JP2012107094A - 新規物質及び熱硬化性組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]ジカルボン酸無水物(a1)、下記一般式(1)で表されるアミノ化合物(a2)、アミノ化合物(a2)以外の加水分解可能なケイ素化合物(a3)及び金属アルコキシド(a4)を反応させて得られる反応生成物(A):
R2は水素、フッ素、炭素数1〜10のアルキル又は炭素数6〜15のアリールであり、該アルキルにおいて任意の水素がフッ素で置き換えられていてもよく、また任意の連続しない−CH2−がエーテル結合で置き換えられていてもよく(ただし、Si−R2において、Siに隣接した−CH2−がエーテル結合で置き換えられることはない)、該アリールにおいて任意の水素がフッ素で置き換えられていてもよく、
R3は水素又は炭素数1〜5のアルキルであり、該アルキルにおいて任意の連続しない−CH2−がエーテル結合で置き換えられていてもよく(ただし、OR3におけるR3において、Oに隣接している−CH2−がエーテル結合で置き換えられることはない)、
iは1〜3の整数であり、
iが1の場合、2つのR2は互いに同一でも異なっていてもよく、
iが2以上の場合、複数存在するR3は互いに同一でも異なっていてもよい。)。
R5は、水素又は炭素数1〜5のアルキルであり、該アルキルにおいて任意の連続しない−CH2−がエーテル結合で置き換えられていてもよく(ただし、OR5におけるR5において、Oに隣接している−CH2−がエーテル結合で置き換えられることはない)、
MはAl、Ba、B、Bi、Ca、Cu、Fe、Ga、Ge、Hf、In、K、La、Li、Mg、Mo、Na、Nb、Pb、P、Sb、Sn、Sr、Ta、Ti、V、W、Y、Zn及びZrから選択され、
kは0〜4の整数であり、kが2以上の場合、複数存在するR4は互いに同一でも異なっていてもよく、
mは1〜5の整数であり、mが2以上の場合には、複数存在するR5は互いに同一でも異なっていてもよく、
MがK、LiまたはNaの場合、k=0、m=1であり、
MがBa、Ca、Cu、Mg、Pb、SrまたはZnの場合、k+m=2であり、
MがAl、B、Bi、Fe、Ga、In、La、P、Sb、VまたはYの場合、k+m=3であり、
MがGe、Hf、Sn、TiまたはZrの場合、k+m=4であり、
MがMo、Nb、TaまたはWの場合、k+m=5である。)。
R7は、水素又は炭素数1〜5のアルキルであり、該アルキルにおいて任意の連続しない−CH2−がエーテル結合で置き換えられていてもよく(ただし、OR7におけるR7において、Oに隣接している−CH2−がエーテル結合で置き換えられることはない)、
jは1〜4の整数であり、
jが2以下の場合には、複数存在するR6は互いに同一でも異なっていてもよく、
jが2以上の場合には、複数存在するR7は互いに同一でも異なっていてもよい。)。
前記アミノ化合物(a2)が3−アミノプロピルトリエトキシシランであり、
前記ケイ素化合物(a3)がテトラエトキシシラン、テトラエトキシシランを重合して得られる重合体およびジメチルジエトキシシランからなる群より選ばれる少なくとも1種のケイ素化合物であり、
前記金属アルコキシド(a4)がトリメトキシボラン、トリイソプロポキシアルミニウム及びテトラブトキシチタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属アルコキシドであることを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載の反応生成物(A)。
[10]さらに溶剤(B)を含むことを特徴とする[9]に記載の熱硬化性組成物。
[12][11]に記載の硬化膜からなる保護膜を有するカラーフィルター。
[14][12]に記載のカラーフィルターを有する固体撮像素子。
[15][11]に記載の硬化膜が、薄膜トランジスタと透明電極との間に、透明絶縁膜として形成されてなるアレイ基板を有する表示素子。
[17][11]に記載の硬化膜からなる保護膜を有するLED発光体。
上記のごとく、本発明の反応生成物(A)は、ジカルボン酸無水物(a1)、一般式(1)で表されるアミノ化合物(a2)(以下単に「アミノ化合物(a2)」ともいう)、アミノ化合物(a2)以外の加水分解可能なケイ素化合物(a3)(以下単に「ケイ素化合物(a3)」ともいう)及び金属アルコキシド(a4)を反応させることで得られる。以下、上記4成分(a1)〜(a4)について説明する。
前記ジカルボン酸無水物(a1)は、酸無水物基を1つ有する化合物であれば、特に限定されない。酸無水物基が2つ以上存在すると、得られる反応生成物がゲル化を起こし、平坦な保護膜を形成可能な熱硬化性組成物は得られない。
