JP2008046264A - 光学物品 - Google Patents
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Abstract
【課題】レンズ等の分野で使用される屈折率が1.67より低いプラスチック基材を用いて、耐熱性と十分な反射防止特性を備えた光学物品およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】光学物品は、プラスチック基材上に2層からなる有機系反射防止層が形成され、プラスチック基材の屈折率は、1.67以下であり、有機系反射防止層は、プラスチック基材側に位置する層(高屈折率層)の屈折率が1.6〜2.0であり、大気側に位置する層(低屈折率層)の屈折率が1.3〜1.5である。
【選択図】なし
【解決手段】光学物品は、プラスチック基材上に2層からなる有機系反射防止層が形成され、プラスチック基材の屈折率は、1.67以下であり、有機系反射防止層は、プラスチック基材側に位置する層(高屈折率層)の屈折率が1.6〜2.0であり、大気側に位置する層(低屈折率層)の屈折率が1.3〜1.5である。
【選択図】なし
Description
本発明は、プラスチック眼鏡レンズ等として使用される光学物品に関する。
プラスチックレンズは、ガラスレンズに比べて軽量であり、成形性、加工性、染色性等に優れ、しかも割れにくく安全性も高いため、眼鏡レンズ分野において急速に普及し、その大部分を占めている。また、近年では薄型化、軽量化のさらなる要求に応えるべく、チオウレタン系樹脂やエピスルフィド系樹脂等の高屈折率素材が開発されている。
一方、プラスチックレンズはガラスレンズに比べて傷つき易いため、一般に、レンズ基材の表面にハードコート層を形成し、表面硬度を向上させている。また、表面反射を防止する目的でハードコート層の上面に無機系あるいは有機系の反射防止層を形成することも行われている。例えば、チオウレタン系樹脂やチオエポキシ系樹脂のような高屈折率のレンズ基材上に、レンズ基材より屈折率が0.10以上低い有機系の低屈折率反射防止層を形成してなる、反射防止特性に優れたプラスチックレンズが提案されている(特許文献1参照)。
一方、プラスチックレンズはガラスレンズに比べて傷つき易いため、一般に、レンズ基材の表面にハードコート層を形成し、表面硬度を向上させている。また、表面反射を防止する目的でハードコート層の上面に無機系あるいは有機系の反射防止層を形成することも行われている。例えば、チオウレタン系樹脂やチオエポキシ系樹脂のような高屈折率のレンズ基材上に、レンズ基材より屈折率が0.10以上低い有機系の低屈折率反射防止層を形成してなる、反射防止特性に優れたプラスチックレンズが提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に記載されるような、高屈折率のレンズ基材は、耐熱性が低いという課題を有している。また、レンズ基材の高屈折率化に伴い、耐熱性はさらに低下する傾向にある。
一方、屈折率が1.67より低い低屈折率のレンズ基材は、安価で耐熱性はあっても、反射防止層との屈折率差が小さく十分な反射防止特性が得られない。
そこで、本発明の目的は、レンズ等の分野で汎用的に使用される屈折率が1.67以下のプラスチック基材を用いて、十分な反射防止特性を備えた光学物品を提供することにある。
一方、屈折率が1.67より低い低屈折率のレンズ基材は、安価で耐熱性はあっても、反射防止層との屈折率差が小さく十分な反射防止特性が得られない。
そこで、本発明の目的は、レンズ等の分野で汎用的に使用される屈折率が1.67以下のプラスチック基材を用いて、十分な反射防止特性を備えた光学物品を提供することにある。
前記の課題を解決すべく、本発明の光学物品は、プラスチック基材(以下、単に「基材」ともいう)上に、前記基材側に位置する高屈折率層と大気側に位置する低屈折率層との2層からなる有機系反射防止層が形成されている光学物品であって、前記基材の屈折率は、1.67以下であり、前記2層の有機系反射防止層は、前記高屈折率層の屈折率が前記低屈折率層の屈折率よりも0.1以上高いことを特徴とする。
本発明によれば、通常、1層とされる有機系反射防止層が、前記したように2層(高屈折率層と低屈折率層)とされている。すなわち、基材自体が低屈折率であっても、その上に高屈折率層を設けることで、さらにその上に設けられる低屈折率層との屈折率差を0.1以上と十分に大きくすることにより十分な反射防止特性が得られる。すなわち、汎用性の高い安価な低屈折率基材を用いても十分な反射防止特性が得られる。
なお、この基材は、基材表面に形成されたプライマー層と、このプライマー層の上面に形成されたハードコート層とを有する場合はそれらも含む概念である。
本発明によれば、通常、1層とされる有機系反射防止層が、前記したように2層(高屈折率層と低屈折率層)とされている。すなわち、基材自体が低屈折率であっても、その上に高屈折率層を設けることで、さらにその上に設けられる低屈折率層との屈折率差を0.1以上と十分に大きくすることにより十分な反射防止特性が得られる。すなわち、汎用性の高い安価な低屈折率基材を用いても十分な反射防止特性が得られる。
なお、この基材は、基材表面に形成されたプライマー層と、このプライマー層の上面に形成されたハードコート層とを有する場合はそれらも含む概念である。
前記した光学物品においては、前記高屈折率層と前記低屈折率層との屈折率差を0.1〜0.7とすることにより、より反射防止効果が向上する。そのため、本発明では、前記高屈折率層の屈折率が1.6〜2.0、前記低屈折率層の屈折率が1.3〜1.5である層構成とすることが好ましい。
本発明では、前記した高屈折率層は、酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子と有機ケイ素化合物とを含んだコーティング組成物から形成されることが好ましい。
ここで、有機ケイ素化合物とは、例えば下記式(1)で示されるようなシランカップリング剤であり、適当な方法で加水分解され基材にコートされることで、容易に透明で強固なバインダー樹脂層を形成する。
R1R2 nSiX1 3−n (1)
(式中、R1は、重合可能な反応基を有する有機基であり、R2は炭素数1〜6の炭化水素基であり、X1は加水分解基であり、nは0または1である。)
本発明では、前記した高屈折率層は、酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子と有機ケイ素化合物とを含んだコーティング組成物から形成されることが好ましい。
ここで、有機ケイ素化合物とは、例えば下記式(1)で示されるようなシランカップリング剤であり、適当な方法で加水分解され基材にコートされることで、容易に透明で強固なバインダー樹脂層を形成する。
R1R2 nSiX1 3−n (1)
(式中、R1は、重合可能な反応基を有する有機基であり、R2は炭素数1〜6の炭化水素基であり、X1は加水分解基であり、nは0または1である。)
この発明によれば、酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子がバインダー樹脂中に分散され、高屈折率層を形成できる。
また、前記した酸化チタンはルチル型を用いることが好ましい。ルチル型の結晶構造を有する酸化チタンを含有する金属酸化物粒子は、耐光性に優れている上、アナターゼ型酸化チタンに比べて屈折率が高いために高屈折率層中での使用量を減らせることができ、密着性に寄与する樹脂成分を増量することができる。
また、前記した酸化チタンはルチル型を用いることが好ましい。ルチル型の結晶構造を有する酸化チタンを含有する金属酸化物粒子は、耐光性に優れている上、アナターゼ型酸化チタンに比べて屈折率が高いために高屈折率層中での使用量を減らせることができ、密着性に寄与する樹脂成分を増量することができる。
また、本発明では、高屈折率層は、有機チタン化合物を含んだコーティング組成物から形成されることも好ましい。
ここで、有機チタン化合物とは、例えばチタン系カップリング剤であり、適当な方法で加水分解され基材にコートされることで、酸化チタン粒子を含んだ透明で強固なバインダー樹脂層を形成する。
従って、この発明によれば、特に酸化チタンを含有する金属酸化物粒子を準備しなくとも、有機チタン化合物だけで高屈折率層を形成することが可能となり簡便である。
ここで、有機チタン化合物とは、例えばチタン系カップリング剤であり、適当な方法で加水分解され基材にコートされることで、酸化チタン粒子を含んだ透明で強固なバインダー樹脂層を形成する。
従って、この発明によれば、特に酸化チタンを含有する金属酸化物粒子を準備しなくとも、有機チタン化合物だけで高屈折率層を形成することが可能となり簡便である。
本発明では、前記低屈折率層が内部空洞を有するシリカ系微粒子と、有機ケイ素化合物とを含んだコーティング組成物から形成されていることが好ましい。
ここで、有機ケイ素化合物は、前記した高屈折率層を構成するために用いられる有機ケイ素化合物(式(1))と同じものを使用してもよい。
また、有機ケイ素化合物としては、下記式(2)に示すような含フッ素化合物を用いてもよい。
X2 mR3 3−mSi−Y−SiR3 3−mX2 m (2)
(式中R3は炭素数1〜6の一価炭化水素基。Yはフッ素原子を1個以上含有する二価有機基。X2は加水分解性基。mは1〜3の整数である。)
ここで、有機ケイ素化合物は、前記した高屈折率層を構成するために用いられる有機ケイ素化合物(式(1))と同じものを使用してもよい。
また、有機ケイ素化合物としては、下記式(2)に示すような含フッ素化合物を用いてもよい。
X2 mR3 3−mSi−Y−SiR3 3−mX2 m (2)
