JP2012119611A - 貫通電極基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】材料コストが安く高周波特性が良好な貫通電極基板を簡便な工程で得ることができ、製造時間とコストの大幅な削減が可能な貫通電極基板の製造方法を提供する。
【解決手段】厚さ方向に形成された複数の貫通孔を有するガラス基板の前記貫通孔内に、導電性材料からなる貫通電極を有する貫通電極基板の製造方法であって、金属粒子を含む流動性の導電性組成物を前記ガラス基板上に塗布して、該導電性組成物を前記貫通孔内に充填する工程と、前記貫通孔内に充填された前記導電性組成物を加熱して、該貫通孔内に前記貫通電極を形成する工程を備える貫通電極基板の製造方法を提供する。
【選択図】図1
【解決手段】厚さ方向に形成された複数の貫通孔を有するガラス基板の前記貫通孔内に、導電性材料からなる貫通電極を有する貫通電極基板の製造方法であって、金属粒子を含む流動性の導電性組成物を前記ガラス基板上に塗布して、該導電性組成物を前記貫通孔内に充填する工程と、前記貫通孔内に充填された前記導電性組成物を加熱して、該貫通孔内に前記貫通電極を形成する工程を備える貫通電極基板の製造方法を提供する。
【選択図】図1
Description
本発明は、貫通電極基板の製造方法に関する。
近年、微細化の進んだICチップの電極(例えばピッチ20〜50μm)とプリント配線板の配線電極(例えばピッチ300〜500μm)とを接続するために、これらの間のインターポーザとして、シリコン基板のような半導体基板の表裏両面にそれぞれ対応するピッチの電極を有し、かつこれら両面の電極を導通する貫通電極を備えたシリコン貫通電極基板が提案されている。このような貫通電極基板の一例を図2に示す。この貫通電極基板10においては、シリコン基板11に厚さ方向に貫通する複数の貫通孔12が設けられ、それらの貫通孔12の内壁面から上下面に連接して、SiO2等の絶縁層13(シリコン基板への拡散防止層)が形成されている。そして、このように絶縁層13により被覆された貫通孔12に、導電性の金属材料からなる貫通電極14が埋め込まれている。
貫通電極14の形成方法としては、例えば、以下に示す方法が提案されている。すなわち、スパッタ法、CVD等によりシリコン基板11の下面側にシード層を形成した後、このシード層を給電層とする電解メッキにより、貫通孔12内に導電材料(銅または銅合金)を充填して導通部を形成する。その後、シード層、導通部等の不要部をエッチング除去して平坦化することにより、貫通電極14の形成が完了する。(例えば、特許文献1参照。)
また、シリコン基板に形成された未貫通のビアの側壁に、SiO2等の絶縁層を形成し、次いでビア内に金属粒子を含む導電性ペーストを充填しこのペースト焼結して導電部を形成した後、シリコン基板の裏面を研磨等により後退させて貫通ビア(貫通電極)を形成する方法も提案されている。(例えば、特許文献2参照。)
しかしながら、これらのシリコン貫通電極基板においては、以下に示す問題があった。すなわち、貫通電極を構成する金属のシリコン基板への拡散を防止するために、貫通孔の内壁にSiO2等の絶縁層を設ける必要があるが、この絶縁層の形成プロセスが複雑であり時間がかかるという問題があった。また、電解メッキや不要部のエッチング除去、あるいはシリコン基板の裏面研磨に時間がかかる、シリコン基板のコストが高い、十分な高周波特性が得られない、基板の大きさが限定され大面積化が難しい、などの問題があった。
さらに、特許文献1に記載された貫通電極14の形成方法では、銅等の電解メッキ層の平坦性が十分でない、SiO2等の絶縁層13と電解メッキ層との界面の密着性が十分でないため引張り応力により電解メッキ層が剥離するおそれがある、などの電解メッキにより形成された導電層に特有の問題があった。さらに、特許文献1に記載されたシリコン貫通電極基板10では、絶縁層13を構成するSiO2等と貫通電極を構成する導電材料(銅または銅合金)との熱膨張率の差により、絶縁層13に大きな応力が発生し、損傷が生じるおそれもあった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、材料コストが安く高周波特性が良好な貫通電極基板を簡便な工程で得ることができ、従来のものより製造時間とコストの大幅な削減が可能な貫通電極基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の貫通電極基板の製造方法は、厚さ方向に形成された複数の貫通孔を有するガラス基板の前記貫通孔内に、導電性材料からなる貫通電極を有する貫通電極基板の製造方法であって、金属粒子を含む流動性の導電性組成物を前記ガラス基板上に塗布して、該導電性組成物を前記貫通孔内に充填する工程と、前記貫通孔内に充填された前記導電性組成物を加熱して、該貫通孔内に前記貫通電極を形成する工程を備えることを特徴とする。
本発明の貫通電極基板の製造方法において、前記貫通孔の直径は10〜200μmであることが好ましい。また、前記流動性の導電性組成物は、少なくとも前記金属粒子と溶剤を含有することが好ましい。そして、前記流動性の導電性組成物は、少なくとも前記金属粒子と樹脂バインダと溶剤を含有する金属ペーストであることができる。さらに、前記金属粒子は、少なくとも銅を主成分とする粒子を含有することが好ましい。
なお、本明細書において、「銅を主成分とする」とは、銅を90質量%以上の割合で含有することを意味する。
本発明の貫通電極基板の製造方法によれば、材料コストが安く高周波特性が良好なガラスを基材とする貫通電極基板を、簡便な工程で得ることができ、製造時間を短縮しコストを削減することができる。また、ガラスを基材とするので大面積化が可能である。
