JP2012134226A - 薄膜太陽電池およびその製造方法 - Google Patents

薄膜太陽電池およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2012134226A
JP2012134226A JP2010283184A JP2010283184A JP2012134226A JP 2012134226 A JP2012134226 A JP 2012134226A JP 2010283184 A JP2010283184 A JP 2010283184A JP 2010283184 A JP2010283184 A JP 2010283184A JP 2012134226 A JP2012134226 A JP 2012134226A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
divided
string
defect
solar cell
thin film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2010283184A
Other languages
English (en)
Inventor
Keigo Aoki
桂吾 青木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP2010283184A priority Critical patent/JP2012134226A/ja
Publication of JP2012134226A publication Critical patent/JP2012134226A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Landscapes

  • Photovoltaic Devices (AREA)

Abstract

【課題】欠陥によるホットスポットの発生を抑制することができる薄膜太陽電池の製造方法を提供すること。
【解決手段】絶縁基板の表面上に第1電極層、光電変換層および第2電極層が順次積層されてなる薄膜光電変換素子が複数個互いに電気的に直列接続されてなるストリングを形成する工程(A)と、前記ストリングを部分的に除去して前記直列接続の方向である第1方向に延びる分割溝を形成することによって、第1方向と直交する第2方向に相互に絶縁分離されて並んだ複数本の分割ストリングを形成する工程(B)とを備え、前記工程(A)は、前記第1電極層、前記光電変換層および前記第2電極層のうちの少なくとも1つの層の欠陥面内分布を測定する欠陥検査処理を含み、前記工程(B)は、前記欠陥面内分布の測定結果に基づいて、前記複数本の分割溝の溝形成位置を決定する処理と、各溝形成位置に前記複数本の分割溝を形成する処理とを含むことを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、直列接続された複数の薄膜光電変換素子を有する薄膜太陽電池およびその製造方法に関する。
近年、ガスを原料としてプラズマCVD法により形成される薄膜太陽電池が注目されている。この薄膜太陽電池の例として、シリコン系薄膜からなるシリコン系薄膜太陽電池やCISあるいはCIGS化合物薄膜太陽電池等が挙げられ、開発および生産量の拡大が進められている。
これらの薄膜太陽電池は、プラズマCVD法、スパッタ法または真空蒸着法等により、基板上に透明電極、光電変換層および裏面電極を積層して形成される(例えば、特許文献1参照)。
特開2010−92893号公報
特許文献1に記載の薄膜太陽電池の製造方法では、絶縁透光性基板の第1主面上に透明電極、光電変換層および裏面電極を含む積層して積層膜を形成した後、基板外周部の積層膜をレーザスクライブ工程によって除去する前に、積層膜付き基板を洗浄して異物を除去している。
しかしながら、例えば、基板搬入時に保護のために基板間に挟んでいた紙シートに含まれていた糊成分が基板の第1主面上に固着した異物や、CVD成膜装置内の電極や内壁面に付着していた堆積物の粉が成膜前または成膜中に基板の第1主面上に落下して積層膜内に取り込まれた膜内異物などは、洗浄によって除去し難いため、洗浄後も基板に残留する異物が存在し、それらによって積層膜内に欠陥が発生してしまう。
そして、薄膜太陽電池の発電時に発電電流が欠陥に流れると、その欠陥が電気抵抗となって局所的に発熱するホットスポットが発生し、それによって薄膜太陽電池の発電性能が劣化し、さらには故障する場合もある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、欠陥によるホットスポットの発生を抑制することができる薄膜太陽電池の製造方法を提供することを目的とする。
かくして、本発明によれば、絶縁基板の表面上に第1電極層、光電変換層および第2電極層が順次積層されてなる薄膜光電変換素子が複数個互いに電気的に直列接続されてなるストリングを形成する工程(A)と、
前記ストリングを部分的に除去して前記直列接続の方向である第1方向に延びる分割溝を形成することによって、第1方向と直交する第2方向に相互に絶縁分離されて並んだ複数本の分割ストリングを形成する工程(B)とを備え、
前記工程(A)は、前記第1電極層、前記光電変換層および前記第2電極層のうちの少なくとも1つの層の欠陥面内分布を測定する欠陥検査処理を含み、
前記工程(B)は、前記欠陥面内分布の測定結果に基づいて、前記複数本の分割溝の溝形成位置を決定する処理と、各溝形成位置に前記複数本の分割溝を形成する処理とを含む薄膜太陽電池の製造方法が提供される。
また、本発明の別の観点によれば、絶縁基板の表面上に第1電極層、光電変換層および第2電極層が順次積層されてなる薄膜光電変換素子が互いに電気的に直列接続された分割ストリングが、分割溝を介して直列接続方向と直交する方向に複数並列してなり、欠陥数が多い分割ストリングの直列接続方向と直交する方向の幅は狭く形成され、欠陥数が少ない分割ストリングの直列接続方向と直交する方向の幅は広く形成された薄膜太陽電池が提供される。
本発明によれば、欠陥の多い分割ストリングに流れる電流を小さく、欠陥の少ない分割ストリングに流れる電流を大きくすることにより、欠陥抵抗による発熱を抑えてホットスポットの発生を抑制すると共に、薄膜太陽電池の発電効率を向上させることができる。
本発明の実施形態1の薄膜太陽電池を示す概略斜視図である。 本発明の実施形態1の薄膜太陽電池の製造方法を説明する工程フロー図である。 本発明の実施形態1の薄膜太陽電池の製造方法を説明する図であって、分割ストリング形成前の薄膜太陽電池を示す概略斜視図である。 図4は図1または図3に示す薄膜太陽電池を第1方向に切断した概略断面図である。 実施形態1におけるS113での溝形成位置を決定する工程の一例である。 図1で示した薄膜太陽電池を第2方向に切断した概略断面図である。 実施形態1における逆バイアス処理工程およびこの工程で使用する逆バイアス処理手段を説明する概略図である。 本発明の実施形態1における溝形成位置を決定する処理を示す別の説明図である。 本発明の実施形態2の薄膜太陽電池の製造方法における溝形成位置を決定する処理を説明する図である。 本発明の実施形態3の薄膜太陽電池の製造方法を説明する図であって、逆バイアス処理工程およびこの工程で使用する逆バイアス処理手段を説明する概略図である。 実施形態3における逆バイアス処理工程で使用可能な逆バイアス処理手段を示す概略斜視図である。 実施形態3における逆バイアス処理手段の電源を示す概念図である。 実施形態3における逆バイアス処理手段の移動機構の一例を示す概略構成図である。 実施形態3における分割ストリングの形成を説明する図である。 比較例としての分割ストリングの形成を説明する図である。 実施形態4の逆バイアス処理手段を示す概略斜視図である。
本発明の薄膜太陽電池の製造方法は、絶縁基板上に第1電極層、光電変換層および第2電極層が順次積層されてなる薄膜光電変換素子が複数集積された構造を備えた薄膜太陽電池を製造する方法である。
光電変換層としてはpn接合型、pin接合型、ヘテロ接合型、pnまたはpin接合が複数重ねられたタンデム構造型等が挙げられる。
また、本発明は絶縁基板として透明基板を使用したスーパーストレート型の薄膜太陽電池と、不透明基板を使用したサブストレート型の薄膜太陽電池の両方に適用可能である。
この薄膜太陽電池の製造方法は、絶縁基板の表面上に第1電極層、光電変換層および第2電極層が順次積層されてなる薄膜光電変換素子が複数個互いに電気的に直列接続されてなるストリングを形成する工程(A)と、
