囲が好ましく、50℃から170℃の範囲がより好ましく、80℃から160℃の範囲が更に好ましい。揮発分の留去は、通常、常圧加熱で行った後、留去分が少なくなった後に減圧加熱で行うことが好ましく、この時の好ましい温度範囲は60℃から200℃であり、100℃から160℃がより好ましい。減圧度は、600mmHgから5mmHgの範囲で徐々に上げていくことが好ましく、最終的には減圧度100mmHgから5mmHg、温度100℃から160℃の範囲で揮発分を留去することが好ましい。なお、ここでの温度は反応器を加熱する熱媒体の温度である。
上記合成方法において、本発明に係る特定シロキサンオリゴマーの合成に用いる、原料の具体的な化合物例を以下に挙げるが、これらに限定されない。
(A)アルコキシシラン化合物
(A−1)Si(OMe)4、(A−2) Si(OEt)4、
(A−3) Si(OPr)4、(A−4) Si(OBu)4、
(A−5) MeSi(OMe)3、(A−6) MeSi(OEt)3、
(A−7) Me2Si(OMe)2
(A−8)Me(EtO)2Si−O−Si(OEt)2Me
(A−9)CH2=CHSi(OMe)3
(A−10)CH2=CHCH2Si(OMe)3 など
(B−1) HOCH2COOH、(B−2) HOCH2CH2COOH、
(B−3) HOCH(Me)COOH、(B−4)HOC(Me)2COOH、
(B−5) HOCH2CH(Me)COOH、
(B−6)HOCH2C(Me)2COOH など
(C−1) HOCH2COOC2H5、(C−1)HOCH2CH2CN、
(C−2) HOCH2CF2CF2H、(C−3)HOCH2CF3、
(C−4) HOCH2CH2F、(C−5) HOCH2CH2Si(CH3)3
(C−6) HOCH2OCOCH2CH=CH2 など
なお、ここで、Meはメチル基を、OMeはメトキシ基を、OEtはエトキシ基を、OPrはプロポキシ基を、OBuはブトキシ基を、それぞれ表す。
本発明に用いられる有機溶媒としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、燐酸トリメチル、ジメチルスルホキシドあるいはジメチルスルホキシド燐酸などが挙げられる。これらは、一種単独で用いても2種以上を併用してもよい。中でも、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルおよび炭酸エチルメチルからなる群のうちの少なくとも1種が好ましく、特に、炭酸エチレンあるいは炭酸プロピレンなどの高粘度(高誘電率)溶媒(例えば、比誘電率ε≧30)と炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルあるいは炭酸ジエチルなどの低粘度溶媒(例えば、粘度≦1mPa・s)との組み合わせがより好ましい。電解質塩の解離性およびイオンの移動度が向上するからである。
しかしながら、本発明に用いられる有機溶媒(非水溶媒)は、上記例示によって限定されるものではない。
本発明の電解液に含まれる周期律表第一族又は第二族に属する金属イオンもしくはその塩としては、電解液の使用目的により適宜選択される、例えば、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられ、二次電池などに使用される場合には、出力の観点からリチウム塩が好ましい。本発明の電解液をリチウム二次電池用非水系電解液の電解質として用いる場合には、金属イオンの塩としてリチウム塩を選択すればよい。リチウム塩としては、リチウム二次電池用非水系電解液の電解質に通常用いられるリチウム塩であれば特に制限はないが、例えば、以下に述べるものが好ましい。
なお、電解液に用いるリチウム塩は、1種を単独で使用しても、2種以上を任意に組み合わせてもよい。
電解液における周期律表第一族又は第二族に属する金属のイオンもしくはそれを含む金属塩の含有量は、以下に電解液の調製法で述べる好ましい塩濃度となるよう量で添加される。塩濃度は電解液の使用目的により適宜選択されるが、一般的には電解液全質量中10質量%から50質量%であり、さらに好ましくは15質量%から30質量%である。なお、イオンの濃度として評価するときには、その好適に適用される金属との塩換算で算定されればよい。
次に、本発明の電解液の代表的な調整方法を、金属イオンの塩としてリチウム塩を用いた場合を例に挙げて説明する。本発明の電解液は、前記非水電解液溶媒に、特定シロキサンオリゴマー化合物、リチウム塩、及び、所望により添加される種々の添加剤を溶解して、調製することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池好ましい実施形態についてその断面図を大幅に模式化して示した図1を参照して説明する。本実施形態のリチウムイオン二次電池10は、上記本発明の非水二次電池用電解液5と、リチウムイオンの挿入放出が可能な正極C(正極集電体1,正極活物質層2)と、リチウムイオンの挿入放出又は溶解析出が可能な負極A(負極集電体3,負極活物質層4)とを備える。これら必須の部材に加え、電池が使用される目的、電位の形状などを考慮し、正極と負極の間に配設されるセパレータ9、集電端子(図示せず)、及び外装ケース等(図示せず)を含んで構成されてもよい。必要に応じて、電池の内部及び電池の外部の少なくともいずれかに保護素子を装着してもよい。このような構造とすることにより、電解液5内でリチウムイオンの授受a,bが生じ、充電α、放電βを行うことができ、回路配線7を介して動作機構6を介して運転あるいは蓄電を行うことができる。以下、本発明のリチウム二次電池の構成について詳細に説明する。
