JP2012131901A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】同じ記録条件でインクジェット記録を行った場合に、同じ光学濃度の記録物が安定に得られるインクジェット記録方法を提供すること。
【解決手段】色材、水、及び水溶性有機化合物を含有し、かつ、下記式で算出される値が8.0以上であるインクジェットインクを使用する記録方法。

(式1において、nはインク中に含有する水溶性有機化合物の種類の総数、IOBはインク中に含有する水溶性有機化合物のうちの1種である水溶性有機化合物iのIOB値、xはインク全質量を基準としたときの前記水溶性有機化合物iの含有量(質量%)である。)
【選択図】なし

Description

本発明はインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録装置において、同じ記録条件でインクジェット記録を行った場合であっても、同じ光学濃度の記録物が安定に得られないという課題がある。これは、記録ヘッドの動作温度が不安定であることで吐出されるインクの温度が変化し、それに伴う粘度の変化により、吐出されるインク滴の量が変動することに起因する。これを改善するために、記録ヘッドの動作温度を一定に保つことを目的にインク循環システムを設けたインクジェット記録装置が提案されている(特許文献1)。特許文献1には、循環するインクの温度を調整する温度制御手段を有するインク循環システムにより、記録ヘッドの動作温度を一定に保つことができることが開示されている。
また、気泡が発生しにくいインクが提案されている(特許文献2〜6)。特許文献2には、特定の試験方法による泡沫高さを規定したインクが開示されている。また、低級アルコールを含有するインク(特許文献3)、エーテルを含有するインク(特許文献4)、アセチレングリコール又はアセチレングリコールのアルキレンオキサイド付加物を含有するインク(特許文献5)、炭素数が4乃至6の直鎖状脂肪族アルコールを含有するインク(特許文献6)が開示されている。
特開平7−251508号公報 特開平11−302585号公報 特開昭63−139963号公報 特開平9−031379号公報 特開2004−315739号公報 特開2007−302805号公報
しかしながら、本発明者らの検討の結果、上記のような従来のインク循環システムを有するインクジェット記録装置では、常に一定の吐出量で記録することが難しく、同じ光学濃度の記録物を安定に得ることができなかった。具体的には、特許文献1に記載の発明は、インク中に発生する気泡によって、インクの流れが妨げられることによってインクの粘度が変化してしまい、記録ヘッドの動作温度を十分に維持できない。また、本発明者らの検討によると、特許文献1に記載のインク循環システムに、特許文献2〜6に記載のインクを用いても、インク中に発生する気泡を十分に抑制できず、記録ヘッドの動作温度を一定に保つことができなかった。
したがって、本発明の目的は、同じ記録条件でインクジェット記録を行った場合に、同じ光学濃度の記録物が安定に得られるインクジェット記録装置を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明にかかるインクジェット記録装置は、インクを収容するインク収容部、インクを循環するインク循環機構、循環するインクの温度を制御する温度制御機構、及びインクを吐出するための記録ヘッドを有し、前記インクが色材、水、及び水溶性有機化合物を含有し、かつ、下記式1で算出される値が8.0以上であることを特徴とする。
(式1において、nはインク中に含有する水溶性有機化合物の種類の総数、IOBはインク中に含有する水溶性有機化合物のうちの1種である水溶性有機化合物iのIOB値、xはインク全質量を基準としたときの前記水溶性有機化合物iの含有量(質量%)である。)
本発明によれば、同じ記録条件でインクジェット記録を行った場合に、同じ光学濃度の記録物が安定に得られるインクジェット記録装置(以下、「光学濃度安定性が高いインクジェット記録装置」という)を提供することができる。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。本発明のインクジェット記録装置は、インクを収容するインク収容部、インクを循環するインク循環機構、循環するインクの温度を制御する温度制御機構、及びインクを吐出するための記録ヘッドを有し、前記インクが色材、水、及び水溶性有機化合物を含有し、かつ、下記式1で算出される値が8.0以上であることを特徴とする。
