<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るダイカストマシン1の要部の構成を示す、断面図を含む正面図である。
ダイカストマシン1は、いわゆるコールドチャンバマシンとして構成されており、マシン本体3と、マシン本体3に溶湯を供給する給湯装置5(図2参照)と、これらの動作を制御する制御装置7とを有している。
マシン本体3は、固定金型101及び移動金型103の型開閉及び型締めを行うための型締装置9と、型締めされた固定金型101及び移動金型103により形成されるキャビティ105に溶湯を射出する射出装置11と、成形されたダイカスト品(成形品)を移動金型103から押し出す押出装置13と、型締装置9及び射出装置11を支持するベース部15とを有している。
なお、ベース部15は、型締装置9及び射出装置11の一部として捉えられてもよい。また、キャビティ105は、固定金型101及び移動金型103が型閉じされて構成されるが、本願では、便宜上、型開じされていない状態においても、キャビティ105が形成される側(分割面側)をキャビティ105側というなど、キャビティ105の語を用いることがある。
型締装置9及び射出装置11は、型開閉方向及び射出方向が水平方向とされる一般的なダイカストマシンに用いることが可能な構成となっている。ベース部15は、その型締装置9及び射出装置11を水平方向(設置面BLに平行な方向)に対して傾斜させるように、型締装置9及び射出装置11を支持している。これにより、マシン本体3においては、型開閉方向及び射出方向が水平方向に対して傾斜している。具体的には、以下のとおりである。
型締装置9は、基本的な構成として、固定金型101を保持する固定ダイプレート17と、移動金型103を保持する移動ダイプレート19と、固定ダイプレート17及び移動ダイプレート19に掛架された1本又は複数本(例えば4本)のタイバー21とを有している。
固定ダイプレート17及び移動ダイプレート19は、互いに対向するように立設され、互いの対向面(前面)に固定金型101又は移動金型103を保持している。移動ダイプレート19は、固定ダイプレート17に対して、矢印y1で示す型開閉方向(対向方向)に移動可能であり、移動ダイプレート19が固定ダイプレート17に対して型開閉方向に移動することにより、固定金型101及び移動金型103は開閉される。
タイバー21は、型開閉方向に延び、一端側が固定ダイプレート17及び移動ダイプレート19の一方(本実施形態では固定ダイプレート17)に固定される。そして、固定金型101又は移動金型103が型閉じされた状態で、タイバー21に引張力が加えられることにより、固定金型101及び移動金型103には、タイバー21の伸長量に応じた型締力が付与される。
なお、本実施形態では、移動ダイプレート19を移動させる型開閉用駆動装置及びタイバー21に引張力を加える型締用駆動装置として、これら双方を兼ねる、トグル機構及び当該トグル機構に駆動力を付与する型締シリンダ装置を例示している。ただし、型開閉用駆動装置及び型締用駆動装置は、これに限定されるものではなく、公知の種々のものとされてよい。
射出装置11は、キャビティ105に連通する射出スリーブ23と、射出スリーブ23内を摺動可能な射出プランジャ25と、射出プランジャ25を駆動可能な射出シリンダ装置27とを有している。
射出スリーブ23は、円筒状に形成されており、固定ダイプレート17及び固定金型101に挿通されることによりキャビティ105に連通している。射出スリーブ23の上面には、溶湯MLを射出スリーブ23内に供給するために給湯口23a(図3参照)が形成されている。
射出プランジャ25は、射出スリーブ23に嵌合するプランジャチップ25aと、プランジャチップ25aに固定され、射出スリーブ23から延出するプランジャロッド25bとを有している。射出スリーブ23内に供給された溶湯は、プランジャチップ25aがキャビティ105側へ前進することにより、キャビティ105内へ射出、充填される。
射出シリンダ装置27は、射出プランジャ25に対して同軸に配置され、そのピストンロッド27aが射出プランジャ25に連結されている。そして、不図示の液圧回路から作動液が供給されることにより、射出プランジャ25を前進又は後退させる。
射出スリーブ23、射出プランジャ25及び射出シリンダ装置27は、型締装置9の型開閉方向を軸方向として配置されている。従って、型開閉方向及び射出方向は同一方向である。
ベース部15は、水平方向に対して射出装置11側が低くなるように型締装置9及び射出装置11を支持している。ベース部15は、例えば、型締装置9及び射出装置11を支持するベース本体29と、ベース本体29を支持する傾斜支持部材31とを有している。
ベース本体29は、型開閉方向及び射出方向を水平方向にして型締装置9及び射出装置11を使用するために構成されるものと同様のものとされてよい。換言すれば、マシン本体3から傾斜支持部材31を除いた部分は、型開閉方向及び射出方向を水平方向とする一般的な横型締横射出のマシン本体とされてよい。
