JP2012132392A - 気筒間空燃比ばらつき異常検出装置 - Google Patents

気筒間空燃比ばらつき異常検出装置 Download PDF

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Yoshie Sasai
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Abstract

【課題】使用燃料のアルコール濃度に拘わらず正確な検出を可能とする。
【解決手段】アルコール燃料を使用可能な多気筒内燃機関1の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置は、使用燃料のアルコール濃度を取得するためのセンサ35と、排気通路に設けられた空燃比センサ17とを備える。空燃比センサの出力変動度合いに相関する出力変動パラメータと所定の判定値とに基づき、正常、異常または保留の第1判定を実行する。第1判定において保留と判定されたとき、取得されたアルコール濃度に応じて異なる補正値を用いて、出力変動パラメータおよび判定値の一方を補正する。補正された一方と、他方とに基づき、正常または異常の第2判定を実行する。
【選択図】図1

Description

本発明は、多気筒内燃機関の気筒間空燃比のばらつき異常を検出するための装置に係り、特に、多気筒内燃機関において気筒間の空燃比が比較的大きくばらついていることを検出する装置に関する。
一般に、触媒を利用した排気浄化システムを備える内燃機関では、排気中有害成分の触媒による浄化を高効率で行うため、内燃機関で燃焼される混合気の空気と燃料との混合割合、すなわち空燃比のコントロールが欠かせない。こうした空燃比の制御を行うため、内燃機関の排気通路に空燃比センサを設け、これによって検出された空燃比を所定の目標空燃比に一致させるようフィードバック制御を実施している。
一方、多気筒内燃機関においては、通常全気筒に対し同一の制御量を用いて空燃比制御を行うため、空燃比制御を実行したとしても実際の空燃比が気筒間でばらつくことがある。このときばらつきの程度が小さければ、空燃比フィードバック制御で吸収可能であり、また触媒でも排気中有害成分を浄化処理可能なので、排気エミッションに影響を与えず、特に問題とならない。
しかし、例えば一部の気筒の燃料噴射系が故障するなどして、気筒間の空燃比が大きくばらつくと、排気エミッションを悪化させてしまい、問題となる。このような排気エミッションを悪化させる程の大きな空燃比ばらつきは異常として検出するのが望ましい。特に自動車用内燃機関の場合、排気エミッションが悪化した車両の走行を未然に防止するため、気筒間空燃比ばらつき異常を車載状態(オンボード)で検出することが要請されており、最近ではこれを法規制化する動きもある。
例えば特許文献1に記載の装置では、触媒の前後に設置された空燃比センサの出力乖離に基づき、気筒間空燃比ばらつき異常を検出するようにしている。
特開2009−30455号公報
ところで、代替燃料としてのアルコール燃料を使用可能な多気筒内燃機関を搭載した車両(所謂FFV(Flexible Fuel Vehicle))が実用化されている。かかる内燃機関においては、基準のガソリン燃料に対し0〜100%濃度のアルコール燃料を含む燃料が使用可能である。
かかる内燃機関に上述のばらつき異常検出を行うと、使用燃料のアルコール濃度に応じて検出結果が異なる場合があることが判明した。
そこで本発明は、上記事情に鑑みて創案され、その目的は、使用燃料のアルコール濃度に拘わらず正確な検出を可能とし、検出精度を向上できる気筒間空燃比ばらつき異常検出装置を提供することにある。
本発明の一の態様によれば、
アルコール燃料を使用可能な多気筒内燃機関の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置であって、
使用燃料のアルコール濃度を取得する取得手段と、
前記内燃機関の排気通路に設けられた空燃比センサと、
前記空燃比センサの出力変動度合いに相関する出力変動パラメータと所定の判定値とに基づき、正常、異常または保留の第1判定を実行する第1判定手段と、
前記第1判定手段により保留と判定されたとき、前記取得手段により取得されたアルコール濃度に応じて異なる補正値を用いて、前記出力変動パラメータおよび前記判定値の一方を補正する補正手段と、
前記補正手段により補正された一方と、他方とに基づき、正常または異常の第2判定を実行する第2判定手段と、
を備えることを特徴とする気筒間空燃比ばらつき異常検出装置が提供される。
好ましくは、前記気筒間空燃比ばらつき異常検出装置は、前記第1判定手段により保留と判定されたとき、異常気筒を特定する特定手段をさらに備え、
前記補正手段は、前記第1判定手段により保留と判定されたとき、前記特定手段により特定された異常気筒と、前記取得手段により取得されたアルコール濃度とに応じて異なる補正値を用いて、前記出力変動パラメータおよび前記判定値の一方を補正する。
好ましくは、前記補正手段は、前記特定手段により特定された異常気筒が前記空燃比センサに対しガス当たりの強い気筒であるときには、アルコール濃度に応じて変化するような補正値を用い、前記特定された異常気筒が前記空燃比センサに対しガス当たりの弱い気筒であるときには、アルコール濃度に応じて変化しないような補正値を用いる。
好ましくは、前記気筒間空燃比ばらつき異常検出装置は、前記内燃機関の吸入空気量を検出する吸入空気量検出手段をさらに備え、
前記補正手段は、前記吸入空気量検出手段により検出された吸入空気量に基づき、前記補正された一方をさらに補正し、
前記第2判定手段は、前記さらに補正された一方と、他方とに基づき、正常または異常の第2判定を実行する。
好ましくは、前記出力変動パラメータは、異なる二つのタイミングにおける空燃比センサ出力の差に基づく値である。
本発明の他の態様によれば、
アルコール燃料を使用可能な多気筒内燃機関の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置であって、
使用燃料のアルコール濃度を取得する取得手段と、
前記内燃機関の排気通路に設けられた触媒と、
前記触媒の上流側に設けられた空燃比センサとしての触媒前センサと、
前記触媒の下流側に設けられた空燃比センサとしての触媒後センサと、
前記触媒前センサの出力に基づく主空燃比制御と、前記触媒後センサの出力に基づく補助空燃比制御とを実行する空燃比制御手段と、
前記触媒後センサの出力に基づき前記補助空燃比制御のための制御量を算出する制御量算出手段と、
前記制御量算出手段により算出された前記制御量と所定の判定値とに基づき、正常、異常または保留の第1判定を実行する第1判定手段と、
前記第1判定手段により保留と判定されたとき、前記取得手段により取得されたアルコール濃度に応じて異なる補正値を用いて、前記制御量および前記判定値の一方を補正する補正手段と、
前記補正手段により補正された一方と、他方とに基づき、正常または異常の第2判定を実行する第2判定手段と、
を備えることを特徴とする気筒間空燃比ばらつき異常検出装置が提供される。
好ましくは、前記気筒間空燃比ばらつき異常検出装置は、前記第1判定手段により保留と判定されたとき、異常気筒を特定する特定手段をさらに備え、
前記補正手段は、前記第1判定手段により保留と判定されたとき、前記特定手段により特定された異常気筒と、前記取得手段により取得されたアルコール濃度とに応じて異なる補正値を用いて、前記制御量および前記判定値の一方を補正する。
好ましくは、前記補正手段は、前記特定手段により特定された異常気筒が前記触媒前センサに対しガス当たりの強い気筒であるときには、アルコール濃度に応じて大きく変化するような補正値を用い、前記特定された異常気筒が前記空燃比センサに対しガス当たりの弱い気筒であるときには、アルコール濃度に応じて小さく変化するような補正値を用いる。
好ましくは、前記気筒間空燃比ばらつき異常検出装置は、前記内燃機関の吸入空気量を検出する吸入空気量検出手段をさらに備え、
前記補正手段は、前記吸入空気量検出手段により検出された吸入空気量に基づき、前記補正された一方をさらに補正し、
前記第2判定手段は、前記さらに補正された一方と、他方とに基づき、正常または異常の第2判定を実行する。
好ましくは、前記空燃比制御手段は、前記制御量を所定のガード範囲内としつつ所定の更新速度で更新し、且つばらつき異常検出時、前記ガード範囲を所定の基準範囲よりも拡大すること、および前記更新速度を所定の基準速度よりも増大することの少なくとも一方を実行する。
好ましくは、前記制御量が、触媒後センサ学習値と補助空燃比補正量のいずれか一方からなる。
好ましくは、前記気筒間空燃比ばらつき異常検出装置は、燃料給油があったことを判定する給油判定手段をさらに備え、前記給油判定手段により燃料給油があったと判定された時から所定時間経過後にばらつき異常検出を行う。
本発明によれば、使用燃料のアルコール濃度に拘わらず正確な検出を可能とし、検出精度を向上できるという、優れた効果が発揮される。
本発明の実施形態に係る内燃機関の概略図である。 触媒前センサおよび触媒後センサの出力特性を示すグラフである。 気筒間空燃比ばらつき度合いに応じた排気空燃比の変動を示すグラフである。 図3のU部に相当する拡大図である。 インバランス割合と出力変動パラメータの関係を示すグラフである。 アルコール濃度、センサへのガス当たり、および吸入空気量の出力変動パラメータへの影響を示すグラフである。 アルコール濃度補正における補正値の一例を示す。 吸入空気量補正における補正値の一例を示す。 異常気筒特定の原理を説明するための図である。 第1の態様に係るばらつき異常検出ルーチンのフローチャートである。 第1の態様に係る保留時処理のフローチャートである。 空燃比制御ルーチンを示すフローチャートである。 主空燃比補正量の算出マップである。 補助空燃比補正量の設定ルーチンを示すフローチャートである。 触媒後センサ出力差とその積算の様子を示すタイムチャートである。 補助空燃比補正量の算出マップである。 インバランス割合と触媒後センサ学習値との関係を示すグラフである。 アルコール濃度およびセンサへのガス当たりの触媒後センサ学習値への影響を示すグラフである。 アルコール濃度補正における補正値の一例を示す。 吸入空気量補正における補正値の一例を示す。 第2の態様に係るばらつき異常検出ルーチンのフローチャートである。 第2の態様に係る保留時処理のフローチャートである。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき説明する。
