JP2012214333A - 水酸化インジウムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】インジウム酸化物を含有する物質、例えば、ITOスクラップに含有される不純物を除去して高純度の水酸化インジウムを製造する方法を提供する
【解決手段】インジウム酸化物を含有する物質を酸で溶解してインジウム溶液とする工程(A)、該インジウム溶液に酸化剤を添加してORP(銀/塩化銀電位基準)を600〜900mVとする工程(B)、該酸化剤を添加したインジウム溶液を強酸性陽イオン交換樹脂に通して不純物陽イオンを除去する工程(C)、強酸性陽イオン交換樹脂に通した後のインジウム溶液のpHを1.5〜3.0に調整して不純物陰イオンの沈殿物を生成し、これを固液分離によりを除去する工程(D)、工程(D)後のろ液のpHをアルカリ添加により8以上として水酸化インジウムの沈殿物を生成し、固液分離することによって、水酸化インジウムの濾物を得る工程(E)、を含む水酸化インジウムの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明はインジウム酸化物を含有する物質、例えば、酸化インジウム錫(ITO:Indium Tin Oxide)スクラップからの水酸化インジウムの製造方法に関する。
ITOターゲットは液晶ディスプレー用の透明導電膜として、ガラス基板上にスパッタリングされる。一般にITOターゲットは液晶ディスプレーの性能を維持するために、およそ20%しか使用されず、残りはITOスクラップとして回収される。そのため、ITOスクラップをリサイクルすることが資源保護の観点から重要である。
ITOターゲットとしてよく使われる組成は、例えば、酸化Inが約9割であり、残りの約1割が酸化Snである。これら2種類の酸化物は焙焼により水酸化物から製造されるが、焙焼後、ボールミル等で粒度調整される。一般にZr又はAlはこの工程のボールミルから混入する。
またこれら2種類の酸化物は高密度を得る為に1500℃以上の高温で焼結されており、ITOターゲットは非常に硬く、割れやすい材料である。そこで、ITOターゲットはIn蝋材により一般にCu製のバッキングプレートに接合されている。ITOスクラップはバッキングプレートから熱剥離されて回収に供されるが、蝋材にバッキングプレートからCuが拡散し、Cuが不純物として混入している。
また、ITOスクラップはそのままでは酸にほとんど溶解しないので、ジョークラッシャー及び鬼歯クラッシャー等で粗粉化され、ボールミル又は振動ミル等で微粉化される。ボールミルは一般に硬い材料である強硬度合金鋼等が選定される。この粉砕工程でFe、Ni、Mn、Cr、Zn、Ti等の不純物が混入する。
さらに、Siは地球上でもっとも多い元素であるので、どこからでも混入する可能性があり、アルカリ薬品からも混入する危険性がある。
従来、ITOスクラップは最終的には金属Inに製造され、高純度化することが多かった。代表的な方法として特開2000−169991号公報、特開平10−204673号公報がある。
また溶媒抽出法による不純物除去を開示した技術として特開平8−91838号公報、特開2000−128531号公報がある。
特開2001−40436号公報にはZrをpH2から4に調整することにより除去する方法が記載されている。
特開2009−91213号公報には塩化インジウムを含む溶液にアルカリ溶液を添加し、中和して水酸化インジウムサスペンションを得、その後水酸化インジウムを濾過し、洗浄して低塩素品位の水酸化インジウムを製造するにあたって、アルカリ溶液としてアンモニア水溶液を使用することなどが記載されている。
特開2000−169991号公報 特開平10−204673号公報 特開平8−91838号公報 特開2000−128531号公報 特開2001−40436号公報 特開2009−91213号公報
