JP2012116926A - 共重合体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンの単量体単位が連続して配列している部分のない共重合体を提供する。
【解決手段】共役ジエン化合物と、該共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンとの共重合体であって、前記非共役オレフィンの単量体単位が連続して配列している部分がないことを特徴とする共重合体である。また、プラセオジム化合物又はプラセオジム化合物とルイス塩基との反応物の存在下、共役ジエン化合物と、該共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンとを重合させる工程を含むことを特徴とする共重合体の製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、共役ジエン化合物と該共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンとの共重合体及び該共重合体の製造方法に関し、特には、該非共役オレフィンの単量体単位が連続して配列している部分がない共重合体に関するものである。
2種類以上の単量体を同一の反応系で重合すると、1本の重合体鎖中にそれらの単量体単位を繰り返し単位として含む共重合体が生成され、該共重合体は、単量体単位の配列によってランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等に分けられる。しかしながら、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとの重合反応における単量体単位の配列については、報告されていない。
例えば、特開2000−154210号公報(引用文献1)には、シクロペンタジエン環構造を有する周期律表第IV族遷移金属化合物を含む共役ジエン重合用触媒が開示されており、該共役ジエンと共重合可能な単量体として、エチレン等のα-オレフィンが例示
されているが、共重合体中の単量体単位の配列については、全く言及されていない。また、特開2006−249442号公報(引用文献2)には、α-オレフィンと共役ジエン
化合物との共重合体が開示されるものの、共重合体中の単量体単位の配列については、全く言及されていない。また、特表2006−503141号公報(引用文献3)には、特殊な有機金属錯体を触媒成分として用いて合成したエチレンとブタジエンとの共重合体が開示されるものの、単量体であるブタジエンがトランス-1,2-シクロヘキサンの形態で
共重合体中に挿入されることのみが記載されており、共重合体中の単量体単位の配列については、全く言及されていない。
特開2000−154210号公報 特開2006−249442号公報 特表2006−503141号公報
そこで、本発明の目的は、共役ジエン化合物と該共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンとの共重合体であって、該非共役オレフィンの単量体単位が連続して配列している部分がない共重合体を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の触媒の存在下、共役ジエン化合物と該共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンとを重合させることにより、該非共役オレフィンの単量体単位が連続して配列した部分のない共重合体が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の共重合体は、共役ジエン化合物と、該共役ジエン化合物外の非共役オレフィンとの共重合体であって、前記非共役オレフィンの単量体単位が連続して配列した部分がないことを特徴とする。
本発明の共重合体は、共役ジエン化合物部分のシス-1,4結合量が30%以上であり、共
役ジエン化合物部分の1,2-ビニル結合量が5%以下であることが好ましい。
本発明の共重合体は、前記非共役オレフィンの含有量(A)(mol%)と前記共役ジエ
ン化合物の含有量(B)(mol%)との比(A/B)が、0.1/99.9〜20/80の範囲であることが好ましい。
本発明の共重合体の好適例においては、前記非共役オレフィンが、非環状オレフィンである。
本発明の共重合体の他の好適例においては、前記非共役オレフィンが、α-オレフィン
である。
本発明の共重合体の他の好適例において、前記非共役オレフィンは、炭素数が2〜10である。ここで、前記非共役オレフィンとしては、エチレン、プロピレン及び1-ブテン
が好ましい。
本発明の共重合体の他の好適例において、前記共役ジエン化合物は、炭素数が4〜8である。ここで、前記共役ジエン化合物としては、1,3-ブタジエン及びイソプレンが好ましい。
また、本発明の共重合体の製造方法は、プラセオジム化合物又はプラセオジム化合物とルイス塩基との反応物の存在下、共役ジエン化合物と、該共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンとを重合させる工程を含むことを特徴とする。
本発明の共重合体の好適例においては、前記プラセオジム化合物又はプラセオジム化合物とルイス塩基との反応物が、下記一般式(I):

(式中、CpRは、それぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、Ra〜Rf
、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3の整数を示す)で表されるメタロセン錯体、及び下記一般式(II):

(式中、CpRは、それぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、X'は、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3の整数を示す)で表されるメタロセン錯体、下記一般式(III):

(式中、CpR'は、無置換もしくは置換シクロペンタジエニル、インデニル又はフルオレニルを示し、Xは、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3の整数を示し、[B]は、非配位性アニオンを示す)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体、並びに下記一般式(IV):
PrX''3・L'w ・・・ (IV)
[式中、X''は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基、炭化水素基、アルデヒド残基、ケトン残基、カルボン酸残基、チオカルボン酸残基又はリン化合物残基を示し、L'は、ルイス塩基を示し、wは、
0〜3の整数を示す]で表されるプラセオジム化合物もしくはプラセオジム化合物とルイス塩基との反応物からなる群より選択される。
ここで、メタロセン錯体は、一つ又は二つ以上のシクロペンタジエニル又はその誘導体が中心金属に結合した錯体化合物であり、特に、中心金属に結合したシクロペンタジエニル又はその誘導体が一つであるメタロセン錯体を、ハーフメタロセン錯体と称することがある。
本発明によれば、共役ジエン化合物と該共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンとの共重合体であって、該非共役オレフィンの単量体単位が連続して配列している部分がない共重合体を提供することができる。
共重合体Bの13C-NMRスペクトルチャートである。 共重合体Cの13C-NMRスペクトルチャートである。 共重合体Fの13C-NMRスペクトルチャートである。
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明の共重合体は、共役ジエン化合物と該共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンとの共重合体であり、該共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンの単量体単位が連続して配列している部分がないことを特徴とする。なお、本発明においては、共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンの単量体単位が連続して配列した部分のない共重合体を完全ランダム共重合体と称する。また、完全ランダム共重合体の形成の確認には、核磁気共鳴(NMR)が主要な測定手段として用いられる。具体的には、共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンの連鎖構造に由来するピーク(例えばエチレンの場合、29.4〜29.7ppm付近に現れるピーク)が観測されない場合、その共重合体
