JP2014013719A - 非水二次電池用電解液及び二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】重合性化合物を添加した電解液において、高温サイクル特性及びレート特性において良好な性能を発揮する非水二次電池用電解液および非水二次電池を提供する。
【解決手段】下式(1)で表されるエナミン化合物と、重合性化合物と、電解質とを有機溶媒中に含有する非水二次電池用電解液であって、重合性化合物100(モル比基準)に対して1〜100のエナミン化合物を含有している非水二次電池用電解液。
【化1】
Figure 2014013719

(式中、R11、R12、R13は、各々独立に水素原子又は有機基を示す。R12、R13は互いに結合し、環を形成していてもよい。R14、R15は、Nと共役しない有機基を示す。R14、R15は互いに結合し、環を形成していてもよい。)

Description

本発明は、有機溶媒を含む非水二次電池用電解液、およびそれを用いた二次電池に関する。
昨今、注目を集めているリチウムイオン電池と呼ばれる二次電池は、充放電反応にリチウムの吸蔵および放出を利用する二次電池(いわゆるリチウムイオン二次電池)と、リチウムの析出および溶解を利用する二次電池(いわゆるリチウム金属二次電池)とに大別される。これらは、鉛電池やニッケルカドミウム電池と比較して大きなエネルギー密度が得られる。この特性を利用して、近年、カメラ一体型VTR(video tape recorder)、携帯電話あるいはノートパソコンなどのポータブル電子機器用の電源として広く普及している。アプリケーションの一層の拡充に伴い、ポータブル電子機器の電源として、軽量で高エネルギー密度が得られるリチウムイオン二次電池の開発が進められている。さらに昨今では、小型化、長寿命化、高安全化も強く求められている。
リチウムイオン二次電池やリチウム金属二次電池(以下、これらを総称して単にリチウム二次電池ということがある。)の電解液としては、導電率が高く電位的にも安定であるため、炭酸プロピレンあるいは炭酸ジエチルなどの炭酸エステル系の溶媒と、六フッ化リン酸リチウムなどの電解質塩との組み合わせが広く用いられている。
一方、電解液の添加成分に関して、サイクル特性などの改善を目的として、電解液中に各種添加剤を含有させる技術が提案されている。例えば、特許文献1〜3においては、非水溶媒に重合性化合物を添加する技術が開示される。
特開2009−99448号公報 特許第4,050,251号公報 特開平11−97059号公報
前記リチウム二次電池の適用範囲は、昨今、携帯機器のみならず、自動車用途など広範にわたる。これに伴い高温状態におかれる、あるいは高速での充放電など様々な使用環境への適合性が求められるようになってきた。このような多様化した使用環境に対応するためには、上記従来技術では未だ十分とはいいがたい。そこで、本発明は、重合性化合物を添加した電解液において、高温サイクル特性及びレート特性において良好な性能を発揮する非水二次電池用電解液および非水二次電池を提供することを目的とする。
上記の課題は以下の手段により解決された。
〔1〕下式(1)で表されるエナミン化合物と、重合性化合物と、電解質とを有機溶媒中に含有する非水二次電池用電解液であって、重合性化合物100(モル比基準)に対して1〜100のエナミン化合物を含有している非水二次電池用電解液。
Figure 2014013719
(式中、R11、R12、R13は、各々独立に水素原子又は有機基を示す。R12、R13は互いに結合し、環を形成していてもよい。R14、R15は、Nと共役しない有機基を示す。R14、R15は互いに結合し、環を形成していてもよい。)
〔2〕式(1)が、下式(2)で表される〔1〕に記載の非水二次電池用電解液。
Figure 2014013719
(式中、R16、R17、R18、R19は、各々独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアミノ基を示す。Aは、水素原子、有機基を示し、同一でも異なっていてもよい。Aは互いに結合し、環を形成していてもよい。R11〜R13は式(1)と同義である。)
〔3〕式(2)が、下式(3−a)または(3−b)で表される〔1〕または〔2〕に記載の非水二次電池用電解液。
Figure 2014013719
(式中、R20、R21は、各々独立に水素原子又はアルキル基を示す。D、Gは、それぞれ、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアミノ基を示し、同一でも異なっていてもよい。R22、R23は、各々独立に水素原子又はアルキル基を示す。Eは連結基を示し、アルキレン連結、エーテル連結、アミノ連結、又はこれらを組み合わせた基を示す。R11〜R13は式(1)と同義である。)
〔4〕式(3−b)においてR12とR13が環を形成する〔3〕に記載の非水二次電池用電解液。
〔5〕式(3−b)においてR12とR13で形成した環または連結基Eを伴う環が5員環あるいは6員環である〔3〕または〔4〕に記載の非水二次電池用電解液。
〔6〕重合性化合物が、式(i)〜(iv)のいずれかで表される〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
Figure 2014013719
(式中、Rは水素原子またはアルキル基を表す。Rは芳香族基、複素環基、ニトリル基、アルコキシ基、またはアシルオキシ基を表す。Rは水素、アルキル基、またはシアノ基を表す。Rはアルキル基またはアルコキシ基、アミノ基を表す。R及びRは水素、アルキル基または芳香族基を表す。X、Y、Zは、5または6員環を形成することができる−O−、−S−、−(C=O)−、−C(=S)−、−NR−、−SO−、−SO−から選択される2価連結基を表す。Rはアルキル基または芳香族基を表す。Rは水素原子又はアルキル基を表す。)
〔7〕式(1)で表される化合物を0.0001〜0.1mol/Lで含有させる〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
〔8〕重合性化合物を0.001〜0.5mol/Lで含有させる〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
〔9〕含まれる各有機成分の平均分子量が1000以下である〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
〔10〕〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液を用いた非水二次電池。
〔11〕二次電池が正極を構成する材料として、ニッケル原子及び/又はマンガン原子を含有するリチウム金属複合酸化物を含有する〔10〕に記載の非水二次電池。
本明細書において、隣接する置換基は特に断らなくても互いに結合ないし縮合して環を形成していてもよい。
本発明の非水二次電池用電解液および非水二次電池は、重合性化合物を含有する非水電解液の性能を向上させ、とくに高温でのサイクル特性に優れ、レート特性(高速放電性)において良好な性能を発揮する。
本発明の好ましい実施形態に係るリチウム二次電池の機構を模式化して示す断面図である。 本発明の好ましい実施形態に係るリチウム二次電池の具体的な構成を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明の構成が、この内容により限定して解釈されるものではない。
[非水二次電池用電解液]
本発明の非水二次電池用電解液は下式(1)で表されるエナミン化合物及び重合性化合物を含有する。これらの二種の添加成分を併用したことで前記サイクル特性及びレート特性を高いレベルで両立する。この理由は不明の点を含むが、以下のように考えられる。すなわち、下式(1)で表されるエナミン化合物が正極表面での一電子酸化により、エナミン化合物のカチオンラジカルが生成し、この活性ラジカルと重合性化合物の付加反応により、重合性化合物の重合皮膜が形成されると推定している。以下、本発明についてその好ましい実施形態を中心に詳細に説明する。
(式(1)で表される化合物)
本発明においては、下式(1)で表されるエナミン化合物を用いる。
Figure 2014013719
・R11〜R13
