JP2012139847A - 木質系成形体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本木質系成形体は、木質繊維、セルロース繊維、木質チップ、木質パーチクル、木片、麦わらおよび稲わらからなる群から選ばれる少なくとも1つの木質系材料が60質量部以上90質量部以下と、硫酸アンモニウム、ホウ酸塩および縮合リン酸アンモニウムを含む防火剤が5質量部以上35質量部以下と、繊維状接着剤および液状接着剤の少なくとも1つの接着剤が5質量部以上15質量部以下と、を含み、密度が40kg/m3以上である。
【選択図】なし
Description
本発明の一実施形態である木質系成形体は、木質繊維、セルロース繊維、木材チップ、木材パーチクル、木片、麦わらおよび稲わらからなる群から選ばれる少なくとも1つの木質系材料が60質量部以上90質量部以下と、硫酸アンモニウム、ホウ酸塩および縮合リン酸アンモニウムを含む防火薬剤が5質量部以上35質量部以下と、繊維状接着剤および液状接着剤の少なくとも1つの接着剤が5質量部以上15質量部以下と、を含み、密度が40kg/m3以上である。かかる木質系成形体は、防火薬剤として硫酸アンモニウム、ホウ酸塩および縮合リン酸アンモニウムを5質量部以上35質量部以下で含んでいるため、高い防火性を有する。
本実施形態の木質系成形体に含まれる木質系材料は、木質繊維、セルロース繊維、木材チップ、木材パーチクル、木片、麦わらおよび稲わらからなる群から選ばれる少なくとも1つである。かかる木質系材料は、高い成形性を有するため、木質系成形体の材料として好適である。ここで、木質繊維とは、針葉樹および広葉樹の少なくともいずれかを蒸煮解繊して得られる繊維であり、特に制限はないが、成形性が高い観点から、平均繊維径が3mm以下、平均繊維長が20mm以下であることが好ましい。セルロース繊維とは、直線状に連結されたセルロース分子を有する繊維であり、特に制限はないが、大量入手が容易な観点から、クラフトパルプ、再生パルプおよび古紙の少なくとも1つから得られる繊維であることが好ましい。木材チップとは、針葉樹および広葉樹の少なくともいずれかのチップであれば特に制限はない。木材パーチクルとは、上記木材チップを破砕して得られるものであり、特に制限はないが、平均粒径が5mm以下であることが好ましい。木片は、針葉樹および広葉樹の少なくともいずれかの小片であり、特に制限はないが、成形性が高い観点から、多角形板状であり、最大辺長が30mm以下、厚さが5mm以下であることが好ましい。麦わらおよび/または稲わらは、麦および/または稲のわらであり、特に制限はないが、成形性が高い観点から、扁平形状であり、最大長さが30mm以下、成形後の厚さが5mm以下であることが好ましい。
本実施形態の木質系成形体に含まれる防火薬剤は、硫酸アンモンム、ホウ酸塩および縮合リン酸アンモニウムである。ここで、硫酸アンモニウムは、木質系材料に防火性を付与する防火薬剤であるとともに、防火薬剤溶液を調製する際にホウ酸塩の溶解度を高めるとともに縮合リン酸アンモニウムの溶解安定性を高める溶解助剤である。また、硫酸アンモニウムは、吸湿性を有するため、木質系材料の吸放湿性を高める調湿剤でもある。ホウ酸塩は、木質系材料に防火性を付与する防火薬剤であり、木質系材料の燃焼後の形状保持を高めることができる。ホウ酸塩は、特に制限はないが、入手が容易な観点から、四ホウ酸ナトリウム(Na2B4O7・10H2O(なお、Na2[B4O5(OH)4]・8H2Oとも表記される))、八ホウ酸ナトリウム(Na2B8O13・4H2O)などが好ましい。また、縮合リン酸アンモニウムは、リン酸が縮合しているためリン含有量が高く、極めて優れた防火薬剤である。