特開2000−169991号公報や特開平10−204673号公報に記載のように、金属Inにした場合、この後再度酸溶解工程が必要になり、工程にコストが掛かるという問題がある。
特開平8−91838号公報や特開2000−128531号公報に記載のような溶媒抽出法の場合は、溶媒抽出液及び溶出液が危険性の高い物質なので取り扱いに注意が必要であるとともに、溶媒抽出液および溶出方法として高価である。
特開2001−40436号公報の方法によればZrを除去することはできるかもしれないが、その他の陽イオン、例えばFe、Ni、Cu、Zn、Tiはほとんど除去されない。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、インジウム酸化物を含有する物質、例えば、ITOスクラップに含有される不純物であるFe、Mn、Cr、Zn、Al、Zr、Si、Ti、Cu及びNi等を除去して高純度の水酸化インジウムを製造する方法を提供することである。
本発明は一側面において、インジウム酸化物を含有する物質を酸で溶解してインジウム溶液とする工程(A)、
該インジウム溶液に酸化剤を添加してORP(銀/塩化銀電位基準)を600〜900mVとする工程(B)、
該酸化剤を添加したインジウム溶液を強酸性陽イオン交換樹脂に通して不純物陽イオンを除去する工程(C)、
強酸性陽イオン交換樹脂に通した後のインジウム溶液のpHを1.5〜3.0に調整して不純物陰イオンの沈殿物を生成し、これを固液分離によりを除去する工程(D)、
工程(D)後のろ液のpHをアルカリ添加により8以上として水酸化インジウムの沈殿物を生成し、固液分離することによって、水酸化インジウムの濾物を得る工程(E)、
を含む水酸化インジウムの製造方法である。
本発明に係る水酸化インジウムの製造方法は一実施形態において、工程(B)におけるインジウム溶液中のH+イオン濃度が0.1〜2.0モル/Lである。
本発明に係る水酸化インジウムの製造方法は別の一実施形態において、工程(B)で、酸化剤を添加してORP(銀/塩化銀電位基準)を600〜900mVとした後、工程(C)の前に、インジウム溶液中のH+イオン濃度を0.6〜1.2モル/Lに調整する。
本発明に係る水酸化インジウムの製造方法は更に別の一実施形態において、工程(C)は、SV値(通液量を樹脂量で割った値)を3以下として実施する。
本発明に係る水酸化インジウムの製造方法は更に別の一実施形態において、工程(E)によって得られた水酸化インジウムの濾物を水洗する工程を更に含む。
本発明に係る水酸化インジウムの製造方法は更に別の一実施形態において、水洗時に、使用する水洗液のpHをアルカリ添加により10超にすることにより、水酸化インジウムの濾物に含まれる塩の少なくとも陰イオンを除去する工程(F)を更に含む。
本発明に係る水酸化インジウムの製造方法は更に別の一実施形態において、工程(A)で添加する酸が、塩酸であり、インジウム溶液が塩化インジウム溶液である。
本発明に係る水酸化インジウムの製造方法は更に別の一実施形態において、インジウム酸化物を含有する物質がITOスクラップである。
本発明によれば、インジウム酸化物を含有する物質、例えば、ITOスクラップに含有される不純物であるFe、Mn、Cr、Zn、Al、Zr、Si、Ti、Cu及びNi等を除去して高純度の水酸化インジウムを製造することができる。得られた水酸化インジウムは再びITOターゲットの原料として使用することも可能である。
本発明に係る水酸化インジウムの製造方法の一例を示すフローチャートである。
以下に本発明について、詳細に説明する。
<原料>
本発明においては、水酸化インジウムの原料としてインジウム酸化物を含有する物質を使用する。インジウム酸化物を含有する物質としては、特に制限は無いが、典型的にはITOスクラップが挙げられる。