以下、図を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明は、下記説明に限定して解釈されるものではない。
本発明の貫通電極基板の製造方法は、表裏両面を厚さ方向に貫通して形成された複数の貫通孔を有するガラス基板の上に、金属粒子を含む流動性の導電性組成物を塗布して、貫通孔内にこの導電性組成物を充填する工程と、こうして貫通孔内に充填された導電性組成物を加熱して、貫通孔内に導電性材料からなる貫通電極を形成する工程とを備えている。
本発明の製造方法によって製造された貫通電極基板の構造を図1に示す。この貫通電極基板1は、表裏両面を厚さ方向に貫通する複数の貫通孔2を有するガラス基板3を有しており、このガラス基板3の貫通孔2内には、金属粒子を含む流動性の導電性組成物が塗布・充填され、さらに加熱されて形成された導電性材料からなる貫通電極4が設けられている。
本発明の貫通電極基板の製造方法によれば、材料コストが安く高周波特性が良好なガラスを基材とする貫通電極基板を、簡便な工程で得ることができ、製造時間を短縮しコストを削減することができる。また、ガラスを基材とするので大面積化が可能である。
本発明の貫通電極基板の製造方法に使用する部材、材料、工程の詳細等について、以下に説明する。
<貫通孔を有するガラス基板>
基板を構成するガラスの組成は特に限定されないが、後述するレーザ光に対する透明度の観点から、SiO2を主成分とするケイ酸塩ガラスとすることが好ましい。主成分であるSiO2の他に、Al2O3、B2O3、Na2O、F等の成分を含むことができる。また、ガラス基板の大きさ(平面サイズ)や厚さも特に限定されないが、例えば、縦および横の長さが450〜600mmで厚さが0.1〜0.2mmとすることができる。
基板を構成するガラスの組成は特に限定されないが、後述するレーザ光に対する透明度の観点から、SiO2を主成分とするケイ酸塩ガラスとすることが好ましい。主成分であるSiO2の他に、Al2O3、B2O3、Na2O、F等の成分を含むことができる。また、ガラス基板の大きさ(平面サイズ)や厚さも特に限定されないが、例えば、縦および横の長さが450〜600mmで厚さが0.1〜0.2mmとすることができる。
このようなガラス基板の有する貫通孔の直径は、ガラス基板の加工のしやすさや、加工精度の観点から、10〜200μmとすることが好ましい。そして、貫通孔の形成は、例えば、レーザ光の照射により行うことができる。すなわち、ガラス基板の所定の部位にレーザ光を照射し、照射された部位のガラスを蒸発もしくはアブレーションによって除去することで、基板を照射側の面から反対の面に貫通する貫通孔を形成することができる。
レーザ光としては、CO2レーザ等の赤外線レーザ、Nd:YAGレーザ、Nd:YAGレーザと波長変換を組み合わせた近赤外領域から可視領域さらには紫外領域に亘るレーザ、あるいはKrF(波長:248nm)等のエキシマレーザ等が用いられる。ガラス基板を置いたステージを直線的かつステップ的に移動させ、移動の度毎にレーザ光を照射することで、1次元的に配列された貫通孔を形成することができ、さらに直線方向に加えてそれと直角になる方向へのステージの移動も加えることで、2次元のアレイ状に配列された多数の貫通孔を形成することができる。
このようなレーザ光の照射による貫通孔の形成にあたっては、ガラス基板の表面(照射側の面)から所定の深さまで、Ag原子、AgコロイドまたはAgイオンの形態で銀を含有させ、しかも基板の厚さ方向に銀の濃度に勾配を持たせることで、レーザ光による孔開け加工の際の熱による応力を緩和することができる。そして、ガラスの割れや欠けを防止し、良好な貫通孔を有するガラス基板を得ることができる。
ガラス基板中に厚さ方向に濃度勾配を持たせるように銀を導入する手段としては、例えば、Agイオンを含む溶融塩中にガラス基板を浸漬する等の方法で、ガラス中のAgイオン以外の1価の陽イオンとAgイオンとをイオン交換することが考えられる。また、銀濃度が低いとレーザ光の吸収エネルギーも低くなり、蒸発やアブレーションが生じにくくなるので、加工を予定している部分の銀濃度は、0.1モル%以上とすることが好ましい。
<金属粒子を含む流動性の導電性組成物>
ガラス基板の上に塗布して前記貫通孔内に充填する金属粒子を含む流動性の導電性組成物としては、金属ペーストを使用することができる。金属ペーストについて、以下に記載する。
ガラス基板の上に塗布して前記貫通孔内に充填する金属粒子を含む流動性の導電性組成物としては、金属ペーストを使用することができる。金属ペーストについて、以下に記載する。
(金属ペースト)
金属ペーストは、少なくとも金属粒子と樹脂バインダを含み、さらに、適度の粘度に調整して塗布・充填の作業性を向上させるために、溶剤を含有する。
金属ペーストは、少なくとも金属粒子と樹脂バインダを含み、さらに、適度の粘度に調整して塗布・充填の作業性を向上させるために、溶剤を含有する。
金属粒子としては、公知の導電性金属粒子が挙げられる。具体的には、金、銀、銅、パラジウム、ニッケル、錫、アルミニウム、ビスマス、インジウム、鉛等を主成分とする粒子が挙げられ、導電性、耐マイグレーション性、価格等の点から、銅を主成分とする粒子が(以下、銅粒子と示す。)が好ましい。金属粒子の形状は特に限定されず、球状、針状、楕円状、扁平形状等のいずれであってもよい。また、金属粒子は1次粒子、凝集粒子、1次粒子と凝集粒子が組合わされた粒子、のいずれであってもよい。金属粒子の平均粒径は、0.3〜20μmであり、1〜10μmがより好ましい。金属粒子の平均粒径が0.3〜20μmの範囲であれば、得られる金属ペーストの流動性が良好で貫通孔内への塗布・充填の作業性が良好であり、かつこの金属ペーストにより貫通孔内に形成される貫通電極が十分な導電性を有する。ここで、金属粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)像または透過型電子顕微鏡(TEM)像の中から無作為に選ばれた100個の粒子のFeret径を測定し、平均することにより算出したものとする。
