JP2012166548A - ポリカーボネート樹脂成形体及びその製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂成形体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】表面硬度、表面外観、色調に優れたポリカーボネート樹脂成形体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】少なくともポリカーボネート樹脂(a)を含有するフィルム層と、前記ポリカーボネート樹脂(a)とは異なる構造単位を有するポリカーボネート樹脂(b)を含有する基体とを含み、該フィルム層が表層にあるポリカーボネート樹脂成形体であって、以下の(i)及び(ii)の条件を満足することを特徴とするポリカーボネート樹脂成形体。
(i)フィルム層のISO15184で規定される鉛筆硬度が、基体のISO15184で規定される鉛筆硬度より高いこと
(ii)ポリカーボネート樹脂(a)が、下記一般式(1)で表される化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂であること
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂成形体及びその製造方法に関する。より詳しくは、特定のポリカーボネート樹脂(a)を含有するフィルム層と、前記ポリカーボネート樹脂(a)とは異なる構造単位を有するポリカーボネート樹脂(b)を含有する基体とを含むポリカーボネート樹脂成形体及びその製造方法に関する。
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性等の機械的特性、耐熱性、成形性、透明性等に優れ、各種機械部品、光学用ディスク、自動車部品、建材等の用途に広く用いられている。
一方、近年は、前記性能に加えて、成形体としたときに表面外観が良好であることや、成形品表面が傷つきにくいことも求められている。
特許文献1には、ビスフェノールAに由来する構造単位と前記ビスフェノールA以外の化合物に由来する構造単位とを有するコポリカーボネート、又そのプレスシートが記載されている。
特許文献2には、ビスフェノールAに由来する構造単位のみからなるポリカーボネートと前記ビスフェノールA以外の化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネートとのブレンド物、又はその射出成形品が記載されている。
又、非特許文献1等には、ポリカーボネート樹脂成形体にハードコートを施す技術が開示されている。
更に、特許文献3〜4には、インサート成形により、硬度の高いフィルムを表層とし、ポリカーボネート樹脂又はポリカーボネート樹脂組成物を基体としてなる成形体が提案されている。
特開平8−183852号公報 国際公開第2009/083933号パンフレット 特開平8−25589号公報 特開2001−198946号公報
ポリカーボネート樹脂ハンドブック(日刊工業新聞社、1992年8月28日発行)
しかし、特許文献1又は特許文献2に記載されたように、ポリカーボネートの構造単位を変更しただけでは、硬度は高くなるが、成形品の色調が悪化し、耐衝撃性の低下をきたす問題があった。又、非特許文献1に記載されたように成形品にハードコートを施すだけでは、透明性が低下したり、十分な表面硬度が得られないという問題があった。更に、特許文献3〜4記載のようなインサート成形体では、表層がアクリル系樹脂であり耐熱性が低いために表面に歪みが生じたり、付与した意匠が損なわれてしまったりするという問題があった。更にアクリル系樹脂は難燃性に劣るため、例え表面硬度は高くなっても、難燃性が低下してしまう等の問題があった。かかる現状下、本発明の目的は、上記従来の問題点を解消し、表面硬度、表面外観、色調、耐衝撃性に優れたポリカーボネート樹脂成形体
及びその製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のポリカーボネート樹脂(a)を含有するフィルム層と、特定のポリカーボネート樹脂(b)を含有する基体とを含むポリカーボネート樹脂成形体であって、該フィルム層を該ポリカーボネート樹脂成形体の表層とすることにより、表面硬度、表面外観、色調、耐衝撃性に優れたポリカーボネート樹脂成形体となることを見出し、本発明に到達した。
本発明の要旨は以下の<1>〜<11>に存する。
<1>少なくともポリカーボネート樹脂(a)を含有するフィルム層と、前記ポリカーボネート樹脂(a)とは異なる構造単位を有するポリカーボネート樹脂(b)を含有する基体とを含み、該フィルム層が表層にあるポリカーボネート樹脂成形体であって、以下の(i)及び(ii)の条件を満足するポリカーボネート樹脂成形体。
(i)フィルム層のISO15184で規定される鉛筆硬度が、基体のISO15184で規定される鉛筆硬度より高いこと
(ii)ポリカーボネート樹脂(a)が、下記一般式(1)で表される化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂であること
Figure 2012166548
(一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基、シクロアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基、シクロアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示し、Xは、単結合、カルボニル基、置換若しくは無置換のアルキリデン基、シクロアルキリデン基、置換若しくは無置換の硫黄原子、又は酸素原子を示す。)
<2>前記フィルム層のガラス転移温度が100℃以上であり、かつ前記基体のガラス転移温度以下である前記<1>に記載のポリカーボネート樹脂成形体。
<3>前記ポリカーボネート樹脂(a)が、下記一般式(1a)〜(1c)からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂である前記<1>または<2>に記載のポリカーボネート樹脂成形体。
Figure 2012166548
<4>前記ポリカーボネート樹脂(b)が、下記一般式(2)で表される化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂である前記<1>乃至<3>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂成形体。
Figure 2012166548
<5>前記フィルム層の厚さが1μm以上2000μm以下である前記<1>乃至<4>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂成形体。
<6>前記ポリカーボネート樹脂成形体を構成する全ポリカーボネート樹脂中に含まれる前記一般式(2)で表される化合物に由来する構造単位のモル数に対する、前記一般式(1a)で表される化合物に由来する構造単位のモル数、前記一般式(1b)で表される化合物に由来する構造単位のモル数及び前記一般式(1c)で表される化合物に由来する構造単位のモル数の合計の比率が50mol%以下である前記<4>又は<5>に記載のポリカーボネート樹脂成形体。
<7>前記ポリカーボネート樹脂成形体の鉛筆硬度がF以上である前記<1>乃至<6>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂成形体。
<8>前記フィルム層を構成するポリカーボネート樹脂のフェノール性末端水酸基の濃度が5μeq/g以上である前記<1>乃至<7>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂成形体。
<9>前記基体を構成するポリカーボネート樹脂のフェノール性末端水酸基の濃度が5μeq/g以上である前記<1>乃至<8>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂成形体。
<10>前記フィルム層の280℃、剪断速度1220sec-1における溶融粘度の、前
記フィルム層の280℃、12sec-1における溶融粘度に対する比が、1〜10である前
記<1>乃至<9>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂成形体。
<11>前記<1>乃至<10>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂成形体に、更にハードコートしてなるポリカーボネート樹脂成形体。
次に、本発明は、以下のポリカーボネート樹脂成形体の製造方法の発明に係るものである。
<12>前記<1>乃至<11>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂成形体を製造する方法において、前記ポリカーボネート樹脂(a)を含有するフィルム層を金型に設置し、次いで前記ポリカーボネート樹脂(b)を含有する基体を、射出成形するポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
さらに、本発明は、以下のポリカーボネート樹脂成形体の発明に係るものである。
<13>建築物として使用されることを特徴とする、前記<1>乃至<11>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂成形体。
<14>車両用部材として使用されることを特徴とする、前記<1>乃至<11>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂成形体。
<15>電気・電子機器部材として使用されることを特徴とする、前記<1>乃至<11>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂成形体。
<16>遊技用部材として使用されることを特徴とする、前記<1>乃至<11>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂成形体。
<17>メガネ部材、レンズ部材として使用されることを特徴とする、前記<1>乃至<11>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂成形体。
本発明によれば、表面硬度が大幅に向上し、表面外観に優れ、且つ色調が良好であるポリカーボネート樹脂成形体を得ることができる。すなわち、ポリカーボネート樹脂(a)を含有するフィルム層と、ポリカーボネート樹脂(b)を含有する基体とを含み、該フィルム層を表層としたポリカーボネート樹脂成形体とすることにより、表面硬度を高め、且つ色調を良好に保持し、更に表層にあるフィルム層と基体との密着性が良好であることにより、表面外観に優れる。
本発明は、少なくともポリカーボネート樹脂(a)を含有するフィルム層と、ポリカーボネート樹脂(b)を含有する基体とを含み、該フィルム層を表層としたポリカーボネート樹脂成形体であって、以下の(i)及び(ii)の条件を満足することを特徴とするポリカーボネート樹脂成形体に関する。
まず条件(i)として本発明のポリカーボネート樹脂成形体を構成するフィルム層のISO15184で規定される鉛筆硬度は、基体のISO15184で規定される鉛筆硬度よりも高いことを必須とする。フィルム層の鉛筆硬度が基体の鉛筆硬度と同じかあるいは低い場合には、ポリカーボネート樹脂成形体の鉛筆硬度が低くなる可能性があり、成形体表面が傷つきやすい場合がある。
