JP2012184135A - 成形断熱材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】劣化や粉化を抑制し得た長寿命な成形断熱材を低コストで提供する。
【解決手段】炭素繊維を交絡させた繊維フェルトと前記繊維フェルトの炭素繊維表面を被覆する炭素質からなる保護炭素層とを有する炭素繊維シートが積層成形された成形断熱材であって、前記成形断熱材は、保護炭素層の質量含有比率が異なる2種類以上の炭素繊維シートが積層されてなり、成形断熱材の少なくとも一方の表面には、保護炭素層の質量含有比率の最も高い炭素繊維シートが配置されていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は炭素繊維を用いた成形断熱材に関する。
炭素繊維系の断熱材は、熱的安定性や断熱性能に優れ且つ軽量であることから、種々の用途で使用されている。このような断熱材には、炭素繊維を交絡してなる炭素繊維フェルトや、炭素繊維フェルトに樹脂材料を含浸させ炭素化させた炭素繊維成形断熱材がある。炭素繊維フェルトは可とう性に優れるという長所を有し、炭素繊維成形断熱材は、形状安定性に優れ、微細な加工が可能であるという長所を有する。
何れの断熱材を使用するかは、使用目的や用途に応じて適宜選択される。後者の炭素繊維成形断熱材は、熱的安定性、断熱性能に優れ且つ形状安定性に優れることから、単結晶シリコン引き上げ装置、多結晶シリコンキャスト炉、金属やセラミックスの焼結炉、真空蒸着炉等の高温炉の断熱材として使用されている。
ところが、単結晶や多結晶シリコンなどの製造装置においては、高温炉内でSiOガスが発生したり、酸素ガスが不純物ガスとして製造雰囲気に混入したりする。SiOガスや酸素ガスは活性(反応性)が高く、炭素繊維成形断熱材とSiOガスとが反応するとSiCが生じ、炭素繊維成形断熱材と酸素ガスとが反応すると炭素酸化物(一酸化炭素、二酸化炭素等)が生じる。これにより特に炭素繊維が劣化し、炭素繊維により構成される骨格構造が崩れ、当該骨格構造が多数の空間を形成することにより得られる断熱作用が低下する。また、この劣化により特に炭素繊維が粉化して炉内雰囲気中に放出されて、製品品質を低下させるというおそれもある。
この問題に対して、特許文献1は、炭素繊維の粉化や劣化を防止する技術を提案している。
特許第4361636号
特許文献1の技術は、嵩密度0.1〜0.4g/cmの炭素質断熱部材と、炭素繊維構造体に熱分解炭素を浸透せしめた嵩密度0.3〜2.0g/cmの炭素質保護層と、該炭素質保護層よりも嵩密度の大きい熱分解炭素被膜層とを有し、上記炭素質断熱部材の表面の一部に上記炭素質保護層を接合して接合体が形成され、該接合体の表面のうち少なくとも上記炭素質断熱部材の面に熱分解炭素被膜層が形成されている複合炭素質断熱材に関する。
この技術によると、使用時の消耗、劣化、粉化が小さく、断熱特性に優れた炭素質断熱が得られるとされる。
しかしながら、特許文献1の技術は、炭素繊維の劣化及び粉化の抑制が十分ではない。また、この技術によると、製造工程が複雑となり、製造コストが増大するという問題がある。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、炭素繊維の劣化・粉化が少ない成形断熱材を低コストでもって提供することを目的とする。
上記課題を解決するための成形断熱材に係る本発明は、次のように構成されている。
炭素繊維を交絡させた繊維フェルトと、前記繊維フェルトの炭素繊維表面を被覆する炭素質からなる保護炭素層と、を有する炭素繊維シートを積層成形してなる成形断熱材であって、前記成形断熱材は、保護炭素層の質量含有比率が異なる2種類以上の炭素繊維シートが積層されてなり、成形断熱材の少なくとも一方の表面に、保護炭素層の質量含有比率の最も高い炭素繊維シートが配置されていることを特徴とする。
