JP2012170311A - ティースにコイルを固定する方法およびティースとコイルの固定構造 - Google Patents

ティースにコイルを固定する方法およびティースとコイルの固定構造 Download PDF

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Abstract

【課題】ティースがその先端にコイルの抜けを防止するための鍔を具備するステータコアの該ティースに対して、効率的にコイルを配設して固定することのできるティースにコイルを固定する方法と、ティースとコイルの固定構造を提供する。
【解決手段】コイル2を用意するとともに、その先端に左右のいずれか一方側に突出してコイル2の抜けを防止するための鍔1bを備えたティース1aを具備するステータコア1を用意する第1のステップ、コイル2をスロット1f内に挿入してティース1a周りに配設し、このコイル2を鍔を備えたティースの側面1d側へずらして鍔を具備しないティースの側面1cとコイル2の間に隙間G2を形成する第2のステップ、隙間G2に熱膨張性シート3を挿入し、熱処理して該熱膨張性シート3を膨張させる第3のステップからなる方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、ステータコアのティース周りにコイルを配設して固定する方法とティースとコイルの固定構造に関するものである。
モータ(電動機)を構成するステータは、円環状のヨークと、該ヨークから径方向内側に突出する複数のティースと、隣接するティース間に形成されるスロットとを備えた鋼板積層体もしくは圧粉磁心からなるステータコアと、ティースの周りに形成されるコイルとから大略構成されている。
ここで、コイル用の導線は一般に断面円形であって、たとえば銅素材の導線とその周囲に形成された絶縁皮膜とから構成されたものが適用されているが(このコイルは丸線と称される)、占積率を向上させる目的で、たとえば銅素材の平角線の周囲に絶縁被膜を形成したものをエッジワイズ巻きしたコイルが用いられることもある。
ところで、ティース周りにコイルを形成する方法の一つに、予め導線を巻装してコイルを形成したものをティースの先端(ロータ側)から嵌め込む方法がある。この方法は、予め形成されたコイルをティースに嵌め込むだけで双方の固定が図られることから、ティース周りでのコイル形成効率は極めて高い。しかしながら、コイルをティースの先端からスムースに嵌め込むために、ティースの先端にコイルが抜け落ちるのを防止する鍔を設けておくことができず、したがってティースへのスムースなコイルの嵌め込みは保証できても、ティース先端からのコイルの抜けという課題を有するものである。
一方、ティース周りにコイルを形成する他の方法として、ティースの先端においてその左右のスロット側に突出してコイルの抜けを防止するための鍔を設けておき、コイルを2つに分割してなる分割コイルをティースの上下方向から嵌め込み、分割コイル同士の当接箇所を溶接等で繋いでコイルを形成する方法がある。この方法によれば、ティースの先端においてその左右のスロット側に突出する鍔が備えてあるために、ティースへのコイル固定後にコイルが抜けてしまうといった課題は解消される。しかしながら、コイルを2つに分割し、再度これらをティース周りに溶接等で繋ぐ際の加工手間によって製造時間が長期化するという課題を有することになる。
ここで、従来の公開技術に目を転じるに、ティースの先端にコイルの抜けを防止するための鍔が設けられたステータコアの一端面に形成された開口部からスロット溝の延在方向に沿ってスロット溝内にスロットライナを挿入し、巻線装置にて巻線をティースに所定ターン数巻回してコイルを作製し、予め所定の発泡倍率で発泡させた加熱発泡性樹脂組成物をコイルとスロットライナの間に圧入してこれらの間に形成された空間に発泡体を充填し、次いでワニスを滴下し、全体を加熱してワニスを熱硬化させることでコイルをティースに固定する方法が開示されている。