本実施形態の木質系成形体に含まれる繊維状または液状接着剤の少なくとも1つの接着剤の部数は、成形性が高く強度の高い成形体を得る観点から、5質量部以上15質量部以下である。
本実施形態の木質系成形体に含まれる繊維状接着剤は、特に制限はないが、成形性を高め強度の高い成形体を得る観点から、その少なくとも一部が、90℃以上160℃以下の融点を有し、この融点および80℃以上100℃以下の熱水雰囲気の少なくともいずれかにおいて接着性を有する。
本実施形態の木質系成形体に含まれる液状接着剤は、特に制限はないが、成形性を高め強度の高い成形体を得る観点から、イソシアネート化合物、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂および尿素樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種類を含む熱硬化性樹脂が好ましい。また、上記化合物および樹脂は、防火性が高いため、木質系成形体の防火性を高めることができる。ここで、イソシアネート化合物としては、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)、ポリメリックMDI、TDI(トルエンジイソシアネート)、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)などが好適に例示される。また、ウレタン樹脂としては、上記イソシアネート化合物とポリオールとを反応させたウレタンプレポリマーなどが好適に例示される。
本実施形態の木質系成形体は、木質系材料への防火薬剤の浸透を促進させるため、浸透助剤をさらに含むことができる。ここで、浸透助剤としては、コハク酸系界面活性剤などが例示される。また、本実施形態の木質系成形体に含まれる浸透助剤の部数は、防火薬剤の浸透を高めかつ防火薬剤の経時変化を低減し安定性を高める観点から、0.1質量部以上2.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上1.0質量部以下がより好ましい。
本実施形態の木質系成形体の密度は、成形体の強度を高める観点から、40kg/m3以上であり、150kg/m3以上が好ましい。また、汎用性を高める観点から、50kg/m3以上が好ましい。
本発明の別の実施形態である木質系成形体の製造方法は、木質繊維、セルロース繊維、木材チップ、木材パーチクル、木片、麦わらおよび稲わらからなる群から選ばれる少なくとも1つの木質系材料60質量部以上90質量部以下に、硫酸アンモニウム、ホウ酸塩および縮合リン酸アンモニウムを含む防火薬剤溶液をその防火薬剤分で5質量部以上35質量部以下添加し、さらに防火薬剤溶液が添加された木質系材料を乾燥させる防火処理工程と、防火処理がされた木質系材料と、5質量部以上15質量部以下の繊維状接着剤および液状接着剤の少なくとも1つの接着剤と、を混合させる混合工程と、混合により得られた混合物をマット状に集積しさらにボード状に加熱加圧成形することにより密度40kg/m3以上の木質系成形体を得る成形工程と、含む。ここで、防火薬剤溶液の製造は、水に硫酸アンモニウムを溶解させて硫酸アンモニウム水溶液を得る第1サブ工程と、硫酸アンモニウム水溶液にホウ酸塩を水に対する溶解度より高い濃度で溶解させて硫酸アンモニウム−ホウ酸塩水溶液を得る第2サブ工程と、硫酸アンモニウム−ホウ酸塩水溶液に縮合リン酸アンモニウムを溶解させて硫酸アンモニウム−ホウ酸塩−縮合リン酸アンモニウム水溶液を得る第3サブ工程と、を含む。
本実施形態の木質系成形体の製造方法は、まず、木質繊維、セルロース繊維、木材チップ、木材パーチクル、木片、麦わらおよび稲わらからなる群から選ばれる少なくとも1つの木質系材料60質量部以上90質量部以下に、硫酸アンモニウム、ホウ酸塩および縮合リン酸アンモニウムを含む防火薬剤溶液をその防火薬剤の固形分で5質量部以上35質量部以下添加し、さらに防火薬剤溶液が添加された木質系材料を乾燥させる防火処理工程を含む。