なお、フィルム層の好適な鉛筆硬度は、ISO15184で規定される鉛筆硬度でF以上であり、さらに好ましくはH以上、特に好ましくは2H以上である。フィルム層の鉛筆硬度が低いと、ポリカーボネート樹脂成形体とした場合に傷つきやすい場合がある。なお、ここでいうフィルム層の鉛筆硬度とは、ポリカーボネート樹脂(a)を含むフィルム層を構成する原料により、ポリカーボネート樹脂成形体に使用する形態のフィルム層に成形したときの該フィルム層の鉛筆硬度のことである。又、基体の鉛筆硬度とは、ポリカーボネート樹脂(b)を含む基体を構成する原料のみでポリカーボネート樹脂成形体に成形した成形品、すなわちフィルム層等を除いた成形品の鉛筆硬度のことである。
次に、条件(ii)として、本発明のフィルム層の成分であるポリカーボネート樹脂(a)が、下記一般式(1)で表される化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂であることである。
Figure 2012166548
(一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基、シクロアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基、シクロアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示し、Xは、単結合、カルボニル基、置換若しくは無置換のアルキリデン基、シクロアルキリデン基、置換若しくは無置換の硫黄原子、又は酸素原子を示す。)
以下、本発明のポリカーボネート樹脂成形体を構成する、フィルム層、基体についてそれぞれ説明する。
<フィルム層>
本発明のポリカーボネート樹脂成形体におけるフィルム層は、後述するポリカーボネート樹脂(a)を含有することを必須とする。ポリカーボネート樹脂(a)を含有するとは、ポリカーボネート樹脂(a)のみから構成されるか、ポリカーボネート樹脂(a)と、ポリカーボネート樹脂(a)とは異なる構造単位を有する他の樹脂とのブレンド物またはポリマーアロイであることを意味する。更に機能を付与するために、後述する熱安定剤や離型剤、着色剤、紫外線吸収剤等を含有していてもよい。ここでいう「異なる構造単位を有する他の樹脂」とは、前記ポリカーボネート樹脂(a)製造時に使用したモノマー等の原料の種類が異なる樹脂、あるいは、モノマー等の原料の種類が同じであっても該モノマーに由来する構造単位の組成比が異なる場合は、前記異なる構造単位を有する他の樹脂に含まれる。
他の樹脂としては、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられるが、透明性の観点から、好ましくはアクリル樹脂またはポリカーボネート樹脂であり、密着性や熱収縮率の観点からは、ポリカーボネート樹脂が好適である。中でも、ポリカーボネート樹脂成形体の基体の構成成分であるポリカーボネート樹脂(b)が好ましい。
この場合のポリカーボネート樹脂(a)と他の樹脂との混合比率に制限はないが、混合してフィルム層に成形した場合の表面硬度がISO15184で規定される鉛筆硬度で通常F以上、好ましくはH以上、特に好ましくは2H以上になるように混合することが好ましい。
前記ポリカーボネート樹脂成形体におけるフィルム層を構成するポリカーボネート樹脂のフェノール性末端水酸基は、該フィルム層を構成するポリカーボネート樹脂全体に対する濃度として、5μeq/g以上であることが好ましく、10μeq/g以上であることが更に好ましい。該フェノール性末端水酸基濃度が低いと基体との密着性が悪化する傾向がある。また、該フェノール性末端水酸基濃度が高すぎると、色調や耐候性が低下する可能性があるため、その上限は好ましくは100μeq/g、更に好ましくは50μeq/g、特に好ましくは40μeq/gである。
本発明のポリカーボネート樹脂成形体におけるフィルム層のガラス転移温度は、耐熱性の観点から100℃以上であることが好ましく、中でも110℃以上であることが好まし
い。ガラス転移温度の上限について制限はないが、高すぎるとフィルム成形時に高温にせざるを得なくなり、着色や分子量低下を招く可能性があるため、好ましくは180℃以下、より好ましくは160℃以下、特に好ましくは145℃以下である。また、フィルム層と基体との密着性の観点からは、基体のガラス転移温度以下であることが好ましく、中でもその差が50℃以内、特には40℃以内であることが好ましく、好適には30℃以内である。本発明におけるガラス転移温度とは、示差走査熱量計(DSC)で測定した場合、低温から走査した際に熱容量の変化として現れるDSC曲線変化の最も低温側の温度(Tig)を指す。
また、本発明のポリカーボネート樹脂成形体におけるフィルム層の、280℃、剪断速度122sec-1での溶融粘度は、成形性とフィルム層の品質の観点から300Pa・s〜4
000Pa・sであることが好ましく、特には500Pa・s〜2000Pa・sであることが好ましい。また、フィルム成型時のネッキングやドローダウンを抑制するためには、前記フィルム層の280℃、剪断速度1220sec-1における溶融粘度の、前記フィルム層の
280℃、剪断速度12sec-1における溶融粘度に対する比が、1〜10であることが好
ましく、1.5〜9がより好ましく、2〜8が特に好ましい。
ポリカーボネート樹脂成形体におけるフィルム層の厚みは特に制限はないが、薄すぎると成形時に破損したり、所望の表面硬度が得られなかったりするため、通常1μm以上、好ましくは10μm以上、更に好ましくは50μm以上、特に好ましくは100μm以上である。また、厚すぎると成形体とした場合にフィルム層が剥離し易くなったり、表面外観が悪化したり該成形体の衝撃強度を低下させたり、色調が悪化する可能性があるため、通常、2000μm以下、好ましくは1500μm以下、より好ましくは1000μm以下、特に好ましくは800μm以下である。
本発明のポリカーボネート樹脂成形体の性能を更に改善するため、ハードコート層をポリカーボネート樹脂成形体の両面もしくは片面に更に積層したり、耐候性及び/又は耐擦傷性改善フィルムをポリカーボネート樹脂成形体の両面もしくは片面に熱ラミネートしたり、ポリカーボネート樹脂成形体におけるフィルム層の接着性、塗装性、印刷性改善のための各種加工処理を施してもよいし、意匠性を付与するためフィルム表面にしぼ加工や半透明及び不透明加工等の処理を施したり、印刷処理を施したりしてもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂成形体におけるフィルム層の製造法は、特に限定されるものではなく、公知のフィルム成形技術を適用することが出来る。最も一般的には、上述のポリカーボネート樹脂(a)と必要に応じて該ポリカーボネート樹脂(a)とは異なる構造単位を有する他の樹脂と、これに添加剤を加えたフィルム層の原料のペレット、フレークあるいは粉末を押出機で溶融、混練後、Tダイ等から押出し、得られる半溶融状態のフィルムをポリッシングロールで挟圧しながら、冷却、固化して製品とする方法である。押出機は1軸でも2軸でもよく、またベント付き、ノンベントの何れも使用出来る。
本発明のポリカーボネート樹脂成形体におけるフィルム層の製造における押出機の溶融、混練温度は、特に制限はないが、200℃以上が好ましく、240℃以上がさらに好ましく、260℃以上が最も好ましい。また、350℃以下が好ましく、320℃以下が特に好ましい。溶融、混練温度が低すぎると、溶融粘度が高くなり、流動性が低下し、成形性が低下する可能性がある。溶融、混練温度が高すぎるとポリカーボネート樹脂が着色してしまい、ポリカーボネート樹脂成形体におけるフィルム層の色調も悪化する可能性があり、好ましくない。
<ポリカーボネート樹脂(a)>
本発明で用いられるポリカーボネート樹脂(a)とは、下記一般式(1)で表される化
合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂である。
Figure 2012166548
(一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基、シクロアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基、シクロアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示し、Xは、単結合、カルボニル基、置換若しくは無置換のアルキリデン基、シクロアルキリデン基、置換若しくは無置換の硫黄原子、又は酸素原子を示す。)
ここで、一般式(1)において、R1及びR2の、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられ、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリメチルシクロヘキシル基、シクロドデシル基等が挙げられ、アダマンチル基等のビシクロアルキル基、トリシクロデカニル基等のトリシクロアルキル基でもよい。置換若しくは無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
3及びR4の、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基としては、例えば、上記R1及びR2で例示したものが挙げられる。
これらの中でも、R1及びR2は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、4−メチルフェニル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。R3及びR4は、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、4−メチルフェニル基が好ましく、特に水素原子が好ましい。ここで、一般式(1)におけるR1、R2、R3、R4の結合位置は、それぞれのフェニル環上のXに対して2位,3位,5位及び6位から選ばれる任意の位置であり、好ましくは3位、5位である。
また、一般式(1)において、Xが、置換若しくは無置換のアルキリデン基の場合は、下記の構造式で表される。Xが、置換若しくは無置換の硫黄原子としては、例えば、−S−、−SO2−が挙げられる。
Figure 2012166548
ここで、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示し、Zは、置換若し
くは無置換の炭素数4〜炭素数20のポリメチレン基を示す。
5及びR6の、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基としては例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられ、置換若しくは無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
これらの中でも、R5及びR6は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、4−メチルフェニル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