ジカルボン酸無水物(a1)およびアミノ化合物(a2)が反応することによって、アミド酸が形成され、このアミド酸が分子内脱水することによりイミドが形成される。このイミドが、本発明の反応生成物(A)を含有する熱硬化性組成物を硬化させて得られる硬化膜の耐熱性に寄与する。
上記反応生成物(A)を得るにあたって、アミノ化合物(a2)は、1種単独で使用しても2種類以上を使用してもよい。
前記アミノ化合物(a2)は、下記一般式(1)で表される化合物である。
上記式(1)において、R2は水素、フッ素、炭素数1〜10のアルキル又は炭素数6〜15のアリールである。前記アルキルにおいては、任意の水素がフッ素で置き換えられていてもよく、また任意の連続しない−CH2−がエーテル結合で置き換えられていてもよい。ただし、Si−R2において、Siに隣接した−CH2−がエーテル結合で置き換えられることはない。また、前記アリールにおいては、任意の水素がフッ素で置き換えられていてもよい。
上記式(1)において、iは1〜3の整数であり、iが1の場合、2つのR2は互いに同一でも異なっていてもよく、iが2以上の場合、複数存在するR3は互いに同一でも異なっていてもよい。iは、本発明の反応生成物(A)を含有する熱硬化性組成物の良好な耐熱性の観点から、2または3であることが好ましい。
0.5≦y/x≦1.5 ・・・(101)
0.8≦y/x≦1.2 ・・・(102)。
上記ケイ素化合物(a3)は、アミノ化合物(a2)以外の化合物であって、加水分解が可能であり、ケイ素を有する化合物であれば、特に限定されない。なお、ケイ素化合物(a3)は、反応生成物(A)を得るに際して、1種単独で使用しても2種類以上を使用してもよい。
このようなケイ素化合物(a3)としては、下記一般式(3)で表される化合物(a3−1)、該化合物(a3−1)を重合して得られる重合体(a3−1p)が挙げられる。
式(3)において、jは1〜4の整数であり、jが2以下の場合には、複数存在するR6は互いに同一でも異なっていてもよく、jが2以上の場合には、複数存在するR7は互いに同一でも異なっていてもよい。jは、本発明の反応生成物(A)を含有する熱硬化性組成物から得られる硬化膜の良好な耐熱性の観点から、2以上であることが好ましい。
上記金属アルコキシド(a4)は、金属原子およびアルコキシを有する化合物であれば、特に限定されない。なお、金属アルコキシド(a4)は、反応生成物(A)を得るに際して、1種単独で使用しても2種類以上を使用してもよい。
上記式(2)において、MはAl、Ba、B、Bi、Ca、Cu、Fe、Ga、Ge、Hf、In、K、La、Li、Mg、Mo、Na、Nb、Pb、P、Sb、Sn、Sr、Ta、Ti、V、W、Y、Zn及びZrから選択される金属原子である。
上記式(2)において、kは0〜4の整数であり、kが2以上の場合には、複数存在するR4は互いに同一でも異なっていてもよい。
なお、Mの種類(価数)によってkとmの合計は変化し、
MがK、LiまたはNaの場合はk=0かつm=1であり、
MがBa、Ca、Cu、Mg、Pb、SrまたはZnの場合はk+m=2であり(この場合、良好な反応性の観点から、kが0であり、mが2であることが好ましい。)、
MがAl、B、Bi、Fe、Ga、In、La、P、Sb、VまたはYの場合はk+m=3であり(この場合、良好な反応性の観点から、kが1以下であり、mが2以上であることが好ましい。)、
MがGe、Hf、Sn、TiまたはZrの場合はk+m=4であり(この場合、良好な反応性の観点から、kが2以下であり、mが2以上であることが好ましい。)、
MがMo、Nb、TaまたはWの場合はk+m=5である(この場合、良好な反応性の観点から、kが3以下であり、mが2以上であることが好ましい。)。
反応生成物(A)の合成方法は、特に制限されないが、上記(a1)〜(a4)成分を還流することによって合成する方法が好ましい。
還流温度は、(a1)〜(a4)成分の組成によって異なるが、通常50〜200℃の範囲内である。還流時間も特に限定されないが、通常1〜24時間の範囲内である。
例えば上記の合成方法によって得られる反応生成物(A)の重量平均分子量は、通常500〜6,000、好ましくは800〜3,000であり、従来の保護膜形成材料に使用されていたポリエステルアミド酸の重量平均分子量よりも低い。なお、本明細書において重量平均分子量とは、GPCにより測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。ここでGPCは、カラムとしてPLgel MIXED−D(VARIAN社製)を用い、移動相としてTHFを使用して、カラム温度:35℃、流速:1ml/minの条件で実施することができる。また前記標準ポリスチレンには、分子量が645〜132900のポリスチレン(例えば、VARIAN社製のポリスチレンキャリブレーションキットPL2010−0102)を使用することができる。
