JP2012066388A - ポリ乳酸系樹脂シートおよびその製造方法 - Google Patents

ポリ乳酸系樹脂シートおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】コスト、寸歩安定性に優れ、特にカッター用に適したポリ乳酸系樹脂シートおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】(1)主としてポリ乳酸系樹脂からなる未延伸シートであって、80℃で1時間処理した際のシート反り返り量Rh(mm)が以下の条件を満たすことを特徴とするポリ乳酸系樹脂シート。Rh≦2(2)厚みが150μm以上であって、シートの一方の面の2次元中心線平均粗さをRa1(μm)、他方の面の2次元中心線平均粗さをRa2(μm)とした時に、以下の条件を満たすことを特徴とする前記(1)記載のポリ乳酸系樹脂シート。0.005≦|Ra1−Ra2|≦0.2(ただし、Ra1<Ra2となるようにRa1、Ra2の面を選択する。)
【選択図】なし

Description

本発明は、寸歩安定性に優れ、特にカッターに適したポリ乳酸系樹脂シートおよびその製造方法に関する。
近年、大気中の炭酸ガス濃度増加による地球温暖化問題が世界的な問題となりつつあり、各産業分野においても、大気中への炭酸ガス排出量を削減する技術の開発が盛んに行われている。プラスチック製品の分野においては、従来、汎用の石油由来原料から製造されたプラスチックが使用後に焼却されるなどして大気中へ炭酸ガスとして放出されてきたが、近年、本来大気中の炭素源(炭酸ガス)に由来する植物由来原料のプラスチックが注目されている。中でも、透明性、剛性に優れ、コスト面でも比較的有利なポリ乳酸系樹脂の実用化に向けた研究開発が盛んである。一方で、ポリ乳酸系樹脂は寸法安定性が低いという欠点を有しており、その改良が望まれている。
他方、ラップフィルム収納ケースのような紙製包装容器において、ラップフィルム用のカッターには、従来金属製や紙製が多く使われていたが、使用後の分別・廃棄の容易さや耐久性の観点からプラスチック製のカッターが使用され始めている。なかでも、上記した地球温暖化等の環境問題等への配慮から、ポリ乳酸製のフィルム用カッターが各社で検討されている。
特許文献1、2には、ポリ乳酸系樹脂を2軸方向に延伸されたフィルム用カッターに関する技術が開示されている。
特許文献3には、ポリ乳酸系樹脂に無機物を含有したフィルム用カッターに関する技術が開示されている。
特開平11−99498号公報 特開2006−263892号公報 特開2005−212064号公報
特許文献1、2に記載の技術のように二軸延伸したシートは延伸工程を実施するため、加工コストが高止まりし、ラップフィルムなどの日常品として広く普及した用途に安価かつ工業的に供給するには実用的ではないという問題があった。
特許文献3に記載の技術では、特に夏場などシートが高温に曝された場合の熱寸法安定性について何ら改良を行っておらず、熱をうけた際にシートに反り返りが発生し、カット性を損なってしまう問題があった。
そこで本発明は、上述した課題解決を目的として鋭意検討した結果、達成されたものであり、コスト、寸法安定性に優れ、特にカッター用に適したポリ乳酸系樹脂シートを提供せんとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために次のような手段を採用するものである。
(1)主としてポリ乳酸系樹脂からなる未延伸シートであって、
80℃で1時間処理した際のシート反り返り量Rh(mm)が以下の条件を満たすことを特徴とするポリ乳酸系樹脂シート。
Rh≦2
(2)厚みが150μm以上であって、
シートの一方の面の2次元中心線平均粗さをRa1(μm)、他方の面の2次元中心線平均粗さをRa2(μm)とした時に、以下の条件を満たすことを特徴とする前記(1)記載のポリ乳酸系樹脂シート。
0.005≦|Ra1−Ra2|≦0.2
(ただし、Ra1<Ra2となるようにRa1、Ra2の面を選択する。)
(3)前記(1)または(2)に記載のポリ乳酸系樹脂シートからなるカッター。
(4)シート状の溶融ポリマーを一対の冷却ロール(R0及びR1)によりニップし、続いて冷却ロールR1に密着させながら引取る工程を有するシートの製造方法において、
冷却ロールR0の回転速度V(m/分)、及び冷却ロールR1の回転速度V(m/分)が、以下の条件を満たすことを特徴とするポリ乳酸系樹脂シートの製造方法。
1.03V≦V≦1.15V
(5)前記回転速度Vが、以下の条件を満たすことを特徴とする前記(4)に記載のポリ乳酸系樹脂シートの製造方法。
12m/分≦V≦40m/分
(6)冷却ロールR0の表面温度T(℃)、及び冷却ロールR1の表面温度T(℃)が、以下の条件を満たすことを特徴とする前記(4)または(5)に記載のポリ乳酸系樹脂シートの製造方法。