膜除去手段を用いて前記ストリングを部分的に除去して前記直列接続の方向である第1方向に延びる分割溝を形成することによって、第1方向と直交する第2方向に相互に絶縁分離されて並んだ複数本の分割ストリングを形成する工程(B)とを備える。
前記工程(A)は、前記第1電極層、前記光電変換層および前記第2電極層のうちの少なくとも1つの層の欠陥面内分布を測定する欠陥検査処理を含む。
前記工程(B)は、前記欠陥面内分布の測定結果に基づいて、前記複数本の分割溝の溝形成位置を決定する処理と、各溝形成位置に前記膜除去手段によって前記複数本の分割溝を形成する処理とを含む。
前記欠陥検査処理において、ストリングの欠陥面内分布を測定する方法は特に限定されず、例えば、電圧印加によるエレクトロルミネッセンス(EL)発光を利用した検査、電圧印加により発生する磁界を利用した検査、マイクロスコープやSEM(走査型電子顕微鏡)、光の反射、透過や干渉を利用した検査等、測定する面の膜の種類に応じた欠陥検査方法を適宜採用することができる。
これらの検査方法の中でも、後述する実施形態1では、EL発光検査を採用しており、詳しくは、特開2009−105112号公報、特開2009−164165号公報および特開2010−54365号公報に記載されている。
EL発光検査は、各薄膜光電変換素子に順方向の電流を流すことによってEL発光させ、基板面内における発光強度分布を観察することで、欠陥面内分布を測定することができる。すなわち、発光強度が弱い領域に欠陥が存在し、発光強度の特に弱い領域が電気的な抵抗値が大きい欠陥を有している領域として識別される。従って、EL発光検査を用いることで欠陥数だけでなく欠陥の抵抗値も識別することができる。
工程(B)において、欠陥検査処理にて測定された欠陥面内分布の結果に基づいて、分割溝の溝形成位置を決定する際、複数の分割ストリングのうち、多数の欠陥が存在する領域を含む分割ストリングの第2方向の幅を狭く、少数の欠陥が存在する領域を含む分割ストリングの第2方向の幅を広くするように、前記溝形成位置を決定することが好ましい。
このようにすれば、幅の狭い分割ストリングに流れる電流値は小さくなるため、この分割ストリング内の欠陥による発熱が低減され、ホットスポットの発生を効果的に抑えることができ、ホットスポットによる薄膜太陽電池の発電量低減や不良の発生を抑制することができる。
工程(B)は、具体的には次の(I)または(II)のように行うことができる。
(I)前記工程(B)の前記溝形成位置を決定する処理において、溝形成位置が固定された固定溝形成位置と、前記固定溝形成位置に対して平行に第2方向に位置を調整できる調整溝形成位置とを設定し、前記欠陥面内分布に基づいて前記調整溝形成位置の位置を調整し、調整した調整溝形成位置および前記固定溝形成位置に前記分割溝を形成する。
この場合、多数の欠陥が存在する領域を含む分割ストリングの幅を狭く、少数の欠陥が存在する領域を含む分割ストリングの幅を広くするように、前記調整溝形成位置の位置を調整する。
(II)前記工程(B)の前記溝形成位置を決定する工程において、第2方向に等間隔に並んだ複数の溝形成予定位置を設定し、前記欠陥面内分布に基づいて、前記複数の溝形成予定位置の中から形成する分割溝の数に応じて溝形成予定位置を選択し、選択した溝形成予定位置に前記分割溝を形成する。
この場合、多数の欠陥が存在する領域を含む分割ストリングの幅を狭く、少数の欠陥が存在する領域を含む分割ストリングの幅を広くするように、前記溝形成予定位置を選択する。
前記(I)または(II)によれば、領域毎の欠陥分布の算出、欠陥分布に応じた溝形成位置の決定プロセス、および溝形成位置に分割溝を形成する膜除去手段の移動制御を簡略化することができる。なお、この点について詳しくは後述の実施形態1および2で説明する。
膜除去手段としては、レーザ光を照射するヘッド部(例えば、YAGレーザおよび/またはYVO4レーザ)と、該ヘッド部を第1方向および第2方向へ移動させる移動機構とを備えたレーザスクライブ装置を用いることができる。
このレーザスクライブ装置は、前記(I)または(II)のように工程(B)を行うのに適している。また、これらのレーザによれば、絶縁基板を傷付けることなく薄膜光電変換素子のみを容易かつ高精度に分割することができる。
また、前記レーザスクライブ装置はメタルマスクを備えていてもよい。つまり、レーザにて直列方向の分割溝を各ストリングに複数本形成する際、ストリングの両端の第1および第2電極層の一部をメタルマスクにてマスクすることにより、マスクした箇所はレーザにて切断されないため、互いに電気的に並列接続された複数の分割ストリングを高速に形成することができる。
この薄膜太陽電池の製造方法は、逆バイアス処理手段を用いて前記分割ストリングにおける各薄膜光電変換素子に逆バイアス電圧を印加して逆バイアス処理する工程(C)をさらに含んでもよい。
この逆バイアス処理手段は、例えば、複数の分割ストリングに対応する複数の電圧印加ユニットを有し、前記電圧印加ユニットは、分割ストリングにおける隣接する2つの薄膜光電変換素子の第2電極層に接触可能な2つのピン形電極を有するものを用いることができる。
この場合、工程(B)において、複数の前記溝形成位置は、分割溝によって形成された複数の分割ストリングに、逆バイアス処理手段の各電圧印加ユニットのピン形電極が正常に接触できる位置に制限されることが好ましい。
逆バイアス処理手段としては、複数の分割ストリングに対応する複数の電圧印加ユニットと、各電圧印加ユニットを第1方向(直列接続方向)に移動させる移動機構(第1移動機構)を備え、前記電圧印加ユニットは、電源と、該電源と電気的に接続されて同一の分割ストリングにおける隣接する2つの薄膜光電変換素子の前記第2電極層に接触して異なった電位を同時に付与する2つのピン形電極と、該2つのピン形電極を相互に電気的に絶縁した状態で連結して各ピン形電極を昇降させる昇降駆動部と、該昇降駆動部を保持する保持部とを有するものを用いることができる。
さらに、この逆バイアス手段は、各電圧印加ユニットを第1方向と直交する第2方向に移動させる移動機構(第2移動機構)を備えていてもよい。
薄膜光電変換素子に逆バイアス電圧を印加することにより、欠陥に起因する短絡部に電流が流れ、その際に発生したジュール熱により短絡部が飛散して除去される、あるいは短絡部が酸化して絶縁される。
これによって、隣接光電変換素子間が短絡することによる発電電圧の低下や、短絡部に電流が集中することによるホットスポットの発生を抑えることができる。
本発明によって、分割ストリングの幅を薄膜太陽電池薄膜の欠陥分布に応じて可変させることにより単位セル内の膜中異物などの欠陥によるホットスポットの発生を抑えると共に、逆バイアス処理にてセル間でホットスポット要因となる短絡部を除去できることから、従来の薄膜太陽電池と比較してホットスポットの発生をより抑え、発電量低下を抑制できる。
以下、図面を参照しながら本発明の薄膜太陽電池の製造方法の実施形態について詳しく説明する。なお、図面や以下の記述中で示す内容は、例示であって、本発明の範囲は、図面や以下の記述中で示すものに限定されない。以下、スーパーストレート型構造の薄膜太陽電池を例に挙げて説明を進めるが、以下の説明は、サブストレート型構造の薄膜太陽電池についても基本的に当てはまる。但し、サブストレート型構造の場合、第1電極、光電変換層および第2電極を形成する順序が逆転し、第2電極、光電変換層および第1電極がこの順序で絶縁基板上に形成される。スーパーストレート型構造の場合は基板側が表面側となり、サブストレート型構造の場合は基板側が裏面側となる。
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1の薄膜太陽電池を示す概略斜視図である。
この薄膜太陽電池(分割ストリング形成後の薄膜太陽電池)200は、透明絶縁基板101上に、透明電極層としての第1電極層102、光電変換層103、および裏面電極層としての第2電極層104がこの順序で積層された薄膜光電変換素子Q2、Q3を複数個備えている。
また、第1方向Xに並ぶ複数個の薄膜光電変換素子Q2は電気的に直列接続しており、それによって分割ストリングを構成している。
実施形態1では、4本の分割ストリング106a〜106dが分割溝105を挟んで相互に絶縁状態で並列して形成される場合を例示している。
以下、薄膜光電変換素子をセルと称する。
図1に示すように、例えば、分割ストリング106dにおいて、透明電極層102は、光電変換層103で埋められた第1分離溝107によって分離されており、光電変換層103および裏面電極層105は第2分離溝108によって分離されている。そして、レーザ光等を用いたパターンニングによって光電変換層103が除去された部分であるコンタクトライン109を通って、一のセルQ2の第2電極層104が隣接する他のセルQ2またはセルQ3の第1電極層102に接続されることにより、複数のセルQ2が第1方向Xに電気的に直列に接続されている。
