JP2012186278A - 電気機械変換膜の製造方法及び電気機械変換膜 - Google Patents

電気機械変換膜の製造方法及び電気機械変換膜 Download PDF

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Abstract

【課題】作業工程の短縮と、電気機械変換膜のパターン形状の質を向上させる電気機械変換膜の製造方法、並びに、これにより得られた電気機械変換膜、該電気機械変換膜を備えた電気機械変換素子、該電気機械変換素子を備えた液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】少なくとも所望の位置を除く基板上に撥液膜を形成し、次いで、前記所望の位置にゾルゲル液を塗布し、さらに、前記ゾルゲル液をレーザ光源よりレーザ光を照射して結晶化して電気機械変換膜を形成する。
【選択図】図4

Description

本発明はプリンタ、ファクシミリ、複写装置、MFP(マルチファンクションプリンタ)等の画像形成装置(画像記録装置)として使用されるインクジェット記録装置及び液体吐出ヘッド、並びにこれらに用いられる電気機械変換素子、電気機械変換膜及び該電気機械変換膜の製造方法に関する。
また本発明は、前述の如く直接的には印刷分野、特にデジタル印刷分野に用いられる液滴吐出装置を具備したインクジェット記録装置に利用できると共に、インクジェット技術を利用する三次元造型技術などに応用可能である。
液体吐出ヘッドの構成は、インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通する加圧室、(インク流路、加圧液室、圧力室、吐出室、液室等とも称される。)と、加圧室内のインクを加圧する圧電素子などの電気機械変換素子、或いはヒータなどの電気熱変換素子、若しくはインク流路の壁面を形成する振動板とこれに対向する電極からなるエネルギー発生手段とを備えて、エネルギー発生手段で発生したエネルギーで加圧室内インクを加圧することによってノズルからインク滴を吐出させる。
ここで、圧電素子は、基板上に配置した下部電極(第1の電極)、圧電体層、上部電極(第2の電極)の積層したものからなる。
各圧力室には、インク吐出の圧力を発生させるための個別の圧電素子が配置されてなる。
圧電素子は、電気機械変換素子と総称され、電気的入力を機械的な変形に変換するもので、構成は電気的入力を実行する上部、下部の電極対とその間に圧電体などの膜が挟まれた積層構造をもつ。
圧電体はジルコン酸チタン酸鉛(PZT)セラミックスなどが用いられ、これらは複数の金属酸化物を主成分としているため一般に金属複合酸化物と称される。
従来の個別圧電素子の形成方法は、下部電極上に各種の真空成膜法(例えばスパッタリング法、MO−CVD法(金属有機化合物を用いた化学的気相成長法)、真空蒸着法、イオンプレーティング法)やゾルゲル法、水熱合成法、AD(エアロゾルデポジション)法、塗布・熱分解法(MOD)などの周知の成膜技術により堆積させ、引き続き、上部電極を形成した後、フォトリソグラフィー・エッチングにより、上部電極のパターニングを行い、同様に圧電膜、下部電極のパターニングを行い個別化を実施している。
しかしながら、金属複合酸化物、特にPZTのドライエッチングは容易い加工材ではない。RIE(反応性イオンエッチング)でSi半導体デバイスは容易にエッチング加工できるが、この種の材料はイオン種のプラズマエネルギーを高める為、ICPプラズマ、ECRプラズマ、ヘリコンプラズマを併用した特殊なRIEが成されるが、これは製造装置のコスト高を招来する。また下地電極膜との選択比は稼げない、特に大面積基板ではエッチング速度の不均一性は致命的である。
あらかじめ、所望する部位のみに難エッチング性のPZT膜を配置すれば、上記加工工程が省略できるが、その試みは一部を除いて成されていない。
(個別PZT膜形成の従来例)
水熱合成法:Ti金属上にPZTが選択成長する。Ti電極をパターニングしておけば、その部位のみにPZT膜が成長する。しかしながら、水熱合成法で十分な耐圧を有するPZT膜を得るには、膜厚が5μm以上の比較的厚い膜が好ましく(これ以下の膜厚では、電界印加で容易に絶縁破壊してしまう)、所望する任意の薄膜(5μmより薄い膜)が得られない。またSi基板上に素子を形成する場合、水熱合成が強アルカリ性の水溶液下で合成されるため、Si基板の保護が必須となる。
真空蒸着法:有機ELの製造にシャドウマスクが用いられ、発光層のパターニングが成されているが、PZT成膜は基板温度500〜600℃にした状態で実行される。これは圧電性出現の為には複合酸化物が結晶化している必要があり、その結晶化膜を得るために先記基板温度が必須となる。一般的なシャドウマスクはステンレス製であり、Si基板とステンレス材の熱膨張差から、十分なマスキングが出来ない、使い捨てシャドウマスクは実現性が低い。特にMO−CVD法やスパッタリング法では堆積膜の回り込み現象が大きく、さらに不向きである。
AD法:あらかじめフォトリソグラフィーによりレジストパターンを形成し、レジストの無い部位にPZTを成膜する方法が知られている。AD法は先述の水熱合成法と同様に厚膜に有利であり、5μm以下の薄膜には不向きである。また、レジスト膜上にもPZT膜が堆積するので、研磨処理により一部の堆積膜を除去した後、リフトオフ工程を行う。大面積の均一研磨工程も煩雑であり、さらにレジスト膜は耐熱性が無い為、室温でAD成膜を実行し、ポストアニール処理を経て、圧電性を示す膜に変換している。
ゾルゲル法:インクジェット法で塗布する例が広く知られているが、インクジェット用のインクは粘度が低いため基板となる白金上では濡れ広がってしまう。また一度に多くのインクを塗布するとコーヒーステイン現象によりエッジが盛り上がり、中央部が薄くなるため、厚膜を得るには不向きである。さらに真空蒸着法やAD法と比較するとノズル間の吐出量ばらつきに起因する膜厚ばらつきが発生し、均一性に問題が発生する。