式中、R11〜R13は、各々独立に水素原子又は有機基を示す。有機基としては、特に限定されないが、後記置換基Tの例が挙げられる。なかでも、R11としては、水素原子、アルキル基(好ましくは、メチル基、エチル基、イソプロピル基)、アリール基(好ましくは、フェニル基)、アルコキシカルボニル基、またはシアノ基が好ましく、水素原子、アルキル基(好ましくは、メチル基、エチル基)、またはアリール基(好ましくは、フェニル基)がより好ましく、水素原子、またはメチル基が特に好ましい。R12としては、水素原子、アルキル基(好ましくは、メチル基、エチル基、イソプロピル基)、アリール基(好ましくは、フェニル基)、アルコキシカルボニル基、またはシアノ基が好ましく、水素原子、アルキル基(好ましくは、メチル基、エチル基)、アルコキシカルボニル基、またはシアノ基がより好ましく、水素原子、メチル基、またはエチル基が特に好ましい。R13としては、水素原子、アルキル基(好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基)、またはアリール基(好ましくは、フェニル基)が好ましく、水素原子、アルキル基(好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、またはイソブチル基)がより好ましい。R11〜R13として上記に挙げた置換基は、さらに置換基を有していても良く、アルコキシ基、アミノ基、またはアルキルチオ基が好ましく、アルコキシ基、アミノ基がより好ましい。
12、R13は互いに結合し、環を形成していてもよい。ここで形成される環は特に限定されないが、なかでも非芳香族環であることが好ましく、3〜8員の非芳香族環であることが好ましい。当該非芳香族環はヘテロ原子(例えば、N、S、O)を含んでいてもよい。この環は置換基を有していてもよく、この置換基は後記置換基Tであることが好ましい。当該置換基は結合ないし縮環して環を形成していてもよい。
12およびR13で形成される環は、下記の構造であることが好ましい。
Figure 2014013719
式中、*はエナミン骨格の窒素原子と結合する部位を表す。
はアルキル基(好ましくは炭素数1〜6)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜6)、アシル基(好ましくは炭素数1〜6)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数1〜6)、アリール基(好ましくは炭素数6〜24)である。
は水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜6)、アシル基(好ましくは炭素数1〜6)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数1〜6)、アリール基(好ましくは炭素数6〜24)である。
nは置換可能数を上限とする整数であり、0〜4の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましい。Dは連結もしくは縮環して環を形成していてもよい。
・R14、R15
14、R15は、Nと共役しない有機基を示し、R14、R15は互いに結合し、環を形成していてもよい。有機基としては、特に限定されないが、後記置換基Tの例が挙げられる。なかでも、R14としては、アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基がより好ましい。R15としては、アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基がより好ましい。R14、R15として上記に挙げた置換基は、さらに置換基を有していても良く、アルコキシ基、アミノ基、またはアルキルチオ基が好ましく、アルコキシ基、アミノ基がより好ましい。形成してもよい環としては特に限定されないが、式中の窒素を含む含窒素飽和炭化水素環であることが好ましく、3〜8員の含窒素飽和炭化水素環であることがより好ましい。
ここで、本化合物での電解液における作用との関係で言うと、前記式中のNに隣接する原子(基)(α位の原子(基))が電子求引性でないものが好ましい。Nに隣接する原子(基)(α位の原子(基))が電子求引性であると、エナミン化合物の一電子酸化電位が上がる。例えば、カルボニル基は電子求引性の連結基であり、このような連結基が前記エナミンのNに隣接していると、電池として駆動する正極電位ではほとんど酸化されず、本発明の皮膜形成が進行しないため、電子求引性基がNに隣接していないことが本発明の所望の効果を引き出す上で好ましい。
前記式(1)で表される化合物は、下式(2)で表されるエナミン化合物であることが好ましい。
Figure 2014013719
・R16〜R19
式中、R16〜R19は、各々独立に水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜5)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5)、又はアミノ基(好ましくは炭素数2〜7)を示す。R16〜R19はさらに置換基Tを有していてもよい。
・A
Aは、水素原子、有機基を示し、同一でも異なっていてもよい。有機基としては、特に限定されないが、後記置換基Tの例が挙げられる。なかでも、Aとしては、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜5)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5)、又はアミノ基(好ましくは炭素数2〜7)が好ましく、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜5)がより好ましい。Aは互いに結合し、環を形成していてもよい。好ましい環は前記式(1)と同義である。
前記式(2)で表される化合物としてさらに好ましくは、下式(3−a)または(3−b)で表されるエナミン化合物である。
Figure 2014013719
・R20、R21
式中、R20、R21は、各々独立に水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜3)を示す。
・D、G
D、Gは、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜3)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜3)、又はアミノ基(好ましくは炭素数2〜7)を示し、同一でも異なっていてもよい。
・R22、R23
22、R23は、各々独立に水素原子、アルキル基を示す。
・E
Eは連結基を示し、アルキレン連結基(好ましくは炭素数2〜5)、エーテル連結基(好ましくは炭素数1〜5)、アミノ連結基(好ましくは炭素数2〜10)を示す。
前記連結基Eとともに形成される含窒素環は下記の構造であることが好ましい。
Figure 2014013719
式中、*はエナミン骨格のビニル基と結合する部位を表す。
は水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜6)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜6)、アシル基(好ましくは炭素数1〜6)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数1〜6)、アリール基(好ましくは炭素数6〜24)である。
は水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜6)、アシル基(好ましくは炭素数1〜6)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数1〜6)、アリール基(好ましくは炭素数6〜24)である。
nは置換可能数を上限とする整数であり、0〜4の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましい。Dは連結もしくは縮環して環を形成していてもよい。
式(1)で表される化合物の具体例を以下に示すが、これにより本発明が限定して解釈されるものではない。
Figure 2014013719
式(1)で表される化合物の電解液中での含有量はサイクル性向上の観点から、下限値としては、0.0001mol/L以上であることが好ましく、0.0005mol/L以上であることがより好ましい。上限は特にないが、0.1mol/L以下であることが好ましく、0.05mol/L以下であることがより好ましい。
