JP2012197392A - 重合性組成物、樹脂成形体、及び積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】低誘電損失であり、かつ、機械的強度、耐熱性及びピール強度がバランス良く優れた架橋樹脂成形体及び積層体を与える重合性組成物および架橋性樹脂成形体、並びに、これらを用いて得られる架橋樹脂成形体及び積層体を提供すること。
【解決手段】シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、ラジカル発生剤、及び下記一般式(1)で表される連鎖移動剤を含有してなる重合性組成物。
−A−CH=CH−B−Q ・・・(1)
(上記一般式(1)中、Q及びQはそれぞれ独立に、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、又はエチニル基であり、A及びBはそれぞれ独立に、ビニル基及びビニレン基を化学構造中に含まない二価の有機基である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、電子機器の材料等として好適に用いられる、重合性組成物、架橋性樹脂成形体、架橋樹脂成形体、及び積層体に関する。
近年の電子機器の小型化や通信の高速度化に伴い、電子回路基板にも小型化、多機能化が求められている。このような回路基板は高周波領域で用いられることが多く、優れた高周波特性が必要なため、該基板の絶縁層に用いられる材料は低誘電損失であることが求められる。
このような低誘電損失な樹脂材料としてシクロオレフィンモノマーを塊状重合して得られるシクロオレフィンポリマーが注目されている。
たとえば、特許文献1には、ノルボルネン系モノマー、メタセシス重合触媒、連鎖移動剤及び架橋剤を含み、連鎖移動剤として、CH=CH−Q(Qはメタクリロイル基、アクリロイル基、ビニルシリル基、エポキシ基及びアミノ基から選ばれる基を少なくとも一つ有する基)で表される化合物を用いてなる重合性組成物が開示されている。
また、特許文献2には、シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、架橋剤、連鎖移動剤、および特定のジエン系ゴムを含み、連鎖移動剤として、CH=CH−Y−OCO−CR=CH(Yはアルキレン基、Rは水素原子またはメチル基)で表される化合物を用いてなる重合性組成物が開示されている。
特開2004−244609号公報 特開2008−133417号公報
本発明者が検討したところ、上記特許文献1および特許文献2に記載の重合性組成物を塊状重合および架橋して得られる成形体は、低誘電損失であり、機械的強度、耐熱性及びピール強度が概ね良好であるが、情報伝送の一層の高速化・高周波化に鑑み、それらの特性には更なる改善の余地が認められた。
本発明の目的は、低誘電損失であり、かつ、機械的強度、耐熱性及びピール強度がバランス良く優れた架橋樹脂成形体及び積層体を与える重合性組成物および架橋性樹脂成形体、並びに、これらを用いて得られる架橋樹脂成形体及び積層体を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、ラジカル発生剤、及び、両末端にメタクリロキシ基、アクリロキシ基、又はエチニル基を有する連鎖移動剤を含有してなる重合性組成物を用いて得られる成形体は、低誘電損失であり、かつ、機械的強度、耐熱性及びピール強度がバランス良く優れていることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、
〔1〕シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、ラジカル発生剤、及び下記一般式(1)で表される連鎖移動剤を含有してなる重合性組成物、
−A−CH=CH−B−Q ・・・(1)
(上記一般式(1)中、Q及びQはそれぞれ独立に、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、又はエチニル基であり、A及びBはそれぞれ独立に、ビニル基及びビニレン基を化学構造中に含まない二価の有機基である。)
〔2〕前記二価の有機基が、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の二価の炭化水素基である前記〔1〕に記載の重合性組成物、
〔3〕前記シクロオレフィンモノマーが架橋性炭素−炭素不飽和結合を有するものである請求項〔1〕又は〔2〕に記載の重合性組成物、
〔4〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の重合性組成物を塊状重合してなる架橋性樹脂成形体、
〔5〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の重合性組成物を塊状重合し、架橋してなる架橋樹脂成形体、並びに、
〔6〕少なくとも、前記〔4〕に記載の架橋性樹脂成形体、又は前記〔5〕に記載の架橋樹脂成形体からなる層を有してなる積層体、
が提供される。
本発明によれば、低誘電損失であり、かつ、機械的強度、耐熱性及びピール強度がバランス良く優れた架橋樹脂成形体及び積層体を与える重合性組成物および架橋性樹脂成形体、並びに、これを用いて得られる架橋樹脂成形体及び積層体を提供することができる。本発明の積層体は、特に、高周波用多層回路基板の製造に好適に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、以下において、架橋性樹脂成形体及び架橋樹脂成形体をまとめて樹脂成形体という場合がある。
(重合性組成物)
本発明の重合性組成物は、シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、ラジカル発生剤、及び後述する一般式(1)で表される連鎖移動剤を含有してなる。
(シクロオレフィンモノマー)
本発明に用いるシクロオレフィンモノマーとは、炭素原子で形成される脂環構造を有し、かつ該脂環構造中に重合性の炭素−炭素二重結合を有する化合物である。本明細書において「重合性の炭素−炭素二重結合」とは、連鎖重合(メタセシス開環重合)に関与する炭素−炭素二重結合をいう。
シクロオレフィンモノマーの脂環構造としては、単環、多環、縮合多環、橋かけ環及びこれらの組み合わせ多環などが挙げられる。本発明に用いるシクロオレフィンモノマーとしては、得られる樹脂成形体の機械的強度を向上させる観点から、多環のシクロオレフィンモノマーが好ましい。各環構造を構成する炭素原子数に特に限定はないが、通常、4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個である。シクロオレフィンモノマーは、アルキル基、アルケニル基、アルキリデン基、及びアリール基などの炭素数1〜30の炭化水素基や、カルボキシル基や酸無水物基などの極性基を置換基として有していてもよい。
本発明において、前記シクロオレフィンモノマーとしては、得られる樹脂成形体及び積層体の機械的強度を向上させる観点から、架橋性炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有するものが好適に用いられる。本明細書において「架橋性炭素−炭素不飽和結合」とは、メタセシス開環重合には関与せず、架橋反応に関与する炭素−炭素不飽和結合をいう。「架橋反応」とは橋架け構造を形成する反応をいう。また、「架橋反応」とは、通常、ラジカル架橋反応又はメタセシス架橋反応、特にラジカル架橋反応をいう。
前記架橋性炭素−炭素不飽和結合としては、芳香族炭素−炭素不飽和結合を除く炭素−炭素不飽和結合、すなわち、脂肪族炭素−炭素二重結合又は三重結合が挙げられ、本発明においては、通常、脂肪族炭素−炭素二重結合をいう。架橋性炭素−炭素不飽和結合を有するシクロオレフィンモノマー中、該不飽和結合の位置は特に限定されるものではなく、炭素原子で形成される脂環構造内の他、該脂環構造以外の任意の位置、例えば、側鎖の末端や内部に存在していてもよい。例えば、前記脂肪族炭素−炭素二重結合は、ビニル基(CH=CH−)、ビニリデン基(CH=C<)、又はビニレン基(−CH=CH−)として存在するものが挙げられ、良好にラジカル架橋性を発揮することから、ビニル基及び/又はビニリデン基として存在するのが好ましく、ビニリデン基として存在するのがより好ましい。