(式中R3は炭素数1〜6の一価炭化水素基。Yはフッ素原子を1個以上含有する二価有機基。X2は加水分解性基。mは1〜3の整数である。)
この発明によれば、有機ケイ素化合物から形成された透明で強固な膜の中に、内部空洞を有するシリカ系微粒子が均一に分散しているため、十分屈折率の低い低屈折率層を形成できる。
また、上記式(2)のような含フッ素化合物を用いると、フッ素樹脂が本来持つ低屈折率により低屈折率層の低屈折率化が一層容易となる。なお、前記した式(1)の化合物と式(2)の化合物は混合して用いてもよい。
また、上記式(2)のような含フッ素化合物を用いると、フッ素樹脂が本来持つ低屈折率により低屈折率層の低屈折率化が一層容易となる。なお、前記した式(1)の化合物と式(2)の化合物は混合して用いてもよい。
前記した光学物品は、眼鏡レンズ、カメラレンズ、望遠鏡用レンズ、顕微鏡用レンズ、ステッパー用集光レンズ等のプラスチックレンズとして好適に使用できる。
以下、本発明の光学物品および光学物品の製造方法について実施形態を詳細に説明する。本実施形態の光学物品は眼鏡用のプラスチックレンズである。
本実施形態のプラスチックレンズは、プラスチックレンズ基材と2層の有機系反射防止層とで構成されるが、プラスチックレンズ基材表面に形成されたプライマー層と、このプライマー層の上面に形成されたハードコート層と、このハードコート層の上面に形成された2層からなる有機系反射防止層と、防汚層とを有する構成としても良い。以下、これら各層について説明する。
本実施形態のプラスチックレンズは、プラスチックレンズ基材と2層の有機系反射防止層とで構成されるが、プラスチックレンズ基材表面に形成されたプライマー層と、このプライマー層の上面に形成されたハードコート層と、このハードコート層の上面に形成された2層からなる有機系反射防止層と、防汚層とを有する構成としても良い。以下、これら各層について説明する。
(1.プラスチックレンズ基材)
プラスチックレンズ基材(以下、「レンズ基材」ともいう)の材質としては、屈折率が1.67以下となれば特に限定されない。このようなレンズ素材としては、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR−39)やポリカーボネート、あるいは、イソシアネート基またはイソチオシアネート基を持つ化合物と、メルカプト基を持つ化合物を反応させることによって製造されるポリチオウレタン系プラスチックが挙げられる。
プラスチックレンズ基材(以下、「レンズ基材」ともいう)の材質としては、屈折率が1.67以下となれば特に限定されない。このようなレンズ素材としては、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR−39)やポリカーボネート、あるいは、イソシアネート基またはイソチオシアネート基を持つ化合物と、メルカプト基を持つ化合物を反応させることによって製造されるポリチオウレタン系プラスチックが挙げられる。
(2.プライマー層)
プライマー層は、レンズ基材の最表面に形成され、レンズ基材と後述するハードコート層双方の界面に存在して、レンズ基材とハードコート層双方への密着性を発揮する性質を有し、表面処理膜全体の耐久性を向上させる役割を担う。さらに外部からの衝撃吸収層としての性質も併せ持ち、耐衝撃性を向上させる性質も有する。
このようなプライマー層としては、極性を有する有機樹脂ポリマーと、酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子とを含むコーティング組成物を用いて形成されることが好ましい。
プライマー層は、レンズ基材の最表面に形成され、レンズ基材と後述するハードコート層双方の界面に存在して、レンズ基材とハードコート層双方への密着性を発揮する性質を有し、表面処理膜全体の耐久性を向上させる役割を担う。さらに外部からの衝撃吸収層としての性質も併せ持ち、耐衝撃性を向上させる性質も有する。
このようなプライマー層としては、極性を有する有機樹脂ポリマーと、酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子とを含むコーティング組成物を用いて形成されることが好ましい。
有機樹脂ポリマーは、レンズ基材とハードコート層の双方に密着性を発現する。金属酸化物微粒子は、フィラーとしてプライマー層の架橋密度向上に作用して、耐水性、耐候性や耐光性の向上を図ることができる。上記有機樹脂ポリマーとしては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂等の各種樹脂を使用することが可能である。この内、硫黄原子を含むレンズ基材に対する密着性とフィラーとなる金属酸化物微粒子の分散性の点から、ポリエステル樹脂を好ましく用いることができる。
一方、酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子としては、耐光性の観点から、ルチル型の結晶構造を有する酸化チタンを含有する複合型を用いることが好ましい。この金属酸化物微粒子の平均粒径は、1〜200nmが好ましく、より好ましくは5〜30nmを用いる。
一方、酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子としては、耐光性の観点から、ルチル型の結晶構造を有する酸化チタンを含有する複合型を用いることが好ましい。この金属酸化物微粒子の平均粒径は、1〜200nmが好ましく、より好ましくは5〜30nmを用いる。
コーティング用組成物(コーティング液)の塗布にあたっては、レンズ基材とプライマー被膜の密着性の向上を目的として、レンズ基材の表面を予めアルカリ処理、酸処理、界面活性剤処理、無機あるいは有機の微粒子による剥離/研磨処理、プラズマ処理を行うことが効果的である。また、コーティング用組成物の塗布/硬化方法としては、ディッピング法、スピンコート法、スプレーコート法、ロールコート法、あるいは、フローコート法等によりコーティング用組成物を塗布した後、40〜200℃の温度で数時間加熱/乾燥することにより、プライマー層を形成できる。
また、プライマー層の膜厚は、0.01〜50μm、特に0.1〜30μmの範囲が好ましい。プライマー層が薄すぎると耐水性や耐衝撃性などの基本性能が実現できず、逆に厚すぎると、表面の平滑性が損なわれたり、光学的歪や白濁、曇りなどの外観欠点を発生する場合がある。なお、プライマー層の屈折率は、干渉縞の発生を避けるため、レンズ基材の屈折率に合わせることが好ましい。
また、プライマー層の膜厚は、0.01〜50μm、特に0.1〜30μmの範囲が好ましい。プライマー層が薄すぎると耐水性や耐衝撃性などの基本性能が実現できず、逆に厚すぎると、表面の平滑性が損なわれたり、光学的歪や白濁、曇りなどの外観欠点を発生する場合がある。なお、プライマー層の屈折率は、干渉縞の発生を避けるため、レンズ基材の屈折率に合わせることが好ましい。
(3.ハードコート層)
ハードコート層は、レンズ基材表面に形成されたプライマー層上に形成される。ハードコート層は、酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子と、下記式(1)で示される有機ケイ素化合物とを含むコーティング組成物を用いて形成されることが好ましい。
R1R2 nSiX1 3−n (1)
(式中、R1は、重合可能な反応基を有する有機基であり、R2は炭素数1〜6の炭化水素基であり、X1は加水分解基であり、nは0または1である。)
ハードコート層は、レンズ基材表面に形成されたプライマー層上に形成される。ハードコート層は、酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子と、下記式(1)で示される有機ケイ素化合物とを含むコーティング組成物を用いて形成されることが好ましい。
R1R2 nSiX1 3−n (1)
(式中、R1は、重合可能な反応基を有する有機基であり、R2は炭素数1〜6の炭化水素基であり、X1は加水分解基であり、nは0または1である。)
酸化チタンとしては、耐候性や耐光性の観点よりルチル型の結晶構造を有することが好ましい。
式(1)で示される有機ケイ素化合物は、いわゆるシランカップリング剤であり、ハードコート層のバインダー樹脂としての役割を果たす。式(1)中、R1は、重合可能な反応基を有する有機基であり、炭素数は2以上である。R1はビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基、1−メチルビニル基、エポキシ基、メルカプト基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基等の重合可能な反応基を有する。また、X1は、加水分解可能な官能基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基等のアルコキシ基、クロロ基、ブロモ基等のハロゲン基、アシルオキシ基等があげられる。R2は、炭素数1〜6の一価炭化水素基を表すが、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、フェニル基等を例示することができる。良好な耐擦傷性を得るには、メチル基が好ましい。