ITOスクラップは、例えば酸化Inを70〜95質量%、酸化Snを30〜5質量%、その他の不純物を合計で100〜1000質量ppm含有する。その他の不純物としては、Zr、Zn、Fe、Si、Al、Mn、Cr、Ni、Cu、及びTi等が挙げられる。ITOスクラップはそのままでは酸にほとんど溶解しないので、ジョークラッシャー及び鬼歯クラッシャー等の破砕機で粗粉化され、ボールミル又は振動ミル等の粉砕機で微粉化される。従って、本発明の典型的な実施形態においては、原料は粉末状で提供され、好ましくは5mmφアンダー、より好ましくは1mmφアンダー(1mm角のメッシュを持つふるいを通過する)の粉末状で提供される。
前述したように、不純物のZrはITO中に元々含有されていることが多く、一般的には100〜200質量ppm、例示的にはおよそ150質量ppm含まれている。Cuは蝋材にバッキングプレートから拡散し、一般的には1〜10質量ppm、例示的にはおよそ5質量ppmがITOスクラップ中に含有する。典型的には、ITOスクラップを塩酸で溶解する前に、粉砕工程があり、その工程でFe、Mn、Cr、Ni、Ti及びZnが混入する。Fe濃度はばらつきが大きく、ITOスクラップを粉砕後の粒子径が小さくなればなるほどFe濃度は高くなり、1mmから3mmφでFeは一般的には50〜200質量ppm、例示的にはおよそ100質量ppmがITOスクラップ粉中に混入する。Mn、Cr、Niは通常10質量ppm以下である。Tiは一般的には50〜200質量ppm、例示的には100質量ppmぐらい含まれた分析結果がある。Znも一般的には50〜200質量ppm、例示的には100質量ppmぐらい含まれた分析結果がある。Alはボールミルから混入し、一般的には10〜100質量ppm、例示的にはおよそ50質量ppm含有される。Siは一般的には10〜100質量ppm、例示的にはおよそ50質量ppm含有されるが、ガラス材からの混入およびアルカリ薬品(特に苛性ソーダ)からの混入に注意する必要がある。いずれにしてもITOスクラップ原料の粉砕粉の不純物は、それらを除去するための工程条件を的確に設定し、目標とする不純物濃度以下とするために、試験前に分析し把握しておくことが重要である。
<工程A>
工程(A)では原料であるインジウム酸化物を含有する物質を酸で溶解してインジウム溶液とする。酸としては、特に制限は無いが、硫酸、硝酸、塩酸等が挙げられ、特に塩酸が好ましい。酸濃度や液温は溶解率の観点から適宜調整することができるが、例えば酸水溶液のpHは4以下とし、液温は0℃以上〜100℃以下とする。
一例として、ITOスクラップ粉の塩酸溶解方法を挙げると、微粉砕したITO100gに対し、濃塩酸(35.5重量%)200〜300mL、典型的には250mlの割合の酸で溶解する。温度は80℃から85℃とし、総液量は蒸発水を純水補給しながら300〜500mL、典型的にはおよそ400mLとする。およそ1日で90%以上のITOが溶解する。
<工程B>
工程(B)では、工程(A)の後のインジウム溶液に酸化剤を添加してORP(銀/塩化銀電位基準)を600〜900mVとする。酸化剤を添加して当該範囲にORPを調整することによって、Fe、Mn、Cr、Zn、Al、Zr、Ti、Cu及びNi等の金属不純物を酸化させることで、次工程での陽イオン交換樹脂で除去しやすい化学形態に変化させることができる。
工程(A)の後のインジウム溶液として、原料の溶け残りが残存している状態の酸溶解液を使用することも可能であるが、目的物の高純度化の観点からは、酸溶解液を静置して原料の溶け残りを沈降させた後の上澄み液を使用したり、酸溶解液中の原料の溶け残りを濾過した後の濾液を使用したりすることが好ましい。
酸化剤としては、特に制限はないが、例えば過酸化水素、オゾン、NaClO等が挙げられ、取扱いがしやすいことから、過酸化水素が好ましい。