架橋性炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有するシクロオレフィンモノマーとしては、特に、架橋性炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有するノルボルネン系モノマーが好ましい。「ノルボルネン系モノマー」とは、ノルボルネン環構造を分子内に有するシクロオレフィンモノマーをいう。例えば、ノルボルネン類、ジシクロペンタジエン類、及びテトラシクロドデセン類などが挙げられる。
架橋性炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有するシクロオレフィンモノマーとしては、例えば、3−ビニルシクロヘキセン、4−ビニルシクロヘキセン、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロへキサジエン、1,4−シクロへキサジエン、5−エチル−1,3−シクロへキサジエン、1,3−シクロへプタジエン、1,3−シクロオクタジエンなどの単環シクロオレフィンモノマー;5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、5−アリルノルボルネン、5,6−ジエチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、2,5−ノルボルナジエンなどのノルボルネン系モノマー;を挙げることができる。これらの中では、架橋性炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有するノルボルネン系モノマーが好ましい。
本発明においてシクロオレフィンモノマーとしては、前記架橋性炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有するシクロオレフィンモノマーの他、架橋性炭素−炭素不飽和結合を持たないシクロオレフィンモノマーが用いられる。
架橋性炭素−炭素不飽和結合を持たないシクロオレフィンモノマーとしては、例えば、シクロペンテン、3−メチルシクロペンテン、4−メチルシクロペンテン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3,5−ジメチルシクロペンテン、3−クロロシクロペンテン、シクロへキセン、3−メチルシクロへキセン、4−メチルシクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロヘキセン、3−クロロシクロヘキセン、シクロへプテンなどの単環シクロオレフィンモノマー;ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−プロピルノルボルネン、5,6−ジメチルノルボルネン、1−メチルノルボルネン、7−メチルノルボルネン、5,5,6−トリメチルノルボルネン、5−フェニルノルボルネン、テトラシクロドデセン、1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−ヘキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチリデン−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−フルオロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,5−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−シクロへキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジクロロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−イソブチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、5−クロロノルボルネン、5,5−ジクロロノルボルネン、5−フルオロノルボルネン、5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチルノルボルネン、5−クロロメチルノルボルネン、5−メトキシノルボルネン、5,6−ジカルボキシルノルボルネンアンハイドレート、5−ジメチルアミノノルボルネン、5−シアノノルボルネンなどのノルボルネン系モノマー;を挙げることができる。これらの中でも、架橋性炭素−炭素不飽和結合を持たないノルボルネン系モノマーが好ましい。
以上のシクロオレフィンモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。例えば、シクロオレフィンモノマーとして、架橋性炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有するシクロオレフィンモノマーと架橋性炭素−炭素不飽和結合を持たないシクロオレフィンモノマーとの混合物が用いられる。
本発明の重合性組成物に用いるシクロオレフィンモノマー中、架橋性炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有するシクロオレフィンモノマーと架橋性炭素−炭素不飽和結合を持たないシクロオレフィンモノマーとの配合割合は所望により適宜選択すればよいが、重量比(架橋性炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有するシクロオレフィンモノマー/架橋性炭素−炭素不飽和結合を持たないシクロオレフィンモノマー)で、通常、5/95〜100/0、好ましくは10/90〜95/10、より好ましくは15/85〜90/15の範囲である。これらの配合割合をこのような範囲とすることにより、得られる樹脂成形体及び積層体において耐熱性や機械的強度がバランス良く向上し、好適である。
なお、本発明の重合性組成物には、本発明の効果の発現が阻害されない限り、上述したシクロオレフィンモノマーと共重合可能な任意のモノマーが含まれていてもよい。
(メタセシス重合触媒)
本発明に用いるメタセシス重合触媒は、上述したシクロオレフィンモノマーをメタセシス開環重合可能なものであれば、特に限定されない。
メタセシス重合触媒としては、遷移金属原子を中心にして、複数のイオン、原子、多原子イオン及び/又は化合物が結合してなる錯体が挙げられる。遷移金属原子としては、5族、6族及び8族(長周期型周期表、以下同じ。)の原子が使用される。それぞれの族の原子は特に限定されないが、5族の原子としては、好ましくはタンタルが挙げられ、6族の原子としては、好ましくは、モリブデン及びタングステンが挙げられ、8族の原子としては、好ましくは、ルテニウム及びオスミウムが挙げられる。
これらの中でも、8族のルテニウムやオスミウムの錯体が好ましく、ルテニウムカルベン錯体が特に好ましい。ルテニウムカルベン錯体は、塊状重合時の触媒活性に優れるため、残留未反応モノマーに由来する臭気が少ない樹脂成形体を効率的に生産することができる。また、8族のルテニウムやオスミウムの錯体は、酸素や空気中の水分に対して比較的安定であって、失活しにくいので、大気下でも樹脂成形体の生産が可能である。
ルテニウムカルベン錯体の具体例としては、以下の式(2)又は式(3)で表される錯体が挙げられる。
Figure 2012197392
上記式(2)、(3)において、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子を含んでもよい、環状又は鎖状の、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。X及びXは、それぞれ独立して任意のアニオン性配位子を示す。L及びLはそれぞれ独立して、ヘテロ原子含有カルベン化合物又はヘテロ原子含有カルベン化合物以外の中性電子供与性化合物を表す。また、RとRは互いに結合して、ヘテロ原子を含んでいてもよい、脂肪族環又は芳香族環を形成してもよい。さらに、R、R、X、X、L及びLは、任意の組合せで互いに結合して多座キレート化配位子を形成してもよい。