なお、金属粒子が銅粒子である場合には、平均一次粒径0.3〜20μmの銅粒子とともに、平均凝集粒径が10〜100nm好ましくは50〜80nmの微細径の銅微粒子をペースト中に含有させ、銅微粒子の表面融解現象を利用して銅粒子同士を融着することによって、貫通電極の導電性を向上させることができる。
ここで、銅微粒子は、銅を主成分とし、さらに水素、酸素等の他の元素を含むものであるが、導電性の高い貫通電極を形成できる点から、水素化銅微粒子または金属銅微粒子が好ましく、水素化銅微粒子が特に好ましい。水素化銅は、元素として銅の他に水素を含む化合物であって、水素原子は銅原子と結合した状態で存在し、60〜100℃で金属銅と水素とに分解する性質を有する。
銅微粒子の製造方法としては、例えば、下記の工程(a)〜(d)を備えた湿式還元法を挙げることができる。
(a)水溶性銅化合物を水に溶解して、銅イオンを含む水溶液を調製する工程。
(b)銅イオンを含む水溶液を30℃以上に加熱し、次亜リン酸によって銅イオンを還元し、水素化銅微粒子、または場合によっては金属銅微粒子を生成させる工程。
(c)必要に応じて、前記水素化銅微粒子を、熱分解させて金属銅微粒子を生成させる工程。
(d)必要に応じて、得られた銅微粒子を精製する工程。
(a)水溶性銅化合物を水に溶解して、銅イオンを含む水溶液を調製する工程。
(b)銅イオンを含む水溶液を30℃以上に加熱し、次亜リン酸によって銅イオンを還元し、水素化銅微粒子、または場合によっては金属銅微粒子を生成させる工程。
(c)必要に応じて、前記水素化銅微粒子を、熱分解させて金属銅微粒子を生成させる工程。
(d)必要に応じて、得られた銅微粒子を精製する工程。
工程(a)
水溶性銅化合物としては、硫酸銅、硝酸銅、ギ酸銅、酢酸銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅等が挙げられる。水溶性銅化合物の濃度は、水溶液全体の0.1〜30質量%が好ましい。水溶液中の水溶性銅化合物の濃度が0.1質量%以上であれば、水の量が抑えられ、また銅微粒子の生産効率が良好となる。水溶液中の水溶性銅化合物の濃度が30質量%以下であれば、銅微粒子の収率の低下が抑えられる。
水溶性銅化合物としては、硫酸銅、硝酸銅、ギ酸銅、酢酸銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅等が挙げられる。水溶性銅化合物の濃度は、水溶液全体の0.1〜30質量%が好ましい。水溶液中の水溶性銅化合物の濃度が0.1質量%以上であれば、水の量が抑えられ、また銅微粒子の生産効率が良好となる。水溶液中の水溶性銅化合物の濃度が30質量%以下であれば、銅微粒子の収率の低下が抑えられる。
工程(b)
水溶液中の銅イオンは、30℃以上の温度で次亜リン酸により酸性条件で還元され、徐々に水素化銅微粒子が成長して、平均粒子径が10〜100nmである水素化銅微粒子が生成する。また、反応を一定時間以上進行させると、水素化銅の分解によって金属銅が生成する。工程(b)における水溶液の温度は、30〜80℃が好ましく、35〜60℃がより好ましい。水溶液の温度が80℃以下であれば、水の蒸発による反応系の変化を抑制できる。
水溶液中の銅イオンは、30℃以上の温度で次亜リン酸により酸性条件で還元され、徐々に水素化銅微粒子が成長して、平均粒子径が10〜100nmである水素化銅微粒子が生成する。また、反応を一定時間以上進行させると、水素化銅の分解によって金属銅が生成する。工程(b)における水溶液の温度は、30〜80℃が好ましく、35〜60℃がより好ましい。水溶液の温度が80℃以下であれば、水の蒸発による反応系の変化を抑制できる。
次亜リン酸は、水溶液にして添加することが好ましい。次亜リン酸の濃度は、水溶液100質量%中、30〜80質量%が好ましく、40〜60質量%がより好ましい。水溶液中の次亜リン酸の濃度が30質量%以上であれば、水の量が抑えられる。水溶液中の次亜リン酸の濃度が80質量%以下であれば、急激な反応が抑えられる。
次亜リン酸の添加量は、銅イオンに対して1.5〜10倍当量が好ましい。次亜リン酸の添加量が銅イオンに対して1.5倍当量以上であれば、還元作用が十分となる。還元剤の添加量が銅イオンに対して10倍当量以下であれば、残存するリンによる悪影響を抑制できる。
工程(c)
必要に応じて、得られた水素化銅微粒子を熱分解させて金属銅微粒子を生成させる。熱分解は不活性雰囲気で行う。雰囲気中の酸素濃度は1000ppm以下が好ましい。1000ppmを超えると、酸化によって亜酸化銅を生じてしまう。熱分解の温度は、60〜100℃が好ましく、70〜90℃がより好ましい。温度が60℃以上であれば、熱分解が円滑に進行する。温度が100℃以下であれば、銅微粒子同士の融着が抑えられる。
必要に応じて、得られた水素化銅微粒子を熱分解させて金属銅微粒子を生成させる。熱分解は不活性雰囲気で行う。雰囲気中の酸素濃度は1000ppm以下が好ましい。1000ppmを超えると、酸化によって亜酸化銅を生じてしまう。熱分解の温度は、60〜100℃が好ましく、70〜90℃がより好ましい。温度が60℃以上であれば、熱分解が円滑に進行する。温度が100℃以下であれば、銅微粒子同士の融着が抑えられる。
工程(d)
必要に応じて、得られた銅微粒子を精製してもよい。精製方法としては、水に分散させる方法等が挙げられる。
必要に応じて、得られた銅微粒子を精製してもよい。精製方法としては、水に分散させる方法等が挙げられる。
