JP2012137438A - 放射線画像検出装置及びその製造方法 - Google Patents

放射線画像検出装置及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】放射線が光検出器側からシンチレータに向かって照射される放射線画像検出装置において、光検出器とシンチレータとの密着性を確保すること。
【解決手段】放射線の照射によって蛍光を発するシンチレータ200と、シンチレータ200が発した蛍光を電気信号として検出する光検出器40と、を備え、シンチレータ200は、放射線の進行方向において光検出器40の後側に配置されるとともに、蛍光物質の結晶が柱状に成長してなる柱状結晶20Aの群で形成された柱状部20およびこの柱状部20の光検出器40側に設けられる第1非柱状部23を有する。
【選択図】図4

Description

本発明は、医療用のX線撮影装置などに用いられる放射線画像検出装置、及びその製造方法に関する。
近年、X線をデジタルデータに変換するFPD(Flat Panel Detector)等のX線画像検出装置を用いたDR(Digital Radiography)が実用化されている。X線画像検出装置は、従来のイメージングプレートを用いるCR(Computed Radiography)方式に比べて、即時に画像を確認できるといったメリットがあり、急速に普及が進んでいる。
X線画像検出装置には、種々の方式のものが提案されており、例えば、X線を一旦、CsI:Tl、GOS(GdS:Tb)などのシンチレータで可視光に変換し、変換した光を半導体層で電荷に変換して蓄積する間接変換方式がある。間接変換方式のX線画像検出装置は、シンチレータと、半導体層を含む光検出器とを有する。
このようなX線画像検出装置においては、例えば生体などに使用される場合には、照射するX線の量を低くすることが望ましく、発光量が高い感度の優れたシンチレータが望まれている。そこで、光検出器近傍での発光量を高めるために、光検出器のガラス基板上にCsl等のシンチレータを蒸着し、光検出器側からシンチレータに向けてX線を照射するように構成されたX線画像検出装置が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
ここで、理論上は、シンチレータの結晶相が厚いほど感度が向上するが、実際には結晶相の厚みをある程度以上厚くすると、光がシンチレータを通過する際に減衰したり散乱したりして、十分な感度が得られなかったり、画像のボケが生じるなどの問題がある。そのため、発した蛍光をガイドする柱状結晶の集合体が用いられている(例えば、特許文献3)。このような柱状結晶によってシンチレータのパネルの厚み方向に光がガイドされて光検出器に入射するので、検出画像の鮮鋭度が向上する。
ここで、特許文献3のX線画像検出装置は、光電変換素子を備えたセンサ基板と、センサ基板上に配され、大気圧プラズマ処理された表面を有する蛍光体下地層と、この蛍光体下地層上に接して形成された柱状結晶を含む蛍光体層(シンチレータ)とを備えている。このような下地層への大気圧プラズマ処理により、下地層と蛍光体層との密着性を高めている。
特許第3333278号 特開2001−330677号公報 特開2004−325442号公報
X線画像検出装置では、シンチレータと光検出器のセンサ基板との密着性が極めて重要である。特許文献3では下地層と蛍光体層との密着性を向上させているが、この構成ではセンサ基板とシンチレータとの密着性を確保することはできない。
センサ基板との密着性が悪ければ落下等の衝撃時にセンサ基板からシンチレータが分離し、分離した部分に直接衝撃が加わるとシンチレータが損傷するおそれがある。また、密着性が悪ければ、シンチレータとセンサ基板との熱膨張量の違いなどにより、センサ基板からシンチレータが剥離し易い。更に、センサ基板とシンチレータとの密着性にムラが生じると、検出画像の画質に影響する。
以上から、本発明は、光検出器とシンチレータとの密着性を確保することを目的とする。
本発明の放射線画像検出装置は、
放射線の照射によって蛍光を発するシンチレータと、
前記シンチレータが発した蛍光を電気信号として検出する光検出器と、を備え、
前記シンチレータは、放射線の進行方向において前記光検出器の後側に配置されるとともに、蛍光物質の結晶が柱状に成長してなる柱状結晶の群で形成された柱状部及びこの柱状部の前記光検出器側に設けられる第1非柱状部を有する。
また、本発明の放射線画像検出装置の製造方法は、
上述のシンチレータの製造方法であって、
支持体上に、気相堆積法により前記シンチレータを形成する際に、真空度、支持体温度、及び蒸着レートの少なくともいずれかの条件を変更することで、前記柱状部及び前記第1非柱状部を少なくとも含むシンチレータを形成するシンチレータ形成工程を含む。
X線画像検出装置の概略構成を模式的に示す側断面図である。 光検出器の概略構成を模式的に示す側断面図である。 センサ基板を模式的に示す平面図である。 柱状部、第1非柱状部、及び第2非柱状部を有するシンチレータを模式的に示す側断面図である。 柱状部の柱状結晶断面を示す電子顕微鏡写真である(SEM画像)。 非柱状部の断面を示す電子顕微鏡写真である(SEM画像)。 柱状部及び第1非柱状部を有するシンチレータを模式的に示す側断面図である。 センサ基板にシンチレータが直接蒸着された構成を模式的に示す側断面図である。 図8の構成におけるシンチレータを模式的に示す側断面図である。
以下、本発明の実施形態を説明するためのX線画像検出装置(放射線画像検出装置)の一例を図1〜図6を参照して説明する。
なお、既に述べた構成と同様の構成については同一符号を付してその説明を省略し、既に述べた構成との差異についてのみ説明する。
〔1.全体構成〕
図1は、間接変換方式のX線画像検出装置1の概略構成を模式的に示す側断面図である。X線画像検出装置1は、X線の照射によって発光するシンチレータ200を含むシンチレータパネル10と、シンチレータ200から発光した光を電気信号として検出する光検出器40とを備えている。
X線画像検出装置1では、図1の白抜き矢印で示すように、被写体を通過したX線が光検出器40側からシンチレータ200に向かって照射される。シンチレータパネル10は、X線の進行方向において光検出器40よりも後側に配置されている。X線が光検出器40のセンサ基板400を介してシンチレータ200に入射すると、シンチレータ200がX線を吸収して発光し、その光はセンサ基板400に形成された光電変換素子に入射する。センサ基板400の光電変換素子に蓄積された電荷は電気信号として出力される。
シンチレータパネル10のX線入射方向とは反対側には、光検出器40を駆動制御する制御モジュール50が設けられている。制御モジュール50は、センサ基板400を駆動制御する制御部としてのICや、画像信号を処理するIC等が実装された回路基板、及び電源回路などを有する。この制御モジュール50は、シンチレータパネル10及び光検出器40に一体に組み付けられている。
〔2.光検出器の構成〕
図2は、光検出器40の構成を模式的に示す側断面図である。図3は、センサ基板400の構成を模式的に示す平面図である。光検出器40は、半導体層が形成された平面視矩形状のセンサ基板400を有する。センサ基板400は、ガラス等の絶縁性基板401と、a−Siフォトダイオード等の光電変換素子41と、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)からなるスイッチング素子42とを含んで構成されている。
絶縁性基板401としては、例えば、ガラス基板、各種セラミック基板、樹脂基板を用いることができる。なお、絶縁性基板401の材料は、これらに限られるものではない。
光電変換素子41は、シンチレータ200から入射した光(図2の実線矢印)を電荷に変換する光導電層410と、光導電層410にバイアス電圧を印加するためのバイアス電極411と、光導電層410に蓄積された電荷を収集する電荷収集電極412とが積層されて構成されている。図3に示すように、光電変換素子41は二次元配列され、各光電変換素子41は光検出器40によって検出される画像の画素を構成する。
各光電変換素子41には、図3に示すように、スイッチング素子42、ゲート線43、及びデータ線44がそれぞれ設けられている。各ゲート線43及び各データ線44は、接続端子45まで延設され、この接続端子45に接続された異方性導電膜等のフレキシブル配線46を介して制御モジュール50(図1)の回路基板に接続されている。その回路基板に実装された制御部からゲート線43を通じて送られる制御信号により、各スイッチング素子42のオンオフが行単位で切り替えられ、スイッチング素子42がオン状態にある光電変換素子41の電荷がデータ線44を介して回路基板の信号処理部に画像信号として読み出される。光電変換素子41の電荷が行単位で順に読み出されることにより、二次元画像が検出される。
なお、上記の構成では、ゲート線43とデータ線44とが直交して延設されているが、ゲート線43及びデータ線44が平行に延設され、センサ基板400の周端部の一辺に配置された接続端子にこれらゲート線43及びデータ線44が接続される構成であってもよい。
