JP2012137636A - プラスチックレンズの製造方法および該方法から得られるプラスチックレンズ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特定の組成を有するハードコート層膜形成用塗料組成物をプラスチックレンズ基材上に塗布して得られた塗膜を予備硬化し、さらに予備硬化された該塗膜上に反射防止層膜形成用塗料組成物を塗布して得られた積層塗膜に、特定の波長を有する遠赤外線を特定条件下で照射して該積層塗膜を硬化させるプラスチックレンズの製造方法および該方法から得られるプラスチックレンズ。なお、この方法によれば、前記プラスチック基材上にハードコート層膜と反射防止層膜とからなる積層塗膜を硬化むらなく比較的短時間で形成することができるばかりでなく、耐熱性や耐衝撃性に優れたプラスチックレンズを得ることができる。
【選択図】なし
Description
プラスチックレンズ基材上にハードコート層膜を形成し、さらにその表面に反射防止層膜を形成してなるプラスチックレンズの製造方法において、
(1)プラスチックレンズ基材上に、有機ケイ素化合物(A)、金属酸化物微粒子およびポリカルボン酸系化合物とを含むハードコート層膜形成用塗料組成物を塗布する工程、
(2)前記工程(1)で得られた塗膜を60〜110℃の温度条件下で5〜30分間、加熱処理して、該塗膜の予備硬化を行う工程、
(3)前記工程(2)で得られた予備硬化塗膜の表面に、有機ケイ素化合物(B)およびシリカ系微粒子とを含む反射防止層膜形成用塗料組成物を塗布する工程、および
(4)前記工程(3)で得られた積層塗膜に、3〜20μmの波長を有する遠赤外線を5〜30分間、照射して、該積層塗膜を硬化させる工程
を含むことを特徴としている。
R1 aR2 bSi(OR3)4-(a+b) (I)
(式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、ビニル基を含有する炭素数8以下の有機基、エポキシ基を含有する炭素数8以下の有機基、メタクリロキシ基を含有する炭素数8以下の有機基、メルカプト基を含有する炭素数1〜5の有機基またはアミノ基を含有する炭素数1〜5の有機基であり、R2は炭素数1〜3のアルキル基、アルキレン基、シクロアルキル基もしくはハロゲン化アルキル基またはアリール基であり、R3は炭素数1〜3のアルキル基、アルキレン基またはシクロアルキル基である。また、aは0または1の整数、bは0、1または2の整数である。)
さらに、前記ポリカルボン酸系化合物は、該ポリカルボン酸系化合物の重量をXで表し、さらに前記ハードコート層膜形成用塗料組成物中に含まれる有機ケイ素化合物(A)の量をSiO2換算基準で求めた重量をYで表したとき、その重量比(X/Y)が5/100〜45/100となるような割合で該ハードコート層膜形成用塗料組成物中に含まれていることが好ましい。
前記工程(3)で得られた塗膜を、さらに60〜110℃の温度条件下で3〜30分間、加熱処理して、該塗膜の予備硬化を行う工程(3a)を含むことが好ましい。
また、前記工程(3a)で得られた予備硬化塗膜の表面に、さらにフッ素系化合物またはその加水分解物を含む撥水コート処理用塗料組成物を塗布する工程(3b)を含むことが好ましい。
また、前記工程(4)において前記遠赤外線の照射を、遠赤外線セラミックヒーターを用いて前記積層塗膜の表面温度が70〜130℃となるように行うことが好ましい。
さらに、前記プライマー層膜は、有機樹脂化合物と金属酸化物微粒子とを含むプライマー層膜形成用塗料組成物を前記プラスチックレンズ基材上に塗布して硬化させたものであることが好ましい。
(1)プラスチックレンズ基材上に、有機ケイ素化合物(A)、金属酸化物微粒子およびポリカルボン酸系化合物を含むハードコート層膜形成用塗料組成物を塗布し、(2)得られた塗膜を60〜110℃の温度条件下で5〜30分間、加熱処理して、該塗膜の予備硬化を行ったのち、(3)得られた予備硬化塗膜の表面に、有機ケイ素化合物(B)およびシリカ系微粒子を含む反射防止層膜形成用塗料組成物を塗布し、さらに(4)得られた積層塗膜に、3〜20μmの波長を有する遠赤外線を5〜30分間、照射して、該積層塗膜を硬化させることによって、プラスチックレンズ基材上にハードコート層膜および反射防止層膜を形成してなること
を特徴としている。
(1)プラスチックレンズ基材上に、有機ケイ素化合物(A)、金属酸化物微粒子およびポリカルボン酸系化合物とを含むハードコート層膜形成用塗料組成物を塗布し、(2)得られた塗膜を60〜110℃の温度条件下で5〜30分間、加熱処理して、該塗膜の予備硬化を行ったのち、(3)得られた予備硬化塗膜の表面に、有機ケイ素化合物(B)およびシリカ微粒子とを含む反射防止層膜形成用塗料組成物を塗布し、(3a)得られた塗膜を60〜110℃の温度条件下で3〜30分間、加熱処理して、該塗膜の予備硬化を行ったのち、(3b)フッ素系化合物またはその加水分解物を含む撥水コート処理用塗料組成物を塗布し、さらに(4)得られた積層塗膜に、3〜20μmの波長を有する遠赤外線を5〜30分間、照射して、該積層塗膜を硬化させることによって、プラスチックレンズ基材上にハードコート層膜、反射防止層膜および撥水コート層膜を形成してなること
を特徴としている。