このように製造される銅微粒子の配合量は、前記した平均粒径0.3〜20μmの銅粒子100質量部に対して、1〜40質量部が好ましく、5〜25質量部がより好ましい。銅微粒子の量が1質量部以上であれば、銅粒子の表面に焼結しやすく、銅粒子間の導電パスを増やすことによって、得られる貫通電極の導電性向上に寄与できる。銅微粒子の量が40質量部以下であれば、得られる金属ペーストの流動特性が良好となる。
このような銅微粒子を含む金属粒子とともに金属ペーストに含有される樹脂バインダとしては、通常金属ペーストに用いられる公知の樹脂バインダ(熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等。)が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、オリゴエステルアクリレート樹脂、キシレン樹脂、ビスマレイドトリアジン樹脂、フラン樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂、オキセタン樹脂、オキサジン樹脂等が挙げられ、フェノー樹脂、エポキシ樹脂、オキサジン樹脂が好ましい。これらの中から、加熱時の温度において十分な硬化がなされる樹脂を選択して用いることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらの中から、加熱時の温度で変性や劣化がなく、貫通電極の形成後に形状を維持するに十分なTg(ガラス転移点)を持つ樹脂を選択して用いることが好ましい。
金属ペースト中の樹脂バインダの含有量は、前記金属粒子(銅微粒子を含有する場合は、銅微粒子を含む。)の全体の体積とそれらの粒子間に存在する空隙との比率に応じて適宜選択すればよい。通常、金属粒子100質量部に対して、5〜50質量部が好ましく、5〜20質量部がより好ましい。樹脂バインダの量が5質量部以上であれば、得られる金属ペーストの流動特性が良好となる。樹脂バインダの量が50質量部以下であれば、得られる貫通電極の導電性が良好となる。
金属ペースト中に含有される溶剤としては、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルアセテート等を挙げることができる。溶剤の含有量は、前記金属粒子および樹脂バインダの含有量等に応じて適宜調整される。すなわち、溶剤の含有量を前記金属粒子および樹脂バインダの含有量等に合わせて調整することで、金属ペーストの粘度が塗布・充填の作業性が良好な範囲に調整される。
金属ペーストは、必要に応じて公知の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で含んでいてもよい。添加剤としては、レベリング剤、カップリング剤、粘度調整剤、酸化防止剤等を使用することができる。
ガラス基板の上に塗布し貫通孔内に充填する金属粒子を含む流動性の導電性組成物として、このように構成される金属ペーストを使用することにより、貫通孔内に十分な導電性を有する貫通電極を形成することができる。また、金属ペーストにより形成される貫通電極は、ペーストに含有されている樹脂バインダにより、基材のガラスとの間に高い接着強度を有する。さらに、基材のガラスと貫通電極に含まれる金属との熱膨張率の差に起因して発生する応力が、樹脂バインダの弾性によって緩和されるので、貫通孔の内壁面(ガラス)に大きな熱応力が加わることがなく、クラック等の発生が防止される。
本発明において、金属粒子を含む流動性の導電性組成物としては、前記金属ペーストに代わり金属インクを使用することもできる。金属インクについて、以下に記載する。
(金属インク)
金属インクは、金属微粒子を液中に分散させた分散液からなり、少なくとも金属微粒子と溶剤を含有する。
金属インクは、金属微粒子を液中に分散させた分散液からなり、少なくとも金属微粒子と溶剤を含有する。
金属微粒子としては、公知の導電性金属微粒子が挙げられる。具体的には、金、銀、銅、白金、パラジウム、タングステン、ニッケル、タンタル、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、チタンおよびアルミニウム等の金属を主成分とする微粒子が挙げられる。ここで、金属微粒子には、金属微粒子そのものだけでなく、水素化された金属微粒子が含まれるものとする。導電性、耐マイグレーション性、価格等の点から、銅微粒子が好ましい。
この金属微粒子は、通常は平均粒径が1〜20nm程度の1次粒子が凝集した凝集粒子として存在している。当該金属微粒子の平均粒径(平均凝集粒径)は、1〜100nmであり、5〜30nmがより好ましい。金属微粒子の平均粒径が前記範囲であれば、ナノサイズの粒子の、見かけの融点が降下する現象を利用できる。よって、後述するように導電性組成物を加熱する温度が100〜300℃と低い場合においても、得られる貫通電極の体積抵抗率を小さくできるという利点がある。ここで、金属微粒子の平均粒径は、TEM像の中から無作為に選ばれた100個の粒子のFeret径を測定し、平均することにより算出したものとする。
金属微粒子としては、前記した工程(a)〜(d)を備えた湿式還元法で製造された銅微粒子を使用することができる。また、以下に示す方法で製造された平均凝集粒径が100nm以下の銅、ニッケル、ルテニウム、またはパラジウムの水素化物微粒子を用いることもできる。これら金属の水素化物微粒子は、金属の原子と水素原子が結合した状態で存在するため、空気雰囲気において、金属自体の微粒子に比べて酸化されにくく安定であり、保存性に優れている。水素化物微粒子としては、電気抵抗値の低い導電性材料が得られることから、銅またはニッケルの水素化物微粒子が特に好ましい。