中には、共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンの単量体単位が連続して配列していないことを示す。
本発明の共重合体は、完全ランダム共重合体であり、共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンの単独重合に由来する結晶化温度(Tm)が無いため、該結晶化温度付近(具体
的には100〜120℃付近)での耐熱性が向上する。また、本発明の共重合体は、共役ジエン化合物の単量体単位の配列が不規則であり、即ち共役ジエン化合物の単量体単位が連続して配列した部分を含み得るため、交互共重合体とは異なる。交互共重合体の場合には、Tmが50℃付近で観測され、50℃付近での耐熱性を低下させるおそれがあるものの、本発明
の共重合体においては、共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンの単独重合に由来する結晶化温度(Tm)が無いため、このような問題が起こることもない。
なお、「完全ランダム共重合体である」とは、共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンの単量体単位が連続して配列していないことを示す。
本発明の共重合体は、共役ジエン化合物部分のシス-1,4結合量が30%以上であり、共役ジエン化合物部分の1,2-ビニル結合量が5%以下であることが好ましい。共役ジエン
化合物部分のシス-1,4結合量が30%以上で且つ1,2-ビニル結合量が5%以下であれば
、高い伸長結晶性と低いガラス転移点(Tg)を保持することができ、これにより、耐摩
耗性等の物性が改良される。
本発明の共重合体は、前記非共役オレフィンの含有量(A)(mol%)と前記共役ジエ
ン化合物の含有量(B)(mol%)との比(A/B)が、0.1/99.9〜20/80の範囲であることが好ましい。共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンの含有量が0.1〜20mol%であれば、相分離を起こすことなく、耐熱性を効果的に向上させることができる。また、共役ジエン化合物の含有量が99.9〜80mol%であれば、本発明の共重合体は、エラストマーと
して均一にふるまうことが可能となる。
本発明の共重合体は、低分子量化の問題が起こることも無く、その重量平均分子量(Mw)は特に限定されるものでもないが、高分子構造材料への適用の観点から、該共重合体
のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は5,000〜1,000,000が好ましく、10,000〜500,000が更に好ましい。また、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、10以下が好ましく、5以下が更に好ましい。ここで、平
均分子量及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレンを標準物質として求めることができる。
なお、単量体として用いる共役ジエン化合物は、炭素数が4〜12であることが好ましく、4〜8であることが更に好ましい。該共役ジエン化合物として、具体的には、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチルブタジエン等が挙げられ、これらの中でも、1,3-ブタジエン及びイソプレンが好ましい。また、これら共役ジエ
ン化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、単量体として用いる共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンは、優れた耐熱性や、共重合体の主鎖中に占める二重結合の割合を減らし、結晶性を低下させることでエラストマーとしての設計自由度を高めることが可能となる。また、上記非共役オレフィンとしては、非環状オレフィンであることが好ましく、α-オレフィンであることも好ましい
。更に、該非共役オレフィンの炭素数は2〜10であることが好ましい。従って、上記共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、
1-ペンテン、1-へキセン、1-へプテン、1-オクテン等が好適に挙げられ、これらの中でも、エチレン、プロピレン及び1-ブテンが好ましい。これら共役ジエン化合物以外の
非共役オレフィンは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、オレフィンは、脂肪族不飽和炭化水素で、炭素−炭素二重結合を1個以上有する化合物を指す。
次に、本発明の共重合体の製造方法を詳細に説明する。本発明の共重合体の製造方法は、プラセオジム化合物又はプラセオジム化合物とルイス塩基との反応物の存在下、共役ジエン化合物と、該共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンとを重合させる工程を含むことを特徴とする。本発明者らは、配位アニオン重合に用いる触媒系に関し、希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物について検討した結果、希土類元素としてプラセオジムを選択することにより、完全ランダム共重合体が合成できることを見出した。
本発明の共重合体の製造方法によれば、触媒としてプラセオジム化合物又はプラセオジム化合物とルイス塩基との反応物を用いる以外は、特に限定されず、通常の配位イオン重合触媒による重合体の製造方法と同様にして、単量体である共役ジエン化合物と該共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンを共重合させることができる。なお、重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法、液相塊状重合法、乳化重合法、気相重合法、固相重合法等の任意の方法を用いることができる。また、重合反応に溶媒を用いる場合、用いられる溶媒は重合反応において不活性であればよく、例えば、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。
上記プラセオジム化合物は、プラセオジムが3価の塩又は錯体化合物であることが好ましく、水素原子、ハロゲン原子及び有機化合物残基から選択される1種又は2種以上の配位子を含有するプラセオジム化合物であることが更に好ましい。更に、上記プラセオジム化合物又は該プラセオジム化合物とルイス塩基との反応物は、上記一般式(I)及び上記一
般式(II)で表されるメタロセン錯体、上記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチ
オン錯体、並びに上記一般式(IV)で表されるプラセオジム化合物又はプラセオジム化合物とルイス塩基との反応物からなる群より選択することができる。
上記一般式(I)及び式(II)で表されるメタロセン錯体において、式中のCpRは、無置換インデニル又は置換インデニルである。インデニル環を基本骨格とするCpRは、C97-XX又はC911-XXで示され得る。ここで、Xは0〜7又は0〜11の整数である。また、Rはそれぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることが一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基はヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基等が挙げられる。置換インデニルとして、具体的には、2-フェ
ニルインデニル、2-メチルインデニル等が挙げられる。なお、一般式(I)及び式(II)における二つのCpRは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体において、式中のCpR'は