前記反応生成物(A)を合成するに際しては、ジカルボン酸無水物(a1)を溶解することで反応生成物(A)の合成を容易にする観点から、重合溶剤を使用してもよい。なお、重合溶剤を使用した場合、反応生成物(A)は重合溶剤に溶解した状態で存在し、この重合溶剤は、後述する溶剤(B)としてそのまま使用することができる。重合溶剤を使用することによって、反応生成物(A)の保存安定性が向上する。
前記重合溶剤は、沸点が70〜300℃であることが好ましい。沸点が70〜300℃である溶剤としては、例えば水、エタノ−ル、メタノ−ル、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、ジオキサン、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、トリプロピレングリコ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、エチレングリコ−ルモノイソプロピルエ−テル、エチレングリコ−ルモノブチルエ−テル、プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テル、プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テルアセテ−ト、プロピレングリコ−ルモノエチルエ−テルアセテ−ト、プロピレングリコ−ルモノプロピルエ−テルアセテ−ト、エチレングリコ−ルモノブチルエ−テルアセテ−ト、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルモノメチルエ−テルアセテ−ト、ジエチレングリコ−ルモノエチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルモノエチルエ−テルアセテ−ト、ジエチレングリコ−ルモノブチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルモノブチルエ−テルアセテ−ト、ジエチレングリコ−ルジメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジエチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルメチルエチルエ−テル、トルエン、キシレン、γ−ブチロラクトンおよびN,N−ジメチルアセトアミドが挙げられる。
本発明の熱硬化性組成物は、以上説明した反応生成物(A)を含み、反応生成物(A)の他に、以下で説明する溶剤(B)、エポキシ化合物(C)及び添加剤(D)を含んでもよい。また、反応生成物(A)は、本発明の熱硬化性組成物中に1種単独で含有されていても、2種類以上が含有されていてもよい。
前記溶剤(B)は、本発明の熱硬化性組成物の塗布性、保存安定性等の特性を向上する観点から、添加することができる。溶剤(B)は特に限定されず、その具体例としては、上記の反応生成物(A)を得るに際して使用する重合溶剤の例として挙げた溶剤と同様の溶剤が挙げられる。
本発明の熱硬化性組成物に溶剤(B)を添加する場合、溶剤(B)の添加量は、熱硬化性組成物の塗布性、保存安定性等の特性を向上する観点から、反応生成物(A)100重量部に対して10〜1,000重量部であることが好ましく、20〜400重量部であることがより好ましい。
前記エポキシ化合物(C)は、例えば本発明の熱硬化性組成物を加熱硬化して得られる硬化膜の耐久性を向上させる観点から、本発明の熱硬化性組成物に添加することができる。
エポキシ化合物(C)としては、例えば、重合可能なエポキシ化合物の単独重合体、共重合体及びオリゴマー等の化合物、ビスフェノ−ルA型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、下記式(C−1)〜(C−5)で表される化合物が挙げられる。なお式(C−4)中、nは0〜10の整数を表す。
式(C−2)で表される化合物の市販品としては、セロキサイド(CELLOXIDE)2021P(商品名、ダイセル化学工業株式会社)が挙げられる。