20≦T、T+3≦T≦45
本発明によれば、コスト、寸法安定性に優れ、特にカッター用に適したポリ乳酸系樹脂シートが提供される。本発明のポリ乳酸系樹脂シートを用いれば、寸法安定性を損なうことなく、環境低負荷なカッターを得ることができる。また本発明の製造方法によれば、カッター用に適したポリ乳酸系樹脂シートを好適に製造することができる。
以下、本発明のポリ乳酸系樹脂シートについて説明する。なお、以下において「シート」とは、2次元的な構造物、例えば、フィルム、プレートなどを含む意味に用いる。
本発明のポリ乳酸系樹脂シートは、主としてポリ乳酸樹脂からなる未延伸シートであることが重要である。
本発明における「未延伸」とは、いわゆる延伸加工工程を経ていないことを意味し、具体的にはシートをポリ乳酸系樹脂のガラス点移転温度以上、融点以下の温度とした状態で1軸または2軸方向に1.1倍以上引き延ばす工程を経ていないことを意味する。 ここで主としてとは、シート全体100質量%において、ポリ乳酸系樹脂が60質量%以上100質量%以下であることを意味する。ポリ乳酸系樹脂の含有量が60質量%より少ない場合は、バイオマス度が低下してしまい、ポリ乳酸系樹脂を使用する意義が薄れてしまう。
なお、シートが積層構成の場合、主としてとは、複数層の全体100質量%において、ポリ乳酸系樹脂が60質量%以上100質量%以下であることを意味する。
本発明のポリ乳酸系樹脂シートは、主としてポリ乳酸系樹脂からなる未延伸シートであって、80℃で1時間処理した際のシート反り返り量Rh(mm)が、Rh≦2であることが重要である。
Rh≦2であれば、カッターとして使用する際、カッター刃の反り返りがなく優れたカット性を有するものとなる。とくにキッチン周りで使用するフィルム用カッターとして適用される場合は、比較的高温にさらされる可能性もあり、耐熱寸法安定性が求められ、それに応えることができる。
R>2の場合、カッターとして使用した際、被切断物が反り返ったカッター刃に引っかかってしまうためカット性を損なってしまい、好ましくない。
シート反り返り現象は、シート両面に内部ひずみ差があるために発生する。シート反り返りを抑えて、Rh≦2とするためには、シート両面の内部ひずみ差を抑制することで解消される。
本発明のポリ乳酸系樹脂シートにおいて上述のRh≦2を満たすための方法は、特に限定されないが、例えば、シート状の溶融ポリマーを一対の冷却ロール(R0及びR1)によりニップし、続いて冷却ロールR1に密着させながら引取る工程を有するシートの製造方法(以下、ニップ方式による製造方法という)が好ましい。
主に薄いフィルムの製造に適用されている冷却ロール上に溶融ポリマーを流延する方法では、ニップロール(上述のR0に相当するロール)がなくシートの片面だけが冷却されるために、シート両面で冷却速度差が生じ、その結果、シート両面に内部ひずみ差が生じてしまいシートに反り返りが出やすくなる。
一方で一対の冷却ロールを使用するニップ方式による製造方法は、冷却ロールR0及び冷却ロールR1を用いてシートの両面が冷却されるため、シート両面に内部ひずみ差が生じにくくなるために、シートに反り返りが生じにくくなる。
Rh≦2を満たすためには、上述のニップ方式による製造方法において、冷却ロールR0の回転速度V(m/分)、及び冷却ロールR1の回転速度V(m/分)が、1.03V≦V≦1.15Vを満たすことが好ましい。
<1.03Vの場合、冷却ロールR1側のシート状溶融ポリマー表面のほうが、R0側のシート表面とくらべ、溶融張力が高くなるためにR1側のシートの内部ひずみが大きくなり、R1側とR0側に内部ひずみ差が生じ、Rhが2を超えてしまう。
>1.15Vの場合、冷却ロールR0側にシート状溶融ポリマーが引っ張られるために、製膜が不安定となりシートの平面性を損ねてしまう。
ニップ方式による製造方法における、冷却ロールR0の回転速度V及び冷却ロールR1の回転速度Vの関係のさらに好ましい範囲は、1.05V≦V≦1.10Vである。
また上述のニップ方式による製造方法において、Rh≦2を満たすためには、冷却ロールR0の回転速度V(m/分)が、12m/分≦V≦40m/分を満たすことが好ましい。
<12m/分の場合、生産性が劣るために、生産コストが高くなってしまう。
また、V>40m/分の場合、シートが十分に冷却されずに巻き取られるため、平面性を損なってしまう。
ニップ方式による製造方法における、冷却ロールR0の回転速度V(m/分)のさらに好ましい範囲は、15m/分≦V≦30m/分である。
また上述のニップ方式による製造方法において、Rh≦2を満たすためには、冷却ロールR0の表面温度T(℃)、及び冷却ロールR1の表面温度T(℃)が、20≦T、T+3≦T≦45を満たすことが好ましい。
<20の場合、冷却ロールR0表面に、ポリ乳酸系樹脂の熱分解起因で発生するラクチドが付着し、シート表面が汚れてしまう。