、無置換もしくは置換のシクロペンタジエニル、インデニル又はフルオレニルであり、これらの中でも、無置換もしくは置換のインデニルであることが好ましい。シクロペンタジエニル環を基本骨格とするCpR'は、C55-XXで示される。ここで、Xは0〜5の整
数である。また、Rはそれぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることが一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基はヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基等が挙げられる。シクロペンタジエニル環を基本骨格とするCpR'として、具体的には、以下のものが例示される。

(式中、Rは水素原子、メチル基又はエチル基を示す。)
一般式(III)において、上記インデニル環を基本骨格とするCpR'は、一般式(I)のCpRと同様に定義され、好ましい例も同様である。
一般式(III)において、上記フルオレニル環を基本骨格とするCpR'は、C139-XX
又はC1317-XXで示され得る。ここで、Xは0〜9又は0〜17の整数である。また
、Rはそれぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることが一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基はヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基等が挙げられる。
一般式(I)で表されるメタロセン錯体は、シリルアミド配位子[−N(SiR3)2]を含
む。シリルアミド配位子に含まれるR基(一般式(I)におけるRa〜Rf)は、それぞれ独
立して炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子である。また、Ra〜Rfのうち少なくとも一つが水素原子であることが好ましい。Ra〜Rfのうち少なくとも一つを水素原子にすることで、触媒の合成が容易になり、また、ケイ素まわりのかさ高さが低くなるため、非共役オレフィンが導入され易くなる。同様の観点から、Ra〜Rcのうち少なくとも一つが水素原子であり、Rd〜Rfのうち少なくとも一つが水素原子であることが更に好ましい。なお、アルキル基としては、メチル基が好ましい。
一般式(II)で表されるメタロセン錯体は、シリル配位子[−SiX'3]を含む。シリル配位子[−SiX'3]に含まれるX'は、下記で説明される一般式(III)のXと同様に定義される基であり、好ましい基も同様である。
一般式(III)において、Xは水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基
、アミド基、シリル基及び炭素数1〜20の炭化水素基からなる群より選択される基である。ここで、上記アルコキシド基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基等の脂肪族アルコキシ基;フェノキシ基、2,6-ジ-tert-ブチルフェノキシ基、2,6-ジイソプロピルフェノキシ基、2,6-ジネオペンチルフェノキシ基、2-tert-ブチル-6-イソプロピルフェノキシ基、2-tert-ブチル-6-ネオペンチルフェノキシ基、2-イソプロピル-6-ネオペンチル
フェノキシ基等のアリールオキシド基が挙げられ、これらの中でも、2,6-ジ-tert-ブチルフェノキシ基が好ましい。
一般式(III)において、Xが表すチオラート基としては、チオメトキシ基、チオエトキ
シ基、チオプロポキシ基、チオn-ブトキシ基、チオイソブトキシ基、チオsec-ブトキシ
基、チオtert-ブトキシ基等の脂肪族チオラート基;チオフェノキシ基、2,6-ジ-tert-
ブチルチオフェノキシ基、2,6-ジイソプロピルチオフェノキシ基、2,6-ジネオペンチルチオフェノキシ基、2-tert-ブチル-6-イソプロピルチオフェノキシ基、2-tert-ブチル-6-チオネオペンチルフェノキシ基、2-イソプロピル-6-チオネオペンチルフェノキ
シ基、2,4,6-トリイソプロピルチオフェノキシ基等のアリールチオラート基が挙げら
れ、これらの中でも、2,4,6-トリイソプロピルチオフェノキシ基が好ましい。
一般式(III)において、Xが表すアミド基としては、ジメチルアミド基、ジエチルアミ
ド基、ジイソプロピルアミド基等の脂肪族アミド基;フェニルアミド基、2,6-ジ-tert-ブチルフェニルアミド基、2,6-ジイソプロピルフェニルアミド基、2,6-ジネオペンチルフェニルアミド基、2-tert-ブチル-6-イソプロピルフェニルアミド基、2-tert-ブチル-6-ネオペンチルフェニルアミド基、2-イソプロピル-6-ネオペンチルフェニルアミ
ド基、2,4,6-tert-ブチルフェニルアミド基等のアリールアミド基;ビストリメチルシリルアミド基等のビストリアルキルシリルアミド基が挙げられ、これらの中でも、ビストリメチルシリルアミド基が好ましい。
一般式(III)において、Xが表すシリル基としては、トリメチルシリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基、ビス(トリメチルシリル)メチルシリル基、トリメチルシリル(ジメチル)シリル基、トリイソプロピルシリル(ビストリメチルシリル)シリル基等が挙げら
れ、これらの中でも、トリス(トリメチルシリル)シリル基が好ましい。
一般式(III)において、Xが表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素
原子又はヨウ素原子のいずれでもよいが、塩素原子又は臭素原子が好ましい。また、Xが表す炭素数1〜20の炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピ
ル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等の直鎖又は分枝鎖の脂肪族炭化水素基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基;ベンジル基等のアラルキル基等の他;トリメチルシリルメチル基、ビストリメチルシリルメチル基等のケイ素原子を含有する炭化水素基等が挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、イソブチル基、トリメチルシリルメチル基等が好ましい。
一般式(III)において、Xとしては、ビストリメチルシリルアミド基又は炭素数1〜2
0の炭化水素基が好ましい。
一般式(III)において、[B]で示される非配位性アニオンとしては、例えば、4価の
ホウ素アニオンが挙げられる。該4価のホウ素アニオンとして、具体的には、テトラフェニルボレート、テトラキス(モノフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフ
ェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリル)ボレート、テトラ(キシリル)ボ
レート、(トリフェニル,ペンタフルオロフェニル)ボレート、[トリス(ペンタフルオロフ
ェニル),フェニル]ボレート、トリデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート等が挙げられ、これらの中でも、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが好ましい。
上記一般式(I)及び式(II)で表されるメタロセン錯体、並びに上記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体は、更に0〜3個、好ましくは0〜1個の中性ルイス塩基Lを含む。ここで、中性ルイス塩基Lとしては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウム、中性のオレフィン類、中性のジオレフィン類等が挙げられる。ここで、上記錯体が複数の中性ルイス塩基Lを含む場合、中性ルイス塩基Lは、同一であっても異なっていてもよい。
また、上記一般式(I)及び式(II)で表されるメタロセン錯体、並びに上記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体は、単量体として存在していてもよく、二量体又はそれ以上の多量体として存在していてもよい。