上述のゲート線43、データ線44、スイッチング素子42、及び光電変換素子41は、絶縁性基板401のシンチレータパネル10側の面に形成されている。これらゲート線43、データ線44、スイッチング素子42、及び光電変換素子41は、フォトエッチングプロセス等により、絶縁性基板401上に順次形成されている。図2では、センサ基板400の最表層に設けられた樹脂製の膜47によってセンサ基板400の表面が平坦化されているが、この樹脂製の膜47はなくてもよい。センサ基板400とシンチレータパネル10とは、接着層48を介して貼り合わせられている。
なお、センサ基板400とシンチレータパネル10との間には、接着層48や樹脂製の膜47がなくてもよく、センサ基板400表面とシンチレータパネル10とを対向させて直接密着させていてもよい。
また、後述する例(図8及び図9)のように、センサ基板400上にシンチレータが蒸着形成されていてもよい。
〔3.シンチレータパネルの構成〕
〔3−1.全体構成〕
シンチレータパネル10は、図1に示すように、支持体(基板)101と、支持体101上に気相堆積法によって蒸着されたシンチレータ200と、シンチレータ200を被覆して支持体101上に封止するパリレン等の保護膜(防湿膜)30とを有する。気相堆積法によって形成されたパリレンの保護膜は、シンチレータ200との密着性が良く、その上柔軟性を有するので、支持体101のソリ等への追従性が良い。
支持体101は、X線の透過率が高くかつ光を反射するAl等の材料で板状に形成されている。
支持体101としては、Al製の板に限らず、カーボン板、CFRP(carbon fiber reinforced plastic)、ガラス板、石英基板、サファイア基板などから適宜選ぶことができ、支持体表面にシンチレータ200を形成させうる限りにおいて特にこれらに限定されない。ただし、支持体101が光の反射部材を兼ねる場合には、Al等の軽金属を支持体の材料として用いるとよい。
本例のシンチレータ200は、CsI:Tl(タリウム賦活ヨウ化セシウム)を蛍光物質材料に用いて形成されているが、その他の材料、例えば、GOS(GdS:Tb)、NaI:Tl(タリウム賦活ヨウ化ナトリウム)、CsI:Na(ナトリウム賦活ヨウ化セシウム)等を用いて形成されていてもよい。なお、発光スペクトルがa−Siフォトダイオードの分光感度の極大値(550nm付近)と適合する点、及び、湿度による経時的な劣化が生じがたいという点で、CsI:Tlを材料に用いてシンチレータ200を形成することが好ましい。
図4は、シンチレータ200の構造を模式的に示す側断面図である。シンチレータ200は、蛍光物質の結晶が柱状に成長してなる柱状結晶20Aの群で形成された柱状部20と、柱状部20の光検出器40側に設けられた第1非柱状部23と、柱状部の20の第1非柱状部23側とは反対側、すなわち柱状部20と支持体101の間に設けられた非柱状部25とを有する。シンチレータ200において、第1非柱状部23は白抜き矢印で示すX線の入射側に配置され、第2非柱状部25はX線の入射側とは反対側に配置されている。
X線の照射によってシンチレータ200が発した蛍光は、柱状結晶20Aによって柱の高さ方向にガイドされ、光検出器40に入射する。このとき、支持体101側に進行した光の一部は、支持体101によって反射されて光検出器40に入射する。
〔3−2.柱状部の構成〕
柱状部20は、多数の柱状結晶20Aの集合体であり、図4に示した例では、各柱状結晶20Aは支持体101に対してほぼ垂直に起立する。本例の柱状結晶20Aは、先端側がすぼまった形状とされている。柱状結晶20Aの先端部は、研磨によって平坦化されていてもよい。光検出器40の1つの画素(光電変換素子41)に対して、複数の柱状結晶20Aの先端部が対向する。
図5は、図4のA−A断面(柱状部20の高さ方向略中央の断面)における柱状部20の電子顕微鏡写真である。隣り合う柱状結晶20Aの間には、空隙がある(図5で濃く見える部分)。柱状結晶20Aは、結晶の成長方向に対しほぼ均一な断面径を有する。柱状部20の領域の一部では、隣り合う柱状結晶20Aが互いに結合して一体の柱状体を構成している(例えば、図5のP)。
柱状結晶20Aの径(断面径)は、2μm以上、8μm以下であることが、効率的な導光性を与える観点から好ましく、6μm以上、8μm以下であることがより好ましい。柱状部20の径が細すぎると耐衝撃性が低くなるので、柱状部20の径は2μm以上であることが好ましい。また、径が太すぎると、光検出器40の画素当たりの柱状結晶20Aの数が少なくなるので、柱状結晶20Aにクラックが入ってしまった際にその画素の信号に欠陥が生じる確率が高くなってしまう。このため、柱状部20の径は8μm以下であることが好ましい。
なお、柱状結晶20Aの結晶径とは、柱状結晶20Aの成長方向上側から観察した結晶の最大径を示す。具体的な測定方法としては、柱状結晶20Aの高さ方向に対して垂直な面からSEM(走査型電子顕微鏡)で観察することで柱径(断面径)を測定する。1回の撮影でシンチレータパネル10を表面(支持体101とは反対側の面)から見た時に柱状結晶20Aが100本から200本観察できる倍率(約2000倍程度)で観察し、1撮影に含まれる結晶全てに対し、高さ方向に走査して得られる柱径の最大値を測定して平均した値を採用する。柱径(μm)は小数点以下2桁まで読み、平均値をJIS Z 8401に従い小数点以下2桁目を丸めた値とした。
また、柱状部20の厚みは、必要な感度に対応するX線吸収能を考慮して、500μm以上に決められる。ただし、柱状部20の厚みが厚すぎても、光の減衰及び散乱のため発光効率が低下しがちである。このため、柱状部20の厚みは、感度及び発光効率のそれぞれを考慮した適切な値に決められる。
〔3−3.非柱状部の構成〕
(1)第1非柱状部の構成
第1非柱状部23は、図4に示すように、略球形あるいは不定形の非柱状結晶23Aを含んで構成されている。なお、第1非柱状部23は、アモルファス(非晶質)の部分を含むことがある。
第1非柱状部23では、図5の柱状結晶20Aに比較して径の小さい非柱状結晶23Aが互いに不規則に結合したり重なり合ったりしており、結晶間の明確な空隙は殆ど認められない。
第1非柱状部23の厚みは、3μm以上、50μm以下であることが好ましい。柱状部20の結晶成長方向先端部(少なくとも柱状結晶20A,20A間)を確実に覆ってシンチレータ200の表面を平坦化するためには、第1非柱状部23の厚みは3μm以上あることが好ましい。また、光ガイド効果を有しない第1非柱状部23の厚みが厚すぎると、第1非柱状部23において光が画素間で交錯して画像ボケが生じ易くなるので、第1非柱状部23の厚みは50μm以下であることが好ましい。
また、第1非柱状部23の厚みは、柱状部20の先端部を確実に被覆可能な最小の厚みで足りる。すなわち、第1非柱状部23の厚みが小さいほど、高価な蛍光材料の使用量を節約でき、コストダウンできる。
この第1非柱状部23の厚みは薄いため、柱状結晶20Aで発光した光の第1非柱状部23における減衰及び散乱等は無視しうる。
なお、第1非柱状部23は、製造時の条件等によっては単一の層でなく複数の層が積層された構造とされる場合もある。このような場合、第1非柱状部23の厚みは、柱状結晶20Aの結晶成長方向先端から第1非柱状部23の最表層の表面までの厚みをいう。
第1非柱状部23の空隙率は、第1非柱状部23の平面視の面積、第1非柱状部23の厚み、CsI密度、及び実際に測定したシンチレータパネル10の重量などに基づいて算出される。そのようにして算出された第1非柱状部23の厚み方向全体の空隙率は、10%以下である。なお、第1非柱状部23の空隙率を決める際には、第1非柱状部23の厚みも考慮して決めてよい。
図4に示した例では、第1非柱状部23の結晶径は、第2非柱状部25の結晶径よりも小さいが、これに限られない。
第1非柱状部23の非柱状結晶23Aには、第2非柱状部25の結晶径として好適な範囲(後述)よりも広い範囲の径を採用しうる。略球形の非柱状結晶23Aの径が極めて小さく空隙率が0に近づくことは、柱状部20の先端部を第1非柱状部23が覆う意味で好ましい。また、非柱状結晶23Aが互いに結合し大径化して空隙率が0に近づくことも、同様の意味で好ましい。したがって、第2非柱状部23における結晶径は、あまりに大径でシンチレータ表面の平坦性が失われない限りにおいて、適宜な径に決められる。
このような第1非柱状部23により、柱状部20における成長方向先端部の少なくとも柱状結晶20A,20A間が覆われ、これによって、シンチレータ200のセンサ基板400に対向する部分が平坦化される。前述の保護膜30は、この第1非柱状部23の表面を被覆する。この保護膜30を介してシンチレータ200はセンサ基板400に密着する。
(2)第2非柱状部の構成
第2非柱状部25は、図4に示すように、略球形あるいは不定形の非柱状結晶25Aを含んで構成されている。なお、第2非柱状部25は、アモルファス(非晶質)の部分を含むことがある。
非柱状結晶25Aの形状は、結晶間に空隙が維持され易く、反射効率を高くできる観点から、略球状であることが好ましい。すなわち、第2非柱状部25は、球状に近い結晶(略球状結晶である非柱状結晶25A)の集合体で構成されることが好ましい。
図6は、図4のB−B断面(第2非柱状部25の厚み方向基端側の断面)における第2非柱状部25の電子顕微鏡写真である。第2非柱状部25では、図5の柱状結晶20Aに比較して径の小さい非柱状結晶25Aが互いに不規則に結合したり重なり合ったりしており、結晶間の明確な空隙は殆ど認められない。図6における空隙は、図5における空隙よりも少ない。図5及び図6の観察結果から、第2非柱状部25の空隙率は柱状部20の空隙率よりも低い。