Zは一般式(1)において、2個のフェニル基と結合する炭素と結合して、置換若しくは無置換の二価の炭素環を形成する。二価の炭素環としては、例えば、シクロペンチリデン基、シキロヘキシリデン基、シクロヘプチリデン基、シクロドデシリデン基又はアダマンチリデン基等のシクロアルキリデン基(好ましくは炭素数4〜炭素数12)が挙げられ、置換されたものとしては、これらのメチル置換基、エチル置換基を有するもの等が挙げられる。これらの中でも、シクロヘキシリデン基、シクロヘキシリデン基のメチル置換体、シクロドデシリデン基が好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂(a)の中でも、下記一般式(1a)〜(1i)からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂が好適に用いられる。
Figure 2012166548
上記の化合物の中でも、特に上記一般式(1a)〜(1c)からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂がより好適に用いられ、中でも、後述するガラス転移温度の観点から(1a)または(1b)で表される化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂が更に好ましく、(1a)で表される化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂が特に好ましい。
なお、ポリカーボネート樹脂(a)は、上記一般式(1)で表される化合物に由来する構造単位以外の構造単位を有していてもよい。
このような構造単位としては、特に制限はないが、具体的には、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」と称する場合がある。)、無水糖アルコール等の脂環式ジヒドロキシ化合物、スピログリコール等の環状エーテル化合物に由来する構造単位が挙げられる。この中でもビスフェノールA(以下、「BPA」と称する場合がある。)に由来する構造単位が特に好ましい。
ポリカーボネート樹脂(a)のガラス転移温度は、前記フィルム層のガラス転移温度が特定の範囲内となるのであれば、特に制限はないが、耐熱性の観点から100℃以上であることが好ましく、中でも110℃以上であることが好ましい。ガラス転移温度の上限について制限はないが、高すぎるとフィルム成形時に高温にせざるを得なくなり、着色や分子量低下を招く可能性があるため、好ましくは180℃以下、より好ましくは160℃以
下、特に好ましくは145℃以下である。また、フィルム層と基体との密着性の観点からは、基体のガラス転移温度以下であることが好ましく、中でもその差が50℃以内、特には40℃以内であることが好ましく、好適には30℃以内である。本発明におけるガラス転移温度とは、示差走査熱量計(DSC)で測定した場合、低温から走査した際に熱容量の変化として現れるDSC曲線変化の最も低温側の温度(Tig)を指す。
本発明においては、ポリカーボネート樹脂(a)のISO15184で規定される鉛筆硬度が、後述するポリカーボネート樹脂(b)の鉛筆硬度より高いことが好ましく、通常HB以上、好ましくはF以上、さらに好ましくはH以上、特に好ましくは2H以上である。ポリカーボネート樹脂(a)の鉛筆硬度が低いと、ポリカーボネート樹脂成形体とした場合に傷つきやすい場合がある。なお、ここでいうポリカーボネート樹脂(a)の鉛筆硬度とは、ポリカーボネート樹脂(a)のみをフィルム層の原料としたときの、フィルム層の鉛筆硬度のことである。又ポリカーボネート樹脂(b)の鉛筆硬度とは、ポリカーボネート樹脂(b)のみを基体の原料としたときの基体の鉛筆硬度のことである。
本発明のポリカーボネート樹脂(a)は、これを成形し、厚さ3mmの平板とした場合のイエローインデックス(YI)として、通常4.0以下、好ましくは3.5以下、さらに好ましくは3.0以下、特に好ましくは2.5以下、最も好ましくは2.0以下である。YIが高すぎると、ポリカーボネート樹脂成形体としたときに色調が悪くなり、成形体としての商品価値を落とすことがある。YIを低下させるために、フタロシアニン系、アントラキノン系等のブルーイング剤を少量用いることは有効であるが、ポリカーボネート樹脂(a)自体のYIが悪い場合には、ブルーイング剤を添加すると明度が低下する傾向にあるため、透過光で測定した国際照明委員会(CIE)で規定されたL*値は通常80
以上、好ましくは85以上、好適には90以上である。
また、本発明に用いられるポリカーボネート樹脂(a)の粘度平均分子量は通常1,000〜100,000の範囲であり、好ましくは10,000〜50,000、より好ましくは20,000〜40,000、さらに好ましくは25,000〜35,000の範囲である。粘度平均分子量が低すぎても、高すぎても、フィルム成形性が悪くなる可能性がある。
<基体>
本発明のポリカーボネート樹脂成形体における基体は、従来よりポリカーボネート樹脂が有する特性である、耐衝撃性等の機械的特性、耐熱性、成形性、透明性等を満足するものであれば特に限定されない。但し、該基体には前記ポリカーボネート樹脂(a)とは異なる構造単位を有するポリカーボネート樹脂(b)を含有することが必須要件である。
<ポリカーボネート樹脂(b)>
本発明で用いられるポリカーボネート樹脂(b)は、前記ポリカーボネート樹脂(a)とは異なる構造単位を有する。
本発明において「異なる構造単位を有する」とは、前記ポリカーボネート樹脂(a)製造時に使用したモノマー等の原料の種類が異なる場合、あるいは、該モノマー等の原料の種類が同じであっても該モノマーに由来する構造単位の組成比が異なる場合は、前記「異なる構造単位を有する」に含まれる。
本発明のポリカーボネート樹脂(b)としては、下記一般式(2)〜(13)からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂が好適に用いられ、更には下記一般式(2)または(3)で表される化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂が好ましく、特には下記一般式(2)で表されるビスフェノールAに由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂が好適に用いられる。特に
ポリカーボネート樹脂(b)を構成する構造単位のうち、50mol%以上、好ましくは80mol%以上、より好ましくは90mol%以上が、ビスフェノールAに由来する構造単位である場合に本発明による改良効果が大きい。なお、ポリカーボネート樹脂(b)中の構造単位の含有量は、H−NMR法により求めることができる。
Figure 2012166548
Figure 2012166548
ポリカーボネート樹脂(b)の粘度平均分子量は通常1,000〜100,000の範囲であり、好ましくは10,000〜50,000、より好ましくは15,000〜30,000、さらに好ましくは19,000〜23,000の範囲である。粘度平均分子量が高すぎると、該ポリカーボネート樹脂(b)を含有する基体の溶融粘度が高くなり、流動性が低下する可能性があるため好ましくない。また粘度平均分子量が低すぎると、耐衝撃性、強度などが低下する可能性があるため好ましくない。
<ポリカーボネート樹脂の製造方法>
次に、本発明のポリカーボネート樹脂(a)及びポリカーボネート樹脂(b)の製造方法について説明する。(以下、「ポリカーボネート樹脂(a)及びポリカーボネート樹脂(b)」を「ポリカーボネート樹脂」と総称する場合がある。)
本発明のポリカーボネート樹脂は、ジヒドロキシ化合物とカルボニル化合物とを用いて重合することにより得られる。具体的には、ジヒドロキシ化合物と塩化カルボニル(以下「CDC」もしくは「ホスゲン」と称することがある。)とを、任意に混合しない有機相と水相との界面にて反応させることによりポリカーボネート樹脂を製造する界面重縮合法(以下、「界面法」と称することがある。)と、ジヒドロキシ化合物とカルボニル化合物とをエステル交換触媒存在下、溶融状態にてエステル交換反応させることによりポリカーボネート樹脂を製造する溶融重縮合法(以下、「溶融法」と称することがある。)がある。
以下、界面法および溶融法のそれぞれについて、具体的に説明する。
<界面法>
界面法による本発明のポリカーボネート樹脂は、通常、ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を調製し、重縮合触媒として、例えばアミン化合物の存在下で、ジヒドロキシ化合物とホスゲンとの界面重縮合反応を行い、次いで、中和、水洗、乾燥工程を経てポリカーボネート樹脂が得られる。具体的には、界面法によるポリカーボネート樹脂製造プロセスは、モノマー成分等の原料調製を行う原調工程、オリゴマー化反応が行われるオリゴマー化工程、オリゴマーを用いた重縮合反応が行われる重縮合工程、重縮合反応後の反応液をアルカリ洗浄、酸洗浄、水洗浄により洗浄する洗浄工程、洗浄された反応液を予濃縮しポリカーボネート樹脂を造粒後に単離するポリカーボネート樹脂単離工程、単離されたポリカーボネート樹脂の粒子を乾燥する乾燥工程を、少なくとも有している。以下、各工程について説明する。
(原調工程)
原調工程では、原調タンクに、ジヒドロキシ化合物と、水酸化ナトリウム(NaOH)等のアルカリ金属化合物の水溶液又は水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物の
水溶液と、脱塩水と、さらに必要に応じてハイドロサルファイト等の還元剤を含むジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液等の原料が調製される。
(ジヒドロキシ化合物)
本発明に係るポリカーボネート樹脂の原料であるジヒドロキシ化合物としては、具体的には前記一般式(1)から(13)で表されるジヒドロキシ化合物等が挙げられる。
(アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物)
アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物としては、通常、水酸化物が好ましく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。これらの中でも、水酸化ナトリウムが特に好ましい。
ジヒドロキシ化合物に対するアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物の割合は、通常、1.0〜1.5(当量比)、好ましくは、1.02〜1.04(当量比)である。アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物の割合が過度に多い又は過度に少ない場合は、後述するオリゴマー化工程において得られるカーボネートオリゴマーの末端基に影響し、その結果、重縮合反応が異常となる傾向がある。
(オリゴマー化工程)
次に、オリゴマー化工程では、所定の反応器において、原調工程で調製されたジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液とホスゲン(CDC)とを、塩化メチレン(CH2Cl2)等の有機溶媒の存在下で、ジヒドロキシ化合物のホスゲン化反応が行われる。
続いて、ジヒドロキシ化合物のホスゲン化反応が行われた混合液に、トリエチルアミン(TEA)等の重縮合触媒と、p−t−ブチルフェノール(pTBP)等の連鎖停止剤が添加され、ジヒドロキシ化合物のオリゴマー化反応が行われる。
次に、ジヒドロキシ化合物のオリゴマー化反応液は、さらにオリゴマー化反応が進められた後、所定の静置分離槽に導入され、カーボネートオリゴマーを含有する有機相と水相とが分離され、分離された有機相は、重縮合工程に供給される。