上記一般式(I)で表されるメタロセン錯体は、例えば、溶媒中でプラセオジムトリスハ
ライドを、インデニルの塩(例えばカリウム塩やリチウム塩)及びビス(トリアルキルシ
リル)アミドの塩(例えばカリウム塩やリチウム塩)と反応させることで得ることができ
る。なお、反応温度は室温程度にすればよいので、温和な条件で製造することができる。また、反応時間は任意であるが、数時間〜数十時間程度である。反応溶媒は特に限定されないが、原料及び生成物を溶解する溶媒であることが好ましく、例えばトルエンを用いればよい。以下に、一般式(I)で表されるメタロセン錯体を得るための反応例を示す。

(式中、X'''はハライドを示す。)
上記一般式(II)で表されるメタロセン錯体は、例えば、溶媒中でプラセオジムトリスハライドを、インデニルの塩(例えばカリウム塩やリチウム塩)及びシリルの塩(例えばカリウム塩やリチウム塩)と反応させることで得ることができる。なお、反応温度は室温程度にすればよいので、温和な条件で製造することができる。また、反応時間は任意であるが、数時間〜数十時間程度である。反応溶媒は特に限定されないが、原料及び生成物を溶解する溶媒であることが好ましく、例えばトルエンを用いればよい。以下に、一般式(II)で表されるメタロセン錯体を得るための反応例を示す。

(式中、X'''はハライドを示す。)
上記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体は、例えば、次の反応によ
り得ることができる。

ここで、一般式(V)で表される化合物において、CpR'は、それぞれ独立して無置換も
しくは置換シクロペンタジエニル、インデニル又はフルオレニルを示し、Xは、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3の整数を示す。また、一般式[A][B]で表されるイオン性化合物において、[A]は、カチオンを示し、[B]は、非配位性アニオンを示す。
[A]で表されるカチオンとしては、例えば、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アミンカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオン等が挙げられる。カルボニウムカチオンとしては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(置換フェニル)カルボニウムカチオン等の三置換カルボニウムカチオン等が挙げられ、トリ(置換フェニル)カルボニルカチオンとして、具体的には、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン等が挙げられる。アミンカチオンとしては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン等のトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N-ジメチルアニリニウムカチオン、N,N-ジエチルアニリニウムカチオン、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムカチオン等のN,N-ジアルキル
アニリニウムカチオン;ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオン等のジアルキルアンモニウムカチオン等が挙げられる。ホスホニウムカチオンとしては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン等のトリアリールホスホニウムカチオン等が挙げられる。これらカチオンの中でも、N,N-ジアルキルアニリニウムカチオン又はカルボニウムカチオンが好ましく、N,N-ジアルキルアニリニウムカチオンが特に好ましい。
上記反応に用いる一般式[A][B]で表されるイオン性化合物としては、上記の非配位性アニオン及びカチオンからそれぞれ選択し組み合わせた化合物であって、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が好ましい。また、一般式[A][
B]で表されるイオン性化合物は、メタロセン錯体に対して0.1〜10倍モル加えることが好ましく、約1倍モル加えることが更に好ましい。なお、一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体を重合反応に用いる場合、一般式(III)で表されるハーフメタロセ
ンカチオン錯体をそのまま重合反応系中に提供してもよいし、上記反応に用いる一般式(IV)で表される化合物と一般式[A][B]で表されるイオン性化合物を別個に重合反応系中に提供し、反応系中で一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体を形成さ
せてもよい。また、一般式(I)又は式(II)で表されるメタロセン錯体と一般式[A][B]
で表されるイオン性化合物とを組み合わせて使用することにより、反応系中で一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体を形成させることもできる。
一般式(I)及び式(II)で表されるメタロセン錯体、並びに上記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体の構造は、X線構造解析により決定することが好ましい。
上記一般式(IV)で表されるプラセオジム化合物又はプラセオジム化合物とルイス塩基との反応物において、プラセオジム化合物のプラセオジムに結合する基(配位子)として、具体的には、水素原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n-ブトキシ基、イ
ソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基等の脂肪族アルコキシ基;フェノキシ
基、2,6-ジ-tert-ブチルフェノキシ基、2,6-ジイソプロピルフェノキシ基、2,6-ジネオペンチルフェノキシ基、2-tert-ブチル-6-イソプロピルフェノキシ基、2-tert-ブチル-6-ネオペンチルフェノキシ基、2-イソプロピル-6-ネオペンチルフェノキシ基;
チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオプロポキシ基、チオn-ブトキシ基、チオイソブ
トキシ基、チオsec-ブトキシ基、チオtert-ブトキシ基等の脂肪族チオラート基;チオフ
ェノキシ基、2,6-ジ-tert-ブチルチオフェノキシ基、2,6-ジイソプロピルチオフェノキシ基、2,6-ジネオペンチルチオフェノキシ基、2-tert-ブチル-6-イソプロピルチオフェノキシ基、2-tert-ブチル-6-チオネオペンチルフェノキシ基、2-イソプロピル-6-チオネオペンチルフェノキシ基、2,4,6-トリイソプロピルチオフェノキシ基等のアリールチオラート基;ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、ジイソプロピルアミド基等の脂肪族アミド基;フェニルアミド基、2,6-ジ-tert-ブチルフェニルアミド基、2,6-ジイソプロピルフェニルアミド基、2,6-ジネオペンチルフェニルアミド基、2-tert-ブチル-6-イソプロピルフェニルアミド基、2-tert-ブチル-6-ネオペンチルフェニルアミド基、2-イソプロピル-6-ネオペンチルフェニルアミド基、2,4,6-tert-ブチルフェニ
ルアミド基等のアリールアミド基;ビストリメチルシリルアミド基等のビストリアルキルシリルアミド基;トリメチルシリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基、ビス(トリ
メチルシリル)メチルシリル基、トリメチルシリル(ジメチル)シリル基、トリイソプロピ
ルシリル(ビストリメチルシリル)シリル基等のシリル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル
基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基、へキシル基、オクチル基等の直鎖又は分枝鎖の脂肪族炭化水素基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基;ベンジル基等のアラルキル基;シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル等の環状の炭化水素基;トリメチルシリルメチル基、ビストリメチルシリルメチル基等のケイ素原子を含有する炭化水素基等が挙げられる。更には、サリチルアルデヒド、2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒド、2-ヒドロキシ-3-ナフトアルデヒド等のアルデヒドの残基;2'-ヒドロキシアセトフェノン、2'-ヒドロキシブチロフェノン、2'-ヒドロキシプロピオフェノン等のヒドロキシフェノンの残基;アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、プロピオニルアセトン、イソブチルアセトン、バレリルアセトン、エチルアセチルアセトン等のジケトンの残基;イソ吉草酸、カプリル酸、オクタン
酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、シクロペンタンカルボン酸、ナフテン酸、エチルヘキサン酸、ビバール酸、バーサチック酸[シェル化学(株)製の商品名、C10モノカルボン酸の異性体の混合物から構成される合成酸]、フェニル酢酸、安息香酸、2-ナフトエ酸、マレイン酸
、コハク酸等のカルボン酸の残基;ヘキサンチオ酸、2,2-ジメチルブタンチオ酸、デカンチオ酸、チオ安息香酸等のチオカルボン酸の残基、リン酸ジブチル、リン酸ジペンチル、リン酸ジへキシル、リン酸ジへプチル、リン酸ジオクチル、リン酸ビス(2-エチルへキシル)、リン酸ビス(1-メチルへプチル)、リン酸ジラウリル、リン酸ジオレイル、リン酸ジフェニル、リン酸ビス(p-ノニルフェニル)、リン酸ビス(ポリエチレングリコール-p-ノニルフェニル)、リン酸(ブチル)(2-エチルへキシル)、リン酸(1-メチルへプチル)(2-エチルへキシル)、リン酸(2-エチルへキシル)(p-ノニルフェニル)等のリン酸エステルの残基;2-エチルへキシルホスホン酸モノブチル、2-エチルへキシルホスホン酸モノ-
2-エチルへキシル、フェニルホスホン酸モノ-2-エチルへキシル、2-エチルへキシルホスホン酸モノ-p-ノニルフェニル、ホスホン酸モノ-2-エチルへキシル、ホスホン酸モノ-1-メチルへプチル、ホスホン酸モノ-p-ノニルフェニル等のホスホン酸エステルの残基、ジブチルホスフィン酸、ビス(2-エチルへキシル)ホスフィン酸、ビス(1-メチルへプ
チル)ホスフィン酸、ジラウリルホスフィン酸、ジオレイルホスフィン酸、ジフェニルホ
スフィン酸、ビス(p-ノニルフェニル)ホスフィン酸、ブチル(2-エチルへキシル)ホスフィン酸、(2-エチルへキシル)(1-メチルへプチル)ホスフィン酸、(2-エチルへキシル)(p-ノニルフェニル)ホスフィン酸、ブチルホスフィン酸、2-エチルへキシルホスフィン
酸、1-メチルへプチルホスフィン酸、オレイルホスフィン酸、ラウリルホスフィン酸、
フェニルホスフィン酸、p-ノニルフェニルホスフィン酸等のホスフィン酸の残基を挙げ
ることもできる。なお、これらの配位子は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記一般式(IV)で表されるプラセオジム化合物又はプラセオジム化合物とルイス塩基との反応物において、上記プラセオジム化合物と反応するルイス塩基としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウム、中性のオレフィン類、中性のジオレフィン類等が挙げられる。ここで、上記プラセオジム化合物が複数のルイス塩基と反応する場合(式(IV)においては、wが2又は3である場合)、ルイス塩基L'は、同一であっても異なっていてもよい。
また、本発明の共重合体の製造方法においては、上記プラセオジム化合物又はプラセオジム化合物とルイス塩基との反応物(以下、(A)成分ともいう)を、非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B−1)、アルミノキサン(B−2)、並びにルイス酸、金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物及び活性ハロゲンを含む有機化合物のうち少なくとも一種のハロゲン化合物(B−3)よりなる群から選択される少なくとも一種の(
B)成分と組み合わせてなる触媒系を用いてもよい。なお、(B)成分の合計の使用量は、(A)成分に対して0.1〜50倍モルであることが好ましい。
上記(B−1)で表されるイオン性化合物は、非配位性アニオンとカチオンとからなり、上記(A)成分であるプラセオジム化合物又はそのルイス塩基との反応物と反応してカチオン性遷移金属化合物を生成できるイオン性化合物等を挙げることができる。ここで、非配位性アニオンとしては、例えば、テトラフェニルボレート、テトラキス(モノフルオロ
フェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、
テトラ(トリル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、(トリフェニル,ペンタフルオロフェニル)ボレート、[トリス(ペンタフルオロフェニル),フェニル]ボレート、トリデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート等が挙げられる。一方、カチオンとしては、
カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロへプタトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオン等を挙げることができる。カルボニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(置換フェニル)カルボニウムカチオン等の三置換カルボニウムカチオン等が挙げられ、トリ(置換フェニル)カルボニルカチオンとして、より具体的には、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオン等が挙げられる。アンモニウムカチオンの具体例としては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン(例えば、トリ(n-ブチル)アンモニウムカチオン)等のトリア
ルキルアンモニウムカチオン;N,N-ジメチルアニリニウムカチオン、N,N-ジエチルアニリニウムカチオン、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムカチオン等のN,N-ジ
アルキルアニリニウムカチオン;ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロへキシルアンモニウムカチオン等のジアルキルアンモニウムカチオン等が挙げられる。ホスホニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェ
ニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン等のトリア
リールホスホニウムカチオン等が挙げられる。従って、イオン性化合物としては、上述の非配位性アニオン及びカチオンからそれぞれ選択し組み合わせた化合物が好ましく、具体的には、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が好ましい。また、これらのイオン性化合物は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。なお、上記イオン性化合物の使用量は、(A)成分に対して0.1〜10倍モル
であることが好ましく、約1倍モルであることが更に好ましい。
上記(B−2)で表されるアルミノキサンは、有機アルミニウム化合物と縮合剤とを接触させることによって得られる化合物であり、例えば、一般式:(-Al(R')O-)で示さ
れる繰り返し単位を有する鎖状アルミノキサン又は環状アルミノキサン(式中、R'は炭
素数1〜10の炭化水素基であり、一部の炭化水素基はハロゲン原子及び/又はアルコキシ基で置換されてもよく、繰り返し単位の重合度は、5以上が好ましく、10以上が更に好ましい)を挙げることができる。ここで、R'として、具体的には、メチル基、エチル