第2非柱状部25の空隙率は、第2非柱状部25の支持体101への蒸着面積、第2非柱状部25の厚み、CsI密度、及び実際に測定したシンチレータパネル10の重量などに基づいて算出される。
第2非柱状部25は、支持体101上に蒸着の初期において形成された領域であり、第2非柱状部25において支持体101表面に接する部分の空隙率は0あるいは略0である。このため、第2非柱状部25の基端部は支持体101との接触面全体において支持体101に密着する。
第2非柱状部25の厚みは、5μm以上、125μm以下であることが好ましい。支持体101との密着性を確保するためには、第2非柱状部25の厚みは5μm以上あることが好ましい。また、光ガイド効果を有しない第2非柱状部25の厚みが厚すぎると、第2非柱状部25において光が画素間で交錯して画像ボケが生じ易くなるので、第2非柱状部25の厚みは125μm以下であることが好ましい。
また、第2非柱状部25の厚みは、支持体101との密着性と光の反射機能とが得られる最小の厚みで足りる。すなわち、第2非柱状部25の厚みが小さいほど、高価な蛍光材料の使用量を節約でき、コストダウンできる。
なお、第2非柱状部25は、製造時の条件等によっては単一の層でなく複数の層が積層された構造とされる場合もある。このような場合、第2非柱状部25の厚みは、支持体101表面から第2非柱状部25の最表層の表面までの厚みをいう。
第2非柱状部25の如く、結晶間が癒着している場合の結晶径の測定は、隣接する非柱状結晶25A間に生じる窪み(凹)同士を結んだ線を結晶間の粒界と見なし、癒着した結晶同士を最小多角形となるように分離して結晶径を測定し、柱状部20における柱状結晶20Aの径と同様にして平均値をとり、その値を採用する。
第2非柱状部25の非柱状結晶25Aの径は、0.5μm以上7.0μm以下であることが、効率的な反射特性、及び支持体101との密着性を与える観点から好ましい。非柱状結晶25Aの径は、柱状結晶20Aの径よりも小さい。
ここで、非柱状結晶25Aの径が小さい方が略球形の結晶形状が維持され易いので好ましいが、非柱状結晶25Aの径が小さすぎると空隙率が0に近づき、第2非柱状部25が光の反射層としての役目を有しなくなるので、非柱状結晶25Aの径は0.5μm以上であることが好ましい。また、径が大きすぎると、第2非柱状部25の平坦性及び表面積が低下し、支持体101との密着性が低下するとともに、結晶同士が結合して空隙率が低下し反射効果が減少するので、第2非柱状部25の結晶径は7.0μm以下であることが好ましい。
以上から、第2非柱状部25の反射特性に鑑みて、第2非柱状部25が含む結晶の形状及びその径、空隙率に関しては、結晶の形状が略球形で、空隙率が0超、10%以下で、空隙率との関係において適切な範囲(前述した0.5μm以上、7.0μm以下)の径に決められることが好ましい。
第2非柱状部25における略球状の結晶の割合が高いほど、重なり合う結晶間に空隙が維持され易いので、反射効果を確保し易い。結晶径が小さい方が結晶形状が略球形に維持され易いので好ましいが、径が0.5μm未満となるほど小さすぎるときには、空隙率が0に近づくので、反射効果を得るのが困難となる。
また、結晶径が大きすぎるときにも、略球状の結晶同士が結合して不定形となり、結晶間の空隙が減少するため反射効果も減少する。
すなわち、略球形の結晶形状を保持し、かつ反射特性を奏功可能な所定の空隙を維持する観点から、非柱状結晶25Aの径及び第2非柱状部25の空隙率がそれぞれ決められることが好ましい。なお、第2非柱状部25の空隙率を決める際には、第2非柱状部25の厚みも考慮して決めてよい。
(3)第1、第2非柱状部の構成の比較
第1非柱状部23の空隙率は上述の通り10%以下であり、第1非柱状部23の空隙率は、第2非柱状部25の空隙率よりも小さいことが好ましい。第2非柱状部25において支持体101に接する部分の空隙率は0あるいは略0であるが、第2非柱状部25の厚み全体の空隙率と、第1非柱状部23の空隙率とを比較すると、第1非柱状部23の空隙率の方が第2非柱状部25の空隙率よりも小さい。すなわち、センサ基板400側に設けられる第1非柱状部23は、光の減衰及び散乱等を防止する意味で薄い方が好ましく、薄くても柱状部20の先端部を覆ってシンチレータ200が平坦化されるように、その空隙率が小さい方が好ましい。また、柱状結晶20A間への保護膜30の材料流入を防止する意味でも、第1非柱状部23の空隙率は10%以下と、小さい方が好ましい。
また、第1非柱状部23の厚みは上述の通り3μm以上50μm以下であり、第1非柱状部23の厚みは、第2非柱状部25の厚みよりも小さいことが好ましい。上述のように、第1非柱状部23の厚みは、柱状部20の先端部を確実に覆える程度に薄い方が好ましい。
以上説明したような柱状部20及び第1、第2非柱状部23,25を有するシンチレータ200は、後述するように、支持体101上に気相堆積法を用いて容易に形成しうる。なお、第2非柱状部25、柱状部20、及び第1非柱状部23は、この順序で時間的に連続して形成されていても、それぞれが時間をおいて形成されていてもよい。
支持体101上に、真空度及び支持体温度を含む所定の条件で第2非柱状部25を形成した後、これらの条件を変更することによって、柱状結晶20Aの成長が開始する。柱状部20は、第2非柱状部25の表層部から起立している。このように第2非柱状部25をベースに柱状部20を成長させることにより、柱状部20の結晶性が良くなる。
柱状結晶20Aが所定の高さまで成長した後、真空度及び支持体温度を含む条件を再び変更することによって、柱状部20上に第1非柱状部23を形成する。
ここで、柱状部20と第2非柱状部25とのそれぞれの厚みを比較する。図4に示すように、柱状部20の厚みをt1とし、第2非柱状部25の厚みをt2としたとき、t1とt2との関係が下記式を満たすことが好ましい。
(式) 0.01≦(t2/t1)≦0.25
柱状部20の厚みt1と第2非柱状部25の厚みt2とが上記式を満たすことで、シンチレータ200の厚み方向の各部分における発光効率、及び光の拡散が防止される領域並びに光が反射される領域のそれぞれが好適な範囲となり、光の発光効率、光の検出効率、及び画像の解像度が向上する。第2非柱状部25の厚みt2が厚すぎる場合には、発光効率の低い領域が増え、感度の低下が懸念される。そのような観点から、(t2/t1)は、0.02以上0.1以下の範囲であることがより好ましい。
なお、上述の光検出器40及びシンチレータパネル10には、例えばOPC(有機光電変換材料)、有機TFT、非晶質酸化物(例えば、a−IGZO)を用いたTFT、フレキシブル材料(アラミド、バイオナノファイバー)などを使用することができる。これらのデバイス関連材料については後述する。
〔4.柱状部及び非柱状部に関する作用効果〕
以下、柱状部20、及び第1、第2非柱状部23,25に関する主な作用効果を述べる。
柱状部20は第1、第2非柱状部23,25に比べ結晶性が良く、蛍光の発光効率が高い。また、その結晶形状が柱状であって、空隙を介して隣り合う柱状結晶20Aが支持体101の厚み方向に立設されているので、柱状結晶20Aは、光のガイドとなって柱の高さ方向に光を導光する。ここで、シンチレータ200の光学特性に寄与する第2非柱状部25及び柱状部20に関し、柱状部20がシンチレータ200においてX線の入射側でかつ光検出器40に近接する位置に配置されたことにより、センサ基板400を透過した直後の殆ど減衰していないX線が柱状部20に入射して光に変換され、その蛍光が光検出器40に迅速に入射するので、光検出器40への入射光量を大きくできる。すなわち、シンチレータ200の利用可能な発光量を大きくできる。このことと、柱状結晶20Aによる光ガイド効果によって画素間の光拡散が抑制されることから、検出画像を鮮鋭化できる。
一方、柱状結晶20Aに比べて小径である粒状の結晶と、柱状部20に比べて低い空隙率とされた所定の空隙とを有する第2非柱状部25は、主に柱状部20で発光して支持体101側に進行した光を光検出器40に向かって反射する。この第2非柱状部25による光の反射は、支持体101による光の反射と共に、シンチレータ200が発した光の利用効率向上に寄与する。これにより、光検出器40に入射し、画像検出に用いられる光量が増大するので、検出画像をより一層鮮鋭化できる。なお、第2非柱状部25が光の反射特性を持つため、支持体は、ガラス、カーボンなどの光反射率が低い材料によって形成されていてもよい。
なお、シンチレータパネル10において、支持体101は必須ではない。つまり、蒸着用の基板を用いてシンチレータ200を蒸着形成した後、基板からシンチレータ200を剥離して用いることも可能である。
更に、柱状部20の光検出器40側に第1非柱状部23が設けられ、各柱状結晶20Aの先端部が第1非柱状部23によって覆われるので、シンチレータ200のセンサ基板400側の部分が平坦化される。これにより、柱状結晶20Aの先端部によって保護膜30が破れることなく、保護膜30による気密性を維持でき、シンチレータ200の潮解によるシンチレータ200の性能劣化を防止できる。
また、シンチレータ200が平坦化されることで、保護膜30を介してシンチレータ200をセンサ基板400に密着できる。センサ基板400との密着性にムラが生じると検出画像にムラが表れ易いが、そのようなことがなく、検出画像の画質を均一化できる。