繊維フェルトと、繊維フェルトの炭素繊維表面を被覆する炭素質からなる保護炭素層と、を有する炭素繊維シートが積層成形されてなる成形断熱材であると、成形断熱材の周囲に、不純物として混入或いは炉内で発生した活性ガス(酸素ガス、SiOガス等)が存在する場合、炭素繊維表面を被覆する保護炭素層が炭素繊維に先んじて活性ガスと反応する。これにより炭素繊維と活性ガスとが反応して劣化することが抑制される。
ここで、保護炭素層が酸素ガスと反応する場合、保護炭素層を構成する炭素が炭酸ガスとなって除去され、また、SiOガスと反応する場合にはSiCとなって除去されることなく残存するが、いずれの場合も炭素繊維により構成される骨格構造が維持されるので、当該骨格構造が多数の空間を形成することにより得られる断熱作用が維持される。
そして、上記本発明の構成においては、成形断熱材の少なくとも1つの表面に、保護炭素層の質量含有比率が最も高い炭素繊維シートを配置する構成とし、炭素質による炭素繊維の劣化抑制効果が長く続くようにしてある。すなわち、この構成であると、保護炭素層の質量含有比率の最も高い炭素繊維シートが熱源側に面するので、保護炭素層の作用効果が最も効率よく発揮される。これにより、炭素繊維の劣化や粉化の防止効果がより長時間にわたって維持される。
また、成形断熱材の設置時に、把持具との摩擦等によって炭素繊維が欠落等して粉化(発塵)するおそれがあるが、保護炭素層の質量含有比率の最も高い炭素繊維シートを熱源(装置)側に配することにより、保護炭素層が摩擦による炭素繊維の欠落を抑制するように作用するので、このような発塵もまた抑制することができる。
また、保護炭素層の質量含有比率を高めると、その分製造コストが増大するが、上記本発明の構成では、活性ガス源側に配される炭素繊維シートについて保護炭素層の質量含有比率を高めるので、無用なコスト上昇を招かない。
また、炭素繊維シートを複数積層し成形してなる断熱材であると、薄い各々の炭素繊維シートの保護炭素層の質量含有比率を制御すればよく、このシートを任意の順序で組み合わせることにより所望の質量含有比率を持った断熱材構造を形成することができる。よって、低コストで長寿命な成形断熱材を実現することができる。
上記構成においては、一方の表面に配置された保護炭素層の質量含有比率の最も高い炭素繊維シートの厚み、または当該炭素繊維シートに連続させて1層以上積層された保護炭素層の質量含有比率の最も高い炭素繊維シート群の合計厚みが、成形断熱材の厚みの1/10以上とすることが、劣化防止効果の面で好ましい。また、コスト面から、上記厚み又は上記合計厚みの上限は、成形断熱材の厚みの1/3とすることが好ましい。
上記厚み又は上記合計厚みについて、以下に具体的に説明する。例えば、同じ厚みの炭素繊維シートが3枚積層された成形断熱材においては、保護炭素層の質量含有比率が最も高い炭素繊維シートを一方表面に配する。また、例えば同じ厚みの炭素繊維シートが10枚積層された成形断熱材においては、保護炭素層の質量含有比率が最も高い炭素繊維シートを一方表面に1層、又は2ないし3層積層して配する。
また、炭素繊維シートのうち、一方の表面に配置された炭素繊維シート以外の炭素繊維シートは、活性ガスとの反応機会が少ないため、当該炭素繊維シート内には、形状を安定させる接着強度が得られる保護炭素層量であればよい。また、保護炭素層の質量含有比率が最も低い炭素繊維シートのかさ密度は、好ましくは0.13〜0.17g/cmとする。
また、断熱性能の劣化抑制効果を十分に得るために、保護炭素層の質量含有比率が最も高い炭素繊維シートのかさ密度を、好ましくは、0.18〜0.25g/cmとする。または保護炭素層の質量含有比率が最も低い炭素繊維シートのかさ密度よりも0.02g/cm以上大きくする。より好ましくは、両者をともに満たす構成とする。
なお、成形断熱材は、保護炭素層の質量含有比率が最も低い炭素繊維シートと最も高い炭素繊維シートの2種類からなる構成であってもよく、保護炭素層の質量含有比率が異なる3種類以上の炭素繊維シートを用いてなる構成であってもよい。また、成形断熱材の両方の表面に、保護炭素層の質量含有比率の最も高い炭素繊維シートが配置されていてもよい。
