JP2009098130A - 放射線検出器 - Google Patents

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純一 戸野谷
Katsutoshi Higuchi
勝敏 樋口
Yoshiko Sakai
佳子 堺
Katsuhisa Honma
克久 本間
Atsuya Yoshida
篤也 吉田
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Abstract

【課題】シンチレータ層への水分侵入を防止してシンチレータ層の劣化を抑制することが可能な放射線検出器を提供する。
【解決手段】可視光を電気信号に変換する複数の光電変換素子を有する電極基板と、前記電極基板上に形成され、放射線を可視光に変換するシンチレータ層と、少なくとも前記シンチレータ層上に乾燥剤膜および防湿膜をこの順序で積層して形成される保護膜とを備えたことを特徴とする放射線検出器。
【選択図】 図1

Description

本発明は、入射する放射線を電気信号に変換する放射線検出器に関する。
アクティブマトリックス型の平面検出器は、新世代のX線診断用画像検出器として開発されている。この平面検出器において、照射されたX線を検出することにより、X線撮影像またはリアルタイムのX線画像がデジタル信号として出力される。
この種の平面検出器には、大きく分けて直接方式と間接方式との二通りの方式がある。直接方式は、X線をX線変換膜にて直接電荷信号に変換させることによって画像を取得する方式である。一方、間接方式はX線をシンチレータ層にて可視光に変化させてから、この可視光をアモルファスシリコン(a−Si)フォトダイオードやCCDなどの光電変換素子で電荷信号に変換させて画像を取得する方式である。
間接方式の平面検出器に組み込まれるシンチレータ層は、ヨウ化セシウム:ナトリウム(CsI:Na)や、ヨウ化セシウム:タリウム(CsI:Tl)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、酸硫化ガドリニウム(Gd22S)などの材料が用いられている。このシンチレータ層は、ダイシングなどによって溝を形成するか、または柱状構造に堆積させたるか、いずれかにより柱状構造が形成されている。このような柱状構造を有するシンチレータ層は解像度特性が向上される。しかしながら、シンチレータ層に用いられる前記材料は強い吸湿性を示すものが多い。このため、大気雰囲気下に放置すると感度特性や解像度特性が劣化する。
このようなことから、大気や水分に対する遮蔽性を有するとともにX線に対する透過性を有する保護膜が間接方式の平面検出器のシンチレータ層上に形成して、そのシンチレータ層の特性の劣化を防ぐことが研究されている。例えば、特許文献1には真空あるいは不活性性ガス雰囲気下での蒸発堆積法によって形成したキシリレン系樹脂のような有機膜を防湿膜として用いることが開示されている。その他、ポリパラキシリレン膜、エポキシ樹脂膜を防湿膜として用いることも知られている。また、特許文献2には酸窒化珪素などの無機膜を防湿膜として用いることが開示されている。
特公平5−39558号公報(第2−3頁、第1図および第3図) 特公平6−58440号公報(第2−5頁、第1図)
しかしながら、防湿膜によるシンチレータ層を含むX線検出器の保護において、防湿膜自体を通過した水分、防湿膜との密着界面から侵入する水分によりシンチレータ層が劣化する問題があった。
本発明は、シンチレータ層への水分侵入を防止してシンチレータ層の劣化を抑制することが可能な間接方式の放射線検出器を提供することを目的とする。
本発明の第1態様によると、可視光を電気信号に変換する複数の光電変換素子を有する電極基板と、前記電極基板上に形成され、放射線を可視光に変換するシンチレータ層と、少なくとも前記シンチレータ層上に乾燥剤膜および防湿膜をこの順序で積層して形成される保護膜とを備えたことを特徴とする放射線検出器が提供される。