このようにシンチレータ200とセンサ基板400との密着性が確保されることにより、落下衝撃時などにシンチレータ220に加わった外力がセンサ基板400によって緩衝されるので、耐衝撃性を向上させることができる。特に、X線画像検出装置1が装置筐体に貼り合わせられる場合に、装置筐体からの荷重を受けても、シンチレータ200が損傷しにくくできる。
また、センサ基板400との密着性確保により、熱膨張量の違いによってシンチレータ200がセンサ基板400から剥離することを防止できる。
以上から、センサ基板400とシンチレータ200との密着性を確保する上で、第1非柱状部23はX線画像検出装置1において必須の構成である。一方、支持体101側に設けられる第2非柱状部25は、シンチレータ200に反射特性を持たせる上で、あれば好ましい構成である。第2非柱状部25を有していない構成については後述する(図7)。
また、このような第1非柱状部23によって、保護膜30(図1)の成膜時にパリレン等の材料が柱状結晶20A間に入り込むことを防止できる。柱状結晶20A間の空隙にパリレン等が入り込むと、柱状結晶20Aと、隣り合う柱状結晶20Aの間の領域との屈折率差が小さくなり、これによって光の臨界角が大きくなって、柱状結晶20Aによる厚み方向への導光性能が低下する。具体的に、CsIの屈折率が1.8、空気の屈折率が1であって臨界角が34°の条件から、CsIの屈折率が1.8、パリレンの屈折率が1.5であって臨界角が56°の条件へと、導光性能が低下する。第1非柱状部23の形成により、このような不具合発生を防止できる。
更に、第2非柱状部25が柱状部20と支持体101との間に介在することにより、支持体101との密着性も向上する。すなわち、柱状部20が支持体101表面に直接形成されている構成に比べてシンチレータ200における支持体101に対向する部分の平坦度及び表面積が増加するので、支持体101との密着性が向上する。これにより、支持体101とシンチレータ200との熱膨張量の違い(熱伝導率の違い)などで支持体101からシンチレータ200が剥離することを防止できる。このことは、X線入射側とは反対側に配置される支持体101に、同じくX線入射側とは反対側に設けられる制御モジュール50の熱が伝搬し易いX線画像検出装置1においてその効果が大きい。
このような第1非柱状部23及び第2非柱状部25によってそれぞれ、センサ基板400との密着性、及び支持体101との密着性の両方が確保されるので、これらセンサ基板400及び支持体101からの剥離強度が向上し、これによってシンチレータパネル10全体の強度が向上する。
このようなX線画像検出装置1によれば、X線画像を高感度、高精細に検出できるとともに、センサ基板400及び支持体101とシンチレータ200との密着性の向上により、信頼性を向上させることができる。
以上説明したX線画像検出装置1は、医療用のX線撮影装置をはじめ、様々な装置に組み込んで使用することができる。特に、低放射線照射量で鮮鋭な画像を検出することを要求されるマンモグラフィ装置には、高感度、高精細であるという特徴を有する本例のX線画像検出装置1を好適に使用できる。更に、X線画像検出装置1がX線撮影装置に着脱可能な可搬なカセッテとして構成される場合には、落下衝撃を受ける可能性が高く、センサ基板400及び支持体101との密着によるシンチレータ200の耐衝撃性の確保が重要なので、上述したセンサ基板400及び支持体101のそれぞれとの密着性向上の効果が大きい。
また、X線画像検出装置1は、医療用のX線撮影装置のほか、例えば、工業用のX線撮影装置として非破壊検査に用いたり、或いは、電磁波以外の粒子線(α線、β線、γ線)の検出装置として用いたりすることができ、その応用範囲は広い。
〔5.変形例〕
なお、以上説明した例では、シンチレータ200は第2の非柱状部25(図4)を備えていたが、この第2非柱状部25は、図7のように設けられていなくてもよい。図7に示すシンチレータ210は、柱状部20と、第1非柱状部23とを有する。このような構成では、主として柱状部20で発光した光は、Al製等の反射部材として構成された支持体101によってセンサ基板400に向けて反射される。
図8及び図9は、センサ基板にシンチレータが直接蒸着された例を示す。図8のX線画像検出装置2は、光検出器40と、光検出器40のセンサ基板400に一体に形成されたシンチレータ220とを備えている。シンチレータ220は、支持体を有しておらず、センサ基板400上に蒸着形成されている。シンチレータ220を被覆する保護膜31は、センサ基板400上にシンチレータ220を封止する。
図9は、シンチレータ220の構成を示す模式図である。センサ基板400上に気相堆積法により、第1非柱状部23、柱状部20、第2非柱状部25の順で形成される。図9の構成では、主として柱状結晶20Aで発光した光のうちセンサ基板400側とは反対側に進行した光を第2非柱状部25によってセンサ基板400に向けて反射させている。また、第2の非柱状部25によって、柱状結晶20A間への保護膜材料の流入を防止できる。
ここで、第1非柱状部23は、センサ基板400上に蒸着の初期において形成された領域であり、第1非柱状部23においてセンサ基板400の最表層に接する部分の空隙率は0あるいは略0である。このため、第1非柱状部23の基端部はセンサ基板400との接触面全体においてセンサ基板400に密着する。
ここで、第1非柱状部23の形成により、シンチレータにおけるセンサ基板400に対向する表面積(図8及び図9の例ではセンサ基板400との接触面積)を増やし、かつシンチレータ表面が平坦化されることによって、センサ基板400とシンチレータとの密着性が向上する点は、前述の図1〜図6に係る構成の場合と同様であるが、図8及び図9に係る構成(直接蒸着)では、シンチレータとの密着性がAl等と比較して悪い絶縁性基板401(通常、ガラス)に対してシンチレータが蒸着形成されるため、センサ基板400とシンチレータとの密着性の要求がより高い。すなわち、熱伝導率がAl等と比べて低いガラス基板とシンチレータとの密着性は良くない。この意味で、第1非柱状部23の形成によってセンサ基板400とシンチレータ220との密着性を確保できる効果は、Al製の支持体101をシンチレータ200の蒸着基板として用いてシンチレータパネル10とセンサ基板400とを貼り合わせる場合(図1〜図6)の効果よりも大きい。
〔6.適用可能なデバイス材料〕
〔6−1.有機光電変換(OPC;Organic photoelectric conversion)材料〕
上述した光電変換素子41(図2)に、例えば特開2009−32854号公報に記載されたOPC(有機光電変換)材料を用いることができる。このOPC材料により形成された膜(以下、OPC膜という)を光電変換素子41の光導電層410として使用できる。OPC膜は、有機光電変換材料を含み、蛍光体層から発せられた光を吸収し、吸収した光に応じた電荷を発生する。このように有機光電変換材料を含むOPC膜であれば、可視域にシャープな吸収スペクトルを持ち、蛍光体層による発光以外の電磁波がOPC膜に吸収されることがほとんどなく、X線等の放射線がOPC膜で吸収されることによって発生するノイズを効果的に抑制することができる。
OPC膜を構成する有機光電変換材料は、蛍光体層で発光した光を最も効率良く吸収するために、その吸収ピーク波長が、蛍光体層の発光ピーク波長と近いほど好ましい。有機光電変換材料の吸収ピーク波長と蛍光体層の発光ピーク波長とが一致することが理想的であるが、双方の差が小さければ蛍光体層から発された光を十分に吸収することが可能である。具体的には、有機光電変換材料の吸収ピーク波長と、蛍光体層の放射線に対する発光ピーク波長との差が、10nm以内であることが好ましく、5nm以内であることがより好ましい。
このような条件を満たすことが可能な有機光電変換材料としては、例えば、アリーリデン系有機化合物、キナクリドン系有機化合物、及びフタロシアニン系有機化合物が挙げられる。例えばキナクリドンの可視域における吸収ピーク波長は560nmであるため、有機光電変換材料としてキナクリドンを用い、蛍光体層の材料としてCsI(Tl)を用いれば、上記ピーク波長の差を5nm以内にすることが可能となり、OPC膜で発生する電荷量をほぼ最大にすることができる。
バイアス電極411及び電荷収集電極412の間に設けられる有機層の少なくとも一部をOPC膜によって構成することができる。この有機層は、より具体的には、電磁波を吸収する部位、光電変換部位、電子輸送部位、正孔輸送部位、電子ブロッキング部位、正孔ブロッキング部位、結晶化防止部位、電極、及び層間接触改良部位等の積み重ね若しくは混合により形成することができる。
上記有機層は、有機p型化合物又は有機n型化合物を含有することが好ましい。有機p型半導体(化合物)は、主に正孔輸送性有機化合物に代表されるドナー性有機半導体(化合物)であり、電子を供与しやすい性質がある有機化合物をいう。更に詳しくは2つの有機材料を接触させて用いたときにイオン化ポテンシャルの小さい方の有機化合物をいう。したがって、ドナー性有機化合物としては、電子供与性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。例えば、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物、ピラゾリン化合物、スチリルアミン化合物、ヒドラゾン化合物、トリフェニルメタン化合物、カルバゾール化合物、ポリシラン化合物、チオフェン化合物、フタロシアニン化合物、シアニン化合物、メロシアニン化合物、オキソノール化合物、ポリアミン化合物、インドール化合物、ピロール化合物、ピラゾール化合物、ポリアリーレン化合物、縮合芳香族炭素環化合物(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体等を用いることができる。なお、これらに限らず、n型(アクセプター性)化合物として用いた有機化合物よりもイオン化ポテンシャルの小さい有機化合物であればドナー性有機半導体として用いることができる。