(式1において、nはインク中に含有する水溶性有機化合物の種類の総数、IOBはインク中に含有する水溶性有機化合物のうちの1種である水溶性有機化合物iのIOB値、xはインク全質量を基準としたときの前記水溶性有機化合物iの含有量(質量%)である。)
[インクジェット記録装置]
本発明のインクジェット記録装置は、上述の通り、インクを収容するインク収容部、インクを循環するインク循環機構、循環するインクの温度を制御する温度制御機構、及びインクを吐出するための記録ヘッドを有する。更に、給紙部、搬送部、キャリッジ部、クリーニング部、及びこれらを保護する外装部などを適宜有していてもよい。尚、本発明のインクジェット記録装置は、記録信号に応じて、記録ヘッドからインク滴を記録媒体に向けて吐出する、所謂、オンデマンド型のインクジェット記録装置であることが好ましい。
本発明において、インク循環機構は、インク収容部と記録ヘッドとを往路と復路の通路により連結した循環系内でインクの循環を行う。そして、温度制御機構によって、この循環するインクの温度を一定に制御する。尚、インクジェット記録装置において、温度制御機構を設ける場所は、記録ヘッドの内部でも外部でもよいが、記録ヘッドの温度変化の影響を受けにくい記録ヘッドの外部に備える方がより好ましい。インク循環機構及び温度制御機構に関しては、その目的に適う機構となっていれば、その手段は特に限定されない。
同じ光学濃度の記録物が安定に得られるようにするためには、記録ヘッドに供給されるインクの温度(吐出されるインクの温度)が記録ヘッド内の位置や経時に依らずに、常に一定となるように、循環するインクの温度を設定する必要がある。しかし、記録ヘッドに供給されたインクは、記録ヘッドとの熱交換により、温度が変化する。そのため、この熱交換による温度変化を考慮して、循環するインクの好ましい温度を決定し、温度制御装置を用いて制御する。尚、本発明において、「吐出されるインクの温度」には、吐出エネルギーが加わったことによる温度変化は考慮しない。即ち、吐出エネルギーが加わる前の記録ヘッド内のインクの温度を意味する。
本発明においては、吐出されるインクの温度が常に一定となるのであれば、循環するインクの温度(以下、「制御温度」という)の値自体は、記録ヘッドや使用するインクの性質に合わせて任意に設定することができる。好ましくは、制御温度は5℃以上65℃以下である。制御温度が5℃未満の場合は、インクの粘度が高くなり、記録ヘッドへのインクの供給が遅くなることで、記録ヘッドに供給されるインクの温度に変化が生じる場合がある。一方、制御温度が65℃より大きい場合は、インク中の水分の記録ヘッドの吐出口からの蒸発が促進され、インク中の色材濃度が高くなり、光学濃度が濃くなってしまう場合がある。また、温度制御装置を用いて循環するインクの温度を制御する精度は、制御温度±1.0℃以内であることが好ましい。
また、インクが記録ヘッドに供給された際に、記録ヘッド内のインクの温度が常に一定値であることが好ましいのは当然であるが、記録ヘッド内の位置や経時によっては、インクの温度が変化する場合がある。このときの温度幅としては、温度幅の中心値から±10℃以内であることが好ましく、±5℃以内であることがより好ましく、±3℃以内であることが特に好ましい。尚、温度幅の中心値が5℃乃至20℃と低い場合は、特にインクの温度の変化を小さくすることが好ましく、温度幅の中心値から±3℃以内であることが好ましい。
[インク]
本発明のインクジェット記録装置に使用するインクは、色材、水、及び水溶性有機化合物を含有し、かつ、上記式1で算出される値が8.0以上であることを特徴とする。
本発明において、インクに使用する水溶性有機化合物について、上記式1で算出される値が8.0以上となるように調整することで、インクの泡立ち抑制効果を高めることができる。そして、そのようなインクを、上記のインクジェット記録装置に用いると、記録ヘッドに供給されるインクの温度(吐出されるインクの温度)をより効果的に一定に保つことができ、同じ記録条件でインクジェット記録を行った場合に、同じ光学濃度の記録物を安定に得ることができる(光学濃度安定性が高い)という本発明に特有の効果を奏するものである。色材、水、及び水溶性有機化合物を含有し、かつ、上記式1で算出される値が8.0以上であるインクを用いることで、インクの泡立ち抑制効果を高めることができるメカニズムを以下に詳細に示す。