傾斜支持部材31は、ベース本体29を水平方向に対して傾斜させるようにベース本体29を支持する。これにより、型開閉方向及び射出方向が水平方向に対して傾斜するマシン本体3が実現されている。傾斜支持部材31は適宜に構成されてよい。図1では、複数の傾斜支持部材31が複数の柱状部材により構成されている場合を例示している。
図2は、ダイカストマシン1の給湯装置5の要部の構成を示す正面図である。
給湯装置5は、保温炉111に保持されている溶湯MLを汲み出し、給湯口23a(図3参照)に注ぐためのラドル33と、ラドル33を支持するアーム35と、アーム35を支持する基体37とを有している。
ラドル33は、容器本体33aと、容器本体33aの縁部から外側へ突出する注ぎ口33bとを有している。ラドル33は、例えば、注ぎ口33b側において、アーム35の先端に回転可能に連結されている。
ラドル33には、例えば、基体37に内蔵されたラドル用モータ39(図4参照)の回転が、アーム35に内蔵されたチェーン等を含む伝達機構を介して伝達される。これにより、ラドル33は、所望の角度で傾斜するように駆動される。
アーム35は、例えば、複数の長尺部材が回転可能に連結されることにより構成され、リンク機構を構成している。アーム35は、根元側の所定位置が基体37に内蔵されたアーム用モータ41(図4参照)により回転されることにより、矢印Lmで示すように、ラドル33を、保温炉111内の位置(下降停止位置PS)と給湯口23a上の位置(注湯位置PT)との間で移動させる。
ラドル33は、保温炉111内の溶湯MLに漬された位置(下降停止位置PS)から溶湯ML上に引き上げられることにより、保温炉111内の溶湯MLを汲み出すことが可能である。
なお、ラドル33は、注ぎ口33b側が上方となるように所定の傾斜角θで傾斜することにより、1ショットの鋳造に必要十分な量の溶湯MLを汲み出すことが可能である。ラドル33は、溶湯MLに漬される前から溶湯MLから引き上げられるまでの間に亘って所定の傾斜角θに傾斜されていてもよいし、溶湯MLから引き上げられた後に保温炉111上において傾斜角θに傾斜されてもよい。
そして、ラドル33は、給湯口23a上の注湯位置PTにおいて、注ぎ口33b側が下方となるように傾斜されることにより、汲み出した溶湯MLを射出スリーブ23に注ぐことが可能である。
図3は、ダイカストマシン1の射出スリーブ23付近を拡大して示す断面図を含む正面図である。
上述のように、型締装置9及び射出装置11は、射出装置11側が低くなるように支持されている。従って、射出スリーブ23は、キャビティ側がその反対側よりも高くなるように、水平方向に対して傾斜角α1で傾斜している。
その結果、射出スリーブ23は、型閉じがなされていない状態においても、溶湯MLの液面が射出スリーブ23のキャビティ側の端部の下面縁部23fに到達するまで、若しくは、溶湯MLの液面が給湯口23aの下方側縁部23afに到達するまで、溶湯MLを蓄えることができる。
そして、傾斜角α1、給湯口23aの位置等は、1ショットの鋳造に対して十分な量の溶湯MLを蓄えることが可能に設定されている。なお、下面縁部23f及び下方側縁部23afは、いずれが上方に位置してもよいし、双方の高さが互いに同一であってもよい。
図4は、制御装置7の信号処理系の構成を示すブロック図である。
制御装置7は、特に図示しないが、CPU、ROM、RAM及び外部記憶装置を含むコンピュータにより構成されている。そして、CPUがROMや外部記憶装置に記憶されているプログラムを実行することにより、以下に述べる各部が構成される。
制御装置7においては、マシン本体3の制御を行う本体制御部57と、給湯装置5の制御を行う給湯制御部59とが構成される。なお、本体制御部57及び給湯制御部59は、ハードウェア的に分離されていてもよい。
本体制御部57と給湯制御部59との間においては、基本的には、成形サイクルにおいて、マシン本体3と給湯装置5とを同期させるための信号の送受信は行われない。ただし、給湯制御部59において、給湯時間計測部43、型閉時間計測部45、比較演算部47、増加時間演算部49、時間調整部51及びモータ制御部53が構成されることにより、給湯装置5は、マシン本体3の動作に対して同期して制御される。
給湯制御部59の各部の機能については、後に図5を参照して説明する動作の説明において明らかになるので、ここでは、概要のみを簡単に説明する。
給湯時間計測部43は、給湯装置5の所定の基準動作の時点から、射出スリーブ23への注湯完了までの給湯時間Tm1を計測する。
型閉時間計測部45は、給湯装置5の所定の基準動作の時点から、型接触の時点までの型閉時間Tm2を計測する。
比較演算部47は、給湯時間計測部43により計測された給湯時間Tm1と型閉時間計測部45により計測された型閉時間Tm2との時間差Td(Tm2−Tm1)を算出する。
増加時間演算部49は、給湯装置5の給湯動作に必要な時間の、保温炉111の液面の低下に伴う増加時間Teを予測演算する。