さらに、これら電気機械変換膜にかかる技術については、例えば下記特許文献1〜6及び非特許文献1において開示されている。
特許文献1では、SAM分子の末端を化学修飾したアルカンチオールを反応基体前面に形成、紫外線照射により部分的にSAMを除去し、生物分子や細胞アレイを形成する技術が紹介されている。
特許文献2では、ゾルゲル法を用いて基板上に複合酸化物の厚膜を形成し、空間光変調素子やインクジェットプリンタヘッドのアクチュエータ、センサに応用することが記されている。
特許文献3では、圧電体薄膜を用いた液体噴射ヘッドの一般的な構成が示されている。
特許文献4では、インクジェットヘッド用に調製されたゾルゲル液をインクジェットヘッドで吐出させて、強誘電体膜を形成する技術が開示されている。
特許文献5では、表面改質膜を用いてエネルギー感応性の強誘電体材料をパターニングし、エネルギーを付与して強誘電体膜を形成する技術が開示されている。
特許文献6では、アルゴンイオンレーザーを照射して、非晶質シリコンを結晶化して多結晶シリコン層を形成し、有機膜を除去する技術が開示されている。
非特許文献1では、Au上のSAM膜をアルゴンイオンレーザーにてパターニングしている技術が開示されている。
しかしながら、上記特許文献1〜6および非特許文献1に開示された技術をもってしても、作業工程の短縮と、電気機械変換膜のパターン形状の質を向上させることが、充分に達成されているとは言えず、さらなる改善の要求が強く、問題となっている。
本発明は以上の問題点を鑑みてなされたものであり、作業工程の短縮と、電気機械変換膜のパターン形状の質を向上させる電気機械変換膜の製造方法、並びに、これにより得られた電気機械変換膜、該電気機械変換膜を備えた電気機械変換素子、該電気機械変換素子を備えた液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明に係る電気機械変換膜の製造方法、並びに、これにより得られた電気機械変換膜、該電気機械変換膜を備えた電気機械変換素子、該電気機械変換素子を備えた液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置は、具体的には下記(1)〜(10)に記載の技術的特徴を有する。
(1): 基板上の所望の位置に所定の厚さを有する電気機械変換膜を形成する電気機械変換膜の製造方法であって、
(工程1):少なくとも前記所望の位置を含む前記基板上に第1の撥液膜を形成する第1の撥液膜形成工程と、前記第1の撥液膜の中の前記所望の位置に対応する部分を、レーザ光源よりレーザ光を照射して除去する第1の撥液膜除去工程と、
(工程2):前記所望の位置にゾルゲル液をインクジェット方式により塗布する第1のゾルゲル液塗布工程と、
(工程3):前記第1の撥液膜の中の前記所望の位置に対応する部分以外を除去すると共に、前記基板上の所望の位置に塗布された前記ゾルゲル液を乾燥・熱分解する第1の乾燥・熱分解工程と、
(工程4):少なくとも前記所望の位置を含む前記基板上に第2の撥液膜を形成する第2の撥液膜形成工程と、
(工程5):前記第2の撥液膜の中の前記所望の位置に対応する部分を、レーザ光源よりレーザ光を照射して除去する第2の撥液膜除去工程と、
(工程6):前記所望の位置にゾルゲル液をインクジェット方式により塗布する第2のゾルゲル液塗布工程と、
(工程7):前記第2の撥液膜の中の前記所望の位置に対応する部分以外を除去すると共に、前記基板上の所望の位置に塗布された前記ゾルゲル液を乾燥・熱分解する第2の乾燥・熱分解工程と、を備え、
前記(工程3)及び前記(工程7)で得られた乾燥・熱分解したゾルゲル液をレーザ光源よりレーザ光を照射して結晶化して電気機械変換膜を形成することを特徴とする電気機械変換膜の製造方法である。
(2):前記(工程5)と同時に前記乾燥・熱分解したゾルゲル液をレーザ光源よりレーザ光を照射して結晶化することを特徴とする上記(1)に記載の電気機械変換膜の製造方法である。
(3):前記(工程4)乃至(工程7)を順に複数回繰り返して所定の厚さを有する電気機械変換膜を形成することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の電気機械変換膜の製造方法である。
(4): 基板上の所望の位置に所定の厚さを有する電気機械変換膜を形成する電気機械変換膜の製造方法であって、
(工程1’):少なくとも前記所望の位置を含む前記基板上に撥液膜を形成する撥液膜形成工程と、前記撥液膜の中の前記所望の位置に対応する部分を、レーザ光源よりレーザ光を照射して除去する撥液膜除去工程と、
(工程2’):前記所望の位置にゾルゲル液をインクジェット方式により塗布するゾルゲル液塗布工程と、
(工程3’):前記ゾルゲル液をレーザ光源よりレーザ光を照射して結晶化する結晶化工程と、を備え、
(工程4’):前記(工程2’)及び前記(工程3’)を繰り返して所定の厚さの電気機械変換膜を形成することを特徴とする電気機械変換膜の製造方法である。
(5):上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の電気機械変換膜の製造方法により製造されたことを特徴とする電気機械変換膜である。
(6):一対の下部電極及び上部電極と、該一対の下部電極及び上部電極に挟持されてなる電気機械変換膜と、を備えた電気機械変換素子であって、
前記下部電極は、上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の基板であり、
前記電気機械変換素子は、上記(5)に記載の電気機械変換膜であることを特徴とする電気機械変換素子である。