ここで、ジヒドロキシ化合物のホスゲン化反応が行われる反応器にジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液が供給されてから静置分離槽に入るまでのオリゴマー化工程における滞留時間は、通常、120分以下、好ましくは、30分〜60分である。
(ホスゲン)
オリゴマー化工程で使用するホスゲンは、通常、液状又はガス状で使用される。オリゴマー化工程におけるCDCの好ましい使用量は、反応条件、特に、反応温度及び水相中のジヒドロキシ化合物の濃度によって適宜選択され、特に限定されない。通常、ジヒドロキシ化合物の1モルに対し、CDC1モル〜2モル、好ましくは1.05モル〜1.5モルである。CDCの使用量が過度に多いと、未反応CDCが多くなり原単位が極端に悪化する傾向がある。また、CDCの使用量が過度に少ないと、クロロフォルメート基量が不足し、適切な分子量伸長が行われなくなる傾向がある。
(有機溶媒)
オリゴマー化工程では、通常、有機溶媒を使用する。有機溶媒としては、オリゴマー化工程における反応温度及び反応圧力において、ホスゲン及びカーボネートオリゴマー、ポリカーボネート樹脂等の反応生成物を溶解し、水と相溶しない(または、水と溶液を形成しない)任意の不活性有機溶媒が挙げられる。
このような不活性有機溶媒として、例えば、ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロプロパン及び1,2−ジクロロエチレン等の塩素化脂肪族
炭化水素;ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素;クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン及びクロロトルエン等の塩素化芳香族炭化水素;その他、ニトロベンゼン及びアセトフェノン等の置換芳香族炭化水素等が挙げられる。
これらの中でも、ジクロロメタン又はクロロベンゼン等の塩素化された炭化水素が好適に使用される。これらの不活性有機溶媒は、単独であるいは他の溶媒との混合物として使用することができる。
(重縮合触媒)
オリゴマー化反応は、重縮合触媒の存在下で行うことができる。重縮合触媒の添加時期は、CDCを消費した後が好ましい。重縮合触媒としては、二相界面重縮合法に使用されている多くの重縮合触媒の中から、任意に選択することができる。例えば、トリアルキルアミン、N−エチルピロリドン、N−エチルピペリジン、N−エチルモルホリン、N−イソプロピルピペリジン、N−イソプロピルモルホリン等が挙げられる。中でも、トリエチルアミン、N−エチルピペリジンが好ましい。
(連鎖停止剤)
本実施の形態において、オリゴマー化工程では、通常、連鎖停止剤としてモノフェノールを使用する。モノフェノールとしては、例えば、フェノール;p−t−ブチルフェノール、p−クレゾール等の炭素数1〜炭素数20のアルキルフェノール;p−クロロフェノール、2,4,6−トリブロモフェノール等のハロゲン化フェノールが挙げられる。モノフェノールの使用量は、得られるカーボネートオリゴマーの分子量に応じ適宜選択され、通常、ジヒドロキシ化合物に対して、0.5モル%〜10モル%である。
界面法において、ポリカーボネート樹脂の分子量は、モノフェノール等の連鎖停止剤の添加量で決定される。このため、ポリカーボネート樹脂の分子量を制御する観点から、連鎖停止剤の添加時期は、カーボネート形成性化合物の消費が終了した直後から、分子量伸長が始まる前での間が好ましい。
カーボネート形成性化合物の共存下でモノフェノールを添加すると、モノフェノール同士の縮合物(炭酸ジフェニル類)が多く生成し、目標とする分子量のポリカーボネート樹脂が得られにくい傾向がある。モノフェノールの添加時期が極端に遅れると、分子量制御が困難となり、さらに、分子量分布の低分子側に特異な肩を有する樹脂となり、成形時には垂れを生じる等の弊害が生じる傾向がある。
(分岐剤)
また、オリゴマー化工程では、任意の分岐剤を使用することができる。このような分岐剤としては、たとえば、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノール、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(4,4’−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン等が挙げられる。また、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、トリメシン酸、塩化シアヌル等も使用しうる。これらの中でも、少なくとも3個のフェノール性ヒドロキシル基を有する分岐剤が好適である。分岐剤の使用量は、得られるカーボネートオリゴマーの分岐度に応じ適宜選択され、通常、ジヒドロキシ化合物に対し、0.05モル%〜2モル%である。
オリゴマー化工程では、二相界面重縮合法を採用した場合、ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属化合物水溶液又はアルカリ土類金属化合物水溶液とホスゲンとの接触に先立ち、ジヒドロキシ化合物を含む有機相とアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を含む水相と、水と任意に混合しない有機相とを接触させ、乳濁液を形成させることが特に好ましい。
このような乳濁液を形成する手段としては、例えば、所定の撹拌翼を有する撹拌機、ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波乳化機等の動的ミキサー、静的ミキサー等の混合機を使用するのが好ましい。乳濁液は、通常、0.01μm〜10μmの液滴径を有し、乳化安定性を有する。
乳濁液の乳化状態は、通常、ウェーバー数又はP/q(単位容積当たりの負荷動力値)で表される。ウェーバー数としては、好ましくは10,000以上、さらに好ましくは20,000以上、最も好ましくは35,000以上である。また、上限としては1,000,000以下程度で十分である。また、P/qとしては、好ましくは200kg・m/L以上、さらに好ましくは500kg・m/L以上、最も好ましくは1,000kg・m/L以上である。
乳濁液とCDCとの接触は、前述した乳化条件よりも弱い混合条件下で行うのがCDCの有機相への溶解を抑制する意味で好ましい。ウェーバー数としては、10,000未満、好ましくは5,000未満、さらに好ましくは2,000未満である。また、P/qとしては、200kg・m/L未満、好ましくは100kg・m/L未満、さらに好ましくは50kg・m/L未満である。CDCの接触は、管型反応器や槽型反応器にCDCを導入することによって達成することができる。
オリゴマー化工程における反応温度は、通常、80℃以下、好ましくは60℃以下、さらに好ましくは10℃〜50℃の範囲である。反応時間は反応温度によって適宜選択され、通常、0.5分〜10時間、好ましくは1分〜2時間である。反応温度が過度に高いと、副反応の制御ができず、CDC原単位が悪化する傾向がある。反応温度が過度に低いと、反応制御上は好ましい状況ではあるが、冷凍負荷が増大し、コストアップとなる傾向がある。
有機相中のカーボネートオリゴマー濃度は、得られるカーボネートオリゴマーが可溶な範囲であればよく、具体的には、10重量%〜40重量%程度である。有機相の割合はジヒドロキシ化合物のアルカリ金属塩水溶液又はアルカリ土類金属塩水溶液を含む水相に対し、0.2〜1.0の容積比であることが好ましい。
(重縮合工程)
次に、重縮合工程では、静置分離槽で水相と分離されたカーボネートオリゴマーを含有する有機相は、撹拌機を有するオリゴマー貯槽に移送される。オリゴマー貯槽には、トリエチルアミン(TEA)等の重縮合触媒がさらに添加される。
続いて、オリゴマー貯槽内で撹拌された有機相は所定の重縮合反応槽に導入され、続いて、重縮合反応槽に、脱塩水、塩化メチレン(CH2Cl2)等の有機溶媒及び水酸化ナトリウム水溶液が供給され、撹拌混合されてカーボネートオリゴマーの重縮合反応が行われる。
重縮合反応槽中の重縮合反応液は、その後、複数の重縮合反応槽に連続的に順次導入され、カーボネートオリゴマーの重縮合反応が完結される。
ここで、重縮合工程において、連続的にカーボネートオリゴマーの重縮合反応が行われる重縮合反応槽における滞留時間は、通常、12時間以下、好ましくは、0.5時間〜5時間である。
重縮合工程の好ましい態様としては、先ず、カーボネートオリゴマーを含む有機相と水相とを分離し、分離した有機相に必要に応じて不活性有機溶媒を追加し、カーボネートオリゴマーの濃度を調整する。この場合、重縮合反応によって得られる有機相中のポリカーボネート樹脂の濃度が5重量%〜30重量%となるように、不活性有機溶媒の量を調整する。次に、新たに水及びアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を含む水溶液を加え、さらに、重縮合条件を整えるために、好ましくは重縮合触媒を添加し、界面重縮合
法に従い重縮合反応を行う。重縮合反応における有機相と水相との割合は、容積比で有機相:水相=1:0.2〜1:1程度が好ましい。
アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物としては、前述したオリゴマー化工程において使用するものと同様な化合物が挙げられる。中でも、工業的に水酸化ナトリウムが好ましい。アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物の使用量は、重縮合反応中、反応系が常にアルカリ性に保たれる量以上であればよく、重縮合反応の開始時に、全量を一括して添加してもよく、また、重縮合反応中に適宜分割して添加してもよい。
アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物の使用量が過度に多いと、副反応である加水分解反応が進む傾向がある。そのため、重縮合反応終了後における水相に含まれるアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物の濃度が0.05N以上、好ましくは0.05N〜0.3N程度となるようにするのがよい。
重縮合工程における重縮合反応の温度は、通常、常温付近である。反応時間は0.5時間〜5時間、好ましくは1時間〜3時間程度である。
(洗浄工程)
次に、重縮合反応槽における重縮合反応が完結した後、重縮合反応液は、公知の方法により、アルカリ洗浄液によるアルカリ洗浄、酸洗浄液による酸洗浄及び洗浄水による水洗浄が行われる。尚、洗浄工程の全滞留時間は、通常、12時間以下、好ましくは、0.5時間〜6時間である。
(ポリカーボネート樹脂単離工程)
ポリカーボネート樹脂単離工程では、先ず、洗浄工程において洗浄されたポリカーボネート樹脂を含む重縮合反応液は、所定の固形分濃度に濃縮された濃縮液として調製される。濃縮液におけるポリカーボネート樹脂の固形分濃度は、通常、5重量%〜35重量%、好ましくは、10重量%〜30重量%である。
次に、濃縮液は、所定の造粒槽に連続的に供給され、所定の温度の脱塩水と撹拌混合される。そして、水中で懸濁状態を保ちながら有機溶媒を蒸発させる造粒処理が行われ、ポリカーボネート樹脂粒状体を含む水スラリーが形成される。
ここで、脱塩水の温度は、通常、37℃〜67℃、好ましくは、40℃〜50℃である。また、造粒槽内で行われる造粒処理によりポリカーボネート樹脂の固形化温度は、通常、37℃〜67℃、好ましくは、40℃〜50℃である。