なお、表面が湾曲(カーブ)しているプラスチックレンズ基材上に前記積層塗膜を硬化むらなく比較的短時間で形成できるのは、ポリカルボン酸系化合物を含む前記ハードコート層膜形成用塗料組成物を使用して、これを塗布して得られる塗膜(すなわち、ハードコート層膜用塗膜)が完全に硬化する前に前記反射防止層膜形成用塗料組成物を塗布して得られる積層塗膜(すなわち、ハードコート層膜用塗膜および反射防止層膜用塗膜)に、前記遠赤外線を照射して前記ハードコート層膜用塗膜の本硬化と前記反射防止層膜用塗膜との硬化(本硬化)を効率よく行わせているからである。
なお、本発明方法で使用される純水とはイオン交換水をいい、また超純水とは純水中に含まれる不純物をさらに取り除いたもので、不純物の含有量が0.01μg/L以下のものをいう。
本発明に係るプラスチックレンズの製造方法は、プラスチックレンズ基材上にハードコート層膜を形成し、さらにその表面に反射防止層膜を形成してなるプラスチックレンズの製造方法において、
(1)プラスチックレンズ基材上に、有機ケイ素化合物(A)、金属酸化物微粒子およびポリカルボン酸系化合物とを含むハードコート層膜形成用塗料組成物を塗布する工程、
(2)前記工程(1)で得られた塗膜を60〜110℃の温度条件下で5〜30分間、加熱処理して、該塗膜の予備硬化を行う工程、
(3)前記工程(2)で得られた予備硬化塗膜の表面に、有機ケイ素化合物(B)およびシリカ系微粒子とを含む反射防止層膜形成用塗料組成物を塗布する工程、および
(4)前記工程(3)で得られた積層塗膜に、3〜20μmの波長を有する遠赤外線を5〜30分間、照射して、該積層塗膜を硬化させる工程
を含むものである。
次に、これらの各工程について説明すれば、以下の通りである。
[ハードコート層膜形成用塗料組成物の塗布]
この工程では、プラスチックレンズ基材上に、有機ケイ素化合物(A)、金属酸化物微粒子およびポリカルボン酸系化合物を含むハードコート層膜形成用塗料組成物が塗布される。
ここで、前記有機ケイ素化合物(A)は、下記一般式(I)で表される有機ケイ素化合物および/またはその加水分解物であることが好ましい。
(式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、ビニル基を含有する炭素数8以下の有機基、エポキシ基を含有する炭素数8以下の有機基、メタクリロキシ基を含有する炭素数8以下の有機基、メルカプト基を含有する炭素数1〜5の有機基またはアミノ基を含有する炭素数1〜5の有機基であり、R2は炭素数1〜3のアルキル基、アルキレン基、シクロアルキル基もしくはハロゲン化アルキル基またはアリール基であり、R3は炭素数1〜3のアルキル基、アルキレン基またはシクロアルキル基である。また、aは0または1の整数、bは0、1または2の整数である。)
さらに、前記ハードコート層膜形成用塗料組成物中には、上記の成分を分散させるための有機溶媒を含んでいることが望まれる。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、アセチルアセトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類などが挙げられる。この中でも、レベリング性や蒸発速度などの観点から、メタノール、プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどから選ばれた有機溶媒を含んでいることが好ましい。
しかし、前記有機溶媒は、前記ハードコート層膜形成用塗料組成物の調製時に有機ケイ素化合物(A)と混合された有機溶媒および前記金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾルの調製時に用いられた有機溶媒をそのまま使用することが望ましい。また、この有機溶媒は、相溶性があれば異なった種類であってもよいが、できるだけ同じのものを使用することが好ましい。
ここで、前記ハードコート層膜形成用塗料組成物中に含まれる固形分含有量が15重量%よりも過小であると、十分な膜厚の塗膜が得られないため、耐擦傷性能力が不十分となり、また前記固形分含有量が55重量%よりも過大であると、ポットライフの低下を招きやすいので好ましくない。
(式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、ビニル基を含有する炭素数8以下の有機基、エポキシ基を含有する炭素数8以下の有機基、メタクリロキシ基を含有する炭素数8以下の有機基、メルカプト基を含有する炭素数1〜5の有機基またはアミノ基を含有する炭素数1〜5の有機基であり、R2は炭素数1〜3のアルキル基、アルキレン基、シクロアルキル基もしくはハロゲン化アルキル基またはアリール基であり、R3は炭素数1〜3のアルキル基、アルキレン基またはシクロアルキル基である。また、aは0または1の整数、bは0、1または2の整数である。)
なお、前記有機ケイ素化合物(A)の具体例については、上記した通りである。
このようにして得られた前記ハードコート層膜形成用塗料組成物は、ディッピング法、スピンコート法、スプレーコート法、インクジェットコート法などから選ばれた従来公知のコーティング方法を用いて、前記プラスチックレンズ基材上に塗布することができる。
[ハードコート層膜の予備硬化]
この工程では、前記工程(1)でプラスチックレンズ基材上に形成された塗膜を60〜110℃の温度条件下で5〜30分間、加熱処理して、該塗膜の予備硬化が行われる。
[反射防止層膜形成用塗料組成物の塗布]