銅の水素化物微粒子は、例えば、以下の工程(A)〜(C)を備えた湿式還元法により得ることができる。
(A)銅の水溶性化合物に水を添加して、銅イオンを含有する水溶液を得る工程。
(B)銅イオンを含有する水溶液に酸を加え、pH3以下に調整する工程。
(C)pH3以下に調整された水溶液に、保護剤、および非水溶性の有機液体を添加する工程。
(D)撹拌しながら還元剤を加えて水溶液中の銅イオンを還元して、銅の水素化物微粒子を生成させる工程。
(A)銅の水溶性化合物に水を添加して、銅イオンを含有する水溶液を得る工程。
(B)銅イオンを含有する水溶液に酸を加え、pH3以下に調整する工程。
(C)pH3以下に調整された水溶液に、保護剤、および非水溶性の有機液体を添加する工程。
(D)撹拌しながら還元剤を加えて水溶液中の銅イオンを還元して、銅の水素化物微粒子を生成させる工程。
工程(A)
水溶性銅化合物としては、硫酸銅、硝酸銅、酢酸銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅等が挙げられる。水溶性銅化合物の濃度は、水溶液100質量%中0.1〜30質量%が好ましい。水溶液中の水溶性銅化合物の濃度が0.1質量%未満の場合には、大量の水が必要であり、また得られる水素化物微粒子の生産効率が低下する。濃度が30質量%超であると、得られる水素化物微粒子の凝集安定性が低下するため好ましくない。
水溶性銅化合物としては、硫酸銅、硝酸銅、酢酸銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅等が挙げられる。水溶性銅化合物の濃度は、水溶液100質量%中0.1〜30質量%が好ましい。水溶液中の水溶性銅化合物の濃度が0.1質量%未満の場合には、大量の水が必要であり、また得られる水素化物微粒子の生産効率が低下する。濃度が30質量%超であると、得られる水素化物微粒子の凝集安定性が低下するため好ましくない。
工程(B)
pH調整するための酸としては、クエン酸、マレイン酸、マロン酸、酢酸、プロピオン酸、硫酸、硝酸、塩酸等が好ましい。また、銅イオンと安定な錯体を形成して銅イオンへの水和水の吸着を防止することから、クエン酸、マレイン酸、マロン酸が特に好ましい。水溶液のpHを3以下とすることにより、水溶液中の銅イオンが、後工程で添加される還元剤の作用により、銅水素化物微粒子として得られやすくなる。pHが3を超えると、銅水素化物微粒子が得られないため好ましくない。水素化物微粒子を短時間で生成できることから、pHは1〜2が特に好ましい。
pH調整するための酸としては、クエン酸、マレイン酸、マロン酸、酢酸、プロピオン酸、硫酸、硝酸、塩酸等が好ましい。また、銅イオンと安定な錯体を形成して銅イオンへの水和水の吸着を防止することから、クエン酸、マレイン酸、マロン酸が特に好ましい。水溶液のpHを3以下とすることにより、水溶液中の銅イオンが、後工程で添加される還元剤の作用により、銅水素化物微粒子として得られやすくなる。pHが3を超えると、銅水素化物微粒子が得られないため好ましくない。水素化物微粒子を短時間で生成できることから、pHは1〜2が特に好ましい。
工程(C)
還元剤としては、大きな還元作用があることから金属水素化物またはヒドリド還元剤が好ましい。還元剤として使用可能な金属水素化物としては、例えば、水素化リチウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等が挙げられる。ヒドリド還元剤としては、例えば、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウムが挙げられる。これらのうち、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウムが特に好ましい。
還元剤としては、大きな還元作用があることから金属水素化物またはヒドリド還元剤が好ましい。還元剤として使用可能な金属水素化物としては、例えば、水素化リチウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等が挙げられる。ヒドリド還元剤としては、例えば、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウムが挙げられる。これらのうち、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウムが特に好ましい。
このような還元剤は、銅イオンに対して1.5〜10倍の当量数を、添加することが好ましい。還元剤の添加量が銅イオンに対して1.5倍当量未満であると、還元作用が不十分となり好ましくなく、10倍当量を超えると、得られる銅水素化物微粒子の凝集安定性が低下するため好ましくない。
また、還元剤を加える前に、銅イオンを含有する水溶液に以下に示す保護剤を加えることが好ましい。添加された保護剤は、還元により得られた銅水素化物微粒子の表面を配位するように被覆するため、分散液(インク)中の銅水素化物微粒子が酸化されにくくなる。また、銅水素化物微粒子同士の凝集を防止する効果がある。
保護剤としては、アミノ基、アミド基、スルファニル基(−SH)、スルフィド型のスルファンジイル基(−S−)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基およびエーテル型のオキシ基から選ばれる1以上の基を有する炭素数4〜100の有機化合物を使用することができる。炭素数が4未満であると、得られる銅水素化物微粒子の分散液中での凝集安定性が十分でなくなるおそれがある。また、炭素数が100超であると、焼成により貫通電極を得る際に、インク堆積物中に炭素が残存して体積抵抗率が増加しやすくなる。熱的な安定性が良好で蒸気圧も適度であり、かつハンドリング性も良いことから、炭素数4〜20であるものが好ましく、炭素数8〜18であるものが特に好ましい。