有機n型半導体(化合物)は、主に電子輸送性有機化合物に代表されるアクセプター性有機半導体(化合物)であり、電子を受容しやすい性質がある有機化合物をいう。更に詳しくは2つの有機化合物を接触させて用いたときに電子親和力の大きい方の有機化合物をいう。したがって、アクセプター性有機化合物は、電子受容性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。例えば、縮合芳香族炭素環化合物(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含有する5ないし7員のヘテロ環化合物(例えばピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、イソキノリン、プテリジン、アクリジン、フェナジン、フェナントロリン、テトラゾール、ピラゾール、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、トリアゾロピリダジン、トリアゾロピリミジン、テトラザインデン、オキサジアゾール、イミダゾピリジン、ピラリジン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、ジベンズアゼピン、トリベンズアゼピン等)、ポリアリーレン化合物、フルオレン化合物、シクロペンタジエン化合物、シリル化合物、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体などが挙げられる。なお、これらに限らず、ドナー性有機化合物として用いた有機化合物よりも電子親和力の大きな有機化合物であればアクセプター性有機半導体として用いることができる。
p型有機色素又はn型有機色素としては、公知のものを用いることができるが、好ましくは、シアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、メロシアニン色素(ゼロメチンメロシアニン(シンプルメロシアニン)を含む)、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、アロポーラー色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アザメチン色素、クマリン色素、アリーリデン色素、アントラキノン色素、トリフェニルメタン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、スピロ化合物、メタロセン色素、フルオレノン色素、フルギド色素、ペリレン色素、フェナジン色素、フェノチアジン色素、キノン色素、インジゴ色素、ジフェニルメタン色素、ポリエン色素、アクリジン色素、アクリジノン色素、ジフェニルアミン色素、キナクリドン色素、キノフタロン色素、フェノキサジン色素、フタロペリレン色素、ポルフィリン色素、クロロフィル色素、フタロシアニン色素、金属錯体色素、縮合芳香族炭素環系色素(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)等が挙げられる。
1対の電極間に、p型半導体層とn型半導体層とを有し、該p型半導体とn型半導体の少なくともいずれかが有機半導体であり、かつ、それらの半導体層の間に、該p型半導体及びn型半導体を含むバルクヘテロ接合構造層を中間層として有する光電変換膜(感光層)を好適に用いることができる。このように、光電変換膜において、バルクへテロ接合構造層を含ませることにより有機層のキャリア拡散長が短いという欠点を補い、光電変換効率を向上させることができる。なお、上記バルクへテロ接合構造については、特開2005−303266号公報において詳細に説明されている。
光電変換膜の厚みは、蛍光体層からの光を吸収する点では膜厚は大きいほど好ましいが、電荷分離に寄与しない割合を考慮すると、30nm以上300nm以下が好ましく、より好ましくは、50nm以上250nm以下、特に好ましくは80nm以上200nm以下である。
上述したOPC膜に関するその他の構成は、例えば、特開2009−32854号公報の記載が参考となる。
〔6−2.有機TFT(Thin Film Transistor)〕
上述したTFTスイッチング素子42には、無機材料が使われることが多いが、例えば特開2009−212389号公報に記載されたように、有機材料を使用することができる。有機TFTはいかなるタイプの構造でもよいが、最も好ましいのは電界効果型トランジスタ(FET)構造である。このFET構造は、最下層に基板を配置し、その上面の一部にゲート電極を設け、更に該電極を覆い、かつ電極以外の部分で基板と接するように絶縁体層を設けている。更に絶縁体層の上面に半導体活性層を設け、その上面の一部にソース電極とドレイン電極とを隔離して配置している。なお、この構成はトップコンタクト型素子と呼ばれるが、ソース電極とドレイン電極とが半導体活性層の下部にあるボトムコンタクト型素子も好ましく用いることができる。また、キャリアが有機半導体膜の膜厚方向に流れる縦型トランジスタ構造であってもよい。
(半導体活性層)
半導体活性層は、p型有機半導体材料を用いてなる。このp型有機半導体材料は実質的に無色透明である。有機半導体薄膜の膜厚は、例えば触針式膜厚計により測定できる。膜厚の異なる薄膜を複数作製して吸収スペクトルを測定し、検量線から膜厚30nmあたりの最大吸光度に換算してもよい。
ここでいう有機半導体材料とは、半導体の特性を示す有機材料のことであり、無機材料からなる半導体と同様に、正孔(ホール)をキャリアとして伝導するp型有機半導体材料(あるいは単にp型材料、正孔輸送材料とも言う。)と、電子をキャリアとして伝導するn型有機半導体材料(あるいは単にn型材料、電子輸送材料とも言う。)がある。有機半導体材料は一般にp型材料の方が良好な特性を示すものが多く、また、一般に大気下でのトランジスタ動作安定性もp型トランジスタの方が優れているため、ここでは、p型有機半導体材料について説明する。
有機薄膜トランジスタの特性の一つに、有機半導体層中のキャリアの動きやすさを示すキャリア移動度(単に移動度とも言う)μがある。用途によっても異なるが、一般に移動度は高い方がよく、1.0×10-7cm2/Vs以上であることが好ましく、1.0×10-6cm2/Vs以上であることがより好ましく、1.0×10-5cm2/Vs以上であることが更に好ましい。移動度は電界効果トランジスタ(FET)素子を作製したときの特性や飛行時間計測(TOF)法により求めることができる。
前記p型有機半導体材料は、低分子材料でも高分子材料でも良いが、好ましくは低分子材料である。低分子材料は、昇華精製や再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの様々な精製法が適用できるため高純度化が容易であること、分子構造が定まっているため秩序の高い結晶構造を取りやすいこと、などの理由から高い特性を示すものが多い。低分子材料の分子量は、好ましくは100以上5000以下、より好ましくは150以上3000以下、更に好ましくは200以上2000以下である。
このようなp型有機半導体材料の好ましい具体例を示す。Buはブチル基、Prはプロピル基、Etはエチル基、Phはフェニル基をそれぞれ表す。
(半導体活性層以外の素子構成材料)
以下に、有機薄膜トランジスタにおける半導体活性層以外の素子構成材料について説明する。これらの各材料は、いずれも可視光又は赤外光の透過率が60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更に好ましい。
基板としては、必要な平滑性を有するものであれば特に制限はないが、例えば、ガラス、石英、光透過性プラスチックフィルムなどが挙げられる。光透過性プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。また、これらのプラスチックフィルムに、有機あるいは無機のフィラーを含有させてもよい。なお、基板として、アラミド、バイオナノファイバーなどを用いて形成されたフレキシブル基板をも好適に使用しうる。
ゲート電極、ソース電極、又はドレイン電極を構成する材料としては、必要な導電性を有するものであれば特に制限はないが、例えば、ITO(インジウムドープ酸化スズ)、IZO(インジウムドープ酸化亜鉛)、SnO2、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、ZnO、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、TiO2、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)などの導電性酸化物、PEDOT/PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸)などの導電性ポリマー、カーボンナノチューブなどの炭素材料が挙げられる。これらの電極材料は、例えば真空蒸着法、スパッタリング、溶液塗布法等の方法で成膜することができる。