時間調整部51は、比較演算部47により演算された時間差Td及び所定の設定時間差Tcに基づいて給湯装置5の制御に係る第1待機時間Ts1を調整・設定する。また、時間調整部51は、増加時間演算部49により演算された増加時間Teに基づいて第2待機時間Ts2を調整・設定する。ただし、時間調整部51は、算出した第1待機時間Ts1又は第2待機時間Ts2が所定の許容範囲内に収まらない場合においては、異常を検出したことを示す異常検出信号を出力する。
モータ制御部53は、時間調整部51により調整・設定された第1待機時間Ts1及び第2待機時間Ts2に基づいてアーム用モータ41及びラドル用モータ39を制御する。ただし、モータ制御部53は、時間調整部51から異常検出信号が出力された場合には、アーム用モータ41及びラドル用モータ39を停止させるなど、異常に対応して設定された制御を行う。
報知部55は、時間調整部51から異常検出信号が出力された場合に、異常の発生をユーザに報知するために、適宜な報知装置の制御を行う。報知装置は、例えば、ベル、スピーカ、ランプ、及び/又は、ディスプレイである。
図5は、ダイカストマシン1の動作を説明するタイミングチャートである。横軸は時間を示している。射出工程、型締工程及び給湯工程に対応する各折れ線は、縦軸方向に変動することにより、所定の動作が行われることを示している。なお、図5は、給湯に係る動作を中心に描かれており、型開工程や射出プランジャ25の後退工程等は省略されている。
時点Eにおいては、移動ダイプレート19は所定の型開位置に位置し、固定金型101及び移動金型103は、型開状態とされている。そして、型開状態のまま、ラドル33から給湯口23aを介して射出スリーブ23へ溶湯を注ぐ注湯が開始される。このとき、溶湯は、図3を参照して説明したように、傾斜した射出スリーブ23内に蓄えられていく。
時点Eから若干の時間が経過した時点Fにおいては、注湯が継続されている状態で、移動ダイプレート19を固定ダイプレート17側(型閉方向)へ移動させる型閉じが開始される。
その後、時点Gにおいては、型閉じが継続されている状態で、射出スリーブ23への注湯が完了する。なお、このときの射出スリーブ23内の溶湯の液面位置は、図3を参照して説明したように、下面縁部23f及び下方側縁部23afの高さ以下である。
時点Gから若干の時間(時間差Td)が経過した時点Hにおいては、移動金型103が固定金型101に接触する型接触が生じる(型閉じが完了する)。これと同時に、射出プランジャ25により射出スリーブ23の溶湯をキャビティ105に押し出す射出工程が開始される。より具体的には、時点Gにおいては、溶湯による空気の巻き込みを抑制するために射出プランジャ25を比較的低速で前進させる低速射出が開始される。
また、時点Gにおいては、型閉じされた固定金型101及び移動金型103に型締力を付与する型締めが開始される。型締めが完了すると(時点I)、射出プランジャ25を比較的高速で前進させる高速射出が開始される(時点J)。その後、キャビティ105内の溶湯を射出プランジャ25により押圧して溶湯の圧力を所定の鋳造圧力まで上昇させる増圧が開始され(時点K)、増圧完了後、上昇させた圧力を鋳造圧力に維持する保圧が開始される(時点L)。
時点Gにおいて注湯を完了したラドル33は、保温炉111上に向かって移動する。そして、時点Aにおいて、保温炉111上の第1待機位置PA(図2)に到達し、次の成形サイクルのために保温炉111から溶湯を汲み出すべき時期が到来するまで待機する。時点Aは、例えば、保圧工程の開始時点Lの後の時点である。
時点Lにおいて開始された保圧工程が継続されている間に、キャビティ105内の溶湯は凝固し、成形品が形成される。その後、図5では図示を省略するが、移動ダイプレート19を型開位置へ移動させて、固定金型101及び移動金型103を離間させる型開きが行われ、成形品が取り出される。
以上のとおり、給湯装置5による注湯は、型接触(時点H)の前に完了する(時点G)。このように型接触前において射出スリーブ23へ溶湯を供給することは、図3を参照して説明したように、射出スリーブ23が傾斜していることにより可能となる。
本体制御部57は、基本的に、マシン本体3における、型閉工程、型締工程、射出工程、増圧・保圧工程及び型開工程等を、給湯装置5の動作を各工程の開始条件とせずに、設定された制御手順に基づいて実行する。
例えば、本体制御部57は、型開きされている固定金型101及び移動金型103に対するスプレー工程等の所定の処理が終了すると、型閉じを開始する(時点F)。
また、例えば、本体制御部57は、移動ダイプレート19の位置を検出する不図示の位置センサの検出値等に基づいて型接触が検出されると、型締め及び低速射出を開始する(時点H)。
また、例えば、本体制御部57は、不図示の位置センサにより射出プランジャ25が所定の切換位置に到達したことが検出されると、高速射出を開始する(時点J)。
また、例えば、本体制御部57は、不図示の位置センサにより射出プランジャ25が所定の増圧開始位置に到達したことが検出されると、増圧を開始する(時点K)。