基、プロピル基、イソブチル基等が挙げられ、これらの中でも、メチル基が好ましい。また、アルミノキサンの原料として用いられる有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム及びその混合物等が挙げられ、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。例えば、トリメチルアルミニウムとトリブチルアルミニウムとの混合物を原料として用いたアルミノキサンを好適に用いることができる。なお、上記アルミノキサンの使用量は、(A)成分を構成するプラセオジムPrと、アルミノキサンのアルミニウム元素Alとの元素比率Al/Prが、10〜1000程度となるようにすることが好ましい。
上記(B−3)で表されるハロゲン化合物は、ルイス酸、金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物及び活性ハロゲンを含む有機化合物のうち少なくとも一種からなり、例えば、上記(A)成分であるプラセオジム化合物又はそのルイス塩基との反応物と反応して、ハロゲン化遷移金属化合物や遷移金属中心が電荷不足の化合物を生成することができる。なお、上記ハロゲン化合物の合計の使用量は、(A)成分に対して1〜5倍モルであることが好ましい。
上記ルイス酸としては、B(C65)3等のホウ素含有ハロゲン化合物、Al(C65)3等のアルミニウム含有ハロゲン化合物を使用できる他、周期律表中の第III,IV,V,VI又はVIII族に属する元素を含有するハロゲン化合物を用いることもできる。好ましくはアルミニウムハロゲン化物又は有機金属ハロゲン化物が挙げられる。また、ハロゲン元素としては、塩素又は臭素が好ましい。上記ルイス酸として、具体的には、メチルア
ルミニウムジブロマイド、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジブロマイド、エチルアルミニウムジクロライド、ブチルアルミニウムジブロマイド、ブチルアルミニウムジクロライド、ジメチルアルミニウムブロマイド、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジブチルアルミニウムブロマイド、ジブチルアルミニウムクロライド、メチルアルミニウムセスキブロマイド、メチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキブロマイド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジブチル錫ジクロライド、アルミニウムトリブロマイド、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン、三塩化リン、五塩化リン、四塩化錫、四塩化チタン、六塩化タングステン等が挙げられ、これらの中でも、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、エチルアルミニウムセスキブロマイド、エチルアルミニウムジブロマイドが特に好ましい。
上記金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物を構成する金属ハロゲン化物としては、塩化ベリリウム、臭化ベリリウム、ヨウ化ベリリウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化カドミウム、臭化カドミウム、ヨウ化カドミウム、塩化水銀、臭化水銀、ヨウ化水銀、塩化マンガン、臭化マンガン、ヨウ化マンガン、塩化レニウム、臭化レニウム、ヨウ化レニウム、塩化銅、ヨウ化銅、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩化金、ヨウ化金、臭化金等が挙げられ、これらの中でも、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅が好ましく、塩化マグネシウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅が特に好ましい。
また、上記金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物を構成するルイス塩基としては、リン化合物、カルボニル化合物、窒素化合物、エーテル化合物、アルコール等が好ましい。具体的には、リン酸トリブチル、リン酸トリ-2-エチルへキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジエチルホスフィノエタン、ジフェニルホスフィノエタン、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、プロピオニトリルアセトン、バレリルアセトン、エチルアセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸フェニル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジフェニル、酢酸、オクタン酸、2-エチル-ヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、安息香酸、ナフテン酸、バーサチック酸、トリエチルアミン、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、2-エ
チル-ヘキシルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、フェノール、
ベンジルアルコール、1-デカノール、ラウリルアルコール等が挙げられ、これらの中で
も、リン酸トリ-2-エチルへキシル、リン酸トリクレジル、アセチルアセトン、2-エチ
ルヘキサン酸、バーサチック酸、2-エチルへキシルアルコール、1-デカノール、ラウリルアルコールが好ましい。
上記ルイス塩基は、上記金属ハロゲン化物1モル当り、0.01〜30モル、好ましくは0.5〜10モルの割合で反応させる。このルイス塩基との反応物を使用すると、ポリマー中に残存する金属を低減することができる。
上記活性ハロゲンを含む有機化合物としては、ベンジルクロライド等が挙げられる。
なお、上記(B)成分がイオン性化合物(B−1)及びハロゲン化合物(B−3)の少なくとも一種である場合、上記(A)成分及び(B)成分に対して、更に
(C)成分:下記一般式(VI):
YR1 a2 b3 c ・・・ (VI)
[式中、Yは、周期律表第1族、第2族、第12族及び第13族から選択される金属であり、R1及びR2は、同一又は異なり、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R3
は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R3は上記R1又はR2と同一又は異なって
いてもよく、また、Yが周期律表第1族から選択される金属である場合には、aは1で且つb及びcは0であり、Yが周期律表第2族及び第12族から選択される金属である場合には、a及びbは1で且つcは0であり、Yが周期律表第13族から選択される金属である場合には、a、b及びcは1である]で表される有機金属化合物を組み合わせることを要する。イオン性化合物(B−1)及びハロゲン化合物(B−3)は、(A)成分へ供給するための炭素原子が存在しないため、該(A)成分への炭素供給源として、(C)成分が必要となる。なお、(B)成分がアルミノキサン(B−2)であっても、(A)成分及び(B)成分に対して(C)成分を組み合わせることができる。また、(A)成分には、通常の希土類元素化合物系の触媒系に含有される他の成分、例えば助触媒等を含んでいてもよい。
また、上記(C)成分は、下記一般式(VII):
AlR123 ・・・ (VII)
[式中、R1及びR2は、同一又は異なり、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R3は上記R1又はR2と同一又は異なっていてもよい]で表される有機アルミニウム化合物であることが好ましい。式(VII)の有