式(1)で示される有機ケイ素化合物は、いわゆるシランカップリング剤であり、ハードコート層のバインダー樹脂としての役割を果たす。式(1)中、R1は、重合可能な反応基を有する有機基であり、炭素数は2以上である。R1はビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基、1−メチルビニル基、エポキシ基、メルカプト基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基等の重合可能な反応基を有する。また、X1は、加水分解可能な官能基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基等のアルコキシ基、クロロ基、ブロモ基等のハロゲン基、アシルオキシ基等があげられる。R2は、炭素数1〜6の一価炭化水素基を表すが、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、フェニル基等を例示することができる。良好な耐擦傷性を得るには、メチル基が好ましい。
有機ケイ素化合物としては、例えば、ビニルトリアルコキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、アリルトリアルコキシシラン、アクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリアルコキシシラン、メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン等があげられる。この「B成分」の有機ケイ素化合物は、2種類以上を混合して用いてもよい。
そして、ハードコート層を形成するためのハードコート液を製造する際には、金属酸化物微粒子が分散したゾルと、有機ケイ素化合物とを混合することが好ましい。金属酸化物微粒子の配合量は、ハードコート層の硬度や、屈折率等により決定されるものであるが、ハードコート液中の固形分の5〜80質量%、特に10〜60質量%であることが好ましい。配合量が少なすぎると、ハードコート層の耐磨耗性が不十分となり、配合量が多すぎると、ハードコート層にクラックが生じることがある。また、ハードコート層を染色する場合には、染色性が低下する場合もある。
なお、ハードコート層には、他に多官能性エポキシ化合物を含有することが非常に有用である。多官能性エポキシ化合物は、プライマー層に対するハードコート層の密着性を向上させるとともに−、ハードコート層の耐水性およびプラスチックレンズとしての耐衝撃性を向上させることができる。多官能性エポキシ化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ化合物、イソホロンジオールジグリシジルエーテル、ビス−2,2−ヒドロキシシクロヘキシルプロパンジグリシジルエーテル等の脂環族エポキシ化合物、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ化合物等が挙げられる。
さらに、ハードコート層に硬化触媒を添加してもよい。硬化触媒としては、例えば、過塩素酸、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸マグネシウム等の過塩素酸類、Cu(II)、Zn(II)、Co(II)、Ni(II)、BE(II)、CE(III)、Ta(III)、Ti(III)、Mn(III)、La(III)、Cr(III)、V(III)、Co(III)、FE(III)、Al(III)、CE(IV)、Zr(IV)、V(IV)等を中心金属原子とするアセチルアセトナート、アミン、グリシン等のアミノ酸、ルイス酸、有機酸金属塩等が挙げられる。
このようにして得られるハードコート層形成用のコーティング組成物(コーティング液)は、必要に応じ、溶剤に希釈して用いることができる。溶剤としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、芳香族類等の溶剤が用いられる。また、必要に応じて、少量の金属キレート化合物、界面活性剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、分散染料、油溶染料、顔料、フォトクロミック化合物、ヒンダードアミン、ヒンダードフェノール系等の耐光耐熱安定剤等を添加し、コーティング液の塗布性、硬化速度および硬化後の被膜性能を改良することもできる。
また、コーティング液の塗布・硬化方法としては、ディッピング法、スピンコート法、スプレーコート法、ロールコート法、あるいは、フローコート法によりコーティング用組成物を塗布した後、40〜200℃の温度で数時間加熱乾燥することにより、ハードコート被膜を形成する。なお、ハードコート層の膜厚は、0.05〜30μmであることが好ましい。膜厚が0.05μm未満では、基本性能が実現できない。また、膜厚が30μmを越えると表面の平滑性が損なわれたり、光学歪みが発生してしまう場合がある。なお、ハードコート層の屈折率は、干渉縞の発生を避けるため、レンズ基材、プライマー層の屈折率に合わせることが好ましい。
(4.有機系反射防止層)
本実施形態における有機系反射防止層は、ハードコート層上に形成される2層の有機薄膜から構成される。この2層の有機薄膜は、レンズ基材側に位置する層(高屈折率層)と大気側に位置する層(低屈折率層)とから成り立っている。すなわち、レンズ基材側に位置する層の屈折率が、大気側に位置する層の屈折率よりも高く構成されている。
以下、本実施形態における高屈折率層と低屈折率層について具体的に説明する。
本実施形態における有機系反射防止層は、ハードコート層上に形成される2層の有機薄膜から構成される。この2層の有機薄膜は、レンズ基材側に位置する層(高屈折率層)と大気側に位置する層(低屈折率層)とから成り立っている。すなわち、レンズ基材側に位置する層の屈折率が、大気側に位置する層の屈折率よりも高く構成されている。
以下、本実施形態における高屈折率層と低屈折率層について具体的に説明する。
(4-1.高屈折率層)
高屈折率層は、酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子と有機ケイ素化合物とを含んだコーティング組成物、あるいは、有機チタン化合物を含んだコーティング組成物から好ましく形成される。
ここで、酸化チタンとしては、例えば、酸化チタンおよび酸化スズ、または酸化チタン、酸化スズおよび酸化ケイ素からなるルチル型の結晶構造を有する複合酸化物を含む平均粒径1〜200nmの金属酸化物微粒子(複合微粒子)を挙げることができる。ルチル型の結晶構造を有する酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子を使用することで、耐候性や耐光性がより向上する。また、ルチル型の結晶構造を有する酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子は、アナターゼ型に比べて屈折率が高いためにA層中での使用量を減らせることができ、密着性に寄与する樹脂成分を増量することができる。
高屈折率層は、酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子と有機ケイ素化合物とを含んだコーティング組成物、あるいは、有機チタン化合物を含んだコーティング組成物から好ましく形成される。
ここで、酸化チタンとしては、例えば、酸化チタンおよび酸化スズ、または酸化チタン、酸化スズおよび酸化ケイ素からなるルチル型の結晶構造を有する複合酸化物を含む平均粒径1〜200nmの金属酸化物微粒子(複合微粒子)を挙げることができる。ルチル型の結晶構造を有する酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子を使用することで、耐候性や耐光性がより向上する。また、ルチル型の結晶構造を有する酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子は、アナターゼ型に比べて屈折率が高いためにA層中での使用量を減らせることができ、密着性に寄与する樹脂成分を増量することができる。
酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子の種類や配合量は、目的とする硬度や屈折率等により決定されるものであるが、配合量は高屈折率層用コーティング組成物中の固形分の5〜80質量%、特に10〜50質量%の範囲であることが望ましい。配合量が少なすぎると、コーティング膜の耐摩耗性が不十分となる場合がある。一方、配合量が多すぎると、コーティング膜にクラックが生じ、染色性も不十分となる場合がある。
有機ケイ素化合物については、前記したハードコート層で用いられる有機ケイ素化合物が好適に用いられる。
有機ケイ素化合物については、前記したハードコート層で用いられる有機ケイ素化合物が好適に用いられる。
有機チタン化合物としては、例えば、下記式(3)で示されるチタン系カップリング剤が好適に使用できる。
(R4O)aTiR5 bR6 c (3)
(ここで、a+b+c=4であり、a、b、cは0〜4から選ばれる整数であり、R4、R5、R6は水素または、飽和、不飽和の炭化水素基であり、炭化水素基には官能基が導入されていても良い。)
炭化水素基としては、炭素数が1〜10であるものが好ましく、炭素数1〜6を有するものがより好ましい。特に好ましくは、例えば、R4としては、イソプロポキシル、n−ブトキシ基をあげることができ、R5、R6は、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、メルカプト基を有するアセトナト、アミナト基をあげることができる。
(R4O)aTiR5 bR6 c (3)
(ここで、a+b+c=4であり、a、b、cは0〜4から選ばれる整数であり、R4、R5、R6は水素または、飽和、不飽和の炭化水素基であり、炭化水素基には官能基が導入されていても良い。)