また、例えば、本体制御部57は、不図示の圧力センサによりキャビティ105内の圧力が所定の鋳造圧力に到達したことを検出すると保圧を開始する(時点L)。
また、例えば、本体制御部57は、保圧の開始から所定の時間が経過すると、型開きを開始する。そして、移動ダイプレート19の位置を検出する不図示の位置センサの検出値に基づいて型開きの完了が検知されると、スプレー工程を開始する。
一方、給湯制御部59は、給湯装置5の動作をマシン本体3の動作に同期させ、溶湯完了の時点Gを型接触の時点Hに対して設定時間差Tc早く到来させる。具体的には、以下のとおりである。
給湯制御部59は、注湯完了後、ラドル33が第1待機位置PA(図2)に到達すると、給湯時間Tm1及び型閉時間Tm2の計測を開始する(時点A)。なお、最初の成形サイクルにおいては、製造者又はユーザにより設定された適宜な時点が計測開始時点とされてよい。後述する第1待機時間Ts1に係るタイマーの開始時点についても同様である。
なお、第1待機位置PAへのラドル33の到達の検知は、例えば、アーム用モータ41の回転を検出する不図示のエンコーダの検出結果に基づいて行われ、又は、ラドル33の位置を検出する不図示の接触式若しくは非接触式のセンサの検出結果に基づいて行われる。後述する第2待機位置PC、注湯位置PT等の他の位置についても同様である。
また、給湯制御部59は、ラドル33が第1待機位置PAに到達すると、タイマーのカウントを開始する。そして、タイマーのカウントする時間が所定の第1待機時間Ts1に到達すると(時点B)、ラドル33による保温炉111の溶湯の汲み出しを開始する。
第1待機時間Ts1は、最初の成形サイクルにおいては、ダイカストマシン1の製造者又はユーザにより適宜に設定される。2回目以降の成形サイクルにおいては、後述するように、第1待機時間Ts1は、給湯制御部59により調整・設定される。
給湯制御部59は、具体的には、まず、ラドル33を溶湯ML中に漬すために、ラドル33を第1待機位置PAから下降させるようにアーム用モータ41を制御する。次に、給湯制御部59は、不図示の湯面検出センサ等の検出値に基づいてラドル33が溶湯ML中に漬されたことを検知すると、アーム用モータ41の回転を停止し、ラドル33の下降を停止する。
なお、保温炉111の湯面は、ラドル33により溶湯MLが汲み出されることにより低下していくことから、ラドル33の下降停止位置PS(図2)も、成形サイクルが繰り返されることにより下降していく。
次に、給湯制御部59は、アーム用モータ41を逆回転させて、ラドル33を溶湯MLから引き上げる。これにより、保温炉111の溶湯MLはラドル33により汲み出される。なお、ラドル33が傾斜角θで傾斜されることは、上述のとおりである。
給湯制御部59は、溶湯MLから引き上げられたラドル33が保温炉111上の第2待機位置PC(図2)に到達すると(時点C)、アーム用モータ41を停止させ、ラドル33を停止させる。そして、給湯制御部59は、第2待機時間Ts2の間、ラドル33を第2待機位置PCに待機させる。この間、ラドル33に汲み出された溶湯の揺れは縮小されていく。
第2待機位置PCは、例えば、下降停止位置PSから所定の高さ(移動量)に設定されている。なお、この場合、第2待機位置PCは、成形サイクルが繰り返されると、下降停止位置PSの下降に伴って下降する。また、例えば、第2待機位置PCは、第1待機位置PAと同様に、成形サイクルに亘って一定の位置とされる。
第2待機時間Ts2には、前回の成形サイクルにおける第2待機時間Ts2(最初の成形サイクルにおいては製造者又はユーザにより設定された第2待機時間Ts2)に対して、増加時間Te(図4)を考慮した補正を行った時間が設定される。これについては後述する。
第2待機時間Ts2が経過すると(時点D)、給湯制御部59は、ラドル33を給湯口23aへ向けて移動させるようにアーム用モータ41を制御する。そして、ラドル33が給湯口23a上の注湯位置PT(図2)に到達すると、給湯制御部59は、アーム用モータ41を停止させる。そして、給湯制御部59は、ラドル用モータ39を回転させてラドル33を傾斜させ、射出スリーブ23への給湯を開始する(時点E)。
給湯制御部59は、例えば、ラドル用モータ39の回転を検出する不図示のエンコーダの検出値に基づいて、注湯が完了したことを検知可能である。そして、給湯制御部59は、注湯が完了したことを検知すると(時点G)、給湯時間Tm1の計測を終了する。
本体制御部57及び給湯制御部59は、例えば、移動ダイプレート19の位置を検出する不図示の位置センサ、又は、型接触を検知する不図示の接触式のセンサの検出結果に基づいて、型接触を検知可能である。給湯制御部59は、型接触を検知すると(時点H)、型閉時間Tm2の計測を終了する。
給湯制御部59は、給湯時間Tm1と型閉時間Tm2との時間差Tdを算出する。そして、時間差Tdが所定の設定時間差Tcに一致するように、第1待機時間Ts1を調整・設定する。例えば、今回の成形サイクルにおける第1待機時間Ts1から、時間差Tdの設定時間差Tcに対する超過分(Td−Tc)を差し引いて、新たな第1待機時間Ts1とする。