造粒槽から連続的に排出されるポリカーボネート樹脂粉状体を含む水スラリーは、その後、所定の分離器に連続的に導入され、水スラリーから水が分離される。
(乾燥工程)
乾燥工程では、分離器において、水スラリーから水が分離されたポリカーボネート樹脂粉状体が、所定の乾燥機に連続的に供給され、所定の滞留時間で滞留させた後、連続的に抜き出される。乾燥機としては、例えば流動床型乾燥機が挙げられる。尚、複数の流動床型乾燥機を直列につなぎ、連続的に乾燥処理を行ってもよい。
ここで、乾燥機は、通常、熱媒ジャケット等の加熱手段を有し、例えば、水蒸気にて、通常、0.1MPa−G〜1.0MPa−G、好ましくは、0.2MPa−G〜0.6MPa−Gに保持されている。これにより、乾燥機の中を流通する窒素(N2)の温度は、
通常、100℃〜200℃、好ましくは、120℃〜180℃に保持されている。
<溶融法>
次に、溶融法について説明する。
(ジヒドロキシ化合物)
本発明に係るポリカーボネート樹脂の原料であるジヒドロキシ化合物としては、具体的には前記一般式(1)から(13)で表されるジヒドロキシ化合物等が挙げられる。
(炭酸ジエステル)
本発明に係るポリカーボネート樹脂の原料である炭酸ジエステルとしては、下記一般式(14)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2012166548
ここで、一般式(14)中、A’は、置換されていてもよい炭素数1〜炭素数10の直鎖状、分岐状又は環状の1価の炭化水素基である。2つのA’は、同一でも相互に異なるものでもよい。
なお、A’上の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜炭素数10のアルキル基、炭素数1〜炭素数10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基等が例示される。
炭酸ジエステル化合物の具体例としては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート等のジアルキルカーボネートが挙げられる。
これらの中でも、ジフェニルカーボネート(以下、「DPC」と称する場合がある。)、置換ジフェニルカーボネートが好ましい。これらの炭酸ジエステルは、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
また、上記の炭酸ジエステル化合物は、好ましくはその50モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下の量を、ジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換してもよい。
代表的なジカルボン酸又はジカルボン酸エステルとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げられる。このようなジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換した場合には、ポリエステルカーボネートが得られる。
本発明のポリカーボネート樹脂の溶融法による製造方法において、これらの炭酸ジエステル(上記の置換したジカルボン酸又はジカルボン酸エステルを含む。以下同じ。)の使用量は、通常、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステル化合物が1.01モル〜1.30モル、好ましくは1.02モル〜1.20モルの比で用いられる。前記炭酸ジエステルのモル比が過度に小さいと、エステル交換反応速度が低下し、所望の分子量を有するポリカーボネート樹脂の生産が困難となったり、得られるポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度が高くなり、熱安定性が悪化したりする傾向にある。また、前記炭酸ジエステルのモル比が過度に大きいと、エステル交換の反応速度が低下し、所望の分子量を有するポリカーボネート樹脂の生産が困難となる傾向となる他、樹脂中の炭酸ジエステル化合物の残存量が多くなり、成形加工時や成形体としたときの臭気の原因となることがあり、好ましくない。
(エステル交換触媒)
本発明のポリカーボネート樹脂の溶融法による製造方法において使用されるエステル交換触媒としては、通常、エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を製造する際に用いられる触媒が挙げられ、特に限定されない。
一般的には、例えば、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、ベリリウム化合物、マグネシウム化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム
化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物が挙げられる。これらの中でも、実用的にはアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物が好ましい。これらのエステル交換触媒は、単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
エステル交換触媒の使用量は、通常、全ジヒドロキシ化合物1モルに対して1×10-9モル〜1×10-3モルの範囲で用いられるが、成形特性や色相に優れたポリカーボネート樹脂を得るためには、エステル交換触媒の量は、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を用いる場合、全ジヒドロキシ化合物1モルに対して、好ましくは1.0×10-8モル〜1×10-4モルの範囲内、より好ましくは1.0×10-8モル〜1×10-5モルの範囲内であり、特に好ましくは1.0×10-7モル〜5.0×10-6モルの範囲内である。上記下限量より少なければ、所望の分子量のポリカーボネート樹脂を製造するのに必要な重合活性が得られず、上記上限量より多い場合は、ポリマー色相が悪化し、分岐成分量が多すぎて流動性が低下し、目標とする溶融特性の優れたポリカーボネート樹脂が製造できない場合がある。
アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素化合物等の無機アルカリ金属化合物;アルカリ金属のアルコール類、フェノール類、有機カルボン酸類との塩等の有機アルカリ金属化合物等が挙げられる。ここで、アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等が挙げられる。
これらのアルカリ金属化合物の中でも、セシウム化合物が好ましく、特に、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、水酸化セシウムが好ましい。
アルカリ土類金属化合物としては、例えば、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩等の無機アルカリ土類金属化合物;アルカリ土類金属のアルコール類、フェノール類、有機カルボン酸類との塩等が挙げられる。ここで、アルカリ土類金属としては、例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。
また、ベリリウム化合物及びマグネシウム化合物としては、例えば、当該金属の水酸化物、炭酸塩等の無機金属化合物;前記金属のアルコール類、フェノール類、有機カルボン酸類との塩等が挙げられる。
塩基性ホウ素化合物としては、ホウ素化合物のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、ストロンチウム塩等が挙げられる。ここで、ホウ素化合物としては、例えば、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等が挙げられる。
塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の3価のリン化合物、又はこれらの化合物から誘導される4級ホスホニウム塩等が挙げられる。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニル
アンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
アミン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等が挙げられる。
(触媒失活剤)
本発明に於いては、エステル交換反応終了後に、エステル交換触媒を中和失活させるための触媒失活剤を添加しても良い。このような処理により得られたポリカーボネート樹脂の耐熱性、耐加水分解性が向上する。
このような触媒失活剤としては、スルホン酸やスルホン酸エステルのようなpKaが3以下の酸性化合物が好ましく、具体的にはベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸プロピル、ベンゼンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸プロピル、並びにp−トルエンスルホン酸ブチルなどが挙げられる。
これらの中でも、p−トルエンスルホン酸並びにp−トルエンスルホン酸ブチルが好適に用いられる。
溶融法によるポリカーボネート樹脂の製造方法は、原料であるジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの原料混合溶融液を調製し(原調工程)、前記原料混合溶融液を、エステル交換反応触媒の存在下、溶融状態で複数の反応槽を用いて多段階で重縮合反応をさせる(重縮合工程)ことによって行われる。反応方式は、バッチ式、連続式、又はバッチ式と連続式の組合せのいずれでもよい。反応槽は、複数基の竪型撹拌反応槽、及び必要に応じてこれに続く少なくとも1基の横型撹拌反応槽が用いられる。通常、これらの反応槽は直列に設置され、連続的に処理が行われる。
重縮合工程後、反応を停止させ、重縮合反応液中の未反応原料や反応副生物を脱揮除去する工程や、熱安定剤、離型剤、色剤等を添加する工程、ポリカーボネート樹脂を所定の粒径に形成する工程等を適宜追加してもよい。
次に、製造方法の各工程について説明する。
(原調工程)
ポリカーボネート樹脂の原料として使用するジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物とは、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気下、バッチ式、半回分式又は連続式の撹拌槽型の装置を用いて、原料混合溶融液として調製される。溶融混合の温度は、例えば、ジヒドロキシ化合物としてビスフェノールAを用い、炭酸ジエステル化合物としてジフェニルカーボネートを用いる場合は、通常120℃〜180℃、好ましくは125℃〜160℃の範囲から選択される。
以下、ジヒドロキシ化合物としてビスフェノールA、炭酸ジエステル化合物としてジフェニルカーボネートを原料として用いる場合を例として説明する。
この際、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物との割合は、炭酸ジエステル化合物が過剰になるように調整され、ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステル化合物は、通常1.01モル〜1.30モル、好ましくは1.02モル〜1.20モルの割合になるように調整される。