炭化水素基としては、炭素数が1〜10であるものが好ましく、炭素数1〜6を有するものがより好ましい。特に好ましくは、例えば、R4としては、イソプロポキシル、n−ブトキシ基をあげることができ、R5、R6は、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、メルカプト基を有するアセトナト、アミナト基をあげることができる。
より具体的には、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラn−ブトキシチタン、イソプロポキシチタントリイソステアレート、イソプロポキシチタンジメタクリレートイソステアレート、イソプロポキシチタントリドデシルベンゼンスルホネート、イソプロポキシチタントリスジオクチルフォスフェート、イソプロポキシチタントリN−エチルアミノエチルアミナト、チタニウムビスジオクチルピロフォスフェートオキシアセテート、ビスジオクチルフォスフェートエチレングリコラトチタン、テトライソプロポキシチタンビスジオクチルフォスファイト、ジn−ブトキシビストリエタノールアミナトチタン等をあげることができる。これらのチタン系カップリング剤は、結合の一部が加水分解、脱水縮合して生じる2個以上の重縮合体であってもよい。また2種類以上のものを併用、重縮合させて用いても差し支えない。
(4-2.低屈折率層)
低屈折率層は、内部空洞を有するシリカ系微粒子(以下、「中空シリカ系微粒子」ともいう)と、有機ケイ素化合物とを含んだコーティング剤から好適に形成される。
ここで、中空シリカ系微粒子を用いるのは、内部空洞内にシリカよりも屈折率が低い気体または溶媒が包含されることによって、空洞のないシリカ系微粒子に比べてより屈折率が低減し、低屈折率層の低屈折率化が達成されるからである。内部空洞を有するシリカ系微粒子は、特開2001−233611号公報に記載されている方法等で製造することができるが、本発明では、平均粒径が1〜150nmの範囲にあり、かつ屈折率が1.16〜1.39の範囲にあるものを使用することが望ましい。粒子の平均粒径が1nm未満になると、粒子内部の空隙率が小さくなって、所望の低屈折率が得られなくなる。また、平均粒径が150nmを超えると、低屈折率層のヘイズが増加するので好ましくない。なお、好ましい平均粒径は、以下の式で計算することができる。
平均粒径=(設計波長(nm)/有機系反射防止層屈折率)×1/4
なお、平均粒径1〜150nm、屈折率1.16〜1.39の中空シリカ系微粒子を含む分散ゾルが市販されている(例えば、触媒化成工業(株)製、スルーリア、およびレキューム)。
低屈折率層は、内部空洞を有するシリカ系微粒子(以下、「中空シリカ系微粒子」ともいう)と、有機ケイ素化合物とを含んだコーティング剤から好適に形成される。
ここで、中空シリカ系微粒子を用いるのは、内部空洞内にシリカよりも屈折率が低い気体または溶媒が包含されることによって、空洞のないシリカ系微粒子に比べてより屈折率が低減し、低屈折率層の低屈折率化が達成されるからである。内部空洞を有するシリカ系微粒子は、特開2001−233611号公報に記載されている方法等で製造することができるが、本発明では、平均粒径が1〜150nmの範囲にあり、かつ屈折率が1.16〜1.39の範囲にあるものを使用することが望ましい。粒子の平均粒径が1nm未満になると、粒子内部の空隙率が小さくなって、所望の低屈折率が得られなくなる。また、平均粒径が150nmを超えると、低屈折率層のヘイズが増加するので好ましくない。なお、好ましい平均粒径は、以下の式で計算することができる。
平均粒径=(設計波長(nm)/有機系反射防止層屈折率)×1/4
なお、平均粒径1〜150nm、屈折率1.16〜1.39の中空シリカ系微粒子を含む分散ゾルが市販されている(例えば、触媒化成工業(株)製、スルーリア、およびレキューム)。
また、有機ケイ素化合物は、前記した高屈折率層を構成するために用いられる有機ケイ素化合物(式(1))と同じものを使用してもよい。
さらに、有機ケイ素化合物としては、下記式(2)に示すような含フッ素化合物を用いてもよい。
X2 mR3 3−mSi−Y−SiR3 3−mX2 m (2)
(式中R3は炭素数1〜6の一価炭化水素基。Yはフッ素原子を1個以上含有する二価有機基。X2は加水分解性基。mは1〜3の整数である。)
さらに、有機ケイ素化合物としては、下記式(2)に示すような含フッ素化合物を用いてもよい。
X2 mR3 3−mSi−Y−SiR3 3−mX2 m (2)
(式中R3は炭素数1〜6の一価炭化水素基。Yはフッ素原子を1個以上含有する二価有機基。X2は加水分解性基。mは1〜3の整数である。)
式(2)で示される含フッ素化合物も有機ケイ素化合物と同様に、最終的に有機系反射防止層におけるシリカ系微粒子のバインダー樹脂として働く。また、このような含フッ素化合物を用いると、含フッ素化合物が本来持つ低屈折率により有機系反射防止層の低屈折率化が一層容易となる。
R3は、炭素数1〜6の一価炭化水素基を表すが、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、フェニル基等を例示することができる。良好な耐擦傷性を得るには、メチル基が好ましい。mは1〜3の整数であるが、好ましくは2又は3とするものであり、特に高硬度な被膜にするにはm=3とするのが好ましい。Xは、加水分解性基を表す。具体例としては、Clなどのハロゲン原子、ORX(RXは炭素数1〜6の一価炭化水素基)で示されるオルガノオキシ基、特にメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、イソプロペノキシ基などのアルケノキシ基、アセトキシ基等のアシルオキシ基、メチルエチルケトキシム基等のケトオキシム基、メトキシエトキシ基等のアルコキシアルコキシ基などを挙げることができる。これらの中でアルコキシ基が好ましく、特にメトキシ基、エトキシ基のシラン化合物が取り扱い易く、加水分解時の反応の制御もし易いため、好ましい。
R3は、炭素数1〜6の一価炭化水素基を表すが、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、フェニル基等を例示することができる。良好な耐擦傷性を得るには、メチル基が好ましい。mは1〜3の整数であるが、好ましくは2又は3とするものであり、特に高硬度な被膜にするにはm=3とするのが好ましい。Xは、加水分解性基を表す。具体例としては、Clなどのハロゲン原子、ORX(RXは炭素数1〜6の一価炭化水素基)で示されるオルガノオキシ基、特にメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、イソプロペノキシ基などのアルケノキシ基、アセトキシ基等のアシルオキシ基、メチルエチルケトキシム基等のケトオキシム基、メトキシエトキシ基等のアルコキシアルコキシ基などを挙げることができる。これらの中でアルコキシ基が好ましく、特にメトキシ基、エトキシ基のシラン化合物が取り扱い易く、加水分解時の反応の制御もし易いため、好ましい。
式(2)において、フッ素原子の個数は好ましくは4〜50個、特に好ましくは4〜24個である。反射防止性、防汚性、撥水性等の諸機能を良好に発現させるためには、フッ素原子を多量に含有していることが好ましいが、多すぎると、架橋密度が低下するため十分な耐擦傷性が得られない場合が生ずる。従って、Yとしては下記の構造のものが好ましい。
−CH2CH2(CF2)nCH2CH2−
−C2H4−CF(CF3)−(CF2)n−CF(CF3)−C2H4−
上記構造式中のnとしては2〜20の値が好ましく、より好ましくは2〜12、特に好ましくは4〜10の範囲を満たすことがよい。これより少ないと、反射防止性、防汚性、撥水性等の諸機能、及び耐薬品性を十分に得ることができない場合があり、多すぎると、架橋密度が低下するため十分な耐擦傷性が得られない場合が生ずる。
−CH2CH2(CF2)nCH2CH2−
−C2H4−CF(CF3)−(CF2)n−CF(CF3)−C2H4−
上記構造式中のnとしては2〜20の値が好ましく、より好ましくは2〜12、特に好ましくは4〜10の範囲を満たすことがよい。これより少ないと、反射防止性、防汚性、撥水性等の諸機能、及び耐薬品性を十分に得ることができない場合があり、多すぎると、架橋密度が低下するため十分な耐擦傷性が得られない場合が生ずる。
なお、このコーティング組成物中には、有機系反射防止層の耐擦傷性(耐摩耗性)向上のために、分子中に1個以上のエポキシ基を含有するエポキシ基含有有機化合物を含むことが好ましい。このようなエポキシ基含有有機化合物としては、例えば、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
また、高屈折率層や低屈折率層の形成に用いられるコーティング組成物には、シリコーン系、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系、メラミン系などの樹脂を併用してもよい。このうち特に、プラスチックレンズとしての耐熱性、耐薬品性、耐擦傷性、などの諸特性を考慮した場合は、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂を含むことが好ましく、この際に、表面硬度の向上や、屈折率の調整のため、微粒子状無機物(金属酸化物微粒子)などを添加することも可能である。添加する微粒子状無機物としては、コロイド状に分散したゾルなどが挙げられる。なお、低屈折率層の低屈折率化という観点からは、フッ化マグネシウムゾル、フッ化カルシウムゾルなどが挙げられる。