図1は、本実施形態に係る内燃機関の概略図である。図示されるように、内燃機関(エンジン)1は、シリンダブロック2に形成された燃焼室3の内部で燃料および空気の混合気を燃焼させ、燃焼室3内でピストンを往復移動させることにより動力を発生する。本実施形態の内燃機関1は自動車に搭載された多気筒内燃機関であり、より具体的には直列4気筒火花点火式内燃機関である。内燃機関1は#1〜#4気筒を備える。但し気筒数、形式等は特に限定されない。
特に本実施形態の内燃機関1は、燃料として、アルコール燃料とガソリン燃料とをそれぞれ単独でまたは混合して使用可能なFFV用エンジンとして構成されている。燃料のアルコール濃度は0%(ガソリンのみ)〜100%(アルコールのみ)の範囲内でユーザが任意に設定可能である。以下、特に言及しない限り、基準燃料であるガソリンのみが使用燃料であるとして説明を進める。
図示しないが、内燃機関1のシリンダヘッドには吸気ポートを開閉する吸気弁と、排気ポートを開閉する排気弁とが気筒ごとに配設されており、各吸気弁および各排気弁はカムシャフトによって開閉させられる。シリンダヘッドの頂部には、燃焼室3内の混合気に点火するための点火プラグ7が気筒ごとに取り付けられている。
各気筒の吸気ポートは気筒毎の枝管4を介して吸気集合室であるサージタンク8に接続されている。サージタンク8の上流側には吸気管13が接続されており、吸気管13の上流端にはエアクリーナ9が設けられている。そして吸気管13には、上流側から順に、吸入空気量を検出するためのエアフローメータ5と、電子制御式のスロットルバルブ10とが組み込まれている。吸気ポート、枝管、サージタンク8及び吸気管13により吸気通路が形成される。
吸気通路、特に吸気ポート内に燃料を噴射するインジェクタ(燃料噴射弁)12が気筒ごとに配設されている。インジェクタ12から噴射された燃料は吸入空気と混合されて混合気をなし、この混合気が吸気弁の開弁時に燃焼室3に吸入され、ピストンで圧縮され、点火プラグ7で点火燃焼させられる。
一方、各気筒の排気ポートは排気マニフォールド14に接続される。排気マニフォールド14は、その上流部をなす気筒毎の枝管14aと、その下流部をなす排気集合部14bとからなる。排気集合部14bの下流側には排気管6が接続されている。排気ポート、排気マニフォールド14及び排気管6により排気通路が形成される。
排気管6の上流側と下流側にはそれぞれ三元触媒からなる触媒、すなわち上流触媒11と下流触媒19が直列に取り付けられている。上流触媒11の上流側及び下流側にそれぞれ排気ガスの空燃比を検出するための第1及び第2の空燃比センサ、即ち触媒前センサ17及び触媒後センサ18が設置されている。これら触媒前センサ17及び触媒後センサ18は、上流触媒11の直前及び直後の位置に設置され、排気中の酸素濃度に基づいて空燃比を検出する。このように上流触媒11の上流側の排気合流部に単一の触媒前センサ17が設置されている。上流触媒11が本発明にいう「触媒」に該当する。
各気筒のインジェクタ12に燃料を供給する共通のデリバリパイプ30は、燃料配管31を介して燃料タンク32に接続されている。燃料配管31には、デリバリパイプ30に燃料タンク32内の燃料を供給するための燃料ポンプ33と、燃料のアルコール濃度を検出するためのアルコール濃度センサ34とが設けられている。燃料タンク32には、燃料タンク32内の燃料残量を検知するための燃料残量センサ35(例えばセンダーゲージ)が設けられている。
アルコール濃度センサ34としては、燃料の誘電率に基づいてアルコール濃度を検出する静電容量式のもの、あるいは燃料中の光の屈折率に基づいてアルコール濃度を検出する光学式のものなどが使用可能である。本実施形態ではアルコール濃度センサ34が燃料配管31に設けられているが、燃料タンク32やデリバリパイプ30等、燃料経路中のあらゆる部位に設置することが可能である。
なお、ここでは燃料のアルコール濃度をアルコール濃度センサ34により直接検出するが、これを推定するようにしてもよい。当該推定方法は既に公知であり、例えば特開2007−303389号公報、特開2009−222014号公報、特開2009−228592号公報の手法が採用可能である。またアルコール濃度の検出値または推定値をECU20に学習してもよい。
上述の点火プラグ7、スロットルバルブ10及びインジェクタ12等は、制御手段としての電子制御ユニット(以下ECUと称す)20に電気的に接続されている。ECU20は、何れも図示されないCPU、ROM、RAM、入出力ポート、および記憶装置等を含むものである。またECU20には、図示されるように、前述のエアフローメータ5、触媒前センサ17、触媒後センサ18のほか、内燃機関1のクランク角を検出するクランク角センサ16、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ15、内燃機関1の冷却水の温度を検出する水温センサ22、上流触媒11の温度(床温)を検出する温度センサ21、その他の各種センサが図示されないA/D変換器等を介して電気的に接続されている。また燃料ポンプ33、アルコール濃度センサ34および燃料残量センサ35もそれぞれECU20に電気的に接続されている。ECU20は、各種センサの検出値等に基づいて、所望の出力が得られるように、点火プラグ7、スロットルバルブ10、インジェクタ12等を制御し、点火時期、燃料噴射量、燃料噴射時期、スロットル開度等を制御する。なおスロットル開度は通常アクセル開度に応じた開度に制御される。
温度センサ21は、その温度検出部(素子部)が上流触媒11に挿入されて触媒床温を直接検出するようになっている。その温度検出部の位置については基本的には任意であるが、本実施形態では後述する理由から、上流触媒11の流路長Lの中間位置L/2よりも上流側(前側)とされている。
触媒前センサ17は所謂広域空燃比センサからなり、比較的広範囲に亘る空燃比を連続的に検出可能である。図2に触媒前センサ17の出力特性を示す。図示するように、触媒前センサ17は、排気空燃比に比例した大きさの電圧信号Vfを出力する。排気空燃比がストイキ(理論空燃比、例えばA/F=14.6)であるときの出力電圧はVreff(例えば約3.3V)である。
他方、触媒後センサ18は所謂O2センサからなり、ストイキを境に出力値が急変する特性を持つ。図2に触媒後センサ18の出力特性を示す。図示するように、排気空燃比がストイキであるときの出力電圧、すなわちストイキ相当値はVrefr(例えば0.45V)である。触媒後センサ18の出力電圧は所定の範囲(例えば0〜1V)内で変化する。排気空燃比がストイキよりリーンのとき、触媒後センサの出力電圧はストイキ相当値Vrefrより低くなり、排気空燃比がストイキよりリッチのとき、触媒後センサの出力電圧はストイキ相当値Vrefrより高くなる。
上流触媒11及び下流触媒19は、それぞれに流入する排気ガスの空燃比A/Fがストイキ近傍のときに排気中の有害成分であるNOx,HCおよびCOを同時に浄化する。この三者を同時に高効率で浄化できる空燃比の幅(ウィンドウ)は比較的狭い。
そこで上流触媒11に流入する排気ガスの空燃比がストイキ近傍に制御されるように、空燃比制御(ストイキ制御)がECU20により実行される。この空燃比制御は、触媒前センサ17によって検出された排気空燃比を所定の目標空燃比であるストイキに一致させるような主空燃比制御(主空燃比フィードバック制御)と、触媒後センサ18によって検出された排気空燃比をストイキに一致させるような補助空燃比制御(補助空燃比フィードバック制御)とからなる。
さて、例えば全気筒のうちの一部の気筒のインジェクタ12が故障し、気筒間に空燃比のばらつき(インバランス:imbalance)が発生したとする。例えば#1気筒が他の#2、#3及び#4気筒よりも燃料噴射量が多くなり、その空燃比が大きくリッチ側にずれる場合等である。このときでも前述の主空燃比フィードバック制御により比較的大きな補正量を与えれば、触媒前センサ17に供給されるトータルガスの空燃比をストイキに制御できる場合がある。しかし、気筒別に見ると、#1気筒がストイキより大きくリッチ、#2、#3及び#4気筒がストイキよりリーンであり、全体のバランスとしてストイキとなっているに過ぎず、エミッション上好ましくないことは明らかである。そこで本実施形態では、かかる気筒間空燃比ばらつき異常を検出する装置が装備されている。
[ばらつき異常検出の第1の態様]
以下、ばらつき異常検出の第1の態様を説明する。
図3に示すように、気筒間空燃比ばらつきが発生すると、1エンジンサイクル間(=720°CA)での排気空燃比の変動が大きくなる。(B)の空燃比線図a,b,cはそれぞればらつき無し、1気筒のみ20%のインバランス割合でリッチずれ、及び1気筒のみ50%のインバランス割合でリッチずれの場合の、触媒前センサ17による検出空燃比A/Fを示す。見られるように、ばらつき度合いが大きくなるほど空燃比変動の振幅が大きくなる。
ここでインバランス割合(%)とは、気筒間空燃比のばらつき度合いに関するパラメータである。即ち、インバランス割合とは、全気筒のうちある1気筒のみが燃料噴射量ズレを起こしている場合に、その燃料噴射量ズレを起こしている気筒(インバランス気筒)の燃料噴射量がどれくらいの割合で、燃料噴射量ズレを起こしていない気筒(バランス気筒)の燃料噴射量即ち基準噴射量からズレているかを示す値である。インバランス割合をIB、インバランス気筒の燃料噴射量をQib、バランス気筒の燃料噴射量即ち基準噴射量をQsとすると、IB=(Qib−Qs)/Qsで表される。インバランス割合IBが大きいほど、インバランス気筒のバランス気筒に対する燃料噴射量ズレが大きく、空燃比ばらつき度合いは大きい。
空燃比ばらつき異常が発生すると触媒前センサ17の出力変動が大きくなるので、この特性を利用し、当該出力変動に基づいてばらつき異常を検出することが可能である。
本実施形態では、空燃比センサ出力の変動度合いに相関するパラメータである出力変動パラメータを算出すると共に、この出力変動パラメータと、所定の異常判定値とに基づき、異常を検出する。
以下に出力変動パラメータの算出方法を説明する。図4は図3のU部に相当する拡大図であり、特に1エンジンサイクル内の触媒前センサ出力の変動を簡略的に示す。触媒前センサ出力としては、触媒前センサ17の出力電圧Vfを空燃比A/Fに換算した値を用いる。但し触媒前センサ17の出力電圧Vfを直接用いることも可能である。