式(C−4)で表される化合物の市販品としては、jER828、jER190P、jER191P、jER1004、jER1256(いずれも商品名、三菱化学株式会社)、アラルダイトCY177(商品名、ハンツマン・ジャパン株式会社)が挙げられる。
本発明の熱硬化性組成物は、塗布均一性、現像性、接着性、安定性等の特性を向上させる観点から、種々の添加剤(D)を含んでいてもよい。添加剤(D)としては、例えばアクリル系、スチレン系、ポリエチレンイミン系又はウレタン系の高分子分散剤、アニオン系、カチオン系、ノニオン系又はフッ素系の界面活性剤、シリコン系塗布性向上剤、シランカップリング剤等の密着性向上剤、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤、ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤、エポキシ化合物、メラミン化合物又はビスアジド化合物等の熱架橋剤、有機カルボン酸およびフェノ−ル化合物等のアルカリ溶解性促進剤、ならびにヒンダ−ド系フェノ−ル等の酸化防止剤を挙げることができる。
本発明の熱硬化性組成物は、塗布均一性をさらに向上させる観点から、高分子分散剤をさらに含有することが好ましい。このような観点から、高分子分散剤の含有量は、熱硬化性組成物において、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.05〜8重量%であることがより好ましく、0.1〜5重量%であることがさらに好ましい。
本発明の熱硬化性組成物は、塗布均一性をさらに向上させる観点から、界面活性剤をさらに含有することが好ましい。このような観点から、界面活性剤の含有量は、熱硬化性組成物において、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.05〜8重量%であることがより好ましく、0.1〜5重量%であることがさらに好ましい。
本発明の熱硬化性組成物は、塗布均一性をさらに向上させる観点から、シリコン系塗布性向上剤をさらに含有することが好ましい。このような観点から、シリコン系塗布性向上剤の含有量は、熱硬化性組成物において、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.05〜8重量%であることがより好ましく、0.1〜5重量%であることがさらに好ましい。
これらの中でも、BYK306、BYK344、BYK346、KP−341、KP−358、及びKP−368は、熱硬化性組成物の塗布均一性を高める観点から好ましい。
本発明の熱硬化性組成物は、該組成物から形成される硬化膜と基板との密着性をさらに向上させる観点から、密着性向上剤をさらに含有することが好ましい。このような観点から、密着性向上剤の含有量は、熱硬化性組成物の固形分100重量部に対し10重量部以下であることが好ましい。
これらの中でも、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが、密着性を向上させる効果が大きいため好ましい。
本発明の熱硬化性組成物は、該組成物から得られる硬化膜の劣化防止能をさらに向上させる観点から、紫外線吸収剤をさらに含有することが好ましい。このような観点から、紫外線吸収剤の含有量は、熱硬化性組成物において、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.05〜8重量%であることがより好ましく、0.1〜5重量%であることがさらに好ましい。
ヒンダード系フェノール酸化防止剤としては、フェノールのOHのオルト位にt−ブチルを有し、さらにアルキル基等の置換基を有していてもよい化合物、及び、フェノール系化合物の2〜4量体化合物であって、フェノールのOHのパラ位に二価の有機基を有し、該二価の有機基を介して、前記フェノール系化合物がパラ連結した化合物のような公知の化合物が用いられる。
ヒンダード系フェノール酸化防止剤を本発明の熱硬化性組成物に添加する場合、ヒンダード系フェノール酸化防止剤の添加量は、本発明の熱硬化性組成物の変色を抑制する観点から、反応生成物(A)100重量部に対して1〜30重量部であることが好ましく、1〜20重量部であることがより好ましい。
本発明の熱硬化性組成物は、温度−30〜25℃の範囲で遮光して保存すると、組成物の経時安定性が良好となり好ましい。保存温度が−20〜10℃であれば、析出物もなく一層好ましい。
本発明の熱硬化性組成物から得られる硬化膜は、例えば、表示素子等の製造において、保護膜などとして使用される硬化膜に対して一般的に求められている高透明性、高耐溶剤性、高耐水性、高耐酸性、高耐アルカリ性、高耐熱性、低誘電率性、下地との密着性等の各種特性を有する。