これにより、ラドル33による溶湯の汲み出しを開始する時点Bは、マシン本体3の動作に必要な時間の実測値に応じて、注湯完了から設定時間差Tc経過後に型接触が行われるように、自動的に設定されることになる。なお、設定時間差Tcは、例えば、不図示の入力装置を介してユーザにより適宜に設定される。
次に、増加時間Teについて説明する。前回のサイクルに比較して、保温炉111において湯面がΔH低下していると仮定する。この場合、ラドル33が第1待機位置PAから下降停止位置PSに到達する時間は、ラドル33の下降速度をVdとして、前回の成形サイクルに対してΔH/Vd長くなる。
また、第2待機位置PCが下降停止位置PSから所定の高さに設定されているとすると、ラドル33が第2待機位置PCから注湯位置PTに到達する時間は、ラドル33の前進速度をVfとして、前回の成形サイクルに対してΔH/Vf長くなる。
若しくは、第2待機位置PCが、第1待機位置PAと同様に、成形サイクルに亘って一定の位置に設定されているとすると、下降停止位置PSから第2待機位置PCに到達する時間は、ラドル33の上昇速度をVuとして、前回の成形サイクルに対してΔH/Vu長くなる。
従って、ラドル33の第1待機位置PAから注湯位置PTへの移動時間は、前回の成形サイクルに対してTe=ΔH/Vd+ΔH/Vf、又は、Te=ΔH/Vd+ΔH/Vu長くなる。
そこで、給湯制御部59は、時点Cの到来前までに、増加時間Teを上式から演算し、演算した増加時間Teを第2待機時間Ts2から差し引いた値を今回の成形サイクルのTs2として設定する。
これにより、湯面の低下に係らず、時点Bから時点Gまでの時間(給湯時間Tm1−第1待機時間Ts1)の時間は一定となる。
なお、ΔH、Vd、及び、Vf又はVuの値は、製造者又はユーザにより不図示の入力装置を介して給湯制御部59に入力されてもよいし、適宜なセンサを介して給湯制御部59が取得してもよい。
以上の実施形態によれば、ダイカストマシン1は、型締装置9、射出装置11、給湯装置5及び制御装置7を有する。型締装置9は、固定金型101及び移動金型103を水平方向に対して傾斜する方向において開閉する。射出装置11は、固定金型101及び移動金型103により構成されるキャビティ105に連通し、キャビティ105側がその反対側よりも高くなるように水平方向に対して傾斜する射出スリーブ23を有し、射出スリーブ23内の溶湯をキャビティ105に押し出す。給湯装置5は、射出スリーブ23に溶湯を供給する。制御装置7は、射出スリーブ23へ溶湯を供給する時間と、型閉じの時間とが少なくとも一部において重複するように給湯装置5を制御する。
従って、従来は、一般的に型接触の後に行わざるを得なかった溶湯の射出スリーブ23への供給を、型接触前に開始することにより、サイクルタイムの短縮を図ることができる。さらに、傾斜した射出スリーブ23内に溶湯を蓄えることにより、型接触前における射出スリーブ23への溶湯の供給を可能とすることから、射出スリーブ23のキャビティ105側に堰(背景技術の欄で述べた摺動部材)を設けることなく、簡便な構成でサイクルタイムの短縮が図られる。
制御装置7は、型接触以前に射出スリーブ23への成形材料の供給が完了するように給湯装置5を制御する。従って、マシン本体3は、型接触の直後に射出を開始することができる。その結果、更なるサイクルタイムの短縮が図られる。
給湯装置5は、保温炉111から溶湯を汲み出し、汲み出した溶湯を射出スリーブ23へ注ぐラドル33を有する。制御装置7は、給湯装置5の所定の基準動作(ラドル33が第1待機位置PAに到達する動作)の時点Aから第1待機時間Ts1が経過したときに、保温炉111からの溶湯の汲み出しを開始するように給湯装置5を制御し、時点Aから射出スリーブ23への溶湯の供給が完了するまでの給湯時間Tm1と、時点Aから型接触までの型閉時間Tm2とを計測し、型閉時間Tm2から給湯時間Tm1を差し引いた時間差Tdが所定の設定時間差Tcになるように次サイクルにおける第1待機時間Ts1を調整する。従って、型接触前に給湯が完了するように、給湯装置5をマシン本体3に対して自動的に同期させることができる。
ダイカストマシン1では、型開閉方向と射出方向とが同一方向である。従って、水平方向を型開閉方向及び射出方向とする一般的な横型締横射出のマシン本体を用いて、本実施形態のマシン本体3を構成することができる。
ダイカストマシン1では、水平方向に対する型開閉方向及び射出方向の傾斜角が固定されていることから、後述する第2の実施形態に比較して構成が簡素化され、コスト削減が図られる。
<第2の実施形態>
図6は、本発明の第2の実施形態に係るダイカストマシン201の要部の構成を示す、断面図を含む正面図である。