(7):前記上部電極は、インクジェット方式で形成されてなることを特徴とする上記(6)に記載の電気機械変換素子である。
(8):前記電気機械変換膜は、金属の複合酸化物からなり、
前記下部電極及び上部電極は、白金族元素若しくは白金族元素の酸化物、またはこれら数種の積層膜からなる電極から構成されてなることを特徴とする上記(6)または(7)に記載の電気機械変換素子。
(9):上記(6)乃至(8)のいずれかに記載の電気機械変換素子を備えたことを特徴とする液体吐出ヘッドである。
(10):上記(9)に記載の液体吐出ヘッドを備えたことを特徴とするインクジェット記録装置である。
本発明によれば、作業工程の短縮と、電気機械変換膜のパターン形状の質を向上させる電気機械変換膜の製造方法、並びに、これにより得られた電気機械変換膜、該電気機械変換膜を備えた電気機械変換素子、該電気機械変換素子を備えた液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置を提供することができる。
本発明に係る液体吐出ヘッドの構造例を示す模式図である。 本発明に係る電気機械変換膜の製造方法における一部の工程であるSAM膜のパターニング工程を示す模式図である。 白金上の接触角を表す図である。 本発明に係る電気機械変換膜の製造方法における一部の工程であるインクジェット法でPZT前駆体を繰り返し塗布する工程を示す模式図である。 インクジェット塗布装置を示す概要図である。 本発明で得られたPZT膜のヒステリシス曲線を表す図である。 本発明に係る電気機械変換膜の製造方法における一部の工程であり、図4の加熱工程をすべてレーザで行った場合の模式図である。 複数の電気機械変換素子を有する液体吐出ヘッドの構造例を示す模式図である。 本発明に係る液体吐出ヘッドを搭載したインクジェット記録装置の構成例を示す斜視図である。 本発明に係る液体吐出ヘッドを搭載したインクジェット記録装置の構成例を示す側面図である。
次に、本発明について図面を参照しながらさらに詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は以下の説明において本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
図1は本発明にかかる液体吐出ヘッドの一実施の形態における構成を示す概略図である。
本発明は液体吐出ヘッド及びそれを使用した画像形成装置をも対象としている。上記の画像形成装置は一般的にはインクジェット記録装置と呼ばれているもので、以下にインクジェット記録装置について説明する。
インクジェット記録装置には、騒音が極めて小さくかつ高速印字が可能であり、更にはインクの自由度があり安価な普通紙を使用できるなど多くの利点があるために、プリンタ、ファクシミリ、複写装置等の画像記録装置或いは画像形成装置として広く展開されている。
インクジェット記録装置において使用する液滴吐出装置は、インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通する液室(吐出室、加圧液室、圧力室、インク流路等とも称される。)と、液室内のインクを吐出するための圧力発生手段で構成されている。
上記のような圧力発生手段としては、圧電素子などの電気機械変換素子を用いて吐出室の壁面を形成している振動板を変形変位させることでインク滴を吐出させるピエゾ型のもの、吐出室内に配設した発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いてインクの膜沸騰でバブルを発生させてインク滴を吐出させるバブル型(サーマル型)のものなどがある。更にピエゾ型のものにはd33方向の変形を利用した縦振動型、d31方向の変形を利用した横振動(ベンドモード)型、更には剪断変形を利用したシェアモード型等があるが、最近では半導体プロセスやMEMSの進歩により、Si基板に直接液室及びピエゾ素子を作り込んだ薄膜アクチュエータが考案されている。
本発明はd31方向の変形を利用した横振動(ベンドモード)型の電気変換素子に関する。
電気機械変換素子40は、一対の下部電極42及び上部電極44が対向して設けられてなり、この一対の下部電極42及び上部電極44に圧電体層(電気機械変換膜)43が挟持された積層構造を有してなる。そしてこの電気機械変換素子40は、電極42,44に印加される電気的なエネルギーを機械的なエネルギー(変形)に変換するものである。
<圧電体層(電気機械変換膜)43>
圧電体層43は、金属の複合酸化物からなる。
先ず、圧電体層43のゾルゲル法による圧電体層の形成について説明する。
圧電体層がPZTの場合(非特許文献2に示されている、ゾルゲル法による金属複合酸化物の薄膜形成に関する技術を参照:K.D.Budd, S.K.Dey, D.A.Payne, Proc.Brit.Ceram.Soc.36, 107 (1985))、酢酸鉛、ジルコニウムアルコキシド、チタンアルコキシド化合物を出発材料にし、共通溶媒としてメトキシエタノールに溶解させ均一溶液を得る。この均一溶液をPZT前駆体溶液(ゾルゲル液)と呼ぶ。
PZT(lead zirconate titanate:ジルコン酸チタン酸鉛)とはジルコン酸鉛(PbTiO)とチタン酸鉛(PbTiO)の固溶体で、その比率により特性が異なる。一般的に優れた圧電特性を示す組成はPbZrOとPbTiOの比率が53:47の割合で、化学式で示すと、Pb(Zr0.53,Ti0.47)O、一般にPZT(53/47)と示される。
酢酸鉛、ジルコニウムアルコキシド、チタンアルコキシド化合物の出発材料は、この化学式に従って秤量される。
金属アルコキシド化合物は大気中の水分により容易に加水分解してしまうので、前駆体溶液に安定剤としてアセチルアセトン、酢酸、ジエタノールアミンなどの安定化剤を適量、添加しても良い。