絶縁層に用いられる材料としては、必要な絶縁効果を有するものであれば特に制限はないが、例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナなどの無機材料、ポリエステル(PEN(ポリエチレンナフタレート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)など)、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアクリレート、エポキシ樹脂、ポリパラキシリレン樹脂、ノボラック樹脂、PVA(ポリビニルアルコール)、PS(ポリスチレン)、などの有機材料が挙げられる。これらの絶縁膜材料は、例えば真空蒸着法、スパッタリング、溶液塗布法等の方法で成膜することができる。
上述した有機TFTに関するその他の構成は、例えば、特開2009−212389号公報の記載が参考となる。
〔6−3.非晶質酸化物半導体〕
上述したTFTスイッチング素子42には、例えば特開2010−186860号公報に記載された非晶質酸化物を使用することができる。ここで、特開2010−186860号に記載された電界効果型トランジスタが有する非晶質酸化物含有の活性層について示す。この活性層は、電子又はホールの移動する電界効果型トランジスタのチャネル層として機能する。
活性層は、非晶質酸化物半導体を含んだ構成とされている。この非晶質酸化物半導体は、低温で成膜可能であるために、可撓性のある基板上に好適に形成される。
活性層に用いられる非晶質酸化物半導体としては、好ましくはIn、Sn、Zn、又はCdよりなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む非晶質酸化物であり、より好ましくは、In、Sn、Znよりなる群より選ばれる少なくとも1種を含む非晶質酸化物、更に好ましくは、In、Znよりなる群より選ばれる少なくとも1種を含む非晶質酸化物である。
活性層に用いられる非晶質酸化物としては、具体的には、In、ZnO,SnO、CdO,Indium−Zinc−Oxide(IZO)、Indium−Tin−Oxide(ITO)、Gallium−Zinc−Oxide(GZO)、Indium−Gallium−Oxide(IGO)、Indium−Gallium−Zinc−Oxide(IGZO)が挙げられる。
活性層の成膜方法としては、酸化物半導体の多結晶焼結体をターゲットとして、気相成膜法を用いるのが好ましい。気相成膜法の中でも、スパッタリング法、パルスレーザー蒸着法(PLD法)が適している。更に、量産性の観点から、スパッタリング法が好ましい。例えば、RFマグネトロンスパッタリング蒸着法により、真空度及び酸素流量を制御して成膜される。
成膜された活性層は、周知のX線回折法によりアモルファス膜であることが確認される。活性層の組成比は、RBS(ラザフォード後方散乱)分析法により求められる。
また、この活性層の電気伝導度は、好ましくは10−4Scm−1以上10Scm−1未満であり、より好ましくは10−1Scm−1以上10Scm−1未満である。この活性層の電気伝導度の調整方法としては、公知の酸素欠陥による調整方法や、組成比による調整方法、不純物による調整方法、酸化物半導体材料による調整方法が挙げられる。
上述した非晶質酸化物に関するその他の構成は、例えば、特開2010−186860号公報の記載が参考となる。
〔6−4.フレキシブル材料〕
フレキシブルでかつ低熱膨張、高強度といった、既存のガラスやプラスチックでは得られない特性を有するアラミド、バイオナノファイバー等を放射線画像検出装置に用いることも考えられる。
(1)アラミド
上述したセンサ基板の絶縁性基板401や、支持体101や、制御モジュール50の回路基板などとして、フレキシブル材料であるアラミドによって形成されたフィルム(あるいはシート、基板)を使用することができる。アラミド材料は、ガラス転移温度315℃という高い耐熱性、ヤング率が10GPaという高い剛性、熱膨張率が−3〜5ppm/℃という高い寸法安定性を有する。このため、アラミド製のフィルムを用いると、一般的な樹脂フィルムを用いる場合と比べて、半導体層や蛍光体層の高品質の成膜が容易に行える。また、アラミド材料の高耐熱性により、透明電極材料を高温硬化させて低抵抗化できる。更に、ハンダのリフロー工程を含むICの自動実装にも対応できる。また更に、ITO(indium tin oxide)やガス・バリア膜、ガラス基板と熱膨張係数が近いために、製造後の反りが少ない。そして,割れにくい。ここで、ハロゲンを含まないハロゲンフリー(JPCA−ES01−2003の規定に適合)なアラミド材料を用いることが環境負荷低減の点で好ましい。
アラミドフィルムは、ガラス基板やPET基板と積層されてもよいし、デバイスの筐体に貼り付けられてもよい。
アラミドの分子間の凝集力(水素結合力)の高さによる溶媒への低溶解性を分子設計によって解決することにより、無色透明で薄いフィルムへの成形が容易とされたアラミド材料についても、好適に用いることができる。モノマーユニットの秩序性、及び芳香環上の置換基種・位置を制御する分子設計により、アラミド材料の高剛性や寸法安定性に繋がる直線性の高い棒状の分子構造を維持しつつ、溶解性が良い成形の容易さが得られる。この分子設計により、ハロゲンフリーをも実現できる。
また、フィルムの面内方向の特性が最適化されたアラミド材料についても、好適に用いることができる。成型中に逐次変化するアラミドフィルムの強度に応じて、溶液キャスト、縦延伸、横延伸の工程ごとに張力条件を制御することにより、直線性の高い棒状分子構造であって物性に異方性が生じやすいアラミドフィルムの面内方向の特性をバランスできる。
具体的に、溶液キャスト工程では、溶媒の乾燥速度の制御による面内厚み方向の物性の等方化、溶媒を含んだ状態のフィルムの強度とキャスト・ドラムからの剥離強度の最適化、を図る。縦延伸工程では、延伸中に逐次変化するフィルムの強度、溶媒の残留量に応じた延伸条件を精密に制御する。横延伸工程では、加熱によって変化するフィルム強度の変化に応じた横延伸の条件の制御、フィルムの残留応力を緩和するための横延伸の条件の制御を図る。このようなアラミド材料の使用により、成型後のアラミドフィルムがカールしてしまう問題を解決できる。
上記の成形容易さに対する工夫、及びフィルム面内方向の特性のバランスに対する工夫のいずれにおいても、アラミドならではの直線性の高い棒状の分子構造が維持されているので、熱膨張係数を低く維持できる。製膜時の延伸条件の変更などにより、熱膨張係数を更に低減することも可能である。
(2)バイオナノファイバー
光の波長に対して十分に小さなコンポーネントは光散乱を生じないことから、ナノファイバーによって補強されたフレキシブルなプラスチック材料などを上述したセンサ基板の絶縁性基板401や、支持体101や、制御モジュール50の回路基板などに好適に使用することができる。ナノファイバーの中でも、バクテリア(酢酸菌、Acetobacter Xylinum)が産出するセルロースミクロフィブリル束が幅50nmと、可視光波長に対して約1/10のサイズでかつ、高強度、高弾性、低熱膨である特徴を有するバクテリアセルロースと透明樹脂との複合材料(バイオナノファイバーということがある)を好適に使用できる。
バクテリアセルロースシートにアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂を含浸・硬化させることで、繊維を約60〜70%と高い比率で含有しながら、波長500nmで約90%の光透過率を示す透明バイオナノファイバーが得られる。このバイオナノファイバーにより、シリコン結晶に匹敵する低い熱膨張係数(約3〜7ppm)、鋼鉄並の強度(約460MPa)、及び高弾性(約30GPa)が得られる。
上述したバイオナノファイバーに関する構成は、例えば、特開2008−34556号公報の記載が参考となる。
〔7.X線画像検出装置の製造方法〕
次に、X線画像検出装置1を効率的に製造しうる放射線画像検出装置の製造方法について説明する。なお、以下では、図1〜図6の例のようにシンチレータパネル10が支持体101を備え、シンチレータパネル10とセンサ基板400とが貼り合わせられる構成のX線画像検出装置1の製造方法について説明する。
上述のシンチレータ200は、支持体101表面に直接気相堆積法により形成されることが好ましい。気相堆積法により、第2非柱状部25、柱状部20、及び第1非柱状部23を順次連続して形成することができる。ここでは、CsI:Tlを用いた態様を例に挙げて説明する。
気相堆積法の概要としては、真空度0.01〜10Paの環境下、CsI:Tlを抵抗加熱式のるつぼに通電するなどの手段で加熱して気化させ、支持体101の温度を室温(20℃)〜300℃としてCsI:Tlを支持体上に堆積させる。
気相堆積法により支持体101上にCsI:Tlの結晶相を形成する際、当初は不定形或いは略球形の直径の比較的小さな結晶の集合体が形成される。気相堆積法の実施に際しては、真空度、支持体温度、及び蒸着レート(蒸着セル温度)の少なくともいずれかの条件を変更することで、第2非柱状部25の形成後に連続して柱状結晶20Aを成長させることができる(シンチレータ形成工程)。