上記課題を解決するための成形断熱材の製造方法に係る本発明は、次のように構成されている。炭素繊維を交絡させた炭素繊維フェルトに、熱硬化性樹脂を含浸させてプリプレグを作製するプリプレグ作製ステップと、前記プリプレグを複数積層してプリプレグ積層体となす積層ステップと、前記プリプレグ積層体を加圧しつつ加熱して、前記熱硬化性樹脂を熱硬化させて、前記プリプレグ相互を結着させる結着ステップと、結着されたプリプレグ積層体を不活性ガス雰囲気で熱処理して、前記熱硬化性樹脂を炭素化させる炭素化ステップと、を有し、前記積層ステップは、断熱材の少なくとも1つの表面に、前記熱硬化性樹脂の質量含有比率が最も高いプリプレグが配されるように積層するステップであることを特徴とする。
上記製造方法を採用することにより、化学蒸着等の特別な工程を必要とすることのない簡便な手法で、本発明に係る成形断熱材を製造することができる。
以上に説明したように、本発明によると、低コストでもって断熱性能の劣化を抑制し得た炭素繊維成形断熱材を実現することができる。
図1は、本発明に係る炭素繊維シートの拡大模式図である。
(実施の形態)
本発明を実施するための形態を、図面を参照して以下に説明する。図1は、本発明に係る炭素繊維シートの拡大模式図である。
本発明に係る成形断熱材は、炭素繊維を交絡させた繊維フェルトと繊維フェルトの炭素繊維表面を被覆する炭素質からなる保護炭素層とを有する炭素繊維シートが積層成形されている。ここで、成形断熱材は、保護炭素層の質量含有比率が異なる炭素繊維シートが、少なくとも1つの表面には、保護炭素層の質量含有比率が最も高い炭素繊維シートが配されるように積層されている。
炭素繊維としては、特に限定されることはなく、例えば石油ピッチ系、ポリアクリロニトリル(PAN)系、レーヨン系、フェノール系、セルロース系等の炭素繊維を、単一種又は複数種混合して用いることができる。また、炭素繊維の微視的な構造としては特に限定されず、形状(巻縮型、直線型、直径、長さ等)が同一のもののみを用いてもよく、また異なる構造のものが混合されていてもよい。ただし、炭素繊維の種類やその微視的構造は、製造される成形断熱材の物性に影響を与えるので、用途に応じて適宜選択するのがよい。
繊維フェルトの形状としては、特に限定されることはなく、例えば厚みが3〜15mm程度のものを用いることができる。また、長さや幅は特に限定されることはなく、長尺や長幅なものを用いて成形断熱材を作製後に切断等してもよく、成形断熱材のサイズに切断した後に成形断熱材を作製してもよい。また、炭素繊維フェルトの微視的構造としては、ランダムな方向に配向した炭素繊維が複雑に交わっているものを用いることが好ましい。
図1に示すように、保護炭素層2は、炭素繊維1の表面全部、あるいは、炭素繊維1の表面の一部を被覆している。また、保護炭素層2は炭素質であればよく、その由来となる化合物は特に限定されることはないが、繊維フェルトに含浸可能な樹脂材料の炭素化物を用いることが好ましい。このような樹脂材料としては、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂を用いると、積層した炭素繊維シート相互を熱硬化により簡便かつ強固に結着させることができる。
ここで、熱硬化性樹脂は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、熱硬化性樹脂は、そのまま繊維フェルトに含ませてもよく、溶剤で希釈して繊維フェルトに含ませてもよい。溶剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール等のアルコールを用いることができる。