かかる防火処理工程において、木質系材料を防火処理するために用いられる防火薬剤溶液の製造は、まず、第1サブ工程において、水に硫酸アンモニウムを溶解させて硫酸アンモニウム水溶液を得る。本発明者らは、硫酸アンモニウムが、防火薬剤であるとともに、水溶液へのホウ酸塩の溶解を促進させるとともに、水溶液への縮合リン酸アンモニウムの溶解安定性を高める溶解助剤であることを見出したものである。水に溶解させる硫酸アンモニウムの濃度は、特に制限はないが、水溶液へのホウ酸塩および縮合リン酸アンモニウムの溶解を促進させる観点から、20質量%以上50質量%以下が好ましく、20質量%以上30質量%以下がより好ましい。
本実施形態の木質系成形体の製造方法は、次に、上記の防火処理がされた木質系材料と、5質量部以上15質量部以下の繊維状接着剤および液状接着剤と、を混合させる混合工程を含む。防火処理がされた木質系材料と繊維状接着剤および液状接着剤の少なくとも1つの接着剤とを混合させる方法は、特に制限はないが、均一に混合させる観点から、カーディングマシーンで混合させる方法、エアレーション(aeration)により混合させる方法などが好ましい。
本実施形態の木質系成形体の製造方法は、次に、上記の混合により得られた混合物をマット状に集積し、さらにボード状に加熱加圧成形することにより、密度が40kg/m3以上の木質系成形体を得る成形工程を含む。
本実施形態の木質系成形体の製造方法は、さらに、上記成形工程で得られた木質系成形体をさらに加熱加圧成形することにより密度が150kg/m3以上の木質系成形体を得る二次的成形工程をさらに含むことができる。
種類または大きさの異なる複数の木質系材料を用いて、以下の工程により、積層構造を有する木質系成形体を製造することも可能である。
以下の実施例において、防火薬剤の1つとして用いる縮合リン酸アンモニウムを以下のように合成した。85質量%のリン酸52gと尿素90gとの混合液(モル比でリン酸:尿素=1:4)を10分間で室温(25℃)から130℃まで昇温し、130℃で30分間縮合させ、その後冷却して、室温(25℃)で固体状の縮合リン酸アンモニウム130gを得た。得られた縮合リン酸アンモニウムは、全リンが12質量%、未反応リンが0.5質量%、その水溶液のpHが7.0以上8.0以下であった。
以下の実施例において、木質系材料の防火処理に用いる防火薬剤溶液の1つである防火薬剤溶液Aを以下のようにして調製した。水1リットルに白色粉末の硫酸アンモニウム200gを室温(25℃)で溶解させた水溶液に、室温で八ホウ酸ナトリウム200g、縮合リン酸ナトリウム400g、およびコハク酸系界面活性剤(浸透助剤)1gを順次溶解させて、防火薬剤が44.4質量%(このうち、硫酸アンモニウムが11.1質量%、八ホウ酸ナトリウムが11.1質量%および縮合リン酸アンモニウムが22.2質量%)の防火薬剤溶液Aを得た。
以下の実施例において、木質系材料の防火処理に用いる防火薬剤溶液の1つである防火薬剤溶液Bを以下のようにして調製した。水1リットルに白色粉末の硫酸アンモニウム200gを室温(25℃)で溶解させた水溶液に、室温でホウ酸100gおよび炭酸水素ナトリウム50g混合溶解させて、次いで八ホウ酸ナトリウム100gを溶解させ、次いで縮合リン酸アンモニウム400g、次いでコハク酸系界面活性剤(浸透助剤)1gを溶解させて、防火薬剤が44.4質量%(このうち、硫酸アンモニウムが11.1質量%、ホウ酸塩が11.1質量%および縮合リン酸アンモニウムが22.2質量%)の防火薬剤溶液Bを得た。