機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ-n-プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-t-ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロへキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム;水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ-n-プロピルアルミニウム、水素化ジ-n-ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジへキシルアルミニウム、水素化ジイソへキシルアルミニウム、水素化ジオクチルアルミニウム、水素化ジイソオクチルアルミニウム;エチルアルミニウムジハイドライド、n-プロピルアルミニ
ウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド等が挙げられ、これらの中でも、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムが好ましい。以上に述べた(C)成分としての有機金属化合物は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。なお、上記有機金属化合物の使用量は、(A)成分に対して1〜50倍モルであることが好まし
い。
本発明の共重合体の製造方法は、上記した通り、重合触媒として上述した(A)成分からなる触媒系を用いること以外は、従来の配位イオン重合触媒を用いる重合反応による重合体の製造方法と同様とすることができる。ここで、本発明の共重合体の製造方法は、例えば、(1)単量体として共役ジエン化合物及び該共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンを含む重合反応系中に、触媒系の構成成分を別個に提供し、該反応系中において触媒系としてもよいし、(2)予め調製された触媒系を重合反応系中に提供してもよい。なお、(A)成分の使用量は、共役ジエン化合物及び該共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンの合計に対して、0.0001〜0.01倍モルの範囲が好ましい。
本発明の共重合体の製造方法において、共役ジエン化合物及び該共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンの重合反応は、不活性ガス、好ましくは窒素ガスやアルゴンガスの雰囲気下において行われることが好ましい。上記重合反応の重合温度は、特に制限されないが、例えば-100℃〜200℃の範囲が好ましく、室温程度とすることもできる。なお、重合
温度を上げると、重合反応のシス-1,4選択性が低下することがある。また、上記重合反応の圧力は、共役ジエン化合物及び該共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンを十分に重合反応系中に取り込むため、0.1〜5.0MPaの範囲が好ましい。また、上記重合反応の反
応時間も特に制限されず、例えば1秒〜10日の範囲が好ましいが、重合される単量体の種
類、触媒の種類、重合温度等の条件によって適宜選択することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<Pr{N(SiMe3)2}3の合成>
窒素雰囲気下、PrCl3(0.989g, 4.00mmol)(ストレム社製)のTHF溶液100mLに、KN(SiMe3)2(2.40g, 12.03mmol)(アルドリッチ社製)を含むエーテル溶液30mLをゆっくり滴下し、室温で12時間攪拌した。その後、溶媒を減圧留去し、代わりにヘキサン200mLを加え、沈殿物をフィルター濾過した。その後、ヘキサンをゆっくり減圧留去したと
ころ、黄色結晶であるPr{N(SiMe3)2}3(2.73g, 収率68%)を得た。
<(C55)Pr{N(SiMe3)2}2(thf)の合成>
窒素雰囲気下、PrCl3(1.53g, 6.19mmol)(ストレム社製)のTHF溶液100mLに、
Na(C55)(6.40mmol)を含むTHF溶液(アルドリッチ社製)3.2mLをゆっくり滴下し
、室温で90分間攪拌した。その後、KN(SiMe3)2(2.40g, 12.03mmol)(アルドリッチ社製)を含むエーテル溶液30mLをゆっくり滴下し、室温で12時間攪拌した。その後、溶媒を減圧留去し、代わりにヘキサン200mLを加え、沈殿物をフィルター濾過した。その後、
ヘキサンをゆっくり減圧留去したところ、緑色結晶である(C55)Pr{N(SiMe3)2}2(thf)(0.38g, 収率11%)を得た。
<(2-MeC96)2Pr{N(SiHMe2)2}の合成>
窒素雰囲気下、Pr{N(SiMe3)2}3(0.38g, 0.61mmol)、2-MeC97(0.16g, 1.23mmol)(アルドリッチ社製)、及びHN(SiHMe2)2(0.27g, 2.00mmol)(東京化成社
製)をヘキサン10mL中で室温にて1時間攪拌し反応させた。反応液をフィルター濾過した後、残留物をヘキサンで数回洗浄し、その後、ヘキサンをゆっくり減圧留去したところ、黄色粉末である(2-MeC96)2Pr{N(SiHMe2)2} (0.22g, 68%)を得た。
<(2-PhC96)2Pr{N(SiHMe2)2}の合成>
窒素雰囲気下、Pr{N(SiMe3)2}3(0.62g, 1.00mmol)、2-PhC97(0.38g, 1.98mmol)(アルドリッチ社製)、及びHN(SiHMe2)2(0.40g, 3.00mmol)(東京化成社
製)をヘキサン50mL中で65℃にて1時間攪拌し反応させた。室温に戻した後、反応液をフィルター濾過し、その後、残留物をヘキサンで数回洗浄した。その後、ヘキサンをゆっくり減圧留去したところ、黄色粉末である(2-PhC96)2Pr{N(SiHMe2)2} (0.41g, 62%)を得た。
<(2-Ph-1-MeC95)2Pr{N(SiHMe2)2}の合成>
窒素雰囲気下、Pr{N(SiMe3)2}3(0.38g, 0.61mmol)、2-PhC97とBuLi
とMeLi(アルドリッチ社製)との反応から得られた2-Ph-1-MeC96(0.24g, 1.16mmol)、及びHN(SiHMe2)2(0.27g, 2.02mmol)(東京化成社製)をヘキサン10mL
中で室温にて72時間攪拌し反応させた。反応液をフィルター濾過した後、残留物をトルエンで数回洗浄し、その後、溶媒をゆっくり減圧濃縮し、-30℃で1晩静置したところ、黄
緑色結晶である(2-Ph-1-MeC95)2Pr{N(SiHMe2)2} (0.18g, 45%)を得
た。
(実施例1)
十分に乾燥した400ml耐圧ガラス反応器に、1,3-ブタジエン2.83g(0.052mol)を含むトルエン溶液120mlを添加した後、エチレンを0.8MPaで導入した。一方、窒素雰囲気下の
グローブボックス中で、ガラス製容器にトリスビストリメチルシリルアミドプラセオジウ
ムPr{N(SiMe3)2}327.0μmol、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフル
オロフェニル)ボレート(Ph3CB(C65)4)27.0μmol、及びトリイソブチルアルミニウム1.35mmolを仕込み、トルエン5mlに溶解させて触媒溶液とした。その後、グローブボ
ックスから触媒溶液を取り出し、モノマー溶液へ添加し、80℃で60分間重合を行った。重合後、2,2'-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)(NS-5)5質量%
のイソプロパノール溶液1mlを加えて反応を停止させ、さらに大量のメタノールで共重合
体を分離し、70℃で真空乾燥し重合体Aを得た。得られた共重合体Aの収量は1.82gであ
った。
(実施例2)
Pr{N(SiMe3)2}3に代えて、(シクロペンタジエニル)プラセオジウムビス(ビストリメチルシリルアミド)(テトラヒドロフラン) (C55)Pr{N(SiMe3)2}2(thf)
を用い、更に重合時間を30分間に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で実験を行ったところ、共重合体Bを収量2.40gで得た。
(実施例3)
Pr{N(SiMe3)2}3に代えて、ビス(2-メチルインデニル)プラセオジウムビス(ジ
メチルシリルアミド) (2-MeC96)2Pr{N(SiHMe2)2}を用い、更に重合時間を60分間に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で実験を行ったところ、共重合体Cを収量2.00gで得た。