即ち、所定の厚みt2となるように第2非柱状部25を形成した後、真空度を上げる、支持体温度を高くする、蒸着レートを下げる等の手段のうち少なくともいずれかを行うことで、効率よく均一な柱状結晶20Aを成長させることができる。そして、真空度を下げる、支持体温度を低くする、蒸着レートを上げる等の少なくともいずれかを行うことにより、第1非柱状部23を成長させる。なお、Tlの賦活量を第1非柱状部23、第2非柱状部25、及び柱状部20のそれぞれで変えてもよい。
ここで述べた例では、第1、第2非柱状部23,25及び柱状部20のいずれの材料にもCsI:Tlを用いたが、発光効率が高く、光ガイド機能を有してシンチレータ200全体の発光効率への寄与度が大きい柱状部20のみをCsI:Tlによって形成することも考えられる。この場合にも、発光スペクトル及び湿度による経時劣化に関して上述したCsI:Tl使用の利点を十分に享受できる。
このように、シンチレータ形成工程において支持体101上にシンチレータ200を形成した後、パリレン等を用いて、同じく気相堆積法によって保護膜30を蒸着形成してシンチレータ200を支持体101上に封止することにより、シンチレータパネル10が製造される。なお、保護膜30は、防湿フィルムでシンチレータパネル10を気密に包むなどの他の手段によってシンチレータ200の防湿が確保される場合には、形成されなくてもよい。
このシンチレータパネル10を光検出器40と貼り合わせることにより、X線画像検出装置1を得ることができる。上述したセンサ基板400との密着性向上により、貼り合わせが容易である。シンチレータパネル10と光検出器40との貼り合わせ方法には特に制限はなく、両者が光学的に結合されればよい。両者を貼り合わせる方法としては、両者を対向させて直接密着させる方法と、何らかの接着層や平坦化層を介して密着させる方法のいずれをとってもよい。
直接密着させる方法としては、シンチレータ200を支持体101上に形成した後に、形成されたシンチレータ200の柱状部20の成長方向先端側の部分と、光検出器であるセンサ基板400とを対向させて密着させる方法があり、このようにして両者を貼り合わせることで、X線画像検出装置1が製造される。
また、形成されたシンチレータ200の柱状結晶20Aの成長方向先端側の部分と、光検出器40とを、樹脂層を介して対向させることで光学的に結合させてもよい。樹脂層としては、シンチレータ200と光検出器40とを密着固定化する接着層、透明な液体又はゲルからなるマッチングオイル層などが挙げられる。これら樹脂層を構成する樹脂は、シンチレータ200から発生するシンチレーション光をほぼ減衰させることなく光検出器40に到達させうるものであれば特に制限はない。
平坦化層を形成する樹脂としては、ポリイミドやパリレン等を使用することができ、製膜性が良好なポリイミドが好ましい。
接着層を形成する接着剤としてはシンチレータ200から発生するシンチレーション光に対して光学的に透明なものが好ましく、例えば、熱可塑性樹脂、UV硬化接着剤、加熱硬化型接着剤、室温硬化型接着剤、両面接着シート、などが挙げられるが、画像の鮮鋭度を低下させないという観点からは、光検出器40の画素サイズに対して十分に薄い接着層を形成しうるという点で、低粘度エポキシ樹脂製の接着剤を用いることが好ましい。
また、樹脂層の厚みは、感度、画像の観点からは50μm以下であることが好ましく、5μm〜30μmの範囲であることがより好ましい。
以上のような製造方法によりX線画像検出装置1を効率よく、容易に製造しうる。また、この製造方法によれば、真空度や支持体温度を制御することで、簡易に種々の仕様のシンチレータ200を設計通りに製造することができるという利点をも有するものである。
なお、図8及び図9に示したようなセンサ基板400にシンチレータ220が直接蒸着されるタイプのX線画像検出装置2の製造方法も、上述の製造方法とほぼ同様である。支持体101にではなく、センサ基板400に対してCsI:Tlを所定の条件で堆積させた後、保護膜31を蒸着すればよい。図1〜図6の構成の場合に行われるような、センサ基板400とシンチレータパネル10との貼り合わせ工程は不要である。
〔8.製作例〕
以下、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら具体例に制限されるものではない。
[製作例1]
1.シンチレータの成膜
支持体として、液晶用の無アルカリガラス基板(0.7mm厚)を準備した。
まず、支持体に対して、CsI結晶層との密着性向上を目的としてArプラズマで表面処理した。その後、表面処理した支持体をシンチレータ成膜用の真空チャンバーにセットした。真空チャンバーは原料のCsI、TlIをそれぞれ独立に加熱するための複数のるつぼを備えている。チャンバーを排気した後、Arを一定量流入することで装置真空度を0.75Paに設定した。原料るつぼを加熱して原料の融液状態が安定した時点で、支持体を真空装置の装置機構により同心円状に回転させ、シャッターを開き、第2非柱状部の蒸着を開始した。
この条件で製膜を行い、第2非柱状部の膜厚(t2)が5μmとなった時点で真空度を1Paに上げ、柱状結晶の蒸着を開始した。なお、真空度を変更する際には原料の融液状態が変化するため、一度シャッターを閉じ、融液状態が安定したのを確認してから再度シャッターを開き、蒸着を再開した。柱状結晶の膜厚(t1)が500μmとなった時点で原料るつぼの加熱を止め、真空装置に吸気して支持体上に蒸着により、第2非柱状部と柱状部とを有するシンチレータを形成した。
2.シンチレータ層における物性評価
2−1.第2非柱状部の厚み(t2)及び柱状部の厚み(t1)の測定
シンチレータの任意の一部を割断し、柱状結晶の側面からSEM(走査型電子顕微鏡)で観察することで膜厚を測定した。膜厚の値は切り出した部分から無作為に10カ所を選択して測定した値の平均値を用いた。なお、CsIは非導電性のため、Auを約200ÅスパッタしてからSEM観察を行った。
2−2.第2非柱状部及び柱状部の結晶径の測定
シンチレータの一部を支持体若しくは後述する製作例13においては、光検出基板から剥離し、柱状結晶の膜厚方向に対して垂直な面からSEM(走査型電子顕微鏡)で観察することで柱径(柱状結晶の断面径)を測定した。1回の撮影でシンチレータを表面から見た時に柱状結晶が100本から200本観察できる倍率(約2000倍程度)で観察し、1撮影に含まれる結晶全てに対し、柱状結晶の柱径の最大値を測定して平均した。
なお、第2非柱状部の如く、結晶間が癒着している場合には、隣接結晶間に生じる窪み(凹)同士を結んだ線を結晶間の粒界と見なし、癒着した結晶同士を最小多角形となるように分離して結晶径を測定した。結晶径(μm)は小数点以下2桁まで読み、平均値をJIS Z 8401に従い小数点以下2桁目を丸めた値とした。
支持体からシンチレータが剥離しにくい場合には、支持体から100μm程度の位置にてシンチレータを結晶成長方向に垂直にスライスし、支持体に付着したCsI結晶の界面付近の形状が観察できる距離までArイオンでエッチングした後、エッチング面から観察した。CsIは非導電性のため、Auを約20ÅスパッタしてからSEM観察を行った。
2−3.非柱状部の空隙率の測定
製作例1〜11について、図4のB−B断面に相当する位置における第2非柱状部の空隙率を測定し、表1に示した。第2非柱状部の空隙率は、第2非柱状部の支持体への蒸着面積、第2非柱状部の厚み、CsI密度、及び実際に測定したシンチレータの重量に基づいて算出した。
3.放射線画像検出装置の作製
光検出器を準備し、表面にスピンコーターで、溶媒で希釈した低粘度エポキシ樹脂接着剤(ハンツマン社製アラルダイト2020)を溶媒揮発後の厚さが15μmとなるように塗布して接着層を形成した。光検出器に形成された接着層と得られたシンチレータの柱状部側を対向させたのち、加熱することで光検出器とシンチレータとを接着層を介して貼り合わせた。
その後、光検出器の端子部にTFT駆動用の回路基板と、電荷読み取り用の集積回路ICを異方性導電膜により貼り付け、駆動制御とAD変換を行うための回路基板に接続して製作例1のX線画像検出装置を作製した。
放射線が光検出器側から入射するように配置し、放射線画像の読み取りは、X線画像検出装置とケーブルで接続した走査用のPCを制御することにより実施した。
4.放射線画像検出装置の評価
4−1.感度
放射線としてX線を使用した。X線照射時に光検出器を電気回路で駆動させ、シンチレーション光によりフォトダイオードで発生した光電変換による電荷を読み出し、チャージアンプで増幅した後にAD変換することで発生電荷量を計算した。
X線非照射時の読み取り電荷(検出系のノイズ)量を事前に測定し、X線照射時の発生電荷量から差し引いた値を感度とした。なお、結果は後述する製作例12における感度を100とした時の相対値で示す。製作例1の感度は120であった。
4−2.MTF(Modulation Transfer Function)
IEC規格に準拠し、W(タングステン)製のMTFエッジを撮影して得られたエッジ像を演算することでMTF曲線を得た。結果は2cycle/mmの値で比較し、製作例12の値を100とした時の相対値で示す。製作例1のMTFは100であった。
4−3.総合判断
前記感度及びMTFの評価結果の積を指標として放射線画像検出装置の性能を判断した。感度とMTFの積は120以上であると画像を官能評価した際に性能の違いがはっきりと認識され好ましい。製作例1の総合評価は120であり、後述する製作例12に対し、感度、画像の鮮鋭度に優れることがわかる。
[製作例12]