本実施形態のリチウム二次電池が適用される電池形状には、特に制限はなく、例えば、有底筒型形状、有底角型形状、薄型形状、シート形状、及び、ペーパー形状などが挙げられ、これらのいずれであってもよい。また、組み込まれるシステムや機器の形を考慮した馬蹄形や櫛型形状等の異型のものであってもよい。なかもで、電池内部の熱を効率よく外部に放出する観点から、比較的平らで大面積の面を少なくとも一つを有する有底角型形状や薄型形状などの角型形状が好ましい。
本実施形態のリチウム二次電池は、電解液5、正極及び負極の電極合剤C,A、セパレータの基本部材9から構成される。以下、これらの各部材について述べる。本発明のリチウム二次電池は、電解液として、少なくとも前記本発明の非水電池用電解液を含む。
本実施形態のリチウム二次電池に用いられる電解液は、非水電解液溶媒と、前述した方法により調製された、少なくとも特定ケイ素化合物と、電解質塩としてのリチウム塩とを含有する本発明の非水二次電池用電解液を主成分として含有することが好ましい。即ち、電解液5は、前記特定ケイ素化合物を、非水電解液と、電解質塩としてのリチウム塩とを含有する非水二次電池用電解液であることが好ましい。非水二次電池用電解液に用いられる電解質塩としては、前述の周期律表第一族又は第二族に属する金属イオンの塩であり、前記本発明の非水二次電池用電解液の実施の態様で詳細に記載したものを用いることができる。また、本発明のリチウム二次電池に用いられる非水電解液溶媒も同様に、前記本発明の非水二次電池用電解液の実施の態様で詳細に記載したものを用いることができる。さらには他の添加剤を加えて、より一層性能を向上させることができる。
電極合剤は、集電体(電極基材)上に活物質と導電剤、結着剤、フィラーなどの分散物を塗布したものであり、リチウム電池においては、活物質が正極活物質である正極合剤と活物質が負極活物質である負極合剤が使用される。次に、電極合剤を構成する、正極活物質、負極活物質、導電剤、結着剤、フィラー及び集電体について説明する。
・正極活物質
本発明の非水二次電池用電解液には、粒子状の正極活性物質を用いてもよい。本発明に用いられる正極活物質としては、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できる遷移金属酸化物を用いることができるが、リチウム含有遷移金属酸化物を用いるのが好ましい。本発明において、正極活物質として好ましく用いられるリチウム含有遷移金属酸化物としては、リチウム含有Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Wを含む酸化物等が好適に挙げられる。またリチウム以外のアルカリ金属(周期律表の第1(Ia)族、第2(IIa)族の元素)、及び/又はAl、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなどを混合してもよい。混合量としては、遷移金属に対して0〜30mol%が好ましい。
LiNi0.5Mn0.5O2、LiNi0.85Co0.01Al0.05O2、
LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2、LiMn1.8Al0.2O4、
LiMn1.5Ni0.5O4等が挙げられる。
本発明の非水二次電池用電解液に用いられる負極活物質としては、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できるものであれば、特に制限はなく、炭素質材料、酸化錫や酸化ケイ素等の金属酸化物、金属複合酸化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、及び、SnやSi等のリチウムと合金形成可能な金属等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。なかでも炭素質材料又はリチウム複合酸化物が安全性の点から好ましく用いられる。
また、金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵、放出可能であれば特には制限されないが、構成成分としてチタン及び/又はリチウムを含有していることが、高電流密度充放電特性の観点で好ましい。
導電材は、構成された二次電池において、化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば何を用いてもよく、公知の導電材を任意に用いることができる。通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人工黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維や金属粉(銅、ニッケル、アルミニウム、銀(特開昭63−10148,554号に記載)等)、金属繊維あるいはポリフェニレン誘導体(特開昭59−20,971号に記載)などの導電性材料を1種又はこれらの混合物として含ませることができる。その中でも、黒鉛とアセチレンブラックの併用がとくに好ましい。前記導電剤の添加量としては、1〜50質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましい。カーボンや黒鉛の場合は、2〜15質量%が特に好ましい。