ヘテロ原子とは、周期表15族及び16族の原子をいう。ヘテロ原子の具体例としては、窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子、砒素原子、セレン原子などが挙げられる。これらの中でも、安定なカルベン化合物が得られる観点から、窒素原子、酸素原子、リン原子及び硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。
ヘテロ原子含有カルベン化合物は、カルベン炭素原子の両側にヘテロ原子が隣接して結合した構造を有するものが好ましく、さらにカルベン炭素原子とその両側のヘテロ原子とを含んでヘテロ環が形成された構造を有するものがより好ましい。また、カルベン炭素原子に隣接するヘテロ原子に嵩高い置換基を有するものが好ましい。
ヘテロ原子含有カルベン化合物としては、以下の式(4)又は式(5)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2012197392
上記式(4)、(5)において、R〜Rは、それぞれ独立して水素原子;ハロゲン原子;又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子を含んでもよい、環状又は鎖状の、炭素数1〜20個の炭化水素基を表す。また、R〜Rは任意の組合せで互いに結合して環を形成していてもよい。
上記式(4)、(5)で表される化合物の具体例としては、1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ(1−アダマンチル)イミダゾリジン−2−イリデン、1−シクロヘキシル−3−メシチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジメシチルオクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン、1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデンなどが挙げられる。
また、上記式(4)、(5)で示される化合物のほかに、1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン、N,N,N’,N’−テトライソプロピルホルムアミジニリデン、1,3,4−トリフェニル−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデンなどのヘテロ原子含有カルベン化合物も用い得る。
上記式(2)、(3)において、アニオン(陰イオン)性配位子XとXは、中心金属原子から引き離されたときに負の電荷を持つ配位子であり、例えば、弗素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、ジケトネート基、置換シクロペンタジエニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボキシル基などを挙げることができる。これらの中でもハロゲン原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
また、中性電子供与性化合物は、中心金属から引き離されたときに中性の電荷を持つ配位子であればいかなるものでもよい。その具体例としては、カルボニル類、アミン類、ピリジン類、エーテル類、ニトリル類、エステル類、ホスフィン類、チオエーテル類、芳香族化合物、オレフィン類、イソシアニド類、及びチオシアネート類などが挙げられる。これらの中でも、ホスフィン類、エーテル類及びピリジン類が好ましく、トリアルキルホスフィンがより好ましい。
上記式(2)で表される錯体化合物としては、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−4,5−ジブロモ−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(3−フェニル−1H−インデン−1−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリジン−2−イリデン)(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−オクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン[1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(トリシクロヘキシルホスフィン)(1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジイソプロピルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン)(エトキシメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリジン−2−イリデン)ピリジンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリジン−2−イリデン)(2−フェニルエチリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−フェニルエチリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4,5−ジブロモ−4−イミダゾリン−2−イリデン)[(フェニルチオ)メチレン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4,5−ジブロモ−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−ピロリドン−1−イルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリドなどの、ヘテロ原子含有カルベン化合物及びヘテロ原子含有カルベン化合物以外の中性電子供与性化合物が各々1つ結合したルテニウム錯体化合物;
ベンジリデンビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)ビス(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリドなどの、ヘテロ原子含有カルベン化合物以外の2つの中性電子供与性化合物が結合したルテニウム錯体化合物;
ベンジリデンビス(1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリジン−2−イリデン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデンビス(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)ルテニウムジクロリドなどの、2つのヘテロ原子含有カルベン化合物が結合したルテニウム錯体化合物;などが挙げられる。
上記式(3)で表される錯体化合物としては、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリジン−2−イリデン)(フェニルビニリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(t−ブチルビニリデン)(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリドなどが挙げられる。
これらの錯体化合物の中でも、上記式(2)で表され、かつ配位子として上記式(5)で表される化合物を1つ有するものが特に好ましい。
メタセシス重合触媒の使用量は、(触媒中の金属原子:シクロオレフィンモノマー)のモル比で、通常、1:2,000〜1:2,000,000、好ましくは1:5,000〜1:1,000,000、より好ましくは1:10,000〜1:500,000の範囲である。