+3>Tの場合、シートが冷却ロールR0側に粘着してしまい、製膜が不安定となりシートの平面性を損ねてしまう。
>45の場合、シートの冷却が不十分となるため冷却ロールからシートの剥離不良が発生し製膜が不安定となりシートの平面性を損ねてしまう。
ニップ方式による製造方法における、冷却ロールR0の表面温度T及び冷却ロールR1の表面温度Tのさらに好ましい範囲は、25≦T、T+3≦T≦40である。
冷却ロールR0及び冷却ロールR1の表面温度は、冷却ロール内部に循環させる流動性熱媒体の温度を電気加熱することで調整することができる。
本発明のポリ乳酸系樹脂シートは、厚みが150μm以上であって、シートの一方の面の2次元中心線平均粗さをRa1(μm)、他方の面の2次元中心線平均粗さをRa2(μm)とした時に、0.005≦|Ra1−Ra2|≦0.2(ただし、Ra1<Ra2となるようにRa1、Ra2の面を選択する。)を満たすことが好ましい。
シート総厚みが150μmを下回る場合、剛性がなく、とくにカッターとして使用した場合、カッターが被切断物を切断する際にカッターが変形する等の不具合が発生する場合がある。
また、シート総厚みが500μmを超える場合は、とくにカッターとして使用した場合、切れ性が悪い等の不具合が発生する場合があるので、シートの総厚みは500μm以下が好ましい。
2次元表面粗さ|Ra1−Ra2|が0.005μmよりも小さい場合、ロールがブロッキングを起こしやすく、ロール状に巻き取った後、成形加工時にシートを引き出す際、シート同士がブロッキングしスムーズにシート引き出しができないために、加工速度を低下させてしまうという問題がある。
一方、|Ra1−Ra2|が0.2μmより大きい場合、シート同士がすべりすぎることにより、ロール状に巻き取った後、容易に巻きズレを起こしやすい問題がある。さらに、フィルム用カッターとして使用する場合、0.005≦|Ra1−Ra2|≦0.2であれば、例えば、食品包装用フィルム容器からフィルムを引き出す際、フィルムとカッターのすべりが丁度よく、容易にフィルムを引き出すことができる。
本発明において、0.005≦|Ra1−Ra2|≦0.2とする方法は特に限定されないが、例えば、上述したニップロール方式により、冷却ロールR0の回転速度Vが12m/分≦V≦40m/分、かつ、冷却ロールR0の表面温度T(℃)及び冷却ロールR1の表面温度T(℃)が20≦T、T+3≦T≦45を満たすことによって達成される。
本発明に用いられるポリ乳酸系樹脂は、L−乳酸および/またはD―乳酸を主成分とし、乳酸由来の成分が、ポリ乳酸系樹脂を構成する全ての単量体成分100モル%において70モル%以上100モル%以下のものをいい、実質的にL−乳酸および/またはD―乳酸のみからなるホモポリ乳酸系樹脂が好ましく用いられる。
また本発明に用いるポリ乳酸系樹脂は、結晶性を有することが好ましい。ポリ乳酸系樹脂が結晶性を有するとは、該ポリ乳酸系樹脂を加熱下で十分に結晶化させた後に、適当な温度範囲で示差走査熱量分析(DSC)測定を行った場合、ポリ乳酸成分に由来する結晶融解熱が観測されることを言う。通常、ホモポリ乳酸系樹脂は、光学純度が高いほど融点や結晶性が高い。ポリ乳酸系樹脂の融点や結晶性は、分子量や重合時に使用する触媒の影響を受けるが、通常、光学純度が98%以上のホモポリ乳酸系樹脂では融点が170℃程度であり結晶性も比較的高い。また、光学純度が低くなるに従って融点や結晶性が低下し、例えば光学純度が88%のホモポリ乳酸系樹脂では融点は145℃程度であり、光学純度が75%のホモポリ乳酸系樹脂では融点は120℃程度である。光学純度が70%よりもさらに低いホモポリ乳酸系樹脂では明確な融点は示さず非結晶性となる。
本発明に用いるポリ乳酸系樹脂は、積層シートとして使用する用途によっては、必要な機能の付与あるいは向上を目的として、結晶性を有するホモポリ乳酸系樹脂と非晶性のホモポリ乳酸系樹脂を混合することも可能である。この場合、非晶性のホモポリ乳酸系樹脂の割合は本発明の効果を損ねない範囲で決定すれば良い。また、積層シートとした際に、比較的高い耐熱性を付与したい場合は、使用するポリ乳酸系樹脂のうち少なくとも1種に光学純度が95%以上のポリ乳酸系樹脂を含むことが好ましい。
本発明に用いるポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量は、通常少なくとも5万以上、好ましくは8万〜40万、さらに好ましくは10万〜30万である。なお、本発明でいう重量平均分子量とは、ゲルパーミテーションクロマトグラフィー(GPC)でクロロホルム溶媒にて測定を行い、ポリメチルメタクリレート(PMMA)換算法により計算した分子量をいう。
ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量を5万以上とすることで、該ポリ乳酸系樹脂を含んだ本発明のポリ乳酸系樹脂シートの機械特性を優れたものとすることができ、さらに本発明のポリ乳酸系樹脂シートからなる加工品の機械特性をも優れたものとすることができる。
また、本発明に用いるポリ乳酸系樹脂は、L−乳酸、D−乳酸のほかにエステル形成能を有するその他の単量体成分を共重合した共重合ポリ乳酸系樹脂であってもよい。共重合可能な単量体成分としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸類の他、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の分子内に複数の水酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸等の分子内に複数のカルボン酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体が挙げられる。なお、上記した共重合成分の中でも、用途に応じて生分解性を有する成分を選択することが好ましい。これら共重合成分は、ポリ乳酸系樹脂を構成する全ての単量体成分100モル%において0モル%以上30モル%以下含有することが好ましい。
ポリ乳酸系樹脂の製造方法としては、詳細は後述するが、乳酸からの直接重合法、ラクチドを介する開環重合法などを挙げることができる。
本発明のポリ乳酸系樹脂シートは、特に各種工業製品の包装用途など生分解性を必要としない場合や保管耐久性があった方が好ましい用途においては、ポリ乳酸系樹脂の加水分解による強度低下を抑制し、良好な耐久性を付与する観点から、ポリ乳酸系樹脂中のカルボキシル基末端濃度が0当量/10kg以上30当量/10kg以下であることが好ましく、より好ましくは20当量/10kg以下、さらに好ましくは10当量/10kg以下である。ポリ乳酸系樹脂中のカルボキシル基末端濃度が30当量/10kg以下であると、加水分解の自己触媒ともなるカルボキシ基末端濃度が十分低いために、用途にもよるが実用的に良好な耐久性を付与できる場合が多い。
ポリ乳酸系樹脂中のカルボキシル基末端濃度を30当量/10kg以下とする方法としては、例えば、ポリ乳酸系樹脂の合成時の触媒や熱履歴により制御する方法、シート製膜時の押出温度を低下あるいは滞留時間を短時間化する等熱履歴を低減する方法、反応型化合物を用いカルボキシル基末端を封鎖する方法等が挙げられる。
反応型化合物を用いカルボキシル基末端を封鎖する方法では、ポリ乳酸系樹脂中のカルボキシル基末端の少なくとも一部が封鎖されていることが好ましく、全量が封鎖されていることがより好ましい。反応型化合物としては、例えば、脂肪族アルコールやアミド化合物等の縮合反応型化合物やカルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物等の付加反応型化合物が挙げられるが、反応時に余分な副生成物が発生しにくい点で付加反応型化合物が好ましく、中でも反応効率の点からカルボジイミド化合物が好ましい。
本発明のポリ乳酸系樹脂シートの耐熱性向上を目的として、ポリ乳酸系樹脂よりもガラス転移温度の高い樹脂を混合してもよい。例えば、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリビニル化合物などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂があげられる。
本発明に用いるポリ乳酸系樹脂よりもガラス転移温度の高い樹脂としては、ポリ乳酸系樹脂中において好適な分散性を有する点で、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂が好ましい。ポリ(メタ)アクリレート系樹脂を混合することで耐衝撃性の低下が懸念されるが、後述する耐衝撃改良剤を同時に混合することで実用性のある耐衝撃性を維持できる。ポリ(メタ)アクリレート系樹脂を混合した際に同時に混合する耐衝撃改良剤としては、ゴム成分が好ましい例として挙げられる。
本発明のポリ乳酸系樹脂シートは、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の酸化防止剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、抗酸化剤、イオン交換剤、結晶核剤、着色顔料等あるいは滑剤として、無機微粒子や有機粒子、有機滑剤を必要に応じて添加してもよい。
酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系などが例示される。着色顔料としてはカーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄などの無機顔料の他、シアニン系、スチレン系、フタロシアイン系、アンスラキノン系、ペリノン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、キノクリドン系、チオインディゴ系などの有機顔料等を使