本発明では、前記電極合剤を保持するための結着剤を用いる。
結着剤としては、多糖類、熱可塑性樹20脂及びゴム弾性を有するポリマーなどが挙げられ、その中でも、例えば、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、セルロース、ジアセチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルフェノール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシ(メタ)アクリレート、スチレン−マレイン酸共重合体等の水溶性ポリマー、ポリビニルクロリド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、ポリビニルアセタール樹脂、メチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、ビニルアセテート等のビニルエステルを含有するポリビニルエステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等のエマルジョン(ラテックス)あるいはサスペンジョンが好ましく、ポリアクリル酸エステル系のラテックス、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフロロエチレン、ポリフッ化ビニリデンが、より好ましい。
本発明の電解液は、フィラーを含んでいてもよい。フィラーを形成する材料は、本発明の二次電池において、化学変化を起こさない繊維状材料であれば何でも用いることができる。通常、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系ポリマー、ガラス、炭素などの材料からなる繊維状のフィラーが用いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、0〜30質量%が好ましい。
正・負極の集電体としては、本発明の非水電解質二次電池において化学変化を起こさない電子伝導体が用いられる。正極の集電体としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどの他にアルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましく、その中でも、アルミニウム、アルミニウム合金がより好ましい。
これらの材料から適宜選択した部材によりリチウム二次電池の電極合剤が形成される。
本発明のリチウム二次電池に用いられるセパレータは、正極と負極を電子的に絶縁する機械的強度、イオン透過性、及び正極と負極の接触面で酸化・還元耐性のある材料であれば特に限定されることはない。このような材料として多孔質のポリマー材料や無機材料、有機無機ハイブリッド材料、あるいはガラス繊維などが用いられる。これらセパレータは安全性確保のためのシャットダウン機能、すなわち、80℃以上で隙間を閉塞して抵抗を上げ、電流を遮断する機能、を持つことが好ましく、閉塞温度は90℃以上、180℃以下であることが好ましい。
本発明のリチウム二次電池の形状としては、既述のように、シート状、角型、シリンダー状などいずれの形にも適用できる。正極活物質や負極活物質の合剤は、集電体の上に、塗布(コート)、乾燥、圧縮されて、主に用いられる。
本発明の二次電池は、特定ケイ素化合物を加えることでサイクル性良好な二次電池を作製することができるため、種々の用途に適用される。
適用態様には特に限定なはいが、例えば、電子機器に搭載する場合、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用として、自動車、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。更に、各種軍需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電池と組み合わせることもできる。
・特定ケイ素化合物の合成
メチルトリエトキシシラン50.0gとグリコール酸7.65gとを混合し、150℃にて1時間加熱還流させた。反応後、温度を150℃に保ち、真空度を常圧から5mmHgまで、徐々に下げながら揮発成分を留去し、無色液体として特定シロキサンオリゴマー(Si−1)16gを得た。GPC測定によるスチレン換算数平均分子量は1,200であった。また、H1−NMRにより測定した、一般式(1)で示される部分構造中に含まれる置換基−O−Q1−COOR3に相当する置換基の含有モル分率は32モル%であり、Si−NMR測定による分岐モル分率(xc+xd+xe)は25モル%であった。
メチルテトラエチルシラン50g、グリコール酸7.65g及びグリコール酸エチル24.2gを混合し、150℃にて1時間加熱還流させた。反応後、温度を150℃に保ち、真空度を常圧から5mmHgまで、徐々に下げながら揮発成分を留去し、無色液体として特定シロキサンオリゴマー(Si−2)18gを得た。GPC測定によるスチレン換算数平均分子量は1,500であり、H1−NMRにより測定した、一般式(1)で示される部分構造中に含まれる置換基−O−Q1−COOR3の含有モル分率は41モル%であり、Si−NMR測定による分岐モル分率(xc+xd+xe)は20モル%であった。