本発明の硬化膜は、前述した熱硬化性組成物の塗膜を加熱することにより得られる。本発明の熱硬化性組成物は、透明の重合体膜を形成するのに適しており、前記硬化膜の用途としては、カラーフィルターの保護膜及び絶縁膜が好ましく挙げられる。ここで、絶縁膜とは、例えば、層状に配置される配線間を絶縁するために設ける膜(層間絶縁膜)等をいう。
本発明の硬化膜は、レジスト分野において重合体膜を形成する通常の方法で形成することができ、例えば以下のようにして形成される。
まず、本発明の熱硬化性組成物をスピンコート、ロールコート、スリットコート等の公知の方法により、ガラス等の基板上に塗布し、塗膜を形成する。次に、基板上の熱硬化性組成物の塗膜をホットプレート又はオーブンで、通常60〜150℃で1〜10分間乾燥(プリベーク)する。
基板上の上記塗膜は、最後に100〜250℃で10〜120分間焼成される(ポストベーク)。これにより、通常0.5〜5μmの厚みの本発明の硬化膜が得られる。なお、本発明の熱硬化性組成物は低温硬化性に優れているため、100℃で3分程度という低温での短時間の加熱によっても硬化し、硬化膜の製造途中において問題のない程度の硬化が起こる。
前記のように、本発明の熱硬化性組成物は加熱時のフローが大きいため、基板上に画素が形成されてなるカラーフィルターのような凹凸を有する表面上に塗布し、加熱硬化すると、平坦性に優れた硬化膜が得られる。
本発明の表示素子は、上述した本発明のカラーフィルター及び/又は後述するアレイ基板を有する。本発明の表示素子は、前記のカラーフィルターおよびアレイ基板以外の構成については、公知の表示素子と同様の構成とすることができる。表示素子としては、液晶表示素子、有機EL素子などが挙げられる。
本発明の固体撮像素子は、上述した本発明のカラーフィルターを有する。
本発明の固体撮像素子は、前記のカラーフィルターの構成以外は、公知の固体撮像素子と同様の構成とすることができる。固体撮像素子としては、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサなどが挙げられる。
本発明のLED発光体は、上述した本発明の硬化膜からなる保護膜を有する。本発明のLED発光体は、前記の保護膜の構成以外は、公知のLED発光体と同様の構成とすることができる。
下記の合成例及び比較合成例に使用した化合物を、成分毎に記す。
ジカルボン酸無水物(a1):
フタル酸無水物
トリメリット酸無水物
シトラコン酸無水物。
アミノ化合物(a2):
3−アミノプロピルトリエトキシシラン。
ケイ素化合物(a3):
テトラエトキシシラン
ジメチルジエトキシシラン
重合体1:テトラエトキシシランを加水分解縮合反応させることにより得られる重合体(重量平均分子量1,000)。
金属アルコキシド(a4):
トリメトキシボラン
トリイソプロポキシアルミニウム
テトラブトキシチタン。
溶剤(B):
3−メトキシプロピオン酸メチル(以下「MMP」と略記)
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下「PGMEA」と略記)
ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(以下「EDM」と略記)。
エポキシ化合物(C):
jER828。
添加剤(D):
DFX−18。
その他:
meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物
3,3'−ジアミノジフェニルスルホン
1,4−ブタンジオール
3,3',4,4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物。
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口および窒素ガス導入口を備えた200mlの四つ口フラスコに、フタル酸無水物、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラエトキシシランおよびトリメトキシボランを下記の重量で仕込み、熱浴150℃で3時間加熱して還流して、反応生成物(A1)の合成を行った。
フタル酸無水物 28.06g(0.189mol)
3−アミノプロピルトリエトキシシラン 41.94g(0.189mol)
テトラエトキシシラン 29.00g
トリメトキシボラン 1.00g。
下記の原料を下記の重量で仕込み、合成例1と同様の方法で反応生成物(A2)の合成を行った。
トリメリット酸無水物 23.23g(0.121mol)