本発明の第2態様によると、可視光を電気信号に変換する複数の光電変換素子を有する電極基板と、前記電極基板上に形成され、放射線を可視光に変換するシンチレータ層と、少なくとも前記シンチレータ層上に形成された乾燥剤を分散した防湿膜とを備えたことを特徴とする放射線検出器が提供される。
本発明によれば、シンチレータ層への水分侵入を防止してシンチレータ層の劣化を抑制でき、高い感度特性および解像度特性を長期間に亘って安定して維持することが可能な放射線検出器を提供することができる。
以下、本発明の実施形態に係るX線検出器を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る間接変換方式のX線検出器を示す要部断面図である。
間接変換方式のX線検出器1は、電極基板であるアクティブマトリクス光電変換基板2を備えている。光電変換基板2は、例えばコーニング社製商品名:コーニング1737からなるガラス板3(透光性板)と、このガラス板3の一主面上にマトリクス状に形成されたスイッチング素子としての複数の薄膜トランジスタ4および矩形平板状の複数の蓄積キャパシタ5と、これらの薄膜トランジスタ4および蓄積キャパシタ5上に形成された絶縁性平坦化樹脂層6と、この平坦化樹脂層6上に薄膜トランジスタ4と接続するように形成され、可視光を電気信号に変換する光電変換素子、例えばフォトダイオード7とを備えている。
前記薄膜トランジスタ4はガラス板3上に形成されたゲート電極11を有し、前記蓄積キャパシタ5はガラス板3上に形成された第1電極12を有する。ゲート絶縁膜および誘電体膜を兼ねる絶縁膜13は、前記電極11,12を含む前記ガラス板3全面に形成されている。例えば不純物ドープ多結晶シリコンからなる活性層14は、前記絶縁膜13上に前記ゲート電極11と対向するように形成されている。例えば金属またはITO(Indium-Tin Oxide)のような導電性薄膜からなる第2電極15は、前記絶縁膜13上に前記第1電極12と対向するように形成されている。ソース電極16は、前記活性層14の一方の端部(例えば左端部)に重なるように前記絶縁膜13上に形成されている。ドレイン電極17は、前記活性層14の他方の端部(例えば右端部)および前記第2電極15の一端(例えば左端部)に重なるように前記絶縁膜13上に形成されている。前記平坦化樹脂層6は、活性層14、第2電極15、ソース電極16およびドレイン電極17を含む前記絶縁膜13全面に形成されている。
前記フォトダイオード7は、アモルファスシリコン(a−Si)のpnダイオード構造あるいはpinダイオード構造として画素毎に前記平坦化樹脂層6上に形成されている。フォトダイオード7は、第1電極である集電電極21および第2電極である例えばITOからなるバイアス電極22を有する。集電電極21は、平坦化樹脂層6のスルーホール23を通して前記ドレイン電極17に接続されている。バイアス電極22は、バイアス電圧の印加により集電電極21の間でバイアス電界が形成される。フォトダイオード7および集電電極21、バイアス電極22を除く平坦化樹脂層6上には絶縁樹脂層24がバイアス電極22と面一になるように形成されている。
ガラス板3の表面における行方向に沿った一側縁には、各薄膜トランジスタ4の動作状態、例えば各薄膜トランジスタ4のオンおよびオフを制御する細長矩形平板状の高速信号処理部(図示せず)が取り付けられている。この高速信号処理部は、信号の読み出しを制御したり、読み出された信号を処理したりするためのラインドライバである。高速信号処理部には、複数の制御ライン(図示せず)の一端が電気的に接続されている。各制御ラインは、各画素間に位置するようにガラス基板3の行方向に沿って配線されている。また、各制御ラインは同じの行の各画素を構成する薄膜トランジスタ4のゲート電極11にそれぞれ電気的に接続されている。