PZT以外の複合酸化物としてはチタン酸バリウムなどが挙げられ、この場合はバリウムアルコキシド、チタンアルコキシド化合物を出発材料にし、共通溶媒に溶解させることでチタン酸バリウム前駆体溶液を作製することも可能である。
下地基板全面にPZT膜を得る場合、スピンコートなどの溶液塗布法により塗膜を形成し、溶媒乾燥、熱分解、結晶化の各々の熱処理を施すことで得られる。塗膜から結晶化膜への変態には体積収縮が伴うので、クラックフリーな膜を得るには一度の工程で100nm以下の膜厚が得られるように前駆体濃度の調整が必要になる。
液体噴射装置の圧電素子として用いる場合、このPZT膜の膜厚は1μm〜2μmが要求される。したがって、前述の方法でこの膜厚を得るには十数回、工程を繰り返す。
ゾルゲル法によるパターン化した圧電体層の形成の場合には、下地基板の濡れ性を制御したPZT前駆体液の塗り分けをする。
(非特許文献3に示されている、Au膜上にアルカンチオールが自己組織化単分子膜(SAM: Self Assembled Mon-layer)として形成できる現象、そしてこの現象を用いたマイクロコンタクトプリント法でSAMパターンを転写し、その後のエッチングなどのプロセスに利用している技術を参照:A.Kumar and G.M.Whitesides, Appl.Phys.Lett.,63, 2002 (1993)。)
白金族金属にチオールはSAM膜(撥液膜2;疎水性)を形成する。そこで先ず、下部電極にPtを用い、該下部電極全面にSAM処理を行う。このSAM膜上はアルキル基が配置しているので、疎水性になる。
次いで、レーザ照射により、このSAM膜を選択的に除去する。このとき、SAMを除去した部位は白金表面なので親水性である。
さらに、インクジェット方式により親水性の領域にPZT前駆体を塗布する。表面エネルギーのコントラストにより塗布領域は親水性の領域のみとなる。PZT前駆体はインクジェットヘッドで塗布可能なように粘度、表面張力を調整する。
<下部電極42(基板1)>
下部電極42として用いられる材料は耐熱性かつアルカンチオールとの反応によりSAM膜を形成する金属が選ばれる。しかしながら、銅や銀はSAM膜を形成するが大気下中、500℃以上の熱処理により変質してしまうので用いることは出来ない。さらに、金は両条件を満たすものの、積層するPZT膜の結晶化に不利に働くので使えない。
そこで、下部電極に用いられる材料としては、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、の単金属や白金−ロジウムなどの白金を主成分とした他の白金族元素との合金材料もしくは白金族元素の酸化物、またはこれら数種の積層膜も有効である。
<上部電極44>
上部電極44は、厚さが例えば0.1μm程度の白金等によって形成されたものである。圧電体層と上部電極とは、下部電極と異なり、圧電体素子毎に独立して島状に形成されている。このような構成のもとに圧電体素子は、それぞれ独立して駆動するようになっている。
上部電極に用いられる材料としては、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、の単金属や白金−ロジウムなどの白金を主成分とした他の白金族元素との合金材料もしくは白金族元素の酸化物、またはこれら数種の積層膜も有効である。
<振動板30>
シリコン基板上に配置する振動板30は厚さ数ミクロンで、シリコン酸化膜や窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、およびこれら各膜を積層した膜でも良い。また熱膨張差を考慮した酸化アルミニウム膜、ジルコニア膜などのセラミック膜でも良い。
これら材料は絶縁体である。下部電極42は圧電素子に信号入力する際の共通電極として電気的接続をするので、その下にある振動板30は絶縁体か、もしくは導体であれば絶縁処理を施して用いることになる。
シリコン系絶縁膜は熱酸化膜、CVD堆積膜を用い、金属酸化膜はスパッタリング法で成膜することが出来る。
<密着層41>
これら振動板30上に白金族下部電極42を配置する場合、膜密着力を強めるための密着層41が必要となる。密着層41として可能な材料はチタン、タンタル、酸化チタン、酸化タンタル、窒化チタン、窒化タンタルやこれら積層膜が有効である。
<圧力室21、圧力室基板(Si基板)20>
圧力室21は、ノズル11が連通してなり、圧力室基板20(側面を構成)、ノズル板10(下面を構成)、振動板30(上面を構成)で区画されてなる。そして、振動板30を介して圧力室21内の液体を加圧するための積層型圧電体層43が設けられる。
圧力室基板20はシリコンウェハなどで構成され、従来技術であるエッチングなどの工法で形成される。
<ノズル板10、ノズル11>
ノズル11はノズル板10に直線状に2列に並べて形成されている。このノズル板10は例えばNi電鋳などで形成したものを用いているが、これに限るものではない。
以下、本発明の実施の形態に関して添付図面を参照して説明する。
〔実施例1〕
本発明に係るゾルゲル法による電気機械変換素子膜の形成方法を説明する。
図2は基板の表面改質の工程を説明した図であり、3種の方法でアルカンチオールのSAM膜のパターニングの方法を示す。なお、以下に示す3種の方法のうち、(A,B’’,C’’,D)の順で表面改質を行う例が本発明の実施の形態であり、他の2種は本発明
の範囲に属しない例である。
(A):Aに示す基板1には図示されていない白金電極がスパッタにより表面に形成されている。
(B):Bは基板1の表面全体にSAM膜(撥液膜2)が形成された状態を示す。SAM膜はアルカンチオール液に基板1をディップして自己配列させることで得られる。ここではCH(CH)−SHを使用した。
