JP2012113929A - リチウム二次電池用電解液、並びに当該電解液を備えるリチウム二次電池及びリチウム空気電池 - Google Patents

リチウム二次電池用電解液、並びに当該電解液を備えるリチウム二次電池及びリチウム空気電池 Download PDF

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Abstract

【課題】デンドライトの発生を抑制できるリチウム二次電池用電解液、並びに当該電解液を備えるリチウム二次電池及びリチウム空気電池を提供する。
【解決手段】少なくともイオン液体とリチウム塩を含有するリチウム二次電池用電解液であって、前記電解液中の前記リチウム塩の濃度が0.37〜0.75mol/kgであることを特徴とする、リチウム二次電池用電解液。
【選択図】図2

Description

本発明は、デンドライトの発生を抑制できるリチウム二次電池用電解液、並びに当該電解液を備えるリチウム二次電池及びリチウム空気電池に関する。
二次電池は、化学反応に伴う化学エネルギーの減少分を電気エネルギーに変換し、放電を行うことができる他に、放電時と逆方向に電流を流すことにより、電気エネルギーを化学エネルギーに変換して蓄積(充電)することが可能な電池である。二次電池の中でも、リチウム二次電池に代表される金属二次電池は、エネルギー密度が高いため、ノート型のパーソナルコンピューターや、携帯電話機等の電源として幅広く応用されている。
リチウム二次電池においては、負極活物質としてグラファイト(Cと表現する)を用いた場合、放電時において、負極では下記式(I)の反応が進行する。
LiC→C+xLi+xe (I)
(上記式(I)中、0<x<1である。)
上記式(I)の反応で生じる電子は、外部回路を経由し、外部の負荷で仕事をした後、正極に到達する。そして、上記式(I)の反応で生じたリチウムイオン(Li)は、負極と正極に挟持された電解質内を、負極側から正極側に電気浸透により移動する。
また、正極活物質としてコバルト酸リチウム(Li1−xCoO)を用いた場合、放電時において、正極では下記式(II)の反応が進行する。
Li1−xCoO+xLi+xe→LiCoO (II)
(上記式(II)中、0<x<1である。)
充電時においては、負極及び正極において、それぞれ上記式(I)及び式(II)の逆反応が進行し、負極においてはグラファイトインターカレーションによりリチウムが入り込んだグラファイト(LiC)が、正極においてはコバルト酸リチウム(Li1−xCoO)が再生するため、再放電が可能となる。
イオン液体(常温溶融塩)は、有機溶媒と比較して、揮発性及び可燃性が低く、且つ、カチオン中心上の置換基を変えることにより、合成時においてその物性を容易に調整できることから、近年、リチウム二次電池の電解液の候補として新たに注目を集めている。イオン液体の中でも、特に、4級アンモニウムカチオンを含むイオン液体については、リチウムイオンを用いたカソード環境下において優れた安定性を有するとして、盛んに研究が行われている。
非特許文献1には、4級アンモニウムカチオンを含むイオン液体について、電池の電解液として用いた際の熱的安定性や、サイクル特性等が記載されている。
H.Sakaebe et al.Electrochimica Acta 53(2007)1048−1054
本発明者らが検討した結果、後述する実施例において示すように、上記非特許文献1に記載された電解液は、電解液中のリチウム塩濃度が低すぎることにより、デンドライトが発生しやすいことが明らかとなった。
本発明は、上記実状を鑑みて成し遂げられたものであり、デンドライトの発生を抑制できるリチウム二次電池用電解液、並びに当該電解液を備えるリチウム二次電池及びリチウム空気電池を提供することを目的とする。
本発明のリチウム二次電池用電解液は、少なくともイオン液体とリチウム塩を含有するリチウム二次電池用電解液であって、前記電解液中の前記リチウム塩の濃度が0.37〜0.75mol/kgであることを特徴とする。
本発明においては、前記イオン液体は、カチオン及びそのカウンターアニオンを含み、前記カチオンは、窒素原子及び炭素数2〜10のアルキル鎖により閉じたヘテロ環構造を有するアンモニウムカチオンであり、前記カウンターアニオンはリチウム金属に対して不活性であることが好ましい。
本発明においては、前記カチオンは、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムカチオン、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムカチオン、N−ブチル−N−メチルピペリジニウムカチオン、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−メトキシエチルピペリジニウムカチオン及びN−メチル−N−メトキシエチルピロリジニウムカチオンからなる群から選ばれるカチオンであることが好ましい。
本発明のリチウム二次電池は、少なくとも正極と、負極と、当該正極と当該負極との間に介在する電解液とを備えるリチウム二次電池であって、前記電解液が、上記リチウム二次電池用電解液であることを特徴とする。
本発明のリチウム空気電池は、少なくとも空気極と、負極と、当該空気極と当該負極との間に介在する電解液とを備えるリチウム空気電池であって、前記電解液が上記リチウム二次電池用電解液であり、且つ、前記空気極がニッケル触媒を含有することを特徴とする。