ダイカストマシン201は、マシン本体のベース部の構成のみが第1の実施形態と相違する。具体的には、第1の実施形態のマシン本体3のベース部15は、マシン本体3の傾斜角α1(図3参照)を変化させることができない固定式のものであったのに対し、第2の実施形態のマシン本体203のベース部215は、マシン本体3の傾斜角を変化させることができる可変式のものとなっている。
ベース部215は、例えば、第1の実施形態と同様のベース本体29と、ベース本体29を支持する傾斜支持機構231とを有している。傾斜支持機構231は、型締装置9及び射出装置11の傾斜角α1を変化させることが可能である。
傾斜支持機構231は、適宜に構成されてよい。図6では、ベース本体29の射出装置11側を回転可能に支持する軸支部材と、ベース本体29の型締装置9側を上昇・下降させることが可能なジャッキとにより構成された傾斜支持機構231を例示している。傾斜支持機構231は、人力で駆動されてもよいし、電動機などの駆動装置により駆動されてもよい。
なお、傾斜角α1は、金型交換時等の成形サイクルの開始前に調整され、その後は、固定される。ダイカストマシン201の成形サイクルにおける動作は、第1の実施形態のダイカストマシン1の成形サイクルにおける動作と同様である。
以上の第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、溶湯の射出スリーブ23への供給を型接触前に開始することにより、サイクルタイムの短縮を図ることができ、且つ、傾斜した射出スリーブ23内に溶湯を蓄えることにより、型接触前における射出スリーブ23への溶湯の供給を可能とすることから、射出スリーブ23のキャビティ105側に堰を設けることなく、簡便な構成でサイクルタイムの短縮が図られる。
ダイカストマシン201では、水平方向に対する型開閉方向及び射出方向の傾斜角α1が可変とされていることから、取り付けられる金型等に応じて傾斜角α1を適宜な大きさとすることができ、運用の柔軟性が高い。
<第3の実施形態>
図7は、本発明の第3の実施形態に係るダイカストマシン301の要部の構成を示す、断面図を含む正面図である。
第1の実施形態のダイカストマシン1のマシン本体3では、型締装置9の型開閉方向と射出装置11の射出方向とが同一方向であり、共に、水平方向に対して傾斜した。これに対し、第3の実施形態のダイカストマシン301のマシン本体303では、型締装置309の型開閉方向と射出装置311の射出方向とが異なっている。
具体的には、ダイカストマシン301において、型開閉方向は水平方向となっており、射出方向は、水平方向に対して、キャビティ105側が高くなるように傾斜している。換言すれば、ダイカストマシン301は、一般的な横型締横射出のダイカストマシンにおいて、射出装置が傾斜するように設けられている。
型締装置309及び射出装置311は、設置面BLに対して、それぞれ適宜に設置されてよい。図7では、型締装置309及び射出装置311は、これらに共通のベース部315を介して設置面BLに設置されている。ベース部315は、一般的な横型締横射出のダイカストマシンにおいて利用されるものであってもよい。
図8は、ダイカストマシン301の射出スリーブ23付近を拡大して示す断面図を含む正面図である。
上述のように、型締装置309は、矢印y2で示す型開閉方向が水平方向となるように配置されており、射出装置311は、キャビティ側が高くなるように配置されている。そして、射出スリーブ23は、キャビティ側がその反対側よりも高くなるように、水平方向に対して傾斜角α2で傾斜している。
従って、射出スリーブ23は、第1の実施形態と同様に、型閉じがなされていない状態においても、溶湯MLの液面が射出スリーブ23のキャビティ側の端部の下面縁部23fに到達するまで、若しくは、溶湯MLの液面が給湯口23aの下方側縁部23afに到達するまで、溶湯MLを蓄えることができる。
なお、固定金型151及び固定ダイプレート317は、射出スリーブ23を斜めに挿通可能に構成されている。ダイカストマシン301の動作は、第1の実施形態のダイカストマシン1の動作と同様である。
以上の第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、溶湯の射出スリーブ23への供給を型接触前に開始することにより、サイクルタイムの短縮を図ることができ、且つ、傾斜した射出スリーブ23内に溶湯を蓄えることにより、型接触前における射出スリーブ23への溶湯の供給を可能とすることから、射出スリーブ23のキャビティ105側に堰を設けることなく、簡便な構成でサイクルタイムの短縮が図られる。
型開閉方向は水平方向であり、射出方向は型開閉方向に対して傾斜していることから、型締装置309の支持機構等は一般的な横型締のものを用いることができる。従って、ダイカストマシンの構成によっては、第1及び第2の実施形態よりも、コスト削減が図られることがある。
ダイカストマシン301では、水平方向及び型開閉方向に対する射出方向の傾斜角α2が固定されていることから、後述する第4の実施形態に比較して構成が簡素化され、コスト削減が図られる。
<第4の実施形態>