ガラス板3の表面には、複数のデータライン(図示せず)が各画素間に位置するように列方向に沿って配線されている。各データラインは、同じ列の画素を構成する薄膜トランジスタ4のソース電極16にそれぞれ電気的に接続され、同じ列の画素を構成する薄膜トランジスタ4から画像データ信号を受信する。各データラインの一端は、高速信号処理部に電気的に接続され、さらに高速信号処理部はデジタル画像処理部としてのデジタル画像伝送部(図示せず)と電気的に接続されている。このデジタル画像伝送部は、光電変換基板2の外側に導出された状態で取り付けられている。
入射するX線を可視光に変換するシンチレータ層31は、バイアス電極22を含む絶縁樹脂層24上に形成されている。このシンチレータ層31は、例えば蒸着法、エレクトロビーム法またはスパッタ法などの方法で、個別な柱状構造31aにヨウ化ナトリウム(NaI)やヨウ化セシウム(CsI)などの蛍光体を堆積させて構成された柱状結晶である。したがって、シンチレータ層31は柱状結晶によって発生した光の拡散が小さく、高い解像度を有する。
実施形態では、シンチレータ層31表面に反射膜41を形成している。但し、反射膜41は必ずしも必須ではない。反射膜41は、シンチレータ層31が発する蛍光の内で光電変換素子と反対側に伝播する光を光電変換素子側に反射して、シンチレータ発光の利用効率を高めるものである。この効果により放射線検出器としての感度アップが図れる。一方、反射膜42による反射光は光電変換素子までの伝播距離が長くなる分、シンチレータ層31から光電変換素子に直接向かう直接光に対して広がりが大きい。このため、感度アップと引き換えに解像度の低下を招く恐れがある。保護膜42は、反射膜41上に形成されている。保護膜42は、乾燥剤膜43および防湿膜44を有する。すなわち、乾燥剤膜43反射膜41上に形成されている。防湿膜44は、乾燥剤膜43上に形成されている。
反射膜41は、例えばブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂のような熱可塑性高分子化合物に酸化チタン粉末を70重量%以上含有する組成物を用いることができる。
乾燥剤膜43は、例えば第2族,第3族または第4族の金属のアルコキシドと有機ポリマーとの混合物から形成される。
金属アルコキシドは、例えばアルミニウムアルコキシドを用いることができる。アルミニウムアルコキシドは、例えば双葉電子社製商品名;OleDry−L3(25重量%のデカン溶媒を含む)を挙げることができる。
有機ポリマーは、ケイ素含有ポリマー、特にシリル基を持つケイ素含有ポリマーであることが好ましい。このようなケイ素含有ポリマーは、例えば30〜35モル%のメチルヒドロシロキサンと65〜70モル%のジメチルシロキサンの共重合体を用いることができる。有機ポリマーは、前記混合物に対して25〜70体積%含有することが好ましい。このような混合物からなる乾燥剤膜は、例えば前記混合物を溶剤に溶解した溶液を塗布する塗布法により形成することができる。
乾燥剤膜43は、前記混合物の他に、例えば酸化カルシウム,酸化マグネシウム、カルシウムまたはマグネシウムのような材料から作ることができる。このような乾燥剤膜は蒸着法により形成することができる。
防湿膜44は、(a)X線を透過し、(b)透水性が低く、(c)乾燥剤膜と反応しない,材料から作られることが好ましい。このような防湿膜43は、例えば窒化シリコン膜、酸窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、アルミナ膜、窒化アルミニウム膜のような無機蒸着膜、または例えば蒸着により形成されるポリパラキシレン膜を用いることができる。防湿膜は、前記材料以外に、100nm〜100μmのアルミニウム膜のような金属膜を用いることができる。
このような図1に示す構造の間接式X線検出器の作用を説明する。
X線は、防湿膜44、乾燥剤膜43および反射膜41を通してシンチレータ層31に入射されると、シンチレータ層31で可視光を発生する。可視光は、反射膜41側およびフォトダイオード7側に向けて放射される。反射膜41に入射された可視光は、反射されてフォトダイオード7に向けて放射される。可視光は、フォトダイオード7で光電変換される。このとき、フォトダイオード7を挟んで上部側のバイアス電極22にバイアス電圧を印加して集電電極21にバイアス電界を発生させることにより、フォトダイオード7で生じた電荷(信号電荷)は、集電電極21に移動し、この集電電極21からドレイン電極17などを通して蓄積キャパシタ5に蓄積される。