ORP(酸化還元電位)は、不純物を十分に酸化して陽イオン交換樹脂での吸着効率を高めるために、600〜900mVに調整し、好ましくは700〜850mVに調整する。ORPが600mV未満だと、例えば2価のFeイオン(2価)3価へFeイオンへの酸化が不十分となる。ORPが900mVを超えると、例えばCrイオンが3価の陽イオンから6価の陰イオンになり陽イオン交換樹脂に吸着しなくなる。
また、H+イオン濃度(フリーの酸濃度又はpH)とORPとの間には相関があり、一般にH+イオン濃度が低下(すなわちpHが上昇)するとORP値は低下する。H+イオン濃度が低下すると酸化力が低下するので、H+イオン濃度は酸化剤の酸化力を高めるために高い方が良い。具体的には、H+イオン濃度は酸化剤の酸化力を維持するために、0.1モル/L以上(pH1以下)とするのが好ましい。
一方で、H+イオン濃度を高くし過ぎると、工程(D)における中和時に多量の塩が生成し、水酸化インジウムからこの塩を洗い流すために多量の純水が必要となるので、2モル/L以下(pH≧−0.3)に抑えることが好ましい。
酸化剤を添加したインジウム溶液はその後、陽イオン交換樹脂に通液するが、H+イオン濃度が高すぎると樹脂に吸着しにくく、Fe、Zn、Ti等がリークする一方で、またH+イオン濃度が低すぎると陽イオン交換樹脂にInまでもが吸着し、Inの回収率が低下する。Feイオン等のリークを抑えかつInの収率を高く(例えば95%以上)に保つためには予めH+イオン濃度を0.6〜1.2モル/Lにすることが好ましく、0.8〜1.0モル/Lにすることがより好ましい。H+イオン濃度が0.6モル/Lより低いとInの回収率が急激に悪化し、H+イオン濃度が1.2モル/Lを超える場合は樹脂に吸着しにくいFeイオン等がリークする量が多くなる。
<工程C>
工程(C)では、酸化剤を添加したインジウム溶液を強酸性陽イオン交換樹脂に通して不純物陽イオンを除去する。前述したように、通液する前にH+イオン濃度を調整しておくことが好ましい。強酸性陽イオン交換樹脂としては特に制限は無いが、例えばスルホン酸基(−SO3H)を交換基として持つ樹脂が挙げられる。
SV値(空間速度=通液量を樹脂体積で割った値)は、樹脂に吸着しにくいFeイオン等のリークを防止する観点から、3以下とするのが好ましく、2.5以下とするのがより好ましく、典型的には0.5〜2.5である。
<工程D>
工程(C)により、陽イオン交換樹脂にインジウム溶液中の陽イオンが吸着し除去されたが、Siは除去されない。そこで、強酸性陽イオン交換樹脂に通した後のインジウム溶液のpHを1.5〜3.0に調整して不純物陰イオンの沈殿物を生成し、これを固液分離によりを除去する工程(D)を実施する。
当該工程を実施する際には、予め純水によりIn濃度を5〜30g/L、好ましくは10〜20g/L(例えば15g/L)になるようにメスアップすることが望ましい。In濃度が30g/Lを超える場合、Inの回収率が悪化するので注意する必要がある。
次にアルカリ薬品により、インジウム溶液のpHを1.5〜3.0とし、Snの共沈作用によりSi等の不純物金属の陰イオンを除去する。pHは好ましくは2.0〜2.5である。pHが1.5未満の場合Snは沈殿しないのでSiは除去できない。pHが3.0を超えるとInが沈殿し始めInの回収率が悪化する。
<工程E>
工程(E)では、工程(D)後のろ液のpHをアルカリ添加により中和し、pH7以上として水酸化インジウムの沈殿物を生成し、固液分離することによって、水酸化インジウムの濾物を得る。
使用可能なアルカリとしては、特に制限は無いが、苛性ソーダ、アンモニア水、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられ、水洗時の除去されやすさから、苛性ソーダ、アンモニア水が好ましい。