炭素繊維シートに含まれる保護炭素層は、炭素繊維に先んじて活性ガス(酸素ガス、SiOガス等)と反応し、当該炭素繊維シート内、あるいはより内側に配置された炭素繊維シート内の炭素繊維の劣化を抑制するように作用する。本実施の形態の構成では、成形断熱材の少なくとも1つの表面には、保護炭素層の質量含有比率が最も高い炭素繊維シートが配されており、活性ガス源(熱源)側の表面に保護炭素層の質量含有比率が最も高い炭素繊維シートを配置することにより、長期間にわたって炭素繊維の劣化が抑制されるので、炭素繊維により構成される骨格構造が維持される。したがって、当該骨格構造が多数の空間を形成することによる断熱作用が長期間にわたって得られ、成形断熱材の長寿命化が図られる。
また、炭素繊維シートを複数積層させる方法では、シートごとの保護炭素層の質量含有比率を制御し易いとともに、工程増を招くことなく成形断熱材を作製することができるので、製造コストを低減することが可能である。
また、一方の表面に配置された保護炭素層の質量含有比率の最も高い炭素繊維シートの厚み、または当該炭素繊維シートに連続させて1層以上配置された保護炭素層の質量含有比率の最も高い炭素繊維シート群の合計厚みは、成形断熱材の厚みの1/10以上1/3以下とすることが好ましい。
また、炭素繊維シートのうち、保護炭素層の質量含有比率が最も低い炭素繊維シートのかさ密度は、0.13〜0.17g/cmとすることが好ましい。
また、保護炭素層の質量含有比率が最も高い炭素繊維シートのかさ密度は、0.18〜0.25g/cmとする、あるいは、保護炭素層の質量含有比率が最も低い炭素繊維シートのかさ密度よりも0.02g/cm以上大きくすることが好ましい。より好ましくは、両者をともに満たすようにする。
次に、成形断熱材の製造方法について説明する。
(繊維フェルトの準備)
繊維フェルトは、公知の方法で作製したものを用いることができ、好ましくは炭素繊維が三次元的に配向しやすい方法を採用する。繊維フェルトの形成方法としては、例えば開繊機により開繊、空気圧で上昇させ降り積もらせた後、ニードルパンチを用いる方法、溶液中で撹拌・混合し、抄紙網上に堆積させる方法、カード機などのカーディング手段により繊維フェルトを紡出した後、ニードルパンチを用いる方法等が例示できる。
(プリプレグ作製ステップ)
こののち、繊維フェルトに熱硬化性樹脂溶液を噴霧し、熱硬化性樹脂溶液に浸漬し、あるいは熱硬化性樹脂溶液を塗布してプリプレグとなす。このとき、熱硬化性樹脂溶液の質量含有比率の異なる複数種類のプリプレグを作製する。
また、炭素繊維の集合体を開繊、堆積しつつ熱硬化性樹脂溶液をスプレーして、繊維フェルトの作製と同時に熱硬化性樹脂を含浸させてプリプレグを作製してもよい。熱硬化性樹脂は、溶媒に溶解した状態で繊維フェルトに含浸させることが好ましい。
(積層ステップ)
プリプレグを複数積層して、プリプレグ積層体となす。このとき、熱硬化性樹脂溶液の質量含有比率の最も高いプリプレグが、少なくとも一方の表面に配されるようにする。積層枚数は、作製する成形断熱材の厚みやプリプレグの厚みに応じて適宜選択すればよい。また、例えば円筒形の成形断熱材を作製する場合、熱硬化性樹脂含有量が変化したプリプレグを、円柱ないし円筒状のマンドレルにらせん状に巻いて積層させる構成としてもよい。
(結着ステップ)
プリプレグ積層体を目的の厚みとなるようにプレス機を用いて加圧しつつ、熱硬化性樹脂の硬化温度以上の温度に加熱し、所定の時間(例えば、1〜10時間)保持して、プリプレグ相互を結着する。
(炭素化ステップ)
結着されたプリプレグ積層体を、不活性雰囲気で1500〜2500℃で所定の時間(例えば、1〜20時間)加熱し、熱硬化性樹脂を炭素化させて、成形断熱材を得る。
ここで、特に2000℃以上の温度で熱処理する場合、保護炭素層の黒鉛構造が発展する場合もあるが、本発明の保護炭素層は、非晶質炭素からなる構造、黒鉛質炭素からなる構造、両者が混在した構造全てを含むものを意味する。
実施例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明する。
(プリプレグの作製)