図4(B)に示すように、ECU20は、1エンジンサイクル内において、所定のサンプル周期τ(単位時間、例えば4ms)毎に、触媒前センサ出力A/Fの値を取得する。そして今回のタイミング(第2のタイミング)で取得した値A/Fnと、前回のタイミング(第1のタイミング)で取得した値A/Fn-1との差ΔA/Fnの絶対値を次式(1)により求める。この差ΔA/Fnは今回のタイミングにおける微分値あるいは傾きと言い換えることができる。
Figure 2012132392
最も単純には、この差ΔA/Fnが触媒前センサ出力の変動を表す。変動度合いが大きくなるほど空燃比線図の傾きが大きくなり、差ΔA/Fnが大きくなるからである。そこで所定の1タイミングにおける差ΔA/Fnの値を出力変動パラメータとすることができる。
但し、本実施形態では精度向上のため、複数の差ΔA/Fnの平均値を出力変動パラメータとする。本実施形態では、1エンジンサイクル内において、各タイミング毎に差ΔA/Fnを積算し、最終積算値をサンプル数Nで除し、1エンジンサイクル内の差ΔA/Fnの平均値を求める。そしてさらに、Mエンジンサイクル分(例えばM=100)だけ差ΔA/Fnの平均値を積算し、最終積算値をサイクル数Mで除し、Mエンジンサイクル内の差ΔA/Fnの平均値を求める。こうして求められた最終的な平均値を出力変動パラメータとし、以下「X」で表示する。触媒前センサ出力の変動度合いが大きいほど出力変動パラメータXは大きくなる。
なお、触媒前センサ出力A/Fは増加する場合と減少する場合とがあるので、これら各場合の一方についてだけ上記差ΔA/Fnあるいはその平均値を求め、これを出力変動パラメータとしても良い。特に1気筒のみリッチずれの場合、当該1気筒に対応した排気ガスを触媒前センサが受けた時にその出力が急速にリッチ側に変化(すなわち急減)するので、減少側のみの値をリッチずれ検出のために用いることも可能である。もっとも、これに限定されず、増加側の値のみを用いることも可能である。
また、触媒前センサ出力の変動度合いに相関する如何なる値をも出力変動パラメータとすることができる。例えば、1エンジンサイクル内における触媒前センサ出力の最大ピークと最小ピークの差(所謂ピークトゥピーク; peak to peak)、または2階微分値の最大ピークまたは最小ピークの絶対値に基づいて、出力変動パラメータを算出することもできる。触媒前センサ出力の変動度合いが大きいほど、触媒前センサ出力の最大ピークと最小ピークの差は大きくなり、また2階微分値の最大ピークまたは最小ピークの絶対値も大きくなるからである。
図5には、インバランス割合IB(%)と出力変動パラメータXの関係を示す。図示されるように、インバランス割合IBと出力変動パラメータXの間には強い相関関係があり、インバランス割合IBの絶対値が増加するほど空燃比変動パラメータXも増加する。
基本的には、算出された出力変動パラメータXが所定の判定値以上であればばらつき異常ありと判定することができ、算出された出力変動パラメータXが判定値より小さければばらつき異常なし、即ち正常と判定することができる。しかしながら、本実施形態では、後述するように、検出精度向上の観点からこのような判定を2段階に分けて実行する。最初に行われる第1判定においては正常、異常または保留の判定を実行し、保留の場合に所定の処理を行って正常または異常の第2判定を実行する。
<出力変動パラメータの補正>
ところで、使用燃料にアルコールが含まれていると、使用燃料がガソリンのみの場合と比べて、触媒前センサ出力変動が変化し、出力変動パラメータXの値が異なることが判明した。
すなわち、使用燃料にアルコールが含まれていると、使用燃料がガソリンのみの場合と比べて、排気中の水素(H2)濃度が増加する。水素は分子サイズが小さいため、触媒前センサの拡散層を選択的に通過可能である。従って排気中の水素濃度が増加するとセンサの反応が速くなる。この影響で、触媒前センサ出力変動が増大し、出力変動パラメータXの値が増大する。
よって、検出精度向上のためには、使用燃料のアルコール濃度に基づき出力変動パラメータXを補正するのが望ましい。具体的には、使用燃料のアルコール濃度に応じて異なる補正値を用いて出力変動パラメータXを補正し、使用燃料のアルコール濃度が増加するほど出力変動パラメータXの値を減少側に補正する。
こうすることで、使用燃料のアルコール濃度に拘わらず正確な検出を可能とし、検出精度を向上することができる。
なお、出力変動パラメータXを補正する代わりに、その比較対象となる判定値を補正してもよい。具体的には、使用燃料のアルコール濃度が増加するほど判定値を増大側に補正する。
一方、多気筒エンジンの場合、触媒前センサ17に対するガス当たりが強い気筒と弱い気筒が存在する。ガス当たりが強い気筒が異常であると、前述のようなアルコール濃度に応じた出力変動変化が顕著であるが、ガス当たりが弱い気筒が異常であるとかかる出力変動変化が少ないかまたは殆どない場合がある。
そこで、前記第1判定において保留と判定した場合、異常気筒を特定し、この異常気筒に応じても異なる補正値を用いて出力変動パラメータXを補正するのが好ましい。より好ましくは、異常気筒がガス当たりの弱い気筒である場合、アルコール濃度に基づく補正は実質的になされないようにし(そのような補正値に設定し)、異常気筒がガス当たりの強い気筒である場合のみ、アルコール濃度に基づく補正がなされるようにする(そのような補正値に設定する)。
こうすることで、ガス当たりの強弱の影響まで含めて補正することが可能であり、検出精度をより一層向上することができる。
なお、気筒間のガス当たり強さの相違は主に触媒前センサ17の設置位置や、センサ上流側の排気通路構造に起因する。このガス当たり強さの相違は予め実験的に把握でき、また気筒番号とガス当たり強さとの対応関係はECU20に予め情報として入力しておくことができる。
ところで、触媒前センサ出力変動の大きさは、前述のアルコール濃度およびガス当たり強さに加え、触媒前センサに対する排気ガス流量によっても変化することが判明した。
すなわち、排気ガス流量が多いほど触媒前センサ17が水素を処理しきれなくなり、触媒前センサ出力変動への影響が大きくなる。具体的には、排気ガス流量が多いほど触媒前センサ出力変動が増大し、出力変動パラメータXの値が増大する。
そこで、排気ガス流量の代用値である吸入空気量に応じて異なる補正値を用いて、出力変動パラメータXを補正するのが好ましい。より好ましくは、吸入空気量が増加するほど出力変動パラメータXの値を減少側に補正する。
ここで、アルコール濃度のときと同様、異常気筒がガス当たりの強い気筒か弱い気筒かによって、出力変動パラメータXに対する排気ガス流量の影響度が異なる。例えば、ガス当たりの強い気筒が異常であると、排気ガス流量に応じた出力変動変化が顕著であるが、ガス当たりの弱い気筒が異常であるとかかる出力変動変化が少ないかまたは殆どない場合がある。
そこで、排気ガス流量ないし吸入空気量に基づく補正を実施するときには、異常気筒に応じて異なる補正値を用いるのが好ましい。より好ましくは、異常気筒がガス当たりの弱い気筒である場合、吸入空気量に基づく補正は実質的になされないようにし(そのような補正値に設定し)、異常気筒がガス当たりの強い気筒である場合のみ、吸入空気量に基づく補正がなされるようにする(そのような補正値に設定する)。
こうすることで、排気ガス流量の大小の影響まで含めて補正することが可能であり、検出精度をより一層向上することができる。
図6(A)〜(D)には、燃料のアルコール濃度(%)、センサへのガス当たり、および吸入空気量Ga(g/s)が出力変動パラメータXに及ぼす影響を調べた試験結果を示す。アルコール濃度としてエタノール濃度が用いられている。(A)、(C)はガス当たりの弱い気筒(本実施形態では#1,#3気筒)が異常気筒である場合、(B)、(D)はガス当たりの強い気筒(本実施形態では#2,#4気筒)が異常気筒である場合を示す。また(A)、(B)は吸入空気量Gaが20(g/s)の場合、(C)、(D)は吸入空気量Gaがより多い30(g/s)の場合を示す。
図中の各データないしプロットについては、三角がインバランス割合60%の場合、四角がインバランス割合40%の場合、菱形がインバランス割合20%の場合を示す。ここではセンサ出力の増大時と減少時でデータを分けている。すなわち、前記式(1)の右辺は絶対値とせず、増大時のみの差ΔA/Fnを平均化して黒塗りで示すような正の出力変動パラメータXを得ると共に、減少時のみの差ΔA/Fnを平均化して白抜きで示すような負の出力変動パラメータXを得ている。
まず(B)、(D)に着目する。見られるように、エタノール濃度の増大につれ出力変動パラメータXの絶対値は大きくなる傾向がある(エタノール濃度に対する感度大)。また吸入空気量Gaの増大によっても出力変動パラメータXの絶対値は大きくなる傾向がある(吸入空気量に対する感度大)。このことから、ガス当たりの強い気筒が異常気筒である場合には、アルコール濃度および吸入空気量に基づく補正を行うのが好ましいことが分かる。
次に(A)、(C)に着目する。見られるように、エタノール濃度の増大によって出力変動パラメータXの絶対値はほぼ変わらず(エタノール濃度に対する感度小)、また吸入空気量Gaの増大によっても出力変動パラメータXの絶対値はそれほど変わらない(吸入空気量に対する感度小)という傾向がある。このことから、ガス当たりの弱い気筒が異常気筒である場合には、アルコール濃度および吸入空気量に基づく補正を実質的に行わないのが好ましいことが分かる。
図7(A)、(B)には、アルコール濃度補正における補正値としての補正係数Kaの一例を示す。(A)はガス当たりの弱い気筒が異常気筒である場合、(B)はガス当たりの強い気筒が異常気筒である場合を示す。補正係数Kaは出力変動パラメータXに対する乗算値である。但し加算値を用いるようにしてもよい。
(B)に見られるように、ガス当たりの強い気筒が異常気筒である場合、アルコール濃度ALの増大につれ補正係数Kaは徐々に小さくなり、出力変動パラメータXをより大きく減少側に補正するような値とされている。基準状態はアルコール濃度AL=0(%)、すなわち燃料がガソリンのみの場合で、このとき補正係数Kaは1すなわち実質的に補正無しである。アルコール濃度ALが増大しても出力変動パラメータXが基準状態相当に補正されるよう、補正係数Kaが設定され、アルコール濃度ALの変化分が補償されている。
他方(A)に見られるように、ガス当たりの弱い気筒が異常気筒である場合だと、アルコール濃度ALが変化しても補正係数Kaは常に1すなわち実質的に補正無しである。