以下の実施例において、木質系材料の防火処理に用いる防火薬剤溶液の1つである防火薬剤溶液Cを以下のようにして調製した。水1リットルに白色粉末の硫酸アンモニウム200gを室温(25℃)で溶解させた水溶液に、室温で八ホウ酸ナトリウム200g、縮合リン酸アンモニウム800g、およびコハク酸系界面活性剤(浸透助剤)1gを順次溶解させて、防火薬剤が54.5質量%の防火薬剤溶液Cを得た。
ダイジェスターを用いて乾燥した針葉樹の木材チップを蒸煮圧力6kgf/cm2で7分間蒸煮した後、ディファイブレータを用いてプレート間隔1mmで解繊したウェット状態の木質繊維に、防火薬剤溶液Aを噴霧し、チューブドライヤーを用いて150℃〜170℃の熱風で連続的に2分間乾燥させて、100質量部の木質繊維を15質量部の防火薬剤で処理した木質繊維を得た。次に、防火処理された木質繊維92質量部と、カーディング処理された繊度5dtexで繊維長が15mmの芯部がPETで鞘部がPEの芯鞘構造のPET−PE繊維8質量部とを、エアレイドフォーミングマシーンを用いて混合させた。次に、上記混合物を、下部吸引型フォーミングマシーンを用いてマット状に集積した後、ダブルコンベアベルトを用いて130℃〜150℃で5分間連続加熱プレス成形することにより、木質系成形体として厚さ50mmで密度が40kg/m3の断熱ボードを得た。得られた断熱ボード(木質系成形体)の物性は以下のとおりであった。熱伝導率は、JIS A1412−2の熱流計法(HFM法)により測定したところ、0.038W/mKであった。ISO−5660のコーンカロリーメータ法(CCM法)による総発熱量は6.5MJ/m2(5分値)であり、最大発熱速度は42kW/m2(難燃3級合格)であり、燃焼形状保持率は約84%であった。すなわち、約16%収縮した。
ダイジェスターを用いて乾燥した針葉樹の木材チップを蒸煮圧力6kgf/cm2で7分間蒸煮した後、ディファイブレータを用いてプレート間隔1mmで解繊したウェット状態の木質繊維に、防火薬剤溶液Cを噴霧し、チューブドライヤーを用いて150℃〜170℃の熱風で連続的に2分間乾燥させて、100質量部の木質繊維を34質量部の防火薬剤で処理した木質繊維を得た。次に、防火処理された木質繊維92質量部と、カーディング処理された繊度5dtexで繊維長が15mmの芯部がPETで鞘部がPEの芯鞘構造のPET−PE繊維8質量部とを、エアレイドフォーミングマシーンを用いて混合させた。次に、上記混合物を、下部吸引型フォーミングマシーンを用いてマット状に集積した後、ダブルコンベアベルトを用いて130℃〜150℃で5分間連続加熱プレス成形することにより、木質系成形体として厚さ50mmで密度が40kg/m3の断熱ボードを得た。得られた断熱ボード(木質系成形体)の物性は、熱伝導率が0.039W/mKであり、CCM法による総発熱量が5.5MJ/m2(10分値)であり、最大発熱速度は22kW/m2(難燃2級合格)であり、燃焼形状保持率は約92%であった。すなわち、約8%収縮した。
ダイジェスターを用いて乾燥した針葉樹の木材チップを蒸煮圧力6kgf/cm2で7分間蒸煮した後、ディファイブレータを用いてプレート間隔1mmで解繊したウェット状態の木質繊維に、防火薬剤溶液Bを噴霧し、チューブドライヤーを用いて150℃〜170℃の熱風で連続的に2分間乾燥させて、100質量部の木質繊維を14質量部の防火薬剤で処理した木質繊維を得た。次に、防火処理された木質繊維90質量部と、カーディング処理された繊度10dtexで繊維長が20mmの海部がPVA(日本酢ビ・ポバール社製JF−10)で島部が生分解性PP(ピーライフ・ジャパン社製P−Life(R)を10質量%配合されたPP)でその質量比率が2:3の海島構造のPVA−生分解性PP繊維10質量部とを、エアレイドフォーミングマシーンを用いて混合させた。