この方法によれば、ティースの先端においてその左右のスロット側に突出する鍔が形成されていることからティースへのコイル固定後にコイルが抜けてしまうといった課題は解消されるものの、ティース周りに導線を巻装してコイルを形成する必要があることから、予めコイルを形成してティースに嵌め合いする方法に比してその製造効率は格段に低下する。
特開2010−148275号公報
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、ティースがその先端にコイルの抜けを防止するための鍔を具備するステータコアの該ティースに対して、効率的にコイルを配設して固定することのできるティースにコイルを固定する方法と、ティースとコイルの固定構造を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明によるティースにコイルを固定する方法は、平面視が略環状もしくは弧状のヨークと、該ヨークから径方向内側に突出するティースと、からなるステータコアのティース周りにコイルを固定する方法であって、導線を巻装して形成されたコイルを用意するとともに、ティースの先端において該ティースの左右のスロットのいずれか一方側に突出した鍔を備えたティースを具備するステータコアを用意する第1のステップ、コイルをスロット内に挿入してティース周りに配設し、このコイルを前記鍔を備えたティースの側面側へずらして鍔を具備しないティースの側面とコイルの間に隙間を形成する第2のステップ、前記隙間に熱膨張性シートを挿入し、熱処理して該熱膨張性シートを膨張させることにより、前記鍔が備えてあるティースの側面にコイルを押し付けて密着させる第3のステップからなるものである。
本発明のティースにコイルを固定する方法は、その先端において左右のスロット側に突出する鍔を具備する従来のティース構造を廃し、その先端において左右のスロットのいずれか一方側に突出する鍔を具備する構造のティースを備えたステータコアの該ティースに対して、導線が巻装されてなるコイルを挿入し、鍔を備えたティースの側面側へコイルをずらしてできた隙間に熱膨張性シートを挿入し、熱処理して膨張させることで、鍔が備えてあるティースの側面にコイルを押し付けてこの鍔がコイルの抜けを防止しながら、鍔付きティースに対してコイルを効率的に挿入するのを可能とした固定方法である。
ここで、適用される熱膨張性シートは特に限定されるものでないが、熱膨張性のゴムシートや熱膨張性の発泡プラスチックシート、繊維材を無機バインダー樹脂で結合した熱膨張マットなど、熱膨張した際にコイルを壁面側に十分に押圧できる剛性を有する適宜の素材が適用できる。
また、コイルは断面円形の丸線コイルであってもよいし、占積率向上を図ることのできる平角線であってもよく、いずれも、エナメル等の絶縁被膜が形成されたものを適用できる。
また、本発明によるティースにコイルを固定する方法の他の実施の形態は、平面視が略環状もしくは弧状のヨークと、該ヨークから径方向内側に突出するティースと、からなるステータコアのティース周りにコイルを固定する方法であって、導線を巻装して形成されたコイルを用意するとともに、ティースの先端において該ティースの左右のスロットのいずれか一方側に突出した鍔を備えたティースを具備するステータコアを用意する第1のステップ、コイルをスロット内に挿入してティース周りに配設し、このコイルを前記鍔を備えたティースの側面側へずらして鍔を具備しないティースの側面とコイルの間に隙間を形成する第2のステップ、前記隙間に板材を圧入することにより、前記鍔が備えてあるティースの側面にコイルを押し付けて密着させる第3のステップからなるものである。
この固定方法の実施の形態は、その第1、第2のステップまでは既述する固定方法と同じステップを経るものであるが、第3のステップにおいて、コイルとティースの側面に形成された隙間にたとえば硬質の板材を圧入することで鍔が備えてあるティースの側面にコイルを押し付けて密着させるものである。
ここで、適用される板材は特に限定されるものでないが、硬質樹脂やセラミックスなどからなる板材であって、圧入の際に破損しない剛性を有した適宜素材の板材が適用できる。