pHを7以上とするのは、これ未満であると水酸化インジウムの沈降性が劣り、かつ、ろ過性が悪化するためである。一方、中和に用いるアルカリの種類によっては、以下に示すとおり、中和反応により生成した塩をろ過する際に予め除去するために、中和時の最適なpHの範囲は異なる。
本工程では、中和反応によって多量の塩が生成するので、固液分離後の水酸化インジウムの濾物中にも塩の成分が付着する。そこで、水酸化インジウムの純度を高めるためには、これを除去することが好ましい。塩の除去方法としては水洗が一般的であり、典型的にはリパルプ水洗を行うことができる。水洗時に、水洗液のpHを調整することで除去効率を高めることができる。このときのpHは使用したアルカリにより異なり、具体的には以下に示す。
アルカリ薬品が苛性ソーダの場合、中和により生成する殿物には多量のNaClが含まれる。
殿物中の水酸化InからNaClを除去するために、中和のpHをまず7から9とする好ましくは7.5から8.5とする。pHが7未満の場合、既に述べたとおり、沈降性およびろ過性が悪化する。一方、pH9以上にするとNaが除去されづらい。次に純水により最低2回ほどリパルプ水洗を行う。この水洗において、リパルプ液がpH7以下になった場合はアンモニア水によりpHを8±0.5に戻す。
このリパルプ水洗の方法により、Naイオンを水酸化Inからまず除去する。
次にリパルプ水洗回数3回もしくは4回目に、リパルプ液のpHを10超、好ましくは10を超えて11以下にする。pH10以下ではClが除去されないし、pH11超では多量のアンモニア水が必要となる。この水洗において、リパルプ液がpH9.5以下になればアンモニア水によりpH10超に調整し、リパルプ水洗を繰り返す。
硝酸銀チェックにより白濁がなくなればリパルプ水洗を終了する。
以上の工程により水酸化InからClを除去する。
アルカリ薬品がアンモニア水の場合、中和により生成する殿物には多量のNH4Clが含まれる。
NH4ClのNH4イオンはインジウム水酸化物を後に酸化する工程で除去されるので、Clのみの除去方法を以下に述べる。
殿物中の水酸化InからClを除去するために、中和のpHをまず10超、好ましくは10を超えて10.5以下にする。pH10以下ではClが除去されにくく、pH10.5超では多量のアンモニア水が必要となる。
引き続きリパルプ水洗を行い、この水洗において、リパルプ液がpH8以下になった場合はアンモニア水によりpHを9〜9.5に戻す。
リパルプ水洗を繰り返し、硝酸銀チェックにより白濁がなくなればリパルプ水洗を終了する。
アンモニア水の添加量を削減する方法を以下に述べる。
中和pHを10以上にすると、中和液中に多量の塩化アンモニウムが含まれているため、pHを上昇させるために、多量のアンモニア水が必要となる。
そこで中和のpHをまず8〜9とし、リパルプ水洗を2もしくは3回ほど行う。
リパルプ液がpH8以下になった場合はアンモニア水によりpHを9±0.5に戻す。
その後リパルプ水洗回数が2もしくは3回目にリパルプ液のpHを10超、好ましくは10を超えて11以下にする。pH10以下ではClが除去されにくく、pH11超では多量のアンモニア水が必要となる。
その後リパルプ液がpH9.5以下になればアンモニア水によりpH10超に調整し、リパルプ水洗を繰り返す。
硝酸銀チェックにより白濁がなくなればリパルプ水洗を終了する。
以上の工程により水酸化InからClを除去することができる。
水酸化インジウム中に含まれる不純物の許容量はFe、Mn、Cr、Zn、Al、Zr、Ti、Cu、Niは5ppm以下、Na、Siは10ppm以下、Clは5ppm以下であり、以上の工程により、上市されるITOターゲットの原料としての許容量に適う水酸化インジウムが得られる。
上記により得られた精製水酸化インジウムは700〜1000℃の焙焼炉で7〜10時間処理することで酸化Inとなり、ITO原料として使用することができる。