本発明によれば、電解液中のリチウム塩の濃度が、従来の電解液のリチウム塩濃度よりも高い0.37mol/kg以上であることにより、充電時において、負極近傍にリチウムイオンを十分に供給でき、その結果、リチウムイオンの欠乏が主な原因の1つとなるデンドライトの発生を抑制できる。また、本発明によれば、電解液中の前記リチウム塩の濃度が0.75mol/kg以下であることにより、電解液が適度な粘度を有し、充電時において、負極近傍にリチウムイオンを十分に供給でき、その結果、デンドライトの発生を抑制できる。
本発明のリチウム二次電池の一例を示す断面模式図である。 実施例1−3、並びに比較例1−3の電解液を使用した場合において、リチウムが均一に析出した時間、及び、イオン導電率の値をプロットしたグラフである。 実施例4及び比較例4の電解液を使用した場合において、リチウムが均一に析出した時間、及び、イオン導電率の値をプロットしたグラフである。 実施例5のリチウム空気電池の充放電曲線である。 実施例5、並びに比較例5及び比較例6のリチウム空気電池の放電容量及びクーロン効率の値をプロットしたグラフである。 比較例5及び比較例6のリチウム空気電池の充放電曲線である。
1.リチウム二次電池用電解液
本発明のリチウム二次電池用電解液は、少なくともイオン液体とリチウム塩を含有するリチウム二次電池用電解液であって、前記電解液中の前記リチウム塩の濃度が0.37〜0.75mol/kgであることを特徴とする。
上述したように、上記非特許文献1に記載された電解液は、電解液中のリチウム塩濃度が0.32mol/kgと低い。本発明者らは、後述する実施例において示すように、電解液中のリチウム塩濃度が0.32mol/kgである比較例2の電解液は、リチウムが負極に均一に析出する時間が60秒と極めて短く、負極においてリチウムデンドライトが発生しやすいことを見出した。
本発明者らは、鋭意検討の結果、電解液中のリチウム塩の濃度を0.37〜0.75mol/kgの範囲内とすることにより、リチウムが負極に均一に析出する時間が格段に長くなり、負極におけるリチウムデンドライトの発生を抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明に使用されるイオン液体中のカチオンは、通常イオン液体のカチオン種として使用されるものであれば特に限定されないが、窒素原子及び炭素数2〜10のアルキル鎖により閉じたヘテロ環構造を有するアンモニウムカチオンであることが好ましい。
本発明に使用されるカチオンとしては、具体的には、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムカチオン(PP13)、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムカチオン(P13)、N−ブチル−N−メチルピペリジニウムカチオン(PP14)、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムカチオン(P14)、N−メチル−N−メトキシエチルピペリジニウムカチオン(PP1.1o2)又はN−メチル−N−メトキシエチルピロリジニウムカチオン(P1.1o2)を用いることが好ましい。
本発明に使用されるカウンターアニオンは、通常イオン液体のアニオン種として使用されるものであれば特に限定されないが、リチウム金属に対して不活性なアニオンが好ましい。
ここでいうリチウム金属に対して不活性なアニオンとは、当該アニオンを含む電解液にリチウム金属を100分間浸漬させても化学構造が変化せず、安定なアニオンをいう。一方、リチウム金属に対して活性なアニオンとは、当該アニオンを含む電解液にリチウム金属を100分間浸漬させることによって分解するアニオンをいう。
本発明に使用されるカウンターアニオンは、具体的には、[N(CF、[N(SOCF、[N(SO等のイミドアニオン;RSO (以下、Rは脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を指す)、RSO 、RSO (以下、Rは含フッ素ハロゲン化炭化水素基を指す)、RSO 等の亜硫酸アニオン又は硫酸アニオン;R P(O)O、R PF 等のリン酸アニオン;その他、ラクテートアニオン、トリフルオロアセテートアニオン等が挙げられる。
これらのアニオンのうち、本発明に使用されるカウンターアニオンは、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン([N(SOCF)であることが好ましい。