次に、図8(A)、(B)には、吸入空気量補正における補正値としての補正係数Kgの一例を示す。(A)はガス当たりの弱い気筒が異常気筒である場合、(B)はガス当たりの強い気筒が異常気筒である場合を示す。ここでも補正係数Kgは出力変動パラメータXに対する乗算値である。但し加算値を用いるようにしてもよい。
(B)に見られるように、ガス当たりの強い気筒が異常気筒である場合、吸入空気量Gaの増大につれ補正係数Kgは徐々に小さくなり、出力変動パラメータXをより大きく減少側に補正するような値とされている。基準状態は吸入空気量Ga=0(g/s)で、このとき補正係数Kgは1である。吸入空気量Gaが増大しても出力変動パラメータXが基準状態相当に補正されるよう、補正係数Kgが設定され、吸入空気量Gaの変化分が補償されている。
他方(A)に見られるように、ガス当たりの弱い気筒が異常気筒である場合だと、吸入空気量Gaが変化しても補正係数Kgは常に1すなわち実質的に補正無しである。
なお、ガス当たりの強い気筒が異常気筒である場合に、出力変動パラメータXではなく判定値を補正する場合には上記と逆となる。すなわち、判定値に乗算または加算する補正値は、アルコール濃度の増大につれ大きくなり、吸入空気量の増大につれ大きくなる。他方、ガス当たりの弱い気筒が異常気筒である場合に判定値を補正する場合、補正値は、アルコール濃度の増大によっても吸入空気量の増大によっても変化せず、基準状態の値と等しい一定値となる。
<異常気筒特定>
上述したように、第1判定において保留判定を行った場合、異常気筒の特定が実行される。異常気筒の特定については様々な方法があるが、そのうち好ましい一例を以下に説明する。
本実施形態では、気筒毎に燃料噴射量を強制的に増量または減量したときの触媒温度の変化に基づき異常気筒を特定する。
空燃比ばらつきが発生し、図3に示したような1エンジンサイクル間における排気空燃比の変動が生じると、上流触媒11において短い周期で酸化還元反応が繰り返され、上流触媒11の活性が促進される。その結果、空燃比ばらつきが無いときに比べ、上流触媒11の温度が上昇する。ここで上流触媒11(下流触媒19も同様)は酸素吸蔵能(O2ストレージ能)を有し、供給された排気ガスの空燃比がストイキよりリーンのときに排気ガス中の過剰酸素を吸着保持する一方、供給された排気ガスの空燃比がストイキよりリッチのときには吸着保持していた酸素を放出する。このときの酸素吸着が酸化反応、酸素放出が還元反応である。図3に示したように、空燃比ばらつきが発生すると上流触媒11に供給される排気ガスの空燃比が1エンジンサイクル間でリーン、リッチと変化するので、その度に酸化還元反応が行われ、上流触媒11の温度が上昇する。
かかる特性を踏まえ、強制増量または減量を伴う異常気筒特定の原理を、図9を参照しつつ説明する。
例えば図9(A)に示すように、#1気筒が異常であって#1気筒の燃料噴射量がストイキ相当量に対し40%の割合で多くなっており(即ちインバランス割合が+40%)、他の#2,#3,#4気筒では燃料噴射量がストイキ相当量となっている(即ちインバランス割合が0%)場合を想定する。このとき、主・補助空燃比制御をある程度の時間実行すると、やがて図9(B)に示すように、トータルの燃料噴射量がストイキ相当量となるように#1気筒では+30%のインバランス割合、他の#2,#3,#4気筒ではそれぞれ−10%のインバランス割合となる。このときにもやはり各気筒でストイキ相当量に対し+または−の噴射量ずれが生じている。よって1エンジンサイクル間で触媒の酸化還元反応が起こり、全気筒で噴射量ずれが生じていない場合に比べ触媒温度は高くなる。
この図9(B)の状態から、例えば図9(C)に示すように、#1気筒の燃料噴射量をストイキ相当量の40%だけ強制的に減量する。こうすると#1気筒は−10%のインバランス割合となり、他の#2,#3,#4気筒のインバランス割合と等しくなる。
この状態から、#1気筒の燃料噴射量減量状態を維持しつつ、主・補助空燃比制御をある程度の時間実行すると、やがて図9(D)に示すように、各気筒の燃料噴射量が+10%ずつ補正され、各気筒の燃料噴射量がストイキ相当量になる(即ち各気筒のインバランス割合は0%)。よって触媒温度は全気筒で噴射量ずれが生じていないときのレベルにまで低下する。このことから、燃料噴射量を強制的に所定量減量したときに触媒温度が所定値以上低下した気筒は異常気筒(特にリッチずれ異常気筒)であると特定することができる。
一方、図9(B)の状態から、例えば図9(E)に示すように、正常な#2気筒において燃料噴射量をストイキ相当量の40%だけ強制的に減量したとする。こうすると各気筒のインバランス割合は#1気筒では変わらず+30%、#2気筒では−50%、#3,#4気筒では変わらずー10%となる。
この状態から、#2気筒の燃料噴射量減量状態を維持しつつ、主・補助空燃比制御をある程度の時間実行すると、やがて図9(F)に示すように、トータルの燃料噴射量がストイキ相当量となるように#1気筒では+40%、#2気筒では−40%、#3,#4気筒では0%となる。この場合にも、1エンジンサイクル間で触媒の酸化還元反応が起こり、全気筒で噴射量ずれが生じていない場合に比べ触媒温度は高くなる。このことから、燃料噴射量を強制的に所定量減量したときに触媒温度が所定値以上低下しなかった気筒は異常気筒ではなく、正常気筒であると特定することができる。
図示しないが、逆のパターンで、例えば図9(A)の例のうち#1気筒のみが異常でその燃料噴射量が−40%少なくなっている(即ちインバランス割合が−40%)場合を想定する。すると、気筒毎に燃料噴射量を強制的に増量した場合に、触媒温度が所定値以上低下した気筒は異常気筒(特にリーンずれ異常気筒)であり、触媒温度が所定値以上低下しなかった気筒は正常気筒であると特定することができる。
従って、気筒毎に燃料噴射量を強制的に増量または減量したときの増量または減量前後の触媒温度の変化量を温度センサ21で検知し、この変化量が所定値以上である気筒は異常気筒、所定値未満である気筒は正常気筒というように異常気筒が特定される。
なお、上流触媒11においては、その上流端(前端)から供給ガスを受けるので、その上流端から下流側(後側)に向けて徐々に温度変化するようになる。よって上流触媒11の温度変化を即座に検知すべく、温度センサ21の温度検出部は、本実施形態の如く上流触媒11の流路長Lの中間位置L/2よりも上流側に位置されるのが好ましく、より言えばできるだけ上流側に位置されるのが好ましい。
かかる強制増量または減量を伴う異常気筒特定は、少なからず通常のエンジン制御、エミッション、燃費等に影響を及ぼすことから、可能な限り実施しないのが望ましい。本実施形態では第1判定において保留判定の場合のみ異常気筒特定を実施するので、通常のエンジン制御等への影響を最小限に止めることができる。
<ばらつき異常検出ルーチン>
次に、図10を用いてばらつき異常検出ルーチンを説明する。このルーチンはECU20により所定の演算周期τ毎に繰り返し実行される。
まずステップS101では、異常検出を行うのに適した所定の前提条件が成立しているか否かが判断される。この前提条件は、例えば次の各条件が成立したときに成立する。
(1)エンジンの暖機が終了している。ECU20は、水温センサ22で検出された水温が所定値(例えば75℃)以上であるとき暖機終了と判断する。
(2)触媒前センサ17および触媒後センサ18が活性化している。ECU20は、両センサのインピーダンスがそれぞれ所定の活性温度相当の値になっているとき、両センサが活性化していると判断する。
(3)上流触媒11および下流触媒19が活性化している。ECU20は、温度センサ21により検出された上流触媒11の温度と、別途推定した下流触媒19の温度がそれぞれ所定の活性温度相当の値になっているとき、両触媒が活性化していると判断する。
(4)エンジンが定常運転中である。
(5)ストイキ制御中である。
(6)直近の燃料給油判定時から所定時間以上経過している。
条件(6)に関して、ECU20は、燃料残量センサ35の検出値に基づき燃料給油があったことを判定する。すなわち、燃料残量センサ35の検出値が所定量以上増大したとき、ECU20は燃料給油があったと判定する。
既存の使用燃料に対しアルコール濃度の異なる燃料が新たに給油された場合、給油直後はデリバリパイプ30や燃料配管31等に既存の燃料が残っており、これらが消費されるまでの間は、アルコール濃度センサ34により検出されるアルコール濃度と実際に噴射される燃料のアルコール濃度とが異なる状態が続く。よってこの間はばらつき異常検出を実行しないようにする。こうすることで誤判定や誤検出を未然に防止することができる。
ここで所定時間は、デリバリパイプ30等に残った既存燃料が消費され尽くす積算燃料噴射量となるまでの時間とするのが好ましい。
前提条件が成立していない場合にはルーチンが終了される。他方、前提条件が成立している場合には、ステップS102において、今回のタイミングにおける吸入空気量Ganと、触媒前センサ出力A/Fnとが取得される。なお吸入空気量Ganはエアフローメータ5により検出された値であり、触媒前センサ出力A/Fnは触媒前センサ17の出力電圧を空燃比に換算した値である。
次に、ステップS103において、今回のタイミングにおける出力差ΔA/Fnが前式(1)より算出される。
次に、ステップS104において、出力差ΔA/Fnが積算され、すなわち今回のタイミングにおける積算出力差ΣΔA/Fnが次式(2)より算出される。
Figure 2012132392
次に、ステップS105において、1エンジンサイクルが終了したか否かが判断される。終了してなければルーチンが終了され、終了した場合にはステップS106に進む。
ステップS106では、今回の1エンジンサイクル終了時点における最終的な積算出力差ΣΔA/FNがサンプル数Nで除して平均化され、平均出力差Rmが算出される。
そしてステップS107において、平均出力差Rmが積算され、すなわち今回のエンジンサイクル終了時における積算平均出力差ΣRmが次式(3)より算出される。
Figure 2012132392
次に、ステップS108において、Mエンジンサイクル(但しMは2以上の整数)が終了したか否かが判断される。終了してなければルーチンが終了され、終了した場合にはステップS109に進む。
ステップS109では、Mエンジンサイクル終了時点における最終的な積算平均出力差ΣRMがサイクル数Mで除して平均化され、出力変動パラメータXが算出される。