一方、この蓄積キャパシタ5に蓄積された信号電荷は、図示しない高速信号処理部で例えば画素単位の行ごとに順に制御されて読み出される。
すなわち、高速信号処理部から図示しないデータラインを通して第1行目に位置する画素単位のゲート電極11にそれぞれ例えば10Vのオン信号を入力して、第1行目の画素単位の薄膜トランジスタ4をそれぞれオン状態にする。薄膜トランジスタ4のオンにより第1行目の画素単位の蓄積キャパシタ5に蓄積された信号電荷は、ドレイン電極17からソース電極16に電気信号として出力される。ソース電極16に出力した電気信号は、それぞれ高速信号処理部によって増幅される。増幅された電気信号は、デジタル画像伝送部(図示せず)に出力され、直列信号に変換され、さらにデジタル信号に変換されて図示しない次段の信号処理回路へと送られる。
第1行目に位置する画素単位の蓄積キャパシタ5の電荷の読み出しが終了すると、高速信号処理部からデータラインを通して第1行目の画素単位のゲート電極11に対して、例えば−5Vのオフ信号が入力されて第1行目の画素単位の薄膜トランジスタ4をそれぞれオフ状態にする。
この後、上述した動作が第2行目以下の画素単位に対しても順になされる。全ての画素単位の蓄積キャパシタ5に蓄積した信号電荷が読み出され、順次デジタル信号に変換されて出力されて、1つのX線画面に対応する電気信号が図示しないデジタル画像伝送部から出力される。
以上説明したように、実施形態によればX線検出器1のシンチレータ層31を含む電極基板(光変換基板)2上の反射膜41に乾燥剤膜43および防湿膜44をこの順序で積層して保護膜42を形成することによって、シンチレータ層31への水分侵入を防止することが可能になる。すなわち、防湿膜44自体を通過した水分や防湿膜44と密着界面から浸入する水分が存在したとしても、その下層の乾燥剤膜43によって水分を吸水してシンチレータ層31が水分と反応するのを防止できる。
特に、乾燥剤膜43を特定の金属のアルコキシドと有機ポリマーとの混合物から作ることによって、長期間に亘って優れた吸水性能を維持でき、シンチレータ層31への水分侵入をより確実に防止することが可能になる。
事実、以下の実験で前記混合物からなる乾燥剤膜が優れた吸水性能を有することを確認した。
(実験例1)
気体導入ポートを有し、露点センサーが備えた密閉容器を用意した。4cm角サイズの無アルカリガラス板上に真空蒸着法でCsIを成膜した。このガラス板をH2O濃度が1ppm未満の環境下の前記密閉容器に入れ、気体導入ポートを開けて水分を含んだ空気を少量導入した後、再び密閉し、露点の時間変化を測定し、シンチレータ層の吸湿特性を調べた。その結果を図2に示す。
図2から露点変化が飽和してほぼ一定の露点になったところではCsIが完全に吸水したと仮定して理想気体の状態方程式から算出して見積もった吸水量は0.2mgである。この結果からCsIのシンチレータ層が高い吸水性を有することがわかる。
(実験例2)
アルコキシアルミニウム[双葉電子社製商品名;OleDry−L3(25重量%のデカン溶媒を含む)]とケイ素含有ポリマー[Gelest社製商品名;HMS−301(30−35モル%のメチルヒドロシロキサンと65−70モル%のジメチルシロキサンの共重合体)]の加熱脱水物とを体積比が70:30になるように混合した混合物を塗布型乾燥剤(実験例2)として用意した。
なお、アルコキシアルミニウム[双葉電子社製商品名;OleDry−L3(25重量%のデカン溶媒を含む)]のみを塗布型乾燥剤(比較例1)として用意した。
実験例2および比較例1の塗布型乾燥剤を同様なガラス板上にそれぞれ成膜して乾燥剤膜を形成し、これらの乾燥剤膜の吸水性能を調べた。その結果を図3にそれぞれ示す。
図3からは算出した実験例2および比較例1の乾燥剤膜は、吸水量が0.96mgで、CsIのシンチレータ層に比べて高い吸水性を有することがわかる。