以下に本発明の実施例を比較例と共に示すが、これらの実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
<実施例1>
(塩酸溶解:工程A)
粒径を1mmφアンダーまでITOスクラップを機械粉砕した。粉砕はジュークラッシャー又は鬼歯クラッシャー等で粗粉砕し、次にボールミル又は振動ミルにて微粉砕する手順とした。次にITOスクラップ粉100gを、濃塩酸(35.5重量%)250mLで溶解した。温度は80℃から85℃とし、総液量は蒸発水を純水補給しながらおよそ400mLとした。強攪拌により、およそ1日で95%のITOスクラップ粉が溶解した。
ここで不純物濃度を分析するために、塩酸溶解液を86mL分取し、純水にて1,000mLにメスアップした。この時のIn濃度は15g/L、水素イオン濃度は0.15モル/Lであった。つぎにアルカリ薬品(苛性ソーダ)にてpH8まで中和し、水酸化物を沈殿させ、ろ過水洗乾燥した。得られた水酸化物を王水で溶解し、ICP分析した。分析結果(質量%又は質量ppm)を表1(#1)に示す。
(酸化剤添加:工程B)
一方、不純物除去試験用に塩酸溶解液を静置してITOスクラップの溶け残りを沈降させた後の上澄液(インジウム溶液)を86mL採取し、これに36重量%過酸化水素水を2mL添加した。過酸化水素水添加前のORP(銀/塩化銀電位基準)はおよそ300mVであったが、過酸化水素水2mL添加後はORPはおよそ800mVまで上昇した。過酸化水素水添加前のH+イオン濃度は1.77モル/Lであった。
また液の色は無色透明から茶褐色に変化した。この過酸化水素水の添加されたインジウム溶液を純水にて186mLにメスアップした。この時のインジウム溶液中のIn濃度は80g/Lであり、H+イオン濃度(フリーの塩酸濃度)は0.8モル/Lであった。
(陽イオン交換樹脂への通液:工程C)
この液を強酸性陽イオン交換樹脂塔(三菱化学製ダイヤイオンSKIB、200mL)にSV2.5で通液した。陽イオン交換樹脂塔に残った塩酸溶解液を押し出すために、0.1モル/Lの塩酸を200mL使用した。その後純水にて1,000mLにメスアップした。陽イオン交換樹脂塔に通液した後のインジウム溶液中のIn濃度は15g/L、H+イオン濃度(=フリーの塩酸濃度)は0.15モル/Lであった。
(pH調整:工程D)
次にアルカリ薬品により、インジウム溶液のpHを2.5とし、Snの共沈作用によりSiを沈澱させた。澱物にはSn及びSiが含まれ、これをろ別して除去した。ろ過後液には不純物はほとんど含まれていなかった。
(水酸化インジウムの沈澱濾過:工程E)
次にアルカリ薬品(アンモニア水)により中和し、pH10とし、水酸化インジウムの沈殿を得た。
それをろ別し、濾物をリパルプ水洗することにより、中和時に生成した塩を水酸化インジウムから除去した。
(ハロゲン化物イオンの除去:工程F)
アルカリ薬品がアンモニア水の場合、中和により生成する殿物には多量のNH4Clが含まれる。濾物を水でリパルプ水洗し、リパルプ液がpH8以下になった場合はアンモニア水によりpHを9〜9.5に戻し、また、水洗の後半にはpHを10を超えて11以下にする段階を経ながら、リパルプ水洗を繰り返した。硝酸銀チェックにより白濁がなくなったときにリパルプ水洗を終了した。リパルプ水洗回数は6回であった。水酸化物の分析値(質量%又は質量ppm)を表1(#2)に示す。表1の#2の分析値からみて、一般に上市されているITOターゲット用原料として使用可能な純度の水酸化インジウムが得られていることが分かった。
Figure 2012214333
<比較例1>
ここでは、実施例1の過酸化水素水の添加及び陽イオン交換樹脂の処理両方を省略した場合の比較例を説明する。
