以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明に係る熱処理装置を組み込んだ基板処理装置の全体構成について説明する。図1は、本発明に係る熱処理装置を組み込んだ基板処理装置1の平面図である。また、図2は基板処理装置1の液処理部の正面図であり、図3は熱処理部の正面図であり、図4は搬送ロボットおよび基板載置部の配置構成を示す図である。なお、図1および以降の各図にはそれらの方向関係を明確にするためZ軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系を適宜付している。また、図1および以降の各図においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
本実施形態の基板処理装置1は、半導体ウェハー等の基板Wにフォトレジスト膜を塗布形成するとともに、パターン露光後の基板Wに現像処理を行う装置(いわゆるコータ&デベロッパ)である。なお、本発明に係る基板処理装置1の処理対象となる基板Wは半導体ウェハーに限定されるものではなく、液晶表示装置用ガラス基板やフォトマスク用ガラス基板等であっても良い。
本実施形態の基板処理装置1は、インデクサブロック10、バークブロック20、レジスト塗布ブロック30、現像処理ブロック40およびインターフェイスブロック50の5つの処理ブロックを一方向(X方向)に連設して構成されている。インターフェイスブロック50には基板処理装置1とは別体の外部装置である露光ユニット(ステッパ)EXPが接続配置されている。
インデクサブロック10は、装置外から受け取った未処理基板Wを装置内に搬入するとともに、現像処理の終了した処理済み基板Wを装置外に搬出するための処理ブロックである。インデクサブロック10は、複数のキャリアC(本実施形態では4個)を並べて載置する載置台11と、各キャリアCから未処理の基板Wを取り出すとともに、各キャリアCに処理済みの基板Wを収納するインデクサロボットIRと、を備えている。
インデクサロボットIRは、載置台11に沿って(Y軸方向に沿って)水平移動可能であるとともに昇降(Z軸方向)移動および鉛直方向に沿った軸心周りの回転動作が可能である可動台12を備えている。可動台12には、基板Wを水平姿勢で保持する2つの保持アーム13a,13bが搭載されている。保持アーム13a,13bは相互に独立して前後にスライド移動可能とされている。よって、保持アーム13a,13bのそれぞれは、Y軸方向に沿った水平移動、昇降移動、水平面内の旋回動作および旋回半径方向に沿った進退移動を行う。これにより、インデクサロボットIRは、保持アーム13a,13bを個別に各キャリアCにアクセスさせて未処理の基板Wの取り出しおよび処理済みの基板Wの収納を行うことができる。なお、キャリアCの形態としては、基板Wを密閉空間に収納するFOUP(front opening unified pod)の他に、SMIF(Standard Mechanical Inter Face)ポッドや収納基板Wを外気に曝すOC(open cassette)であっても良い。
インデクサブロック10に隣接してバークブロック20が設けられている。インデクサブロック10とバークブロック20との間には、雰囲気遮断用の隔壁15が設けられている。この隔壁15にインデクサブロック10とバークブロック20との間で基板Wの受け渡しを行うために基板Wを載置する2つの基板載置部PASS1,PASS2が上下に積層して設けられている。
上側の基板載置部PASS1は、インデクサブロック10からバークブロック20へ基板Wを搬送するために使用される。基板載置部PASS1は3本の支持ピンを備えており、インデクサブロック10のインデクサロボットIRはキャリアCから取り出した未処理の基板Wを基板載置部PASS1の3本の支持ピン上に載置する。そして、基板載置部PASS1に載置された基板Wを後述するバークブロック20の搬送ロボットTR1が受け取る。一方、下側の基板載置部PASS2は、バークブロック20からインデクサブロック10へ基板Wを搬送するために使用される。基板載置部PASS2も3本の支持ピンを備えており、バークブロック20の搬送ロボットTR1は処理済みの基板Wを基板載置部PASS2の3本の支持ピン上に載置する。そして、基板載置部PASS2に載置された基板WをインデクサロボットIRが受け取ってキャリアCに収納する。なお、後述する基板載置部PASS3〜PASS10の構成も基板載置部PASS1,PASS2と同じである。
基板載置部PASS1,PASS2は、隔壁15の一部に部分的に貫通して設けられている。また、基板載置部PASS1,PASS2には、基板Wの有無を検出する光学式のセンサ(図示省略)が設けられており、各センサの検出信号に基づいて、インデクサロボットIRや搬送ロボットTR1が基板載置部PASS1,PASS2に対して基板Wを受け渡しできる状態にあるか否かが判断される。
次に、バークブロック20について説明する。バークブロック20は、露光時に発生する定在波やハレーションを減少させるために、フォトレジスト膜の下地に反射防止膜を塗布形成するための処理ブロックである。バークブロック20は、基板Wの表面に反射防止膜を塗布形成するための下地塗布処理部21と、反射防止膜の塗布形成に付随する熱処理を行う2つの熱処理タワー22,23と、下地塗布処理部21および熱処理タワー22,23に対して基板Wの受け渡しを行う搬送ロボットTR1とを備える。
バークブロック20においては、搬送ロボットTR1を挟んで下地塗布処理部21と熱処理タワー22,23とが対向して配置されている。具体的には、下地塗布処理部21が装置正面側((−Y)側)に、2つの熱処理タワー22,23が装置背面側((+Y)側)に、それぞれ位置している。また、熱処理タワー22,23の正面側には図示しない熱隔壁を設けている。下地塗布処理部21と熱処理タワー22,23とを隔てて配置するとともに熱隔壁を設けることにより、熱処理タワー22,23から下地塗布処理部21に熱的影響を与えることを回避しているのである。
図2に示すように、下地塗布処理部21は同様の構成を備えた4つの塗布処理ユニットBRCを上下に積層配置して構成されている。それぞれの塗布処理ユニットBRCは、基板Wを略水平姿勢で吸着保持して略水平面内にて回転させるスピンチャック26、このスピンチャック26上に保持された基板W上に反射防止膜用の塗布液を吐出する塗布ノズル27、スピンチャック26を回転駆動させるスピンモータ(図示省略)およびスピンチャック26上に保持された基板Wの周囲を囲繞するカップ(図示省略)等を備えている。
図3に示すように、熱処理タワー22には、基板Wを所定の温度にまで加熱する2個の加熱ユニットHP、加熱された基板Wを冷却して所定の温度にまで降温するとともに基板Wを当該所定の温度に維持する2個の冷却ユニットCP、および、レジスト膜と基板Wとの密着性を向上させるためにHMDS(ヘキサメチルジシラザン)の蒸気雰囲気中で基板Wを熱処理する3個の密着強化処理ユニットAHLが上下に積層配置されている。一方、熱処理タワー23にも2個の加熱ユニットHPおよび2個の冷却ユニットCPが上下に積層配置されている。加熱ユニットHPおよび密着強化処理ユニットAHLは基板Wを載置して加熱するホットプレートを備え、冷却ユニットCPは基板Wを載置して冷却するクーリングプレートを備えている。なお、図3において「×」印で示した箇所には配管配線部や、予備の空きスペースが割り当てられている(後述する他の熱処理タワーについても同じ)。