3−アミノプロピルトリエトキシシラン 26.77g(0.121mol)
テトラエトキシシラン 29.00g
トリイソプロポキシアルミニウム 1.00g
EDM 20.00g。
下記の原料を下記の重量で仕込み、合成例1と同様の方法で反応生成物(A3)の合成を行った。
フタル酸無水物 14.75g(0.100mol)
シトラコン酸無水物 11.16g(0.100mol)
3−アミノプロピルトリエトキシシラン 44.09g(0.199mol)
重合体1 29.00g
テトラブトキシチタン 1.00g。
下記の原料を下記の重量で仕込み、合成例1と同様の方法で反応生成物(A4)の合成を行った。
フタル酸無水物 20.04g(0.135mol)
3−アミノプロピルトリエトキシシラン 29.96g(0.135mol)
ジメチルジエトキシシラン 29.00g
トリメトキシボラン 1.00g
MMP 20.00g。
下記の原料を下記の重量で仕込み、合成例1と同様の方法で反応生成物(A'5)の合成を行った。
フタル酸無水物 28.06g(0.189mol)
3−アミノプロピルトリエトキシシラン 41.94g(0.189mol)
テトラエトキシシラン 30.00g。
下記の原料を下記の重量で仕込み、合成例1と同様の方法で反応生成物(A'6)の合成を行った。
フタル酸無水物 28.06g(0.189mol)
3−アミノプロピルトリエトキシシラン 41.94g(0.189mol)
トリメトキシボラン 1.00g
EDM 29.00g。
下記の原料を下記の重量で仕込み、合成例1と同様の方法で反応生成物(A'7)の合成を行った。
meso−ブタン−1,2,3,4−
テトラカルボン酸二無水物 15.46g(0.078mol)
3−アミノプロピルトリエトキシシラン 34.54g(0.156mol)
テトラエトキシシラン 29.00g
トリメトキシボラン 1.00g
MMP 20.00g。
温度計、撹拌羽根の付いた500mlのセパラブルフラスコを窒素置換した後、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン(以下「DDS」と略記する)9.93g、及び1,4−ブタンジオール(以下「1,4−BD」と略記する)14.42gを仕込んだ後、脱水精製した3−メトキシプロピオン酸メチル(MMP)202gを仕込み、室温で撹拌し、DDS及び1,4−ブタンジオールを溶解させた。その後、3,3',4,4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物(以下「ODPA」と略記する)62.04gを投入した。オイルバスで130℃まで加温し、4hr攪拌後、冷却することにより淡黄色透明なポリエステルアミド酸(A'8)の30重量%溶液を得た。
以上の結果を下記表1にまとめる。
PAH:フタル酸無水物
TMA:トリメリット酸無水物
CAH:シトラコン酸無水物
APTES:3−アミノプロピルトリエトキシシラン
TEOS:テトラエトキシシラン
DMDES:ジメチルジエトキシシラン
TMB:トリメトキシボラン
TIPA:トリイソプロポキシアルミニウム
4BT:テトラブトキシチタン
BDAH:meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物。
撹拌羽根の付いた50mlのセパラブルフラスコを窒素置換し、そのフラスコに、合成例1で得られた反応生成物(A1)とDFX−18を下記の重量で仕込み、室温で5hr撹拌して、均一に溶解させた。
反応生成物(A1) 20.00g
DFX−18 0.02g。
このようにして得られた硬化膜または前記塗布液について、低温硬化性、平坦性、透明性および耐熱性を評価した。これらの評価結果は下記表3に示されている。
前記の塗布液をスピンコートしたガラスまたはカラーフィルター基板をホットプレート上で100℃で3分間プリベークした。そして、形成された塗膜に対して、直径5mmのステンレス製のピンで50g重の加重をかけ、ピンを外して、目視で前記塗膜にピンの跡が残るかを評価した。跡が残らない場合を○、跡が残る場合を×とした。
上記操作により得られた硬化膜付きカラーフィルター基板の硬化膜表面の段差を、段差・表面あらさ・微細形状測定装置(商品名;P−15、KLA TENCOR株式会社製)を用いて測定し、ブラックマトリクスを含むR、G、B画素上の保護膜表面の最上部と最下部との差(以下、最大段差と略記)を求めた。また、使用したカラーフィルター基板は、最大段差約2.0μmの顔料分散カラーフィルターである。