メタセシス重合触媒は所望により、少量の不活性溶剤に溶解又は懸濁して使用することができる。かかる溶剤としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、流動パラフィン、ミネラルスピリットなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ジシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどの含酸素炭化水素;などが挙げられる。これらの中では、工業的に汎用な芳香族炭化水素や脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素の使用が好ましい。また、メタセシス重合触媒としての活性を低下させないものであれば、液状の老化防止剤、液状の可塑剤、液状のエラストマーを溶剤として用いてもよい。
メタセシス重合触媒は、重合活性を制御し、重合反応率を向上させる目的で活性剤(共触媒)と併用することもできる。
活性剤としては、アルミニウム、スカンジウム、スズの、アルキル化物、ハロゲン化物、アルコキシ化物及びアリールオキシ化物などを用いることができる。その具体例としては、トリアルコキシアルミニウム、トリフェノキシアルミニウム、ジアルコキシアルキルアルミニウム、アルコキシジアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウム、ジアルコキシアルミニウムクロリド、アルコキシアルキルアルミニウムクロリド、ジアルキルアルミニウムクロリド、トリアルコキシスカンジウム、テトラアルコキシチタン、テトラアルコキシスズ、テトラアルコキシジルコニウムなどが挙げられる。
活性剤の使用量は、(触媒中の金属原子:活性剤)のモル比で、通常、1:0.05〜1:100、好ましくは1:0.2〜1:20、より好ましくは1:0.5〜1:10の範囲である。
また、メタセシス重合触媒として、5族及び6族の遷移金属原子の錯体を用いる場合には、メタセシス重合触媒及び活性剤は、いずれもモノマーに溶解して用いるのが好ましいが、生成物の性質を本質的に損なわない範囲であれば少量の溶剤に懸濁又は溶解させて用いることができる。
(ラジカル発生剤)
本発明において用いるラジカル発生剤は、加熱によってラジカルを発生し、それにより、本発明の重合性組成物を塊状重合することにより得られる架橋性樹脂において、架橋反応を誘起する目的で使用される。従って、本発明の重合性組成物を塊状重合することにより得られる架橋性樹脂は、後架橋可能な熱可塑性樹脂となりうる。ラジカル発生剤としては、有機過酸化物、ジアゾ化合物、及び非極性ラジカル発生剤などが挙げられる。
有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類;ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンなどのジアルキルペルオキシド類;ジプロピオニルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類;2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンなどのペルオキシケタール類;t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエートなどのペルオキシエステル類;t−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、ジ(イソプロピルペルオキシ)ジカルボナートなどのペルオキシカルボナート類;t−ブチルトリメチルシリルペルオキシドなどのアルキルシリルペルオキシド類;などが挙げられる。中でも、メタセシス重合反応に対する障害が少ない点で、ジアルキルペルオキシド類及びペルオキシケタール類が好ましい。
ジアゾ化合物としては、例えば、4,4’−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン、4,4’−ジアジドカルコン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ジアジドジフェニルスルホン、4,4’−ジアジドジフェニルメタン、2,2’−ジアジドスチルベンなどが挙げられる。
非極性ラジカル発生剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、2,3−ジフェニルブタン、1,4−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、1,1,2,2−テトラフェニルエタン、2,2,3,3−テトラフェニルブタン、3,3,4,4−テトラフェニルヘキサン、1,1,2−トリフェニルプロパン、1,1,2−トリフェニルエタン、トリフェニルメタン、1,1,1−トリフェニルエタン、1,1,1−トリフェニルプロパン、1,1,1−トリフェニルブタン、1,1,1−トリフェニルペンタン、1,1,1−トリフェニル−2−プロペン、1,1,1−トリフェニル−4−ペンテン、1,1,1−トリフェニル−2−フェニルエタンなどが挙げられる。
これらのラジカル発生剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上のラジカル発生剤を併用し、その量比を調整することで、得られる樹脂成形体のガラス転移温度や溶融状態を任意に制御することが可能である。ラジカル発生剤の1分間半減期温度としては、特に限定はないが、通常、150〜300℃、好ましくは180〜250℃の範囲である。ここで1分間半減期温度とは、ラジカル発生剤の半量が1分間で分解する温度である。ラジカル発生剤の1分間半減期温度は、例えば、各ラジカル発生剤メーカー(例えば、日本油脂株式会社)のカタログやホームページを参照すればよい。
ラジカル発生剤の使用量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。ラジカル発生剤の使用量がかかる範囲にあれば、得られる架橋樹脂成形体が充分な架橋密度を有し、所望の物性を有する積層体が効率的に得られるので、好適である。
(連鎖移動剤)
連鎖移動剤は、本発明の重合性組成物を塊状重合して得られる架橋性樹脂の表面において、加熱溶融時の、該表面への積層物の表面に対する樹脂の追従性を向上させる作用を奏する。そのため、連鎖移動剤を配合することにより、積層体とした場合における、層間の密着性を高め、これにより、ピール強度を向上させることができる。本発明において用いる連鎖移動剤は、下記一般式(1)で表される化合物である。
−A−CH=CH−B−Q ・・・(1)
上記一般式(1)中、Q及びQはそれぞれ独立に、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、又はエチニル基であり、好ましくは、メタクリロキシ基又はアクリロキシ基、より好ましくはメタクリロキシ基であり、本発明においては、Q及びQのいずれもメタクリロキシ基であることが特に好ましい。
また、上記一般式(1)中、A及びBはそれぞれ独立に、ビニル基及びビニレン基を化学構造中に含まない二価の有機基である。すなわち、A及びBは、その化学構造中に、ビニル基(CH=CH−)及びビニレン基(−CH=CH−)を含まない二価の有機基で構成される。A及びBを構成する、二価の有機基としては、特に限定されないが、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の二価の炭化水素基が好ましく、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の二価の炭化水素基がより好ましい。
このような二価の炭化水素基としては、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は、このような脂肪族炭化水素基及び/又は芳香族炭化水素基を繰り返し単位として有する鎖状炭化水素基が挙げられる。