本発明に使用される電解液は、さらにリチウム塩を含有する。リチウム塩としては、例えばLiPF、LiBF、LiClO及びLiAsF等の無機リチウム塩;LiCFSO、LiN(SOCF(Li−TFSI)、LiN(SO及びLiC(SOCF等の有機リチウム塩が挙げられる。このようなリチウム塩を2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、電解液中のリチウム塩の濃度が0.37〜0.75mol/kgであることが主な特徴の1つである。後述する実施例において示すように、電解液中のリチウム塩の濃度が0.37mol/kg未満である場合には、充電時において、1分程度の極めて短い時間のみリチウムが均一に析出し、その後は負極にリチウムデンドライトが発生するおそれが極めて高い。これは、電解液中のリチウム塩の濃度が低すぎることにより、充電時において、負極近傍にリチウムイオンを十分に供給できないことによるものと考えられる。一方、電解液中のリチウム塩の濃度が0.75mol/kgを超える場合には、充電時において、1分程度の極めて短い時間のみリチウムが均一に析出し、その後は負極にリチウムデンドライトが発生するおそれが極めて高く、且つ、イオン導電率も極めて低い。これは、電解液中のリチウム塩の濃度が高すぎることにより、電解液の粘度が高くなりすぎ、充電時において、負極近傍にリチウムイオンを十分に供給できないことによるものと考えられる。
本発明においては、電解液中のリチウム塩の濃度が0.4〜0.7mol/kgであることが好ましく、0.45〜0.6mol/kgであることがより好ましい。
本発明に使用される電解液は、上記イオン液体及びリチウム塩の他に、非水系電解質を含んでいてもよい。
非水系電解質としては、非水系電解液及び非水ゲル電解質を用いることができる。
本発明に使用される非水系電解液は、通常、上述したリチウム塩および非水溶媒を含有する。上記非水溶媒としては、例えばエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチルカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、アセトニトリル、ジメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン及びこれらの混合物等を挙げることができる。また、溶存した酸素を効率良く反応に用いることができるという観点から、上記非水溶媒は、酸素溶解性が高い溶媒であることが好ましい。
また、本発明に用いられる非水ゲル電解質は、通常、非水系電解液にポリマーを添加してゲル化したものである。例えば、上述した非水系電解液に、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリルニトリル(PAN)またはポリメチルメタクリレート(PMMA)等のポリマーを添加し、ゲル化することにより、得ることができる。
2.リチウム二次電池及びリチウム空気電池
本発明のリチウム二次電池は、少なくとも正極と、負極と、当該正極と当該負極との間に介在する電解液とを備えるリチウム二次電池であって、前記電解液が、上記リチウム二次電池用電解液であることを特徴とする。
本発明のリチウム空気電池は、少なくとも空気極と、負極と、当該空気極と当該負極との間に介在する電解液とを備えるリチウム空気電池であって、前記電解液が上記リチウム二次電池用電解液であり、且つ、前記空気極がニッケル触媒を含有することを特徴とする。
図1は、本発明に係るリチウム二次電池の層構成の一例を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。なお、本発明に係るリチウム二次電池は、必ずしもこの例のみに限定されるものではない。
リチウム二次電池100は、正極活物質層2及び正極集電体4を備える正極6と、負極活物質層3及び負極集電体5を備える負極7と、正極6及び負極7に挟持される電解液1を備える。
本発明に係るリチウム二次電池のうち、電解液については上述した通りである。以下、本発明に係るリチウム二次電池の構成要素である、正極、負極、セパレータ、電池ケースについて、詳細に説明する。
(正極)
本発明に係るリチウム二次電池の正極は、好ましくは正極活物質を有する正極活物質層を備えるものであり、通常、これに加えて、正極集電体、及び当該正極集電体に接続された正極リードを備えるものである。なお、本発明に係るリチウム二次電池がリチウム空気電池である場合には、上記正極の替わりに、空気極層を含む空気極を備える。
(正極活物質層)
以下、正極として、正極活物質層を備える正極を採用した場合について説明する。
本発明に用いられる正極活物質としては、具体的には、LiCoO、LiNi1/3Mn1/3Co1/3、LiNiPO、LiMnPO、LiNiO、LiMn、LiCoMnO、LiNiMn、LiFe(PO及びLi(PO等を挙げることができる。これらの中でも、本発明においては、LiCoOを正極活物質として用いることが好ましい。
本発明に用いられる正極活物質層の厚さは、目的とするリチウム二次電池の用途等により異なるものであるが、10μm〜250μmの範囲内であるのが好ましく、20μm〜200μmの範囲内であるのが特に好ましく、特に30μm〜150μmの範囲内であることが最も好ましい。
正極活物質の平均粒径としては、例えば1μm〜50μmの範囲内、中でも1μm〜20μmの範囲内、特に3μm〜5μmの範囲内であることが好ましい。正極活物質の平均粒径が小さすぎると、取り扱い性が悪くなる可能性があり、正極活物質の平均粒径が大きすぎると、平坦な正極活物質層を得るのが困難になる場合があるからである。なお、正極活物質の平均粒径は、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)により観察される活物質担体の粒径を測定して、平均することにより求めることができる。
正極活物質層は、必要に応じて導電化材及び結着剤等を含有していても良い。