用することができる。
また、加工品の易滑性や耐ブロッキング性の向上などを目的として、粒子を添加する際には、例えば無機粒子としては、シリカ等の酸化ケイ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の各種炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の各種硫酸塩、カオリン、タルク等の各種複合酸化物、リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム等の各種リン酸塩、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の各種酸化物、フッ化リチウム等の各種塩等からなる微粒子を使用することができる。
また有機粒子としては、シュウ酸カルシウムや、カルシウム、バリウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム等のテレフタル酸塩などからなる微粒子が使用される。架橋高分子粒子としては、ジビニルベンゼン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸のビニル系モノマーの単独または共重合体からなる微粒子が挙げられる。その他、ポリテトラフルオロエチレン、ベンゾグアナミン樹脂、熱硬化エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂などの有機微粒子も好ましく使用される。
無機粒子、有機粒子ともその平均粒径は、特に限定されないが、0.01〜5μmが好ましく、より好ましくは0.05〜3μm、最も好ましくは0.08〜2μmである。
本発明のポリ乳酸系樹脂シートには、耐衝撃性を改良する目的で、シート全体100質量%において耐衝撃性改良剤を2質量%以上20質量%以下含有してもよい。好ましくは2.5質量%以上15質量%以下である。耐衝撃性改良剤の含有量が多くなるほど、耐衝撃性の改良効果は向上するが、20質量%を超えて含有しても耐衝撃性の改良効果の大幅な向上は得られない場合が多い。
なお、ここで言う耐衝撃性改良剤とは、ポリ乳酸系樹脂が本来有する脆くて割れやすい脆性特性を改善する効果を有する添加剤を意味する。この様な効果を発揮するものとしては、ポリ乳酸系樹脂に添加、混合した際にポリ乳酸系樹脂が海、添加剤が島となるような海島構造をとり、かつ島となる添加剤が通常10μm程度の直径の球体内に納まるサイズで分散した構造となるような添加剤が挙げられる。またこの場合ポリ乳酸系樹脂よりも弾性率の低い、いわゆる軟質な添加剤を選択すると効果的である。
このような耐衝撃性改良剤の具体例としては、例えばエチレン−プロピレン共重合体、エチレン/プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体およびそのアルカリ金属塩(いわゆるアイオノマー)、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体(例えば、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体)、酸変性エチレン−プロピレン共重合体、ジエンゴム(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン)、ジエンとビニル単量体との共重合体(例えばスチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレンランダム共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリブタジエンにスチレンをグラフト共重合せしめたもの、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体)、ポリエステル−ジオール・ジカルボン酸ブロック共重合体、ポリイソブチレン、イソブチレンとブタジエンまたはイソプレンとの共重合体、天然ゴム、チオコールゴム、多硫化ゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ポリウレタンゴム、ポリエーテルゴム、エピクロロヒドリンゴム、脂肪族ポリエステル、ポリエステル系エラストマーおよびポリアミド系エラストマーなどが挙げられる。
さらに各種の架橋度を有するものや、各種のミクロ構造、例えばシス構造、トランス構造などを有するもの、コア層とそれを覆う1以上のシェル層から構成される多層構造重合体などを使用することができる。