また、本発明によるティースにコイルを固定する方法の好ましい実施の形態において、前記ステータコアは複数の分割コアから構成されるものであり、前記第2のステップでは、コイルを周方向に配設して環状に組み付け、それぞれのコイルに対して対応する分割コアのティースを順次挿入してステータコアを組み付け、組み付けられたステータコアをその中心軸周りで回動させることにより、それぞれのコイルを対応するスロット内で鍔を備えた対応するティースの側面側へ同時にずらして隙間を形成するものである。
ステータコアが分割コアから構成されるものにおいては、各分割コアに対応するコイルを環状に組み付けておき、各コイルに分割コアのティースを順次挿入していくことで、分割コアからなるステータコアが組み付けられる。
この組み付けられたステータコアをその中心軸周りで回動させることにより、それぞれのコイルを対応するスロット内で鍔を備えた対応するティースの側面側へ同時にずらすことができ、すべてのコイルの側方に同時に隙間を形成することができる。
次いで、形成されたそれぞれのコイルの側方の隙間に順次熱膨張性シートを挿入し、もしくは板材を圧入していき、熱膨張性シートを挿入した際はさらに熱処理してシートの膨張を図ることで、極めて効率的かつ短時間にすべてのコイルを対応するティースに固定することができる。
また、本発明によるティースにコイルを固定する方法の好ましい実施の形態として、前記鍔が、ステータコアの内部に配設されるロータの回転方向の上流側に突出するように鍔の配設位置を設定するのがよい。
ティースの先端においてティースの左右のスロットのいずれか一方側に鍔が突出しているが、本方法では、この鍔の突出する位置をステータコアの内部に配設されるロータの回転方向の上流側に規定したものである。ここで「回転方向の上流側」とは、ティースの左右側面の先端に注目した際に、回転するロータの任意箇所に最初に対向する側面側を意味しており、たとえば回転姿勢のロータの任意点がティースの右側側面の端部と対向するように通過し、次いで左側側面の端部と対向するように通過する場合に、この右側側面の端部位置に鍔を形成しておくものである。この方法によれば、鍔がコイルの抜けを防止しながら、鍔付きティースに対してコイルを効率的に挿入することに加えて、磁気特性の向上が図れることが本発明者等によって実証されている。
この方法によれば、鍔がコイルの抜けを防止しながら、鍔付きティースに対してコイルを効率的に挿入することに加えて、磁気特性の向上が図れることが本発明者等によって実証されている。
また、本発明はティースとコイルの固定構造にも及ぶものであり、この固定構造は、平面視が略環状もしくは弧状のヨークと、該ヨークから径方向内側に突出するティースと、からなるステータコアのティース周りにコイルが固定されているティースとコイルの固定構造であって、ティースの先端には該ティースの左右のスロットのいずれか一方側に突出するコイルの抜けを防止するための鍔が備えてあり、前記鍔が備えてあるティースの側面にコイルが押し付けられて密着し、鍔を具備しないティースの側面とコイルの間に熱膨張した熱膨張性シートが介在してティース周りにコイルが固定されているものである。
さらに本発明によるティースとコイルの固定構造の他の実施の形態は、平面視が略環状もしくは弧状のヨークと、該ヨークから径方向内側に突出するティースと、からなるステータコアのティース周りにコイルが固定されているティースとコイルの固定構造であって、ティースの先端には該ティースの左右のスロットのいずれか一方側に突出するコイルの抜けを防止するための鍔が備えてあり、前記鍔が備えてあるティースの側面にコイルが押し付けられて密着し、鍔を具備しないティースの側面とコイルの間に圧入された板材が介在してティース周りにコイルが固定されているものである。
上記する形態の固定構造はいずれも、ティースの先端において左右のスロットのいずれか一方側に突出する鍔が設けられており、かつ、この鍔が備えてあるティースの側面にコイルが押し付けられていることで、コイルがティースの先端から抜けることなく、双方が強固に固定された固定構造となる。