本発明において用いられる正極活物質層が有する導電化材としては、正極活物質層の導電性を向上させることができれば特に限定されるものではないが、例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック等を挙げることができる。また、正極活物質層における導電化材の含有量は、導電化材の種類によって異なるものであるが、通常1質量%〜10質量%の範囲内である。
本発明において用いられる正極活物質層が有する結着剤としては、例えばポリビニリデンフロライド(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を挙げることができる。また、正極活物質層における結着剤の含有量は、正極活物質等を固定化できる程度の量であれば良く、より少ないことが好ましい。結着剤の含有量は、通常1質量%〜10質量%の範囲内である。
(正極集電体)
本発明において用いられる正極集電体は、上記の正極活物質層の集電を行う機能を有するものである。上記正極集電体の材料としては、例えばアルミニウム、SUS、ニッケル、鉄及びチタン等を挙げることができ、中でもアルミニウム及びSUSが好ましい。また、正極集電体の形状としては、例えば、箔状、板状、メッシュ状等を挙げることができ、中でも箔状が好ましい。
前記正極及び前記負極のうち少なくとも一方の電極の電極活物質層が、少なくとも電極活物質及び電極用電解質を含有するという構成をとることもできる。この場合、電極用電解質としては、固体酸化物電解質、固体硫化物電解質等の固体電解質や、上述したゲル電解質等を用いることができる。
本発明に用いられる正極を製造する方法は、上記の正極を得ることができる方法であれば特に限定されるものではない。なお、正極活物質層を形成した後、電極密度を向上させるために、正極活物質層をプレスしても良い。
(空気極層)
以下、正極として、空気極層を備える空気極を採用した場合について説明する。本発明に用いられる空気極層は、少なくとも触媒及び導電性材料を含有するものであることが好ましい。本発明に用いられる空気極層は、必要に応じて、さらに結着剤を含有していても良い。
本発明に使用される空気極は、ニッケル触媒を含有し、当該空気極の全質量を100質量%としたときのニッケル触媒の含有割合が5〜15質量%であることが好ましい。
後述する実施例において示すように、ニッケル触媒の当該含有割合が5質量%未満である場合には、ニッケルの含有割合が低すぎることにより、空気極中の放電生成物の析出サイトを有効利用できず、放電生成物が偏って析出するために、放電容量が低くなるおそれがあり、さらに、放電時に生成したリチウム酸化物(Li及び/又はLiO)が、充電時において全て電気的に分解されないため、クーロン効率が低くなるおそれがある。
一方、ニッケル触媒の当該含有割合が15質量%を超える場合には、ニッケルの含有割合が高すぎることにより、相対的に空気極中のカーボン材料等の導電性材料等の含有割合が低下し、カーボン材料等の表面の活性点が減少するために、放電容量が低くなるおそれがあり、さらに、放電時に生成するリチウム酸化物(Li及び/又はLiO)の析出物のサイズが大きくなり、充電時において当該析出物を全て分解することが困難となるため、クーロン効率が低くなるおそれがある。
本発明においては、空気極の全質量を100質量%としたときのニッケル触媒の含有割合が5〜15質量%であることがより好ましく、7〜12質量%であることがさらに好ましい。
本発明に使用できるニッケル触媒としては、ニッケル金属(Ni);Fe、Cu、Ti、Au、Pt、Zu、Cr、Mo及びW等からなる群から選ばれる少なくとも1つの金属とニッケルとの合金;B、C及びSi等からなる群から選ばれる少なくとも1つの非金属元素とニッケルとからなるニッケル化合物;等を使用することができる。
上述したニッケル触媒の他にも、上記空気極層に使用できる触媒としては、例えば、酸素活性触媒が挙げられる。酸素活性触媒の例としては、例えば、パラジウム及び白金等の白金族;コバルト、マンガン又は鉄等の遷移金属を含むペロブスカイト型酸化物;ルテニウム、イリジウム又はパラジウム等の貴金属酸化物を含む無機化合物;ポルフィリン骨格又はフタロシアニン骨格を有する金属配位有機化合物;酸化マンガン等が挙げられる。
電極反応がよりスムーズに行われるという観点から、後述する導電性材料に上記触媒が担持されていることが好ましい。
上記空気極層に用いられる導電性材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば炭素材料、ペロブスカイト型導電性材料、多孔質導電性ポリマー及び金属多孔体等を挙げることができる。特に、炭素材料は、多孔質構造を有するものであっても良く、多孔質構造を有しないものであっても良いが、本発明においては、多孔質構造を有するものであることが好ましい。比表面積が大きく、多くの反応場を提供でき、さらにガス拡散層としての役割も果たすからである。多孔質構造を有する炭素材料としては、具体的にはメソポーラスカーボン等を挙げることができる。一方、多孔質構造を有しない炭素材料としては、具体的にはグラファイト、アセチレンブラック、カーボンナノチューブおよびカーボンファイバー等を挙げることができる。
空気極層における導電性材料の含有割合としては、例えば65質量%〜99質量%の範囲内、中でも75質量%〜95質量%の範囲内であることが好ましい。導電性材料の含有割合が少なすぎると、反応場が減少し、電池容量の低下が生じるおそれがある。導電性材料の含有割合が多すぎると、相対的に触媒の含有量が減り、充分な触媒機能を発揮できないおそれがある。