図9は、本発明の第4の実施形態に係るダイカストマシン401の要部の構成を示す、断面図を含む正面図である。
第3の実施形態のダイカストマシン301は、射出装置311の傾斜角α2(図8)を変化させることができない固定式のものであったのに対し、第4の実施形態のダイカストマシン401は、射出装置411の傾斜角α2を変化させることができる可変式のものとなっている。
例えば、ダイカストマシン401のマシン本体403は、射出装置411の傾斜角α2を変化させることが可能に射出装置411を支持する傾斜支持機構431を有している。なお、傾斜支持機構431は、射出装置411の一部として捉えられてもよい。
傾斜支持機構431は、適宜に構成されてよい。図9では、型締装置409と射出装置411に共通に設けられたベース415に載置され、射出シリンダ装置27等を支持する脚を構成する調整ネジを含んで傾斜支持機構431が構成されている場合を例示している。傾斜支持機構431は、調整ネジの射出装置411側の螺合位置を変化させることにより、射出装置411の複数位置の高さを調整し、ひいては、射出装置411の傾斜角を調整する。傾斜支持機構431は、人力で駆動されてもよいし、電動機などの駆動装置により駆動されてもよい。
なお、固定ダイプレート417は、射出スリーブ23を斜めに、且つ、その傾斜角を調整可能に挿通できるように構成されている。傾斜角α2は、金型交換時等の成形サイクルの開始前に調整され、その後は、固定される。成形サイクルにおけるダイカストマシン401の動作は、第1の実施形態のダイカストマシン1の成形サイクルにおける動作と同様である。
以上の第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、溶湯の射出スリーブ23への供給を型接触前に開始することにより、サイクルタイムの短縮を図ることができ、且つ、傾斜した射出スリーブ23内に溶湯を蓄えることにより、型接触前における射出スリーブ23への溶湯の供給を可能とすることから、射出スリーブ23のキャビティ105側に堰を設けることなく、簡便な構成でサイクルタイムの短縮が図られる。
射出装置411は、水平方向及び型開閉方向に対する射出スリーブ23の傾斜角が可変とされていることから、取り付けられる金型等に応じて傾斜角α2を適宜な大きさとすることができ、運用の柔軟性が高い。
<第5の実施形態>
図10は、第5の実施形態のダイカストマシンの要部を示す断面図である。
第5の実施形態のダイカストマシンは、給湯口23aを開閉可能な閉塞装置61を有する点のみが第1〜第4の実施形態と相違する。
閉塞装置61は、例えば、給湯口23aを塞ぐ位置と開放する位置との間で移動可能な閉塞部材63と、閉塞部材63を駆動する駆動装置65とを有している。
閉塞部材63は、例えば、射出スリーブ23に対してスライド移動することにより、給湯口23aを開閉可能である。スライド方向は、例えば、射出方向と同一である。また、駆動装置65は、例えば、エアシリンダにより構成されており、ピストンロッドが閉塞部材63に固定され、シリンダチューブが射出スリーブ23に対して直接的又は間接的に固定されている。
第5の実施形態のダイカストマシンの動作は、概ね、第1の実施形態のダイカストマシン1の動作と同様である。ただし、ラドル33により給湯口23aを介して射出スリーブ23に注湯を行うときには、閉塞装置61は、給湯口23aを開放しており、注湯が完了すると、閉塞装置61は、給湯口23aを閉じる。そして、プランジャチップ25aが給湯口23aを通過後、次サイクルの注湯が開始されるまでの適宜な時期において、閉塞装置61は、給湯口23aを再度開放する。閉塞装置61の動作は、制御装置7により制御される。
以上の第5の実施形態によれば、射出スリーブ23には、上方側に開口し、給湯装置5により溶湯が注がれる給湯口23aが形成されており、射出装置は、給湯口23aを開閉する閉塞部材63を有することから、簡便に溶湯が給湯口23aから溢れることを抑制することができる。
なお、以上の第1〜第5の実施形態において、ダイカストマシン1、201、301及び401は本発明の成形機の一例であり、溶湯は本発明の成形材料の一例であり、固定金型101及び151は本発明の固定型の一例であり、移動金型103は本発明の移動型の一例であり、給湯装置5は本発明の供給装置の一例であり、ラドル33が第1待機位置PAに到達する動作は基準動作の一例である。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
成形機は、ダイカストマシンに限定されない。例えば、成形機は、他の金属成形機であってもよいし、プラスチック射出成形機であってもよいし、木粉に熱可塑性樹脂等を混合させた材料を成形する成形機であってもよい。