他の分割ストリング106a〜106cも同様である。
透明絶縁基板101としては、以降の膜形成プロセスにおける耐熱性及び透光性を有するガラス基板、ポリイミド等の樹脂基板等が使用可能である。また、第1電極層102は、透明導電膜からなり、例えば、SnO2、ITO、ZnOなどが用いられる。
p型半導体層には、ボロン、アルミニウム等のp型不純物原子がドープされており、n型半導体層にはリン等のn型不純物原子がドープされている。i型半導体層は、完全にノンドープである半導体層であってもよく、微量の不純物を含む弱p型又は弱n型で光電変換機能を十分に備えている半導体層であってもよい。なお、本明細書において、「非晶質層」及び「微結晶層」は、それぞれ、非晶質及び微結晶の半導体層を意味する。
光電変換層を構成する各半導体層の材料は、特に限定されず、例えば、シリコン系半導体、CIS(CuInSe2)化合物半導体、CIGS(Cu(In,Ga)Se2)化合物半導体等からなる。以下、各半導体層がシリコン系半導体からなる場合を例にとって説明を進める。「シリコン系半導体」とは、非晶質又は微結晶シリコン、又は非晶質又は微結晶シリコンに炭素やゲルマニウム又はその他の不純物が添加されたシリコンを含む半導体(シリコンカーバイド、シリコンゲルマニウム等)を意味する。また、「微結晶シリコン」とは、結晶粒径が小さい(数十から千Å程度)結晶シリコンと、非晶質シリコンとの混合相の状態のシリコンを意味する。微結晶シリコンは、例えば、結晶シリコン薄膜をプラズマCVD法などの非平衡プロセスを用いて低温で作製した場合に形成される。
第2電極層104の構成や材料は、特に限定されないが、一例では、第2電極104は、透明導電膜と金属膜とが光電変換層上に積層した積層構造を有する。透明導電膜は、SnO2、ITO、ZnOなどからなる。金属膜は、銀、アルミニウム等の金属からなる。
透明導電膜と金属膜は、CVD、スパッタ、蒸着等の方法により形成することができる。
次に、本発明の薄膜太陽電池の製造方法について説明する。
図2は本発明の実施形態1の薄膜太陽電池の製造方法を説明する工程フロー図であり、図3は本発明の実施形態1の薄膜太陽電池の製造方法を説明する図であって、分割ストリング形成前の薄膜太陽電池を示す概略斜視図であり、図4は図1または図3に示す薄膜太陽電池を第1方向Xに切断した概略断面図である。
実施形態1の薄膜太陽電池の製造方法は、絶縁基板101の表面上に第1電極層102、光電変換層103および第2電極層104が順次積層されてなる帯状セルQ1が互いに電気的に直列接続されたストリング(分割ストリング形成前の薄膜太陽電池)100を形成する工程(A)と、膜除去手段を用いて第1電極層102と第2電極層104を電気的に絶縁分離する直列接続方向(第1方向X)に延びる分割溝105を形成することによってストリング100を複数に分割して、複数の分割ストリング106a〜106dを形成する工程(B)と、逆バイアス処理手段を用いて分割ストリング106a〜106dにおける各セルQ2に逆バイアス電圧を印加して逆バイアス処理する工程(C)とを備える。
図2において、S103〜S112は工程(A)に含まれ、S113は工程(B)に含まれ、S115は工程(C)に含まれる。ここで符号のSはステップの意味であり、薄膜太陽電池の製造プロセスに含まれる処理の単位を表している。
工程(A)は、第1電極層102、光電変換層103および第2電極層104のうちの少なくとも1つの層を形成した後に、その層の欠陥面内分布を測定する欠陥検査処理を含んでおり、この欠陥検査処理はS106、S108およびS112で行われる。
さらに、工程(B)は、欠陥検査処理にて測定された欠陥面内分布の結果に基づいて、分割溝105の溝形成位置を決定し、この溝形成位置に沿って膜除去手段を駆動させて分割溝105を形成する処理を含んでいる。
膜除去手段としては、前記レーザスクライブ装置を用いることができる。
この薄膜太陽電池の製造方法では、まず、図3に示した分割ストリング形成前の薄膜太陽電池100を以下のようにして作製する。
まず、S101において、主面に予め透明導電膜(例えば、厚さ500〜1000nmのSnO2膜)が積層された絶縁基板101を基板搬入装置を用いて製造ライン内に搬入する。
なお、透明導電膜付き絶縁基板を用いない場合は、S101またはS102の後に、熱CVD法、スパッタ法等により、絶縁基板101上に第1電極層102を膜厚500〜1000nm程度で積層する処理を実施する。
次に、S102において、絶縁基板101を第1の基板洗浄装置を用いて洗浄する。
次に、S103において、レーザスクライブ法によって、透明導電膜の一部を所定間隔(7〜18mm程度)で除去して複数の第1分離溝107を形成することにより、複数の第1電極層102を形成する。
続いて、S104において、レーザスクライブ法によって、絶縁基板101の周縁部に位置する第1電極層102の一部を除去することによって、製造すべき薄膜太陽電池の製造ライン内での管理番号、QRコード等のマーキングを形成する。
次に、S105において、第1電極層付き絶縁基板101を第2の基板洗浄装置を用いて洗浄する。
次に、S106において、例えばCCDカメラなどの撮像装置を用いて、第1分離溝107の位置と形状、第1電極層102上の表面異物や傷の有無等を観測する第1外観検査を行う。
さらに、第1外観検査の後または前に、第1欠陥検査処理を行って第1電極層102の欠陥面内分布を測定してもよい。この第1欠陥検査処理では検査対象膜は透明導電膜であり、マイクロスコープやSEM、光の反射、透過や干渉を利用した欠陥検査等により行うことができる。なお、第1欠陥検査処理を前記第1外観検査と同じ検査手段を用いることで、共通の装置で外観検査と欠陥検査を行うことも可能である。
続いて、S107において、プラズマCVD法等により、第1分離溝107で分離された第1電極層102を覆うように光電変換層103を膜厚300〜3000nm程度で積層する。光電変換層103は、p型半導体層、i型半導体層およびn型半導体層を順次第1電極102上に積層する。
次に、S108において、例えば、半導体膜厚検査装置を用いて、光電変換層103の膜厚を検査する。
ここで、膜厚検査の前後に前記EL発光や磁界を利用した検査、マイクロスコープやSEM、光の反射や干渉を利用した検査等により、第2欠陥検査処理を行って光電変換層103の欠陥面内分布を測定することができる。
次に、S109において、レーザスクライブ法により、光電変換層103の一部を所定間隔(7〜18mm程度)で除去することによって、複数のコンタクトライン109を形成する。
続いて、S110において、スパッタ法、蒸着法等により、光電変換層103を覆うように透明導電層と金属層をこの順で積層して第2電極層104を形成する。これにより、コンタクトライン109が第2電極層104で埋められる。
次に、S111において、レーザスクライブ法によって、光電変換層103および第2電極層104の一部を所定間隔(7〜18mm程度)で除去することによって分離して、複数の第2分離溝108を形成する。
なお、第1分離溝107、コンタクトライン109および第2分離溝108を形成するレーザスクライブ法は、各溝を形成する際に除去すべき層に吸収される波長に調整したYAGレーザやYVO4レーザを用いることができる。
以上により、図3および図4に示すように、透明絶縁基板101上に複数の帯状セルQ1が互いに直列接続された薄膜太陽電池100が形成される。
次に、S112において、例えば、CCDカメラを用いて、第2分離溝108の位置と形状、第2電極層104上の表面異物や傷の有無等を観測する第3外観検査を行う。
さらに、この第3外観検査の後または前または同時に、第2欠陥検査処理と同様に、第3欠陥検査処理を行って第2電極層104の欠陥面内分布を測定してもよい。第1〜第3の各欠陥検査処理によって得られたデータを合わせることにより、詳細な欠陥面内分布データを得ることができる。
本実施形態では第1〜3欠陥検査を実施しているが、本発明はこれに限定されず、少なくともS104のストリング分割の前までに欠陥検査を実施すればよい。また、各欠陥検査を実施するステップについて本実施形態は例示であり、各処理ステップ間の任意の位置で実施することができる。
また、ホットスポットになる欠陥が多数発生する可能性が高いのは、成膜装置の堆積物が光電変換層に取り込まれる膜中異物であるので、本発明においては光電変換層の欠陥検査を実施することが好ましい。