後記重合性化合物との関係で言うと、重合性化合物100(モル比基準)に対して、前記式(1)で表される化合物を1以上で添加する。これを5以上で添加することがより好ましい。上限は特にないが、100以下で添加し、70以下で添加することがより好ましく、50以下で添加することが更に好ましい。
(有機溶媒)
本発明に用いられる有機溶媒としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレンなどの環状炭酸エステル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピルなどの鎖状炭酸エステル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどの環状エステル、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどの鎖状エーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチルなどの鎖上エステル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリルなどのニトリル化合物、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、燐酸トリメチル、ジメチルスルホキシドあるいはジメチルスルホキシド燐酸などが挙げられる。これらは、一種単独で用いても2種以上を併用してもよい。中でも、環状炭酸エステル(好ましくは炭酸エチレン、炭酸プロピレン)、鎖状炭酸エステル(好ましくは炭酸ジメチル、炭酸ジエチルおよび炭酸エチルメチル)、環状エステル(好ましくはγ−ブチロラクトン)からなる群のうちの少なくとも1種を含有していることが好ましく、より好ましくは環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルを含む溶剤、または環状炭酸エステルと環状エステルを含む溶剤であり、特に好ましくは、炭酸エチレンあるいは炭酸プロピレンなどの高粘度(高誘電率)溶媒(例えば、比誘電率ε≧30)と炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルあるいは炭酸ジエチル、γ−ブチロラクトンなどの低粘度溶媒(例えば、粘度≦1mPa・s)との組み合わせである。電解質塩の解離性およびイオンの移動度が向上するからである。
しかしながら、本発明に用いられる有機溶媒(非水溶媒)は、上記例示によって限定されるものではない。
(電解質)
本発明の電解液に用いることができる電解質としては金属イオンもしくはその塩が挙げられ、周期律表第一族又は第二族に属する金属イオンもしくはその塩が好ましい。電解液の使用目的により適宜選択される、例えば、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられ、二次電池などに使用される場合には、出力の観点からリチウム塩が好ましい。本発明の電解液をリチウム二次電池用非水系電解液の電解質として用いる場合には、金属イオンの塩としてリチウム塩を選択すればよい。リチウム塩としては、リチウム二次電池用非水系電解液の電解質に通常用いられるリチウム塩であれば特に制限はないが、例えば、以下に述べるものが好ましい。
(L−1)無機リチウム塩:LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF等の無機フッ化物塩;LiClO、LiBrO、LiIO等の過ハロゲン酸塩;LiAlCl等の無機塩化物塩等。
(L−2)含フッ素有機リチウム塩:LiCFSO等のパーフルオロアルカンスルホン酸塩;LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(FSO、LiN(CFSO)(CSO)等のパーフルオロアルカンスルホニルイミド塩;LiC(CFSO等のパーフルオロアルカンスルホニルメチド塩;Li[PF(CFCFCF)]、Li[PF(CFCFCF]、Li[PF(CFCFCF]、Li[PF(CFCFCFCF)]、Li[PF(CFCFCFCF]、Li[PF(CFCFCFCF]等のフルオロアルキルフッ化リン酸塩等。
(L−3)オキサラトボレート塩:リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート等。
これらのなかで、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiClO、Li(RfSO)、LiN(RfSO、LiN(FSO、及びLiN(RfSO)(RfSOが好ましく、LiPF、LiBF、LiN(RfSO、LiN(FSO、及びLiN(RfSO)(RfSOなどのリチウムイミド塩がさらに好ましい。ここで、Rf、Rfはそれぞれパーフルオロアルキル基を示す。
なお、電解液に用いるリチウム塩は、1種を単独で使用しても、2種以上を任意に組み合わせてもよい。
電解液における周期律表第一族又は第二族に属する金属のイオンもしくはその金属塩の含有量は、以下に電解液の調製法で述べる好ましい塩濃度となるよう量で添加される。塩濃度は電解液の使用目的により適宜選択されるが、一般的には電解液全質量中10質量%〜50質量%であり、さらに好ましくは15質量%〜30質量%である。なお、イオンの濃度として評価するときには、その好適に適用される金属との塩換算で算定されればよい。
(重合性化合物)
本発明の電解液において、式(1)の化合物に加えて重合性化合物を用いると更に効果が顕著である。本発明で用いることのできる重合性化合物の種類は本発明の趣旨を逸脱しない限り特に定めるものではないが、例えば、ラジカル重合性化合物、アニオン重合性化合物、カチオン重合性化合物があげられ、ラジカル重合性化合物及び/又はアニオン重合性化合物が好ましい。
ラジカル重合性化合物及びアニオン重合性化合物として好ましくは、炭素−炭素多重結合を有する化合物である。炭素−炭素多重結合を有する化合物としては、ビニル化合物、スチレン誘導体、(メタ)アクリレート誘導体、環状オレフィン(環内にヘテロ原子を含んでいても良い)等が挙げられる。更に好ましくは炭素−炭素多重結合及び極性官能基を有する化合物であり、極性官能基としては、エステル基、カーボネート基、ニトリル基、アミド基、ウレア基、スルホラン基、スルホキシド基、スルホン基、スルホン酸エステル、環状エーテル基、ポリアルキレンオキサイド基などが挙げられる。これら極性基は鎖状構造でも環状構造を形成していてもよい。
カチオン重合性化合物としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物;ビニルエーテル化合物が挙げられる。
それらの中で特に、下記式(i)〜(iv)で示される構造の化合物を用いることが好ましい。
Figure 2014013719
・R
は水素原子またはアルキル基を表す。Rとして好ましいアルキル基は、炭素数1〜10のアルキル基(メチル、エチル、ヘキシル、シクロヘキシルなど)であり、Rは水素原子であることがさらに好ましい。
・R
は芳香族基、複素環基、ニトリル基、アルコキシ基、またはアシルオキシ基を表す。Rの芳香族基としては炭素数6〜10の2π系芳香族基(フェニル、ナフチルなど)が好ましく、複素環基としては炭素数4〜9の複素芳香族基(フリル、ピリジル、ピラジル、ピリミジル、キノリルなど)が好ましく、アルコキシ基としては炭素数1〜10のアルコキシ基(メトキシ、エトキシ、ブトキシなど)が好ましく、アシルオキシ基としては炭素数1〜10のアシルオキシ基(アセチル基、ヘキサノイルオキシ基など)が好ましく、Rとしては、フェニル基がより好ましい。
・R
は水素かアルキル基、シアノ基を表し、好ましいアルキル基としては炭素数1〜10のアルキル基(メチル、エチル、ヘキシル、シクロヘキシルなど)であり、水素またはメチル基であることがより好ましい。
・R
はアルキル基またはアルコキシ基、アミノ基を表し、アルコキシ基、すなわち式(3−b)はアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルであることがより好ましい。この場合のエステルのアルコール部分に相当するアルコキシ基は炭素数1〜10のアルコキシ基(メトキシ、エトキシ、ブトキシなど)が好ましく、メトキシ基あるいはエトキシ基がより好ましい。
・R、R
及びRは水素、アルキル基または芳香族基を表す。R及びRが水素であるか、Rが水素でありRが芳香族基であることが好ましい。この場合の好ましい芳香族基としては炭素数6〜10の芳香族基(フェニル、ナフチルなど)がより好ましい。