このような高屈折率層や低屈折率層を形成するためのコーティング組成物には、必要に応じて、少量の硬化触媒(レンズ基材製造用重合触媒)や、光重合開始剤、酸発生剤、界面活性剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ヒンダードアミン・ヒンダートフェノール等の光安定剤、分散染料・油溶染料・蛍光染料・顔料等を添加し、コーティング組成物(コーティング液)の塗布性の向上や、重合硬化後の被膜性能を改良することができる。
高屈折率層および低屈折率層からなる有機系反射防止層は、上述したコーティング組成物を用いて、湿式法によりハードコート層上に各々所定の屈折率を持った有機薄膜として好適に形成することができる。
湿式法による有機系反射防止層の形成方法としては、ディッピング法、スピンナー法、スプレー法、フロー法などの公知の方法を用いることができる。これらの形成方法のうちで、プラスチックレンズのような曲面形状に膜厚が50〜150nmの薄膜をムラなく形成することを考慮すると、ディッピング法、またはスピンナー法が好ましい。なお、ハードコート層上に有機系反射防止層を形成する際には、ハードコート層表面に前処理を行うことが好ましい。この前処理の具体例としては、表面研磨、紫外線−オゾン洗浄、プラズマ処理等によりハードコート層表面を親水化(接触角θ=60°以下)する方法が有効である。
湿式法による有機系反射防止層の形成方法としては、ディッピング法、スピンナー法、スプレー法、フロー法などの公知の方法を用いることができる。これらの形成方法のうちで、プラスチックレンズのような曲面形状に膜厚が50〜150nmの薄膜をムラなく形成することを考慮すると、ディッピング法、またはスピンナー法が好ましい。なお、ハードコート層上に有機系反射防止層を形成する際には、ハードコート層表面に前処理を行うことが好ましい。この前処理の具体例としては、表面研磨、紫外線−オゾン洗浄、プラズマ処理等によりハードコート層表面を親水化(接触角θ=60°以下)する方法が有効である。
有機系反射防止層の具体的な形成方法は、高屈折率層も低屈折率層も基本的に同じであり、以下のような手順により行われる。まず、有機ケイ素化合物を有機溶剤で希釈し、その後必要に応じて水または薄い塩酸、酢酸等を添加して加水分解を行う。さらに、金属酸化物微粒子あるいは中空シリカ系微粒子を有機溶剤中にコロイド状に分散した系を添加する。その後、必要に応じ、硬化触媒、光重合開始剤、酸発生剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを添加し、十分に撹拌した後にコーティング組成物(コーティング液)として用いる。なお、高屈折率層において、有機チタン化合物を用いる場合は、金属酸化物微粒子の添加は不要である。
このとき、硬化後の固形分に対して、コーティング液の希釈する濃度は、好ましくは固形分濃度として0.5〜15質量%であり、より好ましくは1〜10質量%である。固形分濃度が15質量%を越えた場合には、ディッピング法で引き上げ速度を遅くしたり、スピンナー法で回転数を高くしても、所定の膜厚を得ることが困難であり、膜厚が必要以上に厚くなってしまう。また、固形分濃度が0.5質量%に満たない場合には、ディッピング法で引き上げ速度を早くしたり、スピンナー法で回転数を遅くしても、膜厚が必要よりも薄くなってしまい所定の膜厚を得ることが困難である。また、速度を速くし過ぎたり、回転数を遅くし過ぎると、レンズ上での塗りムラが大きくなりやすく、界面活性剤等の添加でも対応仕切れなくなってしまう。
コーティング液をレンズ基材に塗布後、熱または紫外線及びその併用によって硬化させ有機系反射防止層が得られるが、加熱処理によって硬化させることが好ましい。加熱処理の際の加熱温度は、コーティング液の組成、レンズ基材の耐熱性等を考慮して決定されるが、50〜200℃が好ましく、より好ましくは80〜140℃である。
前記した方法で得られた有機系反射防止層の屈折率として好ましい値は、高屈折率層の屈折率として1.6〜2.0であり、低屈折率層の屈折率として1.3〜1.5である。両層の屈折率の差が0.1より小さいと反射防止効果が低下する。両層の屈折率差は0.15以上が好ましく、さらに好ましくは0.20以上とする必要がある。
得られる有機系反射防止層の膜厚は高屈折率層が100〜200nmの範囲、低屈折率層が100〜200nmの範囲であることが好ましい。膜厚がこの範囲より厚すぎたり薄すぎると十分な反射防止効果が得られないおそれがある。
得られる有機系反射防止層の膜厚は高屈折率層が100〜200nmの範囲、低屈折率層が100〜200nmの範囲であることが好ましい。膜厚がこの範囲より厚すぎたり薄すぎると十分な反射防止効果が得られないおそれがある。
(5.防汚層)
以上のように、レンズ基材上にプライマー層、ハードコート層および有機系反射防止層が形成されたプラスチックレンズには、さらにプラスチックレンズ表面の撥水撥油性能を向上させる目的で、反射防止膜上にフッ素を含有する有機ケイ素化合物からなる防汚層を形成することができる。フッ素を含有する有機ケイ素化合物としては、例えば、特開2005−301208号公報や特開2006−126782号公報に記載されている含フッ素シラン化合物合物を好適に使用することができる。
含フッ素シラン化合物は、有機溶剤に溶解し、所定濃度に調整した撥水処理液を用いて有機系反射防止層上に塗布する方法を採用することができる。塗布方法としては、ディッピング法、スピンコート法等を用いることができる。
防汚層の膜厚は、特に限定されないが、0.001〜0.5μmが好ましい。より好ましくは0.001〜0.03μmである。防汚層の膜厚が薄すぎると撥水撥油効果が乏しくなり、厚すぎると表面がべたつくので好ましくない。また、防汚層の厚さが0.03μmより厚くなると反射防止効果が低下するため好ましくない。
以上のように、レンズ基材上にプライマー層、ハードコート層および有機系反射防止層が形成されたプラスチックレンズには、さらにプラスチックレンズ表面の撥水撥油性能を向上させる目的で、反射防止膜上にフッ素を含有する有機ケイ素化合物からなる防汚層を形成することができる。フッ素を含有する有機ケイ素化合物としては、例えば、特開2005−301208号公報や特開2006−126782号公報に記載されている含フッ素シラン化合物合物を好適に使用することができる。
含フッ素シラン化合物は、有機溶剤に溶解し、所定濃度に調整した撥水処理液を用いて有機系反射防止層上に塗布する方法を採用することができる。塗布方法としては、ディッピング法、スピンコート法等を用いることができる。
防汚層の膜厚は、特に限定されないが、0.001〜0.5μmが好ましい。より好ましくは0.001〜0.03μmである。防汚層の膜厚が薄すぎると撥水撥油効果が乏しくなり、厚すぎると表面がべたつくので好ましくない。また、防汚層の厚さが0.03μmより厚くなると反射防止効果が低下するため好ましくない。
以上のような本実施形態のプラスチック眼鏡レンズは、有機系反射防止層として、レンズ基材側から、屈折率が1.6〜2.0の高屈折率層と屈折率が1.3〜1.5である低屈折率層により形成されているため、屈折率が1.67以下のいわゆる低屈折率のレンズ基材を用いても、結果として十分な反射防止特性が得られる。すなわち、汎用性の高い安価な低屈折率基材を用いても十分な反射防止特性が得られることになる。
また、レンズ基材の表面に、2層からなる有機系反射防止層を湿式法により形成するだけで、反射防止効果に優れた眼鏡レンズを製造することができるので、真空装置等の大型設備が不要となり、製造にかかるコストを低減させることが可能となる。また、プライマー層やハードコート層を設ける場合、有機系反射防止層を連続して湿式法で形成できるので、眼鏡レンズの製造に手間を要しない。
さらには、真空蒸着法やスパッタリング法などの乾式法で形成される無機系反射防止層は、下層のレンズ基材や有機系被膜からなるハードコート層との大きな熱膨張率差により耐熱性が低いのに対して、湿式法により形成される有機系反射防止層は、レンズ基材やハードコート層との熱膨張率差が小さいことから加熱によるクラックの発生が起こり難くなり、耐熱性に優れた眼鏡レンズを提供できる。
また、レンズ基材の表面に、2層からなる有機系反射防止層を湿式法により形成するだけで、反射防止効果に優れた眼鏡レンズを製造することができるので、真空装置等の大型設備が不要となり、製造にかかるコストを低減させることが可能となる。また、プライマー層やハードコート層を設ける場合、有機系反射防止層を連続して湿式法で形成できるので、眼鏡レンズの製造に手間を要しない。
さらには、真空蒸着法やスパッタリング法などの乾式法で形成される無機系反射防止層は、下層のレンズ基材や有機系被膜からなるハードコート層との大きな熱膨張率差により耐熱性が低いのに対して、湿式法により形成される有機系反射防止層は、レンズ基材やハードコート層との熱膨張率差が小さいことから加熱によるクラックの発生が起こり難くなり、耐熱性に優れた眼鏡レンズを提供できる。
次に、本発明の実施形態に基づく実施例および比較例を説明する。具体的には、以下に示す方法でプラスチック眼鏡レンズを製造して、反射率や耐熱性など各種の評価を行った。
(実施例1)
(1)プラスチックレンズ基材
チオウレタン系のプラスチックレンズ基材(セイコーエプソン(株)製セイコースーパーソブリン、屈折率1.67)を準備した。
(実施例1)
(1)プラスチックレンズ基材
チオウレタン系のプラスチックレンズ基材(セイコーエプソン(株)製セイコースーパーソブリン、屈折率1.67)を準備した。
(2)高屈折率層用コーティング組成物の調製