しかしながら、比較例1の乾燥剤膜は顕微鏡による検査で吸水後にクラックが生じることを確認した。これは、乾燥剤の成分であるアルコキシアルミニウムが吸水するとアルミノールとなり低分子化するために、膜中に応力が発生し,クラックにつながったと考えられる。このようなクラックが発生すると、クラック部を通して水分が浸入し、X線検出器のシンチレータ層を劣化させる。
これに対し、ケイ素含有ポリマーが混合された実験例2の乾燥剤膜は吸水速度が遅くなるものの、トータルの吸水量は変わらず、吸水性能は維持できると共に、吸水時の膜中応力を緩和してクラック発生が防止された。
このようにアルコキシアルミニウムとケイ素含有ポリマーとの混合物からなる乾燥剤膜は、乾燥剤性能を損なうことなく、かつ吸水に伴うクラックなどを発生せず、長期間に亘って優れた吸水性能を維持できることが明らかとなった。
したがって、シンチレータ層31への水分侵入を防ぎ、高温高湿条件の加速試験においてシンチレータ層31の劣化を抑制して解像度および発光効率の低下を防止でき、高い感度特性および解像度特性を長期間に亘って維持することが可能なX線検出器を提供できる。
次に、乾燥剤膜および防湿膜をこの順序で積層した保護膜を有するX線検出器の解像度を下記の実験例3により評価した。
(実験例3)
実験例3では、乾燥剤膜の有無によるシンチレータ層の解像度劣化を比較する目的に適したサンプルを作製した。すなわち、ガラス基板上に600μmのCsI:Tl蒸着膜をシンチレータ層として形成した。シンチレータ層上の保護膜は、ポリモノクロロパラキシリレン(パリレンc)からなる第1防湿膜、乾燥剤膜および同材料からなる第2防湿膜をこの順序で形成した3層構造を有する。
このような保護膜は、次のような方法により形成した。まず、前述した図1に示すCsIからなるシンチレータ層31上に化学蒸着法により厚さ5μmのポリモノクロロパラキシリレン(パリレンc)からなる第1防湿膜を直接形成した。つづいて,アルコキシアルミニウム[双葉電子社製商品名;OleDry−T049]とケイ素含有ポリマー[Gelest社製商品名;HMS−301(30−35モル%のメチルヒドロシロキサンと65−70モル%のジメチルシロキサンの共重合体)]の加熱脱水物とを重量比が50:50になるように混合した混合物を第1防湿膜上に塗布し、150℃、15分間焼成して乾燥剤膜を形成した。さらに乾燥剤膜上に化学蒸着法により厚さ20μmのポリモノクロロパラキシリレン(パリレンc)からなる第2防湿膜を形成した。
また、比較例2のサンプルはガラス基板上に600μmのCsI:Tl蒸着膜をシンチレータ層として形成し、このシンチレータ層上に厚さ25μmのポリモノクロロパラキシリレン(パリレンc)からなる防湿膜を形成した構造を有する。すなわち、比較例2のサンプルは乾燥剤が防湿膜の間に介在されていない。
実験例3および比較例2のサンプルを60℃、90%の環境下に曝露しつつ、以下の方法で解像度を測定した。
解像度は、以下の試験装置に組み込み、各サンプルについて測定した。すなわち、サンプルをホルダ上にそのサンプルの防湿膜が上面に位置するように保持させた。X線源であるX線管は、ホルダの上方にサンプルのシンチレータ層とガラス基板の界面とX線の放射部の距離が1.0mになるように配置した。1.5mm厚さのアルミニウム薄膜からなるX線フィルタは、ホルダとX線管の間で、X線管側付近に配置した。解像度チャートはホルダとX線管の間で、サンプルのシンチレータ層とガラス基板の界面から約5mm離して配置した。ここで、解像度チャートは1mmあたりに同じ幅のラインおよびスペースがそれぞれ2つ配列された2Lp/mmの配列構造を有する。先端にタンデムレンズを取付けたCCDカメラは、ホルダの背面側に配置した。