次いで、ステップS110〜S114において第1判定が実行される。ここでは判定値として、アルコール濃度等の影響があっても確実に異常と判定できるような異常判定値α1と、アルコール濃度等の影響があっても確実に正常と判定できるような正常判定値α2とが用いられる。これら異常判定値α1と正常判定値α2は予め実験等に基づいて設定され、ECU20に記憶される。異常判定値α1は正常判定値α2より大きな値である。
まずステップS110において、出力変動パラメータXが異常判定値α1と比較される。
出力変動パラメータXが異常判定値α1以上である場合、ステップS111に進んでばらつき異常有り、すなわち異常と判定され、ルーチンが終了される。なお異常判定と同時に、異常の事実をユーザに知らせるべくチェックランプ等の警告装置を起動するのが好ましい。
他方、出力変動パラメータXが異常判定値α1未満である場合、ステップS112に進んで出力変動パラメータXが正常判定値α2と比較される。
出力変動パラメータXが正常判定値α2未満である場合、ステップS113に進んでばらつき異常無し、すなわち正常と判定され、ルーチンが終了される。
他方、出力変動パラメータXが正常判定値α2以上である場合、ステップS114に進んで保留の判定が行われ、ステップS115において保留時処理が行われた後、ルーチンが終了される。
このように、アルコール濃度等の影響があっても確実に正常または異常と判定できる場合には正常または異常と最終判定するので、正常または異常が明らかな場合に検出時間を短縮できる。また、それ以外の場合は保留し再判定するので、アルコール濃度等の影響を含めた微妙な判定が可能であり、検出精度を向上できる。
このように、アルコール濃度等の影響があっても確実に正常または異常と判定できる場合のみ、正常または異常と判定し、それ以外の場合は保留するので、アルコール濃度等の影響を含めた検出が可能であり、検出精度を向上できる。
次に、図11を用いて保留時処理のルーチンを説明する。このルーチンもECU20により所定の演算周期τ毎に繰り返し実行される。
ステップS201では、前述した燃料噴射量強制増量または減量を伴う異常気筒特定処理が実行される。
ステップS202では、異常気筒特定処理が終了したか否かが判断される。終了してなければルーチンが終了され、終了した場合にはステップS203に進む。
ステップS203では、使用燃料のアルコール濃度ALが取得される。アルコール濃度ALはアルコール濃度センサ34により検出された値である。
ステップS204では、先のばらつき異常検出ルーチン(図10)のステップS102において、出力変動パラメータXの算出過程で取得された全吸入空気量Ganの値が平均化され、平均吸入空気量Sが算出される。
ステップS205では、先のばらつき異常検出ルーチン(図10)のステップS109において算出された出力変動パラメータXが補正される。
すなわち、まずステップS201の異常気筒特定処理の結果として特定された異常気筒が読み出される。そしてこの異常気筒と、ステップS203で取得されたアルコール濃度ALと、ステップS204で算出された平均吸入空気量Sとに対応した補正係数Ka、Kgが算出される。この補正係数Ka、Kgの算出には、図7および図8の関係が規定されたマップ(関数でもよい。以下同様)が用いられる。すなわちECU20は、図7および図8の関係が規定されたマップを予め記憶しており、このマップを用いて補正係数Ka、Kgを算出する。
例えば、異常気筒が#2気筒、アルコール濃度ALが20(%)、平均吸入空気量Sが10(g/s)である場合、図7(B)のマップからアルコール濃度AL=20(%)に対応したアルコール濃度補正係数Ka=0.9が算出され、図8(B)のマップから吸入空気量Ga=10(g/s)に対応した空気量補正係数Kg=0.975が算出される。
こうして補正係数Ka、Kgが算出されたならば、次式(4)により出力変動パラメータXが補正され、補正後の出力変動パラメータX’が算出される。
Figure 2012132392
なお、例えば異常気筒が#1気筒である場合には、アルコール濃度ALおよび平均吸入空気量Sがどのような値であっても、図7(A)のマップからアルコール濃度補正係数Ka=1が算出され、図8(A)のマップから空気量補正係数Kg=1が算出されるので、X’=Xとなる。
次いで、ステップS206〜S208において第2判定が実行される。ここでは判定値として、アルコール濃度等の影響を考慮しない(基準状態を前提とした)正異常判定値α3が用いられる。この正異常判定値α3も予め実験等に基づいて設定され、ECU20に記憶される。正異常判定値α3は、異常判定値α1より小さく正常判定値α2より大きな値である。
まずステップS206において、補正後の出力変動パラメータX’が正異常判定値α3と比較される。
補正後の出力変動パラメータX’が正異常判定値α3以上である場合、ステップS207に進んでばらつき異常有り、すなわち異常と判定され、ルーチンが終了される。
他方、補正後の出力変動パラメータX’が正異常判定値α3未満である場合、ステップS208に進んでばらつき異常無し、すなわち正常と判定され、ルーチンが終了される。
このように、第1判定で保留判定した場合、アルコール濃度等の影響を無くすよう補正した上で再度第2判定を実行し、正常又は異常を最終判定するので、アルコール濃度等の影響に拘わらず正確な検出が可能であり、検出精度を向上することが可能である。
なお変形例として、例えば、吸入空気量に基づく補正の不実施、異常気筒特定の不実施、および異常気筒に応じた補正値変更の不実施の少なくとも一つを採用した例が可能である。
[ばらつき異常検出の第2の態様]
次に、ばらつき異常検出の第2の態様を説明する。
この第2の態様では、空燃比ばらつき度合いを表すパラメータとして、前記出力変動パラメータの代わりに、補助空燃比制御のための制御量を用いる。まず前提技術として主・補助空燃比制御(ストイキ制御)の内容を説明する。
図12に空燃比制御ルーチンを示す。このルーチンはECU20により1エンジンサイクル(=720°クランク角)毎に繰り返し実行される。
まずステップS301では、筒内混合気の空燃比をストイキとするような基本の燃料噴射量即ち基本噴射量Qbが算出される。基本噴射量Qbは例えば、エアフローメータ5により検出された吸入空気量Gaに基づき、式:Qb=Ga/14.6により算出される。
ステップS302では触媒前センサ出力Vfが取得される。ステップS303では、このセンサ出力Vfとストイキ相当センサ出力Vreff(図2参照)との差、即ち触媒前センサ出力差ΔVf=Vf−Vreffが算出される。
ステップS304では、この触媒前センサ出力差ΔVfに基づき、図13に示すようなマップから主空燃比補正量(補正係数)Kfが算出される。触媒前センサ出力差ΔVf及び主空燃比補正量Kfは、主空燃比制御のための制御量をなす。例えばゲインをPfとするとKf=Pf×ΔVfで表される。そしてステップS305では、図14に示す別ルーチンで設定された補助空燃比補正量Krの値が取得される。最後に、ステップS306にて、インジェクタ12から噴射すべき最終的な燃料噴射量即ち最終噴射量Qfnlが式:Qfnl=Kf×Qb+Krにより算出される。
図13のマップによれば、触媒前センサ出力Vfがストイキ相当センサ出力Vreffより大きい(ΔVf>0)ほど、即ち実際の排気空燃比がストイキからリーン側に離れるほど、1に対しより大きな補正量Kfが得られ、基本噴射量Qbは増量補正される。反対に、触媒前センサ出力Vfがストイキ相当センサ出力Vreffより小さい(ΔVf<0)ほど、即ち実際の排気空燃比がストイキからリッチ側に離れるほど、1に対しより小さな補正量Kfが得られ、基本噴射量Qbは減量補正される。こうして、触媒前センサ17によって検出された空燃比をストイキに一致させるような主空燃比フィードバック制御が実行される。
ステップS306で得られた最終噴射量Qfnlの値は、全気筒に対し一律に用いられる。即ち、1エンジンサイクルの間、最終噴射量Qfnlに等しい量の燃料が各気筒のインジェクタ12から順次噴射され、次のエンジンサイクルでは新たに計算された最終噴射量Qfnlの燃料が各気筒のインジェクタ12から順次噴射される。
なお、周知のように、最終噴射量Qfnlの算出に当たっては他の補正(水温補正、バッテリ電圧補正等)を追加することも可能である。
図14には補助空燃比補正量の設定ルーチンを示す。このルーチンはECU20により所定の演算周期で繰り返し実行される。
まずステップS401では、ECU20に装備されたタイマのカウントが実行され、ステップS402では、触媒後センサ18の出力Vrが取得される。ステップS403では、このセンサ出力Vrとストイキ相当センサ出力Vrefr(図2参照)との差、即ち触媒後センサ出力差ΔVr=Vrefr−Vrが算出され、この触媒後センサ出力差ΔVrが前回積算値に積算される。図15には触媒後センサ出力差ΔVrとその積算の様子を示す。
ステップS404では、タイマ値が所定値tsを超えたか否かが判断される。所定値tsを超えていなければルーチンが終了される。
タイマ値が所定値tsを超えている場合、ステップS405で、この時点での触媒後センサ出力差積算値ΣΔVrが、触媒後センサ学習値ΔVrgとして更新記憶される。そしてステップS406で、この触媒後センサ学習値ΔVrgに基づき、図16に示すようなマップから、補助空燃比補正量Krが算出され、この補助空燃比補正量Krが更新記憶される。触媒後センサ学習値ΔVrg及び補助空燃比補正量Krは、補助空燃比制御のための制御量をなす。例えばゲインをPrとするとKr=Pr×ΔVrgで表される。最後に、ステップS407にて、触媒後センサ出力差積算値ΣΔVr及びタイマがリセットされる。
触媒後センサ出力差ΔVrを所定時間tsの間積算する理由は、触媒後センサ出力Vrのストイキ相当センサ出力Vrefrに対する時間平均的なズレ量を検知するためである。積算時間を規定する所定値tsは1エンジンサイクルより遙かに長い時間であり、よって触媒後センサ学習値ΔVrg及び補助空燃比補正量Krの更新は1エンジンサイクルより遙かに長い周期で行われる。