本発明に用いる耐衝撃性改良剤としては、ポリ乳酸系樹脂中において好適な分散性を有し少量でより高い効果耐衝撃性改良効果が得られる点で、ポリ乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステルや脂肪族芳香族ポリエステルが好ましい。
ポリ乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステルや脂肪族芳香族ポリエステルとしては、特に限定されるものではなく、具体的には、ポリグリコール酸、ポリ3−ヒドロキシ酪酸、ポリ4−ヒドロキシ酪酸、ポリ4−ヒドロキシ吉草酸、ポリ3−ヒドロキシヘキサン酸またはポリカプロラクトン、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペートなどが挙げられる。
さらに耐衝撃性を改良し、かつ、ポリ乳酸系樹脂シートの生分解性を維持するためには、ポリ乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステルである、ポリブチレンサクシネート系樹脂を用いることが好ましい。より好ましくは、耐衝撃性の改良効果が大きくポリ乳酸系樹脂と相溶性のよいポリブチレンサクシネートやポリブチレンサクシネート・アジペートである。
本発明に用いるポリブチレンサクシネート系樹脂の重量平均分子量は10万〜30万であることが好ましい。これらポリブチレンサクシネート系樹脂としては、例えば、“GsPla” FZ71PD(商品名 品番;三菱化学)やビオノーレ #3003(商品名 品番;昭和高分子)が挙げられ、例えば、ポリブチレンサクシネートは、1−4ブタンジオールとコハク酸を重縮合して得られる。
本発明に用いる耐衝撃性改良剤としては、ポリ乳酸系樹脂中において好適な分散性を有し少量でより高い効果耐衝撃性改良効果が得られる点で、多層構造重合体も好ましい例として挙げられる。
多層構造重合体は、最内層(コア層)とそれを覆う1以上の層(シェル層)から構成され、また、隣接し合った層が異種の重合体から構成される構造を有する重合体である。多層構造重合体を構成する層の数は、特に限定されるものではなく、2層以上であればよく、3層以上または4層以上であってもよい。多層構造重合体としては、内部に少なくとも1層以上のゴム層を有することが好ましい。ゴム層の種類は、特に限定されるものではなく、ゴム弾性を有する重合体成分から構成されるものであればよい。また、生分解性はないものの透明性を維持しながら耐衝撃性を改良することができるという観点から、耐衝撃性改良剤として含有する多層構造重合体はコアシェル型のアクリル系重合体であることが好ましい。
さらに詳しくは、ゴム層の種類は、例えば、アクリル成分、シリコーン成分、スチレン成分、ニトリル成分、共役ジエン成分、ウレタン成分またはエチレンプロピレン成分などを重合させたものから構成されるゴムが挙げられる。ゴム層として好ましく用いられる重合体成分としては、例えば、アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分、ジメチルシロキサン単位やフェニルメチルシロキサン単位などのシリコーン成分、スチレン単位やα−メチルスチレン単位などのスチレン成分、アクリロニトリル単位やメタクリロニトリル単位などのニトリル成分またはブタジエン単位やイソプレン単位などの共役ジエン成分を重合させたものから構成されるゴムである。また、これらの成分を2種以上組み合せて共重合させたものから構成されるゴムも好ましく、例えば、(1)アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分およびジメチルシロキサン単位やフェニルメチルシロキサン単位などのシリコーン成分を共重合した成分から構成されるゴム、(2)アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分およびスチレン単位やα−メチルスチレン単位などのスチレン成分を共重合した成分から構成されるゴム、(3)アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分およびブタジエン単位やイソプレン単位などの共役ジエン成分を共重合した成分から構成されるゴム、(4)アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分およびジメチルシロキサン単位やフェニルメチルシロキサン単位などのシリコーン成分およびスチレン単位やα−メチルスチレン単位などのスチレン成分を共重合した成分から構成されるゴムなどが挙げられる。また、これらの成分の他に、ジビニルベンゼン単位、アリルアクリレート単位またはブチレングリコールジアクリレート単位などの架橋性成分を共重合し架橋させたゴムも好ましい。