・X,Y,Z
X、Y、Zは、5または6員環を形成することができる−O−、−S−、−(C=O)−、−C(=S)−、−NR−、−SO−、−SO−から選択される2価連結基を表すが、XとYが−O−、Zが−(C=O)−であることが好ましい。前記Rはアルキル基または芳香族基を表す。アルキル基の好ましいものとしてはRと同義であり、芳香族基の好ましいものとしてはRと同義である。
・R
は水素原子又はアルキル基を表し、水素原子か炭素数1〜10のアルキル基(メチル、エチル、ヘキシル、シクロヘキシルなど)が好ましく、水素またはメチル基であることがより好ましい。
上述のR〜Rの置換基は、更に他の置換基Tを含んでいてもよい。
置換基Tとしては、下記のものが挙げられる。
アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルキニル基、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリール基、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基、好ましくは、少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有する5または6員環のヘテロ環基が好ましく、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20のアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含み、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、アニリノ等)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜20のスルホンアミド基、例えば、N,N−ジメチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル等)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシル基、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ベンゾイル等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20のカルバモイル基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホンアミド基((好ましくは炭素原子数0〜20のスルファモイル基、例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−メチルメタンスルスルホンアミド、N−エチルベンゼンスルホンアミド等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、ベンジルチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ、1−ナフチルチオ、3−メチルフェニルチオ、4−メトキシフェニルチオ等)、アルキルもしくはアリールスルホニル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルもしくはアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、ベンゼンスルホニル等)、ヒドロキシル基、シアノ基であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基またはヒドロキシル基である。
また、これらの置換基Tで挙げた各基は、上記の置換基Tがさらに置換していてもよい。
化合物ないし置換基・連結基等がアルキル基・アルキレン基、アルケニル基・アルケニレン基等を含むとき、これらは環状でも鎖状でもよく、また直鎖でも分岐していてもよく、上記のように置換されていても無置換でもよい。またアリール基、ヘテロ環基等を含むとき、それらは単環でも縮環でもよく、同様に置換されていても無置換でもよい。
なお、本明細書において化合物として示したものについては、当該化合物そのもののほか、その塩、錯体、そのイオンを含む意味に用いる。また、所望の効果を奏する範囲で、所定の一部を変化させた誘導体を含む意味である。また、本明細書において置換・無置換を明記していない置換基や連結基については、その基に任意の置換基を有していてもよい意味である。これは置換・無置換を明記していない化合物についても同義である。好ましい置換基としては、下記置換基Tが挙げられる。
重合性化合物としては下記のものを例示することができる。ただし、本発明はこれらの例により限定して解釈されるものではない。
Figure 2014013719
は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基を表す。
nは1〜20を表す。
Meはメチル基を表す。
重合性化合物の添加量は、少ない場合には、サイクル特性及びレート特性向上効果が小さく、多すぎる場合には、電池の内部抵抗が上がるため電池の初期特性が損なわれる。重合性化合物の濃度範囲は、0.001M〜0.5Mの範囲であることが好ましく、0.002M〜0.1Mの範囲がより好ましく、0.003〜0.05Mの範囲が更に好ましい。
(その他成分)
本発明による電解液には、電池の性能を向上させるため、本発明の効果を損なわない限りにおいて、目的に応じて各種の添加剤を用いることができる。このような添加剤として、過充電防止剤、負極被膜形成剤、正極保護剤、難燃剤等のこのような機能性添加剤を用いてもよい。
また、負極皮膜形成剤と正極保護剤との併用や、過充電防止剤と負極皮膜形成剤と正極保護剤との併用が特に好ましい。
非水系電解液中におけるこれらその他の添加剤の含有割合は特に限定はないが、非水系電解液の有機成分全体に対し、それぞれ、0.01質量%以上が好ましく、特に好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上であり、上限は、5質量%以下が好ましく、特に好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。これらの化合物を添加することにより、過充電による異常時に電池の破裂・発火を抑制したり、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上させたりすることができる。
本発明の非水二次電池用電解液は、電解液中の各有機成分が、分子量1000以下のもので構成されていることが好ましく、500以下のもので構成されていることがより好ましい。これは、本発明の実施態様における前提となるものであり、本発明の非水二次電池ないしその電解液が、固体電解質型二次電池あるいはポリマー電解質型二次電池に係るものではないことを意味する。なお、非水二次電池用電解液というときには、固体電解質型二次電池あるいはポリマー電解質型二次電池に用いられる材料ではないこと、つまり液体電解液を用いる二次電池(これを、「液体電解液型二次電池」ということがある)用途であることを指す。
分子量は特に断らない限りGPC(ゲルろ過クロマトグラフィー)法を用いて測定した値とし、分子量はポリスチレン換算の重量平均分子量とする。GPC法に用いるカラムに充填されているゲルは芳香族化合物を繰り返し単位に持つゲルが好ましく、例えばスチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなるゲルが挙げられる。カラムは2〜6本連結させて用いることが好ましい。用いる溶媒は、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、N−メチルピロリドンのアミド系溶媒、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、1,2−ジクロロベンゼン等の芳香族系溶媒が挙げられる。測定は、溶媒の流速が0.1〜2mL/minの範囲で行うことが好ましく、0.5〜1.5mL/minの範囲で行うことが最も好ましい。この範囲内で測定を行うことで、装置に負荷がかからず、さらに効率的に測定ができる。測定温度は10〜50℃で行うことが好ましく、20〜40℃で行うことが最も好ましい。使用可能温度が高いカラムを用いて50℃〜200℃で測定を行うこともできる。なお、使用するカラム及びキャリアは測定対象となる化合物の物性に応じて適宜選定することができる。