図16のマップによれば、触媒後センサ出力Vrが時間平均的にストイキ相当センサ出力Vrefrより小さい(ΔVrg>0)ほど、即ち実際の触媒後空燃比がストイキからリーン側に離れるほど、0に対しより大きな補正量Krが得られ、最終噴射量算出の際に基本噴射量Qbは増量補正される。反対に、触媒後センサ出力Vrが時間平均的にストイキ相当センサ出力Vrefrより大きい(ΔVrg<0)ほど、即ち実際の触媒後空燃比がストイキからリッチ側に離れるほど、0に対しより小さな補正量Krが得られ、基本噴射量Qbは減量補正される。こうして、触媒後センサ18によって検出された空燃比をストイキに一致させるような補助空燃比フィードバック制御が実行される。触媒前センサ17の劣化等の理由で主空燃比フィードバック制御を実行してもその結果がストイキからズレることがあるので、このズレを補正する目的で、補助空燃比フィードバック制御が実行される。
なお、この例では新たな学習値ΔVrg及び補正量Krが算出される度にこれらの値自身で更新を行うようにしたが、なまし等の平均化処理を行って更新速度を遅らせるようにしてもよい。
これら主空燃比フィードバック制御及び補助空燃比フィードバック制御においては、制御量を所定のガード範囲内としつつ、それらが実行されるようになっている。図13に示すように、主空燃比フィードバック制御の触媒前センサ出力差ΔVfは、制御上、上下のガード値ΔVfH,ΔVfLの範囲内の値しかとることができず(ΔVfL≦ΔVf≦ΔVfH)、これに対応して、主空燃比補正量Kfも上下のガード値KfH,KfLの範囲内の値しかとることができない(KfL≦Kf≦KfH、)。例えば、計算上の触媒前センサ出力差ΔVfが上限ガード値ΔVfH以上になったとき、制御上、触媒前センサ出力差ΔVfは上限ガード値ΔVfHに固定される。異常なほどに大きい制御量を用いて主空燃比制御が行われることを防止するためである。なお、通常のストイキ制御時に触媒前センサ出力差ΔVfがガード値ΔVfH,ΔVfLに所定時間以上固定された(張り付いた)場合、燃料供給系若しくは空気系が全体として異常(インバランス故障でなくバランス故障が発生した)と判断してもよい。
これと同様に、図16に示す如く、補助空燃比フィードバック制御においても、触媒後センサ学習値ΔVrgは、制御上、上下のガード値ΔVrgH,ΔVrgLの範囲内の値しかとることができず(ΔVrgL≦ΔVrg≦ΔVrgH)、これに対応して、補助空燃比補正量Krも上下のガード値KrH,KrLの範囲内の値しかとることができない(KrL≦Kr≦KrH)。例えば、計算上の触媒後センサ学習値ΔVrgが上限ガード値ΔVrgH以上になったとき、制御上、触媒後センサ学習値ΔVrgは上限ガード値ΔVrgHに固定される。異常なほどに大きい制御量を用いて補助空燃比制御が行われることを防止するためである。なお、通常のストイキ制御時に触媒後センサ学習値ΔVrgがガード値ΔVrgH,ΔVrgLに所定時間以上固定された(張り付いた)場合、燃料供給系若しくは空気系が全体として異常と判断してもよい。
ところで、1気筒のみが異常でその空燃比が大きくリッチ側にずれたとする。このとき主空燃比制御が実行されていると、全気筒の排ガスが合流した後のトータルの排ガスの空燃比は、暫くしてストイキに制御される。しかしながら、異常気筒の空燃比はストイキより大きくリッチであり、残りの正常気筒の空燃比はストイキよりリーンであり、全体のバランスとしてストイキになっているに過ぎない。しかも異常気筒から水素が多量に発生される結果、触媒前センサ17の出力は、真の空燃比よりもリッチ側にずれた空燃比を誤ってストイキとして表示する。
他方、水素を含む排ガスが上流触媒11を通過すると、水素が浄化されてその影響が取り除かれる。従って、触媒後センサ18の出力は、真の空燃比、即ちストイキよりリーンな空燃比を表示することとなる。このようにリッチずれ異常が生じると触媒前センサ17の出力がリッチ側にずれること、および触媒前センサ17および触媒後センサ18の出力の間に乖離が生じることは、例えば特許文献1により公知である。
異常発生から所定時間が経過すると、触媒後センサ18の出力は、リッチずれの度合いに応じた一定値に収束する。この一定値は、ストイキよりリーンな値であり、燃料噴射量をリッチ側に補正しようとする値である。この触媒後センサ18の出力変化に追従して、触媒後センサ学習値ΔVrgと補助空燃比補正量Krも、燃料噴射量をリッチ側に補正するような正の一定値に収束する。
これを示すのが図17である。図17は、ある1気筒のみの燃料噴射量がストイキ相当量からずれたときのインバランス割合(%)と、触媒後センサ学習値ΔVrgとの関係を調べた試験結果である。インバランス割合はリッチずれのときが正、リーンずれのときが負である。図示するように、インバランス割合がリッチずれ方向に大きくなるほど、触媒後センサ学習値ΔVrgはより大きな値、即ち空燃比をよりリッチ側に補正するような値に収束する傾向にある。図示しないが、補助空燃比補正量Krにも同様の傾向がある。
なお、1気筒のみの空燃比が大きくリーン側にずれることもあり、この場合には、触媒後センサ学習値ΔVrgの値は、図17に負のインバランス割合領域で示される如くなる。こちらの領域の勾配は正のインバランス割合領域の勾配よりも緩い。ここでリーンずれとは、燃料噴射量が規定量よりも少なくなることであり、ある気筒で大きなリーンずれが起きた場合、当該気筒は通常は失火に陥る。よってリーンずれによるばらつき異常は別の失火検出手段によって検出可能である。ここでの異常検出はリッチずれ異常に対して特に有効である。
このように、空燃比ばらつき異常が発生すると補助空燃比制御のための制御量(補助空燃比制御量という)は大きくなる。そこでこの第2の態様では、補助空燃比制御量(具体的には触媒後センサ学習値ΔVrgと補助空燃比補正量Krの少なくとも一方)と所定の判定値とに基づき、異常を検出する。以下、補助空燃比制御量として触媒後センサ学習値ΔVrgを用いた場合を例にとって説明する。
基本的には、算出された触媒後センサ学習値ΔVrgが所定の判定値以上であればばらつき異常ありと判定することができ、算出された触媒後センサ学習値ΔVrgが判定値より小さければばらつき異常なし、即ち正常と判定することができる。しかしながら、この第2の態様においても第1の態様と同様、検出精度向上の観点から判定を2段階に分けて実行する。すなわち、最初に行われる第1判定においては正常、異常または保留の判定を実行し、保留の場合に所定の処理を行って正常または異常の第2判定を実行する。
<補助空燃比制御量の補正>
使用燃料にアルコールが含まれていると、使用燃料がガソリンのみの場合と比べて、触媒後センサ学習値ΔVrgが変化し、触媒後センサ学習値ΔVrgの値が異なることが判明した。
すなわち、使用燃料にアルコールが含まれていると、使用燃料がガソリンのみの場合と比べて、排気中の水素(H2)濃度が増加する。水素は分子サイズが小さいため、触媒前センサの拡散層を選択的に通過可能である。排気中の水素濃度が増加すると前述の水素影響による触媒前センサ出力ズレが大きくなり、触媒後センサ学習値ΔVrgの値が増大する。
よって、検出精度向上のためには、使用燃料のアルコール濃度に基づき触媒後センサ学習値ΔVrgを補正するのが望ましい。具体的には、使用燃料のアルコール濃度に応じて異なる補正値を用いて触媒後センサ学習値ΔVrgを補正し、使用燃料のアルコール濃度が増加するほど触媒後センサ学習値ΔVrgを減少側に補正する。
こうすることで、使用燃料のアルコール濃度に拘わらず正確な検出を可能とし、検出精度を向上することができる。
なお、触媒後センサ学習値ΔVrgを補正する代わりに、その比較対象となる判定値を補正してもよい。具体的には、使用燃料のアルコール濃度が増加するほど判定値を増大側に補正する。
一方、多気筒エンジンの場合、触媒前センサ17に対するガス当たりが強い気筒と弱い気筒が存在する。ガス当たりが強い気筒が異常であると、水素影響が大きいため、前述のようなアルコール濃度に応じた触媒後センサ学習値ΔVrgの変化が顕著である。しかしながらガス当たりが弱い気筒が異常であると、水素影響が小さいため、かかる変化が少ないかまたは殆どない場合がある。
そこで、前記第1判定において保留と判定した場合、異常気筒を特定し、この異常気筒に応じても異なる補正値を用いて触媒後センサ学習値ΔVrgを補正するのが好ましい。より好ましくは、異常気筒がガス当たりの弱い気筒である場合、アルコール濃度に基づく補正が小さくなされるようにし(そのような補正値に設定し)、異常気筒がガス当たりの強い気筒である場合、アルコール濃度に基づく補正が大きくなされるようにする(そのような補正値に設定する)。
こうすることで、ガス当たりの強弱の影響まで含めて補正することが可能であり、検出精度をより一層向上することができる。
ところで、触媒後センサ学習値ΔVrgは、前述のアルコール濃度およびガス当たり強さに加え、触媒前センサ17に対する排気ガス流量によっても変化することが判明した。
すなわち、排気ガス流量が多いほど触媒前センサ17が水素を処理しきれなくなり、触媒前センサ出力への影響が大きくなる。具体的には、排気ガス流量が多いほど触媒前センサ出力ズレが増大し、触媒後センサ学習値ΔVrgの値が増大する。
そこで、排気ガス流量の代用値である吸入空気量に応じて異なる補正値を用いて、触媒後センサ学習値ΔVrgを補正するのが好ましい。より好ましくは、吸入空気量が増加するほど触媒後センサ学習値ΔVrgの値を減少側に補正する。
ここで、アルコール濃度のときと同様、異常気筒がガス当たりの強い気筒か弱い気筒かによって、触媒後センサ学習値ΔVrgに対する排気ガス流量の影響度が異なる。例えば、ガス当たりの強い気筒が異常であると、排気ガス流量に応じた触媒後センサ学習値ΔVrgの変化が顕著であるが、ガス当たりの弱い気筒が異常であるとかかる変化が少ないかまたは殆どない場合がある。
そこで、排気ガス流量ないし吸入空気量に基づく補正を実施するときには、異常気筒に応じて異なる補正値を用いるのが好ましい。より好ましくは、異常気筒がガス当たりの弱い気筒である場合、吸入空気量に基づく補正が小さくなされるようにし(そのような補正値に設定し)、異常気筒がガス当たりの強い気筒である場合、吸入空気量に基づく補正が大きくなされるようにする(そのような補正値に設定する)。
こうすることで、排気ガス流量の大小の影響まで含めて補正することが可能であり、検出精度をより一層向上することができる。
図18には、燃料のアルコール濃度(%)およびセンサへのガス当たりが触媒後センサ学習値ΔVrgに及ぼす影響を調べた試験結果を示す。アルコール濃度としてエタノール濃度が用いられており、E0,E20,E50,E85はそれぞれアルコール濃度が0,20,50,85(%)の燃料の場合を示す。(A)はガス当たりの弱い気筒(本実施形態では#1,#3気筒)が+40(%)のインバランス割合で異常である場合、(B)はガス当たりの強い気筒(本実施形態では#2,#4気筒)が+40(%)のインバランス割合で異常である場合を示す。βは基準燃料(ガソリンのみ)の場合の判定値である。