また、保護剤である炭素数4〜100の有機化合物は、飽和、不飽和のいずれでもよく、鎖状のものが好ましく、直鎖状のものが特に好ましい。さらに、保護剤は、分子内においてアミノ基、アミド基、スルファニル基(−SH)、スルフィド型のスルファンジイル基(−S−)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基およびエーテル型のオキシ基から選ばれる1以上の基を有するが、これらの基が分子内に多ければ多いほど、銅水素化物微粒子により強く配位して被覆することができるので好ましい。また、これらの基は、分子内のいずれの位置でもかまわないが、末端にあるものが特に好ましい。
さらに、これらの保護剤は、通常の保管環境の温度範囲で銅水素化物微粒子から脱離せず、また焼成を行う際には、速やかに金属微粒子表面から脱離することが必要であることから、沸点が60〜300℃のものが好ましく、100〜250℃のものが特に好ましい。
保護剤のうちで、アミノ基またはアミド基を含む有機化合物としては、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ベンジルアミン、ステアリルアミド、オレイルアミド等が挙げられる。スルファニル基、スルフィド型のスルファンジイル基を含む有機化合物としては、デカンチオール、ドデカンチオール、トリメチルベンジルメルカプタン、ブチルベンジルメルカプタン、ヘキシルサルファイド等が挙げられる。ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エーテル型のオキシ基を含む有機化合物としては、ドデカンジオール、ヘキサデカンジオール、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ドデカンジオン、ジベンゾイルメタン、エチレングリコールモノデシルエーテル、ジエチレングリコールモノデシルエーテル、トリエチレングリコールモノデシルエーテル、テトラエチレングリコールモノデシルエーテル、エチレングリコールモノドデシルエーテル、ジエチレングリコールモノドデシルエーテル、トリエチレングリコールモノドデシルエーテル、テトラエチレングリコールモノドデシルエーテル、エチレングリコールモノセチルエーテル、ジエチレングリコールモノセチルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン又はベンジルアミン等のアミノ基を有する化合物が、銅イオンを水層から油層へ効率よく回収できることから特に好ましく、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミンまたはヘキサデシルアミンが最も好ましい。
このような保護剤の添加量は、使用される金属インクの用途により適宜選択されるが、銅水素化物微粒子100質量部に対して5〜300質量部添加することが好ましい。
金属インクには、このような金属微粒子とともに、分散液中での媒体として非水溶性の有機溶剤が含有される。非水溶性の有機溶剤としては、金属インクにおいて公知の溶媒が挙げられるが、貫通電極の形成工程で、金属インクの塗布後加熱することにより比較的速やかに蒸発して熱分解を起こさないような、熱的安定性を有するものが好ましい。特に、金属微粒子として前記方法で製造される銅水素化物微粒子を使用する場合には、銅水素化物微粒子の表面を被覆する前記保護剤と親和性のよい、極性の小さいものが好ましい。このような有機溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、デセン、ドデセン、テトラデセン、シクロヘキサン、シクロオクタン、ジペンテン、テルペン、テルピネオール、キシレン、トルエン、エチルベンゼンおよびメシチレンから選ばれる1以上のものを使用できる。
有機溶剤の添加量は、使用されるインクの用途により適宜選択されるが、金属微粒子100質量部に対して20〜270質量部添加することが好ましい。また、金属インクにおける前記金属微粒子の濃度は、インクの全量に対して5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%が特に好ましい。金属微粒子の濃度が5質量%未満であると、焼成後のインク堆積物の厚さが十分に得られにくく、また得られた貫通電極の導電性が低下することがあるので好ましくない。また、金属微粒子の濃度が60質量%超であると、インクの粘度、表面張力等のインク特性が悪化し、インクとして使用することが困難になる場合がある。
金属インクには、その用途に応じて適宜、添加剤、樹脂バインダ等を添加することができる。
<貫通電極の形成>
金属ペーストを使用して貫通電極を形成するには、前記金属ペーストをガラス基板の上に塗布して貫通孔内に充填した後、充填された金属ペースト層を加熱して、金属ペースト層に含まれる溶剤を揮発させ、樹脂バインダとして熱硬化性樹脂を用いる場合は、さらに当該樹脂を硬化させる方法が採られる。塗布方法としては、スクリーン印刷、ロールコート法、エアナイフコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、ダイコート法、スライドコート法等の公知の方法が挙げられる。なお、「金属ペーストをガラス基板の上に塗布して貫通孔内に充填する」とは、(i)金属ペーストをガラス基板の全面に塗布して貫通孔内に充填する(ガラス基板表面に塗布された金属ペーストは後に除去する)、(ii)マスクを介して金属ペーストをガラス基板に塗布する、(iii)ディスペンサ等を用いて貫通孔のみに金属ペーストを供給する、等のいずれであってもよく、またこれらに限られない。