図4に示すように、搬送ロボットTR1は、基板Wを略水平姿勢で保持する搬送アーム24a,24bを上下2段に近接させて備えている。搬送アーム24a,24bのそれぞれは、先端部が平面視で「C」字形状になっており、この「C」字形状のアームの内側から内方に突き出た複数本のピンで基板Wの周縁を下方から支持するようになっている。搬送アーム24a,24bは搬送ヘッド28に搭載されている。搬送ヘッド28は、図示省略の駆動機構によって鉛直方向(Z軸方向)に沿った昇降移動および鉛直方向に沿った軸心周りの回転動作が可能である。また、搬送ヘッド28は、図示省略のスライド機構によって搬送アーム24a,24bを互いに独立して水平方向に進退移動させることができる。よって、搬送アーム24a,24bのそれぞれは、昇降移動、水平面内の旋回動作および旋回半径方向に沿った進退移動を行う。これにより、搬送ロボットTR1は、2個の搬送アーム24a,24bをそれぞれ個別に基板載置部PASS1,PASS2、熱処理タワー22,23に設けられた熱処理ユニット(加熱ユニットHP、冷却ユニットCPおよび密着強化処理ユニットAHL)、下地塗布処理部21に設けられた4つの塗布処理ユニットBRCおよび後述する基板載置部PASS3,PASS4に対してアクセスさせて、それらとの間で基板Wの授受を行うことができる。
次に、レジスト塗布ブロック30について説明する。バークブロック20と現像処理ブロック40との間に挟み込まれるようにしてレジスト塗布ブロック30が設けられている。このレジスト塗布ブロック30とバークブロック20との間にも、雰囲気遮断用の隔壁25が設けられている。この隔壁25にバークブロック20とレジスト塗布ブロック30との間で基板Wの受け渡しを行うために基板Wを載置する2つの基板載置部PASS3,PASS4が上下に積層して設けられている。基板載置部PASS3,PASS4は、上述した基板載置部PASS1,PASS2と同様の構成を備えている。
上側の基板載置部PASS3は、バークブロック20からレジスト塗布ブロック30へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、バークブロック20の搬送ロボットTR1が基板載置部PASS3に載置した基板Wをレジスト塗布ブロック30の搬送ロボットTR2が受け取る。一方、下側の基板載置部PASS4は、レジスト塗布ブロック30からバークブロック20へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、レジスト塗布ブロック30の搬送ロボットTR2が基板載置部PASS4に載置した基板Wをバークブロック20の搬送ロボットTR1が受け取る。
基板載置部PASS3,PASS4は、隔壁25の一部に部分的に貫通して設けられている。また、基板載置部PASS3,PASS4には、基板Wの有無を検出する光学式のセンサ(図示省略)が設けられており、各センサの検出信号に基づいて、搬送ロボットTR1,TR2が基板載置部PASS3,PASS4に対して基板Wを受け渡しできる状態にあるか否かが判断される。
レジスト塗布ブロック30は、反射防止膜が塗布形成された基板W上にフォトレジストを塗布してレジスト膜を形成するための処理ブロックである。なお、本実施形態では、フォトレジストとして化学増幅型レジストを用いている。レジスト塗布ブロック30は、下地塗布された反射防止膜の上にレジスト膜を塗布形成するレジスト塗布処理部31と、レジスト塗布処理に付随する熱処理を行う2つの熱処理タワー32,33と、レジスト塗布処理部31および熱処理タワー32,33に対して基板Wの受け渡しを行う搬送ロボットTR2とを備える。
レジスト塗布ブロック30においては、搬送ロボットTR2を挟んでレジスト塗布処理部31と熱処理タワー32,33とが対向して配置されている。具体的には、レジスト塗布処理部31が装置正面側に、2つの熱処理タワー32,33が装置背面側に、それぞれ位置している。また、熱処理タワー32,33の正面側には図示しない熱隔壁を設けている。レジスト塗布処理部31と熱処理タワー32,33とを隔てて配置するとともに熱隔壁を設けることにより、熱処理タワー32,33からレジスト塗布処理部31に熱的影響を与えることを回避しているのである。
図2に示すように、レジスト塗布処理部31は同様の構成を備えた4つの塗布処理ユニットSCを上下に積層配置して構成されている。それぞれの塗布処理ユニットSCは、基板Wを略水平姿勢で吸着保持して略水平面内にて回転させるスピンチャック36、このスピンチャック36上に保持された基板W上にフォトレジストの塗布液を吐出する塗布ノズル37、スピンチャック36を回転駆動させるスピンモータ(図示省略)およびスピンチャック36上に保持された基板Wの周囲を囲繞するカップ(図示省略)等を備えている。
図3に示すように、熱処理タワー32には、基板Wを所定の温度にまで加熱するホットプレートを備えた2個の加熱ユニットHP、および、加熱された基板Wを冷却して所定の温度にまで降温するとともに基板Wを当該所定の温度に維持するクーリングプレートを備えた2個の冷却ユニットCPが上下に積層配置されている。また、熱処理タワー32には、フラッシュ光を照射して基板Wを瞬間的に加熱する1個のフラッシュベークユニットFLBが配置されている。このフラッシュベークユニットFLBについてはさらに後述する。一方、熱処理タワー33にも2個の加熱ユニットHPおよび2個の冷却ユニットCPが上下に積層配置されている。
図4に示すように、搬送ロボットTR2は、搬送ロボットTR1と同様の構成を備えており、基板Wを略水平姿勢で保持する搬送アーム34a,34bを上下2段に近接させて備えている。搬送アーム34a,34bは、「C」字形状のアームの内側から内方に突き出た複数本のピンで基板Wの周縁を下方から支持する。搬送アーム34a,34bは搬送ヘッド38に搭載されている。搬送ヘッド38は、図示省略の駆動機構によって鉛直方向(Z軸方向)に沿った昇降移動および鉛直方向に沿った軸心周りの回転動作が可能である。また、搬送ヘッド38は、図示省略のスライド機構によって搬送アーム34a,34bを互いに独立して水平方向に進退移動させることができる。よって、搬送アーム34a,34bのそれぞれは、昇降移動、水平面内の旋回動作および旋回半径方向に沿った進退移動を行う。これにより、搬送ロボットTR2は、2個の搬送アーム34a,34bをそれぞれ個別に基板載置部PASS3,PASS4、熱処理タワー32,33に設けられた熱処理ユニット、レジスト塗布処理部31に設けられた4つの塗布処理ユニットSCおよび後述する基板載置部PASS5,PASS6に対してアクセスさせて、それらとの間で基板Wの授受を行うことができる。
次に、現像処理ブロック40について説明する。レジスト塗布ブロック30とインターフェイスブロック50との間に挟み込まれるようにして現像処理ブロック40が設けられている。この現像処理ブロック40とレジスト塗布ブロック30との間にも、雰囲気遮断用の隔壁35が設けられている。この隔壁35にレジスト塗布ブロック30と現像処理ブロック40との間で基板Wの受け渡しを行うために基板Wを載置する2つの基板載置部PASS5,PASS6が上下に積層して設けられている。基板載置部PASS5,PASS6は、上述した基板載置部PASS1,PASS2と同様の構成を備えている。
上側の基板載置部PASS5は、レジスト塗布ブロック30から現像処理ブロック40へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、レジスト塗布ブロック30の搬送ロボットTR2が基板載置部PASS5に載置した基板Wを現像処理ブロック40の搬送ロボットTR3が受け取る。一方、下側の基板載置部PASS6は、現像処理ブロック40からレジスト塗布ブロック30へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、現像処理ブロック40の搬送ロボットTR3が基板載置部PASS6に載置した基板Wをレジスト塗布ブロック30の搬送ロボットTR2が受け取る。