本発明者らは先ず、インク中に発生した気泡が安定化されるメカニズムについて、検討を行った。その結果、界面活性剤や高分子化合物のような、分子内に疎水性部分と親水性部分が存在する化合物を含有するインク中では、気泡が安定に存在し易いことが分かった。これは、インクより疎水性の高い泡の内部の空気側に界面活性剤や高分子化合物の分子の疎水性部分が、インク側に分子の親水性部分が配向することで、泡の界面の膜強度が強められるためである。したがって、インクの泡立ち抑制効果を向上するには、インク全体の疎水性を高め、泡の内部の空気とインクの疎水性の差を小さくすることで、界面活性剤や高分子化合物の泡の界面への配向を抑制する必要があるとの結論に達した。
上記の結果を受け、本発明者らはインクの疎水性を高める方法について検討を行ったところ、インク中に疎水性の高い水溶性有機化合物を使用するという方法に至った。本発明においては、水溶性有機化合物の疎水性を表す指標として、有機概念図に基づく無機性値(IV)と有機性値(OV)の比であるIOB値(IV/OV)に注目した。
ここで、有機概念図とは、種々の有機化合物について、実験データから、炭素鎖間の共有結合の影響による「有機性値(OV)」と、置換基(官能基)の電気親和力(イオン)の影響による「無機性値(IV)」を算出し、それをOV軸とIV軸で作られる直交座標上にマッピングしたものである。そして、有機概念図上においては、領域ごとに性状に様々な傾向が見られる。このことを利用して、逆に、未知の有機化合物について、その構造式から、有機性値及び無機性値をそれぞれ算出し、有機概念図上のどの領域に属するのかを調べることで、その性状を予測することができるものである。構造式から、有機性値及び無機性値を算出する方法は以下の通りである。有機性値は、化合物の炭素数に20をかけた値である。一方、無機性値は、各置換基(官能基)について、固有の無機性値が付与されており、それらの合算値である。各置換基の無機性値に関しては、「有機概念図−基礎と応用−」(甲田善生著、三共出版、1984年)を参照されたい。
有機概念図における無機性値、有機性値の概念は、界面活性剤の親疎水性を評価するのに用いられるHLB値における親水性、親油性の概念によく一致する。したがって、無機性値と有機性値の比であるIOB値は、有機化合物の親水性・疎水性を表す指標とみなすことができる。即ち、水溶性有機化合物は、そのIOB値が小さい程、疎水性が高いことになる。代表的な水溶性有機化合物のIOB値を表1に示した。

本発明者らは、水溶性有機化合物の疎水性を表す指標となるIOB値を用いて、インクの泡立ち抑制効果が十分に得られる条件を検討したところ、上記式1で算出される値が8.0以上であることが必要であるとの結論に達した。式1は、インクに使用する水溶性有機化合物が全部でn種類の場合、各水溶性有機化合物について、水溶性有機化合物のIOB値の逆数に、インク全質量を基準としたときの水溶性有機化合物の含有量(質量%)をかけ、その値をn種類分合計したものである。例えば、インクに使用する水溶性有機化合物がA、B、Cの3種類で、それぞれの水溶性有機化合物のIOB値がIOB、IOB、IOB、それぞれの水溶性有機化合物のインク全質量を基準としたときの含有量(質量%)が、a、b、cとした場合は、式1の値は以下の通りである。
上記式1において、水溶性有機化合物のIOB値の逆数(1/IOB)は、値が大きい程、疎水性が高いことを表す。そして、IOB値の逆数にインク全質量を基準としたときの含有量(質量%)をかけ、合計した式1の値は、インク中に使用する水溶性有機化合物全体での疎水性を表す値である。上述の通り、インク全体の疎水性は、インク中に使用する水溶性有機化合物の疎水性と相関があることから、式1の値の下限を8.0以上とすることで、本発明の特有の効果である高い光学濃度安定性を達成するために必要なインクの疎水性を規定したものである。したがって、上記式1の値が8.0未満の場合は、インクの疎水性が十分でなく、インクの泡立ち抑制効果が得られなかった。そのため、上記のインクジェット記録装置に用いても、高い光学濃度安定性は得られなかった。一方、上記式1の値は、16.0以下であることが好ましい。上記式1の値が、16.0より大きいと、インクの疎水性が高く、色材の溶解性が低下するため、色材の固着が発生しやすくなる場合があった。そのため、回復操作を複数回行う必要が生じる場合、即ち、インクの固着回復性が十分でない場合があった。
<水性媒体>
本発明に用いられるインクは、水及び水溶性有機化合物の混合溶媒である水性媒体を含有する。水性媒体を構成する水及び水溶性有機化合物について、それぞれ以下に詳細に示す。
(水溶性有機化合物)