ステンレス製容器に、プロピレングリコールモノメチルエーテル177.4質量部を投入し、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2.5質量部を加えて十分攪拌した後、0.1モル/リットル塩酸水溶液1.2質量部を添加して一昼夜攪拌を続け、シラン加水分解物を得た。このシラン加水分解物中に、シリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名L−7001)0.1質量部を加えて1時間攪拌した後、酸化チタン、酸化スズ、酸化ケイ素を主体とする複合微粒子ゾル(ルチル型結晶構造、メタノール分散、触媒化成工業(株)製)18.0質量部を加えて2時間攪拌混合した。次いでエポキシ樹脂(ナガセ化成(株)製、商品名EX−313)0.6質量部を加えて2時間攪拌した後、鉄(III)アセチルアセトナート0.1質量部を加えて1時間攪拌し、2μmのフィルターで濾過を行い、高屈折率層用コーティング組成物を得た。
ステンレス製容器に、プロピレングリコールモノメチルエーテル177.4質量部を投入し、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2.5質量部を加えて十分攪拌した後、0.1モル/リットル塩酸水溶液1.2質量部を添加して一昼夜攪拌を続け、シラン加水分解物を得た。このシラン加水分解物中に、シリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名L−7001)0.1質量部を加えて1時間攪拌した後、酸化チタン、酸化スズ、酸化ケイ素を主体とする複合微粒子ゾル(ルチル型結晶構造、メタノール分散、触媒化成工業(株)製)18.0質量部を加えて2時間攪拌混合した。次いでエポキシ樹脂(ナガセ化成(株)製、商品名EX−313)0.6質量部を加えて2時間攪拌した後、鉄(III)アセチルアセトナート0.1質量部を加えて1時間攪拌し、2μmのフィルターで濾過を行い、高屈折率層用コーティング組成物を得た。
(3)低屈折率層用コーティング組成物の調製
下記式で示す含フッ素シラン化合物47.8質量部(0.08モル)にメタノール312.4質量部を加え、更にγ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン4.7質量部(0.02モル)、0.1モル/リットル塩酸水溶液36質量部を加えて、これを攪拌混合して混合液を得た。この混合液を25℃の恒温槽で2時間攪拌して固形分濃度10質量%のシリコーンレジンを得た。
(CH3O)3Si−C2H4−C6F12−C2H4−Si(OCH3)3
このシリコーンレジンと、中空シリカ−イソプロパノール分散ゾル(触媒化成工業(株)製、固形分濃度20質量%、平均一次粒子径35nm、外殻厚み8nm)をシリコーンレジン/中空シリカが固形分比80/20となるように配合し、プロピレングリコールモノメチルエーテル935質量部を加えて希釈し、固形分濃度が3質量%である低屈折率層用コーティング組成物を得た。
下記式で示す含フッ素シラン化合物47.8質量部(0.08モル)にメタノール312.4質量部を加え、更にγ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン4.7質量部(0.02モル)、0.1モル/リットル塩酸水溶液36質量部を加えて、これを攪拌混合して混合液を得た。この混合液を25℃の恒温槽で2時間攪拌して固形分濃度10質量%のシリコーンレジンを得た。
(CH3O)3Si−C2H4−C6F12−C2H4−Si(OCH3)3
このシリコーンレジンと、中空シリカ−イソプロパノール分散ゾル(触媒化成工業(株)製、固形分濃度20質量%、平均一次粒子径35nm、外殻厚み8nm)をシリコーンレジン/中空シリカが固形分比80/20となるように配合し、プロピレングリコールモノメチルエーテル935質量部を加えて希釈し、固形分濃度が3質量%である低屈折率層用コーティング組成物を得た。
(4)有機系反射防止層の形成
前記(1)で得られたプラスチックレンズ基材をアルカリ処理(50℃に保たれた2モル/リットルの水酸化カリウム水溶液に5分間浸漬した後、純水で洗浄し、次いで25℃に保たれた1.0モル/リットル硫酸に1分間浸漬して中和処理を行う)し、純水洗浄および乾燥、放冷を行った。そして、前記(2)で調整した高屈折率層用コーティング組成物をスピンコートにより片面に塗布し、120℃で20分焼成した後、残る片面に同様にスピンコートし、120℃で10分焼成した。次いで前記(3)で調整した低屈折率層用コーティング組成物をスピンコートにより片面に塗布し、120℃で20分焼成した後、残る片面に同様にスピンコートし、120℃で10分焼成した。その後、125℃に保たれたオーブン内で2時間加熱して、高屈折率層および低屈折率層からなる有機系反射防止層が形成されたプラスチックレンズを得た。形成された有機系反射防止層は、高屈折率層の屈折率が1.80、膜厚が150nm、低屈折率層の屈折率が1.37、膜厚が100nmであった。
前記(1)で得られたプラスチックレンズ基材をアルカリ処理(50℃に保たれた2モル/リットルの水酸化カリウム水溶液に5分間浸漬した後、純水で洗浄し、次いで25℃に保たれた1.0モル/リットル硫酸に1分間浸漬して中和処理を行う)し、純水洗浄および乾燥、放冷を行った。そして、前記(2)で調整した高屈折率層用コーティング組成物をスピンコートにより片面に塗布し、120℃で20分焼成した後、残る片面に同様にスピンコートし、120℃で10分焼成した。次いで前記(3)で調整した低屈折率層用コーティング組成物をスピンコートにより片面に塗布し、120℃で20分焼成した後、残る片面に同様にスピンコートし、120℃で10分焼成した。その後、125℃に保たれたオーブン内で2時間加熱して、高屈折率層および低屈折率層からなる有機系反射防止層が形成されたプラスチックレンズを得た。形成された有機系反射防止層は、高屈折率層の屈折率が1.80、膜厚が150nm、低屈折率層の屈折率が1.37、膜厚が100nmであった。
(実施例2)
実施例2は、レンズ基材の上面にプライマー層およびハードコート層を形成し、その後、実施例1と同様にして有機系反射防止層を形成し、さらにその上に防汚層を形成したものである。
(5)プライマー層用コーティング組成物の調製
ステンレス製容器内に、メチルアルコール3700質量部、純水250質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル1000質量部を投入し、十分に攪拌した後、酸化チタン、酸化スズ、酸化ケイ素を主体とする複合微粒子ゾル(ルチル型結晶構造、メタノール分散、全固形分濃度20質量%、触媒化成工業(株)製、商品名オプトレイク1120Z(8RU−7・G))2800質量部を加え攪拌混合した。次いでポリエステル樹脂2200質量部を加えて攪拌混合した後、更にシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名L−7604)2質量部を加えて一昼夜攪拌を続けた後、2μmのフィルターで濾過を行い、プライマー層用コーティング組成物を得た。
実施例2は、レンズ基材の上面にプライマー層およびハードコート層を形成し、その後、実施例1と同様にして有機系反射防止層を形成し、さらにその上に防汚層を形成したものである。
(5)プライマー層用コーティング組成物の調製
ステンレス製容器内に、メチルアルコール3700質量部、純水250質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル1000質量部を投入し、十分に攪拌した後、酸化チタン、酸化スズ、酸化ケイ素を主体とする複合微粒子ゾル(ルチル型結晶構造、メタノール分散、全固形分濃度20質量%、触媒化成工業(株)製、商品名オプトレイク1120Z(8RU−7・G))2800質量部を加え攪拌混合した。次いでポリエステル樹脂2200質量部を加えて攪拌混合した後、更にシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名L−7604)2質量部を加えて一昼夜攪拌を続けた後、2μmのフィルターで濾過を行い、プライマー層用コーティング組成物を得た。
(6)ハードコート層用コーティング組成物の調製
ステンレス製容器に、ブチルセロソルブ1000質量部を投入し、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1200質量部を加えて十分攪拌した後、0.1モル/リットル塩酸水溶液300質量部を添加して一昼夜攪拌を続け、シラン加水分解物を得た。このシラン加水分解物中にシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名L−7001)30質量部を加えて1時間攪拌した後、酸化チタン、酸化スズ、酸化ケイ素を主体とする複合微粒子ゾル(ルチル型結晶構造、メタノール分散、触媒化成工業(株)製、商品名オプトレイク1120Z(8RU−25・A17))7300質量部を加えて2時間攪拌混合した。次いでエポキシ樹脂(ナガセ化成(株)製、商品名EX−313)250質量部を加えて2時間攪拌した後、鉄(III)アセチルアセトナート20質量部を加えて1時間攪拌し、2μmのフィルターで濾過を行い、ハードコート層用コーティング組成物を得た。
ステンレス製容器に、ブチルセロソルブ1000質量部を投入し、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1200質量部を加えて十分攪拌した後、0.1モル/リットル塩酸水溶液300質量部を添加して一昼夜攪拌を続け、シラン加水分解物を得た。このシラン加水分解物中にシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名L−7001)30質量部を加えて1時間攪拌した後、酸化チタン、酸化スズ、酸化ケイ素を主体とする複合微粒子ゾル(ルチル型結晶構造、メタノール分散、触媒化成工業(株)製、商品名オプトレイク1120Z(8RU−25・A17))7300質量部を加えて2時間攪拌混合した。次いでエポキシ樹脂(ナガセ化成(株)製、商品名EX−313)250質量部を加えて2時間攪拌した後、鉄(III)アセチルアセトナート20質量部を加えて1時間攪拌し、2μmのフィルターで濾過を行い、ハードコート層用コーティング組成物を得た。