テトラエトキシシラン50.0gとグリコール酸18.6gとを混合し、150℃にて1時間加熱還流させた。反応後、温度を150℃に保ち、真空度を常圧から5mmHgまで、徐々に下げながら揮発成分を留去し、無色液体として特定シロキサンオリゴマー(Si−3)を42.7g得た。GPC測定によるスチレン換算数平均分子量は1,450であり、H1−NMRにより測定した、一般式(1)で示される部分構造中に含まれる置換基−O−Q1−COOR3の含有モル分率は52モル%であり、Si−NMR測定により、分岐モル分率(xc+xd+xe)は23モル%であった。
テトラメトキシシラン42.2g、テトラエトキシシラン57.8gとグリコール酸16gとを混合し、150℃にて1時間加熱還流させた。反応後、温度を150℃に保ち、真空度を常圧から5mmHgまで、徐々に下げながら揮発成分を留去し、無色液体として特定シロキサンオリゴマー(Si−4)を76.2g得た。GPC測定によるスチレン換算数平均分子量は780であり、H1−NMRにより測定した、一般式(1)で示される部分構造中に含まれる置換基−O−Q1−COOR3の含有モル分率は42モル%であり、Si−NMR測定により、分岐モル分率(xc+xd+xe)は10%であった。
メチルトリエトキシシラン50.0gとグリコール酸12.8g、エチレンシアノヒドリン1.99gとを混合し、150℃にて1時間加熱還流させた。反応後、温度を150℃に保ち、真空度を常圧から5mmHgまで、徐々に下げながら揮発成分を留去し、無色液体として特定シロキサンオリゴマー(Si−5)を29.7g得た。GPC測定によるスチレン換算数平均分子量は1,200であり、H1−NMRにより測定した、一般式(1)で示される部分構造中に含まれる置換基−O−Q1−COOR3の含有モル分率は25モル%であり、Si−NMR測定により、分岐モル分率(xc+xd+xe)は19%であった。
テトラメトキシシラン50.0gとグリコール酸15g、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール19.7gとを混合し、150℃にて1時間加熱還流させた。反応後、温度を150℃に保ち、真空度を常圧から5mmHgまで、徐々に下げながら揮発成分を留去し、無色液体として特定シロキサンオリゴマー(Si−6)を42.2g得た。GPC測定によるスチレン換算数平均分子量は1,400であり、H1−NMRにより測定した、一般式(1)で示される部分構造中に含まれる置換基−O−Q1−COOR3の含有モル分率は38モル%であり、Si−NMR測定により、分岐モル分率(xc+xd+xe)は18モル%であった。
テトラエトキシシラン40.0gと2−シアノエチルトリエトキシシラン10.4g、グリコール酸6.57gとを混合し、150℃にて1時間加熱還流させた。反応後、温度を150℃に保ち、真空度を常圧から5mmHgまで、徐々に下げながら揮発成分を留去し、無色液体として特定シロキサンオリゴマー(Si−7)を33.9g得た。GPC測定によるスチレン換算数平均分子量は820であり、H1−NMRにより測定した、一般式(1)で示される部分構造中に含まれる置換基−O−Q1−COOR3の含有モル分率は36モル%であり、Si−NMR測定により、分岐モル分率(xc+xd+xe)は13モル%であった。
トリメトキシビニルシラン29.6gとテトラメトキシシラン30.4g、グリコール酸15.2gとを混合し、150℃にて1時間加熱還流させた。反応後、温度を150℃に保ち、真空度を常圧から5mmHgまで、徐々に下げながら揮発成分を留去し、無色液体として特定シロキサンオリゴマー(Si−8)29.1gを得た。GPC測定によるスチレン換算数平均分子量は1,210であった。また、H1−NMRにより測定した、一般式(1)で示される部分構造中に含まれる置換基−O−Q1−COOR3に相当する置換基の含有モル分率は32モル%であり、Si−NMR測定による分岐モル分率(xc+xd+xe)は22モル%であった。
トリメトキシアリルシラン24gとテトラメトキシシラン22.5g、グリコール酸11.25gとを混合し、150℃にて1時間加熱還流させた。反応後、温度を150℃に保ち、真空度を常圧から5mmHgまで、徐々に下げながら揮発成分を留去し、無色液体として特定シロキサンオリゴマー(Si−9)18.9gを得た。GPC測定によるスチレン換算数平均分子量は1,250であった。また、H1−NMRにより測定した、一般式(1)で示される部分構造中に含まれる置換基−O−Q1−COOR3に相当する置換基の含有モル分率は28モル%であり、Si−NMR測定による分岐モル分率(xc+xd+xe)は24モル%であった。
2.電解液の調製