この工程では、前記工程(2)で得られた予備硬化塗膜の表面に、有機ケイ素化合物(B)およびシリカ系微粒子とを含む反射防止層膜形成用塗料組成物が塗布される。
ここで、前記有機ケイ素化合物(B)としては、前記有機ケイ素化合物(A)と同様なものを使用することができる。すなわち、前記有機ケイ素化合物(B)は、前記有機ケイ素化合物(A)の場合と同様に、下記一般式(I)で表される有機ケイ素化合物および/またはその加水分解物であることが好ましい。
(式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、ビニル基を含有する炭素数8以下の有機基、エポキシ基を含有する炭素数8以下の有機基、メタクリロキシ基を含有する炭素数8以下の有機基、メルカプト基を含有する炭素数1〜5の有機基またはアミノ基を含有する炭素数1〜5の有機基であり、R2は炭素数1〜3のアルキル基、アルキレン基、シクロアルキル基もしくはハロゲン化アルキル基またはアリール基であり、R3は炭素数1〜3のアルキル基、アルキレン基またはシクロアルキル基である。また、aは0または1の整数、bは0、1または2の整数である。)
50〜90nmの範囲にあり、しかも内部に空洞を有する中空シリカ系微粒子を使用することが好ましい。ここで、前記平均粒子径が40nmよりも過小であると、採用される塗布法や加工法などによっては、均一な膜厚の反射防止層膜を得ることが難しくなり、また前記100nmよりも過大であると、この反射防止層膜の設計が難しくなる。
ここで、前記界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンジメチルポリシロキサン等のシリコーン系界面活性剤や、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物等のフッ素系界面活性剤などを挙げることができる。この中でも、本発明で使用される反射防止層膜形成用塗料組成物中には、環境への負荷低減などの観点から、シリコーン系界面活性剤を使用することが好ましい。
また、前記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤などが挙げられる。
(a)前記中空シリカ系微粒子が水分散ゾルの状態で存在する場合には、この水分散ゾルを限外濾過装置などに供して、該水分散ゾル中に含まれる水をメタノール、プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどの有機溶媒と溶媒置換して、該中空シリカ系微粒子を含む有機溶媒分散ゾルを調製しておくことが望ましい。この場合、前記中空シリカ系微粒子は、該有機溶媒分散ゾル中に5〜30重量%含まれていることが好ましい。
R1 aR2 bSi(OR3)4-(a+b) (I)
(式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、ビニル基を含有する炭素数8以下の有機基、エポキシ基を含有する炭素数8以下の有機基、メタクリロキシ基を含有する炭素数8以下の有機基、メルカプト基を含有する炭素数1〜5の有機基またはアミノ基を含有する炭素数1〜5の有機基であり、R2は炭素数1〜3のアルキル基、アルキレン基、シクロアルキル基もしくはハロゲン化アルキル基またはアリ−ル基であり、R3は炭素数1〜3のアルキル基、アルキレン基またはシクロアルキル基である。また、aは0または1の整数、bは0、1または2の整数である。)
(c)次いで、前記混合液中に加水分解触媒としての酸と水とを添加して、該混合液中に含まれる有機ケイ素化合物(B)を加水分解させる。ただし、前記有機ケイ素化合物(B)が既に加水分解されている場合には、必ずしもこの操作を行う必要はない。
このようにして得られた前記反射防止層膜形成用塗料組成物は、ディッピング法、スピンコート法、スプレーコート法、インクジェットコート法などから選ばれた従来公知のコーティング方法を用いて、前記予備硬化塗膜上に塗布することができる。
[遠赤外線による積層塗膜の硬化]
この工程では、前記工程(3)で得られた積層塗膜に、3〜20μmの波長を有する遠赤外線を5〜30分間、照射して、該積層塗膜の硬化が行われる。
また、場合によっては、前記積層塗膜に遠赤外線を照射する前に、前記反射防止層膜形成用塗料組成物を塗布して得られた塗膜の予備硬化を行ってもよい。この予備硬化は、前記ハードコート層膜の場合と同様に前記塗膜を熱風雰囲気下または循環熱風雰囲気下に晒して、60〜110℃の温度条件下で3分〜30分間、加熱処理することによって行うことができる。ただし、本発明においては、このような予備硬化を必ずしも行う必要はない。
次に、必要に応じて本発明で採用される撥水コート層膜の形成工程並びにプライマー層膜の形成工程について説明する。しかしながら、これらの撥水コート層膜やプライマー層膜の形成については、本発明において必ずしも必要とされるものではない。
この工程では、前記反射防止層膜の表面に、さらに撥水コート層膜が形成される。
この工程についてさらに具体的に述べれば、前記工程(3)で得られた塗膜を、60〜110℃の温度条件下で3分〜30分間、加熱処理して予備硬化させたのち、その塗膜表面に、さらにフッ素系化合物またはその加水分解物を含む撥水コート層膜形成用塗料組成物を塗布して前記撥水コート層膜を形成することが好ましい。ここで、前記塗膜(反射防止層膜)の予備硬化とは、該塗膜が完全に硬化していない状態をいい、さらに詳しくは該塗膜が指触乾燥(指で触れて乾いていることが確認できること)となっている状態を意味する。(なお、以下で述べる第二のプラスチックレンズにおいて、前記の予備硬化操作を「工程(3a)」といい、さらに前記の塗布操作を「工程(3b)」という場合がある。)