上記空気極層は、少なくとも触媒及び導電性材料を含有してれば良いが、さらに結着剤を含有することが好ましい。結着剤としては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)や、スチレン・ブタジエンゴム(SBRゴム)等のゴム系樹脂等を挙げることができる。空気極層における結着剤の含有割合としては、特に限定されるものではないが、例えば30質量%以下、中でも1質量%〜10質量%の範囲内であることが好ましい。
上記空気極層の厚さは、空気電池の用途等により異なるものであるが、例えば2μm〜500μmの範囲内、中でも5μm〜300μmの範囲内であることが好ましい。
(空気極集電体)
本発明に用いられる空気極集電体は、空気極層の集電を行うものである。空気極集電体の材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばステンレス、ニッケル、アルミニウム、鉄、チタン、カーボン等を挙げることができる。空気極集電体の形状としては、例えば箔状、板状及びメッシュ(グリッド)状等を挙げることができる。中でも、本発明においては、空気極集電体の形状がメッシュ状であることが好ましい。集電効率に優れているからである。この場合、通常、空気極層の内部にメッシュ状の空気極集電体が配置される。さらに、本発明のリチウム二次電池は、メッシュ状の空気極集電体により集電された電荷を集電する別の空気極集電体(例えば箔状の集電体)を備えていても良い。また、本発明においては、後述する電池ケースが空気極集電体の機能を兼ね備えていても良い。
空気極集電体の厚さは、例えば10μm〜1000μmの範囲内、中でも20μm〜400μmの範囲内であることが好ましい。
(負極)
本発明に係るリチウム二次電池中の負極は、好ましくは負極活物質を含有する負極活物質層を備えるものであり、通常、これに加えて負極集電体、及び当該負極集電体に接続された負極リードを備えるものである。
(負極活物質層)
本発明に係るリチウム二次電池中の負極層は、金属及び合金材料を含む負極活物質を含有する。負極活物質層に用いられる負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば特に限定されないが、例えば、金属リチウム、リチウム合金、リチウム元素を含有する金属酸化物、リチウム元素を含有する金属硫化物、リチウム元素を含有する金属窒化物、及びグラファイト等の炭素材料等を挙げることができる。また、負極活物質は、粉末状であっても良く、薄膜状であっても良い。
リチウム合金としては、例えばリチウムアルミニウム合金、リチウムスズ合金、リチウム鉛合金、リチウムケイ素合金等を挙げることができる。また、リチウム元素を含有する金属酸化物としては、例えばリチウムチタン酸化物等を挙げることができる。また、リチウム元素を含有する金属窒化物としては、例えばリチウムコバルト窒化物、リチウム鉄窒化物、リチウムマンガン窒化物等を挙げることができる。また、負極層には、固体電解質をコートしたリチウムを用いることもできる。
また、上記負極層は、負極活物質のみを含有するものであっても良く、負極活物質の他に、導電性材料及び結着剤の少なくとも一方を含有するものであっても良い。例えば、負極活物質が箔状である場合は、負極活物質のみを含有する負極層とすることができる。一方、負極活物質が粉末状である場合は、負極活物質及び結着剤を有する負極層とすることができる。なお、導電性材料及び結着剤については、上述した「正極活物質層」又は「空気極層」の項に記載した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
負極活物質層の膜厚としては、特に限定されるものではないが、例えば10μm〜100μmの範囲内、中でも10μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。
(負極集電体)
負極集電体の材料及び形状としては、上述した正極集電体の材料及び形状と同様のものを採用することができる。
(セパレータ)
本発明に係るリチウム二次電池は、正極及び負極の間に、電解液を含浸させたセパレータを備えていてもよい。上記セパレータとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等の多孔膜;及び樹脂不織布、ガラス繊維不織布等の不織布等を挙げることができる。
(電池ケース)
本発明に係るリチウム二次電池は、通常、正極、電解液及び負極等を収納する電池ケースを有する。電池ケースの形状としては、具体的にはコイン型、平板型、円筒型、ラミネート型等を挙げることができる。
本発明に係る電池がリチウム空気電池である場合には、電池ケースは、大気開放型の電池ケースであっても良く、密閉型の電池ケースであっても良い。大気開放型の電池ケースは、少なくとも空気極層が十分に大気と接触可能な構造を有する電池ケースである。一方、電池ケースが密閉型電池ケースである場合は、密閉型電池ケースに、気体(空気)の導入管及び排気管を設けることが好ましい。この場合、導入・排気する気体は、酸素濃度が高いことが好ましく、純酸素であることがより好ましい。また、放電時には酸素濃度を高くし、充電時には酸素濃度を低くすることが好ましい。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