基板載置部PASS5,PASS6は、隔壁35の一部に部分的に貫通して設けられている。また、基板載置部PASS5,PASS6には、基板Wの有無を検出する光学式のセンサ(図示省略)が設けられており、各センサの検出信号に基づいて、搬送ロボットTR2,TR3が基板載置部PASS5,PASS6に対して基板Wを受け渡しできる状態にあるか否かが判断される。
現像処理ブロック40は、露光処理後の基板Wに対して現像処理を行うための処理ブロックである。現像処理ブロック40は、パターンが露光された基板Wに対して現像液を供給して現像処理を行う現像処理部41と、現像処理後の熱処理を行う熱処理タワー42と、露光直後の基板Wに熱処理を行う熱処理タワー43と、現像処理部41および熱処理タワー42に対して基板Wの受け渡しを行う搬送ロボットTR3とを備える。
図2に示すように、現像処理部41は、同様の構成を備えた5つの現像処理ユニットSDを上下に積層配置して構成されている。各現像処理ユニットSDは、基板Wを略水平姿勢で吸着保持して略水平面内にて回転させるスピンチャック46、このスピンチャック46上に保持された基板W上に現像液を供給するノズル47、スピンチャック46を回転駆動させるスピンモータ(図示省略)およびスピンチャック46上に保持された基板Wの周囲を囲繞するカップ(図示省略)等を備えている。
図3に示すように、熱処理タワー42には、基板Wを所定の温度にまで加熱するホットプレートを備えた2個の加熱ユニットHPおよび加熱された基板Wを冷却して所定の温度にまで降温するとともに基板Wを当該所定の温度に維持するクーリングプレートを備えた2個の冷却ユニットCPが上下に積層配置されている。一方、熱処理タワー43にも2個の加熱ユニットHPおよび2個の冷却ユニットCPが上下に積層配置されている。熱処理タワー43の加熱ユニットHPは露光直後の基板Wに対して露光後ベーク処理を行う。熱処理タワー43の加熱ユニットHPおよび冷却ユニットCPに対してはインターフェイスブロック50の搬送ロボットTR4が基板Wの搬出入を行う。
また、熱処理タワー43には、現像処理ブロック40とインターフェイスブロック50との間で基板Wの受け渡しを行うための2つの基板載置部PASS7,PASS8が上下に近接して組み込まれている。上側の基板載置部PASS7は、現像処理ブロック40からインターフェイスブロック50へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、現像処理ブロック40の搬送ロボットTR3が基板載置部PASS7に載置した基板Wをインターフェイスブロック50の搬送ロボットTR4が受け取る。一方、下側の基板載置部PASS8は、インターフェイスブロック50から現像処理ブロック40へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、インターフェイスブロック50の搬送ロボットTR4が基板載置部PASS8に載置した基板Wを現像処理ブロック40の搬送ロボットTR3が受け取る。なお、基板載置部PASS7,PASS8は、現像処理ブロック40の搬送ロボットTR3およびインターフェイスブロック50の搬送ロボットTR4の両側に対して開口している。
図4に示すように、搬送ロボットTR3は、基板Wを略水平姿勢で保持する搬送アーム44a,44bを上下に近接させて備えている。搬送アーム44a,44bは、「C」字形状のアームの内側から内方に突き出た複数本のピンで基板Wの周縁を下方から支持する。搬送アーム44a,44bは搬送ヘッド48に搭載されている。搬送ヘッド48は、図示省略の駆動機構によって鉛直方向(Z軸方向)に沿った昇降移動および鉛直方向に沿った軸心周りの回転動作が可能である。また、搬送ヘッド48は、図示省略のスライド機構によって搬送アーム44a,44bを互いに独立して水平方向に進退移動させることができる。よって、搬送アーム44a,44bのそれぞれは、昇降移動、水平面内の旋回動作および旋回半径方向に沿った進退移動を行う。これにより、搬送ロボットTR3は、2個の搬送アーム44a,44bをそれぞれ個別に基板載置部PASS5,PASS6、熱処理タワー42に設けられた熱処理ユニット、現像処理部41に設けられた5つの現像処理ユニットSDおよび熱処理タワー43の基板載置部PASS7,PASS8に対してアクセスさせて、それらとの間で基板Wの授受を行うことができる。
次に、インターフェイスブロック50について説明する。インターフェイスブロック50は、現像処理ブロック40に隣接して配置され、レジスト膜が塗布形成された未露光の基板Wを基板処理装置1とは別体の外部装置である露光ユニットEXPに渡すとともに、露光済みの基板Wを露光ユニットEXPから受け取って現像処理ブロック40に渡す処理ブロックである。インターフェイスブロック50は、露光ユニットEXPとの間で基板Wの受け渡しを行うための搬送機構IFRの他に、レジスト膜が形成された基板Wの周縁部を露光する2つのエッジ露光ユニットEEWと、現像処理ブロック40の熱処理タワー43およびエッジ露光ユニットEEWに対して基板Wを受け渡しする搬送ロボットTR4とを備える。
エッジ露光ユニットEEWは、図2に示すように、基板Wを略水平姿勢で吸着保持して略水平面内にて回転させるスピンチャック56およびスピンチャック56に保持された基板Wの周縁に光を照射して露光する光照射器57などを備えている。2つのエッジ露光ユニットEEWは、インターフェイスブロック50の中央部に上下に積層配置されている。また、エッジ露光ユニットEEWの下側には、基板送り用のセンドバッファSBF、基板戻し用のリターンバッファRBF、および、2つの基板載置部PASS9,PASS10、が上下に積層配置されている。上側の基板載置部PASS9は搬送ロボットTR4から搬送機構IFRに基板Wを渡すために使用するものであり、下側の基板載置部PASS10は搬送機構IFRから搬送ロボットTR4に基板Wを渡すために使用するものである。
リターンバッファRBFは、何らかの障害によって現像処理ブロック40が露光済みの基板Wの現像処理を行うことができない場合に、現像処理ブロック40の熱処理タワー43で露光後ベーク処理を行った後に、その基板Wを一時的に収納保管しておくものである。一方、センドバッファSBFは、露光ユニットEXPが未露光の基板Wの受け入れをできないときに、露光処理前の基板Wを一時的に収納保管するものである。リターンバッファRBFおよびセンドバッファSBFはいずれも複数枚の基板Wを多段に収納できる収納棚によって構成されている。なお、リターンバッファRBFに対しては搬送ロボットTR4がアクセスを行い、センドバッファSBFに対しては搬送機構IFRがアクセスを行う。
現像処理ブロック40の熱処理タワー43に隣接して配置されている搬送ロボットTR4は、基板Wを略水平姿勢で保持する搬送アーム54a,54bを上下に近接させて備えており、その構成および動作機構は搬送ロボットTR1〜TR3と全く同じである。また、搬送機構IFRは、Y軸方向の水平移動、昇降移動および鉛直方向に沿った軸心周りの回転動作が可能な可動台52を備え、その可動台52に基板Wを水平姿勢で保持する2つの保持アーム53a,53bを搭載している。保持アーム53a,53bは相互に独立して前後にスライド移動可能とされている。よって、保持アーム53a,53bのそれぞれは、Y軸方向に沿った水平移動、昇降移動、水平面内の旋回動作および旋回半径方向に沿った進退移動を行う。