また、前記フッ素系化合物としては、特に制限されるものではないが、加水分解基を有するフロロシラン化合物を使用することが好ましい。さらに具体的には、化学式CF3(CF2)n(CH2)2Si(OC2H5)3(n=2〜16)、(CH3O)3Si-(CH2)2(CF2)n(CH2)2Si(OCH3)(n=4〜8)などで表されるフッ素系化合物やその加水分解物などが挙げられる。この中でも、防汚性、撥水性などの観点から、前記n=6以上のフッ素化合物を使用することが好ましい。
また、前記撥水コート層膜形成用塗料組成物中には、前記フッ素系化合物またはその加水分解物を0.1〜3重量%の範囲で含んでいることが好ましい。
先にも述べたように、前記撥水コート層膜形成用塗料組成物は、60〜110℃の温度条件下で3分〜30分間、加熱処理して予備硬化された塗膜(反射防止層膜)の表面に、ディッピング法、スピンコート法、スプレーコート法、インクジェットコート法などから選ばれた従来公知のコーティング方法を用いて塗布される。この場合、前記撥水コート層膜形成用塗料組成物を予備硬化されていない塗膜(反射防止層膜)の表面にディッピング法を用いて塗布しようとすると、前記撥水コート層膜形成用塗料組成物を入れたポット中に、前記基材上の塗布された前記反射防止層膜形成用塗料組成物が溶け落ちたりするので好ましくない。さらに、スピンコート法などを用いて塗布しようとすると、前記撥水コート層膜形成用塗料組成物と前記反射防止層膜形成用塗料組成物とが混ざり合ったりするので好ましくない。
指触乾燥(指で触れて乾いていることが確認できること)となっている状態を意味する。なお、この塗膜の予備硬化は、前記反射防止層膜の場合と同様に前記塗膜を熱風雰囲気下または循環熱風雰囲気下に晒して、40〜60℃の温度条件下で1分〜5分間、加熱処理することによって行うことができる。ただし、本発明においては、このような予備硬化を必ずしも行う必要はない。
この工程では、前記プラスチックレンズ基材と前記ハードコート層膜との間に、さらにプライマー層膜が形成される。この工程についてさらに具体的に述べれば、前記プライマー層の形成は、有機樹脂化合物と金属酸化物微粒子とを含むプライマー層膜形成用塗料組成物を前記プラスチックレンズ基材上に塗布して硬化させることによって行われる。
ここで、前記ウレタン系樹脂としては、たとえばヘキサメチレンジイソシアネート等のブロック型ポリイシシアネートとポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等の活性水素含有化合物との反応物などが挙げられ、また前記エポキシ樹脂としては、たとえばポリアルキレンエーテル変性エポキシ樹脂や分子鎖に柔軟性骨格(ソフトセグメント)を導入したエポキシ基含有化合物などが挙げられ、さらに前記メラミン系樹脂としては、たとえばエーテル化メチロールメラミンとポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールとの硬化物などが挙げられる。これらの中でも、ブロック型イシシアネートとポリオールとの硬化物であるウレタン系樹脂を使用することが好ましい。また、これらの熱硬化性有機樹脂は、1種類だけでなく2種類以上を使用してもよい。
ここで、前記アクリル系樹脂としては、たとえば(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーから得られる水系エマルジョンや前記モノマーとスチレン、アクリロニトリル等とを共重合させたポリマーエマルジョンなどが挙げられ、また前記ウレタン系樹脂としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどのポリオール化合物とポリイシシアネートとを反応させてなる水系エマルジョンなどが挙げられ、さらに前記エステル系樹脂としては、たとえばハードセグメントにポリエステル、ソフトセグメントにポリエーテルまたはポリエステルを用いたマルチブロック共重合体の水分散型エラストマーなどが挙げられる。これらの中でも、ポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオールとポリイシシアネートから得られる水分散型ウレタン系樹脂を使用することが好ましい。また、これらの熱可塑性有機樹脂は、1種類だけでなく2種類以上を使用してもよい。
前記有機樹脂化合物は、たとえば水分散型ウレタン系エラストマーなどである場合には、水分散液の状態で前記有機溶媒分散ゾルと混合することができる。しかし、水分散型でない有機樹脂化合物である場合には、あらかじめ有機溶媒に溶解させてから前記有機溶媒分散ゾルと混合することが好ましい。
さらに、前記プライマー層膜形成用塗料組成物中には、必要に応じて前記界面活性剤や前記紫外線吸収剤などを添加してもよい。この場合、前記界面活性剤や前記紫外線吸収剤などは、その物理性状によっても異なるが、そのまま前記混合液中に混合してもよく、また上記の有機溶媒中に溶解または分散させてから混合してもよい。
次に、前記プライマー層膜の形成方法について述べれば、以下の通りである。