例えば、EL発光検査において、基板面内における発光強度分布は、表示部の画面上で欠陥マップとして表示され、制御部による解析によって欠陥個数として検出される。
この欠陥マップと欠陥個数の測定データは、欠陥検査装置より図示しない生産ライン全体を制御するサーバーを経由して、または直接欠陥検査装置より、後述するS113のストリング分割処理装置に通信され、ストリング分割処理装置はこの測定データに基づいて分割溝の形成位置を設定することができるようになる。
ここまでが、分割ストリング形成前の薄膜太陽電池100を形成する工程(A)であり、その後、分割ストリングを形成する工程(B)が行われる。
工程(B)ではまず、S113のストリング分割処理が実施される。
工程(B)S113では、まず、欠陥検査結果に基づいて溝形成位置を決定する処理が行われる。
図5は実施形態1におけるS113での溝形成位置を決定する工程の一例である。このとき、図5の左図に示すように、分割ストリング形成前の薄膜太陽電池100を第2方向Yに等間隔で区分した単位領域a〜f毎に面内欠陥分布を区分することで、1単位領域当たりの欠陥密度を算出することができる。
例えば、各単位領域に含まれる欠陥数について、領域aは10個、領域bは20個、領域cは40個、領域dは30個、領域eは999個、領域fは10個であるとすると、各個数が各領域における欠陥密度となる。
そして、欠陥密度の大きい領域に含まれる単位領域数を少なく、欠陥密度の小さい領域に含まれる単位領域数を多くするように溝形成位置を決定することで、多数の欠陥が存在する領域を含む分割ストリングの幅を狭く、少数の欠陥が存在する領域を含む分割ストリングの幅を広くするように溝形成位置を決定する。
図5の左図の場合、領域eの欠陥密度は999個/領域と大幅に高くなっているため、領域eを幅の狭い分割ストリングとすべく、図5の右図に示すように、領域dとeの間および領域eとfの間を溝形成位置(太線部分)として決定することで、領域eを最小幅の分割ストリングとしている。
形成すべき分割ストリングの数が3本であれば溝形成位置は前記の2本でよいが、形成すべき分割ストリングの数が4本であれば溝形成位置は3本であるため、溝形成位置をもう1本決定する。図5の右図の場合、領域bとcの間も溝形成位置(太線部分)として決定している。
ちなみに、形成すべき分割ストリング数は、製造する薄膜太陽電池の仕様などによって決定されており、処理条件として事前にストリング分割処理装置に情報が送信されている。
このように3本の溝形成位置を決定することにより、領域aとbが統合された領域の欠陥密度は15個/領域[=(10+20)/2]、領域cとdが統合された領域では35個/領域、領域eでは999個/領域、領域fでは10個/領域に確定される。
なお、図5では、薄膜太陽電池100を単位領域a〜fに区分して各領域における欠陥密度を検出する場合を例示したが、単位領域の区分数をさらに増加して1つの領域の幅(第2方向Y)をさらに狭くすることで、より細かい分割ストリング幅の調整が可能となる。
次に、決定された溝形成位置に沿って薄膜太陽電池100に分割溝105を形成することにより、図1、図5の右図および図6で示すように、複数の分割ストリング106a〜106dを形成する。なお、図6は図1で示した薄膜太陽電池を第2方向Yに切断した概略断面図である。
この薄膜太陽電池200は、前記S112で決定された溝形成位置に分割溝105を形成することによって、図6に示すような、幅の異なる分割ストリング106a〜106dを有する。
分割溝105の形成工程の一例を以下に説明する。
まず、透明絶縁基板101側からレーザ光を照射しながら第1方向X(帯状セルQ1の長手方向と直交する方向)に移動させるレーザスクライブ法によって、光電変換層103および第2電極層104の一部を所定間隔(75〜250mm程度)で除去して第1分割溝105aを形成する。照射するレーザ光は、第1電極層(透明電極層)102でほとんど吸収されないYAGレーザ第2高調波(波長532nm)を用いることができる。
次に、第1分割溝105aの中央部付近に、透明絶縁基板101側からレーザ光を照射しながら第1方向Xに移動させて、第1電極層102を除去し、第2分割溝105bを形成する。照射するレーザ光は、第1電極層102で吸収されるYAGレーザ基本波(波長1.06μm)を用いることができる。
このように、第1分割溝105aおよび第2分割溝105bからなる分割溝105を形成することによって各帯状セルQ1(図3参照)を複数に分割して電気的に絶縁することにより、複数の単位セルQ2(図1および図6参照)が第1方向Xに電気的に直列接続された分割ストリング106a〜106dを複数並列して有する薄膜太陽電池200を作製することができる。
なお、図1と図4に示すように、各分割ストリングのX方向の端部側のセルQ3は、他の単位セルQ2よりも第1方向Xの寸法が短く形成されており、これらのセルQ3は光電変換素子としてではなく、後述の逆バイアス処理時の電極として各セルQ3の第2電極104が使用される。
ところで、図1では、複数の分割ストリング106a〜106dが分割溝105によって電気的に絶縁されて並列してなる薄膜太陽電池200を図示しているが、複数の分割ストリング106a〜106dを電気的に並列接続した薄膜太陽電池を作製してもよい(図示省略)。この場合、透明絶縁基板1側からレーザ光を照射する前に、図3に示す薄膜太陽電池100の第1方向Xの両端側の2つの帯状セルQ1にレーザ光が照射されないように、透明絶縁基板101の外面にメタルマスクを配置する。そして、メタルマスクを配置した状態で、上述のように透明絶縁基板1側からレーザ光を照射して第1分割溝105aおよび第2分割溝105bを形成して分割溝105を形成する。メタルマスクはレーザ光を透過させないため、メタルマスクにて覆われた部分の第1電極102、光電変換層103および第2電極104は残存する。このメタルマスクとしては、厚さ1〜3mm程度のアルミニウム、ステンレス等からなる金属シートを用いることができる。
これにより、複数の分割ストリング106a〜106dの第1方向Xの一端側にある各単位セルQ2の第1電極102および第2電極104はそれぞれ共通電極によって並列接続されると共に、複数の分割ストリング106a〜106dの第1方向Xの他端側にある各セルQ3の第1電極102および第2電極104はそれぞれ共通電極によって並列接続される。
次に、S114において、薄膜太陽電池200における透明絶縁基板101の外周部に位置する部分にレーザ光を照射して除去することにより、図示しないトリミング領域を形成する。このトリミング領域は、薄膜太陽電池に必要な絶縁耐電圧性を付与する絶縁領域である。
次に、S115において、薄膜太陽電池200の各単位セルQ2に逆バイアス電圧を印加して逆バイアス処理する工程が行われる。
単位セルQ2における光電変換層103に形成されたピンホールを通じて第1電極102と第2電極104とが接触した短絡部が存在する場合、この逆バイアス処理によって短絡部の除去、短絡部の分類および修復状況を判断することができる。
図7は実施形態1における逆バイアス処理工程およびこの工程で使用する逆バイアス処理手段を説明する概略図である。
この逆バイアス処理手段512は、一定電圧を出力する出力端子501を有する電源502と、出力端子501を薄膜太陽電池200の各第2電極層に接続する導電性部材505とを備えている。
出力端子501は、一対の出力端子501a、501bからなり、本実施形態1においては、一方の出力端子501aに正電位、他方の出力端子501bに0Vの電位を出力できるようにしている。出力端子501aに出力する正電位は任意の値に制御可能である。導電性部材505は、電極接続部505aおよび配線部505bから構成されている。
なお、実施形態1における逆バイアス処理工程で使用可能な具体的な逆バイアス処理手段の構成については後述する。
図4は、例えば、実施形態1における薄膜太陽電池200の分割ストリング106dを第1方向Xに切断した概略断面図であり、分割ストリング106dの各単位セルQ2およびセルQ3における第1電極に102f1〜102f5の符号を付すと共に、第2電極に104f1〜104f6の符号を付している。
以下、図4と図7を参照しながら逆バイアス処理工程を説明する。
逆バイアス処理工程では、まず、逆バイアス処理手段の一対のピン形電極505a1、505a2を、例えば分割ストリング106fにおける端部側の隣り合う第2電極層104f1、104f2に接触させる。一方の単位セルQ2の第2電極層104f1は、光電変換層103のn半導体層側の裏面電極である。また、他方の単位セルQ2の第2電極層104f2は、一方の単位セルQ2における光電変換層103のp半導体層側の透明電極層である第1電極層102f1と接続されている。したがって、一方の第2電極層104f1に正電位を付与し、他方の第2電極層104f2に0Vを付与すれば、一方の単位セルQ2の光電変換層103に逆方向電圧が印加され、逆バイアス処理が行われる。