置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基は、飽和基あっても、あるいは不飽和基であってもよい。また、その構造は、直鎖状、分岐状、又は環状のいずれであってもよく、さらには、これらの構造を組み合わせたものであってもよい。このような置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基としては、たとえば、置換基を有していてもよいアルキレン基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ブチレン基、2−メチルプロピレン基、ペンタメチレン基、ペンチレン基、2−メチルテトラメチレン基、2,2−ジメチルトリメチレン基、2−エチルトリメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘキシレン基、2−メチルペンタメチレン基、3−メチルペンタメチレン基、ヘプタメチレン基、ヘプチレン基、オクタメチレン基、オクチレン基、2−エチルへキシレン基、ノナメチレン基、ノニレン基、デカメチレン基、デシレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基、シクロデシレン基、メチルシクロブチレン基、メチルシクロペンチレン基、メチルシクロヘキシレン基、メチルシクロヘプチレン基、メチルシクロオクチレン基、エチルシクロブチレン基、エチルシクロペンチレン基、エチルシクロヘキシレン基、エチルシクロヘプチレン基,エチルシクロオクチレン基、ジメチルシクロブチレン基、ジメチルシクロペンチレン基、ジメチルシクロヘキシレン基、ジメチルシクロヘプチレン基、ジメチルシクロオクチレン基、トリメチルシクロブチレン基、トリメチルシクロペンチレン基、トリメチルシクロヘキシレン基、トリメチルシクロヘプチレン基、トリメチルシクロオクチレンル基、プロピルシクロブチレン基、プロピルシクロペンチレン基、プロピルシクロヘキシレン基、プロピルシクロヘプチレン基、プロピルシクロオクチレン基、ブチルシクロブチレン基、ブチルシクロペンチレン基、ブチルシクロヘキシレン基、ブチルシクロヘプチレン基、ブチルシクロオクチレン基等が挙げられ、これらの基は、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたものであってもよい。
また、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基は、単環、多環、縮合多環、橋かけ環、又はこれらの組み合わせ多環のいずれの環構造を有するものでもよい。このような置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、たとえば、置換基を有していてもよいアリーレン基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリーレン基の具体例としては、フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基、ピレニレン基、ナフタセニレン基、フルオレニレン基等が挙げられ、これらの基は、上述したアルキル基、メトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたものであってもよい。
上述した二価の炭化水素基のなかでも、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基が好ましく、置換基を有していてもよいアルキレン基がより好ましく、無置換のアルキレン基が特に好ましい。
本発明に用いる連鎖移動剤の具体例としては、9−トランス−エイコセニル−1,20−ジメタクリレートや4−シス−オクテニル−1,8−ジメタクリレートなどが挙げられる。
本発明においては、上記一般式(1)で表される連鎖移動剤を含有させることにより、本発明の重合性組成物を塊状重合することにより得られる架橋性樹脂では、当該樹脂を構成するシクロオレフィンポリマーの両末端に、−A−Q基又は−B−Q基が結合しうる。すなわち、シクロオレフィンポリマーの両末端に、上記一般式(1)中のQ及びQに起因するメタクリロキシ基、アクリロキシ基、又はエチニル基が導入される。そして、このような架橋性樹脂を構成するシクロオレフィンポリマーの両末端に導入されたメタクリロキシ基、アクリロキシ基、又はエチニル基が、架橋性樹脂を架橋する際における架橋点して作用することとなる。これにより、ラジカル発生剤の作用により、架橋反応を行った際における架橋点を増加させることができ、これにより、架橋反応により得られる架橋樹脂成形体の架橋密度が向上し、これに伴い、上述したピール強度の向上効果に加えて、機械的強度及び耐熱性をバランス良く向上させることが可能となる。
連鎖移動剤の使用量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。連鎖移動剤の使用量が少なすぎると、架橋密度の向上効果が得難くなり、一方、多すぎると、塊状重合により得られる架橋性樹脂の分子量が小さくなってしまい、機械的強度が低下するおそれがある。
なお、本発明の所望の効果の発現が阻害されない限り、一般式(1)で表される化合物以外の公知の連鎖移動剤を併用してもよい。
(その他の配合剤)
本発明の重合性組成物には、上記シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、ラジカル発生剤及び連鎖移動剤に加えて、所望により、充填剤、重合調整剤、重合反応遅延剤、反応性流動化剤、架橋助剤、難燃剤、酸化防止剤、及び着色料等のその他の配合剤を添加することができる。
充填剤としては、工業的に一般に使用されるものであれば格別な限定はなく、無機系充填剤および有機系充填剤のいずれも用いることができるが、好適には無機系充填剤である。本発明の重合性組成物に充填剤を配合することにより、得られる樹脂成形体および積層体の機械強度と耐熱性とをより向上させることができる。
無機系充填剤としては、例えば、鉄、銅、ニッケル、金、銀、アルミニウム、鉛、タングステン等の金属粒子;カーボンブラック、グラファイト、活性炭、炭素バルーン等の炭素粒子;シリカ、シリカバルーン、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化すず、酸化ベリリウム、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等の無機酸化物粒子;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム等の無機炭酸塩粒子;硫酸カルシウム等の無機硫酸塩粒子;タルク、クレー、マイカ、カオリン、フライアッシュ、モンモリロナイト、ケイ酸カルシウム、ガラス、ガラスバルーン等の無機ケイ酸塩粒子;チタン酸カルシウム、チタン酸ジルコン酸鉛等のチタン酸塩粒子;窒化アルミニウム、炭化ケイ素粒子やウィスカー等が挙げられる。有機系充填剤としては、例えば、木粉、デンプン、有機顔料、ポリスチレン、ナイロン、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン、塩化ビニル、廃プラスチック等の化合物粒子が挙げられる。これらの充填剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
充填剤の配合量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常1〜1,000重量部、好ましくは10〜500重量部、より好ましくは100〜500重量部の範囲である。
重合調整剤は、重合活性を制御したり、重合反応率を向上させたりする目的で配合される。その具体例としては、トリアルコキシアルミニウム、トリフェノキシアルミニウム、ジアルコキシアルキルアルミニウム、アルコキシジアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウム、ジアルコキシアルミニウムクロリド、アルコキシアルキルアルミニウムクロリド、ジアルキルアルミニウムクロリド、トリアルコキシスカンジウム、テトラアルコキシチタン、テトラアルコキシスズ、及びテトラアルコキシジルコニウムなどが挙げられる。これらの重合調整剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。重合調整剤の使用量は、(メタセシス重合触媒中の金属原子:重合調整剤)のモル比で、通常、1:0.05〜1:100、好ましくは1:0.2〜1:20、より好ましくは1:0.5〜1:10の範囲である。