露光ユニットEXPは、基板処理装置1にてレジスト塗布された露光前の基板Wを搬送機構IFRから受け取って露光処理を行う。露光ユニットEXPにて露光処理の行われた基板Wは搬送機構IFRによって受け取られる。なお、露光ユニットEXPは、投影光学系と基板Wとの間に屈折率の大きな液体(例えば、屈折率n=1.44の純水)を満たした状態で露光処理を行う、いわゆる「液浸露光処理」に対応したものであっても良い。また、露光ユニットEXPは、電子線露光やEUV(Extreme Ultra Violet)露光など真空中で露光処理を行うものであっても良い。
次に、熱処理タワー32に設けられているフラッシュベークユニットFLBについて説明する。図5は、フラッシュベークユニットFLBの要部構成を示す図である。フラッシュベークユニットFLBは、表面にレジスト膜が形成された基板Wに対して加熱処理を行い、そのレジスト膜の塗布後ベーク処理を行う熱処理ユニットである。
フラッシュベークユニットFLBは、基板Wを収容するチャンバー70と、チャンバー70内にて基板Wを保持する保持部80と、保持部80の直上に配置された冷却プレート(クーリングプレート)85と、保持部80に保持された基板Wにフラッシュ光を照射するフラッシュ照射部60と、を備えている。また、フラッシュベークユニットFLBは、これらの各部を制御してレジスト膜の加熱処理を実行させるユニットコントローラ90を備える。
チャンバー70は、基板Wを収容可能な筐体である。第1実施形態においては、チャンバー70の下側にフラッシュ照射部60が設けられている。すなわち、チャンバー70の下方よりフラッシュ光が照射されることとなる。チャンバー70の下部開口にはチャンバー窓69が装着されて閉塞されている。チャンバー70の側壁および天井部とチャンバー窓69とによって囲まれる空間が熱処理空間65として規定される。チャンバー70の床部を構成するチャンバー窓69は、石英により形成された板状部材であり、フラッシュ照射部60から出射されたフラッシュ光を熱処理空間65に透過する石英窓として機能する。
保持部80は、爪状部材または鍔状部材によって基板Wの周縁部の少なくとも一部を下方より支持することにより当該基板Wを水平姿勢(主面の法線方向が鉛直方向に沿う姿勢)に保持する。保持部80が接触するのは基板Wの周縁部のみであるため、その周縁部よりも内側の領域における基板Wの下方は開放されている。従って、基板Wの周縁部よりも内側の領域において、保持部80がフラッシュ光照射の支障となることはない。
冷却プレート85は、冷却機構87を内蔵した金属製(例えば、アルミニウム製)の略円板形状の部材である。冷却プレート85は、保持部80に保持された基板Wの表面(第1実施形態では上面)に近接して配置される。保持部80に保持された基板Wの表面と冷却プレート85との間隔は100μm以下とされる。冷却機構87としては、水冷管やペルチェ素子などを用いることができる。冷却機構87は、少なくとも保持部80に保持された基板Wに対向する領域には均一な配設密度にて設けられている。このため冷却機構87は、当該領域を均一に冷却することができる。冷却機構87による冷却温度はユニットコントローラ90によって制御されており、本実施形態では冷却プレート85が半導体製造技術分野における常温である23℃を維持するように制御されている。
冷却プレート85に近接して保持された基板Wは、冷却プレート85によって常温(23℃)に温調される。すなわち、基板Wの温度が常温よりも高温であれば、常温にまで冷却される。また、常温近傍の基板Wについては、そのまま基板Wを安定して常温に維持する。
フラッシュ照射部60は、チャンバー70の下方に設けられている。フラッシュ照射部60は、複数本のフラッシュランプFLからなる光源と、その光源の下方を覆うように設けられたリフレクタ62と、を備えて構成される。フラッシュ照射部60は、チャンバー70内にて保持部80に保持される基板Wに石英のチャンバー窓69を介してフラッシュランプFLからフラッシュ光を照射する。
複数のフラッシュランプFLは、それぞれが長尺の円筒形状を有する棒状ランプであり、それぞれの長手方向が保持部80に保持される基板Wの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように平面状に配列されている。よって、フラッシュランプFLの配列によって形成される平面も水平面である。
複数のフラッシュランプFLのそれぞれには電源ユニット71が接続されている。図6は、電源ユニット71の要部構成を示す図である。電源ユニット71は、コイル72、コンデンサ73および充電器74を備える。第1実施形態では、フラッシュランプFLとしてキセノンフラッシュランプを用いている。キセノンフラッシュランプFLは、その内部にキセノンガスが封入されその両端部に陽極および陰極が配設された棒状のガラス管(放電管)77と、該ガラス管77の外周面上に付設されたトリガー電極76とを備える。フラッシュランプFLの陽極と陰極とを結ぶ配線にコイル72およびコンデンサ73が直列に接続されている。コンデンサ73には、充電器74によって所定の電圧が印加され、その印加電圧に応じた電荷が充電される。充電器74がコンデンサ73に印加する電圧値はユニットコントローラ90によって制御される。
また、トリガー電極76にはトリガー回路75から高電圧を印加することができる。トリガー回路75がトリガー電極76に電圧を印加するタイミングはユニットコントローラ90によって制御される。
フラッシュランプFLを発光させるときには、ユニットコントローラ90によって指定された電圧値にて充電器74がコンデンサ73に電圧を印加して充電する。コンデンサ73に印加電圧に応じた電荷が蓄積されると、フラッシュランプFLのガラス管77内の陽極と陰極との間に電位差が生じる。そのような状態となってもキセノンガスは電気的には絶縁体であることから、通常の状態ではガラス管77内に電気は流れない。
しかしながら、トリガー回路75からトリガー電極76に高電圧を印加して絶縁を破壊した場合には、コンデンサ73に蓄えられた電気が両端電極間の放電によってガラス管77内に瞬時に流れ、そのときのキセノンの原子あるいは分子の励起によって光が放出される。このようなキセノンフラッシュランプFLにおいては、予めコンデンサ73に蓄えられていた静電エネルギーが0.1ミリセカンドないし100ミリセカンドという極めて短い光パルスに変換されることから、連続点灯の光源に比べて極めて強い光を照射し得るという特徴を有する。なお、ガラス管77内に流れる電流の波形はコイル72によって規定され、コイル72のインダクタンスが大きいほどガラス管77内に電流が流れる時間(つまり、発光時間)が長くなる。
また、リフレクタ62は、複数のフラッシュランプFLの下方にそれら全体を覆うように設けられている。リフレクタ62の基本的な機能は、複数のフラッシュランプFLから出射されたフラッシュ光を熱処理空間65の側に反射するというものである。リフレクタ62はアルミニウム合金板にて形成されており、その表面(フラッシュランプFLに臨む側の面)はブラスト処理により粗面化加工が施されて梨地模様を呈する。
ユニットコントローラ90は、フラッシュベークユニットFLBに設けられた上記の種々の動作機構を制御する。ユニットコントローラ90のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、ユニットコントローラ90は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用アプリケーションやデータなどを記憶しておく磁気ディスク等を備えて構成される。ユニットコントローラ90のCPUが所定の処理プログラムを実行することによってフラッシュベークユニットFLBにおける処理が進行する。なお、ユニットコントローラ90は、基板処理装置1の全体を管理するメインコントローラの下位コントローラとして設けられていても良い。