1.電解液の調製
[実施例1]
N−メチル−N−プロピルピペリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(関東化学株式会社製;以下、PP13TFSIと称する場合がある)に、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(以下、LiTFSIと称する場合がある)を濃度が0.4mol/kgとなるように溶解させ、実施例1の電解液を調製した。
[実施例2]
PP13TFSIに、LiTFSIを濃度が0.5mol/kgとなるように溶解させ、実施例2の電解液を調製した。
[実施例3]
PP13TFSIに、LiTFSIを濃度が0.75mol/kgとなるように溶解させ、実施例3の電解液を調製した。
[実施例4]
N−ブチル−N−メチルピロリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(関東化学株式会社製:以下、P14TFSIと称する場合がある)に、LiTFSIを濃度が0.5mol/kgとなるように溶解させ、実施例4の電解液を調製した。
[比較例1]
PP13TFSIに、LiTFSIを濃度が0.1mol/kgとなるように溶解させ、比較例1の電解液を調製した。
[比較例2]
PP13TFSIに、LiTFSIを濃度が0.32mol/kgとなるように溶解させ、比較例2の電解液を調製した。
[比較例3]
PP13TFSIに、LiTFSIを濃度が1.0mol/kgとなるように溶解させ、比較例3の電解液を調製した。
[比較例4]
P14TFSIに、LiTFSIを濃度が0.32mol/kgとなるように溶解させ、比較例4の電解液を調製した。
2.リチウム空気電池の作製
[実施例5]
まず、導電性材料としてケッチェンブラック(ECP600JD;以下、KBと称する場合がある)を、結着剤としてPTFE(ダイキン工業株式会社製、商品名:F−104)を、空気極触媒としてニッケル粉末を、それぞれ用意した。これら導電性材料、結着剤及び空気極触媒を、KB:PTFE:Ni=80質量%:10質量%:10質量%の割合で混合し、空気極ペーストを調製した。
空気極集電体として、SUS100メッシュ(株式会社ニラコ製)を用意し、当該SUSメッシュの一面側に上記空気極ペーストを塗布して、空気極を作製した。また、負極集電体としてSUS板を用意し、当該SUS板の一面側にリチウム金属(極東金属、厚み200μm、Φ15mm)を貼り合わせて、負極を作製した。
ポリプロピレン製不織布(JH1004N)に、上述した実施例2の電解液(リチウム塩濃度:0.5mol/kg)0.75mLを浸漬させたものを電解質層とした。当該電解質層を、気泡が入らないように、上記空気極と負極によって、重力方向略下側から、負極集電体−リチウム金属−電解質層−空気極ペースト−空気極集電体の順となるように挟持し、実施例5のリチウム空気電池を作製した。
以上の工程は、全て窒素雰囲気下のグローブボックス内で行った。
金属空気電池はF型セル(北斗電工(株)製)内に配置し、当該セルはガス置換コックつきガラスデシケーター内に配置した。デシケータ−内にはモレキュラーシーブ約50mLを配置し、容器内を酸素で置換した。
[比較例5]
導電性材料、結着剤及び空気極触媒を、KB:PTFE:Ni=70質量%:10質量%:20質量%の割合で混合し、空気極ペーストを調製したこと以外は、実施例5と同様に、比較例5のリチウム空気電池を作製した。
[比較例6]
空気極ペーストにニッケル粉末を混合せず、導電性材料及び結着剤を、KB:PTFE=90質量%:10質量%の割合で混合し、空気極ペーストを調製したこと以外は、実施例5と同様に、比較例6のリチウム空気電池を作製した。
3.リチウムが均一に析出した時間、及びイオン導電率の比較
実施例1−3、及び比較例1−3の電解液を、それぞれリチウム/リチウム対称セルに導入し、電流密度0.2mA/cmの条件で、一定時間定電流保持した。一定時間経過後、セル内の負極を取り出し、当該負極表面に析出したリチウム固体の表面を光学顕微鏡にて観察した。同一条件で複数回、一定時間ごとに負極表面の観察を繰り返し、負極表面において均一にリチウムが析出する時間を、その電解液においてリチウムが均一に析出した時間とした。これらの操作は、全てアルゴン雰囲気下で行った。
実施例2及び3、並びに比較例2及び3の電解液について、伝導度計(TOA Electronics Ltd.製、製品番号:CM−40S)を用いて、評価温度25℃でイオン導電率を測定した。
図2は、実施例1−3、並びに比較例1−3の電解液を使用した場合において、リチウムが均一に析出した時間、及び、イオン導電率の値をプロットしたグラフである。図2のグラフは、左の縦軸としてリチウムが均一に析出した時間(秒)をとり、右の縦軸としてイオン導電率(mS/cm)をとり、横軸としてリチウム塩濃度(mol/kg)をとったグラフである。黒菱形のプロットはリチウムが均一に析出した時間を、黒四角のプロットはイオン導電率を、それぞれ示す。