ピッチ系炭素繊維(平均直径13μm)からなる、ニードルパンチ法により作製された繊維フェルト(厚み5mm、幅1000mm、長さ1500mm)を、フェノール樹脂系熱硬化性樹脂溶液に浸漬して、繊維フェルトにフェノール樹脂系熱硬化性樹脂が含浸されたプリプレグを作製した。このとき、浸漬時間や溶液濃度を変化させることにより、フェノール樹脂系熱硬化性樹脂の質量含有比率の異なる3種類のプリプレグを作製した。
以下、2000℃で熱処理した場合にフェノール系熱硬化性樹脂が炭素化してなる炭素質量が、炭素繊維100質量部に対して40質量部となるようにフェノール系熱硬化性樹脂を添加したプリプレグをプリプレグA、該炭素質量が炭素繊維100質量部に対して100質量部となるようにフェノール系熱硬化性樹脂を添加したプリプレグをプリプレグB、該炭素質量が炭素繊維100質量部に対して60質量部となるようにフェノール系熱硬化性樹脂を添加したプリプレグをプリプレグCと称する。
(実施例1)
プリプレグAを7層積層し、さらにその表面にプリプレグBを1層積層して、プリプレグ積層体を作製した。
このプリプレグ積層体をホットプレス機に設置し、加圧しつつ200℃で1時間保持して、フェノール樹脂系熱硬化性樹脂を熱硬化させてプリプレグ相互を結着させた。このとき、プリプレグ積層体の厚みが35mmとなるように加圧した。
こののち、不活性雰囲気で2000℃で5時間熱処理して、フェノール樹脂系熱硬化性樹脂を炭素化させて、実施例1に係る成形断熱材を作製した。なお、実施例1に係る成形断熱材のかさ密度は、0.16g/cmであった。
(実施例2)
プリプレグCを7層積層し、さらにその表面にプリプレグBを1層積層して、プリプレグ積層体を作製したこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例2に係る成形断熱材を作製した。なお、実施例2に係る成形断熱材のかさ密度は、0.18g/cmであった。
(比較例1)
プリプレグAを8層積層して、プリプレグ積層体を作製したこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例1に係る成形断熱材を作製した。なお、比較例1に係る成形断熱材のかさ密度は、0.15g/cmであった。
(比較例2)
プリプレグCを8層積層して、プリプレグ積層体を作製したこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例2に係る成形断熱材を作製した。なお、比較例2に係る成形断熱材のかさ密度は、0.17g/cmであった。
なお、プリプレグBを8層積層して、プリプレグ積層体を作製した成形断熱材のかさ密度は、0.23g/cmであった。以上のことから、実施例1,2、比較例1,2に係る成形断熱材において、プリプレグA由来の炭素繊維シートのかさ密度は0.15g/cmであり、プリプレグB由来の炭素繊維シートのかさ密度は0.23g/cmであり、プリプレグC由来の炭素繊維シートのかさ密度は0.17g/cmである。
(粉落ち試験)
上記のように作製された実施例1、2、比較例1、2に係る成形断熱材を10cm四方に裁断して、試験片を作製した。この試験片の表面(実施例1,2においては、プリプレグB由来の炭素繊維シート側の表面)にペーパータオルを設置し、12.8gf/cmの荷重がかかるように、金属性の重りをペーパータオル上に載置した(実施例1,2においては、プリプレグB側の表面)。こののち、ペーパータオルを1cm/secで10cm引っ張り、試験前後の重量変化(減少)を測定した。この試験結果を、試験片の表面1cmあたりの重量変化として、下記表1に示す。
Figure 2012184135
上記表1より、実施例1、2に係る成形断熱材は、重量変化がともに0.04mg/cmであり、比較例1の0.10mg/cm、比較例2の0.08mg/cmよりも少ないことが分かる。
この重量変化は、ペーパータオルを引っ張る際の摩擦により、成形断熱材の構成材料が粉化脱離(粉落ち)したことによると考えられる。