上述した構成以外にも、フラッシュベークユニットFLBは、チャンバー70内への基板Wの搬入出を行うための搬入出口、搬送ロボットTR2の搬送アーム34a,34bと保持部80との間での基板Wの受け渡しのために介在する受渡機構、および、熱処理空間65の雰囲気を調整する雰囲気調整機構(給気機構および排気機構)などを備えている(いずれも図示省略)。これらの要素としては、公知の種々のものを採用することができ、例えば受渡機構には保持部80の昇降機構とリフトピンとの組み合わせを用いることができる。
次に、上記の構成を有する基板処理装置1における基板処理の手順について説明する。ここでは、まず、基板処理装置1における全体の処理手順を簡単に説明した後、フラッシュベークユニットFLBでの処理について説明する。
装置外部から未処理の基板WがキャリアCに収納された状態でAGV等によってインデクサブロック10に搬入される。続いて、インデクサブロック10から未処理の基板Wの払い出しが行われる。具体的には、インデクサロボットIRが所定のキャリアCから未処理の基板Wを取り出し、上側の基板載置部PASS1に載置する。基板載置部PASS1に未処理の基板Wが載置されると、バークブロック20の搬送ロボットTR1がその基板Wを受け取って熱処理タワー22のいずれかの密着強化処理ユニットAHLに搬送する。密着強化処理ユニットAHLでは、HMDSの蒸気雰囲気で基板Wを熱処理して基板Wの密着性を向上させる。密着強化処理の終了した基板Wは搬送ロボットTR1によって取り出され、熱処理タワー22,23のいずれかの冷却ユニットCPに搬送されて冷却される。
冷却された基板Wは搬送ロボットTR1によって冷却ユニットCPから下地塗布処理部21のいずれかの塗布処理ユニットBRCに搬送される。塗布処理ユニットBRCでは、基板Wの表面に反射防止膜の塗布液が供給されて回転塗布される。
塗布処理が終了した後、基板Wは搬送ロボットTR1によって熱処理タワー22,23のいずれかの加熱ユニットHPに搬送される。加熱ユニットHPにて基板Wが加熱されることによって、塗布液が乾燥されて基板W上に下地の反射防止膜が焼成される。その後、搬送ロボットTR1によって加熱ユニットHPから取り出された基板Wは熱処理タワー22,23のいずれかの冷却ユニットCPに搬送されて冷却される。冷却後の基板Wは搬送ロボットTR1によって基板載置部PASS3に載置される。
次に、反射防止膜が形成された基板Wが基板載置部PASS3に載置されると、レジスト塗布ブロック30の搬送ロボットTR2がその基板Wを受け取って熱処理タワー32,33のいずれかの冷却ユニットCPに搬送して所定温度に温調する。続いて、搬送ロボットTR2が温調済みの基板Wをレジスト塗布処理部31のいずれかの塗布処理ユニットSCに搬送する。塗布処理ユニットSCでは、基板Wの表面にフォトレジストの塗布液が回転塗布されてレジスト膜が形成される。本実施形態においては、フォトレジストとして化学増幅型レジストが使用される。
レジスト塗布処理が終了した後、搬送ロボットTR2が塗布処理ユニットSCから基板を搬出して熱処理タワー32のフラッシュベークユニットFLBに搬送する。詳細は後述するが、フラッシュベークユニットFLBでは、フラッシュ光照射によって基板Wが加熱されることにより、レジストの溶媒が蒸発してレジスト膜の塗布後ベーク処理(Post-Applied-Bake)が行われる。その後、搬送ロボットTR2によってフラッシュベークユニットFLBから取り出された基板Wは熱処理タワー32,33のいずれかの冷却ユニットCPに搬送されて冷却される。冷却後の基板Wは搬送ロボットTR2によって基板載置部PASS5に載置される。
塗布後ベーク処理が終了した基板Wが基板載置部PASS5に載置されると、現像処理ブロック40の搬送ロボットTR3がその基板Wを受け取ってそのまま基板載置部PASS7に載置する。そして、基板載置部PASS7に載置された基板Wはインターフェイスブロック50の搬送ロボットTR4によって受け取られ、上下いずれかのエッジ露光ユニットEEWに搬入される。エッジ露光ユニットEEWにおいては、基板Wの端縁部の露光処理(エッジ露光処理)が行われる。エッジ露光処理が終了した基板Wは搬送ロボットTR4によって基板載置部PASS9に載置される。そして、基板載置部PASS9に載置された基板Wは搬送機構IFRによって受け取られ、露光ユニットEXPに搬入され、パターン露光処理に供される。本実施形態では化学増幅型レジストを使用しているため、基板W上に形成されたレジスト膜のうち露光された部分では光化学反応によって酸が生成する。
パターン露光処理が終了した露光済みの基板Wは露光ユニットEXPから再びインターフェイスブロック50に戻され、搬送機構IFRによって基板載置部PASS10に載置される。露光後の基板Wが基板載置部PASS10に載置されると、搬送ロボットTR4がその基板Wを受け取って現像処理ブロック40の熱処理タワー43のいずれかの加熱ユニットHPに搬送する。熱処理タワー43の加熱ユニットHPでは、露光時の光化学反応によって生じた生成物を酸触媒としてレジストの樹脂の架橋・重合等の反応を進行させ、現像液に対する溶解度を露光部分のみ局所的に変化させるための露光後ベーク処理(Post-Exposure-Bake)が行われる。
露光後ベーク処理が終了した基板Wが加熱ユニットHP内部の機構によって冷却されることにより、上記化学反応が停止する。続いて基板Wは、搬送ロボットTR4によって熱処理タワー43の加熱ユニットHPから取り出され、基板載置部PASS8に載置される。
基板載置部PASS8に基板Wが載置されると、現像処理ブロック40の搬送ロボットTR3がその基板Wを受け取って熱処理タワー42のいずれかの冷却ユニットCPに搬送する。冷却ユニットCPにおいては、露光後ベーク処理が終了した基板Wがさらに冷却され、所定温度に正確に温調される。その後、搬送ロボットTR3は、冷却ユニットCPから基板Wを取り出して現像処理部41のいずれかの現像処理ユニットSDに搬送する。現像処理ユニットSDでは、基板Wに現像液を供給して現像処理を進行させる。やがて現像処理が終了した後、基板Wは搬送ロボットTR3によって熱処理タワー42のいずれかの加熱ユニットHPに搬送され、レジスト膜を完全に乾燥させるためのハードベーク処理(HB:Hard-Bake)が行われる。さらにその後、ハードベーク処理の終了した基板Wは搬送ロボットTR3によって加熱ユニットHPから取り出され、熱処理タワー42のいずれかの冷却ユニットCPに搬送されて冷却される。
その後、基板Wは搬送ロボットTR3によって冷却ユニットCPから取り出されて基板載置部PASS6に載置される。基板載置部PASS6に載置された基板Wは、レジスト塗布ブロック30の搬送ロボットTR2によってそのまま基板載置部PASS4に載置される。さらに、基板載置部PASS4に載置された基板Wは、バークブロック20の搬送ロボットTR1によってそのまま基板載置部PASS2に載置されることにより、インデクサブロック10に格納される。基板載置部PASS2に載置された処理済みの基板WはインデクサロボットIRによって所定のキャリアCに収納される。その後、所定枚数の処理済み基板Wが収納されたキャリアCが装置外部に搬出されて一連のフォトリソグラフィー処理が完了する。
フラッシュベークユニットFLBでの処理についてさらに説明を続ける。図7は、フラッシュベークユニットFLBにおける基板Wの処理手順を示すフローチャートである。また、図8は、基板Wの表面温度の変化を示す図である。以下に説明するフラッシュベークユニットFLBの処理手順は、ユニットコントローラ90がフラッシュベークユニットFLBの各動作機構を制御することにより進行する。
