JP2012153819A - 接着剤組成物および接着シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アクリル重合体(A)、エポキシ系熱硬化性化合物(B)および熱硬化剤(C)を含有する接着剤組成物であって、アクリル重合体(A)が、接着剤組成物100質量部中に5〜15質量部含有され、アクリル重合体(A)のガラス転移温度が−30℃以下である接着剤組成物。
【選択図】なし
Description
(1)アクリル重合体(A)、エポキシ系熱硬化性化合物(B)および熱硬化剤(C)を含有する接着剤組成物であって、
アクリル重合体(A)が、接着剤組成物100質量部中に5〜15質量部含有され、
アクリル重合体(A)のガラス転移温度が−30℃以下であることを特徴とする接着剤組成物。
本発明の接着剤組成物は、アクリル重合体(A)、エポキシ系熱硬化性化合物(B)および熱硬化剤(C)を含有する。また、該接着剤組成物の各種物性を改良するため、本発明の接着剤組成物に必要に応じて他の成分を配合してもよい。以下、これら各成分について具体的に説明する。
アクリル重合体(A)としては、ガラス転移温度(以下において、「Tg」と記載することがある。)が、−30℃以下であり、好ましくは−35℃以下のアクリル重合体が用いられる。アクリル重合体(A)のTgを−30℃以下とすることで、後述する接着シートにおける基材(以下において「基材」と記載することがある。)と接着剤層との密着力が適切に制御できるため、ピックアップ適性とパッケージ信頼性がいずれも良好な接着シートを提供することができる。アクリル重合体(A)のTgが−30℃を超えると、基材と接着剤層との密着力不足によりチップ浮き、またはチップ飛びを起こすことがある。
100/Tg copolymer=Wx/Tg x+Wy/Tg y ・・・(1)
エポキシ系熱硬化性化合物(B)としては、従来公知の種々のエポキシ樹脂を用いることができる。エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェニレン骨格型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、縮合環芳香族炭化水素変性エポキシ樹脂や、これらのハロゲン化物などの構造単位中に2つ以上の官能基が含まれるエポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂のエポキシ当量は特に限定されないが、150〜250(g/eq)であることが好ましい。エポキシ当量は、JIS K7236:2009に準じて測定される値である。これらのエポキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
熱硬化剤(C)は、エポキシ系熱硬化性化合物(B)に対する熱硬化剤として機能する。熱硬化剤(C)としては、エポキシ基と反応しうる官能基を分子中に2個以上有する化合物が挙げられ、その官能基としてはフェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、酸無水物基などが挙げられる。これらの中では、フェノール性水酸基、アミノ基および酸無水物基が好ましく、フェノール性水酸基およびアミノ基がより好ましい。
本発明の接着剤組成物は、上記成分に加えて下記成分を含むことができる。
半導体ウエハなどのダイシング前に、エネルギー線硬化性化合物(D)をエネルギー線照射によって重合させることで、ダイシング時の接着剤層の弾性率を適切な範囲に調整すること、およびダイシング後の接着剤層の再密着を防止することができる。また、エネルギー線硬化性化合物(D)をエネルギー線照射によって重合させることで、ダイシング適性などの工程適性を損なわない範囲で基材と接着剤層との密着力を低下させることができる。このため、半導体チップのピックアップ工程において、基材と接着剤層との層間剥離を容易に行えるようになる。
本発明において、接着剤組成物の硬化速度を調整するため、硬化促進剤(E)を用いてもよい。硬化促進剤(E)としては、エポキシ系熱硬化性化合物(B)のエポキシ基と熱硬化剤(C)のフェノール性水酸基などとの反応を促進し得る化合物が挙げられ、具体的には、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの3級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾールなどのイミダゾール類;トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレートなどのテトラフェニルボロン塩などが挙げられる。硬化促進剤(E)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