(C):CはPZT前駆体を形成する部分のSAM膜を除去するために必要部分のSAM膜を保護するためのフォトレジスト3をフォトリソグラフィーによりパターニングした状態を示している。
(D):Cの状態で例えば酸素プラズマを基板表面に照射することによりPZT前駆体を形成する部分のSAM膜を除去する。その後レジストを剥離した状態をDに示す。
(B’,C’,D):B’は先にフォトレジスト3のパターンを形成し、SAM処理を行う。処理後の状態は、フォトレジスト3上にはSAM膜2は形成されず(図2中のC’)、レジストを除去すればSAM膜2のパターニングを終える(図2中のD)。
(B’’,C’’,D):B’’は先述のBと同じ工程を経てSAM膜2を形成し、レーザ光源よりレーザ光を照射することで(図2中のC’’)未露光部にはSAM膜2が残り、露光部ではSAM膜2が消失する(図2中のD)。(工程1:第1の撥液膜形成工程、工程1’:撥液膜形成工程)
以上の3種の方法のいずれによっても、電気機械変換膜を形成する位置(所望の位置)を除いて、撥液膜(第1の撥液膜)が形成された。
なお、前記(A)において撥液膜2は基板1の表面全体に形成されることを要するものではなく、例えば、PZT前駆体を形成可能な親水部5となる所望の位置を取り囲むに足るべく基板1上に塗布されてなってもよい。即ち、少なくとも前記所望の位置を除く前記基板1上に撥液膜2が形成され、後述する工程において前記所望の位置にPZT前駆体溶液(ゾルゲル液)を塗布し得るようになれば良い。これについては後述する(G)においても同様である。
以上のA〜Dに示した工程により形成されたSAM膜の純水に対する接触角は92.2度であり疎水性を示し、SAM膜を除去した基板上のPtの接触角は5度と親水性となる。この純水に対する接触角の測定結果を図3に示す。
また、本実施例ではSAM膜を酸素プラズマで除去する例を説明したが、紫外線などのレーザ照射でも良い。
次に、図4にPZT前駆体をインクジェット法により図2の工程で形成した基板上の親水部(所望の位置に相当する。)に塗布する工程を示す。
(E):図2の(D)に示すパターニングされた親水領域に、インクジェット塗布装置によりPZT前駆体溶液(ゾルゲル液)を塗布してEを得る。(第1のゾルゲル液塗布工程)
<インクジェット塗布装置>
図5はインクジェット塗布装置を説明するための斜視図である。図5において架台200の上に、Y軸駆動手段201が設置してありその上に基板202を搭載するステージ203がY軸方向に駆動できるように設置されている。なおステージ203には図示されていない真空、静電気などの吸着手段が付随しており基板202が固定されている。
またX軸支持部材204にはX軸駆動手段205が取り付けられており、これにZ軸駆動手段211上に搭載されたヘッドベース206が取り付けられており、X軸方向に移動できるようになっている。ヘッドベース206の上にはインクを吐出させるインクジェットヘッド208が搭載されている。このインクジェットヘッドには図示されていない各インクタンクから各々着色樹脂インク供給用パイプ210からインクが供給される。
そして、インクジェットヘッド208から吐出されたインクを、レーザヘッド212を用いて加熱、結晶化できる。さらに、このレーザヘッド212はSAM膜の除去工程においても使用できる。
溶液は出発材料に酢酸鉛三水和物、イソプロポキシドチタン、ノルマルブトキシドジルコニウムを用いた。酢酸鉛の結晶水はメトキシエタノールに溶解後、脱水した。化学量論組成に対し鉛量を10モル%過剰にしてある。これは熱処理中のいわゆる鉛抜けによる結晶性低下を防ぐためである。
イソプロポキシドチタン、ノルマルブトキシドジルコニウムをメトキシエタノールに溶解し、アルコール交換反応、エステル化反応を進め、先記の酢酸鉛を溶解したメトキシエタノール溶液と混合することでPZT前駆体溶液を合成した。このPZT濃度は0.1モル/lにした。
一度の成膜で得られる膜厚は30〜200nmが好ましく、例えば100nm程度がさらに好ましく、前駆体濃度は成膜面積と前駆体塗布量の関係から適正化される。接触角のコントラストのため前駆体溶液は親水部にのみ広がりパターンを形成する。
塗布されたPZT前駆体溶液のパターンを第一の加熱(溶媒乾燥)として120℃で処理した後、有機物の熱分解を行い90nmの膜厚を得た。この第一の加熱工程は、一般的にはホットプレートで行われるが、紫外線などのレーザ照射で行っても良い。
引き続きインクジェット塗布装置によりPZT前駆体を塗布する。このときの膜厚は180nmであった。
(F):先記工程を合計6回繰り返し540nmの膜を得たのち、第二の加熱(熱分解処理、温度500℃)を行った。膜にクラックなどの不良は生じなかった。また、このとき前記(A)で形成したSAM膜は除去された。(第1の乾燥・熱分解工程)
(G):そして、再度SAM膜(第2の撥液膜)を全体に形成した。(第2の撥液膜形成工程)
(H):次いで、電気機械変換素子膜に対して紫外線などのレーザを照射することにより、電気機械変換素子膜の結晶化(熱処理700〜800℃に相当)とSAM膜の除去を同時に行った。(第2の撥液膜除去工程およびゾルゲル液結晶化工程)
(I):さらに6回のPZT前駆体の選択塗布(第2のゾルゲル液塗布工程)及びしかる後に120℃乾燥、残った(所望の位置に対応する部分以外の)SAM膜の除去を行い(第2の乾燥・熱分解工程)、レーザ照射により結晶化処理をした(ゾルゲル液結晶化工程)。膜にクラックなどの不良は生じなかった。膜厚は1000nmに達した。
このパターン化膜に上部電極(白金)を成膜し電気特性、電気機械変換能(圧電定数)の評価を行った。
膜の比誘電率は1220、誘電損失は0.02、残留分極は19.3μC/cm、抗電界は36.5kV/cmであり、通常のセラミック焼結体と同等の特性を持つ(P−Eヒステリシス曲線は図6に示す。)。