本発明の非水二次電池用電解液は、その粘度(25℃)が、20mPa・s以下であることが好ましく、10mPa・s以下であることがより好ましく、5mPa・s以下であることが更に好ましい。下限値は特にないが、0.5mPa・s以上であることが実際的である。このような粘度範囲は、固体電解質との区別のために設定されるものである。固体電解質においてあえて粘度を定義するならば、∞となる。本明細書において、粘度の値は、特に断らない限り、後記実施例に記載の方法により測定した値を言う。なお、固体電解質を構成するポリマーの原料溶液は上記で規定される粘度の範囲にあることもあるが、これは電解液の原料溶液(前駆体)であって、電解液ではない。
[電解液の調製方法等]
本発明の非水二次電池用電解液は、金属イオンの塩としてリチウム塩を用いた例を含め、前記各成分を前記非水電解液溶媒に溶解して、常法により調製される。
本発明において、「非水」とは水を実質的に含まないことをいい、発明の効果を妨げない範囲で微量の水を含んでいてもよい。良好な特性を得ることを考慮して言うと、水の含有量が200ppm以下であることが好ましく、100ppm以下であることがより好ましい。下限値は特にないが、不可避的な混入を考慮すると、10ppm以上であることが実際的である。
[二次電池]
本発明においては前記非水電解液を含有する非水二次電池とすることが好ましい。好ましい実施形態として、リチウムイオン二次電池についてその機構を模式化して示した図1を参照して説明する。本実施形態のリチウムイオン二次電池10は、上記本発明の非水二次電池用電解液5と、リチウムイオンの挿入放出が可能な正極C(正極集電体1,正極活物質層2)と、リチウムイオンの挿入放出又は溶解析出が可能な負極A(負極集電体3,負極活物質層4)とを備える。これら必須の部材に加え、電池が使用される目的、電位の形状などを考慮し、正極と負極の間に配設されるセパレータ9、集電端子(図示せず)、及び外装ケース等(図示せず)を含んで構成されてもよい。必要に応じて、電池の内部及び電池の外部の少なくともいずれかに保護素子を装着してもよい。このような構造とすることにより、電解液5内でリチウムイオンの授受a,bが生じ、充電α、放電βを行うことができ、回路配線7および動作機構6を介して運転あるいは蓄電を行うことができる。以下、本発明の好ましい実施形態であるリチウム二次電池の構成について、さらに詳細に説明する。
(電池形状)
本実施形態のリチウム二次電池が適用される電池形状には、特に制限はなく、例えば、有底筒型形状、有底角型形状、薄型形状、シート形状、及び、ペーパー形状などが挙げられ、これらのいずれであってもよい。また、組み込まれるシステムや機器の形を考慮した馬蹄形や櫛型形状等の異型のものであってもよい。なかもで、電池内部の熱を効率よく外部に放出する観点から、比較的平らで大面積の面を少なくとも一つを有する有底角型形状や薄型形状などの角型形状が好ましい。
有底筒型形状の電池では、充填される発電素子に対する外表面積が小さくなるので、充電や放電時に内部抵抗による発生するジュール発熱を効率よく外部に逃げる設計にすることが好ましい。また、熱伝導性の高い物質の充填比率を高め、内部での温度分布が小さくなるように設計することが好ましい。図2は、有底筒型形状リチウム二次電池100の例である。この電池は、セパレータ12を介して重ね合わせた正極シート14、負極シート16を巻回して外装缶18内に収納した有底筒型リチウム二次電池100となっている。
有底角型形状では、一番大きい面の面積S(端子部を除く外形寸法の幅と高さとの積、単位cm)の2倍と電池外形の厚さT(単位cm)との比率2S/Tの値が100以上であることが好ましく、200以上であることが更に好適である。最大面を大きくすることにより高出力かつ大容量の電池であってもサイクル性や高温保存等の特性を向上させるとともに、異常発熱時の放熱効率を上げることができ、後述する「弁作動」や「破裂」という危険な状態になることを抑制することができる。
(電池を構成する部材)
本実施形態のリチウム二次電池は、図1に基づいて言うと、電解液5、正極及び負極の電極合剤C,A、セパレータの基本部材9を具備して構成される。以下、これらの各部材について述べる。本発明の非水二次電池は、電解液として、少なくとも前記本発明の非水電池用電解液を含む。
(電極合材)
電極合材は、集電体(電極基材)上に活物質と導電剤、結着剤、フィラーなどの分散物を塗布したものであり、リチウム電池においては、活物質が正極活物質である正極合材と活物質が負極活物質である負極合材が使用されることが好ましい。次に、電極合材を構成する分散物(電極用組成物,電極合剤)中の各成分等について説明する。
・正極活物質
正極活物質には、粒子状の正極活性物質を用いてもよい。具体的に、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できる遷移金属酸化物を用いることができるが、リチウム含有遷移金属酸化物を用いるのが好ましい。正極活物質として好ましく用いられるリチウム含有遷移金属酸化物としては、リチウム含有Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Wを含む酸化物等が好適に挙げられる。またリチウム以外のアルカリ金属(周期律表の第1(Ia)族、第2(IIa)族の元素)、及び/又はAl、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなどを混合してもよい。混合量としては、遷移金属に対して0〜30mol%が好ましい。
前記正極活物質として好ましく用いられるリチウム含有遷移金属酸化物の中でも、リチウム化合物/遷移金属化合物(ここで遷移金属とは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Mo、Wから選ばれる少なくとも1種のことをいう。)の合計のモル比が0.3〜2.2になるように混合して合成されたものが、より好ましい。
さらに、前記リチウム化合物/遷移金属化合物の中でも、LiM3O(M3はCo、Ni、Fe、及びMnから選択される1種以上の元素を表す。gは、0〜1.2を表す。)を含む材料、又はLiM4O(M4はMnを表す。hは、0〜2を表す。)で表されるスピネル構造を有する材料が特に好ましい。前記M3、M4としては、遷移金属以外にAl、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなどを混合してもよい。混合量は遷移金属に対して0〜30mol%が好ましい。
前記LiM3Oを含む材料、LiM4Oで表されるスピネル構造を有する材料の中でも、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCoNi1−j、LiMn、LiNiMn1−j、LiCoNiAl1−j−h、LiCoNiMn1−j−h、LiMnAl2−h、LiMnNi2−h(ここでgは0.02〜1.2を表す。jは0.1〜0.9を表す。hは0〜2を表す。)が特に好ましく、もっとも好ましくはLiCoO2、LiMn、LiNi0.85Co0.01Al0.05、及びLiNi0.33Co0.33Mn0.33である。高容量、高出力の観点で上記のうちNiを含む電極が更に好ましい。ここで、前記g値及びh値は、充放電開始前の値であり、充放電により増減する値である。具体的には、
LiCoO、LiNi0.5Mn0.5、LiNi0.85Co0.01Al0.05
LiNi0.33Co0.33Mn0.33、LiMn1.8Al0.2
LiMn1.5Ni0.5等が挙げられる。
リチウム含有遷移金属リン酸化合物の遷移金属としては、V、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu等が好ましく、具体例としては、例えば、LiFePO、LiFe(PO、LiFeP等のリン酸鉄類、LiCoPO等のリン酸コバルト類、これらのリチウム遷移金属リン酸化合物の主体となる遷移金属原子の一部をAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Nb、Si等の他の金属で置換したもの等が挙げられる。
本発明において、正極活物質には4.25V以上の充電領域を有する材料を用いることが好ましい。この上限は特にないが、5V以下であることが実際的である。
前記特定の充電領域を有する正極活物質としては下記のものが挙げられる。
(i)LiNiMnCo(x>0.2,y>0.2,z≧0,x+y+z=1)、