上記で得られたプライマー層膜形成用塗料組成物は、ディッピング法、スピンコート法、スプレーコート法、インクジェットコート法などから選ばれた従来公知のコーティング方法を用いて、前記プラスチッレンズ基材上に塗布される。
これにより、より優れた耐衝撃性を有するプラスチックレンズを得ることができる。
次に、本発明に係るプラスチックレンズについて説明する。ただし、上記の製造方法から得られるプラスチックレンズであれば、ここに記載されるものに限定されない。
このようにして得られる本発明に係るプラスチックレンズは、その表面に硬化むらのない積層塗膜を備えており、しかもその積層塗膜は耐熱性、耐衝撃性、密着性、耐擦傷性、耐摩耗性、耐候性、耐褪色性などにおいて優れた性能を有している。
また、前記プラスチックレンズは、前記プラスチックレンズ基材と前記ハードコート層膜との間に、さらにプライマー層膜を設けてなるものであることが好ましい。ここで、前記プライマー層膜は、前記有機樹脂化合物(すなわち、前記熱硬化性有機樹脂および前記熱可塑性有機樹脂から選ばれた少なくとも1種の有機樹脂化合物)と前記金属酸化物微粒子とを含む塗膜を硬化させて得られる硬化膜であって、その膜厚は、0.3〜3.0μm、好ましくは0.5〜2.0μmの範囲にあることが望ましい。
次に、本発明の実施例その他で使用された測定方法および評価試験法を具体的に述べれば、以下の通りである。
ナノサイズの粒子径を有する前記金属酸化物微粒子の水分散ゾル(固形分含有量20重量%)0.15gに純水19.85gを混合して調製した固形分含有量0.15%の試料を、長さ1cm、幅1cm、高さ5cmの石英セルに入れて、動的光散乱法による超微粒子粒度分析装置(大塚電子(株)製、型式ELS−Z2)を用いて、粒子群の粒子径分布を測定する。なお、本発明でいう平均粒子径は、この測定結果をキュムラント解析して算出された値を示す。ただし、前記超微粒子粒度分析装置を用いた動的光散乱法で測定された前記微粒子の粒子径分布より得られる粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡で撮った前記微粒子のTEM写真より得られる粒子の平均粒子径の約3倍の値を示すことが分かった。よって、本発明で規定される前記微粒子の平均粒子径は、他の測定方法より得られる平均粒子径とは異なるものである。
前記金属酸化物微粒子を含む水分散ゾルまたは有機溶媒分散ゾルをエバポレーターに供して分散媒を蒸発させたのち、120℃の温度で乾燥させて乾燥粉末とする。次いで、屈折率が既知の標準液試薬を2〜3滴、ガラス基板上に滴下し、これに前記金属酸化物微粒子の乾燥粉末を混合して混合液を調製する。この操作を、様々な屈折率を有する標準液試薬(MORITEX社製カーギル標準屈折率液)を用いて行い、前記混合液が透明になったときの標準液試薬の屈折率を前記粒子の屈折率とする。
因みに、この測定方法は、1.0〜2.31の屈折率をもつ粒子群の屈折率を測定するために適している。
内壁が黒色である箱の中に蛍光灯「商品名:メロウ5N」(東芝ライテック(株)製、三波長型昼白色蛍光灯)を取り付け、蛍光灯の光を試料基板上に形成された積層塗膜の表面で反射させ、光の干渉による虹模様(干渉縞)の発生を目視にて確認し、以下の基準で評価する。
S:干渉縞が殆ど無い。
A:干渉縞が目立たない。
B:干渉縞が認められるが、許容範囲にある。
C:干渉縞が目立つ。
D:ぎらつきのある干渉縞がある。
試料基板上に形成された積層塗膜の表面をボンスタースチールウール♯0000(日本スチールウール(株)製)で手擦りし、傷の入り具合を目視にて判定し、以下の基準で評価する。
A:殆ど傷が入らない。
B:若干の傷が入る。
C:かなりの傷が入る。
D:擦った面積のほぼ全面に傷が入る。
オリンパス光学株式会社製USPM−RUを用い、可視光域の反射率を測定し、最も反射率の低い値(ボトム反射率)を反射率として用いた。
試料基板上に形成された積層塗膜の表面に、ナイフにより1mm間隔で切れ目を入れ、1平方mmのマス目を100個形成し、セロハン製粘着テープを強く押し付けた後、プラスチックレンズ基板の面内方向に対して90度方向へ急激に引っ張り、この操作を合計5回行い、剥離しないマス目の数を数え、以下の基準で評価する。
良好:剥離していないマス目の数が95個以上。
不良:剥離していないマス目の数が95個未満。
耐熱ビーカーに、温度約90℃のお湯1リットルを入れ、これに分散染料(ダイスタージャパン株式会社製、Daianix Blue AC−E)3gおよび分散剤(センカ(株)製、セモールWS100)1gを加えて、よく攪拌する。次いで、この混合液の温度を約92℃に保ちながら、試料基板(プラスチックレンズ)を20分間浸漬させる。次に、前記試料基板を取り出して水洗した後、塗膜の染まり具合を目視にて判定し、以下の基準で評価する。
○:むらなく染まっている、またはまったく染まっていない。
(すなわち、塗膜が均一に硬化している状態を示す。)
△:染まりに、若干むらがある。
×:染まりに、むらがある。
協和界面科学社製DM301を用い、静的接触角を測定し、撥水性評価とした。
良好:接触角100°以上
不良:接触角100°未満
重さ17gの鋼球を127cmの高さから前記の実施例基板および比較例基板の中心部に落下させ、以下の基準で評価した。
良好:割れない
不良:割れる。