接着剤組成物が、前述したエネルギー線硬化性化合物(D)を含有する場合には、その使用に際して、紫外線等のエネルギー線を照射して、エネルギー線硬化性化合物を硬化させる。この際、該組成物中に光重合開始剤(F)を含有させることで、重合硬化時間ならびに光線照射量を少なくすることができる。
本発明において、接着剤組成物の被着体に対する接着力および密着力を向上させるため、カップリング剤(G)を用いてもよい。カップリング剤(G)を使用することで、接着剤組成物を硬化して得られる硬化物の耐熱性を損なうことなく、その耐水性を向上させることができる。
本発明において、無機充填材(H)を用いてもよい。無機充填材(H)を接着剤組成物に配合することにより、該組成物の熱膨張係数を調整することが可能となる。半導体チップ、リードフレームおよび有機基板に対して硬化後の接着剤層の熱膨張係数を最適化することで、パッケージ信頼性をより向上させることができる。また、接着剤層の硬化後の吸湿率をより低減することも可能となる。
本発明の接着シートは、上記接着剤組成物から形成された接着剤層を有し、通常は、該接着剤層は基材上に形成される。本発明の接着シートの形状は、テープ状、ラベル状などあらゆる形状をとり得る。
本発明の接着シートの利用方法について、該接着シートを半導体装置(例えば半導体パッケージ)の製造に適用した場合を例にとって説明する。半導体装置の製造方法は、上記接着シートの接着剤層に半導体ウエハを貼着し、該半導体ウエハをダイシングして半導体チップとし、該半導体チップ裏面に接着剤層を固着残存させて基材から剥離し、該半導体チップをダイパッド部上、または他の半導体チップ上に該接着剤層を介して載置する工程を含む。以下、上記半導体装置の製造方法の詳細を説明する。
ドライポリッシュしたシリコンウエハ(200mm径、厚み100μm)の研磨面に、実施例または比較例で得られた接着シートをテープマウンター(リンテック社製、Adwill RAD2500)により貼付し、同時にウエハダイシング用リングフレームに固定した。次に、接着シートの貼付されたシリコンウエハを、ダイシング装置(DISCO社製、DFD651)を使用して8mm×8mmのチップサイズにダイシングし、接着剤層を有する半導体チップ(接着剤層付き半導体チップ)を得た。ダイシングの際の切り込み量は、基材を20μm切り込むようにした。
5枚のシリコンウエハをダイシングし、得られた接着剤層付き半導体チップについてチップ浮き・チップ飛びを目視確認した。チップ浮き・チップ飛びが観察されなかったシリコンウエハの数(良品数)を数えた。結果を表3に示す(良品数/試験枚数)。
1枚のシリコンウエハをダイシングし、ダイボンダー(キャノンマシナリー製:BESTEM DO2)を用いてエキスパンドした。次いで、プッシュプルゲージを用いて、引っ張り時における接着剤層付き半導体チップのピックアップ強度(N/8mm□)を測定した。なお、ピックアップ強度は、サンプル10個の平均値とした。ピックアップ強度が大きすぎると半導体チップのピックアップが困難となり、ピックアップ強度が小さすぎると、ピックアップ時に周辺の半導体チップが傾いたり剥がれてしまうことがある。ピックアップ強度が4.0〜9.5N/8mm□の場合を「良好」とし、それ以外を「不良」と評価した。結果を表3に示す。
基板として、芯材(100μm厚2層品)に18μm厚の銅箔を有するもの(三菱ガス化学社製、商品名:BTレジンCCL-HL832HS)に回路パターンが形成され、その上にソルダーレジスト(太陽インキ社製、商品名:PSR4000AUS303)を塗布したBT基板(株式会社日立超LSI製)を用いた。
得られた半導体パッケージを、85℃、60%RH条件下に168時間放置して吸湿させた後、最高温度260℃、加熱時間1分間のIRリフロー条件での加熱を3回行った(リフロー炉:相模理工製WL-15-20DNX型)。この際、接合部の浮き・はがれの有無、パッケージクラック発生の有無を、走査型超音波探傷装置(日立建機ファインテック製Hye-Focus)および断面観察により評価した。基板または半導体チップの接合部に面積0.5mm2以上の剥離を観察した場合を剥離していると判断し、半導体パッケージを25個試験に投入したときの接合部の浮き・はがれ、パッケージクラックなどが発生していないサンプルの個数を(良品数)を数えた。結果を表3に示す(良品数/試験個数)。