具体的には、例えば、出力端子501aに+3Vの電位、出力端子501bに0Vの電位を出力し、第2電極層104f1、104f2間に3Vの電圧を1秒間印加する。これにより、光電変換層103に3Vの逆方向電圧(逆バイアス電圧)が1秒間印加される。
この電圧印加により電流がほとんど流れない場合には、その単位セルQ2には短絡部が存在しないと判断して逆バイアス処理を終了し、一対のピン形電極505a1、505a2を一つずれた位置の第2電極層104f2と104f3に接触させて次の単位セルQ2の逆バイアス処理を行う。
一方、電圧印加時に所定値以上の電流が流れ、電圧印加期間1秒内に電流が減少しない場合には、出力端子101aの電位を5Vに変更し、さらに1秒間逆バイアス電圧を印加する。それでも電流が減少しない場合には、逆バイアス処理できないと判断して処理を終了し、次の単位セルQ2の逆バイアス処理を行う。ここで、出力端子501aに出力する電位が大きすぎると、単位セルQ2のpin接合が破壊されるため、単位セルQ2に印加される電圧は耐電圧以下とする必要がある。
上記手順により、一列の分割ストリング106dの全ての単位セルQ2を順次逆バイアス処理する。なお、最後に出力端子505a2を接触させる第2電極104f6の部分のセルQ3は光電変換素子として使用はしないので、このセルQ3の逆バイアス処理は省略される。
そして、一列の分割ストリング106dの全ての単位セルQ2についての逆バイアス処理が終了すれば、同様の手順で、隣接する次の分割ストリング106cの全ての単位セルQ2を順次逆バイアス処理し、このように薄膜太陽電池200における全ての単位セルQ2を逆バイアス処理する。
このようにして各単位セルQ2の逆バイアス処理時に取得したデータにより、上述のように短絡の程度を分類することができる。また、先の欠陥検査処理で欠陥面内分布を調べているため、薄膜太陽電池のどの部分に欠陥が発生し易いかを解析することができることに加え、逆バイアス処理によって短絡発生箇所の確認ができる。これらの解析結果をフィードバックすることにより、第1電極層、光電変換層および第2電極層の成膜処理の改善に利用することができ、成膜装置側の問題点を把握し易くなり、早期対応が可能となる。
また、一般的な薄膜太陽電池において、分割ストリングの一部の単位セルが射影により発電しなくなると、他の単位セルで発生した電圧が、発電しなくなった単位セルのpn接合に逆方向に印加される。逆方向に電圧印加された単位セル中に短絡部が存在すると、その短絡部分に電流が集中して流れ、ジュール熱により発熱して局所的に温度が上昇し、電極と光電変換層の間で膜剥離が発生したり、基板が割れたりする、いわゆる「ホットスポット現象」が発生する可能性がある。
実施形態1によれば、発電時に比較的大電流が流れ難い幅の狭い分割ストリング106a、106fに多くの短絡部(欠陥)が収まるように分割溝105を形成しているため、発電時の電気抵抗によるホットスポットは生じ難くなっており、それに加えて、逆バイアス処理によって短絡部の除去も行うため、射影時のホットスポットの発生も低減することで、従来の薄膜太陽電池よりホットスポットの発生をより抑制できる。
その後、当該分野で通常行われているように、S116において絶縁検査を行い、S117において特性検査を行い、S118において基板搬出処理を行って、薄膜太陽電池の完成品が得られる。
図8は実施形態1の薄膜太陽電池の製造方法における溝形成位置を決定する処理を示す別の説明図である。なお、図8において、図1中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
ここでは、具体的にかつ容易に溝形成位置を決定することができる方法を説明する。
図8の上図は、S112の後に得られた薄膜太陽電池100を示している。この薄膜太陽電池100は、多数の欠陥が集まった領域R1、R2を有している。
この場合の溝形成位置の決定方法は、前記(II)の方法であり、図8の上図に示すように、まず、第2方向Yに等間隔に並んだ点線で示す複数の予定溝形成位置L3を予め設定する。図8では、第2方向Yに等分割する17本の予定溝形成位置L3が設定されている。この場合、各領域R1、R2の近傍を予定溝形成位置L3が3本ずつ通っている。
次に、多数の欠陥を有する分割ストリングの第2方向Yの幅が狭くなり、少数の欠陥を有する分割ストリングの第2方向Yの幅が広くなるように、複数の予定溝形成位置L3の中から1つ以上(この場合、6本)の予定溝形成位置L3を選択し、それによって、図8の下図に示すように、実線で示す最終的な6本の溝形成位置Lが決定される。
そして、これらの溝形成位置Lに分割溝を形成することにより、多数の欠陥が収まった幅の狭い分割ストリング(4本)と、少数の欠陥が収まった幅の広い分割ストリング(3本)が形成される。
この場合も、ヘッド部の第2方向Yへの移動のピッチ幅に制限があるレーザスクライブ装置を用いる場合に有効である。
本発明によれば、ストリングを形成する工程(A)において、前記第1電極層、前記光電変換層および前記第2電極層のうちの少なくとも1つの膜を形成した後に、前記絶縁基板の表面上に積層された膜の欠陥面内分布を測定する欠陥検査処理が行われる。
この欠陥検査工程によって、形成したストリングの面内のどの位置に、抵抗値大の欠陥と抵抗値小の欠陥がどの程度存在しているのかを知ることができる。
そして、複数の分割ストリングを形成する工程(B)において、抵抗値大の欠陥が比較的多い領域の近傍に第1方向の分割溝を形成することにより、多くの抵抗値大の欠陥を有する分割ストリングを第2方向の幅を狭くして形成することが可能となる。つまり、幅の狭い特定の分割ストリング内に抵抗値大の欠陥が多く収まり、この特定の分割ストリング内には抵抗値小の欠陥が極力含まれないように区画することが可能となる。
この結果、得られた薄膜太陽電池の発電時において、各分割ストリングの電圧は幅に関係なく一様であるが、幅の狭い分割ストリングの電流値は、幅の狭い分割ストリングの電流値よりも小さくなるため、幅の狭い分割ストリングの抵抗値大の欠陥に大きな電流が流れてホットスポットが発生するという不具合を抑制することができる。
(実施形態2)
図9は本発明の実施形態2の薄膜太陽電池の製造方法における溝形成位置を決定する工程を説明する図である。なお、実施形態1と共通の要素については同一の符号を付しており、共通の事項については説明を省略する場合がある。
この実施形態2では、分割ストリングを形成する工程(B)において、具体的にかつ容易に溝形成位置を決定することができる方法を説明する。
図9の上図は、S112の後に得られた薄膜太陽電池100を示している。この薄膜太陽電池100は、例えば、多数の欠陥が集まった領域R1、R2(多数のドット部分)を有しており、このことは先の欠陥検査処理によって得られた欠陥面内分布の測定データから分かっている。なお、その他の領域には少数の欠陥が分散しているか、あるいは欠陥が見当たらない。
実施形態2の溝形成位置の決定方法は、前記(I)の方法であり、図9の上図に示すように、まず、溝形成位置が固定された一点鎖線で示す固定溝形成位置L1と、この固定溝形成位置L1に対して第2方向Yに平行に位置を調整される二点鎖線で示す調整溝形成位置L2とを予め設定する。
図9では、6本の分割ストリングを形成する場合であって、初期状態として第2方向Yに等分割する5本の溝形成位置が設定され、それらの内、中心および両側が調整溝形成位置L2に設定され、残りが固定溝形成位置L1に設定された場合を例示している。この場合、一方の固定溝形成位置L1は一方の領域R1内を通り、他方の固定溝形成位置L1は他方の領域R2の近傍を通っている。
次に、形成すべき複数(この場合、6本)の分割ストリングのうち、多数の欠陥が集まった領域R1、R2を含む分割ストリングの第2方向Yの幅が狭くなるように、調整溝形成位置L2の位置を調整する。
例えば、図9の下図に示すように、一方の領域R1に近い両側の調整溝形成位置L2を、一方の固定溝形成位置L1との平行を維持しながら、一方の領域R1に接近するよう位置調整すると共に、他方の領域R2に近い調整溝形成位置L2を、他方の固定溝形成位置L1との平行を維持しながら、他方の領域R2に接近するよう位置調整する。
このように、各調整溝形成位置L2の位置調整を行うことにより、図9の下図に示すように、実線で示す最終的な5本の溝形成位置Lが決定される。