また、多層構造重合体の好ましい例としては、コア層と1つのシェル層から構成される多層構造重合体であり、コア層がジメチルシロキサン/アクリル酸ブチル重合体で最外層がメタクリル酸メチル重合体、コア層がブタジエン/スチレン重合体で最外層がメタクリル酸メチル重合体、コア層がアクリル酸ブチル重合体で最外層がメタクリル酸メチル重合体などが挙げられる。さらに、ゴム層または最外層のいずれか一つもしくは両方の層がメタクリル酸グリシジル単位を含有する重合体であることはより好ましい。
ポリ乳酸系樹脂と耐衝撃性改良剤との溶融混練方法については、特に制限はなく、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー、単軸または二軸押出機等の通常使用されている混合機を用いることができる。中でも生産性の観点から、単軸または二軸押出機の使用が好ましい。
またその混合順序についても特に制限はなく、例えばポリ乳酸系樹脂と耐衝撃性改良剤をドライブレンド後、溶融混練機に供する方法や、予めポリ乳酸系樹脂と耐衝撃性改良剤を溶融混練したマスターバッチを作製後、該マスターバッチとポリ乳酸系樹脂とを溶融混練する方法等が挙げられる。また必要に応じて、その他の成分を同時に溶融混練する方法や、予めポリ乳酸系樹脂とその他の添加剤を溶融混練したマスターバッチを作製後、該マスターバッチとポリ乳酸系樹脂とを溶融混練する方法を用いてもよい。
本発明におけるポリ乳酸系樹脂は、例えば、次のような方法で得ることができる。原料としては、L−乳酸またはD−乳酸の乳酸成分を主体とし、前述した乳酸成分以外のヒドロキシカルボン酸を併用することができる。またヒドロキシカルボン酸の環状エステル中間体、例えば、ラクチド、グリコリド等を原料として使用することもできる。更にジカルボン酸類やグリコール類等も使用することができる。
ポリ乳酸系樹脂は、上記原料を直接脱水縮合する方法、または上記環状エステル中間体を開環重合する方法によって得ることができる。例えば直接脱水縮合して製造する場合、乳酸類または乳酸類とヒドロキシカルボン酸類を好ましくは有機溶媒、特にフェニルエーテル系溶媒の存在下で共沸脱水縮合し、特に好ましくは共沸により留出した溶媒から水を除き実質的に無水の状態にした溶媒を反応系に戻す方法によって重合することにより高分子量のポリマーが得られる。
また、ラクチド等の環状エステル中間体をオクチル酸錫等の触媒を用い減圧下開環重合することによっても高分子量のポリマーが得られることも知られている。このとき、有機溶媒中での加熱還流時の水分および低分子化合物の除去の条件を調整する方法や、重合反応終了後に触媒を失活させ解重合反応を抑える方法、製造したポリマーを熱処理する方法などを用いることにより、ラクチド量の少ないポリマーを得ることができる。
本発明のポリ乳酸系樹脂シートからなるカッターは、紙やフィルムを切断するカッターとして利用することが好ましい。とくにフィルム用カッターに適しており、ポリ塩化ビニリデンフィルムのみならず、ポリエチレン等の延伸もしくは未延伸フィルムであっても容易に切断することが可能である。
本発明のカッターは、シートを打抜くことで形成することができ、打抜きによって形成される刃の形状は、鋸刃形状であることが好ましく、鋭角状の刃であることが望ましい。なお、刃の先端角度、刃の大きさ、長さ、形状に関しては特に限定されない。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。
[測定及び評価方法]
実施例中に示す測定や評価は次に示すような条件で行った。
(1)反り返り量Rh
ポリ乳酸系樹脂シートを幅300mm(製膜方向と垂直方向)、長さ8.5mm(製膜方向と平行方向)のサイズに切出し、80℃に設定した熱風オーブン(タバイエスペック(株)製 GPHH−200)中に1時間静置した後のシートの反り返り量を、ノギスを用いて測定した。
反り返り量の測定は、1水準につき3サンプルをオーブンに入れ、各サンプルの反り返り量の最大値を求め、3サンプルの最大値の平均を反り返り量Rhとした。
反り返り量とは、凹状シートを中央の凹みが下、浮いた両端が上向きになるように平面に置いたときの、4辺の平面からの浮き上がり量の最大値を指す。反り返り量のシートの測定位置は、シートの厚み方向の下辺部分(シートの辺で、かつ厚み方向の下側(平面側))とした。
(2)カット性
実施例、比較例で得たシートを打抜き加工により鋸刃形状に打抜き、市販の食品包装用ラップフィルム用紙容器((A):ポリ塩化ビニリデン製ラップフィルム、幅300mm、長さ50m、(B):ポリエチレン製ラップフィルム、幅300mm、長さ50m)に付属のフィルム用カッターを、本発明のカッターに取替え、その紙容器を80℃に設定した恒温槽に1時間静置した。その後、それぞれにラップフィルムを装填し、ラップフィルムを300mmずつ紙容器から引き出し、取替えたカッターによる切断を10回繰り返し行い、カット性を評価した。
○:容易に切断
△:切断可能
×:切断不可