本発明において水溶性有機化合物とは、「水中に均一に分散することができる有機化合物」を意味する。本発明に用いられる水溶性有機化合物としては、インク全体として上記式1を満たすものであれば、従来、インクジェット用のインクに一般的に用いられているものを何れも用いることができる。具体的には、例えば、エタノール、イソプロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等の炭素原子数1乃至6のアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド類;アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン類又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール等のアルキレングリコール類;グリセリン、1,2−プロパンジオール、1,3−又は1,4−ブタンジオール、1,2−又は1,5−ペンタンジオール、1,2−又は1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールのアルキルエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、N−メチルモルホリン等の複素環類;ジメチルスルホキシド、チオジグリコール、ビスヒドロキシエチルスルホン等の含硫黄化合物類;尿素、エチレン尿素などの含窒素化合物類が挙げられる。これらの水溶性有機化合物は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。特に、1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
インク中の水溶性有機化合物の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。更には、3.0質量%以上40.0質量%以下であることがより好ましい。また、1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールから選ばれる少なくとも1種を用いる場合は、その含有量がインク全質量を基準として10.0質量%以上であることが好ましい。
(水)
本発明に用いられる水は脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、30.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましい。
(水性媒体の解析方法)
インク中に含有されている水性媒体を構成する水溶性有機化合物の種類や含有量、水の含有量、水性媒体の表面張力は、従来公知の方法により解析を行うことができる。例えば、インクをメタノールで所定の倍率に希釈したサンプルを、ガスクロマトグラフィ/質量分析装置(商品名:TRACE DSQ;ThermoQuest製)を用いて分析することで、水溶性有機化合物の種類や含有量を同定することができる。また、インクをカールフィッシャー水分計を用いて分析することで、インク中に含有されている水の含有量を同定することができる。
また、本発明において、水性媒体の静的表面張力は、自動表面張力計(CBVP−Z型;協和界面科学製)を用いて、白金プレートを用いたプレート法により、温度25℃、湿度50%の環境下で測定する。後述する実施例においても、上記の条件で測定を行った。
本発明に用いられるインク中の水性媒体(水及び水溶性有機化合物)の静的表面張力は、40mN/m以上60mN/m以下であることが好ましい。水性媒体の静的表面張力が40mN/m以上であれば、インクを吐出した際に主インク滴に付随して生じる微小なインク滴、所謂、ミストの発生が抑制され、インクジェット記録装置内に付着するインクが少なくなるため好ましい。水性媒体の静的表面張力が40mN/m未満の場合、ミストが発生し、インクジェット記録装置内にインクが付着する場合がある。一方、水性媒体の静的表面張力が60mN/m以下であれば、隣接部に付与されたインク滴と記録媒体上で混合してしまう現象、所謂、ブリード現象の発生が抑制され、好ましい。水性媒体の静的表面張力が60mN/mより大きい場合、記録媒体への浸透が遅く、ブリード現象が発生する場合がある。
<色材>
本発明に用いられるインクは、色材を含有する。用いられる色材としては、顔料及び染料が挙げられる。顔料及び染料は従来公知のものを何れも使用することができる。尚、色材として顔料を用いる場合、顔料の分散方法としては、分散剤として樹脂を用いる樹脂分散タイプの顔料(高分子分散剤を使用した樹脂分散顔料、顔料粒子の表面を樹脂で被覆したマイクロカプセル顔料、顔料粒子の表面に高分子を含む有機基が化学的に結合したポリマー結合型顔料)や顔料粒子の表面に親水性基を導入した自己分散タイプの顔料(自己分散顔料)が挙げられる。無論、分散方法の異なる顔料を併用することも可能である。具体的な顔料としては、カーボンブラックや有機顔料を用いることが好ましい。また、顔料は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。色材の含有量(質量%)としては、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下が好ましく、更には1.0質量%以上10.0質量%以下とするのがより好ましい。