(7)防汚層用コーティング組成物の調製
含フッ素シラン化合物(信越化学工業(株)製、商品名KY−130およびKP−801を固形分比80/20となるように配合)を、パーフルオロヘキサンに希釈して固形分濃度0.3質量%の防汚層用コーティング組成物を調整した。
含フッ素シラン化合物(信越化学工業(株)製、商品名KY−130およびKP−801を固形分比80/20となるように配合)を、パーフルオロヘキサンに希釈して固形分濃度0.3質量%の防汚層用コーティング組成物を調整した。
(8)プライマー層、ハードコート層、有機系反射防止層および防汚層の形成
前記(1)で得られたプラスチックレンズ基材をアルカリ処理(50℃に保たれた2モル/リットルの水酸化カリウム水溶液に5分間浸漬した後、純水で洗浄し、次いで25℃に保たれた1.0モル/リットル硫酸に1分間浸漬して中和処理を行う)し、純水洗浄および乾燥、放冷を行った。そして、前記(5)で調整したプライマー組成物中に浸漬し、引き上げ速度200mm/分でディップコートして80℃で20分焼成し、プラスチック基材表面にプライマー層を形成した。次いで、プライマー層が形成されたプラスチックレンズを前記(6)で調整したハードコート組成物中に浸漬し、引き上げ速度400mm/分でディップコートして80℃で30分焼成し、プライマー層上にハードコート層を形成した。その後、125℃に保たれたオーブン内で3時間加熱して、プライマー層とハードコート層が形成されたプラスチックレンズを得た。形成されたプライマー層の膜厚は0.5μm、屈折率1.67、ハードコート層の膜厚は2.3μm、屈折率1.67であった。
前記(1)で得られたプラスチックレンズ基材をアルカリ処理(50℃に保たれた2モル/リットルの水酸化カリウム水溶液に5分間浸漬した後、純水で洗浄し、次いで25℃に保たれた1.0モル/リットル硫酸に1分間浸漬して中和処理を行う)し、純水洗浄および乾燥、放冷を行った。そして、前記(5)で調整したプライマー組成物中に浸漬し、引き上げ速度200mm/分でディップコートして80℃で20分焼成し、プラスチック基材表面にプライマー層を形成した。次いで、プライマー層が形成されたプラスチックレンズを前記(6)で調整したハードコート組成物中に浸漬し、引き上げ速度400mm/分でディップコートして80℃で30分焼成し、プライマー層上にハードコート層を形成した。その後、125℃に保たれたオーブン内で3時間加熱して、プライマー層とハードコート層が形成されたプラスチックレンズを得た。形成されたプライマー層の膜厚は0.5μm、屈折率1.67、ハードコート層の膜厚は2.3μm、屈折率1.67であった。
次に、プライマー層とハードコート層が形成されたプラスチックレンズをプラズマ処理(大気プラズマ)した後、前記(2)で調整した高屈折率層用コーティング組成物をスピンコートにより片面に塗布し、120℃で20分焼成した後、残る片面に同様にスピンコートし、120℃で10分焼成した。次いで前記(3)で調整した低屈折率層用コーティング組成物をスピンコートにより片面に塗布し、120℃で20分焼成した後、残る片面に同様にスピンコートし、120℃で10分焼成した。その後、125℃に保たれたオーブン内で2時間加熱して高屈折率層および低屈折率層からなる有機系反射防止層を形成し、プライマー層、ハードコート層および有機系反射防止層が形成されたプラスチックレンズを得た。形成された有機系反射防止層は、高屈折率層の屈折率が1.80、膜厚が150nm、低屈折率層の屈折率が1.37、膜厚が100nmであった。
続いて、プライマー層、ハードコート層および有機系反射防止層が形成されたプラスチックレンズを前記(5)で調整した防汚層用コーティング組成物中に浸漬し、引き上げ速度150mm/分でディップコートして60℃で10分焼成し、その後温度90℃,相対湿度90%に保たれた恒温恒湿槽に投入し、2時間保持した後、100℃に保たれたオーブン内で2時間加熱して、プライマー層、ハードコート層、有機系反射防止層および防汚層が形成されたプラスチックレンズを得た。
続いて、プライマー層、ハードコート層および有機系反射防止層が形成されたプラスチックレンズを前記(5)で調整した防汚層用コーティング組成物中に浸漬し、引き上げ速度150mm/分でディップコートして60℃で10分焼成し、その後温度90℃,相対湿度90%に保たれた恒温恒湿槽に投入し、2時間保持した後、100℃に保たれたオーブン内で2時間加熱して、プライマー層、ハードコート層、有機系反射防止層および防汚層が形成されたプラスチックレンズを得た。
(実施例3)
レンズ基材としてセイコースーパーソブリン(屈折率1.67)の代わりに、チオウレタン系のプラスチックレンズ基材(セイコーエプソン(株)製 セイコースーパールーシャス、屈折率1.60)を用いた以外は、実施例2と同様にしてプラスチックレンズを製造した。
レンズ基材としてセイコースーパーソブリン(屈折率1.67)の代わりに、チオウレタン系のプラスチックレンズ基材(セイコーエプソン(株)製 セイコースーパールーシャス、屈折率1.60)を用いた以外は、実施例2と同様にしてプラスチックレンズを製造した。
(実施例4)
レンズ基材としてセイコースーパーソブリン(屈折率1.67)の代わりに、市販ポリカーボネートレンズ(屈折率1.59)を用いた以外は、実施例2と同様にしてプラスチックレンズを製造した。
レンズ基材としてセイコースーパーソブリン(屈折率1.67)の代わりに、市販ポリカーボネートレンズ(屈折率1.59)を用いた以外は、実施例2と同様にしてプラスチックレンズを製造した。
(実施例5)
レンズ基材としてセイコースーパーソブリン(屈折率1.67)の代わりに、
チオウレタン系のプラスチックレンズ基材(セイコーエプソン(株)製 セイコースーパールーシャス、屈折率1.60)を用い、高屈折率膜用コーティング組成物を以下の手順で調整した以外は、実施例2と同様にしてプラスチックレンズを製造した。
窒素雰囲気下でステンレス製容器に、1−ブタノール182.3質量部を投入し、テトラブトキシチタン13.7質量部を加えて十分攪拌した後、0.01モル/リットル塩酸水溶液2.5質量部を添加して一昼夜攪拌を続け、チタン加水分解物を得た。このチタン加水分解物中に、シリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名L−7001)0.1質量部を加えて1時間攪拌した後、エポキシ樹脂(ナガセ化成(株)製、商品名EX−313)0.6質量部を加えて2時間攪拌した後、2μmのフィルターで濾過を行い、高屈折率層用コーティング組成物を得た。この組成物により形成された有機系反射防止層は、高屈折率層の屈折率が1.85、膜厚が148nmであった。
レンズ基材としてセイコースーパーソブリン(屈折率1.67)の代わりに、
チオウレタン系のプラスチックレンズ基材(セイコーエプソン(株)製 セイコースーパールーシャス、屈折率1.60)を用い、高屈折率膜用コーティング組成物を以下の手順で調整した以外は、実施例2と同様にしてプラスチックレンズを製造した。
窒素雰囲気下でステンレス製容器に、1−ブタノール182.3質量部を投入し、テトラブトキシチタン13.7質量部を加えて十分攪拌した後、0.01モル/リットル塩酸水溶液2.5質量部を添加して一昼夜攪拌を続け、チタン加水分解物を得た。このチタン加水分解物中に、シリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名L−7001)0.1質量部を加えて1時間攪拌した後、エポキシ樹脂(ナガセ化成(株)製、商品名EX−313)0.6質量部を加えて2時間攪拌した後、2μmのフィルターで濾過を行い、高屈折率層用コーティング組成物を得た。この組成物により形成された有機系反射防止層は、高屈折率層の屈折率が1.85、膜厚が148nmであった。
(実施例6)
プラスチックレンズ基材としてセイコースーパーソブリン(屈折率1.67)を用いる代わりに、市販ポリカーボネートレンズ(屈折率1.59)を用いた以外は、実施例5と同様にしてプラスチックレンズを製造した。
プラスチックレンズ基材としてセイコースーパーソブリン(屈折率1.67)を用いる代わりに、市販ポリカーボネートレンズ(屈折率1.59)を用いた以外は、実施例5と同様にしてプラスチックレンズを製造した。
(比較例1)
高屈折率層を形成せずにプライマー層、ハードコート層、低屈折率層および防汚層を形成した以外は、実施例2と同様にしてプラスチックレンズを製造した。
高屈折率層を形成せずにプライマー層、ハードコート層、低屈折率層および防汚層を形成した以外は、実施例2と同様にしてプラスチックレンズを製造した。
(比較例2)
高屈折率層を形成せずにプライマー層、ハードコート層、低屈折率層および防汚層を形成した以外は、実施例3と同様にしてプラスチックレンズを製造した。
高屈折率層を形成せずにプライマー層、ハードコート層、低屈折率層および防汚層を形成した以外は、実施例3と同様にしてプラスチックレンズを製造した。
(比較例3)
高屈折率層を形成せずにプライマー層、ハードコート層、低屈折率層および防汚層を形成した以外は、実施例4と同様にしてプラスチックレンズを製造した。
高屈折率層を形成せずにプライマー層、ハードコート層、低屈折率層および防汚層を形成した以外は、実施例4と同様にしてプラスチックレンズを製造した。