また、上記固定構造においても、前記鍔が、ステータコアの内部に配設されるロータの回転方向の上流側に突出している形態を適用することにより、コイルがティースの先端から抜けることなく、双方が強固に固定されていることに加えて、トルクリップルの低減を図ることができる。
以上の説明から理解できるように、本発明のティースにコイルを固定する方法およびティースとコイルの固定構造によれば、ティース先端の鍔によってコイルの抜けが防止されながら、ティースへのコイルの配設と固定を極めて効率的におこなうことができ、モータ製造時間の短縮とこれに基づく製造コスト低減を図ることができる。
本発明のティースにコイルを固定する方法の一実施の形態の第1のステップを説明する図である。 図1に続いて、第2のステップを説明する図である。 第2のステップにおいて、スロットに熱膨張性シートが挿入された状態を説明する平面図である。 図3に続いて、コイルを鍔を備えたティースの側面側へずらして鍔を具備しないティースの側面とコイルの間に隙間を形成した状態を説明する平面図である。 図4に続いて、第3のステップを説明する図である。 第3のステップにおいて、熱処理にて熱膨張性シートが膨張して形成された本発明のティースとコイルの固定構造を説明する図である。 スロット挿入口である鍔と鍔のないティース側面までの距離:a、コイルの幅:b、熱膨張性シートの厚み:c、鍔の突出長:d、コイルの隅角部の曲率半径rの各関係を説明した図である。 硬質板材を隙間に圧入する方法形態における、スロット挿入口である鍔と鍔のないティース側面までの距離:a、コイルの幅:b、硬質板材の厚み:c、鍔の突出長:d、コイルの隅角部の曲率半径rの各関係を説明した図である。 ティースの先端における鍔の好ましい配設位置を説明した図である。
以下、図面を参照して本発明のティースにコイルを固定する方法とこの方法でできる固定構造の実施の形態を説明する。なお、図示するティースにコイルを固定する方法は、コイルを環状に組み付けたものに対して分割コアを順次挿入する形態であるが、それぞれの分割コアにコイルを組み付けた後に各分割コアを環状に組み付ける方法であってもよいことは勿論のことである。さらに、分割コアでなく、全体が環状に一体に形成されたステータコアの各ティースに対して順次コイルを組み付けていく方法であってもよいことは勿論のことである。
(ティースにコイルを固定する方法と固定構造の実施の形態1)
図1は、本発明のティースにコイルを固定する方法の実施の形態1の第1のステップを説明する図であり、図2は、図1に続いて第2のステップを説明する図であり、図5は、第3のステップを説明する図である。
図1には分割コア1が示されており、この分割コア1を環状に組み付けることで不図示のステータコアが形成されるものである。この分割コア1は、弧状のヨーク1eと、このヨーク1eから径方向に突出する2つのティース1a,1aから構成されるものであり、ティース1a,1a間にはコイル2が挿入されるスロット1fが画成されている。
この分割コア1は、電磁鋼板をはじめ、冷延鋼板(SPCC)や熱延鋼板(SPHC)、炭素鋼(S45C)などの鋼板を積層してなる鋼板積層体や、軟磁性金属粉末または軟磁性金属酸化物粉末がシリコーン樹脂やシリカ等の樹脂バインダーで被覆された磁性粉末を加圧成形してなる圧粉磁心から形成される。
分割コア1を構成するティース1aは、その先端において、該ティース1aの左右のスロット1f、1fのいずれか一方側に突出してコイル2の抜けを防止するための鍔1bを備えている。なお、従来の先端に鍔を備えたティース構造は、その左右に鍔が突出するものであり、一方にのみ突出する鍔を備えたティースを具備するステータを採用したことが新規な特徴構成の一つである。
コイル2は平角線からなり、銅素材の平角導線の周りに絶縁被膜が形成されたものをエッジワイズ巻きすることで形成されている。この平角線からなるコイル2を使用することで、スロット1f内におけるコイルの占積率が向上する。