(重縮合工程)
ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物とのエステル交換反応による重縮合は、通常、2段階以上、好ましくは3段階〜7段階の多段方式で連続的に行われる。各段階の具体的な反応条件としては、温度:150℃〜320℃、圧力:常圧〜0.01Torr(1.3Pa)、平均滞留時間:5分〜150分の範囲である。
多段方式の各反応槽においては、エステル交換反応の進行とともに副生するフェノール等のモノヒドロキシ化合物をより効果的に系外に除去するために、上記の反応条件内で、段階的により高温、より高真空に設定する。
重縮合工程を多段方式で行う場合は、通常、竪型撹拌反応槽を含む複数基の反応槽を設けて、ポリカーボネート樹脂の平均分子量を増大させる。反応槽は通常2基〜6基、好ましくは4基〜5基設置される。
ここで、反応槽としては、例えば、撹拌槽型反応槽、薄膜反応槽、遠心式薄膜蒸発反応槽、表面更新型二軸混練反応槽、二軸横型撹拌反応槽、濡れ壁式反応槽、自由落下させながら重縮合する多孔板型反応槽、ワイヤーに沿わせて落下させながら重縮合するワイヤー付き多孔板型反応槽等が用いられる。
竪型撹拌反応槽の撹拌翼の形式としては、例えば、タービン翼、パドル翼、ファウドラー翼、アンカー翼、フルゾーン翼((株)神鋼環境ソリューション製)、サンメラー翼(三菱重工業(株)製)、マックスブレンド翼(住友重機械工業(株)製)、ヘリカルリボン翼、ねじり格子翼((株)日立プラントテクノロジー製)等が挙げられる。
また、横型撹拌反応槽とは、撹拌翼の回転軸が横型(水平方向)であるものをいう。横型撹拌反応槽の撹拌翼としては、例えば、円板型、パドル型等の一軸タイプの撹拌翼やHVR、SCR、N−SCR(三菱重工業(株)製)、バイボラック(住友重機械工業(株)製)、あるいはメガネ翼、格子翼((株)日立プラントテクノロジー製)等の二軸タイプの撹拌翼が挙げられる。
尚、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物との重縮合に使用するエステル交換触媒は、通常、予め溶液として準備されていてもよい。触媒溶液の濃度は特に限定されず、触媒の溶媒に対する溶解度に応じて任意の濃度に調整される。溶媒としては、アセトン、アルコール、トルエン、フェノール、水等を適宜選択することができる。
触媒の溶媒として水を選択した場合、水の性状は、含有される不純物の種類ならびに濃度が一定であれば特に限定されないが、通常、蒸留水や脱イオン水等が好ましく用いられる。
<ポリカーボネート樹脂成形体の製造法>
本発明のポリカーボネート樹脂成形体を製造するには、通常、射出成形法が用いられる。
具体的には、フィルム層を金型内にインサートし、金型を閉じて、ポリカーボネート樹脂(b)を含有する基体の原料を射出成形することにより、本発明のポリカーボネート樹脂成形体を得る。
このようにして得られたポリカーボネート樹脂成形体は、ポリカーボネート樹脂(b)を含有する樹脂からなる基体と、ポリカーボネート樹脂(a)を含有するフィルム層からなり、該フィルム層を表層とした構造を有する。
基体は、ポリカーボネート樹脂(b)を含有する限り特に制限はないが、ポリカーボネート樹脂(b)を単独で用いる他、ポリカーボネート樹脂(b)と他の樹脂とのブレンド物またはポリマーアロイであってもよい。また機能を付与するために、後述する熱安定剤
や離型剤、着色剤、ガラス繊維やガラスフレーク等のフィラー、紫外線吸収剤等を含有していてもよい。ここでいう他の樹脂とは、ポリカーボネート樹脂(b)とは異なる構造単位を有する樹脂である。異なる構造単位を有する樹脂とは、使用したモノマー等の原料がの種類が異なる樹脂、あるいは、ポリカーボネート樹脂(b)とモノマー等の原料の種類が同じであっても該モノマーに由来する構造単位の組成比が異なる場合は、前記異なる構造単位を有する樹脂に含まれる。
他の樹脂としては、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられるが、透明性の観点から、好ましくはアクリル樹脂またはポリカーボネート樹脂であり、前記フィルムとの密着性や透明性の観点からは、ポリカーボネート樹脂が好適である。この場合のポリカーボネート樹脂(b)と他の樹脂との混合比率に制限はないが、通常、ポリカーボネート(b)の特性を維持するためには、ポリカーボネート樹脂(b)の比率が50重量%以上、好ましくは70重量%以上、更に好ましくは90重量%以上であり、好適には、ポリカーボネート樹脂(b)単独である。
本発明のポリカーボネート樹脂成形体を構成する基体のポリカーボネート樹脂のフェノール性末端水酸基は、基体を構成するポリカーボネート樹脂全体に対する濃度として、5μeq/g以上であることが好ましく、10μeq/g以上であることが更に好ましい。該フェノール性末端水酸基濃度が低いと前記表層のフィルムとの密着性が悪化する傾向がある。また、該フェノール性末端水酸基濃度が高すぎると、色調や耐候性が低下する可能性があるため、その上限は好ましくは100μeq/g、更に好ましくは50μeq/g、特に好ましくは40μeq/gである。
本発明におけるポリカーボネート樹脂成形体を構成する全ポリカーボネート樹脂中に含まれる前記一般式(2)で表される化合物に由来する構造単位のモル数に対する、前記一般式(1)で表される化合物に由来する構造単位のモル数の比率が50mol%以下であることが好ましく、45mol%以下であることがより好ましく、35mol%以下であることが更に好ましく、25mol%以下が特に好ましく、20mol%以下が最も好ましい。又、0.001mol%以上であることが好ましく、0.01mol%以上であることがより好ましく、0.1mol%以上であることが更に好ましく、0.5mol%以上が特に好ましい。前記比率が多すぎるとポリカーボネート樹脂成形体の色調が悪化する可能性がある。一方、少なすぎるとポリカーボネート樹脂成形体のフィルム面における硬度を十分向上できない場合がある。
更に前記一般式(1)で表される化合物に由来する構造単位のモル数は、前記一般式(1a)〜(1i)のそれぞれの化合物に由来する構造単位の合計のモル数であることが好ましく、前記一般式(1a)で表される化合物に由来する構造単位、前記一般式(1b)で表される化合物に由来する構造単位のモル数及び前記一般式(1c)で表される化合物に由来する構造単位の合計のモル数であることが更に好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂成形体の成形温度は、特に制限はないが、200℃以上が好ましく、250℃以上がさらに好ましく、270℃以上が最も好ましい。また、350℃以下が好ましく、320℃以下が特に好ましい。成形温度が低すぎると、溶融粘度が高くなり、流動性が低下し、成形性が悪化する可能性があり、成形温度が高すぎるとポリカーボネート樹脂成形体の色調が悪化する可能性がある。
本発明のポリカーボネート樹脂成形体を成形する際の金型温度に特に制限はないが、通常150℃以下、好ましくは120℃以下、更に好ましくは100℃以下である。金型温
度が高すぎると、成形時の冷却時間を長くする必要があり、成形体の製造サイクルが長くなり、生産性が低下する場合がある。また、金型温度が低すぎると、基体を構成する樹脂の溶融粘度が高くなりすぎ、均一な成形体が得られなかったり、成形体表面にムラが生じたりする可能性があるため、通常、30℃以上が好ましく、中でも50℃以上が特に好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂成形体を成形する際の射出速度は、特に制限はないが、200mm/sec以下が好ましく、150mm/sec以下がさらに好ましく、100mm/sec以下が最も好ましい。また、1mm/sec以上が好ましく、5mm/sec以上がさらに好ましく、10mm/sec以上が最も好ましい。
射出速度が高すぎると射出成形時にフィルムが破れる可能性があるため好ましくない。一方、射出速度が低すぎると成形体がショートショットになる可能性があるため好ましくない。
前記のように本発明のポリカーボネート樹脂成形体は、ポリカーボネート樹脂(b)を含有する樹脂からなる基体と、ポリカーボネート樹脂(a)を含有する樹脂から形成されるフィルム層を少なくとも含み、該フィルム層が表層となる構造を有するが、それぞれに、機能を付与するために、ヒンダードフェノール系、亜リン酸エステル系等の熱安定剤や、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、高級アルコール、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル等の離型剤、各種顔料や染料からなる着色剤、マイカ、タルク、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレーク、炭素繊維等のフィラー、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系等の紫外線吸収剤等の添加剤を添加することができる。特に紫外線吸収剤の多量添加は、しばしば樹脂の機械的物性を損なう場合があるが、表層のフィルム層に重点的に添加すると紫外線吸収効果が大きく、かつ基体の樹脂の物性を低下させないため好ましい。
また、上記ポリカーボネート樹脂成形体のフィルム層における、ISO15184で規定される鉛筆硬度はF以上が好ましく、H以上がより好ましく、2H以上がさらに好ましい。鉛筆硬度が低いと、該成形体表面に傷がつきやすくなる傾向にある。
さらに耐衝撃性として、最大衝撃力点エネルギーが10J以上が好ましく、30以上がより好ましく、40以上がさらに好ましい。最大衝撃力点エネルギーが低いと、衝撃により該成形体が破損しやすくなる。
上記、ポリカーボネート樹脂成形体は、表面硬度が高いだけではなく、耐衝撃性等の機械的物性、色調、難燃性等に優れるため、屋根材や壁材、窓材等の建築物の他、車両用窓材、ヘッドランプ材、メーターカバー等の車両用部材、携帯電話等のボタンやキーボード、筐体、LED照明部材、ディスプレー前面板等の電気・電子機器部材、遊技用部材、メガネ部材、レンズ部材、等の各種分野で使用できる。
(1)鉛筆硬度
(1)−1 基体の鉛筆硬度
基体の原料を射出成形機(株式会社日本製鋼所製J50E2)により、バレル温度280℃、金型温度90℃の条件下にて、厚み3mm、縦60mm、横60mmのポリカーボネート樹脂の成形体に射出成形した。この成形体について、ISO15184に準拠し、鉛筆硬度試験機(東洋精機株式会社製)を用いて、750g荷重にて測定した鉛筆硬度を求めた。又、基体の原料であるポリカーボネート樹脂(b)、その他の樹脂それぞれについても前記と同条件にてポリカーボネート樹脂の成形体に射出成形し、前記と同条件にて鉛筆硬度を求めた。
(1)−2 フィルム層の鉛筆硬度
フィルム層の原料を25mmφ単軸押出成形機(いすず化工機株式会社製)により、バレル温度280℃、ロール温度130℃の条件下にて、厚み50μm、幅140±5mmのポリカーボネート樹脂フィルムを押出成形した。このフィルムについて、ISO15184に準拠し、鉛筆硬度試験機(東洋精機株式会社製)を用いて、750g荷重にて測定した鉛筆硬度を求めた。このようにして求めた値を、フィルム層の鉛筆硬度とした。又、フィルム層の原料であるポリカーボネート樹脂(a)、その他の樹脂それぞれについても前記と同条件にてポリカーボネート樹脂フィルムに押出成形し、前記と同条件にて鉛筆硬度を求めた。
(1)−3 ポリカーボネート樹脂成形体の鉛筆硬度