次に、上記混合物を、下部吸引型フォーミングマシーンを用いてマット状に集積した後、ダブルコンベアベルトを用いて160℃で5分間連続加熱プレス成形することにより、厚さ100mmで密度が40kg/m3の断熱ボードを得た。次に、得られた断熱ボードの表面に水を500g/m2噴霧することにより加湿し、さらに120℃で5分間加熱プレスで2次成形して、木質系成形体として厚さ25mmで密度が158kg/m3の2次成形断熱板ボードを得た。得られた2次成形断熱ボード(木質系成形体)の物性は、熱伝導率が0.043W/mKであり、CCM法による総発熱量が6.1MJ/m2(5分値)であり、最大発熱速度は35kW/m2(難燃3級合格)であり、燃焼形状保持率は約75%であった。すなわち、約25%収縮した。
ダイジェスターを用いて乾燥した針葉樹の木材チップを蒸煮圧力6kgf/cm2で7分間蒸煮した後、ディファイブレータを用いてプレート間隔1mmで解繊したウェット状態の木質繊維に、防火薬剤溶液Aを噴霧し、チューブドライヤーを用いて150℃〜170℃の熱風で連続的に2分間乾燥させて、100質量部の木質繊維を18質量部の防火薬剤で処理した木質繊維を得た。次に、防火処理された木質繊維100質量部に、ポリイソシアネートバインダー(NCO含有量が30質量%のMDI90質量部と、40質量%のワックスエマルジョン10質量部とを配合したもの)10質量部を、エアレイドフォーミングマシーンを用いて混合した。次に、防火処理がされポリイソシアネートバインダーが混合された木材チップを、下部吸引型フォーミングマシーンを用いてマット状に集積した後、ダブルコンベアベルトを用いて180℃、30kgf/cm2で5分間連続加熱プレス成形することにより、木質系成形体として厚さ8mmで密度が390kg/m3の断熱ボードを得た。得られた断熱ボード(木質系成形体)の物性は、熱伝導率が0.043W/mKであり、CCM法による総発熱量が6.3MJ/m2(5分値)であり、最大発熱速度は35kW/m2(難燃3級合格)であり、燃焼形状保持率は約82%であった。すなわち、約18%収縮したのみであった。また、曲げ強度は、JIS A5908に基づいて測定したところ、15N/mm2であった。
リファイナー処理した再生古紙に、防火薬剤溶液Aを噴霧し、チューブドライヤーを用いて150℃〜170℃の熱風で連続的に2分間乾燥させて、100質量部の木質繊維を17質量部の防火薬剤で処理した再生古紙維を得た。次に、防火処理された木質繊維92質量部と、カーディング処理された繊度5dtexで繊維長が15mmの芯部がPETで鞘部がPEの芯鞘構造のPET−PE繊維8質量部とを、エアレイドフォーミングマシーンを用いて混合させた。次に、上記混合物を、下部吸引型フォーミングマシーンを用いてマット状に集積した後、ダブルコンベアベルトを用いて130℃〜150℃で5分間連続加熱プレス成形することにより、木質系成形体として厚さ100mmで密度が55kg/m3の断熱ボードを得た。得られた断熱ボード(木質系成形体)の物性は、熱伝導率が0.043W/mKであり、CCM法による総発熱量が7.5MJ/m2(5分値)であり、最大発熱速度は41kW/m2(難燃3級合格)であり、燃焼形状保持率は約81%であった。すなわち、約19%収縮した。