アクリル重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、FOXの式により求めた。
アクリル重合体(A)の重量平均分子量は下記方法で測定した。
・測定方法:ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法
・標準物質:ポリスチレン標準
・装置:東ソー社製GELPERMEATION CHROMATOGRAPH
・カラム:東ソー社製TSK−GEL GMHXL 7.8×300mm
・溶媒:テトラヒドロフラン
・濃度:1%
・注入量:80μm
・流速:1.0ml/min
表2に記載の組成の接着剤組成物を使用した。表2中、各成分の数値は固形分換算の質量部を示す。表2に記載の組成の接着剤組成物をシリコーン処理された剥離フィルム(リンテック製:PET381031)上に乾燥後厚みが30μmになるように塗布、乾燥(乾燥条件:オーブンにて100℃、1分間)した後に、ポリオレフィン基材(厚さ100μm、表面張力35mN/m)と貼り合せて、接着剤層を基材上に転写することで、所望の接着シートを得た。
(A1)アクリル重合体;n−ブチルアクリレート85質量部、および2−ヒドロキシエチルアクリレート15質量部を共重合して得られた重量平均分子量1,300,000の共重合体(Tg=−49℃)
(A2)アクリル重合体;2−エチルヘキシルアクリレート55質量部、メチルアクリレート10質量部、グリシジルメタクリレート20質量部、および2−ヒドロキシエチルアクリレート15質量部を共重合して得られた重量平均分子量1,200,000の共重合体(Tg=−39℃)
(A3)アクリル重合体;2−エチルヘキシルアクリレート55質量部、メチルアクリレート10質量部、グリシジルメタクリレート20質量部、および2−ヒドロキシエチルアクリレート15質量部を共重合して得られた重量平均分子量700,000の共重合体(Tg=−39℃)
(A4)アクリル重合体;n−ブチルアクリレート55質量部、メチルアクリレート10質量部、グリシジルメタクリレート20質量部、および2−ヒドロキシエチルアクリレート15質量部を共重合して得られる重量平均分子量900,000の共重合体(Tg=−28℃)
(A5)アクリル重合体;メチルアクリレート85質量部、および2−ヒドロキシエチルアクリレート15質量部を共重合して得られる重量平均分子量400,000の共重合体(Tg=6℃)
(B1)エポキシ系熱硬化性化合物;ビスフェノールA型エポキシ樹脂(日本触媒製:BPA328、エポキシ当量235g/eq)
(B2)エポキシ系熱硬化性化合物;フェニレン骨格型エポキシ樹脂(日本化薬社製:EPPN-502H、エポキシ当量167g/eq)
(C)熱硬化剤;ノボラック型フェノール樹脂(昭和高分子製:BRG-556、フェノール性水酸基当量103g/eq)
(D)エネルギー線硬化性化合物;ジシクロペンタジエン骨格含有多官能アクリレート(日本化薬製:KAYARAD R-684、分子量336)
(E)硬化促進剤;2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製キュアゾール2PHZ-PW)
(F)光重合開始剤;1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製:イルガキュア184)
(G)カップリング剤;3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学社製:KBE-403)
Claims (3)
- アクリル重合体(A)、エポキシ系熱硬化性化合物(B)および熱硬化剤(C)を含有する接着剤組成物であって、
アクリル重合体(A)が、接着剤組成物100質量部中に5〜15質量部含有され、
アクリル重合体(A)のガラス転移温度が−30℃以下であることを特徴とする接着剤組成物。 - アクリル重合体(A)の重量平均分子量が500,000〜1,400,000であることを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
- 請求項1または2に記載の接着剤組成物から形成された接着剤層を有することを特徴とする接着シート。
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