代表的なもの:
LiNi1/3Mn1/3Co1/3(LiNi0.33Mn0.33Co0.33とも記載)
LiNi1/2Mn1/2(LiNi0.5Mn0.5とも記載)
(ii)LiNiCoAl(x>0.7,y>0.1,0.1>z>0.05,x+y+z=1)
代表的なもの:
LiNi0.8Co0.15Al0.05
前記特定の充電領域を有する正極活物質として下記のものを用いることもできる。
(a) LiCoMnO
(b) LiFeMn
(c) LiCuMn
(d) LiCrMn
(e) LiNiMn
非水二次電池において、用いられる前記正極活物質の平均粒子サイズは特に限定されないが、0.1μm〜50μmが好ましい。比表面積としては特に限定されないが、BET法で0.01m/g〜50m/gであるのが好ましい。また、正極活物質5gを蒸留水100mlに溶かした時の上澄み液のpHとしては、7以上12以下が好ましい。
前記正極活性物質を所定の粒子サイズにするには、良く知られた粉砕機や分級機が用いられる。例えば、乳鉢、ボールミル、振動ボールミル、振動ミル、衛星ボールミル、遊星ボールミル、旋回気流型ジェットミルや篩などが用いられる。前記焼成法によって得られた正極活物質は、水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、有機溶剤にて洗浄した後使用してもよい。
・負極活物質
負極活物質としては、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できるものであれば、特に制限はなく、炭素質材料、酸化錫や酸化ケイ素等の金属酸化物、金属複合酸化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、及び、SnやSi等のリチウムと合金形成可能な金属等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。なかでも炭素質材料又はリチウム複合酸化物が安全性の点から好ましく用いられる。
また、金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵、放出可能であれば特には制限されないが、構成成分としてチタン及び/又はリチウムを含有していることが、高電流密度充放電特性の観点で好ましい。
負極活物質として用いられる炭素質材料とは、実質的に炭素からなる材料である。例えば、石油ピッチ、天然黒鉛、気相成長黒鉛等の人造黒鉛、及びPAN系の樹脂やフルフリルアルコール樹脂等の各種の合成樹脂を焼成した炭素質材料を挙げることができる。さらに、PAN系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、脱水PVA系炭素繊維、リグニン炭素繊維、ガラス状炭素繊維、活性炭素繊維等の各種炭素繊維類、メソフェーズ微小球体、グラファイトウィスカー、平板状の黒鉛等を挙げることもできる。
これらの炭素質材料は、黒鉛化の程度により難黒鉛化炭素材料と黒鉛系炭素材料に分けることもできる。また炭素質材料は、特開昭62−22066号公報、特開平2−6856号公報、同3−45473号公報に記載される面間隔や密度、結晶子の大きさを有することが好ましい。炭素質材料は、単一の材料である必要はなく、特開平5−90844号公報記載の天然黒鉛と人造黒鉛の混合物、特開平6−4516号公報記載の被覆層を有する黒鉛等を用いることもできる。
非水二次電池において用いられる負極活物質である金属酸化物及び金属複合酸化物は、これらの少なくとも1種を含んでいればよい。金属酸化物及び金属複合酸化物としては、特に非晶質酸化物が好ましく、さらに金属元素と周期律表第16族の元素との反応生成物であるカルコゲナイトも好ましく用いられる。ここでいう非晶質とは、CuKα線を用いたX線回折法で、2θ値で20°〜40°の領域に頂点を有するブロードな散乱帯を有するものを意味し、結晶性の回折線を有してもよい。2θ値で40°以上70°以下に見られる結晶性の回折線の内最も強い強度が、2θ値で20°以上40°以下に見られるブロードな散乱帯の頂点の回折線強度の100倍以下であるのが好ましく、5倍以下であるのがより好ましく、結晶性の回折線を有さないことが特に好ましい。
前記非晶質酸化物及びカルコゲナイドからなる化合物群のなかでも、半金属元素の非晶質酸化物、及びカルコゲナイドがより好ましく、周期律表第13(IIIB)族〜15(VB)族の元素、Al、Ga、Si、Sn、Ge、Pb、Sb、Biの一種単独あるいはそれらの2種以上の組み合わせからなる酸化物、及びカルコゲナイドが特に好ましい。好ましい非晶質酸化物及びカルコゲナイドの具体例としては、例えば、Ga、SiO、GeO、SnO、SnO、PbO、PbO、Pb、Pb、Pb、Sb、Sb、Sb、Bi、Bi、SnSiO、GeS、SnS、SnS、PbS、PbS、Sb、Sb、SnSiSなどが好ましく挙げられる。また、これらは、酸化リチウムとの複合酸化物、例えば、LiSnOであってもよい。
本発明の非水二次電池において、用いられる前記負極活物質の平均粒子サイズは、0.1μm〜60μmが好ましい。所定の粒子サイズにするには、よく知られた粉砕機や分級機が用いられる。例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、衛星ボールミル、遊星ボールミル、旋回気流型ジェットミルや篩などが好適に用いられる。粉砕時には水、あるいはメタノール等の有機溶媒を共存させた湿式粉砕も必要に応じて行うことができる。所望の粒径とするためには分級を行うことが好ましい。分級方法としては特に限定はなく、篩、風力分級機などを必要に応じて用いることができる。分級は乾式、湿式ともに用いることができる。
前記焼成法により得られた化合物の化学式は、測定方法として誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法、簡便法として、焼成前後の粉体の質量差から算出できる。
本発明において、Sn、Si、Geを中心とする非晶質酸化物負極活物質に併せて用いることができる負極活物質としては、リチウムイオン又はリチウム金属を吸蔵・放出できる炭素材料や、リチウム、リチウム合金、リチウムと合金可能な金属が好適に挙げられる。
本発明においては、チタン酸リチウム、より具体的にはリチウム・チタン酸化物(Li[Li1/3Ti5/3]O)を負極の活物質として用いることも好ましい。これを負極活物質として用いることにより、前記式(1)で表される化合物ないしこれと重合性化合物との組合せによる効果が一段と高まり、一層優れた電池性能を発揮させることができる。
・導電材
導電材は、構成された二次電池において、化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば何を用いてもよく、公知の導電材を任意に用いることができる。通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人工黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維や金属粉(銅、ニッケル、アルミニウム、銀(特開昭63−10148,554号に記載)等)、金属繊維あるいはポリフェニレン誘導体(特開昭59−20,971号に記載)などの導電性材料を1種又はこれらの混合物として含ませることができる。その中でも、黒鉛とアセチレンブラックの併用がとくに好ましい。前記導電剤の添加量としては、1〜50質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましい。カーボンや黒鉛の場合は、2〜15質量%が特に好ましい。
・結着剤
本発明では、前記電極合材を保持するための結着剤を用いることが好ましい。
結着剤としては、多糖類、熱可塑性樹脂及びゴム弾性を有するポリマーなどが挙げられ、その中でも、例えば、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、セルロース、ジアセチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルフェノール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシ(メタ)アクリレート、スチレン−マレイン酸共重合体等の水溶性ポリマー、ポリビニルクロリド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、ポリビニルアセタール樹脂、メチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、ビニルアセテート等のビニルエステルを含有するポリビニルエステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等のエマルジョン(ラテックス)あるいはサスペンジョンが好ましく、ポリアクリル酸エステル系のラテックス、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフロロエチレン、ポリフッ化ビニリデンがより好ましい。