乾燥した針葉樹の木材チップを破砕して、最大径が130μm以下の表層用木材パーチクルと最大径が130μmより大きい内層用木材パーチクルとに分級した。次に、表層用木材パーチクル100質量部に防火薬剤溶液Cを防火薬剤分で14質量部を噴霧し、ドライヤーで乾燥させた。また、内層用木材パーチクル100質量部に防火薬剤溶液Cを防火薬剤分で14質量部を噴霧し、ドライヤーで乾燥させた。次に、防火処理した表層用木材パーチクル100質量部および防火処理した内層用木材パーチクル100質量部のそれぞれに、PC(パーチクルボード)用メラミン樹脂液をメラミン樹脂分で9質量部、40質量%のワックスエマルジョン2質量部を、ブレンダーを用いて添加混合した後、ドライヤーで乾燥させた。次に、上記の表層用木材パーチクル混合物、内層用木材パーチクル混合物および表層用木材パーチクル混合物の3層を、設定最終密度が800kg/m3、上下の各々の表層層の設定最終厚さが3mmおよび内層の設定最終厚さが9mmとなるように、それぞれブレンダーを用いてマット状に集積した後、エンドレスロールプレスを用いて、150℃、プレス圧30kgf/cm2で10分間加熱プレス成形することにより、木質系成形体として全層厚さ15mmで密度が760kg/m3のパーチクルボードを得た。得られたパーチクルボード(木質系成形体)の物性は、熱伝導率が0.13W/mKであり、CCM法による総発熱量が6.6MJ/m2(5分値)であり、最大発熱速度は46kW/m2(難燃3級合格)であり、燃焼形状保持率は約75%であった。すなわち、約25%収縮した。また、曲げ強度は17N/mm2であった。
乾燥した針葉樹の木材チップを破砕して、最大径が130μm以下の表層用木材パーチクルと最大径が130μmより大きい内層用木材パーチクルとに分級した。次に、表層用木材パーチクル100質量部に防火薬剤溶液Cを防火薬剤分で43質量部を噴霧し、ドライヤーで乾燥させた。また、内層用木材パーチクル100質量部に防火薬剤溶液Cを防火薬剤分で25質量部を噴霧し、ドライヤーで乾燥させた。次に、防火処理した表層用木材パーチクル100質量部および防火処理した内層用木材パーチクル100質量部のそれぞれに、ポリイソシアネートバインダー(NCO含有量が30質量%のMDI90質量部と、40質量%のワックスエマルジョン10質量部とを配合したもの)12質量部を、ブレンダーを用いて添加混合し、ドライヤーで乾燥させた。次に、上記の表層用木材パーチクル混合物、内層用木材パーチクル混合物および表層用木材パーチクル混合物の3層を、設定最終密度が800kg/m3、上下各々の表層の設定最終厚さが3mmおよび内層の設定最終厚さが9mmとなるように、ブレンダーを用いてマット状に集積した後、エンドレスロールプレスを用いて、130℃、プレス圧30kgf/cm2で10分間加熱プレス成形することにより、木質系成形体として全層厚さ15mmで密度が790kg/m3のパーチクルボードを得た。得られたパーチクルボード(木質系成形体)の物性は、熱伝導率が0.13W/mKであり、CCM法による総発熱量が4.3MJ/m2(10分値)であり、最大発熱速度は18kW/m2(難燃2級合格)であり、燃焼形状保持率は約93%であった。すなわち、約7%収縮した。また、曲げ強度は18N/mm2であった。
ブレンダーを用いて、針葉樹を加工した長さ30mm以下の麦わらに防火薬剤溶液Aを添加混合し、ドライヤーで乾燥して、100質量部の麦わらを11質量部の防火薬剤で処理した麦わらを得た。次に、防火処理された麦わら100質量部に、ポリイソシアネートバインダー(NCO含有量が30質量%のMDI90質量部と、40質量%のワックスエマルジョン10質量部とを配合したもの)を10質量部、ブレンダーを用いて混合した。次に、この麦わら混合物を、3層構造にして、1つの層における麦わらとその層に隣接する層における麦わらが互いに直交するように積層させて、ブレンダーを用いてマット状に集積し、エンドレスロールプレスを用いて、190℃、プレス圧力30kgf/cm2で10分間加熱プレス成形することにより、木質系成形体として全層厚さ8mmで密度が400kg/m3のオリエンテッドストランドボードを得た。得られたオリエンテッドストランドボード(木質系成形体)の物性は、熱伝導率が0.12W/mKであり、CCM法による総発熱量が6.3MJ/m2(5分値)であり、最大発熱速度は48kW/m2(難燃3級合格)であり、燃焼形状保持率は約84%であった。すなわち、約16%収縮した。また、曲げ強度は25N/mm2であった。