ここで、比較例1と比較例2とを比較すると、成形断熱材としてのかさ密度が高い(保護炭素層の質量含有比率の大きい)比較例2のほうが、粉落ちが少なくなっていることが分かる。また、ペーパータオルに接する炭素繊維シートのかさ密度が大きくなる(比較例1<比較例2<実施例1,2)につれて、粉落ちが小さくなっていることが分かる。
比較例2は、成形断熱材全体としてのかさ密度が0.17mg/cmと、実施例1の0.16mg/cmよりも大きいにもかかわらず、粉落ちが実施例1よりも多くなっている。
以上のことから、保護炭素層を成形断熱材の全体的に含ませるよりも、熱源に接する表面のみ保護炭素層を多く形成することが、摩擦による粉落ちを防止する効果が高いことが分かる。
なお、上記実施例では平均直径13μmの炭素繊維を用いたが、この太さに限定されることはない。ただし、繊維の直径は、製造される成形断熱材の断熱性能やかさ密度等に影響を及ぼすので、目的とする断熱性能・かさ密度に応じて直径等を選択すればよい。
また、上記実施例では同じ厚みの炭素繊維シートを8層積層したが、この積層枚数や厚みに限定されることはなく、目的とする断熱性能・かさ密度・厚み等に応じて、異なる厚みの炭素繊維シートを積層したり、積層枚数を変更したりすることができる。
上記で説明したように、本発明によると、コスト上昇を伴うことなく、劣化や粉化を抑制し得た長寿命な成形断熱材を実現できるので、その産業上の利用可能性は大きい。
1 炭素繊維
2 保護炭素層

Claims (5)

  1. 炭素繊維を交絡させた繊維フェルトと前記繊維フェルトの炭素繊維表面を被覆する炭素質からなる保護炭素層とを有する炭素繊維シートが積層成形された成形断熱材であって、
    前記成形断熱材は、保護炭素層の質量含有比率が異なる2種類以上の炭素繊維シートが積層されてなり、成形断熱材の少なくとも一方の表面に、保護炭素層の質量含有比率の最も高い炭素繊維シートが配置されている、
    ことを特徴とする成形断熱材。
  2. 前記一方の表面に配置された保護炭素層の質量含有比率の最も高い炭素繊維シートの厚み、または当該炭素繊維シートに連続させて1層以上積層された保護炭素層の質量含有比率の最も高い炭素繊維シート群の合計厚みは、前記成形断熱材の厚みの1/10〜1/3である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の成形断熱材。
  3. 前記炭素繊維シートのうち、保護炭素層の質量含有比率が最も低い炭素繊維シートのかさ密度は、0.13〜0.17g/cmであり、
    且つ前記保護炭素層の質量含有比率が最も高い炭素繊維シートのかさ密度よりも0.02g/cm以上小さい、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の成形断熱材。
  4. 前記炭素繊維シートのうち、保護炭素層の質量含有比率が最も低い炭素繊維シートのかさ密度は、0.13〜0.17g/cmであり、
    前記保護炭素層の質量含有比率が最も高い炭素繊維シートのかさ密度は、0.18〜0.25g/cmである、
    ことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の成形断熱材。
  5. 炭素繊維を交絡させた炭素繊維フェルトに、熱硬化性樹脂を含浸させてプリプレグを作製するプリプレグ作製ステップと、
    前記プリプレグを複数積層してプリプレグ積層体となす積層ステップと、
    前記プリプレグ積層体を加圧しつつ加熱して、前記熱硬化性樹脂を熱硬化させて、前記プリプレグ相互を結着させる結着ステップと、
    結着されたプリプレグ積層体を不活性ガス雰囲気で熱処理して、前記熱硬化性樹脂を炭素化させる炭素化ステップと、を有し、
    前記積層ステップは、断熱材の少なくとも1つの表面に、前記熱硬化性樹脂の質量含有比率が最も高いプリプレグが配されるように積層するステップである、
    ことを特徴とする成形断熱材の製造方法。
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