前記(1)−2で得られたフィルム層を射出成形機(株式会社日本製鋼所製J50E2)の金型内に装着した。次いで、バレル温度300℃、金型温度90℃、射出速度15mm/秒の条件下にて、基体の原料をフィルム層が装着されている金型内に射出成形を行い、厚み3mm、縦60mm、横60mmのポリカーボネート樹脂成形体を射出成形した。
得られたポリカーボネート樹脂成形体について、ISO15184に準拠し、鉛筆硬度試験機(東洋精機株式会社製)を用いて、750g荷重にて測定した鉛筆硬度を求めた。このようにして求めた値を、ポリカーボネート樹脂成形体の鉛筆硬度とした。
(2)粘度平均分子量(Mv)
ポリカーボネート樹脂を塩化メチレンに溶解し(濃度6.0g/L)、ウベローデ粘度
管を用いて20℃における比粘度(ηsp)を測定し、下記の式により粘度平均分子量(Mv)を算出した。
ηsp/C=[η](1+0.28ηsp)
[η]=1.23×10-4Mv0.83
(3)ガラス転移温度(Tg)
示差操作熱量計(SII製DSC6220)を用いて、フィルム層、基体それぞれ約10mgを20℃/minの昇温速度で加熱して熱量を測定し、JIS−K7121に準拠して、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大となるような点で引いた接線との交点の温度である、補外ガラス転移開始温度を求めた。該補外ガラス転移温度をガラス転移温度(Tg)とした。
(4)L値及びイエローインデックス(YI)
(4)−1 基体のL値及びイエローインデックス(YI)
前記(1)−1の方法で成形した成形体のL値(L*)、及びイエローインデックス(YI)を分光測色計(ミノルタ株式会社製CM−3700d)により測定した。数値が小さいほど色調が良好であることを示す。
また、このようにして求めた値を、基体のL値及びイエローインデックス(YI)とした。
(4)−2 フィルム層のL値及びイエローインデックス(YI)
前記(1)−2の方法で成形したフィルムのL値(L*)、及びイエローインデックス(YI)を分光測色計(ミノルタ株式会社製CM−3700d)により測定した。数値が小さいほど色調が良好であることを示す。
(4)−3 ポリカーボネート樹脂成形体のL値及びイエローインデックス(YI)
前記(1)−3の方法で成形したポリカーボネート樹脂成形体のL値(L*)、及びイエローインデックス(YI)を分光測色計(ミノルタ株式会社製CM−3700d)により測定した。数値が小さいほど色調が良好であることを示す。
(5)フェノール性末端水酸基の濃度
フィルム層を構成するポリカーボネート樹脂または基体を構成するポリカーボネート樹脂を四塩化チタン/酢酸法(Makromol.Chem.88 215(1965))に従い、比色定量を分光器(島津製作所製UV−1600)により行い、フェノール性末端水酸基の濃度を測定した。
(6)溶融粘度
フィルム層を120℃で5時間乾燥した後、ダイス径1mmφ×30mmを具備したキャピラリーレオメーター(東洋精機株式会社製)を用い、280℃に加熱して剪断速度12(sec-1)・122(sec-1)・1220(sec-1)にて測定した。この溶融粘度が高す
ぎると、流動性が低くなり、成形性が悪化するため、適度な範囲内に収める必要がある。
(7)表面外観
前記(1)−3で得られたポリカーボネート樹脂成形体を目視により表面外観を評価した。
(8)最大衝撃力点エネルギー
ポリカーボネート樹脂成形体をハイレートインパクト試験によって耐衝撃性を測定した。使用した機器は島津製作所製(HITS−P10)。打ち抜き棒の径(ポンチ径)1/2インチ(約12.7mm)、サポート径40mm、打ち抜き速度は5m/sとした。試験温度は23℃、フィルム面側から打ち抜き試験を実施し、試験のn数は1として最大衝撃力点エネルギーを算出した。
なお、実施例、比較例で使用したポリカーボネート樹脂は、次の通りである。
(参考例1)PC(a1)の合成:BPCホモポリマーの合成(溶融法)
2,2−ビス(4−ヒドロキシ-3−メチルフェニル)プロパン(以下、「BPC」と
略記する場合がある。)(本州化学社製)37.60kg(約147mol)とジフェニルカーボネート(DPC)32.20kg(約150mol)に、炭酸セシウムの水溶液を、炭酸セシウムがジヒドロキシ化合物1mol当たり2μmolとなるように添加して混合物を調整した。次に該混合物を、攪拌機、熱媒ジャケット、真空ポンプ、還流冷却器を具備した内容量200Lの第1反応器に投入した。
次に、第1反応器内を1.33kPa(10Torr)に減圧し、続いて、窒素で大気
圧に復圧する操作を5回繰り返し、第1反応器の内部を窒素置換した。窒素置換後、熱媒ジャケットに温度230℃の熱媒を通じて第1反応器の内温を徐々に昇温させ、混合物を溶解させた。その後、30055rpmで撹拌機を回転させ、熱媒ジャケット内の温度をコントロールして、第1反応器の内温を220℃に保った。そして、第1反応器の内部で行われるBPCとDPCのオリゴマー化反応により副生するフェノールを留去しながら、40分間かけて第1反応器内の圧力を絶対圧で101.3kPa(760Torr)から13.3kPa(100Torr)まで減圧した。
続いて、第1反応器内の圧力を13.3kPaに保持し、フェノールをさらに留去させながら、80分間、エステル交換反応を行った。
その後、系内を窒素で絶対圧で101.3kPaに復圧の上、ゲージ圧で0.2MPaまで昇圧し、予め200℃以上に加熱した移送配管を経由して、第1反応器内のオリゴマーを、第2反応器に圧送した。尚、第2反応器は内容量200Lであり、攪拌機、熱媒ジャケット、真空ポンプ並びに還流冷却管を具備しており、内圧は大気圧、内温は240℃に制御していた。
次に、第2反応器内に圧送したオリゴマーを3816rpmで攪拌し、熱媒ジャケットにて内温を昇温し、第2反応器内を40分かけて絶対圧で101.3kPaから13.3kPaまで減圧した。その後、昇温を継続し、さらに40分かけて、内圧を絶対圧で13
.3kPaから399Pa(3Torr)まで減圧し、留出するフェノールを系外に除去した。さらに、昇温を続け、第2反応器内の絶対圧が70Pa(約0.5Torr)に到達後、70Paを保持し、重縮合反応を行った。第2反応器内の最終的な内部温度は285℃であった。第2反応器の攪拌機が予め定めた所定の攪拌動力となったときに、重縮合反応を終了した。
次いで、第2反応器内を、窒素により絶対圧で101.3kPaに復圧の上、ゲージ圧で0.2MPaまで昇圧し、第2反応器の槽底からポリカーボネート樹脂をストランド状で抜き出し、水槽で冷却しながら、回転式カッターを使用してペレット化した。得られたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は18,500であった。
また、重縮合反応を終了する攪拌動力のみを変更した以外は同様の方法で、粘度平均分子量31,800のポリカーボネート樹脂を得た。
(参考例2)PC(a2)の合成:Bis−OCZホモポリマーの合成(溶融法)
原料としてBPCの代わりに1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン以下、「Bis−OCZ」と略記する場合がある。)(本州化学製)43.48kgを使用し、炭酸セシウムの水溶液を、炭酸セシウムがBis−OCZ1mol当たり5μmolとなるように添加した以外は参考例1と同様にして実施した。得られたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は10,200であった。
(参考例3)PC(a3)の合成:BPC/BPA(10/90wt%)コポリマーの合成(溶融法)
原料としてBPC(本州化学製)3.39kg、BPA(三菱化学(株)製)30.47kgを使用した以外は参考例1と同様にして実施し、ポリカーボネート樹脂を得た。得られたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は20,300であった。
(参考例4)PC(a4)の合成:Bis−OCZ/BPA(54.5/45.5wt%)コポリマーの合成(溶融法)
原料としてBis−OCZ(本州化学製)19.30kg、ビスフェノールA(「BPA」と略記する場合がある)(三菱化学(株)製)16.12kgを使用した以外は参考例1と同様にして実施し、ポリカーボネート樹脂を得た。得られたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は16,300であった。
(参考例5)PC(a5)の合成:Bis−OCZ/BPA(10/90wt%)コポリマーの合成(溶融法)
原料としてBis−OCZ(本州化学製)3.39kg、BPA(三菱化学(株)製)30.47kgを使用した以外は参考例1と同様にして実施し、ポリカーボネート樹脂を得た。得られたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は19,800であった。
(参考例6)PC(b1):BPAホモポリマー(溶融法)
PC(b1)として、BPAに由来するモノマー単位のみで構成された溶融法による市販のポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製 M7022J)を用いた。該PC(b1)の粘度平均分子量は20,600であった。
(参考例7)PC(a6)の合成:BPC/BPA(30/70wt%)コポリマーの合成(溶融法)
原料としてBPC(本州化学製)10.05kg、BPA(三菱化学(株)製)23.45kgを使用した以外は参考例1と同様にして実施し、ポリカーボネート樹脂を得た。得られたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は25,200であった。
(参考例8)PC(a7)の合成:BPC/BPA(10/90wt%)コポリマーの
合成(溶融法)
重縮合反応を終了する攪拌動力のみを変更した以外は参考例3と同様の方法で、粘度平均分子量25,200のポリカーボネート樹脂を得た。
(参考例9)PC(b2):BPAホモポリマー(溶融法)
PC(b2)として、BPAに由来するモノマー単位のみで構成された溶融法による市販のポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製 M7027J)を用いた。該PC(b2)の粘度平均分子量は25,600であった。
「実施例1」
フィルム層の原料としてPC(a1)を用い、25mmφ単軸押出成形機(いすず化工機株式会社製)を用い、バレル温度280℃、ロール温度130℃の条件下にて、押出成形することにより、厚み50μm、幅140±5mmのフィルム層を得た。
次いで、得られた前記フィルム層を射出成形機(株式会社日本製鋼所製J50E2)の金型内に装着した。基体の原料として、PC(b1)を用い、バレル温度300℃、金型温度90℃、射出速度15mm/秒の条件下にて、フィルム層が装着されている金型内に射出成形を行い、厚み3mm、縦60mm、横60mmのポリカーボネート樹脂成形体を得た。
得られたポリカーボネート樹脂成形体の鉛筆硬度、L値(L*)及びイエローインデックス(YI)を評価した。その結果を表1に示した。
更に、前記手法によって得られたフィルム層、基体の物性値についても併せて表1に示した。
「実施例2、3」
フィルム層の原料、基体の原料それぞれを表1に示すポリカーボネート樹脂に変更したこと、フィルム層の厚みを表1記載の厚さとしたこと以外は実施例1と同様に実施し、ポリカーボネート樹脂成形体を得た。結果を実施例1と同様に表1に示した。