まず(B)に着目する。見られるように、エタノール濃度の増大につれ触媒後センサ学習値ΔVrgは大きい割合で増大する傾向がある(エタノール濃度に対する感度大)。このことから、ガス当たりの強い気筒が異常気筒である場合には、アルコール濃度に基づく補正を大きく行うのが好ましいことが分かる。
次に(A)に着目する。見られるように、エタノール濃度の増大につれ触媒後センサ学習値ΔVrgは小さい割合で増大する傾向がある(エタノール濃度に対する感度小)。このことから、ガス当たりの弱い気筒が異常気筒である場合には、アルコール濃度に基づく補正を小さく行うのが好ましいことが分かる。
図19(A)、(B)には、アルコール濃度補正における補正値としての補正係数Kaの一例を示す。(A)はガス当たりの弱い気筒が異常気筒である場合、(B)はガス当たりの強い気筒が異常気筒である場合を示す。補正係数Kaは触媒後センサ学習値ΔVrgに対する乗算値である。但し加算値を用いるようにしてもよい。
(B)に見られるように、ガス当たりの強い気筒が異常気筒である場合、アルコール濃度ALの増大につれ補正係数Kaは徐々に小さくなり、触媒後センサ学習値ΔVrgをより大きく減少側に補正するような値とされている。基準状態はアルコール濃度AL=0(%)、すなわち燃料がガソリンのみの場合で、このとき補正係数Kaは1すなわち実質的に補正無しである。アルコール濃度ALが増大しても触媒後センサ学習値ΔVrgが基準状態相当に補正されるよう、補正係数Kaが設定され、アルコール濃度ALの変化分が補償されている。
他方(A)に見られるように、ガス当たりの弱い気筒が異常気筒である場合だと、アルコール濃度ALの増大につれ補正係数Kgが徐々に小さくなる点は同じだが、その減少割合が(B)よりも少ない。これは、アルコール濃度ALの増大に対する触媒後センサ学習値ΔVrgの増大量が、ガス当たりの強い気筒が異常気筒である場合よりも少ないことに対応する。なお(B)と同様、基準状態はアルコール濃度AL=0(%)のときで、このとき補正係数Kaは1である。
次に、図20(A)、(B)には、吸入空気量補正における補正値としての補正係数Kgの一例を示す。(A)はガス当たりの弱い気筒が異常気筒である場合、(B)はガス当たりの強い気筒が異常気筒である場合を示す。ここでも補正係数Kgは触媒後センサ学習値ΔVrgに対する乗算値である。但し加算値を用いるようにしてもよい。
(B)に見られるように、ガス当たりの強い気筒が異常気筒である場合、吸入空気量Gaの増大につれ補正係数Kgは徐々に小さくなり、触媒後センサ学習値ΔVrgをより大きく減少側に補正するような値とされている。基準状態は吸入空気量Ga=0(g/s)で、このとき補正係数Kgは1である。吸入空気量Gaが増大しても触媒後センサ学習値ΔVrgが基準状態相当に補正されるよう、補正係数Kgが設定され、吸入空気量Gaの変化分が補償されている。
他方(A)に見られるように、ガス当たりの弱い気筒が異常気筒である場合だと、吸入空気量Gaの増大につれ補正係数Kgが徐々に小さくなる点は同じだが、その減少割合が(B)よりも少ない。これは、吸入空気量Gaの増大に対する触媒後センサ学習値ΔVrgの増大量が、ガス当たりの強い気筒が異常気筒である場合よりも少ないことに対応する。なお(B)と同様、基準状態は吸入空気量Ga=0(g/s)で、このとき補正係数Kgは1である。
なお、触媒後センサ学習値ΔVrgではなく判定値を補正する場合には上記と逆となる。すなわち、判定値に乗算または加算する補正値は、アルコール濃度の増大につれ大きくなり、吸入空気量の増大につれ大きくなる。アルコール濃度または吸入空気量の増大に対する補正値の増大割合は、異常気筒がガス当たりの強い気筒の場合には大きくなり、異常気筒がガス当たりの弱い気筒の場合には小さくなる。
<異常気筒特定>
第1判定において保留判定を行った場合、異常気筒の特定が実行されるが、その方法は第1の態様と同様であるので説明を省略する。
<ばらつき異常検出ルーチン>
図21を用いてばらつき異常検出ルーチンを説明する。このルーチンはECU20により所定の演算周期τ毎に繰り返し実行される。
まずステップS501では、前記ステップS101と同様、所定の前提条件が成立しているか否かが判断される。
前提条件が成立していない場合にはルーチンが終了される。他方、前提条件が成立している場合には、ステップS502において使用燃料のアルコール濃度ALと、今回のタイミングにおける吸入空気量Ganとが取得される。
次に、ステップS503において、触媒後センサ学習値ΔVrgのガード範囲が拡大されると共に、触媒後センサ学習値ΔVrgの更新速度が増大される。
ばらつき異常が生じた場合、触媒後センサ学習値ΔVrgは、図16に示した如き通常のストイキ制御を前提とした基準のガード範囲を超えることが多く、特に基準の上限ガード値ΔVrgHより高くなることが多い。そこで、ばらつき異常検出時には、ガード範囲が基準の範囲よりも拡大され、特に上限ガード値ΔVrgHが基準値より大きい値に変更(増大)される。これにより、触媒後センサ学習値ΔVrgが基準のガード範囲を超えて可変となり、ばらつき異常検出を問題なく実施できるようになる。
なおこれに伴い、補助空燃比補正量Krのガード範囲も拡大される。これにより補助空燃比補正量Krを用いる場合にもばらつき異常検出を問題なく実施できるようになる。
一方、図15に示したように、触媒後センサ学習値ΔVrgは所定の時間すなわち更新周期ts毎に更新されていくが、この更新周期tsは通常のストイキ制御を前提としたものであるため、ばらつき異常検出にとっては長すぎ、触媒後センサ学習値ΔVrgがばらつき度合いに対応した値に収束するのに時間がかかり過ぎる場合がある。
そこで、ばらつき異常検出実行時には、更新周期tsが基準値よりも短くされ、更新速度が基準速度よりも増大される。これにより触媒後センサ学習値ΔVrgの更新を速やかに行い、検出時間を短縮することができる。
なおこれに伴い、補助空燃比補正量Krの更新速度も増大される。これにより補助空燃比補正量Krを用いる場合にも検出時間を短縮することができる。
本実施形態においては、ガード範囲拡大と更新速度増大との両方を行う。しかしながら、いずれか一方のみを行うようにしてもよい。
好ましくは、ガード範囲の拡大量と、更新周期の短縮量(あるいは更新速度の増大量)との少なくとも一方が、ステップS502で取得されたアルコール濃度ALに応じて変更される。この際、所定のマップを利用し、アルコール濃度ALが大であるほどガード範囲の拡大量を増大し、更新周期の短縮量(あるいは更新速度の増大量)を増大する。アルコール濃度ALが大であるほど触媒後センサ学習値ΔVrgが増大するからである。
次に、ステップS504において、所定の更新条件が成立したか否かが判断される。ここでは、触媒後センサ学習値ΔVrgの更新時期が到来した時に更新条件が成立したと判断される。
更新条件が成立していない場合にはルーチンが終了される。他方、更新条件が成立している場合にはステップS505に進む。
ステップS505おいては、ECU20内のカウンタ(初期値0)が1だけカウントアップされる。そしてステップS506において、今回の更新時期において更新された触媒後センサ学習値ΔVrgiが取得される(但しi=1,2,・・・)。
ステップS507では、触媒後センサ学習値ΔVrgiが積算され、今回の更新時期における積算学習値ΣΔVrgiが次式(5)より算出される。
Figure 2012132392
次に、ステップS508において、カウンタの値がI(但しIは2以上の整数)に達したか否かが判断される。達してなければルーチンが終了され、達した場合にはステップS509に進む。ここでは実質的にI更新周期が終了したか否かが判断されている。
ステップS509では、現時点すなわちI更新周期終了時点における最終的な積算学習値ΣΔVrgIが更新周期数Iで除して平均化され、平均触媒後センサ学習値Z=ΔVrgI/Iが算出される。
後は第1の態様と同様に、ステップS510〜S514において第1判定が実行される。ここでは判定値として、アルコール濃度等の影響があっても確実に異常と判定できるような異常判定値β1と、アルコール濃度等の影響があっても確実に正常と判定できるような正常判定値β2とが用いられる。これら異常判定値β1と正常判定値β2は予め実験等に基づいて設定され、ECU20に記憶される。異常判定値β1は正常判定値β2より大きな値である。
まずステップS510において、平均触媒後センサ学習値Zが異常判定値β1と比較される。
平均触媒後センサ学習値Zが異常判定値β1以上である場合、ステップS511に進んでばらつき異常有り、すなわち異常と判定され、ルーチンが終了される。なお異常判定と同時に、異常の事実をユーザに知らせるべくチェックランプ等の警告装置を起動するのが好ましい。
他方、平均触媒後センサ学習値Zが異常判定値β1未満である場合、ステップS512に進んで平均触媒後センサ学習値Zが正常判定値β2と比較される。
平均触媒後センサ学習値Zが正常判定値β2未満である場合、ステップS513に進んでばらつき異常無し、すなわち正常と判定され、ルーチンが終了される。
他方、平均触媒後センサ学習値Zが正常判定値β2以上である場合、ステップS514に進んで保留の判定が行われ、ステップS515において保留時処理が行われた後、ルーチンが終了される。
このように、アルコール濃度等の影響があっても確実に正常または異常と判定できる場合には正常または異常と最終判定するので、正常または異常が明らかな場合に検出時間を短縮できる。また、それ以外の場合は保留し再判定するので、アルコール濃度等の影響を含めた微妙な判定が可能であり、検出精度を向上できる。
次に、図22を用いて保留時処理のルーチンを説明する。このルーチンもECU20により所定の演算周期τ毎に繰り返し実行される。
ステップS601では、前述した燃料噴射量強制増量または減量を伴う異常気筒特定処理が実行される。
ステップS602では、異常気筒特定処理が終了したか否かが判断される。終了してなければルーチンが終了され、終了した場合にはステップS603に進む。
ステップS603では、使用燃料のアルコール濃度ALが取得される。
ステップS604では、先のばらつき異常検出ルーチン(図21)のステップS502において、平均触媒後センサ学習値Zの算出過程で取得された全吸入空気量Ganの値が平均化され、平均吸入空気量Sが算出される。