コイル2の幅:bは、スロット1f内に挿入できるように(X1方向)、スロット開口の幅、すなわち、鍔1bの先端からティース1aの鍔を具備しない側面1cまでの幅:aよりも小さい幅で形成されており、スロット1f内に挿入された後に、さらにスロット1f内で移動自在となっている。なお、このコイル2の幅やスロット開口の幅、スロットの幅等のより詳細な関係に関しては後述する。
第1のステップでは、図示する分割コア1とコイル2が所望数製造され、用意される。
次に、図2で示すように、複数のコイル2,…を周方向に配設して環状に組み付け、それぞれのコイル2に対して対応する分割コア1のティース1aを順次挿入して(X1方向)不図示の環状のステータコアを組み付ける。
環状のステータコアが形成されたら、組み付けられたステータコアをその中心軸周りで回動させることにより、それぞれのコイル2を対応するスロット1f内で鍔を備えたティースの側面1d側へ同時にずらすことができ、各スロット1f内において、鍔を具備しないティース側面1cとコイル2の間に隙間を形成する(第2のステップ)。
ここで、各スロット1fへのコイル2の挿入と、スロット1f内でのコイル2の移動を図3,4を参照して詳述する。
コイル2に分割コア1のティース1aが挿入されると、コイル2と鍔が備えてあるティース側面1dの間には、図3で示すように隙間G1が形成される。
この状態で、環状のステータコアをその中心軸周りで回動させると(X2方向)、各スロット1f内でコイル2は鍔を備えたティース側面1d側へ相対移動して密着し、図4で示すように、コイル2と鍔を具備しないティース側面1cの間に隙間G2が形成される。
すなわち、図示する方法によれば、たとえば環状に組み付けられたステータコアが10個のスロット1fを具備する場合に、これら10個のスロット1fのすべてに一度に隙間G2を形成することが可能となる。
各スロット1fに隙間G2が形成されたら、図5で示すように、各隙間G2に熱膨張性シート3を順次挿入する。なお、熱膨張性シート3が隙間G2に挿入された状態においては、隙間G2には同図で示すように若干の隙間が残っていてもよいし、隙間が完全に閉塞されてもよい(仮に隙間が完全に閉塞された状態であっても、この段階でコイルが熱膨張性シートによって側方に押し込まれることはない)。
この熱膨張性シート3は、熱膨張性のゴムシートや熱膨張性の発泡プラスチックシート、繊維材を無機バインダー樹脂で結合した熱膨張マットなど、熱膨張性を有することに加えて、熱膨張した際にコイル2を鍔を備えたティース側面1d側に十分に押圧できる剛性を有する適宜の素材が適用される。
すべてのスロット1f内の隙間G2に熱膨張性シート3が挿入されたら、このステータコアを熱膨張性シート3が熱膨張する温度雰囲気に熱処理することにより、図6で示すように熱膨張性シート3が熱膨張し(膨張量δ)、鍔が備えてあるティースの側面1dにコイル2が押し付けられて密着して(押圧力P)、ティースとコイルの固定構造10が形成される(第3のステップ)。
図示する固定構造10においては、コイル2は鍔1bと面接触しながらその抜けが抑止され、かつ鍔が備えてあるティースの側面1dに押し込まれていることでティース1aとの強固な固定構造が維持されることになる。
図示するティースにコイルを固定する方法とこの方法で形成されたティースとコイルの固定構造10によれば、ティース先端の鍔1bによってコイル2の抜けが防止された構造を形成することができ、しかも、ティース1aへのコイル2の配設と固定を極めて効率的におこなうことができる。このことは、モータ製造時間の短縮に繋がり、モータの製造コスト低減に繋がるものである。
(ティースにコイルを固定する方法と固定構造の実施の形態2)
図示例のように熱膨張性シート3を適用することに代えて、隙間G2に硬質樹脂やセラミックスなどからなる硬質板材を圧入し、圧入された硬質板材によって鍔が備えてあるティースの側面1dにコイル2を押し付ける方法とこの方法で形成される固定構造であってもよい。
(構成要素間の関係式について)