そして、これらの溝形成位置Lに分割溝を形成することにより、多数の欠陥が収まった幅の狭い分割ストリング(3本)と、少数の欠陥が収まった幅の広い分割ストリング(3本)が形成される。
ここで、実施形態2では固定溝形成位置L1が2つ、調整溝形成位置L2が3つの形態を説明したが、本発明はこれに限定されず、L1とL2の数は製造する薄膜太陽電池の仕様より決められている分割溝の数の範囲で、それぞれ任意に設定できる。
また、全ての位置が調整溝形成位置L2に設定されることで、より最適な溝形成位置を決めることができる。
なお、実施形態2の薄膜太陽電池の製造方法において、その他は実施形態1と同様であるため説明を省略する。
(実施形態3)
図10は本発明の実施形態3の薄膜太陽電池の製造方法を説明する図であって、逆バイアス処理工程およびこの工程で使用する逆バイアス処理手段を説明する概略図であり、図11は実施形態3における逆バイアス処理工程で使用可能な逆バイアス処理手段を示す概略斜視図であり、図12は実施形態3における逆バイアス処理手段の電源を示す概念図である。なお、実施形態1〜3と共通の要素については同一の符号を付しており、共通の事項については説明を省略する場合がある。
実施形態3は、逆バイアス処理工程が実施形態1とは異なると共に、実施形態1および2よりも溝形成位置が制限される場合に適用される。以下、実施形態3における逆バイアス処理工程を主に説明する。なお、実施形態3では、6本の分割ストリング106a〜106fを有し、第2方向Yの外側へ向かうほど分割ストリングの幅が狭くなった薄膜太陽電池200Aを用いた場合を例示している。
実施形態3では、各分割ストリング毎に異なる電源502a〜502fを用いて、各分割ストリング内の単位セルQ2を順次逆バイアス処理する。つまり、実施形態3の逆バイアス処理手段は、図7で説明した実施形態1の逆バイアス処理手段を複数備えている。
したがって、実施形態3の逆バイアス処理工程では、各分割ストリングの単位セルQ2を同時に逆バイアス処理することができ、薄膜太陽電池200の逆バイアス処理時間をより短縮化することができる。なお、分割ストリングの各単位セルを順次逆バイアス処理する手順は、実施形態1と同様である。
この場合、各分割ストリング間は分割溝105(図1参照)により電気的に分離されており、他の分割ストリングの第2電極に付与される電位の影響を受けることなく、各分割ストリングを個別に逆バイアス処理することができる。また、各分割ストリングが電気的に並列接続されていても、他の分割ストリングの第2電極に付与される電位の影響を受けることはない。
また、複数電源の正負いずれかの端子(例えば負側端子)を短絡して(共通の配線を利用して)同電位としても、他方の端子(例えば正側の端子)が短絡されていなければ、他の分割ストリングに付与される電圧の影響を受けることなく、各分割ストリングを個別に逆バイアス処理することができる。
この逆バイアス処理手段は、図7で説明した出力端子501a、501bを有する複数の電源502(502a〜502f)に加えて、各分割ストリング106a〜106fにおける2つの薄膜光電変換素子(単位セルQ2)に電位を付与する複数の電圧印加ユニットU1と、各電圧印加ユニットU1を第1方向Xに移動させる移動機構Tとをさらに備える。
電圧印加ユニットU1は、分割ストリングにおける2つの薄膜光電変換素子の第2電極層に接触可能な2つのピン形電極505a1、505a2と、2つの電極505a1、505a2を相互に電気的に絶縁した状態で連結して各電極505a1、505a2を昇降させる昇降駆動部601と、昇降駆動部601を保持する保持部602とを有する。
具体的には、保持部602は、例えば下方開口部を有するボックスからなる。また、昇降駆動部601は、例えば伸縮可能なエアーシリンダからなり、エアーシリンダのロッド部がボックスの下方開口部側へ上下方向に移動可能なように、エアーシリンダの本体部がボックスの内面に固定されている。なお、この場合、移動機構T1は、図示しないエアー供給源と、エアー供給源と各エアーシリンダとを接続して各エアーシリンダに圧縮エアーを供給する可撓性エアーチューブ等を備える。
また、例えば、エアーシリンダのロッド部下端には平板603が水平状に取り付けられ、この平板603の下面に2枚の導電性板材604が間隔を置いて取り付けられ、各導電性板材604の下面に電極505a1、505a2が一体化されている。この2枚の導電性板材604は、電源502の出力端子501a、501bに配線部505b、505bを介して電気的に接続されている。
また、2枚の導電性板材604の電気的絶縁性および2つの電極505a1、505a2の電気的絶縁性が確保されるように、例えば、平板603を絶縁材料にて構成し、各導電性板材604を平板603にボルト・ナット結合している。
なお、配線部505b、505bおよび上述のエアーチューブは、各電圧印加ユニットU1のX方向への移動を妨げないようにして移動機構T1の基盤701の下面側に配置されている。あるいは、基盤701の複数箇所に第1方向Xに延びるスリットを形成し、このスリットに配線部505b、505bおよびエアーチューブを通して外部ヘ引き出すことにより、基盤701の下面側のスペースに移動機構Tの部材のみを配置させてもよい。
図13はボールネジ機構を採用して複数の電圧印加ユニットU1を連動させる移動機構T1を示している。
この移動機構T1は、基盤701(図11参照)と、基盤701の下面の第1方向Xの両側に固定された平行な一対の固定片702と、一対の固定片702に回転可能に枢着された複数のスクリューシャフト703と、各スクリューシャフト703に螺着されたナット部704と、各スクリューシャフト703の後端に取り付けられた第1笠歯車705と、一対の固定片702に固定された複数のガイドシャフト706と、各スクリューシャフト703の後端側に配置されて基盤701の下面に回転可能に取り付けられたメインスクリューシャフト707と、メインスクリューシャフト707を回転させるモータMと、メインスクリューシャフト707に取り付けられて各第1笠歯車705と噛合する複数の第2笠歯車708とを備えている。
複数のスクリューシャフト703と複数のガイドシャフト706は交互にかつ平行に配置されており、1本のスクリューシャフト703と1本のガイドシャフト706との1組が1つの電圧印加ユニットU1に対応している。
電圧印加ユニットU1は、その保持部であるボックスの上壁が、図示しない取付部材を介して移動機構T1のナット部704に固定されかつガイドシャフト706にスライド可能に取り付けられている。
このように構成された移動機構T1に、上述のように各電圧印加ユニットU1が取り付けられているため、移動機構T1のモータMによってメインスクリューシャフト707と共に各第2笠歯車708が回転すると、各第1笠歯車705と共に各スクリューシャフト703が回転し、それによって各ナット部と共に各電圧印加ユニットU1が同時に第1方向Xに移動する。
この移動機構T1を備えた逆バイアス処理手段によれば、電圧印加ユニットU1の電極接続部501a1を分割ストリングの逆バイアス処理すべき単位セルQ2上に移動させたところで、昇降駆動部601にて電極505a1、505a2を降下させて2つの単位セルQ2の第2電極層に接触させ、実施形態1で説明した逆バイアス処理を行う。処理後、電極505a1、505a2を上昇させ、同様に移動、降下、逆バイアス処理、上昇を繰り返して、全ての単位セルQ2の逆バイアス処理を行う。
この逆バイアス処理手段によれば、このような逆バイアス処理を複数の分割ストリング106a〜106fについて並行して行うことができる。なお、各電圧印加ユニットU1に対応する複数の電源502a〜502fを独立してON/OFF制御することができ、かつ各電圧印加ユニットU1を独立して昇降させることができるため、各分割ストリング106a〜106fの単位セルQ2によって逆バイアス処理の時間に差がある場合は、処理が済んだ単位セルQ2に対応する電源から順次OFFし、かつ電圧印加ユニットU1を上昇させてもよい。このようにすれば、電力の省エネルギー化を図り、かつ次の単位セルQ2を逆バイアス処理するために待機させておくことができる。
なお、本実施形態での移動機構Tはボールネジ機構を用いた形態を例示したが、複数の電圧印加ユニットU1の保持部602と連結されて、各保持部602を連動してまたは独立して第1方向Xに移動可能に構成されていれば、本発明において具体的な機構は前記に限定されず、例えばベルト車機構(プーリー機構)、チェーン・スプロケット機構等を採用することができる。