金属ペーストを使用して貫通電極を形成するには、前記金属ペーストをガラス基板の上に塗布して貫通孔内に充填した後、充填された金属ペースト層を加熱して、金属ペースト層に含まれる溶剤を揮発させ、樹脂バインダとして熱硬化性樹脂を用いる場合は、さらに当該樹脂を硬化させる方法が採られる。塗布方法としては、スクリーン印刷、ロールコート法、エアナイフコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、ダイコート法、スライドコート法等の公知の方法が挙げられる。なお、「金属ペーストをガラス基板の上に塗布して貫通孔内に充填する」とは、(i)金属ペーストをガラス基板の全面に塗布して貫通孔内に充填する(ガラス基板表面に塗布された金属ペーストは後に除去する)、(ii)マスクを介して金属ペーストをガラス基板に塗布する、(iii)ディスペンサ等を用いて貫通孔のみに金属ペーストを供給する、等のいずれであってもよく、またこれらに限られない。
加熱方法としては、温風加熱、熱輻射加熱等の方法が挙げられる。加熱温度および加熱時間は、貫通電極に求められる特性に応じて適宜決定すればよい。加熱温度は、100〜300℃が好ましい。加熱温度がこの範囲であれば、金属粒子の酸化を抑制しつつも金属粒子の焼結が進行しやすい。また、樹脂バインダを高温変質させることなく硬化を十分に進行させたり、溶剤を揮発させたりすることができるので、導電性が高く、かつ貫通孔の内壁面との接着性が良好で熱応力の緩和性が高い貫通電極を形成することができる。
金属インクにより貫通電極を形成するには、前記金属インクをガラス基板の上に塗布し加熱・乾燥させて、貫通孔内に充填されたインク堆積層を形成した後、インク堆積層を加熱して焼成する方法が採られる。塗布方法としては、インクジェット印刷、スクリーン印刷、ロールコート法、エアナイフコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、ダイコート法、スライドコート法、ディスペンサ(液体定量吐出装置)を使用して定量供給する方法等の公知の方法が挙げられる。なお、「金属インクをガラス基板の上に塗布する」とは、(i)金属インクをガラス基板の全面に塗布して貫通孔内に充填する(ガラス基板表面に塗布された金属インクは後に除去する)、(ii)マスクを介して金属インクをガラス基板に塗布する、(iii)ディスペンサ等を用いて貫通孔のみに金属インクを供給する、等のいずれであってもよく、またこれらに限られない。
なお、金属インクの堆積層をガラス基板の貫通孔内に充填させるには、以下の方法を採ることもできる。すなわち、ガラス基板の下面側から貫通孔を介してガラス基板上に形成された金属インクの塗布層を吸引し、この吸引力によって金属インクの塗布層を貫通孔内に引き込む。次いで、こうして貫通孔内に引き込まれた金属インク層を乾燥し、乾燥物を貫通孔の内壁面に付着・堆積させる。そして、このインク塗布および吸引と乾燥の作業を繰り返して、貫通孔内に金属インクの堆積層を充填させる。
こうして貫通孔内に充填・形成された金属インクの堆積層を加熱する方法としては、温風加熱、熱輻射加熱等の方法が挙げられる。加熱温度および加熱時間は、貫通電極に求められる特性に応じて適宜決定すればよい。加熱により、金属インク堆積層中の金属微粒子が融着してバルク体を形成し、十分な導電性を有する貫通電極が得られる。
次に、本発明の具体的な実施例を記載する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の例において、「%」は、特に断らない限り質量%を意味する。
実施例1
まず、貫通孔を有するガラス基板を作製した。厚さが0.3mm、熱膨張係数が38×10−7/K、SiO2を60質量%、FeをFe2O3の酸化物換算で0.05質量%含み、NaとKとの合計含有量が酸化物換算で0.1質量%未満である板状ガラス(AN100、旭硝子社製)をステージ上に設置し、エキシマレーザ光の光路上へ配置した。縦30mm、横30mm、厚さ0.5mmのステンレス板の中央付近に、直径40μmの孔を、隣接する孔の中心点間の距離を0.6mmとして縦横16×40箇所開けたマスクを用意した。投影レンズを用い、1/10に縮小されたマスクパターンが板状ガラスに投影されるように、投影レンズ、マスク、板状ガラスを配置した。板状ガラスの加工面へエキシマレーザ光を照射した。照射フルエンスを5J/cm2となるように調整し、3900ショット照射することにより貫通孔を形成した。
まず、貫通孔を有するガラス基板を作製した。厚さが0.3mm、熱膨張係数が38×10−7/K、SiO2を60質量%、FeをFe2O3の酸化物換算で0.05質量%含み、NaとKとの合計含有量が酸化物換算で0.1質量%未満である板状ガラス(AN100、旭硝子社製)をステージ上に設置し、エキシマレーザ光の光路上へ配置した。縦30mm、横30mm、厚さ0.5mmのステンレス板の中央付近に、直径40μmの孔を、隣接する孔の中心点間の距離を0.6mmとして縦横16×40箇所開けたマスクを用意した。投影レンズを用い、1/10に縮小されたマスクパターンが板状ガラスに投影されるように、投影レンズ、マスク、板状ガラスを配置した。板状ガラスの加工面へエキシマレーザ光を照射した。照射フルエンスを5J/cm2となるように調整し、3900ショット照射することにより貫通孔を形成した。
また、ポリエチレン容器内で、フェノール樹脂のジエチレングリコールモノエチルエーテル溶液(群栄化学社製、商品名PL−5208)15gとジエチレングリコールモノエチルエーテル3gとを均一に混合した後、この混合液に平均一次粒径7μmの銅粒子(日本アトマイズ加工社製、商品名AFS−Cu)82gを加えた。次いで、混合物を撹拌機(シンキー社製、ARE−310)を用いて2000rpmで5分間混練し、銅ペーストを得た。