結着剤は、一種単独又は二種以上を混合して用いることができる。結着剤の添加量が少ないと、電極合剤の保持力・凝集力が弱くなる。多すぎると電極体積が増加し電極単位体積あるいは単位質量あたりの容量が減少する。このような理由で結着剤の添加量は1〜30質量%が好ましく、2〜10質量%がより好ましい。
・フィラー
電極合材は、フィラーを含んでいてもよい。フィラーを形成する材料は、本発明の二次電池において、化学変化を起こさない繊維状材料であれば何でも用いることができる。通常、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系ポリマー、ガラス、炭素などの材料からなる繊維状のフィラーが用いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、分散物中、0〜30質量%が好ましい。
・集電体
正・負極の集電体としては、非水電解質二次電池において化学変化を起こさない電子伝導体が用いられる。正極の集電体としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどの他にアルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましく、その中でも、アルミニウム、アルミニウム合金がより好ましい。
負極の集電体としては、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタンが好ましく、アルミニウム、銅、銅合金がより好ましい。
前記集電体の形状としては、通常フィルムシート状のものが使用されるが、ネット、パンチされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の成形体なども用いることができる。前記集電体の厚みとしては、特に限定されないが、1μm〜500μmが好ましい。また、集電体表面は、表面処理により凹凸を付けることも好ましい。
これらの材料から適宜選択した部材によりリチウム二次電池の電極合材が形成される。
(セパレータ)
非水二次電池に用いられるセパレータは、正極と負極を電子的に絶縁する機械的強度、イオン透過性、及び正極と負極の接触面で酸化・還元耐性のある材料であれば特に限定されることはない。このような材料として多孔質のポリマー材料や無機材料、有機無機ハイブリッド材料、あるいはガラス繊維などが用いられる。これらセパレータは安全性確保のためのシャットダウン機能、すなわち、80℃以上で隙間を閉塞して抵抗を上げ、電流を遮断する機能、を持つことが好ましく、閉塞温度は90℃以上、180℃以下であることが好ましい。
前記セパレータの孔の形状は、通常は円形や楕円形で、大きさは0.05μm〜30μmであり、0.1μm〜20μmが好ましい。さらに延伸法、相分離法で作った場合のように、棒状や不定形の孔であってもよい。これらの隙間の占める比率すなわち気孔率は、20%〜90%であり、35%〜80%が好ましい。
前記ポリマー材料としては、セルロース不織布、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの単一の材料を用いたものでも、2種以上の複合化材料を用いたものであってもよい。孔径、気孔率や孔の閉塞温度などを変えた2種以上の微多孔フィルムを積層したものが、好ましい。
前記無機物としては、アルミナや二酸化珪素等の酸化物類、窒化アルミや窒化珪素等の窒化物類、硫酸バリウムや硫酸カルシウム等の硫酸塩類が用いられ、粒子形状もしくは繊維形状のものが用いられる。形態としては、不織布、織布、微多孔性フィルム等の薄膜形状のものが用いられる。薄膜形状では、孔径が0.01μm〜1μm、厚さが5μm〜50μmのものが好適に用いられる。前記の独立した薄膜形状以外に、前記無機物の粒子を含有する複合多孔層を樹脂製の結着剤を用いて正極及び/又は負極の表層に形成させてなるセパレータを用いることができる。例えば、正極の両面に90%粒径が1μm未満のアルミナ粒子をフッ素樹脂の結着剤を用いて多孔層として形成させることが挙げられる。
(非水二次電池の作製)
本発明の非水二次電池の形状としては、既述のように、シート状、角型、シリンダー状などいずれの形にも適用できる。正極活物質や負極活物質の合剤は、集電体の上に、塗布(コート)、乾燥、圧縮されて、主に用いられる。
以下、図2により、有底筒型形状リチウム二次電池100を例に挙げて、その構成及び作製方法について説明する。有底筒型形状の電池では、充填される発電素子に対する外表面積が小さくなるので、充電や放電時に内部抵抗による発生するジュール発熱を効率よく外部に逃げる設計にすることが好ましい。また、熱伝導性の高い物質の充填比率を高め、内部での温度分布が小さくなるように設計することが好ましい。図2は、有底筒型形状リチウム二次電池100を例である。この電池は、セパレータ12を介して重ね合わせた正極シート14、負極シート16を巻回して外装缶18内に収納した有底筒型リチウム二次電池100となっている。その他、図中の20が絶縁板、22が封口板、24が正極集電、26がガスケット、28が圧力感応弁体、30が電流遮断素子である。なお、拡大した円内の図示は視認性を考慮しハッチングを変えているが、各部材は符号により全体図と対応している。
まず、負極活物質と、所望により用いられる結着剤やフィラーなどを有機溶剤に溶解したものを混合して、スラリー状あるいはペースト状の負極合剤を調製する。得られた負極合剤を集電体としての金属芯体の両面の全面にわたって均一に塗布し、その後、有機溶剤を除去して負極合材層を形成する。さらに、集電体と負極合材層との積層体をロールプレス機等により圧延して、所定の厚みに調製して負極シート(電極シート)を得る。このとき、各剤の塗布方法や塗布物の乾燥、正・負極の電極の形成方法は定法によればよい。
本実施形態では、円筒形の電池を例に挙げたが、本発明はこれに制限されず、例えば、前記方法で作製された正・負の電極シートを、セパレータを介して重ね合わせた後、そのままシート状電池に加工するか、或いは、折りまげた後角形缶に挿入して、缶とシートを電気的に接続した後、電解質を注入し、封口板を用いて開口部を封止して角形電池を形成してもよい。
いずれの実施形態においても、安全弁を開口部を封止するための封口板として用いることができる。また、封口部材には、安全弁の他、従来知られている種々の安全素子を備えつけてもよい。例えば、過電流防止素子として、ヒューズ、バイメタル、PTC素子などが好適に用いられる。
また、前記安全弁のほかに電池缶の内圧上昇の対策として、電池缶に切込を入れる方法、ガスケット亀裂方法あるいは封口板亀裂方法あるいはリード板との切断方法を利用することができる。また、充電器に過充電や過放電対策を組み込んだ保護回路を具備させるか、あるいは独立に接続させてもよい。
缶やリード板は、電気伝導性をもつ金属や合金を用いることができる。例えば、鉄、ニッケル、チタン、クロム、モリブデン、銅、アルミニウムなどの金属あるいはそれらの合金が好適に用いられる。
キャップ、缶、シート、リード板の溶接法は、公知の方法(例、直流又は交流の電気溶接、レーザー溶接、超音波溶接)を用いることができる。封口用シール剤は、アスファルトなどの従来知られている化合物や混合物を用いることができる。
[非水二次電池の用途]
本発明によればサイクル性が良好な二次電池を作製することができるため、種々の用途に適用される。適用態様には特に限定はないが、例えば、電子機器に搭載する場合、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用として、自動車、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。更に、各種軍需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電池と組み合わせることもできる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例によって、何ら限定されるものではない。