本発明で使用される各種塗料組成物(すなわち、ハードコート層膜形成用塗料、反射防止層膜形成用塗料、トップコート層膜形成用塗料、プライマー層膜形成用塗料などの組成物)をそれぞれビーカーに入れて10℃の温度雰囲気下で攪拌しながら4週間、保管した。さらに、これらの塗料組成物をプラスチックレンズ基板上に塗布して、本発明の各実施例並びに各比較例に示す条件と同様な条件下で、プライマー層膜(ただし、必要に応じて形成される。)、さらにハードコート層膜、反射防止層膜、トップコート層膜の順に積層塗膜を形成した。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。しかし、本発明は、これらの実施例に記載された範囲に限定されるものではない。
[調製例1]
γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(モンメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)100gにメタノール(中国精油(株)製)50gを加えて、攪拌しながら0.01N塩酸25gを滴下した。さらに、室温にて一昼夜攪拌して前記γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシランの加水分解を行った。
γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(モンメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)90g、テトラエトキシシラン(キシダ化学(株)製)20gにメタノール(中国精油(株))50gを加えて、攪拌しながら0.01N塩酸40gを滴下した。さらに、室温にて一昼夜攪拌して前記γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシランおよび前記テトラエトキシシランの加水分解を行った。
なお、前記金属酸化物微粒子含有分散液「オプトレイク1130Z(S−7・A8)」の詳細については、上記したとおりである。
γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(モンメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)100gにメタノール(中国精油(株))50gを加えて、攪拌しながら0.01N塩酸25gを滴下した。さらに、室温にて一昼夜攪拌して前記γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシランの加水分解を行った。
なお、前記金属酸化物微粒子含有分散液「オプトレイク1130Z(S−7・A8)」の詳細については、上記したとおりである。
前記調製例1において、ポリカルボン酸化合物としての無水トリメリト酸の添加量をそれぞれ1g、7g、25gおよび40gに変更した以外は、調製例1に記載の条件下で一昼夜攪拌してハードコート層膜形成用塗料組成物をそれぞれ調製した。これにより、実施例および比較例で使用されるハードコート層膜形成用塗料組成物(以下、それぞれ「ハードコート塗料C2」、「ハードコート塗料H3」、「ハードコート塗料H4」および「ハードコート塗料C3」という)を得た。
[調製例5]
テトラエトキシシラン(キシダ化学(株)製)40g、およびイソプロピルアルコール(キシダ化学(株)製)50gを混合し、攪拌しながら0.1N塩酸10gを滴下した。さらに、30℃の温度にて一昼夜攪拌して前記テトラエトキシシランの加水分解を行った。
テトラエトキシシラン(キシダ化学(株)製)15g、メチルトリエトキシシラン(キシダ化学(株)製)5gおよびプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル日本(株)製)50gを混合し、攪拌しながら0.1N塩酸10gを滴下した。さらに、30℃の温度にて一昼夜攪拌して前記テトラエトキシシランおよび前記メチルトリエトキシシランの加水分解を行った。
[調製例7]
化学式CF3(CF2)7(CH2)2Si(OC2H5)3のフッ素系化合物(東レダウコーニング(株)製、AY43−158E)10gおよび含フッ素有機溶媒(信越化学社製FR−THINNER)500gを混合し、24時間攪拌し、撥水コート処理用塗料組成物(以下、「撥水コート用塗料T1」という)を調製した。
[調製例8]
市販のポリウレタンエマルジョン「スーパーフレックス420」(第一工業製薬(株)製))122g、コア・シェル型の金属酸化物微粒子を含むメタノール分散液「オプトレイク1120Z(S−7・G)」(日揮触媒化成(株)製)250g、メタノール(中国精油(株)製)480gを加えて、室温にて1時間攪拌した。
[調製例9]
以下に示す市販品から、実施例および比較例で試験・評価する上で必要な枚数のプラスチックレンズ基材を用意した。
(a)屈折率1.60のプラスチックレンズ基材A(このレンズ基材は、三井化学(株)製の製品名「MR−8」のモノマーを重合させて得られたもの。)
(b)屈折率1.67のプラスチックレンズ基材B(このレンズ基材は、三井化学(株)製の製品名「MR−7」のモノマーを重合させて得られたもの。)
次いで、これらのプラスチックレンズ基材を、40℃の温度に保った水酸化カリウム水溶液(KOH濃度:10重量%)に2分間浸漬してエッチング処理を行った。さらに、前記水溶液中からこれらのレンズ基材を取り出して水洗した後、十分に乾燥させた。