有限会社東京電色製TC−1800を使用し、透明膜を形成していないガラス基板をリファレンス(100T%)として、上記操作で得られた硬化膜付きガラス基板の波長400nmでの光透過率を測定した。透過率が95T%以上の場合は○、透過率が95T%未満の場合は×とした。
上記の透明性の評価方法に使用し、光透過率の測定を行った硬化膜付きガラス基板を、オーブンで、230℃で60分間加熱した。加熱後の硬化膜付き基板の、波長400nmでの光透過率を測定した。透過率が90T%以上の場合は○、透過率が90T%未満の場合は×とした。なお、リファレンスはガラス基板である。
下記の原料を下記の重量で仕込み、実施例1と同様の方法で塗布液の調製を行い、実施例1と同様に各特性を評価した。評価結果を下記表3に示す。
反応生成物(A2) 20.00g
PGMEA 10.00g
jER828 10.00g
DFX−18 0.02g。
下記の原料を下記の重量で仕込み、実施例1と同様の方法で塗布液の調製を行い、実施例1と同様に各特性を評価した。評価結果を下記表3に示す。
反応生成物(A3) 20.00g
DFX−18 0.02g。
下記の原料を下記の重量で仕込み、実施例1と同様の方法で塗布液の調製を行い、実施例1と同様に各特性を評価した。評価結果を下記表3に示す。
反応生成物(A4) 20.00g
DFX−18 0.02g。
下記の原料を下記の重量で仕込み、実施例1と同様の方法で塗布液の調製を行い、実施例1と同様に各特性を評価した。評価結果を下記表3に示す。
反応生成物(A'5) 20.00g
DFX−18 0.02g。
下記の原料を下記の重量で仕込み、実施例1と同様の方法で塗布液の調製を行い、実施例1と同様に各特性を評価した。評価結果を下記表3に示す。
反応生成物(A'6) 20.00g
DFX−18 0.02g。
下記の原料を下記の重量で仕込み、実施例1と同様の方法で塗布液の調製を行い、実施例1と同様に各特性を評価した。評価結果を下記表3に示す。
ポリエステルアミド酸(A’8) 20.00g
PGMEA 10.00g
jER828 10.00g
DFX−18 0.02g。
14 画素
16 保護膜
18 液晶
Claims (17)
- ジカルボン酸無水物(a1)、下記一般式(1)で表されるアミノ化合物(a2)、アミノ化合物(a2)以外の加水分解可能なケイ素化合物(a3)及び金属アルコキシド(a4)を反応させて得られる反応生成物(A):
R2は水素、フッ素、炭素数1〜10のアルキル又は炭素数6〜15のアリールであり、該アルキルにおいて任意の水素がフッ素で置き換えられていてもよく、また任意の連続しない−CH2−がエーテル結合で置き換えられていてもよく(ただし、Si−R2において、Siに隣接した−CH2−がエーテル結合で置き換えられることはない)、該アリールにおいて任意の水素がフッ素で置き換えられていてもよく、
R3は水素又は炭素数1〜5のアルキルであり、該アルキルにおいて任意の連続しない−CH2−がエーテル結合で置き換えられていてもよく(ただし、OR3におけるR3において、Oに隣接している−CH2−がエーテル結合で置き換えられることはない)、
iは1〜3の整数であり、
iが1の場合、2つのR2は互いに同一でも異なっていてもよく、
iが2以上の場合、複数存在するR3は互いに同一でも異なっていてもよい。)。 - 前記金属アルコキシド(a4)が、下記一般式(2)で表される化合物(a4−1)及び該化合物(a4−1)を重合して得られる重合体(a4−1p)からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属アルコキシドであることを特徴とする請求項1に記載の反応生成物(A):
R5は、水素又は炭素数1〜5のアルキルであり、該アルキルにおいて任意の連続しない−CH2−がエーテル結合で置き換えられていてもよく(ただし、OR5におけるR5において、Oに隣接している−CH2−がエーテル結合で置き換えられることはない)、
MはAl、Ba、B、Bi、Ca、Cu、Fe、Ga、Ge、Hf、In、K、La、Li、Mg、Mo、Na、Nb、Pb、P、Sb、Sn、Sr、Ta、Ti、V、W、Y、Zn及びZrから選択され、
kは0〜4の整数であり、kが2以上の場合、複数存在するR4は互いに同一でも異なっていてもよく、
mは1〜5の整数であり、mが2以上の場合には、複数存在するR5は互いに同一でも異なっていてもよく、
MがK、LiまたはNaの場合、k=0、m=1であり、
MがBa、Ca、Cu、Mg、Pb、SrまたはZnの場合、k+m=2であり、
MがAl、B、Bi、Fe、Ga、In、La、P、Sb、VまたはYの場合、k+m=3であり、
MがGe、Hf、Sn、TiまたはZrの場合、k+m=4であり、