本発明の重合性組成物は、重合反応遅延剤を含有していると、その粘度増加が抑制され、好ましい。重合反応遅延剤としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、ジシクロヘキシルホスフィン、ビニルジフェニルホスフィン、アリルジフェニルホスフィン、トリアリルホスフィン、スチリルジフェニルホスフィンなどのホスフィン化合物;アニリン、ピリジンなどのルイス塩基;等を用いることができる。
本発明に使用される反応性流動化剤とは、シクロオレフィンモノマー中の重合性の炭素−炭素二重結合や、ビニル基などの、開環重合反応に関与し得る脂肪族炭素−炭素不飽和結合を持たず、かつラジカル発生剤により誘起される架橋反応に関与して重合体に結合し得る脂肪族炭素−炭素不飽和結合や有機基を1つ有する単官能化合物である。かかる反応性流動化剤としては、重合性の脂肪族炭素−炭素不飽和結合を持たず、かつ架橋性の脂肪族炭素−炭素不飽和結合を1つ有する単官能化合物が好ましい。ラジカル発生剤により誘起される架橋反応に関与して重合体に結合し得る、架橋性の脂肪族炭素−炭素不飽和結合としては、反応性流動化剤を構成する化合物中、例えば、末端ビニリデン基として、特に、イソプロペニル基やメタクリル基として存在するのが好ましく、メタクリル基として存在するのがより好ましい。前記有機基としては、エポキシ基、イソシアネート基、及びスルホ基などが挙げられる。
かかる反応性流動化剤としては、例えば、ラウリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、及びメトキシジエチレングリコールメタクリレートなどの、メタクリル基を1つ有する単官能化合物;イソプロペニルベンゼンなどの、イソプロペニル基を1つ有する単官能化合物;などが挙げられ、好ましくはメタクリル基を1つ有する単官能化合物である。これらの反応性流動化剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。反応性流動化剤の配合量は、所望により適宜選択すればよいが、シクロオレフィンモノマー100重量部に対し、通常、0.1〜100重量部、好ましくは0.5〜50重量部、より好ましくは1〜30重量部である。
本発明に使用される架橋助剤は、開環重合に関与せず、ラジカル発生剤により誘起される架橋反応に関与可能な架橋性炭素−炭素不飽和結合を2以上有する化合物が好ましい。かかる架橋性炭素−炭素不飽和結合は、架橋助剤を構成する化合物中、例えば、末端ビニリデン基として、特に、イソプロペニル基やメタクリル基として存在するのが好ましく、メタクリル基として存在するのがより好ましい。
架橋助剤の具体例としては、p−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、o−ジイソプロペニルベンゼンなどの、イソプロペニル基を2以上有する多官能化合物;エチレンジメタクリレート、1,3−ブチレンジメタクリレート、1,4−ブチレンジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロ−ルプロパントリメタクリレート、ペンタエリトリトールトリメタクリレートなどの、メタクリル基を2以上有する多官能化合物などを挙げることができる。中でも、架橋助剤としては、得られる積層体の耐熱性や耐クラック性を向上させる観点から、メタクリル基を2以上有する多官能化合物が好ましい。メタクリル基を2以上有する多官能化合物の中では、特に、トリメチロ−ルプロパントリメタクリレートやペンタエリトリトールトリメタクリレートなどの、メタクリル基を3つ有する多官能化合物がより好適である。
架橋助剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明の重合性組成物への架橋助剤の配合量としては、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常、0.1〜100重量部、好ましくは0.5〜50重量部、より好ましくは1〜30重量部である。
反応性流動化剤と架橋助剤とを共に配合する場合、両者の配合割合は、所望により適宜選択すればよいが、重量比(反応性流動化剤/架橋助剤)で、通常、5/95〜90/10、好ましくは10/90〜70/30、より好ましくは15/85〜70/30の範囲である。配合割合がかかる範囲にあれば、得られる架橋性樹脂成形体においては樹脂の流動性が向上し、また、積層体においてはピール強度、耐熱性及び耐クラック性の各特性がバランスされ、好適である。
本発明において特に好適な反応性流動化剤と架橋助剤との組合せとしては、ベンジルメタクリレート(反応性流動化剤)とトリメチロ−ルプロパントリメタクリレート(架橋助剤)とからなる組合せが挙げられる。当該組合せを用いれば、得られる架橋性樹脂成形体においては樹脂流動性が向上し、また、積層体においてはピール強度、耐熱性及び耐クラック性の各特性が高度にバランスされ、非常に好適である。
反応性流動化剤と架橋助剤とからなる組合せの、本発明の重合性組成物への配合量(反応性流動化剤と架橋助剤との合計配合量)としては、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常、0.2〜200重量部、好ましくは1〜100重量部、より好ましくは2〜60重量部である。
難燃剤としては、特に限定されるものではなく、公知の難燃剤、例えば、ハロゲン系難燃剤、リン−窒素系難燃剤、リン酸エステル難燃剤、窒素系難燃剤、及び無機系難燃剤から、適宜選択して用いることができる。その配合量も、所望の効果が得られるよう適宜調整すればよい。
重合性組成物に酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤及びイオウ系酸化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸化防止剤を加えることにより、架橋反応を阻害しないで、得られる積層体の耐熱性を高度に向上させることができ、好適である。これらの中でも、フェノール系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤が好ましく、フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。酸化防止剤の配合量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常、0.0001〜10重量部、好ましくは0.001〜5重量部、より好ましくは0.01〜1重量部の範囲である。
本発明の重合性組成物は、上記成分を混合して得ることができる。混合方法としては、常法に従えばよく、例えば、メタセシス重合触媒を適当な溶媒に溶解若しくは分散させた液(触媒液)を、シクロオレフィンモノマーやラジカル発生剤、連鎖移動剤などの各成分、及び所望により、その他の配合剤を配合した液(モノマー液)に添加し、攪拌することによって調製することができる。
(架橋性樹脂成形体)
本発明の架橋性樹脂成形体は、上述した本発明の重合性組成物を塊状重合することにより得られる。重合性組成物を塊状重合して架橋性樹脂成形体を得る方法としては、例えば、(a)重合性組成物を支持体上に塗布し、次いで塊状重合する方法、(b)重合性組成物を成形型内に注入し、次いで塊状重合する方法、(c)重合性組成物を繊維状強化材に含浸させ、次いで塊状重合する方法などが挙げられる。
本発明の重合性組成物は低粘度であるため、(a)の方法における塗布は円滑に実施でき、(b)の方法における注入では、複雑形状の空間部であっても迅速に泡かみを起こさずに重合性組成物を行き渡らせることができ、(c)の方法においては繊維状強化材に対して速やかに満遍なく重合性組成物を含浸させることができる。