次に、こうして得られた銅ペーストを、前記方法で得られた貫通孔(直径40μm)を有するガラス基板の一方の面(レーザ光の照射側の面)にメタルマスクを通してスクリーン印刷して、貫通孔内に充填した。その後、貫通孔内に銅ペーストが充填されたガラス基板を、予め150℃に加熱された乾燥炉に入れ、空気中150℃で30分間加熱することによって、銅ペーストに含有されたフェノール樹脂を硬化させた。
こうして得られたガラス基板を主面に垂直に切断し、断面をSEMによって観察したところ、ガラス基板の貫通孔内には、銅ペーストの加熱により熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂が硬化して形成された導電性硬化物が隙間なく充填されていることが確認された。また、こうしてガラス基板の貫通孔内に充填された導電性硬化物の導電性を常法により調べたところ、十分な導電性を有することが確かめられた。また、ガラス基板にクラックの発生や、割れ、欠けは観察されなかった。
実施例2
ガラス容器内において、塩化銅(II)二水和物5gを蒸留水150gに溶解して銅イオンを含む水溶液を得た。得られた水溶液のpHは3.4であった。この水溶液に40%クエン酸水溶液90gを加え、しばらく撹拌した。次いで、この水溶液に、ドデシルアミン5gとキシレン10gを混合した溶液を加えて激しく撹拌しながら、3%水素化ホウ素ナトリウム水溶液150gをゆっくり滴下した。滴下終了後、1時間静置して水層と油層に分離させた後、油層のみを回収し濃縮して、微粒子の分散した黒色のインクを得た。このインク中の微粒子を回収してX線回折で同定を行ったところ、水素化銅であることが確認された。
ガラス容器内において、塩化銅(II)二水和物5gを蒸留水150gに溶解して銅イオンを含む水溶液を得た。得られた水溶液のpHは3.4であった。この水溶液に40%クエン酸水溶液90gを加え、しばらく撹拌した。次いで、この水溶液に、ドデシルアミン5gとキシレン10gを混合した溶液を加えて激しく撹拌しながら、3%水素化ホウ素ナトリウム水溶液150gをゆっくり滴下した。滴下終了後、1時間静置して水層と油層に分離させた後、油層のみを回収し濃縮して、微粒子の分散した黒色のインクを得た。このインク中の微粒子を回収してX線回折で同定を行ったところ、水素化銅であることが確認された。
次いで、こうして得られた銅微粒子含有インクを使用し、以下に示すようにして、ガラス基板の貫通孔内に導電性の焼成物を形成した。まず、下部から吸引可能に構成されたステージ(吉岡精工社製、ポーラスチャック)上に、実施例1と同様にして得られた貫通孔(直径40μm)を有するガラス基板を設置した後、ガラス基板の上面に上方から銅微粒子含有インクをディスペンス法によって塗布し、下部からの吸引力によって、ガラス基板上に塗布された前記インクを貫通孔内に引込んだ。
その後、ガラス基板を窒素雰囲気の乾燥炉に入れ、50℃で30分間保持し、貫通孔内に引込まれた銅微粒子含有インク層を乾燥させた。乾燥により、銅微粒子を含有するインク堆積層が貫通孔の内壁面に付着するように形成された。次いで、このインクの塗布および吸引引き込みと乾燥の作業を繰り返し、貫通孔内を隙間なく埋めるように銅微粒子含有堆積層を形成した。
その後、このように銅微粒子含有堆積層が貫通孔内に充填されたガラス基板を、窒素雰囲気の焼成炉に入れ、150℃で60分間加熱し、銅微粒子含有堆積層を焼成した。
こうして得られたガラス基板を主面に垂直に切断し、断面を走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察したところ、ガラス基板の貫通孔内には、銅微粒子含有インクの焼成物が隙間なく充填されていることが確認された。また、こうしてガラス基板の貫通孔内に充填されたインクの焼成物の導電性を常法により調べたところ、十分な導電性を有することが確かめられた。また、ガラス基板にクラックの発生や、割れ、欠けは観察されなかった。
本発明によれば、材料コストが安く高周波特性が良好なガラスを基材とする貫通電極基板を、簡便な工程で得ることができ、製造時間を短縮しコストを削減することができる。また、ガラスを基材とするので大面積化が可能である。本発明で得られた貫通電極基板は、ICチップとプリント配線板のような配線板とを接続するためのインターポーザとして好適に使用できる。
1…貫通電極基板、2…貫通孔、3…ガラス基板、4…貫通電極。
Claims (5)
- 厚さ方向に形成された複数の貫通孔を有するガラス基板の前記貫通孔内に、導電性材料からなる貫通電極を有する貫通電極基板の製造方法であって、
金属粒子を含む流動性の導電性組成物を前記ガラス基板上に塗布して、該導電性組成物を前記貫通孔内に充填する工程と、
前記貫通孔内に充填された前記導電性組成物を加熱して、該貫通孔内に前記貫通電極を形成する工程
を備えることを特徴とする貫通電極基板の製造方法。 - 前記貫通孔の直径は10〜200μmである請求項1記載の貫通電極基板の製造方法。
- 前記流動性の導電性組成物は、少なくとも前記金属粒子と溶剤を含有する請求項1または2に記載の貫通電極基板の製造方法。
- 前記流動性の導電性組成物は、少なくとも前記金属粒子と樹脂バインダと溶剤を含有する金属ペーストである請求項3に記載の貫通電極基板の製造方法。
- 前記金属粒子は、少なくとも銅を主成分とする粒子を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の貫通電極基板の製造方法。
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