MがMo、Nb、TaまたはWの場合、k+m=5である。)。 - 前記ジカルボン酸無水物(a1)が、コハク酸無水物、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、フタル酸無水物、イタコン酸無水物及びトリメリット酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸無水物であることを特徴とする請求項1または2に記載の反応生成物(A)。
- 前記アミノ化合物(a2)が、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランおよびp−アミノフェニルトリメトキシシランからなる群より選ばれる少なくとも1種のアミノ化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の反応生成物(A)。
- 前記ケイ素化合物(a3)が、下記一般式(3)で表される化合物(a3−1)及び該化合物(a3−1)を重合して得られる重合体(a3−1p)からなる群より選ばれる少なくとも1種のケイ素化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の反応生成物(A):
R7は、水素又は炭素数1〜5のアルキルであり、該アルキルにおいて任意の連続しない−CH2−がエーテル結合で置き換えられていてもよく(ただし、OR7におけるR7において、Oに隣接している−CH2−がエーテル結合で置き換えられることはない)、
jは1〜4の整数であり、
jが2以下の場合には、複数存在するR6は互いに同一でも異なっていてもよく、
jが2以上の場合には、複数存在するR7は互いに同一でも異なっていてもよい。)。 - 前記ケイ素化合物(a3)が、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン及びジフェニルジエトキシシランからなる群より選ばれる少なくとも1種のケイ素化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の反応生成物(A)。
- 前記金属アルコキシド(a4)が、トリメトキシボラン、トリエトキシボラン、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン及びテトラブトキシチタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属アルコキシドであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の反応生成物(A)。
- 前記ジカルボン酸無水物(a1)がフタル酸無水物、トリメリット酸無水物およびシトラコン酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸無水物であり、
前記アミノ化合物(a2)が3−アミノプロピルトリエトキシシランであり、
前記ケイ素化合物(a3)がテトラエトキシシラン、テトラエトキシシランを重合して得られる重合体およびジメチルジエトキシシランからなる群より選ばれる少なくとも1種のケイ素化合物であり、
前記金属アルコキシド(a4)がトリメトキシボラン、トリイソプロポキシアルミニウム及びテトラブトキシチタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属アルコキシドであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の反応生成物(A)。 - 請求項1〜8のいずれかに記載の反応生成物(A)を含有することを特徴とする熱硬化性組成物。
- さらに溶剤(B)を含むことを特徴とする請求項9に記載の熱硬化性組成物。
- 請求項9または10に記載の熱硬化性組成物を加熱硬化することにより得られる硬化膜。
- 請求項11に記載の硬化膜からなる保護膜を有するカラーフィルター。
- 請求項12に記載のカラーフィルターを有する表示素子。
- 請求項12に記載のカラーフィルターを有する固体撮像素子。
- 請求項11に記載の硬化膜が、薄膜トランジスタと透明電極との間に、透明絶縁膜として形成されてなるアレイ基板を有する表示素子。
- 請求項11に記載の硬化膜が、透明電極と配向膜との間に、透明絶縁膜として形成されてなるアレイ基板を有する液晶表示素子。
- 請求項11に記載の硬化膜からなる保護膜を有するLED発光体。
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