(評価方法)
以上の実施例1〜6、および比較例1〜3により得られたプラスチックレンズの物性を以下に示す方法で評価した。評価項目は、反射率、耐擦傷性、初期密着性、耐湿性、耐温水性、耐光性、耐アルカリ性、耐熱性および耐衝撃性の9項目である。
以上の実施例1〜6、および比較例1〜3により得られたプラスチックレンズの物性を以下に示す方法で評価した。評価項目は、反射率、耐擦傷性、初期密着性、耐湿性、耐温水性、耐光性、耐アルカリ性、耐熱性および耐衝撃性の9項目である。
(1)反射率
レンズの反射率を分光光度計を用いて測定し、得られた視感度曲線に従って視感度補正した反射率に換算した(波長範囲(380〜780nm)における平均値)。図1〜図9に各実施例・比較例により得られたプラスチックレンズの波長−反射率曲線を示す。
レンズの反射率を分光光度計を用いて測定し、得られた視感度曲線に従って視感度補正した反射率に換算した(波長範囲(380〜780nm)における平均値)。図1〜図9に各実施例・比較例により得られたプラスチックレンズの波長−反射率曲線を示す。
(2)耐擦傷性
レンズ表面に、スチールウール#0000を荷重1kgで印加し、3〜4cmの距離を10往復擦ったのち、目視でレンズ表面に入った傷の状態を下記のA〜Eの5水準の基準で評価した。
A:全く傷がない
B:1〜5本の傷が確認される
C:6〜20本の傷が確認される
D:21本以上の傷があるが曇りには見えない状態
E:多数の傷があり曇りに近い状態。
レンズ表面に、スチールウール#0000を荷重1kgで印加し、3〜4cmの距離を10往復擦ったのち、目視でレンズ表面に入った傷の状態を下記のA〜Eの5水準の基準で評価した。
A:全く傷がない
B:1〜5本の傷が確認される
C:6〜20本の傷が確認される
D:21本以上の傷があるが曇りには見えない状態
E:多数の傷があり曇りに近い状態。
(3)初期密着性
レンズ表面を約1mm間隔で基盤目状に100目クロスカットし、このクロスカットした部分に、粘着テープ(ニチバン(株)製、商品名セロテープ(登録商標))を強く貼り付けたのち、急速に粘着テープを剥がし、粘着テープを剥がした後の基盤目に膜剥がれ状態を下記のa〜eの5水準で評価した。
a:全く膜剥がれがない(膜剥がれ目数=0/100)
b:ほとんど膜剥がれがない(膜剥がれ目数=1〜5/100)
c:やや膜剥がれが発生(膜剥がれ目数=6〜20/100)
d:膜剥がれ発生(膜剥がれ目数=21〜50/100)
e:密着不良(膜剥がれ目数=51〜100/100)
レンズ表面を約1mm間隔で基盤目状に100目クロスカットし、このクロスカットした部分に、粘着テープ(ニチバン(株)製、商品名セロテープ(登録商標))を強く貼り付けたのち、急速に粘着テープを剥がし、粘着テープを剥がした後の基盤目に膜剥がれ状態を下記のa〜eの5水準で評価した。
a:全く膜剥がれがない(膜剥がれ目数=0/100)
b:ほとんど膜剥がれがない(膜剥がれ目数=1〜5/100)
c:やや膜剥がれが発生(膜剥がれ目数=6〜20/100)
d:膜剥がれ発生(膜剥がれ目数=21〜50/100)
e:密着不良(膜剥がれ目数=51〜100/100)
(4)耐湿性
レンズを恒温恒湿炉(40℃、90RH%)中に10日間放置し、その後恒温恒湿炉中からレンズを取り出して、室温下で3時間放置した後、密着性試験を行った。密着性試験は、(3)初期密着性と同一の方法、同一の評価基準で行った。
レンズを恒温恒湿炉(40℃、90RH%)中に10日間放置し、その後恒温恒湿炉中からレンズを取り出して、室温下で3時間放置した後、密着性試験を行った。密着性試験は、(3)初期密着性と同一の方法、同一の評価基準で行った。
(5)耐温水性
レンズを80℃の温水中に2時間浸漬し、その後レンズを温水中から取り出して水冷した後、密着性試験を行った。密着性試験は、(3)初期密着性と同一の方法、同一の評価基準で行った。
レンズを80℃の温水中に2時間浸漬し、その後レンズを温水中から取り出して水冷した後、密着性試験を行った。密着性試験は、(3)初期密着性と同一の方法、同一の評価基準で行った。
(6)耐光性
レンズを、キセノンロングライフウェザーメーター(スガ試験機(株)製)にて200時間照射を行い、キセノンロングライフウェザーメーターからレンズを取り出して水冷した後、密着性試験を行った。密着性試験は、(3)初期密着性と同一の方法、同一の評価基準で行った。
レンズを、キセノンロングライフウェザーメーター(スガ試験機(株)製)にて200時間照射を行い、キセノンロングライフウェザーメーターからレンズを取り出して水冷した後、密着性試験を行った。密着性試験は、(3)初期密着性と同一の方法、同一の評価基準で行った。
(7)耐アルカリ性
20℃の10質量%水酸化ナトリウム水溶液中に、レンズを1時間浸漬し、レンズを取り出して水洗浄した後、密着性試験を行った。密着性試験は、(3)初期密着性と同一の方法、同一の評価基準で行った。
20℃の10質量%水酸化ナトリウム水溶液中に、レンズを1時間浸漬し、レンズを取り出して水洗浄した後、密着性試験を行った。密着性試験は、(3)初期密着性と同一の方法、同一の評価基準で行った。
(8)耐熱性
眼鏡フレーム形状に合わせてレンズを玉摺り加工した後、眼鏡フレームにはめ込んで、ネジで完全に締めつけ、60℃の恒温槽に30分投入した。その後レンズを取り出し、室温下で1時間放冷してからクラック発生の有無を評価した。クラックが発生していない場合は65℃の恒温槽に30分追加投入した後クラック発生の有無を評価した。これ以降は順次5℃ずつ昇温した恒温槽に30分間追加投入していき、クラックが発生した温度を耐熱限界温度とした。
眼鏡フレーム形状に合わせてレンズを玉摺り加工した後、眼鏡フレームにはめ込んで、ネジで完全に締めつけ、60℃の恒温槽に30分投入した。その後レンズを取り出し、室温下で1時間放冷してからクラック発生の有無を評価した。クラックが発生していない場合は65℃の恒温槽に30分追加投入した後クラック発生の有無を評価した。これ以降は順次5℃ずつ昇温した恒温槽に30分間追加投入していき、クラックが発生した温度を耐熱限界温度とした。
(9)耐衝撃性
16.3gの剛球を高さ127cmの位置からレンズ表面に垂直落下させた際に、破壊しなかったものを○、破壊もしくは貫通したものを×として評価した。
16.3gの剛球を高さ127cmの位置からレンズ表面に垂直落下させた際に、破壊しなかったものを○、破壊もしくは貫通したものを×として評価した。
表1の結果から、実施例1〜6の眼鏡レンズは、いずれも可視領域における反射率が0.6%と低く反射防止効果に優れていることがわかる。特に、実施例3〜6のように、耐熱性のあるレンズ基材であっても基材自体の屈折率が低いため、これまで十分な反射防止効果を発揮できなかった眼鏡レンズに対し、十分な反射防止特性を与えている点は極めて重要である。また、実施例1〜4では、高屈折率層の形成に、ルチル型の結晶構造を有する酸化チタンを含む金属酸化物微粒子を使用しているため、特に耐光性が向上している。
一方、比較例1〜3は、有機系反射防止層がいずれも単層の低屈折率層であるため、化下層との屈折率差を大きくできず、そのため可視領域における反射率がいずれも1.0%以上であり、反射防止効果に劣っている。
一方、比較例1〜3は、有機系反射防止層がいずれも単層の低屈折率層であるため、化下層との屈折率差を大きくできず、そのため可視領域における反射率がいずれも1.0%以上であり、反射防止効果に劣っている。
本発明は、プラスチックレンズであれば制限なく適用することができる。光学部品としては、例えば、眼鏡レンズ、カメラレンズ、望遠鏡用レンズ、顕微鏡用レンズ、ステッパー用集光レンズ等の光学レンズを挙げることができる。
Claims (6)
- プラスチック基材上に、前記プラスチック基材側に位置する高屈折率層と大気側に位置する低屈折率層との2層からなる有機系反射防止層が形成されている光学物品であって、
前記プラスチック基材の屈折率は、1.67以下であり、
前記有機系反射防止層は、前記高屈折率層の屈折率が前記低屈折率層の屈折率よりも0.1以上高いことを特徴とする光学物品。 - 請求項1に記載の光学物品において、
前記高屈折率層の屈折率が1.6〜2.0であり、
前記低屈折率層の屈折率が1.3〜1.5であることを特徴とする光学物品。 - 請求項1または請求項2に記載の光学物品において、
前記高屈折率層が酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子と、有機ケイ素化合物とを含んだコーティング組成物から形成されていることを特徴とする光学物品。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の光学物品において、
前記高屈折率層が有機チタン化合物を含んだコーティング組成物から形成されていることを特徴とする光学物品。 - 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の光学物品において、
前記低屈折率層が内部空洞を有するシリカ系微粒子と、有機ケイ素化合物とを含んだコーティング組成物から形成されていること特徴とする光学物品。 - 請求項1〜請求項5に記載の光学物品がプラスチックレンズであることを特徴とする光学物品。
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-
2006
- 2006-08-11 JP JP2006220490A patent/JP2008046264A/ja not_active Withdrawn
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