まず、レジスト塗布ブロック30の搬送ロボットTR2によって基板Wがチャンバー70内に搬入される(ステップS1)。搬入される基板Wの表面には、塗布処理ユニットSCにてレジスト塗布液が回転塗布されることにより、レジスト膜が形成されている。基板Wの表面に形成されているレジスト膜の厚さは100nm以下である。表面にレジスト膜が形成された基板Wを保持した搬送ロボットTR2の搬送アーム34b(または34a)がチャンバー70内に進入し、図示省略の受渡機構を介してその基板Wが保持部80に渡される。保持部80は、レジスト膜が形成された表面を冷却プレート85に近接させて基板Wを水平姿勢にて保持する(ステップS2)。
図8の時刻t1は、保持部80が基板Wを保持したときの時刻である。この時刻t1の時点での基板Wの温度は、基板処理装置1が設置されている雰囲気の温度と同じであり、概ね常温である。
また、冷却プレート85は冷却機構87によって予め常温(23℃)に温調されている。ユニットコントローラ90は、冷却プレート85の温度が23℃となるように冷却機構87を制御している。保持部80によって基板Wが冷却プレート85に近接して保持されることにより、時刻t1から基板Wに対する冷却プレート85による温調が開始される。これにより、基板Wは正確に23℃に温調されることとなり、その結果ロットに含まれる複数の基板W間での温度履歴均一性を向上させることができる。
次に、時刻t2にてユニットコントローラ90の制御によりフラッシュ照射部60のフラッシュランプFLから保持部80に保持された基板Wに向けてフラッシュ光が照射される(ステップS3)。より詳細には、時刻t2よりも前に(基板Wがチャンバー70に搬入される前であっても良い)、ユニットコントローラ90が設定した電圧値にて充電器74がコンデンサ73に電圧を印加して充電する。時刻t2の時点ではコンデンサ73にはユニットコントローラ90が設定した印加電圧に応じた電荷が蓄積されており、フラッシュランプFLのガラス管77内の陽極と陰極との間にもその印加電圧にほぼ等しい電位差が生じている。そして、時刻t2にてユニットコントローラ90の制御下でトリガー回路75がトリガー電極76に高電圧を印加する。これにより、キセノンガスの絶縁性が破壊され、コンデンサ73に蓄積されていた電荷がガラス管77の両極間で瞬時に放電し、そのときのキセノンの原子あるいは分子の励起によって光が放出される。こうしてフラッシュランプFLから放出される光がフラッシュ光であり、その発光時間は0.1ミリセカンドないし100ミリセカンドという極めて短い時間である。なお、フラッシュランプFLの発光時間はコイル72のインダクタンスによって規定される。フラッシュランプFLから放射されるフラッシュ光の一部は直接にチャンバー70内の熱処理空間65へと向かい、他の一部は一旦リフレクタ62により反射されてから熱処理空間65へと向かう。
第1実施形態においては、チャンバー70の下側にフラッシュ照射部60が設けられ、基板Wはレジスト膜が形成された表面が上側を向くように保持部80に保持される。従って、基板Wの裏面にフラッシュランプFLが対向することとなり、その裏面にフラッシュ光が照射される。
図9は、裏面から照射されたフラッシュ光によって基板Wの表面が加熱される様子を説明する模式図である。フラッシュランプFLから照射されるフラッシュ光は、予め蓄えられていた静電エネルギーが極めて短い光パルスに変換された、照射時間が0.1ミリセカンド以上100ミリセカンド以下程度の極めて短く強い閃光である。フラッシュランプFLからフラッシュ光が照射された基板Wの裏面の温度は瞬間的に急上昇する。そして、急激に昇温した基板Wの裏面から表面に向けて熱伝導が生じ、表面に形成されているレジスト膜RFが加熱されるのである。
このようにして、フラッシュランプFLから基板Wの裏面にフラッシュ光が照射されることにより、基板Wの表面の温度は処理温度T1にまで急上昇し、その後急速に常温まで下降する。処理温度T1はレジスト膜RFから溶媒を蒸発させるために必要な温度であり、本実施形態では約100℃である。基板Wの表面に形成されたレジスト膜RFが処理温度T1にまで加熱されることによって、溶媒を蒸発させる塗布後ベーク処理が実行される。なお、レジスト膜RFの厚さは100nm以下と極めて薄いため、基板Wの表面の温度とレジスト膜RFの温度とはほぼ同じであり、レジスト膜RFの厚さ方向の全体にわたって処理温度T1にまで昇温されることとなる。
また、フラッシュ光が照射されて基板W表面のレジスト膜RFが昇温を開始した時刻t2から常温にまで降温した時刻t3までの加熱処理時間、すなわちフラッシュ照射工程でのフラッシュ光照射による加熱処理時間は1秒以下である。このような1秒以下の短時間であっても、フラッシュランプFLから強度の大きなフラッシュ光を照射することによってレジスト膜RFから溶媒を蒸発させて確実な塗布後ベーク処理を行うことができる。
基板Wの裏面からのフラッシュ光照射によるレジスト膜RFの塗布後ベーク処理が終了した後においても、基板Wは近接配置されている冷却プレート85によって冷却され続け、常温に維持される(ステップS4)。やがて、所定時間が経過して時刻t4に到達した時点にて、図示省略の受渡機構を介して基板Wが保持部80からチャンバー70内に進入した搬送ロボットTR2の搬送アーム34a(または34b)に渡される。そして、基板Wを受け取った搬送ロボットTR2の搬送アーム34aがチャンバー70から退出することにより、基板Wがチャンバー70から搬出され、フラッシュベークユニットFLBにおける塗布後ベーク処理が完了する(ステップS5)。なお、フラッシュ光照射を行う際のチャンバー70内の雰囲気は窒素雰囲気であっても良いし、大気雰囲気であっても良い。
第1実施形態においては、フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射によって基板Wの表面に形成されたレジスト膜の塗布後ベーク処理を行っている。フラッシュ光照射による加熱処理時間は1秒以下の極めて短時間である。ホットプレートに載置して加熱する従来の塗布後ベーク処理は、基板Wが目標温度に到達するまでに少なくとも30秒以上を要していた。これと比較して、フラッシュ光照射による塗布後ベーク処理に要する時間は顕著に短時間であり、その結果として基板処理装置1におけるスループットを向上させることができる。
また、塗布後ベーク処理に要する時間が短時間であれば、基板処理装置1に1つのフラッシュベークユニットFLBを搭載するだけでも、この処理が基板処理装置1全体を律速することはない。従って、従来と同等のスループットを得るために、基板処理装置1に搭載するユニット数は著しく少なくなり、装置サイズをコンパクトにできるとともに、消費電力の増加を抑制することもできる。さらに、短時間で塗布後ベーク処理を実行すれば、レジスト膜の酸化を防止することができるとともに、チャンバー70内の気流に起因して残存溶媒量が不均一となるのを抑制することもできる。
第1実施形態では、基板Wの裏面にフラッシュ光を照射して表面のレジスト膜を加熱している。基板Wの裏面は、膜形成が行われておらず、シリコンの基材がそのまま露出した無地面である。従って、基板Wの裏面全面にわたってフラッシュ光の吸収率は均一であり、表面に形成されたレジスト膜を均一に加熱することができる。また、基板Wの表面に形成されたレジスト膜の種類やそのレジスト膜に形成されているパターン種にかかわらず、基板Wのフラッシュ光吸収率は一定となるため、フラッシュランプFLから同じ条件でフラッシュ光照射を行えば、当該レジスト膜を確実に一定の処理温度T1に加熱することができる。