<界面活性剤>
本発明に用いられるインクは、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、従来、インクジェット用のインクに一般的に用いられているものを何れも用いることができる。具体的には、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。インク中の界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上3.0質量%以下であることが好ましい。
<その他の添加剤>
本発明のインクは、上記の成分以外にも必要に応じて、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び樹脂などの種々の添加剤を含有してもよい。
[インクジェット記録方法]
本発明のインクジェット記録方法は、インクを循環するインク循環工程、循環するインクの温度を制御する温度制御工程、及び、記録信号に応じてインクジェット方式により記録ヘッドの吐出口からインクを吐出させて記録媒体に記録を行う記録工程を有し、前記インクが色材、水、及び水溶性有機化合物を含有し、かつ、上記式1で算出される値が8.0以上であることを特徴とする。本発明においては特に、インクに熱エネルギーを作用させて記録ヘッドの吐出口からインクを吐出させる方式の記録工程を有するインクジェット記録方法が好ましい。尚、本発明における「記録」とは、インク受容層を有する記録媒体や普通紙などの記録媒体に対して本発明のインクを用いて記録する態様、ガラス、プラスチック、フィルムなどの非吸液性の基材に対して本発明のインクを用いてプリントを行う態様を含む。また、インク受容層を有する記録媒体や普通紙などの記録媒体に記録する場合は、カット紙でもロール紙でもよい。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、C.I.とは、カラーインデックスの略語である。
<インクの調製>
(インク1〜14の調製)
水溶性有機化合物を表2、表3に示す組み合わせで、下記各成分と混合した。尚、イオン交換水の残部は、インクを構成する全成分の合計が100.0質量%となる量のことである。
・C.I.ダイレクトブルー199 4.0質量%
・水溶性有機化合物 表3参照
・アセチレノールE100(界面活性剤:川研ファインケミカル製) 0.6質量%
・イオン交換水 残部
これを十分撹拌して分散した後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。表1で示した各水溶性有機化合物のIOB値を参考に、各インクについて、上記式1の値を計算した。また、各インクの水性媒体(イオン交換水と水溶性有機化合物の混合溶媒)について、上述の方法に従い、静的表面張力を測定した。結果を表2、表3に示す。
(イエローインクの調製)
下記成分を混合し、十分撹拌して分散した後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、イエローインクを調製した。
・C.I.ダイレクトイエロー132 3.0質量%
・グリセリン 10.0質量%
・ジエチレングリコール 5.0質量%
・2−ピロリドン 5.0質量%
・3−メチル−1,5−プロパンジオール 5.0質量%
・アセチレノールE100(界面活性剤:川研ファインケミカル製) 0.8質量%
・イオン交換水 71.2質量%
<評価>
本発明においては下記の各評価項目の評価基準において、AA〜Bが好ましいレベルとし、Cは許容できないレベルとした。尚、下記の各評価は、インクを循環するインク循環機構、循環するインクの温度を制御する温度制御機構を有するように改造したインクジェット記録装置PIXUS iP5200R(キヤノン製)を用いて行った。温度制御装置によって制御する循環するインクの温度は表4に記載の通りであり、実施例1〜13及び比較例1は循環するインクの温度を20℃に設定した。比較例2では温度制御装置を作動させず、循環するインクの温度の制御は行わなかった。記録条件は、温度:23℃、相対湿度:55%、1滴あたりの吐出量:5ng(±5%以内)とした。また、上記インクジェット記録装置では、解像度600dpi×600dpiで1/600インチ×1/600インチの単位領域に約5ngのインクを2滴付与する条件で記録された画像を、記録デューティが100%であると定義するものである。