支持体として、製作例1で用いたガラス基板に変えて、ウェットエッチングにより表面に5μmピッチで高さ5μm程度の凹凸を設けたガラス基板を用いた。
シンチレータの形成において、非柱状結晶部分の蒸着は行わずに、支持体上に直接柱状結晶層の蒸着を実施した以外は製作例1と同様にして製作例12の放射線画像検出装置を作製した。製作例1と同様にして評価し、製作例12の結果を100として相対評価をおこなう。
[製作例2〜製作例6]
製作例1において、非柱状結晶部分の膜厚を、真空度が0.75Pa時の蒸着時間を変更することで表1に記載のように調整した他は製作例1と同様にして、製作例2〜製作例6の放射線画像検出装置を作製し、同様に評価した。結果を下記表1に示す。
[製作例7〜製作例11]
製作例1において、非柱状結晶部分の製膜に際して、真空度を表1に示すものに変えて、非柱状部25における結晶径を表1に記載のように調製した他は製作例1と同様にして、製作例2〜製作例6の放射線画像検出装置を作製し、同様に評価した。結果を下記表1
に示す。
[製作例13]
支持体として、製作例3で用いたガラス基板に変えて、光検出器表面に直接シンチレータを、製作例3と同様の条件にて製膜して形成した。本態様では、光検出器の近傍に第2非柱状部がまず形成され、その後、柱状部が形成されることになり、熱硬化性の接着剤による貼り合わせは実施していない。この処理以外は、製作例3と同様に行った。
なお、表1に示した膜厚、平均結晶径、及び平均柱径のそれぞれの単位はμmである。
表1に明らかなように、本発明の製作例1〜11の放射線画像検出装置は、シンチレータがすべて柱状結晶で構成される製作例12に比べて、高感度でかつ、画像のボケなどの画質低下が抑制され、得られる画像の鮮鋭度が高いことがわかる。
他方、光検出器側近傍に第2非柱状部を有する製作例13では、第2非柱状部における散乱及び発光効率の低下に起因して、十分な感度が得られないことがわかる。
〔9.本明細書の開示内容〕
以上、説明したように、本明細書には、
放射線の照射によって蛍光を発するシンチレータと、
前記シンチレータが発した蛍光を電気信号として検出する光検出器と、を備え、
前記シンチレータは、放射線の進行方向において前記光検出器の後側に配置されるとともに、蛍光物質の結晶が柱状に成長してなる柱状結晶の群で形成された柱状部及びこの柱状部の前記光検出器側に設けられる第1非柱状部を有する、放射線画像検出装置が開示されている。
また、本明細書に記載された放射線画像検出装置においては、
前記第1非柱状部の空隙率は、10%以下であることが好ましい。
また、本明細書に記載された放射線画像検出装置においては、
前記第1非柱状部の厚みは、3μm以上、50μm以下であることが好ましい。
また、本明細書に記載された放射線画像検出装置においては、
前記シンチレータは、前記柱状部の前記第1非柱状部側とは反対側に設けられる第2非柱状部を有することが好ましい。
また、本明細書に記載された放射線画像検出装置においては、
前記第1非柱状部の空隙率は、前記第2非柱状部の空隙率よりも小さいことが好ましい。
また、本明細書に記載された放射線画像検出装置においては、
前記第1非柱状部の厚みは、前記第2非柱状部の厚みよりも小さいことが好ましい。
また、本明細書に記載された放射線画像検出装置においては、
前記光検出器は、光電変換素子を含むセンサ基板を有し、
前記センサ基板には、前記シンチレータの前記第1非柱状部側の部分が貼り合わせられることが好ましい。
また、本明細書に記載された放射線画像検出装置においては、
前記柱状部における結晶成長方向先端部の少なくとも前記柱状結晶間に前記第1非柱状部が設けられて前記シンチレータが平坦化されることが好ましい。
また、本明細書に記載された放射線画像検出装置においては、
前記光検出器は、光電変換素子が形成されたセンサ基板を有し、
前記シンチレータは、気相堆積法により前記センサ基板に蒸着されることが好ましい。
また、本明細書に記載された放射線画像検出装置においては、
前記第1非柱状部は、前記センサ基板上に、蒸着の初期において形成された領域であり、この第1非柱状部の空隙率は、0あるいは略0であることが好ましい。
また、本明細書に記載された放射線画像検出装置においては、
前記シンチレータは、保護膜によって被覆されることが好ましい。
また、本明細書に記載された放射線画像検出装置においては、
前記保護膜は、パリレンであることが好ましい。
また、本明細書に記載された放射線画像検出装置においては、
前記保護膜は、気相堆積法により蒸着されることが好ましい。
また、本明細書に記載された放射線画像検出装置においては、
前記シンチレータにおいて少なくとも前記柱状部は、Csl及びTlを含んで形成されることが好ましい。
また、本明細書に記載された放射線画像検出装置においては、
可搬なカセッテとされることが好ましい。
また、本明細書には、
上述の放射線画像検出装置の製造方法であって、
支持体上に、気相堆積法により前記シンチレータを形成する際に、真空度、支持体温度、及び蒸着レートの少なくともいずれかの条件を変更することで、前記柱状部及び前記第1非柱状部を少なくとも含むシンチレータを形成するシンチレータ形成工程を含む、放射線画像検出装置の製造方法が開示されている。
1 X線画像検出装置(放射線画像検出装置)
10 シンチレータパネル
101 支持体
200 シンチレータ
20 柱状部
20A 柱状結晶
23 第1非柱状部
23A 非柱状結晶
25 第2非柱状部
25A 非柱状結晶
30 保護膜
40 光検出器
400 センサ基板
50 制御モジュール

Claims (16)

  1. 放射線の照射によって蛍光を発するシンチレータと、
    前記シンチレータが発した蛍光を電気信号として検出する光検出器と、を備え、
    前記シンチレータは、放射線の進行方向において前記光検出器の後側に配置されるとともに、蛍光物質の結晶が柱状に成長してなる柱状結晶の群で形成された柱状部及びこの柱状部の前記光検出器側に設けられる第1非柱状部を有する、放射線画像検出装置。
  2. 請求項1に記載の放射線画像検出装置であって、
    前記第1非柱状部の空隙率は、10%以下である、放射線画像検出装置。
  3. 請求項1又は2に記載の放射線画像検出装置であって、
    前記第1非柱状部の厚みは、3μm以上、50μm以下である、放射線画像検出装置。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の放射線画像検出装置であって、
    前記シンチレータは、前記柱状部の前記第1非柱状部側とは反対側に設けられる第2非柱状部を有する、放射線画像検出装置。
  5. 請求項4に記載の放射線画像検出装置であって、
    前記第1非柱状部の空隙率は、前記第2非柱状部の空隙率よりも小さい、放射線画像検出装置。
  6. 請求項4又は5に記載の放射線画像検出装置であって、
    前記第1非柱状部の厚みは、前記第2非柱状部の厚みよりも小さい、放射線画像検出装置。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の放射線画像検出装置であって、
    前記光検出器は、光電変換素子を含むセンサ基板を有し、
    前記センサ基板には、前記シンチレータの前記第1非柱状部側の部分が貼り合わせられる、放射線画像検出装置。
  8. 請求項7に記載の放射線画像検出装置であって、
    前記柱状部における結晶成長方向先端部の少なくとも前記柱状結晶間に前記第1非柱状部が設けられて前記シンチレータが平坦化される、放射線画像検出装置。
  9. 請求項1から6のいずれか一項に記載の放射線画像検出装置であって、
    前記光検出器は、光電変換素子が形成されたセンサ基板を有し、
    前記シンチレータは、気相堆積法により前記センサ基板に蒸着される、放射線画像検出装置。
  10. 請求項9に記載の放射線画像検出装置であって、
    前記第1非柱状部は、前記センサ基板上に、蒸着の初期において形成された領域であり、この第1非柱状部の空隙率は、0あるいは略0である、放射線画像検出装置。
  11. 請求項1から10のいずれか一項に記載の放射線画像検出装置であって、
    前記シンチレータは、保護膜によって被覆される、放射線画像検出装置。
  12. 請求項11に記載の放射線画像検出装置であって、
    前記保護膜は、パリレンである、放射線画像検出装置。
  13. 請求項11又は12に記載の放射線画像検出装置であって、
    前記保護膜は、気相堆積法により蒸着される、放射線画像検出装置。
  14. 請求項1から13のいずれか一項に記載の放射線画像検出装置であって、
    前記シンチレータにおいて少なくとも前記柱状部は、Csl及びTlを含んで形成される、放射線画像検出装置。
  15. 請求項1から14のいずれか一項に記載の放射線画像検出装置であって、
    可搬なカセッテとされる、放射線画像検出装置。
  16. 請求項1から15のいずれか一項に記載の放射線画像検出装置の製造方法であって、
    支持体上に、気相堆積法により前記シンチレータを形成する際に、真空度、支持体温度、及び蒸着レートの少なくともいずれかの条件を変更することで、前記柱状部及び前記第1非柱状部を少なくとも含むシンチレータを形成するシンチレータ形成工程を含む、放射線画像検出装置の製造方法。
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