まず、比較例1(リチウム塩濃度:0.1mol/kg)及び比較例2(リチウム塩濃度:0.32mol/kg)について検討する。比較例2の電解液のイオン導電率は0.78mS/cmである。しかし、比較例1の電解液における、リチウムが均一に析出した時間は55秒であり、比較例2の電解液における、リチウムが均一に析出した時間は60秒である。これらの結果より、リチウム塩濃度が0.32mol/kg以下の場合には、リチウムが均一に析出した時間は極めて短いことが分かる。これは、電解液中のリチウム塩の濃度が、従来の電解液のリチウム塩濃度と同様に、0.32mol/kg以下と低すぎることにより、充電時において、負極近傍にリチウムイオンを十分に供給できず、その結果、リチウムイオンの欠乏が主な原因の1つとなるデンドライトが発生しやすくなることによるものと考えられる。
次に、比較例3(リチウム塩濃度:1.0mol/kg)について検討する。比較例3の電解液のイオン導電率は0.015mS/cmであり、リチウムが均一に析出した時間は80秒である。これらの結果より、リチウム塩濃度が1.0mol/kg以上の場合には、イオン導電率が0.1mS/cm未満と極めて低くなり、且つ、リチウムが均一に析出した時間が極めて短いことが分かる。これは、電解液中のリチウム塩の濃度が1mol/kgと高すぎることにより、電解液の粘度が高くなりすぎ、充電時において、負極近傍にリチウムイオンを十分に供給できず、その結果、リチウムイオンの欠乏が主な原因の1つとなるデンドライトが発生しやすくなることによるものと考えられる。なお、比較例3の電解液の粘度が高いことは、比較例3のイオン導電率が0.1mS/cm未満と極めて低いことからも明らかである。
一方、実施例1(リチウム塩濃度:0.4mol/kg)の電解液における、リチウムが均一に析出した時間は350秒である。この結果は、比較例2の結果の5倍以上長い時間リチウムが均一に析出したことを示す。
また、実施例2(リチウム塩濃度:0.5mol/kg)の電解液のイオン導電率は0.60mS/cmであり、リチウムが均一に析出した時間は600秒である。実施例2の結果は、イオン導電率を十分高く保ったまま、比較例2の結果の10倍長い時間リチウムが均一に析出したことを示す。
さらに、実施例3(リチウム塩濃度:0.75mol/kg)の電解液のイオン導電率は0.28mS/cmであり、リチウムが均一に析出した時間は240秒である。実施例3の結果は、イオン導電率は比較例2のイオン導電率の1/3程度であるが、比較例2の結果の4倍長い時間リチウムが均一に析出したことを示す。
なお、比較例2の電解液のイオン導電率は、実施例1の電解液のイオン導電率よりも若干高い。しかし、サイクル特性を向上させる観点や、本願発明の電解液をリチウム空気電池等の高容量型電池に使用する場合を鑑みると、比較例2の電解液よりも、リチウムが均一に析出する時間が5倍以上長い実施例1の電解液の方が、より実用的であり好ましい。
以上の結果から、実施例1−3の電解液においては、電解液中のリチウム塩の濃度が0.37〜0.75mol/kgの範囲内であることにより、電解液が適度な粘度を有し、充電時において、負極近傍にリチウムイオンを十分に供給でき、デンドライトの発生を抑制できることが分かる。
図3は、実施例4及び比較例4の電解液を使用した場合において、リチウムが均一に析出した時間、及び、イオン導電率の値をプロットしたグラフである。図3のグラフの左の縦軸、右の縦軸、横軸、黒菱形のプロット及び黒四角のプロットは、図2のグラフと同様のものを示す。
まず、比較例4(リチウム塩濃度:0.32mol/kg)について検討する。比較例4の電解液のイオン導電率は1.4mS/cmを超える。しかし、比較例4の電解液における、リチウムが均一に析出した時間は100秒未満である。これらの結果より、リチウム塩濃度が0.32mol/kg以下の場合には、リチウムが均一に析出した時間は極めて短いことが分かる。
一方、実施例4(リチウム塩濃度:0.5mol/kg)の電解液のイオン導電率は0.9mS/cmを超え、リチウムが均一に析出した時間は400秒である。実施例4の結果は、イオン導電率を十分高く保ったまま、比較例4の結果の4倍以上長い時間リチウムが均一に析出したことを示す。
以上の結果から、上記実施例1−3の電解液のようにピペリジニウム塩を含む場合のみならず、実施例4の電解液のようにピロリジニウム塩を含む場合にも、電解液中のリチウム塩の濃度が0.37〜0.75mol/kgの範囲内であることにより、電解液が適度な粘度を有し、充電時において、負極近傍にリチウムイオンを十分に供給でき、デンドライトの発生を抑制できることが分かる。
4.リチウム空気電池の充放電実験
実施例5、並びに比較例5及び比較例6のリチウム空気電池について充放電を行い、得られた充放電曲線から放電容量及びクーロン効率を算出した。詳細な充放電条件は以下の通りである。
充放電装置:BTS2004H、ナガノ製
放電カットオフ電圧:2V
放電レート:0.02mA/cm
充電カットオフ電圧:3.85V
充電レート:0.02mA/cm
充放電温度:60℃
雰囲気:純酸素1気圧
図4は、実施例5のリチウム空気電池の充放電曲線である。図6は、比較例5(図6(a))及び比較例6(図6(b))のリチウム空気電池の充放電曲線である。図5は、図4及び図6の充放電曲線から得られた、実施例5、並びに比較例5及び比較例6のリチウム空気電池の放電容量及びクーロン効率の値をプロットしたグラフである。図5のグラフは、左の縦軸として放電容量(mAh/g)をとり、右の縦軸としてクーロン効率(%)をとり、横軸としてニッケル添加量(質量%)をとったグラフである。黒菱形のプロットは放電容量を、黒四角のプロットはクーロン効率を、それぞれ示す。