調製例1で得られたハードコート用塗料H1を入れたポット中に、調製例9で得られたプラスチックレンズ基材B(屈折率:1.67)を浸漬し、さらにディッピング法を用いて該プラスチックレンズ基材Bを120mm/minの速度で引き上げて、該基材の表面に前記ハードコート用塗料H1を塗布した。
次に、得られたプラスチックレンズA-1について、上記の測定方法に基づき、プラスチックレンズ基材上に形成された積層塗膜の外観(干渉渦の観察)、耐擦傷性、密着性、反射防止性、染色性(均一硬化性)、撥水性および耐衝撃性を観測または測定した。その結果を表1に示す。
調製例1で得られたハードコート用塗料H1を入れたポット中に、調製例9で得られたプラスチックレンズ基材B(屈折率:1.67)を浸漬し、さらにディッピング法を用いて該プラスチックレンズ基材Bを120mm/minの速度で引き上げて、該基材の表面に前記ハードコート用塗料H1を塗布した。
調製例2で得られたハードコート用塗料H2を入れたポット中に、調製例9で得られたプラスチックレンズ基材A(屈折率:1.60)を浸漬し、さらにディッピング法を用いて該プラスチックレンズ基材Aを120mm/minの速度で引き上げて、該基材の表面に前記ハードコート用塗料H2を塗布した。
調製例8で得られたプライマー用塗料P1を入れたポット中に、調製例9で得られたプラスチックレンズ基材B(屈折率:1.67)を浸漬し、さらにディッピング法を用いて該プラスチックレンズ基材Bを120mm/minの速度で引き上げて、該基材の表面に前記プライマー用塗料P1を塗布した。
調製例3で得られたハードコート用塗料C1(この塗料には、ポリカルボン酸化合物が含まれていない。)を入れたポット中に、調製例9で得られたプラスチックレンズ基材B(屈折率:1.67)を浸漬し、さらにディッピング法を用いて該プラスチックレンズ基材Bを120mm/minの速度で引き上げて、該基材の表面に前記ハードコート用塗料H1を塗布した。
調製例1で得られたハードコート用塗料H1を入れたポット中に、調製例9で得られたプラスチックレンズ基材B(屈折率:1.67)を浸漬し、さらにディッピング法を用いて該プラスチックレンズ基材Bを120mm/minの速度で引き上げて、該基材の表面に前記ハードコート用塗料H1を塗布した。
調製例2で得られたハードコート用塗料H2を入れたポット中に、調製例9で得られたプラスチックレンズ基材A(屈折率:1.60)を浸漬し、さらにディッピング法を用いて該プラスチックレンズ基材Aを120mm/minの速度で引き上げて、該基材の表面に前記ハードコート用塗料H2を塗布した。
調製例8で得られたプライマー用塗料P1を入れたポット中に、調製例9で得られたプラスチックレンズ基材B(屈折率:1.67)を浸漬し、さらにディッピング法を用いて該プラスチックレンズ基材Bを120mm/minの速度で引き上げて、該基材の表面に前記プライマー用塗料P1を塗布した。
調製例4で得られたハードコート用塗料C2、ハードコート塗料H3、ハードコート塗料H4およびハードコート塗料C3をそれぞれ入れたポット中に、調製例9で得られたプラスチックレンズ基材B(屈折率:1.67)を各1枚ずつ浸漬し、さらにディッピング法を用いて該プラスチックレンズ基材Bを120mm/minの速度で引き上げて、該基材の表面に前記ハードコート用塗料C2、H3、H4およびC3をそれぞれ塗布した。
Claims (16)
- プラスチックレンズ基材上にハードコート層膜を形成し、さらにその表面に反射防止層膜を形成してなるプラスチックレンズの製造方法において、
(1)プラスチックレンズ基材上に、有機ケイ素化合物(A)、金属酸化物微粒子およびポリカルボン酸系化合物とを含むハードコート層膜形成用塗料組成物を塗布する工程、
(2)前記工程(1)で得られた塗膜を60〜110℃の温度条件下で5〜30分間、加熱処理して、該塗膜の予備硬化を行う工程、
(3)前記工程(2)で得られた予備硬化塗膜の表面に、有機ケイ素化合物(B)およびシリカ系微粒子とを含む反射防止層膜形成用塗料組成物を塗布する工程、および
(4)前記工程(3)で得られた積層塗膜に、3〜20μmの波長を有する遠赤外線を5〜30分間、照射して、該積層塗膜を硬化させる工程
を含むことを特徴とするプラスチックレンズの製造方法。 - 前記有機ケイ素化合物(A)および(B)が、下記一般式(I)で表される有機ケイ素化合物および/またはその加水分解物であることを特徴とする請求項1に記載のプラスチックレンズの製造方法。
R1 aR2 bSi(OR3)4-(a+b) (I)
(式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、ビニル基を含有する炭素数8以下の有機基、エポキシ基を含有する炭素数8以下の有機基、メタクリロキシ基を含有する炭素数8以下の有機基、メルカプト基を含有する炭素数1〜5の有機基またはアミノ基を含有する炭素数1〜5の有機基であり、R2は炭素数1〜3のアルキル基、アルキレン基、シクロアルキル基もしくはハロゲン化アルキル基またはアリール基であり、R3は炭素数1〜3のアルキル基、アルキレン基またはシクロアルキル基である。また、aは0または1の整数、bは0、1または2の整数である。) - 前記金属酸化物微粒子が、チタニウム、鉄、亜鉛、タングステン、錫、タンタル、ジルコニウム、アンチモン、ニオブ、インジウム、セリウム、ケイ素、アルミニウム、イットリウム、鉛およびモリブデンから選ばれた少なくとも1種の金属元素の酸化物微粒子または複合酸化物微粒子であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のプラスチックレンズの製造方法。