(光学濃度安定性)
上記で得られたインク1〜15をインクカートリッジに充填し、上記インクジェット記録装置に装着した。そして、PPC用紙GF−500(キヤノン製)に、6cm×13cmのベタ画像(記録デューティ100%の画像)を10枚連続で記録した。このとき得られた画像を1日放置した後、ベタ画像の光学濃度を反射濃度計(RD−918;Gretag Macbeth製)を用いて測定した。そして、1枚目の画像の光学濃度と10枚目の画像の光学濃度の差(ΔOD)を算出し、光学濃度安定性を評価した。尚、上述の通り、本願発明において「光学濃度安定性」は、同じ記録条件でインクジェット記録を行った場合に、同じ光学濃度の記録物が安定に得られる性能を意味する。光学濃度安定性の評価基準は以下の通りである。評価結果を表4に示した。
AA:ΔODが、0.5未満であった
A:ΔODが、0.5以上0.75未満であった
B:ΔODが、0.75以上1.0未満であった
A:ΔODが、1.0以上であった。
(インクの固着回復性)
上記で得られたインク1〜15をインクカートリッジに充填し、上記インクジェット記録装置に装着した。そして、上記(光学濃度の安定性)と同様の画像を記録した後、インクジェット記録装置から、カートリッジホルダーがついたヘッドキャリッジのまま記録ヘッドを取り外した。この取り出した記録ヘッドを、温度30℃、相対湿度10%RHの環境で14日間保存した。その後、すぐにインクジェット記録装置に装着し、回復操作を行った後、画像を記録した。インクの固着回復性の評価基準は以下の通りである。評価結果を表4に示した。
AA:回復操作が3回以下で、正常な画像が記録された
A:回復操作が4〜6回で、正常な画像が記録された
B:回復操作を7〜10回で、正常な画像が記録された。
(ミストの発生の確認)
上記で得られたインク1〜15をインクカートリッジに充填し、上記インクジェット記録装置に装着した。そして、PPC用紙GF−500(キヤノン製)に、6cm×13cmのベタ画像(記録デューティ100%の画像)を500枚連続で記録した。その後、インクジェット記録装置内のインクの付着を観察し、ミストの発生の有無の確認を行った。評価基準は以下の通りである。評価結果を表4に示した。
AA:記録装置内を指で触れてもインクが付着しなかった
A:記録装置内を指で触れると僅かにインクが付着した
B:記録装置内を指で触れると多少インクが付着した。
(ブリード現象の確認)
上記で得られたインク1〜15(シアンインク)及びイエローインクをインクカートリッジに充填し、上記インクジェット記録装置に装着した。このとき、シアンの位置にインク1〜15を、イエローの位置にイエローインクを装着した。そして、シアンインク及びイエローインクを同時印刷で、4回のヘッド走査により画像を形成する方法で、キヤノン写真用紙・光沢プロフェッショナルPR−201(キヤノン製)に対して記録を行った。シアンインクの記録デューティ100%の画像(シアン画像)とイエローインクの記録デューティ100%の画像(イエロー画像)とが隣接して記録されたものを評価画像とした。このとき得られた評価画像を1日放置した後、シアン画像とイエロー画像の境界部におけるブリード現象の有無を目視により観察した。評価基準は以下の通りである。評価結果を表4に示した。
AA:境界部において、ブリード現象が確認されなかった
A:境界部において、ブリード現象がわずかに発生していた
B:境界部において、ブリード現象が多少発生していた。

Claims (1)

  1. インクを収容するインク収容部、インクを循環するインク循環機構、循環するインクの温度を制御する温度制御機構、及びインクを吐出するための記録ヘッドを有するインクジェット記録装置であって、
    前記インクが色材、水、及び水溶性有機化合物を含有し、かつ、下記式1で算出される値が8.0以上であることを特徴とするインクジェット記録装置。

    (式1において、nはインク中に含有する水溶性有機化合物の種類の総数、IOBはインク中に含有する水溶性有機化合物のうちの1種である水溶性有機化合物iのIOB値、xはインク全質量を基準としたときの前記水溶性有機化合物iの含有量(質量%)である。)
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