このような試験装置において、X線管を70kV−1mAの条件で作動し、X線をX線フィルタおよび解像度チャートを通してサンプルに照射し、シンチレータ層で光学画像に変換した。この光学画像をCCDカメラで撮影して解像度チャート像を得た。CCDカメラの焦点は、サンプルのシンチレータ層とガラス基板の界面に合わせた。これは、ガラス基板による像のぼやけを避けて2Lp/mmの解像度チャート像を撮影するためである。つづいて、ホルダとX線管の間の解像度チャートを取り除いてX線画像を同様に撮影した。このX線画像で解像度チャートを配置したときのX線画像を除算処理する等により測定サンプル自体の輝度むらを補正した。補正した解像度チャート像の明暗のコントラストより解像度の定量指標とする2Lp/mmのCTF(Contrast Transfer Function)を計算した。得られた解像度結果から曝露時間に対する解像度の経時変化を図4に示す。
図4から明らかなように第1防湿膜、乾燥剤膜および第2防湿膜を積層した保護膜をシンチレータ層上に形成した実験例3のサンプルは、高温、高湿の環境下に48時間曝露した後においても解像度の劣化は観察されず、高い解像度を維持できることを確認できた。
なお、保護膜は前述した乾燥剤膜および防湿膜をこの順序で積層した2層構造、第1防湿膜、乾燥剤膜および第2防湿膜をこの順序で積層した3層構造に限らず、乾燥剤を分散した防湿膜であってもよい。また乾燥剤膜および乾燥剤分散膜の形態は、必ずしも連続膜に限らず断続的な膜や部分的な膜形態でもよい。
本発明の実施形態に係るX線検出器を示す要部断面図。 CsIのシンチレータ層の吸水特性を示す図。 アルコキシアルミニウムとケイ素含有ポリマーの混合物からなる実験例2の乾燥剤膜、およびアルコキシアルミニウム単独からなる比較例1の乾燥剤膜の吸水特性を示す図。 乾燥剤膜および吸湿膜を有する保護膜がシンチレータ層上に形成された実験例3のX線検出器および吸湿膜のみがシンチレータ層上に形成された比較例2のX線検出器の60℃、90%の環境下に曝露したときの時間と解像度維持率の関係を示す図。
符号の説明
1…X線検出器、2…光変換基板、3…ガラス板、4…薄膜トランジスタ、5…蓄積キャパシタ、7…フォトダイオード、31…シンチレータ層、42…保護膜、43…乾燥剤膜、44…防湿層。

Claims (9)

  1. 可視光を電気信号に変換する複数の光電変換素子を有する電極基板と、
    前記電極基板上に形成され、放射線を可視光に変換するシンチレータ層と、
    少なくとも前記シンチレータ層上に乾燥剤膜および防湿膜をこの順序で積層して形成される保護膜と
    を備えたことを特徴とする放射線検出器。
  2. 前記乾燥剤膜が第2族,第3族または第4族の金属のアルコキシドと有機ポリマーとの混合物から形成されることを特徴とする請求項1記載の放射線検出器。
  3. 前記有機ポリマーは、ケイ素含有ポリマーであることを特徴とする請求項2記載の放射線検出器。
  4. 前記ケイ素含有ポリマーは、30〜35モル%のメチルヒドロシロキサンと65〜70モル%のジメチルシロキサンの共重合体であることを特徴とする請求項2または3記載の放射線検出器。
  5. 前記有機ポリマーは、前記混合物中に25体積%以上含むことを特徴とする請求項2ないし4いずれか記載の放射線検出器。
  6. 前記乾燥剤膜が酸化カルシウム,酸化マグネシウム、カルシウムまたはマグネシウムのいずれかから形成されることを特徴とする請求項1記載の放射線検出器。
  7. 前記防湿膜は,ポリパラキシレン,窒化シリコン、酸窒化シリコン酸化シリコン、アルミナおよび窒化アルミニウムの群から選ばれるいずれかの化合物から形成されることを特徴とする請求項1ないし6いずれか記載の放射線検出器。
  8. 前記保護膜は、前記シンチレータ層と前記乾燥剤膜の間にさらに形成された防湿膜を備えることを特徴とする請求項1ないし7いずれか記載の放射線検出器。
  9. 可視光を電気信号に変換する複数の光電変換素子を有する電極基板と、
    前記電極基板上に形成され、放射線を可視光に変換するシンチレータ層と、
    少なくとも前記シンチレータ層上に形成された乾燥剤を分散した防湿膜と
    を備えたことを特徴とする放射線検出器。
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