次に、図7,8を参照して、スロット挿入口である鍔1bと鍔のないティース側面1cまでの距離:a、コイル2の幅:b、熱膨張性シート3の厚み:c(もしくは硬質板材4の厚み:c)、鍔1bの突出長:d、コイル2の隅角部の曲率半径rの各関係を説明する。なお、図7は熱膨張性シート3を適用する場合を説明したものであり、図8は硬質板材4を適用する場合を説明したものである。
まず、図7で示すように、スロット1fへのコイル2の挿入を可能とすること、コイル2をスロット1f内で移動させて隙間G2を形成し、この隙間G2への熱膨張性シート3の挿入を可能とすること、さらには、熱膨張性シート3が熱膨張した際にコイル2が鍔1bと面接触して係止されることを可能とすること、のすべてを満足する関係式として、図7で記載する以下の3式を満たすことを要する。
a+d>b+c・・・・・・・(1)
a+d=b+c’・・・・・・(2)(c’は熱膨張後のシートの厚み)
a>b、d≧r・・・・・・・(3)(rはコイル2の隅角部の曲率半径)
一方、図8で示すように、スロット1fへのコイル2の挿入を可能とすること、コイル2をスロット1f内で移動させて隙間G2を形成し、この隙間G2への硬質板材4の圧入(X3方向)を可能とすること、さらには、硬質板材4が圧入された際にコイル2が鍔1bと面接触して係止されることを可能とすること、のすべてを満足する関係式として、図8で記載する以下の3式を満たすことを要する。
a+d>b+c・・・・・・・(1)
a+d=b+c”・・・・・・(2)(c”は圧入後の硬質板材の厚み)
a>b、c>d≧r・・・・・(3)(rはコイル2の隅角部の曲率半径)
上記各関係式を満足する分割コア1とコイル2、さらには熱膨張性シート3や硬質板材4を用意し、以上で説明した本発明のティースにコイルを固定する方法を用いてステータを製造することにより、高い製造効率の下で、コイルとティースの固定強度の高いステータを製造することができる。
(ティースの先端における鍔の好ましい配設位置を特定する解析結果)
図9は、ティースの先端における鍔の好ましい配設位置を説明した図である。同図では、分割コア1の組立体(ステータコア)の内側で回転するロータ5の一部と、平面視Vの字状に配されて2つで1つの磁極を形成する永久磁石6,6を示している。なお、同図において、ティースのS極、N極と永久磁石のN極、S極を示している。
本発明者等は磁場解析を実施(電流値を150Arms、進角46度に設定)し、コンピュータ内において、図9で示すように、ロータ5の回転方向Yに対し、回転方向の上流側となるティース側面の端部に鍔1bを突出するように形成した構成のモデルを作成し(実施例)、他に回転方向の下流側に鍔1bを突出するように形成した構成のモデルを作成し(比較例1)、さらに、鍔を具備しないモデルを作成し(比較例2)、それぞれのモデルにおけるトルク実効値とリップル率を算定し、比較例2のトルク実効値とリップル率を基準値として、比較例1および実施例の各値を正規化する解析をおこなった。その結果を以下の表1に示す。
Figure 2012170311
表1において、実施例のリップル変化率が−となっているのはリップル変化率が低減して好ましい傾向にあることを意味している。
解析結果より、実施例はトルク実効値も増加し、その一方でリップル変化率が低減しており、モータ性能が向上していることが実証されている。
これは、図9からも明らかなように、実施例のモデルにおいては、ロータの回転方向の上流側となるティース側面の端部に鍔1bが突出していることにより、ティースのS極が周方向に対して長くなり、かつ、永久磁石6のN極と鍔が近接することから、鍔がない場合や鍔が回転方向の下流側にある場合に比して、磁石に対して引力が早い段階から作用することによってトルクが向上し、トルクリップルが低減すると考えられる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…分割コア、1a…ティース、1b…鍔、1c…鍔を具備しないティース側面、1d…鍔を備えたティース側面、1e…ヨーク、1f…スロット、2…コイル、3…熱膨張性シート、4…硬質板材、5…ロータ、6…永久磁石、10…ティースとコイルの固定構造、G1、G2…隙間

Claims (9)