ところで、基板Wの表面に形成するレジスト膜の種類によっては処理温度T1を異ならせたい場合もある。このような場合、ホットプレートに載置して加熱する従来の方式では、ホットプレートの設定温度を変更するのに長時間を要していた。例えば、ホットプレートの設定温度を30℃変更するのに3分、5℃変更するのに30秒〜60秒を要しており、その間は処理を行うことができない待機時間となっていた。第1実施形態のフラッシュベークユニットFLBであれば、フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射の強度を変化させることによって容易にレジスト膜の処理温度T1も変更することができる。このため、異なる種類のレジスト膜を形成した基板Wであっても処理温度変更のための待機時間無しに連続してフラッシュ光照射処理を行うことができる。その結果、異なる種類のレジスト膜を形成した基板Wを連続して塗布後ベーク処理する場合であっても、基板処理装置1のスループット低下を防止することができる。
フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射の強度は、例えばユニットコントローラ90が設定するコンデンサ73への充電電圧を変化させ、フラッシュランプFLに印加する電圧を調整することによって容易に変更することができる。換言すれば、ユニットコントローラ90は、フラッシュ光照射によるレジスト膜の処理温度T1が当該レジスト膜の種類に適した温度となるように、充電器74がコンデンサ73に充電する電圧を設定し、フラッシュランプFLに印加する電圧を制御するのである。
また、第1実施形態においては、保持部80に保持された基板Wの表面に近接して冷却プレート85を配置しており、この冷却プレート85によってフラッシュ光照射前後の基板Wを正確に常温に温調している。すなわち、冷却プレート85によって基板Wを冷却しつつフラッシュ光照射を行っている。このため、連続して処理する複数の基板W間での温度履歴を均一にすることができる。
さらに、フラッシュベークユニットFLBではフラッシュ光照射による塗布後ベーク処理の後、冷却プレート85によって基板Wを正確に常温に温調しているため、冷却ユニットCPに搬送しての冷却処理工程を省くことも可能となる。このようにすれば、基板処理装置1におけるスループットをさらに向上させることもできる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図10は、第2実施形態のフラッシュベークユニットFLBの要部構成を示す図である。同図において、第1実施形態(図5)と同一の要素については同一の符号を付している。第2実施形態のフラッシュベークユニットFLBが第1実施形態と相違するのは黒体板89を備えている点である。
黒体板89は、カーボンにて形成されており、保持部80に保持された基板WとフラッシュランプFLとの間に設けられる。黒体板89は、少なくとも保持部80に保持された基板Wの裏面全面に対向する領域に設けられる。黒色のカーボンを素材とする黒体板89はフラッシュランプFLのフラッシュ光を吸収する。従って、フラッシュランプFLから基板Wに向けて出射されたフラッシュ光は黒体板89によって遮光されて吸収されることとなり、直接には基板Wに到達しない。第2実施形態のフラッシュベークユニットFLBの残余の構成は第1実施形態と同じである。
また、第2実施形態における基板処理装置1での処理手順およびフラッシュベークユニットFLBでの処理手順についても第1実施形態と同じである。但し、第2実施形態においては基板WとフラッシュランプFLとの間に黒体板89が設けられているため、フラッシュ光照射によって基板Wが間接的に加熱されることとなる。
図11は、第2実施形態でのフラッシュ光照射によって基板Wが加熱される様子を説明する模式図である。第2実施形態では、フラッシュランプFLからのフラッシュ光は直接には黒体板89に照射される。フラッシュ光を吸収した黒体板89は急速に昇温する。そして、昇温した黒体板89からの熱放射によって基板Wの全体が加熱され、基板Wの表面に形成されているレジスト膜RFも加熱されることとなる。なお、第2実施形態においては、黒体板89と基板Wの裏面とが対向しているため、黒体板89から基板Wの裏面に向けて熱放射がなされる。
このようにして、フラッシュ光照射によって加熱された黒体板89を介した基板Wの間接加熱により、基板Wの表面の温度は第1実施形態と同じ処理温度T1にまで昇温する。これにより、基板Wの表面に形成されたレジスト膜RFから溶媒が蒸発して塗布後ベーク処理が実行される。第2実施形態においても、レジスト膜RFが昇温を開始した時刻から常温にまで降温した時刻までの加熱処理時間、すなわちフラッシュ照射工程でのフラッシュ光照射による加熱処理時間は1秒以下である。従って、塗布後ベーク処理に要する時間は極めて短時間であり、その結果として第1実施形態と同じく基板処理装置1におけるスループットを向上させることができる。また、第2実施形態によれば、待機時間無しにレジスト膜の処理温度を容易に変更することができるなどの第1実施形態の残余の効果についても同様に奏することができる。
特に、第2実施形態においては、黒体板89を介して基板Wを間接的に加熱しているため、基板Wの表面に形成されたレジスト膜の種類やそのレジスト膜に形成されているパターン種にかかわらず、フラッシュランプFLから同じ条件でフラッシュ光照射を行えば、当該レジスト膜を確実に一定の処理温度T1に加熱することができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図12は、第3実施形態のフラッシュベークユニットFLBの要部構成を示す図である。同図において、第1実施形態(図5)と同一の要素については同一の符号を付している。
第3実施形態においては、チャンバー70の上側にフラッシュ照射部60を設けるとともに、冷却プレート85上に基板Wを載置して保持するようにしている。石英窓として機能するチャンバー窓69はチャンバー70の上部開口に装着されている。チャンバー70の側壁および底壁とチャンバー窓69とによって囲まれる空間が熱処理空間65として規定される。
第3実施形態では、冷却プレート85が基板Wの保持部としての役割も担う。冷却プレート85は、冷却機構87を内蔵した金属製(例えば、アルミニウム)の略円板形状の部材であり、チャンバー70内にて基板Wを載置して水平姿勢に保持する。冷却プレート85の径は、基板Wの径よりも大きい。冷却機構87は、少なくとも冷却プレート85のうちの載置する基板Wに対向する領域には均一な配設密度にて設けられている。このため冷却機構87は、当該領域を均一に冷却することができる。冷却機構87による冷却温度はユニットコントローラ90によって制御されており、第3実施形態では冷却プレート85が常温である23℃を維持するように制御されている。
冷却プレート85の上面には、図示しない支持部が配設されている。当該支持部は、例えばアルミナ(Al2O3)等の部材によって構成され、その上端が冷却プレート85の上面から微少量だけ突出する状態で配設される。このため、支持部によって基板Wの周縁部を支持したときには、基板Wの裏面と冷却プレート85の上面との間に100μm以下の微小間隔が形成される。支持部を介して冷却プレート85に載置された基板Wは、冷却プレート85によって常温(23℃)に温調される。すなわち、基板Wの温度が常温よりも高温であれば、常温にまで冷却される。また、常温近傍の基板Wについては、そのまま基板Wを安定して常温に維持する。
搬送ロボットTR2の搬送アーム34a,34bと冷却プレート85との間での基板Wの受け渡しは図示省略の受渡機構によって行われる。このような受渡機構としては、例えば冷却プレート85を上下に貫通するリフトピンとそのリフトピンを昇降させる機構との組み合わせを用いることができる。