Claims (9)
- 木質繊維、セルロース繊維、木材チップ、木材パーチクル、木片、麦わらおよび稲わらからなる群から選ばれる少なくとも1つの木質系材料が60質量部以上90質量部以下と、
硫酸アンモニウム、ホウ酸塩および縮合リン酸アンモニウムを含む防火薬剤が5質量部以上35質量部以下と、
繊維状接着剤および液状接着剤の少なくとも1つの接着剤が5質量部以上15質量部以下と、を含み
密度が40kg/m3以上である木質系成形体。 - 密度が150kg/m3以上である請求項1に記載の木質系成形体。
- 前記繊維状接着剤は、その少なくとも一部が、90℃以上160℃以下の融点を有し、かつ前記融点および80℃以上100℃以下の熱水雰囲気の少なくともいずれかにおいて接着性を有する請求項1または請求項2に記載の木質系成形体。
- 前記繊維状接着剤は、芯鞘構造を有する接着剤、海島構造を有する接着剤、およびノボラック樹脂接着剤の少なくともいずれかである請求項1から請求項3までのいずれかに記載の木質系成形体。
- 前記芯鞘構造を有する接着剤は、高融点ポリオレフィン−低融点ポリオレフィン繊維、ポリエチレンテレフタレート−ポリオレフィン繊維、ポリエチレンテレフタレート−低融点変性ポリエチレンテレフタレート繊維およびポリオレフィン−ポリビニルアルコール繊維のいずれかであり、酸化分解促進剤を0.5質量%以上5質量%以下で含む請求項4に記載の木質系成形体。
- 前記繊維状接着剤は、繊度が4dtex以上15dtex以下、繊維長が20mm以下である請求項1から請求項5までのいずれかに記載の木質系成形体。
- 前記液状接着剤は、イソシアネート化合物、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂および尿素樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種類を含む熱硬化性接着剤である請求項1から請求項6までのいずれかに記載の木質系成形体。
- 木質繊維、セルロース繊維、木材チップ、木材パーチクル、木片、麦わらおよび稲わらからなる群から選ばれる少なくとも1つの木質系材料60質量部以上90質量部以下に、硫酸アンモニウム、ホウ酸塩および縮合リン酸アンモニウムを含む防火薬剤溶液をその防火薬剤分で5質量部以上35質量部以下添加し、さらに前記防火薬剤溶液が添加された前記木質系材料を乾燥させる防火処理工程と、
前記防火処理がされた前記木質系材料と、5質量部以上15質量部以下の繊維状接着剤および液状接着剤の少なくとも1つの接着剤と、を混合させる混合工程と、
前記混合により得られた混合物をマット状に集積しさらにボード状に加熱加圧成形することにより密度40kg/m3以上の木質系成形体を得る成形工程と、を含み、
前記防火薬剤の製造は、水に硫酸アンモニウムを溶解させて硫酸アンモニウム水溶液を得る第1サブ工程と、前記硫酸アンモニウム水溶液にホウ酸塩を水に対する溶解度より高い濃度で溶解させて硫酸アンモニウム−ホウ酸塩水溶液を得る第2サブ工程と、前記硫酸アンモニウム−ホウ酸塩水溶液に縮合リン酸アンモニウムを溶解させて硫酸アンモニウム−ホウ酸塩−縮合リン酸アンモニウム水溶液を得る第3サブ工程と、を含む木質系成形体の製造方法。 - 請求項8において得られた木質系成形体を、さらに加熱加圧成形することにより密度が150kg/m3以上の木質系成形体を得る二次的成形工程をさらに含む木質系成形体の製造方法。
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