粒径を1mmφアンダーまでITOスクラップを機械粉砕した。粉砕はジュークラッシャー又は鬼歯クラッシャー等で粗粉砕し、次にボールミル又は振動ミルにて微粉砕する手順とした。次にITOスクラップ粉100gを、濃塩酸(35.5重量%)250mLで溶解した。温度は80℃から85℃とし、総液量は蒸発水を純水補給しながらおよそ400mLとした。強攪拌により、およそ1日で95%のITOスクラップ粉が溶解した。
ここで不純物濃度を分析するために、塩酸溶解液を86mL分取し、純水にて1,000mLにメスアップした。この時のIn濃度は15g/L、フリーの塩酸濃度は0.15モル/Lであった。つぎにアルカリ薬品(たとえば苛性ソーダ)にてpH8まで中和し、水酸化物を沈殿させ、ろ過水洗乾燥した。得られた水酸化物を王水で溶解し、ICP分析した。この分析結果(質量%又は質量ppm)を表2(#1)に示す。
次に不純物除去試験用に塩酸溶解液を静置してITOスクラップを沈降させた後の上澄み液を86mL採取し、その後純水にて1,000mlにメスアップした。この時のIn濃度は15g/L、フリーの塩酸濃度は0.15モル/Lであった。その後アルカリ薬品(苛性ソーダ)により、塩酸溶解液のpHを2.5とし、濾過した。そのろ過後液をアルカリ薬品(苛性ソーダ)によりpH8まで中和し、水酸化インジウムの沈殿を得た。それをろ別し、濾物をリパルプ水洗することにより中和時に生成した塩を水酸化インジウムから除去した。水酸化物の分析値(質量%又は質量ppm)を表2(#2)に示す。リパルプ水洗回数は6回であった。表1と表2を比較すると、不純物の除去率に大きな差があることが分かる。
Figure 2012214333

Claims (8)

  1. インジウム酸化物を含有する物質を酸で溶解してインジウム溶液とする工程(A)、
    該インジウム溶液に酸化剤を添加してORP(銀/塩化銀電位基準)を600〜900mVとする工程(B)、
    該酸化剤を添加したインジウム溶液を強酸性陽イオン交換樹脂に通して不純物陽イオンを除去する工程(C)、
    強酸性陽イオン交換樹脂に通した後のインジウム溶液のpHを1.5〜3.0に調整して不純物陰イオンの沈殿物を生成し、これを固液分離によりを除去する工程(D)、
    工程(D)後のろ液のpHをアルカリ添加により8以上として水酸化インジウムの沈殿物を生成し、固液分離することによって、水酸化インジウムの濾物を得る工程(E)、
    を含む水酸化インジウムの製造方法。
  2. 工程(B)におけるインジウム溶液中のH+イオン濃度が0.1〜2.0モル/Lである請求項1に記載の水酸化インジウムの製造方法。
  3. 工程(B)で、酸化剤を添加してORP(銀/塩化銀電位基準)を600〜900mVとした後、工程(C)の前に、インジウム溶液中のH+イオン濃度を0.6〜1.2モル/Lに調整する請求項1又は2に記載の水酸化インジウムの製造方法。
  4. 工程(C)は、SV値(通液量を樹脂量で割った値)を3以下として実施する請求項1〜3の何れか一項に記載の水酸化インジウムの製造方法。
  5. 工程(E)によって得られた水酸化インジウムの濾物を水洗する工程を更に含む請求項1〜4の何れか一項に記載の水酸化インジウムの製造方法。
  6. 水洗時に、使用する水洗液のpHをアルカリ添加により10超にすることにより、水酸化インジウムの濾物に含まれる塩の少なくとも陰イオンを除去する工程(F)を更に含む請求項5に記載の水酸化インジウムの製造方法。
  7. 工程(A)で添加する酸が、塩酸であり、インジウム溶液が塩化インジウム溶液である請求項1〜6の何れか一項に記載の水酸化インジウムの製造方法。
  8. インジウム酸化物を含有する物質がITOスクラップである請求項1〜7の何れか一項に記載の製造方法。
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