フラッシュ照射部60は、上下逆向きにチャンバー70の上側に設けられている点を除いては第1実施形態と同様の構成である。また、第3実施形態のフラッシュベークユニットFLBの残余の構成も第1実施形態と同じである。
第3実施形態における基板処理装置1での処理手順およびフラッシュベークユニットFLBでの処理手順についても第1実施形態と概ね同じである。但し、第3実施形態においては、レジスト膜が形成された表面が上側を向くように基板Wが冷却プレート85の上面に水平姿勢にて載置・保持される。従って、レジスト膜が形成された基板Wの表面がフラッシュランプFLに対向することとなり、その表面にフラッシュ光が照射される。
フラッシュランプFLからフラッシュ光が照射された基板Wの表面温度は、瞬間的に処理温度T1にまで上昇し、その後急速に常温にまで下降する。このようなフラッシュ加熱によって、基板Wの表面に形成されたレジスト膜RFから溶媒が蒸発して塗布後ベーク処理が実行される。第3実施形態においても、レジスト膜RFが昇温を開始した時刻から常温にまで降温した時刻までの加熱処理時間、すなわちフラッシュ照射工程でのフラッシュ光照射による加熱処理時間は1秒以下である。従って、塗布後ベーク処理に要する時間は極めて短時間であり、その結果として第1実施形態と同じく基板処理装置1におけるスループットを向上させることができる。また、塗布後ベーク処理に要する時間が短時間であれば、基板処理装置1に搭載するユニット数は少なくて済み、装置サイズをコンパクトにできるとともに、消費電力の増加を抑制することもできる。さらに、短時間で塗布後ベーク処理を実行すれば、レジスト膜の酸化を防止することができるとともに、チャンバー70内の気流に起因して残存溶媒量が不均一となるのを抑制することができる。
また、第3実施形態のフラッシュベークユニットFLBにおいても、フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射の強度を変化させることによって容易にレジスト膜の処理温度T1も変更することができる。このため、異なる種類のレジスト膜を形成した基板Wであっても処理温度変更のための待機時間無しに連続してフラッシュ光照射処理を行うことができる。その結果、異なる種類のレジスト膜を形成した基板Wを連続して塗布後ベーク処理する場合であっても、基板処理装置1のスループット低下を防止することができる。
また、第3実施形態においては、冷却プレート85に基板Wを載置して保持しており、この冷却プレート85によってフラッシュ光照射前後の基板Wを正確に常温に温調している。このため、連続して処理する複数の基板W間での温度履歴を均一にすることができる。さらに、フラッシュ光照射による塗布後ベーク処理の後においても、冷却プレート85によって基板Wを正確に常温に温調しているため、冷却ユニットCPに搬送しての冷却処理工程を省くことも可能となる。このようにすれば、基板処理装置1におけるスループットをさらに向上させることもできる。
<変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記各実施形態においては、フラッシュベークユニットFLBを熱処理タワー32に設け、塗布後ベーク処理をフラッシュ光照射によって実行するようにしていたが、これに限定されるものではなく、他の加熱処理をフラッシュ光照射によって行うようにしても良い。例えば、フラッシュベークユニットFLBを現像処理ブロック40の熱処理タワー42に設け、基板Wの現像処理後にレジスト膜を完全に乾燥させるためのハードベーク処理をフラッシュ光照射によって行うようにしても良い。これにより、ハードベーク処理に要する時間が極めて短時間となるため、基板処理装置1におけるスループットを向上させることができる。
また、フラッシュベークユニットFLBを現像処理ブロック40の熱処理タワー43に設け、パターン露光後の露光後ベーク処理をフラッシュ光照射によって行うようにしても良い。これにより、上記と同様に、露光後ベーク処理に要する時間が極めて短時間となるため、基板処理装置1におけるスループットを向上させることができる。また、露光後ベーク処理を短時間で行うことができれば、酸の拡散長を従来よりも顕著に短く抑制することができる。その結果、レジスト膜に形成されたパターンのLER(Line edge roghness)および線幅均一性を向上させることができる。
さらに、基板Wの表面に形成されるのはレジスト膜に限定されるものではなく、層間絶縁膜や反射防止膜であっても良い。要するに、表面に膜形成がなされた基板Wの熱処理をフラッシュ光照射によって行う形態であれば、本発明に係る技術を適用することができる。
また、第3実施形態において、基板Wを反転させ、レジスト膜が形成された表面が下側を向くように基板Wを冷却プレート85に保持させるようにしても良い。上下反転させても、基板Wは周縁部を支持されて冷却プレート85の上面と微小間隔を隔てて保持されるため、レジスト膜と冷却プレート85とが接触することはない。そして、チャンバー70の上側に設けられたフラッシュ照射部60からフラッシュ光を照射する。このようにしても、第1実施形態と同様に表面にレジスト膜が形成された基板Wの裏面にフラッシュ光が照射されることとなるため、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、基板Wを反転させる機構としては、搬送ロボットTR2に搬送アーム34a,34bを回転させる機構を設けるようにしても良いし、搬送ロボットTR2とは別個の反転機構を設けるようにしても良い。
また、第3実施形態において、第2実施形態と同様の黒体板を基板WとフラッシュランプFLとの間に設けるようにしても良い。フラッシュ光照射によって黒体板から基板Wの表面に向けて熱放射がなされ、当該表面に形成されたレジスト膜が加熱されることとなる。
また、第1実施形態において、基板Wを反転させ、レジスト膜が形成された表面が下側を向くように基板Wを保持部80に保持させるようにしても良い。このようにすれば、第3実施形態と同じく、レジスト膜が形成された基板Wの表面にフラッシュ光が照射されることとなる。さらに、第2実施形態において、基板Wを反転させて保持部80に保持させるようにしても良い。
また、基板処理装置1に複数台のフラッシュベークユニットFLBを搭載するようにしても良い。この場合、複数のフラッシュベークユニットFLBを並行して使用するようにしても良いし、一部のフラッシュベークユニットFLBを予備としても良い。
また、上記実施形態においては、フラッシュ光照射時の処理温度T1を変更するのに、コンデンサ73への充電電圧を変化させることによって実現していたが、これに限定されるものではなく、フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射の強度を変更する任意の手法を採用することができる。例えば、フラッシュランプFLの陽極と陰極とを結ぶ配線に絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)などのスイッチング素子を設け、そのスイッチング素子によってフラッシュランプFLに流れる電流を制御することにより、フラッシュ光照射の強度を変えてフラッシュ光照射時の処理温度T1を変更するようにしても良い。また、電源ユニット71に容量の異なる複数種類のコンデンサを設け、これらを切り替えることによってフラッシュ光照射の強度を変えるようにしても良い。
また、本発明に係る熱処理技術によって処理対象となる基板Wは半導体ウェハーに限定されるものではなく、液晶表示装置などに用いるガラス基板や太陽電池用の基板であっても良い。