(3)シート厚み
厚みをシート全幅に対して、マイクロゲージで10点測定し、厚みの平均値t(μm)を求めて、シート厚みとした。
(4)中心線平均粗さ:Ra
万能表面形状測定器SE−3FA((株)小坂研究所製)により2次元中心線平均粗さ(Ra)を測定した。なお、測定条件は、触針先端半径:2μm、測定力:0.7mN、測定長25mm、カットオフ:0.08mmである。
(5)動摩擦係数:μd
JIS−K−7125(1999)に準じ、スリップテスター(東洋テスター工業社製)を用い、荷重200gとして、異なる面同士を合わせ、滑り出した後の安定領域での抵抗(μd:動摩擦係数)より以下の式を用いて値を求めた。なお、異なる面同市を合わせとは、2枚のシートサンプルを用意して、一方のサンプルのRa1面と他方のサンプルのRa2面とが接するように重ねる事を意味する。
動摩擦係数:μd=抵抗値/荷重
(6)シート外観
得られたシートの外観を目視観察し、以下の基準で評価した。
○:シートが平滑であり、平面性に問題なく、実用可能。
×:シートが平滑ではなく、平面性に問題があり、実用不可。
[使用したポリ乳酸系樹脂]
(PLA−1):
ポリD−乳酸含有割合5.0mol%、融点150℃、PMMA換算の重量平均分子量22万のポリL−乳酸系樹脂。(NAture Works社製 4042D)
[ポリ(メタ)アクリレート系樹脂]
(PMMA−1):
ポリメチルメタクリレート(住友化学製“スミペックス”HT50Y)
[使用した無機粒子マスターバッチ]
(MB−1):
酸化チタン(マスターバッチ100質量%において25質量%)・エチレンビスステアリル酸(マスターバッチ100質量%において2質量%)・PLA−1(マスターバッチ100質量%において73%)ベースのマスターチップ(酸化チタン平均粒径:0.2μm)
[ポリ乳酸系樹脂シートの作成]
(実施例1)
2台のベント式二軸押出機を用いて、シートが層A/層B/層A(各層の厚み比:1/8/1)の3層となるように、ポリ乳酸系樹脂、無機粒子マスターバッチをそれぞれ表1記載の割合で層A用と層B用の2台のベント式二軸押出機に供給し、口金温度を210℃に設定したTダイ口金より押出し、互いに接する方向に回転する冷却ロールR0とR1にニップし、続いて冷却ロールR1に密着させながら引取り、シート状に冷却固化し、厚み250μmの未延伸シートを作製した後にワインダーにてシートを巻き取った。
その際の、冷却ロールR0の表面温度Tは30℃、冷却ロールR1の表面温度Tは40℃、冷却ロールR0の回転速度Vは15.8m/分、冷却ロールR1の回転速度Vは15.0m/分であった。
得られたシートの評価結果を表1に示した。
(実施例2〜6、比較例1〜4)
実施例1と同様の方法で、原料を表1記載の組成割合に変更して、冷却ロールR0、R1の回転速度、表面温度をそれぞれ表1記載の条件で作製した。
得られたシートの評価結果を表1に示した。
実施例1〜6で作製したシートはカット性に優れており、なかでも実施例4がとくに優れていた。一方、比較例1〜4で作製したシートはいずれも、カット性やシート平面性に難があり、実用性に欠ける。
Figure 2012066388

Claims (6)

  1. 主としてポリ乳酸系樹脂からなる未延伸シートであって、
    80℃で1時間処理した際のシート反り返り量Rh(mm)が以下の条件を満たすことを特徴とするポリ乳酸系樹脂シート。
    Rh≦2
  2. 厚みが150μm以上であって、
    シートの一方の面の2次元中心線平均粗さをRa1(μm)、他方の面の2次元中心線平均粗さをRa2(μm)とした時に、以下の条件を満たすことを特徴とする請求項1記載のポリ乳酸系樹脂シート。
    0.005≦|Ra1−Ra2|≦0.2
    (ただし、Ra1<Ra2となるようにRa1、Ra2の面を選択する。)
  3. 請求項1または2に記載のポリ乳酸系樹脂シートからなるカッター。
  4. シート状の溶融ポリマーを一対の冷却ロール(R0及びR1)によりニップし、続いて冷却ロールR1に密着させながら引取る工程を有するシートの製造方法において、
    冷却ロールR0の回転速度V(m/分)、及び冷却ロールR1の回転速度V(m/分)が、以下の条件を満たすことを特徴とするポリ乳酸系樹脂シートの製造方法。
    1.03V≦V≦1.15V
  5. 前記回転速度Vが、以下の条件を満たすことを特徴とする請求項4に記載のポリ乳酸系樹脂シートの製造方法。
    12m/分≦V≦40m/分
  6. 冷却ロールR0の表面温度T(℃)、及び冷却ロールR1の表面温度T(℃)が、以下の条件を満たすことを特徴とする請求項4または5に記載のポリ乳酸系樹脂シートの製造方法。
    20≦T、T+3≦T≦45
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