- 前記金属酸化物微粒子が、チタニウム、鉄、亜鉛、タングステン、錫、タンタル、ジルコニウム、アンチモン、ニオブ、インジウム、セリウム、ケイ素、アルミニウム、イットリウム、鉛およびモリブデンから選ばれた少なくとも1種の金属元素の酸化物微粒子または複合酸化物微粒子からなる核粒子の表面を、ケイ素、ジルコニウム、アンチモン、錫およびアルミニウムから選ばれた少なくとも1種の金属元素の酸化物または複合酸化物で被覆したコア・シェル型の金属酸化物微粒子であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のプラスチックレンズの製造方法。
- 前記ポリカルボン酸系化合物が、ポリカルボン酸またはポリカルボン酸無水物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプラスチックレンズの製造方法。
- 前記ポリカルボン酸系化合物が、該ポリカルボン酸系化合物の重量をXで表し、さらに前記ハードコート層膜形成用塗料組成物中に含まれる有機ケイ素化合物(A)の量をSiO2換算基準で求めた重量をYで表したとき、その重量比(X/Y)が5/100〜45/100となるような割合で該ハードコート層膜形成用塗料組成物中に含まれていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のプラスチックレンズの製造方法。
- 前記シリカ系微粒子が、40〜100nmの平均粒子径を有し、しかも内部に空洞を有する中空シリカ系微粒子であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のプラスチックレンズの製造方法。
- 前記工程(3)で得られた塗膜を、さらに60〜110℃の温度条件下で3〜30分間、加熱処理して、該塗膜の予備硬化を行う工程(3a)を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のプラスチックレンズの製造方法。
- 前記工程(3a)で得られた予備硬化塗膜の表面に、さらにフッ素系化合物またはその加水分解物を含む撥水コート処理用塗料組成物を塗布する工程(3b)を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のプラスチックレンズの製造方法。
- 前記フッ素系化合物が、加水分解基を有するフロロシラン化合物であることを特徴とする請求項9に記載のプラスチックレンズの製造方法。
- 前記工程(4)において前記遠赤外線の照射を、遠赤外線セラミックヒーターを用いて前記積層塗膜の表面温度が70〜130℃となるように行うことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のプラスチックレンズの製造方法。
- 前記プラスチックレンズ基材と前記ハードコート層膜との間に、さらにプライマー層膜を設けることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のプラスチックレンズの製造方法。
- 前記プライマー層膜が、有機樹脂化合物と金属酸化物微粒子とを含むプライマー層膜形成用塗料組成物を前記プラスチックレンズ基材上に塗布して硬化させたものであることを特徴とする請求項12に記載のプラスチックレンズの製造方法。
- (1)プラスチックレンズ基材上に、有機ケイ素化合物(A)、金属酸化物微粒子およびポリカルボン酸系化合物とを含むハードコート層膜形成用塗料組成物を塗布し、(2)得られた塗膜を60〜110℃の温度条件下で5〜30分間、加熱処理して、該塗膜の予備硬化を行ったのち、(3)得られた予備硬化塗膜の表面に、有機ケイ素化合物(B)およびシリカ微粒子とを含む反射防止層膜形成用塗料組成物を塗布し、さらに(4)得られた積層塗膜に、3〜20μmの波長を有する遠赤外線を5〜30分間、照射して、該積層塗膜を硬化させることによって、プラスチックレンズ基材上にハードコート層膜および反射防止層膜を形成してなるプラスチックレンズ。
- (1)プラスチックレンズ基材上に、有機ケイ素化合物(A)、金属酸化物微粒子およびポリカルボン酸系化合物とを含むハードコート層膜形成用塗料組成物を塗布し、(2)得られた塗膜を70〜110℃の温度条件下で5〜20分間、加熱処理して、該塗膜の予備硬化を行ったのち、(3)得られた予備硬化塗膜の表面に、有機ケイ素化合物(B)およびシリカ微粒子とを含む反射防止層膜形成用塗料組成物を塗布し、(3a)得られた塗膜を60〜110℃の温度条件下で3〜30分間、加熱処理して、該塗膜の予備硬化を行ったのち、(3b)フッ素系化合物またはその加水分解物を含む撥水コート処理用塗料組成物を塗布し、さらに(4)得られた積層塗膜に、3〜20μmの波長を有する遠赤外線を5〜30分間、照射して、該積層塗膜を硬化させることによって、プラスチックレンズ基材上にハードコート層膜、反射防止層膜および撥水コート層膜を形成してなるプラスチックレンズ。
- 前記プラスチックレンズ基材と前記ハードコート層膜との間に、さらにプライマー層膜を設けてなることを特徴とする請求項14〜15のいずれかに記載のプラスチックレンズ。
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