前記の各種逆バイアス処理手段の移動機構Tにおいて、各電圧印加ユニットU1は第1方向Xへ移動可能であるが第2方向Yへは移動できない。つまり、各電圧印加ユニットU1の電極505a1、505a2の異なる隣り合ったユニット間の第2方向Yの間隔は一定に固定されている。
そのため、逆バイアス処理工程より前の分割ストリングを形成する工程において、次の点を考慮する必要がある。
図14は実施形態3における分割ストリングの形成を説明する図である。さらに詳しくは、図14(A)は複数の分割ストリングを同じ幅で形成する比較例の場合の各分割ストリングと各電圧印加ユニットU1の電極505a1、505a2との位置関係を示し、図14(B)は複数の分割ストリングを異なる幅で形成する本発明の実施形態3の場合の各分割ストリングと各電圧印加ユニットU1の電極505a1、505a2との位置関係を示している。なお、図14(A)および(B)において、多数のドットの領域は、多数の欠陥が集まった領域R1、R2を示している。
図14(A)の左図と図14(B)の左図は、分割前のストリングAを示している。
比較例の場合、図14(A)の右図に示すように、ストリングAを同じ幅で分割している為、等間隔に固定された各電圧印加ユニットU1の電極505a1、505a2が、各分割ストリングB1の隣接する2つのセルQB1の幅方向中間と接触できる。このとき、領域R1、R2の幅を考慮することなく分割ストリングB1を形成しているため、ホットスポットが発生し易い。
また、図15に示すように、逆バイアス処理装置を考慮せず、領域R1、R2の幅を狭くするように分割ストリングを形成した場合、全ての分割ストリングに対して一括で全ての電圧印加ユニットU1の電極505a1、505a2を降ろすことができなくなる。この場合、一部の電極505a1、505a2を降ろして一部の単位セルのみ逆バイアス処理し、その後基板または移動機構T全体を第2方向Yにずらして未処理の単位セルに電極を下ろせる位置に合わせ、再度電極505a1、505a2を未処理の単位セルに降ろして逆バイアス処理を実施する必要がある。そのため、移動回数が増えることによって逆バイアス処理装置の処理能力が低下する。
また、基板または移動機構Tの位置が第2方向Yに任意に制御して移動できない場合は、逆バイアス処理そのものができなくなり、逆バイアス処理装置を一旦停止して手動で電極または基板の位置を合わせをしなければならず、装置の稼働率が低下する。
なお、図15は比較例としての分割ストリングの形成を説明する図であり、図15中の符号B3は分割ストリング、QB3はセルを示し、図14(A)および(B)と同様の要素には同一の符号を付している。
よって、実施形態3においては、図14(B)の右図に示すように、領域R1、R2の幅を考慮しながら、各電圧印加ユニットU1の電極505a1、505a2が各分割ストリングB2の隣接する2つのセルQB2と接触できるよう、ストリングAを分割することが好ましい。そのため、領域R1、R2を有する分割ストリングB1の幅は領域R1、R2の幅と同等に狭くなっており、その結果、逆バイアス処理装置の処理能力や稼働率を落とすことなく、図14(A)の右図と比べて前記ホットスポットが発生し難い薄膜太陽電池を製造することができる。なお、電圧印加ユニットU1の電極505a1、505a2は、分割ストリングB2の隣接する2つのセルSB2と接触し、かつ隣接する分割ストリングB2と接触していなければ、接触位置は幅方向中間よりも端側でもよい。
(実施形態4)
図16は実施形態4の逆バイアス処理手段を示す概略斜視図である。なお、図16において、図11中の構成要素と同一の構成要素には、同一の符号を付している。
図11で示す実施形態3の逆バイアス処理装置は、各電圧印加ユニットU1が第2方向Y(分割ストリングの幅方向)に移動できない移動機構を備えるものであったが、図16で示す実施形態4の逆バイアス処理装置は、各電圧印加ユニットU1が第2方向Yに移動できる移動機構を備えている。
以下、実施形態4における実施形態3と異なる点について主に説明する。
実施形態4のバイアス処理手段は、4本の脚部901および天板902とを有する基台900と、複数の電圧印加ユニットU1を個別に第1方向Xに移動させる複数の第1方向移動機構XMと、各第1方向移動機構XMを個別に第2方向Yに移動させる複数の第2方向移動機構YMとを備える。
第1方向移動機構XMは、ボールネジ機構またはベルト車機構と、ボールネジ機構またはベルト車機構を駆動可能に収納し保持する下方開口直方体形のケース920とを備える。
第2方向移動機構YMは、基台900の第2方向に並ぶ二対の脚部901をそれぞれ連結する一対のガイドシャフト911と、各第1方向移動機構XMのケース920の上面2箇所に固定されかつ一対のガイドシャフト911が挿通する一対の筒体912と、基台900の天板902に第2方向に形成されたスリット913と、各ケース920の上面1箇所に固定されかつスリット913を通って上方へ突出する突出片914と、基台900の天板902の上面におけるスリット913の近傍に固定された各突出片914に対応する正逆回転可能なモータ915と、各突出片914と各モータ915との間に設けられた動力伝達機構部916とを備える。
動力伝達機構部916は、例えば、突出片914の上面に固定されたラック部材916aと、モータ915の駆動軸の先端に固定されてラック部材916aと噛合するピニオン部材916bとからなる。
第2方向移動機構YMによれば、モータ915の駆動軸と共にピニオン部材916bが正方向または逆方向に回転することにより、各筒体912が各ガイドシャフト911を摺動しながら、ラック部材916aと共にケース920が第2方向に移動し、電圧印加ユニットU1が第2方向に移動する。すなわち、電圧印加ユニットU1の電極505a1、505a2が第2方向に移動する。このとき、電圧印加ユニットU1の第2方向への移動可能な範囲は、ラック部材916aの第2方向の長さよりも少し短い距離である。
実施形態4によれば、各電圧印加ユニットU1の電極505a1、505a2が第2方向にも移動できるため、実施形態3(図14(B))のように、各電圧印加ユニットU1の電極505a1、505a2の第2方向の位置が固定されている形態より分割溝105の形成位置の調整範囲がより拡大する。
したがって、本実施形態は実施形態3と比較して基板上に形成されたストリングの欠陥分布に対してより適した位置に分割溝105を形成することができ、ホットスポットをより効果的に抑えることが可能となる。
(他の実施形態)
1.本発明においては、1つの電圧印加ユニットU2で2つの分割ストリングを逆バイアス処理するよう構成してもよく、あるいは1つの電圧印加ユニットU2で3つ〜全ての分割ストリングを逆バイアス処理するよう構成してもよい。すなわち、第1方向Xに電圧印加ユニットを延伸し、電極数をさらに増やすことができる。このようにすれば、逆バイアス印加時の昇降動作回数を更に減らすことができ、逆バイアス処理にかかるプロセスタイムをより短縮することができる。また、電圧印加ユニットおよび移動機構の構成部品をさらに削減することができ、作製コストをより低減することができる。この場合、昇降駆動部の数、電源の数および電源と電圧印加ユニットとの接続形態等も適宜選択することができる。
2.薄膜太陽電池において、分割ストリングの数、1本の分割ストリング内の単位セルの数は製造する太陽電池の仕様に応じて任意に設定することができる。また、それに対応して、レーザスクライブ装置および逆バイアス処理装置を含む各処理装置が適宜設定変更されることが好ましい。
101 絶縁基板(透明絶縁基板)
102 第1電極層(透明電極層)
103 光電変換層
104 第2電極層(裏面電極層)
100 薄膜太陽電池(ストリング)
105 分割溝
106a〜106f 分割ストリング
200 分割ストリング形成前の薄膜太陽電池
512、1512、2512 逆バイアス処理手段
Q1 帯状セル(薄膜光電変換素子)
Q2 単位セル
Q3 セル
T、T1 移動機構
U1、U2 電圧印加ユニット
YM 第2方向移動機構
XM 第1方向移動機構

Claims (7)

  1. 絶縁基板の表面上に第1電極層、光電変換層および第2電極層が順次積層されてなる薄膜光電変換素子が複数個互いに電気的に直列接続されてなるストリングを形成する工程(A)と、
    前記ストリングを部分的に除去して前記直列接続の方向である第1方向に延びる分割溝を形成することによって、第1方向と直交する第2方向に相互に絶縁分離されて並んだ複数本の分割ストリングを形成する工程(B)とを備え、
    前記工程(A)は、前記第1電極層、前記光電変換層および前記第2電極層のうちの少なくとも1つの層の欠陥面内分布を測定する欠陥検査処理を含み、