(実施例4)
Pr{N(SiMe3)2}3に代えて、ビス(2-フェニルインデニル)プラセオジウムビス(
ジメチルシリルアミド) (2-PhC96)2Pr{N(SiHMe2)2}を用い、更に重合時間を135分間に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で実験を行ったところ、共重合
体Dを収量2.20gで得た。
(実施例5)
Pr{N(SiMe3)2}3に代えて、ビス(2-フェニル-1-メチルインデニル)プラセオジウムビス(ジメチルシリルアミド) (2-Ph-1-MeC95)2Pr{N(SiHMe2)2}を
用い、更に重合時間を30分間に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で実験を行ったところ、共重合体Eを収量2.68gで得た。
(比較例1)
十分に乾燥した400ml耐圧ガラス反応器に、1,3-ブタジエン3.95g(0.073mol)を含むトルエン溶液320mlを添加した後、エチレンを0.6MPaで導入した。一方、窒素雰囲気下の
グローブボックス中で、ガラス製容器にジメチルアルミニウム(μ-ジメチル)ビス(2-フ
ェニルインデニル)ネオジウム[(2-PhC96)2Nd(μ-Me)2AlMe2]204.0μmol、及びトリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Ph3
CB(C65)4)195.0μmolを仕込み、トルエン20mlに溶解させて触媒溶液とした。その
後、グローブボックスから触媒溶液を取り出し、モノマー溶液へ添加し、室温で90分間重合を行った。重合後、2,2'-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)(N
S−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mlを加えて反応を停止させ、さらに大量のメタノールで共重合体を分離し、70℃で真空乾燥し共重合体Fを得た。得られた共重合体Fの収量は3.60gであった。
上記のようにして製造した実施例1〜5の共重合体A〜E及び比較例1の共重合体Fについて、ミクロ構造、エチレン含有率、重量平均分子量(Mw)、及び分子量分布(Mw/Mn)を下記の方法で測定・評価した。
(1)ミクロ構造
共重合体中のブタジエン部分のミクロ構造を、1H-NMRスペクトル(1,2-ビニル結合の結合量)及び13C-NMRスペクトル(シス-1,4結合とトランス-1,4結合の含有
量比)の積分比より求めた。シス-1,4結合量(%)及び1,2-ビニル結合量(%)の計算値を表1に示す。
(2)エチレンの含有率
共重合体中のエチレン部分の含有率(mol%)を1H-NMRスペクトル及び13C-NMRスペクトルの積分比より求めた。
(3)重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー製HLC−8121GPC/HT、カラム:東ソー製GMHHR−H(S)HT(2本直列)、検出器:示差屈折率計(RI)]で単分散ポリスチレンを基準として、重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
また、図1は共重合体Bの13C-NMRスペクトルチャートを示し、図2は共重合体C
13C-NMRスペクトルチャートを示し、図3は共重合体Fの13C-NMRスペクトルチャートを示す。なお、13C-NMRはテトラクロロエタンを溶媒とし、100℃で測定を行った。図1および2では、エチレンの連鎖構造に由来するピークを29.4〜29.7ppmに観測で
きないため、実施例2の共重合体Bおよび実施例3の共重合体Cが、共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンの単量体単位が連続して配列した部分のない共重合体、即ち完全ランダム共重合体であることが分かる。一方で、図3では、29.4〜29.7ppmにエチレンの連
鎖構造に由来するピークが観測される。なお、実施例2の共重合体Bおよび実施例3の共重合体Cと同様に、実施例1、4及び5の共重合体A、D及びEについてもエチレンの連鎖構造に由来するピークは観測されなかった。
本発明の共重合体は、エラストマー製品全般、特にタイヤ部材に用いることができる。

Claims (11)

  1. 共役ジエン化合物と、該共役ジエン化合物外の非共役オレフィンとの共重合体であって、前記非共役オレフィンの単量体単位が連続して配列した部分がないことを特徴とする共重合体。
  2. 共役ジエン化合物部分のシス-1,4結合量が30%以上であり、共役ジエン化合物部分の1,2-ビニル結合量が5%以下であることを特徴とする請求項1に記載の共重合体。
  3. 前記非共役オレフィンの含有量(A)(mol%)と前記共役ジエン化合物の含有量(B
    )(mol%)との比(A/B)が、0.1/99.9〜20/80の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の共重合体。
  4. 前記非共役オレフィンが、非環状オレフィンであることを特徴とする請求項1に記載の共重合体。
  5. 前記非共役オレフィンが、α-オレフィンであることを特徴とする請求項1又は4に記
    載の共重合体。
  6. 前記非共役オレフィンは、炭素数が2〜10であることを特徴とする請求項1、4又は5に記載の共重合体。
  7. 前記非共役オレフィンが、エチレン、プロピレン及び1-ブテンよりなる群から選択さ
    れる少なくとも一種であることを特徴とする請求項6に記載の共重合体。
  8. 前記共役ジエン化合物は、炭素数が4〜8であることを特徴とする請求項1に記載の共重合体。
  9. 前記共役ジエン化合物が、1,3-ブタジエン及びイソプレンよりなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項8に記載の共重合体。
  10. プラセオジム化合物又はプラセオジム化合物とルイス塩基との反応物の存在下、共役ジエン化合物と、該共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンとを重合させる工程を含むことを特徴とする共重合体の製造方法。
  11. 前記プラセオジム化合物又はプラセオジム化合物とルイス塩基との反応物が、下記一般式(I):

    (式中、CpRは、それぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、Ra〜Rf
    、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子を示し、Lは、中性ルイス塩
    基を示し、wは、0〜3の整数を示す)で表されるメタロセン錯体、及び下記一般式(II):

    (式中、CpRは、それぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、X'は、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3の整数を示す)で表されるメタロセン錯体、下記一般式(III):

    (式中、CpR'は、無置換もしくは置換シクロペンタジエニル、インデニル又はフルオレニルを示し、Xは、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3の整数を示し、[B]は、非配位性アニオンを示す)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体、並びに下記一般式(IV):
    PrX''3・L'w ・・・ (IV)
    [式中、X''は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基、炭化水素基、アルデヒド残基、ケトン残基、カルボン酸残基、チオカルボン酸残基又はリン化合物残基を示し、L'は、ルイス塩基を示し、wは、
    0〜3の整数を示す]で表されるプラセオジム化合物もしくはプラセオジム化合物とルイス塩基との反応物からなる群より選択されることを特徴とする請求項10に記載の共重合体の製造方法。
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