1M LiPF6の炭酸エチレン/炭酸ジエチルの体積比1対1電解液、及び体積比1対3電解液に、下記表1に示したケイ素化合物を、表中に記載の濃度(質量%)となる量で加え各電解液試料を調製した。なお、ケイ素化合物の欄に「−」と記載の試料は、ケイ素化合物が添加されていないことを示している。また、比較例に用いたものは炭酸ビニレン(VC)、並びに、下記構造式のテトラメトキシシラン(R−1)、ビニルトリメトキシシラン(R−2)、環状カーボネート含有ケイ素化合物(R−3)は下記のとおりである。なお、各項目の評価結果を高温サイクル性(表2)、低温放電率(表3)、容量残存率(表4)に区分して示した。なお、比較化合物R−3は特開2007−077075号公報に記載されたものである。
正極にコバルト酸リチウム合剤シート(電極容量3.0mAh/cm2:アルミ箔ベース、13mmφ)、負極に天然球状グラファイト電極シート(電極容量3.2mAh/cm2:Cu箔ベース、14.5mmφ)、セパレータにPP製多孔質フィルム(厚さ25μm、16mmφ)を用い、下記表2に示す電解液を用いた評価用のリチウム二次電池を作製した。
上記の方法で作製した2032形電池を用いて60℃の恒温槽中、4.0mAで電池電圧が4.2Vになるまで1C定電流充電した後、4.2V定電圧において電流値が0.12mAになる、または2時間充電を行い、次に4.0mAで電池電圧が2.75Vになるまで1C定電流放電を行い、1サイクルとした。これを100サイクルに達するまで繰り返した。
上記の方法で作製した2032形電池を用いて30℃に対する−20℃での放電容量率を測定した。30℃の恒温槽中、0.4mAで電池電圧が4.2Vになるまで0.1C定電流充電した後、4.2V定電圧において電流値が0.12mAになる、または2時間充電を行い、次に−20℃の恒温槽中、0.4mAで電池電圧が2.75Vになるまで0.1C定電流放電を行い、放電容量を測定した。
上記の方法で作製した2032形電池を用いて、30℃の環境下、0.4mAで電池電圧が4.2Vになるまで0.1C定電流充電した後、4.2V定電圧において電流値が0.12mAになる、または2時間充電を行い、0.4mAで電池電圧が2.75Vになるまで0.1C定電流放電を行い、初期放電容量を測定した。さらに、0.4mAで電池電圧が4.2Vになるまで0.1C定電流充電した後、4.2V定電圧において電流値が0.12mAになる、または2時間充電を行った後、電池を45℃の環境下で30日間放置した。その後、30℃の環境に取り出した後、同様の放電条件にて放電を行ったときの放電容量を測定した。
2 正極活物質
3 負極導電材
4 負極活物質
5 電解液
6 動作手段
7 配線
10 リチウムイオン二次電池
12 セパレータ
14 正極シート
16 負極シート
18 負極を兼ねる外装缶
20 絶縁板
22 封口板
24 正極集電
26 ガスケット
28 圧力感応弁体
30 電流遮断素子
100 有底筒型形状リチウム二次電池
Claims (10)
- 周期律表第一族又は第二族に属する金属イオンもしくはその塩と、下記一般式(1)で表される部分構造を含むシロキサンオリゴマー0.005〜10質量%とを、有機溶媒中に含有することを特徴とする非水二次電池用電解液。
- 前記シロキサンオリゴマーが、下記一般式(1−a)、一般式(1−b)、一般式(1−c)、一般式(1−d)、及び一般式(1−e)からなる群より選択される部分構造を含み、且つ、下記一般式(1−a)、一般式(1−b)、一般式(1−c)、一般式(1−d)、及び一般式(1−e)で表される部分構造のモル分率を、それぞれxa、xb、xc、xd及びxeとした時に、xc+xd+xeで表される分岐モル分率が40モル%以下であるシロキサンオリゴマーである請求項1に記載の非水二次電池用電解液。
- 前記置換基R1及びR2が炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
- 前記置換基Q1が炭素数1〜5のアルキレン基である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
- 前記置換基R3及びR4が水素原子もしくは炭素数1〜4のアルキル基である請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
- 前記置換基R2が無置換のアルキル基、シアノ基で置換されたアルキル基、又はハロゲン原子で置換されたアルキル基である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
- 前記シロキサンオリゴマーに含まれる一般式(1)で表される部分構造中、−OR2が前記一般式(2)で表される置換基であり、前記シロキサンオリゴマーに含まれる一般式(1)で表される全部分構造におけるR1と−OR2の総モル量に対する前記一般式(2)で表される置換基のモル分率が25モル%以上75モル%以下である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
- 周期律表第一族又は第二族に属する金属イオンもしくはその塩がリチウムイオンもしくはその塩である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
- 請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液と、周期律表第一族又は第二族に属する金属イオンの挿入放出が可能な正極と、当該イオンの挿入放出又は溶解析出が可能な負極とを備える二次電池。
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