図5から分かるように、比較例5のリチウム空気電池の放電容量は728mAh/gであり、比較例6のリチウム空気電池の放電容量は794mAh/gである。一方、実施例5のリチウム空気電池の放電容量は859mAh/gである。これらの結果から、ニッケル添加量が10質量%である場合に、最も放電容量が高くなることが分かる。
まず、実施例5と比較例6の結果を比較する。ニッケルを添加した実施例5のリチウム空気電池は、ニッケルを添加しない比較例6のリチウム空気電池よりも放電容量が高い。その理由は、均一な放電反応を実現することで、放電生成物の偏った析出や凝集成長を抑制し、空気極中の放電生成物の析出サイトを有効利用できるためである。
次に、実施例5と比較例5の結果を比較する。ニッケルを20質量%添加した比較例5のリチウム空気電池は、ニッケルを10質量%添加した実施例5のリチウム空気電池よりも放電容量が低い。その理由は、そもそもニッケルは、金属空気電池の空気極におけるリチウムの酸化反応、すなわち、下記式(1)及び/又は下記式(2)に示す反応の触媒とはならないため、ニッケルの添加割合を高くし過ぎることにより、相対的に空気極中のカーボン材料等の導電性材料等の含有割合が低下し、カーボン材料等の表面の活性点が減少するからである。
2Li+O+2e→Li (1)
2Li+1/2O+2e→LiO (2)
また、図5から分かるように、比較例5のリチウム空気電池のクーロン効率は55.8%であり、比較例6のリチウム空気電池のクーロン効率は32.7%である。一方、実施例5のリチウム空気電池のクーロン効率は95.6%である。これらの結果から、ニッケル添加量が10質量%である場合に、最もクーロン効率が高くなることが分かる。
まず、実施例5と比較例6の結果を比較する。ニッケルを添加した実施例5のリチウム空気電池は、ニッケルを添加しない比較例6のリチウム空気電池よりもクーロン効率が高い。その理由は、実施例5のリチウム空気電池の空気極においては、放電時に生成したリチウム酸化物(Li及び/又はLiO)が、充電時において、添加されたニッケルによりほぼ全て分解されるからである。
次に、実施例5と比較例5の結果を比較する。ニッケルを20質量%添加した比較例5のリチウム空気電池は、ニッケルを10質量%添加した実施例5のリチウム空気電池よりもクーロン効率が低い。その理由は、上述したように、ニッケルの添加割合を高くし過ぎることにより、相対的に空気極中のカーボン材料等の導電性材料等の含有割合が低下する結果、放電時に生成するリチウム酸化物(Li及び/又はLiO)の析出物のサイズが大きくなりすぎ、充電時において当該析出物を全て分解することが困難となるからである。
なお、図4から分かるように、実施例5の1回目の放電曲線(太線のグラフ)と、2回目の放電曲線(細線のグラフ)とは、ほぼ重なる。この結果から、本願発明に係るリチウム空気電池は、サイクル特性が高いことが分かる。
1 電解液
2 正極活物質層
3 負極活物質層
4 正極集電体
5 負極集電体
6 正極
7 負極
100 リチウム二次電池

Claims (5)

  1. 少なくともイオン液体とリチウム塩を含有するリチウム二次電池用電解液であって、
    前記電解液中の前記リチウム塩の濃度が0.37〜0.75mol/kgであることを特徴とする、リチウム二次電池用電解液。
  2. 前記イオン液体は、カチオン及びそのカウンターアニオンを含み、
    前記カチオンは、窒素原子及び炭素数2〜10のアルキル鎖により閉じたヘテロ環構造を有するアンモニウムカチオンであり、
    前記カウンターアニオンはリチウム金属に対して不活性である、請求項1に記載のリチウム二次電池用電解液。
  3. 前記カチオンは、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムカチオン、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムカチオン、N−ブチル−N−メチルピペリジニウムカチオン、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−メトキシエチルピペリジニウムカチオン及びN−メチル−N−メトキシエチルピロリジニウムカチオンからなる群から選ばれるカチオンである、請求項2に記載のリチウム二次電池用電解液。
  4. 少なくとも正極と、負極と、当該正極と当該負極との間に介在する電解液とを備えるリチウム二次電池であって、
    前記電解液が、前記請求項1乃至3のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用電解液であることを特徴とする、リチウム二次電池。
  5. 少なくとも空気極と、負極と、当該空気極と当該負極との間に介在する電解液とを備えるリチウム空気電池であって、
    前記電解液が、前記請求項1乃至3のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用電解液であり、且つ、
    前記空気極がニッケル触媒を含有することを特徴とする、リチウム空気電池。
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