ステップS605では、先のばらつき異常検出ルーチン(図21)のステップS509において算出された平均触媒後センサ学習値Zが補正される。
すなわち、まずステップS601の異常気筒特定処理の結果として特定された異常気筒が読み出される。そしてこの異常気筒と、ステップS603で取得されたアルコール濃度ALと、ステップS604で算出された平均吸入空気量Sとに対応した補正係数Ka、Kgが算出される。この補正係数Ka、Kgの算出には、図19および図20の関係が規定されたマップが用いられる。すなわちECU20は、図19および図20の関係が規定されたマップを予め記憶しており、このマップを用いて補正係数Ka、Kgを算出する。
例えば、異常気筒が#2気筒、アルコール濃度ALが20(%)、平均吸入空気量Sが10(g/s)である場合、図19(B)のマップからアルコール濃度AL=20(%)に対応したアルコール濃度補正係数Ka=0.9が算出され、図20(B)のマップから吸入空気量Ga=10(g/s)に対応した空気量補正係数Kg=0.95が算出される。
こうして補正係数Ka、Kgが算出されたならば、次式(6)により平均触媒後センサ学習値Zが補正され、補正後の平均触媒後センサ学習値Z’が算出される。
Figure 2012132392
なお、例えば異常気筒が#1気筒、アルコール濃度ALが20(%)、平均吸入空気量Sが10(g/s)である場合、図19(A)のマップからアルコール濃度AL=20(%)に対応したアルコール濃度補正係数Ka=0.95が算出され、図20(A)のマップから吸入空気量Ga=10(g/s)に対応した空気量補正係数Kg=0.975が算出される。
次いで、ステップS606〜S608において第2判定が実行される。ここでは判定値として、アルコール濃度等の影響を考慮しない(基準状態を前提とした)正異常判定値β3が用いられる。この正異常判定値β3も予め実験等に基づいて設定され、ECU20に記憶される。正異常判定値β3は、異常判定値β1より小さく正常判定値β2より大きな値である。なお正異常判定値β3は図18に示した判定値βと等しい値に設定することができる。
まずステップS606において、補正後の平均触媒後センサ学習値Z’が正異常判定値β3と比較される。
補正後の平均触媒後センサ学習値Z’が正異常判定値β3以上である場合、ステップS607に進んでばらつき異常有り、すなわち異常と判定され、ルーチンが終了される。
他方、補正後の平均触媒後センサ学習値Z’が正異常判定値β3未満である場合、ステップS608に進んでばらつき異常無し、すなわち正常と判定され、ルーチンが終了される。
このように、第1判定で保留判定した場合、アルコール濃度等の影響を無くすよう補正した上で再度第2判定を実行し、正常又は異常を最終判定するので、アルコール濃度等の影響に拘わらず正確な検出が可能であり、検出精度を向上することが可能である。
なお変形例として、例えば、吸入空気量に基づく補正の不実施、異常気筒特定の不実施、および異常気筒に応じた補正値変更の不実施の少なくとも一つを採用した例が可能である。
以上、本発明の好適な実施形態を詳細に述べたが、本発明の実施形態は他にも様々なものが考えられる。
本発明の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本発明に含まれる。従って本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
1 内燃機関(エンジン)
2 インジェクタ
11 上流触媒
17 触媒前センサ
18 触媒後センサ
20 電子制御ユニット(ECU)
34 アルコール濃度センサ

Claims (12)

  1. アルコール燃料を使用可能な多気筒内燃機関の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置であって、
    使用燃料のアルコール濃度を取得する取得手段と、
    前記内燃機関の排気通路に設けられた空燃比センサと、
    前記空燃比センサの出力変動度合いに相関する出力変動パラメータと所定の判定値とに基づき、正常、異常または保留の第1判定を実行する第1判定手段と、
    前記第1判定手段により保留と判定されたとき、前記取得手段により取得されたアルコール濃度に応じて異なる補正値を用いて、前記出力変動パラメータおよび前記判定値の一方を補正する補正手段と、
    前記補正手段により補正された一方と、他方とに基づき、正常または異常の第2判定を実行する第2判定手段と、
    を備えることを特徴とする気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  2. 前記第1判定手段により保留と判定されたとき、異常気筒を特定する特定手段をさらに備え、
    前記補正手段は、前記第1判定手段により保留と判定されたとき、前記特定手段により特定された異常気筒と、前記取得手段により取得されたアルコール濃度とに応じて異なる補正値を用いて、前記出力変動パラメータおよび前記判定値の一方を補正する
    ことを特徴とする請求項1に記載の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  3. 前記補正手段は、前記特定手段により特定された異常気筒が前記空燃比センサに対しガス当たりの強い気筒であるときには、アルコール濃度に応じて変化するような補正値を用い、前記特定された異常気筒が前記空燃比センサに対しガス当たりの弱い気筒であるときには、アルコール濃度に応じて変化しないような補正値を用いる
    ことを特徴とする請求項2に記載の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  4. 前記内燃機関の吸入空気量を検出する吸入空気量検出手段をさらに備え、
    前記補正手段は、前記吸入空気量検出手段により検出された吸入空気量に基づき、前記補正された一方をさらに補正し、
    前記第2判定手段は、前記さらに補正された一方と、他方とに基づき、正常または異常の第2判定を実行する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  5. 前記出力変動パラメータは、異なる二つのタイミングにおける空燃比センサ出力の差に基づく値である
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  6. アルコール燃料を使用可能な多気筒内燃機関の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置であって、
    使用燃料のアルコール濃度を取得する取得手段と、
    前記内燃機関の排気通路に設けられた触媒と、
    前記触媒の上流側に設けられた空燃比センサとしての触媒前センサと、
    前記触媒の下流側に設けられた空燃比センサとしての触媒後センサと、
    前記触媒前センサの出力に基づく主空燃比制御と、前記触媒後センサの出力に基づく補助空燃比制御とを実行する空燃比制御手段と、
    前記触媒後センサの出力に基づき前記補助空燃比制御のための制御量を算出する制御量算出手段と、
    前記制御量算出手段により算出された前記制御量と所定の判定値とに基づき、正常、異常または保留の第1判定を実行する第1判定手段と、
    前記第1判定手段により保留と判定されたとき、前記取得手段により取得されたアルコール濃度に応じて異なる補正値を用いて、前記制御量および前記判定値の一方を補正する補正手段と、
    前記補正手段により補正された一方と、他方とに基づき、正常または異常の第2判定を実行する第2判定手段と、
    を備えることを特徴とする気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  7. 前記第1判定手段により保留と判定されたとき、異常気筒を特定する特定手段をさらに備え、
    前記補正手段は、前記第1判定手段により保留と判定されたとき、前記特定手段により特定された異常気筒と、前記取得手段により取得されたアルコール濃度とに応じて異なる補正値を用いて、前記制御量および前記判定値の一方を補正する
    ことを特徴とする請求項6に記載の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  8. 前記補正手段は、前記特定手段により特定された異常気筒が前記触媒前センサに対しガス当たりの強い気筒であるときには、アルコール濃度に応じて大きく変化するような補正値を用い、前記特定された異常気筒が前記空燃比センサに対しガス当たりの弱い気筒であるときには、アルコール濃度に応じて小さく変化するような補正値を用いる
    ことを特徴とする請求項7に記載の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  9. 前記内燃機関の吸入空気量を検出する吸入空気量検出手段をさらに備え、
    前記補正手段は、前記吸入空気量検出手段により検出された吸入空気量に基づき、前記補正された一方をさらに補正し、
    前記第2判定手段は、前記さらに補正された一方と、他方とに基づき、正常または異常の第2判定を実行する
    ことを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  10. 前記空燃比制御手段は、前記制御量を所定のガード範囲内としつつ所定の更新速度で更新し、且つばらつき異常検出時、前記ガード範囲を所定の基準範囲よりも拡大すること、および前記更新速度を所定の基準速度よりも増大することの少なくとも一方を実行する
    ことを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  11. 前記制御量が、触媒後センサ学習値と補助空燃比補正量のいずれか一方からなる
    ことを特徴とする請求項6〜10のいずれか一項に記載の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  12. 燃料給油があったことを判定する給油判定手段をさらに備え、前記給油判定手段により燃料給油があったと判定された時から所定時間経過後にばらつき異常検出を行う
    ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
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