    前記工程(B)は、前記欠陥面内分布の測定結果に基づいて、前記複数本の分割溝の溝形成位置を決定する処理と、各溝形成位置に前記複数本の分割溝を形成する処理とを含むことを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法。
  2. 前記工程(B)において、前記欠陥面内分布に基づいて、多数の欠陥が存在する領域を含む分割ストリングの第2方向の幅を狭く、少数の欠陥が存在する領域を含む分割ストリングの第2方向の幅を広くするように、前記溝形成位置を決定する請求項1に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
  3. 前記工程(B)において、溝形成位置が固定された固定溝形成位置と、前記固定溝形成位置に対して平行に第2方向に位置を調整できる調整溝形成位置とを設定し、前記欠陥面内分布に基づいて前記調整溝形成位置の位置を調整し、調整した調整溝形成位置および前記固定溝形成位置に前記分割溝を形成する処理を含む、請求項2に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
  4. 前記工程(B)において、第2方向に等間隔に並んだ複数の溝形成予定位置を設定し、前記欠陥面内分布に基づいて、前記複数の溝形成予定位置の中から形成する分割溝の数に応じて溝形成予定位置を選択し、選択した溝形成予定位置に前記分割溝を形成する処理を含む、請求項2に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
  5. 逆バイアス処理手段を用いて前記分割ストリングにおける各薄膜光電変換素子に逆バイアス電圧を印加して逆バイアス処理する工程(C)をさらに含み、
    前記逆バイアス処理手段は、複数の分割ストリングに対応する複数の電圧印加ユニットを有し、
    前記電圧印加ユニットは、分割ストリングにおける隣接する2つの薄膜光電変換素子の第2電極層に接触可能な2つのピン形電極を有し、
    複数の前記溝形成位置は、その後に形成される複数の分割ストリングに各電圧印加ユニットのピン形電極が接触できるような位置に決定される、請求項1〜4のいずれか1つに記載の薄膜太陽電池の製造方法。
  6. 前記工程(A)は、前記第1電極層の欠陥面内分布を測定する第1欠陥検査処理と、前記光電変換層の欠陥面内分布を測定する第2欠陥検査処理と、前記第2電極層の欠陥面内分布を測定する第3欠陥検査処理とを含む請求項1〜5のいずれか1つに記載の薄膜太陽電池の製造方法。
  7. 絶縁基板の表面上に第1電極層、光電変換層および第2電極層が順次積層されてなる薄膜光電変換素子が互いに電気的に直列接続された分割ストリングが、分割溝を介して直列接続方向と直交する方向に複数並列してなり、欠陥数が多い分割ストリングの直列接続方向と直交する方向の幅は狭く形成され、欠陥数が少ない分割ストリングの直列接続方向と直交する方向の幅は広く形成されたことを特徴とする薄膜太陽電池。
JP2010283184A 2010-12-20 2010-12-20 薄膜太陽電池およびその製造方法 Pending JP2012134226A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010283184A JP2012134226A (ja) 2010-12-20 2010-12-20 薄膜太陽電池およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010283184A JP2012134226A (ja) 2010-12-20 2010-12-20 薄膜太陽電池およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2012134226A true JP2012134226A (ja) 2012-07-12

Family

ID=46649506

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010283184A Pending JP2012134226A (ja) 2010-12-20 2010-12-20 薄膜太陽電池およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2012134226A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111739827A (zh) * 2020-08-10 2020-10-02 浙江晶科能源有限公司 半导体片材组件的制备方法及装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111739827A (zh) * 2020-08-10 2020-10-02 浙江晶科能源有限公司 半导体片材组件的制备方法及装置
CN111739827B (zh) * 2020-08-10 2021-01-05 浙江晶科能源有限公司 半导体片材组件的制备方法及装置
US11043608B1 (en) 2020-08-10 2021-06-22 Zhejiang Jinko Solar Co., Ltd. Method and apparatus for manufacturing semiconductor sheet assembly

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8349623B2 (en) Method and apparatus for manufacturing thin film photoelectric conversion module
US20090104342A1 (en) Photovoltaic fabrication process monitoring and control using diagnostic devices
JP2009105401A (ja) 薄膜光電池装置のためのプロセステスタ及びテスティング技法
JP5134479B2 (ja) 光電変換装置モジュールの検査装置
EP2264781A1 (en) Solar cell manufacturing method, solar cell manufacturing device, and solar cell
JP5297840B2 (ja) 積層体、薄膜光電変換素子、集積型薄膜太陽電池およびそれらの製造方法
Markauskas et al. Validation of monolithic interconnection conductivity in laser scribed CIGS thin-film solar cells
JP2006229052A (ja) 太陽電池とその製造方法及びこれに用いる短絡部除去装置
JP2012134226A (ja) 薄膜太陽電池およびその製造方法
KR101476123B1 (ko) 박막형 태양전지의 제조방법 및 제조장치
WO2011024750A1 (ja) 太陽電池の評価方法及び評価装置
JP2010021437A (ja) 太陽電池の製造装置およびその製造方法
WO2009123039A1 (ja) 太陽電池の製造方法および太陽電池の製造装置
JP2014038921A (ja) 太陽電池の評価方法及び評価装置
TWI478362B (zh) 薄膜太陽能電池之雷射切割裝置及其測量方法
WO2012108256A1 (ja) 逆バイアス処理装置およびそれを用いた逆バイアス処理方法
JP5162683B2 (ja) 逆バイアス処理装置およびそれを用いた逆バイアス処理方法
EP2458651A2 (en) Laser apparatus and method for manufacturing a solar cell module using the same
JP2013229427A (ja) 薄膜太陽電池の製造方法
TW201005976A (en) Method and apparatus for manufacturing solar battery
WO2011052426A1 (ja) 太陽電池の評価装置及び評価方法
JP2006196798A (ja) 薄膜太陽電池の検査方法
Ishteev et al. Technological parameters of thin-film pulsed laser scribing for perovskite photovoltaics
TWM628262U (zh) 包括中間極的薄膜太陽能電池
JP2011049299A (ja) 太陽電池の特性測定方法及び特性測定装置