電気機械変換能は電界印加による変形量をレーザドップラー振動計で計測し、シミュレーションによる合わせ込みから算出した。その圧電定数d31は120pm/Vとなり、こちらもセラミック焼結体と同等の値であった。これは液体吐出ヘッドとして十分設計できうる特性値である。
上部電極を配置せずに、更なる厚膜化を試みた。すなわち、6回までの熱分解アニールのたびに結晶化処理を行い、これを10回繰り返したところ5μmのパターン化PZT膜がクラックなどの欠陥を伴わずに得られた。
ここでは、120℃の乾燥工程と500℃の熱分解工程はホットプレートで行った例を紹介したが、図7に示すように、加熱の工程をすべてレーザで行うこともできる。これにより、PZT膜のみが加熱され、SAM膜は初めに塗布すれば、最後まで除去されることはなくなり、大幅な工数の削減が得られる。
即ち、少なくとも所望の位置を含む基板上に撥液膜を形成する撥液膜形成工程と、前記撥液膜の中の前記所望の位置に対応する部分を、レーザ光源よりレーザ光を照射して除去する撥液膜除去工程と、次いで、前記所望の位置にゾルゲル液をインクジェット方式により塗布するゾルゲル液塗布工程と、さらに、前記ゾルゲル液をレーザ光源よりレーザ光を照射して結晶化する結晶化工程と、を備え、前記ゾルゲル液塗布工程及び前記結晶化工程を繰り返して所定の厚さの電気機械変換膜を形成することができる。
〔実施例2〕
さらに、図5に示すインクジェット塗布装置を用いてPZT膜上の必要な部分のみに白金を塗布して上部電極を形成した。塗布するときにはPZT前駆体を塗布したときと同様に接触角のコントラストを利用して塗布領域を規定した。
上部電極は短絡を防止するためにPZT膜パターンより小さい領域に塗布する必要があるためにPZT膜上にも撥水部を設ける必要がある。
そのため本実施例では白金を形成しない部分にフォトレジストをパターニングして塗布を行い、120℃で白金を乾燥処理した後にフォトレジストを剥離して最終的に250℃で焼結した。焼成後の膜厚は0.5μmであり、比抵抗は5×10−6Ω・cmであった。
〔実施例3〕
他の白金族元素の電極膜としてルテニウム、イリジウム、ロジウムを、各々チタン密着層を配置した熱酸化膜付きシリコンウェハ上に、スパッタリング成膜した。SAM分子、処理方法は実施例1と同じである。また白金族合金として白金−ロジウム(ロジウム濃度は15wt%)も行った。またイリジウム酸化膜の上にイリジウム金属、または白金膜を配置した試料についても行った。
SAM膜除去部位の水の接触角は5°以下(完全濡れ)であり、一方、SAM膜配置部位のそれは全ての試料において90.0°を示した。
〔実施例4〕
図1に1ノズルの液体吐出ヘッド構成を示す。また図8にこれらを複数個配置したものを示す。本発明によれば、図1及び図8中に示す電気機械変換素子40が簡便な製造工程で(かつバルクセラミックスと同等の性能を持つように)形成でき、その後の圧力室形成のための裏面からのエッチング除去、ノズル孔を有するノズル板を接合することで液体吐出ヘッドができる。
なお、図1及び図8中には液体供給手段、流路、流体抵抗についての記述は略した。
〔実施例5〕
次に、本発明に係るインクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)を搭載したインクジェット記録装置の一例について図9及び図10を参照して説明する。なお、図9はインクジェット記録装置の斜視説明図、図10はインクジェット記録装置の機構部の側面説明図である。
このインクジェット記録装置は、記録装置本体81の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ、キャリッジに搭載した本発明を実施したインクジェットヘッドからなる記録ヘッド94、記録ヘッドへインクを供給するインクカートリッジ95等で構成される印字機構部82等を収納し、装置本体81の下方部には前方側から多数枚の用紙83を積載可能な給紙カセット(或いは給紙トレイでもよい。)84を抜き差し自在に装着することができ、また、用紙83を手差しで給紙するための手差しトレイ85を開倒することができ、給紙カセット84或いは手差しトレイ85から給送される用紙83を取り込み、印字機構部82によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ86に排紙する。
印字機構部82は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド91と従ガイドロッド92とでキャリッジ93を主走査方向に摺動自在に保持し、このキャリッジ93にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する本発明に係るインクジェットヘッドからなるヘッド94を複数のインク吐出口(ノズル)を主走査方向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。またキャリッジ93にはヘッド94に各色のインクを供給するための各インクカートリッジ95を交換可能に装着している。
インクカートリッジ95は上方に大気と連通する大気口、下方にはインクジェットヘッドへインクを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジェットヘッドへ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。また、記録ヘッドとしてここでは各色のヘッド94を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドでもよい。