(a)の方法によれば、フィルム状や板状等の架橋性樹脂成形体が得られる。該成形体の厚さは、通常、15mm以下、好ましくは5mm以下、より好ましくは0.5mm以下、最も好ましくは0.1mm以下である。支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、及びナイロンなどの樹脂からなるフィルムや板;鉄、ステンレス、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、金、及び銀などの金属材料からなるフィルムや板;などが挙げられる。中でも、金属箔又は樹脂フィルムの使用が好ましい。金属箔又は樹脂フィルムの厚さは、作業性などの観点から、通常、1〜150μm、好ましくは2〜100μm、より好ましくは3〜75μmである。金属箔としては、その表面が平滑であるものが好ましく、表面粗度(Rz)としては、AFM(原子間力顕微鏡)により測定される値で、通常、10μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは2μm以下である。また、金属箔の表面は、公知のカップリング剤や接着剤などで処理されているのが好ましい。(a)の方法によれば、例えば、支持体として銅箔を用いた場合、樹脂付き銅箔〔Resin Coated Copper (RCC)〕を得ることができる。
支持体上に本発明の重合性組成物を塗布する方法としては、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、及びスリットコート法などの公知の塗布方法が挙げられる。
支持体上に塗布された重合性組成物を所望により乾燥させ、次いで塊状重合する。塊状重合は重合性組成物を所定の温度で加熱して行われる。重合性組成物の加熱方法としては特に制約されず、支持体に塗布された重合性組成物を、加熱プレート上に載せて加熱する方法、プレス機を用いて加圧しながら加熱(熱プレス)する方法、加熱したローラーで押圧する方法、加熱炉内で加熱する方法などが挙げられる。
(b)の方法によれば、任意の形状の架橋性樹脂成形体を得ることができる。その形状としては、シート状、フィルム状、柱状、円柱状、及び多角柱状等が挙げられる。
ここで用いる型としては、従来公知の成形型、例えば、割型構造、すなわち、コア型とキャビティー型を有する成形型を用いることができ、それらの空隙部(キャビティー)に重合性組成物を注入して塊状重合させる。コア型とキャビティー型は、目的とする成形品の形状にあった空隙部を形成するように作製される。成形型の形状、材質、大きさなどは特に制限されない。さらに、ガラス板や金属板などの板状成形型と所定の厚さのスペーサーとを用意し、スペーサーを2枚の板状成形型で挟んで形成される空間内に重合性組成物を注入し塊状重合することにより、シート状又はフィルム状の架橋性樹脂成形体を得ることもできる。
重合性組成物を成形型のキャビティー内に充填する際の充填圧力(注入圧)は、通常、0.01〜10MPa、好ましくは0.02〜5MPaである。充填圧力が低すぎると、キャビティー内周面に形成された転写面の転写が良好に行われない傾向にあり、充填圧が高すぎると、成形型の剛性を高くしなければならず経済的ではない。型締圧力は、通常、0.01〜10MPaの範囲内である。重合性組成物の加熱方法としては、成形型に配設された電熱器やスチームなどの加熱手段を利用する方法や、成形型を電気炉内で加熱する方法などが挙げられる。
(c)の方法は、シート状又はフィルム状の架橋性樹脂成形体を得るのに好適に使用される。例えば、重合性組成物の繊維状強化材への含浸は、重合性組成物の所定量を、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、及びスリットコート法等の公知の方法により繊維状強化材に塗布し、所望によりその上に保護フィルムを重ね、上側からローラーなどで押圧することにより行うことができる。重合性組成物を繊維状強化材に含浸させた後、含浸物を所定温度に加熱することで重合性組成物を塊状重合させ、所望の架橋性樹脂成形体を得る。
繊維状強化材としては、無機系及び/又は有機系の繊維が使用でき、例えば、ガラス繊維、金属繊維、セラミック繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、アミド繊維、ポリアリレートなどの液晶繊維などの公知のものが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組合せて用いることができる。繊維状強化材の形状としては、特に限定されず、例えば、マット、クロス、及び不織布などが挙げられる。
繊維状強化材に重合性組成物を含浸させてなる含浸物の加熱方法としては、例えば、含浸物を支持体上に設置して前記(a)の方法のようにして加熱する方法、予め型内に繊維状強化材を設置しておき、該型内で重合性組成物を含浸させて含浸物を得、前記(b)の方法のようにして加熱する方法などが挙げられる。
(c)の方法により得られる架橋性樹脂成形体の厚さは、特に限定されないが、通常、1μm〜10mmである。また、該成形体中の繊維状強化材の含有量は、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、通常、5〜50体積%、好ましくは15〜40体積%の範囲である。かかる繊維状強化材の含有量がこの範囲にあれば、得られる積層体において機械的強度と誘電特性が高度にバランスされ好適である。
前記(a)、(b)及び(c)のいずれの方法においても、重合性組成物を重合させるための加熱温度は、通常、30〜250℃、好ましくは50〜200℃、より好ましくは90〜150℃の範囲であって、かつ、通常、ラジカル発生剤の1分間半減期温度以下、好ましくは1分間半減期温度の10℃以下、より好ましくは1分間半減期温度の20℃以下である。また、重合時間は適宜選択すればよいが、通常、1秒間〜20分間、好ましくは10秒間〜5分間である。重合性組成物をかかる条件で加熱することにより未反応モノマーの少ない架橋性樹脂成形体が得られるので好適である。
以上のようにして得られる架橋性樹脂成形体を構成する重合体(シクロオレフィンポリマー)は、実質的に架橋構造を有さず、例えば、トルエンに可溶である。当該重合体の分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(溶離液:テトラヒドロフラン)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常、1,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜100,000の範囲である。
本発明の架橋性樹脂成形体は、後架橋可能な樹脂成形体であるが、その構成樹脂の一部分が架橋されたものであってもよい。例えば、型内で重合性組成物を塊状重合したときには、型の中心部分は重合反応熱が発散しにくいので、型内の一部の温度が高くなりすぎる場合がある。高温部では架橋反応が起き、架橋が生ずることがある。しかし、熱を発散しやすい表面部が後架橋可能な架橋性の樹脂で形成されていれば、本発明の架橋性樹脂成形体は所望の効果を発揮し得る。
本発明の架橋性樹脂成形体は、塊状重合を完結させて得られるものであり、保管中にさらに重合反応が進行するというおそれがない。また、本発明の架橋性樹脂成形体は、ラジカル発生剤を含有してなるが、架橋反応を起す温度以上に加熱しない限り、表面硬度が変化するなどの不具合を生じず、保存安定性に優れる。
本発明の架橋性樹脂成形体は、例えば、プリプレグとして、本発明の架橋樹脂成形体及び積層体の製造に好適に用いられる。
(架橋樹脂成形体)
本発明の架橋樹脂成形体は、上述した本発明の重合性組成物を塊状重合し、架橋してなるものである。かかる架橋樹脂成形体は、例えば、上述した本発明の架橋性樹脂成形体を架橋することにより得られる。架橋性樹脂成形体の架橋は、該成形体を、基材樹脂において架橋反応が生ずる温度以上に維持することによって行うことができる。加熱温度は、通常、ラジカル発生剤により架橋反応が誘起される温度以上である。具体的には、ラジカル発生剤の1分間半減期温度以上、好ましくは1分間半減期温度より5℃以上高い温度、より好ましくは1分間半減期温度より10℃以上高い温度である。典型的には、100〜300℃、好ましくは150〜250℃の範囲である。加熱時間は、0.1〜180分間、好ましくは0.5〜120分間、より好ましくは1〜60分間の範囲である。また、本発明の重合性組成物を、前記架橋性樹脂成形体が架橋する温度以上に維持することにより、具体的には、ここに記載する、温度及び時間で加熱することにより、シクロオレフィンモノマーの塊状重合と、当該重合により生ずるシクロオレフィンポリマーにおける架橋反応とを共に進行させて、本発明の架橋樹脂成形体を製造することも可能である。このようにして架橋樹脂成形体を製造する場合、前記(a)の方法に準じ、例えば、支持体として銅箔を用いれば、銅張積層板〔Copper Clud Laminates (CCL)〕を得ることができる。