「比較例1〜4」
フィルム層は装着せず、表1に示すポリカーボネート樹脂のみで、射出成形機(株式会社日本製鋼所製J50E2)によりバレル温度300℃、金型温度90℃、射出速度15mm/秒の条件下にて、厚み3mm、縦60mm、横60mmのポリカーボネート樹脂成形体を得た。結果を実施例1と同様に表1に示した。
「比較例5」
フィルム層は装着せず、表1に示すポリカーボネート樹脂のみで比較例1と同じ条件でポリカーボネート樹脂成形体を得た。尚、ポリカーボネート樹脂成形体の原料は、2種類のポリカーボネート樹脂を表1記載の配合量比となるように測り取り、1つのベント口を有する日本製鋼所製2軸押出機(LABOTEX30HSS−32)にて、500Paの減圧条件下、溶融混練(バレル温度280℃)し、該2軸押出機の出口からストランド状に押し出し、水で冷却固化させた後、回転式カッターでペレット化したものを原料とした。結果を実施例1と同様に表1に示した。
「実施例4」
フィルム層の原料としてPC(a1)(粘度平均分子量31,800)とPC(b2)を用い、表1記載の比率(50wt%/50wt%)で1つのベント口を有する日本製鋼所製2軸押出機(LABOTEX30HSS−32)にて、溶融混錬し、該2軸押出機の出口からストランド状に押し出し、水で冷却固化させた後、回転式買ったでペレット化し、ポリカーボネート樹脂ペレットを得た。このとき、該2軸押出機のバレル温度は280℃、該2軸押出機の出口におけるポリカーボネート樹脂温度は300℃であった。なお、溶融混錬時は、該2軸押出機のベント口は真空ポンプに連結し、該ベント口での圧力が5
00Paになるように調整した。
次いで、得られた該ポリカーボネート樹脂ペレットを用いて、更にTダイ押出成形機(創研社製)にて、バレル温度280℃、ロール温度130℃の条件下で、厚さ500μm、幅300±10mmのフィルム層を得た。
次いで、得られた前記フィルム層を射出成形機(名機製作所製NADEM2000)の金型内に装着した。基体の原料として、PC(b1)を用い、バレル温度275℃、金型温度80℃の条件下にて、フィルム層が装着されている金型内に射出成形を行い、厚み3mm、縦100mm、横100mmのポリカーボネート樹脂成形体を得た。
得られたポリカーボネート樹脂成形体の鉛筆硬度、L値(L*)及びイエローインデックス(YI)を評価した。その結果を表1に示した。更に、前記手法によって得られたフィルム層、基体の物性値についても併せて表1に示した。
また、得られたポリカーボネート樹脂成形体の最大衝撃力点エネルギーを評価した。その結果を表1に示した。
「実施例5」
フィルム層の原料としてPC(a1)(粘度平均分子量31,800)とPC(b2)を、表1記載の比率(30wt%/70wt%)で用いたこと、ロール温度125℃としたこと以外は実施例4と同様に実施し、ポリカーボネート樹脂成形体を得た。結果を実施例4と同様、表1に示した。
「実施例6」
フィルム層の原料としてPC(a1)(粘度平均分子量31,800)とPC(b2)を、表1記載の比率(10wt%/90wt%)で用いたこと、ロール温度140℃としたこと以外は実施例4と同様に実施し、ポリカーボネート樹脂成形体を得た。結果を実施例4と同様、表1に示した。
「実施例7」
得られるフィルム層の厚さを1000μmとしたこと以外は実施例6と同様に実施し、ポリカーボネート樹脂成形体を得た。結果を実施例4と同様、表1に示した。
「実施例8」
フィルム層の原料としてPC(a6)を用いたこと、ロール温度120℃としたこと以外は実施例4と同様に実施し、ポリカーボネート樹脂成形体を得た。結果を実施例4と同様、表1に示した。
「実施例9」
フィルム層の原料としてPC(a7)を用いたこと、ロール温度120℃としたこと以外は実施例4と同様に実施し、ポリカーボネート樹脂成形体を得た。結果を実施例4と同様、表1に示した。
「実施例10」
フィルム層の原料としてPC(a1)(粘度平均分子量31,800)を用いたこと、ロール温度137℃としたこと以外は実施例4と同様に実施し、ポリカーボネート樹脂成形体を得た。結果を実施例4と同様、表1に示した。
「比較例6」
原料としてPC(b1)を用い、射出成形機(名機製作所製NADEM2000)を用いて、バレル温度275℃、金型温度80℃の条件下にて、金型内に射出成形を行い、厚み3mm、縦100mm、横100mmのポリカーボネート樹脂成形体を得た。
得られたポリカーボネート樹脂成形体の鉛筆硬度、L値(L*)及びイエローインデッ
クス(YI)を評価した。その結果を表1に示した。更に、前記手法によって得られたフィルム層、基体の物性値についても併せて表1に示した。
また、得られたポリカーボネート樹脂成形体の最大衝撃力点エネルギーを評価した。その結果を表1に示した。
「比較例7」
原料としてPC(a1)(粘度平均分子量31,800)を用いたこと以外は比較例6と同様に実施し、ポリカーボネート樹脂成形体を得た。結果を比較例6と同様、表1に示した。
Figure 2012166548
実施例1乃至3と比較例4はISO15184で規定される鉛筆硬度はいずれも2Hであり、同じであるが、イエローインデックス(YI)は実施例の方が極めて優れる。又比
較例において、該イエローインデックス(YI)を改良しようとしても比較例1や比較例5にみられるようにISO15184で規定される鉛筆硬度は3ランク以上低くなる。
尚、鉛筆硬度は低いランクより3B、2B、B、HB、F、H、2Hの順で高くなる。
実施例4乃至10は、ISO15184で規定される鉛筆硬度はいずれもF以上であり、比較例6よりも優れる。また、比較離7と比べると、イエローインデックス(YI)は実施例の方が優れ、さらに最大衝撃力点についても、実施例のほうが極めて優れる。
本発明によれば、色調を損なうことなく、表面外観が良好で表面硬度に優れ、さらに耐衝撃性に優れたポリカーボネート樹脂成形体を、簡便に製造することが出来るため、ポリカーボネート樹脂の利用分野の拡大が可能となる。

Claims (17)

  1. 少なくともポリカーボネート樹脂(a)を含有するフィルム層と、前記ポリカーボネート樹脂(a)とは異なる構造単位を有するポリカーボネート樹脂(b)を含有する基体とを含み、該フィルム層が表層にあるポリカーボネート樹脂成形体であって、以下の(i)及び(ii)の条件を満足することを特徴とするポリカーボネート樹脂成形体。
    (i)フィルム層のISO15184で規定される鉛筆硬度が、基体のISO15184で規定される鉛筆硬度より高いこと
    (ii)ポリカーボネート樹脂(a)が、下記一般式(1)で表される化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂であること
    Figure 2012166548
    (一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基、シクロアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基、シクロアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示し、Xは、単結合、カルボニル基、置換若しくは無置換のアルキリデン基、シクロアルキリデン基、置換若しくは無置換の硫黄原子、又は酸素原子を示す。)
  2. 前記フィルム層のガラス転移温度が100℃以上であり、かつ前記基体のガラス転移温度以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂成形体。
  3. 前記ポリカーボネート樹脂(a)が、下記一般式(1a)〜(1c)からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂成形体。
    Figure 2012166548
  4. 前記ポリカーボネート樹脂(b)が、下記一般式(2)で表される化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のポリカーボネート樹脂成形体。
    Figure 2012166548
  5. 前記フィルム層の厚さが1μm以上2000μm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂成形体。
  6. 前記ポリカーボネート樹脂成形体を構成する全ポリカーボネート樹脂中に含まれる前記一般式(2)で表される化合物に由来する構造単位のモル数に対する、前記一般式(1a)で表される化合物に由来する構造単位のモル数、前記一般式(1b)で表される化合物に由来する構造単位のモル数及び前記一般式(1c)で表される化合物に由来する構造単位のモル数の合計の比率が50mol%以下であることを特徴とする請求項4又は5に記載のポリカーボネート樹脂成形体。
  7. 前記ポリカーボネート樹脂成形体の鉛筆硬度がF以上であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂成形体。
  8. 前記フィルム層を構成するポリカーボネート樹脂のフェノール性末端水酸基の濃度が5μeq/g以上であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂成形体。
  9. 前記基体を構成するポリカーボネート樹脂のフェノール性末端水酸基の濃度が5μeq/g以上であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂成形体。
  10. 前記フィルム層の280℃、剪断速度1220sec-1における溶融粘度の、前記フィル
    ム層の280℃、12sec-1における溶融粘度に対する比が、1〜10であることを特徴
    とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂成形体。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂成形体に、更にハードコートしてなることを特徴とするポリカーボネート樹脂成形体。
  12. 請求項1乃至11のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂成形体を製造する方法において、前記ポリカーボネート樹脂(a)を含有するフィルム層を金型に設置し、次いで前記ポリカーボネート樹脂(b)を含有する基体を、射出成形することを特徴とするポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
  13. 建築物として使用されることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂成形体。
  14. 車両用部材として使用されることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂成形体。
  15. 電気・電子機器部材として使用されることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂成形体。
  16. 遊技用部材として使用されることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂成形体。
  17. メガネ部材、レンズ部材として使用されることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂成形体。
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