ここで、キャリッジ93は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド91に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド92に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ93を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ97で回転駆動される駆動プーリ98と従動プーリ99との間にタイミングベルト100を張装し、このタイミングベルト100をキャリッジ93に固定しており、主走査モータ97の正逆回転によりキャリッジ93が往復駆動される。
一方、給紙カセット84にセットした用紙83をヘッド94の下方側に搬送するために、給紙カセット84から用紙83を分離給装する給紙ローラ101及びフリクションパッド102と、用紙83を案内するガイド部材103と、給紙された用紙83を反転させて搬送する搬送ローラ104と、この搬送ローラ104の周面に押し付けられる搬送コロ105及び搬送ローラ104からの用紙83の送り出し角度を規定する先端コロ106とを設けている。搬送ローラ104は副走査モータ107によってギヤ列を介して回転駆動される。
そして、キャリッジ93の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ104から送り出された用紙83を記録ヘッド94の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材109を設けている。この印写受け部材109の用紙搬送方向下流側には、用紙83を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ111、拍車112を設け、さらに用紙83を排紙トレイ86に送り出す排紙ローラ113及び拍車114と、排紙経路を形成するガイド部材115,116とを配設している。
記録時には、キャリッジ93を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド94を駆動することにより、停止している用紙83にインクを吐出して1行分を記録し、用紙83を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号または、用紙83の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙83を排紙する。
また、キャリッジ93の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、ヘッド94の吐出不良を回復するための回復装置117を配置している。回復装置117はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ93は印字待機中にはこの回復装置117側に移動されてキャッピング手段でヘッド94をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段でヘッド94の吐出口(ノズル)を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
このように、このインクジェット記録装置においては本発明を実施したインクジェットヘッドを搭載しているので、振動板駆動不良によるインク滴吐出不良がなく、安定したインク滴吐出特性が得られて、画像品質が向上する。
以上のように、本発明によれば、レーザ光源を用いることによって、選択的に所望の位置に撥液膜をパターニングでき、及び、レーザ光源によってゾルゲル液を薄膜形成させることができ、インクジェット方式により所望の膜厚まで重ね塗布を行うことでパターン形状の質が向上した電気機械変換膜を形成することができる。
また本発明によれば、撥液膜の除去と、ゾルゲル液の薄膜形成(結晶化)を同時に行うことにより、工数の削減が達成される。
そして本発明によれば、この電気機械変換膜に第1の電極(下部電極)、第2の電極膜(上部電極)を配置させ電気機械変換素子を提供することができる。このとき、第2の電極をインクジェット方式で形成することが好ましい。
そしてまた本発明によれば、前記電気機械変換素子を用いた液体吐出ヘッドならびに該液体吐出ヘッドを使用した画像形成装置を提供することができる。
1:基板、2:SAM膜、3:フォトレジスト、4:疎水部、5:親水部、
10:ノズル板、11:ノズル、20:圧力室基板、21:圧力室、30振動板、40:電気機械変換素子、41:密着層、42:下部電極、43:電気機械変換膜、44:上部電極、
81:装置本体、82:印字機構部82、83:用紙、84:給紙カセット、85:手差しトレイ、86:排紙トレイ、
91:主ガイドロッド、92:従ガイドロッド、93:キャリッジ、94:ヘッド、
95:インクカートリッジ、97:主走査モータ、98:駆動プーリ、99:従動プーリ
100:タイミングベルト、101:給紙ローラ、102:フリクションパッド、103:ガイド部材
104:搬送ローラ、105:搬送コロ、106:先端コロ、107:副走査モータ
109:印写受け部材、111:搬送コロ、112:拍車、113:排紙ローラ、
114:拍車、115,116:ガイド部材、117:回復装置
特表2002−543429号公報 特開平4−168277号公報 WO2003/098714 特許4269172号公報 特許4400750号公報 特開2007−243147号公報
M.R.Shadnam, S.E.Kirkwood, R.Fedsejevs, A.Amirfazli,Langmuir 2004 20, 2667-2676 K.D.Budd, S.K.Dey, D.A.Payne, Proc.Brit.Ceram.Soc.36, 107 (1985). A.Kumar and G.M.Whitesides, Appl.Phys.Lett.,63, 2002 (1993).