(積層体)
本発明の積層体は、少なくとも、上述した本発明の架橋性樹脂成形体、又は上述した本発明の架橋樹脂成形体からなる層を有してなるものである。両成形体はそれぞれ、連続的に積層されていても、他の層を挟んで間接的に積層されていてもよい。
本発明の架橋性樹脂成形体を積層してなる積層体としては、例えば、前記(a)の方法で得られる、銅箔と架橋性樹脂成形体とが層状に一体化してなるRCCが挙げられる。また、本発明の架橋樹脂成形体を積層してなる積層体としては、例えば、前記(a)の方法に準じて得られる、銅箔と架橋樹脂成形体とが層状に一体化してなるCCLが挙げられる。前記(a)の方法において、支持体として、別途得られた架橋樹脂成形体を用いれば、架橋性樹脂成形体と架橋樹脂成形体との積層体を得ることもできる。
また、シート状又はフィルム状の架橋性樹脂成形体、及び所望により、シート状又はフィルム状の架橋樹脂成形体を、任意に積層し、又はさらに、例えば、前記金属箔を積層し、熱プレスして架橋することにより、架橋樹脂成形体を積層してなる、本発明の積層体が得られる。その際、前記RCCやCCLなどの積層体を積層してもよい。熱プレスするときの圧力は、通常、0.5〜20MPa、好ましくは3〜10MPaである。熱プレスは、真空又は減圧雰囲気下で行ってもよい。熱プレスは、平板成形用のプレス枠型を有する公知のプレス機、シートモールドコンパウンド(SMC)やバルクモールドコンパウンド(BMC)などのプレス成形機を用いて行なうことができる。
本発明の積層体は、本発明の架橋性樹脂成形体又は架橋樹脂成形体からなる層を有してなる。本発明の架橋性樹脂成形体又は架橋樹脂成形体は、上述した本発明の重合性組成物を用いて得られるものであるため、本発明の積層体は、低誘電損失であり、かつ、機械的強度、耐熱性及びピール強度がバランス良く優れており、高周波用多層回路基板の製造などに好適に用いることができる。
以下に実施例および比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。なお、各例中の部および%は、特に断りのない限り、重量基準である。各種の物性については、以下の方法に従って評価した。
(1)ピール強度
銅張積層板から銅箔を引き剥がしたときの強度を、JIS C6481に準拠して測定し、以下の基準に従ってピール強度を評価した。
〔評価基準〕
A:0.4kN/超
B:0.35kN/m超、0.4kN/m以下
C:0.35kN/m以下
(2)耐熱性
銅張積層板をエッチングして銅張積層板から銅箔を除去した後、DMS(SIIナノテクノロジー社製、SS6100標準型)を用いて、架橋樹脂成形体のガラス転移点(Tg)を測定し、以下の基準で耐熱性を評価した。
〔評価基準〕
A:Tgが180℃超
B:Tgが175℃超、180℃以下
C:Tgが175℃以下
実施例1
ベンジリデン(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド51部と、トリフェニルホスフィン79部とを、トルエン952部に溶解させて触媒液を調製した。これとは別に、シクロオレフィンモノマーとしてテトラシクロドデセン(TCD)80部、ジシクロペンタジエン20部、充填剤としての酸化ケイ素粒子(アドマテックス社製、商品名SOC02、平均粒子径0.5μm)200部、連鎖移動剤としての9−トランス−エイコセニル−1,20−ジメタクリレート(両末端にメタクリロキシ基を有する連鎖移動剤)5部、ラジカル発生剤としてのジ−t−ブチルペルオキシド(1分間半減期温度186℃)3.4部、架橋助剤としてのトリメチロールプロパントリメタクリレート42部を混合してモノマー液を調製した。そして、得られたモノマー液に、上記にて調製した触媒液を、シクロオレフィンモノマー100g当たり0.12mLの割合で加えて攪拌し、重合性組成物を調製した。
そして、上記にて得られた重合性組成物を、厚さ70μmのガラスクロス(Eガラス)に含浸させ、120℃にて5分間維持し、重合性組成物を塊状重合して、厚さ0.11mmのプリプレグ(架橋性樹脂成形体)を得た。得られたプリプレグのガラスクロス含有量は25体積%であった。
次いで、上記にて得られたプリプレグを6枚重ね、厚さ12μmのF2銅箔(シランカップリング剤処理電解銅箔、粗度Rz=1,600nm、古河サーキットホイル社製)2枚で、積層したプリプレグシートを挟み、205℃で20分間、3MPaにて加熱プレスを行い、銅張積層板(架橋樹脂成形体が積層された積層体)を得た。そして、得られた銅張積層板を用いて、ピール強度及び耐熱性の各評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2
連鎖移動剤としての9−トランス−エイコセニル−1,20−ジメタクリレートの配合量を5部から10部に変更した以外は、実施例1と同様にして、重合性組成物及び銅張積層板を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3
連鎖移動剤としての9−トランス−エイコセニル−1,20−ジメタクリレートの配合量を5部から20部に変更した以外は、実施例1と同様にして、重合性組成物及び銅張積層板を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
実施例4
連鎖移動剤として、9−トランス−エイコセニル−1,20−ジメタクリレート 5部に代えて、4−シス−オクテニル−1,8−ジメタクリレート 5部(両末端にメタクリロキシ基を有する連鎖移動剤)を使用した以外は、実施例1と同様にして、重合性組成物及び銅張積層板を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1
連鎖移動剤として、9−トランス−エイコセニル−1,20−ジメタクリレート5部の代わりに、ウンデセニルメタクリレート(新中村化学工業社製、商品名「NK エコノマー ML」、片末端のみにメタクリロキシ基を有する連鎖移動剤)2.7部を使用した以外は、実施例1と同様にして、重合性組成物及び銅張積層板を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2012197392
表1より、実施例1〜4で得られた重合性組成物を用いて製造した積層体はピール強度と耐熱性(高ガラス転移点)がバランス良く優れることが分かる。一方、比較例1では両末端に官能基を付与した連鎖移動剤を重合性組成物に添加しなかったところ、得られた積層体は、実施例1〜4の積層体と比べて、ピール強度は同等であるが、耐熱性に劣ることが分かる。

Claims (6)

  1. シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、ラジカル発生剤、及び下記一般式(1)で表される連鎖移動剤を含有してなる重合性組成物。
    −A−CH=CH−B−Q ・・・(1)
    (上記一般式(1)中、Q及びQはそれぞれ独立に、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、又はエチニル基であり、A及びBはそれぞれ独立に、ビニル基及びビニレン基を化学構造中に含まない二価の有機基である。)
  2. 前記二価の有機基が、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の二価の炭化水素基である請求項1に記載の重合性組成物。
  3. 前記シクロオレフィンモノマーが架橋性炭素−炭素不飽和結合を有するものである請求項1又は2に記載の重合性組成物。
  4. 請求項1〜3いずれかに記載の重合性組成物を塊状重合してなる架橋性樹脂成形体。
  5. 請求項1〜3いずれかに記載の重合性組成物を塊状重合し、架橋してなる架橋樹脂成形体。
  6. 少なくとも、請求項4に記載の架橋性樹脂成形体、又は請求項5に記載の架橋樹脂成形体からなる層を有してなる積層体。
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