また、成形機がダイカストマシンである場合において、ダイカストマシンは、コールドチャンバマシンに限定されず、例えば、いわゆるホットチャンバマシンであってもよい。なお、ダイカストマシンがホットチャンバマシンである場合、一般にノズルと呼ばれる部分が本願発明の射出スリーブに相当し、射出プランジャは、グースネック等を介してノズルに連通するスリーブ(本願発明の射出スリーブには相当しない)を摺動することにより、ノズル内の溶湯をキャビティに押し出す。また、ホットチャンバマシンでは、本願発明の射出装置と供給装置とが一体化されている。
型開閉方向及び射出方向の双方、又は、射出方向を水平方向に対して傾斜させる構成は、適宜に実現されてよく、実施形態において図示した構成は例示に過ぎない。
例えば、第1の実施形態では、ベース本体29を傾斜支持部材31により傾斜させたが、型締装置及び射出装置を傾斜させることを前提として構成された楔状のベース本体が用いられてもよい。また、例えば、傾斜した設置面に横型締横射出の型締装置及び射出装置が設置されることにより、型開閉方向及び射出方向が傾斜されてもよい。
また、例えば、傾斜支持部材は、柱状部材に代えて、ベース本体の概ね全体に亘る比較的大きな楔状部材により構成されてもよいし、型開閉方向に配置された高さの異なる複数の台形状部材により構成されてもよい。また、傾斜支持部材は、中空の部材により形成されてもよいし、中実の部材により形成されてもよい。
また、例えば、型締装置及び射出装置の少なくとも一方の傾斜角を変化させる駆動装置は、ジャッキやネジを含むものに代えて、型締装置等を持ち上げる液圧シリンダ装置により構成されてもよい。
また、例えば、ベース部(固定式又は可変式)は、型締装置及び射出装置に共通に設けられず、それぞれに別個に設けられてもよい。
射出スリーブは、上方側に開口する供給口(23a)に成形材料が注がれるものに限定されない。また、供給装置は、射出スリーブの供給口に成形材料を注ぐものに限定されない。例えば、射出スリーブは、下方側に開口する供給口を介して成形材料が形成されるものでもよく、供給装置は、電磁ポンプ等により上記の下方側に開口する供給口を介して成形材料を供給するものであってもよい。
射出スリーブにおいて、上方側に開口し、成形材料が注がれる供給口(23a)が形成される場合において、閉塞部材は必須の要件ではない。例えば、プランジャチップが供給口を通過するまでは比較的高速で射出プランジャを前進させ、成形材料が供給口から溢れることを抑制してもよいし、供給口の周囲に堰を設けることにより、成形材料が流れ落ちることを抑制してもよい。
また、閉塞部材は、スライド式のものに限定されず、例えば、供給口に対する対向方向に移動して一部が供給口に嵌め込まれるものであってもよい。また、閉塞部材の駆動装置は、エアシリンダに限定されず、液圧シリンダや電動機であってもよい。
射出スリーブへ成形材料を供給する時間と、型閉じの時間とは、少なくとも一部において重複すればよい。換言すれば、型接触前に射出スリーブへの成形材料の供給が完了することは本願発明の必須の要件ではない。例えば、射出スリーブへの注湯を開始後、型接触し、その後、注湯が完了してもよい。また、例えば、注湯の完了と型接触とが同時であってもよい。
射出スリーブへの成形材料の供給の開始など、各動作の開始タイミング等は適宜に設定されてよい。例えば、実施形態において示した時点B、D及びEは、ユーザによって不図示の入力装置を介して設定されてもよい。また、実施形態では、成形サイクルにおいて本体制御部と給湯制御部との間で信号の送受信が行われない場合を例示したが、当該送受信が行われることにより動作タイミングが決定されてもよい。例えば、給湯の完了を示す信号が給湯制御部から本体制御部に入力されたときに本体制御部が射出を開始する処理を開始してもよい。
また、実施形態のように、基準動作の時点からの待機時間(実施形態では第1待機時間Ts1)の調整により成形材料の供給のタイミングを調整する場合において、基準動作は、ラドルが保温炉上の待機位置に到達する動作に限定されない。基準動作は、成形材料の供給完了後、且つ、次の成形サイクルのための保温炉からの成形材料の汲み出し開始前において行われる動作から適宜に選択されてよい。また、基準動作は、成形機の製造者若しくはユーザのいずれにより設定されてもよい。
また、基準動作の時点からの待機時間(Ts1)の調整は、時間差(Td)が0になるように行われてもよい。換言すれば、成形材料の供給の完了と同時に型接触がなされるように行われてもよい。なお、この場合、設定時間差(Tc)が0に設定されていると捉えることもできる。
実施形態における第2待機時間Ts2は必須の要件ではなく、また、成形材料の液面の変化に基づく第2待機時間Ts2の調整も必須の要件ではない。例えば、ラドルは、成形材料を汲み出して直ぐに射出スリーブの供給口に移動してもよい。また、液面の変化に基づく時間調整は、例えば、第2待機時間Ts2に代えて第1待機時間Ts1に対して行われてもよいし、増加時間Teを算出せず、時間差Tdを設定時間差Tcに収束させるフィードバック制御に内在されてもよい。
本発明は、射出スリーブのキャビティ側に堰を設けることを不要とするが、射出スリーブのキャビティ側に堰が設けられてもよい。この場合であっても、堰の大きさを小さくすることができる等のメリットがある。