<実施例1・比較例1>
電解液の調製
1M LiBF4の炭酸エチレン/γ−ブチロラクトンの体積比3対7電解液に、表1に示した成分を、表中に記載の量で加え実施例用電解液、及び比較例用電解液を調製した。調製した電解液の25℃における粘度は全て5mPa・s以下であった。
<電池(1)の作製>
正極は活物質:ニッケルマンガンコバルト酸リチウム(LiNi1/3Mn1/3Co1/3) 85質量%、導電助剤:カーボンブラック 7質量%、バインダー:PVDF 8質量%で作製し、負極は活物質:チタン酸リチウム(LiTi12) 94質量%、導電助剤:カーボンブラック 3質量%、バインダー:PVDF 3質量%で作製した。セパレータはセルロース製40μm厚である。上記の正負極、セパレータを使用し、各試験用電解液について、2032形コイン電池を作製し、下記項目の評価を行った。結果を表1に示している。
<高温サイクル試験>
前記2032形コイン電池を45℃の恒温槽中、電池電圧が2.75Vになるまで1C定電流充電した後、2.75V定電圧において電流値が0.12mAになる、または2時間充電を行い、次に電池電圧が1.2Vになるまで1C定電流放電を行い、1サイクルとし、1サイクル目の放電量を測定した。これを500サイクルに達するまで繰り返し、500サイクル目の放電容量を測定した。
(高温容量維持率HTratio(%))=
{(500サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)}×100
<高レート放電容量維持率>
30℃の恒温槽中、電池電圧が2.75Vになるまで0.1C定電流充電した後、2.75V定電圧において電流値が0.06mAになる、または2時間充電を行い、次に電池電圧が1.2Vになるまで0.2C定電流放電を行い、電池容量を測定した。再び、電池電圧が2.75Vになるまで0.1C定電流充電した後、2.75V定電圧において電流値が0.06mAになる、または2時間充電を行い、電池電圧が1.2Vになるまで5C定電流放電を行い、高レート放電容量を測定した。下記式にて高レート放電容量維持率を算出した。値が大きい程、充放電を繰り返しても高レートでの放電容量劣化が小さく、良好である。
(高レート放電容量維持率HRratio(%))=
{(5C放電容量)/(初期0.2C放電容量)}×100
Figure 2014013719
<表の注記>
*cで始まるものは比較例。それ以外は本発明例(電解液ないし二次電池のサンプル番号)。
Comp.:化合物
Conc.:濃度(M)
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
NVP:N−ビニル−2−ピロリドン
上記のとおり本発明の非水電解液とそれを用いた二次電池によれば、高温で繰返し充放電した際の容量維持性、及び高レート放電時の容量維持性の向上を達成することができる。
<実施例2>
・電解液の調製
1M LiPFの炭酸エチレン/炭酸ジエチルの体積比1対2電解液に、表2に示した成分を、表中に記載の量で加え各試験No.に対応した電解液を調製した。調製した電解液の25℃における粘度は全て5mPa・s以下であった。
・電池(2)の作製
正極は活物質をコバルト酸リチウム(LiCoO)とし、負極は活物質を黒鉛とした以外、実施例と同様にして2032形コイン電池(2)を作製し、下記項目の評価を行った。結果を表2に示している。
<高温サイクル試験>
充電時の上限電圧を4.3V、放電時の下限電圧を2.75Vとした以外は電池1で行った評価と同一条件で行った。
<高レート放電容量維持率>
充電時の上限電圧を4.3V、放電時の下限電圧を2.75Vとし、高レート放電を4Cにした以外は電池1で行った評価と同一条件で行った。
Figure 2014013719
・表中の注記は表1と同様
上記のとおり、本発明の特定のエナミン化合物と重合性化合物とを含む電解液を用いると、比較的低電位のCo系活物質を用いた系でも良好な性能が得られることが分かる。ただし、高電位のMn系活物質を適用した系において特に優れた効果が得られることが分かる。
1 正極導電材
2 正極活物質
3 負極導電材
4 負極活物質
5 電解液
6 動作手段
7 配線
9 セパレータ
10 リチウムイオン二次電池
12 セパレータ
14 正極シート
16 負極シート
18 負極を兼ねる外装缶
20 絶縁板
22 封口板
24 正極集電
26 ガスケット
28 圧力感応弁体
30 電流遮断素子
100 有底筒型形状リチウム二次電池

Claims (11)

  1. 下式(1)で表されるエナミン化合物と、重合性化合物と、電解質とを有機溶媒中に含有する非水二次電池用電解液であって、前記重合性化合物100(モル比基準)に対して1〜100の前記エナミン化合物を含有している非水二次電池用電解液。
    Figure 2014013719
    (式中、R11、R12、R13は、各々独立に水素原子又は有機基を示す。R12、R13は互いに結合し、環を形成していてもよい。R14、R15は、Nと共役しない有機基を示す。R14、R15は互いに結合し、環を形成していてもよい。)
  2. 前記式(1)が、下式(2)で表される請求項1に記載の非水二次電池用電解液。
    Figure 2014013719
    (式中、R16、R17、R18、R19は、各々独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアミノ基を示す。Aは、水素原子、有機基を示し、同一でも異なっていてもよい。Aは互いに結合し、環を形成していてもよい。R11〜R13は式(1)と同義である。)
  3. 前記式(2)が、下式(3−a)または(3−b)で表される請求項1または2に記載の非水二次電池用電解液。
    Figure 2014013719
    (式中、R20、R21は、各々独立に水素原子又はアルキル基を示す。D、Gは、それぞれ、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はアミノ基を示し、同一でも異なっていてもよい。R22、R23は、各々独立に水素原子又はアルキル基を示す。Eは連結基を示し、アルキレン連結、エーテル連結、アミノ連結、又はこれらを組み合わせた基を示す。R11〜R13は式(1)と同義である。)
  4. 前記式(3−b)においてR12とR13が環を形成する請求項3に記載の非水二次電池用電解液。
  5. 前記式(3−b)においてR12とR13で形成した環または連結基Eを伴う環が5員環あるいは6員環である請求項3または4に記載の非水二次電池用電解液。
  6. 前記重合性化合物が、式(i)〜(iv)のいずれかで表される請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
    Figure 2014013719
    (式中、Rは水素原子またはアルキル基を表す。Rは芳香族基、複素環基、ニトリル基、アルコキシ基、またはアシルオキシ基を表す。Rは水素、アルキル基、またはシアノ基を表す。Rはアルキル基またはアルコキシ基、アミノ基を表す。R及びRは水素、アルキル基または芳香族基を表す。X、Y、Zは、5または6員環を形成することができる−O−、−S−、−(C=O)−、−C(=S)−、−NR−、−SO−、−SO−から選択される2価連結基を表す。Rはアルキル基または芳香族基を表す。Rは水素原子又はアルキル基を表す。)
  7. 前記式(1)で表される化合物を0.0001〜0.1mol/Lで含有させる請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
  8. 前記重合性化合物を0.001〜0.5mol/Lで含有させる請求項1〜7のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
  9. 含まれる各有機成分の平均分子量が1000以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液を用いた非水二次電池。
  11. 前記二次電池が正極を構成する材料として、ニッケル原子及び/又はマンガン原子を含有するリチウム金属複合酸化物を含有する請求項10に記載の非水二次電池。
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