Claims (10)

  1. 基板上の所望の位置に所定の厚さを有する電気機械変換膜を形成する電気機械変換膜の製造方法であって、
    (工程1):少なくとも前記所望の位置を含む前記基板上に第1の撥液膜を形成する第1の撥液膜形成工程と、前記第1の撥液膜の中の前記所望の位置に対応する部分を、レーザ光源よりレーザ光を照射して除去する第1の撥液膜除去工程と、
    (工程2):前記所望の位置にゾルゲル液をインクジェット方式により塗布する第1のゾルゲル液塗布工程と、
    (工程3):前記第1の撥液膜の中の前記所望の位置に対応する部分以外を除去すると共に、前記基板上の所望の位置に塗布された前記ゾルゲル液を乾燥・熱分解する第1の乾燥・熱分解工程と、
    (工程4):少なくとも前記所望の位置を含む前記基板上に第2の撥液膜を形成する第2の撥液膜形成工程と、
    (工程5):前記第2の撥液膜の中の前記所望の位置に対応する部分を、レーザ光源よりレーザ光を照射して除去する第2の撥液膜除去工程と、
    (工程6):前記所望の位置にゾルゲル液をインクジェット方式により塗布する第2のゾルゲル液塗布工程と、
    (工程7):前記第2の撥液膜の中の前記所望の位置に対応する部分以外を除去すると共に、前記基板上の所望の位置に塗布された前記ゾルゲル液を乾燥・熱分解する第2の乾燥・熱分解工程と、を備え、
    前記(工程3)及び前記(工程7)で得られた乾燥・熱分解したゾルゲル液をレーザ光源よりレーザ光を照射して結晶化して電気機械変換膜を形成することを特徴とする電気機械変換膜の製造方法。
  2. 前記(工程5)と同時に前記乾燥・熱分解したゾルゲル液をレーザ光源よりレーザ光を照射して結晶化することを特徴とする請求項1に記載の電気機械変換膜の製造方法。
  3. 前記(工程4)乃至(工程7)を順に複数回繰り返して所定の厚さを有する電気機械変換膜を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の電気機械変換膜の製造方法。
  4. 基板上の所望の位置に所定の厚さを有する電気機械変換膜を形成する電気機械変換膜の製造方法であって、
    (工程1’):少なくとも前記所望の位置を含む前記基板上に撥液膜を形成する撥液膜形成工程と、前記撥液膜の中の前記所望の位置に対応する部分を、レーザ光源よりレーザ光を照射して除去する撥液膜除去工程と、
    (工程2’):前記所望の位置にゾルゲル液をインクジェット方式により塗布するゾルゲル液塗布工程と、
    (工程3’):前記ゾルゲル液をレーザ光源よりレーザ光を照射して結晶化する結晶化工程と、を備え、
    (工程4’):前記(工程2’)及び前記(工程3’)を繰り返して所定の厚さの電気機械変換膜を形成することを特徴とする電気機械変換膜の製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の電気機械変換膜の製造方法により製造されたことを特徴とする電気機械変換膜。
  6. 一対の下部電極及び上部電極と、該一対の下部電極及び上部電極に挟持されてなる電気機械変換膜と、を備えた電気機械変換素子であって、
    前記下部電極は、請求項1乃至4のいずれかに記載の基板であり、
    前記電気機械変換素子は、請求項5に記載の電気機械変換膜であることを特徴とする電気機械変換素子。
  7. 前記上部電極は、インクジェット方式で形成されてなることを特徴とする請求項6に記載の電気機械変換素子。
  8. 前記電気機械変換膜は、金属の複合酸化物からなり、
    前記下部電極及び上部電極は、白金族元素若しくは白金族元素の酸化物、またはこれら数種の積層膜からなる電極から構成されてなることを特徴とする請求項6または7に記載の電気機械変換素子。
  9. 請求項6乃至8のいずれかに記載の電気機械変換素子を備えたことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  10. 請求項9に記載の液体吐出ヘッドを備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
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