  1. 平面視が略環状もしくは弧状のヨークと、該ヨークから径方向内側に突出するティースと、からなるステータコアのティース周りにコイルを固定する方法であって、
    導線を巻装して形成されたコイルを用意するとともに、ティースの先端において該ティースの左右のスロットのいずれか一方側に突出した鍔を備えたティースを具備するステータコアを用意する第1のステップ、
    コイルをスロット内に挿入してティース周りに配設し、このコイルを前記鍔を備えたティースの側面側へずらして鍔を具備しないティースの側面とコイルの間に隙間を形成する第2のステップ、
    前記隙間に熱膨張性シートを挿入し、熱処理して該熱膨張性シートを膨張させることにより、前記鍔が備えてあるティースの側面にコイルを押し付けて密着させる第3のステップからなるティースにコイルを固定する方法。
  2. 平面視が略環状もしくは弧状のヨークと、該ヨークから径方向内側に突出するティースと、からなるステータコアのティース周りにコイルを固定する方法であって、
    導線を巻装して形成されたコイルを用意するとともに、ティースの先端において該ティースの左右のスロットのいずれか一方側に突出した鍔を備えたティースを具備するステータコアを用意する第1のステップ、
    コイルをスロット内に挿入してティース周りに配設し、このコイルを前記鍔を備えたティースの側面側へずらして鍔を具備しないティースの側面とコイルの間に隙間を形成する第2のステップ、
    前記隙間に板材を圧入することにより、前記鍔が備えてあるティースの側面にコイルを押し付けて密着させる第3のステップからなるティースにコイルを固定する方法。
  3. 前記ステータコアは複数の分割コアから構成されるものであり、
    前記第2のステップでは、コイルを周方向に配設して環状に組み付け、それぞれのコイルに対して対応する分割コアのティースを順次挿入してステータコアを組み付け、組み付けられたステータコアをその中心軸周りで回動させることにより、それぞれのコイルを対応するスロット内で鍔を備えた対応するティースの側面側へ同時にずらして隙間を形成する請求項1または2に記載のティースにコイルを固定する方法。
  4. 前記導線が平角線からなる請求項1〜3のいずれかに記載のティースにコイルを固定する方法。
  5. 前記鍔が、ステータコアの内部に配設されるロータの回転方向の上流側に突出している請求項1〜4のいずれかに記載のティースにコイルを固定する方法。
  6. 平面視が略環状もしくは弧状のヨークと、該ヨークから径方向内側に突出するティースと、からなるステータコアのティース周りにコイルが固定されているティースとコイルの固定構造であって、
    ティースの先端には該ティースの左右のスロットのいずれか一方側に突出するコイルの抜けを防止するための鍔が備えてあり、
    前記鍔が備えてあるティースの側面にコイルが押し付けられて密着し、鍔を具備しないティースの側面とコイルの間に熱膨張した熱膨張性シートが介在してティース周りにコイルが固定されているティースとコイルの固定構造。
  7. 平面視が略環状もしくは弧状のヨークと、該ヨークから径方向内側に突出するティースと、からなるステータコアのティース周りにコイルが固定されているティースとコイルの固定構造であって、
    ティースの先端には該ティースの左右のスロットのいずれか一方側に突出するコイルの抜けを防止するための鍔が備えてあり、
    前記鍔が備えてあるティースの側面にコイルが押し付けられて密着し、鍔を具備しないティースの側面とコイルの間に圧入された板材が介在してティース周りにコイルが固定されているティースとコイルの固定構造。
  8. 前記導線が平角線からなる請求項6または7に記載のティースとコイルの固定構造。
  9. 前記鍔が、ステータコアの内部に配設されるロータの回転方向の上流側に突出している請求項6〜8のいずれかに記載のティースとコイルの固定構造。
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